インドのTata Groupが食料品宅配BigBasketの過半数株式を取得に合意、アリババは撤退か

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、食料品宅配のスタートアップBigBasketの過半数株式を取得することで合意に達したと、この件に詳しい2つの情報筋がTechCrunchに語った。

塩からソフトウェアまで幅広く手がける同グループは、インドのスタートアップであるBigBasketを18億ドル(約1908億円)から20億ドル(約2120億円)の間で評価する取引で、株式の60%以上を購入する、と取引はまだ非公開であるため匿名を要求した情報筋は語った。BigBasketはTata Groupとの取引に先立ち、7億5000万ドル(約795億円)以上の資金調達を行っている。

BigBasketの30%近くの株式を所有している中国のインターネット大手Alibaba(アリババ)と他の一握りの投資家は、Tata Groupとの取引の一環として、同スタートアップからほぼ完全に撤退する、と情報筋は述べている。インド政府は昨年、中国の投資家がインド企業に投資することを困難にする規制を導入した

1つの情報筋が明かした取引条件によると、BigBasketは早ければ来年までに上場を目指すという。BigBasketの共同創業者2人とTata Groupからは、コメントを求めたが得られなかった。

インドのニュースネットワークET Nowは現地時間2月16日に、2つの企業が事前交渉を行っていると報じたが、その兆しは2四半期前から地元メディアが報じ始めていた。

この動きは、2019年に1130億ドル(約12兆円)の収益を報告し、ジャガーランドローバーや紅茶メーカーのTetley(テトリー)などいくつかの人気ブランドを運営する、ムンバイに本社を置くTata Groupが、より多くの消費者向け事業に進出しようとしており、世界第2位のインターネット市場で、いわゆるスーパーアプリの開発に取り組んでいる中でのことだ。

バンガロールに本社を置くBigBasketは、ソフトバンクが出資するGrofersReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のJioMartと競合している。同社はインドの25都市で事業を展開しており、プラットフォーム上での売上が急上昇したことで、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって数ヶ月後に黒字化した。近年、BigBasketはアイテムの自社ラベルを拡大しており、これが利益率の改善に役立っている。

BigBasketとGrofersのユーザーベースは昨年、80%も急増したとCitibank(シティバンク)のアナリストは最近推定している。インドの最も裕福な実業家Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJioMartが、すでに強力なライバルとして台頭し始めているとも。

Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、クライアントへの最近のレポートの中で、オンライン食料品配達市場は2023年までにインドで120億ドル(約1兆2720億円)の価値が出る可能性があると推定している。

「BigBasket/Grofersのような大規模な垂直セクターや、横並びのAmazon/Flipkartのような競争が激しくなり、組織化されていない市場を組織化されたものに変換しようとしています。最近まで、この分野のNo.1プレーヤーはBigBasketで、年商10億ドル(約1060億円)のGMVを達成し、毎日30万件以上の注文を販売していました。Reliance Industriesは、2020年5月に200都市でJioMartアプリを立ち上げ、この競争に名乗りを上げました」と彼らは書いている。

昨年、インド最大級の工業企業であるReliance Industriesがeコマースに進出したことで、Tata Groupはデジタルへの取り組みを加速させたのかもしれない。アンバニ氏は昨年、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)などの著名な投資家から、通信・小売事業を展開するJio PlatformsとReliance Retailのために260億ドル(約2兆7570億円)以上の資金を調達した

Tata Groupは、早くも2016年には複数の消費者向けデジタルサービスへの拡大に取り組んでいたが、役員会でのクーデターにより、これらの計画はすべて後回しにされたとThe Information誌は2020年12月に報じていた。

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カテゴリー:フードテック
タグ:インド フードデリバリー

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(文:Manish Singh、翻訳:Nakazato)

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TechCrunch Japan

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