サイバーセキュリティーと人権:イスラエルのサイバー法はビッグブラザーの序章か

[著者:Tehilla Shwartz Altshuler]
The Israel Democracy Institute(イスラエル民主主義研究所)による情報時代の民主主義プロジェクトのシニアフェローおよび代表。

サイバー攻撃には、移動体通信を麻痺させ、コンピューター化されたシステムの改変や消去を行い、コンピューターサーバーへのアクセスを不能にし、電力網や銀行システムを攻撃することで国家の経済や防衛に直接被害を与える力がある。

どの国にも必要なものであることは明らかだが、とくに国防上特殊な状況にあるイスラエルでは、サイバー防衛システムの維持管理が欠かせない。イスラエルでは、イスラエル・サイバー事象即応チーム(CERT-IL)を含む統合的なイスラエル国家サイバー総局(INCD)を設立し、首相官邸のイスラエル国家安全保障局やモサドなど、他のセキュリティー機関と密接に協力しつつ、問題に対処している。これは重要な機関であるため、立法権、目標、組織構造を明確に定義しておかなければならない。

しかし、おかしなことに、イスラエルはイノベーションと技術開発においては急成長を遂げた「スタートアップ・ネイション」でありながら、テクノロジーと人権と民主主義の価値の交差点で持ち上がっているジレンマに対処する法律では、恐ろしく立ち遅れている。セキュリティーとトラッキングに関する技術は、ほとんどが民間の目の届かない場所で開発されていて、統合されたINCDは、その活動を縛る法律が整備される前に設立された。

それに対して、イスラエルのサイバー防衛システムの活動の法的枠組みを定める目的で、サイバー法の最初の草案ができたのは、喜ばしいことだ。しかし、草案を見ると、国は国民をサイバー攻撃から守るのに必要な力以上のものを求めているように思える。未来のサイバー攻撃がどのようなものになるか、現時点では想定が難しいという理由もひとつにはある。しかし、市民活動の統制力を強めるためにテクノロジーを使うという政府の陰謀めいた部分もある。

この草案では、INCDは首相官邸に属することになり、インターネットや携帯電話からのデータを日常的に収集し、省庁、地方自治体、政府関連法人に提供することで、サイバー攻撃を特定しリアルタイムで対処できるようにするとある。それでも、「セキュリティー関連のデータ」の定義は曖昧なままで、2015年にアメリカのサイバーセキュリティ情報共有法(CISA)で定義された痕跡情報(サイバー脅威情報)よりもずっと範囲が広くなっている。

問題は、政府機関に公開されるネット上のあらゆる活動の記録や詳細な個人情報など、これらすべてが本当に必要なのかということだ。このような方法で収集された情報が、行動的特徴の割り出しに利用され、市民を縛る形で使われはしないだろうか。こうしたデータの収集と、広範囲で制限のない盗聴と、いったいどこが違うのだろう。そこまで深い情報を国が覗けるようになることは、国民のプライバシーと人権にとって、じつに重大な問題となる。

さらに、この法案が通れば、INCDは、サイバーセキュリティーを侵害する人物を絞り出すという名目で、さまざまなコンピューターへのアクセス権を持ち、情報の収集や処理ができるようになる。これには、すべての市民と企業のプライベートな情報が含まれる恐れがある。法案にはプライバシーを守る権利を尊重するようにも書かれているが、その権利を「必要以上に」侵害しない活動は認めている。つまり、恐ろしいほど曖昧な制限なのだ。しかも、収集した情報の使用の制限も不十分だ。どれだけの期間、情報を保管できるのか。INCDから警察や他の機関に提供してもよいのか。

同時に人権を守ってゆかなければ
サイバーでもテクノロジーでも
グローバルリーダーにはなれないと
自覚しておくべきだ

この法律は、INCDに、警察やプライバシー保護機関などを超える法的権限を与える。一般企業から営業許可を取り上げる権限すら持つ。その結果、他の機関との協力関係が崩れるのは明白だ。もちろん、最大の疑問は、この力がいつ行使されるかだ。その答えもまた、不安なものだ。「『重大な利益』を守る必要が生じたときはいつでも」とされている。

これは、国家の安全や人命を守るためのものかも知れない。しかし、草案には「大規模にサービスを提供する組織の適正な運営」という一文がある。これには、大手衣料品販売チェーンなども含まれるのだろうか。そうだとしたら、これは正当化されるのだろうか。

私たちが知っている、昔ながらのサイバーセキュリティーとは、おもに目に見えるインフラへの被害を想定したものだった。しかしこの草案では、首相の意思で、より多くの脅威をサイバーセキュリティーの対象リストに追加できるようになっている。そこでまた疑問がわく。「ソーシャルネットワークで議論を持ちかけ、市民の意識に悪い影響を与えること」や「フェイクニュースを広めること」などを首相が加えたとしたら、国家安全保障局に加えて、INCDにもこうした問題に対処する権限を与えることになるのだろうか。

さらに言えば、この草案では、こうした強大な力を持つ組織を監視する機関については、あまり触れられていない。しかも、INCDの長官には、サイバー攻撃が判明した際、秘密裏に活動できる権限が与えられている。たしかに、抑え込む前にサイバー攻撃の事実を公表してしまえば、さらなる被害を招きかねないため、それは理解できる。しかし、もし自分がかかっている病院にサイバー攻撃があり、医療の現場が混乱してしまったとき、いつまで真相を知らされずに我慢できるだろうか。銀行口座やデートサイトに登録したデータが漏洩した人たちはどうだろう。

この法案は、INCDに監視されない権力を与えるものであり、それは民主主義の常識から外れる。こうした力の乱用や、エドワード・スノーデンが暴露した米国家安全保障局の立ち入った監視プログラムPRISMは、とくにイスラエルにおいては警鐘と捉えるべきだ。EU一般データ保護規制(GDPR)が施行された今日、プライバシーの権利とは、もう自分の個人情報を自分で管理する権利ではないように思える。むしろ、プライバシーの権利とは、他人の人権の前提条件と考えるべきだ。この法律は重要だが、前代未聞の「ビッグブラザー」シナリオの第一段階だという印象を拭い去ることができない。

立法者は、ゆっくり時間をかけて、サイバー問題と、それがもたらす脅威と機会について学ぶべきだ。この法案の審議する人間は、デジタル世界におけるプライバシー権の意味を深く理解していなければならない。その知識は、よりバランスのとれた法案を作る上で役立ち、ひいてはイスラエルの人々を守ることにつながる。

この法案の趣旨には「イスラエルをサイバーセキュリティーの分野でグローバルリーダーにする」というものがあるが、創造性と独立心と奇抜な発想に支えられているイスラエルのような小さな国では、同時に人権を守ってゆかなければ、サイバーでもテクノロジーでもグローバルリーダーにはなれないと自覚しておくべきだ。

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(翻訳:金井哲夫)

2018年に市場を去ったスタートアップたち

スタートアップを起業して成功させるより難しいことなど、この世にそう多くはない。それには、才能、ノウハウ、資金、そして、山ほどの幸運と奇跡的なタイミングに恵まれる必要がある。そうした魔法の材料がすべて揃ったとしても、勝算はまだまだ遠い。

TechCrunchでは、そんなスタートアップの世界で、最高にしてもっとも輝いている企業を、誇りを持って紹介してきた。スタートアップ企業を取材してまわることは、我々の仕事のなかでも、本当にエキサイティングで充実感のあるものなのだが、物事にはかならず終わりがある。悲しいかな、すべてのスタートアップが明るく輝いて成功するとは限らない。いや、成功できない企業のほうが多いのが事実だ。

そこで、今年の締めくくりと、来年の期待を込めて、2018年に消えていったスタートアップを振り返ろう。

Airware(2011〜2018)

調達総額:1億1800万ドル(約130億円)

Airwareは、建築業、採掘作業、その他の設備の損傷の検査にドローンを使用している企業向けに、クラウド・ソフトウエアシステムを開発した。独自のドローンも開発したが、中国のDJIなどの大手メーカーには太刀打ちできなかった。

廃業は突然だった。三菱から投資を受けて提携し、東京にオフィスを開いてわずか4日後のことだ。同社の発表によれば、「残念ながら、我々が予想していたよりも市場の成長には時間がかかってしまいました。長期的な成功を睨み、要請に応じて方向性をさまざまに切り替えてきましたが、資金が底をついてしまいました」とのことだ。

Blippar(2011〜2018)

調達総額:1億3170万ドル(約145億1500万円)
Blipparは拡張現実(AR)市場の初期のパイオニアだったが、残念なことに、AR市場はまだ、主流産業に採用されるという望みを叶えるだけの力を備えていない。今年の初めに投資ラウンドを獲得しながら、新規顧客を探している間に資金がみるみる減ってしまった。

それに拍車をかけたのが、マレーシアの政府系ファンドKhazanahが500万ドル(約5億5000万円)の緊急投資に反対するという、株主による突然の事件だ。同社はブログにこう書いていた。「信じられないほど悲しく、残念で、不幸な結果となりました」

Bluesmart(2013〜2018)

調達総額:2560万ドル(約28億2000万円)

米連邦航空局がスマートスーツケースを禁止したことで、もっとも大きな被害を受けたのが、ニューヨークを拠点とし、5月に廃業を余儀なくされたこのスタートアップだろう。CEOのTomi Pierucciは、今年の初めに航空各社が新しい規則を適用し始めたことに対して、「完全なる茶番だ」と遠慮のない批判を行っていた。

Bluesmartの立場からすれば、彼は正しい。このスタートアップはデジタル機器が接続できるスーツケースにすべてを賭けていたが、飛行機にバッテリーパックを持ち込めない規則になってから、そのスーツケースは使えなくなった。同社はすべての販売と生産を停止し、残された技術とデザインと知的財産を、スーツケースの大手メーカーTravelProに売却した。

Doughbies(2014〜2018)

調達総額:76万ドル(約8400万円)

500 Starupsの支援を受けた、サンフランシスコを拠点とするクッキーの即日配達サービスDoughbiesは、7月、すぐに営業を中止すると発表し、すべてが砕け散った。理由は資金不足ではない。Coughbiesは儲かっていた。ただ、創設者のDaniel ConwayとMariam Khanが、別のことをしたくなったためだ。

TechCrunchのJosh Constineは、当時、Doughbiesは実際にはベンチャー投資を必要としておらず、適切な利益を生むためのプレッシャーが、Doughbiesにとって予想以上に重かったのではないかと話していた。さらば、Doughbies。

Lantern(2012〜2018)

調達総額:2150万ドル(約23億7000万円)

それ以前に失敗した数多くのスタートアップと同様、サンフランシスコを拠点とするLanternも、買収契約が成立しなかったことで廃業となった。心の健康を提供するこのスタートアップは、Nicholas Bui LeTourneauとAlejandro Foungによって設立され、ピッツバーグ大学医療センターのベンチャー部門、Mayfield、SoftTechVCといったベンチャー投資家から何百万ドルもの投資を受けていたが、企業としての目的を果たすことができなかった。

その目的とは、ストレスや不安や身体イメージに対処するための、認知行動療法の技術を利用した個人向けツールとして、モバイルアプリを提供することだった。今や多くのメンタルウェルネス系アプリがひしめくこの市場の先駆者だったLanternは、サービスを展開するのに十分な顧客を獲得できなかった。

Lighthouse AI(2014〜2018)

調達総額:1700万ドル(約18億7500万円)

スマート防犯カメラのメーカーLighthouse AIは、録画映像を自然言語処理システムで再生できる製品を提供するはずだった。しかし、その分野には数多くの製品が登場したおかげで、同社の製品は消費者の心を掴むことができなかったようだ。Lighthouse AIは今月、事業を停止すると発表した。

「高度なAIと3Dセンシングを使って、便利で簡単なインテリジェンスを家庭に届けるという、Lighthouseチームが成し遂げた画期的な仕事を、私は心から誇りに思っています」とCEOのAlex Teichmanは書いている。「残念ながら、私たちは期待していたとおりの商業的な成功を収めることができず、近い将来、事業をたたむことになりました」

Mayfield Robotics(2015〜2018)

調達総額:不明

もともとBoschの一部だったMayfieldは、かわいいホームロボットKuriを開発した。しかし、7月、同社はKuriの生産を中止すると発表し、続けて、事業を完全に停止すると発表した。

「私たちは残念でなりません」と同社はブログに書いている。「私たちは、この4年間、ともにKuriをデザインし作ってきたきただけではありません。それと同じぐらい素晴らしい企業文化と精神を育ててきました」

Rethink Robotics(2008〜2018)

調達総額:1億4950万ドル(約164億9000万円)

産業用ロボット業界の立役者であったRethinkは、iRobotの共同創設者Rod BrooksとMITコンピューター科学人工知能研究所の元主任研究員Ann Whittakerによって設立された。ボストンに拠点を起くこのスタートアップは、BaxterやSawyerといったロボットを生み出したことで、協働と教育の両方のロボティクス分野でもっとも重要な企業に成長した。

しかし残念なことに、この企業も、ロボティクス系スタートアップの起業は難しいことを示す証拠のひとつになってしまった。卓越した頭脳と1億5000万ドル近い資金を得ながらも、事業を順調に進めるだけの十分な利益を生み出すことはできなかった。最後の頼みの綱だった売却契約も成立せず、Rethinkは、10月、廃業に追い込まれた

Theranos(2003〜2018)

調達総額:14億ドル(約1544億円)

これほどドラマチックなスタートアップ物語はないだろう。正式に廃業するまでの間に、Theranosは本になり、ドキュメンタリーになり、Adam McKay監督による長編映画にもなった。創設者のElizabeth Holmes役は、ジェニファー・ローレンスが演じた。Holmesは、2003年、血液検査に革新を起こそうとこの会社を立ち上げた。そして31歳で、彼女は世界一若い叩き上げの億万長者になった。

Theranosは14億ドル(約1544億円)を調達し、ピーク時の評価額は100億ドルにのぼった。2015年、医療専門家から同社の方式に批判が集まり、翌年、米証券取引委員会が調査を開始。最終的に「大規模な詐欺」として起訴された。9月、ついに同社は解散を発表し、Holmesは50万ドル(約5500万円)の罰金を支払うことに合意した。さらに彼女は、今後10年間、公開企業での役員または取締役になることが禁止された。

Shyp(2013〜2018)

調達総額:6200万ドル(約68億4000万円)

評価額2億5000万ドル(約275億7000万円)、一流の投資家(Kleiner Perkins、Slow Ventures)から資本を与えられたShypだが、オンデマンド運送業の解散は止められなかった。サンフランシスコを拠点とし、オンデマンドの運送会社として大きなハイプサイクルを起こそうと、ベンチャー投資家からいくつものラウンド投資を受けたスタートアップだったが、サンフランシスコ湾岸地域から外へ事業を拡大することができなかった

「今日まで、200年続いたこの業界に戦いを挑んだ気力あふれる社員たちを、大いに尊敬しています」とCEOのKevin Gibbonは、その時点で書いている。「しかし、何がなんでも成長しようとすれば、罠にはまります。たくさんのスタートアップが落ちていきました。私の会社もです」

Telltale Games(2005〜2018)

調達総額:5440万ドル(約60億円)

何年間にもわたり、Telltale Gamesはアドベンチャーゲームの再開発に成功したように見えた。『ウォーキングデッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』や『バットマン』といったビッグタイトルで、物語の展開にプレイヤーの選択が大きく関与するゲームを作ってきた。Netflixと提携して、『マイクラフト:ストーリーモード』もストリーム配信していた。

しかしこの会社には、長年にわたり業務上の問題があったようだ。2017年11月には90名の社員が解雇され、今年の9月にはさらに250名が解雇された。最小限の社員でNetflix向けの仕事は仕上げたが、Telltaleは死んでいるように見える。その社員も退職金なしで解雇され、これまでに伝えられていたブラックぶりに毒が上塗りされた。

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(翻訳:金井哲夫)

Twitterの新機能が「iPhone vs Android」戦争を再燃させている

Twitterの最新機能がiOSとAndroidオーナー間のネット論争を再燃させている。

米国ソーシャルメディア会社の最新追加機能は、ツイートがどのアプリから送られてきたかをちょっとした情報だ。同社はユーザーがツイートしたのがウェブからかモバイルからか、モバイルならTwitterのiOSアプリかAndroidアプリか、あるいはサードパーティーのサービスなのかを表示する

この機能は——今月Twitterのモバイルアプリで静かに公開されたが、TweetDeckアプリにはずっと前からある——CEO Jack Dorseyが発表して以来賛否両論を呼んでいた。

あるユーザーがモバイルにいるのかサードパーティーアプリを使っているのかがわかることで詳しい状況がわかると歓迎する人たちがいる一方、iOSファンとAndroidファンのライバル意識を高めるだけの不必要な情報だと信じる人たちもいる。

実はこの機能は新しいものではない。去る2012年——6年前になる——Twitterはこの情報を削除した。異なるデバイス間のユーザーを統一し、サービスの閲覧体験に集中させるための変更で、公式アプリの利用を促進して広告対象者を増やす目的もあった。

あれは遠い昔のことで——TechCrunch編集長のMatthew Panzarinoこのことについて記事を書いた当時、彼と私はまだ別の出版社で一緒に仕事をしていた——Twitterはその後大きく変わりユーザー数は3.3億人へと大きく成長した。

2012年当時、上場を控えたTwitterはユーザーの間で人気のあったサードパーティーアプリをコントロールして自社の広告力を強化しようとしていた。 TwitterのIPOは2013年に実施され、実際多くのユーザーを自社アプリに呼び込んだが、デベロッパーの扱いはひどく、現在はごくわずかなサードパーティーアプリしか残っていない。独立アプリは伝統的に公式アプリよりもデザインに優れ機能も多いためユーザーは数多く、Twitterの弱点の一つだった。今や多くのアプリが終了し、Twitterの公式アプリが支配している。

多くのTwitterユーザーがこうした内情を知らないであろうことを考えると、端末の詳細を表示することに懸念を示すユーザーがいることは興味深い。実際、多くのAndroidユーザーは、新機能によって自分たちのデバイスが「露出する」ことを悲しんでいる。

以下にツイートの例を挙げておく:

まだまだある——ここでもっと見られる。しかしどうやら多くの人たちにとって、iPhoneは未だにAndroidに対する究極のステータスシンボルらしい——Samsung、Huawei、さらにはXiaomi、OppoといったAndroidの新規参入者たちの努力にも関わらず。

これでモバイルの2つの部族間の論争が激化する可能性がある一方、新機能によって、ブランドやアンバサダーが「間違った」端末を使っていることが暴露されている。著名なところでは、LGがスポンサーの韓国男子バンドがiPhoneを使っていたApple MusicチームがAndroid端末からツイートしたケースが見つかっている。こうしたミスマッチが突然ずっと簡単に見つかるようになった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テクノロジー・スタートアップは景気後退に備えよ――今やるべきことはこれだ

流れが変わる速さには驚かされる。数ヶ月前にわれわれはテクノロジー・ブームの真っ只中にいて、この好景気は永遠に続くようにみえた。 いまやリセッションを予告すると考えられる逆イールドカーブが現れ、市場は全面的に弱気だ。Google Trendsを開けばまさにこの“recession”という単語の検索回数が2008年から9年にかけての金融危機年以来最大となっている。世界の専門家がほぼ全員一致で近く景気後退があると予測している。

(Bloomberg記事) Lux Parnersのパートナー、Bilal Zuberiは「ある程度の景気後退が起きるのは100%確実だと考えている。大きな調整局面となるだろう」と述べ、スタートアップに対してコストカット、財務報告の厳密化の徹底(もしまだやっていないなら)を勧め、さらに今のうちに資金調達を行うべきだとしている。Zuberiはまた「キャッシュを十分に確保しておかねばならない。これは準備不足のライバルが会社や資産を売りに出す場合があり得るからだ」と述べている。

ではその景気後退はいつ起きるのだろうか? もちろん正確なことを予測するすべはないが、専門家は2019年下期から2020年上期あたりだろうと言っている。悲観的な筋(大勢のCEOを含む)はもっと早いと考えている。ではこの景気後退がテクノロジー分野に与える影響は? いい質問だ。

実はテクノロジー分野はバブル破裂に強い。景気のダウンから利益を得ることさえある。2008年の経済危機でも悲観的専門家は「テクノロジー産業の反映は終焉迎える」と警告した。スマートマネーの代表、Sequoia CapitalでさえR.I.P. Good Times(良き時代よ、安らかに眠れ)という長いスライドを作って運命の暗転を警告した。しかしこの予言が失敗に終わったことは誰もが覚えている。

一方、「ソフトウェアが世界を食い尽くす」現在、すべての産業はソフトウェア産業になりつつあるので景気後退はこのシフトを加速する」という理論がある。こうした過激なディスラプトによって苦しめられる個人の数を考えると無条件に喜ぶことはためらわれる。しかし一部の起業家はこのプロセスから利益を得るし、長期的かつマクロの観点からはこうした展開はあり得る。景気後退は隕石の衝突のようなもので、それが恐竜を滅ぼし、身軽な哺乳類―ソフトウェア企業―の繁栄をもたらすかもしれない。

仮にこうした理論が事実であっても、多数の個別企業が激しく揺さぶられることは間違いない。起業家は支出を抑えることが至上命題となる。長期的には大きな価値を生む可能性があるが、短期的には利益を生まないプロジェクトはまっさきにコストカットの対象になるだろう。消費者は財布の紐を固く締めるようになるだろうし、アプリを購入したり広告をクリックしたりする回数は現象するだろう。誰もが万一に備えてキャッシュを後生大事と抱え込み、リスクの大きい投資をしなくなるだろう。

大きな打撃となるのは、資金の流れが細るということより、マインドセットが後ろ向きになることだ。SF作家のブルース・スターリングは住宅抵当証券の破綻に始まった2008年の金融危機について、「興味ある点は、物理的存在にはまったく何の変化もなかったのに、われわれは突然希望の世界から絶望の世界に投げ込まれたことだ」と観察している。予想される景気後退も、理論的にはハイテク産業には大きな悪影響を与えないかもしれない。考えられないことだが、仮にGDPが10%減少するといった事態になっても、軍閥とミュータントが跳梁するマッドマックスの荒野が出現するわけではない。しかしわれわれは成長する世界にあまりに深く慣らされているため、単なるスタグネーションでも大災害のように感じられるかもしれない。

なすべきことは明らかだ。景気後退は間違いなく起きる。これには災害とチャンスの両面がある。その割合は個人や企業の置かれた状況によっても、またその備えによっても異なる。背伸びをしてはならない。(必要以上の)借金をしてはならない。パニックに陥ってはならない。なるほど新しいプロジェクトをスタートさせたり会社をピボットしたりするには適さない時期を迎えるかもしれない。しかし、好むと好まざるとによらず、「世界を食い尽くす」ソフトウェア産業は産業構造の食物連鎖の最上位にいる。隕石の衝突は避けられないだろうが、明るい側面も存在する。われわれは自他の利益のためにできるだけの努力をすべきだろう。

画像:Pixabay (opens in a new window) under a CC0 (opens in a new window) license.

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滑川海彦@Facebook Google+

2019年に株式公開しそうなユニコーン企業5社はこれだ(UberとLyftのぞく)

UberLyftが2019年の早い段階に予定しているIPOに関するファンファーレは十分すぎるほど聞こえてくる。というのも、この2社は12月初め、米国証券取引委員会にIPOの書類を提出した。加えて、2019年のIPOが噂されているSlackとPinterestについてもパブリックそしてプライベートの投資家がさかんに話題にしている。しかしこうした企業だけが、来年我々が目にすることになる“ユニコーン”のイグジットではない。

データプロバイダーCB Insightsが、同社の企業評価アルゴリズムを使って、最新テックIPOレポートで来年最もIPOしそうな10億ドル企業5社をランクづけしている。このアルゴリズムでは、雇用活動やウェブトラフィック、モバイルアプリデータを含む、従来のものとは異なるパブリックシグナルを活用している。下記にあるのが、そのリストのトップにくるスタートアップだ。

Peloton

フィットネス業界のNetflixと呼ばれるPelotonは、John Foleyによって設立されて以来、6年間でベンチャーキャピタル投資で10億ドルを調達した。直近では5億5000万ドルを調達し、評価額40億ドルになった。テクノロジーを使ったエクササイズ用具のこのメーカーは毎年、規模を倍以上に成長させていて、ベンチャーが後ろ盾になっているという珍しい性質を備えながら不気味にも利益をあげている。ニューヨークに本部を置く。Pelotonは特にIPO計画を持っていないが、Foleyは最近ウォール・ストリートジャーナルに対し、株式市場デビューするのに2019年というのは“大いにあり得る”と述べている。

投資会社:L Catterton, True Ventures,  Tiger Global

Cloudflare

サイバーセキュリティのユニコーンCloudflareは、2019年上半期に株式公開しそうだ。2019年はセキュリティ産業においてIPOで賑わう年になる。このウェブパフォーマンスとセキュリティのプラットフォーム会社は、2015年に行なった最後の資金調達で評価額18億ドルとなったが、評価額35億ドル超を期待しているIPOを準備しているとされている。2009年に創業されて以来、サンフランシスコに拠点を置き、VCファンディングで2億5000万ドル超を調達した。もう一つのセキュリティユニコーンCrowdStrikeもまた来年株式公開する見込みで、IllumioやLookoutが同様に株式公開するのも何ら驚きではない。

投資会社:Pelion Venture Partners、NEA, Venrock

Zoom

これまでにVCで1億6000万ドルを調達している、ビデオ会議サービス、オンラインミーティング、グループメッセージツールなどのプロバイダーZoomは2019年に数十億ドルのIPOをねらっていて、引受会社としてモルガン・スタンレーを選んだと報道されている。2011年に創業され、最近のシリーズDで1億ドル(そのほとんどがSequoiaによる)を調達し、2017年初期の評価額は10億ドルだった。カリフォルニア州サンノゼに拠点を置き、ロイターによると、同社はIPOにより10億ドルよりもかなり大きな評価額を獲得することを期待している。

投資会社:Sequoia、Emergence Capital Partners、Horizons Ventures

Rubrik

データ管理会社Rubrikは、間もなくのIPを示唆する密かな動きをとっている。企業向けにクラウド、オンプレミス環境でのデータバックアップとリカバリーサービスを提供しているこのスタートアップは今年初め、Atlassianの前CFOMurray DemoをCFOとして、またPeter McGoffを初の最高法務責任者として迎えた。パロアルトに拠点を置くRubrikは2017年に実施したラウンドで1億8000万ドルを調達し、評価額が10億ドル超になった。同社はこれまでに3億ドル近くを調達している。

投資会社:Lightspeed Venture Partners、Greylock, Khosla Ventures

Medallia

創業20年近くになるカスタマーエクスペリエンス管理プラットフォームのMedalliaもとうとう2019年に公開会社になりそうだ。カリフォルニア州サンマテオ拠点のMedalliaはここ数年、IPOを計画していると噂されていたが、今年新たなCEOを置き、Forbesによると、2018年1月31日までのGAAPでの年間売上は2億5000万ドルだった。Medalliaは2015年に1億5000万ドルの資金を調達して評価額は12億ドルになったが、それ以来、資金調達は行なっていない。累計の資金調達額は2億5000万ドルにとどまっている。

投資会社:Sequoia


イメージクレジット: Peloton

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(翻訳:Mizoguchi)

Juulはいかにして人びとを電子タバコの煙に巻いて、380億ドルもの価値を生み出したのか

中毒性のあるプロダクトデザインの秘訣

Juulはタバコではない。それよりずっと手軽なものだ。以下に説明する悪魔的に巧みな製品デザインによって、このスタートアップは人がニコチンの虜になる障壁を大幅に引き下げた。Juulはタバコを一服する道に立ちふさがる、あらゆる障壁を解体したのだ。

その結果は、先週行われたマルボロ(タバコの銘柄)の製造者であるAltriaからの128億ドルの投資を受けて、新しい評価額が380億ドルになったことや、爆発的に広がるティーンエージャーやその他の世代の間での、電子タバコ習慣の広がりとして現れている。ゲームはゲームを知る。この場合Altriaのゲームとはニコチン中毒である。AltriaはJuulの戦術に一歩先行されたことをよく認識していたために、自身の時価総額の10分の1以上の資金を、現金でスタートアップに投資することによって、自身の地位を守ろうとしているのだ。

Juulは、人びとを明らかに危険性のある本物の喫煙習慣から、より健康的だと考えられている電子タバコへと切り替える手助けをできると主張している。しかし実際には、その小さなアルミニウム製のデバイスは、これまで何も吸っていなかった人びとが電子タバコを吸うようになることを助けている…その中にはやがて実際のタバコの喫煙を始める者も出てくるだろう。ある研究では、これを通してタバコを始める人のほうが、タバコを止める人よりも多いことが示されている。その報告によれば、2015年には2070人の喫煙成人が電子タバコのおかげで実際の喫煙を止めているが、その一方で電子タバコを使ったティーンや若者のうちの16万8000人が日常で本物のタバコ喫煙を始めたと推定している。

写真:Gabby Jones / Bloomberg via Getty Images

Juulはどれほどの速さで全国に広まったのだろうか?調査会社のNielsenによれば、昨年9月に米国電子タバコ市場の27%を占めていたJuulは、現在75%のシェアを占めていると言う。それからの1年で、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は過去30日間に電子タバコを利用した高校生の割合が75パーセント増加したと言う。それは10代の中の300万人、あるいは全高校生のおよそ20%に相当する数だ。CNBCによれば、2018年のJuulの収益は約15億ドルになりそうだ。

健康への影響はさておき、Juulは生涯続く悪習慣を身に付けることを途轍もなく容易にする。親たち、規制当局、そして潜在的電子タバコ利用候補者たちは、この先Juulの誘惑を抑えたいという希望を持っているならば、なぜJuulがこれほど成功したのかを理解する必要がある。

共有可能性

初めてタバコを試すのは大変だ。熱と煙で喉が焼ける。味は不快で圧倒的だ。匂いが吸うものの指と服を覆い、喫煙者としてマークされる。タバコを無駄にしないように、丸々1本を吸い切らせる圧力を感じる。たとえ友人のタバコを試そうとしているときでも、まずは1本に火を点ける必要がある。そして、より大型の最新型の電子タバコ(温度や味をカスタマイズできる)とは違い、Juulは吸う者を間抜けな電子タバコ中毒者には見せないという特徴がある。

Juulは喉にとって普通のタバコよりもはるかに優しい。味はより穏やかで、それも様々な風味で隠すことができる。蒸気はそれほど迅速にあなたを染め上げたりしない。バーで友人のJuulを一吸いさせて貰うことも可能だし、吸い始めた後でも気にすることなくいつでも中断することができる。エレガントで分離可能な形状は、利用者をヘビーな電子タバコユーザーには見せることがない。とてもカジュアルだ。それでも、公共の場における、利用者の仕草や人びとが吐き出す「煙」は、「それって何?ちょっと試してもいい?」という質問を引き出すのには十分だ。デバイスの普及に拍車をかけたニコチン供給機を、メディアで持ち上げた、JuulのミームとInstagram Storiesについて書かれた記事も、沢山存在している。

そしておそらくとても狡猾なのは、電子タバコはより健康に見える点だ。生まれてからずっと続いている禁煙広告とタバコの害を訴えるラベルは、私たちの脳髄に危険性を深く埋め込んでいる。だが、少量の蒸気がどれほどの害をおよぼし与えうるのだろうか?まあ、蒸気中のニコチンや他の化学物質は、血管の柔軟性を損ない、動脈硬化を促し、血圧と心拍数を増し、そして肺胞マクロファージに対して有毒であることによって肺を傷つける。たとえタバコほど悪くないとしても、それでも蒸気を吸うことは危険だ。そしてそれは必ずしも人に禁煙をさせる力があるわけでははない。

ある研究によれば、電子タバコを吸い始めた喫煙者のうち、実際にタバコを1年後に止めた者はわずかに10%だった。一度もタバコを吸ったことがなかった私の友人は、今では毎日1パックのJuulを消費していると私に語る。誰かが彼に、ナイトクラブで、一服試してみるように勧めたのだ。すぐに彼は他人にJuulをねだるようになった。やがて自分でそれを買い、それから決して振り返らないままだ。彼はこれまでパーティでずっとタバコの煙に囲まれていたが、決して自分でそれに手を出すことはなかった。Juulは抵抗する力をやすやすと奪ったのだ。

隠蔽可能性

タバコに火をつける行為は、多くの場所で禁止されている目立つ行為だ。これに対してJuulからちびちびと吸い込む行為はそれほどのものではない。

紙巻タバコはしばしば室内で喫煙することを禁じられている。それを隠すのは至難の業だし、下手をすると追い出されてしまうことになる。吸い始めるためにはライターを手に持って火を扱う必要がある。それらはポケットの中で潰れたり湿ったりするかもしれない。先端が燃えているために狭い場所では手に負えないものとなり、先端の火や落ちる灰はカーペットにダメージを与え、汚してしまうかもしれない。紙巻きタバコを吸うのは、どうしても紙巻きタバコを吸いたいからだ。

公的機関は、いまだにJuulsや他の電子タバコをどう扱うべきかを決めかねている。喫煙を禁止している多くの場所は、電子タバコに対する明示的な禁止を行っていない。匂いの少ない蒸気と、あまり目立たない動きによって、それを隠すのは実際簡単である。飛行機でも、知らん顔をして試して、もし咎められても規則を知らなかったのだと言うかもしれない。金属製のスティックは壊れにくい。誰も焦がすことはない。灰皿も不要だし、上着やソファに穴をあけるようなドジを踏むこともない。

バッテリーが充電されている限り、余計な道具は不要だ。そしてライターのようなもので誰かの注意を引くこともない。バッテリーの寿命を普通の喫煙者は心配することはないが、ヘビージューラー(heavy Juuler)にとっては主要な関心事だ。だがいまやJuulをいつでも使えるようにするために大きな携帯充電器を持ち歩いている人たちがいることを私は知っている。しかし、助け合いネットワーク現象も生まれつつある。iPhoneのコードと同じように、Juulsは他のユーザーからバッテリースティックや充電器を借りることができるくらい一般的になりつつある。

そして、多くも少なくも、好きなだけ何服でもできるために、Juulを無意識のうちにいつでも使うことになる。机の前で、ダンスフロアの上で、運転しながら、そしてベッドの中でさえ。友人の姪と甥は、クラスの10代の同級生たちが、袖口に隠しながらJuulを吸うところを見たと言う。数学の授業中に本物のタバコを吸うほど厚かましい子供はいないだろうに。

配布可能性

ジレットは素晴らしいカミソリとカミソリ刃のビジネスモデルを開拓した。時々割り引かれるカミソリ本体を買う、すると高価な専用カミソリ刃を買い続けなければならない。Dollar Shave Clubは、消耗品のカミソリ刃を自宅に届けるサブスクリプションモデルを提供することで、この戦略をレベルアップした。Juulはこの両者を、物理的に中毒性のある製品と組み合わせているのだ。

タバコを一箱吸い終わったならば、喫煙を止めることができるかもしれない。何も残っていないからだ。しかしJuulの場合には電子タバコパックを吸い終わったとしても、35ドルのバッテリーパックが後に残される。先行投資を回収するためだと、パックを買い続けさせて、Juulエコシステムに利用者を留めようとする誤った考えが存在している。

写真:Scott Olson/Getty Images

タバコと比較した場合の、Juulの唯一の普及阻害要素は、まだどこにでもあるわけではないということだ。タバコを売っている店舗にも、まだ取り扱っていない場所もある。しかし、ますます多くの店がそれらを扱い始めていて、Altriaの後押しによってそれは広まって行くことだろう。そしてJuulは「自動発送」オプションを提供している。これは4パックで16ドルの商品から2ドルを割引してくれるオプションで、こうなると自分で購入することを考える必要すらなくなるのだ。止めるきっかけを得られるだろうか?まあ、パックは次々に手に入るのだから、それをただ使って行くことになるのだろう。規制によるものか、イノベーション不足なのかは知らないが、私は従来のタバコのサブスクリプション配送オプションを見つけることはできなかった。

そして、JuulsやJuulパックを違法に購入したい未成年者たちにとっては、その小さなサイズは密かに購入したり、転売したりすることを容易にする。最近放送されたサウスパークのエピソードでは、小学4年生の複数の競合するシンジケートが、Juulパックをさらに幼い子どもたちに売っていた。

恥ずべき振る舞い

Juulの共同創業者James Monseesは、San Jose Mercury Newsに対して次のように語っている「最初の段階は、その価値を証明して、タバコを時代遅れにする製品を生み出すことです」。だが、彼は決してJuulはニコチンを時代遅れにしたり、中毒者の数を減らしたいとは言っていないことに注意して欲しい。

Juulの共同創業者James Monsees

もしJuulが本当に中毒との闘いを気にかけているのなら、ニコチンから利用者を引き離すための処方を提供するだろう。だが同社は、人が止めることを助けるような、低用量あるいは無用量のパックを販売してはいない。米国では、5%と3%のニコチンバージョンしか販売していないのだ。イスラエルのような最大用量に対する法的規制のある国に対しては、1.7%のパックを製造しているが、それを米国内で販売することは拒否している。最大のタバコ会社のうちの1社から120億ドル以上を調達したことを思うと、そのミッションステートメントも虚しく響く。

Juulは死のスティックビジネスに他ならないが、AppleやFacebookが得意とするような、プロダクトデザインと口コミの力で支えられているのだ。

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(翻訳:sako)

1月のCESに行くならTCミートアップを予約しよう――暗号化テクノロジーのハードがテーマ

新年早々、ラスベガスで開催されるCES 2019に参加予定の読者も多いだろう。TechCrunchはこの機会にスタートアップがプレゼンをするミニイベントを計画している。テーマは暗号テクノロジーを中心にしたハードウェアだ。コ・ワーキングサービス、Work In Progressの好意で200人のオーディエンスを収容できるスペースを確保した。

会場はWork In Progress, 317 South 6th Street Las Vegas、 日時は2019年1月9日(水)6:00 PM – 9:00PM(太平洋時間)。

ラスベガスのダウンタウン、フリーモントストリートエクスペリエンスの近くで、チケットは無料だが200枚しか用意できない。 先着順なので興味があるなら早めにチェックすることをお勧めする。予約はこちらから

このイベントでは各チーム3分、10チーム分の枠が用意されているので、応募多数の場合はわれわれの方でチームを選ぶことになる。ハードウェア・イベントなので実物を持参できることが望ましい。スライドの利用は禁止。ピッチ希望者はこちらの書式に記入して申し込む。選ばれたチームにはこちらから連絡する。

ではラスベガスでお会いしましょう。

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滑川海彦@Facebook Google+

中国での相次ぐ値下げと失われる税額控除の弁済などでTeslaの株価は7.6%下がる

月曜日(米国時間12/24)はアメリカの株式市場にとって厳しい一日だったが、中でもTeslaの株はひどかった。Teslaが中国でModel 3を値下げし、またCEOのElon Muskが、Model 3の遅れによって税額控除の期限に間に合わなかった顧客には弁済すると約束してから、株価は7.6%下げた

週末のロイターの記事によると、Teslaの中国のWebサイトにおけるModel 3の価格は最大7.6%下げられ、最低価格は49万9000人民元(約7万2000ドル)になった。それは11月以来三度目の、中国におけるTesla車の値下げだった。

最初は11月で、Model XとModel Sが12から26%値下げされ、それは“関税の相当部分を吸収して中国の顧客にとって買いやすい値段にするため”、とされた。そして今月は、Model XとModel Sが再び値下げされ、それは中国がアメリカ車とアメリカ製自動車部品の関税を25%に上げることを一時的に保留にし、両国が貿易戦争の休戦モードに入ったため、とされた。

10月にTeslaは同社のサイトで、アメリカの顧客がModel S, Model X, またはModel 3を10月15日までに必要とし、それによる全額7500ドルの税額控除を求めていたとき、それが2019年1月1日から6月30日までに納品されたら税額控除は半額の3750ドルになる、と発表した(生産台数が高額控除の対象台数をオーバーするため)。

日曜日(米国時間12/23)にMuskは、質問に答えるツイートで、12月より前のオーダーが年内に納品されなければTeslaは失われる税額控除ぶんを弁済する、と述べた。

生産と納品が何か月も遅れていたTeslaは、今年の第三四半期にModel 3のオーダーの対応を加速した。それにより全部で83500台の車が納品され、内55840台はModel 3だった。

画像クレジット: Tesla

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2019年に注目すべきスマートフォンのトップトレンド

今年は、スマートフォンにとって良い年ではなかった。なにしろ、とどまるところを知らないと見られていた成長に、初めて陰りが見られたのだ。

まず2月には、Gartnerの調査がこのカテゴリを扱うようになってから初めて、前年比での減少を記録するという、幸先の悪いスタートとなった。強大なAppleでさえ、そのトレンドから逃れられなかった。そして先週には、影響力の強いアナリストMing-Chi Kuoが2019年の売上予想を引き下げたため、株価も打撃を受けた。

人々は、以前ほど頻繁には買い替えたがらなくなっただけだ。これは、フラグシップモデルのできが、どのメーカーのものを見ても、かなり良くなっていることと無関係ではない。多くのメーカーがしのぎを削って戦い続けてきた結果、自分で自分の首を締めることになったとも言える。継続的に買い換えなければならないような差し迫った理由は、もはやなくなってしまった。

もちろん、だからと言って、メーカーは戦いを止めるわけにはいかない。来年には、カメラのような、いわば通常のアップグレードに加えて、スマートフォンの「形状」に対する根本的な発想の転換、さらには5Gへの最初の試みも、いくらかは期待できそうだ。

もし運が良ければ、さらにいくつかの驚きもあるかもしれないが、以下に挙げるトレンドは、2019年の既定路線と考えていいだろう。

5G

中国広州−12月6日:2018年12月6日に、中国は広東省広州のPoly Worldトレードセンター展示ホールで開催されたChina Mobile Global Partner Conference 2018のQualcommのブースで、5G携帯電話を注視する参加者。3日間のカンファレンスは、5Gネットワークをテーマにして、木曜日に始まった。(写真は、Getty Images上のVCG/VCGによるもの)

これについては、しばらく放って置く方がいいかもしれない。ちょっと変な話ではあるが、多くの出版物が、2019年は「5Gの年」であると言いたがっている。しかしそれらはみんなフライングだ。とはいえ、来年には5G携帯電話の最初の波を見ることになるのは確かだ。

OnePlusとLGは、5G携帯電話を約束した。Samsungは、やはりSamsungらしく、その後その2社に追従することを発表した。さらにVerizonも5GのMiFiを確約し、HTCとSprintも、何だこれは、というものを発表した。

他社は、特に目立つのはAppleだが、それらの列に加わっていない。この会社は、2020年までに5G携帯電話を発売することはないと見られている。それでは、進化から取り残されてしまうと思われるかもしれないが、実は5Gというのは、マーケティング上の戦略としてこの世に登場したのだ。5Gが完全に機能するようになれば、スマートフォンや、それに続くものに対して、革新的な素晴らしい技術となる潜在能力を持っている。そして、いくつかのキャリアは、来年初めにも米国内で5Gのサービスを開始すると発表しているものの(AT&Tでさえ、フライングしている)、実際にユーザーが使う携帯電話は、より多くの時間、4Gで接続されることになりそうだ。

つまり、5Gのカバーエリアが広がるまでは、ほとんど利用しない機能ために、高額の利用料金を支払うことになる。もちろん、だからといって、ハードウェアメーカー、コンポーネントの製造会社、それと手を組むキャリアが、そうしたデバイスをできるだけ早く市場に投入するのを止めようとするはずはない。余計な出費をする前に、自分のキャリアのカバーエリアの地図を確認した方がいいだろう。

折りたたみ式


これまでに、2機種が発表された。しかし実際には1つ半といったところだろう。スマートフォンメーカーは、次の目玉を見つけ出そうと躍起になっているので、さらに何機種かを見ることになるのは間違いない。何年も待たされたあげく、これまでに登場した折りたたみ式の携帯電話は、がっかりさせられるようなものだった。

Royoleは魅力的だが、その実用化にはまだ足りないものがある。Samsungのプロトタイプは、当分の間、やはりプロトタイプに過ぎない。同社は、それを最近の開発者会議の中心に据えていたが、具体的な製品化を明らかにすることはできなかった。なぜなら、まだ完成した製品を発表するための準備ができていないからだ。

長年期待を集めてきた技術が、ようやく消費者向けとしての準備を整えた今、いくつかの会社が、さまざまな形状の製品を模索していることに期待してもいいだろう。状況から考えて、GoogleがSamsungと協力して、その形状に合わせたAndroidのバージョンを開発したことは間違いない。ちょうどAndroid Pieがディスプレイ上部のノッチに対応したのと同様だ。

もちろん、5Gと同じように、こうした折りたたみ式の製品にも特別高い価格が付けられるだろう。しかし初期の目新しさがなくなったとき、そうした製品が人生に不可欠であると消費者に納得させることは、かなり難しい課題となる。

ピンホール


ベゼルは忌み嫌われている。良かれ悪しかれ、ノッチはフラグシップのスマートフォンの主流となっている。実際に誰もが(Samsungを除いて)、エッジ・トゥ・エッジを実現するために、その切り欠きを採用している。Googleでさえ、それをAndroidに取り込んだ(世の中にノッチを普及させておきながら、Pixel 3 XLは一段と高いところから見下ろしているようだが)。

Oppoのポップアップカメラのような、巧妙な代替策も登場しているし、さらにいくつかが続くだろう。Huawei Nova 4のように、ディスプレイにピンホールを開けたデザインは、大多数のカメラメーカーにとって、より合理的な選択肢のように見える。

埋め込み指紋認証


全面ディスプレイへの競争の側面には、指紋認証をどうするかという問題もある。いくつかの会社は、それを背面に移動した。また別の会社、たとえばAppleは、顔認証を採用することで、指紋認証は廃止した。もちろん、そうした技術は、顔の完全な3Dデータを登録できない限り、かなり簡単にごまかすことができる。そのため、指紋認識がすぐに廃れてしまうことはない。

OnePlusの6Tは、ディスプレイ内蔵の指紋認証を市場に投入した最初の製品となった。それは非常にうまく機能している。その技術の仕組みは以下の通りだ(数ヶ月前の私自身の記事から引用)。

画面がロックされると、どこを押すべきかを示す指紋アイコンがポップアップ表示される。指が正しい位置に置かれると、AMOLEDディスプレイが強く発光し、指の表面からの反射光によってスキャンする。メーカーは、0.3秒ほどでスキャンが完了するとしているが、私自身のテストでは1秒近くかかった。親指を適切な位置まで動かす時間を含めれば、もっとかかることもあった。

2月ごろに発売される予定のSamsungのS10も、その技術を採用すると言われている。そして、他の多くのメーカーがそれに追従したとしても、まったく驚くには値しない。

カメラ、カメラ、カメラ(そして、カメラ)


背面カメラの合理的な最大数はいくつだろうか? 2つ? 3つ? 数ヶ月前にリークされたNokiaのモデルが搭載する5台のカメラというのはどうだろう? 電話機が脇役になって、カメラが主役になるのはいつなのだろうか? このまま多くのメーカーが写真で差別化しようとし続ければ、やがて存続の危機に対処しなければならないような事態にもなりかねない。

最近のスマートフォンのカメラは、どこを見渡しても非常に優れているので、シンプルな解決策は、単純に数を増やす、ということになる。LGの最新モデルは、数を増やすことがどれだけ効果的であるかを示す、好例となっている。そのV40 ThinQは、前面カメラを2つ、背面カメラを3つ備えている。背面の3つは、標準、超広角、そして2倍の光学ズームレンズとなっている。スマートフォンは薄いので、1種類のカメラでは十分な光学ズーム性能を実現し難いが、3種類用意して、それぞれ異なるなるタイプの画像を撮影しようというわけだ。

それとは反対に、既存の部品を使いながら、よりよい写真が撮れるようなソフトウェアの開発に、それなりの投資をしている会社もある。AppleとGoogleは、ちょっとしたAIと機械学習の採用でも、写真撮影をどれほど向上させられるかを、いずれも最新のモデルで実証した。そうした技術は、特に非常に暗い場所での撮影と、ズーム機能に大きな効果を発揮する。

画像クレジット:Otto Steininger/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

英国警察、空港ドローン事件の容疑者を解放。ドローンが存在しなかった可能性を認める

謎のドローンが英国第二の空港でフライトを妨害し14万人のクリスマス旅行計画を大混乱させた事件から一週間足らず、警察は実際にはドローンなどいなかった可能性があることを認めた。

一日間の閉鎖のあとガトウィック空港は再開したが、捜査員らは実際何が起きたのかを解明するにはほど遠いままだ。

The Guardianによると、警察は拘束していた容疑者カップルを解放し容疑を晴らしたが、上級広報官は、「そもそもドローンの飛行活動はなかった可能性がある」と語った。

警察は目撃者——正確には67名——に頼っている状態で、証言を組み合わせて何が起きたかを探っている。先週BBCは、水曜日遅くに2台のドローンが「境界のフェンスを越えて滑走路付近」に侵入するところを通行人が目撃し、木曜日午前に3台目も発見されたと報じた。滑走路は水曜日の晩から木曜日の午前まで約6時間にわたって閉鎖され、3台目のドローンが目撃されたとされたあと、完全閉鎖された。

日曜日の晩、警察は容疑者のエレイン・カーク氏とポール・ゲイト氏を事件に無関係であると結論を下し解放した。この逮捕によって英国の新聞や解説者は、送検すらされる前からふたりを非難した。The Mail on Sudayは彼らが「クリスマスを台無しにした」と責め、テレビ司会者で元タブロイド記者のPiers Morganは、カークとゲイトに「道化師」のレッテルを貼ったことを謝罪させられた。

誤認逮捕で道を誤った警察は、空港北部で墜落し破損したドローンが回収されたあとも多くの仕事が残っている。現在は誰が操縦していたのかを示す痕跡を調査しているところだと The Guardianは書いている。

先週解説したとおり、英国には空港近くでドローンを飛ばすことに関する専用の法律があるが、正確に何が起きたかは未だ明らかになっていない。

英国は今年、空港から1 km 以内でのドローン飛行を違法とする修正を現行法に付け加えた。

5ヶ月前の安全に焦点を当てた法改訂でも、高度400フィート(120 m)以上のドローン飛行機を禁止している。ドローン所有者の登録構想も来年計画されている

現行の英国法では、航空機または航空機に乗っている人間を危険にさらす行為を行ったドローン操縦者は、最大5年の懲役か無制限の罰金あるいはその両方が課せられる。

しかし、ガトウィック空港の事例では単に滑走路付近でドローンを飛ばすことが、法的に航空機を危険にさらす企てに相当するかどうか明確ではない。安全を重視する空港が危険を冒さないことから、実際この事象が旅行者らに大きな混乱を与えたらことが明らかであってさえそうだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイクフォロワーを見つけるためのデータをCaptiv8が年末レポートで教えてくれる

インフルエンサーマーケティングのためのツールを提供するCaptiv8が、今年度の総括レポート2018 Fraud Influencer Marketing Benchmark Reportをリリースした。その目標は、マーケターたちにフェイクフォロワーを見つけるためのデータを提供することだ。それにより、本物のフォロワーのいるインフルエンサーと、作り物の‘らしさ’だけを見せつける連中を区別できる。

レポートは、この問題が企業に実損をもたらし、2017年にインフルエンサーマーケティングにさまざまな企業から21億ドルが投じられたInstagramは対策に乗り出している、と言っている。2017年には、Instagram上のエンゲージメントの11%が偽のアカウントからだった。

Captiv8はこう言っている: “インフルエンサーマーケティングが本当に効果を上げるためには、フェイクフォロワーや偽のエンゲージメントを正しく見つける方法を持ち、彼らのパフォーマンスをベンチマークし、ソーシャルネットワークに投じたマーケティング費用の真の効果を測定すべきだ”。

そこで同社は、さまざまなカテゴリー(ペット、子育て、美容、ファッション、エンターテインメント、旅行、ゲーム、フィットネス、食べ物、人気者セレブ、など)にまたがる、5000名のインフルエンサーのエンゲージメント引き込み能力を、今年の8月から11月にかけて調べた。

そして、評価の基準となる標準的な活動を定義し、それを外れていたらマーケターが危険を察知できるようにした。ソーシャルメディアのオーディエンスには誰でもフェイクフォロワーが多少いるが、カテゴリーによって偽物率が違う。Captiv8によると、もっとも多いファッションでは、アクティビティの14%が偽だった。セレブは低率で、偽物率は4%だった。

Captiv8 report

レポートによると、インフルエンサーのフォロワーの数の一日の変化率は、平均で1.2%である。変化率がこれより相当大きいのは、怪しい。

オーガニックでスポンサーのあるコンテンツの平均エンゲージメント率は、食品の1.19%からエンターテインメントの3.51%までのばらつきがある(上図)。そして低いエンゲージメント率は、フォロワー数がボットやフェイクフォロワーによって膨らまされている確率が高い。

逆に、クリエイターのオーディエンスへのリーチやユーザー一人あたりのインプレッションが業界標準より高いのも、警戒のサインだ。たとえばファッションの画像はオーディエンスの平均リーチが22.69%、ユーザー一人あたりのインプレッションが1.32だ。

レポート全文はCaptiv8のWebサイトでダウンロードできる。

関連記事: Captiv8が、インフルエンサーデータベースを無料で公開

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

RØDECaster Proは、ホームポッドキャスティングスタジオの中心的存在だ

この599ドルのサウンドミキサー/レコーダーは、初心者がステップアップするのに最適だ

私のポッドキャスティング機材はシンプルだ:2本のマイク、Tascamレコーダー、2本のXLRケーブル。昨年私は、少々アップグレードを行った。マイクを良いものにし、マイク用の風よけと、1対の折り畳み型卓上マイクスタンドを購入した。しかし、選択基準は常に同じだ。ラップトップ用のカバンに入らないものは採用しない。

この5年間ポッドキャストを行ってきた私にとって、それらはとても役立ってきた。友人たちが防音スタジオを自宅に作っている一方で、私は持ち運びできる機材で行動していた。もし誰かにポッドキャストへの出演を頼みたいなら、こちらから相手のところへ出向く方が遥かに簡単だ。

以下の写真は、ナイジェリアのラゴスの、私が泊まっていたホテルの部屋で次回のエピソードを録音した直後の、コメディアンHannibal Buressだ。ここに見えているのが私の機材である。それらは、小輝の小さなコーヒーテーブルの上に載せられた、私のキャスター付きスーツケースの上に置かれている。臨機応変は大切だ。

もちろん、トレードオフはある。特に音の問題は重要だ。マイク自体はかなり明瞭な音質だが、周囲の騒音が問題だ。私はカフェ、バー、そしてレストランで、多くの録音をこなしてきた。それが魅力の一部だと自分自身に言い聞かせてながら。そしてもちろん、Tascamレコーダーだけでは、サウンドミキサーを使ったときのような洗練されたコントロールを手に入れることはできない。

おそらく、私はいつもホームスタジオがどのようなものであればよいかを、心の中で密かに空想していたのだろう。もちろんコストは常に問題だった。こうしたものはみるみる価格が嵩むものだ。また、参入障壁は不必要なほど複雑だ。一握りの企業が、ますます収益を上げている非職業ポッドキャストの世界から利益を得ようとしているのだ。Blueは、かなり魅力的なUSBベースの機材を、いくつか製造してきた。だが、同じ部屋に複数のゲストがいるときに録音をしたい場合には、事態は遥かに困難なものになる。

私はRØDECaster Proを試せる機会に飛びついた。それの外見からして、それはちょうどホームポッドキャスターたちにとって、痒いところに手が届く、理想的な商品に思えたからだ。本製品は、基本的には、自己完結型のプロダクション機能を備えた、6チャンネルのサウンドミキサー/レコーダーである。全てを単一トラックに録音して、自分のポッドキャストサーバーに直接アップロードできるようにする。

これには、ライブミキシングから、音楽やサウンドエフェクトのトリガーに使用できる、8つのサウンドパッドまでの全てが含まれている。さらに素晴らしいことに、有線またはブルートゥースを利用してスマートフォンを接続することによって、遠隔にいる人を参加させることもできる。

これは本当に愛らしいハードウェアだ。私は使用中にそれを何人かの仲間に見せたが、プロフェッショナルなつまみから、色をカスタマイズできる明るく輝くサウンドパッドまで。誰もがその外見に感心した。

ミキサーの上部には小さなタッチスクリーンディスプレイがあり、これはレベルを表示したり、さまざまな設定をナビゲートする手段として利用できる。また基本的に、セットアッププロセスが終了したら、コンピュータを完全にバイパスするための手段として利用できる。RØDECaster Proは、anchor.fmの製品の多くと同じ原理で動作し、ユーザーに対してポッドキャストを最小限の労力で実現する手段を提供する。

これは、コンテンツの提供が誰でも可能になることが理想とされるポッドキャスティングの世界では、特に称賛されるべきゴールだ。そして、ミキシングボードがあるかぎり、セットアップに苦労することはない。立ち上げて動作させるためには、多少の微調整とトラブルシューティングが必要だったが、1〜2時間以内に、すべてが完璧にセットアップされて動作し始めた。

ただし、こうしたレベルの単純さの欠点は、プロセスの重要な部分のいくつかを微調整する機能が削除されてしまうことだ。もっとも明らかな欠点はマルチトラックレコーディングができないことだ。もちろん、マイクで4人、さらに電話で5人目を録音することは可能だが、それらは全て同じトラックに録音される。もし素早く雑なものを得たいときには、それでも構わないが(当然ながらそうするポッドキャスターもいる)、私は編集を行う。

もしプロフェッショナル的な内容に仕立てたいならば、内容をカットしたいと思うだろう。ポッドキャストがしばしば1時間以上に及ぶことがあるとしても、私はAudacityを使って実際に行った録音を切り詰めることに長い時間をかけているのだ。それはうんざりするような作業だが、まずまずの仕上がりを狙いたいなら、それを行う必要がある。

内容そのものを編集しないとしても、少なくとも「えー」とか「あー」とか、発言が重なってしまっているところはカットする必要がある。これは、マルチトラックを使っているときには、はるかに簡単な作業だ。皆がそのように感じているわけではないことは理解しているものの、そのオプションがあれば良いと思っている。

この製品の場合、セットアップの大部分は、箱から出してケーブルを接続することだけだ。RØDEは、巨大なバックパックに詰め込まれたデラックスエディションを送ってきた。そこには1対のPodcasterマイクと、大きくて重いマイクスタンドも含まれていた。もし日時を設定したり、携帯電話とペアリングしたりといった細々したことを行いたければ、スクリーンを通してある程度の操作を行う必要がある。

私はサウンドをカスタマイズするために、セットアップ中に自分のラップトップにミキサーを接続した。デフォルトでは拍手、笑い声、リムショットなどが事前にロードされている。これはMorning Zoo Crewパッケージである。私はイントロとエンディングの曲と、いくつかの効果音をおまけに投入した(当然レゲエホーンシンプソンズのネルソンは入れた)。

合計512MBのストレージがあるので、より長時間のトラックを追加して、デスクトップアプリを使い、それらを対応するパッドにドロップして関連付けることもできる。レベルを確認し、録音のためのmicroSDカードをセットすれば、さあレースの始まりだ。

ところで、携帯電話の音声をミキサーに入力するときなどに少々手間取ったことは告白しておきたい。また、全員に自分自身の声と効果音を聞かせたい場合には、後部ヘッドフォンジャック用のアダプタが必要である。初心者をターゲットにしていることを考えると、これは奇妙なことに思える。特に前面のジャックが標準サイズであることを思うとなおさらである。

私たちのOriginal Contentは、毎週金曜日にエピソードの録音を行っているので、この製品のテストを行うには完璧なタイミングだった。Anthonyと私はお互いにテーブルを挟んでマイクを設置した、そしてJordanには電話で参加して貰った。

録音ボタンを押し、イントロミュージックを流せば、もう始まりだった。やや厄介だったことは、ボタンは音を始めることができるだけで、それを終わらすことはできなかったことだ。なので、それは(誓って、皮肉なコメディ効果のためだけに使う)エアホーンのようなものには適しているが、音楽のためにはあまり向いていない。必要な長さまで音楽をカットしたくなるだろう。そうでなければボリュームを下げなければならず、結果的に音楽が終わるまでそのチャンネルを失ってしまうことになる。それぞれのトラックにどれくらいの時間が残っているかを見ることができるのは便利だったが、必須という程のものではない。

一旦起動して動作した後は、録音中に特に問題には遭遇しなかった(少々効果音を使い過ぎたかもしれないが)。録音を終えて、SDカードを取り出し、ファイルを転送した。ジャーン。ポッドキャストの出来上がりだ。

RØDEのマイクの音質は本当に素晴らしいものだ。スタジオ品質のものとして合格点を出せるレベルだ。エピソードは数日で上がるので、その音質については読者自身で判断して欲しい(訳注:既にこちらにアップロードされている)。Jordanの電話接続からの音は素晴らしいものではないが、携帯電話の貧弱な通話状況をRØDEの責任にすることはできない。

RØDECaster Proは、その外箱に書かれていることを忠実に実行するし、そのほとんどの動作も素晴らしいものだ。ラジオ時代にミキサーを操作したものとして、私はほぼすぐに昔の調子を取り戻すことができた。この長い期間の間に、私がどれほどこの操作を楽しんでいたのかを、忘れてしまっていたのだ。そして、実際にフェイスツーフェイスでショーを行うことができる機能は、Skypeに追いやられたときには失われてしまうレベルのエネルギーと理解をもたらす。

さて、ミキサー/レコーダー単体で600ドルという価格は、多くの初心者ポッドキャスターたちには、お話にならない位高価なものだろう。しかし、真剣にポッドキャスティングへの道を歩み始めようと思っている少数の人にとっては、これはまさにスイートスポットを直撃し、ボタンを押すだけでゲームを始めることのできる製品なのだ。

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(翻訳:sako)

Facebookがステーブルコインを始める? その前に知っておくべきこと

Bloombergが伝えるところによると、Facebookは、独自のステーブルコインの投入計画をひっさげて、ブロックチェーンの波に飛び乗ろうとしているようだ。

次から次へとプライバシー流出問題で騒がれ足元に火が点いた状態のソーシャルネットワークの大手Facebookは、5月にブロックチェーン部門を内部に設立したが、さまざまな憶測を呼びながらも、その本当の狙いは不明のままだ。

Bloomebergの記事は、その新部門から何が現れるのかを明確に示した最初のものとなった。さらに、それは「メッセージングアプリWhatsAppを使ってユーザー同士で金銭の移動ができ、最初はインドの送金市場にフォーカスをあてた」ステーブルコインであるという。

Facebookは、これに対して曖昧なコメントを返した。

「他の多くの企業と同様に、Facebookもブロックチェーン技術の力を役立てる方法を模索しています。この新しい小さなチームでは、さまざまな応用方法を探っています。私たちからは、これ以上は申し上げられません」と、FacebookはBloombergに対する声明の中で答えている。

もしこのアメリカの巨大企業が、Bloombergが報じたとおりの計画を実行した場合、それは時価総額3760億ドル(約41兆7600億円)、年間収入は400億ドル(約44億4000万円)にのぼり、事業規模においてもユーザー基盤においても、(たちまち)一般消費者向けブロックチェーン・サービスの最大手となる。Facebookには、その中核的ソーシャルネットワークに22億人以上、WhatsAppに15億人、Messengerに13億人、さらにInstagramに10億人のユーザーを擁している。

これは、しっかり知っておくべき話だ。

Facebookのブロックチェーン部門を率いるPayPalの元CEO、David Marcus。彼は、暗号通貨交換所Coinbaseの役員でもあった。

またひとつ新しいステーブルコイン

ステーブルコインは、今年の後半にブロックチェーンの世界で大流行した。数多くのプロジェクトが飛び出して、いろいろなソリューションを提示したのだが、まずその理由を考えてみよう。

ステーブルコインの考え方は簡単だ。法定通貨と連動する暗号通貨なので、価格の乱高下の影響を受けないというものだ。

プログラム可能で国境のない通貨としてのブロックチェーンには可能性があるが、安定性が大きな問題になっている。たとえばBitcoinは、1年前には2万ドル(約222万円)という高値をつけたが、現在は4000ドル(約44万4000円)をわずかに上回る程度だ。ただ注意すべきは、この数カ月間にそれよりも価格が下がっていたことだ。「アルトコイン」の場合は、さらに変動が激しい。

ステーブルコインは、Bitcoin、Ethereumなどのトークンを、銀行口座よりも早く買い入れることができる預け入れ方法を提供している。また、不安定なトークンからの利益の移動も可能になり、とくに、暗号通貨を他者(他の企業)に経費をかけずに送ることができることが大きい。

しかし、大変にシンプルな前提で、しかも多くの人たちが参入しているにも関わらず、実際に成功し、その価値を証明できたステーブルコインはいまだに存在しない。

もっとも注目を集めているTetherですら、経済的支援にまつわる心配に追い回されている。その背後にある組織は、そのトークンの価格が1ドルを下回っても、市場でその裏付けとするのに十分な法定通貨を用意しているか否かを明らかにしていない。

Tetherが苦戦する中、仮想通貨取引所がライバルのステーブルコインをローンチ


TechCrunchが11月に報告したとおり、いくつもの「Tetherキラー」が登場したが、王座を奪ったものはない。USD Coinは、CounbaseやBinanceなどの大手取引所で取引されるEthereumをベースとする暗号通貨で、時価総額2億3000万ドル(約255億5000万円)と二番目に広く利用されている。驚くべき規模だが、それでもTetherの180億ドル(約2兆円)の15パーセントにも満たない。そのギャップの大きさは明らかだ。

そして、規制の問題がある。

Andreessen HorowitzやBain Capitalといった大物投資家から1億3000万ドル(約144億4000万円)以上を調達したBasisは、設立から18カ月後の今月、廃業した。「ボンドトークンもシェアトークンも、有価証券ではないと認めざるを得ない」と判断したのが理由だ。

フィンテックのサービス

詳細はまだはっきりしないが、Facebookが推進するステーブルコインは、安定を強く望む暗号通貨の所有者に、技術を使ってそれ以上のものを提案することになりそうだ。

Facebookは、もしかしたら、膨大なユーザー数を誇るメッセージングサービスに、金融サービスや製品を追加する可能性がある。フィンテックは、信用力の調査方法が限られ、為替市場の価格が低いといった問題の改善にデジタル・プラットフォームやデータが有効な新興市場で急速に発達している。しかし、Facebookはそこに本格的に足を踏み入れたことがない。唯一あるのは、WhatsAppだ。インドではピア・トゥー・ピアの取り引きができるようになっているが、それを世界的に広げ、新しい金融機能を追加すると考えれば筋が通る。

安くて速い海外送金は、FacebookのCEO、Mark Zuckerbergがブロックチェーンの可能性に注目していると書いた1年前の記事で私が提唱したことだ。2017年の新年の抱負を聞いたとき、彼は暗号通貨とブロックチェーンを勉強して「我々のサービスにどう使うのがベストかを見たい」と話していた。

WhatsAppは、月間のアクティブユーザーが15億人を超える。そのうち約2億人を占めるインドでは、それは巨大な単一市場だ。インドはまた、世界銀行のデータによると、2017年には690億ドル(約7兆6660億円)を受け取った世界最大の送金先にもなっている。

送金以外にも、ステーブルコインはもっと多くの利点がある。デジタル製品やサービスの購入から、ピア・トゥー・ピアの支払い、もっと本格的な暗号通貨による取り引きや融資などだ。

明らかなのは、Facebookのブロックチェーン部門の仕事はまだ初期段階にあるということだ。現時点では、30名ほどの社員が配属されている。

チャットアプリが暗号通貨とブロックチェーンに参入

Bloombergが推測するようにプロジェクトが継続された場合でも、WhatsAppがブロックチェーン機能を持つ最初のメッセージングアプリとなるまでには時間がかかるだろう。しかし皮肉なことに、WhatsAppやFacebookのMessengerといった独占的地位にあるサービスに対抗するための手段として、他社が暗号通貨の機能を採り入れている。

カナダのチャットアプリKikは、2017年のICOを通じて1億ドル(約111億円)を調達して、独自のトークン「Kin」と、開発者用アプリをサポートするブロックチェーンを開発した。昨年、KikのCEO、Ted LivingstonがTechCrunchに話したところによれば、基本計画は、Facebookのような広告モデルではなく、ユーザーの注意や関わりを通して「ボジティブ」に利益をもたらすアプリを開発できるようにすることだという。収益は、さまざまなユーザー本位の基準で、Kinで支払われる。

Livingstonは、暗号通貨の弁明をするどころか、ブロックチェーン技術を「役立たず」だとする意見を批判した。Kikのアプリはまだブロックチェーン化されていないが、昨年の夏からベータ版のリリースを開始した。

KikのCEO、Ted Livingstonは、ブロックチェーンと暗号通貨が広告ベースのモデルに置き換わると信じている。つまり、より多くのアプリや製品が、金儲けのためではなく、消費者のために作られるようになるということだ。

日本のLINEアプリは、アジアの一部で人気が高いが、ブロックチェーンを導入し、独自の取引所暗号通貨投資ファンドを設け、「Link」というアプリ内トークンを使えるようにしている。ICOは行わず、Linkトークンをユーザーの間で流通させてさまざなに利用してもらい、売買も可能にしてゆく計画がある。Linkは、事実上LINEのサービスや製品の購入の手段となり、サードパーティーのサービスでも使えるようにしたいと同社は話している。

ロシアのFacebook的存在であるVKontakteの創設者Durov兄弟が開発したメッセージングアプリTelegramもそうだ。Telegramは暗号通貨業界で人気を高めており、ICOを通じて17億ドル(約1888億円)を調達した。大変に期待された公開だったが、結局のところ、対象は認定投資家に限られることになった。

しかし、非常に野心的な「非中央集権的」プラットフォームの目標について長々と書かれた白書に批判が集まっている。プロジェクトは目立たない形で進められ、一部には製品がリリースされる前に投資金を現金化した投資家もいると見られる混乱した現状は、ほとんど明かされていない。

もうひとつ、暗号通貨を採り入れたチャットアプリで注目すべきものが、Statusだ。非中央集権的チャットアプリとエコシステムを開発し、2017年にEthereumで1億ドル(約111億円)以上を調達した。Statusは現在使用可能だが、Coindeskによると、資金繰りがうまくいかず、100名いた写真のうち25パーセントを、今月、一時解雇したとのことだ。

その一方で、韓国最大のメッセージングアプリKakaoは、ブロックチェーン企業を所有している。将来の計画の詳細は不明だが、Kakaoはブロックチェーン企業に投資を行っている。

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(訳者:金井哲夫)

NearMeが「100万円あげちゃう!」キャンペーンを実施、タクシー料金が20%お得に

どこかで聞いたことのあるようなタイトルだけれど、タクシー相乗りアプリ「NearMe.」運営のNearMeは12月25日、「100万円あげちゃう」キャンペーンを開始したと発表。忘年会シーズン、終電を逃したら試してみるのもアリでは?

この「バーチャル相乗りキャンペーン」では、たとえ相乗り相手が見つからない場合でも、NearMe.を使いバーチャルな相乗り体験することで予想タクシー料金の20%がお得になる。

利用ステップを説明しよう。まずNearMe.で目的地を入力して相乗り相手を検索(見つからない場合、 バーチャル相乗り相手「ニア美」さんがマッチされる。ニア美さんと実際に相乗りすることはないのであしからず)。タクシーに乗車後、メッセージ画面にて「合流」ボタンを押しバーチャル相乗り開始。目的地に到着後、24時間以内に領収書を撮影し、アップロード。すると翌日、 お得になる金額がメニューの「残高」に計上される。

キャンペーン期間は2018年12月31日23:59まで。なお、支払い金額の総額が100万円に到達した時点でこのキャンペーンは終了する。

利用エリアは出発地が東京都、 神奈川県、 埼玉の一部エリアだが、今後随時拡大予定だ。

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なお参加条件・注意事項は以下のとおり。

  • リアル相乗りが3回以下の利用者
  • お得になる金額は、 検索時の予想タクシー料金を元に計算
  • お得になる金額は、 最大2000円/1回
  • タクシーの領収書を24時間以内に送付しなかった場合、 支払いは不可
  • 端末情報と領収書の位置情報が矛盾している場合、 不正利用と判断し、 支払い不可となる場合も

NearMeは2017年7月に設立されたスタートアップで、2018年6月25日にnearMe.を東京エリアで先行リリースした。タクシーという日本の既存資産を利用し、ライドシェアとは異なる方法で新しい移動方法の実現を目指しているスタートアップだ。

AIにぬくもりを!お笑いAI開発わたしはの次の挑戦が始まる

写真左手前がわたしはで代表取締役CEOを務める竹之内大輔氏

お笑いAIを開発しているわたしは(株式会社わたしは)は、ANRIと個人投資家5名からの資金調達を発表した。調達金額は4200万円程度。具体的なメンバーは50音順で、ANRI3号投資事業有限責任組合、日下部 雅謹氏(KITERETSU代表取締役社長)、佐藤裕介氏(ヘイ代表取締役社長)、SUDAX氏(個人投資家)、松本 大氏(マネックスグループ代表執行役CEO)、三木寛文氏(個人投資家)。

わたしはは2016年4月創業で、お題、回答、ツッコミが可能な「大喜利AI」をメインプロダクトとしつつ、大企業と共同開発やAI技術の提供といった事業を進めてきた。今回の資金調達により、LINE登録者数8万1000人(2018年12月現在)を突破している前述の大喜利AIや「都市伝説ジェネレータ」などのコミュニケーションAIの機能拡張、「合成音声AI」「音楽生成AI」を応用したユーザーとAIが一緒にコンテンツを作成できるサービスの開発に注力するとのこと。

同社で代表取締役CEOを務める竹之内大輔氏は、東京工業大学の博士課程で哲学や数理論理学を研究し、複雑系科学を専門とする人物。今回の資金調達については「これまでも弊社だけが開発できる、世界唯一のAIを作ってきました。今回、そんな弊社の『一見するとふざけたアイデンティティ』に共感してくださる方々に株主になっていただけて大変心強く思います。これからは、より一層、『わたしはが作るAIだから、最高に面白いAIに違いない』と期待し続けてもらえるようなオンリーワンのAIカンパニーとして成長を加速させていきます」とコメントしている。

なぜ「お笑いAI」なのか。「大学に在籍時していたころから、どうすればコンピュータにに感情を持たせられるのかを日々考えていた」と竹之内氏。GoogleアシスタントやAmazon Echo、AppleのSiriに代表される音声コミュニケーションAIは、ジョークを言ったり歌を歌うこともあるが、的確な処理を求められるため、どうしても画一的な回答になってしまう。対応できない処理があると「すみません、わかりませんでした」などというフレーズで謝ってくる。

大喜利人工知能公式LINEアカウントもある

竹之内氏は「AI(コンピュータ)に感情を持たせるには、直球的な回答の周辺にある少し外れた受け答えなのでは?」と考え、東京工業大学の工学博士で自然言語処理を専門とする同社CTOの小橋洋平氏と、お笑いAIの開発を進めてきたという。実は同社の「大喜利AI」のポテンシャルは、NHKのBSプレミアムの番組「AI育成お笑いバトル 師匠×弟子」で実証済みだ。この番組は、千原Jr、ロッチ中岡、大久保佳代子などが師匠、大喜利AIが弟子となり、それぞれのキャラクターに合ったAIに育てていくという内容。完成したAIはボッドとして、千原Jrなどがいかにも言いそうなフレーズを返してくれる。

「番組ではお笑い芸人さんのAIですが、例えばどこかの県のAI、どこかの市のAI、さらにはママ友仲間のAIなどコミュニティの大きさにかかわらず、さまざまAIを開発できます」と竹ノ内氏。音声によるAI(コンピュータ)とのコミュニケーションの機会は今後さらに増えていく。同社が開発する感情を持ったAIが、スマートスピーカーやロボットに搭載される日を期待して待ちたい。

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■関連リンク(外部)
大喜利人工知能公式アカウント(LINE)
大喜利人工知能 育成プロジェクト(Twitter)
大喜利β(Twitter)

クリスマスイブにシボレーのオーナーは車内でサンタを追跡できる

北米航空防衛司令部(NORAD)は60年以上にわたってクリスマスイブに世界中でサンタクロースの進行状況を追跡している。 政府の閉鎖さえもNORADの年に一度のミッション完了を妨げることはない。

そして、General Motorsもこの毎年の慣習に一枚加わる。

12月24日、同社のChevroletブランド車種、Traverse、Tahoe SUV、Silveradoトラック、およびCruzeセダンでOnStar ボタンを押すと、サンタの居場所がリアルタイムでわかる。OnStarプランが有効なChevroletオーナーに限り、青いOnStarボタンでSanta Updateをリクエストしてサンタの現在位置を知ることができる。

この位置情報サービスはNORADの公式サンタ位置データを利用している。Santa Updateは米国東海岸時刻12月24日午前6時から12月25日午前5時までリクエストできる。Santa Updateリクエストの要求量増加に備えて、サポート体制を強化しているとGMは言っている。

「毎年何千ものSanta Updateリクエストがある」とChevroletのサポートを担当するコンタクトセンター運用ディレクターのStacey Unoldは言う。「これはChevroletオーナーにとって、テクノロジーを利用してサンタの旅に関する重要な情報を家族と共有し、クリスマス気分を広める楽しい方法だ」

ChevroletとOnStarは、米国内でSanta Updateが一回押されるたびにアメリカ赤十字社に1ドル寄付する計画だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AlphabetのムーンショットプロジェクトMaltaが企業として独立、Bill GatesらのBEVから$26Mを調達

AlphabetのムーンショットファクトリーXで生まれた再生可能エネルギー保存プロジェクトMaltaが企業として自立し、Breakthrough Energy Venturesが率いるシリーズAのラウンドで2600万ドルを調達した。〔moonshot, 仮訳: “未来学的な”〕

Concord New Energy GroupとAlfa Lavalが、この投資に参加した。

Project Maltaは昨年、AlphabetのX(旧Google X)でローンチし、ひとつまたは複数の送電網全体を完全にサポートするような、大規模なエネルギー保存施設の構築を目指した。Alphabetから独立した今、同社はMalta Inc.と呼ばれる。

Malta Inc.は、再生可能エネルギーや化石燃料から得られた電力を、リチウムイオン電池よりも長期間保存できるシステムを開発した。その電熱保存システムは最初に、風力や太陽熱、化石燃料などから得られた送電網上のエネルギーを捕捉する。集められた電気がヒートポンプを駆動し、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する。その熱は溶融塩に保存され、一方冷気は冷却された不凍液に保存される。送電網が電気を必要とするときは、そのエネルギーを電気に変換する。

Maltaによると、そのシステムは電気を数日から数週間保存できる。

Maltaは今回得られた資金で既存企業とのパートナー事業を興し、同社がXで開発し完成させた詳細設計を、初めてのパイロットシステムとして、本格的な産業用施設へ実現させたい、としている。

MaltaのシリーズAをリードしたBEVは、2016年に、Breakthrough Energy Coalitionによって創業された。それは、Microsoftの協同ファウンダーBill GatesやVCのKleiner Perkins Caufield & Byersの会長John Doerr、 AlibabaのファウンダーJack Ma、Amazonの協同ファウンダーでCEOのJeff Bezos, そしてSAPの協同ファウンダーHasso Plattnerらによる投資家グループだ。

画像クレジット: hugociss/Moment

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

株式急落で市場に最悪のクリスマス――金利引上の噂、政府部分閉鎖など悪材料重なる

そはクリスマスイブ、取引所の冷たき床の上なりきr
あらゆる株は下落、下落、また下落
ムニューチン財務長官は銀行に電話をかけまくり
金庫に金が残っていることを希求せり

ムニューチン財務長官が慌てて鎮静化を図ろうとしているが、ひどい売り浴びせが続いている。  

というわけで敬虔な人たちが賛美歌を歌って祝う日に市場では厄介な事件が起きた。トランプ大統領はお得意のツイートで悪いのは連邦準備制度だと非難した。連邦準備制度議長には大いに言いたいことがあったに違いない。

われわれの経済に問題があるならそれは連銀だ。連中はマーケットに対する感覚がない。貿易戦争、ドルの強さ、国境の壁に反対する民主党による政府の部分閉鎖が理解できていない。連銀は腕力ばかりあっていっこうにスコアが伸びないゴルファーだ。指に感覚がないのでパットが決まらないのだ! ――ドナルド・J・トランプ! 

銀行も株屋も大慌てて電話にしがみつき、株価はさらに暴落した。経済学者のポール・クルーグマンは同じくツイートでこう批判した。

これは驚いた。ムニューチンはこのリリースを出すまで誰も心配していなかった問題をわざわざ引張り出し、パニックを作り出そうとしている。  

ムニューチン財務長官は6大銀行のCEOに自ら電話したという。これまでもホワイトハウスは連銀議長を解任すると脅すなど市場が嫌がる行動を繰り返していた。【略】

かくてダウは653ポイントも下落せり
医者は株屋に頭痛を鎮める医療用大麻を処方せり
アメリカのインデックスは最悪の12月を迎えたりr
今は昔、大恐慌の1930年以来のこと

画像:Mark Wilson / Staff / Getty Images

〔日本版〕英文記事はクリスマスにちなんで賛美歌などの伝統詩形に近い押韻4行連で終始書かれている。

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滑川海彦@Facebook Google+

SpaceX、新GPS打上げ成功で今年のミッション完了

SpaceXはアメリカ空軍が運用する新しいGPS、Global Positioning System IIIの第1回打ち上げに成功し、2018年のすべてのミッションを完了した。今日(米国時間12/24)、ケープカナベラルから打ち上げられた新しい衛星はVespucciと名付けられた。SpaceXにとって初の国家安全保障に直結するミッションだった。

SpaceXは当初もっと早い日時を予定していたが強風のため延期され、クリスマスの打ち上げとなった。

SpaceXは2016年に空軍からNational Security Space (宇宙国家安全保障)プロジェクトの契約を得ており、この後さらに4回のGPS III衛星打ち上げが予定されている。これにはすべて2段式のFalcon 9ロケットが用いられる。

GPSは米軍の管轄下にあり、運用は空軍が行っている。 冷戦時代に構築されたシステムであるが、2000年代に民間利用が休息に普及した。新しいGPS衛星はロッキード・マーティンが製造し、現在のシステムの3倍の精度を提供できる。SpaceXの発表によれば妨害に8倍強いという。.

「新世代GPSは測地、航法、タイミング情報を提供する。GPSのユーザーは世界で40億人に上り、適切なサポート体制の提供は極めて大きなミッションだ」とSpaceXは述べている

2002年にイーロン・マスクによって創立されたSpaceXにとって今年は大きな意味がある年となった。2018年にSpaceXは21回の打ち上げを行いすべて成功させている。これは2017年の18回の打ち上げから3回のアップとなっている。また305億ドルの会社評価額で5億ドルのラウンドを行っているという情報もある。これは1000個以上のミニ衛星のネットワークで全世界にインターネット接続を提供するStarlinkプロジェクトのための資金となるという。現在のラウンドが目標を達成すれば、SpaceXの資金調達総額25億ドルとなる。

今日の打ち上げのビデオを上にエンベッドしたが、SpaceXのサイトはこちら

〔日本版〕ビデオでは6:58でリフトオフ、8:13でマックスQ、9:50からメインエンジン停止、ブースター切り離し、第2段エンジンスタートと続く。全世界をカバーするため軌道傾斜角が55°と大きく、衛星も大型であるためブースターの回収は行われなかった。Vespucciはコロンブスより先にアメリカに到達し、アメリカという命名の起源となった探検家、アメリゴ・ヴェスプッチにちなむ。

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滑川海彦@Facebook Google+

Nike、自動紐締めスニーカーの低価格版を来年発売へ

流行に敏感な人と怠け者にはグッドニュースだ——Nikeが自動紐締めスニーカーを再び販売する。そして今度はずっと安い。とはいえ350ドルはほとんどの人が靴一足に払うよりも大金だが、前モデルの希望小売価格720ドルの半分以下だ。

詳細はほとんどわかっていない。CEO Mark Parkerは決算会見の中でこのニュースに触れ、「新年にわれわれはバスケットボール用アダプティブ・パフォーマンス・プラットフォームを350ドルの価格で発売する。これは完璧なフィットを追求したスマートシューズで、当社が製品のデジタル変革を進めるうえでの大きな一歩だ」

新製品がオリジナルのHyperAdaptとどう違うのか、まだわからない。それでもNikeは、価格を下げることは明確な目標であり、単なる新奇な製品から脱皮しようとしている。2016年私がテストしたとき、幹部の一人は「これはコンセプトカー」だと言った。2019年にはいよいよフル生産の準備が整うのかもしれない。それでも、350ドルは大衆向けの価格帯ではないが、バック・トゥ・ザ・フューチャーのマーティー・マクフライの長年叶わなかった夢をメインストリームに押し上げる力になるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook