GoogleのDeepMindがAIの大きな画期を記す: 囲碁の世界チャンピオンLee Sedolに第一戦で勝利

screenshot-2016-03-09-16-02-34

GoogleがオーナーであるロンドンのDeepMindの囲碁ソフトが、世界チャンピオンのLee Sedolに勝ち、人工知能(AI)の開発史に特筆すべき新たな画期が刻まれた。

韓国のソウルで行われた五番勝負の第一戦で今日、そのソフトウェアAlphaGoは、Leeが持ち時間29分弱を残す時点で負けを認めたため、早期の勝利を手にした。最後の第五戦は来週火曜日(米国時間3/15)に行われ、YouTubeはそれまでの全試合をライブで放送する。勝者の賞金は、100万ドルだ。

AIの進歩は、戦略ゲームのトッププレーヤーに対する勝利で歴史に刻まれる。チェスのグランド・マスターGarry KasparovがDeep Blueに負けたのは1997年、IBMのWatsonがJeopardyで勝ったのは2011年だが、東アジアで数世紀の伝統を持つ囲碁の戦略と知的な深さは、AIの作者に最強のチャレンジを提供し、そのことはGoogle自身も認めていた

DeepMindをGoogleは2年前に5億ドルあまりで買収したが、同社は囲碁専用のソフトウェアAlphaGoを制作した。そして昨年10月にはヨーロッパチャンピオンFan Huiに勝利し、AIが囲碁で人間に勝ったのはそれが初めてとなった。しかし33歳のLeeは、囲碁のレジェンドと呼ばれる9段のプロで、世界最強の囲碁プレーヤーと言われる。

昨年Fan Huiに勝ったとき、DeepMindの協同ファウンダーDemis Hassabisは、AlphaGoの開発は今でも進行中であり、ゲームのテクニックを自力で磨いている、と説明した:

AlphaGoは、自分自身を超えていく。できれば最終的には、この分野の最強の人間が自己を限りなく磨き続けるように。新しいことを自分で発明していく様子は、見ていて本当にすごいと思う。もちろんそれは、囲碁という特定のゲームの枠内のことではあるが、われわれは今では、自分たちた作ったシステムに、厚い親近感すら抱(いだ)いている。とくに、それが作られていくやり方に対する親近感だ。そのやり方とは、自分で学習し、われわれがある程度は教育訓練し、そして、まるで人間のようなスタイルでゲームをプレイしていく。それは、すべての状況や条件等が分かっている状態で人間が手作りしていく従来のプログラムとは違う。それは物事を自分で拾い上げる。だからこそ、それが自力で習得していく能力が、すばらしく思えるのだ。

今度は、第一戦からLeeが何を学んだかが見ものだ。それが木曜日(米国時間3/10)の第二戦で分かる。試合の実況ストリーミングは、YouTube上のDeepMindのチャネルで見られる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。