海洋研究開発機構とトリマティス、海中の光ワイヤレス通信で距離100メートル超×1Gbpsの通信速度を達成

海洋研究開発機構とトリマティス、海中の光ワイヤレス通信で距離100メートル超×1Gbpsの通信速度を達成

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は1月26日、深海域での高速光ワイヤレス通信の試験を実施し、100mを超える距離で1Gbpsの通信速度を達成したと発表した。これは、光高速制御などのハードウェア技術開発ベンチャー、トリマティスと共同で行われている海中ワイヤレス通信研究の成果だ。海中でも地上と変わらない速度で通信が可能となり、世界でも類を見ない(2021年12月12日時点)この通信速度が、この分野のパラダイムシフトを招くと期待されている。

海中での通信は、現在は音響通信が一般的だが、その通信速度は数Kから数十Kbpsと非常に遅い。近年ではレーザー光を用いた光通信が注目され、さかんに研究が行われているものの、速度は今のところ数Mbpsクラスの実績(実用化)に留まっている。

JAMSTECは、2008年からレーザー光の海中伝搬統制に関する基礎研究を開始した。さらに海中レーザー通信技術の基礎を確立する研究を開始し、海中環境がレーザー光の伝搬特性や通信品質に与える影響を精査、その原理や条件を明らかにする基礎研究を進め、通信方式の検証を行ってきた。そして2019年からはその成果である海中光学技術にトリマティスの高速光通信技術と光制御技術を合体し、1Gbpsの光ワイヤレス通信試験機を完成させた。

1Gbps光ワイヤレス通信試験機

1Gbps光ワイヤレス通信試験機

試験は、2021年11月27日から29日にかけて相模湾で行われた。実験装置は、無人探査機「かいこう」のランチャーから1Gbpsに変調したパルスレーザー光を送信し、ビークルで受信するというもの。ランチャーとビークルの間を10mずつ離してゆき、通信の成否(誤りのない試験フレームの受信数)、受光強度、伝搬場の環境パラメーターを計測した。その結果、100mを超える距離でも良好な受信が確認された。このときの水深は900m。ランチャーの深度は約699.5m、ビークルの深度は802.9mだった。

この技術を用いることで、海中や海底で計測される様々な状態や現象をリアルタイムで取得できるようになるため、海底資源開発、地震や津波などの防災技術に貢献できる。また、海中移動体や海底構造物といった多様なプラットフォーム間の情報伝達や情報共有がリアルタイムで成立する、ワイヤレス海底センサーネットワークの構築も可能となる。

今後は、光ワイヤレス通信リンクを確立するために必要となる光軸制御やシステムの統合化、小型化、さらには通信品質を担保する符号化アルゴリズムに取り組むとしている。

AIが自動で動画内の顔やナンバープレートにぼかし加工し匿名化、プライバシーを保護するビデオツールのPimlocが約8.7億円調達

英国のコンピュータービジョン関連のスタートアップであるPimloc(ピムロク)は、動画の匿名化を迅速に行うAIサービスを販売するために、顔やナンバープレートのぼかしを自動化したり、その他の一連のビジュアル検索サービスを提供したりするなど、事業内容を強化してきた。同社は今回、新たに750万ドル(約8億7000万円)のシード資金を調達したと発表。このラウンドはZetta Venture Partners(ゼッタ・ベンチャー・パートナーズ)が主導し、既存投資家のAmadeus Capital Partners(アマデウス・キャピタル・パートナーズ)とSpeedinvest(スピードインベスト)が参加した。

このスタートアップ企業は、2020年10月にも180万ドル(約2億1000万円)のシード資金を調達しているが、今回の資金は欧州と米国での事業拡大と、データ法制の広がりや生体認証のプライバシーリスクに関する世論の高まりへの対応に使用されるという。後者に関しては、一例として顔認識技術のClearview AI(クリアビューAI)に対するプライバシー面からの反発などを挙げている。

Pimlocは営業、マーケティング、研究開発チームを強化するとともに、動画のプライバシーとコンプライアンスに焦点を当てた製品ロードマップの拡大のために、この資金を投じると述べている。

同社が狙うビジネスニーズは、小売業、倉庫業、工場などの業界で、安全性や効率性を高めるためにビジュアルAIの利用が拡大していることに焦点を当てている。

しかし、AIを活用した職場の監視ツールの増加は、労働者のプライバシーリスクを生み、リモートでの生体認証を導入する企業にとっては、これが法的リスクや風評被害の原因となる可能性がある。

そこでPimlocは、AIがプライバシーのために機能する第三の方法を提案している。それは「生産効率を高めるために使われるビジュアルデータを匿名化し、労働者のプライバシーを優先するために役立てる」というものだ。これについて、企業と協議しているという。

Pimlocによると、同社の「Secure Redact(セキュア・リダクト)」は、SaaSとしてまたはAPIやコンテナを介して販売されており、現地のビデオワークフローやシステムに統合することができる。この製品は、データプライバシー規制(欧州の一般データ保護規則やカリフォルニア州の消費者プライバシー法など)に準拠したビデオ証拠を提供しなければならない団体で、すでに使用されているという。

Pimlocは、顧客数を明らかにしなかったものの、CEOのSimon Randall(サイモン・ランドール)氏はTechCrunchに次のように語った。「欧州と米国を中心に輸送、製造、教育、健康、自動走行車、施設管理、法執行機関など、さまざまな分野で多くのユーザーにご利用いただいています。興味深いのは、そのすべてが同じニーズを持っているということです。つまり、CCTVでも、ダッシュボードでも、装着式カメラの映像でも、いずれもデータプライバシーやコンプライアンスのために映像の匿名化を必要としているのです」。

画像クレジット:Pimloc

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

フェイスブックが「Diem」資産売却でステーブルコインの野望を断念

WSJの報道によると、ブロックチェーンベースの決済システムに取り組む企業のコンソーシアムであるDiem Association(ディエム協会)が、技術資産をSilvergate Capital(シルバーゲート・キャピタル)に2億ドル(約230億7000万円)で売却することになったという。かつてFacebook(フェイスブック)として知られていたMeta(メタ)は、同協会の創設メンバーの1つだ。Diem(ディエム)は、Facebookが暗号資産に対して行った最も野心的な賭けの象徴だった。

Bloombergも米国時間1月25日、Metaがプロジェクトの背後にいる投資家らに資本を還元する方法として、Diemの資産を売却することに取り組んでいると報じていた。

Facebookは2019年に、もともとLibra(リブラ)と呼ばれていたこの暗号プロジェクトを発表した。それ以来、Diem AssociationとFacebookはともに何度も目標を縮小してきた。当初Libraは、フィアット通貨や証券の通貨バスケットと結びついたまったく新しい通貨になるはずだった。

Libra Association(リブラ協会)は当初から、規制当局や中央銀行からの強い反対にあった。多くの人は、Libraがソブリン通貨と競合し、マクロ経済に深刻な影響を与えると考えていた。シャドーバンキングやインフレを引き起こし、金融政策から逃れる手段になると考えられていたのである。

そこでLibra Associationは、より現実的なステーブルコインのあり方に方向転換することにした。新しい通貨を一から作るのではなく、単一通貨のステーブルコインを複数発行することにしたのである。例えば、1 LibraUSDは、常に1米ドルの価値を持つことになっていた。同じことがLibraGBPやLibraEURなどにも当てはまる。

しかし、その計画は再び変更された。Libra AssociationはDiem Associationとなり、Facebookは暗号資産ウォレット「Novi(ノビ)」のパイロット版を発表した。Noviは、協会のブロックチェーン(Diemネットワーク)上の協会のステーブルコイン(Diem)を使用する代わりに、通貨としてUSDP(Pax Dollar)を使用している。このステーブルコインはPaxos(パクソス)が発行し、Coinbase(コインベース)がカストディを担当している。

