グーグルがWear OSの大規模アップデートを発表、Fitbitの「健康」関連機能も導入

Wear OS(ウェアOS)はこれまで、Google(グーグル)のOSの中でもダークフォース的な存在だった。パートナーシップや投資がなかったわけではないが、何らかの理由で、Googleはそのウェアラブル用オペレーティングシステムを成功に導くことができなかった。

このカテゴリーでは、以前からApple(アップル)が圧倒的な強さを誇っている。Googleは家電業界のいくつかの大手企業から協力を得たにもかかわらず、この市場を切り崩すことにほとんど失敗してきた。Strategy Analytics(ストラテジー・アナリティクス)の表によれば、市場シェアでWear OSは「その他」に分類されている。

ここでもう一度確認しておくが、Googleの戦略とはパートナーシップによるものだ。より正確に言えば、パートナーシップと買収の組み合わせである。その「勝てなければ仲間にしてしまえ」というアプローチは、長年オープンソースのTizen(タイゼン)にこだわってきたSamsung(サムスン)にも向けられた。Samsungの戦略は奇策の1つのように見えたが、Tizenの独自バージョンを作り出すことは、このカテゴリーでアップルに次ぐ存在となったSamsungにとって、勝利の戦略であることが証明された。

過去最大のアップデートを@wearosbygoogleに施します。Googleマップのターンバイターンナビゲーションや、YouTube Musicから曲をダウンロードしてオフラインで聴くことが可能になるなど、各Googleアプリにも新機能が導入されます。もう携帯電話を置いてきても大丈夫。#GoogleIO

米国時間5月18日行われた「Google I/O」の基調講演で、GoogleはSamsungとの新たなパートナーシップを明らかにし「Wear OSとTizenの長所を組み合わせる」と発表した。これがどのように展開されるのか、我々にはまだわからないが、2つのビッグプレイヤーが力を合わせてアップルに対抗するというのはおもしろい見物になりそうだ。「You come at the king, you best not miss.(王者を目の前にしたら、見逃すべきではない)」とは、有名な人気テレビドラマの言葉である。両社にとって大きな問題となっていたのがサードパーティ製アプリの品揃えだが、このパートナーシップによって開発者は両プラットフォーム向けに共有のアプリを作成できるようになると思われる。

Wear OSのもう1つの大きな変更は、GoogleがFitbitに興味を持った理由を明らかにするものだった。確かにFitbitは、フィットネスバンドで市場を席巻したウェアラブル製品のリーダー的存在であり、最終的には(Pebble[ペブル]を買収するなどして)独自のスマートウォッチを開発しているが、ここで重要なのは「健康」である。

画像クレジット:Google

健康モニタリングは近年、ウェアラブル製品における話題の中心となっている。GoogleのFitbit買収は、何よりもその情報を統合することが目的だったようだ。「Fitbitが提供するワールドクラスのヘルス&フィットネスサービスが、このプラットフォームで利用できるようになります」と、Googleは述べている。人気が高いFitbitのフィットネストラッキング機能を追加するだけでなく、Wearの機能をGoogleのハードウェアに統合することで、両社の境界線を曖昧にしようとしている。

「健康とフィットネスのトラッキングは、ウェアラブルにとって不可欠です」と、Googleはブログに書いている。「最新のWearアップデートでは、Fitbitが長年培ってきた健康に関する専門知識を取り入れることになります。1日を通して健康状態をトラッキングしたり、達成した目標を手首の上で祝う機能などが、より健康になるための意欲を高めます」。

ユーザー体験も同様に改善される。Calm(カーム)、Sleep Cycle(スリープ・サイクル)、Flo(フロー)などのアプリには専用のタイルが用意され、どこからでもショートカットにアクセスできる。Google自身のアプリも、Google マップ、Google アシスタント、Google Payなどが刷新され、Google Payは現在の11カ国に加えて新たに26カ国で展開が始まる。2021年後半には、YouTube Music(ユーチューブ・ミュージック)アプリのWear版もリリースされる。

以上のようなアップデートは、2021年後半から利用できるようになる予定だ。

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タグ:GoogleGoogle I/O 2021Wear OSSamsungTizenウェアラブルデバイススマートウォッチFitbit健康

画像クレジット:Google

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Android TV OSの月間アクティブデバイスが8000万台に到達、新機能も発表

米国時間5月18日、Googleは開発者会議「I/O」でTVプラットフォームの最新情報を公表した。同社によると、2020年後半に登場したChromecastのGoogle TVやスマートテレビなどのプラットフォームを含めて、Android TV OSの月間アクティブデバイスは8000万台を超えた。また同社は、利用者向けのリモコン機能の他、キャスティングやエミュレータなどの開発者向けアップデートといったAndroid TV OSにこれから登場する新機能も紹介している。

Googleは2021年秋にGoogle TVエクスペリエンスを発表してAndroid TV OSの位置づけを変更した。新しいGoogle TVは裏側ではAndroid TVが動作するもので、Chromecast with Google TVやソニーのスマートテレビ、そして近々一部のTCLのテレビに搭載される。GoogleはI/Oイベントで月間アクティブデバイス数が8000万台に達したと発表した際に、Android TV OSの成長の80%以上は米国からのものだと述べた。

関連記事:新Google TVが登場、ストリーミング、ライブテレビ、検索などを単一のUIに統合してChromecastに搭載

Googleが発表した節目の数字では、Android TV OSがRokuやAmazon Fire TVといったライバルより先行しているように見えるかもしれない。月間アクティブアカウント数はRokuが5360万、Amazon Fire TVが5000万以上だ。しかしこれは数え方が違う。

Android TV OSの数字は、月内に利用されたデバイスの数をカウントして計算されている。つまり1人のユーザーが複数のデバイスを持っていれば別のデバイスとしてカウントされ、複数の家族が1台のデバイスで見ていれば1台とカウントされる。

RokuとAmazonは月間アクティブユーザーを、月内に利用された「アカウント」と定義している。つまり、あるアカウントが複数のデバイスにストリーミングしても、1つとカウントされる。もしRokuやAmazonがGoogleと同じ方法でアクティブなデバイスを計算すれば、数字はもっと増えるだろう。

さらに、RokuとAmazon Fire TVはそれぞれの企業が提供しているデバイスのラインナップとパートナーが提供する一部のテレビで利用でき、一方でGoogleのAndroid TV OSのデバイスやサービスはテレビやストリーミングデバイスのブランドパートナーとテレビサービスプロバイダでも利用できる。つまり全体の数字にAndroid TV OSが動作する事業者の分やセットトップボックスも含まれるということだ。これは市場の種類が異なる。

同日にGoogleはAndroidにリモコン機能を追加することも発表した。このためユーザーはリモコンが見当たらなくなってもテレビを操作できるようになる。この機能が登場するのは2021年後半の予定で、ユーザー名やパスワードを入力したり長いタイトルを検索したりするのが楽になるとGoogleは説明している。Google TVを含めAndroid TV OSの全ユーザーがこの機能を利用できるようになる。

画像クレジット:Google

一方、GoogleはAndroid TVエクスペリエンスの開発者向けにも今後登場する新機能をいくつか発表した。Cast Connectは、ユーザーがスマートフォンやタブレットのChromeブラウザからAndroid TVアプリにキャストできる機能だ。Stream Transferはユーザーがメディアを別のデバイスに転送する機能、Stream Expansionは複数のデバイスでオーディオを再生する機能だ。

画像クレジット:Google

GoogleはAndroid 11で動作する初のGoogle TVエミュレータと従来のAndroid TVエクスペリエンスを備えたAndroid 11のイメージも提供する。開発者はエミュレータ内で直接、テレビのリモコンにもっと近いリモコンを使うこともできる。

開発者からの要望に応えて、Firebase Test LabにAndroid TVのサポートも追加する。提供開始当初はFirebase Test Lab Virtual Devicesとしてクラウド内の開発者のアプリをAndroid TVエミュレータ上で実行し、数百台、あるいは数千台のバーチャルデバイスでテストをスケールすることができる。物理的なデバイスのサポートは近日中に開始される。

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最後に、米国時間5月18日からAndroid 12ベータ1がADT-3 Developer Kitでテレビ用として利用できるようになる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

【レビュー】新iMac パープル先行動画レビュー。周辺機器まで統一されたカラーデザインに感動

【レビュー】新iMac パープル先行動画レビュー。周辺機器まで統一されたカラーデザインに感動

Appleが4月20日に発表、7色展開が目を惹いたiMac 2021年モデル。24インチの画面にM1チップを搭載したこの新iMacが、いよいよ5月21日に発売となります。ひと足早く実機に触れる機会がありましたので、音を出せる環境の方は、ぜひ動画をご覧いただき、感動体験を共有できたらうれしいです。

SKUドンと来い?

