Facebookは7月5日、音楽配信サービス上にある楽曲をFacebook上で友人にシェアし、試聴できる機能「ミュージックストーリー(Music Stories)」を日本で提供開始した。国内のローンチパートナーとなるのはサイバーエージェントグループのAWAが提供する「AWA」とNTTドコモの「dヒッツ」の2つの定額制音楽配信サービスだ。またすでに海外でパートナーとなっている台湾発の定額制音楽配信サービス「KKBOX」も日本のミュージックストーリーに対応する。
ミュージックストーリーは、音楽配信サービス上で再生している楽曲を、コメントとともにFacebookにシェアできる機能だ。シェアされたユーザーは、楽曲にアクセスするとFacebookのアプリ上などで約30秒の試聴が可能になる。楽曲にコメントを付けたり、そこから音楽配信サービスにアクセスし、会員になることもできる。なお楽曲の長さは音楽配信サービスごとに多少異なるのだそう。
「音楽コンテンツはエンゲージメントが高い」——Facebook Japan執行役員パートナーシップ事業日本代表の横山直人氏は語る。音楽に特化したFacebookのページやアカウント、Instagramのアカウントは増え続けている。Instagramに関しては、2015年には音楽の公式アカウント「@music」も立ち上がった。ミュージックストーリーもそんな音楽をフックにしたコミュニケーションを広げるためのサービスとなる。
この機能は米国では2015年11月にローンチしている。米国ではApple MusicおよびSpotifiyなどがパートナーになっているが、Appleに関しては「現在テスト中」(横山氏)とのことだ。同日開催された会見では記者から質問が出なかったので個別にAmazonが展開する「Prime Music」との連携についても聞いてみたのだけど、「米国でもまだ連携していない」(横山氏)というコメントを得ている。
プラットフォーム上で音楽を共有する、という点では、コミュニケーションサービスの「LINE」と「LINE MUSIC」の組み合わせが先行するところもあるが、実名制でグローバルなプラットフォームである点がFacebookの強みだと語る。
ちなみにこの連携、Facebookと音楽配信事業者の間でのビジネスは発生しない。Facebookからすれば、プラットフォーム上で直接アクセスできるコンテンツが増えることになる。これはインスタント記事(Instant Articles)同様、プラットフォーム上での体験を拡充させるという点でも強い武器になるだろう。
一方で音楽配信サービス事業者からすれば、「友人のシェアした楽曲をちゃんと聴いてみたい」という動機から新規の会員獲得を狙えることになる。会見後AWA取締役の小野哲太郎氏に聞いたところ、「たとえ3000万曲揃えた音楽配信サービスとうたっても、刺さるユーザーは限られている。それ以外のユーザーに『友人が好きな曲を聴いてみよう』といった動機付けをして新たにサービスを利用してもらう機会になればいい」と語る。また、アーティスト側の反応については、「説明コスト(例えば「楽曲をFacebook上にアップロードする」と勘違いして嫌がるケースがあったそうだが、厳密にはミュージックストーリーではAWA上の楽曲をストリーミングしている)こそあったが、露出が増えることについておおむね前向き」だしている。