高純度間葉系幹細胞を開発する島根大学発バイオスタートアップPuRECが総額7億円調達、製品開発を加速

高純度間葉系幹細胞を開発する島根大学発バイオスタートアップPuRECが総額7億円調達、製品開発を加速

島根大学発の細胞医薬スタートアップ「PuREC」は3月29日、第三者割当増資による総額7億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は持田製薬、山陰合同銀行、ごうぎんキャピタル、中内啓光氏(スタンフォード大学教授)。累計調達額は13億7000万円となった。

調達した資金は、製品開発をより加速することにあてる。それによりこれまで十分な医療効果が得られなかった疾病に対し、少しでも早く高純度間葉系幹細胞RECを活用した再生医療を届けることを目指す。

2016年1月設立のPuRECは、島根大学発のバイオ領域スタートアップ。独自開発した手法で得られた高純度間葉系幹細胞「REC」(Rapidly Expanding Cells)の臨床応用を進めている。間葉系幹細胞が持つ細胞機能の増殖能と分化能、またその均一性や遊走能を利用して、安全かつ効果的な幹細胞治療を実現することを目指しているという。これまでに日本医療研究開発機構(AMED)、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、富士フイルム、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング、持田製薬などと連携し、低ホスファターゼ症、関節疾患、脊椎関連疾患など様々な疾患を対象とした細胞医薬品開発を進めている。

早起きは三文の「損」であることが判明!? 朝型人間と夜型人間の睡眠の問題と生産性との関連を調査

早起きは三文の「損」であることが判明!? 朝型人間の夜ふかしと夜型人間の早起きに関する生産性との関連を調査

東京医科大学は3月28日、いわゆる朝型人間と夜型人間の睡眠の問題と生産性との関連性を調査し、朝型人間の夜ふかしと、夜型人間の早起きが、生産性低下に関連していることを明らかにした

人間には、早寝早起きで昼間に高い生産性を発揮する朝型の人と、遅寝遅起きで夜に高い生産性を示す夜型の人がいる。こうした朝型か夜型かの体内時計の傾向は「クロノタイプ」と呼ばれている。クロノタイプは遺伝や細胞周期によって決められているため、後天的に修正することは難しい。そのため、朝型の人の夜勤、夜型の人の早朝勤務では体の調子が出ずに生産性が下がり、これを続けると健康上の問題が生じることがわかっている。しかし、クロノタイプと生産性低下との関連を調べた既存研究がわずかにあるものの、見解が一致していない。そこで、東京医科大学精神医学分野の志村哲祥兼任講師らによる研究グループは、クロノタイプと生産性の関係、つまり本当に「早起きは三文の得」なのかを調査した。

調査対象は、2017年から2019年にかけて、IT・官公庁・金融・放送業・コンサル業などの第三次産業42社に勤務する人のうち、質問紙調査に回答しデータ利用に同意した8155人。平均年齢は36.7歳。

まずは体内時計の指標となる「睡眠負債がない状態において、自然に眠り自然に起きるときの、睡眠時間帯の中間時刻」を調べたところ、平均は午前4時16分だった(平均4:16。標準偏差:1:33)。これは、0時過ぎに寝て8時ごろに起きることを意味し、ここに属する人が全体でもっとも多かった。そして、午前1時30分以降に寝て9時30分以降に起きる夜型と、夜10時半ごろ前に寝て6時半以前に自然に起きる朝型の人とが少なくない割合で存在した。

生産性については、1時間の遅寝で生産性が0.29%低下し、1時間の早起きで0.14%低下することがわかった。この傾向には朝型と夜型で違いがある。朝型は起床時刻による影響はなく、入眠時刻が1時間遅れると生産性が0.48%低下していた。夜型では入眠時刻の影響はなく、起床時刻が1時間早まると生産性が0.26%低下した。

夜型の傾向が強いほど生産性が低いことも示されたが、それはクロノタイプと生産性低下(プレゼンティズム)が直接関連しているからではなかった。夜型の人は様々な要因から睡眠に問題を生じやすく、そのために生産性が落ちるという間接的な理由からだった。

早起きは三文の得か否かについては、前述のとおり1時間の早起きで0.14〜0.26%の生産性低下が見られる。これをOECDの平均賃金に換算すると年額8000〜1万3500円ほどとなり、日額にすると約3文になるとのこと。つまり、早起きは3文の損だったわけだ。

このことから研究グループは、健康的な生活を通じて生産性を維持するためには、「夜ふかししないこと」、「無理に早起きしないこと」、「良好な睡眠をとること」が重要だと話している。

プライバシーに配慮したIDを生成するCloakedが30.4億円のシリーズA調達

オンラインアカウント作成時に、ユニークな電子メールアドレスと電話番号を生成できるようにする、ボストンのスタートアップCloaked(クロークド「覆い隠す」という意味)が、シリーズAラウンドで2500万ドル(約30億4000万円)を調達した。

Arjun(アージュン)とAbhijay Bhatnagar(アブジェイ・バトナガー)の兄弟が2020年に設立したCloakedは、プライバシーを気にする個人が、ユニークなIDを作成できるようにする。アプリやブラウザの拡張機能として提供されるこのサービスは、任意のオンラインサービスに対して、電子メール、電話番号、パスワード、クレジットカード番号などの、ユニークな「覆面」IDを作成することができる。Cloakedはパスワード管理ソフトのように振る舞うが、ユーザーのパスワードを保存するのではなく、生成した「覆面」データで個人情報を置き換えるプラットフォームだ。

Apple(アップル)のHide My Email(ハイド・マイ・Eメール)のような、識別子を生成するタイプのサービスとは異なり、Cloakedのスマートな設定を使うことで、各識別子がどのように機能するかを簡単にパーソナライズおよびカスタマイズすることが可能だ。例えば、個人が何を、いつ、どこで、誰と情報を共有するかを選択できるし、メールアドレスや電話番号ごとにオン/オフ、スヌーズ(一時無効化)、期限切れ、漏洩した場合の自動更新などが可能となる。また、個人宛のメールや電話番号にメッセージを自動転送するか、Cloakedの中にとどめておくかをユーザーが選択することができる。

Cloakedは、個人情報を最初から非公開にしているという。すべてのユーザーは、個人情報のすべてが保存されている暗号化されたデータベースを所有し、いつでも管理・削除できるキーが与えられる。

「みんな、この『知られているけれども監視されているわけではない』という考え方が好きなのです」と、アブジェイ・バトナガー氏はTechCrunchに語っている。現在、初期プレビュー版のCloakedを使っている人たちは、オンラインバンキングからオンラインデートに至るさまざまなIDを作っているという。「私たちは、人々とデータの関係だけでなく、テクノロジー全体との関係も再構築したいと心から願っています」と彼はいう。

Cloakedは、パスワード管理ソフトのようなサービスだが、オンライン上のIDを生成するためのサービスだ(画像クレジット:Cloaked)

Cloakedは現在は無料サービスだが、フリーミアムモデルへの移行を計画している。同社がTechCrunchに語ったところでは、Lux CapitalHuman Capitalが共同で主導した今回のシリーズA資金調達によって、製品の開発を進め、ベータ版を終了できるだろうという。スタートアップは、現在26名のフルリモート社員で構成されており、採用活動も行っている。「この先もリモートファーストにこだわるつもりです」とアージュン・バトナガー氏はいう。「そうすることで、世界中のどこからも、最高の人材を採用できる可能性が広がりますし、チームを最高の人材で固めたいのです」。

