ヒートアップする倉庫や仕分けのロボティクス、Zebra TechnologiesがFetchを約324億円買収

Zebra Technologies(ゼブラテクノロジーズ)は米国時間7月1日、ベイエリア拠点の倉庫ロボティクス会社Fetch(フェッチ)を買収する意向を発表した。買収額2億9000万ドル(約324億円)のこの取引では、すでにZebraが保有しているFetchの株式5%に加え、残りの95%を取得する。

パンデミックで労働力が不足し、また小売事業者がAmazon支配への抵抗で潜在的な優位を模索していることを受けて、倉庫や仕分けのロボティクスはヒートアップし続けている。そうした中でこの取引は興味深いものだ。最近SPAC(特別買収目的会社)と合併したBerkshire-Greyを含め、大小のロボティクス会社への投資にとってロボティクス業界のヒートアップは大きな原動力となっている。

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Zebraに関していうと、同社はロボティクス分野でかなり攻めている。2020年初めに発表した在庫システムSmartSightのような自前の小売ロボティクスを立ち上げたのに加えて、LocusのようなFetchの直接的な競合相手に投資してきた。Zebraは2020年6月、Locusの4000万ドル(約45億円)のシリーズDラウンドをリードした。

外から見ると、Zebraは1つの統一されたプレイをめぐるマーケットを統合することを模索しているかのようだ。LocusのCEOであるRick Faulk(リック・フォーク)氏は直近の別のラウンドの際に「独立して操業することで最大かつ最高の価値を生み出せると考えています。『Amazon』競合社とされていない企業を助けるために投資したい投資家もいます」と筆者に語った。

フォーク氏は当時、Locusは買収されることに興味はないとも語った。Zebraが積極的にLocus買収を追求していたのかどうかはわからないが、もし今日のニュースが何らかの兆候であるなら、Zebraがどちらのご馳走にも飛びつくことを考えていたのは明らかだ。そしてFetchの多様なモジュラー商品は手始めとしては最適だ。

「Fetch Roboticsの買収は、ワークフローを強化する新しいモードを擁し、ますます自動化されデータで動く環境において当社の顧客がより効率的に操業できるようサポートすることで、Enterprise Asset Intelligenceビジョンと、インテリジェントな産業オートメーションにおける成長を加速させます」とZebraのCEO、Anders Gustafsson(アンダース・グスタフソン)氏は声明文で述べた。「この動きは生産から消費に至るまでのサプライチェーンを最適化するという当社のコミットメントをさらに広げます。FetchのチームをZebraファミリーに迎えることを楽しみにしています」。

FetchのCEOであるMelonee Wise(メロニー・ワイズ)氏は「FetchのチームはZebraに加わって、AMRと当社のクラウドベースのロボティクスプラットフォームを通じてフレキシブルなオートメーションの浸透を加速させることに胸躍らせています。一緒になることで、我々は真に顧客の問題を解決するエンド・ツー・エンドのソリューションを提供するために、正しいテクノロジーを持つ正しいチームを抱えます。顧客が動的に最適化し、梱包、配送、そして製造のオペレーションを全体的に統合するのをサポートすることで、顧客が増大する需要に先んじ、また配達時間を最小化し、縮小しつつある労働力の問題を解決するのをサポートします」。

TechCrunchはさらなるコメントを求めている。買収取引はいつものことながら当局による承認次第だ。第3四半期の取引完了が見込まれている。

カテゴリー:ロボティクス
タグ:Zebra TechnologiesFetch倉庫買収

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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