Twitterが買収したデベロッパツールCrashlyticsがアプリの利用状況をリアルタイムで計測するAnswersをローンチ

Crashlyticsは、今のデベロッパツールの世界ではかなりの珍鳥だ…しかも日に日にますます珍種になりつつある。

このツールは、クラッシュの報告、ベータテストの実行と管理、それに今ではユーザの継続率(リテンションレート*)やサイトの利用度などのリアルタイムの計測値を提供するが、AppleやGoogle、Amazon、Microsoftなどの傘下ではない。これら大手は、必要に迫られて自分でこういうことをやっている。彼らにしてみれば、デベロッパツールはサードパーティに任せられるものではない。長期的にデベロッパのごきげんを取るためにも、できるかぎり総合的でデベロッパフレンドリな環境を、自前で提供しなければならないのだ。〔*: retention rate, N個インストールされたアプリがある期間にr回使われていたら、リテンションレートはr/N(×100%)となる。ここでは、rにユーザの重複はない、と仮定する。〕

でも、クロスプラットホームな開発をやっているデベロッパは、自分のアプリの中に6種類もの(==各プラットホーム用の)追跡コードを、いちいち書きたくない。欲しいのは、普遍的で、比較的自由なプロダクト、そしてかなり前からそこらにあるプロダクトだ。

そういう要求に応えられるのが、Crashlyticsの強みだ。上で、どこの傘下でもないと書いたが、実はこのツールはTwitterがそのオーナーだ。しかしTwitterは、少なくとも今のところ、上記の連中のようなアプリケーションの大手プラットホームではないし、しかもアプリケーションデベロッパの広告のニーズにも応えてくれる。同社は最近アプリケーションのインストール広告にも手を出してきたが、それなんかもやはり、Twitterが、デベロッパにとって効果的な(ユーザによる)アプリ発見とアプリ採用のためのツールであることを、真剣に志向している証拠だ。

さかのぼって5月にCrashlyticsは、最初の買収後のプロダクトとして、無料のクロスプラットホームなベータテストサービスを発表した。そして今回は、Answersという名前の第二のプロダクトを発表した。

Answersは、ユーザ数の増加や、ユーザのエンゲージメント、それにリテンションをリアルタイムで計測する。しかもそれは、これまでのCrashlyticsのダッシュボードに加わり、無料で利用できる。アプリケーション/アプリの中に何かのコードを書き加える必要もない。だからCrashlyticsの既存のユーザにとって非常に嬉しいだけでなく、まだユーザでない人たちにとっても、大きな誘惑要因になるはずだ。

TwitterのBrian Swiftが今日(米国時間7/15)のブログ記事にこう書いている: “Answersは、あなたのアプリケーションの主な成長要因(ユーザ数増加要因)を分かりやすく開示してくれる。デベロッパはこのツールにより、アプリケーションの主な使われ方やリテンションレートなどを理解できるようになる。それらのデータは影響の少ない時間を見計らってお利口に素早く送られるので、データ送付によって発生するアプリ上のトラフィックはつねに最小である。AnswersはCrashlytics SDKに含まれているので、アプリ/アプリケーションの状態を表す重要な計測値が即座に可視化され、しかも途切れることのない脈拍のように定常的に提供される”(上図)。

Answersは、アプリのインストールの、日別、週別、そして月別のリテンションレート(パーセンテージ)をモニタする。ユーザセッションの総数と、ユーザ一人あたりの平均セッション数も表示する。セッションの長さも計られ、そしてもちろんクラッシュ報告はリアルタイムで図表化される。

オーナー企業のない、完全にインディーの、HockeyRaygunUbertestersなども健在だ。中でもHockeyは、多くのデベロッパに尊敬されている。しかしCrashlytics Answersには、無料であることも含め、独自の魅力がある。

Crashlyticsは、Twitterに買収されても成長は衰えていない。それもやはり、上で述べたような理由からだろう。インディーのツールにも優れたものはあるが、でもTwitterはアプリの中立国スイスのような立場だし、また広告ビジネスから見ても魅力がある。だから、 Crashlyticsは買いだろう。

画像クレジット: Martin Cathrae

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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