Spotifyは依然としてトップの音楽サービスだが、市場シェアは減少中

音楽ストリーミングは、世界中で成長を続けている。エンターテインメント調査会社MIDiAの新しいレポートによると、2021年第2四半期時点で5億2390万人が音楽ストリーミングサービスに加入している。前年から1億950万人(26.4%)の増加だ。

Spotify(スポティファイ)は依然として最も加入者数の多いストリーミングサービスで、マーケットの31%を占めているものの、そのシェアは非常にゆっくりと減少している。2020年は33%、2019年には34%だった。2021年第2四半期までの1年間で、Spotifyは競合他社よりも総加入者数を増やしたが、Spotifyの成長が20%だったのに対し、Amazon Musicは25%だった。一方、Google(グーグル)のYouTube Musicは2021年第2四半期までの1年間で50%以上成長し、欧米のストリーマーで唯一、世界マーケットにおけるシェアを伸ばした。Tencent Musicを運営する中国のゲーム大手Tencent(テンセント)は、Amazon Musicと同じシェアを有している。

画像クレジット:MIDiA

Amazon MusicとApple Musicのシェアは今後も伸びるかもしれない。というのも、同レポートは2021年第2四半期までしかカバーしていないため、5月にAmazonAppleにロスレスオーディオが導入された影響は表れていない。Spotifyは1年近く前に「CD品質のロスレスオーディオ形式」で音楽を提供するSpotify Hi-Fiというハイエンドのサブスクリプションを立ち上げる、と予告していた。しかし、同社はこのプロダクトがいつ利用できるようになるのか、まだ明らかにしていない。

それから、より高品質なオーディオ体験を求める消費者をターゲットにしてきたTidalがある。Tidalのロスレスオーディオの料金は月額9.99ドル(約1100円)で、Apple Musicと同額、Amazon Musicより月額2ドル(約230円)高いだけだが、MIDiAのレポートによると、Tidalの世界マーケットシェアは2%未満だ。Jay-Zが設立し、後にBlockが買収したTidalは「アーティストが意図したとおりに」(つまり、極めて優れた音質で)アーティストが音楽を共有できるようにするサービスとして売り込んでいる。

画像クレジット:Tidal

しかし、Blockの下では、アーティストに優しいストリーミングサービスという考え方は音についてだけではない。現在、同社は音楽ストリーミングをアーティストにとってより収益性の高いものにする方法を試行中だ。2022年に入り、TidalはHiFi Plus(月額19.99ドル[約2300円])という最も高いプロダクトにファン中心型のロイヤリティを導入した。このプロダクトでは、ユーザーの購読料の10%が、最もよく聴いているアーティストに直接支払われる。

この動きは、マスター品質のオーディオよりもアーティストへの支払いを重視する新規加入者の獲得につながるのだろうか。試してみる価値はあるだろう。なにしろ、(ユーザー中心型の支払いを実現しようと取り組んでいる)Deezerは丸々2%というTidalよりも多いシェアを手にしている。

画像クレジット:alengo / Getty Images under a RF license.

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】アクセシブルな雇用が「大量退職時代」の解決策となる

さまざまな業界で従業員が仕事を辞めている。最近では、米国で2021年に4人に1人が仕事を辞めたという調査がある。転職がコロナ禍の不安定な経済状況によるものか、仕事を取り巻く環境の見直しか、納得のいかない雇用主に対する反抗なのかなどが考えられるが、いずれにしても確かなことが1つある。米国では2021年11月時点で1000万以上の求人件数があるのだ。

求職者の中には障がい者も数多くいる。障がいのある労働者は新型コロナウイルスに関連する解雇の影響を不当に大きく受けたからだ。2020年3〜4月に、障がいのある労働者の数は20%減少した。多くの組織がすでにダイバーシティ、公平性、インクルージョンに対する取り組みを見直している中、採用担当者はアクセシビリティを「すべての人」を迎える職場づくりにとって重要な要素として認識する必要がある。

アクセシブルな採用活動は適切なことであり、ADA(Americans with Disabilities Act、障害を持つアメリカ人法)が求める要件だが、それだけではなく広範囲に及ぶ労働力不足を解消し、企業が優秀な多くの人材を集めることにもつながる。

しかし障がいのある応募者にアプローチする戦略を考える前に、それを邪魔する誤解をいくつか挙げておこう。

誤解:障がいのある人を雇おうとしたら、採用の基準を下げなくてはならない。

事実:障がいのある人が他の人より高いパフォーマンスを示すことは少なくない。しかも障がい者を雇用する企業では、インクルーシブなプロダクトを開発して新たな市場の獲得につながるイノベーションが進むため、結果として年間収益が28%多い。

誤解:障がいのある従業員は他の人に比べて欠勤が多い。

事実:障がい者の出勤率は他の従業員と変わらないか、むしろ高い。また、離職率も低い。離職率は2021年に生産性に大きな影響を与えた問題だ。

誤解:受け入れの配慮に費用がかかりすぎる。

事実:まず、配慮の56%には費用がまったくかからない。そして費用がかかる場合のうち50%は500ドル(約5万7000円)未満だ。さらに障がい者のインクルーシブな雇用からは利益の増加や株主還元も期待できるので、組織にとっては得るものばかりだ。

アクセシビリティの文化による好影響を組織が認識したら、次は障がいのある候補者の採用方法を考えることになる。採用方法の検討には、カリフォルニアに住む障がい者の権利向上に取り組むNPO法人、Disability Rights CaliforniaのLoule Gebremedhin(ルール・ゲブレメドヒン)氏とJennifer Stark(ジェニファー・スターク)氏によるガイドラインを利用するとよい。

第1段階:募集

組織内を客観的に見る

採用プロセスを始める前に、組織は内部をよく見る必要がある。現実を認識し、障がい者を戦力として雇用するだけではない。障がいのある従業員の専門性と経験を評価し、専門性の成長を支援する環境を作るということだ。

次の質問に対する答えを考えて、ゴールを明確にしよう。障がいに関する現在の自分たちの文化はどのようなものだろうか。成長と定着を受け入れる準備はできているだろうか。公平な雇用プロセスは自分たちの大きなゴールにどのようにつながるだろうか。

組織内では福利厚生も検討する必要がある。よく知られていることだが、候補者が入社を検討する際に充実した福利厚生が検討材料となることは多い。障がい者にとってその意味はさらに大きい。多くの場合、包括的な心身の医療保障制度が勤務先を選ぶ際に最も重視されるポイントだ。

リモートワークも重要な福利厚生だ。近年、我々は家で仕事をするメリットを目撃してきた。通勤にかかる時間や費用の減少、子育ての柔軟性、高い生産性などだ。障がいのある人にとっても同様で、さらに自分のニーズに合う仕事の環境を作れるメリットもある。例えば視覚障がい者は自分にとって最も見やすい部屋の明るさを決められる。

募集の準備を整える

次に、採用担当者は職務内容と応募書類を改訂して障がい者が応募しやすいようにする。「どのように」業務を遂行するかではなく、ゴールを達成するために必要な最終的なスキルを記述するように構成し直す。例えば「口頭での高いコミュニケーション能力」ではなく「効果的にコミュニケーションできる能力」とする。米国労働省の取り組みであるEmployer Assistance and Resource Network on Disability Inclusion(障がい者インクルージョンに関する雇用主向けサポートとリソースのネットワーク)が出しているガイドが、記述を改訂する際の参考になる。

障がい者にとって応募書類を見つけて記入することは極めて難しい。デジタル応募書類の多くはアクセシビリティの要件を満たしていないからだ。このままでは障がいのある応募者の数が少なくなってしまうだけでなく、組織にとってはADA違反という法的リスクとなりかねない。応募のプロセスに対応するアクセシブルなサイトやフォームを作る開発者向けのトレーニングとツールを活用するのが、コンプライアンスを維持しつつ対象となるすべての候補者が等しくアクセスできるようにするための手軽な方法だ。

第2段階:面接

前もって対応する

障がい者は対応を要請することに慣れている。しかし要請する必要がないとしたらどうだろうか。面接のプロセスであらかじめ求職者に対して配慮していれば、求職者にとってはその組織がアクセシビリティを重視していることの確認になる(そしてこれはADAの要件でもある)。

例えば対面での面接なら、車いす利用者が面接会場に問題なく到着できるかを考慮する。バーチャル面接なら、ミーティングのプラットフォームで最低でも自動キャプション機能を有効にできることを確認する。ライブキャプションや手話を利用できればなお良い。

