TwitteとFacebookがトランプ大統領の「2回投票せよ」発言に強く抵抗

ノースカロライナ州の有権者は複数回投票すべきだと示唆したトランプ大統領による発言は、Twitterの選挙健全性規則に違反している。米国時間9月3日に発信した一連のツイートで、大統領は郵便投票システムを「チェック」するために2回投票するよう米国市民に推奨した先の発言を詳しく説明した。

トランプ氏は最初のコメントを、9月2日に地元テレビ局のインタビューで発言した。「投票したらそのあと投票所に行って自分の投票結果をチェックすること、なぜなら集計されてからではできないから」と同氏は言った。

「つまりまず郵送して、それから投票に行く。もしシステムが言われているようにちゃんと作られていれば、当然投票できないはずだ」。

Twitterは9月3日、このコメントに関連する大統領の2件のツイートに「公共の利益に関する警告」を付加し、市民および選挙の健全性に関わる規則を説明した。問題のツイートが違反したのは、「個人の投票の健全性を阻害する可能性のある行為を推奨する」ことに関する部分であるとTwitter広報担当者のNick Pacilio(ニック・パチィリオ)氏は語った。Twitterはこれらのツイートの配信先を制限し、いいね!、リプライ、およびコメントのないリツイートを禁止した。

トランプ氏の郵便による投票に対する攻撃は、Facebook(フェイスブック)にとっても一線を超えるものだった。同社は最近のトランプ氏の選挙に関するコメントの動画が説明なくシェアされた場合や大統領の発言を支持している場合は削除すると言っているが、現時点ではまだ見つかっていない。

「このビデオは選挙詐欺を禁止する当社のポリシーに違反しているため、記録を訂正するためにシェアされるもの以外は削除する」とFacebookポリシー・コミュニケーション担当ディレクターのAndy Stone「アンディ・ストーン)氏は語った。

FacebookはTwitterが自社ルールに反するとみなしたのと同じ発言に、独自の事実確認警告を付加した。現在トランプ氏のFacebook投稿の末尾につけられたラベルには、米国人は「郵送システムが正しく機能している」ことを確認するために二度投票するべきであることを示唆する大統領の発言を否定する内容が書かれている。

この事実確認ラベルには「米国における郵便による投票は信頼に値するという長い歴史を持っており、今年も同様であると予測されている」と書かかれており、同社が他の選挙関連投稿に付加している一般選挙情報ラベル(未訳記事)よりも具体的だ。

一連のコメントは、米国が11月の選挙で採用を予定している郵便による投票に疑問を投げかけようとするトランプ氏による最新の行動だ。この数カ月、同氏は郵便投票の安全性を批判する根拠のないあるいはまったく誤った主張を繰り返している。郵便による投票システムは米国ですでに不在者投票に利用されている。11月を間近に控え、そうした発言は投票権利団体の懸念材料となっている。

「これは正しい方向への第一歩ではあるが、ドナルド・トランプ大統領に関してFacebookが自身の利用規約の強制を拒んでいる事実は残る」とVoteAmericaの創業者であるDebra Cleaver(デブラ・クリーバー)氏は語った(未訳記事)。

「昨日トランプ氏はノースカロライナ州の有権者に公然と不正投票を促した。これはソーシャルメディアや他のプラットフォームを使って虚偽情報を広めようとするトランプ氏の大がかりで危険なやり方の1つであり、米国の選挙に対する信頼を覆すことが最終目的と思われる」。

新型コロナウイルス危機は、これまでになく多くの米国人が郵便による投票を利用しようとしていることを意味しており、この投票方法の安全性と信頼性は専門家によって広く認められている。

トランプ氏の発言を受けノースカロライナ州選挙管理委員会は、2回投票することは同州の第1級重罪であるという声明を発表した。

「1回の選挙で2回投票することは違法である」とノースカロライナ州選挙管理委員会のKaren Brinson Bell[カレン・ブリンソン・ベル)委員長は語った。

「選挙で2回投票しようとする、あるいはそのような行動を示唆する行為はノースカロライナ州法に反する」。

画像クレジット:Chip Somodevilla

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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