放送用などプロ級のビデオエディティングを完全にクラウド化するAframeが急成長

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クラウド上のビデオプロダクションプラットホーム、ロンドンのAframeは、Avidなどの大手に挑戦する存在だが、ファウンダのDavid Petoはこれを第一歩として、将来的にはプロ級の総合的なビデオ編集スタジオをクラウドから提供したいという大きな夢を抱(いだ)いている。

Octopus InvestmentsとEden Ventures、およびNorthstar Venturesが投資している同社は、Adobeの’Adobe Anywhere’プラットホームを利用して放送局向けのビデオプロダクションやそのほかのコンテンツ製作者たちに、大規模なビデオプロジェクトをリモートからセキュアに編集できる能力を提供している。クラウド化のメリットは言うまでもなく、物理的なインフラや機器類への高価な投資が、最小限ですむことだ。

Petoは語る、“Aframeは急成長している。うちのことを一言で説明するなら、ビデオのためのクラウド上のオペレーティングシステムだ。どんなニーズのある、そして今どんな制作段階にあるプロジェクトでも、うちを利用するとワンストップショップ的に何でも必要なことができる。すべての解像度に対応するビデオエディットは、これまでどこにもできなかったのだ”。

それができるようになったのは、Adobe AnywhereやそのPremiere Proビデオエディティングソフトウェアと、Aframeのプライベートクラウドサービスの組み合わせによる。

“AdobeがAnywhereを見せてくれたのは4年前だが、それは高解像度のビデオをふつうのブロードバンドでユーザのラップトップ上のAdobe Premiereにストリーミングできる初めてのシステムだった。しかしそのためには、ラインの向こう側にサーバが必要だった。そこでぼくは考えた: Anywhereをクラウド化して提供すればいいじゃないか、と”。

その結果今では、世界中のどこにいても、HDクラスのビデオエディットをクラウドでできるようになった。Aframeのクラウドプラットホームに収めたビデオプロジェクトがラップトップ上のAdobeのエディットソフトウェアに、まるでそこらのストレージから来たもののように現れる。そういう高いビットレートのストリームを生成するのが、AnywhereのMercury Engineだ。

Petoは曰く、“ビデオをアップロードしたらそれは、誰かがそれを視るまでずっとクラウド上に居る。局やスタジオなどのローカルには、何もない”。

いわばテレビ放送やビデオプロダクションの物理的なバックエンドがすべてクラウド化され、エディティングからリビューまでのすべての工程がその環境で行われる。パブリッシュ(放送、ストリーミング、…)も、そこから行える。ファイルをAサーバからBサーバへ、ローカル(リモート)からリモート(ローカル)へなど、移動する必要がなくなる。しかも、放送用ともなると、ビデオファイルのサイズは数百ギガバイトにもなる。

Aframeの売上の70%は合衆国からだ。本社はロンドンだが、チームはボストンとニューヨークとロサンゼルスにいて、FOXやA&E、VICE Media、 Voltage Pictures(Dallas Buyers Clubのメーカー)などの顧客に対応している。“テレビをつけたら、その放送はAframeで作られた番組だった、という時代になるかもね”、とPetoは大げさに言う。

2012年の4月にAframeは、シリーズAで700万ドルを調達し、総調達額は約1000万ドルになった。しかし今同社は、また新たな資金調達を準備中だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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