採用責任者をトレーニングする

採用責任者の偏見が、障がい者雇用率の低さの根底にある。組織は障がいに関するエチケットと倫理の基本や、ADAに準拠した質問に関するトレーニングを実施することで、認知度を高め偏見をなくす上で積極的な役割を果たすことができる。採用チームに障がい者を含めることも、障がいに対する意識を高めることにつながる。

第3段階:オファー

障がいのある従業員を雇用する際には、組織は競争力があり候補者のニーズにも合うオファーを提示する段階を踏む必要がある。

  • 業界全体の同様の職務と同等の報酬であることを確認する:障がい者の報酬が不当に低いことはよくあり、最低賃金以下で障がい者が働くことを許す方針がいまだに残っていることを忘れないようにする。
  • 対応できるシステムを作る:採用予定者に対して、対応を要請できることを知らせる。また、その要請に応える方針を策定する。米国労働省が資金を提供し障がい者雇用のリソースとなっているJob Accommodation Networkは、どのように対応するかの知見を得るのに役立つ。
  • メンタリングと定着のプログラムを構築する:成長とリーダーシップを支援するために、専門のメンタリング、教育、ネットワーキングの機会を提供する。

この1年間で、組織は職場のダイバーシティ、公平性、インクルージョンに関して大きな進歩を遂げた。アクセシビリティはこうした考え方の一部であり、組織が包括的なゴールを達成するためのものととらえる必要がある。

適切な行動をとることからさらに進んで、障がいのある候補者を求め、その人が成功できる環境を提供する雇用プロセスを促進すれば、現在の人材不足を解消し、イノベーションを加速し、組織の文化を強くすることにつながる。

編集部注:本記事の筆者のMeagan Taylor(ミーガン・テイラー)氏はDeque Systemsのプロジェクトマネージャーで、ウェブを含め資本や機会に対する組織の障壁をなくすことに熱心に取り組んでいる。

画像クレジット:kyotokushige / Getty Images

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(文:Meagan Taylor、翻訳:Kaori Koyama)

テック大企業をターゲットにした米国初の独禁法案が現実味を帯びてきた

テック企業が自社の製品やサービスを優遇することを防ぐ米上院の大型の法案が、議会における重要なハードルを通過し、法制定に一歩近づいた。

上院司法委員会は米国時間1月20日「American Innovation and Choice Online Act(米国のオンラインでのイノベーションと選択のための法案)」を採決し、注目を集める反トラスト法案を上院本会議での採決へと前進させた。この法案は、5人の共和党議員が上院民主党議員に加わって法案を推進し、16対6で委員会を通過した。

同法案は、テックプラットフォームが「自社の製品やサービスを優遇したり、ライバル企業に不利益を与えたり、プラットフォーム上の競争に重大な損害を与えるような形でプラットフォームを利用する企業を差別したり」することを禁止する。また、支配的なプラットフォームが他のサービスとの相互運用性を妨げたり、プラットフォーム上の他社のデータを活用して競合することも禁じられる。

こうした目的を達成するため「American Innovation and Choice Online Act」は、反トラスト法執行機関に「強力で柔軟な手段」を与え「民事罰、広範な差止命令、緊急暫定措置、役員報酬の没収の可能性」などを認めている。

上院司法委員会競争政策・反トラスト・消費者権利小委員会の委員長Amy Klobuchar(エイミー・クロブシャー)上院議員(民主・ミネソタ州選出)は、この法案を「インターネットの夜明け以来」上院議場に向かう初のテック大企業競争法案だと称賛している。この法案は、1月20日には進行を妨げなかったものの、最終的な文言に影響を与える可能性がある、いくつかの修正で変更が見られるかもしれない。

混み合い、ほとんど失速している立法議題に盛り込むために上り坂をのろのろと進んでいる一方で、法案の勢いは顕著で、これを受けてGoogle(グーグル)とApple(アップル)は今週初めにコメントで意見を述べている。

「毎日、何百万人もの米国人が新しい情報を見つけて、物事を成し遂げるためにGoogle検索、Maps、Gmailのようなオンラインサービスを使用しています」と Alphabet(アルファベット)のグローバル問題担当社長兼最高法務責任者Kent Walker(ケント・ウォーカー)氏はブログ投稿に書いた。「……下院と上院で議論されている法案は、そうしたサービス、他の人気オンラインサービスを壊す可能性があり、その結果、今ほどに有用かつ安全なものでなくなり、そして米国の競争力を損ないます」。

Appleはまた、上院司法委員長Dick Durbin(ディック・ダービン)氏、共和党の有力委員Chuck Grassley(チャック・グラスリー)氏、反トラスト小委員会委員長クロブチャー氏と小委員会の有力メンバーMike Lee(マイク・リー)氏に手紙を書き、介入を模索した。

「ソーシャルメディアに関する複数の論争、長い間無視されてきた子どもへのリスクに関する内部告発、重要なインフラを妨害するランサムウェア攻撃を目撃した激動の年を経て、議会が米国人の個人デバイスのプライバシーとセキュリティの保護をはるかに困難にする措置を取るとしたら、それは皮肉です」とAppleの政府問題担当シニアディレクターのTim Powderly(ティム・パウダリー)氏は書いている。「残念ながら、これらの法案はそうなりそうなものです」。

2社は、別の法案「Open App Markets Act(オープンアプリ市場法)」とともに、この法案が消費者セキュリティに害を及ぼすと主張した。オープンアプリ市場法案は、OSを管理する企業にサードパーティーのアプリやアプリストアを認めさせ、開発者が消費者に対して、同じソフトをより安い価格で入手できる場所を教えることを認めるというものだ。

関連記事:モバイルアプリのアプリストア支配の打破で上院が新法案

1月17日の週に、Yelp(イェルプ)、DuckDuckGo(ダックダックゴー)、Sonos(ソノス)、Spotify(スポティファイ)、Proton(プロトン)、Match Group(マッチグループ)、スタートアップアクセラレーターのY Combinator(Yコンビネーター)を含むテック企業グループと、ベンチャーキャピタル企業のInitialized Capital(イニシャライズド・キャピタル)が、反自社優遇法案への賛成を表明した。

「米国や世界各国の政府の調査から、支配的なテック企業が、競争、消費者、イノベーションを阻害するゲートキーパーの地位を獲得して市場に定着させるために、多くの反競争的な自己優遇戦術を使用していることが明らかになっています」と、各社は記している。「The American Innovation and Choice Online Actは…デジタル市場の競争を回復し、消費者が望むサービスを選択できるよう、障壁を取り除くために自社優遇をターゲットにしています」。

テック産業の規制は、議会で超党派の協力を促す珍しい問題であり、そうした法案の進捗がまだ這うようなものだとしても、テック産業がそのビジネスに対する新しい規制を予想すべきものだ。

この法案は、上院議員のエイミー・クロブシャー氏(民主・ミネソタ州選出)とチャック・グラスリー氏 (共和・アイオワ州選出)が提出し、Dick Durbin氏 (ディック・ダービン、民主・イリノイ州選出)、Lindsey Graham氏(リンゼイ・グラハム、共和・サウスカロライナ州選出)、Richard Blumenthal氏(リチャード・ブルーメンソール、民主・コネチカット州選出)、John Kennedy氏(ジョン・ケネディ、共和・ ルイジアナ州選出)、Cory Booker氏(コリー・ブッカー、民主・ニュージャージー州選出)、Cynthia Lummis氏(シンシア・ルミス、共和・ワイオミング州選出)、Mark Warner氏(マーク・ウォーナー、民主・バージニア州選出)、Mazie Hirono氏(メイジー・ヒロノ、民主・ハワイ州選出)、Josh Hawley氏(ジョシュ・ホーリー、共和・ミズーリ州選出)、Sheldon Whitehouse氏(シェルダン・ホワイトハウス、民主・ロードアイランド州選出)およびSteve Daines氏(スティーブ・デインズ、共和・モンタナ州選出)が共同スポンサーになっている。

下院版の法案は、下院反トラスト小委員会の委員長David N. Cicilline氏(デイビッド・シシリー二、民主・ロードアイランド州選出)と有力委員のKen Buck氏(ケン・バック、共和・コロラド州選出)が主導し、すでに委員会を通過して投票の準備が整っている。

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界的チップ不足の中、インテルは2.3兆円でオハイオ州に2つの半導体工場を建設

