サンフランシスコは部分的に配達ロボットを禁止している。というのも、ロボットが歩行者の進行を妨げるからだ。そこでPostmatesは、目や方向指示シグナル、道を譲る能力を持つタイプを作った。Serveというのが、Postmatesのクールで自動走行する新ストローラーだ。コストを削減し、配達をスピードアップすることが期待されている。このセミ自動走行ローバーには、歩道を通るのにカメラやLidarが活用されているが、もし何か問題が発生したときに対応できるよう、常に人が遠隔からServeをモニターしている。Serveにはまた、客や歩行者が助け求められるよう、“ヘルプ”ボタンやタッチスクリーン、ビデオチャットディスプレイすら搭載されている。
Serveはまずロサンゼルスで導入され、来年にかけてさまざまな都市で展開されることになっている。Serveは客に物を運び、客はスマホまたはパスコードで荷物入れのハッチを開錠できる。Serveはまた、渋滞するエリアでレストランから料理を受け取り、Postmatesの配送ハブに運び込んだりもする。そこからのラストマイルを配達スタッフが引き受ける。これによりPostmatesは配達にかかる人件費を節約できるかもしれないが、Postmatesは配達スタッフの他業務への配置転換をどのようにサポートするのかについては何も示さなかった。
「社会的には、我々が重量2トンの車で2ポンドのブリトーを運ぶことはオーケーだ。全てのエネルギーはブリトーを運ぶためではなく、車を動かすために使われる。その結果生まれるのが、渋滞だ」とPostmatesでこの特別プロジェクトを担当するAli Kashaniは語る。そうしてPostmatesはオンデマンド配達に使用するのに適切なロボットはどちらか、StarshipとRobbyが製造したそれぞれの自動走行ローバーを過去数年にわたって試験した。
この小さなロボットと歩道を共有する準備はできてる?
Serveはフル充電で最大50ポンドのものを積んで25マイル走行できるー1日に12件ほどの配達で走り回るのには十分だ。キャシーの底にバッテリーを組み込んだことで重心が低くセンター寄りになり、バタッと倒れることはそうなさそうだ。進行方向の決定にはVelodyne社のLidarと、NVIDIA社のXAVIERプロセッサを活用している。Postmatesの広報は、ローバーの大規模展開と効率性に関して、「究極的には、我々は商品がコストゼロで消費者の元に素早く届けられる世界があると信じている」と話す。
「我々はローバーと歩行者が相互作用するのにどんな言葉があるのかを理解するのに時間をかけた。もしロボットが歩道にいて通りを渡りたいのなら、渡りたいという意思を示す必要がある」とKashaniは話す。上部の周囲にあるリング状のライト、そしてどの方向に進もうとしているのかを示すことができる方向指示のシグナル、そして目が付いているおかげで、Serveは周囲に注意を払うことができ、都市環境になじむとKashaniは考えている。
PostmatesはServeを客の元へだけでなく、配達を外部に委託しているInstacartのような企業へも展開できる。そうしたビジネスは、4200万ドルもの資金を調達したStarshipや、1000万ドル調達したMarble、そして500万ドル調達したRobbyといった配達ロボットスタートアップとServeを競合させることになる。
良いロボ市民
もし行政がServeのようなロボットの展開を許可するなら、高齢者や子ども、車椅子利用者の邪魔にならないようにするのは必須だ。12月、サンフランシスコは企業1社につきロボット3台まででトータル9台、走行場所は人が少ないエリアのみ、走行距離は1時間あたり3マイル以下、遠隔から人が監視するという制限を設け、ロボットを禁止したも同然だった。
Postmatesは、Norman Yeeを含むサンフランシスコ管理委員会、そしてロジスティック企業の連合と、限定された自動走行配達を認める許可の発行についての規制フレームワークの作成を共に進めてきた。Postmatesの許可申請はサンフランシスコ市当局がレビュー中だ。Postmatesはサンフランシスコの先端技術ワーキンググループ、地元の商業組合、歩行者安全グループとともに、地元の小売売り上げ増と交通の抑制につながるかもしれない革新的なツールと、歩行者の歩く権利とのバランスをいかにとるかを模索している。
また、Serveが仕事を奪うことになる労働力がどうなるのか、という疑問もある。Postmatesの広報は、Serveは現在の労働力に取って代えるというより、強力なパワーでもって労働力を増やそうとしている、と主張する。Postmatesは550超の都市で、1カ月あたり計400万件の配達をこなしていて、それらのうちのいくらかはロボットが請け負える範疇ではない。しかしPostmatesがトレーニングコースをスピンアップしたり、次第に居場所がなくなる配達人に裏方の業務やカスタマーサービスなどへの配置転換を提案すると素晴らしい。
面白いことには、KashaniはPostmatesがいかに“Uber XとUber Black Car”モデルになるか、ほのめかした。それは、人間に階段を上がって直接玄関先まで配達してもらうのにはよりお金がかかるが、もしあなたがオーダーしたものを沿道でServeから受け取るのをいとわなければ支払いは少なくて済む、というものだ。本質的には、PostmatesのServeの出現で人による配達はぜいたくなものになる。
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(翻訳:Mizoguchi)