Luge Capitalがカナダのフィンテック投資向けに約92億円を調達

Fintech Growth Syndicate(フィンテック・グロース・シンジケート)が集めたデータによると、カナダ拠点あるいはカナダで操業しているフィンテックのスタートアップ数は831社にのぼる。にもかかわらず、カナダのこの部門を専門とするベンチャーキャピタルファンドは数えるほどしかない。

そのギャップを埋めようとしているのが、モントリオールとトロントに拠点を置き、フィンテックとAIにフォーカスしているベンチャーキャピタルファンドLuge Capitalだ。同社は初めて行う投資と、15万〜200万ドル(約1600万〜2億2000万円)のシード投資計画のために8500万ドル(約92億円)を調達した。

2018年に創業されたばかりの同社を率いるのはDavid Nault(デイビッド・ノールト)氏とKarim Gillan(カリム・ジラン)氏だ。ノールト氏はiNovia Capitalで副社長を務め、ジラン氏はPayPalが買収した送金スタートアップXoomで経営企画の責任者だった。

Luge CapitalにはiA Financial Group、BDC Capital、ケベック州投資信託銀行、Desjardins Group、La Capitale、Sun Life Financial、そしてFonds de solidarité FTQが出資している。あまりないことだが、何人かのリミテッドパートナーがノールト氏とジラン氏に接近し、ファンドを立ち上げたら資金を出す、と言ってきた。そして2人は、カナダで成長中のテックシーンで動いているフィンテック企業をサポートするための資金を調達しようと仕事を辞めた。

Luge Capitalは北米中のスタートアップを対象に投資するが、なかでもカナダのテック企業にフォーカスする。

「フィンテック企業の数は増え続けている」とジラン氏は話す。「これは、資金への新たなアクセスがあるからだと考えている。企業はいま資金を調達でき、大企業はそうしたスタートアップとの提携に意欲的だ」。

Luge Capitalはこれまでに5件の投資を行ない、うち3件のみが明らかにされた。事業者がアプリとユーザーの銀行口座をつなぐのを手伝うFlinks、顧客向けネットサービスや不正利用の検知サービスを金融機関に提供するOwl、そして保険テクノロジー企業のFinaeoだ。

PitchBookによると、カナダのスタートアップには今年30億ドル(約3255億円)近くが投資され、これはこれまでで最多となる。

「カナダのベンチャーはこれからさらに成長するだろう」とジラン氏は語る。「カナダでモデルを確立してから世界展開するという、カナダをまず最初のマーケットとしてとらえているグローバル指向の創業者が今後増えてくるとみている。そうしたダイナミックな動きに伴って、より多くの外部資金がこうしたベンチャーに流入することになるはずだ」

画像クレジット:Luge Capital

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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