サムスンがTileのライバルとなる紛失防止用トラッカー「Galaxy SmartTag」発表、米国では1つ約3100円

Samsung(サムスン)は、CES 2021で行った数々の発表に続き、米国時間1月14日に開催した「Unpacked」イベントで、「Galaxy SmartTag(ギャラクシー・スマートタグ)」と名付けられた新しいBluetooth位置情報デバイスを発表した。これはSamsungオーナーのための紛失物発見用ビーコン(無線標識)で、Tile(タイル)の競合製品となる。TileやApple(アップル)から近々登場が噂されている「AitTags(エアタグ)」と同様、Galaxy SmartTagは鍵やバッグ、ペットの首輪など、どこにあるのか見つけたい物に取りつけることができる。最初に発売されるSmartTagはBluetoothを使って近くにあるSamsungのデバイスと通信を行うが、2021年後半には超広帯域無線通信(UWB)を使ったSmartTag+と呼ばれるバージョンも発売予定であることを、同社は認めた。

SmartTag+は、AppleのiPhone 11シリーズ以降のモデルに搭載されているUWBを利用することが予想されるAirTagsと、より競合することになるだろう。Tileはこのニュースを見越して、すでにUWBを採用した新型のトラッカー(位置情報検知デバイス)を開発しており、2021年後半にはこちらも発売される見込みだ。

14日に発表されたGalaxy SmartTagはBluetoothを利用する製品で、仕様は1種類のみ。つまりサイズや性能が異なる仕様はラインナップされていない。ただし、本体カラーはブラックと「オートミール」と呼ばれる白に近い色の2色から選べる。

Samsungの担当者によれば、Galaxy SmartTagは、Android10以降を搭載する同社のGalaxyデバイスならどれと組み合わせても使用可能だという。

Galaxyデバイスの所有者は、Samsungの「SmartThings Find」アプリを使って、SmartTagを取りつけた行方不明のアイテムを見つけることができる。

Galaxy SmartTagは、Tileや他のBLE(Bluetooth Low Energy)トラッカーと同じように動作する。SmartTagがオフライン時、つまりGalaxy S21などのデバイスと接続されていないときは、近くのGalaxyデバイスで検出できるBLE信号を送信する。Galaxyデバイスが検出すると、SmartTagはSmartThings Findアプリに位置情報を送信するので、これが取りつけられたアイテムの場所をアプリで知ることができるという仕組みだ。Samsungによると、SmartThings Findのユーザーデータは暗号化されて安全に保護されているため、アプリを使って紛失したアイテムのSmartTagを検索しても、位置情報や個人情報は安全だという。

またこのアプリでは、「見つかったら通知」するだけでなく、「近くを検索」「検索」「音を鳴らす」など、アイテムを見つけるための様々なツールを提供する。Tileと同様に、SmartTagはどこに置いたかわからなくなったスマートフォンを探すために使用することも可能だ。この場合はSmartTagのボタンを2回押せば、スマートフォンから音が聞こえてくるので、その場所をたどればスマートフォンを見つけることができるだろう。

Galaxy SmartTagは、ボタンを1回押すと他のことを行うように、カスタマイズすることもできる。たとえば帰宅した際に持ち物に取りつけているSmartTagのボタンを押せば、簡単に照明やテレビをつけるといったことが可能だ。

発表に先立ち配布された資料によると、Galaxy SmartTagはTileのトラッカーよりやや厚みがあり、CR2032セル電池で作動し、Bluetooth接続することがわかった(実際にユーザーが交換可能なCR2032電池が使われていることを、我々は確認した)。

Samsungの担当者は、発表前に公式の詳細な技術仕様を我々に提供しなかった。後ほど、詳細が明らかにされたら記事をアップデートしたい。通信可能範囲などの詳細がわからないと(訳者注:公式サイトによれば、通信範囲は120m以内とされている)、市場で販売されている他社のトラッカーと適正な比較をすることは難しい(リークされた情報は必ずしも最終的な製品を示すものとは限らないので、それだけで判断することはできない。とはいえ、規制当局に申請された書類は、最初の参考材料にはなるだろう)。

Samsungは発売前にキャンペーンを介して、この新型トラッカーの普及を促進させようとしている。米国で1月14日から28日までの間に「Galaxy S21 Ultra」を予約すると、200ドル(約2万800円)分のSamsung Creditに加えて、Galaxy SmartTagを1つ無料でもらうことができる。これはサムスンが今まで紛失物発見ガジェットに対して行った投資を、少しでも回収するのに役立つだろう。同社は2018年にLTEを使った「SmartThings Tracker」を発売したものの、人気を博したとはいえなかった。

このキャンペーン以外では、Galaxy SmartTagは1個29.99ドル(約3100円)という価格で、1月29日から米国で販売が開始される。

価格は、Tileが販売しているエントリーレベルのBluetoothトラッカー「Tile Mate(タイル・メイト)」の24.99ドル(約2600円)と比べると、やや高い。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:SamsungCES 2021トラッカー

画像クレジット:Samsung

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(翻訳:TechCrunch Japan)

モバイルアプリが成長を続けた2020年、ダウンロード数は記録的な2180億件に、消費者支出は約1兆4900億円

新型コロナウイルスの影響もあり、2020年はモバイル市場が成長を続けた。App Annie(アップアニー)が毎年発表している業界リポート「State of Mobile(モバイル年鑑)」によると、モバイルアプリのダウンロード数は前年比7%増の2180億件となり、2020年に過去最高を記録。消費者支出も20%増加し中国、米国、日本、韓国、英国などの市場が牽引したことで、1430億ドル(約1兆4900億円)という新記録を達成した。

消費者は、Android(アンドロイド)端末だけでも、3兆5000億時間もアプリを使って時間を過ごしたことが、この報告書で明らかになった。

画像クレジット:App Annie

米国では、アプリの利用時間がテレビの視聴時間よりも増えているという変化も起こっている。現在、平均的な米国人は1日に3.7時間のTV放送を観ているが、モバイルデバイスを使って4時間も過ごしている。

アプリ利用時間の増加は米国のみに限った傾向ではなく、インドネシア、ブラジル、インドなどモバイル市場が発展途上の国々や中国、日本、韓国、英国、ドイツ、フランスなどの国々でも見られる。

また、この傾向は特定の人口層に限られるわけでもなく、年齢層を超えて見られるものだ。たとえば米国ではZ世代、ミレニアル世代、X世代 / ベビーブーマー世代は、最も使用しているアプリに費やす時間がそれぞれ前年比で16%、18%、30%増加している。しかし、世代によってそのお気に入りのアプリというのは大きく異なる。

米国のZ世代に人気が高いAndroid向けアプリは、Snapchat(スナップチャット)、Twitch(ツイッチ)、TikTok(ティックトック)、Roblox(ロブロックス)、Spotify(スポティファイ)など。

ミレニアル世代はDiscord(ディスコード)、LinkedIn(リンクトイン)、PayPal(ペイパル)、Pandora(パンドラ)、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)を好む。

X世代 / ベビーブーマー世代はRing(リング)、Nextdoor(ネクストドア)、The Weather Channel(ウェザー・チャンネル)、Kindle(キンドル)、ColorNote(カラーノート)などをよく使っているようだ。

画像クレジット:App Annie

この報告書によると、必ずしも新型コロナウイルスが2020年に人々のアプリの使い方を変えたわけではなく、モバイルの普及はここ2〜3年で加速したという。

その結果、投資家はモバイルビジネスへの投資にも意欲的になり、2020年はモバイル企業に730億ドル(約7兆6千億円)の資金を投入し、前年比27%増となった。Crunchbaseのデータによると、2020年に世界で調達された資金総額の26%が、モバイルソリューションを提供している企業に投資されたという。

画像クレジット:Crunchbase

2016年から2020年にかけて、モバイルテクノロジー企業への世界的な資金提供は、過去5年間と比較して2倍以上に増加している。金融サービス、交通機関、商取引、ショッピングがそれを牽引した。

また、モバイルゲームの普及率も2020年には成長を続けた。ダウンロード数ではカジュアルゲームが圧倒的に多い(78%)ものの、ゲームの消費者支出の66%、消費時間の55%をコアゲームが占めている。

新型コロナウイルスによるロックダウンや感染防止のため、多くの人が自宅に籠もる中、ソーシャルな交流を提供するモバイルゲームがブームになった。たとえば「Among Us(アマング・アス)」は、2020年に米国を含むいくつかの市場で急激に人気を博した。

画像クレジット:App Annie

他のアプリのカテゴリーでも、過去1年間に大幅な利用増加が見られた。

2020年に人々が金融アプリに費やした時間は、中国以外の世界で45%増加し、米国のRobinhood(ロビンフッド)のようなアプリが世界中で投資や取引を民主化したため、モバイルでの株式市場へ参加は55%増加した。

TikTok(ティックトック)にとっても大きな年だった。

画像クレジット:App Annie

このアプリは、インドでの利用が禁止されたにもかかわらず、前年比325%の驚異的な成長を記録し、消費時間ではトップ5アプリにランクインした。また、ユーザー1人あたりの月間平均消費時間も、分析された他のほとんどのアプリよりも急速に伸び、米国では65%、英国では80%と、Facebook(フェイスブック)を上回っている。TikTokは2021年に12億人のアクティブユーザーを突破する軌道に乗っていると、App Annieは予測している。

それ以外の動画サービスも、新規参入した市場や自宅で過ごす時間の多さが重なったことで、2020年にブームとなった。人々がモバイルデバイスで動画ストリーミングに費やす時間は40%増加した。ストリーミングアプリの消費時間は、新型コロナウイルスの影響で人々が家の中に閉じこもることを余儀なくされた第2四半期に西側(南北アメリカおよびヨーロッパ)ではピークを記録した(全世界では第3四半期がピーク)。

画像クレジット:App Annie

YouTubeはこの流れの恩恵を受け、中国を除く分析したすべての市場で、消費時間が動画ストリーミングアプリの第1位になった。YouTubeの平均月間消費時間は最大で38時間以上と、2位のアプリの6倍以上になる国もあった。

もちろん、2020年のもう1つの大きな動向は、新型コロナウイルス感染拡大の中でのeコマースの利用増加だ。これにより、中国以外の地域におけるAndroidユーザーを見てみると、ショッピングアプリに費やす時間は30%以上増加し、2020年はモバイルショッピングにとって過去最大の年となった。

画像クレジット:App Annie

しかし、2020年のモバイルコマースは、従来とは違う様相も見られた。

ソーシャルショッピングが大きなトレンドとなり、Pinterest(ピンタレスト)とInstagram(インスタグラム)の全世界におけるダウンロード数はそれぞれ前年比50%、20%の伸びを示した。

画像クレジット:App Annie

ライブショッピングも中国を筆頭に成長した。中国のTaoBao Live(タオバオライブ)、韓国のGrip(グリップ)、米国のNTWRKは、それぞれ100%、245%、85%の成長を遂げた。NTWRKは前年の2倍の規模に成長し、現在ではTikTokなど他の企業もこの分野に参入しており、ある程度の市場が形成されつつある。

画像クレジット:App Annie

新型コロナウイルスの影響は、フードやドリンクの宅配アプリの利用も増加させた。米国、アルゼンチン、英国、インドネシア、ロシアでは、第4四半期にセッション数がそれぞれ前年比60%、65%、70%、80%、105%の成長を記録した。

ビジネスアプリでは、たとえばZoom(ズーム)やGoogle Meet(グーグル・ミート)などが第4四半期に前年比275%の成長を記録したが、これはリモートワークや時にはリモート学習が続いたためである。

App Annieの分析には、ダウンロード数、支出、月間アクティブユーザー数(MAU)で上位となったアプリのリストも含まれている。

画像クレジット:App Annie

年末のグラフではTikTokが上位を占めていたが、MAU数では引き続きFacebookが上回った。MAU数ではFacebookが所有するアプリがチャートの上位を独占しており、Facebookが1位、以下WhatsApp(ワッツアップ)、Messenger(メッセンジャー)、Instagramが続く。

画像クレジット:App Annie

画像クレジット:App Annie

しかし、TikTokはFacebookよりもダウンロード数が多く、消費支出ではTinder(ティンダー)に次ぐ2位となった。

リポートの全文は、今年はダウンロードではなく、オンラインでのインタラクティブ体験でのみ提供されている。このリポートでは特に明記されている場合を除き、主としてiOS App Store(アップストア)とGoogle Play(グーグル・プレイ)の両方から収集したデータを使用している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:アプリiOSAndroid

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米国民の3分の1が定期的にFacebookでニュースを見ている

ピュー研究所の最新の調査によると、米国民の約3分の1が定期的にFacebook(フェイスブック)からニュースを入手している。同調査は米国における現在のメディア情勢を理解する目的で行われた。レポートの中で同研究所は、米国民の成人の約半分、53%がニュースを入手するのに「頻繁に」あるいは「時々」ソーシャルメディアを使っていると答えた、という。使用メディアは多岐におよんだが、Facebookが最上位にきた。

米国民成人の36%がニュースを入手するのに「定期的」にFacebookにアクセスしている。この数字は他のどのソーシャルメディアプラットフォームよりもかなり大きく、唯一YouTube(ユーチューブ)が23%とそこそこの割合だった。

それ以外のメディアの数字は比較的小さい。Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領が(つい最近まで)発信手段として好んでいたTwitter(ツイッター)ですら15%だ。

おおよそ10人に1人かそれ以下の割合の人が他のソーシャルメディアプラットフォームから定期的にニュースを得ていると回答した。その内訳はInstagram(インスタグラム)11%、Reddit6%、Snapchat4%、LinkedIn4%、TikTok3%、WhatsApp3%、Tumblr1%、Twitch1%だ。

ニュースソースとしてこうしたサイトを使っている人の割合が低いのは、これらサイトを使っている米国人がかなり少ないという事実と大いに関係している、とピュー研究所は指摘する。

しかし各プラットフォームの視聴者数の割合が小さいとしても、サイトのユーザーはニュースにかなり関心を持っているかもしれない。たとえばTwitterは米国民の成人の25%しか使っていないが、Twitterユーザーの半分超(59%)が同プラットフォームでニュースを得ているとしている。これに比べて、Facebookでニュースを得ているユーザーの割合は54%だ。一方、RedditのユーザーベースはFacebookよりかなり小さいが、Redditユーザーの42%が同サイトで定期的にニュースを得ている。

いい換えると、「トップニュースプラットフォーム」のリストは、米国人成人のうち何人がサイトでニュースを得ているかではなく、各ソーシャルメディアのユーザーのうち何人がそのプラットフォームからニュースを得ているのかを考えると、やや異なるものになる。

そうした考え方でとらえると、順番はTwitter、Facebook、Redditが上位にきて、YouTube、Instagram、TikTok、Snapchat、LinkedIn、WhatsApp、Twitchと続く。

加えてピュー研究所はソーシャルメディアでニュースを得ている人の人種構成も調査し、FacebookやRedditのようなサイトで定期的にニュースをチェックしている人の大半は白人だった。一方、黒人とヒスパニックはInstagramの定期的なユーザーの4分の1ずつを占めた(それぞれ22%と27%)。またニュース取得のためにFacebookを使っているユーザーは女性に偏っている(63% vs 35%)。その一方で、Redditは男性に偏っていた(67% vs 29%)。

このレポートで興味深いのは、米国民がニュースを得るのに広くソーシャルメディアを使っているにもかかわらず、大半(59%)がソーシャルメディアのニュースは「大部分は不正確だ」と考えていることだ。この数字はここ数年かなり一貫性がある。2018年の57%から上昇し、2019年は2020年と同じだった。

ソーシャルメディアユーザーの半分近くが、ソーシャルメディアでニュースを読むことは最近の出来事を理解するのにさほど役立っていないと答えた。

この結果は、ソーシャルメディアサイトそしてユーザーの関心や考え方に合わせてニュースをパーソナライズするアルゴリズムがオンライン上で人々を急進化させているというレポート研究と矛盾するようだ。先週、その結果が丸見えになった。多くの場合、誤情報や陰謀論に何年も触れていた人々の暴徒が2020年の大統領選挙の結果をひっくり返そうとして失敗した試みの中で米議会議事堂に乱入した。

しかしながら、ピュー研究所の調査は自己申告データに基づいていることを忘れてはならない。なので、調査に参加した人がソーシャルメディアの投稿はニュースを「理解」するのに役立たないと主張したとしても、そうした人たちはそれら投稿の力と影響力を過小評価しているかもしれない。

ピュー研究所はこうした調査を定期的に行っている。たとえば同研究所は2020年、ソーシャルメディアニュースの消費者が米大統領選挙や新型コロナウイルスといった主要ニューストピックに関する事実についてあまり関心を寄せず、知識を持ち合わせていない傾向にあるという調査結果を報告した。同じ調査では、ソーシャルメディアニュースの消費者がより頻繁に陰謀論にさらされやすいことも明らかになった。

プラットフォームそのものは、基本的なファクトチェックを追加する以外、誤情報の拡散を防ぐのにさほど役立っていない。FacebookがQAnonグループを禁止するまで何年もかかったが、一掃後もまだ多くがプラットフォームに残っていた。ハッシュタグや他の暴力扇動についての似たような取り締まりの後も、「Stop the Steal(選挙を盗むのはやめろ)」の陰謀論グループはプラットフォームに残っていた。

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タグ:FacebookSNSソーシャルメディアアメリカ

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

Facebookが「個人データ管理ツール」を改訂、8つに細分化されデータ利用の説明も追加

米国時間1月12日にFacebook(フェイスブック)は「Access Your Information(個人データ管理ツール)」を改訂した。使いやすく見つけやすくするとともに、データがなぜ、どのように使われているかを詳しく説明することが目的だ。新しいバージョンのツールはデザインも変更になり、確認することのできる情報カテゴリーが8つになった。以前は2つだけだった。

このツールは2018年に初めて公開された。Cambridge Analytica(ケンブリッジ・アナリティカ)スキャンダルが勃発し、Facebookユーザー最大8700万人の個人データが流出した後のことだ。事件後Facebookは同社アプリの動作にいくつもの変更を加え、ユーザーがもっと簡単にFacebookのプライバシー設定を発見、活用できるための新機能を追加した。

その1つが個人データ管理ツールで、ユーザーが自分のFacebook投稿、リアクション、コメントなどを検索して安全に管理する方法を提供するものだ。狙いはユーザーがこのツールを使って自分の情報を引き出し、「Facebookに載せておきたくないものは何でもタイムラインやプロフィールから削除」できるようにすることだ。

これまでこのツールでは、データのカテゴリーが「あなたの情報」と「あなたに関する情報」という大まかな2つに分かれているだけだった。改訂版では8つのカテゴリーに分けられた。

  • Your Activity Across Facebook(Facebookでのアクティビティ)
  • Friends and Followers(友達とフォロワー)
  • Preferences(設定)
  • Personal Information(個人データ)
  • Logged Information(記録済み情報)
  • Ads Information(広告情報)
  • Apps and Websites Off Of Facebook(Facebook外のアプリとウェブサイト)
  • Security and Login Information(セキュリティとログイン情報)

8つのカテゴリーはそれぞれサブカテゴリーに分けられる。こうすることによって、見たいデータ、削除したいかもしれないデータにたどり着くのが簡単になる。

画像クレジット:Facebook

同ツールにはこの改訂で検索機能が加わった。データのカテゴリーを検索で見つけられる。たとえば「location」とタイプすると位置情報の履歴に関する情報を見ることができる。

さらにこのツールは、Facebookがプラットフォーム上でユーザー体験をカスタマイズするのにこのデータをどう使うかを、以前よりわかりやすく説明している。たとえば主要な所在地はフードデリバリー店の広告をターゲットするために使う指標の1つであることがわかる(Facebookは広告の「これが表示される理由」ツールですでに説明しているが、今回このツールにも入った)。

Facebookは、今回の変更はユーザーがこのツールをどう使っているか、特にどのカテゴリーのデータをクリックしていたかに基づいて開発したと語った。

それにしてもツール改訂のタイミングは注目に値する。Apple(アップル)では、どのアプリが個人データを集めそれを使って追跡しているかをApp Storeユーザーに目立つように知らせる大がかりな取り組みが進んでいる。現在Appleは、アプリにApp Storeプライバシーラベルを付加することを義務づけており、近々追跡するためにはユーザーの許可を必須にする。

Facebookはこの要請に対し、同社のパーソナライズド広告の支持を得ようとウェブサイトを立ち上げ、新聞に全面広告を掲載して、Appleの方針変更のために中小企業が受ける(と同社が称する)損害を指摘した。

改定されたツールは、なぜそのデータや広告が有用であるかを説明することで、ユーザーにFacebookの言い分を伝えるためにも役立つ(結局、実際に地元で自分がサービスを受けられるフードデリバリーの広告を見る方がいいでしょう?Facebookはあなたにそう考えてほしいと思っている)。

そして、有罪の証拠になるFacebook履歴を急いで削除しようとする人たち、という小さいとはいえない問題がある。たとえば先週の暴動で議事堂の中にいるところが映った写真やビデオのように。FBIが連邦犯罪として摘発し、最高裁判所ではさらに数十件が有罪判決を受けている現在、あのイベントへの参加を大々的に曝すことを考え直している人もいるかもしれない。新しいツールはそれにも役立つ。

しかしFacebookは、この機能拡張は単なる利便性の改訂だと質問に答えた。

新しいツールはiOSとAndroidで本日公開、デスクトップへの展開は近日中の予定だ。

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Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

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タグ:Facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookは「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」関連投稿を全面排除の方向へ

先週の米連邦議会議事堂での破壊行為の余波を受け、Facebook(フェイスブック)は米国時間1月11日、「Stop the Steal(選挙泥棒を止めろ)」という文言に関連するコンテンツを同プラットフォームから排除するという、一歩踏み込んだ措置に出た。これは民主的な米国の選挙が操作されているという誤った主張に基づく、Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏の権力を維持するためなら手段を選ばない右派のキャンペーンで使われるスローガンだ。今や、暴動もその手段に加わった。Facebookは2020年11月、すでに「Stop the Steal」を最初に訴え出した一部の団体を排除し、暴力行為を奨励するなど規約に違反するページ、グループ、イベントの削除を約束していた。

TechCrunchでもお伝えしたが、Facebookは2020年11月の選挙にまつわる陰謀論のハッシュタグ(#sharpiegate、#stopthestealなど)の阻止に踏み切っている。これらを検索しても、結果にグループや投稿は示されない。

だがこうした浄化作戦もFacebookが公言し、我々が期待していたほど大規模ではなく、長続きもしなかった。今これを書いている時点でも、たとえば「Stop the Steal」を公然と訴えるFacebookグループが複数活動している。

Facebookは、今回の強い措置は米国での暴力行為を煽る声の高まりに対処するための判断だと述べている。

「私たちは、選挙結果に関する実のある対話を認めてきましたが、それは今後も継続します」と、Facebookの品位担当副社長Guy Rosen(ガイ・ローゼン)氏とグローバルポリシー管理担当副社長Monika Bickert(モニカ・ビカート)氏の共著によるブログ記事で説明している。「しかし、暴力行為の誘発につながりかねない米国大統領選挙の結果に反対するイベントページを立ち上げようとする今なお止まない試みや、ワシントンD.C.での1月6日の暴力行為でも叫ばれていた文言の使用に関しては、大統領就任式に至るまでの間、この追加措置で対応します」。

「この新しい措置の施行には多少時間がかかることも考えられますが、すでに大量の投稿が削除されています」と彼らは訴えた。

Facebookは、米国の首都で起きた暴動の首謀者たち御用達のプラットフォームと見られることを、明らかに嫌っている。実際、Facebookの最高執行責任者Sheryl Sandberg(シェリル・サンドバーグ)氏は、米国時間1月11日に、Reuters(ロイター)のインタビューに応えて、あの暴動は、Facebook以外のインターネットサービスによって「大半が組織された」と主張している。Facebookは、QAnon(Qアノン)、Proud Boys(プラウドボーイズ)、Stop the Steal関連組織のような怪しいグループによるコンテンツ、および暴力を呼びかけるあらゆるコンテンツを削除してきたと彼女は話している。

規約違反のコンテンツを積極的に削除している大手ソーシャルプラットフォームは、Facebookだけではない。それは、ソーシャルメディアの比較的寛容な方針が、暴力的な抗議行動から、さらにはクーデターや人の殺害の企てを招くという思わぬ結果をもたらしたことへの対処だ。

米連邦議会が大統領の弾劾を検討し始める中、ソーシャルメディア企業には、プラットフォームからトランプ氏排除するところも出てきた。その一方で、それらに対抗するソーシャルネットワークParler(パーラー)に協力するアプリストアウェブサービスのプロバイダーは、Parlerから発信されるヘイトスピーチや暴力を増長している。

Facebookは、少なくとも1月22日までは、リアルタイムで危機を監視し対応できるよう、Integrity Operations Center(品位ある運用センター)に24時間体制でスタッフを常駐させると話している。FBIは、1月20日のJoe Biden(ジョー・バイデン)次期大統領の就任式まで、50の州都とワシントンD.C.で武装抗議行動を企てないよう警告を発したと、今朝、APが報じたが、Facebookが定めた期間は、それに準じたものと思われる。そのためにこの数日間は、Facebookの品位ある運用センターの対応が非常に重要視される。

同センターはジョージア州の決戦投票と、議会の選挙人団による投票の集計よりも前からすでに活動していたが、その活動範囲は、議事堂での抗議活動を受けて拡張されたとFacebookは話している。

さらに同社は今後も法執行機関と協力して、コンテンツの削除、アカウントの凍結、ユーザー個人情報の法的要請への対応を継続するとのことだ。

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タグ:Facebook米国大統領選挙アメリカソーシャルメディアSNSドナルド・トランプ

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:金井哲夫)

米議事堂暴動後、代替ソーシャルアプリと暗号化メッセンジャーがアプリストアの上位に躍進

MeWe(ミーウィ)、CloutHub(クラウトハブ)を始めとするテック巨人に取って代わろうとするソーシャルメディアがアプリストアの上位を占めている。最近トランプ大統領がFacebook(フェイスブック)やTwitter(ツイッター)などの主要ソーシャルプラットフォームから追放され、直近には保守系ソーシャルアプリのParler(パーラー)がApple(アップル)App StoreGoogle Playの両方から削除された結果だ。Parlerが削除されて以来 “free speech”(言論の自由)を謳うソーシャルネットワークが急速にダウンロード数を伸ばしている。

2012年5月にスタートした次世代ソーシャルネットワークのMeWeは、その中でも最大の新規インストール数増加を享受している。

このアプリは米国大統領選挙とそれを巡るFacebookやTwitterといった巨大プラットフォームによる誤情報管理が始まって以来、安定した成長を続けている。主要ソーシャルネットワークは自社のポリシーを強制し、 新たなルールを作ってまでトランプ氏とその支持者がシェアするコンテンツを制御しようとした。そこには、選挙に不正があったという、数十件の訴訟にも関わらず立証されていない彼らの根拠なき主張も含まれている。

現在までにMeWeは世界で1600万回インストールされていると、アプリ調査会社のApptopia(アップトピア)は報告している。しかし、先週水曜日(米国時間1月6日)以降だけみてもアプリは世界で20万回近くダウンロードされている。新規ダウンロードの大部分は米国ユーザーによるもので、14万3000回近くを数える。

そのユーザーの大半は、Parlerがアプリストアを追われた結果MeWeにやってきた人々だ。Appleは1月9日土曜日にPartlerを排除し、その結果MeWeのランクは急上昇した。土曜日と日曜日だけで、MeWeの米国における新規インストール数は11万200回に達した。

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同社が本誌に伝えたところによると、直近の72時間で100万人のメンバーが新規登録し、その後も1時間あたり2万人以上の新規メンバーが増えている。

アプリストアのトップチャートは、ダウンロード総数だけでなく新規インストールの速度も反映しているので、MeWeは最近のトレンドを受けて非常に早くトップ10に躍り出た。

1月10日時点で、MeWeは米国App Storeの無料アプリ部門で7位にランクされていた。今日11日にはすでにそれを上回っている。

これは、昨年10月にはApp Storeのトップチャートに名前すらなかった非主流のソーシャルアプリとして異例の伸びだ(ランク外というのは1500位以下で、事実上順位の追跡が不可能という意味だ)。ただしMeWeは、その期間にソーシャルネットワーク部門でチャート入りしたことはあった。

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

Parler禁止を含め最近の出来事の恩恵を受けているもうひとつのアプリが、比較的新参のCloutHubだ。

2019年1月にスタートしたこのアプリは、「社会・市民・政治ネットワーク」のための言論の自由を切り口としたソーシャルネットワークと自称している。同サービスのウェブ・サイトには、「誰もが自分の考えを主張できる場」を提供したいと書かれている。

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現在までのCloutHubの有効インストール数は25万5000回にすぎないが、先週、正確には6日水曜日以降だけで3万1000回以上増えている(CloutHubは新規ユーザーの急増に苦闘しているようで、新規登録やログインがしばしばタイムアウトになった)。アプリは米国App Storeで現在11位にランクされている。

画像クレジット:App Storeのスクリーンショット

トップチャートに入った次の2つのアプリは名前間違いによる。

Mashable(マッシャブル)の最新記事は、”Parlor”という名前のアプリが、,禁止された “Parler” と間違えられていると報じている。記事に引用されているSensor Towerのデータによると、”Parlor” は12月だけで4万回ダウンロードされている。

Apptopiaによると、このソーシャルチャットアプリは2011年5月に開業し、全世界のダウンロード数は860万回だ。しかし6日水曜日から日曜日までだけで、11万5846人の新規ユーザーを獲得した。その多くは”Parler”を探していたと思われる。そのうちの9万9220人以上が土曜日と日曜日に登録しており、Parlerの削除が始まった時期と一致する。AppleがParlerに対する措置を講じたのは土曜日の遅くだったが、スペリング違いで “Parlor” に遭遇したユーザーはたくさんいただろう。

10日日曜日時点で、”Parlor” は米国iOSアプリ全体トップチャートのナンバー4になっている。

一方、”Gab News”(ギャブニューズ)というアプリは、ワシントンDC、ジョージタウン地区専門のローカルニュースアプリであるにも関わらず、流行している。これは、以前のParlerユーザーが代替として推奨していた”Gab”というずっと前に禁止されたアプリと間違えたためだ。Appleは2016年にポルノコンテンツを理由にGabの配布を拒否し、後にヘイトスピーチを含むアプリの提供を禁止するポリシーのために再度拒否した。Gabは2017年にGoogle Playで公開することができたが、すぐに同じくヘイトスピーチを理由に削除された

しかし、”Gab News” は本稿執筆時点でApp Storeトップ無料アプリチャートの44位に入っている(ダウンロード数は入手できなかった)。

次はRumble(ランブル)という保守派のためのYouTube相当品だ。このアプリは2020年1月に公開して以来全世界で240万回インストールされたとApptopiaは推計している。6日水曜日以来、9万1916回の新規ダウンロードがあり、そのうち7万3700回以上が米国内だった。これも米国App Storeで78位となり、2020年12月19日の1484位から急上昇した。

ただし、一連の動きのきっかけになったのはParlerの禁止だけではないことを言っておかなければならないだろう。

画像クレジット:Google Playのスクリーンショット

大型テック企業に対する反発は常に存在しており、力が大きくなりすぎたと、党派を問わず多くの人たちが感じている。

政府は昨年来、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)などの企業について、ビジネスモデルや業務慣行を反トラストの視点から全世界の市場で調査している。FacebookとGoogleは、プライバシー方針についてユーザーからも監視の目を向けられている。特にAppleが、全アプリにユーザーデータの扱い方を開示するプライバシー・ラベルを付加することを各社に義務付けて以来、いっそう圧力が高まった。

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その結果、一部の人たちは自分が保守派であるからだけでなく、プライバシーを重視しているという理由で代替ネットワーキングアプリに目を向け始めた。その結果、Signal(シグナル)やTelegram(テレグラム)といった暗号化メッセージングアプリや、Googleに代わる検索エンジンであるDuckDuckGo(ダックダックゴー)が最近人気を呼んでいる。

これらのアプリもこの一週間に勢いを増した。Signalは現在米国App Storeの第1位であり、Telegramが2位、DuckDuckGoは8位だ。2020年10月中頃、それぞれの順位は618位、79位、715位だった。Apptopiaによる。DuckDuckGoは2019年から2020年にかけて前年比62%成長し、米国、英国、カナダ、オーストラリアで第2位の検索エンジンになったことも本誌に伝えた。

連邦議会議事堂の暴動を受け、FBIが反乱者の逮捕を始めたことで、プライベートメッセージング・プラットフォームを探しているユーザーがいることも注目に値する。Signalは7日木曜日以来32万5000人の新規インストールがあり、Telegramは33万600人以上だった。

代替ソーシャルネットワークや代替メッセージングアプリへの急速な転換は、今後アプリストアがポリシーを徹底させるのがいかに困難であるかの予兆だ。プラットフォームはヘイトスピーチを配信したり暴力の助長を許しているアプリに対して断固たる措置をとっているが、その動きは人々が次の代替アプリをダウンロードするよりも遅くなりがちだ。

同時に、人気の出たアプリはコンテンツの管理に苦労するかもしれない。たとえばすでにMeWeでは、行き過ぎたヘイトスピーチや暗殺要求が見られている。同社が公式声明でその種のコンテンツを調査、削除すると言っているにも関わらずだ。

これらの言論の自由を謳う代替アプリの将来はどうなるのか。Amazon(AWS)がホスティングを拒否し、つい最近トランプ陣営との繋がりを断ったStripe(ストライプ)のような決済サービスも将来オンライン支払いの処理を拒否する可能性があるなか、先行きは不透明だ。そうなったときは、民間資金を募って独自のインフラストラクチャーを構築したり、ユーザーに届けるための代替配信システムとしてウェブやサイドローディングを探し求めて生き残りを図るのかもしれない。

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TikTokが暴動を扇動したトランプ大統領の演説動画を削除、#stormthecapitalなどのハッシュタグをブロック

理由は明らかだが、Donald Trump(ドナルド・トランプ)大統領はTikTok(ティクトック)にアカウントを持っていない。そして米国1月6日に米議会議事堂に乱入した暴徒たちを扇動した大統領の演説はTikTokのプラットフォームで扱われることはない。TikTokは議事堂での暴動を同社のコンテンツ規約に照らした結果、トランプ大統領のサポーターへの演説動画を削除することをTechCrunchに明らかにした。同社はまた、アプリでのコンテンツのビジビリティを抑制するために、#stormthecapitolや#patriotpartyといった暴動者たちによって使われた特定のハッシュタグをリダイレクトする。

詐欺的な選挙だったという主張を繰り返したトランプ大統領の演説は、誤情報に関する規約に反したとして削除されている、とTikTokは話す。この規約は誤情報を不正確または誤りのコンテンツと定義している。そしてTikTokは自分自身に関係する話題について丁寧なやりとりをするよう人々に促す一方で、個人やコミュニティ、社会全般に害を及ぼす誤情報は認めないと説明している。

米国で民主的な手続きを阻むことを意図した暴動の暴徒には、もろにこの規約が適用されるようだ。

ただしTikTokはトランプ大統領の動画への「対抗演説」は認める。これは誤情報との戦いにしばしば使われる演説の形式であり、クリエイターは事実情報を示すか、他の動画にある主張を議論する。2020年11月にTikTokはトランプ支持者が展開する選挙は「仕組まれていた」という主張への対応として、こうした主張を促進するのに最も使われていたハッシュタグを使用不可とする一方で対抗演説を認めた。

トランプ大統領の演説の場合、たとえばTikTokはユーザーがスピーチにコメントするのにグリーンスクリーンエフェクトを使うのを認める。

加えて、TikTokは議事堂で発生した暴力の動画の一部がそのまま残ることを認めている。たとえば動画が暴力を非難しているものだったり、報道機関からのものだったりする場合は許される。TikTokはまた、生々しい暴力を描写する「ニュース価値がある」コンテンツに、最近立ち上げたオプトイン視聴のスクリーンを適用している。

12月に発表されたこうしたオプトインのスクリーンは、視聴者の中には生々しい、あるいは悲惨と思う人もいるかもしれない動画の上部に表示される。スクリーンが適用された動画はすでにTikTokのメーンの「For You」フィードで利用できるようになっていて、禁止はされない。視聴者がこのスクリーンに出くわすと、ボタンをタップして動画をスキップしたり、「視聴する」を選んだりすることができる。

ちなみに、我々は1月6日に銃撃されて死んだ女性を映した動画がTikTokに登場してすぐに消えたのを目撃した。出くわした動画は個人ユーザーからのもので、報道機関のものではなかった。しかもそうした動画は暴動を非難してはいなかった。我々が目にした動画が消えたのはTikTokが検閲した結果だったのか、あるいはユーザーが削除することを選んだのかは不明だ。

生々しいコンテンツとは別に、TikTokは暴動を扇動、讃美、促進しようとする動画、そしてコミュニティ・ガイドラインに反する動画も削除すると話す。この場合、そうした動画は自動、あるいはユーザーからの指摘で発見され次第TikTokが削除する。

そして、2020年11月にそうしたように、TikTokはコンテンツのビジビリティを減らすためにハッシュタグを積極的にブロックしている。多数ある中でも現在は#stormthecapitolや#patriotpartyのようなタグをブロックしており、そうしたクエリをコミュニティガイドラインへとリダイレクトする。ハッシュタグの数十のバリエーションをリダイレクトしており、セーフガードを保護するためにタグのリストは共有しないとしている。

TikTokは以前、似たような取り組みとしてstopthestealや#QAnonといったタグをブロックした。

安全とモデレーションに対するTwitter(ツイッター)の姿勢として、同社はトランプ大統領のいくつかの鍵を握るツイートを削除したのち大統領のTwitter使用再開を認めたことを指摘しておくべきだろう。そして同社はまだ現在も使用できる#stopthestealのような偽の主張と関係するハッシュタグをブロックしていない。一方、Facebook(フェイスブック)は少なくとも2週間、トランプ大統領のFacebookとInstagram(インスタグラム)のアカウントを停止する。TikTok同様、Facebookは以前、コミュニティ・スタンダードについてのメッセージを付けてハッシュタグ#stopthestealと#sharpiegateをブロックした。

TikTokのコンテンツモデレーションは、他のソーシャルネットワークに比べるとかなり厳重で、TikTokは習慣的にユーザーの投稿を隠したり、ダウンランクしたり、削除したりする。しかし同社はまた、ニュースの価値があるコンテンツについてあまりにもアグレッシブだと思っている人々に「検閲」していると批判されてきた。

このため、ユーザーは自分たちの動画が削除されないよう、クリエイティブな方法を模索することになった。TikTokの規約を回避するために、たとえば誤ったつづりやコード化された言語を使って編集したりしている。また、単純にあきらめて視聴者をコンテンツのバックアップがとられ規約も厳しくない自身のInstagramに誘導しているクリエイターもいる。

議事堂での事件についてのコメントを求められたTikTokの広報担当は「悪意に満ちた行動や暴力はTikTokではまったく受け入れられません」とTechCrunchに語った。そして「暴力を扇動、讃美、促進するようなコンテンツあるいはアカウントは当社のコミュニティガイドラインに反していて、排除されます」と付け加えた。

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航空運賃予測アプリのユニコーン企業Hopper、パンデミックの影響でカスタマーサービスが機能停止、顧客から厳しい非難

モバイル旅行アプリHopperは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックで顧客による旅行のキャンセルや航空会社によるフライトの欠航が相次ぎ、大きな打撃を受けた。ところが、航空会社のフライトクレジットの取得と返金に関する手続きが複雑なため、航空運賃の予測とチケット予約のスタートアップであるHopperの顧客サービスが今、危機的状態に陥っている。2018年に企業価値7億5000万ドル(約776億円)と評価されたHopperは、2020年の新型コロナウイルス感染症によるロックダウン中に非公開ラウンドを完了させ、ユニコーン企業となった。現在、多くの顧客がApp Storeのレビューで、Hopperを詐欺呼ばわりしたり、法的手段に訴えると脅したり、他の人たちに絶対に使うなと警告して、同社を激しく非難している。

多くのユーザーが不満を感じているのは、航空会社によってフライトがキャンセルになったのに返金されないといったことだけではない。Hopperにサポートを求めても対応してくれる担当者が誰もいないというのだ。連絡先の電話番号さえわからない、というレビューもあった。

App Storeのレビューに投稿されたそのような苦情はかなり手厳しいものばかりで、Hopperブランドの評判はがた落ちだ。

具体的にどのような苦情が寄せられているのか、下記にいくつか例を挙げてみる。

  • 「連絡先の電話番号もわからないし、メールの返事が返ってくるのに1週間以上かかる」
  • 「カスタマーサービスに連絡する方法がない。誰も質問に答えてくれない。ヘルプタブをクリックしても無限ループに陥るだけ」
  • 「注意しろ。この会社は人の金を盗む。返金されないし、問い合わせ窓口もない」
  • 「カスタマーサービスの相変わらずのお粗末さにはあきれる。1週間前にサポートをリクエストしたが、回答がない」
  • 「フライトが欠航になっても返金されなくてもいいならHopperを使えばいいだろう。カスタマーサポートのかけらもない」
  • 「新型コロナウイルスの影響でアプリのトラフィックが急増しているのはわかるけど、注意を引くためにわざわざレビューに投稿しなきゃいけないとか、アプリ経由で連絡が取れないのは本当にイライラする」
  • 「担当者に連絡する方法がない。連絡先ページは単なるQ&Aページ」
  • 「返金は一度もないし、『お問い合わせ』ページから問い合わせても折り返し連絡するという定型メールが届くだけ。1週間待って再度メッセージを送ったけど、何も返ってこない。入金して予約した便が欠航になっても、何も連絡がない」
  • 「カスタマーサポートが存在しない。サポートが必要なときは、ここの書き込みを読むしかない。買い手が泣きを見る典型的な例。完全な詐欺」
  • 「2020年4月からフライトクレジットについて何度も問い合わせたが、詳細な情報は何も提供されないし、フライトクレジットの使い方についても教えてくれない」
  • 「この会社のやっていることは詐欺だ。Hopperを使うな!私は弁護士に相談する」
  • 「このカスタマーサポートのひどさには閉口する。回答が返ってくるのに15日かかるなど、信じられない」
  • 「6月にフライトを予約したが、まだ返金されない。航空会社はエージェントに直接返金するからだ。カスタマーサービスが存在しない」
  • 「3000ドル以上支払って、3か月経ったが、まだ返金されない」
  • 「もう7か月も返金を待っている」

現時点で、1つ星レビューの数はiOSで550件、Androidで302件に達している(Sensor Towerのデータによる)。iOSで「最新の投稿」でソートすると、上記のようなレビューが数百件表示される。パンデミック前は信頼性が高く評判の良い旅行ブランドだった会社にとっては大きな痛手だ。

@.sp2020#hopper is getting trashed — no customer support? Can’t get refund? #covid #travel♬ Trouble’s Coming – Royal Blood

Hopperの名誉のために言っておくと、HopperはTechCrunchに対し、同社が言うところの「パンデミックの発生による前例のない膨大なカスタマーサポートに対する問い合わせ(通常の2.5倍)」と格闘している状態であることを公に認めている。

同社によると、顧客も航空会社も次々とフライトを変更したりキャンセルしたりする中、現在、顧客からのサポートリクエストが毎月10万件以上寄せられている。カスタマーサービスに対する問い合わせ件数は4月からの累計で98万件を超えている。

問い合わせの多くは、新型コロナウイルス関連で予約がキャンセルになったため返金を求めるものだ。通常、航空会社は、運航スケジュールが変更されると変更後のフライトを顧客に提示し、多くの顧客はこの変更を受け入れる。ただ、顧客によっては、別の便を予約し直すとか旅行プランをすべて中止したなどの理由で返金を求めることもある。Hopperによると、パンデミックによってそうしたケースが増え、キャンセル率は通常の約5倍にもなっているという。

もう1つ混乱を招いているのは、誰が返金を処理するのかという点だ。Hopperによると、顧客は航空会社に直接連絡して返金を求め再予約してもらうこともできるし、Hopperに対処を依頼することもできる。また、ごく一部だが、航空会社によっては返金に応じず、トラベルクレジットの発行のみで対応しているところもある。そうした航空会社はその旨をポリシーに明記しているため、Hopperは単純にすべての顧客の返金に応じることはできない。すべての返金に応じていたら、支出額が大き過ぎて倒産していただろう。

「すべての返金に応じていたら5億ドル(約517億円)の支出が発生していただろう」とHopperのCEO Frederic Lalonde(フレデリック・ラロンデ)氏はTechCrunchに対して状況を説明する。TechCrunchは、人気アプリだったHopperが顧客からこれほどまでに大きな反感をかっている現状を理解すべく、取材を行った。

「航空会社のシステムの仕組みはこうだ。もし、当社から予約した顧客に返金したら、当社はそのお金を誰にも補償してもらえない。当然、倒産していただろう」とラロンデ氏は言う。

また、通常はHopperが返金を受け取ることはない。返金は、航空会社から顧客に直接返される。多くの顧客はコロナ禍のため返金を待たされている。ただし、一部例外もある。FrontierやSpiritといった格安航空会社については、Hopperが航空会社からの返金を処理して、顧客に返却する必要がある。したがって、その場合は、Hopperのカスタマーサポートに問い合わせても回答がないとなると、顧客はどうしてよいかわからないということになる(Hopperの返金に関する質問に対し航空会社から回答が返ってきており、現在整理しているところだ。控えめに言っても、複雑であることは間違いない)。

だが、Hopperのカスタマーサービスが混乱したのは、パンデミックと航空会社によるキャンセルが原因ではない。Hopperのこの状況に対する対処の仕方が問題だったのだ。

「我々は顧客を裏切った。大勢の人たちが我々を信頼してくれていた」とラロンデ氏は認める。

ラロンデ氏によると、顧客の苦情と問題の多くはすでに対応済みだという。だが、まだ残されている問題は多い。「これから手を付けるという問題はもうない」と同氏は付け加えた。

カスタマーサービスの危機がエスカレートしたこの1年を通して、ラロンデ氏は自身の個人のメールアドレスと携帯の電話番号をウェブ上に公開したという。以来、数千通、いやおそらく数万通の、サポートを必要とする顧客のメールやボイスメールを開き、対応してきた。

振り返って考えれば、Hopperが犯した間違いの1つは、パンデミックによって起こるであろう状況に対応するためにカスタマーサービス担当者を増員しなかったことだ。それどころか、Hopperは逆に、コストを削減して生き残るためにカスタマーサービス担当者を一時解雇してしまった。ラロンデ氏によると、当時は、あまりに不安定要因が大きく、とても増員できなったという。各店舗のトイレットペーパーは切れていた。西側諸国は旅行できない状態になった。ワクチンの製造には通常数年はかかる。長期の最悪のシナリオが現実になりそうだった。

「4年間収益ゼロで運営する計画を作成する必要があった。取締役会でもそう伝えた」とラロンデ氏は言う。

ロックダウンが解除され旅行者が戻り始めると、Hopperのカスタマーサービス担当者も一部戻ってきた。その頃までには、航空会社のキャンセルや高料金でのスケジュールの変更、およびFuture Travel Credits(FTC)の発行開始などによりカスタマーサービスの問題は急増していた。そこでHopperは増員によってカスタマーサービスの問題を解決するのではなく、顧客が自分でより多くの問題を解決できるようにオートメーションを導入することにした。2020年を通して、Hopperは、アプリ内でのフライトの交換、航空会社によって発行されたFTCの換金、スケジュールの変更の管理、セルフサービス方式によるキャンセルの追加などを自動化し、顧客がキャンセルをリクエストした後の顧客に対するフォローアップメールを公開した。

ラロンデ氏は、長期的な生き残り戦略としては、最終的にはオートメーションのほうがサポート担当者の増員よりも重要だと考えていた。

「たとえカスタマーサービス担当者を増員したとしても、状況が大きく改善されただろうか。正直、私はそうは思わない。せいぜい対応状況が10%程度は改善されるくらいだったかもしれない。数千人のお客様がより早くサポートを受けられたと思うかと問われればその通りだと思うが、お客様からのサポート要求が100万件に到達するのを遅らせることができただろうかと問われれば答えはノーだ」とラロンデ氏は言う。

Hopperに欠けていたもう1つの領域はカスタマーコミュニケーションだ。

これは、App Storeに寄せられた苦情からも明らかだ。

確かに顧客は返金に関して不満を示しているかもしれないが、それよりもっと怒っているのは担当者と一切連絡が取れないという点だ。Hopperは、24時間以内にご回答するよう努力いたします、などというまったく非現実的な約束が書かれたメールを返信していたようだが、それが必ずしも同社のためになったとは思えない(下記参照)。

画像クレジット:Hopperのメール(顧客提供)

また、Hopperは、80%の顧客が電話口で45分待たされていると知って電話回線をシャットダウンするという選択をした。おそらく一部の顧客には、それだけ待たされてもまったくつながらないよりはマシだっただろうと思う。その後、Hoppperはオンラインの構造化トリアージシステムを導入して、顧客からの苦情の優先順位付けを行うようにした。このシステムにはプッシュボタンが付いていて、ユーザーが空港で足止めされたといった緊急事態に即対応できるようになっていたという。

問題は、顧客がHopperのヘルプ機能を見つけられなかった点だ。

「コミュニケーション戦略が崩壊していたかと問われれば、その通りだ」とラロンデ氏は認める。

ラロンデ氏は、顧客対応はしなくてよいからFTCと返金の処理に当たるようにと社員に指示した。「これで、ますますひどい会社だと思われたかもしれないが、このおかげでたくさんの仕事をこなすことができた。結局、同じ内容のメールが繰り返し5通も届いたら、顧客は最初から無視されたのと同じくらい怒ってしまう。それなら無駄な対応に時間をかけるより意味のある仕事をこなしたほうがよい」と同氏は言う。

Hopperはその後、顧客に謝罪し、返金処理を開始すると同時に、合計150万ドル(約1億6000万円)相当のトラベルクレジットを顧客に追加で送付して、一連の不手際の埋め合わせをした。カスタマーサービス関連の未処理の問題についてはまだ対応中だ。ようやくワクチンが出荷されたが、それでも航空会社関連の問題が即座に解決することはないため、今後6か月は混乱が続くと予想される。

ようやく先が見えてきたため、Hopperは今後2か月でサポートチームを75%増員する予定だという。また、問題解決センター、エスカレーションパス、重複問い合わせをなくすためのステータスチェックを導入し、アプリ内構造化リクエストを追加する計画だ。さらには、メールキャンペーン、アプリ内メッセージング機能の向上、予約状況を確認するためのウェブサイトへのアクセスなど、顧客とのコミュニケーション機能も更新する予定だという。

Hopperのブランドは泥を塗られ、数百人、数千人の顧客が不満を抱えている。この悪夢のような状況の会社が生き残ることができたうえ、資金調達まで達成できたのは不思議だ。

結果的に、モントリオールに本社を置く同社は、カナダ政府による救済のおかげで、少なくとも短期的には生き残ることになるだろう。

5月初め、Hopperは、機関投資家と個人投資家の両方から7000万ドル(約72億5000万円)を調達した。カナダ政府はパンデミックの影響を受けた有望なテック企業を直接財政支援して救済する方針を固めた。7000万ドルのラウンドの大半(99%などではないが半分以上)はカナダビジネス開発銀行(BDC)とInvestissement Quebecからの資金だ。また、Hopperの既存の投資家も戻ってきており、新しい投資会社としてInovia(イノビア)WestCap(ウエストキャップ)が加わった。

カナダ政府(ラロンデ氏に言わせると、「世間で言われているよりも社会主義寄り」)は、パンデミック前に高い業績を上げていたテック企業へのベンチャーラウンドをリードすることで他の投資家のリスクを小さくして投資を促した。

「カナダ政府はこれを大規模に実施して、カナダのテック業界の安定を図った」とラロンデ氏は言う。新規調達した資金によって、Hopperの企業価値は米ドルでちょうど「ユニコーンレベル」(つまり企業価値10億ドル)に到達したと同氏は付け加えた。

Hopperがパンデミック中の対処方法に苦労した理由の1つとして、米国市場における多大な不透明感がある。「米国市場は怖い」とラロンデ氏は言う。

「何が起こっているのか把握できなかった。もっと良い計画があれば、おそらく我々ももう少しうまく対応できただろう。だが、どうしてよいか皆目見当がつかなかった。ロックダウンは州レベルで実施されたからだ」と同氏は説明する。「投資、支出、緊急資本注入をどの程度積極的に行えばよいのか、また経済はどの程度回復するのかを把握しようとすれば、政府レベルの予測可能性が高いほど、意思決定も容易になる。米国は、予測可能な環境とはとても言えなかった」。

Hopperの経営は当座は救済されたが、そのブランドの評判は大きな痛手を被った。

問題は、その評判を回復することができるかどうかだ。

「今はわからない」とラロンデ氏は言う。「ただこれだけは言える。信頼を回復するための唯一の正しい道は、顧客ひとりひとりに対して正しい対応を続けること、それだけだ」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Hopper 旅行業界

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(翻訳:Dragonfly)

TikTokがLiDARを使った初のARエフェクトを発表、紙吹雪が拡張現実空間に舞い落ちる

Snapchat(スナップチャット)は、iPhone 12 ProのLiDARスキャナをARに活用(未訳記事)した最初のアプリの1つだったが、TikTok(ティックトック)もそれに続くことになった。このソーシャルビデオアプリは米国時間1月6日、新年を迎えたユーザーに向けて、同社初のLiDARを使ったエフェクトを発表した。このエフェクトは、大晦日にタイムズスクエアに落下するボールに似たARボールを、拡張現実の中に表示するというもので、カウントダウンの後にこのくす玉は落下して爆発し、部屋を紙吹雪で満たすと同時に、空中には「2021」の文字が浮ぶ。

「Light Detection And Ranging(光による検知と測距)」の頭文字を取ったLiDARは、2020年秋に発表されたiPhoneの新しいフラッグシップ5Gモデル、iPhone 12 Proと12 Pro Maxで採用された。この技術は、光が空間内の物体に到達してから反射して戻ってくるまでの時間を測定することで、iPhoneが周囲の世界をより正確に認識するのに役立つ。

これをiPhoneの改良された機械学習機能や開発フレームワークと組み合わせると、より没入感のあるAR(拡張現実)体験が可能になる。

この技術をいち早く採用したSnapchatは、最初に新しいLiDARスキャナーを使用して、アプリ内にARレンズを作成した。このレンズで撮影すると、部屋の中でも自分の周囲に花や草が生えてくる。この仮想植生には、部屋の壁をはい上ったり、棚の周囲に生えてくるものさえある。これはLiDARが正確に壁や棚の位置を認識するから可能になることだ。

2021年に向けて、私たちは新しいiPhone 12 Pro用に初のARエフェクトをリリースしました。これはLiDAR技術を使用して、周囲の環境と相互作用するエフェクトを作成することで、デジタルと物理的な世界を視覚的に橋渡しすることが可能になります。2021年には、さらに革新的なエフェクトを開発していきますので、お楽しみに!

