“売り込む営業”は時代遅れ?アプローチの見直しが企業の営業活動に変革をもたらす

先日、japan.internet.com様に弊社のインバウンドマーケティング支援事業「INBOUND」に関するインタビューをしていただきました。

BtoBの営業現場の課題から、私たちが実現していきたいことなど、事業の背景にある想いをお話しました。

インタビュー記事の転載許可をいただいたので、本ブログでもご紹介します!

“売り込む営業”は時代遅れ?
アプローチの見直しが企業の営業活動に変革をもたらす

BtoB 領域の製品やサービスを提供している企業にとって、営業活動の生産性を上げることは至上命題だ。いかに効率よく、売上に結びつく営業ができるかによって、事業の成功・失敗が決まると言っても過言ではない。

しかし現実はどうか。多くの企業が進める営業活動の手法は訪問営業、テレアポ営業、広告、展示会など。いわゆる「アウトバウンド型」と呼ばれるもので、営業担当者がとにかく多くの企業に自己紹介をし、製品やサービスを売り込み、チャンスを作ろうとしている。

もちろん、その手法自体を否定するわけではない。企業や製品・サービスの認知を BtoB 市場で高めるためには、声が掛かるのを待つだけでなく、自らが積極的に声を出さなければならない。しかし、事業を支える売上を生み出すためには、更なる効率化をしなければならないのだ。

企業が抱える営業活動の課題と解決策について、BtoB 企業のインバウンドマーケティング支援サービス「INBOUND」を展開している株式会社ガイアックス プロモーションマーケティング部 インバウンドマーケッターの三田 剛広氏と、同じくプロモーションマーケティング部「INBOUND marketing blog」編集長の栗原 康太氏にお話を伺った。

(左から)株式会社ガイアックス プロモーションマーケティング部の三田剛広氏と栗原康太氏

現在の BtoB 営業手法に潜む課題とは

まず、現在の営業活動の課題について、三田氏は「製品やサービスは、そこに具体的なニーズがあるから選ばれるわけであり、営業活動がビジネスに結びつくかどうかはニーズの有無に加え、タイミングが重要。営業現場は、”ローラー作戦”に近いアウトバウンド型営業の非効率さに気が付き始めているのだ。一方で、営業手法を改善したいという機運は高まっているが、どう改善すればいいのかわからない。解決策があっても、会社を動かすことができないのが現実だ」と語る。

営業現場が非効率さを自覚し、改善したいと考えていても経営者や管理者が営業方針を変えない限り組織が変わることはない。そのジレンマが存在しているというのだ。

例えば、オフィス移転を想像すれば簡単だが、BtoB のビジネスは、「売り込めば製品・サービスを導入してもらえる」という甘い世界ではない。企業が製品・サービスを導入しようとする場合には、具体的な目的があり、その目的を達成するためには何か必要かを十分に検証し、はじめてその製品・サービスを提供する企業に関心を持つ。ビジネスは、ニーズがあって初めて生まれるものだと言っても過言ではなく、アウトバウンド営業では顧客獲得に成功したとしても、具体的なニーズを持っている企業に偶然巡り合ったという場合がほとんどなのだ。

実は、ここに営業活動の効率を高めるための重要なヒントが存在する。つまり、企業が具体的なニーズを持ったときに、そのニーズに応えるコンテンツをウェブサイトを通じて提供することで、企業間の接点を生み出せば良いのだ。「企業のウェブサイトには、会社概要、カタログ同様の製品紹介、問合せ窓口だけ、というものも依然多く存在する。その情報量を増やすだけでも潜在顧客・見込み顧客の関心を高め、顧客にしていくことができるはずだ」と栗原氏。企業が顧客にとって役立つ情報を提供することで、企業間の関係が構築され、最終的にはビジネスを生み出す、つまり「インバウンドマーケティング」の実践が営業活動の効率化に繋がるのだ。

営業活動のために用意した情報の全てをウェブサイトで公開せよ

それでは、具体的に企業がインバウンドマーケティングを実践するためには、どのようなアクションが必要なのだろうか。

まず、最も重要なのはウェブサイトを充実させることだ。栗原氏が指摘するように、多くの BtoB ビジネスを事業とする企業は、ウェブサイトの情報量が乏しい。一方で、多くの見込み顧客は製品・サービスに関する情報を、インターネットを駆使して探している。そのようなニーズに応えるべく、製品・サービスの導入事例やデモンストレーション動画、カタログだけでなく業界に関する調査レポートや営業資料、コストのシミュレーション、そして製品・サービスを活用してもらうためのノウハウや、アフターサポートに関するものなど、見込み顧客がその製品・サービスを検討する際に必要な幅広い情報をウェブサイトに展開する必要があるのだ。

また三田氏は、「目指すべきは、優秀な営業担当者が実践している営業姿勢やトークをウェブ化すること。それは、製品・サービスの情報をただカタログのように載せるのではなく、企業の課題に合わせて、製品・サービスの魅力を表現し、課題解決の支援をウェブを通して行うことだ」と語る。興味関心を持つ企業が、課題が解決された状態をイメージできるよう促してあげることが重要なのだ。

ただ、企業が営業活動のために持っている情報の全てを開示することに、社内から反発を受ける場合も多い。そこで同社のマーケティング支援では、社内の説得ノウハウを指南しながら少しずつ公開する情報量を増やし、効果を実証することで更なる情報公開ができるよう、コンサルティングを行っているのだそうだ。「はじめは、導入意向の高い見込み顧客に向けて、料金や導入イメージをしっかりと伝えられるよう情報を整備し、ウェブ経由の売上実績をつけることが重要だ」(栗原氏)。

“量”ではなく”質”を意識した集客施策を考える

ウェブサイトを充実させたら次に考えるべきはウェブサイトへの集客だ。同社では、ウェブサイトへの集客を効率化させるための SEO や、リスティング広告などの支援も行っているが、重要なのは栗原氏が指摘している通り「まずは問合せに繋がるトラフィックを獲得すること」だ。営業手法を変革させ、そしてそれを確実なものにするためには、社内に対して費用対効果を示す必要がある。そのためには、まず導入への興味関心が高い企業担当者に確実にリーチして、社内に説明できる結果を出すことが必要になる。

「大事なのは、”即効性を求めない”、”大規模な集客を求めない”こと。確実に成果に繋がる集客を考え、少しずつ成果をあげながら育てていくべきだ」と三田氏。インターネットを活用した場合の失敗要因のひとつに、リアルで成しえない程の高すぎる効果を求めてしまうというものがあるが、インターネットが”万病の薬”ではないということを自覚し、着実に成果をあげることを考えるべきなのだ。

当然、このようにして成果があがる体制ができれば、次のステップは中長期的な潜在顧客の育成だ。コラムやメールマガジン、ソーシャルメディアなどを活用して企業と企業が息の長いコミュニケーションができる環境を整えていく必要がある。しかし、成果を上げたことがない段階で、これらの施策を第一歩に考えるのは得策とは言えない。どの順序でどの施策をすべきかは、企業の目的と追うべき成果に合わせて十分考慮しなければならないのである。

顧客の声に真摯な姿勢で耳を傾けることが、営業活動の本質

このようにして得られた問い合わせ=見込み顧客とどのようにコミュニケーションしていくべきか。次の課題はここだ。

三田氏は、「重要なのは、中長期的な関係を構築すること。問合せは”いまの顧客”ではなく”将来の顧客”であるという認識を持つべきだ」と語る。問合せへの対応で陥りやすいのが、営業担当者がすぐに製品やサービスを売り込んで、購買意欲がない企業はプライオリティを下げてしまうというケースだ。しかし、それでは冒頭に紹介したアウトバウンド営業と同じ非効率を生み出してしまいかねない。

「重要なのは、顧客のニーズを聴くこと。顧客の声に耳を傾けることで、自分たちにできること、製品・サービスが貢献できることがわかる。”企業は顧客に対して真摯・誠実であるべきだ”という姿勢であらゆるものごとを考えることが大切だ」(三田氏)。

企業はよく、「(様々な施策で)見込み顧客にこうさせたい」という視点でものごとを考えがちだ。しかし、重要なのは見込み顧客が製品・サービスの導入に向けたステップを踏みたくなる雰囲気を作るために必要な材料を、真摯な姿勢で提供していくことなのだ。「売り込むことが営業活動ではない。製品・サービスを導入するかどうかはあくまで顧客が決めることだ」(三田氏)。

あらゆる企業の営業活動を変えていきたい

このような視点に立ちBtoB企業のインバウンドマーケティング支援サービス「INBOUND」を展開しているガイアックスは、かつて記事の冒頭で紹介したようなアウトバウンド型の営業手法をとっていたのだそうだ。その非効率さを課題意識として持っていた同社は、社内から営業手法の改革に取り組み、2006年当時は企業からの問合せ件数が月間ほぼ0件だった状況を、月間問合せ件数400件以上、新規顧客の90%をウェブサイトでの問合わせ経由にするまでにインバウンド型営業を成長させた。新規顧客獲得コストは2006年当時の3分の1にまで減少し、営業活動の効率化が達成された形だ。

同社では、自社が実践してきた営業・マーケティング改革のあらゆるノウハウを、多くの企業に伝え、BtoB 市場の営業活動の在り方に変革をもたらしたい考えだ。「多くの企業に新しく、やりがいのある営業活動の形を提供していきたい。営業の端緒をアウトバウンド型からインバウンド型へと転換することで、企業と企業のコミュニケーションの在り方を見直すきっかけを作り、営業活動そのものの在り方ややりがいを大きく変えていくことが私たちの目的だ」(三田氏)。

 

※本記事はjapan.internet.com様に掲載いただいた「“売り込む営業”は時代遅れ?アプローチの見直しが企業の営業活動に変革をもたらす」を許可をいただき、転載してものです。