患者と医師、両方からデータを得てがん治療をよりパーソナライズする仏Resilience、約51.6億円調達

フランスのスタートアップであるResilience(レジリエンス)は、中央ヨーロッパ時間1月25日、Cathay Innovationが主導するシリーズAラウンドで4000万ユーロ(約51億6000万円)を調達したと発表した。同社は、がんと診断されたときの治療の道のりを改善し、より健康で長い人生を送れるように支援することを目指している。

このラウンドには、Cathay Innovationに加え、既存投資家であるSingularも参加した。Exor Seeds、Picus Capital、Seaya Venturesなどのファンドもこのラウンドに参加している。さらに、Fondation Santé Service、MACSF、Ramsay Santé、Vivalto Venturesといったヘルスケア分野の投資家も参加している。

Resilienceについては2021年3月にすでに紹介しているので、ぜひ前回の記事を読んで、この会社のことをもっと知っていただきたい。同社は、シリアルアントレプレナーであるCéline Lazorthes(セリーヌ・ラゾルテス)氏とJonathan Benhamou(ジョナサン・ベンハモウ)氏が共同設立した会社で、がん治療において患者と医療提供者の両方を支援したいと考えている。

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患者側では、Resilienceはがんやがん治療の影響や副作用を測定し、理解し対処するのに役立つ。ユーザーはアプリ内でさまざまなデータポイントを追跡し、自分の病気に関するコンテンツや情報を見つけることができる。

だが、Resilienceは自宅で使用するアプリだけではない。病院が治療をよりパーソナライズするための、病院向けのSaaSソリューションでもあるのだ。Resilienceは、世界有数のがん研究機関であるGustave Roussy(ギュスターヴ・ルシー研究所)とのパートナーシップにより設立された。

医療関係者は、患者がアプリを使って集めたすべてのデータを活用できるようになる。これにより、がん治療施設は患者をよりよく理解し、より迅速にケアを適応させることができる。ResilienceはBetteriseを買収することで、データ駆動型のがん治療に関して先陣を切ることができた。

長期的なビジョンは、それよりもさらに野心的だ。がん治療施設で働く医療提供者に話を聞くと必ず、時間がいくらあっても足りない、という。

しかも、ますます専門化していく新しい治療法を把握するのはさらに困難だ。Resilienceは、医師に取って代わるものではない。しかし、医師が盲点を克服する手助けをしたいと考えている。

その結果、患者はより良い治療を受けることができ、Resilienceアプリによって追加サポートを受けられるようになるはずだ。がんの治療は長く苦しいものなので、プロセスを改善することができれば、それは良いことに違いない。

画像クレジット:Resilience

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(文:Romain Dillet、翻訳:Aya Nakazato)

Activision Blizzard、同社の未来を決める新たなサバイバルゲームを開発中

今でもまだ組織の混乱や組合いじめ、史上最大のゲーム企業買収がニュースの大見出しになってるようだが、当のActivision Blizzardは次のオリジナルゲームで忙しいらしい。

具体的な発表はまだほとんどないが、同社は今週、その「未発表のサバイバルゲーム」は「まったく新しい宇宙におけるサバイバルゲームだ」などと前宣伝している。その発表は求人ページにリンクしており、そこでは新しいゲームのアートをいくつか紹介している。

私たちはまったく新しい宇宙でのサバイバルゲームを作っています。私たちと一緒に次の章を書きましょう。https://t.co/yf7W5p9ERQ

そのアートの中では、毛皮を着て頭蓋骨の兜をかぶったハンターが膝をついて、おとぎ話の国の入り口の近くで何かを追っている。もう1つのコンセプトアートは、2人の人が、その魔法の国の別の入り口を覗き込んでいる現代的なシーンだ(自転車もある)。

このアートからわかることはあまりないが、そのコンセプトにはそそられるものがある。いずれにしても同社は、クリエイティブでシームレスなマルチプレイヤー世界を作るのが得意だ。しかもサバイバルという視点は、Twitchで人気になった「Fortnite(フォートナイト)」や「Rust」のようなゲームのジャンルへの、新鮮でおそらく洗練された参入になるだろう。Blizzardによる最新のフレッシュな大型IPといえば、eスポーツの大ヒットコンテンツ「Overwatch(オーバーウォッチ)」だが、その続編は制作は遅れており、リリースは2023年になるらしい。

「Call of Duty(コール オブ デューティ)」シリーズ、「オーバーウォッチ」「World of Warcraft」などのヒットゲームを発売しているActivision Blizzardは、2021年に同社でのセクハラと差別を主張するカリフォルニア州での訴訟のニュースで明らかになったスキャンダルに巻き込まれたままだ。

同社は証券取引委員会にも調べられており、手始めに2021年後期には従業員が召喚された。一方、この手広い企業を統括するのはCEOのBobby Kotick(ボビー・コティック)氏で、彼は同社の職場における不祥事や、それを放置したことの責任をよく自覚している。Bloombergの記事によるとコティック氏はMicrosoftによる買収が完了すれば現職を辞し、同社でXboxを担当していたPhil Spencer(フィル・スペンサー)氏がMicrosoft GamingのCEOとして同社を率いる。

この渦中にありながら、いや、だからこそMicrosoftは2022年1月、同社を687億ドル(約7兆8764億円)で買収する計画を発表した。この記録的な金額で複数の大型コンテンツが最大のゲーム機メーカーの傘下になり、国と州の規制当局が、やみくもに独占しようとしているテクノロジー企業に対しれ神経を尖らせているこの時期に、自らの運を賭けることになる。

もうこれ以上、見出しのネタに困ることはないが、しかしActivision Blizzardはさらに、同社の事業部であるRaven SoftwareのQAテスターたちが作った組合を認めないと宣言した。Ravenのグループは1カ月ほど前に、12人の契約労働者を解雇したことに抗議してストライキをしていた。

Twitter上で複数のBlizzardの従業員たちが、オーナーが変われば会社は安定すると楽観視している。もっと良い軌道に乗り、有害な職場文化を後にすることができる、と彼らは期待している。Microsoftによる買収が成立すれば、このゲーム大手は世界でもっとも安定確立したテクノロジー企業が采配を振るうことになり、その成熟と安定が、次の大型IPOを目指す企業にとって害になることはないだろう。

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画像クレジット:Chesnot

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

倉庫のフォークリフトをロボットで自動化するVecnaが74.5億円調達

倉庫の自動化を急ぐ中で、フォークリフトの存在を無視することはできない。重い荷物を持ち上げるためにはもちろん重機が必要だが、こうしたシステムは事故に巻き込まれることで有名で、米国だけでも毎年数万件のフォークリフト事故が報告されている。

マサチューセッツ州に本社を置くVecna Robotics(ベクナ・ロボティクス)は、パレット移動などのフォークリフト中心の倉庫作業に自動化を導入しようとしている企業の1つだ。パンデミックが米国で流行する直前の2020年1月に実施したシリーズBですでに5000万ドル(約57億2000万円)を調達し、結果資金調達額は6000万ドル(約68億7000万円)を超えていた。この数字は今回のシリーズCで倍以上となった。

(ということで、もちろん)Tiger Global Managementが6500万ドル(約74億5000万円)のラウンドをリードし、既存の投資家であるBlackhorn Ventures、Highland Capital Partners、Tectonic Ventures、Drive Capital、Fontinalis Partnersに加え、新たにLineage Logistics、Proficio Capital Partners、Impulseなどが参加した。

同社は前回のラウンドの資金で、CEOのCraig Malloy(クレイグ・マロイ)氏やCMOのJosh Kivenko(ジョシュ・キベンコ)氏を含むかなりの数の人材を採用していた。この新たな資金が何に使われるのかについて、キベンコ氏は次のように語っている。

世界中で50億台以上のパレットが500万台以上のフォークリフトと500万人近くの手動オペレーターによって動かされているので、自動化された資材ハンドリングには成長の余地が十分にあるのです。今回のような著名で支援的な投資家グループが主導するこの投資を使うことで、工場や倉庫のような資材ハンドリング環境におけるスループット向上への飽くなき要求に応えるために、ロードマップを加速しより迅速に市場にソリューションを提供することが可能になります。

Vecnaによれば、今回の資金はソフトウェアおよびハードウェアの研究開発、注文の確実な処理、事業の拡大に使用されるという。同社が、新型コロナウイルスのパンデミックと広がる人材不足のために、投資家から関心が高まっているロボット企業の1つであることは間違いない。

画像クレジット:Vecna Robotics

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(文:Brian Heater 、翻訳:sako)

ボストン・ダイナミクスの倉庫ロボットがDHLから約17.2億円の業務を受注

2021年3月、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は同社2番目の商用ロボット「Stretch(ストレッチ)」を発表した。箱を動かす見事なHandleコンセプトを元に作られたこのシステムは、同社の先進ロボティクス技術を倉庫・物流の舞台へと推し進めるために作られた。現在、ロボティクスで最も注目されている分野だ。

関連記事:Boston Dynamicsが恐竜的2輪ロボットで倉庫業務をデモ

米国時間1月26日、Hyundai(現代、ヒョンデ)傘下のBoston Dyanamicsは、同社初の法人顧客となる大物企業との提携を発表した。物流の巨人DHL(ディー・エイチ・エル)は、Boston Dynamicsのロボットを北米の事業所に配置する、1500万ドル(約17億2000万円)の複数年契約(両社にいわせると「投資」)を完了した。購入されるロボットの台数は明らかにされていないが、Boston Dynamicsは、今後3年間にわたり、DHL物流センターにロボット「集団」を納入するという。

Stretchは、トラックから積荷を降ろす作業から始める。発表時に製作者たちが主要な部分として強調していた機能だ。その後、他の作業も加えていき荷物処理システムの自動化を推進していく予定だ。

CEOのRobert Plater(ロパート・プレーター)氏は次のように語った。「StretchはBoston Dynamicsの最新型ロボットで、倉庫内の課題解決に特化して作られています。DHL Supply Chain(DHLサプライ・チェーン)とともに当社のロボット集団を展開し、倉庫作業の自動化を進め、そこで働く人たちの安全性を高める取り組みができることを大変うれしく思っています。私たちはStretchがDHLの事業活動に意味のある影響を与えると信じており、大規模なロボット集団が仕事をするところを見るのを楽しみにしています。

この提携は、Boston Dynamicsが現在推進している四足歩行ロボットSpot(スポット)を超えるビジネス目標の土台を築く鍵となる。荷物処理は労働集約的で極めて反復の多い重労働であり、長時間の緊張を強いられ障害点も多い。これは、商業化推進を目論むHyundai傘下の同社にとって大きな試金石だ。

一方、DHLにとっては、肉体労働力確保が困難な時期に、物流作業の一部を自動化できる好機だ。これは、配送事業を侵食しつつあるAmazon(アマゾン)らと競合する中、同社が完全オートメーション化を進めるチャンスでもある。

画像クレジット:Boston Dymamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Reddit、Twitterのように任意のNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテスト中

Reddit(レディット)は、2021年に数量限定でリリースしたCryptoSnoos」と呼ばれる自社のイーサリアムベースのNFT(非代替性トークン)だけでなく、ユーザーが所有するあらゆるNFTをプロフィール画像に設定できる機能をテストしている。NFTをプロフィール写真に設定できる同様の機能は、最近Twitter(ツイッター)でも始まり、写真をクリックするとNFTに関する情報が表示され、Twitterの標準的なプロフィール写真と区別するために六角形の画像として表示される。しかし、RedditがNFTをどのようにサポートするか、詳細はまだ決まっていない。

関連記事:Twitter Blue利用者はNFTをプロフィール写真として使用可能に

TechCrunchに提供された声明の中でRedditは、このNFTテストは非常に初期の段階にあり、サイト上の一般ユーザーが利用できるようにはなっていない、と説明している。

「我々は常にRedditのユーザーとコミュニティに価値を提供する方法を模索しています。現時点では、NFTをプロフィール写真(アバター)として使用し、所有権を証明する機能をテストしています」と、Redditの広報担当者Tim Rathschmidt(ティム・ラスシュミット)氏は述べた。「小規模な内部テストであり、機能の拡張や展開については決定していません」。

Redditは以前からNFTに関するさまざまな取り組みを試みており、nft.reddit.comにNFT関連の専用ページまで開設している。当面の間、このページは主にReddit独自のデジタルコレクティブルであるCryptoSnoosにフォーカスしている。

知らない人のために説明すると「Snoo」の部分はRedditのエイリアンのマスコット、別名「Snoo」を指しており、コレクティブル自体はSnooのイメージに基づいたバリエーションとなっている。例えばあるものはブロック状のイメージ、またあるものはヘリウム風船のイメージといった感じだ。CryptoSnoosは全部で4つしかリリースされていない。

Redditの既存のCryptoSnoos

CryptoSnoosに対する反応は、明らかにまちまちだった。多くのRedditユーザーは発表投稿のコメント欄で、RedditのNFTへの進出について「バカバカしい」「ギミック」、あるいはもっとひどい表現で怒っていた。また、NFTの価格が高く、多くの人がこのエコシステムに参加できないことを懸念する声もあった。しかし、中にはより中立的な好奇心や、Redditの取り組みへの支持を示す人もいた。

これらの反応は、NFTが業界を越えて賛否両論を呼んでいることを反映している。例えば、NFTのプロフィール写真を使用したTwitterアカウントをブロックするツールをすでに構築した人がいる。Discord(ディスコード)とMozilla(モジラ)は、ユーザーの大きな反発を受け、暗号資産プロジェクトを一時停止した。ゲームコミュニティでは、従来のゲームパブリッシャーが暗号資産に移行しようとしたため、混乱が生じた

CryptoSnoosは初期テストにすぎないため、さらにCryptoSnoosを立ち上げる明確な計画はない、とRedditは話す。

画像クレジット: Nima Owji

新しいNFTのテストは、開発者のNima Owji(ニマ・オウジ)氏が最初に発見した。同氏は、Redditのウェブアプリでこのプロジェクトに言及したバナーを見つけたと語った。それはRedditのコミュニティのメインページの上部に表示されていたが、Redditのユーザーには表示されていなかった。同氏は、RedditのエイリアンをテーマにしたCryptoSnoosだけでなく、NFTを表すさまざまな種類の画像が含まれていたことから、この画像はCryptoSnoos外への拡張を表しているのではないかと推測している。

また、バナーはスコープの拡張を明確に説明している。「あなたのNFT、今度はあなたのアバターです!」。続いて「デジタルコレクティブルをRedditのアバターとして使えるようになりました」という短い説明もある。

発見した時、バナーの「Get Started」ボタンは機能していなかったという。

しかしオウジ氏はその後、Redditのコードの中に、OpenSea上のNFTのテストコレクションと思われるものへの参照を見つけ、それはRedditエイリアンのさらなるバリエーションだった(いずれも販売されていない)。これらはRinkebyという、メインのイーサリアムネットワークに公開する前にブロックチェーンの実験を行う場所として設計されたイーサリアムのテストネットワーク上にあった。

OpenSeaでのRedditのNFT実験

NFTアバターを立ち上げる場合、どのようなブロックチェーンに対応するのか、そして対応ブロックチェーンの詳細についてもRedditはコメントしなかった。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Valveの携帯PCゲーム機「Steam Deck」は2月25日に発売予定 

2カ月の延期を経て、Valveの携帯ゲームPC「Steam Deck」が2月25日に発売されることになった。Valveは米国時間1月26日に公開したブログ記事の中で、予約者の最初のバッチに対してローンチ日に注文を開始すると述べている。予約者は、注文メールを受け取ってから72時間以内に手続きを行うことでハンドヘルドPCを購入できる。この機会を利用しなかった場合、Valveはその予約権を次の予約者に譲る。第一陣の注文は、2月28日に出荷される予定。今後は週に一度のペースで、さらに多くのユーザーが購入できるようになるという。

Valveは「Steam Deck」を2021年末に発売することを計画していたが、部品不足のためその時期を延期した。「この件については申し訳なく思っています。世界的なサプライチェーンの問題を回避するために最善を尽くしてきましたが、コンポーネントが製造工場に届かず、当初の発売予定日に間に合いませんでした」とValveは延期についての発表で説明していた。

Steam Deckの価格は399ドル(約4万5760円)からとなっている。この最安値モデルでは、64GBのeMMC内部ストレージとキャリングケースがセットになっている。また、256GBと512GBのNVMe SSD内部ストレージを搭載したモデルも用意されている。中間モデルと最上位モデルはそれぞれ、529ドル(約6万670円)と649ドル(約7万4430円)。最も高価なバージョンには、プレミアム防眩スクリーンも付いている。Steam Deckのカスタムチップセットには、2.4GHzのプロセッサと、8 RDNA 2 CUを搭載したGPUが採用されている。また、16GBのLPDDR5 RAMを搭載している。これらの要素により、最新のゲームを「非常に効率的な」電力消費で実行できるハンドヘルドPCが誕生したとValveは主張している。Engadgetでは、2月25日にSteam Deckのレビューをお届けする予定だ。

訳註:Steam Deckは当初、米国、カナダ、欧州、英国で出荷が開始される。その後、日本など他の地域でも順次発売予定とのこと。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Steam

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

テスラ、予想を上回る2021年第4四半期決算を発表

米国の電気自動車会社、Tesla(テスラ)が、第4四半期および暦年2021年の決算を米国時間1月26日午後に報告した。2021年最後の3カ月間に、Teslaは177億2000万ドル(約2兆310億円)を売上、内160億ドル(約1兆8340億円)が自動車事業によるものだった。総売上に基づくTeslaの第4半期の純利益は23億2000万ドル(約2658億円)、1株当たり利益は2.05ドル(約234.89円)だった。調整後の1株当たり利益は2.54ドル(約291.03円)。

アナリストの2021年第4半期の予想は、売上163億5000万ドル(約1兆8730億円)、調整後1株当り利益2.26ドル(約258.95円)だった。簡単にいえば、Teslaは売上と利益で予測を上回る実績を上げた。

同社の株価は、決算発表後の時間外取引で高下し、当初数ポイント下げたあと本稿執筆時には上昇している。

四半期の内訳

第4半期のTesla自動車部門の実績は良好だったようだ。同社の160億ドル近い総自動車売上は、前四半期の120億6000万ドル(約1兆3820億円)、1年前同期の93億1000万ドル(約1兆670億円)をいずれも上回った。

Teslaの決算を注目してきた人は、四半期売上のうちregulatory credits(排出規制規則に基づき売買されるクレジット)が占める割合が気になるだろう。同社を批判する人たちは、この数値が少々膨らんでいることを再三指摘してきた。2021年第4半期、Teslaは過去5四半期中2番目に少ないクレジット額を報告した。

同社にとってさらに良かったのは、自動車事業の粗利益が、同部門の売上が伸びても落ちなかったことだ。逆に、前年同期の24.1%から、少なくとも直近5四半期で最高の30.6%へと跳ね上がった。

他に注目すべき数値は、フリーキャッシュフローが27億8000万ドル(約3190億円)と過去最高を記録したことで、四半期末の現金および現金同等物は170億ドル(約1兆9480億円)に達した。四半期全体でTeslaの自動車関連売上は、同社総売上の90%を超えた

2021年を振り返る

Teslaの1年は総じて好調だった。売上は約71%増の538億2000万ドル(約6兆1680億円)で、調整後EBITDA116億2000万ドル(約1兆3320億円)、純利益55億2000万ドル(約6330億円)につながった。Teslaの利益性と現金持ち高の増え方を踏まえると、いずれこの会社は配当を出すのではないかと私は考える。すばらしいのは、同社の現金需要に対して現金収入が多いことで、これは設備投資を勘定に入れてもいえることだ

なぜTesla株は決算報告後に動いていないのか?どうやら決算は概ね予測と一致していたようで、つまり実績はすでに株価に反映済みだということらしい。Yahoo Financeによると、現在の株価937ドル(約10万7374円)に基づくと、同社の時価総額は9410億ドル(約107兆8610億円)になる。

画像クレジット:Ethan Miller / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook

eBayがトレカ鑑定サービス開始、まずは約8.6万円以上の価値があるカードが対象

オンラインマーケットプレイスのeBay(イーベイ)は、またも鑑定サービスを拡張し、今回は高価なトレーディングカードの鑑定に対応する。収集価値のあるカードゲームやスポーツカード、その他スポーツ以外のカードで750ドル(約8万6000円)以上のものの鑑定が可能になるという。2022年半ばまでには、250ドル(約2万9000円)以上で販売されるグレード付きカード、サインカード、パッチカードへと対象を拡大する。こうした追加により、eBayは、すでにスニーカー、時計、ハンドバッグなどで行っている高額アイテムの鑑定を顧客に保証する能力を拡大する。

同社は、自社サイト上での活発な動きから、鑑定が利用できる他の分野と同様にトレーディングカードへの鑑定サポートに価値を見いだした。同社によると、トレーディングカードのカテゴリーは同社のマーケットプレイス全体よりも「著しく速く」成長しており、2021年上半期の同カテゴリーの取引額は20億ドル(約2300億円)に上ったという。参考までに、これは2020年に行われたトレーディングカードの全取引額に匹敵する。

これまでに、eBayの内外を問わず購入された約400万枚のカードが、顧客のCollectionに追加された。Collectionは、トレーディングカードのコレクターがサイト上で自分のポートフォリオを把握できるよう、2021年追加されたツールだ。このツールを使ってコレクターは、自分のカードコレクションを閲覧・管理し、ポートフォリオに影響を与えるリアルタイムの市場評価額の変化をモニターすることができる。一方、eBayでは、25万人近い購入者が、お気に入りのトレーディングカードのトレンドを可視化するために、Price Guideツールを検索で利用していると、同社は述べた。

2021年上半期に最も伸びたカードカテゴリーは、テニス(1797%の伸び)、サッカー(852%)、ポケモン(536%)、マーベル(437%)、ゴルフ(436%)などだった。

画像クレジット:eBay

eBayのコレクティブル・エレクトロニクス・ホーム担当副社長のDawn Block(ドーン・ブロック)氏は、この発表についての声明の中で「当社のトレーディングカード事業は過去6年間成長を続けており、最近の急増はこのカテゴリーの文化的意義が計り知れないことを物語っています」と述べた。「趣味が投資に変わるにつれ、価値の高いカテゴリーの鑑定サービスはコレクターにとって優先事項となっています。トレーディングカードの真贋保証の導入により、愛好家が求めるものを正確に提供し、マーケットプレイスの信頼性を継続的に向上させることができます」と付け加えた。

トレーディングカードの鑑定はCertified Collectibles Groupの関連会社であるCGC Trading CardsとCertified Sports Guaranty(CSG)の専門家が担当している、とeBayのウェブサイトでは紹介されている。

Facebook Marketplaceなどのサービスや他のローカルな購入アプリによる日用品の売買競争が激化する中、eBayは入手困難な収集品や中古の高級品をオンラインで探せる場所として、より良い地位を確立しようと取り組んできた。

ハンドバッグを対象としたAuthenticate(鑑定)プログラムを2017年に開始した後、同社は高級ジュエリー時計といったものにも対象を広げた。2021年11月には、既存パートナーのSneaker Con Digitalからスニーカー鑑定事業を買収し、この戦略にさらなる投資を行った。鑑定の追加はビジネス上も有利に働く。高額スニーカーの売買に真贋保証を追加したところ、このカテゴリーが前四半期比で伸び、スニーカー鑑定サービスの自社提供を決定した時点で鑑定件数は155万件を突破した。

2021年第3四半期時点では、米国のスニーカー事業は2桁の成長率で、高級ハンドバッグの売上の伸びは米サイト全体を2桁の数字で上回っていると同社は述べた。

eBay真贋保証の対象商品は、他のカテゴリーと同様、自動的にプログラムに追加され、オプトインやオプトアウトはできない。買い手が購入すると、販売者はeBayが案内する鑑定者の住所に発送する。時計やトレーディングカードは2日、スニーカーやハンドバッグは3営業日以内に鑑定士が鑑定を行う。審査に通れば、所要2日の配送で購入者に届けられる。不合格の場合は、商品は販売者に返送され、購入者には代金が返される。現在、鑑定にかかる費用はeBayが負担しているが、将来的には変更される可能性もある。

同社は、熱狂的な消費者をマーケットプレイスに呼び込むことが、結果的にカテゴリーを超えた高額商品の購入につながると考えている。CEOのJamie Iannone(ジェイミー・イアンノーネ)氏は、第3四半期決算会見で次のように説明した。「……当社の戦略の一部は、愛好家を信頼できる新しい体験に導き、そうした購買者を当社の他のカテゴリーの膨大な商品に向けることです。スニーカーや高級時計を購入する平均的な購買者は、他のカテゴリーでそれぞれ約2000ドル(約23万円)、8000ドル(約92万円)を費やしています【略】高級カテゴリーで当社の成長が加速した理由の1つは、購入者と販売者の信頼が向上したことです」と述べた。

しかし、トレーディングカード分野では、eBayはAltWhatnotLoupeToppsなど、トレーディングカードを専門とするさまざまなアプリやサービスとの新たな競争に直面している。コレクターが所有するカードの価値を決めるのをサポートするWorthPointCollXなどもある。

1年以上前に鑑定プログラムを「真贋保証」としてリニューアルして以来、カテゴリーを問わず140万点超のアイテムを鑑定し、顧客満足度は90%を超えている、とイアンノーネ氏は述べた。

画像クレジット:eBay

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

「思わず開きたくなる営業メール」の制作を支援するDyspatch

Dyspatchのマット・ハリスCEO(画像クレジット:Dyspatch)

マーケターの中には、より多くのお金を稼ぐためには、より多くのEメールを送らなければならないと考える人がいる。Dyspatch(ディスパッチ)の創業者でCEOのMatt Harris(マット・ハリス)氏は、これを「Eメールの法則」と呼んでいる。

「結局、そうしたEメールすべてが、開封エンゲージメント率の低下を招いています」と同氏はTechCrunchに語った。「さらに、Eメール中心ではない新しい世代が社会人になっています。彼らはそもそもEメールの使い方から学ぶ必要があります」。

ほとんどのマーケターは、Eメールマーケティングに関する研修を受けておらず、むしろ実地で学ぶスキルになっていると同氏は付け加えた。時が経つにつれて、人々は自分でデザインし、自らが使うEメールシステムにコードの行をコピー&ペーストするようになった。

Eメール配信のためのツールやリソースが複数登場し、それが課題となった。なぜなら、人々はさまざまなEメールシステムの使い方を学ばなければならず、また、頼るコードが常に機能するとは限らないからだ。

ハリス氏は、2018年にSendwithusというソリューションからスタートした。これはEメール領域における開発者向けの製品だった。その後、同氏とそのチームはEメール制作が大きな問題であると認識し、Eメールのデザインにドラッグ&ドロップのアプローチをもたらすためにDyspatchにピボットした。同社のEメール制作ツールは、基本的に、Eメールをうまくデザインしている人たちからヒントを得て、それを広く利用できるようにしたものだ。

Dyspatchは、Google(グーグル)のAMP for Emailを活用し、AMPメールの要素を非技術系ユーザーでも簡単に実装できるインタラクティブなメール製品「Apps in Email」を2021年発表した。

このツールは現在300社以上の顧客に利用されている。その中にはCanva(キャンバ)も含まれている。同社はAMPメールを利用してコメント返信通知でエンゲージメントを高めている。

「Dyspatchは、私たちのチームがEメール制作に費やす時間を大幅に削減し、コンテンツ制作の規模を拡大することを可能にしました」とCanvaのライフサイクルマーケティング担当グローバルヘッド、Megan Walsh(ミーガン・ウォルシュ)氏は声明で述べた。「私たちは週に20通以上のEメールを制作しています。このプラットフォームは、エンジニアリングの努力なしに、すべてのEメールがブランドに則り、ローカライズされ、すぐ答えが返ってくることを保証してくれます。また、AMPコメント返信メールにインタラクティブ性を持たせることもできました。Dyspatchチームは、このプロジェクトにとても協力的で、ユーザーにも大好評でした」。

Dyspatchの予約デモ(画像クレジット:Dyspatch)

Dyspatchはすでに、フル機能のインタラクティブAMPメールキャンペーンを経て、ブランドのEメールエンゲージメントが500%、Eメールコンバージョンは300%増加することを証明することができるとハリス氏は述べている。

同社は現在、新規顧客の増加をサポートするために、市場開拓チームと技術チームの規模を拡大する段階にあり、そのために600万ドル(約6億8400万円)のシード資金を調達した。Gradient Venturesがこのラウンドをリードし、Initialized Capital、Baseline Ventures、Blue Run Ventures、Scott Banister、VanEdge Partnersが参加した。Dypatchとって今回が初めての資金調達だが、前身の会社と合わせて合計1100万ドル(約12億5400万円)を調達した。

また、Dyspatchは今回の資金調達により、Oracle EloquaやSalesforce Marketing CloudなどのEメールサービスプロバイダーとの連携をさらに進め、ユーザーがどのリソースを使ってEメールを送信しても、シームレスなメールワークフローを確保できるようにする予定だ。

同社は、このアプリをどれだけの人が使っているかを重視している。顧客数はこの1年で2倍以上に増えた。ハリス氏の目に映る繰り返しのパターンの1つは、顧客が毎年戻って来て、さらにユーザーを増やす動きだ。例えば、ある有力顧客は、契約初年度に当初10席のユーザーシートを購入したが、半年でそれを10倍に増やした。

今後は、サードパーティに技術を開放し、Eメールでのカレンダー予約など、顧客から要望のあった機能を構築していく。

「今は、アプリ、アンケート、承認アプリのビルディングブロックを構築していますが、私たちのDNAはエンジニアリング会社ですので、サードパーティが私たちのマーケットプレイスでアプリを構築できるようにしたいと考えています」とハリス氏は付け加えた。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

NVIDIAとArmの買収契約が失敗に終わったら、それはビッグテックのM&Aにどのような意味があるのだろうか

NVIDIAとArmの400億ドル(約4兆5862億円)の契約は、これまでで最も高額なテクノロジー業界における契約の1つだが、危機に瀕しているというニュースが昨日、いくつも出てきた報道によると、NVIDIAは規制当局からの圧力を受けて撤退する準備が整っているという。問題は、この取引が失敗に終わった場合、それはテック企業のM&Aにとって何を意味するのかということだ。

2021年の今頃、Visaが53億ドル(約6077億円)を投じてPlaidを買収する計画を、米国司法省がクレジットカードの巨人にとって快適とはいえないほど綿密に検討した結果、中止させたことを忘れてはならない。2021年12月には、英国の反トラスト法委員会が、Microsoftが提案した200億ドル(約2兆2937億円)規模のNuance Communicationsの買収を保留すると発表したばかりだ。この買収は、Microsoftがどうするか決めるまで宙に浮いたままであり、同国の競争・市場庁(CMA)も同様に調査を開始する可能性もある。

注目すべきは、EU当局が2021年12月にこの取引を無条件で承認したことだ。

問題となっているNVIDIAの買収案件は、複数の国の規制当局による企業合併によって半導体市場の均衡的競争条件が変わる恐れという懸念が絡んでいるだけに、審査も厳しいだろう。

アナリスト企業CCS InsightのCEOであるGeoff Blaber(ジェフ・ブラバー)氏は、この取引は発表されたときから規制の厳しい逆風に直面していたため、NVIDIAが抜ける気になったとしても意外ではない、という。

「NVIDIAとArmの取引は最初から厳しい精査と圧力に直面していたため、崩壊の危機に瀕していても不思議ではありません。取引の価値を維持し、400億ドルの値札を正当化しながら、規制当局をなだめる方法を見つけることは、これまでも圧倒的な難題でした」とブラバー氏はいう。

彼によると、同社は別のイグジットをトライできたかもしれないが、それには投資家が最初に期待したほどのリターンがないだろうという。「Armとそのエコシステムにとっては破壊的であることが証明されています。IPOもあり得たかもしれませんが、それがArmの筆頭投資家であるSoftbankにほぼ同じ額のリターンをもたらすことは、ありえないでしょう」。

Moor Insight & Strategiesの創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、それがArmをより困難な財務的立場に置くだろうという点では合意しているが、彼の見方では、NVIDIAは欲しかった企業が得られなくてもほとんど無傷だろうという。

「ArmにとってはそれはIPOと、NVIDIAの資本のないやや弱い企業であることを意味する。NVIDIAにとっては、いつもどおりのビジネスがあるだけです。NVIDIAは、買収ができなくてもアーキテクチャのライセンスは得られますが、ライセンス料金を払わずに済めば独自のカスタムCPUを作ることができます」。どちらに転んでも、同社によって良い状態にあることを意味する。

規制当局の監視が厳しいNVIDIAが、もはや努力する価値がないと判断したのは、この点が大きいかもしれない。特に、NVIDIAは基本的にケーキを手にしてそれを食べることができ、400億ドルを他の分野の投資に回して、将来の成長を促進することができたのだから。

これはユニークな状況であり、M&Aの全体像にはあまり影響しないかもしれないが、取引に対する監視がより慎重になり、米国では大手ハイテク企業が反トラスト法への取り組みを続けていることから、官僚的なプロセスに嫌気がさした一企業以上のものがここにあるように感じられる。

しかし、EUがMicrosoftとNuanceの取引を承認したように、各取引の仕組みや関係する企業、特に競争バランスへの影響に依存する可能性がある。

画像クレジット:Bloomberg/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

マイクロソフト第2四半期決算、クラウド事業が好調で純利益は前年同期比21%増・PC関連も15%増

マイクロソフト第2四半期決算、クラウド事業が好調で純利益は前年同期比21%増・PC関連も15%増

マイクロソフトが、2022年度第2四半期(2021年10~12月)の決算を発表し、前年同期と比べ収益が20%増の517億ドル、純利益は21%増の188億ドルに達したことを明らかにしました。

2021年度の第2四半期は、新型コロナによる巣ごもり需要により、PC関連やクラウドビジネスが大幅に収益を伸ばしていましたが、それと比べても順調に業績を伸ばしている様子が伺えます。

その業績を牽引したのは、これまで同様クラウドビジネスで、Intelligent Cloud部門の収益は183億ドルで26%増加。加えて、WindowsやSurface製品を含むMore Personal Computing部門も15%増の175億ドルと好調でした。とくにWindows OEMの収益は25%増となっており、これは2021年10月にリリースされたWindows 11の効果が現れているようです。また、Office関連もコンシューマー向け製品の収益が15%増加し、Microsoft 365の契約者も5640万人に達したとのことです。

なお、ゲーム関連については、ファーストパーティタイトルやXbox Game Passサブスクリプションの成長が、サードパーティタイトルの減少で一部相殺されたとのことですが、それでも前年同期比で10%の増加となっています。

マイクロソフトは、大手ゲームパブリッシャーのActivision Blizzardの買収を発表しており、2023年度(2023年6月まで)に買収を完了すれば、ゲーム関連の収益は大きく異なったものになると考えられます。クラウド事業とならび、ゲーム関連が収益の大きな柱となっていくのかも今後注目したいところです。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

カーボンオフセットに関する評価枠組みとデータを提供するSylveraが約36.4億円を獲得

英国を拠点とするスタートアップのSylvera(シルベラ)は、カーボン・オフセット・プロジェクトに関する説明責任と信頼性を高めることを目的とし、機械学習技術を利用して衛星画像やLiDARなどのさまざまな視覚データを分析する。同社が、昨年5月の580万ドル(約6億6100万円)のシードラウンドに続いて、3200万ドル(約36億4800万円)のシリーズAを迅速に完了させた。

このラウンドは、SylveraのシードラウンドをリードしたIndex Ventures(インデックス・ベンチャーズ)と、ニューヨークに拠点を置くグローバルなプライベートエクイティおよびVC企業Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が共同でリードした。また、Salesforce Ventures(セールスフォース・ベンチャーズ)、LocalGlobe(ローカル・グローブ)、および多数のエンジェル投資家もこのラウンドに参加している。

2020年に設立されたこのスタートアップは、現在、合計3950万ドル(約45億円)を調達したことになる。

シリーズAは、チームのさらなる拡大や技術面でのリーダーシップの強化など、さらなる事業拡大のために使用されるとしている。

また、このプラットフォームを拡大し、すべてのオフセットに対応できるようにすることも視野に入れている。

共同設立者兼CEOのAllister Furey(アリスター・フューリー)博士は、「市場は、気候変動に対して世界で最も強力なツールの一つです。しかし、人々が実際に良いことをしているプロジェクトに投資するインセンティブを与え、良い仕事をしているプロジェクト開発者に報いるためには、カーボンオフセットの品質を判断するための信頼できるデータが必要です。」と声明で述べている。

「そのため、私たちはボランタリーカーボン市場(VCM)のための最も正確な評価を構築しているのです。私たちはこの資金を利用して、対象範囲を拡大する予定です。そにれより、わたしたちの評価で、企業のサステナビリティリーダー、炭素取引業者、政策立案者が、カーボン・プロジェクトを評価し投資する際に、明確さと自信と選択肢を持つことができるようになります。こうすることで、何十億ドル(何千億円)もの資金を炭素の削減、隔離、除去に回すことができるのです。」と述べる。

Sylveraは、ウェブアプリとAPIで提供する評価について、顧客数を公表していないが、これまでの顧客は様々な業界にまたがっており、Delta Airlines(デルタ航空)、Cargill(カーギル)、CBL(Xpansivマーケット)、Bain & Company(ベイン・アンド・カンパニー)などが含まれるという。

また、「企業のバイヤー、トレーダー、取引所など、さまざまな顧客がいる」とも述べている。「我々の顧客は通常、ネット・ゼロを約束した大規模な機関であり、市場で最も大きなカーボンクレジットの買い手です」。

Sylveraの評価枠組みは独自のものだが、このスタートアップは、カーボンオフセット・データの信頼できる主要な情報源になるという目標を支えるために、プロジェクトの評価を行う方法の詳細を公表することを約束していると言う(重要なのは、直接的な対立を避けるために、カーボンオフセットそのものを取引しないことだ)。

「カーボン・プロジェクトの独立した、詳細かつ最新の評価」というのは、偽物のオフセットやグリーンウォッシュが横行する業界では立派な目標だが、実際に信頼を得るためには、その方法、データ、アルゴリズムについて、独立した、詳細かつ最新の外部検証が必要であることを主張している。

「私たちは、今後2年以内に、Sylveraを、あらゆる種類のカーボンオフセットに関する最も信頼できる情報源にすることを目指しています」と、同社は述べる。「信頼されるデータソースとなるためには、透明性を確保する必要があります。このため、私たちは、評価の枠組み、モデルの精度評価プロトコル、基盤となるモデルの精度数値を公開する予定です。また、今年後半には、世界中の主要大学のパートナー研究者とともに、先進的なバイオマス推論に関する査読付き学術論文を発表する予定です。」と付け加えている。

Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)のパートナーでSylveraの取締役であるCarlos Gonzalez-Cadenas(カルロス・ゴンザレス・カデナス)氏は、声明の中で今回のシリーズAラウンドについて、「うまく機能するカーボンオフセット市場なしには、世界の炭素排出量を減らすチャンスはないでしょう。カーボン・オフセットには毎年数十億ドル(数千億円)が費やされていますが、透明性や説明責任が欠けており、その結果、信頼も失われています。気候変動の緊急事態に対処するために必要な規模に達するには、信頼が絶対に必要です。独立系データプロバイダーであるSylveraは、世界有数の大企業や政府などからの需要が飛躍的に伸びているのを目の当たりにしています。彼らの仕事がいかに重要であるかを浮き彫りにしており、私たちはSylveraとのパートナーシップを拡大できることに興奮しています。」と語っている。

画像クレジット:Sylvera

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

起亜自動車EV6の価格は約483万円から、数週間以内に発売

Kia(起亜自動車)のEV6は、Hyundai(現代自動車)のIONIQ 5とプラットフォーム、バッテリー、モーターなどを共有し、1215ドル(約14万円)のデスティネーションチャージを含めて4万2115ドル(約483万円)からと発表された。この金額で、167馬力のモーターと、米国環境保護庁(EPA)の基準で航続距離232マイル(373km)の58kWhのバッテリーパックを搭載した後輪駆動(RWD)のベースモデル「Light(ライト)」が購入できる。このモデルは、7500ドル(約86万円)の連邦税額控除が適用されるため、3万4615ドル(約397万円)まで価格を下げることができる。

これは、IONIQ 5よりも1190ドル(約13万円)高い価格だ。この2台はプラットフォームを共有し、同様の性能を提供しているが、IONIQ 5はよりエッジの効いた角ばったデザインであるのに対し、EV6はよりクラシックで丸みを帯びたデザインになっている。

画像クレジット:Kia

KiaのEV6上級モデルは、価格がかなり跳ね上がる。77.4kWHのバッテリーパックと225馬力のモーターを搭載したRWDのEV6「Wind(ウィンド)」は4万8215ドル(約553万円)からで、EPAによる航続距離は310マイル(約498km)だ。一方、GT-Line RWDは、より豪華なオプションを装備しているが、ドライブトレインは同じで、5万2415ドル(約601万円)からとなっている。WindとGT-Lineの両モデルは、それぞれ5万2115ドル(約598万円)と5万7115ドル(約655万円)から全輪駆動(AWD)にアップデートすることができる。EPAによる航続距離は両モデルとも274マイル(約440km)に低下するが、7500ドル(約86万円)の連邦税額控除が適用される。

ちなみに、インセンティブ前の価格で、Ford(フォード)のMustang Mach-Eは4万4995ドル(約516万円)から、Tesla(テスラ)Model 3は4万6490ドル(約533万円)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)ID.4は3万9995ドル(約459万円)だ。

IONIQ 5のロードテストでは、Hyundaiは最先端の技術を提供し、運転する喜びを感じられるレトロフューチャー的な勝者を作り出したと評価した。EV6も同じ基準に達することを期待したい。最初のモデルは、今後数週間のうちにディーラーに到着する予定だ。

編集者注:本記事の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Kia

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

暗号化のスタートアップSyndicateは「Web3投資クラブ」サービスでDAOの神秘を解く

この1年、暗号信奉者たちはトークンとNFT(非代替性トークン)によって変容させられたインターネットの上で世界を売ろうとしている。一方、一部の人々は、民主主義を変えて古臭い組織をオンライン時代に合わせて変容する方法としてDAO、即ち分散型自立組織を推し進めてきた。どちらのグループもメッセージの発信と国の法的ガイドラインを相手に戦ってきたが、新規ユーザーを獲得するための技術的課題は、自らDAOを作ろうとする人々が乗り越えなくてはならない大きな壁だ。

Syndicate(シンジケート)は昨年Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)から2000万ドルを調達したDAOサービスのスタートアップだ。このほど同社は、DAO設立プロセスを(法的に可能な限り)簡易化することを目指して、新規プロダクトのWeb3 Investment Clubs(ウェブスリー・インベストメント・クラブ)を公開した。このツールを使って、ユーザーは最大99人の参加者を募り、資産を蓄積してその資金をどこに投資するかをグループ内で投票する。

Syndicateの共同ファウンダー、Ian Lee(イアン・リー)氏は、同製品は「コンプライアンスに則り、メンバーのために正しく行動する平安な心」でDAOを作るしくみをユーザーに提供する、とTechCrunchに話した。スタートアップの大きな目標は、こうしたグループを作ることで、トークンやNFTへの投資を「グループ・チャットのように簡単」にすることだ。

“Investment Club”というブランディングは、より多くの人たち(ここでは投資家)のためにDAOの謎を取り除き、従来からの非暗号化金融サービスのような投資手段を考えている人たちに代替手段を提供する取り組みの一環だ。同スタートアップのDAO設定のためのステップ・バイ・ステップのガイドは、暗号資産のベストプラクティスに親しみのない人たちにとって一連のサービスがいかに複雑に絡み合っているかを示しているが、テクニカルな手段の波に乗れさえすればグループを簡単に作れることも表している。

設定のガイドラインに加えて、Syndicateはダッシュボードも提供していて、ユーザーは自分たちの投資クラブの保有資産や過去の活動を閲覧できる。

画像クレジット:Syndicate


Syndicateはこれらクラブを、個々の状況や法的猶予にあわせてユーザーにとって柔軟なものにすることを目指している。適格ユーザーと非適格ユーザー向け、さらには米国内にメンバーをもつDAOについてもそれぞれガイドラインがある。Syndicatehaは、クラブ管理者になる人が知っておくべき基本ガイドライン(たとえば米国内の非適格投資家からなるクラブでは全メンバーが全決議に投票しなくてはならない)を提供するが、実施はエンドユーザーにまかせている。Syndicateのスマート契約書は、クラブを法的組織として登録する手続きを紹介しと、すべてが公正かつ確実に行われるように、銀行口座の設定や納税書類の作成を扱う。