ご紹介するのはパープルの実機になります。今回、ボックスもとても凝っています。飛び出す絵本みたい

ご紹介するのはパープルの実機になります。今回、ボックスもとても凝っています。飛び出す絵本みたい

Magic Keyboard、Magic Trackpad、Magic Mouseも、きちんと色がそろえてあるんです

Magic Keyboard、Magic Trackpad、Magic Mouseも、きちんと色がそろえてあるんです

付属品を充電するために同梱されたLightningケーブルもパープル。iPhone 12 パープルの充電に使いたくなってしまいますね

付属品を充電するために同梱されたLightningケーブルもパープル。iPhone 12 パープルの充電に使いたくなってしまいますね

同色のアクセサリーはAppleCareサポートによる保守は可能ですが、単品での販売予定はないとのこと

同色のアクセサリーはAppleCareサポートによる保守は可能ですが、単品での販売予定はないとのこと

いや〜、これらすべてに7色のカラーバリエーションがあるのかと思うと、ちょっとスゴイですよねぇ。「SKUドンと来い」なんて誰かが言ったのも頷けます。

まさに機能美

iMacの背面。コバルトブルーに近い濃い目の色です

iMacの背面。コバルトブルーに近い濃い目の色です

向かって左下にUSB-C、Thunderboltがそれぞれ2基の計4つ。大きな端子(Aとか)なんて、もうApple製品にはあり得ない? とにかくスッキリしています

向かって左下にUSB-C、Thunderboltがそれぞれ2基の計4つ。大きな端子(Aとか)なんて、もうApple製品にはあり得ない? とにかくスッキリしています

向かって右下に電源ボタン

向かって右下に電源ボタン

中央の電源プラグ回りも新設計の機構。電源プラグのケーブルはiMac本体とマグネットでピタッとくっつきます

中央の電源プラグ回りも新設計の機構。電源プラグのケーブルはiMac本体とマグネットでピタッとくっつきます

ACアダプターと電源プラグは一体型。ケーブルは本体と同色で、編み込みされた頑丈なタイプです

ACアダプターと電源プラグは一体型。ケーブルは本体と同色で、編み込みされた頑丈なタイプです

ACアダプターには有線LANの端子があります(一部モデルはオプション扱い)。アクセサリー類はすべてBluetoothによりワイヤレス接続なので、電源プラグ1本だけでスッキリとしたデスク周りを実現できます

ACアダプターには有線LANの端子があります(一部モデルはオプション扱い)。アクセサリー類はすべてBluetoothによりワイヤレス接続なので、電源プラグ1本だけでスッキリとしたデスク周りを実現できます

ワイヤレスでTouch IDを初搭載

キーボードのデザインも一新。Spotlight、音声入力、おやすみモード、絵文字キーがあります

キーボードのデザインも一新。Spotlight、音声入力、おやすみモード、絵文字キーがあります

右上にロック解除やApplePayの支払いなどを指紋認証で利用できるTouch IDを搭載しています。Touch IDのワイヤレスでの実装は初(一部モデルはオプション扱い)

右上にロック解除やApplePayの支払いなどを指紋認証で利用できるTouch IDを搭載しています。Touch IDのワイヤレスでの実装は初(一部モデルはオプション扱い)

ファーストユーザースイッチをオンにすれば、家族でiMacを共有する際、ロック画面から指紋認証でサクッとユーザーを交代できます

ファーストユーザースイッチをオンにすれば、家族でiMacを共有する際、ロック画面から指紋認証でサクッとユーザーを交代できます

同色アクセは超貴重品

Touch ID搭載Magic Keyboardは、M1搭載のMacであればminiなどほかのモデルでも利用できるとのことですが、単品販売はされません。ほかの同色アクセサリーも同様、AppleCareによる保守部品としては入手可能ですが、単体では手に入らないので貴重です!

Touch ID搭載Magic Keyboardは、M1搭載のMacであればminiなどほかのモデルでも利用できるとのことですが、単品販売はされません。ほかの同色アクセサリーも同様、AppleCareによる保守部品としては入手可能ですが、単体では手に入らないので貴重です!

関連記事:Touch ID内蔵Magic Keyboard、当面は新iMacとのセット販売のみ

真っ平な画面

24インチと言うとテレワーク向けにピッタリなサイズですが、意外にもiMacでは初となるディスプレイサイズ。解像度は4480×2520ドットの4.5Kで、27インチモデルの5Kディスプレイと画素密度は、ほぼ同等です

24インチと言うとテレワーク向けにピッタリなサイズですが、意外にもiMacでは初となるディスプレイサイズ。解像度は4480×2520ドットの4.5Kで、27インチモデルの5Kディスプレイと画素密度は、ほぼ同等です

デザイン上のアクセントとなっている顎の部分に施されたカラーリングですが、画面とベゼルからこの部分は完全にツライチになっています

デザイン上のアクセントとなっている顎の部分に施されたカラーリングですが、画面とベゼルからこの部分は完全にツライチになっています

FaceTimeカメラは1080pに。暗所での画質もアップしました。マイクもスタジオ品質でインプットでき、ビデオチャットが対面で会話しているかのようにストレスなく行なえました

FaceTimeカメラは1080pに。暗所での画質もアップしました。マイクもスタジオ品質でインプットでき、ビデオチャットが対面で会話しているかのようにストレスなく行なえました

ノートPCより場所取りません

ニューiMac、なんといっても、この「佇まい」ですよね。わずか11.5ミリの薄型ディスプレイとシンプルなスタンドに、電源以外のすべてが詰め込まれているなんて、ちょっと信じられません

ニューiMac、なんといっても、この「佇まい」ですよね。わずか11.5ミリの薄型ディスプレイとシンプルなスタンドに、電源以外のすべてが詰め込まれているなんて、ちょっと信じられません

iPhoneより少し厚みがあるくらいです

iPhoneより少し厚みがあるくらいです

ファンレスではないのですが、ノイズは10dB以下に抑えられていて、動作音らしいものを感じることは一時もありませんでした。

スタンドの底部のゴム足までパープル。個人的には、もう少し滑りにくい素材にしてほしかった気もしました

スタンドの底部のゴム足までパープル。個人的には、もう少し滑りにくい素材にしてほしかった気もしました

短期間ですがニューiMacを実際に使ってみた印象は……冒頭の動画で語っているので、ぜひそちらを再生してご覧いただきたいのですが、画面のインパクト、音質、デザイン性、どれを取っても「洗練」という言葉がピッタリと思いました。あと、カラバリの表現に対するAppleの異常とも言える細部へのこだわりですね。ほかのカラーもすべて細かく見てみたくなっております。

デスクトップというと置き場所が……となりがちですが、ぶっちゃけノートパソコンより面積取らない印象ですので、外ではスマホやタブレットで十分という人は、せっかくなら自宅では大きな画面、最高の音質を備えたニューiMacで贅沢三昧してほしいです。

より詳しい使い勝手やベンチマーク結果など掲載していますので、引き続きEngadget 日本版にご注目いただけましたらと思います。

グリーンのiMacに想う──新しいiMacは「見た目で選んでいいMac」だった
ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準

Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:iMac(製品・サービス)Apple / アップル(企業)レビュー(用語)日本(国・地域)

ペット業界に特化したTYLが獣医師往診サービス「anihoc」開始、往診料金税込5500円

ペット業界に特化したスタートアップTYLは5月19日から、獣医師往診の新サービス「anihoc(アニホック)」の提供を始めた。anihocは獣医師が飼い主の自宅や専用の往診車で、ペットの健康診断や内科全般などの獣医療を行うサービスだ。

TYLは2017年に設立され、「ペットの家族化推進」をミッションに掲げる。同社はペット業界の求人サイト「アニマルジョブ」や、動物 / ペットに関する通信資格・講座の比較・資料請求ができる「動物資格ネット」などを提供している。

anihocでは専用のウェブフォームから予約すれば、最短即日で往診サービスを受けられる。コロナ禍での「外出を控えたい」「待合室での密な状況」といった悩みをanihocで解決していく考えだ。

TYLの取締役/獣医師の藤野洋氏

TYLの取締役で獣医師の藤野洋氏は、同日に開かれたオンライン会見で「飼い主やペットも普段と変わらない生活環境で獣医療を受けることができます。『待合室での時間』『ペットと通院する負担』といった既存の獣医療の課題を解決し、DX化する新たなサービスでもあります」と語った。

コロナ禍でペット関連市場は変化

新規飼育者によるペットの飼育頭数は、2018~2020年の推移をみると増加傾向にある。藤野氏は「コロナ禍でペットの立ち位置の変容がありました。人との関わり合いの希薄化やお家時間の増加などにより、これまでよりも『癒しの存在』『コミュニケーションパートナー』といった傾向が顕著になり、ペットの家族化が進んでいます」という。

また、ペット1匹にかける平均支出額の推移では、犬猫とも2019年に減少したものの、2020年に犬は約34万8561円、猫は16万4835円といずれも過去最高額となった。コロナ禍によってライフスタイルの変容や生活環境に影響が出てことで、ペット市場にも変化が生じているのだ。

anihocの全国展開を目指す


anihocの往診はTYL社員の獣医師3人体制で行う。獣医師3人で1日、1人当たり飼い主3人に対応できるという。藤野氏は「今後は獣医師の人数を増やしていきたいと思っています」と語った。また、犬や猫だけでなくハムスター、ウサギ、フェレットなどもanihocの対象となっている。

現在は東京都内23区を中心に、埼玉県南部と神奈川県北部の一部エリアでサービスを提供する。診察料はすべて税込みで、初診料が2200円、再診料が1100円、往診料金が5500円、深夜料金(午後7時~9時)が1万1000円となっている。

TYL代表の金児将平氏

TYLの金児将平代表は「私自身、犬を飼っています。ただ、よく吠えてしまうので、動物病院に行くと待合室で冷たい目で見られることもありました。動物病院に行きたくても行けない飼い主は多いと思っています。そのような方々のためにもサービスの普及に力を入れ、全国展開を目指していきます」と意気込みを語った。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:TYLペット日本DX

すべての街を「駅前化」するインフラを目指す電動マイクロモビリティシェアの「Luup」が7.5億円を調達

すべての街を「駅前化」するインフラを目指す電動マイクロモビリティシェアの「Luup」が7.5億円調達

「街中を『駅前化』するインフラをつくる」とのミッションのもと電動マイクロモビリティのシェアリングサービス「LUUP」(ループ、Android版iOS版)を展開するLuupは5月19日、第三者割当増資による7億5000万円の資金調達を2021年4月に実施したと発表した。引受先は、Spiral Capital Japan Fund 2号投資事業有限責任組合をリード投資家に、ANRI3号投資事業有限責任組合、ENEOSイノベーションパートナーズ、アダストリア、非公開の投資家複数名。このラウンドは2021年夏に最終クローズの予定で、現在も投資家候補との協議を続けている。同時に、LUUPの設置を希望する全国の企業の募集も開始した。

LUUPは現在、東京の渋谷、新宿、六本木(赤坂から虎ノ門も含む)、大阪のキタ、ミナミの計5カ所でサービスを運営。街中を「駅前化」とは、駅からちょっと遠いなと感じる場所へ楽に行ける交通インフラの構築を意味しているそうだ。Luupの取締役兼CEOの岡井大輝氏によれば、同社は創設からこれまで2年半の間、アライアンス、省庁、自治体との協議が先行し、プロダクト開発とオペレーションがそれに続く形だったが、4月23日、電動キックボードのヘルメット着用義務を免除する政府の特例制度の認可を受け本格的なシェアリングサービスを開始したことで、次のフェーズに入ったという。今後は、プロダクト開発を先行させ、アライアンスやオペレーションがそれに続く形になる。

今回の投資を受け、同社はサービスエリア拡大とともに、安全で便利な新しい機体の開発も進めてゆく。将来的には、高齢者も簡単に安全に乗ることができるモビリティーの導入も目指すとのこと。そのための、営業部長とテックリードの募集も行っている。

また、今ラウンドに参加したENEOSイノベーションパートナーズとアダストリアとは、将来の協業も視野に入れている。ENEOSとは電動マイクロモビリティーのエネルギー供給体制の構築を、カジュアルファッションのSPAブランドを展開するアダストリアとは、移動手段までを含めた店舗展開で協力してゆく予定だ。

画像クレジット:Luup

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カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:資金調達(用語)電動キックスクーター(用語)マイクロモビリティ(用語)Luup日本(国・地域)

グーグルが自動車用Androidアプリの開発にライブラリの提供などで便宜強化

2021年中に、Volvo(ボルボ)とGMとRenault(ルノー)およびPolestar(ポールスター)の計10車種以上にAndroid Automotiveオペレーティングシステムが搭載され、内蔵のGoogle(グーグル)アプリとサービスのすべてを利用できるようになる。今後同社は、サードパーティの開発者が、ナビゲーションやEVの充電、駐車、メディアなどのアプリを車のスクリーン上にもっと容易かつ直接的に実装できるよう図っていく。

Googleは米国時間5月18日に行われたデベロッパーカンファレンスで、Android for Cars App Libraryの拡張を発表した。ライブラリスイートAndroid Jetpackに含まれ、Android Automotiveオペレーティングシステムをサポートする。これにより開発者は、Android OSとAndroid Autoという、2つの異なる(ただし重複部分もある)プラットフォームに対応したアプリを開発できるため、良いニュースでもある。また開発者は、アプリを1つ開発したらそれが複数の車種で問題なく動くという状態を維持確保できる。

Googleの発表によると、同社はすでに初期パートナーたちとの共同事業を開始しており、ParkwhizやPlugshare、Sygic、ChargePoint、Flitsmeister、SpotHeroらの開発者とともにAndroid Automotive OSで動く各種車載アプリの開発を進めている。

画像クレジット:Google

Android Automotive OSとAndroid Autoを混同しないように。後者はオペレーティングシステムの上に来る二次的なインタフェイスだ。Android Autoは、ユーザーのスマートフォンで動くアプリで、クルマのインフォテインメントシステムとワイヤレスで通信する。一方、Android Automotive OSはLinuxの上で動くオープンソースのモバイルオペレーティングシステムAndroidがその基本形だ。ただしAndroidであってもスマートフォンやタブレットで動くのではなく、自動車メーカーが車載用に使えるよう、Googleが変更を加えている。GoogleはこのOSのオープンソースバージョンを自動車メーカーにしばらく提供していたが、しかし最近では自動車メーカーがテクノロジー企業と共同で、Google AssistantやGoogle Maps、Google Play StoreなどGoogleのアプリとサービスをすべて内蔵するAndroid OSをネイティブで作り込んでいる。

Spotifyなど多くのサードパーティ開発者がAndroid for Cars App Libraryを使って独自のAndroid Autoアプリを開発し、Play Storeへ出している。Cars AppをOSの拡張とすることにより開発者は、アプリを1度だけビルドすればよい。

2年前にGoogleは、Android Automotiveオペレーティングシステムをサードパーティの開発者に公開して、音楽などのエンターテインメントアプリをクルマのインフォテインメントシステム用に作らせようとした。それが最初に実現したのが、Volvoが電動車専門のパフォーマンスブランドとして誕生したPolestarの、Polestar 2だ。その後のVolvo XC40 Rechargeなども、この方式を採用している。

アーリーアクセスプログラムに参加を希望する企業は、こちら書式に記入して申し込むこと。

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画像クレジット:Volvo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準

IntelからArmへ。昨年6月、Mac搭載プロセッサの変更を発表したApple。M1と名付けられたSoCはさまざまな製品に搭載されているが、MacBook Pro、MacBook Airへの採用に続き、このたびデスクトップ機のiMacにも搭載された。

さらに驚かされたのは7つものカラーバリエーションが選べることだ。選んだカラーに合わせ、本体色はもちろん、付属キーボード、マウス、トラックパッド、付属ケーブルなども同じカラーテーマで揃えられている。

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準
本体のみのカラーバリエーションはありがちだが、付属品のほとんどが選んだカラーに統一され、それがさらに7色も用意されているということには素直に敬意を表したい。

しかし、ポップなカラーリングとは裏腹に11.5ミリ、ぱっと見はただのディスプレイとも思えるスリムなボディながら、コンピュータとしてはパワフルかつ洗練された使い勝手と完成度を誇る。それが今回のiMacだ。

関連記事:
アップルが新iMac発表、M1搭載で性能とデザイン大刷新 全7色展開
薄型ディスプレイにM1 Mac miniが内蔵されただけではない24インチiMacの価値

高精細ディスプレイ+Mac mini=24インチiMacではない

24インチ(正確には23.5インチ)の4.5Kディスプレイは市販品で探しても見つからない。このサイズではもっとも高精細なディスプレイのひとつで、他のApple製品と同じように事前に色調整が行われたDisplay-P3対応の広色域に対応している。この点は期待通りの仕上がりとなっている。

最大500nitsの範囲でHDR表示も行えるため、iPhone 12シリーズで撮影したHDR動画を美しく表示できる。標準に準拠していながらも、異なるApple製品との互換性がきっちりと取られているので気持ちいい。

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準
本体の配色に関しては、ベゼルがホワイトであるため、見づらさなどに繋がらないか懸念していたが、実際には明るいグレー。ディスプレイの輝度が適度であるならば特に気になることはない。むしろ一般的な家庭の室内の白系の壁紙であれば、部屋の壁などと馴染んでベゼルの存在感を和らげると感じられるチューニングだ。

同様に、ディスプレイ下の部分(この中にメイン基板が入っている)がテーマカラーごとの明るい色合いで組み合わされ(側面と背面は濃い配色)、ベゼルの明るいグレー(あるいはやや暗めの白)と馴染む濃度で、こちらもカラフルな外観を損ねない範囲でアクセントとなっている。

側面と背面のヴィヴィッドな配色は好みもあるだろうが、ウェブページ上で見るよりも実物は落ち着いた印象で、筆者が評価したブルーが鮮やかすぎるとは感じなかった。もちろん、もっと透明感のある選択をしたいならばシルバーという選択肢を選べばいい。

付属品を含めたトータルのデザインコーディネートを考えれば、その佇まいだけでも価値があると感じる。とはいえ、そうした感覚でパソコンを選ぶわけではないと思う人もいるだろう。

スタンドや角度調整のヒンジなども含め、アルミとガラスだけで包まれたiMacだが、カラーバリエーションや4.5Kディスプレイを必須と思わないならば、手持ちのディスプレイ+Mac miniでいいのではと考える人がいるかもしれない。後述するが、24インチiMacの性能はMac miniとほぼ同じであり、ソフトウェアの実行速度という観点では全く同じとなる。

しかし、Appleが独自に設計したAppleM1の活用という側面で、Mac miniでは得られない体験が一体型のiMacには用意されている。トータルコーディネートに興味がなくとも、iMacならではの良さがそこにはあるのだ。

iPhone 12向けの開発成果がiMacにも

M1はMac向けに性能と高速インターフェイス、メモリアーキテクチャなどを強化されているが、マイクロプロセッサとしての基本はiPhone 12シリーズ向けのA14Bionicと共通する回路が搭載されている。このためiPhoneを磨き上げる中で活用されてきた技術が、そのままMacでも使えるようになるわけだ。

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準
そのもっとも端的な例がTouch IDボタン付きのキーボード。M1にはiPhone向けのAシリーズと同じく指紋認証を行うための処理回路とセキュリティ機能が搭載されているので、iPhoneで実績のある指紋認証システムがそのまま利用できる。

【レビュー】ひと足先に触れたブルーのiMacに感じる家庭向けデスクトップの新基準
裏を返せば、Touch ID付きのBluetoothキーボードはM1との組み合わせで動作するということ。M1を搭載していればどのMacでも利用可能で、Mac miniなどでも利用できるという。ただし、現時点では単体での発売は予定されていない。単体発売されないのはマウス、トラックパッド、ライトニングケーブルのカラーバリエーションも同じだ。(※いずれもiMacオーナーならば保守部品としては入手できる)

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次に体感できるのが1080p解像度に対応するFaceTime HDカメラの画質。iPhoneと同じ映像処理のプロセスをそのまま活かすことで画質が高められているのだ。

なお、1080p対応の新しいセンサーだけならば、昨年発売された27インチiMacにも搭載されている。27インチiMacのFaceTime HDカメラもかなり高画質だったが、映像処理はT2チップで行っていた。実はこの部分でのM1の貢献も大きく、内蔵する映像処理プロセッサの世代が異なるため、画質が上がっているのだ。T2チップは世代としてはA10世代と目されているが、M1を搭載するMacではiPhone 12シリーズの内蔵カメラと同水準の映像処理が施されることになる。

暗部ノイズの少なさやダイナミックレンジの広さ、質感表現の深さ、オートホワイトバランスの的確さなどiPhone向けの開発成果がそのまま活かされており、外部接続の高画質カメラとして発売されている最新のUSBカメラよりも画質が良い。

本体サイズを感じさせない音質

“iPhone向けの開発成果”に関しては、音質面にも現れている。

マルチマイクを用いてビームフォーミング(話者の方向に指向特性を合わせる)するため、オンライン会議にヘッドセットなしで参加しても生活音を拾いにくく、話者の声にフォーカスしてくれるのはありがたい。声のトーンもイメージを崩さずに拾ってくれ、外部マイクが必要だとは感じないはずだ。

カメラの信号処理と同じくこの音声処理もT2チップ搭載以降のMacでは一部導入されてきていたものだが、信号処理の世代が上がっている。本体サイズやレイアウトの制約が少ないためか、M1搭載のMacBook Proよりも良好に仕上がっていると感じた。

しかし、やはり驚くのはスピーカーの音質と高音質なスピーカーを活用した空間オーディオ(仮想立体音響)の完成度の高さ。何しろ本体の厚みは11.5ミリしかない。本体下部の空間は大半の容積をスピーカーで使っているだろうが、音波の出口は本体下のスリット。とても良い音が出てくるイメージはない。ところが、本機から出てくる音は驚くほどバランス良く、低域も豊かだ。

形式で言えば、iMacのスピーカーは2ウェイ3スピーカーのステレオ構成。低域を担当するウーファー2基がたがい違いの方向に搭載され、振動をキャンセルする構造になっている。豊かな低音が出せるのは振動をキャンセルする構造にすることで、積極的に低音を出せるためだろう。

音は真下に出し、机から反射させて耳に届くことになるが、驚くことに周波数特性や位相特性がよく調教されており、アンバランスなイメージはない。中でも位相特性の整え方は空間オーディオのサポートからも感じられる。

空間オーディオは、いわば仮想サラウンドの一種だが、仮想サラウンドはサラウンドチャンネルの音を、左右の耳に位相を変えて届けることで実現する。位相とは音が耳に届く時間軸の差のようなものだが、iMacのような音が出てくる経路が複雑なシステムでは、周波数帯ごとに差が生まれがち。ところがiMacの空間オーディオは素晴らしく、音の移動感が感じられる効果的なサラウンド効果を発揮してくれた。空間オーディオが利用できるのは、Apple TV+のコンテンツなど一部だが、今後はサポートが広がることも期待できる。

少なくとも別途、スピーカーを購入して接続する必要がない程度には、優れたスピーカーを内蔵していると考えていい。

AppleM1搭載による体験価値

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一方、SoCとして採用されているAppleM1の能力に関しては、昨年登場したMac miniやMacBook Proとほぼ変わらないと考えていい。冷却ファンは動作していることに気づくことはほとんどなく、その点ではSoCに関連した性能、および体験の質はMac miniと同一と考えていいだろう。

……と言うと、少しあっさりとしすぎかもしれないが、 21.5インチiMacと比べると8割以上もCPUが高速になり、GPUに至っては2倍程度。27インチiMacと比べてもCPUだけならば凌駕する。

ここまで紹介してきたハードウェア設計と一体となった体験価値、機能などもM1の価値ということができるだろうが、長期的に見ればM1に内蔵されるNeural EngineやMLアクセラレータなどのCPU、GPUとは別の処理回路がもたらす価値が、Mac用アプリにもたらす価値のほうが大きい。

その一部はmacOSでも動作可能なiPad用アプリの存在からもたらされるだろう。さらにMac用アプリで積極的に機械学習処理を活用する動きも強まっている。もちろん、macOSに標準添付されているアプリではすでに活用が始まっており、例えば写真アプリでは写真の分析処理をM1内蔵のNeural EngineやMLアクセラレータで行っている。

Intelプロセッサからの移行で心配された互換性問題やネイティブアプリへの移行速度といった懸念は、この半年ほどですっかり解消されたと言っても過言ではない。多くのアプリがM1対応となり、先日はAdobeのクリエイティブツールもほぼ移行が完了した。

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M1の弱点といえば、それはシステムスペックの選択肢が少ない(搭載メモリ、Thunderbolt 3のポート数、独立GPUが選べない)ことぐらいしか思いつかないが、これらは今回の24インチiMacの位置付けからすれば大きなマイナスとは言えないだろう。だからこそ、Appleは27インチモデルにM1を搭載していない。

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Boot Campや仮想化ソフトでWindowsを動かせなくなったことを残念に思うユーザーもいるかもしれないが、長年、両方のプラットフォームを併用してきた筆者でも、その必要性はほとんど感じなくなってきているというのが正直なところだ。

なお、ご存知の通りParallels DesktopがARM版Windowsの動作をサポートした。パフォーマンスは良好で、ブラウザの互換性などをチェックしたり、一部のWindowsでしかないアプリ(例えば筆者の環境では弥生会計)を動かしたりする程度ならば十分だと感じた。

ただし、ARM版Windowsの製品版を入手する手法がなく、開発者向けのプレビュー版をテストする場合にしか利用できないのが現状だ。マイクロソフトが一般向けにライセンスを始めない限り、公式なサポートは受けることができない点に留意しておきたい。

家庭向けデスクトップの新しい基準に

ディスプレイ一体型デスクトップパソコンというジャンルは、ディスプレイやスピーカーなどをトータルで設計できるため、ディスプレイ別売りのコンピュータよりもユーザー体験を演出しやすいという利点がある。

かつては、高品位ディスプレイが高価、かつパソコンの性能面での進化が速かったこともあり、エントリーユーザー向けの低価格製品というイメージがあったが、そうした考え方は古くなっている。

代表例がiMacで27インチモデルに5Kディスプレイが搭載されたこと。これにより新たな基準点が生まれた。製品ごとにカラー調整が施され、単体で購入すると高価な5Kディスプレイだが、それを搭載したことで、一体型を単なるお買い得モデルから体験価値の高い製品にしたわけだ。

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今回の製品ではさらに一歩踏み込み、独自プロセッサとハードウェア設計の組み合わせでの体験価値向上をもたらしている。狭額縁や薄型筐体などもあって21.5インチモデルからの置き換えでもむしろスッキリとした佇まいになる。

価格に関してもその質感や性能を考えれば決して高くはなく、むしろ安いと感じる人が多いのではないだろうか。家庭向けのデスクトップコンピュータの基準点として、今後、さまざまな製品を評価する際の指標となる定番製品に仕上がっていると思う。

グリーンのiMacに想う──新しいiMacは「見た目で選んでいいMac」だった

新iMac パープル先行動画レビュー。周辺機器まで統一されたカラーデザインに感動

(文:本田雅一、Engadget日本版より転載)

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:iMac(製品・サービス)Apple / アップル(企業)レビュー(用語)日本(国・地域)

フェイスブックがご近所とつながる新機能「Neighborhoods」をカナダで提供開始

Facebook(フェイスブック)はご近所とつながったり、近所レベルのローカルニュースをキュレートする新機能の提供を始める。意外性のない「Neighborhoods」という名称の新機能は現在カナダで提供されており、間もなく米国のユーザーも試せるようになる。

TechCrunchが以前報じたように、Neighborhoodsは少なくとも2020年10月から技術上は使えるようになっていたが、使用はカナダ・カルガリーのリクルートされたユーザーに限定されていた。

Neighborhoodsでは、Facebookユーザーは別の専用サブプロファイルを作って、そこに趣味やカスタムの自己紹介を登録できる。自分で作ったご近所や現在地近くのご近所に参加して、置き配泥棒や最近の子どもたちについて文句を言ったり、あるいはNextdoorでやるようなことができる。

Nextdoorがモデレーションでかなり頭を悩ませていることを認識しているFacebookは、Neighborhoodsを「関連性があり、優しいもの」にするためにコメントや投稿をレビューするNeighborhoods専門のモデレーターを配置する、と話す。Neighborhoodsの中では、代理を務めるユーザーが会話をまとめたり始めたり、ときに軽いモデレーションをしたりするようだ。ブロック機能もついている。

プライバシーに関して、そこはFacebookだ。NeighborhoodsはFacebookから独立したアプリではなく、当然のことながらターゲット広告を表示するためにあなたのご近所での活動を共有することになる。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Facebook広告SNSカナダ

画像クレジット:Facebook

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

DELLが2009年以降約380機種のPC用BIOS更新ソフトに深刻な脆弱性が見つかったとしセキュリティアップデート公開

DELLが2009年以降約380機種のPC用BIOS更新ソフトに深刻な脆弱性が見つかったとしセキュリティアップデート公開

DELLが、Windowsを搭載するデスクトップ、ノート、タブレットなどのPC向けのBIOSアップデートユーティリティに、5つの深刻な脆弱性がみつかったとして、これを修正するセキュリティアップデートを公開しました。

これらの脆弱性は、コンピューターセキュリティ企業のSentinelLabsの研究部門SentilenOneが発見・報告したもので、報告によれば、2009年以降のDell製Windows PC 380機種のほとんどにこの脆弱性が存在し、侵入者の特権昇格に使用される可能性があるとのこと。ただ、幸いにも報告時点ではこの脆弱性が悪用されているような証拠はないとのこと。

DELLはこの脆弱性に対して単一の修正パッチをリリースしましたが、このパッチは5つの修正をひとまとめにしたもので、うち4つは侵入者の特権昇格に使われる脆弱性、1つはサービス拒否の脆弱性を修正します。

DELLが記したFAQによると、攻撃者は脆弱性を利用するのになんらかのハッキングを利用するか、フィッシングその他の手段でユーザーをだまして直接PCにアクセスすることが必要になります。さらに脆弱性を含むファームウェアはPCにプリロードされていないため、ファームウェアを更新する際にのみPCに影響します。

とはいえ、攻撃者が問題のBIOSアップデートを持ち込んでPCにアクセス出来てしまえば、それを利用したハッキングを許してしまう可能性はあります。そのため問題の対象となるDell製PC(2009年以降のほとんどですが)を使用している人や企業・組織は、脆弱性の所在をすみやかに確認し、パッチの適用を済ませて置くべきかもしれません。SentinelLabsはユーザーがパッチを適用できるよう、脆弱性の詳細の公表を控えています。

(Source:SentinelLabsDell(1)(2)Engadget日本版より転載)

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Dell / デル(企業)

NFTアート:何が価値の源泉なのか? 新たな投資スタイルへの道を歩むNFT

NFTアート:何が価値の源泉なのか? 新たな投資スタイルへの道を歩むNFT

編集部注:この原稿は千野剛司氏による寄稿である。千野氏は、暗号資産交換業者(取引所)Kraken(クラーケン)の日本法人クラーケン・ジャパン(関東財務局長第00022号)の代表を務めている。Krakenは、米国において2011年に設立された老舗にあたり、ビットコインを対象とした信用取引(レバレッジ取引)を提供した最初の取引所のひとつとしても知られる。

現在、NFT(ノン・ファンジブル・トークン)がここまで注目される理由のひとつは、投資手段としてのアートの可能性を拡大させたことにあるでしょう。ネアンデルタール人によって6万5000年以上前に描かれた洞窟壁画が世界最古のアートといわれていますが、その後、歴史の中で様々な手法、技術そして媒体が生み出されてきました。アートをコンピューターファイルとして簡単にシェアできるデジタルアートは、最新の媒体のひとつです。

歴史的にアートは、鑑賞目的だけではなく投資家から代替的な価値保存手段として人気を集めてきました。インターネットが登場し、アートの形がデジタルに変わってもすぐにはフィジカルなアートと同様に投資対象とみなされませんでした。なぜならインターネットにはコピペ文化という問題が存在したからです。このデジタルアートの問題をデジタル領域における所有権の確立によって解消したのがNFTでした。

本稿では、NFTの意義をデジタル領域における所有権の確立という観点から解説し、投資対象としてのNFTを考察します。

クラーケンとNFTの関係は?

その前にまず、クラーケンとNFTの関係について少しお話をしたいと思います。NFTは2021年2月ころから一大ブームを巻き起こしていますが、実はクラーケンはブームの前からNFT関連事業を拡大してきました。

例えば、2020年12月23日、Ethereum(イーサリアム)基盤の3D仮想空間プラットフォーム「Decentraland」(ディセントラランド)で著名DJの3LAU(ブラウ)を招いてクリスマスパーティーを開催。参加者に限定盤のNFTウェアラブル(アバターが着る服など)を配りました。また、2021年1月には、NFTブームの中でもNo.1ヒットといえる「NBA Top Shot」(NBAトップショット)が基盤にするブロックチェーン「Flow」(フロー)を世界の取引所に先駆けて上場させました。

また創業者のJesse Powell(ジェシー・パウエル)は、創業前の2008年にカリフォルニア州のサクラメントでVergeという美術館を設立し、新進気鋭のアーティストをサポートしていました。ブロックチェーン技術の結晶であるNFTとデジタルアートは相性抜群です。こうした事情もあり、クラーケンではNFTの未来について高い関心を持ち日夜研究を続けています。

デジタル領域における所有権

NFTとは、暗号資産と同じように仲介業者を使わずにインターネット上で売買・交換が可能な暗号技術を基盤にしたトークンを指します。他の暗号資産と同じように偽造不可能で取引履歴の追跡が容易であるなどブロックチェーンならではの特徴がある一方、固有の価値を持つ点が異なります。NFTの場合、世の中に同じ価値をもたらすものはふたつとありません。

インターネットが誕生してもデジタルアートが普及しなかった背景にあるのは、いわゆる「コピペ」文化の存在です。

30年前にインターネットが誕生して以来、アーティストやコンテンツ制作者は、画廊やレコード会社を経由することなく、作品を直接公共の場で共有できるようになりました。2009年の暗号資産誕生前から、SNSや動画投稿サイトなどを使って仲介業者なしでアートを共有することは可能だったのです。

しかし、インターネットは諸刃の剣でもありました。インターネットを使える人なら誰でも簡単にアート作品のファイルをダウンロードしてコピーし拡散することが可能だったからです。所有権の帰属先は曖昧になり、最も成功するアーティストでさえ収益化に苦戦するのが現状でした。解決策は、仲介業者を元に戻し、サブスクリプションなどの仕組みを導入することでしたが、結局、仲介業者に多くの手数料を取られる構造は変えられませんでした。

この状況を変えたのがNFTです。NFTの登場後も、インターネット時代と同じように、誰でもアートをオンラインで見ることができ、自分のスクリーンセイバーに使うこともできます。しかし、インターネット時代と異なり、NFTによって、アートが希少なものとしてブロックチェーン上に記録され、それを「所有」できる人は限られた人になりました。

例えばモナリザの絵のコピーを家の壁に掛けても、それはモナリザの絵を持っているということになりません。多くの人はモナリザの絵のコピーを家やネットで見るだけで満足するかもしれませんが、一部の人は数億円払ってでも保有することに価値を感じます。私たちはモナリザのような有名な絵はだいたい知っていますし、オンラインで画像をいくらでも見ることができます。しかし、「本物」は確かに存在し、所有者は公式の文書で公式のライセンスを持っている人だけになります。NFTは、ブロックチェーン技術を使って限られた所有権のライセンスをデジタル上で確立したものなのです。

そして、NFTがデジタル所有権を確立したからこそ、これまでフィジカルのアートだけが対象だった投資の世界にデジタルも加わることになりました。誰もが参加できるブロックチェーン技術によって、アート作品の所有権が証明可能なものになったからこそ、「本物」と偽る詐欺の可能性がなくなり、投資対象としてデジタルアートが価値を持つようになりました。

数字で振り返るNFTの熱狂

NFTの売り買いを行うマーケットプレースにおける取引高は、2月26日に過去最高の2600万ドル(約28億円)に到達した後も勢いを持続し、3月11日には3400万ドル(約37億円)と過去最高記録を塗り替えました。その後、熱狂度合いがやや落ち着き、2021年第1四半期は結局1300万ドル(約14億円)で終えました。

NFTマーケットプレイスの取引高

出典:Kraken Intelligence「NFTマーケットプレイスの取引高」

主なNFT作品の販売実績としては、デジタルアーティストBeepleの「The First 5000 Days」が米老舗オークションハウスのクリスティーズで6900万ドル(約76億円)で落札された他、米国出身バンドのKings of Leon(キングス・オブ・レオン)が初めてNFTとしてアルバムをリリース、ツイッター創業者Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)の最初のツイートが50万ドル(約5500万円)で落札、NFTスターRob Gronkowski(ロブ・グロンコウスキー)が自身のプレイシーンをNFTで販売するなど、音楽界とスポーツ界を中心に複数あります。

これらNFT作品の購入者は、初期投資以上に作品の価値が上昇すると見込んでいるから投資をしたわけです。NBAトップショットでは、LeBron James(レブロン・ジェームズ)のハイライトシーンを20万8000ドル(約2300万円)で購入したバスケットボールファンもいました。このファンは、将来的にさらに値上がりすると見込んでいるから投資をしたのかもしれません。

NFTアート:何が価値の源泉になるのか?

前述のように、NFTによってアートへの新たな投資手法が生み出されたということは確かでしょう。所有権の売買だけではなく、例えばblueboxのように、NFT投資家が音楽のストリーミングストアから印税を毎月得られる仕組みも構築されています。

ただ、NFTは誰にでも作りやすく、投機の対象になる可能性があることにも注意が必要です。

重要なのは「何が価値の源泉なのか?」という点です。例えば作品を作るのに費やした労働コストなど普遍の物差しがあるわけではなく、「投資家が価値があると思うから価値がある」というのがNFT作品の価値を決める軸になっています。「個人的にアーティストが好きだから」という一点でアートの購入を決める富裕層もいます。NFTのアート作品に「本源的な価値」(Intrinsic Value)があるのか、疑問視されています。

実はBitcoin(ビットコイン)も「本源的な価値がない」と批判されます。Bitcoinは一時6万ドル(約653万円)まで上昇しましたが、「その根拠は何か」「適正価格はどうやって出すのか」という視点です。

ただ「自分が価値があると思うから価値がある」という主観価値説が間違っていないという立場を取ることもできます。そうなると、物事の価値というのはマーケットにおいて需給の結果決まるという立場につながります。

フィジカル版アートへの投資が歴史的に成立してきたように、NFTによって可能となったデジタル版のアートへの投資も存続し続けるでしょう。ただ、「現在のNFTがバブルなのか?」という問いに関しては慎重に答える必要がありそうです。自分が価値があると思うものに価値が生まれるといっても、先述のBeepleが指摘するように「とんでもない価格をガラクタに付けてしまうこと」もあり得るかもしれません。

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マイクロソフトが「Windows 10コンポーネント版Flash Player」を完全削除するアップデートを7月配布

マイクロソフトが「Windows 10コンポーネント版Flash Player」を完全削除するアップデートを7月配布

マイクロソフトが、7月にWindows 10コンポーネントとしてのAdobe Flashを取り除くアップデートを配布します。またそれよりも先、今月配布予定のWindows 10 21H1にアップデートした場合はその時点でFlashは削除されます。

同様のFlash掃討作戦はWindows 8.1、Windows Server 2012、Windows Embedded 8 Standardなどの古いOSでも実施されることをブログ記事で告知しているため、それらのOSでFlash必須の作業を抱えているユーザーは事前に対応策を考えておく必要がかもしれません。なお、サポートページを見ると、ユーザーが手動インストールしたアプリケーションとしてのAdobe Flash Playerは削除されないとのこと。

今回の削除はまだOSにコンポーネントとしてプリインストールされているFlash Playerの削除であり、2021年1月以降に最新バージョンに更新されたMicrosoft Egdeブラウザーからは、Flash機能は削除されているはず。ChromeやFirefoxといった主要なブラウザーは2016年無効化を実施し、Adobe自身も2020年末をもってそのサポートを終了しました

あらゆる環境でFlashへのサポート終了は進行しているものの、歴史上、Flashで構築されたソフトウェア資産にはゲームをはじめ多種多様なものがあるため、Internet Archiveはそうした遺産をインターネットの重要な部分として保存したライブラリーを公開しています。もし栄華を極めた頃のFlashを懐かしく思うのなら訪れてみるのも良いかもしれません。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Adobe / アドビ(企業)Adobe Flash(製品・サービス)Windows(製品・サービス)Windows 10(製品・サービス)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)

パブリッシャーが個々の記事、動画、ポッドキャストに対する支払いを受け取ることを可能にするFewcentsが1.7億円を調達

パブリッシャーの多くは、サイトの訪問者たちをサブスクユーザーにすることに熱心だが、他にも重要なユーザーグループがいる。特定のプレミアム記事や動画を見たいけれど、サブスクリプションに登録する気はない人たちだ。シンガポールに拠点を置くフィンテックスタートアップであるFewcents(フューセンツ)が、シンガポール時間5月5日、160万ドル(約1億7000万円)のシード資金調達を発表した。同社はパブリッシャーが個々のコンテンツに対する「マイクロペイメント」を受け取ることを可能にする。

記事、動画、ポッドキャストを収益化するために、Fewcentsを使用することができる。現在同サービスは50種類の通貨に対応し、広告やサブスクリプションへによる収益の補完的な流れとして機能することを意図している。現在の顧客には、5500万人の読者を擁するインドのDainik Jagran(ダイニク・ジャグラン)、インドネシアのニュースサイトDailySocial(デイリーソーシャル)、ストリーミング動画サイトDailymotion(デイリーモーション)などがある。デジタルパブリッシャーと売上をシェアすることで収益を上げる同社は、欧州での拡大を目指してJnomics Media(ジェイノミクス・メディア)とのパートナーシップも締結した。

M Venture Partners(Mベンチャーパートナーズ)とHustle Fund(ハッスルファンド)がラウンドに参加しているが、同時にフィンテック、アドテック、メディア企業のトップ企業出身のエンジェル投資家たちも参加している。例えばDBS銀行の元会長のKoh Boon Hwee(コー・ブン・ハウェー)氏、Facebook(フェイスブック)の東南アジア元マネージングディレクターのKenneth Bishop(ケネス・ビショップ)氏、Stripe(ストライプ)のパートナーシップ責任者のJeremy Butteriss(ジェレミー・バターリス)氏。Boston Consulting Group(ボストン・コンサルティング・グループ)のパートナー兼マネージングディレクターのShiv Choudhury(シブ・チョウドリィ)氏、ブルームバーグ・メディア配信の元APAC地域セールスディレクターのFrancesco Alberti (フランチェスコ・アルベルティ)氏、Summit Media(サミット・メディア)社長のLisa Gokongwei-Cheng(リサ・ゴコンウェイ=チェン)氏、電通マネージングディレクターのPrantik Mazumdar(プランティック・マズムダー)氏、Mission Holdings(ミッション・ホールディングス)の会長で創業者のSaurabh Mittal(サウラブ・ミッタル)氏、Amazon(アマゾン)ビデオ・インディアの元ディレクターでカントリー責任者のNitesh Kripalani (ニテシュ・クリパラニ)氏などだ。

Fewcentsは、2020年Abhisek Dadoo(アブシェク・ダドゥー)氏とDushyant Khare(ドゥシェン・カーリー)氏(上の写真)によって創業された。ダドゥー氏が以前創業したスタートアップShoffr(シャッフラー)(オンラインからオフラインへの橋渡しを行うプラットフォーム)は、2019年にAffle(アフル)によって買収された。またカーリー氏は、東南アジアとインドの戦略的パートナーシップのディレクター職を含め、Google(グーグルで)で12年間働いた経歴を持つ。

ダドゥー氏とカーリー氏は、電子メールの中でTechCrunchに対して、パブリッシャーのアクセスユーザーのうち、月間サブスクリプションに進むのは1~5%しかいないと語った。大多数は、たまたま訪れたか、他ページのリンクからのユーザーであり、パブリッシャーはそのトラフィックを収益化するために広告に頼っている。

コンテンツクリエイターたちは、マイクロペイメントや、その他ワンタイム支払いを行えるFlattr(フラッター)や、Axate(アクセイト)の都度払いツールなどを試行している。しかしパブリッシャーたちはいまだに、モデルがどれくらい効果的かの議論を続けていて、2020年にはTechCrunchは、Googleがサイトのチップ機能を提供しないことを決定したことを報告している。

都度払いコンテンツモデルをうまく実装するには、パブリッシャーは魅力的なコンテンツを作成するだけでなく、支払いそのものを極めて簡単にする必要がある。Fewcentsにとって、これは3つの大きな課題を解決することを意味していると、ダドゥー氏とカーリー氏は語った。まず第1に、彼らはどのサイトでもそのまま動作するプラットフォームを構築する必要があった、なぜならたまたま訪れたユーザーは、新しいサイトを訪れるたびにいちいち新しいサービスにサインアップなどしたくはないからだ。そして第2に、デジタルウォレットなどの最も身近な支払い方法を使用して、現地通貨での国境を越えた支払いを受け入れる必要がある。そして最後に、パブリッシャーは、ユーザーがコンテンツにアクセスできる期間などの、デジタル著作権を管理できる必要がある。

パブリッシャーはまた、購入者を遠ざけることはなく、かつ十分な収益を生み出す価格ポイントも決定する必要がある。現在Fewcentsは、既存のトラフィックデータを使用して、各コンテンツの価格を手動で設定している。ダドゥー氏は「各地域の需給曲線に基づいて、私たちは最高の収益結果を得るために、柔軟に価格を変更しています」という。「しかし、私たちはAI アルゴリズムの開発も進めています。その目的はアクセス場所とコンテンツの内容に応じて、価格設定を動的に提案することです」。

カーリー氏は、コンテンツを分売することで、Fewcents はページビューよりもさらに深いデータを提供することが可能になり、パブリッシャーが特定の市場やユーザーセグメントの好みを理解しより特化した「マイクロバンドル」を開発することを、助けることができるようになるという。また彼は、Fewcentsの目標は、ユーザーごとに特化したコンテンツバンドルを自動的に推奨できるようにすることだと付け加えた。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Fewcentsシンガポール資金調達サブスクリプション

画像クレジット:Fewcents

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(文:Catherine Shu、翻訳:sako)

すでに70万人の教師が利用するインドのオンライン教育プラットフォームTeachmintが約18億円

2020年のグローバルなパンデミックの発生後に生まれたインドのスタートアップが3度目の資金調達ラウンドを完了し、世界で2番目に大きなインターネット市場の何十万人もの先生たちが、クラスをオンラインで運営して生徒たちに提供できるようにしている。

ベンガルールのTeachmintによると、同社は現地時間5月4日、シリーズAのラウンドで1650万ドル(約18億円)を調達した。ラウンドをリードしたLearn Capitalはサンフランシスコのベイエリアに本社があるベンチャーキャピタル企業で、特にEdTech企業にフォーカスし、CourseraやUdemy、Nerdy、Minerva、Brainlyなど、世界で最も将来性に富むオンライン学習プラットフォームを支援してきた。

CM Venturesと、まだ登記もしていない時点のTeachmintに最初に投資したBetter Capital、そして同じく前からの投資家であるLightspeed India Partnersも新たなラウンドに参加し、同社の調達総額は2000万ドル(約21億8000万円)に達した。

Teachmintは、AndroidのスマートフォンやiPhone、あるいはウェブのアプリから、先生たちのオンラインによるクラス管理をサポートする。アプリは自由度が高いプロダクトであり、教師はクラスをリアルタイムで開始し、生徒たちの疑問に答えるセッションを行い、出席を取り、ウェビナーを行い、料金を集めたり、新入生を見つけ、電話によるサポートを提供、そしてテストを行うなどの機能がある。

Teachmintの共同創業者でCEOのMihir Gupta(ミヒル・グプタ)氏は、TechCrunchのインタビューに対して、次のように語っている。「パンデミックが発生したとき、教師たちはGoogle MeetやZoomなどの限られたツールだけでなくYouTubeやFacebook Liveのようなツールまでも使い、苦労してオンライン授業を、またテストにはGoogle Form、通信にはWhatsAppを利用していました。しかし、どのツールも教育用に作られてはいなかったため、それは多くの教師にとって困難で統一性のないものでした。そこでTeachmintの創業者たちは、教育に焦点を合わせた、モバイルファーストでビデオファーストなソリューションを作ろうと決意したのです」。

グプタ氏によると、プロダクトはインド国内の10言語で利用でき、インド固有のニーズに合わせて高度にローカライズされているという。

またグプタ氏によると、Teachmintの立ち上げから10カ月ほどで、1500あまりの市や町の教師たち70万名以上が、このプラットフォームの登録会員になったとのことだ。

Learn CapitalのパートナーであるVinit Sukhija(ヴィニット・スキーヤ)氏は声明で次のように述べている。「数カ月前にLearn CapitalのチームはTeachmingの共同創業者らと初めてのミーティングを行いました。そこで彼らのチーム全員が、エンド・ツー・エンドかつマルチモードで、この分野における最良のソリューションで、インドの教師たちが短時間かつシームレスに自分のクラスをデジタル化できるよう、細心の配慮でシステムを設計していることがわかりました」。

また「70万人以上の教師が登録しているTeachmintは、今やインドで最良のオンライン教育プラットフォームです」とスキーヤ氏は述べている。さらにLearn Capitalは、今後Teachmintがインド国外にもサービスを拡張していくと信じている、という。

グプタ氏によるとTeachmintは現在、同社のプロダクトを収益化していないが、近い未来にそれをする気もないという。なぜなら目下の最優先事項はインドでもっと多くの教師たちに同社のサービスを届けることと、プロダクトそのものを拡張することだからだ。

同社はマーケティングにあまり投資をしていないため、教師たちは主に友人からの口コミでTeachmintのことを知っている。小規模なスタートアップの戦略的買収については、今後積極的に検討していくそうだ。

カテゴリー:EdTech
タグ:Teachmintオンライン学習インド資金調達

画像クレジット:Teachmint

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

Lucid Motorsが上場を控えWaymoやIntelなどから幹部を引き抜き

Lucid Motors(ルシード・モーターズ)は、公開企業となる準備を進める中、WaymoやIntel、Xperiなどから人材を引き抜き、経営陣とテクニカル面を主導するチームを増強している。Lucid Motorsは米国時間5月5日、Waymoで働いていたSherry House(シェリー・ハウス)氏が最高財務責任者に就任すると明らかにした。

ハウス氏はWaymoで4年過ごし、直近では財務部長およびIR(投資家向け広報活動)責任者を務めていた。Waymoの前は、Visteon Corporationで経営企画担当副社長を、Deloitte Corporate Financeでテクノロジー・メディア・通信担当マネージングディレクターを歴任した。

Lucid Motorsはまた、以前AppleとIntelで役職に就いていたMargaret Burgraff(マーガレット・バーグラフ)氏をソフトウェア検証担当副社長に、Sanjay Chandra(サンジェイ・チャンドラ)氏をIT担当副社長に、Jeff Curry(ジェフ・カリー)氏を販促担当副社長に指名した。バーグラフ氏は直近ではIntelでグローバルデベロッパーリレーションズ担当副社長を務め、エンジニアリングと世界の独立ソフトウェアベンダーがIntelのプロダクトと協業できるようにするのが仕事だった。同氏はまた、主にテックスタートアップを支援するグローバルベンチャーキャピタルとプライベートエクイティの会社Continuous Venturesでパートナーも務めた。

チャンドラ氏は、Lucid Motorsに加わるために情報担当最高責任者とクラウド運用責任者を務めていたTiVo / Xperiを退職した。同氏はPayPal、Virgin Mobile、Workdayでも働いた経験がある。カリー氏の前職はJaguarブランドでの最高マーケティング責任者同等の役職で、FerrariとAudiにも従事した。同氏はSiriusXMでの副社長クラス役職を含め、自動車業界以外でのマーケティングのキャリアも持つ。そしてブランド戦略コンサル会社Mere Mortalsの創業パートナーでもある。

Lucid Motorsの新規採用は、特別買収目的会社Churchill Capital IV Corpとの合併完了が数週間後に迫る中でのものだ。完了すればLucid Motorsは正式に上場企業となる。サウジアラビアの政府系ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の取引株式価値は117億5000万ドル(約1兆2800億円)となる見込みだ。私募増資取引では1株15ドル(約1600円)と設定され、見積もり株式価値は240億ドル(約2兆6200億円)となる。Churchillからの出資と現金で、計約44億ドル(約4800億円)がLucidに入る。

上場によってLucidは、同社初の電気自動車となるラグジュアリーなLucid Airの生産を開始するのに必要な資金を手にする。同社は元々、生産と納車を今春開始する予定だったが、2021年後半にずらした。Lucid Airはまず北米にお目見えし、2022年に欧州、そして2023年に中国でも展開する。

Lucidはまた、2種類目の車両となるGravityという高パフォーマンスでラグジュアリーなSUVを2023年に北米マーケットに投入する。車両はアリゾナ州カサグランデに新設した工場で生産される。7億ドル(約760億円)をかけた同工場建設の第1段階は2020年完了し、生産能力は年3万台だ。最終的に同社はもう3段階かけて工場を拡張し、生産能力を年36万5000台とする計画だ。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Lucid Motors新規上場SPAC

画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Pelotonのトレッドミル2種にリコール、初期対応の不備を謝罪

Peloton(ペロトン)は米国時間5月5日、家庭用トレッドミルシステムのトレッドミル2機種であるTread+とTreadを自主回収することに同意し、米国消費者製品安全委員会(CPSC)に協力すると発表した

同システムの製品を購入した人はPelotonに払い戻しを要求できる。同社はまた、米国でのこれらのモデルの販売と納入を停止することにも同意した。同社CEOのJohn Foley(ジョン・フォーリー)氏は2021年4月、CPSCの警告について「不正確でミスリーディング」だとし、警告を公にするというCPSCの決断に同社が「悩まされている」と話していた。5日のニュースでは、フォーリー氏の悔恨の表現がみられた。

「両プロダクトをリコールするという決断はPelotonの会員とその家族にとって正しいものでした。明確にしておきたいのですが、消費者製品安全委員会からのTread+リコール要求に対する初期対応でPelotonは過ちを犯しました。当社は最初からより生産的にCPSCに対応すべきでした。この点について、謝罪します。CPSCと緊密に連携を取ったことで、本日の発表には当社が会員にさらに安全を啓発することができるという認識が反映されています」。

自主回収は、フィットネス機器をめぐり今なおある安全上の懸念への対応だ。CPSCは幼い子どもが死亡したケースを含む計70件以上の事故を指摘した。CPSCによると「トレッドミルの後部下に6才の子どもが引き込まれて死亡した例が最近あった。加えて成人ユーザー、子ども、ペット、その他のものがトレッドミル後部下に引き込まれたという72件の報告がPelotonに寄せられ、そのうち29件が骨折や裂傷など子どもの重大な怪我だった」。

CPSCの会長代理Robert S. Adler(ロバート・S・アドラー)氏は「CPSCとPelotonがPelotonの製品Tread+とTreadからユーザーを守ることで合意に至り、うれしく思います。委員会が5月5月朝に投票で受け入れを決定した合意では、米国ですぐさまTread+とTreadの販売と納入を停止し、トレッドミル返品を望む消費者に購入代金を全額返金することをPelotonに求めています。CPSCとPelotonの合意は数週間にわたる密な話し合いの結果であり、Pelotonと消費者にとって最善の益となると私は確信しています」。

リコールは、米国の12万5000台のTread+(新しい低価格デバイスの登場時に名称が変わった古いシステム)と1050台のTreadモデル、そしてカナダの5400台が対象だ。Tread+リコール発表とともに発出された警告には「成人ユーザー、子ども、ペット、物体がトレッドミル後部下に引き込まれ、怪我したり死亡したりする危険があります」とある。一方、Treadの方には「トレッドミルのタッチスクリーンが分離して落ち、消費者が怪我をする恐れがあります」とある。

消費者は2022年11月6日まで返金を受けられる。それ以降は、Pelotonは額未定の部分払い戻しを行う。

同社が当初CPSCからの警告をはねつけたのは、部分的には家庭フィットネス機器は特に小さな子どもやペットがいる場合において安全上の懸念があることが長い間知られていた、という事実による。5月6日に開かれる決算会見でPelotonのスタンスについてさらに何か聞けそうだ。パンデミックによって2020年は同社にとってすばらしい年だったが、今回のニュースを受け、同社の株価は8%下げた。5月5日にはまた、同社プラットフォームの重大なセキュリティ上の懸念も明らかになった。

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Pelotonリコール米国消費者製品安全委員会(CPSC)フィットネス

画像クレジット:Peloton

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

オフラインから企業向けバーチャルイベントにピボットしたTameがシードラウンドで約6億円を調達

Tameの創業者チーム

2020年3月にTameはオフラインの企業イベントで利用するデジタルイベント製品を公開した。しかしコロナ禍により、主にセールスイベントに利用したい企業向けにカスタマイズの自由度が高いバーチャルイベントプラットフォームを提供する、難しいピボットを実施。その結果、同社はシードラウンドでデンマークの企業としては大規模な550万ドル(約6億円)を調達した。このラウンドを主導したのはデンマークの投資基金であるVF Ventureで、byFoundersと、エンジェルであるPlandayの共同創業者でCTOのMikkel Lomholt(ミケル・ロムホルト)氏、The Eye Tribeの共同創業者で元CEOのSune Alstrup(スネ・アルストラップ)氏、Ulrik Lehrskov Schmidt(ウルリック・リースコフ・シュミット)氏も主導した。

この資金は、コペンハーゲンとロンドン、ポーランドのクラクフにいる従業員を20人から60人に増員、英国進出、売上増のために使われる。

Tameの共同創業者でCEOのJasenko Hadzic(ヤーセンコ・ハジチ)氏は、バーチャルへのピボットで売上が「2020年にオーガニックで700%増加しました。セールスもマーケティングもせずに、オーガニックに、です。したがってTameは大きなチャンスがあると見ており、マーケットリーダーとしての地位を積極的に拡大しようと全力で取り組んでいます」と述べた。

VF VentureのパートナーであるJacob Bratting Pedersen(ヤコブ・ブラッティング・ペダーセン)氏は次のように述べた。「VF Ventureは開発を支援しイノベーションを推進したいと考えています。コロナ危機でデジタルの勢いが増し、デンマークのIT起業家にはこの課題に取り組んでデンマークのテクノロジーと専門性を世界のマーケットへと展開するチャンスがあります。Tameはまさにその好例です。Tameにはデンマークで成長と雇用をもたらす強力なグローバルビジネスを構築する大きな可能性があります」。

ハジチ氏自身がすでにサクセスストーリーだ。同氏はユーゴスラビア内戦の中、子どもの頃に戦禍のボスニアから難民としてデンマークにわたり、最終的にテック業界に入った。

TameをバーチャルイベントプラットフォームのHopinと間違えてはいけない。ハジチ氏は筆者に対し「我々はTechCrunch Disruptを顧客として獲得しようとは思わないし、大規模なトレードショーにも関心はありません。企業のマーケティングや人事部門への販売に集中していきます」と語った。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Tameデンマーク資金調達バーチャルイベント

画像クレジット:Tameの創業者チーム

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(文:Mike Butcher、翻訳:Kaori Koyama)

小型人工衛星打ち上げサービスFirefly Aerospaceが2021年6月の初飛行前に約82億円調達

Firefly Aerospaceは、10億ドル(約1094億円)を超える評価額で獲得したシリーズAの7500万ドル(約82億円)と、Fireflyの筆頭投資家Noosphere Venturesの保有株の売却からなる1億ドル(約109億円)の二次取引で合計1億7500万ドル(約191億円)を調達した。人工衛星を打ち上げるスタートアップである同社は、2021年6月に予定している最初のAlphaロケットの打ち上げの後、さらに今年後半に3億ドル(約328億円)を調達すると発表した。

Fireflyは、SpaceXやRocket Labの後を追って商用の打ち上げプロバイダーになろうとしているスタートアップたちの1つだ。目標は、現在成長中の小型衛星の打ち上げ市場に貢献することで、同社はこれまでの数年間、Alphaロケットを開発してきたが、すでにNASAやGeneral Atomicsなどから商用および政府非軍事部門の打ち上げ契約を獲得している。テキサスを拠点とする同社はこれまで、最初に立ち上げたFirefly Space Systemsの破産をはじめ、挫折も経験しているが、その後はFirefly Aerospaceと改名してNoosphere Venturesが全資金を提供する完全保有ベンチャーになった。

同社の2度目の命には、Alphaロケットを改造して打ち上げ容量を大きくしたことも含まれる。現在は、低地球軌道で1000kg、太陽同期軌道で600kgを運ぶことができる。また、NASAのCommercial Lunar Payload Services(CLPS)プログラムの一環として、月へのペイロードデリバリーサービスを提供するために「Blue Ghost」と呼ばれる月着陸船も開発している。

Fireflyは、カリフォルニアのヴァンデンバーグ空軍基地の施設で、打ち上げ機の準備がかなり進んでいるため、実際の飛行にこれまでになく近づいているようだ。初飛行を予定している2021年6月は近づいており、同社はそのデモ打ち上げの成功の勢いに乗り、同社がすでにその意図を表明している次の巨額調達(3億ドル)への関心が大きくなることも期待している。しかも同社は、シリーズAのラウンドが「申込過多」だったという。

シリーズAはDADA Holdingsがリードし、Astera InstituteとCanon Ball LLCなどが参加した。Fireflyによると、Noosphereの持ち株売却による二次調達にはシリーズAの参加社も含まれていた。

カテゴリー:宇宙
タグ:Firefly Aerospace資金調達

画像クレジット:Firefly Aerospace

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

フィットネスリングメーカーのOuraが約109.3億円を調達

フィットネスウェアラブルメーカーのOuraにとって、ここ数年は激動の時期だった。特に2020年、同社は大きな勢いを得た。2020年にコロナ禍でプロスポーツが突然の停止に追い込まれ、NBAやWNBA、UFC、NASCARなど多くの主要リーグが同社のリングを採用した。

OuraはUCSF(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)の協力で健康に関する研究にも力を入れ、UCSFはこのリングの体温モニタに関するピアレビューの研究を公開した。発熱が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の初期段階などの大きな問題を示唆する可能性があるため、特に体温モニタ機能は前述のリーグにとって大きな魅力となった。

米国時間5月4日、Ouraは1億ドル(約109億3000万円)のシリーズCを発表した。このラウンドを主導したのはThe Chernin GroupとElysian Park(ロサンゼルス・ドジャースの投資部門)で、Ouraのこれまでの調達金額の合計は1億4830万ドル(約196億900万円)となった。新たに投資したのはTemasek、JAZZ Venture Partners、エーザイで、これまでに投資していたForerunner Ventures、Square、MSD Capital、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、Lifeline Ventures、Metaplanet Holdings、Next Venturesも参加した。

Ouraは当初はそのフォームファクターで他社とは差別化して、腕時計型を中心とする競合の多い分野に参入した。しかし明らかにここ数年で真価を認められてきた。これまでに50万個以上のリングを販売している。

CEOのHarpreet Singh Rai(ハープリート・シン・ライ)氏は今回の報道発表の中で「ウェアラブル業界はアクティビティトラッカーから人々の生活を向上させるヘルスプラットフォームへと移行しています。Ouraはまず睡眠に注目しました。睡眠は毎日の習慣であり、睡眠不足は糖尿病、心疾患、アルツハイマー病、ガン、メンタルヘルスの低下など健康状態の悪化と結びついているからです」と述べている。

同社は今回のラウンドの資金をマーケティングとカスタマーエクスペリエンスに加え、ハードウェアとソフトウェアの研究開発や雇用に充てるとしている。今回のラウンドでは、サイエンス責任者のShyamal Patel(シャマル・パテル)氏、現場リーダーのTommi Heinonen(トミー・ハイネノン)氏、CFOに昇格したDaniel Welch(ダニエル・ウェルチ)氏といった主要な役職者も新たに加わる。

Forerunner VenturesのマネージングディレクターであるEurie Kim(ユーリ・キム)氏は発表の中で「2021年はヘルスケア業界の欠落が明らかになり、我々1人ひとりが自分の健康をコントロールする必要性が増しています。Ouraはパーソナライズされたデータで健康増進のために実践できるインサイトを提供して人々の力になることで、この業界の信頼できるリーダーおよびコミュニティとしての存在感を増しています」と述べた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Ouraフィットネス資金調達ウェアラブルデバイス

画像クレジット:Darrell Etherington

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(文:Brian Heater、翻訳:Kaori Koyama)

配車サービス用のEV生産に向けUberとArrivalが提携

組立ラインを廃止し、高度に自動化されたマイクロファクトリーを選んだ電気自動車メーカーのArrival(アライバル)がUber(ウーバー)と提携し、ライドシェアのドライバー向けEVを作ろうとしている。

Arrivalは年末までにクルマの最終的なデザインを明らかにし、2023年第3四半期に生産を開始する予定だ。Uberのドライバーらを設計プロセスに関与させ、ニーズに合わせた車両の製造を目指す。

Uberは2020年、ロンドンで2025年まで、北米と欧州で2030年まで、プラットフォーム全体では2040年までに完全な電気モビリティプラットフォームになると約束し、それを実現しようとしている。最近立ち上げた「Uber Green」で、乗客には追加費用なしでEVを選ぶ機会を、ドライバーにはサービス手数料軽減の機会を提供する。より多くのドライバーにEVを提供する8億ドル(約870億円)の計画の一環だ。

関連記事:2040年の完全ゼロエミッションを約束するUberが車両の電動化に850億円を投入

2021年末までにEVドライバーの数を倍増するという目標を達成するために、Uberはドライバーの新車購入や借り入れを支援し、ドライバーへのインセンティブを厚くする。Arrivalの車両は、EVへの切り替えを希望するUberのドライバーへ推奨される車の1つとなるかもしれない。特に同社が2018年に始めたClean Air Plan(クリーンエアプラン)の「EVアシスタンス」の対象となるロンドンのドライバーに推奨される可能性がある。Uberの広報担当者は、Arrivalの車がどのような形で利用可能になるかについて明言を避けた。2020年9月、Uberは同様の取引でGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)と提携し、米国とカナダのドライバーに2020年シボレーボルトを割引価格で提供した。

「Uberは、ロンドンのすべてのドライバーが2025年までにEVにアップグレードできるよう支援すると約束しました。クリーンエアプランのおかげで、この野心的な目標を達成するために1億3500万ポンド(約180億円)以上が調達されました」とUberの北欧および東欧地域ゼネラルマネージャーのJamie Heywood(ジェイミー・ヘイウッド)氏は声明で述べた。「私たちが現在注力しているのは、ドライバーに対しこの資金でのEVへのアップグレードを奨励することであり、Arrivalとの提携はこの目標の達成に役立ちます」。

Arrivalの拠点であるロンドンは、輸送システム全体を2050年までにゼロエミッションにすることを目指している。2025年からロンドンと町の中心部にゼロエミッションゾーンを設け、2040年までにロンドンの中心部の周辺に、2050年までにロンドン全体に拡大する。Uberのドライバーがロンドンの最もホットな地域で働きたいならEVに変えるしかない。

Uberとの提携によりArrivalは乗用の電気自動車の開発に初めて参入することになる。Arrivalは商用販売ではなく商業車分野に重点を置いているため、既存の車両モデルはバンとバスとなっている。すでにUPSから1万台の専用車を受注している。

Arrivalは商用電気自動車の設計・製造の方法を変えたいと考えている。同社独自のバッテリーやその他の部品を社内で設計し、従来の製造工場よりもはるかに小さい複数のマイクロファクトリーで車両を製造することにより、車両をより速く、安く、はるかに少ない環境コストで製造するとArrivalは述べている。

同社の株式は2021年3月から公開市場で取引されている。従来の遅いIPOルートではなく、SPACであるCIIGと合併し、SPACルートにより公開市場に参入する多くのEV企業の1つとなった

関連記事:英国のEVメーカーArrivalが米国で2つ目のマイクロファクトリーを建設、UPS向けEVバンを製造

カテゴリー:モビリティ
タグ:UberArrival電気自動車

画像クレジット:Arrival

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

スペースXがStarlink衛星60基を追加打ち上げ、予約注文は50万件以上

SpaceX(スペースX)は、ブロードバンドインターネット衛星のStarlink(スターリンク)60基を追加で打ち上げた。その日はまさしく「Star Wars Day(スター・ウォーズ・デー)」であり、同社最後の打ち上げからわずか5日後だった。これで同社は2021年3月始め以来420基のStarlink衛星を打ち上げた。おそらくこの数字にSpaceXのCEOは気づいていない、なぜなら知っていればツイートしていたに違いないから。

打ち上げはフロリダ州ケープ・カナベラルで東海岸時刻午後3時01分(日本時間5月5日午前4時1分)に行われ、再利用されたそのFalcon 9ブースターロケットは過去8回飛行している。今回もブースターは大西洋に浮かぶドローン・シップに軟着陸し、SpaceXの再利用飛行プログラムのブースター回収で2021年3月に打ち立てられたばかりの記録に並んだ。これは同社にとって115回目のFalcon 9打ち上げだ。

SpaceXは、ブロードバンドサービスのために衛星群との信号送受信に使用されるStarlink消費者向けハードウェアに関する最新データも公開した。同社はこのサービスの事前予約を「50万件以上」受けつけた。予約にはハードウェアの前払金が必要だ。

この強い需要は、Starlinkの受注残がなぜあんなに多いのか説明している。同サービスを利用したい顧客は、SpaceXのStarlinkウェブサイトに登録し、Starlink受信機、ルーター、電源、自宅に設置するためのマウントが含まれているキットを予約注文する。

現在同サービスは、オーストラリア、ニュージーランド、英国、メキシコ、米国、およびカナダ6カ国のベータ版ユーザーに提供されているが、目標は提供範囲を拡大し、2021年末までにほぼ全世界でサービスを利用できるようにすることで、2021年いっぱい何回かの追加打ち上げが予定されている。

関連記事:スペースXがStarlink衛星60機を追加打ち上げ実施、累計1500機以上が宇宙に

カテゴリー:宇宙
タグ:SpaceXStarlink

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nob Takahashi / facebook