昨日もシェアリングエコノミー協会設立のニュースがあったが、人やモノ、スペースなどさまざまな遊休資産の貸し借りを行うプラットフォームは多数登場している。その市場規模は10年後には3350億ドルにも上るなんていう話も出ている。
東京・恵比寿に拠点を置くスタートアップのMOSO mafiaもシェアリングエコノミーの文脈に沿ったサービスを手がける1社だ。同社は12月15日、ネイルやヘアメイク、エステなど美容・リラクゼーションのCtoC型のオンデマンド予約サービス「careL(ケアエル)」を公開した。当面はオープンベータ版サービスとして、東京都内の渋谷、恵比寿、表参道、代々木、六本木、麻布十番、赤坂周辺でサービスを展開する。
careLは、ドライマッサージ、ヘアセット、メイク、ネイルケアのリアルタイム予約サービスだ。サイト上では、ユーザーが現在いる場所をもとにして、最速・最短距離で予約できる施術者を探して、予約までを行うことができる。口コミやレビューの投稿も可能。決済は今後カードに対応する予定だが、現在は当事者間で現金を手渡しで支払う仕組み。店舗に行くだけでなく、出張サービスを受けることも可能だ。
料金はサービス内容によって統一しており、施術者に関わらず、ドライマッサージでは15分980円、ネイルケアではパーツ付け放題のプランで5800円いった設定をしている。
サービスを支える施術者は、MOSO mafiaが独自にネットワークするヘアメイクアーティストやネイリストなど約50人。彼らの多くはフリーランサー、もしくは小規模の事務所で仕事を請け負っている。本業を持つかたわらで、隙間時間にcareLでのサービスを引き受ける。
代表を務める渡辺大介氏は、学生時代にアート作品に興味を持ち、それがきっかけでクリエイティブコモンズの存在を知り、ついには弁理士になったという人物。その後は弁理士事務所、ユニチャーム、コンサルティング会社のプライマルで務めた後、独立。本業と並行して、エステサロンを経営することになった。
「エステサロンはクオリティと場所、料金設定を調整できれば儲かるビジネス。しかし課題があった。どれだけ抑えても、1店舗出店するには2000万円以上の初期投資が必要になる。一方で年間の売上は3000万〜5000万円。これでは一気に店舗を増やすことは難しい。また広告を打つにしても店舗数が多くないとレバレッジが効かない」(渡辺氏)。そこで目を付けたのがシェアリングエコノミーの仕組みを使ったサービス提供だった。
ユーザーのニーズもまさにシェアリングの仕組みがマッチしたのだという。カットやパーマであれば店舗もスケジュールも決まっていることが多いが、ヘアメイクやマッサージ、ネイルなどは突然オーダーしたいニーズが高い。そのためリアルタイムに施術を受けたい個人と時間の空いている施術者を結び付けることが価値を生み出すと考えたという。米国には先行するオンデマンドメイクサービス「Glamsquad」などがある。同社は今年10月、700万ドルの資金を調達している。