関連記事:Facebookの暗号通貨プロジェクトLibraがDiemに名称変更

数カ月前には、Metaの暗号資産に関するあらゆるプロジェクトを主導していたDavid Marcus(デビッド・マーカス)氏も同社を去っている。WSJによると、Diemの暗号資産はまだローンチされていないが、Silvergate Capitalは同社の口座にある現金を担保にステーブルコインの一部を発行する予定だったという。

Diem Associationの資産の売却が成立すれば、Metaと同協会のパートナーたちはいくらかの資金を取り戻し、Silvergate CapitalはDiemプロジェクトをつかさどる唯一の企業となる。

現在Diem Associationに関わっている企業には、Anchorage、Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ、a16z)、Checkout.com、Coinbase、Iliad、Spotify(スポティファイ)、Uber(ウーバー)、Union Square Venturesなどがある。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

海外への大学出願を支援するシンガポールのCialfoが約46億円を調達

大学への出願は高校生にとって、特に海外留学したい生徒にとって、とても難しい。シンガポールに拠点を置くEdTechのCialfoは、学校情報の収集、カウンセラーと生徒とのコミュニケーションツール、留学生が1つの出願フォームで多くのプログラムを見つけて出願できる「Direct Apply」を備えたプラットフォームで、出願を簡単にしようとしている。

Cialfoは米国時間1月26日、Square Pegと SEEK Investmentsが主導するシリーズBで4000万ドル(約46億円)を調達したと発表した。

このラウンドには、以前に投資していたSIG Global、DLF Ventures、January Capital、Lim Teck Leeも参加した。2021年2月に発表したシリーズAの1500万ドル(約17億2500万円)と合わせて、これまでの調達金額の合計は5500万ドル(約63億2500万円)となった。

Cialfoには現在、シンガポール、インド、米国、中国に170人以上の従業員がいて、世界中の約1000校の大学と提携している。提携大学にはインペリアル・カレッジ・ロンドン、シカゴ大学、スペインのIE大学などが含まれる。

2017年にRohan Pasari(ローハン・パサリ)氏、Stanley Chia(スタンリー・チア)氏、William Hund(ウィリアム・フント)氏がCiafloを創業した。創業チームはTechCrunch宛のメールで、パサリ氏自身が高校生だった頃の体験が創業につながったと述べた。同氏はインドで育ち、在籍していた高校にはキャリアカウンセラーがいなかった。そのため、生徒たちは大学の出願を自分でしなくてはならなかった。

パサリ氏はもともとは米国の4年制大学に進学したかったが、両親には高額な留学費用を工面する余裕がなかった。そこでシンガポールのいくつかの学校に出願し、南洋理工大学(NTU)の全額奨学金を受けた。同氏は在学中に妹や友人数人の大学出願手続きを手伝い、そこから創業のアイデアが心に芽生えた。

はじめはチア氏とともに教育コンサルティング会社を創業し、ピーク時にはおよそ200人の生徒を担当した。しかし両氏はテクノロジーを活用して事業をスケールアップしたかったため、2017年に教育コンサルティング会社を売却し、その資金でCialfoを創業した。

Cialfoの事業はB2Bで、学校にサブスクリプションを販売している。学校のカウンセラーが生徒をプラットフォームに招待し、保護者もこのプラットフォームを利用できる。

チームはTechCrunchに対し「我々のミッションは大学に進学しようとしている100万人の生徒のジャーニーを手助けすることです。これには3つの柱が必要だと考えています。情報へのアクセス、1人ひとりに合わせたサポート、資金です。この3つが一体となって、教育の民主化を実現できます」と述べた。

調達した資金はグローバルでのユーザーベースの拡大と機能の追加に使う予定で、買収の可能性も検討している。

画像クレジット:Moyo Studio / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

FB Messengerがエンド・ツー・エンド暗号化チャット体験をアップグレード

Facebook Messengerにデフォルトのエンド・ツー・エンド暗号化機能が全面展開されるのは2023年中とのことだが、Meta(メタ)は米国時間1月27日、Messengerでエンド・ツー・エンド暗号化されたグループチャットや通話を提供する機能が完全にロールアウトされたと発表した。さらにMessengerでは、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットでのスクリーンショット通知が開始され、ライバルのSnapchat(スナップチャット)と同様に、消えていくMessengerメッセージのスクリーンショットを誰かが撮った場合には警告するという、あらたなセキュリティ機能が追加されている。また、ユーザーは暗号化されたチャットにGIF、ステッカー、リアクションを追加することもできるようになった。

エンド・ツー・エンド暗号化(E2EE)されたグループチャットや通話のサポートは、2021年8月に初めて発表され、Messengerユーザーに、個人的な会話を犯罪者や国家の監視から安全に守る方法を約束した。だが多くの政府は、Messengerが暗号化の取り組みを拡大する計画は、法執行機関の犯罪調査を複雑にするとし、このアイデアに必ずしも賛成していない。それに対してMetaは、E2EEはすでにWhatsApp(ワッツアップ)などのアプリで広く使われており、業界標準になりつつあると指摘して反発してきた。

とはいえ、2021年の発表時には、グループ通話やチャットのためのE2EEは完全にはローンチされていなかった。その代わり、Metaはまず、既存のチャットスレッドがあり、すでに接続されている友人や家族を対象に、機能のテストを開始するとしていた。また、E2EEチャットで動作する配信コントロールのテストを開始し、ユーザーが不要なやり取りを防ぐことができるようにして、誰が自分のチャットリストに入るのか、メッセージリクエストフォルダに入るのか、誰が自分にまったくメッセージを送れないのか決められるようにするとしていた。

数カ月を経て、この機能は世界中のMessengerユーザーに完全に展開され、ユーザーはプライベートな会話でE2EEをオンにすることができる。

近いうちに、E2EEチャットで消えるメッセージをスクリーンショットされた場合、Messengerはユーザーに警告するようになる。これは、Messengerのバニッシュモードですでに提供されている機能と同じだ。バニッシュモードはSnapchatによく似た機能で、メッセージが全員に閲覧されると消えてしまうというもの。誰かがバニッシュモードのチャット(これからはE2EEチャットで消えるメッセージも)のスクリーンショットを撮った場合、通知が送られてくるので、相手に連絡して対処したり、必要に応じて会話をブロックしたり報告したりできる。これらの通知は「今後数週間にわたって」提供される予定だ。

画像クレジット:Meta

さらに、E2EEチャットでは、GIF、ステッカー、リアクションなど、これまでE2EE以外のチャットで使えていた機能も利用できるようになり、そのほかにも特定のスレッドへの返信、キーストロークの表示、転送オプションなどもサポートされる。また、E2EEチャットでも認証済みバッジが利用できるようになり、チャットをする際に、本人アカウントかどうか識別するのに役立つ。また、長押しでメディアを保存したり、送信前に写真や動画を編集したりすることが可能になる。これらの機能は新しいものではないが、エンド・ツー・エンド暗号化されたチャットには新しい機能だ。

画像クレジット:Meta

Metaによると、これらの機能はウェブとモバイルを含む全プラットフォームで、すべてのユーザーに提供されるとのこと。しかし、ロールアウトは進行中なので、すぐにすべての機能を利用できないユーザーもいる。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

動画を利用する本人確認サービスのVeriffがシリーズCラウンドで約115億円を調達

本人確認サービスを提供するVeriff(ベリフ)は、Tiger Global(タイガー・グローバル)とAlkeon(アルケオン)が共同主導する1億ドル(約115億円)のシリーズCラウンドを実施した。既存投資家のIVPとAccel(アクセル)もこれに参加し、Veriffがこれまでに調達した資金総額は2億ドル(約230億円)に達した。今回の資金調達により、同社の企業評価額は15億ドル(約1724億円)となっている。この新たな資金は、従業員の増強、研究開発、販売およびマーケティングに使われる予定だ。

エストニアを拠点とするこのスタートアップ企業の「特別なソース」は、AIによる動画を使って本人確認を行うことだ。これまで、この分野にはOnFido( オンフィド)やJumio(ジュミオ)などの大手スタートアップがサービスを提供してきたが、これらの企業は動画ではなく依然として静止画に依存している。

Veriffは、この動画を用いるアプローチによって、オンライン本人確認を、物理的な対面認証よりも「より正確」にし、より多くの詐欺を防ぐことができると主張している。

同社によると、2021年の確認実績は8倍以上、米国では20倍、金融サービス事業は10倍に成長し、顧客数は150%増加したという。

VeriffのCEO兼創業者であるKaarel Kotkas(カーレル・コトカス)氏は、次のように述べている。「組織や消費者は、2021年にはこれまで以上にオンラインでの本人確認を必要としていました。リモートによる従業員の研修や、メタバースのゲームで安全な空間を構築するため、そして完全にオンラインで行う事業運営においても、デジタルにおける信頼性と透明性の確立は、非常に重要になっています」。

Tiger GlobalのパートナーであるJohn Curtius(ジョン・カーティウス)氏は次のように述べている。「現代のデジタルビジネスと消費者のための信頼性の高い本人確認ソリューションは、過去2年の間に事業運営におけるすべての業務がオンラインに移行したことで、深刻化しています。Veriffは、オンラインで信頼と安全を確保するために、業界をリードする製品を開発してきました。我々の調査と顧客から声によると、Veriffの製品性能は他社を大きく引き離しており、世の中の企業にもっと広く利用されるべきです」。

筆者はコトカス氏にインタビューし、Veriffのプラットフォームの精度を高めるためには、他にどのようなことが行われているのかを訊いてみた。「ユーザーの行動を要素として計算に入れています。3枚の写真だけで本人確認の判断をするのではなく、当社では1000以上の異なるデータポイントを分析しています。これによって、自動化の利点が得られると同時に、本人確認に対する非常に正確な判断ができるようになります」と、同氏は答えた。

また、本人確認の将来性については、金融サービス企業だけでなく、今やオンライン上のほぼすべてのサービスに本人確認が必須となっていることが後押しすると考えていると、同氏は語る。例えば、新型コロナウイルス感染拡大の影響から、今では大学の遠隔試験で本人確認が必要になることもある。

「現在、50億人の人々がオンラインで生活していますが、その全員が本人確認を始めると、年間で500億件の確認作業が発生することになります。私たちは、オンラインにおける信頼性と拡張性を高める必要がある世界に向けて動いているのです」と、コトカス氏は語った。

画像クレジット:Ian Waldie / Staff / Getty Images

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リアルな宇宙の「お宝」も付いているランボルギーニのNFT、2月1日にオークション開始

Lamborghini(ランボルギーニ)は、非代替性トークン(NFT)の分野にスーパーカーを投入する。しかし、NFTコミュニティを代表するようになった、コンピュータ設計された霊長類ベースのTwitterアバターとは異なり、ランボルギーニは暗号資産の提供において物理的世界とデジタル世界の架け橋となっている。

正確には、世界の「外側」だが。

NFT PRO、RM Sotheby’sとの提携の下、ランボルギーニは2月1日から2月4日まで、デジタルとフィジカルがリンクした5組のアートを自社の専用NFTウェブサイトでオークションにかける。

ランボルギーニは、NFTを導入しているNike(ナイキ)、Samsung(サムスン)、その他のテック企業の輪に加わる。例えば、Twitter(ツイッター)では、NFTの所有者が、特別なプロフィール写真の六角形のフレームを使ってお気に入りのNFTを披露することができるようになっている。Reddit(レディット)も最近、ユーザーが自分の作品をプロフィール画像として設定できるようにしてNFTに足を踏み入れた

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他の多くのNFTとは異なり、ランボルギーニのアート作品には、デジタル作品と対になる5つの有形アイテムが用意されている。これらの物理アイテムは、NFTブームが去ったとしても、その価値を持ち続けるはずだ。

ランボルギーニは、共同研究プロジェクトの一環として、2020年に国際宇宙ステーションにカーボンファイバーを送った。そのカーボンファイバーのごく一部を収めた物理的なSpace Keyは、オークションの落札者が手にして自慢できるものになる。

カーボンファイバーは特別なケースに収められ、それぞれQRコードが刻まれている。このQRコードは、刺激的な写真で機械の世界を際立たせる一連の作品で知られるアーティストFabian Oefner(フェビアン・エーフナー)氏が制作したデジタルアート作品に対応する。

デジタル作品は、地球の写真の上に浮かび上がるランボルギーニUltimateが爆発するというものだ。「Space Time Memory」と名付けられたこの作品は、ランボルギーニ車両のパーツの写真1500枚を使っている。宇宙船が地球から飛び立つのを真似てデジタル処理で組み立てられており、宇宙に向かう車両の後ろに小さな機械部品が軌跡を描く。背景の地球は、成層圏まで飛ばした気象観測気球で撮影したものだ。

5つの画像はそれぞれ微妙に異なっている。これらを組み合わせると、動きのある魅力的な画像の連続となる。

つまり、かなりすばらしいGIFに仕上がっている。

画像クレジット:Fabian Oefner/Lamborghini

「私にとって、Space Time Memoryは、人生で作る思い出のアナロジーです」とアーティストたちは声明で述べた。それがどんな意味であれ、とても壮大に見える。少なくとも、漫画のサルのJPEGよりもはるかに興味をそそるものだ。

ランボルギーニのCEOであるStephan Winkelmann(ステファン・ヴィンケルマン)氏はTechCrunchに、自身と同社にとってNFTはコミュニティとその若い精神、そしてデザインだと語った。同氏は、NFTのコミュニティが、少なくともNFTの世界に挑戦するためにランボルギーニに注目していると指摘し「というのも、我々の顧客が非常に革新的で、このようなことを調べていることを知っているからです。だから、彼らは同じように考える人たちと話をしているのです」と述べた。

同社はまた、エーフナー氏からこのプロジェクトの話を持ちかけられた。実際、複数の代理店がNFTの制作を打診してきたという。しかし、このアーティストの存在が、契約に導いたのかもしれない。エーフナー氏側は、2018年からMiuraを含むランボルギーニ車両を使って作品を制作している。エーフナー氏とランボルギーニは売上を折半する予定だ。

ランボルギーニはこの販売を評価し、その結果次第では今後さらにNFTを制作する可能性もある。それでも、ヴィンケルマン氏は、ランボルギーニが性急にNFTに手を出すことはないと強調した。

「我々が持つ最高の価値はブランドなので、非常に慎重に行動しなければなりません」と語った。

NFTがリアルな要素を持つ理由について同氏は、自動車メーカーの世界は非常にフィジカルであり、そのことを決して忘れてはならないと述べた。フィジカルとデジタルの組み合わせが、同氏とランボルギーニの好奇心を引きつけた。

注目を浴びることを好む顧客層によって繁盛しているランボルギーニにとって、NFTのオークションは華やかさも兼ね備えていなければならない。人類の宇宙探査というテーマを継続するために、ランボルギーニのSpace Time Memoryオークションは75時間50分続く予定だ。これは、アポロ11号が地球を離れ、月の軌道に乗るまでに要した時間と同じだ。

もしオークションが成功すれば、ランボルギーニが宇宙や月にアイテムを送り、将来のデジタルアート作品とリンクさせるきっかけになるかもしれない。これを実現するために、同社が将来、月飛行でSpaceX(スペースエックス)と組まないという理由はない。

しかし、3月初旬に7年間の宇宙旋回を終えて月に衝突する見込みのSpaceXのFalcon 9ブースターが注目されなくなるまで、ランボルギーニは待ちたいと思うかもしれない。

NFT、スーパーカー、そして宇宙開発に関していえば、クラッシュは常に悪い言葉だ。

画像クレジット:Lamborghini

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフト、Windows 11のAndroidアプリ動作機能のパブリックプレビューを2月リリースと予告

マイクロソフト、Windows 11のAndroidアプリ動作機能のパブリックプレビューを2月リリースと予告

米マイクロソフトが、Windows 11の目玉的機能となる、Androidアプリ動作機能のパブリックプレビューを、2月にリリースすると予告しています。

Windows 11は、すでに市販パソコンへのプリインストールやアップグレードによって幅広く展開されていますが、発表時の特徴として挙げられた機能には、「Amazon アプリストア」で配布されているAndroidアプリが動作するというものがあります。ただし同機能は公式リリースされているWindows 11ではまだ利用できず、ベータ版OSのみが対応していました。

マイクロソフトが1月26日に公開したブログでは、Windows 11の発表時に案内されていたように米アマゾンやインテルとの協力により、Androidアプリの動作機能をパブリックレビューに導入する、と案内しています。なお、現時点ではどれだけのAndroidアプリが動作するのかは案内されていません。

さらに同時期となるWindows 11のアップデートにより、新機能も追加されます。例えば通話のミュート/ミュート解除やウィンドウ共有の簡易化、タスクバーへの天気の表示、メモ帳とメディアプレーヤーアプリへの新デザインの導入などが予定されています。

Windows上でのAndroidアプリの動作環境としては、Windows 11の後にGoogleから発表された「Google Playゲーム」のベータ版も海外にて提供が開始されています。今後も、OSやデスクトップ/モバイルという垣根を超えた、アプリやサービスの提供が進むことが期待されます。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

ルノー・日産・三菱アライアンス、2030年までに35車種の新型EVを製造する計画

Renault Nissan Mitsubishi Alliance(ルノー・日産・三菱アライアンス)は、2030年までに35台のEVを保有することを目標に、258億ドル(約2兆9783億円)を費やす計画を発表した。その一環で「smart differentiation(スマートな差別化)」戦略として、80%の共通利用が可能な、ブランド間で共有される5つの新プラットフォームを開発する。日産自動車は、これらのプラットフォームの1つをベースにした最初のクルマの1つを公開した。そのクルマは、同社の人気車種Micra(マイクラ)の後継として欧州で販売される予定の電気自動車のコンパクトカーだ。

アライアンスは、純粋なEVと「インテリジェント&コネクテッド・モビリティ」に重点を置いている。そして、プラットフォーム、生産工場、パワートレイン、車両セグメントをプールできる「スマートな差別化」システムにより、車両間の共通性を高めることを目的としている。「例えば、C・Dセグメント用の共通プラットフォームには、アライアンスの3ブランドの5車種(日産自動車Qashqai [キャシュカイ]とX-TRAIL[[エクストレイル]、三菱自動車Outlander[アウトランダー]、Renault Austral [オーストラル]と今後発売予定の7人乗りSUV)が搭載されます」と、Renault Group(ルノーグループ)はプレスリリースで述べている。

そのために、Renaultの格安モデルDacia Spring(ダチアスプリング)のベースとなる手頃な価格のCMF-AEV、超小型EV用の軽自動車KEI-EVプラットフォーム、Renault Kangoo(カングー)や日産自動車Town Star(タウンスター)などの商用車用LCVなど、5種類の個別のプラットフォームを発表した。もう1つはCMF-EVで、現在アライアンスが日産Ariya(アリヤ)やRenault Megane E-Tech(メガーヌE-Tech)などのクロスオーバーに使用している。

最後に、CMF-BEVプラットフォームは、コンパクトEVに使用されるが、現行のRenault Zoe(ゾエ)と比較して、コストを33%、消費量を10%削減することができる。これは、Renault、日産自動車、Alpine(アルピーヌ)の各ブランドで年間25万台のベースとなり、Renault R5や日産自動車がMicraの後継として発売するEVもこれに含まれる。

日産自動車は別のプレスリリースでその車両を予告し、陰影のある写真と短い動画でその姿を披露した。名前も価格も発売日も不明だが、フランス北部のRenault ElectriCity(ルノー・エレクトリシティ)センターで製造される予定だ。「この新型車は、日産自動車が設計し、Renaultが新しい共通プラットフォームを使って設計・製造することで、日産自動車らしさを維持しながらアライアンス資産を最大限に活用します」と、日産自動車のCEOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は述べている。「これは、アライアンスのスマートな差別化を示すすばらしい例です」。

Renault Groupは、共通のバッテリー戦略を採用し、2030年までに220GWhの生産能力を目指すとした。また、電池のコストを2026年に50%、2028年に65%削減する計画だ。2028年までに全固体電池(ASSB)の開発を目指し、そのプロジェクトは「電池技術のパイオニアとしての深い専門知識と独自の経験に基づいて」日産自動車が担当する。

また、アライアンスは2026年までに、Tesla(テスラ)のようなOTA(オーバー・ジ・エア)アップデートを可能にするクラウドシステムに2500万台の車両を接続することを目指すという。「アライアンスはまた、Google(グーグル)のエコシステムを自動車に導入する最初のグローバルな大衆向けOEMとなる」と、Renault Groupは述べている。

このニュースは、Renaultが2025年までに3分の2のクルマを電動化し、2030年までに約90%のEVをラインナップすると発表したことに続くものだ。Renaultと日産自動車は2021年、より緊密なパートナーシップを否定し、Renaultは両社が「効率的であるために合併は必要ない」と述べている。今回の新プラットフォームと協力関係の発表では「スマートな差別化」を実現する共通プラットフォームがそのカギを握ることになりそうだ。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

ついにマスク姿でもiPhoneのロック解除可能に!アップルの最新ベータ版OSはマスク着用に対応したFace IDや待望のユニバーサルコントロールを提供

Appleは新たなOSのベータ版を大量にリリースし、待望の機能を2つ提供する。iOS 15.4はマスクをしたままFace IDでiPhoneのロックを解除できる機能を搭載、さらにiPadOSとMacOS 12.3のバージョンベータ15.4では、遅れていたユニバーサルコントロールを提供する。

マスク着用時のFace IDは、当然のことながらパンデミックになった当初から熱望されていた機能だった。2020年4月に報道されたのは、iPhoneがマスクを発見すると、パスワード入力画面にユーザーに表示するもので、2021年2月には、iOS 14.5のデベロッパーベータ版に、接続したApple Watchを介してiPhoneのロックを解除する機能(巧妙な回避策だ)が追加された。

新しいOSのベータ版のOSは、多くの人が求めてきた機能をついに提供する。有効にすると、iPhoneは目の周りで正しいユーザーであるかどうかを判断する。しかし、顔全体がないと、読み取りの精度が低くなり、安全性も定価するため、オプトイン方式になっている。

画像クレジット:Apple

iPadとMacOSでは、ついにユニバーサルコントロールのベータ版を提供されることになった。
macOS 12 Montereyと同時に発表されたこの機能は、2021年に期待されていたが、その後、著しく遅れていた。現在のところ、春頃と予想されているが、デベロッパーベータのテスターはすぐにそれを手に入れることができる。

この機能は、Sidecarに代わるものだ。SidecarはiPadを追加ディスプレイに変えるが、、ユニバーサルコントロールは自動的にMacとiPadの間でマウスカーソルとキーボードを共有する。一方のデバイスでコンテンツを選択し、マシン間でドラッグ&ドロップすることもできる。

また、iOSの新機能として、ハートの手、唇を噛む、妊婦/男性など、多数の絵文字が追加されている。ベータ版は本日から利用可能。最終的な一般へのリリース時期は未定だ。

画像クレジット:Nora Tam/South China Morning Post / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Katsuyuki Yasui)

韓国EVバッテリーメーカーLG Energy Solutionが上場、時価総額で同国2位に浮上

韓国最大手のEVバッテリーメーカーであるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は1月27日、成功裏に韓国取引所に上場した。終値で計算した同社の時価総額は118兆1700億ウォン(約11兆2600億円)で、Samsung Electronics(サムスン電子)に次ぐ国内2位の企業となった。

LG Energyの株価は、公募価格の30万ウォン(約2万8716円)を99%上回る59万7000ウォン(約5万7145円)で始まり、取引開始後は25%下落したこともあったが、最終的には68.3%値を上げた。

中国のCATL(寧徳時代新能源科技)に次いで世界2位のEV用バッテリーメーカーである同社は、先週、韓国最大のIPOで12兆8000億ウォン(約1兆2250億円)を調達し、同社の価値は590億ドル(約6兆8000億円)に達した。

セクターアナリストによると、LG EnergyはTesla(テスラ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)などを顧客とし、世界のEV用バッテリー市場の約23%を占めているとのこと。これに対し、中国のCATLは約35%のシェアでトップだ。また、日本のパナソニックは約13%、中国のBYD(比亜迪)は約7%のシェアをそれぞれ占めている。

LG EnergyはIPOで得た資金をもとに、グローバル市場での生産能力を高める計画だ。また、米国、欧州、中国の自動車メーカーと戦略的パートナーシップを結び、世界の競合他社に対抗していきたいと考えている。

2020年12月にLG Chem(LG化学)からスピンアウトしたLG Energyは、3万人以上の従業員を擁し、EV、モビリティ、ドローン、船舶、ITアプリケーション、電力貯蔵システム(ESS)用のリチウムイオン電池を開発している。上場後、親会社のLG ChemはLG Energyの81.8%の株式を保有することになる。

2021年6月、ソウルに本社を置く同社は、GMのChevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)についてバッテリーセルの欠陥により発火の危険性が指摘され、一連のリコールが行われたことを受けて、IPOプロセスを中断していた。

2021年7月に同社は、2025年までに電池材料に52億ドル(約6000億円)を投資する計画を発表した。LG Energyは1月25日、GMと共同で米国に26億ドル(約3000億円)規模のEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。

関連記事:LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

韓国EVバッテリーメーカーLG Energy Solutionが上場、時価総額で同国2位に浮上

韓国最大手のEVバッテリーメーカーであるLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)は1月27日、成功裏に韓国取引所に上場した。終値で計算した同社の時価総額は118兆1700億ウォン(約11兆2600億円)で、Samsung Electronics(サムスン電子)に次ぐ国内2位の企業となった。

LG Energyの株価は、公募価格の30万ウォン(約2万8716円)を99%上回る59万7000ウォン(約5万7145円)で始まり、取引開始後は25%下落したこともあったが、最終的には68.3%値を上げた。

中国のCATL(寧徳時代新能源科技)に次いで世界2位のEV用バッテリーメーカーである同社は、先週、韓国最大のIPOで12兆8000億ウォン(約1兆2250億円)を調達し、同社の価値は590億ドル(約6兆8000億円)に達した。

セクターアナリストによると、LG EnergyはTesla(テスラ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)などを顧客とし、世界のEV用バッテリー市場の約23%を占めているとのこと。これに対し、中国のCATLは約35%のシェアでトップだ。また、日本のパナソニックは約13%、中国のBYD(比亜迪)は約7%のシェアをそれぞれ占めている。

LG EnergyはIPOで得た資金をもとに、グローバル市場での生産能力を高める計画だ。また、米国、欧州、中国の自動車メーカーと戦略的パートナーシップを結び、世界の競合他社に対抗していきたいと考えている。

2020年12月にLG Chem(LG化学)からスピンアウトしたLG Energyは、3万人以上の従業員を擁し、EV、モビリティ、ドローン、船舶、ITアプリケーション、電力貯蔵システム(ESS)用のリチウムイオン電池を開発している。上場後、親会社のLG ChemはLG Energyの81.8%の株式を保有することになる。

2021年6月、ソウルに本社を置く同社は、GMのChevrolet Bolt EV(シボレー・ボルトEV)についてバッテリーセルの欠陥により発火の危険性が指摘され、一連のリコールが行われたことを受けて、IPOプロセスを中断していた。

2021年7月に同社は、2025年までに電池材料に52億ドル(約6000億円)を投資する計画を発表した。LG Energyは1月25日、GMと共同で米国に26億ドル(約3000億円)規模のEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。

関連記事:LG化学がEV用バッテリー生産拡大へ向け2025年までに5770億円を投資

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:Aya Nakazato)

近くiPhone単体を非接触決済端末として使える可能性、iOS 15.4で提供開始か

近い将来、小規模ビジネスはハードウェアを追加することなく、iPhoneを使って支払いを受け付けられるようになるかもしれない。Bloombergによると、Apple(アップル)は今後数カ月のうちにソフトウェアアップデートを通じてこの機能の提供を開始する可能性があり、おそらく2022年春にリリースされるiOS 15.4の最終バージョンで提供されることになるだろうとのこと。Appleはスマホを決済ポータルに変える技術を開発したことで知られるカナダのスタートアップ、Mobeewaveを2020年に買収しており、その頃からこのサービスに取り組んできたと言われている。

Mobeewaveの技術は、外部ハードウェアの使用を必要とするSquare(スクエア)のようなサービスとは異なり、アプリと携帯電話のNFCだけで動作する。ユーザーは請求したい金額を入力するだけ、顧客はクレジットカードを端末の背面にタッチするだけでよい。AppleはBloombergからのコメント要請を拒否したため、iPhoneに内蔵される機能が同じように動作するかどうかは不明だ。

また、Bloombergの情報筋は、この機能がApple Payの一部としてブランド化されるかどうかについては言及できなかった。ただし、この機能を開発しているチームは、AppleがMobeewaveを買収して以来、同テック大手の決済部門と協力してきたと報じられている。Appleが既存の決済ネットワークでサービスを開始するかどうかも、現時点ではわかっていない。

Mobeewaveは、買収される前にSamsung(サムスン)と提携し、後者の携帯電話をコンタクトレス決済端末にした。この機能をカナダで試験的に導入し、Samsung POSと名付けられた同社のPOSサービスをカナダで広く展開したこともある。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Bloomberg / Contributor / Getty Images

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

進化したヒトの脳はサルより回転が遅い? 新潟大学脳研究所が霊長類4種類で検証

進化したヒトの脳はサルより回転が遅い? 新潟大学脳研究所が霊長類4種類で検証

新潟大学脳研究所は、音を聞いてから大脳がそれを分析するまでの時間を、霊長類4種類で測定したところ、ヒトがもっとも遅かったという研究結果を発表した。サルよりも発達した脳を持つ人間のほうが、脳の処理に時間がかかるということだが、これは退化ではなく、むしろ進化の結果だという。

新潟大学統合脳機能研究センターの伊藤浩介准教授、京都大学霊長類研究所の中村克樹教授、京都大学野生動物研究センターの平田聡教授らによる研究グループは、ヒト、チンパンジー、アカゲザル、コモンマーモセットの4種類の霊長類を使って、音に対する大脳聴覚野の応答時間を脳波で無侵襲で計測した。音によって大脳の聴覚野から誘発されるN1という脳反応が、何ミリ秒後に生じるかを調べたものだ。その結果、コモンマーモセットが40ミリ秒、アカゲザルが50ミリ秒、チンパンジーが60ミリ秒、そしてヒトが100ミリ秒ともっとも遅かった。

脳は大きいほど、つまり脳細胞が多いほど発達しているという。脳細胞が多いので、ヒトの場合はその他の動物にくらべて、N1反応が現れるまでに多くの脳細胞を通過して多くの処理が行われているわけだ。そのために遅れる。決して、伝達速度が遅いわけではない。

N1反応は、無音から音が鳴ったり、鳴っていた音が消えたり、音の高さが急に変化したりするなど音が「変化」したときに誘発されるのだが、変化を検出するには、その前後の音と比較する必要がある。瞬間の音を認識するというよりは、時間軸上に開いたある程度の長さの「時間窓」で、音を一連のつながりの中で分析を行う。研究グループによれば、ヒトは「音を分析する時間窓が長い」のだそうだ。音の時間窓が長いということは、視覚で言えば視野が広いのに相当する(音の変化をストロボのように瞬間ごとでなく、一連のものとして大局的に捉える)。これは「言語音のように時間的に複雑に変化する音の分析に有利」なのだという。

処理に時間がかかるのはデメリットだが、時間窓が広がり複雑な刺激を処理できるようになったことは、「デメリットを補って余りあるメリット」だと研究グループは話す。また、それがあるからこそヒトの脳は大きくなり進化したというのが、この研究成果に基づく新仮説とのことだ。

今後は、様々な感覚や認知を、長い時間窓でじっくりと大局的な処理をすることで、動作が遅くても高度な機能を獲得したのがヒトの脳、とする仮説の検証を目指すという。

精神疾患者向けカウンセリングAI実現のための大規模対話データベース構築に関する産官学共同研究プロジェクト

精神疾患者向けカウンセリングAI実現のための大規模対話データベース構築に関する産官学共同研究プロジェクト

精神障害者や発達障害者の教育・就労支援を行うフロンティアリンクは1月26日、日本初となる実際のカウンセリングの臨床データに基づいた大規模な対話データベースを構築し、「カウンセリングAI実現に向けたカウンセラーの効果的なコミュニケーションのパターン解析」を行うプロジェクトを開始すると発表した。これは、国立精神・神経医療研究センター東京工業大学との共同研究。また、国立精神・神経医療研究センター倫理審査の承認を得たものという(承認日:2021年11月15日、承認番号:B2021-084)。

日本では、100万人を超えるひきこもり者、400万人を超える精神障害者があり、その数は糖尿病やがんの患者数を上回るという。しかし、精神疾患の専門機関への相談は敷居が高いと感じる人が多く、カウンセリングを受けたことのない人が全体の94%に上っている(中小企業基盤整備機構。2019)。「潜在的には相談ニーズがあっても実際の相談行為に至らないというケースが多い」ということだ。

そうした潜在的相談ニーズをすくいあげるツールとして、AIがある。すでに音声アシスタントやホテルの受け付けなどで利用されている会話型AIを使うことで、相談の敷居が下げられる。場所や時間の制約も受けない。また、精神疾患者には外出が不安だったり、対人交流ができない人の場合、バーチャルのほうが自己開示しやすいという研究報告もある。

ただ、カウンセリングAIの開発には基盤となるデータベースが必要となる。研究の進んだ海外では、電子学術データベースを擁する出版社「Alexander Street Press」が体系的に整理された4000ものカウンセリングセッションの逐語データをオープンソース化するなど、対話型のAIカウンセリングシステムの発展に寄与しているが、日本では先行研究に使用できるデータが少なく、学生のロールプレイによる模擬データであったりするため、ユーザーの話を傾聴し、話を「深める」システムの発達について課題がある状況という。

そこでフロンティアリンクは、産官学共同で、実際のカウンセリングの臨床データに基づく大規模な対話データベースを構築し、このプロジェクトを開始した。ここでは、経験豊富なカウンセラーのカウンセリングデータを、600セッション収集することを目指す。また、自然言語処理、言語学、情報システム、精神医学、臨床心理学の専門家が、カウンセラーの効果的な発話の分析を行うとしている。

このプロジェクトで期待される効果には、精神疾患の重篤化を防ぐ早期発見、早期介入によるメンタルヘルスの増進のみならず、専門家の雇用促進、専門機関のネットワークの拡充、気軽に相談できる風土の促進が挙げられている。カウンセリングAIにより気軽に相談できる環境が整えば、それを通してユーザーを専門機関につなげるネットワーク作りも可能になるということだ。

画像クレジット:Volodymyr Hryshchenko on Unsplash

Oculusで人気のVRオープンワールドRPG「A Township Tale」開発元のAltaがシード資金14.2億円調達

バーチャルリアリティ(VR)のメタバーススタジオであるAlta(アルタ)は、Makers Fund(メーカーズ・ファンド)とAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)が共同主導したシードラウンドで、1240万ドル(約14億2000万円)の資金を調達したことを、米国時間1月26日に発表した。他にもPioneer Fund(パイオニア・ファンド)、Boost VC(ブーストVC)、muru-D(ムルD)、Thomas Rice(トーマス・ライス)などの投資家が参加した。

この資金は、独自のコンテンツやIPのさらなる開発、チームの拡大、新しいプラットフォーム向けゲームの展開に使用する予定であると、Altaの共同創業者兼CEOであるTima Anoshechkin(ティマ・アノシェチキン)氏はTechCrunchに語った。今回の資金調達により、同スタートアップの企業価値は6200万ドル(約71億円)になるという。

アノシェチキン氏とJoel van de Vorstenbosch(ジョエル・ファン・デ・フォルステンボス)氏、Boramy Unn(ボラミー・ウン)氏によって2016年に設立され、現在はシドニーとサンフランシスコに拠点を置くスタートアップ企業は「A Township Tale」を制作するVRゲーム開発会社としてスタートしたと、アノシェチキン氏は語る。A Township Taleは、すべてのユーザーが自分独自の中世ファンタジー的な仮想世界を持ち、他のユーザーと共有できるVRオープンワールドRPGだ。

Altaは2021年半ばに、Oculus Quest 2(オキュラス・クエスト2)向けに最初のVRゲームを発売して人気を博した。発売後、このゲームはOculusのチャートで7週間以上にわたって1位を獲得し、同プラットフォームの歴史的なエンゲージメント指標を生み出したと、Altaは述べている。さらに、このスタートアップの収益は、開始当初から10倍になったと、アノシェチキン氏は収益の具体的な数字を示さずに語った。Altaには現在、約50万人のユーザーがいると、同氏は付け加えた。

「Altaは、人々を結びつける世界を創造するという1つの探求から始まりました」と、アノシェチキン氏は語る。「今回の資金調達は、主力ゲームの成長だけでなく、そのビジョンを拡大するために役立ちます。また、これによって私たちはチームを拡大し、協力し合える新たな機会やパートナーシップを作り、VRやその他のプラットフォームを問わず、世界クラスの技術を開発し続けることができます。いつ、どこでプレイしていても、私たちの体験は常に魅力的で、シームレスで楽しいものになるでしょう」。

アノシェチキン氏によれば、Altaの次の目標は、メタバースの要素を取り入れながら、複数のプラットフォームで仮想世界のネットワークを拡大・構築することだという。同社の技術が他の競合他社と異なる点は、プロシージャル生成に大きく依存していることだ。プロシージャル生成とは、コンピュータのアルゴリズムと人間が作成した素材データを組み合わせ、大量のコンテンツをシームレスに自動生成する方法で、これによって同社の仮想世界は構築されると、アノシェチキン氏は説明する。

Altaでは、早ければ年内にも新たな資金調達を行い、全世界で人員を増強することを計画していると、AltaのCOOであるAllison Howard(アリソン・ハワード)氏は述べている。同社は現在、オーストラリアと米国にオフィスを構えているが、近い将来に欧州とアジアのより多くの国に参入する計画を持っていると、ハワード氏は付け加えた。

ここ数年、VR技術のエコシステムは着実に成長してきた。消費者向けVR市場は、2020年の26億ドル(2980億円)から、2023年には50億ドル(約5730億円)以上に達すると予測されている。

「私たちは2年前から、深い没入感のある空間を構築して協力しながら探索するというAltaの魅力的なビジョンのファンであり、ティマと彼のチームが最初の大きなマイルストーンを達成したことに引き続き感銘を受けています。それは、洗練された高度にシステム化されている世界を創造し、それがまだ出来たばかりの段階から、コミュニティに愛されているということです」と、Altaの取締役会に参加することになったMakers Fundの創業パートナーであるJay Chi(ジェイ・チー)氏は語っている。

「このチームは、高い技術力と決断力を持ち、熱心なコミュニティが成長できるような魅力的な体験を構築することに情熱を注いでいます。これは、ゲームとソーシャルプラットフォームがますます交差するという我々の確信と完全に一致しています。特にこの2年間で、VRの普及とともにメタバースの成長を目の当たりにしてきた私たちは、このコミュニティに貢献し、成長し続けるAltaとパートナーを組めることに興奮しています」と、a16zのパートナーであるAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏は述べている。

画像クレジット:Alta

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(文:Kate Park、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

様々な「あそび&レッスン」のアクティビティをオンラインで体験できる「ホビーズ」運営のhobbysは、オンラインドッグスクール「wandemy」(ワンデミー)を1月26日に開校した。同日より専門家(ドッグトレーナー)によるカウンセリングの受付を開始している(期間限定で無料実施)。犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

近年、ペットとして犬を飼い始める家庭が増加する一方で、飼育のための知識不足などを原因とするトラブルを解決できない飼い主も増加し、飼育放棄や早期転売など新たな問題に発展するケースも増え続けている。hobbysは、wandemyの前身となる「ホビーズオンラインドッグスクール」を展開する中で独自にアンケート調査(実施期間:2021年12月~2022年1月。回答者数:全国220名の犬を飼育されている方)を行ない、「犬種や性格によって問題が様々で、画一的な解決策では十分な対応ができない」「YouTubeなどの動画視聴による知識では、実践ができず効果が発揮されない」「専門家への相談は、場所や費用、時間の制限により利用できない人が多い」という3点が飼い主にとって大きな課題となっていると特定した。犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校犬種・性格・悩みに合わせたオーダーメイドのカリキュラムを受講可能なオンラインドッグスクールwandemyが開校

そこでhobbysは、ホビーズオンラインドッグスクールで培った500組を超える飼い主とペットへの指導やカウンセリングの実績に基づき、犬種・性格・悩みに合わせてオーダーメイドでカリキュラムを作成できるオンラインドッグスクールwandemyを開校した。

wandemyは、毎日夜22時までの時間帯から好きな時間を選んでLINEで予約でき、オンライン特化型のため全国どこからでも受講が可能。犬の問題行動の解決方法を提供し、愛犬と暮らす上での大切な知識や接し方を情報提供する多面的な指導によって、1人でも多くの飼い主が愛犬と共に幸せに暮らすことができる生活をサポートしたいという。

またトレーニングレッスンでは、飼い主が愛犬と一緒に参加し、ドッグトレーナーから直接指導を受けながら練習・習得できる実践トレーニングを実施する。トレーナーが飼い主と愛犬の様子や関わり方を実際に見ながら、それぞれの状態に合わせて個別に指導する。

各レッスンにはテーマが設定されており、自身のカリキュラムに合わせて必要なレッスンを選んで受講していく。どんな問題行動や関係性改善にも必要な「基礎トレーニング」から、トリックやドッグダンスなどの「応用・上級トレーニング」まで、レベルに合わせてステップアップできるようにしており、愛犬と一緒に成長できるとしている。

wandemyの特徴

  • 愛犬の診断カードがもらえるカウンセリング:実践トレーニングレッスンの受講前に必ず30分のカウンセリングを実施。カウンセリングを受けた方全員に、ドッグトレーナーが診断した愛犬の問題解決・成長ステップがわかる、オリジナルのカリキュラムカードをプレゼント。愛犬に合ったレッスンを選択して受けていくことが可能となる
  • オーダーメイドカリキュラム:犬種×性格×悩み×目標に合わせて、1匹1匹ごとにオリジナルの指導プログラムを作成
  • 経験豊富で実績のある専属ドッグトレーナーによる直接指導と相談対応:多く犬の悩みを解決したドッグトレーナーによる本格的かつ分かりやすい指導を実施。物理的理由や金銭的理由などで専門家への相談や指導を受けることが難しかった方でも、オンラインで気軽にドッグトレーナーの直接指導を受けられる。トレーナーが飼い主と愛犬の様子や関わり方を実際に見ながら、それぞれの状態に合わせて個別に指導を行う。また相談対応では、普段の生活でのちょっとした困りごとや、改善されない理由など、フリートークで30分間じっくりと相談が可能
  • 忙しい飼い主でも続けられる幅広い時間帯:オンライン特化型のため全国どこからでも受講が可能。1回30分1500円(税込)のプログラムを、毎日夜22時までの時間帯(休日や平日の夜間でも受講可)から好きな時間を選んでLINEで予約でき、忙しい方でも隙間時間を使って自宅からPCやスマホで受講できる

オーダーメイドカリキュラムのステップと料金

  • 初回カウンセリング:1回30分1500円(税込)。初めての方は、必ずカウンセリングを受けてもらう。愛犬の性格、困りごと、目標、理想の生活などをヒアリングをし、オンラインで実際に愛犬の状態も確認。カウンセリング後、カリキュラムカードがLINEに届く
  • 実践トレーニングレッスン:1回30分1500円(税込)。愛犬と一緒に参加し、ドッグトレーナーから直接指導を受けながら練習・習得ができる実践トレーニング。どんな問題行動や関係性改善にも必要な「基礎トレーニング」から、トリックやドッグダンスなどの「応用・上級トレーニング」まで用意
  • お悩み相談:1回30分1500円(税込)。愛犬の困りごとや悩みを専門家(プロドッグトレーナー)に直接相談できる

炭素排出をなくし、地球に少し休ませる技術に投資するEIPの新ファンド

「Deep Decarbonization Frontier Fund(ディープ・ディカーボナイゼーション・フロンティア・ファンド)」というキャッチーな別名をもつ、Energy Impact Partners(EIP、エネルギー・インパクト・パートナーズ)は、3億5千万ドル(約401億円)のファンドに対して2億ドル(約229億円)分の出資枠を獲得し、世界を持続可能な未来に移行させるというコミットメントを倍増させた。このファンドは、温室効果ガス排出量ゼロへの移行を加速させるアーリーステージの技術を対象としている。

このFrontier Fundは、脱炭素社会の実現に向けた投資家の新たな関心と、ゼロカーボンエネルギー、製品、商品に対する需要の高まりという2つの原則のもとに設立された。

Frontier FundのパートナーであるShayle Kann(シェイエル・カン)氏は「私たちは、気候変動に関する技術で大きな問題に挑戦する大胆な起業家を求めています」と述べている。「この6年間で、私たちは大規模で成熟した、技術的に複雑な産業においてイノベーションを推進するためのエコシステムとプロセスを構築してきました。脱炭素化の推進以外でこのようなスキルが最も求められる場所は他にありません」。と述べる。

Frontier Fundは、発電から肥料生産までの脱炭素化に取り組むスタートアップ企業への投資を始め、すでに資金展開を開始している。数日分のエネルギー貯蔵を安価にするForm Energy(フォーム・エナジー)、再生可能エネルギーによる工業規模の水素製造を推進するElectric Hydrogen(エレクトリック・ハイドロジェン)、ゼロエミッションの窒素肥料を製造するNitricity(ニトリシティー)、ゼロカーボンセメントのSublime Systems(サブライム・システムズ)などがその例として挙げられている。

「EIPが2016年に設立されて以来、『クライメートテック』と呼ばれるようになる前から、クライメートテックに投資してきました。これは荒野の時代で、『ポスト・クリーン・テック』とか『プレ・クライメート・テック』とも言えました。私たちはそれをさまざまな呼び方で呼んでいたのです」とカン氏はいう。「今、市場に到来しているイノベーションの大波は、新しいテクノロジー、新しいサービス、新しいビジネスモデルに至るまで、脱炭素化が必要な経済のさまざまな分野を脱炭素化するための方法を軸にしたものばかりです。クライメートテクノロジーは、非常に圧倒的であると同時に、非常にエキサイティングなものです。セクターを超えた包括的な挑戦なのです。この命題における最初の核となる部分は、イノベーションの波が来ているということです。もう1つは、今世紀半ばあるいはそれ以前に温室効果ガスの排出を正味ゼロにする必要性が認識されつつあり、現在の状況からその最終目標まで長い道のりがあるという事実によって、これらのソリューションの市場への導入が加速されるということです。そのため、企業、消費者、投資家、支持者、その他すべての利害関係者から、あらゆる種類の新しいソリューションに対する需要が高まっています。この2つのことが、私たちを気候変動技術への道のりにおいて強気にさせてくれているのです」と語った。

画像クレジット:Shayle Kann

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Spotify、新型コロナ誤情報に抗議・宣言したニール・ヤングの楽曲を削除

ミュージシャンのNeil Young(ニール・ヤング)は、広く愛されている自身の音楽カタログをSpotifyから取り下げるという脅迫を実行に移そうとしている。ヤング氏は今週、同社とポッドキャスターのJoe Rogan(ジョー・ローガン)との関係に異議を唱え、Spotifyが少なくとも1億ドル(約114億8000万円)相当の取引で独占権を買ったローガン氏のヒット番組を通じて、新型コロナイルスに関するの誤った情報を広めていると非難した。

関連記事:ニール・ヤング、人気ポッドキャスターによるコロナ誤情報に抗議してSpotifyから楽曲を引き上げると宣言

Spotifyは米国時間1月26日に、TechCrunchに電子メールで送った声明の中で、ヤング氏の行動を確認し、同社はストリーミングサービスから「彼の音楽を削除するというニールの決断を残念に思う」と述べている。

我々は、世界中の音楽とオーディオコンテンツがSpotifyのユーザーに提供されることを望んでいます。そのためには、リスナーの安全性とクリエイターの自由を両立させるという大きな責任がともないます。私たちは詳細なコンテンツポリシーを設けており、パンデミックが始まってから現在まで、新型コロナウイルスに関連する2万以上のポッドキャストのエピソードを削除してきました。ニールがSpotifyから楽曲を削除したことは残念ですが、早く復帰して欲しいと考えています。

ヤング氏は自身の公式サイトを更新し、楽曲を削除する決断の背景にある考え方を説明した。「私は、200人以上の医師が力を合わせて、Spotifyの番組で見つかった命を脅かす危険な新型コロナウイルスに関する虚偽に挑んでいるという記事を読んで、初めてこの問題を知った」と知るし、ローガン氏の番組について名指しで言及することは避けている。

「……Spotifyは事実と異なり、誤解を招く、虚偽の新型コロナ情報を聞いているリスナーのほとんどは24歳で、多感で真実の間違った側に振り回されやすい。これらの若者は、Spotifyが著しく事実と異なる情報を提示することはないと信じている。しかし、残念ながらそれは間違いだ。私はそれを指摘するために努力しなければならなかった」。

公式サイトでヤング氏は、Spotifyが全世界のストリーミング収入の60%を占めている点を指摘している。「他のアーティストやレコード会社がSpotifyのプラットフォームから離れ、新型コロナに関するSpotifyの致命的な誤報をサポートするのをやめることを心から願っている」とヤング氏は「in the name of truth」と歌いながら書いた。

The Wall Street Journalは、Spotifyが1月26日にヤング氏の楽曲を削除する「作業中」だと最初に報じている。SpotifyはTechCrunchに対して、削除作業が進んでいることを認め、ヤング氏の楽曲は「まもなく」同社のサービスに表示されなくなることを確認した。本稿執筆時点では、彼のアルバムや楽曲はまだSpotifyの検索やキュレーションプレイリストに表示されているが、一部の楽曲は再生不可能というエラーが表示されている。

画像クレジット:Spotify

ヤング氏は自身のマネジメントチームとレーベルに宛てた公開書簡(削除済み)の中で、楽曲を引き揚げる意向を表明した。「私の行動は、Spotifyがワクチンに関する偽の情報を広めているためです。広められている偽情報は、それを信じる人々に死をもたらす可能性があります。「本日、すぐに動いて、そのタイムスケジュールを知らせてください」とRolling Stoneが最初にレポートした書簡で彼は書いている。

ヤング氏がストリーミングサービスと衝突するのは、今回が初めてではない。2015年には、Spotifyなどのプラットフォームが自分の録音の質を落としているという苦情を受けて、Spotifyなどから自分の楽曲を削除すると脅したことがある。当時、彼は高音質に特化したストリーミングハードウェアとそれに付随する音楽サービス「Pono」を立ち上げていた。新たな書簡の中でヤング氏は、遠回しにSpotifyのストリーミング品質の低さについて言及し、ファンにとって、彼の膨大なバックカタログをより高い品質で他のサービス見つけることができるのは「利点」だと述べている。

「まもなく、私の楽曲はもっと良い場所で生き続けるだろう」とヤング氏は書き、ファンにAmazonやApple Musicを勧めている。

画像クレジット:ALICE CHICHE/AFP via Getty Images / Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Katsuyuki Yasui)

エンジニア採用育成支援サービス「TechTrain」を提供するTechBowlが1.3億円のプレシリーズA調達

U30(30歳以下)に特化したエンジニアの教育事業と人材マッチング「TechTrain」(ユーザー向け/企業向け)を展開するTechBowlは1月27日、プレシリーズAラウンドにおいて、第三者割当増資による総額1億3000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は博報堂DYベンチャーズ、D4V、SMBCベンチャーキャピタル。調達した資金により、TechTrainへの開発投資・広告・マーケティング強化・人材採用を促進する。

TechTrainは、50社100名を超える有名企業のエンジニアに対して、好きな時に、1on1で技術やキャリア相談が行えるオンラインサービス。「現役ITプロエンジニアが、会社の垣根を越え、次世代のエンジニアをみんなで育てる」という思想で立ち上げられた。サービス開始から2年半でユーザー数は4000人を突破し、現在では累計5000件以上の面接ののち、200社以上の企業のエンジニア採用支援を行った。

TechTrainの特徴は、「パーソナライズド・エンジニアリング」、実践型開発ドリル「Railway」、実践型ワークサンプル「MISSION」の3つ。パーソナライズド・エンジニアリングは、新規登録時にスキルレベルを診断し、利用目的(就職またはスキルアップ)を掛け合わせ計10パターンのカリキュラムを展開する。これにより、各ユーザーのレベル感や希望に合わせた「パーソナライズド・エンジニアリング」を提供できるという。

2つ目のRailwayは、実務で直面するケースに絞った、現役エンジニアメンターが完全内製した教材。ユーザーは、コピー&ペーストではなく自力でコードを書く基礎力を身に付けられ、実践を想定したスキルアップが可能となる。電車の路線マップのように、技術分野ごとに問題を出題。各問題に自動合否判定システムを組み込んでおり、教育のオートメーション化を実現した。

MISSIONは、各社CTOが出題する実践型ワークサンプルを基に、オンラインで各社の事業・技術・文化を、自身でプログラミングしながら理解を深められるというもの。クリアすれば企業から特別オファーがある。候補者と企業の双方が効率的かつ高精度なマッチングが行える。