ある中国都市の道路がここ数年ぐっと静かになってきた。深圳はハードウェアのシリコンバレーとも呼ばれ、人口1200万人の都市をガタゴト走り回るディーゼル車を段階的に廃止すべく資源を投入してきた。
同市の公共バスは2017年末までにすべて電動車になった。タクシーも近々それに続く。深圳運輸委員会は今週、同市の2万1000台を超えるタクシーの99%がバッテリー駆動になったことを公式サイトで発表した。
ただしそのうち1350台はまだ配車されるのを待っている。これは充電ステーションが足りないためで、市の基盤が電気自動車への移行スピードに追いついていないことを表している。昨年Southern Metropolis Daily紙が実施した調査によると、深圳のタクシー運転手の80%が市内の充電ステーションの数と場所に不満を持っている。
深圳には、ウォーレン・バフェットが出資しているバッテリーおよび自動車メーカー BYDが本社を置いており、中国の電気自動車ドリームの先陣を切っている。電動化の始まりは2010年に遡り、当時同市は中国の大計画の一環となり、ハイブリッドおよび全電動車のバイロットテストのために消費者とメーカー両方に多大な助成金が出された。大気汚染の改善という表面上の目標の裏には、バッテリー技術のリーダーを目指す中国の野望と、その結果として生まれる雇用と輸出歳入の増加という目的がある。
深圳の運輸当局は、電動タクシーは化石燃料車と比べてエネルギー効率が70%高いと言っている。電動タクシー車全体で、深圳の年間二酸化炭素排出量を85万6000トン削減できるとの見積りだ。これは米国の森林100万7445エーカー(4077平方km)によるカーボンオフセットに相当すると、米国環境保護庁提供の 温室効果ガス計算機が算出した。
なお、EVの環境への貢献は、都市がどうやって発電しているかに依存していることを忘れてはならない。エネルギー源が石炭や石油のように汚ければ、電動自動車も汚いことになる。
深圳のグリーン化活動の恩恵を受けているのがBYDで、同市の非石油バス・タクシーの大部分を製造している。最近同社は、中国が電気自動車の助成金削減を検討していることを受け、海外都市の公共輸送システム電化に進出している。深圳のこの自動車メーカーは世界を横断して英国 チリおよびエジプトに同社の車両群を送り込んでいる。アジアでは、隣接するマカオ、シンガポールおよび日本に電気自動車を販売している。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )