急成長中のフィンテックPipe(パイプ)が企業価値20億ドル(約2215億4000万円)で新たな調達ラウンドを行った。グロースファンディングで5000万ドル(約55億4000万円)を調達してからわずか数週間だ。本件に詳しい情報筋による。
最新のラウンドはまだ進行中だが、Pipeはメリーランド州ボルティモア拠点のGreenspring Associatesがリードした「大幅に申し込みが超過した」ラウンドで、1億5000万ドル(約166億2000万円)を調達したと伝えられている。すでに同社は条件規定書に署名しているが、さらに資金が追加される可能性もあると情報筋はいう。ラウンドには既存、新規両方の出資者が参加した。
この評価額の増加は前回の調達ラウンドから「目覚ましいステップアップ」だといえる。Pipeは2020年6月にプラットフォームを公開したばかりだ。今回のラウンドについて同社はコメントを拒んでいる。
1年と少し前、PipeはCraft Venturesがリードしたシードラウンドで600万ドル(約6億6000万円)を調達し、SaaS企業に株式やベンチャー借り入れ以外の資金調達手段を提供するという同社のミッション遂行の基盤を固めた。
噂のスタートアップの目標は、SaaS企業が早期に収益を得られるように、獲得した契約の年間価値に応じて割引価格を支払う投資家をマーケットプレイスで見つけて結びつけることだ。この買う側の参加者をPipeは「銀行などの金融機関の吟味されたグループ」と説明している。
わずか数週間前、フロリダ州マイアミ拠点のPipeは、新たな「戦略的株式ファンディング」によって多数の著名投資家から5000万ドル調達したことを発表した。SiemensのNext47とJim Pallotta(ジム・パロッタ)氏のRaptor Groupがラウンドをリードし、他にShopify、Slack,HubSpot、Okta、Social CapitalのChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Michael Dell(マイケル・デル)氏のMSD Capital、Republic、Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏のSeven Seven Six、およびJoe Lonsdale(ジョー・ロンズデール)氏が参加した。
当時Pipeの共同CEOで共同ファウンダーのHarry Hurst(ハリー・ハースト)氏は、同社は自社プラットフォームの対象をSaaSに限定せず「経常収益ストリームをもつあらゆる企業にも広げる」と語った。これにはD2Cサブスクリプション会社やISP、ストリーミングサービス、通信会社なども含まれる可能性がある。VCファンドの管理者や経営者もプラットフォーム上でつながっている、とハースト氏は語った。
「初めて市場に出たとき、私たちは最初の対象分野であるSaaSに焦点を強く絞っていました」と当時ハースト氏はTechCrunchに語った。「それ以来、3000社を超える企業が私たちのプラットフォームを使うために登録しました」。登録企業はアーリーステージや自己資金20万ドル(約2200万円)の企業から、上場企業まで多岐にわたる。
Pipeのプラットフォームは、会計、支払いプロセス、バンキングのシステムを統合することで、顧客の重要な数値指標を評価する。その後直ちに事業の業績を評価し、取引限度を設定する。取引限度は小規模なアーリーステージや自己資金企業の5万ドル(約550万円)から、レイトステージや上場企業の1億ドルまでさまざまだが、限度額に上限はない。
2021年第1四半期、数千万ドル(数十億円)がPipeプラットフォームで取引された。2020年6月のサービス開始からその年の終わりまでの間にも「数千万ドル」の取引が同社のマーケットプレイスで行われた。プラットフォームの年間推定取引可能額は10億ドル(約1100億円)を超える。
カテゴリー:フィンテック
タグ:Pipe、資金調達
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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook)