連邦裁判所は70年前のパラマウント同意判決を廃止する司法省の決定を承認した。映画会社に対して映画館所有などさまざまな反競争行為を禁止した裁判所命令だ。
連邦地方裁判所のAnalisa Torres判事は、Netflix(ネットフリックス)などのストリーミングサービスが増加したことを裁定の理由の一つに挙げた。
命令の対象外であった映画配給会社が、1940年以降市場に参入し始めた。中でもThe Walt Disney Company(ウォルト・ディズニー・カンパニー)の存在は巨大であり、2018年には約30億ドルの国内興行収入を上げる最大の映画配給会社となった。命令の対象外の配給会社には、Lionsgate(2018年に20作品を公開)、Focus Features(13作品)、Roadside Attractions(12作品)、STX Entertainment(10作品)などがある。インターネット・ストリーミングサービスのNetflix、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)など、映画を制作・配給している会社は命令の対象である。つまりその他の対象企業は、ライバルたちには適用されない法的制約を受けることになる。
この決定が大手のストリーミングサービスに影響を与えるかどうか定かではない。Torres判事は、ある映画会社が命令に対象でなかったとしても、「容認可能な行動の基準となり、関わっていない業界関係者に対する規範となる効果がある」ことを指摘した。
しかし、2020年に映画ビジネスへの参入を考える者がいることは想像しにくい。米国内の観客数はすでに減少方向にあり、これはCOVID-19パンデミック以前からそうだ。
NetflixとAmazonは、これ以前に劇場を所有することに興味を示したことがあった。数年前にAmazonは映画館チェーンのLandmark Theatresの買収を試みていると報じられたことがあり、今年はAMCを買収するという噂によって、映画館チェーンの株価が上がった。しかし買収の発表はなく、その間にAMCの財務は安定した。
一方Netflixは昨年、 ニューヨークのパリ劇場と長期賃貸契約を結び、昨年はロサンゼルスのエジプシャンシアターにも関心を持っていたらしい。しかし、一連の行動は大きな映画館戦略の始まりというより、Netflixがストリーミングの映写やプレミアイベントを行うための一回限りの契約だろう。
裁定の影響を本当に受けるのは、別の業界かもしれない。たとえば、作品の抱合せ販売や系列独占などの排除だ(2年間猶予期間あり)。こうした制約がないと、映画会社は儲けの多い作品を上映したい映画館に、人気の低い作品も一緒に買うことを強要する可能性がある。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )