SEC〔証券取引委員会〕への提出書類によれば、 昨年、宿泊サービスのAirbnbはシリーズFラウンドの最初の調達を実施し、5億5550万ドルの資金を得た。同社は今日(米国時間3/9)、新たなフォームDを提出し、4億4780万ドルの調達をしてシリーズFラウンドを完了したことを明らかにした。
これによりAirbnbのシリーズFでの資金調達額は10億ドルとなった。正確には10億331万2065ドルだ。またTechCrunchは同社に近い情報源を取材し、会社評価額が310億ドルだと確認した。
この310億ドルという評価額は、シリーズFラウンドの最初の調達実施の際にAirbnbが発表した300億ドルを10億ドル上回っている。
また情報源によれば、Airbnbは2016年下半期に黒字となっていた。 2017年にもEBITDAベースで黒字となる見込みだという。
Airbnbはテクノロジー系スタートアップとして異例に巨大な会社であり、今年は上場するという噂が絶えなかった。しかし今回のラウンドの成功で非公開企業のままで運営できる資金的余裕は大きくなった。われわれが取材した情報源によれば、「Airbnbには近い将来上場する計画はない」という。
われわれはまだ全投資家のリストをつかんでいない。SECへの提出書類にはSequoiaのAlfred Lin、Andreessen HorowitzのJeff Jordanの名前があった。 シリーズFの最初の調達実施時にはGoogle CapitalとTCVがリードしていた。
Airbnbは予備のベッドがあるユーザーと宿泊できる安価なベッドを探している旅行者を結びつけるマーケットプレイスとして出発した。同社は異例なスピードで拡大し瞬く間に全世界に巨大なネットワークを作り上げた。今や提供するのは予備のベッドには限られず、あらゆるタイプの予算に対応し、豪邸をまるごと借りることもできる。同社によれば、「新しい体験を提供している」という。
昨年11月にスタートした「体験の提供」というカテゴリーには単に宿泊場所のマーケットプレイスというそれまでの性格を超えて、「地元の人のように街を体験」するための各種のサービスが含まれる。
またAirbnbはこのプラットフォームを利用してユーザーが旅行に関連するすべてを予約できる事業にも参入した。また事業の拡大のためにいくつかの重要な企業買収を実施している。これにはソーシャル支払サービスのTiltや豪華な休暇を楽しめるLuxury Retreatsの買収が含まれる。
一方でAirbnbが巨大になるのと比例して、法的規制の逆風も強まっている。アメリカだけでなく、世界の規制当局がAirbnbが各種の宿泊や都市計画関連の規制に違反しているのではないかと疑っている。また不動産ビジネスは「Airbnbは不法にアマチュア・ホテル業者を作り出している」として激しく反発している。アパート管理サービスの巨人、AimcoがAirbnbを訴えたのがその例だ。AimcoはAirbnbが同社の管理するアパートの区画の賃貸者が契約に違反して部屋を又貸しするのに手を貸していると主張している。
政治的な立場で言えば、Airbnbは既存の宿泊関連規制だけでなく、トランプ政権の移民規制にも強く反対している。
さらに取材中。
画像: Thomas Trutschel/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)