Intel(インテル)は米国時間1月21日、オハイオ州コロンバス郊外に2つのチップ製造施設を建設する計画を明らかにした。この計画はまだ初期段階だが、現在も続く世界的なチップ不足に対処するため、あるいは少なくとも将来起こりうる問題に対処するために、最終的に200億ドル(約2兆2750億円)を投じて工場を建設する。

同社は、最初の工場について、すぐさま計画に着手し、年内に建設を開始するという大まかなスケジュールを描いている。工場は2025年に稼働し、40年ぶりの新製造拠点となる予定だ。計画通りに進めば、このプロジェクトの敷地は1000エーカー(約4平方キロメートル)となる見込みで、最大で8つのチップ工場を建設できるほどの広さだ。

CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏はニュースリリースで「本日の投資は、米国が半導体製造のリーダーシップを回復するための取り組みをIntelが主導する、もう1つの重要な方法となります。Intelの取り組みは、より強靭なサプライチェーンの構築に役立ち、今後何年にもわたって高度な半導体への確実なアクセスを保証するものです。Intelは、世界の半導体産業を強化するために、最先端の機能と能力を米国に戻そうとしているのです」と述べた。

同社の発表によると、建設段階では7000人の雇用を創出し、稼働後は3000人を常時雇用する。バイデン政権下のホワイトハウスは、1月20日に発表した声明の中で、今回のニュースを「アメリカ経済の強さを示すもう1つのサイン」として宣伝している

オハイオ州リッキング郡に建設される2つの最先端Intelプロセッサー工場の初期計画を示す予想図。2022年1月21日に発表されたこの200億ドルのプロジェクトは、広さ約1000エーカーで、単一の民間投資としてはオハイオ州史上最大となる。2022年後半に着工し、2025年末に製造を開始する予定(画像クレジット:Intel)

ホワイトハウスはまた、機会に乗じて、新型コロナウイルス感染症によって世界的にサプライチェーンが逼迫する中で、国内の研究開発と製造の加速を目指す政策をアピールした。サプライチェーン逼迫は一部の人には政権の敗北として映っている。

「この進展を加速させるため、大統領は議会に対し、半導体を含む重要なサプライチェーンのための米国のR&Dおよび製造を強化する法案を可決するよう促しています」と政権は書いている。「上院は6月に米国イノベーション・競争法(USICA)を可決し、政権は上下両院と協力してこの法案を完成させているところです。この法案にはCHIPS for America Actへの全資金拠出が含まれており、民間部門の投資をさらに促進し、米国の技術面でのリーダーシップを継続させるために520億ドル(約5兆9110億円)を拠出します」。

両党はまた、米国でチップを製造することのセキュリティ上の利点を宣伝した。これは間違いなく、前政権の主要ターゲットとなったHuawei(ファーウェイ)などのメーカーに対する監視の強化にちなんだものだ。Intelは「オハイオ州の拠点はまた、米政府特有のセキュリティとインフラのニーズに対応する最先端のプロセス技術も提供します」と述べている。

今回のニュースは、IntelがSamsung(サムスン)などの企業との競争激化に対処する一方で、Apple(アップル)などの企業がファーストパーティーの設計を優先してIntel製チップの採用を取りやめることを選択した中でのものでもある。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

ISSに宇宙初の映画スタジオを2024年までに接続する計画を米エンターテインメント会社が発表

国際宇宙ステーションに、映画スタジオやスポーツアリーナを備えたモジュールが、2024年12月までに接続される可能性が出てきた。このプロジェクトは、宇宙で一部撮影を行うTom Cruise(トム・クルーズ)の映画を共同制作しているSpace Entertainment Enterprise(スペース・エンターテインメント・エンタープライズ、SEE)が発表したものだ。Variety(バラエティ)によると、このSEE-1と呼ばれるモジュールが稼働すれば、テレビや映画の制作だけでなく、音楽イベントやある種のスポーツなどを開催し、それらを撮影したりライブ配信することができるようになる計画だという。

関連記事:NASAがトム・クルーズの映画に協力、ISS宇宙ステーションで撮影

実際にこのモジュールを建造するのは、2年前にNASAからISS初の商用モジュールの建造を受注したAxiom Space(アクシオム・スペース)が担当することになっている。すべてが順調に進めば、SEE-1はISSのAxiom Spaceが建造したアームに接続される。Axiom社のステーションは、SEE-1を取り付けたまま、2028年にISSから分離する予定だ。

関連記事:国際宇宙ステーションの商用化に向けてNASAが居住モジュールの設計をAxiom Spaceに発注

SEEとAxiomがこの計画を実行できるかどうかはまだわからない。なぜなら、SEEは施設の建造費用を明らかにしておらず、現在はその資金調達を計画している段階だからだ。

2021年、ロシアのクルーが初めて宇宙で長編フィクション映画を撮影し、トム・クルーズやDoug Liman(ダグ・ライマン)監督を出し抜いた。その映画「The Challenge(ザ・チャレンジ)」は2022年中に公開が予定されている。一方、クルーズとライマン監督は、2022年後半にISSで映画の撮影を行う予定だ。

関連記事:ロシアの映画監督と女優がISSに到着、12日間滞在し軌道上での映画撮影に挑戦

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のKris Holtは、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Space Entertainment Enterprise

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Metaの研究者が画像・音声・文字を同じように学習するAIを開発

AIの領域には常に進歩が見られるが、それは1つの分野に限定される傾向がある。例えば、合成音声を生成するためのクールな新方法は、人間の顔の表情を認識するための方法とはまた別の分野だ。

かつてのFacebook(フェイスブック)から社名が変わったMeta(メタ)の研究者たちは、もう少し汎用性のあるもの、つまり話し言葉、書かれた文字、視覚的な認識を問わず、自分でうまく学習することができるAIの開発に取り組んでいる。

AIモデルに何かを正しく解釈させるための伝統的な訓練方法では、ラベル付けした例を大量(数百万単位)に与えて学習させる方法が採られてきた。猫の写真に猫とラベル付けしたものや、話し手と言葉を書き起こした会話などだ。しかし、次世代AIの学習に必要な規模のデータベースを手作業で作成することは、もはや不可能であることが研究者たちによって明らかにされたため、このアプローチはもはや流行遅れとなった。誰が5000万枚の猫の写真にラベルを付けたいと思うだろうか?まあ、中にはそんな人もいるかもしれないが、しかし、一般的な果物や野菜の写真を5000万枚もラベル付けしたい人はいるだろうか?

現在、最も有望視されているAIシステムの中に「自己教師型」と呼ばれるものがある。これは、書籍や人々が交流している様子を撮影したビデオなど、ラベルのない大量のデータを処理し、システムのルールを構造的に理解するモデルだ。例えば、1000冊の本を読めば、単語の相対的な位置関係や文法構造に関する考え方を、目的語とか冠詞とかコンマが何であるかを誰かに教えてもらうことなく、学ぶことができる。つまり、たくさんの例から推論して得るということだ。

これは直感的に人間の学習方法に似ていると感じられ、そのことが研究者が好む理由の1つになっている。しかし、このモデルも依然としてシングルモーダルになる傾向があり、音声認識用の半教師あり学習システムを構築するために行った作業は、画像解析にはまったく適用できない。両者はあまりにも違いすぎるのだ。そこで登場するのが、「data2vec(データトゥベック)」というキャッチーな名前が付けられたFacebook/Metaの最新研究だ。

data2vecのアイデアは、より抽象的な方法で学習するAIフレームワークを構築することだった。つまり、ゼロから始めて、本を読ませたり、画像をスキャンさせたり、音声を聞かせたりすると、少しの訓練で、それらのことを学習していくというものだ。それはまるで、最初は一粒の種だが、与える肥料によって、水仙やパンジー、チューリップに成長するようなものだ。

さまざまなデータ(音声、画像、テキスト)で学習させた後にdata2vecをテストしてみると、その分野のモダリティに対応した同規模の専用モデルと同等か、あるいは凌駕することさえあったという(つまり、モデルがすべて100メガバイトに制限されている場合は、data2vecの方が優れているが、専用モデルはさらに成長すればdata2vecを超えるだろう)。

「このアプローチの核となる考え方は、より総合的に学習させるということです。AIは、まったく知らないタスクも含めて、さまざまなタスクを学べるようになるべきです」と、チームはブログに書いている。「data2vecによって、コンピュータがタスクを遂行するためにラベル付きデータをほとんど必要としない世界に近づくことも、私たちは期待しています」。

Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)CEOはこの研究について「人は視覚、聴覚、言葉を組み合わせて世界を体験しています。このようなシステムは、いつの日か私たちと同じように、世界を理解することができるようになるでしょう」とコメントしている。

これはまだ初期段階の研究であり、突如として伝説の「総合的なAI」が出現すると期待してはいけない。

しかし、さまざまな領域やデータタイプに対応する総合的な学習構造を持つAIを実現することは、現在のような断片的なマイクロインテリジェンスの集合体よりも、より優れた、よりエレガントなソリューションであるように思われる。

data2vecのコードはオープンソースで、事前に学習されたいくつかのモデルも含めてこちらで公開されている

画像クレジット:Andriy Onufriyenko / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コードとその変更を視覚化可視化するCodeSeeがセカンダリーシードで約8億円調達

CodeSeeは、コードベースのすべてのパーツがどのように組み合わされているかを開発者が理解するのを助ける一連のツールを構築している、その名にふさわしいスタートアップだ。米国時間1月20日、同社は2020年に受け取った300万ドル(約3億4000万円)に加え、700万ドル(約8億円)のセカンダリーシードを発表した。このラウンドは、新たな投資家である Wellington Access Ventures、Plexo Capital、Menlo Ventures に加え、最初のシード投資に参加した複数の業界エンジェルも加わっている。

同社のCEOで共同創業者のShanea Leven(シャネア・リーベン)氏によると、同社はコードベース全体を理解するという、どの開発者もその経験レベルに関係なく、特に新しいコードベースに出会ったときに苦労する問題を解決しようとしているという。

「初めて見るコードベースに対して、誰でも一種の恐れを感じ、圧倒されてしまいます。自分がこのコードベースに貢献できるという自信が持てるのは、かなり後になってからです。どんなに経験を積んでいても、そうです。誰にでもひるむ時があり、またコードベースは毎日変化するため、理解が追いつかないこともあります」とリーベン氏はいう。

リーベン氏によると、同社は2021年9月に同社のオープンソースのOSS Portプロジェクトを取材してからも成長が続いており、現在、数社と一緒にテストしている有料バージョンももうすぐリリースできるという。

関連記事:CodeSeeが開発者によるコードベースの可視化を支援するオープンソースプロジェクト「OSS Port」を開始

「これまで作ってきたチームやエンタープライズ向けのバージョンは完成間近です」とリーベン氏はいう。またReview Mapsという新しいツールも開発中で、これはGitHub上でコードベースに変化が生じたらそれらを視覚化するというものだ。変更されたファイルをアルファベット順にリストにする従来の方法では、どこがどう変わったのか、それが全体にどのように影響するのかわかりづらい。そこでReview Mapsは、その名のとおりリストではなく変化のマップを提供する。

「あなたがコードベースに有意義な貢献を提供できるようになり、最初のプルリクエストを書けるようになったら、それはあなたが行なうコードの最初の変更であるため、コードベース全体のコンテキストの中でその変化を視覚化できることが重要です」。大規模で複雑なプロジェクトでは、何百件もの変更が毎日のようにプッシュされているため、これはなお一層重要だ。

「600ものファイルが変更されたコードレビューを見ると、非常に気が遠くなってしまいます……。なので、コードレビューがこれほど大きくなると、ほとんどの人はレビューしないようになります。しかし、私たちなら、自分の変更点を確認することができます。ズームアウトして全体像を見ることもできます。自分の変更がコードベースにどのような影響を及ぼすのか、全体像を把握することができるのです。これは、開発者にとって非常に嬉しいことです」とリーベン氏はいう。

現在、同社の従業員数は13名で、2022年中に5〜6名の増員を予定している。

画像クレジット:Yumi mini/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ソニーSpresense向けのアドオンボード「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード」をスイッチサイエンスが販売中

ソニーSpresense向けのアドオンボード「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード」をスイッチサイエンスが販売中

スイッチサイエンスは1月20日、LPWAとGNSSアンテナコネクターを実装した「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード」の販売を同社ウェブショップで開始した。直販価格は1万2650円(税込)。

また同製品は、通信に必要なアンテナ(別売)を組み合わせ、ELTRES通信機能を搭載したエッジAIユニットとして利用可能。LPWA用「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード対応 LPWAアンテナ」、GNSS用「uFL接続 15mm GPS用アンテナ」の2種類を用意している。直販価格は、LPWAアンテナが770円(税込)、GPS用アンテナは616円(税込)。

画像左が「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード対応 LPWAアンテナ」、画像右は「uFL接続 15mm GPS用アンテナ」

画像左が「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード対応 LPWAアンテナ」、画像右は「uFL接続 15mm GPS用アンテナ」

SPRESENSE用ELTRESアドオンボードは、ソニーセミコンダクタソリューションズが開発したIoT用ボードコンピューター「Spresense」(スプレッセンス。別売)に追加して使用する拡張ボード。最大4カ月のELTRES回線とデータ解析ツール(CLIP Viewer Lite)が付属している。ELTRESは、ソニーセミコンダクターソリューションズが開発した、長距離安定通信・高速移動体通信・低消費電力という特徴を備えるLPWA(Low Power Wide Area)の無線通信規格。ソニーSpresense向けのアドオンボード「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード」をスイッチサイエンスが販売中ソニーSpresense向けのアドオンボード「SPRESENSE用ELTRESアドオンボード」をスイッチサイエンスが販売中

ELTRES回線とデータ解析ツール(CLIP Viewer Lite)利用料

  • 最大4カ月無料(ELTRES通信間隔:1分)
  • 別途1年間の契約により、通信間隔を1分と3分から選択可能(税込)
    ・初期登録料 1分間隔:5940円、3分間隔:4752円
    ・年間利用料 1分間隔:3960円、3分間隔:2178円

データ解析ツール(CLIP Viewer Lite)機能

  • 時系列のデータ閲覧
  • 制御用ドライバーやサンプルソースのダウンロード
  • APIによるアプリケーション連携

マイナンバー特化のデジタルソリューションを提供するxIDが総額2億円調達、金融・保険領域でのサービスを加速

マイナンバーカードに特化したデジタルIDソリューション「xID」(Android版iOS版)を提供するxID(クロスアイディ)は1月19日、第三者割当増資による総額約2億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、スカラ、セゾン・ベンチャーズ(クレディセゾンのCVC)、SOMPO Light Vortex(SOMPOホールディングスのデジタル事業子会社)。

デジタルIDソリューション「xID」は、ユーザー向けの「xIDアプリ」と、開発者向けのAPI based SaaS「xID API」からなる。xIDアプリについては、初回登録時にマイナンバーカードの署名用電子証明書をスマートフォンのNFCで読み取り、本人確認後IDを生成することでより手軽に本人認証や電子署名が可能になるというもの。

また同社は、金融・保険領域を中心として、マイナンバーカード・xIDアプリを利活用したサービスの推進・加速に向け、各企業と以下取り組みを主とした協業・提携を進め、この連携を強固なものとするため資本提携を行った。

各社との取り組み

  • スカラ:スカラグループでは、主要顧客である大手企業、自治体向けに数多くのデジタルプラットフォームを開発、提供している。今後様々な業界で本格化するオンラインでの本人確認・電子署名・電子契約において、マイナンバーカードと連携した「xIDアプリ」を活用した次世代のデジタルプラットフォームの企画・開発の協業を推進する
  • クレディセゾン:クレディセゾンが発行するクレジットカード申し込み時の本人確認手続きに、xIDのデジタルIDソリューションを導入。ペイメント領域・ファイナンス領域において、次世代デジタルIDを活用した様々な協業に取り組む
  • SOMPO Light Vortex:行政との連携によるパーソナルデータのデータ分析や活用推進、住民の利便性向上につながる非保険領域でのデジタルサービスの提供に取り組む

2012年5月設立のxIDは、「信用コストの低いデジタル社会を実現する」をミッションとするGovTech領域のスタートアップ企業。2020年4月より「マイナンバーカードを、スマートに。」をサービスミッションに掲げ、xIDアプリとxID APIの提供のほか、デジタルIDを活用した民間・行政向けシステム開発を事業として展開。2021年12月には、アプリの大幅なUI・UXの改善と、API機能をアップデートしたxIDバージョン4.0をリリース。マイナンバーカードの署名用電子証明書による電子署名機能の提供も開始した。

2022年1月現在、xIDは全国の200を超える自治体において電子申請サービスなどで利用されているという(無償トライアル期間中の自治体を含む)。

新規事業・イノベーションに必要なつながりを提供するCtoCマッチングサービスSpreadyが1.1億円のプレシリーズA調達

新規事業に必要な情報とのつながりを提供するプラットフォーム「Spready(個人向け企業向け)」を運営するSpreadyは1月20日、プレシリーズAラウンドとして、第三者割当増資による総額1億1000万円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、HRテック投資事業有限責任組合、ベルテクス・パートナーズ、Relic、NEWh、CRGインベストメント、およびエンジェル投資家2名など。累計資金調達額は1億8000万円となった。調達した資金は、人材採用、利用企業・ユーザーの獲得に向けたマーケティング費用にあてる予定。

2018年5月設立のSpreadyは、日本のイノベーションに必要な出会いをワンストップで提供できるプラットフォーム構築を目指すスタートアップ企業。

同社が提供する「Spready」は、新規事業を創出しようとする企業と、その対象領域について知見を持った人材などとのマッチングを行うサービスという。独自の特徴として、「CtoC」体裁であることが挙げられる。これは、利用する企業が「新規事業のテーマ」と「会いたい人」について掲載すると、登録個人ユーザーが「会いたい人」の条件に該当する自分の知人・友人などを探して紹介するというもの。大手企業による新規事業の情報を閲覧できることから、ビジネス感度の高い個人ユーザーが登録しているという。登録個人ユーザー数は4343名、またのべ283社が利用している(それぞれ、2022年1月20日現在)。

もう1つの特徴として、個人ユーザーが紹介を行った際のインセンティブとして、金銭報酬を設定していない点がある。その代わり、新商品や話題のサービスが試せる独自のリワードプログラムを用意している。

二要素認証の危殆化でハッキングされた暗号資産取引所Crypto.com、被害は約38.7億円以上に

Crypto.com(クリプト・ドットコム)は、先週末に同社のプラットフォームで発生した最近のハッキングについて、米国時間1月20日ウェブサイト上の声明で新しい詳細を共有し、483人のユーザーが影響を受け、1500万ドル(約17億円)相当以上のETH(イーサリアム)、1900万ドル(約21億6400万円)相当のBTC(ビットコイン)「その他の通貨」6万6200ドル(約750万円)相当の不正な引き出しが発生したと発表した。現在の暗号資産価値で3400万ドル(約38億7300万円)以上の価値がある総損失は、Crypto.comが声明を発表する前にアナリストが予測したものよりもさらに高いものだ。

同社の事後報告は、CEOのKris Marszalek(クリス・マルザレック)氏がBloomberg TVとのインタビューで侵害を認めたわずか1日後に行われた。彼の確認は、資金を盗まれたと訴える複数のCrypto.comユーザーから苦情が寄せられた後に行われた。それまで同社は「インシデント」としか言及せず、曖昧な対応に終始していたのだ。マルザレック氏はインタビューの中で、侵害がどのように発生したかについての詳細を共有していなかったが、彼はCrypto.comが影響を受けたすべてのアカウントに払い戻したことを認めていた。

本日の声明によると、Crypto.comは米国時間1月17日に「2FA(二要素)認証操作がユーザーによって入力されることなく取引が承認されていた」という疑わしい活動を検出したとのことだ。サイトは問題を調査するために14時間すべての引き出しを停止した。

Crypto.comは、攻撃者がすべてのユーザーに義務づけられている二要素認証を呼び起こさずに取引を承認することができた方法については述べていない。TechCrunchが詳細を問い合わせたところ、同社は今日発表された声明以外には、この侵害についてコメントすることを拒否した。

同社は「すべての顧客の2FAトークンを失効させ、追加のセキュリティ強化策を追加した」後、顧客にプラットフォームにログインして2FAトークンを再度設定するよう求めたと述べている。追加措置には、新しい引き出し用住所の登録と最初の引き出しの間に24時間の遅延が義務づけられているため、ユーザーは通知を受け、引き出しが不正と思われる場合はCrypto.comチームに連絡して「反応し、対処する十分な時間」を確保することになる。

同社は侵入後、内部監査を実施し、第三者のセキュリティ会社と契約してプラットフォームのチェックを行ったという。セキュリティ強化のため、2FAから「真の多要素認証」に移行する計画を発表したが、この変更の予定スケジュールは示していない。

Crypto.comはまた、2月1日から「一部の市場でWorldwide Account Protection Program(WAPP)」を導入すると発表した。これは、不正引き出しが発生した場合「認定ユーザー」に対して最大25万ドル(約2800万円)まで資金を回復するプログラムである。このプログラムの適用を受けるには、ユーザーは、多要素認証が利用可能なすべての取引タイプで多要素認証を有効にしなければならない。また、報告された不正取引の少なくとも21日前にアンチフィッシングコードを設定し、警察に被害届を提出し、それをCrypto.comにも提供し、鑑識調査に協力するための質問事項に答えなければならない。さらに、ジェイルブレイク(脱獄)デバイスを使用していないことが必要だと同社は述べている。

Crypto.comは世界第4位の暗号取引所だが、ここ数カ月は米国市場に強くアプローチしており、俳優のMatt Damon(マット・デイモン)を起用したバイラル広告や、ロサンゼルス・レイカーズとクリッパーズアリーナの命名権7億ドル(約797億円)の購入などのスタントを行っている。自社のことを「最も急成長している」暗号取引所と呼び、今週初めにはこの分野のアーリーステージのスタートアップを支援するために、ベンチャーキャピタル部門を5億ドル(約569億円)に拡大しました。今週の侵害事件と同社の対応の遅れによって、米国内での成長が停滞する恐れがある。

関連記事:Crypto.comのCEOが数百の顧客アカウントがハッキングされたことを認める

画像クレジット:Seb Daly / RISE via Sportsfile Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Akihito Mizukoshi)

2月のイベントに向けてサムスンがGalaxy SとNoteの融合を予告

2021年夏、Samsung(サムスン)は10年ぶりに新型Noteデバイスを発売しないことを発表した。ハードウェアの巨人がフォールダブルに焦点を移すことを認めたため、愛されてきたこのファブレットの未来については、大きく、未解決の問題だった。

さらに、Samsungの主要なフラッグシップであるGalaxy Sシリーズは、Noteとの境界線を着実に曖昧にしてきている。「今回、新しいGalaxy Noteを発表する代わりに、我々はNoteデバイスで愛されてきた機能をさらに多くのSamsung Galaxyデバイスに広げていく」と、同社の社長は当時書いていた。

そのため、Sシリーズの画面サイズは年々着実に大きくなり、2021年1月にはS21 UltraでS-Pen機能が追加された。8月には、Galaxy Foldシリーズに独自のスタイラスを追加し、Noteは静かに廃止されるのではないかと考える人もいた。

CESを終え、MWCを目前に控えた今、私たちはUnpacked開催時期の範囲に突入していることに気づいた。毎年、Sシリーズの最新機種が発表される時期だ。Roh(ロー)氏は、2011年当時、その5.3インチディスプレイがいかに小さな混乱を巻き起こしたかを回想し、Noteの生涯を祝うやや曖昧な表現を用いた投稿をまたもや行っている。IFAでの発表の場にいなかった人たちのために触れておくと、当時、大画面のスマホは今よりもずっと大きく、厚いデバイスを意味していたのだ。

この投稿は、同社のフォルダブルのためにより多くのスペースを作るために、2つのフラッグシップが適切な統合を果たしたことを強く示唆している。

「SamsungのGalaxy端末が新しく進化するたびに、私たちはモバイルカテゴリー全体を再定義するような機能を導入してきました。そして、私たちは再び業界のルールを塗り替えようとしています。2022年2月のUnpackedで、私たちがこれまで作った中で最もnoteworthy(注目に値する[編集部が強調])Sシリーズのデバイスを紹介します。私たちのSamsung Galaxyの最高の体験を1つの究極のデバイスに集約した、次世代のGalaxy Sがここにあります」。と同幹部は書いている。

この中の「Noteworthy(注目に値する)」という言葉は、この文脈では多くのことを意味する可能性がある。一番わかりやすいのは、S22 UltraがS22 Noteになることだと思われる。それは、適切なスタイラススロットを意味するのだろうか?ライン全体にSペンが統合されると思っていいのだろうか?私は、この投稿が「注目に値するデバイス」という単数形を使っていることから、その可能性は低いと考えている。これらのデバイスを取り巻くリークの頻度を考えると、早期に回答されるかもしれないし、回答されないかもしれないが、まだイベントまでのリードでいくつかの大きな疑問が残っている。また、夜間や低照度での撮影の改善や、近年同社が重要視しているサステイナブルデザインの採用も予定されている。

Samsungは、新しいスマートフォンと無名のGalaxyタブレットの予約開始を控え、消費者の興奮とブランドロイヤルティがユーザーを乗せるのに十分であるということに再び賭けているのだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ネットフリックスの加入者数の伸びは2015年以来の低水準

2021年に「イカゲーム」のような世界的なヒット作を生み出したにもかかわらず、Netflix(ネットフリックス)の第4四半期の収益は、競合他社に対するリードを維持に苦労していることを示している。今四半期の新規加入者数(830万人)は同社の予測(850万人)を下回った。また、2022年第1四半期の加入者数は、2021年の400万人からわずか250万人に減少すると予測しされている(同社によれば、今四半期は「後半になって盛り上がるコンテンツが増えたからだ」からだという)。全体的に見て、2022年は加入者数の増加率が減少傾向にあるが、2015年以降で最も低い増加率となり、パンデミックで急成長した2020年の数字からは約半減している。

画像クレジット:Netflix

同社は株主への書面に「消費者はエンターテインメントに使う時間にいつでも多くの選択肢を持っていました。世界のエンターテインメント企業が独自のストリーミングサービスを開発しているために、ここ24カ月の競争は激化の一途をたどっています」と書き「この競争が(同社の)芳しくない成長に影響を与えているかもしれない」ことを認めた。

Netflixの総加入者数は約2億2200万人だが、(HuluやESPNも所有している)ディズニーのような大規模なコングロマリットは、より積極的なペースで拡大を続けている。ディズニーは2021年末に、Hulu、Disney+(ディズニープラス)、ESPN+の合計加入者数が1億7900万人となり、2023年度までにはDisney+が利用できる国の数を倍増させる予定だ。ディズニーはまた、消費者直販のストリーミングを国際的に展開するために、 International Content and Operations (インターナショナル・コンテンツ&オペレーション)グループの設立を発表した。HBO Max(HBOマックス)も伸びている。同社によると、2020年5月のサービス開始以来、2021年12月が最も視聴された月だったという。

関連記事:ディズニーが動画配信事業を再編、国際的戦略のハブとなる新グループを設立

Netflixは先週、米国とカナダでの利用料金を引き上げることを発表したが、一方で巨大なエンターテインメント市場で6年間にわたり低迷していたインドでは、利用者を増やすために、利用料金を引き下げた。Netflixは、もう1つの新しい収益源であるゲームにも挑戦している。同社は最近、ゲームスタジオNight School(ナイト・スクール)を買収し、大ヒット番組である「Stranger Things(ストレンジャー・シングス 未知の世界)」のような自社IPをベースにしたゲームを開発している。今週の最大のテック記事が物語るものは、ゲームは非常に儲かるということだ。予想どおり、Netflixは2022年にゲームのポートフォリオを拡大すると言っている。

関連記事:マイクロソフト、7.8兆円でゲーム大手Activision Blizzardを買収へ

Netflixが会員を拡大するためのもう1つの新しい戦略は、コンテンツマーケティングだ。同社は2021年12月にTudum(トゥダム)という名のウェブサイトを立ち上げ、Netflixオリジナル作品に関する独占コンテンツを共有するために、Allure(アルーア)、Vanity Fair(バニティ・フェア)、Bitch Media(ビッチ・メディア)などのエンターテインメントジャーナリストや編集者を採用している。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:sako)

グーグル、2024年に新ARヘッドセットを計画か

正直なところ、Googleが独自ARヘッドセットを開発していないほうが驚きだ。The Vergeの記事によると、Googleは2024年の出荷を目標に拡張現実(AR)へ進出するためのハードウェアを計画しているという。これはMetaとAppleに対抗するためだ(後者はこの分野へ進出するとかなり長い間、噂されている)。

今回の記事では、内部ソースと求人情報の組み合わせが引用されているが、それはオンボードの処理能力の一部をリモートサーバーにアウトソースするであろうカスタムチップ(最新のPixelのような)上で新しいオペレーティングシステムを実行しているデバイスを指しているようだ。これは同社のリモートゲーム開発プロジェクト「Google Stadia」とも一致するもので、これまで好意的に受け止められてきた。5G回線に依存するか、接続されたスマホを利用することになると思われる。クラウドゲーミングの取り組みと同様に、屋外での装着を想定して設計された製品では、遅延が問題になる可能性がある。

GoogleのARとVRへの取り組みは、複雑な様相を呈している。同社は2015年、一般販売開始から1年も経たないうちにGlassの販売を終了している。価格と限られた機能の両方が、半世紀以上も早すぎたかもしれない製品の大きな失敗理由だったと指摘されていた。

同社はその後、MicrosoftのXR製品であるHoloLensにより近いかたちで「Google Glass Enterprise Edition」を通じ、この技術を異なるモデルにシフトしている。現在、ARはまだ主流とはなっていないが、Microsoftは、米陸軍と12万台のヘッドセットに関して結んだ220億ドル(約2兆5040億円)の大規模なパートナーシップのおかげで、このカテゴリでいくつかの成功を収めている。

Project IrisはGoogleの開発部門の奥深くに存在しているようだ。Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)CEOは驚くほど口を閉ざしており、将来のARに関する議論では冷淡な態度さえみせている。「しばらくの間、我々は長期的なためにコンピューティングを通して考えることに深く集中してきました。アンビエントコンピューティングについて話してきましたが、携帯電話を超えて、他のフォームファクターが成功するのは時間の問題でしょう。そして、ARはその未来のエキサイティングな部分です」と、最近の決算説明会で述べている。

はっきりしているのは、Googleは波が押し寄せるのを察知し、その一端を担おうとしていることだ。いくつかのつまずきはあるものの、同社は魅力的な製品、つまり拡張現実を高額な大企業向けだけでなく、一般消費者向けでもある製品を提供できる立場にある。

TechCrunchは、この件に関してGoogleにコメントを求めている。

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

地球温暖化が進み気温が4度上昇すると、「大気の川」による「経験したことのない大雨」が春には約3倍に増えると判明

地球温暖化が進み気温が4度上昇すると、「大気の川」による「経験したことのない大雨」が春には約3倍に増えることが判明筑波大学は1月18日、熱帯から中緯度へと大規模な水蒸気が川のように流れ込む現象「大気の川」(atmospheric river)と東アジアでの豪雨との関係を、気象庁気象研究所との共同研究で明らかにした(筑波大学生命環境系 釜江陽一助教、気象庁気象研究所 川瀬宏明主任研究官)。気温が4度上昇すると、大気の川によって生じる「経験したことのない大雨」は、春には約3倍に増えるという。

北米西岸や欧州では、大気の川が豪雨を引き起こすことはわかっていたが、それ以外の地域で大気の川が生じるメカニズムや、地球温暖化が進行したときの活動の変化に関する理解は進んでいなかった。これまでに研究グループは、東アジアにおける過去60年間の日々の大気の川の振る舞いを調査し、降雨強度のデータとの比較を行い、その発生頻度と強度を明らかにした。また、大気大循環モデルを用いた大規模アンサンブル実験で、地球温暖化が進行すると、大気の川がより頻繁に東アジアを通過するようになることも突き止めていた。

東アジアを通過する「大気の川」の例。2021年4月3日21時に北日本に接近した温帯低気圧(等値線)に伴って、大量の水蒸気が流れ込む(色と矢印)「大気の川」(赤線の範囲)が通過した際の様子

東アジアを通過する「大気の川」の例。2021年4月3日21時に北日本に接近した温帯低気圧(等値線)に伴って、大量の水蒸気が流れ込む(色と矢印)「大気の川」(赤線の範囲)が通過した際の様子

これらの成果を踏まえ、研究グループは、東アジアを対象とした高解像度(水平解像度20km)の地域気候モデルを用いた解析により、大気の川たもたらす豪雨の特性が、地球温暖化によってどう変化するかを調査した。その結果、現在よりも気温が摂氏4度上昇すると、豪雨の発生頻度が、春には約3.1倍、夏には約2.4倍に増えることがわかった。

水平解像度20kmの地域気候モデルを用いた、春季におけるシミュレーション結果例。地球温暖化時に豪雨に相当する強い雨の頻度が増え(左図)、そのうちの大部分が「大気の川」によってもたらされる(右図)

水平解像度20kmの地域気候モデルを用いた、春季におけるシミュレーション結果例。地球温暖化時に豪雨に相当する強い雨の頻度が増え(左図)、そのうちの大部分が「大気の川」によってもたらされる(右図)

大気の川は、標高の高い山地の南西斜面にぶつかり強い雨を降らせる。その際の降雨強度を検証すると、気温が4度上昇した地球温暖化時に発生する豪雨のうち、春は77%、夏は46%が大気の川によって生じるものであることもわかった。北アルプスの上空を通過する水蒸気の流れは、地球温暖化時には「経験したことのない大雨」を振らせるが、その大部分が大気の川の通過によるものとなる。特に台風の接近が少ない春においては、「経験したことのない大雨」のうち大気の川によるものの割合は89%にのぼるという。

この研究により、地球温暖化にともない「経験したことのない大雨」が増えることが予測され、そこに大気の川が重要な役割を果たすことが、世界で初めて解明された。大気の川がもたらす降水特性について、また台風や線状降水帯との相互作用について解明を進めることで、豪雨災害の予測の精度を向上させ、対策に役立てることができるということだ。

画像クレジット:Clay LeConey on Unsplash

チューリッヒ工科大学の四足歩行ロボットANYmalがハイキングに挑戦

ここ数年、ロボット研究者たちが有脚ロボットで実現した成果は驚くべきものばかりだ。2021年7月にオレゴン州立大学はCassieを5km走らせたのは記憶に新しいところだが、今週、チューリッヒ工科大学の研究者たちは、ANYmalロボットが近くの山を登る訓練でその身体能力を伸ばしたと発表した。

訓練した四足ロボット(Boston Dynamicsの製品をどうしても連想させる形状の)は、近くのエッツェル山という標高1098メートルの山頂を歩くように訓練されている。このロボットは、120メートルの標高差がある山道を31分間で歩くことができたという。これは、人間のハイカーの標準的な歩行時間よりも4分も速い。さらにつまずいたり、踏み外したりすることなく、このロボットがタスクを達成したということは、多くの人間が思う以上にすばらしいものだ。

研究者たちによると、この偉業は制御方式の変更で達成できたとのことで、科学誌でも紹介された。方式は、画像による視覚と触覚のフィードバックを組み合わせたというもので、この組み合わせにより、ロボットはハイキングではよくある視野が限られた凹凸のある地面を楽に歩けるようになる。このフィードバックをもとに、ロボットはどの程度慎重に歩けばいいのかなどを判断する。この技術は、四足歩行ロボットが山を登る前に、まず仮想環境で試された。

研究リーダーのMarco Hutter(マルコ・フッター)氏は、「このロボットは、視覚による環境認識と、脚の直接接触に基づく固有感覚(触覚)を組み合わせることを学びました。これにより、より速く、より効率的に、そして何よりも堅固に悪路に望むことができるのです」という。ANYmalは将来、人間にとって危険な場所や、他のロボットでは通れないような場所でも使用できるようになるだろう。

不整地での安定した歩行は、四足歩行ロボットにおける重要な研究開発課題だ。このようなリアルタイム処理の活用は、最終的には、人間を危険から守るために危険な状況に送り込まれるロボットに役立つと考えられている。

画像クレジット:Takahiro Miki/ETH Zurich

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

膨大な量のデータのクラウド移行をローコードで実現するProphecyが約28.4億円調達

米国時間1月20日、データエンジニアリングのローコードプラットフォームであるProphecy.ioが、Insight PartnersがリードするシリーズAのラウンドで2500万ドル(約28億4000万円)を調達したと発表した。既存投資家であるSignalFireとBerkeley Skydeck、および新たな投資家Dig Venturesもこのラウンドに参加し、同社の総調達額は3100万ドル(約35億3000万円)になった。

Prophecyのユーザーエクスペリエンスの核は、データエンジニアやアナリストがワークフローを構築するためのビジュアルインターフェースとコードエディターをシームレスに切り替えることができるローコード環境だ。このインターフェースによって、Apache Sparkのコードをすばやく作成し、そのコードをAirflowサービスを通じて容易に実行することできる。

このコードとビジュアルインターフェースを切り替えていく方法で、一方が行った変更がすぐにもう一方に反映するようになり、また必要に応じてビジュアルインターフェースをカスタムの要素で拡張することもできるため、マーケットで優位に立てるとチームは願っている。まだレガシーなツールを使っている企業が非常に多いため、Prophecyは企業が既存のETLワークフローをモダナイズできるためのトランスパイラーを提供している。

Prophecyの共同創業者Raj Bains(ラジ・ベインズ)氏は、次のように述べている。「誰もが、データは新たなオイルだと、もう10年ぐらい言い続けています。しかし、実際に大企業へ行ってみると、データ管理は混乱しています。そんなところへ私たちが出ていって『直しましょう』というのです」。Prophecyと提携したDatabricksやSnowflakeはデータを利用するための処理エンジンを構築しているが、企業はクラウドへの移行を同時に進めているため、重い作業を行うための多くのツールをまだ必要としていると同氏はいう。

ベインズ氏によると、これらの企業は、オンプレミスで動いている何万ものデータパイプラインが下層にあることが多いという。そこでProphecyのツーリングによりこれらのパイプラインをモダナイズして、クラウド(できればProphecyのプラットフォーム)に移した方がすっきりする場合が多い。

つまり「そのために作ったコンパイラーは、極めて高度なツールです。それは、彼らの古いデータパイプラインを読み、クラウドとクラウド技術のための新しいデータパイプラインを自動的に書き出します。私たちは大企業の膨大な量のデータエンジニアリングの残骸に取り付いて、それらの全体をクラウドへ移行させる。現在、クラウドを志向している大企業は多いのですが、成功する移行方法はわかっていません。そこで、私たちはクラウドへの移行を支援し、まったく異なるエコシステムであるクラウドの世界で彼らが成功できるようにするのです」。

Prophecyは設立から間もないが、すでに多くのFortune 500や50の企業がデータのインフラの構築と管理のために同社サービスを利用している。

Insight PartnerのマネージングディレクターGeorge Mathew(ジョージ・マシュー)氏によると、同社に関心を持った理由は、ベインズ氏がHortonworksやNVIDIA、Microsoftなどに在籍していたからなどさまざまだという。

「ラジ(・ベインズ)とProphecyのチームは、昨日までの古いシステム、特にそのデータ部分をよく知っている。だからそれを、クラウドネイティブな世界のどこへどうやって移せば、その巨大な移行が成功するかもわかっています。しかも、ノーコード / ローコードでそれができるのです」とマシュー氏はいう。同氏によると、現在はデータウェアハウスやレイクに積み上がった膨大な量のデータを抱えている企業が増えているたタイミング的にも良いという。数年前までは、それほどでもなかった。

ベインズ氏が掲げる2022年の目標は、プロダクトをもっと磨いて顧客がパイロットではなくプロダクションで成功できるようにすることだ。そのため、当然ながらこの度の資金は同社の市場化努力、特にフルスタックのデータエンジニアリングプラットフォームの構築に投じられる。

画像クレジット:Artur Debat/Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

車いすユーザーや運動障害を持つ人々の自立歩行を支援する外骨格ロボットメーカー「Wandercraft」

Wandercraft(ワンダークラフト)は2012年、車いすユーザーのモビリティを向上させることを目指して設立された。同社のソリューションは、ロボットエクソスケルトン(外骨格)によってもたらされ、着用者にロボットの助けを借りて歩く能力を提供できる。2019年、パリに拠点をおく同社は、12の自由度を持ち、歩行アルゴリズムに依存してユーザーの足取りを決定する自己バランス外骨格「Atalante」を発表した。

米国時間1月19日、同社は、これまでに調達した3050万ドル(約34億8000万円)の倍以上となる4500万ドル(約51億3500万円)のシリーズCをクローズしたと発表した。今回のラウンドは、既存の投資家であるBpifranceに加え、米国を拠点とするQuadrant Managementが主導した。特にQuadrantの参加は、WandercraftがAtalanteを欧州だけでなく、米国にも展開することになるという点で注目される。

