モバイル市場に関するFlurryの最新のレポートによると、今やiOSとAndroidは一つしかないモバイルの王冠を争ってはいない。スマートフォンとモバイルOSの市場は2頭のレースになっているが、Apple馬もGoogle馬もそれぞれ、違う王冠を手にしうる、という。
つまり市場を架空の大陸にたとえると、Androidはその北部を支配し、Appleがそのほかの部分を統治する。その意味は、Androidはデバイスのマーケットシェアを支配し、2013年の総台数が5億6400万となり前年同期比で倍増している。しかしAppleのiOSは、アプリ内消費時間で先頭に立っている。AndroidがAppleに接近した時期もあったが(下図2012/1-4月)、その後の第三世代iPadのローンチにより、Appleは再び、ユーザのエンゲージメントでトップに立った。
アプリ内消費時間でAppleがAndroidをリードしているのは、累積総時間だけでなく、デバイス1台あたりの平均時間もだ。Androidはデバイスのシェアでトップだから、累積総時間でもトップになるはずではないか? しかしFlurryによると、iPhoneとAndroidではユーザのタイプが違う。iOSのユーザにとっては、iPhone/iPadの魅力はアプリにある。つまりAppleのデバイスは、ポケットコンピュータという位置づけだ。これに対しAndroidのユーザの多くは、フィーチャーフォンを買い換えるときに(バーゲンで)値段が安いからAndroidスマートフォンにした、という人たちだ。言い換えると、iPhoneと違ってAndroid携帯は、アプリがユーザの主眼ではない。Androidユーザの多くにとって、電話機はあくまでも電話をする機械だ。スマートフォンの‘スマート’の部分にあまり関心がなく、単に日常的な携帯用電話機としてしか見ていない。
Flurryはさらに、Androidの分裂がアプリ開発の障害になっている、という。だからアプリのクォリティがiOSのレベルに達せず、配布にも問題がある。Appleには大きくて深いエコシステムがあり、デベロッパがその力と意欲を思いっきり投じやすい。そしてユーザ数の多いiOSでは、ユーザのアプリ利用状況に対するデベロッパの関心も高いため、アプリの自己改良サイクルというものが、自動的に動いている。
複数の王冠があるというFlurryの見方は、これまでのような、どっちが勝つかという単純な見方に比べると、市場に対するより現実的で成熟した見方だ。AndroidとiOSは今後も顧客を奪い合っていくことは確かだが、しかし、エコシステムの支配と小さなマーケットシェアは、Appleの全体的な企業目標に良くフィットしている。Google/Androidの場合は、単一のまとまりの良いエコシステムというものはないし、グローバルに物理的なシェアを伸ばすことが重要な目標になっている。台数シェアのGoogleと、アプリ内消費時間のApple、このどちらでも、今のところ、第二勢力が登場し伸びてくる気配はない。
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))