Cloakedは、バトナガー兄弟が設立した2社目のスタートアップだ。彼らは、今回のベンチャーを立ち上げる前に、「Hey! HeadsUp(ヘイ!ヘッズアップ)」というオンラインプラットフォームを創業して売却している。Hey! HeadsUpは、複数のカレンダーを共有したりイベントの招待状を送ることなく、他の人のスケジュールにタスクを追加できるオンラインプラットフォームだ。

画像クレジット:Cloaked提供

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(文:Carly Page、翻訳:sako)

Google マップから新幹線や特急列車の予約が可能に、経路検索の結果からJR東日本の切符販売サイト「えきねっと」に遷移

Google マップから新幹線や特急列車の予約が可能に、経路検索の結果からJR東日本の切符販売サイト「えきねっと」に即座に遷移

東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月29日、切符販売サイト「えきねっと」とGoogle マップが連携開始したことを発表した。JR東日本エリアで完結するルートであれば、Google マップで経路検索したのち即座にえきねっとに遷移し、新幹線や特急券の予約が行なえる。

えきねっとは、JR東日本が提供する切符購入や指定席の予約が行えるオンラインサービス。今回の連携により、Google マップにおいてJR東日本エリアで完結したルートを検索した際に、えきねっとへのリンクが表示されるようになった。これを経由すれば表示されたルートを保持したままえきねっとに遷移できるため、スムーズに必要な新幹線・特急券の座席予約を含めた切符購入が可能となる。

予約可能期間は1カ月+1週間後までの乗車分。予約可能時間は5時~翌日1時50分まで(23時50分~0時10分を除く)。条件として、えきねっとへの会員登録とログインが必要。

注意事項として、現在は福島県沖地震により東北新幹線の一部区間で運転を見合わせているため、 Google マップで案内された経路でもえきねっとでの購入ができない区間がある。また、えきねっとは発着経由情報から利用時間の短い列車を案内するため、検索時の条件などによっては検索結果と別の列車が案内される場合がある。

世界に250万ユーザーを有するProgate、実務に近い経験を積めるプログラミング学習「Progate Path」ベータテスター募集開始

世界に250万ユーザーを有するProgate、実務のよう経験を積めるプログラミング学習「Progate Path」ベータテスター募集開始

世界に250万人(2022年2月現在)のユーザーを有するプログラミング学習サービス「Progate」(プロゲート)を提供するProgateは3月29日、実務のような経験が積めるという新しい学習サービス「Progate Path」のクローズドベータ版テスターの募集を開始した。Progate Path正式版の公開は、2022年内を予定している。

Progateは、プログラミング学習を始めるための入口と評価され、2018年から現在までにユーザー数を4倍に伸ばしたという。しかし、Progateの次に何を学べばよいかわからない、Progateだけではエンジニアにはなれないといった意見が多く寄せられ、入口から先の学習機会の提供が課題になっていた。そこで1年以上をかけて開発したのが、この実務に近い実践的な体験が積めるプログラミング学習サービス「Progate Path(β版)」だ。

演習内容には「実務で直面するような具体的な課題を用意」し、「エンジニアになるために必要な体験」を積むことができる。ユーザーは、演習内容に沿って自分で環境構築を行い、実務と同じようにローカル環境で作業を行うようになっている。Progateの独自開発によるコマンドラインインターフェイス「Progate CLI」でコードを判定し、Progate Pathに送信するため、ローカル環境でコードを書きながら、いつでも自分自身のコードが正しいかを確認できるという。

世界に250万ユーザーを有するProgate、実務のよう経験を積めるプログラミング学習「Progate Path」ベータテスター募集開始

応募方法は、「Progate Path(β版)」のサイト(https://beta.path.progate.com/)にアクセスして、「βに登録」ボタンをクリックし、必要情報を書き込む。Progateアカウントとメールアドレスの登録が必要になるが、アカウントを持っていない場合はProgate公式サイトで無料で作ることができる。

参加が認められた人には、βテスト開始の際に知らせが届く。応募者が多数の場合は抽選となる。4月上旬から順次開始する予定とのことだが、応募状況によって時期は変動する場合がある。

Coreshellのナノ層コーティング技術は、電気自動車の電池に容量アップと耐熱性向上をもたらす

5年前、Jonathan Tan(ジョナサン・タン)氏とRoger Basu(ロジャー・バス)氏は、自分たちが専門とする薄膜技術を生かし、最も速く、最も大きなインパクトが与えられる業界を模索していた。そして彼らが選んだのは、電池、特に電池の劣化や寿命に関する分野だった。

当時は(そして今も)この業界には投資も研究も不足しており、電池の画期的な発明に成功したと主張する企業もなかった。しかし、2人は、他の誰もが右へ行くところを、自分たちは左に行ったと主張する。

2017年にカリフォルニアでCoreshell(コアシェル)というスタートアップを共同設立したタン氏とバス氏は、ゼロから新しい電池を開発しようとする、既に多数の企業が取り組んでいる費用も時間もかかる事業には手を出さなかったという。

代わり彼らは、電池セルメーカーの既存の生産システムに追加できるナノ層コーティング技術に力を注いだ。このコーティングによって、電池の使用可能容量は30%以上増加し、耐熱性が200%向上するため、コスト削減と安全性の向上が可能になると、Coreshellの創業者たちは述べている。この技術は、家電や電気自動車など、異なる化学組成や用途の電池に適用することも可能だ。

「私たちは、電池の『Intel Inside(インテル・インサイド)』になりたいのです」と、CoreshellのCEOであるTan氏はTechCrunchに語った。「私たちはこのコーティング技術を、電池内部の最も困難な表面、つまり、電解液と接する陽極の表面と陰極の表面に直接適用したいと考えています」。

Coreshellはその斬新なアプローチで、複数の投資家や電池メーカー、さらには象徴的なデューンバギーを作った会社として知られるMeyers Manx(メイヤーズ・マンクス)からも支持を得ている。また、Tesla(テスラ)の共同創業者であるMarc Tarpenning(マーク・ターペニング
)氏、National Renewable Energy Laboratory(国立再生可能エネルギー研究所 )研究で知られるコロラド大学教授のChunmei Ban(チュンメイ・バン)氏、企業のIPO支援でキャリアを積んできたJudith O’Brien(ジュディス・オブレイン)氏など、多くの専門家から助言を受けている。

2人は当初、会社を自己資本のみで運営していたが、2020年にAlchemist Accelerator(アルケミスト・アクセラレーター)を通じて、いくらかのシードマネーを調達した。

以降、CoreshellはBASFとの協業を開始して、先進的な正極材料のためにいくつかの異なるコーティングの開発に取り組んでいる。また、タン氏によれば、名前を挙げることはできないが、他のバッテリーセルメーカーと実証実験も行っているという。同社は最近、Trousdale Ventures(トゥルースデール・ベンチャーズ)、Industry Ventures(インダストリー・ベンチャーズ)、Helios Capital Venturesが(ヘリオス・キャピタル・ベンチャーズ)主導するシリーズAラウンドで、1200万ドル(約14億7000万円)の資金を調達している。このラウンドには、既存投資家のEntrada Ventures(エントラーダ・ベンチャーズ)、Foothill Ventures(フットヒル・ベンチャーズ)、Asymmetry Ventures(アシンメトリー・ベンチャーズ)も参加した。Coreshellが現在までに調達した資金の総額は1900万ドル(約23億2500万円)となった。

