3.3インチの小型スマホ「Palm Phone」のアンロック版が約3万8000円で販売開始

初めてPalm PhoneをTechCrunchのスタッフに見せた時、彼らはとても興奮していた。これは少なくとも、大きくかさばるデバイスを必要としない人のためのセカンド端末としてデザインされた、カテゴリーとしてユニークな試みだった。

しかし、すぐに現実に直面することになる。デバイスの機能はサイズなどの要因によって厳しく制限されているのだ。さらに最大の問題は、これがVerizon(ベライゾン)専用の端末で、既存アカウントに紐付けられた2台目のスマートフォンとしてしか購入できないことだった。

今年4月、Palmは3.3インチディスプレイを搭載したPalm PhoneがベライゾンやUS Mobile経由ではなく、単独のデバイスとして購入できるようになると発表した。そして米国時間6月18日、ついにその販売網を拡大しアンロック版が発売され、AT&TやVerizon、T-Mobile、MetroPCSのSIMでも動作するようになった。

Palm Phoneの価格はわずか350ドル(約3万8000円)だ。これはフルサイズのミッドレンジ向け端末よりは安いが、廉価さはコンセプトと関係している。2代目のスマートフォンとしては多機能で、また確かに魅力的ではあるのだが、メインのスマートフォンとして購入することは絶対に避けるべきだ。これは、単独のMP3プレーヤートとしてもそれほど優れてはいない。

それでも製品に興味があるのなら、本日から予約することができる。また、Palmはネックバンドとリストバンドを備えたレザーケースも30ドル(約3200円)で販売する。こちらは、6〜8週間後に出荷される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Comcastがテレビを視線で制御できるリモコンソフトをリリース

Comcast(コムキャスト)のX1リモートソフトウェアの最新版では、一般的なクリック操作が難しい人にとってリモコンが使いやすくなった。身体に障がいのある人が、目の動きだけでテレビのチャンネルを変えるなどの操作ができるようになる。

テレビやケーブルテレビのセットトップボックスのインターフェイスは恐ろしい。テクノロジーに詳しい人でも恐怖を覚える。身体に障がいがなくても難しいし、ALSや四肢欠損、運動障がいの人にとってはなおさらだろう。

音声制御は有用だ。私たちを長年困らせてきた500個ものボタンのあるリモコン操作を変えた。しかし視線制御はまだ始まったばかりだ。アクセシビリティの向上のために視線制御がもっと広く使えるようになれば、よいオプションとなるだろう。

  1. eye-control-xi-ui

  2. eye-control-tv

  3. eye-control-tv-2

Comcastはユーザーを支援しようと意欲的にアクセシビリティの向上に努めているようだ。最新の機能では、Comcastの子会社であるXfinityのX1ウェブリモートを視線で制御できるようになる。互換性のあるコンピュータかタブレットにウェブリモートを読み込み、セットトップボックスと同期すれば、ウェブのインターフェイスがメインのリモコンになる。

ユーザ―は、チャンネルの変更、番組表の検索とブラウズ、録画のセットと検索、スポーツ中継アプリの起動、クローズドキャプションなどのアクセシビリティオプションの変更と、テレビの操作をほぼすべて視線でできるようになる。

ある人にとってテクノロジーがどう役に立つかというビデオがある。これは一見に値する。

ビデオに登場しているJimmy Curran氏は身体の状態に困難があるが、自分であらゆることをしようと取り組んできた。しかしテレビのチャンネルを変えることはできなかった。これは驚くべきことだ。おそらくややこしい方法でテレビのチャンネルを変えることはできたのだろうが、長年にわたってアクセシビリティに制限のあったテレビのインターフェイスにはまだ足りない部分がある。

発話に障がいがある人の音声制御も使いやすくなりそうだ。GoogleはProject Euphoniaで機械学習を活用している。

ユーザーは自分で視線制御をセットアップする必要がある(これは身体に障がいのある人にとってはよくあることだ)。その後、ブラウザでxfin.tv/accessにアクセスし、ペアリングを開始する。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ボルボがNVIDIAと共同で商用/産業向け自動運転トラックを開発

Volvo(ボルボ)とNVIDIA(エヌビディア)は米国時間6月18日、ボルボグループの商業/産業向けの自動運転トラックの次世代エンジンの開発を目標とした、新たなパートナーシップを発表した。この提携では、センサーからのデータの処理や知覚システム、位置情報、マッピングや経路予測/計画を担当する、エヌビディアの人工知能プラットフォーム「Drive」を利用する。

ボルボはすでに、初期サービスにて自動運転技術を搭載した貨物車をいくつか運行しており、これはスウェーデンのGothenburg(イェーテボリ)港のように厳しく管理され監視された環境にて配備されている。エヌビディアとボルボのパートナーシップではAI(人工知能)による自動運転が可能な車両を配備しテストするだけでなく、最終的にはこれらの商用車が公道や高速道路にて運行できることを目標としている。

また配送車両はパートナーシップの目標の一つにすぎず、エヌビディアとボルボはゴミやリサイクル品の回収、建設現場や鉱山、林業でも運用できる、自動運転システムと車両の構築を目指す。Nvidiaのブログによると、同社のソリューションは消費者向け荷物の運搬需要の増大による、世界的な配送需要の拡大の対処に役立つという。また、オンサイトでの港湾貨物管理など、小規模な用途にも対応できる。

両社の合意は数年間にわたり、それぞれのチームはイェーテボリにあるボルボの本社とエヌビディアのカリフォルニア州サンタクララの両方でスペースを共有する。

エヌビディアはこれまでにも中国の自動運転スタートアップのTuSimpleへの出資や完全自動運転を目指すEinrideの配送車両へのインテリジェンスの強化、そしてUber内部のATGによるトラック事業への協力など、数多くの自動運転トラック事業に関わってきた。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

あなたの製品のAIは誰かを困らせていないか?

人工知能(AI)は、顧客の人生をびっくりするような新しい方法で楽にしてくれるものだと、みんなが想像している。製品開発をする側からすれば、最優先すべきは常に顧客だ。しかし、ある顧客の助けになる開発中のソリューションが、別の顧客を遠ざけてしまうという新しい問題を引き起こすことがある。

私たちには、AIを生活や事業を支える非常に優秀な夢のアシスタントだと思いたがる傾向があるが、そうとばかりは言えない。新しいAIサービスをデザインする人間は、このことを肝に銘じておく必要がある。そのサービスが、人を煩わせたり、負担に感じさせたり、悩ませたりする可能性はないか。それは誰か、どんな形によるものか。そしてそれは、直接的に顧客を襲うのか、それともその顧客と共に第三者を捲き込んでしまうのか。AIサービスを利用して顧客の仕事を楽にさせるために、他の人たちに厄介事を押しつけるようでは、結果としてブランドイメージに大きな傷を付けることになる。

私がAmy.aiを使ったときの経験を例に挙げよう。これは、エイミー・イングラムとアンドリュー・イングラムという名前のAIアシスタントを提供するサービスだ(x.aiの製品)。AIアシスタントのエイミーとアンドリューは、最大4人のスケジュールを調整できる。このサービスは、電子メールを操り、非常に困難な会議のスケジューリングを、少なくともスケジュールを立てる人間の立場で解決してくれる。

「エイミー、来週、トムとメアリーとアヌシヤとシャイビーシュと会議ができる時間を探してくれ」と言うだけでことが済むパーソナルアシスタントなら、誰だって使いたいだろう。こう命令すれば、会議室を抑えたり、全員に電子メールを送って、みんなの返事を聞いて調整をするといった雑務を負わずに済む。私自身は、エイミーを使って4人の同僚の都合がいい時間を見つけて楽ができたのだが、それが私以外の4人に苦痛を与えていたのだ。互いに都合がいい時間と場所が見つかるまで大量の電子メール攻撃にさらされたと、彼らは私を責め立てた。

自動車デザイナーは、運転支援のためのさまざまな新しいAIシステムを導入している、もうひとつのグループだ。たとえば、Tesla(テスラ)は先日、オートパイロットソフトウェアをアップデートして、AIが適当と感じたときに自動的に車線変更ができるようになった。隣の車線のほうが速いと、システムが判断したときなどが想像できる。

これを使えば高速車線に安全に入ることができるので、自分で車線変更するときと違い、ドライバーが一切の認知的負担から解放されて有り難いという考え方のようだ。だが、Teslaのシステムに車線変更を任せてしまうと、ハイウェイでレーサー気分になりたい人や、競争心を満たしたい人たちの楽しみが奪われることになる。

隣の車線を走っているドライバーは、Teslaのオートパイロットに対処せざるを得ない。Teslaがぎこちない走りをしたり、速度を落としたり、ハイウェイの常識から外れる動作を見せたりすれば、他のドライバーをイラつかせることになる。さらに、隣の車線の車が高速走行していることをオートパイロットが認識しないまま車線変更を行えば、これまた他のドライバーを怒らせてしまう。私たちには、高速車線は時速100kmで走るものという共通の認識がある。みんなが100kmで走っているところへ、なんの前触れもなく、まったく周りを見ていないかのように、時速90kmの車が割り込んでくるのだ。

あまり混雑していない2車線のハイウェイなら、Teslaのソフトウェアもうまく動作してくれるだろう。しかし、渋滞しているサンフランシスコ周辺の高速道路では、混み合った車線に針路を変えるごとに、システムはとんちんかんな操作を行い、その都度周囲のドライバーを怒らせてしまうに違いない。そんな怒れるドライバーたちと個人的な面識がなくとも、私なら十分に気を遣い、エチケットを守り、行儀よく、中指を立てられないように車線変更する。

インターネットの世界には、Google Duplexという別の例がある。これは、Androidユーザーのための、AIを使った賢いレストラン予約機能だ。消費者の意見を基に、よさそうな店のディナーを、本人に代わって予約してくれる。予約をしたい人間にとっては、これは便利なサービスだ。なぜなら、店が開いている時間に電話をかけたり、話し中のためにかけ直したりといった面倒がなくなるからだ。

ところが、電話を受ける店の従業員にとっては、厄介なツールになりかねない。システムが自分はAIであると伝えたとしても、従業員はそれに伴う、新手の、融通の利かないやりとりを押しつけられる。それでいて目的は、予約を受けるという、いたって簡単な、以前と変わらない作業だ。

Duplexは店に客を連れてきてくれるわけだが、一方では、そのシステムは店側と客との対話の幅を狭めてしまう。別の日ならテーブルが空いているかもしれないし、早めに食事を終わらせてくれるなら、なんとかねじ込むこともできるかもしれない。しかし、このような例外的な判断はシステムにはできない。AIボットは電話を受ける人を困らせるという考え方も、じつは正しくないようだ。

顧客の生活を楽にしてあげたいと考えるのなら、あなたが夢見る支援のかたち以上に、主要顧客に関わる他のすべての人たちにとって、それが悪夢になりかねないことを考慮しなければいけない。あなたのAI製品に関わる人たちが不快な体験をしたかもしれないと少しでも疑いを持ったなら、周囲の人たちを怒らせずに顧客を喜ばせることができる、より良い方法を、さらに追求するべきだ。

ユーザーエクスペリエンスの観点に立てば、カスタマージャーニーマップは、主要顧客の行動、思考、感情の体験、つまり「バイヤーペルソナ」を知るうえで役に立つ。あなたのシステムと、直接の顧客ではない、何も知らない第三者との接点を特定するのだ。あなたの製品のことを知らないこれらの第三者のために、彼らとあなたのバイヤーペルソナとの関わり方、特に彼らの感情体験を探る。

欲を言えば、そのAI製品の周囲にいる人たちも十分に喜ばせて、購入を見込める顧客へと引き込み、やがては製品を購入してくれることを目指したい。また、エスノグラフィー(生活様式を理解し、行動観察・記録すること)を使って、何も知らない第三者とあなたの製品との関係を分析することもできる。

これは、プロセスに関わるときと、製品に関わるときの人々の観察結果を総合させる調査方式だ。

この調査の指標となるデザイン上の考え方には「私たちのAIシステムは、製品に関わるすべての人の助けとなり、もっと知りたいと思わせるよう働かせるには、どうしたらいいか?」というものが想定できる。

これはまさに人類の知性だ。人工物ではない。

【編集部注】著者のJames Glasnappは、パロアルト研究所上級ユーザーエクスペリエンス研究者。

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(翻訳:金井哲夫)

歯科医療者向けSNSの「1D」が3500万円の資金調達、歯科材料通販大手と提携し会員獲得基盤を強化

歯科医療者向けのSNS「1D」提供のワンディーは6月17日、歯科医院向け通販を手がけるフィードと資本業務提携を締結し、同社を引受先とする3500万円の第三者割当増資を実施したと明かした。

昨年TechCrunch Japanが主催したイベント「TechCrunch Tokyo 2018」内のピッチコンテスト「スタートアップバトル」のファイナリストであるワンディーにとって、今回が初の資金調達となる。

2017年1月設立のワンディーは2018年7月に1Dをリリース。1Dは歯科医療者が臨床知見や顧客から受けた相談内容をシェアするプラットフォーム。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士など歯科医療者が集まるSNSとなっており、これまでに8000名以上の歯科医療者が会員登録し、1000件以上の症例がシェアされた。当初はウェブ版のみだったが、現在はiPhone版ならびにAndroid版もリリースされている。

ワンディーいわく、「日本の歯科医院は『ひとり開業医』が多く、臨床知見の共有に課題が生じていた」。そのため、「オンラインで症例をシェアする場を作ることで、歯科医療者みんなで作るナレッジベースの構築に取り組んでいる」。

ワンディーは他にも「世界の歯科スタートアップ最前線」と題された記事などを発信する歯科医療ニュースメディアの「1Dニュース」、歯科国試に向けた勉強用アプリ「1D歯科医師国家試験」、歯科衛生士国家試験の対策アプリ「1D衛生士国試」なども展開している。

「全国の歯科医院の90%以上を顧客に持つ」というフィードとの資本業務提携により、ワンディーは会員獲得基盤をより強化し、歯科医院向けの新規事業を創出していく。「歯科医療の業界特化スタートアップとして株式上場を目指す」そうだ。

ワンディー代表取締役の松岡周吾氏いわく、同社は調達した資金をもとに、開発体制を強化し、コンテンツの拡充を目指す。1月には1Dにイベント機能が実装されたと発表されたが、今後は辞書機能の「ライブラリー」などを追加する予定。また、フィードの扱う商品を「レビュー」できるようにしていく。

月面のピット(竪穴)をロボで偵察して月の可住性を調べるNASAのプロジェクト

月面探査車はクールだけど、崖面を垂直下降できたら探査のお仕事はもっとクールだろう。カーネギーメロン大学(CMU)の研究グループは、NASAから200万ドルの研究助成金をもらって、垂直下降ロボットの開発に取り組む。それは、月面のあちこちにある竪穴を探検する方法を探る研究プロジェクトの一環だ。

ピットとクレーターは違う。クレーターは隕石の衝突によってできた面的構造物だが、竪穴すなわちピット(Pit)は地球上の陥没穴や洞穴に近い。表面はアクセスできるが地下には大きな空洞があって、そこには各種ミネラルや水や氷があるかもしれない。それだけでなく、未来の月探検者のための、すぐに使えるシェルターになるかもしれない。

CMUロボティクス研究所のRed Whittaker教授は、インテリジェントで機敏で早足のロボットを使って行うこれらのピットの接近調査には重要なミッションがある、と語る。すなわち、月を周回する軌道上からの観測でピットの存在はすでに分かっているけど、でもその詳細はまだまったくわかっていない。たとえば、これらの陥没穴のような竪穴は、未来の月探検ミッションの役に立つのか?役に立つとしたらどのように?

Whittakerの素案は「Skylight」というコードネームで呼ばれ、ある程度自律性のあるロボットが表面のどこを調べるか自分で選ぶ。しかもその行動は、速くなければならない。月面が夜になればずっとオフラインになる。だから1回のミッションで実働時間は約1週間だ。

NASAの野心的なミッションでは、2024年に再び月面に宇宙飛行士を送る。そして2028年には月に基地を作る。そのための重要な情報を「Skylight」のような偵察ミッションが提供する。しかし時間は切迫している。ロボットがピットを偵察するミッションは、2023年の予定なのだ。

画像クレジット: NASA/GSFC/Arizona State University

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ロボットが電子レンジを普通に使えるようになるためIntelが奮闘中

コンピューターやロボットのトレーニングは、オブジェクトを理解して認識する(たとえば、オーブンと食洗機を区別するとか)だけでは終わらない。人が日常行っている比較的簡単な作業ができるレベルにまで、訓練を重ねる必要がある。人工知能に冷蔵庫と薪ストーブの違いを教えることができても、本当に実用的なロボットにするには、それらの器具を操作できなければならない。

IntelのAI研究者たちが、カリフォルニア大学サンディエゴ校とスタンフォード大学と共同で取り組んでいる新たな課題がそれだ。コンピュータービジョンおよびパターン認識のためのカンファレンスで発表された報告書では、各部品に完全な注釈が付けられた非常に精細な3Dオブジェクトの大規模なデータセット「PartNet」を、共同研究チームはがどのように構築したかが詳しく説明されている。

このデータセットは他に類がなく、すでにロボティクス企業の間で需要が高まっている。なぜなら、オブジェクトを現実世界で認識し操作できるようデザインされた、人工知能用の学習モデル生成のための高度なアプリケーションを備えることで、オブジェクトを部品に分割して構造化できるからだ。そのため、たとえば上の画像のように、電子レンジを手で操作して残り物を温め直す作業をロボットにやらせたいときは、ロボットに「ボタン」のことと、ボタンと全体との関係を教えてやればいい。

ロボットはPartNetで訓練を行うのだが、このデータセットの進化は、どこかの道端に放置された「ご自由にお持ちください」とドアに貼り紙されたいかにもCGっぽい電子レンジを操作するだけに留まらない。そこには2万6000種類以上のオブジェクトがあり、それらは57万個以上の部品で構成されている。そして、カテゴリーの異なるオブジェクトで共通に使われる部品には、すべてが同類であることを示すマーキングがされている。そのため、ある場面で椅子の背を学んだAIは、別の場面でそれを見かけたときに椅子の背と認識できる。

これは、ダイニングの模様替えをしたいが、ロボット家政婦には、お客さんが来たときに、古い椅子でしていたのと同じように、新しい椅子の背も引いて勧めさるようにしたい、なんていうときに便利だ。

たしかに、今私が示した例は、遠い彼方の、まだまだ仮想の未来から引っ張ってきたものだが、世の中には、完成を目の前にした、詳細なオブジェクト認識のためのもっと便利なアプリケーションが山ほどある。しかも、部品特定能力は、汎用オブジェクト認識における判断力を強化してくれるはずだ。それにしても、家庭用ロボティクスにあれこれ思いを巡らせるのは、じつに楽しい。そこに、現在の進歩したロボティクス技術の商品化を目指す数多くの取り組みが集中している。

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(翻訳:金井哲夫)

ロボットが電子レンジを普通に使えるようになるためIntelが奮闘中

コンピューターやロボットのトレーニングは、オブジェクトを理解して認識する(たとえば、オーブンと食洗機を区別するとか)だけでは終わらない。人が日常行っている比較的簡単な作業ができるレベルにまで、訓練を重ねる必要がある。人工知能に冷蔵庫と薪ストーブの違いを教えることができても、本当に実用的なロボットにするには、それらの器具を操作できなければならない。

IntelのAI研究者たちが、カリフォルニア大学サンディエゴ校とスタンフォード大学と共同で取り組んでいる新たな課題がそれだ。コンピュータービジョンおよびパターン認識のためのカンファレンスで発表された報告書では、各部品に完全な注釈が付けられた非常に精細な3Dオブジェクトの大規模なデータセット「PartNet」を、共同研究チームはがどのように構築したかが詳しく説明されている。

このデータセットは他に類がなく、すでにロボティクス企業の間で需要が高まっている。なぜなら、オブジェクトを現実世界で認識し操作できるようデザインされた、人工知能用の学習モデル生成のための高度なアプリケーションを備えることで、オブジェクトを部品に分割して構造化できるからだ。そのため、たとえば上の画像のように、電子レンジを手で操作して残り物を温め直す作業をロボットにやらせたいときは、ロボットに「ボタン」のことと、ボタンと全体との関係を教えてやればいい。

ロボットはPartNetで訓練を行うのだが、このデータセットの進化は、どこかの道端に放置された「ご自由にお持ちください」とドアに貼り紙されたいかにもCGっぽい電子レンジを操作するだけに留まらない。そこには2万6000種類以上のオブジェクトがあり、それらは57万個以上の部品で構成されている。そして、カテゴリーの異なるオブジェクトで共通に使われる部品には、すべてが同類であることを示すマーキングがされている。そのため、ある場面で椅子の背を学んだAIは、別の場面でそれを見かけたときに椅子の背と認識できる。

これは、ダイニングの模様替えをしたいが、ロボット家政婦には、お客さんが来たときに、古い椅子でしていたのと同じように、新しい椅子の背も引いて勧めさるようにしたい、なんていうときに便利だ。

たしかに、今私が示した例は、遠い彼方の、まだまだ仮想の未来から引っ張ってきたものだが、世の中には、完成を目の前にした、詳細なオブジェクト認識のためのもっと便利なアプリケーションが山ほどある。しかも、部品特定能力は、汎用オブジェクト認識における判断力を強化してくれるはずだ。それにしても、家庭用ロボティクスにあれこれ思いを巡らせるのは、じつに楽しい。そこに、現在の進歩したロボティクス技術の商品化を目指す数多くの取り組みが集中している。

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(翻訳:金井哲夫)

PayPayが7月還元に向けて新たな動き、サーティワンアイスで決済可能に

PayPayは6月18日、「サーティーワン アイスクリーム」でPayPayによるバーコード決済が導入されたことを発表した。決済方法は、利用者がスマホ画面に表示したPayPayのバーコードを店舗側のバーコードスキャナーで読み取る「ストアスキャン」方式。

6月11日に東京の目黒店、デックス東京ビーチ店で導入されたのを皮切りに、17日に都内と町田の計5店舗、18日に埼玉の計4店舗、7月5日に大阪のホワイティうめだ店、兵庫の夙川店で利用可能になる。そして7月17日以降は全国の約1100店舗でのPayPay対応が完了する見込みだ。

7月からは飲食店やスーパーでPayPayの最大20%還元キャンペーンが始まる。PayPayは先週、コープさっぽろでの導入を発表するなど、シニア層や主夫・主婦層の利用頻度が高いスーパーマーケットの攻略を開始したばかり。今週は打って変わって若年層やファミリー層の来店が多いと考えられるサーティーワン アイスクリームに対応した。

6月のドラッグストアでのPayPay最大20%還元キャンペーンに併せて、ツルハドラッグやマツモトキヨシが5月末が6月上旬に滑り込みセーフでPayPay対応を果たしたことが記憶が新しい。7月まであと2週間弱。7月のキャンペーンに向けて、このあとにどんなスーパーや飲食店がPayPayに対応するのか注目して待ちたい。

DAppsをスマホから楽しめるウォレットアプリ「GO! WALLET」のAndroid版登場

スマホからDAppsを利用できるブラウザ搭載ウォレットアプリ「GO! WALLET(ゴーウォレット)」を展開するスマートアプリは6月18日、同アプリのAndroid版をリリースした。

GO! WALLETはイーサリアムのウォレット機能とDAppsのブラウザ機能を兼ね備えたサービス。現在ERC20・ERC721形式に対応しており、これらに該当するトークンやアセットをウォレットで管理できるほか、イーサリアム上で動くDAppsアプリやブロックチェーンゲームをスマホから楽しめるのが特徴だ。

スマートアプリでは2018年10月にGO! WALLETのiOS版をリリース。10月末にはセレスから5000万円を調達し、同アプリのアップデートに取り組むとともにAndroid版の開発を進めてきた。

iOS版のリリース時からはアプリ上でDAppsや仮想通貨に関連するニュースが読める機能が加わったほか、2019年3月より独自のリワードポイント「GO!ポイント」をスタートしている。

これは広告の閲覧やアンケートの回答、商品の購入など該当するアクションを行うことで報酬となるポイントを得られる仕組み。貯めたポイントはETHやDAppsのアセットなどと交換(アセットとの交換については現在準備中)でき、スマートアプリ代表取締役社長CEOの佐藤崇氏によるとこれが1つのフックとなって国内外でユーザーが広がっているという。

現在は英語圏向けだけでなく中華圏・韓国語圏・ロシア語圏向けにもサービスを展開していることもあり、約2万人のiOS版ユーザーの内訳を見ても日本に続いてロシアやウクライナ、ベトナムなどのユーザーが多い。

佐藤氏の話では日本でも昨年秋に「My Crypto Heroes(マイクリプトヒーローズ)」が登場し、これを機にこれからイーサリアムをベースとしたブロックチェーンゲームが増えてくるのではないかとのこと。

スマートアプリでは「GO! WALLET」を軸として、国内はもちろん全世界のDApps・ブロックチェーンゲームとユーザーとの接点となるマーケティングプラットフォームを構築し、これらの経済圏の拡大を目指していくという。

今後はBTC、EOS、ICNなどのマルチトークンへの対応を予定。また煩雑な登録作業がほとんど必要無いサードパーティウォレットアプリとして一定の支持を得ていることもあり、カジュアルに仮想通貨や仮想通貨を活用したサービスを始めたいユーザーの受け皿となるように、ウォレット機能のアップデートにも取り組んでいく計画だ。

インスタリムが3Dプリント義足事業をフィリピンで開始、総額8400万円の調達も

インスタリムは、慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)およびディープコアへの第三者割当増資により、総額8400万円の資金調達を実施したことを発表した。今回の資金調達により、フィリピンのマニラ首都圏で設立した現地法人を通じ、3Dプリントによる膝下義足事業を本格開始する。また、3Dプリントによる大腿義足などの新製品の研究開発も進めるという。

3Dプリント義足「Instalimb」

インスタリムは、義肢装具の製作に最適化された3Dプリンタや独自のアルゴリズムによる形状レコメンド機能などを備えた3Dモデリングソフトなどを活用して、義肢装具の低コスト・短期間での量産を可能にするソリューションを開発している、2015年12月設立のスタートアップ。

同社のソリューションにより、従来の約10分の1となるコストダウンや納期短縮を実現できるという。大幅なコストダウンによって、新興国や開発途上国を含む多くのユーザーに義足を提供することが可能となる。なお、アルゴリズムについてはAIを用いた全自動モデリング機能を開発中で、これが完成すればさらななるコストダウンと納期の短縮も目指せるという。

今回のフィリピンでの事業開始は、フィリピン大学総合病病院と共同で3Dプリント膝下義足の実証実験進めてきた成果。被験者50名に対する実生活試用などの各種テストや製造プロセスの検証を完了し、製品化準備を完了させた。

スタンフォード大学の卒業式でティム・クック曰く「シリコンバレーは数多くのカオスを生み出してきた」

Apple (アップル)の CEOを務めるTim Cook(ティム・クック)氏は、先週末スタンフォード大学の卒業式で講演した。いつものモチベーションについての話に加えて、クック氏は他の巨大IT企業を遠慮がちとは言えない表現で攻撃した。シリコンバレーの荒涼とした光景を描いた彼は、数多くの間違いの責任はここにあると語った。

「今、私たちは内省すべきときに来ている。スタンフォードの卒業生とドロップアウトたちは、カフェインとコード、楽観主義と理想主義、あるいは確信と創造性などに支えられ、テクノロジーを利用して私たちの社会を再構築してきた」とクック氏は話した。

「しかし、最近の状況は素晴らしいとも、単純明快あるともいえなくなっていることには、みなさんも同意すると思う。あなたがたがここにいたわずか4年の間に、物事はまるで急カーブを切ったように変わった。危機が楽観主義を抑え込み、結果が理想主義に疑問を呈し、現実がやみくもな信仰を揺るがしている。

自らの発言を埋め合わせるかのように、クック氏はシリコンバレーで生まれた偉大な発明をいくつか挙げた。Hewlett Packardのオーディオ発振器からiPhone、ソーシャルメディア、ビデオシェアリングにSnapchatのストーリーまで。なお、YouTubeとFacebookの名前は直接には言及しなかった。

「しかし、最近この業界はイノベーションに対する品格のなさで知られるようになった。責任を負うことなく功績を主張できるという発想のことだ。今や毎日のようにデータ漏洩やプライバシー侵害が起こり、ヘイトスピーチやフェイクニュースが国民の会話を汚すのを誰もが見て見ぬふりをしている。一滴の血液が奇跡を生むという嘘も蔓延した」。

「こんなことを誰かが言わなくてはならないのは何かがおかしいと私は思っているが、カオス製造機を作った者は、カオスの責任から逃れることができない。責任を取るということは、ものごとを考え抜く勇気を持つという意味だ」とクック氏は後に付け加えた。

そしてクック氏は、彼が大切に思っているプライバシーへと話題を移した。「もし、我々の生活のあらゆるものが集められ、販売され、さらにはハックされて漏洩されることが当たり前になったり避けられないとみんなが考えるようになれば、我々はデータよりはるかに大きいものを失う。人間であることの自由を奪われることになる」と彼は言った。「デジタル監視」の萎縮効果は深刻でありあらゆるものに影響を与えるのです」。

たしかに、アップルのCEOとしては言いやすいことだ。この会社は今も売上の大部分をハードウェアが生んでいる。そしてアップルはさまざまなビジネス手法について批判される立場にもある。それでも、この話題に関してクック氏に同意せずにはいられない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

タッチ画面でペイントとドローができる新アプリの名前はAdobe Frescoと判明

近くリリースされるペイント&ドローアプリの正式名称がAdobe Frescoとなることが発表された。 湿った漆喰の上に顔料ですばやく描くフレスコ画技法から取った名前だという。Adobe(アドビ)によれば、即興的でクリエーティブなインスピレーションを活かすアプリだ。

このソフトはProject Geminiというコードネームでしばらく前から開発が進められており、2018年のAdobe Maxカンファレンスで最初の発表が行われた。iPadアプリが最初のプロダクトとなり、続いてタッチやスタイラスの利用が可能な他のデバイス向けのバージョンが出る。

Frescoは水彩画、油絵などクリエーターがメディアの表面にタッチして製作する画法をデジタル化するのが狙いだ。Frescoで用いられるツールはライブブラシ(Live Brushes)と呼ばれる。

2017年からアドビに所属するアーティストであるKyle Webster(カイル・ウェブスター)氏が製作したPhotoshop用ブラシも利用できる。ベクターグラフィックスのファン向けにFrescoにはベクターブラシも用意されている。ライブブラシがピクセルベースであるのに対してベクターブラシは方向と長さを持った幾何学的な線を作り出すため、サイズを任意に変化させることができる。

Frescoにはレイヤー機能も含まれており、重ね合わせやマスキングも簡単にできる。成果物はPhotoshopで編集できる。Illustratorにエクスポートする場合はPDFで書き出す必要がある。

アドビは「近く」というだけで具体的なリリース期日は明かさなかった。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Apple TVがピクチャー・イン・ピクチャーを搭載、2番組を同時視聴可能に

Apple TVがピクチャー・イン・ピクチャーモードをサポートすることになり、2つの番組を同時に視聴できることになる。TechCrunchもそのことを確認したが、今朝最初に報じたのはアップル関連のニュースサイト9to5Macだ。本日は、tvOSも含むアップルのすべてのオペレーティングシステムの新しいベータバージョンがリリースされた日だ。

TwitterのユーザーNikolaj Hansen-Turton氏によると、tvOS beta 2をインストールすると。画面の右下の小さなウィンドウで別のコンテンツをプレイする新しいオプションが用意されていることがわかった。その小ウィンドウは、Apple TVのメインの画面にオーバレイされる。つまりそれは、ピクチャー・イン・ピクチャーモードだ。

やがて、いくつかのサイトがこのニュースを報じた。

でも、よくわからないのは、それが最小化されたビデオプレーヤーにすぎないのか、それとも本当のピクチャー・イン・ピクチャーか、という点だ。ツイートの写真やビデオを見ると、メイン画面は静的なバックグラウンドのようだ。2つの番組が同時に映ってる感じではない。でもこれまでの私たちの理解によれば、Apple TVは二つの番組をストリーミングする機能をサポートするはずなのだ。

ただし、いくつかの「ただし」がある。

まず、ピクチャー・イン・ピクチャーがサポートされるのは、アップルが提供するコンテンツのみだ。それに含まれるのは、iTunesで買ったコンテンツ、最近ローンチしたApple TV+のサブスクリプションサービスでストリーミングされるテレビ番組や映画、そしてApple TV Channelsでストリーミングされるビデオだ。

Apple TV Channelsは、5月のTVアプリのアップデートで導入され、HBO、Starz、Showtime、EPIX、Tastemade、Smithsonian Channelなどなどの有料アドオンにサブスクライブできる。AmazonのPrime Video Channelsの有料サブスクリプションや、もっと最近のRokuのChannelにも似ている。

たとえばアップルのTV ChannelsでHBOに加入していれば、tvOSのニューバージョンが今秋後半に公開されればHBOをピクチャー・イン・ピクチャーモードでウォッチできる。HBOにウェブサイトのHBONOW.comやサードパーティのHBO NOWアプリで加入しているなら、それはピクチャー・イン・ピクチャーで見ることができない。

アップルはTV Channelsの有料サブスクリプションを今後増やすつもりだから、そうなるとピクチャー・イン・ピクチャーで見られるコンテンツも増える。

サードパーティが自分のコンテンツやアプリをピクチャー・イン・ピクチャーにするためのデベロッパーツールを、アップルはまだ提供していない。そうなるまでの間は、Apple TV Channels経由で有料番組を見るしかない。ピクチャー・イン・ピクチャーがサードパーティのウェブサイトやアプリもサポートすれば、Apple TVの収益も増えて好都合ではないだろうか。

今月初めのアップルのWorldwide Developer Conferenceでは、新しいソフトウェアが紹介される場であるにもかかわらず、ピクチャー・イン・ピクチャーモードは発表されなかった。今日それが発表されるなんて、Apple TVのファンにとってはうれしいサプライズだろう。

ピクチャー・イン・ピクチャーモードはApple TV 4KとApple TV HDの両方でサポートされるはずだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ドミノ・ピザがNuroの自動運転車を使ったピザ配達をテスト中

Domino’s Pizza(ドミノ・ピザ)は、「イノベーション」への取り組みを強く押し出している。たとえそれがマーケティング戦術の一環だとしても、グローバルなピザブランドは有言実行だ。米国テキサス州ヒューストンでNuroとの提携によって実施する自動運転ピザ配達のパイロットテストがその好例だ。

自動運転技術のNuro は、Googleの自動運転車プロジェクト(後にWaymoになった)出身のベテランであるDave Ferguson氏とJiajun Zhu氏が設立したスタートアップで、Waymo、Apple、Uber、GM、Teslaなどで経験を積んだ自動運転技術者も加わった。同社がスタートアップとしてこれほどの人材を集められたのは、ソフトバンクから10億ドル近い資金を調達したことが大きな理由だろう。あるいは、その逆かもしれない。

ドミノ・ピザはNuroの自動運転テスト車を使って、ヒューストンでアプリまたはウェブで注文した人にピザを配達する。配達にはNuroの第2世代自動運転テスト車であるR2が使用され、サービスは今年中に開始される予定。自動運転車の利用はオプトイン方式で、注文した人にはチェックアウト時に自動運転オプションが提示され、選択すると到着した車のドアを開けて美味しいピザを受け取るための暗証番号が渡される。

ドミノ・ピザが自動運転ピザ(奇妙な表現だ)のテストをするのはこれが初めてではない。2017年にはFord(フォード)と組んで、消費者がこの種のサービスに何を期待しているかを知るための限定的なテストを行った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スマホゲーム「ドクターマリオ ワールド」が7月10日に配信決定、事前登録は本日開始

任天堂は6月18日、新作のスマホゲーム「ドクターマリオ ワールド」が7月10日に配信開始されると発表。App Store・Google Playでの事前登録も本日、開始した。

ドクターマリオ ワールドは赤、青、黄色のカプセルを操作し、同じ色を縦・横に3つ揃えることでウイルスを消すパズルゲーム。使えるカプセルの数はステージごとに異なり、使い切る前に全てのウイルスを消すことでステージクリアとなる。

紹介映像も同日、公開された。同ゲームはダウンロードならびに一部ゲームプレイが無料となる。

Googleがスタートアップ支援の「Google for Startups Campus」を東京・渋谷ストリームに年内オープン

Google(グーグル)は6月18日、2019年内に「Google for Startups Campus」を渋谷ストリームにオープンすることを発表した。ロンドン、マドリード、サンパウロ、ソウル、テルアビブ、ワルシャワに続き、世界で7番目のキャンパスとなる。

Google for Startups Campusとは、アリーからグロースステージのスタートアップ企業に向けて、グローバルサポートとツールを提供する場所。ワークスペースやコラボレーションスペース、イベントスペースなどが併設される。同社のプログラムに参加するスタートアップはメンター制度も利用可能だ。なおスタートアップの募集は、キャンパス開設後を予定しているとのこと。

渋谷ストリームは、渋谷駅ホーム南部の線路跡地に建設された高層ビルで今秋にグランドオープンを迎える。上層はオフィス階になっており、今秋以降にグーグルの日本法人も六本木ヒルズから引っ越す予定だ。

中国初の自動運転ユニコーン企業Momentaは利益よりもデータを追う

Cao Xudong(曹旭東) は、ジーンズと彼のスタートアップ企業の名前である「Momenta」と書かれた黒いTシャツ姿で路肩に現れた。

昨年、企業価値10億ドル(約109億ドル)を記録し、中国初の自動運転系「ユニコーン」企業となったこの会社を立ち上げる以前から、彼は誰もが羨む生活を送っていたのだだが、自動運転は次なる大きな波だと自分に言い聞かせてきた。

曹は、完全な自動運転車で一発当てようと考えているわけではない。それは20年後の話だと彼は言う。むしろ彼は、半自動運転ソフトウエアを販売し、次世代の自動運転技術に投資するという、地に2本の足を着けたアプローチを取っている。

曹(中国語読みでツァオ)は、中国における人工知能研究者の第一世代のための「士官学校」と噂されるMicrosoftの基礎研究機関Research Asiaで働く機会を得たとき、まだ機械工学の博士課程にいた。彼は4年間以上Microsoftで辛抱した末、退職し、より現実的な仕事に手を付けた。スタートアップだ。

「その当時、学術的なAI研究はかなり成熟していました」と、現在33歳の曹は、Microsoftを去る決意をしたときを振り返り、TechCrunchのインタビューで語った。「しかし、AIを応用しようという業界の動きは始まったばかりでした。2012年から2015年までの学会での波よりも、業界で起きる波の方が大きくて強力なものになると私は信じていました」。

2015年、曹は、政府に納入している顔認証技術などによる高収益のお陰で今や世界で最も価値の高いAIスタートアップとなったSenseTimeに入社した。17カ月の在籍期間中、曹は研究部門をスタッフ0人からスタートして100人態勢の強力なチームに育て上げた。

間もなく曹は、またしても新たな冒険に惹かれるようになった。彼は、結果はあまり気にせず、「何かをやること」に重きを置いているという。その傾向は、名門精華大学の在籍中にすでに現れていた。彼はアウトドアクラブの部員だった。特別にハイキングが好きだったわけではないが、冒険のチャンスに恵まれ、彼と同様に粘り強く大胆不敵な仲間たちが大変に魅力的だったからだと彼は話している。

車ではなくコンピューターを作る

曹は、カメラやレーダーなど、自動運転車でよく目にする装置を取り付けた車に私を案内してくれた。トランクには、目に見えないコンピューターコードがインストールされている。我々は車に乗り込んだ。ドライバーは、Momentaが作成した高解像度のマップからルートを選択した。そして、ハイウェイに近づくなり、自動的に自動運転モードに切り替わった。複数のセンサーが、リアルタイムで周囲のデータをマップに送り始める。それをもとに、コンピューターは走行中の判断を下す。

試験車両にセンサーを取り付けるMomentaのスタッフ(写真:Momenta)

Momentaは車もハードウエアも作らないと、曹は念を押した。その代わりに、頭脳、つまり深層学習能力を作って自動車に自動運転機能を与えるのだという。これは事実上、いわゆるTire2のサプライヤーだ。IntelMobileyeと同じように、自動車部品を製造するTire1サプライヤーに製品を販売している。また、自動車を設計し、サプライイヤーに部品を注文して最終的な製品を製造するOEMとも、直接取り引きをしている。どちらの場合でも、Momentaはクライアントと協力しながら最終的なソフトウエアの仕様を決めている。

こうしたアセットライトなアプローチによって、最先端の運転技術が開発できるとMomentaは信じている。自動車や部品のメーカーにソフトウェアを販売することで、収益を得るだけでなく、たとえば、いつどのように人間が介入すべきかに関する大量のデータを収集でき、低コストでAIをトレーニングできる。

クライアントの企業名は公表しなかったが、中国内外の一流自動車メーカーとTire1のサプライヤーが含まれているとのことだ。数は多くない。なぜなら自動車業界での「パートナーシップ」は、深い資源集約的な協力を必要とするため、少ないほうが有利だと考えられているからだ。我々の認識では、後援者にDaimler AGが含まれている。またMomentaは、このメルセデス・ベンツの親会社が中国で投資した初めてのスタートアップでもある。しかし、Daimlerがクライアントかどうかは、曹は明かさなかった。

「1万台の自動運転車を動かしてデータを集めるとしましょう。その費用は、年間で軽く10億ドルに達します。10万台なら100億ドルです。巨大ハイテク企業であっても怖じ気づく額です」と曹は言う。「意味のあるデータの海を手に入れたければ、大量市場向けの製品を作ることです」。

自動車をコントロールする半自動運転ソリューションHighway Pilotは、Momentaの最初の大量市場向けソフトウェアだ。今後、さらに多くの製品が投入されるが、それには、完全自動駐車ソリューションや、都市部向けの自動運転ロボットタクシー・パッケージなどが含まれる。

長期的には、非効率的な中国の440億ドル(約48000億円)規模の物流市場に取り組みたいと同社は語っている。AlibabaJD.comが開発した倉庫向けのロボットのことはよく知られているが、全体的に中国の物流の効率は、まだ低水準にある。2018年、物流コストは中国のGDPの15%近くを占めていることが発表された。同じ年、世界銀行が発表した、世界の物流業界の効率を示した物流パフォーマンス指標ランキングでは、中国は26位だった。

MomentaのCEO曹旭東(写真:Momenta)

控えめなCEOである曹が語調を強めたのは、同社の地に2本の足を付けた戦略について説明したときだった。その2つセットのアプローチは「閉じた輪」を形成する。これは、同社の競争力について語るときに繰り返し登場した言葉だ。現在と未来の中間を拾うのではなく、Waymoがレベル4(基本的な状況下で人間の介入なしに自動運転できる車の区分)で行ったように、またはTeslaが半自動運転で行ったように、Momentaはその両方に取り組む。それには、収益がロボットタクシーのための研究費となり、現実のシナリオから収集されるセンサーのデータが研究室のモデルに投入されるHighway Pilotのような、利益を生むビジネスが利用される。そして、その研究室で得られた結果は、公道を走る車に供給する技術をパワーアップする。

人間かマシンか

昼間の公道での40分の試乗の間、我々が乗った車は、自動的に車線変更をし、合流し、乱暴なドライバーから距離を取るなどしていたが、ある一瞬だけ、ドライバーが操作を加えた。試乗の終わりごろ、ハイウェイの出口ランプの中央に停車していた危険な車を避けるために、ドライバーがレバーを引いて車線変更を行っている。Momentaはこれを、「インタラクティブな車線変更」と呼んでいる。同社は、これは自動運転システムの一部であり、厳格な定義によれば、人間の「介入」ではないと力説していた。

「人間による運転の介入は、これからも長きにわたって支配的な存在でいるでしょう。あと20年ほどは」と曹は指摘する。車は車内カメラでドライバーの動作を細かく把握しているため、この設定は安全性を一段階高くするとのことだ。

「たとえば、ドライバーが携帯電話に目を落としたとします。すると(Momentaの)システムは運転に集中するよう警告を発します」と彼は言う。

試乗中の撮影は許されなかったが、Momentaが公開している下の動画でハイウェイでの様子を少しだけ確認できる。

人間は、我々が思っている以上に、すでに自動化の範囲に組み込まれている。曹は、他の多くのAI研究者と同じく、最終的にはロボットがハンドルを握るようになると考えている。Alphabetが所有するWaymoは、すでに数カ月前からアリゾナでロボットタクシーを走らせている。Drive.aiのような比較的小規模なスタートアップですら、テキサスで同様のサービスを行っている。

業界にはさまざまな誇大宣伝や流行があるが、同乗者の安全、規制の概要、その他数多くの高速移動技術の問題など、厄介な疑問は残されたままだ。去年、自動運転車による死亡事故を起こしたUberでは、将来の計画が先送りされ、人々の批判を浴びることになった。上海に拠点を置くベンチャー投資会社は、先日、私にこう話した。「人類はまだ自動運転の準備ができていないのだと思う」

業界の最大の問題は、技術的なものではなく、社会的なものだと彼は言った。「自動運転は、社会の法体系、文化、倫理、正義に難題を投げかけている」。

曹も、この論争のことはよく知っている。未来の自動車を形作る企業であるMomentaは、「安全に対する大きな責任を負っている」と彼は認識している。そのため彼は、すべての幹部に、自動運転車で一定の距離を走り、システムに欠点がないかを確認するよう求めている。そうすれば、お客さんが遭遇する前に、社内の人間が欠点に遭遇する確率が上がる。

「この方針があれば、管理職はシステムの安全性を真剣に考えるようになります」と曹は主張した。

中国の蘇州に建つMomentaの新本社ビル(写真:Momenta)

信頼性を確保し、説明責任を明確にできるソフトウェアをデザインするために、Momentaは「システム研究開発のアーキテクト」を任命している。この人物は、基本的に、ブラックボックス化された自動運転アルゴリズムの解析の責任を負う。深層学習モデルは「説明可能」でなければならないと曹は言う。それは、何か不具合が起きたときに原因を突き止める重要な鍵となるからだ。故障箇所はセンサーなのか、コンピューターなのか、ナビゲーションアプリなのか?

さらに曹は、研究開発に多額の資金を投入してはいるが、利益を生もうと焦ってはいないと話している。ただし、ソフトウェア販売の利益が「大きい」ことも認めている。またこのスタートアップは、多額の資金に恵まれている。曹の経歴が投資を惹きつけているところが大きい。同じように、共同創設者であるRen Shaoqing(任少卿)とXia Yan(夏炎)もMicrosoft Researchの出身だ。

昨年10月の時点でMometaは、Daimler、Cathay Capital、GGV Capital、Kai-Fu LeeのSinovation Ventures、Lei JunのShunwei Capital、Blue Lake Capital、NIO Capital、それに蘇州政府を含めた著名な投資企業から少なくとも2億ドル(約217億円)を調達している。蘇州には、高速鉄道の駅のすぐ隣にMomentaの新本社ビルが建つ予定だ。

蘇州を高速鉄道が通過するとき、乗客はその車窓からMomentaの特徴的な新社屋を眺めることができる。数年もすれば、この中国東部の歴史ある街の新たなランドマークになるだろう。

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(翻訳:金井哲夫)

Waymoがついに電動CUV車Jaguar I-Paceを公道上で自動運転

1年あまり前にWaymo(ウェイモ)は、同社の自動運転車事業の次の大きな一歩としてJaguar Land Rover(ジャガー・ランド・ローバー)をパートナーとし、その全電動クロスオーバー車であるI-Paceを自動運転化すると発表して業界を驚かせた。

その自動運転のJaguar I-Paceがついに、Waymoの本社のある米国カリフォルニア州マウンテンビューの公道でテストを始めたらしい。米国時間6月17日朝の目撃情報によると、セーフティードライバーが運転席にいる自動運転車Jaguar I-Paceが確かに公道を走行中でWaymoも試験を始めたことを認めた。

Googleの自動運転プロジェクトがAlphabet傘下の企業となったWaymoは、2018年7月に最初の3台のI-Paceを受け取った。それらが、道路のデータを集めるためにサンフランシスコのベイエリア周辺を走っているところが目撃されたが、それは自動運転ではなかった。Waymoの計画では、自動運転のI-Paceは2020年に同社のライドシェア事業に起用される予定だ。

WaymoとJLRの契約によると、最大で2万台のI-Paceが最初の2年間でロボタクシーサービスに利用される。そのパートナーシップの構造はWaymoとFiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の関係に似ていて、FCAはハイブリッドミニバンであるChrysler Pacifica(パシフィカ)をWaymoに供給する。

そのミニバンはフェニックスの郊外周辺で、WaymoのテストとWaymo Oneライドシェアサービスの別名になった。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米政府がBlueKeep脆弱性を利用したハッキングを実証、Windows 7以前へのパッチ導入待ったなし

米国土安全保障省のサイバーセキュティー部門であるCISAは、BlueKeep脆弱性を利用したハッキングの実験を行い、対象となるデバイスでリモートコード実行ができることを確認した。BlueKeepは旧版WindowsのRemote Desktop Protocol(RDP)のバグを利用した極めて危険な脆弱性だ。

現在、民間機関での研究ではBlueKeepを利用してDoS攻撃ができることが実証されている。つまり狙ったコンピュータをクラッシュさせてしまうわけだ。しかしBlueKeepはそれよりはるかに悪質なリモートコード実行に利用できることが確実だった。そうなれば2017年に世界を大混乱に陥れたWannaCryランサムウェアの再来となる。

CISA(Cybersecurity and Infrastructure Security Agency)は6月17日に発した警告で、BlueKeepを利用してWindows 2000を搭載したコンピュータ上のコードを遠隔で実行できることを確認した。

Windows 2000はMicrosoft(マイクロソフト)が発表した脆弱性対策には含まれていないが、CISAの広報担当者によれば「我々は外部の関係者と協力してこの脆弱性を調査している」ということだ。TechCrunchはマイクロソフトにコメントを求めている。

リモートコード実行が可能なマルウェアはまだ現実には使われていない。しかしCISAがアラートを出した以上、同じ効果をもつマルウェアをハッカーが近く作り出せることが確実だ。

マイクロソフトと米政府機関は先月末からBlueKeep脆弱性へのパッチ適用を強く勧告してきた。

BlueKeep(CVE-2019-0708)はWindows 7およびそれ以前のWindowsコンピュータのリモートデスクトップサービスのクリティカル評価のバグで、パソコンだけでなくサーバーにも影響する。ユーザー認証以前に実行可能なので攻撃者はログインの必要がない。攻撃が成功すればデータを盗み出すだけでなく、システム管理者の特権を得ることも可能だ。またワーム化できるので、1台が乗っ取られば同一のネットワークに接続しているすべてのコンピュータに伝染する。

Microsoftは先月末、サポート終了のOSに対してパッチを発行するという異例の措置を取った。しかし100万台ものコンピュータが無防備な状態におかれているという。英国のセキュリティ専門家であるKevin Beaumont氏のツイートによれば 「マルウェアがひとたび組織のファイアウォール内のパソコンに入り込むことに成功すれば被害規模は桁違いに拡大する」という。

NSAは秘密主義で知られるこの組織としては異例の警告を公表し、「脅威が著しく増大している」と述べ、ユーザーにパッチの適用を強く勧告していた。

万一パッチしていないなら今こそすべきだ。

【Japan編集部追記】CISAによれば、影響を受けるシステムは次のとおり。PC向けOSは、Windows 2000、Windows、Vista、Windows XP、Windows 7。サーバー向けOSは、Windows Server 2003、Windows Server 2003 R2、Windows Server 2008、Windows Server 2008 R2。

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滑川海彦@Facebook