同様に、TikTokの新しいエフェクトは、LiDARで部屋を認識して、ボールが爆発した後の紙吹雪を、よりリアルに着地させるように作られている。

同社が例としてTwitter(ツイッター)で公開した動画には、現実の紙吹雪のように、バーチャルな紙吹雪が床、ソファ、クッションを覆っていく様子が映し出されている。とはいえ、このエフェクトはまだ完璧とはいえない。それが本物の紙吹雪ではなく、AR体験であることは一目瞭然だ。しかし、LiDARによる空間認識を持たない従来のARエフェクトに比べれば改善されている。

TikTokは、このARエフェクトがユーザーの環境とどのように相互作用するかによって、デジタルと物理的な世界を視覚的に橋渡しすることができると説明している。このエフェクトは一部の国を除き、世界中で利用可能だ。

もちろん、楽しいAR効果は、様々なLiDARの活用例のほんの1つに過ぎない。この技術は「3D Scanner App」のようにスキャンして3Dモデルを作成するアプリや、「RoomScan LiDAR」のようにインテリアデザインに役立つアプリ、さらにはApple Arcade(アップル・アーケード)のタイトルに含まれる「Hot Lava( Hot Lava :灼熱のホットラバ)」のようなゲームにも採用されている。

TikTokは、2021年の間に「さらに革新的なエフェクト」を導入する予定だという。

関連記事:アップルがフラグシップとなる5GモデルiPhone 12 ProとPro Maxを発表

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTokARLiDAR

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

2020年クリスマスの週のApp Store売上高は約1855億円、元旦は過去最高に

Apple(アップル)は米国時間1月6日、App Storeの年末商戦の売上高について最新情報を発表した。App Storeのユーザーはクリスマスイブから大晦日にかけての週にApp Storeで18億ドル(約1855億円)使い、その主なものはゲームだった。そして元旦に5億4000万ドル(約556億円)超を使い、1日あたりの支出額としては過去最高を記録した。

パンデミックがどの程度2020年のアプリ支出額の増加に貢献したか、Appleは詳しく語らなかった。ただし、年間を通じたトップのアプリにはZoomやDisney+、そして人々が集えるRobloxやAmong Usといったゲームなど、誰かとつながったりエンターテインメントを楽しんだりするのに役立つものが含まれる、と述べている。

しかしながら、Appleは2020年にユーザーがアプリやゲームにいくら使ったか、詳細は明らかにしなかった。そのためそうした数字についてはサードパーティの推定を参考にしなければならない。Sensor Towerの年末レポートによると、App Storeでの世界の消費者支出は2020年に723億ドル(約7兆4500億円)に達し、この数字は前年の555億ドル(約5兆7200億円)から30.3%増加した。App Annieも年間レポートに先立つ初期予測で似たような数字を発表した。

一方、AppleはApp Storeのデベロッパーが2008年にApp Storeが始まって以来、これまでに2000億ドル(約20兆6000億円)超の収益をあげたと指摘した。昨年発表した1550億ドル(約15兆9700億円)から増えている。

Appleの2020年のホリデーウィークもアプリとゲームの支出額は前年比16%増の14億2000万ドル(約1460億円)と過去最高の記録を打ち立てた。2020年に消費者は18億ドル(約1855億円)使ったことから今回も記録を更新したようだ。しかしその点についてAppleがなぜ米国時間1月6日の発表で触れなかったのかは不明だ。

同社はまた、2020年要約で他のサービス事業に関する最新情報も明らかにした。それによると、Apple Musicにとっては「記録的な年」となった。具体的な数字は示さず、その代わりiOS 14のリスナーの90%が「今すぐ聴く」やアップデートされたSearch、パーソナルラジオステーション、Autoplayといった新機能を試したとだけ明らかにした。同社はまた、歌詞機能の利用が2020年は倍増したとも述べた。

また、Apple TV+アプリは現在100カ国超にあるデバイス10億台で利用でき、新作やクラシック映画、テレビ番組など10万超の作品を購入またはレンタルできると明らかにした。

一方、Apple Payは現在、米国のストアの90%超、英国のストアの85%、オーストラリアのストアの99%で利用できる。

Apple News、iCloudそして新しいサービスFitness+についても言及があったが、ユーザーの利用状況や成長に関する数字は示さなかった。

同社はまた、Apple Arcadeが取り扱うゲーム数が140作品に達し、Apple Booksは9000万人超の月間アクティブユーザーを抱え、Apple Podcastsは現在175カ国超で利用できると述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AppleApp Store

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi

早ければ今週にもGoogleのiOSアプリにApp Storeのプライバシーラベルが追加される見込み

Google(グーグル)はApple(アップル)が最近発表したApp Storeのプライバシーラベルのポリシーに従いたくないと考え、それが理由でグーグルのiOS用アプリのアップデートが遅れていると一部で報じられた(Fast Company記事)が、そうではない。App Storeの新しいポリシーはアップルがプライバシー保護を推し進める大きな取り組みの一部で、開発者に対しApp Storeのユーザーからどのようなデータを収集し、追跡のためにデータがどのように使われるかを開示するよう求めている。TechCrunchは、グーグルがこのラベルに対抗する立場ではないことを確認した。実際には、グーグルは今週か来週にはかなりの数のiOS用アプリでプライバシーラベルを公開する準備をしている。

米国時間1月5日にFast Companyは、グーグルはユーザーから収集するデータに関する透明性の情報を提出できる状態になっていないため同社のiOS用アプリのアップデートが遅れているのではないかと推測した。これを受けて、TechCrunchはグーグルのアプリの状況を調べた。Fast Companyは、2020年12月7日以降グーグルのアプリは「1つも」アップデートされていないと述べている。2020年12月7日といえば偶然にもアップルの新しいプライバシーラベルの要件がApp Storeに適用される前日だ。

さらにFast Companyは、11月後半から12月初めにかけてグーグルのiOS用アプリが多数アップデートされたのは、グーグルがアプリにプライバシーラベルが適用される前に最後のアップデートを詰め込もうとしていたことを示すと述べている。

しかし、こうした推測にはいくつか疑問点がある。

まず、グーグルは実際にはプライバシーラベル適用以降に2つのアプリをアップデートしたことを指摘したい。ただしこのアップデートにはプライバシーラベルは含まれていない(これは、アプリが適用期日以前に承認されたものの保留になっていたことを示唆している)。

生産性向上の分野においてグーグルにとって重要なスライドプレゼンテーションアプリのGoogleスライドは、2020年12月14日にアップデートされた。教育カテゴリーの無料アプリで7位になっている宿題支援アプリのSocratic by Googleは、2020年12月15日にアップデートされた(このデータはSensor Towerの協力によりファクトチェックをした。何しろグーグルのiPhone用アプリは100個近くあるのだ!)。

グーグルはアップルの新しいルールを回避しているように見えるかもしれないが、アップデートのタイミングを深読みしすぎないように気をつけなくてはならない。通常はアプリが短い間隔でアップデートされているとしても、12月にアプリのアップデートが遅れるのはどう考えても珍しいことではない。また、アップルのApp Store自体が年末は動きが止まるため、年末年始の数週間前にアプリの変更が公開されるのも不思議なことではない。年末に動きが止まるのは毎年のことで、2020年のApp Storeは12月23日から12月27日まで止まっていた。

そしてグーグルなどの大企業は12月終わりから1月初めにコードフリーズをする。スタッフが対応できない年末年始に製品やサービスに大きな問題が起きないようにするためだ。

グーグルの主たるビジネスが広告であることを考えると、アプリのプライバシーラベルはもちろんグーグルにとって懸念材料だ。実際、グーグルは事態を深刻に受け止め、経営幹部は会議でこれに関して話し合っている。

しかしアプリのプライバシーラベルにすぐには対応できていない大手アプリ提供企業は、グーグルだけではないことを指摘しておく。たとえば本稿執筆時点でAmazon(アマゾン)の一部のアプリやPinterestはプライバシーラベルに対応したアップデートを行っていない。

こうした遅れは必ずしもその企業が新しいラベルの要件に対抗していることを意味するものではない。慎重に検討しているだけだろう。開示する情報が少ない企業よりもさらに慎重だと思われる(そしてデータの収集と広告が収益の重要な要因である企業に遅れが見られることには注意が必要だ)。

グーグルにコメントを求めたところ、同社の広報担当者はアプリ全般にプライバシーラベルを追加する予定であることを認めた。正確な日付は未定だが、今週か来週にできるだけ早くラベルの公開を開始する見込みであることも認めた。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:GoogleAppleApp Store

画像クレジット:Google

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(翻訳:Kaori Koyama)

Facebookが「ページ」をリニューアル、「いいね!」ボタンが消えニュースフィードが追加される

Facebookページ」がリニューアルされる。米国時間1月6日、Facebook(フェイスブック)は「ページ」のメジャーアップデートを公開することを発表した。レイアウト、ナビゲーションが一新され、専用ニュースフィード、ファンを惹きつけるためのQ&Aフォーマットなどが導入されるなどFacebookページの体験が大幅に変更される。準備中のバージョンで目立つのは「いいね!」ボタンが削除され、現在、何人がページをフォローしているかという直接の測定値に焦点が移されることだ。

TechCrunchはFacebookページのオーバーホール計画を確認し、この夏記事にしている(未訳記事)。これはハリウッドスター、作家、クリエイターなどの著名人を対象に新バージョンのテストが行われたことを知ったのがきっかけだった。Facebookは続いて英語版の企業ページのアップデートもテストした。

FacebookはFacebookページの新バージョンが今後数カ月にわたって順次正式公開されると発表している。

画像クレジット:Facebook

上で触れたように、新しいページデザインにおける最大の変更点の1つは、「いいね!」がなくなることだ。これは、「いいね!」数がページの人気を正しく伝えていないという反省から生まれた。これまでFacebookユーザーがページを「いいね!」すると、自動的にフォローすることになる。ところがテーマに関心が薄れたり、ニュースフィードにページからの投稿が頻繁に表示されるのがわずらわしくなったなどの理由でフォローを解除するユーザーが多数現われていた。「いいね!」のリクエストを受け取った後、義理で「いいね!」したものの、ページからの更新情報を受け取ることは選択しなかったユーザーも多い。

もう1つの大きな変更は、独自のニュースフィードだ。ページ自体が公人・著名人ないしブランドとして会話に参加し、トレンドを追跡し、ファンと交流することができる。この専用のニュースフィードには、ぺージが会話する相手として他の公人・著名人、ページ、グループ、トレンドのコンテンツなどが提案されている。

ユーザーがページをフォローすると、他ユーザーの投稿コメント欄のトップにページからのコメントが目立つように表示される。またそのページをフォローしていることを示す青いチェックマークが付加される。このコメント投稿はユーザー自身のニュースフィードにも表示されることがある。

Facebookによると、ユーザーはコメントや推薦された投稿から直接ページをフォローできるようになるという。

また、Facebookはページがファンとの交流を深めることができる新しいQ&Aフォーマットを準備している。クリエイターがファンから質問を受けストーリーで答えるというInstagramに似た方式だ。Facebookページの場合、フォロワーは特定のトピックについて質問することができる。ページが回答したQ&Aはスワイプしてすばやくブラウズすることが可能で、ユーザーが情報を得るのに便利だ。これは特定のクリエイターのことをさらによく知りたいファンが質問してくる場合に、そうしたファンを楽しませるようなカジュアルなスタイルで回答した場合、特に便利だろう。

画像クレジット:Facebook

こうした大きな変更に加えて、Facebookページの管理者向けのバックエンドのアップデートもある。たとえば管理者のアクセス許可のオプションが増える。これによりページインサイト、広告、コンテンツ、コミュニティ活動、一般メッセージなどそれぞれの活動に対して適正なレベルのアクセスを割り当てることができる。

Facebookはテスト時のフィードバックを参考にして、権限の管理、管理者の追加、管理者のページインサイトへのアクセスコントロールなどを可能にする管理ツールを構築した。これはページの「管理」ボタンから直接利用できる。またモバイルアプリがCクリエータースタジオをフルサポートするようになる。

Facebookは「ヘイトスピーチ、暴力的、性的、スパム的コンテンツ、なりすましアカウント、フィッシング」を検出してフィルタリングする機能を強化し、モデレーションも改善したとしている。さらに詳細を取材したがFacebookは回答を避けた。

テストが始まって以降、新バージョンに対するユーザーの評価は好意的だった。ユーザーに好まれたのはインターフェイスのシンプル化、実際のプロフィールと公開プロフィール、またページ間の切り替えが簡単になったこと、ファンのエンゲージメントをアップするための機能の追加などだ。

Facebookでは「ページのアップデートは今後数カ月で行われる」としている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

P&Gは米連邦取引委員会の訴訟を受けて女性向けカミソリのスタートアップBillie買収を断念

Procter & Gamble(プロクター・アンド・ギャンブル、P&G)は、以前から計画していた(Businesswire記事)女性向け美容製品のスタートアップBillie(ビリー)の買収を、米連邦取引委員会(FTC)からの中止を求める法的措置を受けて断念した。2020年12月、FTCはニューヨークのスタートアップBillieのP&Gによる買収を阻止しようと起訴(未訳記事)。Billieは女性向けのカミソリやその他の美容品を製造しているが、この2社が合併すればカミソリを使ったウェットシェービングの市場に競争がなくなってしまうという理由からだ。

米国時間1月5日、P&GとBillieは共同声明を発表し、この取引を解消に追い込んだ合併を阻むFTCの措置に苦言を呈した。

私たちはFTCの決定に失望し、BillieとP&Gの合併には世界中のより多くの消費者によりよい製品を提供する素晴らしい可能性があると主張しました。しかしながら熟考の末、長期におよぶ法的異議申立に勢力を費やすことはせず、今回の取引を解消し、私たちが本来専念すべき事業に資源を集中することを双方で合意しました。

Billieは女性向けカミソリの市場における、いわゆる「pink tax(ピンクタックス)」を排除したことで有名になった。ピンクタックス(ピンク税)とは、同等の製品でも男性向けよりも女性向けのほうが高い価格帯で販売されることを指した言葉だ。近年では、自然志向が強い美容市場にも幅広く行き渡っている。つまり硫酸エステル、パラベン、ホルムアルデヒド、科学調味料、アルコール製剤、合成着色料、香料、安価な発泡剤、不安定なシリコン、酸化防止剤などを使用しない製品だ。

またこのスタートアップは、そのミッションとソーシャルメディアやウェブの世界での現代的で、ときには進歩的なマーケティング手法に反応した、Z世代やミレニアル世代などの特に若い消費者の取り込みに成功している。その広告では、体毛を露わにした女性を使うなど、昔ながらの社会的期待を逆なでするようなメッセージを発している。広告に登場する女性は、カミソリの宣伝であったとしても、最初から毛のない滑らかな肌を見せるものとされてきた。

Billieは、女性は自分の体毛を好きなように扱うべきだが、剃りたい方には手頃な価格のカミソリを喜んでお売りしますと宣伝している。

もうひとつBillieでおもしろい点は、そのビジネスモデルだ。同社は替え刃をサブスクリプションで消費者に届けている。これにより収益は増大し、顧客ロイヤリティも向上した。

P&Gとの買収より前に、Billieは販売実店舗の拡大を計画していた。それによってBillieのブランドはP&G製品との直接的な競合相手になるはずだったとFTCはいう。

「売上げが伸びれば、Billieは実店舗を増やしてP&Gの強敵になるはずでした」とFTC競争局長Ian Conner(イアン・コナー)氏は、2020年12月に発表された声明で述べていた。「もしP&GがBillieの強敵としての急成長を食い止めることに成功すれば、消費者は高い商品を買わされる羽目になります」と彼はいい加えた。

FTCによる訴訟の結果、両社は法廷闘争は行わず、合併計画を中止することに決めた。

FTCは本日発表されたリリースで、この判断を賞賛している。両社の合併断念の判断をReuters (ロイター)も報じている

「Procter & GambleのBillie買収断念の判断は、低価格で高品質で革新的な製品を評価する消費者にとって、良いニュースだった」とFTCは声明で述べている。「Billieは、他と同等のカミソリを上乗せ価格で買わされることに嫌気がさしている消費者を広告のターゲットとする直販業者だ。FTCは、Billieから活力ある競争を排除してしまう恐れがあることから、その合併に法的措置を講じる決断をした」。

これは、FTCが2020年に行った2つめの独占禁止訴訟となる。これ以前に、Schick(シック)のカミソリを製造しているEdgewell Personal Care(エッジウェルパーソナルケア)が、これもまたカミソリの直販ブランドであるスタートアップHarry’s Inc.(ハリーズ)を13億7000万ドル(約1400億円)で買収(未訳記事)しようとしたところをFTCは訴訟で阻止している。その結果、この合併話も流れた。

カテゴリー:その他
タグ:P&GBillie買収FTC

画像クレジット:Billie

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(翻訳:金井哲夫)

ARで簡単に紛失物を探し出せるウルトラワイドバンド搭載トラッカーをTileが準備中

Tile(タイル)は、2021年に新製品を発表する準備を進めている。Apple(アップル)の待望のAirTag、そしてSamsung(サムスン)製を含む今後マーケットに投入される他の紛失物追跡サービスのライバルになるものだ。これまでのTileのトラッカーは、ユーザーが置き忘れた鍵など紛失物の場所を特定できるようにするのにBluetoothを活用してきたが、新製品では紛失物を見つけるのにウルトラワイドバンド(UWB、超広帯域無線)テクノロジーを駆使する。また、Tileモバイルアプリを通じてユーザーを紛失物の場所まで誘導するのに拡張現実(AR)を活用する。

UWBテクノロジーはiPhone 11モデルとiPhone 12モデル、そしてサムスンの最新デバイスを含むいくつかのAndroidデバイスで利用できる。

BluetoothやWi-Fiと同様、UWBは短距離のワイヤレスコミュニケーションプロトコルだが、かなりの高周波を使用している。空間および方向のデータをとらえるのに使われるもので、Tileのトラッカーのような紛失物を探すデバイスにとって役立つ。

アップルは2020年、サードパーティーのデベロッパーが同社のU1チップにアクセスできるようにした(iMore記事)。このチップは、iPhoneが「NearbyInteraction」フレームワークを通じて空間認識できるようUWBテクノロジーを使っている。Tileが今後発表する新製品でどの程度新しいフレームワークを使っているかは明らかではなく、先の報道によると同社は特にアップルとの協業で秘密保持契約を結んでいるようだ。

新製品コンセプトのイラストをみると、TileのUWBモデルはTile MateやTile Proなど他の小型トラッカーと似たような外観だ。四角形で中央にボタンがあり、粘着テープで取りつけられるよう背面はフラットになっている。そして他のTile製品と同様、キーチェーンにも取り付けられる。

コンセプト図(画像クレジット:Tile)

通常、Tile製品は鍵やリモコン、ハンドバッグ、ダッフル、荷物、持ち運びする小さなものに取り付けたり、電化製品や自転車のような大きめのデバイスに貼り付ける。紛失物が近くにある場合はBluetoothで、ずっと遠くにある場合にはTileの「community find」ネットワークで場所を特定できる。後者の場合は、紛失モードにセットされたTileトラッカーの場所を特定するのにユーザーのスマホにインストールされたTileアプリを活用する。紛失アイテムが見つかった時には、持ち主に通知がいく。この機能により、たとえばTileユーザーは誤って飛行機に置き忘れてきたものの位置を特定したりできる。

一方、新しいトラッカーは紛失物特定のプロセスをこれまでよりも簡単にするためにUWBを使う。

UWBは空間認識能力があるため、ユーザーがトラッカーの発信音を拾えないときでも屋内外で紛失物の場所を特定できる。これは紛失物がソファのクッションなど何かの下に埋もれているとき、あるいはタンスのようなものの中にあるときにも役立つ。また2階建、3階建といったフロアが複数ある家のような大きな空間で簡単に紛失物を見つけることも可能だ。

ユーザーは、TileアプリでARが使えるカメラビューを立ち上げることができる。これは方向を示す矢印や紛失物の場所のARビューなどのオーバーレイを使ってユーザーをその場所まで誘導するものだ。

コンセプト図(画像クレジット:Tile)

Tileの計画に詳しい情報筋によると、TileはiOS、Androidデバイス両方で使える新トラッカーを2021年後半にリリースする予定のようだ。価格はまだわからない。Tileはもちろん今後もBluetooth活用の人気デバイスの販売を続ける。というのも、マーケットに出回っているスマートフォンの多くはまだUWBに対応していないからだ。最新デバイスのみこのテクノロジーが使える。

Tileはこれまで紛失物トラッカーのマーケットをリードしてきたが、2021年はサムスンやアップルといったスマホブランドから新製品がリリースされることが予想されており、Tileは競争激化に直面することになる。

2020年に開催されたサムスンのGalaxy Unpackedバーチャルイベントで、同社は新SmartThings FindアプリにUWBを搭載する計画を明らかにした。1月4日の週に認証機関NCCに提出された画像の中には、今後発売されるSamsung Galaxy SmartTagトラッカーがあった。そのデバイスは四角形で、キーチェーン取り付け用の穴が空いているなどTileトラッカーにかなり似ている。

一方で、アナリストのMing-Chi Kuo(ミン-チー・クオ)氏による新たな調査分析によると、アップルはTileと競合する製品AirTagを2021年に発表する。アップルはすでにAirTagの存在を認めていて、また公式のサポートビデオで紛失物トラッカーに意図せず言及した。AirTagのリーク画像も今週出回り始め、AirTag発売は「間もなく」とするレポートに勢いを与えている。

UWBを搭載したトラッカーはTileがマーケットをリードする位置を保つのに貢献するかもしれない。2020年時点でTileは2600万ものTileデバイスを販売し、1日あたり195カ国で約600万のアイテムの位置を特定している。Tileのウェブサイトには、同社のデバイスは230カ国・地域で使える、とある。この規模でTileはマーケットを引っ張る存在だ。しかしアップルのAirTagは、同社の「Find My」アプリとしっかり連携するというファーストパーティのアドバンテージがあるかもしれない。ただし懸念されることもある。Tileは2020年の独禁違反の公聴会で、アップルが競争に勝つためにいかに自社プラットフォームやマーケットパワーを行使しているかに言及した。

TileのUWBデバイス計画は現時点で公にされていない。

「製品のロードマップについてコメントできませんが、当社は常に顧客エクスペリエンスの改善と、紛失物探しの弱点の解決を模索しています」とTileの広報担当はTecCrunchに語った。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Tile

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(翻訳:Mizoguchi

Venmoがアプリによる小切手の現金化サービスを開始、景気刺激策給付金は手数料無料に

Venmo(ベンモ)は米国時間1月4日朝、新しい小切手現金化サービス「Cash a Check」の提供をVenmoモバイルアプリで開始すると発表した。この機能は、米国では同日より一部のユーザーを対象に展開されており、印刷された小切手、給料支払小切手、米国政府小切手(新しい景気刺激策小切手を含む)の現金化に使用できると同社は述べている。通常、Cash a Check機能には手数料がかかるが、Venmoによると、景気刺激策小切手については期間限定で手数料が免除されるとのこと。

Venmoの顧客がCash a Checkを利用するためには、アカウントでダイレクトデポジットまたはVenmoデビットカードが有効になっていること、および検証済みのEメールアドレスが必要だ。

この機能を利用した顧客は、モバイルバンキングアプリで小切手を現金化する場合と同様に、裏書がある小切手の写真を撮影してVenmoアプリに送信すれば審査を受けることができる。小切手は数秒で審査されるが、特別な状況下では、審査に数分間を要したり、承認の決定が下されるまでに1時間近くかかる場合さえある。

承認されると、ユーザーのVenmoアカウントへすぐに送金される。

Venmoは、現在および今後数週間にわたって配布される景気刺激策小切手の手数料を一時的に免除しているが、最終的にはどんな政府小切手や給料支払小切手も、署名が印刷済みの場合、アプリで現金化する際には1%の手数料が適用される。最低手数料は5ドル(約515円)だ。それ以外の小切手は、手書きで署名された給料支払小切手や政府小切手を含め、5%の現金化手数料または最低5ドルの手数料が発生すると、PayPalの規約に記されている。

Cash a Checkのサービスは、開始当初はパートナーであるFirst Century Bank, N.A.とIngo Money, Inc.によって提供される。Ingo Moneyはすでに同様の機能をVenmoの親会社であるPayPalに提供しており、ユーザーはPayPalアプリで小切手を現金化することができる。

「特に現在のような世界的な新型コロナウイルス(COVID-19)大流行の中、人々が経済的困難を経験し続ける状況では、我々のコミニティがより簡単にお金にアクセスし、管理できるようにするための新しい方法を当社では常に模索しています」と、VenmoのSVP兼GMであるDarrell Esch(ダレル・エッシュ)氏は、この新サービスについての声明で述べている。

「お客様の健康と安全を第一に考えると、多くのお客様、特に紙の小切手を受け取っていて、従来は小切手を現金化する場所に行かなければならなかったお客様にとって、景気刺激策の給付金に安全にアクセスできる方法は必要不可欠であると我々は認識しています」と、エッシュ氏はいう。「Venmo Cash a Check機能を導入することで、お客様が自宅にいながら迅速かつ安全に給付金にアクセスできるようにするだけでなく、当社は政府が発行した小切手の現金化手数料をすべて免除し、お客様が最も必要としているものの支払いに給付金を使用できるようにします」と、同氏は付け加えた。

しかし、Venmoが小切手の現金化に進出したからといって、同社のピア・トゥ・ピア決済アプリがオンラインバンキングの代替になるわけではない。Venmoにとってこれは主に、米国のユーザーに支給されている景気刺激策給付金の流入から、利益を得るための手段として機能するものだ。

フィンテック企業各社は、景気刺激策給付金への迅速かつ容易なアクセスを提供することで、顧客に自分たちの価値を証明しよう(Fortune記事)と躍起になっている。たとえばCurrent(カレント)やChime(チャイム)といった銀行系スタートアップ企業は、他の伝統的な銀行機関に先駆けて顧客に給付金の送金を開始した(WSJ記事)。

さらに、この景気刺激策給付金は、現金化手数料を請求するよりもVenmoの最終的な収益を引き上げることに貢献する可能性がある。Venmoのユーザーは、アプリ内で景気刺激策小切手や給与支払小切手にアクセスすると、オンライン加盟店への支払いやVenmoデビットカードによる支払いにそのお金を使うことができる。この取引で発生した手数料を通じても、Venmoは収益を得ることができるというわけだ。

Venmoによると、この機能は現在、iOSおよびAndroid用モバイルアプリのユーザー向けに展開されているという。最高のパフォーマンスを得るために、同社はユーザーに最新バージョンのアプリをダウンロードし、モバイルデバイスを最新のオペレーティングシステムにアップデートすることを推奨している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Venmo小切手