CoreshellとTrousdale Ventures、特にマネージング・パートナーのPhillip Sarofim(フィリップ・サロフィム)氏との関係は、Meyers Manxとのパートナーシップにもつながった。Meyers Manxの電動ビーチバギーのプロトタイプが、Coreshellの技術が「入っている」最初の車となる。

Meyers Manxの会長でもあるサロフィム氏は、今回の提携が「冒険と楽しさを世界にもたらし続けながら、現代の消費者の期待に応えるためにさらに性能を引き上げる」というMeyers Manxの使命に合致すると述べている。

Meyers Manxによる性能実証に加えて、他の電池セルメーカーや自動車メーカーとの協業も行うことで、Coreshellはセルレベル、デバイスレベルの両方において全能力を披露でき、自動車への適用も加速させることができると、化学エンジニアから技術事業開発担当者に転身したタン氏は語っている。

同社はまた、New Era Converting Machinery(ニュー・エラ・コンバーティング・マシーナリー)と共同で、その薄膜コーティング技術がどうやってロールtoロール加工に使用できるかを実証する取り組みも行っている。これが成功すれば、Coreshellは自動車メーカーや電池メーカーに自社の技術を採用するよう説得することができるだろう。

「もちろん、最初はもっと小規模なところから始めますが、しかしその能力を見せるだけでも、『私たちの技術をうまく組み込めば、バッテリーの劣化を解決し、容量を増やすという性能を強化しながら、製造コストを下げられますよ』と示すことができるようになるための重要なステップです」と、タン氏は語る。

ターペニング氏が注目したのは、この進歩だ。

「半年に一度は、バッテリーの容量とか価格の低減などに関する何らかの大きな革新が発表されているような気がします。しかし、それがなかなか実現していません」と、ターペニング氏は語る。「その理由の1つは、研究室で機能するこれらの技術の多くが、うまく量産できないか、まったく量産できないか、あるいは生産プロセスに大きな変更を加える必要があるためです」。

Coreshellは、電池セルメーカーの既存の生産運用に追加できることが、ターペニング氏にアピールした。

「既存の工場で実際に導入しながら、どのようにスケールアップするかを検討することができます。それが私にとって大きな意味がありました」と、同氏は語る。「わお、それはいいぞ、まるで鶏と卵の問題を解決したような凄いことだって、私は思いました」。

画像クレジット:Coreshell
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用、「ユカイなピコハンロボットキット」発売

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

「ロボティクスで、世界をユカイに。」を掲げ、コミュニケーションロボットなどの開発販売を行うユカイ工学は3月30日、ピコピコハンマーを振り下ろす楽しいロボット「ユカイなピコハンロボットキット」の販売を開始した。価格は9900円(税込)。小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

「ユカイなピコハンロボットキット」概要

  • 価格:9900円(税込)
  • 完成ロボットサイズ:W250×D150×H200mm
  • 完成ロボット重量:約260g(電源を含まず)
  • 内容物:ピコピコハンマー(1個)、本体フレームパーツ(16種。計17個)、タイヤ(2個)、回転モーター(2個)、角度モーター(1個)、ココロキット+(1個)、スイッチ(1個)、コネクター(3個)、腕シート(4枚)、カプセル(2個)、結束バンド(長4+短20)、両面テープ(6枚)、ねじ(長6+短3)、ドライバー(1本)、目シール(1枚)、Welcome Guide(1枚)
  • 電源:単4乾電池3本(電池は別売)

ピコハンロボットは、ユカイ工学の教育向けの製品やプログラミング環境を提供する「Kurikit」(クリキット)シリーズから発売される。簡単に組み立てることができ、特別な専門知識がなくともロボットを動かすソフトウェア開発に挑戦できる。小学生を対象とした競技プログラミング大会「ゼロワングランドスラム2021年度大会」の公式競技用ロボットに採用されたものだ。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

組み立て後は、タブレットのリモコン画面で操作できる。本体前面には何かが当たるとカウントされるセンサーがあるため、これを利用すれば2台のロボットで対戦して得点を競うことができる。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

リモコン操作のほかに、Scratch 3.0(スクラッチ)互換のソフトウェアをロボット専用にカスタマイズしたビジュアルプログラミング環境でプログラムすることもできる。ハードウェアだけでなく、ロボット制御のソフトウェア開発も体験できるということだ。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

今回のピコハンロボットの原型は、高専ロボコン出身エンジニアの和田義久氏が開発したものだ。ユカイ工学が毎年実施している学生インターンプログラムに2016年に参加した和田氏は、そこで100円ショップで買える素材でロボットを作ってバトルするという課題に挑んだ。そのとき製作されたものをベースに、ハードウェアエンジニアの高岡亜輝氏が設計した。ビジュアルに関わるデザインはデザイナーの水落裕氏が担当。和田氏はこれを「自分が一番作りたかったロボット」だと話す。「ゼロから創造するのは得意ではないけれど、ロボットやプログラミングに興味がある」という子どもたちに向けたものだという。

小学生向け競プロ「ゼロワングランドスラム2021年度大会」公式キットに採用された「ユカイなピコハンロボットキット」発売開始

左が原型。中央が開発途中のもの。右が製品版

Twitterの「コラボレーション」機能は、ユーザーとブランドによるツイートの共同投稿を可能にする

Instagram(インスタグラム)には、「コラボ」(共同投稿)機能があるが、Twitter(ツイッター)はどうなのか? 同サービスは、複数のユーザーが1つのツイートを共同で投稿する”Collaborations”(コラボレーション)と呼ばれる機能を開発している。まだ一般公開されておらず、別のユーザーからコラボレーションを要求されたユーザーが受け入れた場合に限り有効になるものだ。これは、クリエーターと企業がブランド広告で提携する方法のヒントでもある。YouTube(ユーチューブ)、Instagram、TIkTok(ティックトック)をはじめとするライバルサービスの間ではすでに一般的になっているしくみだ。

Twitterのコラボレーション機能が最初に知られたのは、モバイル・デベロッパーのAlessandro Paluzzi(アレサンドロ・パルッチ)氏が 2021年12月にアプリのコードを発掘したときで、彼はTwitterが1つのツイートで2人が共同投稿者になれる方法を開発中であることを示す部分を公表した。このシナリオでは、ツイートの先頭にふたりのTwitterハンドルと名前が表示される。今年になってパルッチ氏は、ツイート作成画面にCollaborationボタンが追加されたことを報告し、 ふたりでツイートした「コラボ」投稿がTwitterタイムラインに表示されたとき、共同投稿者の2枚のプロフィール写真が重なって表示される様子を見せた。

米国時間3月29日、パルッチ氏は同機能の開発が進められていることのさらなる証拠を再び発見し、Twitter Collaborationsが動作するしくみを説明するスクリーンショットをツイートした。

その中でTwitterが説明しているところによると、ユーザーはまず個人あるいはブランドに対してツイートを”co-own”(共同所有)することを持ちかけ、要求が承認されるのを待つ。言い換えると、コラボレーションを強要することはできなくて、誰かをツイートにタグ付けするようなわけにはいかない。相手がリクエストを受け入れると、双方のアカウントがツイートの共同投稿者として表示される、とTwitterがこの紹介画面で説明している。

バルッチ氏はTechCrunchに、コードの中にこの機能を特定のユーザー、たとえばTwitterのスーパーフォローを使っているクリエイターに制限するような箇所は見つからなかったと語った。

いずれにせよ、Collaborations機能の追加は、Twitterが自らのプラットフォームをバーチャル・タウン・スクエアやリアルタイム・ニュース・ネットワーク以上のものに活用する方法を考えていることを示す新たな兆候と言えるだろう。

Twitterがここ数ヶ月テストしている数多くの新商品の中の1つは、Twitterをクリエイター・プラットフォームにして、フォロワーがお気に入りのアカウントをサブスクライブすることで、写真やビデオなどのメディアやプライベートなツイートなどのファン専用コンテンツをアクセスできるようにする、というアイデアだ。“Super Follows”(スーパーフォロー)と呼ばれるこの機能は、昨年10月に全世界のiOSユーザー向けに公開され、 今回の早期テスト期間ではiOSとAndroidユーザーが利用できる。資格要件によると、ファンにスーパーフォロー・サブスクリプションを提供するためには、クリエイターは米国拠点でフォロワーが1万人以上でなければならない。

クリエイターたちがTwitterを、サブスクリプションによる収益を生む有効なプラットフォームと見ているのかどうかはまだわからない。しかしTwitterにはこのプラットホームを使っているブランド広告主や、Twitterインフルエンサーなどと言われる大量のフォロワーをもつ有名ユーザーがたくさんいる。新しいコラボレーション機能には、この2つのグループを結びつけられる可能性がある。

もちろん、コラボレーション機能にはブランド契約以外にもいろいろな利用場面が考えられる。組織、会社、グループなどの共同声明や、複数の著者や制作者による作品、たとえばポッドキャストやニュースレター、ニュース記事などの宣伝にも使えるだろう。さらには、どんな理由であれ、一緒に何かをしたい人たちが楽しみのために使ってもいい。

Twitterは、しかし、Twitter Collaborationsの計画について現時点ではわれわれの憶測にまかせている。

コメント要求に対してTwitter広報担当者は、同機能はTwitterが現在「検討している」ものであることを認めただけで、機能や計画、提供日付などについての情報を明らかにしなかった。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本でも販売されているスマートグラスのNrealが1年間で約244.2億円を調達

中国のARスタートアップ「Nreal」(エンリアル)が好調だ。軽量で明るいスマートグラスを作ってARの普及を目指す同社はシリーズC拡張ラウンドで6000万ドル(約73億2600万円)を調達し、この1年間で2億ドル(約244億2000万円)の大型調達を果たした。

今回のラウンドを主導したのはAlibaba(アリババ)だ。Alibabaは投資に関しては最大のライバルであるTencent(テンセント)よりも、これまでずっと実用性を重視しつつTencentほど積極的ではなかった。Alibabaは、その巨大な小売エコシステムを補完するピースになり得るスタートアップの経営権に関わる持分を獲得すると言われている。

しかしNrealに対するAlibabaの投資は純粋に資金面でのことだ。理論的には、両者が戦略的なシナジーを生み出す可能性はある。Alibabaが自社のゲームやビデオのストリーミング部門とNrealの協業に乗り出したり、最近音声コントロール付きヘルメットを着用するようになった膨大な数のフードデリバリーのライダー向けにスマートグラスをNrealに開発してもらうことは容易に想像できる。しかし中国では独占禁止法の取り締まりが厳しくなり、中国のテック大手が不公正な競争を助長すると受け取られかねない投資に注意を払うようになっていることは間違いない。

それに、Magic Leap(マジックリープ)の従業員だったChi Xu(徐驰、カイ・シュイ)氏が創業したNrealには、すでに注目すべきパートナーたちがいる。Nrealの戦略的投資家には、中国の新興EV企業のNio(ニーオ)、TikTok(ティックトック)の中国での最大のライバルであるショートビデオアプリのKuaishou(快手)、Baidu(百度)が支援するビデオストリーミングプラットフォームのiQIYI(爱奇艺)などがある。Qualcomm(クアルコム)は投資はしていないが最先端のSnapdragonプロセッサを供給し、開発者エコシステムの構築に関して緊密に連携している。著名な機関投資家であるSequoia Capital China(セコイアキャピタルチャイナ)、Jack Ma(ジャック・マー)氏のYunfeng Capital(雲鋒基金)、Xiaomi(シャオミ)の創業者Lei Jun(レイ・ジュン)氏のShunwei Capital(順為資本)の他、プライベートエクイティ大手のHillhouse(高瓴資本)、CPE(CPE源峰)、CICC Capital(中金資本)もNrealを支援している。

Nrealは中国を拠点としているが、中国市場をターゲットにするのではなく、消費者の購入意欲を日本や米国など海外の6カ国で最初にテストした。同社はデバイスの販売に関して各国の通信事業者の協力を得ている。例えば米国ではVerizon(ベライゾン)がNrealの複合現実グラスであるNrealLightの販売に協力している。NrealLightは600ドル(約7万3000円、日本ではauオンラインショップで6万9799円)と比較的手頃な価格で、5G対応のAndroidデバイスに接続できる。

Nrealは今回調達した資金で、ついに2022年に中国での事業に乗り出す。また今回の資金は研究開発や、ユーザー獲得に欠かせないコンテンツやアプリのエコシステムの成長にも使われる。

画像クレジット:Nreal

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

モトローラが米国スマートフォン市場で第3位を獲得、まだ闘志は残っている

スマートフォン市場に、まだサプライズがあるんだね、少しは。米国市場のトップと2位なら、おそらく誰もが知っている。しかしCounterpoint Researchの最新の数字で、Motorola(モトローラ)が辛うじて2位を固持していると知ったら、思わずえっ?と言いたくなるだろう。

同ブランドにとっても、ここ10年、20年は順調ではなかった。世紀の変わり目には勢いある名前だったが、ポストiPhoneの世界は同社にとって厳しかった。巨額の損失後、Motorolaは2つに分かれ、モビリティ部門を2011年にGoogleに売った。Googleのハードウェアの成績はご存知のとおりで、3年後にはまた持ち主が変わった。

Lenovo(レノボ)は昔のブランドにとって、はるかに居心地の良い家だった。その成功の主な理由は、前述の上位ブランドが支配しているハイエンドの市場を避ける意思決定にあった。中でもブラジルとインドが、同社の主要市場になった。同時に米国も、重要な市場として残った。米国市場はミドルレンジのモデルや機やエントリーモデルが手薄だったため、そこが同社にとっておいしいマーケットになった。

Counterpointの数字によると、Motorolaの2021年の売上成長率は前年比で131%と驚異的だ。その結果同社は米国で400ドル(約4万9000円)未満のスマートフォンでは第2位、全機種では3位になった。特に売れたのが同社の300ドル(約3万6000円)未満のスマートフォンで、それにより同社は市場全体の10%をつかまえている。

画像クレジット:Counterpoint Research

2008年の勢いが戻ってきたわけではないが、携帯電話の市場をスマートフォンが支配して以降では、同社にとって最良の結果だ。プリペイドのプロバイダーであるMetro、Cricket、Boostなどは大物で、今では市場の約28%を支配している。しかしながら最も重要なのは、このリストにない名前だ。このところ業界にとっておかしな年が続いたが、その中で明らかにLenovoは好位置に付けていた。

米国のエンティティリストに載ってからは、Huawei(ファーウェイ)はもう敵ではない。またR&Dの大半をこれまたGoogleに売ったHTCは、眠ったように静かになり、VR方面へ舵を切った(その評価は未定)。しかし、最大の不在はLGだ。