Syndicateは自分たちをDAOインフラストラクチャー・エコシステムの中心として位置づけ、興味をもつユーザーのできるだけ多くにサービスを知ってもらいたいと考えている。このため、この新サービスは無料で、Syndicateは設定にも保守にも、一切費用を請求していない。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

Baiduの電気自動車ブランドJiduが約460億円調達、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」発表

かつては長い開発サイクルを要する産業だった自動車産業は、中国のハイテク企業によって大きく変貌しつつある。現在、中国から生まれる新しい電気自動車ブランドには、とてもついていけない。Baidu(バイドゥ、百度)と中国の自動車メーカーGeely(ジーリー、吉利)がわずか1年前に設立した電気自動車メーカーJiduは現地時間1月26日、シリーズAラウンドで4億ドル(約460億円)近くを調達したと発表した

関連記事:中国の検索大手BaiduがEV製造ベンチャー設立へ

Baiduと、Volvo(ボルボ)を傘下に持つGeelyの出資によるこの新たな資金注入は、Jiduが2021年3月にクローズした3億ドル(約340億円)の創業資本を後押しするものだ。今回の資金により、Jiduは研究開発と量産を加速させ、4月の北京モーターショーで初のコンセプトカー「ロボカー」(同社は自動車ではなく、自動車用ロボットと分類)を発表できるようになる。ロボカーの量産モデルは2023年に発売される予定だ。

JiduのCEOである Xia Yiping(シャ・イーピン)氏は以前、APAC(アジア太平洋)地域におけるFiat Chryslerのコネクテッドカー部門を率い、2018年にMeituanが買収した中国の自転車シェアリングのパイオニアであるMobikeを共同創業した。

Jiduの前進速度は注目に値するが、その技術の実行可能性を疑問視する懐疑論者を容易に引きつける可能性がある。このスピーディーなサイクルは、量産車で個々のハードウェア部品をテストするのではなく、模擬プロトタイプを使ってスマートコックピットと自律走行システムを開発するという戦略のおかげだと、Jiduは説明している

同社は、わずか9カ月という短期間で、都市部や高速道路でのレベル4(ほとんどの状況で人間の手を介さない自律走行)機能の安全性と信頼性を「テストし、証明した」と述べた。

このEVスタートアップは、競合するNio(ニオ)が得意とするブランディングとファンコミュニティにもかなり注力している。12月には、オンラインやオフラインのイベントでクルマについてオタクになる「Jidu Union」への参加者を募集し始めた

今後、Jiduは自律走行、スマートコックピット、スマート製造などの関連技術に特化した人材を採用・育成していく予定だ。

画像クレジット:Teaser of Jidu’s concept robocar

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

米FTCが星4つ以下のレビューを隠していたオンラインショップに約4.8億円の罰金

ネットのレビューは当てにならないということは周知の事実だが、一般的には平均星4.5の製品は平均星3.5の製品よりも優れていると考えたいものだ。しかし、それも間違っているかもしれない。あなたが見ているサイトは、悪いレビューの掲載すら許可していないかもしれないのだから。FTC(連邦取引委員会)から420万ドル(約4億7800万円)の和解命令を受けたばかりのFashion Nova(ファッション・ノバ)のように。

何が起こったのか説明しよう。まず、Fashion Novaは、サードパーティ製のレビュー管理ツールを使っていた。ユーザーが購入した商品をレビューできるサイトを運営する者にとっては、きっと当たり前のことなのだろう。しかし、その後、彼らはひどいことをした。2015年から2019年まで、4つ星と5つ星のレビューをサイトに自動的に表示させ、それ以下のものは承認が必要になるようにしていたのだ。そして、何十万件も承認せず、サイト上の商品の品質が高く見えるよう、人為的に操作していたのだ。

「Fashion Novaは、サイト上のレビューが、サイトにレビューを投稿したすべての購入者の意見を正確に反映していると偽っていました。和解案は、同社の欺瞞的行為に対処するための規定を設け、消費者が被った被害に対して420万ドル(約4億7800万円)の支払いを命じるものです」と、FTCは状況を説明するブログ記事で記している

この件に関するさまざまな文書は、こちらで見ることができる。

FTCは、このような詐欺がサードパーティ製のレビュープラットフォームを装って行われていることを察知したようで、その後、レビュープラットフォームを運営する他の10社(元の会社同様、無名)に対して警告状を送っている。そして10月には、偽のレビューや偽の推薦文に関して、「見ていなさい」と告げるかのようなより広範な警告を行った。

Fashion Novaが無実の犠牲者だと心配する人のためにいっておくと、同社が連邦当局と関わるのはこれが初めてではない。2020年には、怪しげなキャンセル・返品ポリシーに関して900万ドル(約10億2500万円)の支払いに同意している(残念なことに、この罰金が全額支払われるかどうかは誰にもわからない)。

関連記事:ロボットを使った詐欺広告業者の業務は止められるが、その罰が非道さに見合わない現実

これとは別に、おそらくこの発表と時期を同じくして、FTCは、オンラインレビューにお金を払ったり勧誘したりしようとするマーケティング担当者のためのガイドラインを更新した。例えば、透明性を保ち、一度募集したレビューには肯定的なものも否定的なものも表示されるようにするなど、正しいやり方がある。そして、他の方法も……。また、レビューを公開するプラットフォームに対し、レビューの出所やインセンティブ、可視性を自分たちに有利になるように操作することについて、よく考えるべきだという新たなガイダンスを発表している。

偽のレビューはオンライン経済の疫病だが、今のところ誰もこの問題を解決していないか、小売業者にとって、多くの作業を必要としたり、さまざまな有利な取り決めが崩れたりするために、治療法が実はその病気よりも悪いかのどちらかだ。FTCのこのちょっとした対応が、小売業者を正しい方向へ導いてくれるかもしれない。

画像クレジット:Kiyoshi Hijiki / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Electric Sheepが、既製の芝刈り機をロボット化するシステムを発売

iRobot(アイロボット)がTerra(テラ)を発表したのは、3年前のちょうど今頃だった。2020年に発売を延期するという厳しい社内決定が下された後、このロボット芝刈り機は未だMIA(作戦行動中行方不明)だ。草がたくさん生えていて時間があまりない人のために、他にもロボット芝刈り機は業務用と消費者用の両方で、いくつか販売されている。

しかし、Electric Sheep Robotics(エレクトリック・シープ・ロボティクス)という、Philip K. Dick(フィリップ・K・ディック)の小説を思い出させる会社のこの分野に対するアプローチは、John Deer(ジョン・ディア)傘下のBear Flag Robotics(ベア・フラッグ・ロボティクス)がトラクターに対して行っているのと同様に、少々斬新だ。米国時間1月25日より一般販売が開始された「Dexter(デクスター)」は、既存の業務用芝刈り機に、自律走行機能を搭載することができる。

芝刈り機にこの機械を取り付けた後、ユーザーはシステムを訓練するために、通常の草刈りのルートを一度通る。その後はシステムがLiDARやカメラ、GPSなど、搭載されたさまざまなセンサーを使って、衝突を避けながらナビゲーションを行う。Dexterは現在、RaaS(サービスとしてのロボット)モデルとして造園業者に提供されている。つまり、これはシステムを購入するのではなく、実質的にレンタルするという形だ。

画像クレジット:Electric Sheep Robotics

CEOのNaganand Murty(ナガナンド・マーティー)氏は、この機会に「米国にはたくさんの芝生がある」ということを強調した。

芝生のために使われている土地と水は、小麦とトウモロコシの合計よりも多く、米国では4000万エーカー(約16万2000平方キロメートル)を超える土地に何らかの形で芝生が敷かれていて、芝生の刈り込みだけで年間200億ドル(約2兆3000億円)が費やされています。Electric Sheep社のDexterロボットのようなソリューションは、お客様の需要を満たし、すでに不足している労働力をより効率よく配分するのに役立ちます。

今回の一般販売開始に合わせて、同社は2150万ドル(約24億6000万円)という大規模なシリーズA資金調達を実施し、現在までに調達した資金の総額は2570万ドル(約29億4000万円)となったことを発表した。このラウンドは、Tiger Global(タイガー・グローバル)が主導し(他に誰がいるだろうか?)、このベイエリアに拠点を置く会社が400万ドル(約4億6000万円)を調達したシードラウンドを主導したFoundation Capital(ファウンデーション・キャピタル)も参加した。

画像クレジット:Electric Sheep Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ゲーム内NFTの生成を専門に行う企業BreederDAOにa16zなどが出資

分散型の「Web3」企業が、中央集権的な従来の企業と比べてどれほど違うか、あるいは違わないかを、テクノロジー界の巨人たちが議論している間に、同じ投資家からの支援を含め、互いに結びついた企業のエコシステムが、急速に出現しつつある。

2021年の夏、Andreessen Horowitz(a16z)は、Yield Guild Games(イールド・ギルド・ゲームズYGG)という会社に投資した。この会社はブロックチェーンを使ったゲーム内のNFT(非代替性トークン)に投資し、それを使う人に貸し出して、その人がプレイすることで収益を得るというものだ。このようなゲームの中でも特に急成長しているのが「Axie Infinity(アクシー・インフィニティ)」だ。このゲームでプレイヤーは仮想生物を繁殖させて戦わせ、最終的にうまく戦うことができれば、適切な値段で売ることができる。

a16zは10月までに、Axieの開発会社であるSky Mavis(スカイ・メイビス)への大規模な投資を主導した。現在は、さらに別の構成要素にも資金を提供している。BreederDAO(ブリーダーDAO)という企業だ。同社は、Axie Infinity を含むブロックチェーンベースのゲームや仮想世界で使用されるデジタルアセットの「専門製作業者」として、数カ月前にフィリピンで設立された。

YGGの初期アドバイザー1人を含む若い創業者たちによって設立されたこの社員23名の会社は、a16zとDelphi Digital(デルファイ・デジタル)が共同で行ったトークンセールで、1000万ドル(約11億4000万円)のシリーズA資金を調達した。これにはHashed(ハッシュド)、com2us(コムツーアス)、Morningstar Ventures(モーニングスター・ベンチャーズ)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、Sfermion(スフェルミオン)、The LAO(ザ・ラオ)、Emfarsis(エンファーシス)なども参加した。

なぜ、デジタル資産を作成することだけに特化した企業に資金を提供するのか。それは、まるで工場のラインで働く装置のようなものではないか?a16zゼネラルパートナーで、このような取り組みの多くを主導しているArianna Simpson(アリアナ・シンプソン)氏によると、その理由は単純で、NFTの需要が供給を上回り始めているからだという。「これらのゲームをプレイすることへの関心があまりにも高く、ゲームをプレイするために必要なAxiesやその他のエンドゲームアセットが実際に不足しているのです」。

ゲームメーカーは、ユーザーをゲームに夢中にさせておくために十分な流動性を確保するため、YGGをはじめとするいわゆるPlay-to-earn(プレイして稼ぐ)ギルドのようなサードパーティ企業との協力に前向きであることがすでに証明されている。これらの企業は、NFTのゲーム内資産を購入し、それらをプレイヤーに貸し出して収益を共有する。

今やこれらのギルドは、貸し出す資産をより多く、早急に必要とするようになっている。そのため、BreederDAOのような会社が誕生し、YGGをはじめとするReady Player DAO(レディ・プレイヤーDAO)、Earn Guild(アーン・ギルド)などの同じような企業が、この若い会社の顧客として契約しているのだ(YGGはBreederDAOの株式も所有している)。

シンプソン氏と彼女のパートナーは、より多くの顧客がすぐに列を作るだろうと確信している。a16zのデータによると、YGGやEarn Guildのような企業は、2021年5億3200万ドル(約608億円)の資金を集めた。しかし、これらの企業が資産を貸し出しているプレイヤーは、Axie Infinityに集まった約300万人のデイリーアクティブユーザーの2%にも満たないため、まだまだ成長の余地があると考えられる(BreederDAOのサイトによれば、同社は2025年までに5000のPlay-to-earnグループと協力することを目標としている。その時点ででそれだけ多くのグループが存在していると仮定しているわけだ)。

ブロックチェーンゲームで単純にNFT自体を増やすことを妨げる技術的な制限というものは、どうやら存在しないようだ。むしろ、Sky Mavisのような企業は、NFTを生成するためのエンジンを作ったものの、必ずしも事業としてその点に必要以上に注力したいとは考えていないと、シンプソン氏はいう。また、経済的にメリットがある限り、縄張り意識というものもない(例えば、Axie Infinityをプレイする人が増えれば増えるほど、そのゲームのトークンの価値は上がる)。

シンプソン氏は、このプロセス全体をサプライチェーンのように考えるべきだと言っている。「必ずしも1つの会社が最後から最後まですべてを生産するのではなく、サプライチェーンのさまざまな部分でさまざまな会社が、製品を完全に完成させるということです」。

現時点で、このサプライチェーンにおけるBreederDAOの担当は「Axie Infinity」をはじめ「Crabada(クラバダ)」「Pegaxy(ペガシー)」などのplay-to-earnブロックチェーンゲーム用のNFTを製作することだ。

工場のように、BreederDAOはこれらのNFTをあらかじめ設定された価格で販売しているが、これは時間の経過とともにレベニューシェア型契約に発展する可能性がある。「細分化は、今やっていることではありません」とシンプソン氏はいうが「将来的には」「誰にもわかりません」と付け加えた。

BreederDAOを率いるのは、フィリピン人の共同創業者であるRenz Chong(レンツ・チョン)氏、Jeth Ang(ジェス・アン)氏、Nicolo Odulio(ニコロ・オデュリオ)氏だ。

チョン氏は元経営コンサルタント、アン氏はフィリピンで数多くの企業を設立してきた。元商業パイロットのオデュリオ氏は、BreederDAOが自社内に擁するスマートコントラクトの専門家であり、Binance Smart Chain(バイナンススマートチェーン)やEthereum(イーサリアム)を含む複数のチェーンで暗号資産プロジェクトや分散型アプリを構築した経験があるという。

シンプソン氏をはじめとする投資家はすべて、BreederDAOのトークンが一般公開される前に投資を行っている。これはトークンが公開される前にチームを強化し、トークンが公開されたときに万全の態勢を整えるためだ。このシンジケートの参加者は、それぞれの投資額に応じた数のトークンを手にすることになる。

BreederDAOは、以前にも非公開のシード資金調達を実施している。このラウンドに参加したYGGの他、Infinity Ventures Crypto(インフィニティ・ベンチャーズ・クリプト)、Ascensive Assets(アセンシブ・アセッツ)、Bitscale Capital(ビットスケール・キャピタル)、FireX(ファイヤーエックス)、Mentha Partners(メンサ・パートナーズ)、Not3Lau Capital(ノットスリーラウ・キャピタル)などが支援者として名を連ねていた。

画像クレジット:Ralf Hiemisch / Getty Images

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(文:Connie Loizos、翻訳:Hirokazu Kusakabe)