アメリカ人は毎年、金融製品(主にローン)の申込を2億5000万件以上行っているが、その多くは紙の上や電話で完結している。そこでOriginal Techは、ローンの申込をオンラインで完結させるホワイトレーベル(==ユーザー各自が完全カスタマイズする)のソフトウェアを銀行等に提供して、この状況を変えようとしている。
大手金融機関の多くは、内部に技術者チームを抱えて、主に消費者製品の改良に努めているが、中小企業向けの製品や、小さな銀行、クレジットユニオン、ノンバンクの貸し方などの世界では、顧客と物理的に対面する営業方式にはなかなか勝てない。そこを、Original Techはなんとかしようとする。
貸し方がそのソフトウェアを利用すると、借り手はローンの申込をデスクトップコンピューターやタブレット、スマホなどからできるようになり、紙の書類やFAXの文書に手書きで何かを書き込む手間がなくなる。
ソフトの利用者である貸し手は、データの収集や詐欺の防止、コンプライアンスへの準拠などが、このソフトにより自動的にできる。しかもそれらは貸し手のそれまでのワークフローの一環としてでき、査定のルールなども従来のままである。
Original TechのファウンダーHeang Chan、Sean Li、そしてChris Blaserは全員が、住宅ローンの借り手にテクノロジーによるソリューションを提供してきたB2Bのフィンテク企業Blendの社員だった。そのBlendと同じくOriginal Techも、借り手の申し込みプロセスから苦痛を取り去り、申し込みの完結件数を増やし、それにより貸し手が認めるローンの件数を増加しようとする。
Blendはもっぱら、住宅ローンの申し込みをネット化するホワイトレーベルのツールを提供しているが、Original Techはローンの種類やタイプを限定しない。
またBlendが主に大手金融機関を顧客として、トップダウン的に利用者に対応するのに対し、Original Techは中小の金融機関を対象として、彼らのところにおける技術者不在を補完しようとする。その方が市場機会が大きい、とファウンダーたちは見ている。
Blendはこれまでに6000万ドルの資金を調達しているが、Original Techはエンジェルたちの資金でささやかにスタートしたばかりだ。同社は近く、Y CombinatorのSummer 2017の学期を卒業する。
しかしOriginal Techにはすでに10社の顧客がいる。それらは、Metropolitan Capital Bank, Rockhold Bank, Conventus Lending, Guarantee Mortgage, Loan Factory, Pacific Private Money, Clear Choice Creditなどだ。来週行われるデモデーでは、もっと資金を集め、関心を持つ顧客をもっと増やしたい、と考えている。