LGエレクトロニクスの2画面搭載Androidスマホ「LG V60 ThinQ 5G」が、ドコモとソフトバンクから5月11日に発売される。2019年10月25日にサムスンのディスプレイ折り畳み型Androidスマホ「Galaxy Fold」がauから発売されたが、LGは前モデル「LG G8X ThinQ」でセカンドディスプレイを備えたケースに本体を装着するという構造によって、高価な折り畳み対応有機ELディスプレイを使うことなく、5万5440円という驚きの低価格で同等の使い勝手を実現した。
後継モデルであるLG V60 ThinQ 5Gは、5Gの高速通信を生かす端末として、ソフトバンクだけでなくドコモからも発売される。今回は2画面スマホとしての使い勝手にスポットを当てて紹介していこう。
2つのアプリの同時利用がスタンダードな使い方
本製品最大の特徴はディスプレイを備えたケース「LGデュアルスクリーン」が用意されていること。本体とLGデュアルスクリーンの両方に約6.8インチの有機ELフルHD+(2460×1080ドット)ディスプレイを搭載されており、合体させれば折り畳み可能な2画面スマホとして利用できるわけだ。
Galaxy Foldとの最も大きな違いは、2画面に1つのアプリを全画面表示させることよりも、それぞれの画面に1つずつアプリを表示させるのを基本的な使い方としていること。1つのアプリを2画面に全画面表示する「ワイドモード」という機能が用意されているが、利用できるアプリは限られている。ただし、「WideMode for LG」というアプリを利用すれば、ワイドモードに対応していないアプリも強制的に全画面表示可能だ。
背面のカメラは約6400万画素(標準、F1.8)、約1200万画素(広角、F1.9)、ToF(Time of Flight、距離計測)、前面のカメラは約1000万画素(F1.9)を搭載。背面カメラは倍率をタップすれば1倍、2倍、0.5倍を切り替え可能で、ズームイン(ピンチアウト)操作すれば最大10倍で撮影できる。
カメラの画質は良好。発色は忠実で、強い色が入ってもホワイトバランスが大きくずれることもなかった。また望遠カメラは搭載されていないが、約6400万画素の高解像度イメージセンサーのおかげで10倍デジタルズームでも解像感が保たれる。10インチ程度の画面で鑑賞するなら十分実用的な画質だ。
ただし、夜景を撮影する「ナイトビュー」は、暗部ノイズが目立ち、白飛びする傾向が見られた。ファームウェアアップデートで画質が改善されることを期待したい。
本製品はOSにAndroid 10、プロセッサーにSnapdragon 865 5Gを採用。メモリーは8GB、ストレージは128GBを搭載しており、最大512GBのmicroSDXCメモリーカードを装着できる。Snapdragon 865を採用しているだけにベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアで軽々55万を超えてきた。もしLG V60 ThinQ 5Gの処理能力に不満を感じるなら、デスクトップPCやゲーミングノートPCを買うべきだ。
強みを生かしたコンテンツの登場がカギか
2画面スマホのLG V60 ThinQ 5Gは5G回線の可能性を引き出せるか?、という点については現時点では未知数だ。メインディスプレイに競技場全景の映像、セカンドディスプレイに自由視点の映像をストリーミング再生するようなスポーツ中継コンテンツが登場すれば5G回線の高速性が役立つだろう。しかし、現時点でそのような商用サービスは始まっていない。また、いまはまだ5Gを利用できるスポットが少なすぎるので、このようなコンテンツを楽しめるのはまだ先だろう。しかし、一般的なフラッグシップ端末と同等の価格で2画面を搭載した5Gスマホがいまここにあるのだ。ぜひキャリアにはLG V60 ThinQ 5Gの強みを活かしたコンテンツをリリースしてほしいと思う。