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(翻訳:TechCrunch Japan)

バイアコムCBSとの契約合意で、HuluのLive TVに米国で14の新チャンネルが追加に

Hulu(フールー)とViacomCBS(バイアコムCBS)の間で新たに結ばれた契約は、HuluのLive TVストリーミングサービスに14の新しいチャンネルをもたらすと同時に、Huluで様々なCBSの放送局やShowtime(ショウタイム)の視聴も引き続き可能になる。

バイアコムCBSによると、この新たな複数年の配信契約によって、Hulu + Live TVの加入者はBET、Comedy Central(コメディ・セントラル)、MTV、Nickelodeon(ニコロデオン)、Paramount Network(バラマウント・ネットワーク)、VH1、CMT、Nick Jr.(ニック・ジュニア)、TV Land(TVランド)、BET Her、MTV2、NickToons(ニックトゥーンズ)、TeenNick(ティーンニック)、MTV Classic(MTVクラシック)などのケーブルネットワークをストリーミング視聴することが可能になるという。

このHuluとの契約により、米国で利用できる2つの大手ライブTVストリーミングサービスが、バイアコムCBSのチャンネルラインナップを配信することになる。その中で最大のHulu + Live TVは、ディズニーの第4四半期決算時点で410万人の加入者を獲得。一方、YouTube TV(ユーチューブTV)はAlphabet(アルファベット)の第4四半期決算時点で300万人が加入している(9to5Google記事)。

バイアコムCBSは2020年前半に、Googleが所有するYouTube TVにも同じチャンネルのラインナップを導入し、CBSの各放送局と有料チャンネルであるShowtimeのストリーミング放送を可能にすることで、YouTube TVとの契約(DEADLINE記事)を強化してきた。Hulu + Live TVも、CBS Sports Network(CBSスポーツネットワーク)、Pop TV(ポップTV)、Smithsonian Channel(スミソニアンチャンネル)、The CWを含むCBSの放送局を、Showtimeと共に継続して配信できることになった。

バイアコムCBSが、そのケーブルチャンネルのラインナップをHulu + Live TVに提供することは、2019年にCBSと統合する(未訳記事)のバイアコムとは異なる戦略を表している。以前は、現在閉鎖されたPlayStation Vue(未訳記事)のような他のストリーミングサービスと同様、Huluにこの契約を見送らせることになった(Variety記事)。当時、Huluは有料テレビ事業者との契約を、より伝統的なキャリッジ契約に絞っていた。

新たに統合された会社としての最初の1年間で、バイアコムCBSは異なる方向を追求するようになった。2020年以降の同社は、Comcast(コムキャスト)、Dish(ディッシュ)、Verizon(ベライゾン:TechCrunchの親会社)、Nextstar(ネクストスター)、Meredith(メレディス)、Cox(コックス)、Sinclair(シンクレア)との主要なキャリッジ契約を完了させただけでなく、YouTube TVやHuluとの増分収益に関する契約も取り決めた。

しかし、ストリーミングサービスの顧客にとって、これらの契約は必ずしも歓迎されるものではない。新しいチャンネルへのアクセスが得られるのは嬉しいことだが、このような契約は月額料金の値上げにもつながるからだ。例えばYouTube TVは、バイアコムCBSのチャンネルが追加されたことで、2020年6月に30%の値上げを行った(Fortune記事)。

Huluは2020年11月、番組制作費の高騰を理由に、2020年12月18日から米国でLive TVサービスの料金を月額65ドル(約6700円)に値上げすることも発表した。当時は値上げを特定の契約に起因するものとはしていなかったが、バイアコムCBSが主導するLive TVサービスの拡大がその決定の要因となったことは、今となっては明らかだと思われる。

バイアコムCBSのYouTube TVと今回のHuluとの契約は、同社が今後予定しているストリーミングサービスParamount+(パラマウントプラス)にどのように顧客を引き付ける方法を計画しているのかという疑問を提起する。CBS All Access(CBSオールアクセス)を拡張してリブランドしたこのサービスは、2021年に開始予定だ。もっとも、バイアコムCBSのチャンネルだけがその売りというわけではない。そのライブラリ・コンテンツは、CBSの各チャンネルに加え、新しい「スタートレック」のようなオリジナル・シリーズで、かなりの部分が構成されているからだ。

「我々はHuluと契約拡大で合意に至ったことに興奮しています。この新たに結ばれた契約は、次世代のTVプラットフォームと視聴者に向けて、各ブランドが持つ強力な資産の価値を明白に示すことになるでしょう」と、バイアコムCBSの米国ネットワーク配信担当社長であるRay Hopkins(レイ・ホプキンス)氏は、今回の契約に関する声明の中で述べている。「Huluは引き続き素晴らしいパートナーであり、今回の契約によってHulu + Live TVのご契約者の皆様は、ニュース、スポーツ、エンターテイメントを網羅した当社の優れたコンテンツをお楽しみいただけるようになります」。

バイアコムCBSは、新チャンネルがHulu Live TVで視聴できるようになる時期を明確に述べていない。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

EarlyBirdは子ども将来のために家族が投資できるアプリ

EarlyBird(アーリーバード)という登場したばかりのフィンテックスタートアップは、家族が子供の将来のために投資できるようにしたいと考えている。EarlyBirdモバイルアプリを通じて、ものの数分で親は未成年者のための後見口座を開くことができる。この口座はUGMA (Uniform Gifts to Minors Act=未成年の子どもへの財産の移譲について規定している法律) 口座としても知られている。こうした口座では一般的に、親あるいは「保護者」が未成年の子どもに代わって株や債権、投資信託、その他の証券などに投資できる。子どもが成年になったとき、それらの投資は子どものものになる。

アプリを通じて親は子どものために口座を開き、家族のメンバーや親しい友人に口座への貢献を呼びかけることができる。

アイデアそのもの、少なくともその精神はHoneyFundのようなものとそう違うものではない。HoneyFundでは、新婚の人たちがギフトの代わりに現金のプレゼントを親しい人にお願いできる。それと同様に、EarlyBirdは家族や友人に寄付を呼びかけることで、子どもにおもちゃやぬいぐるみをあげる以外のプレゼント方法を提供している。ただしEarlyBirdでは単刀直入に募金をお願いしてはいない。結局、これは美化されたクラウドファンディングプラットフォームであり、投資を可能にしている。

特にEarlyBirdは親の後見口座開設を簡単に、そしてわかりやすいものにするのが目的だ。これに挑むフィンテックはEarlyBirdが初めてではなく、たとえばStash(スタッシュ)やAcorns(エーコーンズ)がある。

ただしEarlyBirdは、ソーシャル機能と寄付機能を持つプラットフォームを投資口座に組み合わせている。小切手やグリーティングカードと一緒に渡す現金と違って、口座への寄付を本物の贈り物のようにしようというコンセプトだ。

画像クレジット:EarlyBird

EarlyBirdのアプリでは、寄付する人は投資口座への寄付とともに短いビデオ「メモリー」を録画できる。子どもはのちにこうしたビデオで回顧でき、これにより寄付をよりソーシャルで個人的な体験にすることができる。加えて、他の家族のメンバーや友人もビデオを閲覧し、その子どもの投資口座に寄付しようという気持ちになるかもしれない。

EarlyBirdのアイデアは、AgilityIOの前COOで現在EarlyBirdのCEOであるJordan Wexler(ジョーダン・ウェクスラー)氏と、かつてYello.coで働きバイスプレジデントまで務め、いまEarlyBirdでCOOをしているCaleb Frankel(カレブ・フランケル)氏によるものだ。

ウェクスラー氏は、自身の身内の家庭に子どもが生まれたときに、実際の贈り物に代わる方法としての投資を考え始めたと説明する。

「かわいらしい姪が生まれた数年前に経験した問題からすべては始まりました。私は姪っ子に首ったけで、馬鹿馬鹿しいぬいぐるみに数百ドル(数万円)も使いました。かなりゴミのような贈り物にです」と話す。

数年前、同氏は子どもに代わってインデックスファンドに現金を投資するというアイデアを思いついた。

「私は姪っ子の人生に大きな影響を、彼女が大きくなったときに実際に使うことができるようなものを与えたかったのです」と同氏はいう。

実際、ウェクスラー氏の父親はかつて同じことを同氏のために行った。ウェクスラー氏が12才だったとき、父親はTD Ameritradeの口座を通じて彼にお金を与えた。後にウェクスラー氏はこの口座からお金を引き出して、最初のスタートアップの資金に使った。このスタートアップは中国・青島市のSucceedOverseasで、企業の従業員転勤をサポートする戦略コンサルだった(2015年にChiway Education Groupに買収された)。

ウェクスラー氏はEarlyBirdの共同創業者フランケル氏に青島市で出会い、そして米国に戻ったときに再会した。彼らは2019年、子どものために後見投資口座を開きたい親向けにそのプロセスを簡単にしようとEarlyBirdでチームを組んだ。

画像クレジット:EarlyBird

公平な観点からいうと、おそらく後見口座は子どもを持たない人にはあまり知られていない投資ビークルだ。子どもがいる人にとってもある程度そうかもしれない。これは、もう1つの選択肢である529プラン(米国の学資積み立てのための公的貯蓄制度)の方が税制上の利点があるためにもっと人気があるからだ。

いずれの口座でも未成年に代わって家族が投資できる一方で、529プランの投資は税が免除される。授業料や家賃、寮費、本など教育にかかる費用のための出金にも課税されない。これは大きな特典だ。

一方、UGMA口座はある水準になると課税される。不労年間所得1100ドル(約11万円)は非課税だが、それ以降の2200ドル(約22万円)までは子どもの税率で課税される。2200ドル以上の不労所得は、子どもの税率よりも高い信託・遺産の税率で課税される。

UGMA口座への寄付は所得税控除の対象にはならないが、個人向けなら1万5000ドル(約155万円)まで、既婚カップルまでなら3万ドル(約310万円)まで課税されない。

ほとんどの家庭が大学の費用や税金上のメリットを想定して投資しているため、529プランはよく知られている。しかしウェクスラー氏は、状況は変わりつつあると指摘する。

「多くの親が実際には15年後の教育や大学がどのようなものになっているか想像できず、もう少しフレキシブルなものを求めています」と説明する。

加えて、UGMA口座は必要なら大学のために使える。しかしもし、いつの日か米国の大学の費用が無料になったら、UGMA口座の投資は何にでも使える。そうしたフレキシビリティは、このところ一部の親にとってUGMA口座、そしてこの分野に参入しているAcornsなどの他のフィンテックが魅力的に映る理由だ。

しかしEarlyBirdは1年以内に529プランにサービスを拡大する、と話す。ただそこから開始しなかっただけだ。

画像クレジット:EarlyBird

Acorns、Stashの後見プランと、EarlyBirdとの別の違いはEarlyBirdがいかにプロダクトに財務管理リテラシーを組み込んでいるかだ。

誕生から5才までの間、親は子どもの口座をすべて管理する。しかし子どもが6〜13才のとき、親は子どもに特別な「閲覧のみ」モードでアプリを見せることができる。このモードでは子どもは自分の投資を確認し、増えていく様子を見ることができる。13〜18才で子どもはアプリをダウンロードでき、親と一緒にアプリを操作できる。そして18才(州によっては21才)以降は子どもが口座を管理する。

EarlyBirdはまた、保守的なものからハイリスクハイリターンのものまでそろったさまざまなポートフォリオを提供することで投資をシンプル化している。保守的なものだとポートフォリオは100%ETF債権ベースのものになり、アグレッシブなポートフォリオは100%ETFエクイティベースのものだ。Acornsと同様、EarlyBirdは固定されたポートフォリオモデルも提供している。しかしEarlyBirdはまた、ユーザーが自分の価値観に合わせて投資できるようカスタマイズしたポートフォリオも提供する。そしてユーザーは規模を問わず再投資の自動化を選ぶこともできる。

画像クレジット:EarlyBird

ポートフォリオはEarlyBirdアドバイザーEvan List(エヴァン・リスト)氏が率いる金融アドバイザーの専門家チームがデザイン・構築した。同氏はBernstein Private Wealth Managementで12年間バイスプレジデントを務めている。ポートフォリオには、各出資比率がEarlyBirdが定めた目標とする分配の10%以内に留まるようにする調整エンジンをバックエンドに統合している、と同社は話す。必要に応じて、他のロボ投資家と同様に四半期ごとにポートフォリオをレビューし、再分配する。

現在、EarlyBirdの投資口座はApex Clearing Corporationとの提携のもとに展開されている。Apex Clearingは米証券取引委員会に登録しているブローカーディーラーで、米金融業規制機構(FINRA)と米証券投資家保護公社(SIPC)の会員だ。この提携により、計50万ドル(約5200万円)までの投資は保護される。EarlyBirdはゆくゆくはブローカーディーラーに移行することを目指している。

現在EarlyBirdは月3ドル(約310円)の管理費で売上を上げている(子ども1人増えるごとに月1ドル=約103円プラスされる)。

今後は多くのフィンテックがそうであるように収益化を追求する。Apex Clearingとの取引と決済を活用する計画だ。そしてブローカーディーラーに移行するにつれ(ユーザーベースと管理資産の規模が大きくなったとき)、他のブロケージ同様に有料貸付プログラムを展開する。

はっきりさせておくと、こうしたプログラムは現在提供されておらず、EarlyBirdは設立されてまだ1週間だ。

同社は、Network Venturesがリードし2020年11月にクローズしたラウンドで240万ドル(約2億5000万円)を調達した。本ラウンドにはChingona Ventures、Bridge Investments、Kairos Angels、Takoma Ventures、Subconscious Ventures、そのほかさまざまなエンジェル投資家が出資した。

EarlyBirdのiOSアプリは無料でダウンロードできる。

カテゴリー:フィンテック
タグ:EarlyBird投資

画像クレジット:EarlyBird

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルがTikTokとInstagramのショートビデオを集約する検索機能をテスト導入

Google(グーグル)は、InstagramとTikTokのビデオをモバイル機器向けGoogleアプリの専用カルーセルに表示する新機能をテスト中だ。これは、Googleのプラットフォームから完全に離れることなく、ソーシャルビデオエンターテイメントを探しているユーザーをつなぎ止めるのに役立つだろう。この機能自体は、2020年始めに開始されたテストを拡張したもの(9to5Google記事)で、GoogleはGoogle Discoverの中で最初に「Short Videos」のカルーセルに表示された。DiscoverはGoogleモバイルアプリ内で見つけられるパーソナライズされたフィードで、一部のAndroid端末のホーム画面の左下にある。

念のためにいっておくと、この「ショートビデオ」カルーセルは、2020年10月にiOSとAndroid用のGoogle検索アプリに導入されたGoogle Stories(ストーリー)とは異なる。以前「AMP Stories」と呼ばれていたこれらの「ストーリー」は、GoogleのオンラインパブリシングであるForbes、USA Today、Vice、Now This、Bustle、Thrillistなどが制作した短編ビデオで構成されている。

一方「ショートビデオ」カルーセルは、他のプラットホームからのソーシャルビデオの集積にフォーカスしてきた。それにはGoogle自身の短編ビデオプロジェクトTangiや、インドでTikTokと競合しているTrell、そしてもちろんGoogle自身のビデオプラットホームであるYouTubeも含まれる。YouTubeは最近、ショートビデオの実験を行った

一方、「ショートビデオ」カルーセルは、Google自身の短形式ビデオプロジェクトであるTangi、インドのTikTokの競合であるTrell、Google自身のビデオプラットフォームYouTubeなど、他のプラットフォームからのソーシャルビデオを集約することにフォーカスしている(9to5Google記事)。YouTubeも最近、ショートビデオのテストを行っている

このカルーセルにInstagramやTikTokのコンテンツが含まれるようになったことは、Search Engine Roundtableが最初に報じた。彼らはGoogleアプリで「packers」を検索し、ページをスクロールダウンすることでこの機能にアクセスできたという。

そのやり方を再現すると、以下のようになる。

Googleの検索結果のスクリーンショット

Short Videosカルーセルは、Green Bay PackersのGoogle Knowledge Baseボックスをスクロールして通り過ぎると表示されスコア、Top Stories、Twitterの結果、Top Results、Images、Videosなどプレイヤーのリストや順位などのコンテンツが表示される。

Short Videosには、InstagramとTikTokのビデオがどちらも表示されていた。クリックすると、ソーシャルプラットフォームのウェブ版が表示される。ネイティブモバイルアプリではない(たとえデバイスにインストールされていても)。その結果、ビデオを見た後に検索結果に戻るのは、後ろの矢印をタップするだけなので、ユーザーはGoogleに留まる可能性が高くなる。

Googleは何年も前からビデオコンテンツのインデックスを作成しており、2015年にはTwitterと提携して検索結果のインデックスを作成した。しかし、Facebook / InstagramやTikTokとどの程度正式な関係があるのかは不明だ(これらの企業からコメントがあれば、アップデートする)。

Googleはこの計画について正式なコメントや詳細を避けたが、同社の広報担当者はTechCrunchに対して、この機能が現在、モバイルデバイスで試験運用されていることを認めた。彼らは、それが限定された初期段階の機能であることを明確にしている。いい換えれば、現在のところすべての検索クエリでビデオカルーセルが見つかるわけではない。しかし時間が経つにつれ、Googleがこのサービスを拡大していけば、ソーシャルメディアのトップビデオコンテンツをインデックス化して表示するための興味深いツールになるかもしれない。もちろん、プラットフォームがGoogleをブロックしない限りだが。

同社によると、この機能は現在、モバイルデバイス向けGoogleアプリとモバイルウェブで限定的に利用できるという。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:GoogleGoogle検索TikTokInstagramショートビデオ

画像クレジット:Google

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

子供向けのインタラクティブで教育的なビデオライブラリのTappityが1.4億円を調達

現代の子どもたちが、興味を持っている新しいトピックについて学びたいと思ったときに目を向けるのは、YouTube(ユーチューブ)であることが多い。しかし、子供たちが出会うYouTube上の個別教育コンテンツの品質には、当たり外れがある。130万ドル(約1億4000万円)のシードファンディングを受けた、デジタル教育スタートアップのTappity(タピティ)は、そこに代替手段を提供することを目指している。そのビデオライブラリは、子供が楽しめるインタラクティブなアニメーションビデオを提供していて、コンテンツ自体も最新の教育基準に沿うものになっていいる。

創業2年の同スタートアップを共同で起業したのは、CEOのChad Swenson(チャド・スウェンソン)氏、兄弟でCTOのTanner Swenson(タナー・スウェンソン)氏、そしてCPOのLawrence Tran(ローレンス・トラン)氏の3人だ。

画像クレジット:Tappity

(チャド・)スウェンソン氏によれば、Tappityのアイデアはインタラクティブな学習体験をデザインすることへの自身の関心から生まれたという。この関心は8年前に、高校生が進化について学習するためのインタラクティブコンテンツの制作につながった。それからの数年間、彼はこの領域でさまざまなコンセプトの実験を始めたものの、ベンチャー規模のものを計画したことはなかった。

しかし、やがてスウェンソン氏は、次世代科学スタンダード(NGSS)に基づいてコンテンツを開発する可能性に気付いたという。NGSSは、米国の複数の州が参加するコンソーシアムによって開発されたK-12(高校生まで)の科学コンテンツ基準で、現在全米での採用が拡大している。

「多くの親がYouTubeに代わるより健全な選択肢を探していました」とスウェンソン氏は言う。「私はそれが、もっと大きなものになると信じるようになったのです」。

また、子供たちが一般的に興味を持つ科学トピックは、宇宙、恐竜、地質学といった、NGSSが教えようとしていることに沿ったものであることが多いことにも気が付いた。

「Amazon(アマゾン)の上で子供たちに最も人気の高い本を見ただけで、おおきな気付きを得ることができました」とスウェンソン氏は付け加える。こうした書籍の大部分がSTEM(科学、技術、工学、数学)関連の題材に焦点を当てたものなのだという。

スウェンソン氏はフィンテックのスタートアップBill.com(ビル・コム)のコンサルティングをしていた時に、共同創業者となるローレンス・トラン氏と出会い、彼と弟のタナー・スウェンソン氏を説得してスタートアップの取り組みを始めた。

数年の間にTappityは、インタラクティブで教育的なビデオコンテンツを簡単かつ効率的に制作するためのツールを開発してきた。現在では、数千本のビデオで構成される、4歳から10歳までの子供向けの200以上の科学レッスンを用意している。

ビデオクリップ自体は事前に録画されたものだが、子供たちには画面上のキャラクターと1対1の対話をしているような感覚を与えることができる。たとえば、アプリの中の先生が何かを作っていてドライバーが必要となったときに、子供たちは先生の求めに従って、アプリ内でそれを手渡すことができる。だが同時に、子供たちにはそれ以外の楽しいオプションも与えられている。たとえばドライバーではなくテープを渡したり、ピザを投げつけたり。そうしたことに対して、先生は反応してくれる。アプリの中の先生は、たとえば、アプリ上で描いたものに反応するなど、他のやり方でも子供たちと関わることができる。

画像クレジット:Tappity

現在、Tappityの先生を務めるヘイリー・ザ・サイエンス・ギャル ことHaley McHugh(ヘイリー・マッキュー)氏は、10年以上の経験を持つ子供向けエンターテイメントの専門家で、宇宙、生命科学、地球科学、物理科学などのトピックにまたがるレッスンを指導している。

ビデオレッスンに加えて、子供たちはアクティビティの完了を促すアプリ内ポイントシステムに参加している。また、アプリは保護者向けのフォローアップメールも提供していて、親たちは子供たちが何を学んでいるのかを追跡して、さらに子供たちの興味をかきたてることができる。

COVIDの大流行と、バーチャルスクーリングによる視聴疲れを考慮して、Tappityはいくつかのレッスンにオフライン活動を取り入れるようにした。たとえば紙とペンを使ったお絵かきなどだ。また日曜日には、Tappityは親子で一緒にできるより多くのアクティビティを提供する。たとえばクッキーを焼いて、古代の大陸や火山を作ったりといった活動だ。

Tappityでは来年末までに1000時間以上、再来年末までには4000時間以上の動画コンテンツを作り出せると見込んでいると、スウェンソン氏はいう。

3人のチームがスタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネーター)に応募したとき、月平均9ドル程度のアプリ内サブスクリプションのおかげでTappityはわずかながらでも利益を出していた。現在同社は、5000人以上の有料顧客と2万人以上のウィークリーアクティブユーザーを抱えており、これまでに修了されたレッスンの数はのべ3000万回に及ぶ。

今回同社は、Y Combinator、Mystery Science(ミステリー・サイエンス)創業者のKeith Schacht(キース・シャハト)氏、Toca Boca(トカ・ボカ)創業者のBjörn Jeffery(ビョルン・ジェフェリー)氏、Brighter Capital(ブライター・キャピタル)(Yun-Fang Juan、ユンファン・ジュアン氏)、元Spotify CTOのAndreas Ehn(アンドレアス・アーン)らから130万ドル(約1億4000万円)のシード資金を調達した。

近い将来、Tappityはチームを拡大し、現在iOSでしか利用できないそのレッスンを、ウェブで利用可能にする予定だ。長期的な同社の目標は、インタラクティブな教育コンテンツの大規模なライブラリを作成することだ。

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(新型コロナウィルス感染症)COVIDの大流行により、VCはより多くのエデュテックスタートアップに投資するようになった(未訳記事)が、ポストCOVIDの世界におけるそうしたビジネスの継続性はまだ未知数だ。Tappityが、多くの遠隔学習システムや学校向けにデザインされたスタートアップと異なる点は、同社が学校システムへの販売に焦点を当てていない点だ。

「先生たちは、それを自主的に採用してきました。私たちは現在、それを学校に無料で提供しています」とスウェンソン氏は説明する。「でも、私たちが重視するのは親御さんとお子さんのニーズですので、学校向けには特別なリソースを割いてはいません。ニーズがかなり違いますので」と彼はいう。

TappityのアプリはiOSで利用可能(Apple AppStore)で、サブスクリプションなしでも使える無料コンテンツもいくつか含まれている。

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画像クレジット:Tappity
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(翻訳:sako)

TikTokの米国からの締め出しを裁判で差し止められたトランプ政権が控訴

裁判所への提出文書によると、合衆国政府は、トランプ政権によるTikTokの禁止を阻止する裁定に控訴している。12月7日に、合衆国地方裁判所判事Carl Nichols氏はワシントンで、国の安全への脅威としてTikTokアプリの米国のアプリストアからのダウンロードを停止しようとする商務省の試みを阻止する、二人目の米国判事になった

トランプ政権は、このビデオ共有アプリに対し、親会社がByteDanceであることによる中国所有と、TikTokの米国ユーザーのデータに中国政府がアクセスしている可能性により、懸念を唱えていた。この懸念が最終的に行き着いたところは、大統領令でTikTokを合衆国市場から締め出そうとするトランプ大統領の決定だった。

関連記事: トランプ政権のTikTok禁止措置に対する米連邦判事の2度目の判決、米政府の制限一時差し止め

対してTikTokは、法廷で大統領令と戦うと言明し、またそれと同時に、大統領令が認められた場合に備えて、米国事業を米企業に売る交渉に入った。

しかしながら、この件に関する12月7日の裁定の前にTikTokのクリエイターたちのグループが禁令との戦いに勝ち、そのときはペンシルベニアの合衆国判事Wendy Beetlestone氏が、TikTokの米国での操業を不可能にする大統領による制限を阻止する、差し止め命令を発行した。クリエイターたちは、大統領の禁令により、ブランドのスポンサーシップなど、このプラットホームが提供している収入機会を失う、と訴えた。

その禁令に続いてTikTokが起こした別の裁判でNichols判事は、トランプはアプリを合衆国から締め出そうとすることによって権力を濫用し、その行為は「恣意的で気まぐれである」と裁定した。

合衆国商務省のスポークスパーソンはこの裁定のとき、差し止め命令には従うが、「大統領令とその商務長官による実装を法のチャレンジから護る」、と言った。そして今日、控訴によってその言い分を実践した。ただし、合衆国がTik Tokの禁止努力を今後も続けるか否かは、次のバイデン政権の姿勢にかかっている。

今日の裁判所提出文書のニュースを最初に報じたのは、ロイターだ。TikTokは、控訴に対するコメントを拒否した。

商務省スポークスパーソンの声明は、次のとおりだ(12/28/20, 1:14 PM ET):

2020年12月7日にコロンビア特別区の合衆国地方裁判所は、大統領令(E.O.)13942の実行に対する全国的な仮差し止めを認めた。その大統領令は、商務長官が認めているTikTok/ByteDanceの禁じられたトランザクションに限定されている命令である。裁判所のこの裁定は2020年10月30日のペンシルベニア東部地区の合衆国地方裁判所による全国的仮差し止めと整合している。当省は、大統領令が完全に合法的で、国のセキュリティに関する正当な全国的関心を喚起することを、支持している。政府は差し止め命令には今後も従う所存であり、ただちのそのための行動を取っている。しかし同時に大統領令と、その商務長官による実装を法のチャレンジから積極的に護るつもりである。

【控訴状全文】

合衆国政府がTikTokの差し止めに対して控訴, TechCrunchより Scribd上に

画像クレジット: SOPA Images/Getty Images

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa