2019年最後のテック系IPOを採点する

ホリデーシーズンに向けて米国市場の動きが鈍る中、米国で今年最後のテクノロジー系IPOが完了して取引が始まった。

今週、テクノロジー系、テクノロジー風、あるいはベンチャーキャピタル支援のスタートアップ3社が上場した。Bill.comSprout SocialEHangの面々だ。ここまでの各社の状態を見てみよう。なお、ここに上げたのは我々の知る今年最後のIPOグループという意味であり、まだまだほかにも驚きの出来事が待ち構えているに違いない。2020年にはいろいろ楽しみがあるだろうが、ともあれ今年のIPOはこれでおしまい。

価格設定

3社はそれぞれの方法で価格を設定した。IPOに向けて各社が行った価格管理方法を見てみよう。

  • EHangは予定価格帯の最低金額でIPO価格を設定し、1株12.50ドルで売り出した
  • Sprout Socialは16~18ドルの価格帯の中間の1株当たり17ドルで設定した
  • Bill.com 予定を上回る1株あたり22ドルで売り出した。予定価格帯は当初の16~18ドルを19~21ドルに引き上げていた

この結果は各社の上場前の最終評価額と比べてどうだったのか。本誌にわかる限りの比較結果は以下のとおり。

というわけで、EHangの価格設定は低く、上場前の評価額は推測するしかないためIPOとの比較は難しい。評価は及第点としておく。Sprout Socialの価格設定は範囲の中央で、上場前の評価額をわずかに超えた。評価はBまたはB+。Bill.comのIPO価格は引き上げた予定価格よりさらに高く、以前の評価額を大きく上回った。これは評価Aに値する。

株価

取引は始まったばかりなので、上場企業としての各社のこれまでの実績はどうやって測ればいいのだろう。スコアカードは以下の通り。

  • EHangの金曜日の終値:12.90ドル (+3.2%)
  • Sprout Socialの金曜日の終値:16.60ドル (-2.35%)
  • Bill.comの金曜日の終値:38.83ドル (+76.5%)

ここから成績をつけるのは比較的簡単だが、ひとつ注意すべき点がある。Bill.comのIPOがいきなり大きく成功していることで、引受銀行の値付けがやすかったために会社が利益をさらったのではないか、というよくある苦情が聞こえてきている。この主張はおそらく、公開市場で取引が始まってからの価格は妥当である。そして当事者である企業はおそらく、その価値の大部分を手にしているという仮定に基づいている。

本件に対してBill.com CEOは別の解釈を示しているが、その週で最も成功したIPOが、成功しすぎていることで批判を買っているといを事実は少なくとも知っておくべきだろう。よって、A+はつけられない。

画像:Getty Images / Somyot Techapuwapat / EyeEm

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。