2021年4月にこの韓国のハードウェア企業はスマートフォン市場から完全にいなくなった。そのとき同社は、次のような声明を残している。「これからのLGはモバイルの専門技術を生かし続け、6Gといったモビリティ関連の技術を開発し、スマートフォン以外の事業分野でその競争力をさらに強化していきます。20年間におよぶLGがモバイル事業で開発したコア技術は、現在および将来の製品に保持適用されていきます」。

LGのこのような動きによって、市場には完全にMotorolaの形をした穴が開いたようだ。スマートフォンメーカーとしての成功には、名門ブランドであることも寄与している。つまり、多くの人たちの意識から消え去りつつも、その栄光の日々からの「のれん」の力は強く、購入の意思決定を誘うのだ。ふところにあまり余裕がない人が、たとえばウォルマートで300ドルのスマートフォンを買うときには、自分がよく知っている名前に気持ちが傾くだろう。Razrの栄光の日々が20年も前であっても。業界人でもない一般消費者は、そんなことどうでもいい。現在の同社は、一貫して堅牢な低価格スマートフォンのメーカーという評価だから。

それを「カムバック」と呼んでもよい。それに反論する気はない。

画像クレジット:Motorola

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

京都大学パナソニックは3月24日、京都大学生存圏研究所の篠原真毅教授とパナソニックが共同開発してきたマイクロ波を使った長距離のワイヤレス電力伝送システムについて、プロトタイプ開発が完了し、試験用サンプルの提供を開始すると発表した。この技術が実用化されたなら、IoTセンサーやウェアラブル機器などの電源ケーブルや電池交換が不要になる。

これは、920MHz帯のマイクロ波を利用したワイヤレス電力伝送システム。2022年に電波法施行規則等に関する省令の改正が予定されており、それを見据えてサンプルが提供される。免許を取得すれば、屋内の一般環境で利用が可能となるのだが、規制によって送電できる電力は1ワット以下に制限される。そのため、この範囲内で電力を効率的に伝送し、広範囲に設置された受電機へ電力を送ることが開発のポイントとなった。京都大学とパナソニックは、高効率な送電方法、受電用の小型アンテナ、受電したマイクロ波電力を高効率に安定して直流に変換する回路の開発に取り組んだ。

ワイヤレス送電は、特に人の見守りや健康管理用のバイタルセンサーのためのウェアラブル端末への応用が期待される。しかし既存のアンテナでは、人に近づけると電波が人体に吸収されてしまうという課題があった。そこで、人体に装着しても受電効率が低下しないアンテナを開発した。またこのシステムでは、1つの送電機から複数の充電器に一括で送電が行える。そのため、工場やオフィスに多数設置されるIoTセンサーの電源としても利用できる。

パナソニックは、このシステム「Enesphere」(エネスフィア)としてサンプル化し提供を行う。システムには、1ワット以下の送電機と、カードタイプ、人体装着タイプ、液晶表示タイプ、基板タイプなどさまざまな形態の充電器で構成される。提供開始は「準備が整い次第」ということだ。京都大学とパナソニック、電池交換や電源ケーブルが不要になるマイクロ波電力伝送システムのサンプル提供開始

TikTokが新しい動画作成ツール「TikTok Library」でGIFのコレクションを提供するGIPHYと提携

TikTokは米国時間3月29日、新しいアプリ内作成ツール「TikTok Library」を発表した。クリエイターがエンターテインメントコンテンツにアクセスしたり、トレンドに参加したりしやすくなることを期待している。当初は、GIPHY Clips(ジーフィークリップス)と呼ばれる音声付きGIFのコレクションなど、GIPHY(ジーフィー)から厳選されたコンテンツがライブラリに掲載される予定だ。時間の経過とともに、TikTokは追加のコンテンツソース、オーディオやサウンド、テキストテンプレート、その他のTikTokクリエイターのコンテンツでライブラリを拡張するとしている。

ただし同社は、そうした取り組みのために将来的にどのようなパートナーと提携するのかについては言及を避けた。

2019年にGIPHY Videoとして開始された今日のGIPHY Clipsは、テレビや映画のスタジオ、ゲームメーカー、レコードレーベル、スポーツリーグ、ニュースメディアなどのエンターテインメントパートナーが、GIPHYのプラットフォーム上で適切にライセンスされたコンテンツを共有するための手段だ。この機能は時間とともに拡大し、音声付きGIF(短編動画としても知られている)を活用してGIPHYの数億人のデイリーアクティブユーザーにリーチしたいと考える何千ものコンテンツメーカーが参加するようになった。これらのGIPHY Clipsは、GIPHYの開発者向けツールセットであるGIPHY SDKを介して、ウェブ上のリンク、メッセージングアプリ内、Slackなどの職場用ツール、その他のサードパーティアプリケーション内のどこでも共有することが可能だ。

画像クレジット:TikTok

TikTokによると、さし当たってはリアクション、引用、人物、アイコニック・モーメントといったGIPHY Clipsのカテゴリーをサポートする。

リアクションは、誰かの生の感情をとらえたGIFで、引用は著名人の印象的なキャッチフレーズや格言だ。人物は、有名人やスポーツ選手などファンを抱える人に特化したカテゴリーだ。そしてアイコニック・モーメントは、スポーツの名プレーや授賞式のスピーチなど、大きなイベントでの忘れられない瞬間だ(おそらく、私たちが3月27日にアカデミー賞授賞式で目撃したものなど)。

TikTokへの統合には、GIPHYの幅広いライブラリからの数百万のGIFに加えて、数万のGIPHY Clipsライブラリの一部が含まれると同社の広報担当者は述べた。

TikTokはすでにソーシャルビデオアプリで多くのクリエイティブツールを提供しているが、クリエイターの自己表現をサポートする新しい方法を探し続けているという。そこで、GIPHYとの統合が実現した。

この機能を使うには、TikTokのユーザーはアプリのカメラ画面の垂直サイドバーにある新しい「ライブラリ」アイコンをタップする。ライブラリに入ると、トレンドのコンテンツをスクロールしたり、検索バーを使ってより具体的なものを探したりすることができる。使いたいコンテンツを選んだら、好きな長さにクリップし、撮影画面に戻って動画の撮影を続けることができる。

画像クレジット:TikTok

TikTokによると、ライブラリ機能はまずAndroidの一部のマーケットで展開され、iOSでは来週、そして今後数週間で世界中のより多くのTikTokユーザーへと拡大される予定だ。

もちろん、Facebook(フェイスブック)の最大の脅威の1つとなっているTikTokが、Facebookがかつて4億ドル(約490億円)で買収した会社のコンテンツを活用して短編動画アプリを改良しているという皮肉もそこにはある。しかし、Facebook、現在のMeta(メタ)は英国の競争市場庁(CMA)が反競争的との視点で買収取引を調査したため、GIPHYを完全に統合することを阻止されている。CMAは2021年11月、MetaにGIPHYを売却するよう求める判断をした。Metaは現在、その判決を不服として控訴している。しかし、もしMetaがGIPHYを完全に自社に統合することが許されていたら、このようなTikTokの統合は進んでいたのだろうかと思わざるを得ない。

公平を期して言えば、これはTikTokにとって初めてのGIPHY統合ではない。TikTokは以前、Green ScreenでStickersGIFsを立ち上げた。しかし、GIPHYの動画を活用するのは今回が初めてだ。

TikTokはGIPHY統合をより広範な機能の始まりにすぎないとしているが、考えられる将来のパートナーについての詳細がないため、この追加はまだ初期段階のようだ。「TikTok Library」と呼ぶことで、単純なGIPHY SDKの統合よりもずっと興味深いものに聞こえる。

さらに、この機能がより完全なものになる前にLibraryを発表することで、TikTokは今週末のアカデミー賞授賞式とそれに付随するハイライトや修羅場といった最新のポップカルチャー・モーメントの勢いにすばやく乗ることができ、これらはすでに数百万回試聴されたTikTokビデオに組み込まれている。

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

職域向けオンライン診療など健康支援プログラムを提供するリンケージが約5.5億円のシリーズA調達、上場準備室も設置

職域向けオンライン診療など健康支援プログラムを提供するリンケージが約5.5億円のシリーズA調達、上場準備室も設置

予防医療テックで職域向けにオンライン診療などの健康支援プログラムを提供するリンケージは3月30日、第三者割当増資による資金調達を実施した。引受先は、マイナビ、Medical Development Support 1号投資事業有限責任組合、個人投資家の竹内真氏、上沢仁氏など。これにより、シリーズAラウンドの累計調達額は約5億5000万円、また累計調達額は8億円となった。調達した資金は、主にプロダクトの機能拡充、質の高いサービス提供のための人材採用にあてる予定。

また同社は、さらなる企業成長を見据え、上場準備室を設置した。ヘルスケアスタートアップとしてのノウハウを活かした事業展開で健康総合支援企業となるビジョンを体現し、次のステージへの到達を目指す。

「テクノロジーとのつながりで健康意識の温度をあげる」をミッションに掲げるリンケージは、2011年6月の設立以来、「オンライン禁煙診療」や、オンライン問診を起点に従業員の心身の健康課題を可視化し、必要な医療へのアクセスや組織の生産性向上につなげる「Rasika」「FEMCLE」などの企業向けヘルスケアサービスを展開。のべ174組合、企業1550社への健康サポート実績があり、加入者数約600万人以上のネットワークを有している。

Rasikaは、テレワークなどの新しい働き方にも対応したメンタルウェルネスサービス。東京大学医学部附属病院心療内科との共同研究により開発した独自ストレスチェックの質問項目により、テレワークや生活習慣との相関を含め、従業員のストレス要因を多角的に分析可能という。またFEMCLEは、働く女性の健康課題を可視化し、専門医のフォローで労働生産性を改善する法人向け女性ヘルスケアサービス。NPO法人日本子宮内膜症啓発会議(JECIE)、豊富な経験・実績を持つ約100名の専門医のサポートのもと展開する、働く女性の健康課題に着目したサービスとなっている。

同社が考える「健康」とは、「自分らしくあることを阻害する、こころとからだの不調がないこと」という。あらゆるネットワークを活用し、企業コミュニティを通じて人々の健康意識を高めており、厚生労働省「国民医療費の概況」にある医科診療費の傷病別内訳では、生活習慣病、老化に伴う疾患、精神疾患、その他(腎不全など)の順となっており、リンケージではこれらの領域のほとんどをカバーしているとした。職域向けオンライン診療など健康支援プログラムを提供するリンケージが約5.5億円のシリーズA調達、上場準備室も設置

自動インシデント対応プラットフォームを構築するShorelineがシリーズBで約43億円を調達

Shorelineの創業者でCEOのAnurag Gupta(アヌラグ・グプタ)氏は、同社を創業する前は8年間、AWSでインフラストラクチャに携わっていた。AWSのシステムがスローダウンしたり停止したりするインシデントに対応するシステムの責任者を務めていた。

これは大仕事で、同氏はインシデント対応を自動化する社内システムの構築に関わっていたが、マーケットプレイスには他社がそうした自動化に役立つツールが不足していることに気づいた。ソフトウェアのテストと導入、本番システムの監視、インシデントが起きた時の対応をするツールはあるが、同氏は欠けているものがあると見ていた。

同氏は、インシデントのチケットが発行され必要な人が対応を始めると、何がおかしいかをつきとめて修復するのは通常は手作業が極めて多いプロセスになると指摘する。システムがダウンすると1分ごとにコストがかさむ。ソフトウェアとシステムが複雑になり、こうした問題に対処する責任者であるSRE(サイト信頼性エンジニア、Site Reliability Engineer)が根本原因をつきとめて修復するのはさらに難しくなっている。

グプタ氏は「ほぼすべてのケースで手作業のプロセスとなり、人間は消耗してミスをします。たくさんの人手に頼る作業です。そして人間は機械よりも長い時間を要するのでダウンタイムが発生するのです」と説明する。

同社はジュピタースタイルのノートブックを作ってシステムによくある問題への対応を記録し、自動化する。問題を解決するためのステップ・バイ・ステップの手順を示し、可能な場合には対応を自動化するのだ。狙いは問題が起きた時に対応する負荷を軽減することだ。

グプタ氏は、システムの問題が発生した時にそれを解決する必要性が高まりSREの役割は急速に大きくなっているが、問題に体当たりしていくのは持続可能なアプローチではないと語る。

Shorelineに投資しているInsight PartnersのマネージングパートナーであるGeorge Mathew(ジョージ・マシュー)氏は、機械と人との協力で問題の解決を早めるのだという。

マシュー氏はShorelineに投資した理由を「ハイレベルの役割を人間が果たし、ローレベルの役割を機械学習のアルゴリズムで自動化できれば、この分野においてはたいへん魅力的なチャンスです」と説明する。

Shorelineが創業したのは2019年だが、このような自動化ソリューションを構築するのに2年半かかり、シリーズAでは2200万ドル(約27億600万円)を調達した。このプロダクトを発売してからすでに約半年が経ち、従業員はすでに50人近くいる。

グプタ氏は創業に関し、自社が事業をしている世界を反映した従業員を有することが自分にとって重要なゴールであると語る。

同氏は「当社の従業員はテックの世界ではなく社会全般と同じようでなくてはならないと強く確信しています。テックの世界には組織的なバイアスがすでにあるからです」と語る。つまり、従業員の比率を実際の人口比に一致させようとしている。

「私が変わることなく信じているのは、雇用のプロセスに多様性を取り入れれば、結果として企業は多様になるということです」と同氏はいう。

米国時間3月28日、ShorelineはInsight Partnersが主導し、Dawn Capitalが参加した3500万ドル(約43億500万円)のシリーズBを発表した。Shorelineによれば、今回のラウンドでこれまでの調達金額の合計は5700万ドル(約70億1100万円)となった。

画像クレジット:Dansin / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Kaori Koyama)

経産省、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」実現を目指す取組みで惣菜盛り付けロボの実用化開始

経産省、ロボットを導入しやすい「ロボットフレンドリーな環境」実現を目指す取組みで惣菜盛り付けロボの実用化開始

RT Corporation

経済産業省は、官民一体の取り組みとしてロボットフレンドリーな環境の構築を目指し、惣菜工場への惣菜盛り付けロボットの配備を開始したと発表しました。

経産省のリリースによると「人手不足やコロナ禍の影響により、今後の日本社会における自動化、無人化、非接触へのニーズはますます高まって」いることを背景に、2019年より「ロボットを導入しやすい“ロボットフレンドリーな環境”の実現に向けた取組」を進めてきたとのこと。

とくに食品製造の分野ではいまだ人手のかかる作業が多くを占めており、なかでも惣菜の製造現場、特にパックなどへの盛り付けの工程における人手が多く必要とされているため、これをいかに自動化するかが課題となっています。

今回の発表ではロボット実装モデル構築推進タスクフォース(TF)のメンバーである一般社団法人日本惣菜協会が指揮をとり、マックスバリュ東海、イチビキ、ヒライ、藤本食品、グルメデリカ、デリカスイト、ニッセーデリカの7社に惣菜盛付ロボットやシフト計算最適化システムなどを開発導入したことが報告されました。

Japan Ready-made Meal Association
なかでも絵面的に興味が引かれるのは、イチビキ、ヒライ、藤本食品に導入された(株)アールティの惣菜盛り付けロボット「Foodly」で、本体ボックスの上に人の上半身が生えたような、まるでケンタウロスのような風体が非常にわかりやすい未来的デザイン。この形状は単にステレオタイプなロボットを作ったからではなく、比較的小柄な人型とすることで生身の従業員が立つ製造ラインに並んで配備することができ、人と人の間に配置すればソーシャルディスタンスの目安としても有効です。

さらに人用の作業着を着せられるため本体の汚れを最小限に抑えられ、清掃の手間を省略できます。両手は複数種類のトングを付け替えて使用でき、まるで人間のように惣菜をつまんではトレイに乗せていくことが可能。髪の毛もなく喋ることもないので、惣菜への異物混入の可能性も大きく減らせるとメーカーは説明しています。

その他の盛り付けロボットやシフト管理システムの導入も、惣菜製造現場の煩雑な作業の軽減、人手不足の解消に役立つことが期待されるもので、経済産業省はこのような成果を他のTF関係者にも共有し、中小企業を含めた多くの惣菜製造現場にも導入可能な低価格な盛付ロボットの開発を進めていくと述べています。

(Source:METI(経済産業省)Japan Ready-made Meal Association。Coverage:RT CorporationEngadget日本版より転載)

【3月30日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位は高専10校共同開発の人工衛星KOSEN-1が宇宙技術実証に成功

【3月30日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位は高専10校が共同開発した人工衛星「KOSEN-1」で宇宙技術実証に成功

掲載記事のうち、3月30日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:高専10校が共同開発した人工衛星「KOSEN-1」で初の宇宙技術実証に成功、Raspberry Pi CM1を衛星の心臓部に採用


高知工業専門学校を中心とする10校の高専が開発した超小型人工衛星「KOSEN-1」が、市販のLinuxマイコンボードを衛星の制御に使うオンボードコンピューター(OBC)として常時運用するという宇宙技術実証に成功した。

第2位:Apple TV+が「コーダ あいのうた」でストリーミングサービスとして初めてアカデミー作品賞を受賞


Apple TV+がNetflixを抑え、前者の「CODA(コーダ あいのうた)」がアカデミー賞授賞式で作品賞を受賞し、ストリーミングサービスとして初の快挙を成し遂げた。

第3位:イーロン・マスク氏が「次のTwitterを作りたい」と熱望しても心配する必要はない


イーロン・マスク氏が先週末のツイートで、地震のソーシャルメディアプラットフォームの構築について「真剣に考えている」と発言した。このツイートを読んで血圧が上がった人は、あなただけではない。深呼吸をしよう。彼のDogeSociælXアプリが登場するのは、まだ先の話だ。

第4位:ユニコーンの投げ売りがそろそろ始まる?


Amplitudeが直接上場し、取引を開始して、2021年第4四半期の決算を発表したときには壁にぶつかっていたことを覚えているだろうか?2022年初頭に資産価値を減じたのは、上場しているハイテク企業の中で同社だけではなかったが、その再評価の規模は際立っていた。現在、Instacartが非公開市場で似たような事態に陥っている。

第5位:Indeedの「IT技術関連職のジェンダーギャップ」実態調査―男女差が浮き彫りにされるも、女性のメリットも明らかに


求人検索エンジンIndeed(インディード)の日本法人Indeed Japanは、国際女性デーに合わせて、IT技術関連職におけるジェンダーギャップに関する実態調査を行った。日本企業におけるIT技術者の女性比率が非常に低いことの背景が示唆されると同時に、男性優位の職場でのデメリットばかりでなく、実際に技術者として働く女性のメリットも見えてきた。

画像クレジット:Brands&People on Unsplash
Liesa Johannssen-Koppitz/Bloomberg/Getty Images
Nigel Sussman

スマート配電盤で一般家庭の電化を進めるSpanが約110億円調達

あの地味なブレーカーパネルは、特に愛されることもなくすでにまるまる1世紀存在しているが、そこに登場したのがSpanだ。同社は現代的でスマート、そして魅力的な配電盤を作っており、その進化を継続するために、このほど9000万ドル(約110億円)を調達した。同社は電化とマイクログリッドの均衡化という問題の解決を目指しており、それにより未来のスマートホームが自らの電力消費の状況をもっとよく把握できるようにする。

Spanは2年前に1000万ドル(約12億円)を調達し、Alexaを統合して、さらに2022年初めにはスマートパネルと相性がいいよりスマートなEV充電器をローンチした。

SpanのCEOで創業者のArch Rao(アーチ・ラオ)氏は、2022年初めのインタビューで次のように語っている。「初期のTeslaに入って、後にTesla Energyになるもの設計に最初から関われたことは、とてもラッキーでした。私は、Energy Groupの初期のリーダーの1人でした。みんながよく知っているのはPowerwallバッテリーだと思いますが、私はそのプロダクトチームのリーダーで、一般住宅用製品や産業用製品、それに公益企業が使うような規模の製品をハードとソフトの両面で設計、開発そしてデプロイしていました。また、ソーラールーフや太陽光発電の導入など、ガラス屋根の製品も担当しました」。

「家庭用バッテリーやソーラーシステム、電気自動車の充電システムを世界中で展開する中、私が直接目にしたことの1つに、インフラと結びついた根本的な問題があることです。特に、電化が私たちの目指す『脱化石燃料』の重要な一部であると考えるのであれば、インフラは分散型クリーンエネルギー導入の足かせになってしまいます。化石燃料を使用した家電製品を優れた電気製品に置き換えるには、家庭用電気パネルから始まるインフラの大規模なアップグレードが必要になるのです」。

「私たちは家庭の電化を実現するために、拡張性のある方法の中核となる配電盤を再発明することから始めました。しかし消費者はそれ以上のものを求めています。新しい資本を投入して、家庭の脱炭素化を実現する製品を拡大し、Spanが独自に提供する家庭のエネルギー管理という比類のないアプローチを開発し続けられることに興奮しています。」とラオ氏は語る。

SpanのシリーズBをリードしたのはFifth Wall Climate TechとWellington Managementだ。その他の投資家はAngeleno Group、FootPrint Coalition、Obsidian Investment Partners、そしてA/O PropTechとなる。同社の説明によると、資金は主にSpan Homeシリーズのエネルギー製品およびソリューションの開発の継続により、同社の商業的成功を引っ張り家庭の新しい電化を加速していくことに向けられる。

画像クレジット:Span

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

HarvestXが1.5億円調達、植物工場での実証実験に向け開発加速―実証結果踏まえた製品バージョンのベータリリースも計画

HarvestXが1.5億円調達、植物工場での実証実験に向け開発加速―実証結果踏まえた製品バージョンのベータリリースも計画

農業用ロボットを手がけるHarvestXは3月30日、総額1億5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ANRI 4号投資事業有限責任組合(ANRI)、オープンイノベーション推進 1号投資事業有限責任組合(東京大学協創プラットフォーム。東大IPC)、DEEPCORE TOKYO 2号投資事業有限責任組合(ディープコア)。

レタスなどの葉物類の植物工場が展開を広げる一方、イチゴのような果実類の生産にはハチ・ハエを媒介とした虫媒受粉または人の手による授粉が必要で、収量の不安定さ、高コスト、ハチの短いサイクルでの使い捨てが課題となっているという。そこでHarvestXは、ハチに代わるロボットを活用した授粉技術の開発に取り組み、世界で初めてロボットによるイチゴの授粉の実証に成功した。社内の研究施設「HarvestX Lab」内で実証試験機「XV-1」「XV-2」による授粉の実証実験を実施しており、ハチや人間を超える精度での授粉を行えるそうだ。

また現在は、HarvestX Labに植物工場と同等の栽培設備を導入し、植物工場事業会社での授粉ロボットおよびソフトウェアシステムの実証実験に向けたプロトタイプの開発を進めているという。

調達した資金により、パートナーである植物工場事業会社との実証実験に向けたハードウェア・ソフトウェアの開発、および実際の植物工場での実証実験を通じてオペレーションの検証やさらなる授粉精度の向上を進める。さらに、その実証実験の結果を踏まえた製品バージョンのベータリリースを計画している。

さらに、日本初の取り組みとして徳山工業高等専門学校提携。高専内に事業所を開設し、授粉・収穫用ロボットの共同研究を行う。

「テスターのためのAWS」構築を目指すLambdaTestが55.2億円を調達

ウェブ開発者は何百ものタスクを実行しなければならないが、それらを自分のマシンで実行することができる。しかし、開発会社が(大規模に)同様の活動を行う場合には、ローカルにタスクを実行するために必要なコンピューティングパワーをいつでも自由に確保できるとは限らないし、日頃から持っていたいとも思わないものだ。

「開発者やその会社が、普通なら4〜5時間かかる作業を10分に短縮できるようなプラットフォームを、構築できるでしょうか?」とAsad Khan(アサド・カーン)氏はいう。

カーン氏は10年かけてこの問題を解決しようと努力を重ねてきた。彼は、最新のベンチャー企業であるLambaTest(ラムダテスト)で、そのソリューションを製品化した。

創業4年のスタートアップである同社のクラウドベースのサービスを利用することで、ユーザーは自分のウェブサイトやアプリを、ブラウザー、OS、デバイス、そしてそれらの異なるバリエーションの3000種類以上の組み合わせでテストすることができる。

彼はTechCrunchのインタビューに対して「テスターのためのAWSを構築しました」と語っている。「私たちは単なるテストツール企業ではなく、開発者があらゆる言語やフレームワークで書かれたあらゆる種類のテストを実行できるようなエコシステムを実現する会社です。このプラットフォームは、いつでもどこからでも、どんな規模のタスクでも実行できるようにします」。

そして、急成長するスタートアップにはありがちだが、LambdaTestの有効性は、投資家の関心を集めている。

インド時間3月29日には、Premji Investが主導するシリーズC資金調達ラウンドで4500万ドル(約55億2000万円)を調達したことを発表した。既存の投資家であるSequoia Capital India、Telstra Ventures、Blume Ventures、Leo Capitalに加え、ソフトウェアテスト会社Tricentis(トリセンティス)の元最高経営責任者Sandeep Johri(サンディープ・ジョリ)氏も参加し、スタートアップのこれまでの資金調達額は7000万ドル(約85億7000万円)に達した。

LambdaTestによれば、現在130カ国で500社以上の企業、100万人の開発者とテスターが同社のプラットフォームを利用しているという。またこれを使った同社の顧客は1億回以上のテストを実施し、市場投入までの時間を95%短縮し、リリースの生産性を62%向上させ、ローンチ前に67%の問題を特定することに成功したという。LambdaTestのホームページには、Microsoft(マイクロソフト)、Apple(アップル)、Xerox(ゼロックス)、Postman(ポストマン)、Yale(イエール)、Directi(ディレクティ)などの顧客が名を連ねている。

カーン氏は、このパンデミックも、多くの潜在顧客をLambdaTestに引きつける上で重要な役割を果たしたのだという。スタートアップは2021年、ビジネスを300%成長させたという。

カーン氏はいう「私たちは、テストのオーケストレーションと実行に関して、開発者とQAチームの仕事をより簡単にすることに強い重点を置いています。ほんの数カ月前、私たちは、企業がエンド・ツー・エンドの自動テストを可能な限り最速で実行できるよう支援する、次世代スマートテストオーケストレーションプラットフォームのHyperExecute(ハイパーエクスキュート)をリリースしました。私たちは間もなく、テスト情報プラットフォームのTest-at-Scale(TAS)をローンチする予定です。すでにベータ版として運用中です。また、当社の中核となる実行プラットフォームの能力も継続的に強化しています」。

LambdaTestの提供するサービスの一部は、評価額40億ドル(約4901億6000万円)のスタートアップBrowserStack(ブラウザースタック)と競合している。競合の名前は挙げなかったが、カーン氏によれば、LambdaTestの製品ははるかに包括的であり、スケーリングに対するアプローチもユニークだという(一方、BrowserStack側は確かにLambdaTestをライバルと見ているようだ。例えばLambdaTestをGoogleで検索すると、先週はBrowserStackがスポンサーリンクとしてトップに表示された)。

同社は今後、提供するサービスをさらに拡大し、従業員数も増やしていく予定だ。現在、インドと米国を中心に約250人の従業員が働いている。今回の資金調達で、カーン氏はベイエリアでのチーム拡大を積極的に進めるという。

Premji InvestのパートナーであるAtul Gupta(アトゥルグプタ)氏は声明の中で「LambdaTestは、コスト効率と拡張性に優れたソリューションを提供することで、企業がテスト実行をオーケストレーションできるよう支援するとともに、既存のインフラに対する追加を行うことなくコントロール性を向上させます。彼らは、テスト実行のスピード、信頼性、パフォーマンスの境界を押し広げているのです。テスト実行のあり方を変えようとする、この超野心的なLambdaTestチームと協力できることをうれしく思います」と語っている。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:sako)

ECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

商売のデジタル化を支援するhey(ヘイ)は3月29日、ネットショップ開設サービス「STORES」(ストアーズ)において、キャッシュレス決済サービスのPayPayと連携したことを発表した。今回の連携により、STORESで開設したネットショップでは、従来のクレジットカード、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済などに加えて、PayPayでの決済も可能となったECサイト制作サービスのSTORES、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

heyは、2021年6月に実店舗オーナー・従業員へのアンケート調査を実施(n=444)。その結果「実店舗とネットショップの両方を運営している」「今後、両方を運営していきたい」と回答した事業者は82%に上り、同社は実店舗とネットショップを融合したマルチチャネル化、OMO(Online Merges with Offline)化の動きが進みつつあると指摘。今回、中小規模の店舗でも多数の導入実績を持つPayPayと連携したことで、今後も双方の特性を活かし「実店舗とネットショップの融合」を支援することで、より多くの中小事業者の成長に貢献できるようサービスを展開していきたいという。

ECサイト制作サービスのSTORESがPayPayと連携、開設したネットショップでPayPay決済が可能に―実店舗とECの融合(OMO)実現

PayPayは登録ユーザー数4500万人以上、加盟店数355万カ所以上のキャッシュレス決済サービス(店舗やタクシーなど、PayPay登録カ所数の累計。2021年12月時点)。

STORESは、ASPカート型のネットショップを開設できるサービス。ひな型となるデザインテンプレートを多数提供し、ウェブサイトデザインやネットワーク関連の知識がなくともECサイトを作ることが可能。商品の予約販売機能、電子チケットの販売機能、顧客管理機能なども備えており、中小事業者を中心に利用されている。