同社のMatthieu Masselin(マチュー・マセリン)CEOは、リリースの中で次のように述べている。「当社の開発プログラムを進めるために、米国と欧州から世界トップクラスの投資家を引きつけることができ、非常に興奮しています。患者、医療関係者、ディープテックコミュニティの支援を得て、Wandercraftのチームは、リハビリケアを向上させる独自の技術を生み出しました。近い将来、車いすに乗っている人々が自立性を取り戻し、日々の健康を向上させることを可能にするでしょう」。

米国には、ReWalk Robotics、Ekso、SuitX、Sarcosなど、名の知れた外骨格企業で市場が混雑しており、これらの企業はこれまでに多額の資金を調達し、注目度の高いパートナーシップを発表している。しかし、Wandercraftが他と異なる点のひとつは、競合他社の多くが力仕事をする労働者や軍事用途を対象としているのに対し、ユーザーのモビリティーを重視していることだ。

この場合それは、病院やその他の医療機関との提携の可能性を意味する。

画像クレジット:Wandercraft

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

TikTokがTwitter、Instagramに続き有料サブスク導入を限定テスト、クリエイターの収益化の道を探る

TikTok(ティクトック)は米国時間1月20日、有料サブスクリプションの導入をテストしていることをTechCrunchに認めた。The Informationが最初に報じたように、人気の短編ビデオアプリTikTokは、クリエイターが自身のコンテンツのサブスクリプションに課金するオプションを模索している。この機能は当面の間、限定的なテストの一環であり、広くは提供されない。TikTokは、この機能についての詳しい説明や、追加の詳細の提供は却下した。

「当社は常に我々のコミュニティに価値をもたらし、TikTokのエクスペリエンスを豊かにする新しい方法を考えています」と、コメントを求められたTikTokの広報担当者は電子メールでTechCrunchに語った。

有料サブスクモデルがアプリにどのように実装されるかは不明だ。ちなみに、TikTokの人気アルゴリズム「For You」ページには、ユーザーがフォローしていないクリエイターの動画が表示される。もしクリエイターがコンテンツにサブスク料を課金することを選択した場合、その動画はおそらくユーザーの「For You」ページに表示されなくなる。ただ、クリエイターのアカウント全体にサブスクが適用されるのではなく、有料ユーザー限定の追加コンテンツに適用される可能性もある。

Instagram(インスタグラム)が米国でサブスクを開始した翌日に、今回のテストのニュースが飛び込んできた。Instagramのこの機能は現在、フォロワーにInstagram Liveの限定ビデオやStoriesへの有料アクセスを提供できる、少数のクリエイターグループで初期テスト中だ。クリエイターは、限定コンテンツにアクセスするための価格帯を自分で選ぶことができる。有料会員には特別なバッジが表示され、かなりの数のコメントがある中で無料ユーザーと差別化される。

TikTokの有料サブスクテストは、クリエイターがTikTok LIVEストリーム以外でもファンからお金を受け取ることができるアプリ内チップ機能をプラットフォーム上でテストしていることが最近明らかになったことに続くもので、すでに「ギフト」はサポートされている。この限定テストに参加しているクリエイターは、フォロワー10万人以上を抱え、活動に問題がなければ、この機能を申請することができる。承認されたクリエイターには、プロフィールにTipsボタンが表示され、フォロワーはこのボタンを使って直接チップをあげることができる。

関連記事:TikTok、クリエイターがフォロワーから直接チップをもらえる方法をテスト中

今回のテストは、クリエイターがプラットフォームを通じて生活費を稼げるようにすることに向けた最新の取り組みだ。TikTokは2021年、米国のクリエイターの収入を補えるようにすることを目的とした2億ドル(約227億円)のファンドを設立した。また、クリエイターがブランドとの提携やスポンサー契約を結ぶのを支援し、ライブストリームの収益化も提供している。収益化の取り組みに力を入れていることを考えると、同社がクリエイターのコンテンツに有料サブスクを提供する方法を実験していることは、驚くにはあたらない。

関連記事:TikTokが約214億円の米国のクリエイター向けファンドを発表

TikTokとInstagramのテストは、2021年9月に始まったTwitter(ツイッター)の有料サブスク「Super Follows」に続くものだ。この機能は、ユーザーが気に入ったアカウントに月額料金を支払うことで、特別コンテンツを購読することができるというものだ。対象となるアカウントは、Super Followサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)から選択できる。Instagramのモデルと同様に、購読者には特別なSuper Followerバッジが付けられ、無料フォロワーと区別される。

TikTok、Instagram、Twitterの有料サブスク制度は、クリエイターコミュニティを引き付けるための取り組みだ。また、クリエイターに儲ける方法を提供するYouTubeのようなデジタルプラットフォームと競うための手段でもある。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

Twitter Blue利用者はNFTをプロフィール写真として使用可能に

米国時間1月20日、Twitter(ツイッター)はユーザーが自分のNFT(非代替性トークン)を見せびらかす仕組みを新たに導入した。NFTはブロックチェーンに保管されたデジタル資産を証明する仕組みだ。同社はNFT Profile Pictures(NFTプロフィール写真)を、iOSのTwitter Blue(ツイッターブルー)サブスクライバーに向けて、同サービスのLabs(ラボ)機能を使って公開する。プロフィール写真にNFTを載せられるのはiOSユーザーだけだが、新しい六角形のプロフィール写真はプラッフォームによらずTwitterユーザー全員に表示される。

サブスクリプションサービスのTwitter Blueはまだ全世界には公開されていないため、NFT Profile Picturesを利用できるのは、同サービスが早期提供されている米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの各国に限られる。

Twitterは以前からNFTへのより本格的な対応計画を示唆しており、プラッフォーム上でちょっとした話題になっていた。多くの暗号化マニアたちは、すでにプロフィール写真に自分のNFTを使っているが、Twitterはユーザーの暗号ウォレットや所有権を証明する正式な手段を提供していなかった。

画像クレジット:Twitter

2021年9月、おびただしい数のアップデートを提供する中で、Twitterは同社のNFT計画を初めて紹介した。当時Twitterは、認証によっていかにクリエーターたちが自分の作品をTwitter上でよりよく展示できるようになるかを強調し、彼らがコレクションを陳列できる方法を検討していると話した。

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「Twitterは、人々が気にかけていることについて語り合う場所であり、しばしばそこは暗号資産やNFTを初めて体験する場所になります」と広報担当者が発表を伝えるメールでTechCrunchに話した。「私たちは今、人々がNFTをアイデンティティと自己表現の一形態として、さらには繁栄するコミュニティやますます活発化するTwitterでの会話に参加するための手段として使っている人ところを見ています」。

Twitter Blueサブスクライバーがこの機能を利用するには、今までと同じようにプロフィール写真の変更画面へ行く。すると写真の代わりにNFTを選べる新しいオプションが表示される。そこで自分の暗号ウォレットをつなぐ。

開始当初は、Coinbase Wallet(コインベース・ウォレット)、Rainbow(レインボー)、MetaMask(メタマスク)、Ledger Live(レジャー・ライブ)、Argent(アージェント)、およびTrust Wallet(トラスト・ウォレット)がサポートされる。認証が済んだら、自分が見せたいNFTを選ぶ。Twitterによると、現在NFT Profile Picturesでは、Ethereum(ERC-721またはERC-1155トークン)で発行(mint)されたJPEGおよびPNGのNFTを使用できる。

登録されると、そのNFTを見たTwitterユーザーは、プロフィール写真をタップすることでその作品やコレクション、その来歴などを詳しく知ることができる。例えばプロジェクトやコレクションがOpenSea(オープンシー)やその他のサードパーティー・マーケットプレイスで検証されているかどうかがわかる。

今回の公開は、プラットフォームに分散化テクノロジーを導入することへのTwitterの関心の高まりを受けたもので、これまでにも同社は、Bitcoin(ビットコイン)のチップ機能をサポートしたり、暗号化エンジニアリングの責任者に Tess Rinearson(テス・リニアソン)氏を最近採用するなどの動きをみせてきた。また同社は2021年、自身でNFTを発行する実験も行い、そこでは無料でNFTを配布した。

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非サブスクライバーにもいずれこの機能を提供するのかどうか、会社はまだ決定していないが、Twitter Blueユーザーからのフィードバックを見て、いずれ新たな情報を提供するつもりだと話した。

編集部注:OpenSeaの間の悪いダウンのために、Twitterの新機能導入が混乱した可能性がある。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook