今日(米国時間4/19)オースチンで行われたDockerConカンファレンスでDockerが、Modernize Traditional Applications(MTA) Program(従来型のアプリケーションを現代化する事業)と呼ばれるサービスを発表した。それは、現役の古いアプリケーションをDockerのコンテナに収め、Docker Enterprise Editionの管理下に置き、それらに現代的なインフラストラクチャを使わせるようにするサービスだ。
同社はアプリケーションをそのように移行させる能力に自信を持っていて、アプリケーションが一定の基準を満たしていれば良い結果を‘保証する’とまで言っている。
Dockerがこのツールを作っていた最近の半年間で気づいたのは、顧客たちがコンテナ化をやりたくてうずうずしていることだ。彼らは必ずしも、マイクロサービスに全面的に移行できるほどのスキルや意志は持っていないが、コンテナ化がもたらす数々のメリット…ポータビリティ、効率、セキュリティなど…をいつまでも指をくわえて見ていたくはない。DockerのCOO Scott Johnstonはそう説明する。
“アプリケーションを本格的なマイクロサービスのプロジェクトに移行しなくても、弊社の技術で既存のアプリケーションをコンテナに入れられることに、彼らは喜んでいる”、と彼は語る。
これまでのアプリケーションは、全体が一つの一枚岩のようなものとして配布されていた。しかしコンテナ化のキモであるところのマイクロサービスアーキテクチャでは、アプリケーションを、マイクロサービスと呼ばれる個々の離散的なピース(小片)の集まりへとモジュール化し、それによってデプロイと管理を大幅に容易にする。そんな形の環境では、デベロッパーはプログラミングに集中し、アプリケーションのデプロイをオペレーションのチームが担当できる。これがいわゆる、DevOpsと呼ばれているやり方だ〔※1、※2〕。今日発表された新しいサービスにより顧客は、マイクロサービスへの全面的な移行をしなくても、コンテナのメリットを享受できる。
そのためにDockerのチームは、Avenade, Cisco, Microsoft, HPEなどのパートナーの協力を仰ぎ、彼らのレガシーアプリケーションの一部をコンテナ環境へ移行させた。しかもこれらのベンダが抱える多くの企業顧客は、そうした方が良さそうなアプリケーションをたくさん動かしているから、Dockerの市場開拓という面からも都合がよろしい。
同社は、一定の基準を満たしているレガシーアプリケーションなら、そのコンテナ化の成功を期間限定一定料金で保証できる、と感じた。この一見大胆な約束は、このサービスのベータ期間に得た所見に基づいている。レガシーアプリケーションの中には、簡単にコンテナ化できるものもあれば、あまり良い候補とは言えないものもあった。そしてそのような体験から、保証は可能、と確信した。
“われわれとして言えるのは、エンタープライズのアプリケーションスイートは何千ものアプリケーションで構成されていて、その中には必ず、その基準を満たすものもある、ということだ。確実に、そう言えるね”、とJohnstonは語る。
彼によると、今の企業の中には、IT予算の80%近くをレガシーアプリケーションのサポートに費やしているところもある。Dockerなら、大げさなことをしなくても、それらを現代的なアーキテクチャへ移行して、サポート費用を軽減できる。しかも保証対象のアプリケーションなら、その工程は超簡単だ。