フェイスブックがニュースフィードでの政治コンテンツのランクダウンをテスト中

長年、ユーザー定着のためにはコストをいとわずサービスを最適化してきたFacebook(フェイスブック)が、ニュースフィード内の政治的コンテンツの配信を減らす変更を「テスト」することを米国時間2月10日に発表した。テストは一時的なものでごく少数のユーザーが対象であり、米国、カナダ、ブラジルおよびインドネシアの地域に限定して行う、と同社は述べている。

実験の目的は、ニュースフィード中の政治コンテンツを異なる視点からランクづけするさまざまな方法を探ることで、将来どんなアプローチをとるかを決定することだとFacebookはいう。

また同社は、CDC(米疾病管理予防センター)とWHO(世界保健機構)および国と地域の保険機関・サービスの発信した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する情報は、試験期間中のニュースフィード内でのランク降格の対象外であることを明らかにした。公式政府機関のコンテンツも同じく影響を受けない。

テストにはアンケート部分もあり、Facebookは対象ユーザーに彼らの体験について質問する。

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本テストに関するFacebookの発表は、あまり大げさにならないことを意図している。大がかりな変更は、罪を認めるようなことになるからだ。Facebookはもっと大きな変化を起こす能力をもっている。パブリッシャーのコンテンツをランクダウンさせたいときはそれを実行し、多くのメディアビジネスを破壊してきた。最近では、質の悪いサイトスクレーパークリックベイトスパムなどに対してさらに厳しい措置をとっている。

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今回のFacebookのテストに関するニュースは、人々がソーシャルメディアの影響力と方向性に疑問を持ち始めたときにやってきた。益々多くのソーシャルメディアユーザーが、テックプラットフォームは人々過激にする役割を演じていると考えている。アルゴリズムによって不均衡な世界観を促進し、人々をソーシャルバブルに隔離し、危険な発言や誤情報をバイラルに広めているからだ。

今週Axiosがレポートした世論調査によると、過半数の米国人がソーシャルメディアは過激化を推進すると信じている。74%が誤情報は著しく深刻な問題だと述べている。76%がソーシャルメディアは議事堂襲撃に関して少なくとも部分的に責任があると信じている。うち10人中7人は、ネット上の極端な行動が見過ごされた結果だと考えている、と報告書は論じている。

一方で、米国民の3分の1が定期的にFacebookのニュースを見ているとPew Research Centerの調査が報告している。これは現在、人々は過激派パブリッシャーの極端な視点を多く読んでいることを意味している、と関連するPewの調査が報じている。

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世界のあちこちで、Facebookは政情不安を悪化させていると非難されている。インドネシアの死者を出した暴動やミャンマーの大虐殺、ブラジルの選挙時の誤情報拡散などだ。

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しかしこの日Facebookは、政治コンテンツはニュースフィードのわずか部分(たとえば米国人の見ているコンテンツの6%)であることを強調した。これは世界情勢に関わる責任の追求から逃れようとするものであり、ランクダウンの変更を、ユーザーのフィードバックがFacebookに調査を要求したことかのように位置づけている。

カテゴリー:ネットサービス
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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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