トランプの国境の壁を支援する民間人によるクラウドファンディングは何が問題なのか?

フロリダの人間は、大蛇ワニレストランの珍事件など、奇妙な事件に遭遇することが多いようだ。 それは、2013年、Twitterのパロディーアカウント「フロリダマン」が登場してからのことで、たちまち大人気になった。

だが、5日前にクラウドファンディング・プラットフォームGoFundMeでフロリダマンが開始した、ドナルド・トランプが推進するメキシコ国境の壁の建設資金を集めるためのキャンペーンは、どうもジョークにしか思えない。10億ドル(約111億円)という強気な目標を立てて先週の日曜日にローンチしてばかりだが、すでに20万人以上の個人から1300万ドル(約14億5000万円)もの資金を調達した。GoFundMeのキャンペーンには締切がない。

その増え続ける巨額の現金の山がどこへ行くのか、そこに疑問がわく。このキャンペーンを立ち上げたBrain Kolfageという男性は、以前、10月にFacebookによって削除されたRight Wing News(右翼ニュース)というFacebookページと共に、陰謀説を唱えるウェブサイトを運営していた。

イラクに派遣されて両足と片腕を失ったアメリカ退役軍人のKolfageは、GoFundMeのページで自身の行動の公共性について長々と話している。また彼は、Fox Newsに「何度も登場している。(だから)自分が信頼できる実在の人物であることがわかる」だろうと言っている。その一方で彼は、寄付しようと思っている人の気持ちを「邪魔したくない」と昨日(現地時間21日)のNBC Newsで語り、これまでのメディアでの問題発言については言及しなかった。

それより心配なのが、寄付の100パーセントが「トランプ・ウォール」に使われるとKolfageはGoFundMeのページに書いているが、今の時点では、その資金を政府に提供できる制度がない。それを実現するためには、そのための法案が議会を通過しなければならない。Kolfageはこう言っている。「この資金を、適切な場所にどのように届けるか? 私たちはトランプ政権と連絡をとり、調達が完了した時点で資金を送る先について確認をしています。この情報が確定し次第、お知らせします。すでに私たちは、非常に高度なレベルで複数のコンタクトをとり、支援を得ています」

このページでは、また、Carlyle Groupの共同創設者David Rubensteinが750万ドル(約8億3400万円)をワシントン記念塔のてっぺん近くにできたひび割れの修繕費用として寄付した2012年の話を例にあげて、アメリカ政府が過去に個人の投資家から巨額の寄付を受け取っている事実を伝えている。しかし、彼のGoFundMeキャンペーンでは、米国議会がその活動の背後にあり、750万ドルの寄付が、それに同額を上乗せする条件(マッチングギフト)で修繕に使用されたのかどうかは明らかにしていない。

たしかに、National Endowment for the Humanities(全米人文科学基金)などのいくつもの政府機関が、マッチングギフト制度のもとで個人の寄付を受け取っている。しかしこの考え方は、寄付金で政府主導の活動に大きな力を与えるものであり、自分たちには決定権のない寄付を募ることになる。バージニア州選出の共和党下院議員で下院司法委員会の議長を務めるBob Goodlatteは、昨日、New York Postにこう述べている。「市民が資金を集めて『政府がこういう目的で私の金を使う』と宣言することなど、とうてい許されない」

アメリカ人有権者のおよそ3分の1が共和党支持者で、その3分の2がトランプが推し進める国境の壁の建設を支持していると考えると、Kolfageの10億ドルの目標が突拍子もない額だとは言い切れない。キャンペーンにはすでに、5万ドル(約560万円)を寄付した人が1人現れている。さらに勢いがつけば、他の人たちも、これが財政的政治的な力を動かす単純で直接的な方法だと思うようになる。

このまま勢いが高まれば、ある時点でこのキャンペーンには、Kolfageに寄付することが賢い方法なのか否かという疑問とは別に、いろいろな問題が浮かび上がってくる。なかでも、紐付きの寄付を政府が受け取ることは法律に反するわけだが、アメリカの一般市民がGoFundMeなどの資金調達プラットフォームを通して団結すれば、ロビイスト・グループのような大きな力を振るうようになるかも知れないという心配がある。KolfageのGoFundMeキャンペーンにどれだけ金が集まっても、政府は壁を作る責任を負うわけではないが、共和党議員たちはすでに、壁の建設のための寄付を財務省が国民から受け取れるようにする法案の準備を進めている。来月、民主党が下院の過半数を占めるようになれば、この法案が通る見通しは消えるが、将来の政権に筋道を付ける可能性は残る。

では、Kolfageが集めた数百万ドルの資金はどこへ行くのか。それを見るのは興味深い。昨日のNew York Postの記事にも書かれているが、GoFundMeでは、「明記された用途以外に資金を使ってはいけない」という規定がある。そのため、政府がKolfageと協力する道が絶たれれば、Kolfageは寄付者に寄付金を返金しなければならなくなる。または、少くともGoFundMeは(我々の質問への返答はないが)、そうする責任を負うことになるだろう。

GoFundMeは、以前にも寄付者に返金をしたことがある。

つい先月のことだ。ニュージャージーの夫婦と1人のホームレスの男性が、GoFundMeを使って作り話で40万ドル(約4450万円)以上を集めた罪で告発された。彼らはその金を、車や旅行や高級ハンドバッグやカジノなどに使っていた。その夫婦と男性は、不正行為による窃盗を犯したことから、詐欺と共謀による第二級窃盗罪に問われている。GoFundMeは、キャンペーンに寄付をした1万4000人の寄付者に全額を返金すると話している。

おかしなことに、GoFundMeは、自社がどれだけの資金を調達しているかは公表していない。同社に投資をしているのは、Iconiq、Stripes Group、Accel、TCV、Greylock、Meritech Capitalなどだ。GoFundMeが最初に外部からのラウンド投資を受けたのは4年前。同社は2010年に設立されている。

上の写真:コロラド州キャッスルロックにある小規模ショッピングセンター。ここでKolfageのGoFundMeキャンペーンへの寄付が呼びかけられていた。

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(翻訳:金井哲夫)

2018年の最高&最悪のガジェットまとめ

2018年、数えきれないほどのガジェットが発売された。年末が近づき、Brianと僕とで最高中の最高ガジェット、そして最悪中の最悪ガジェットをまとめてみた。

ガジェットの中にはOculus GoやGoogleHome Hubなど最高のものがあった。しかし、新PalmやPlayStation Classicのようなガラクタ同然のものもあった。

数週間もすればCESがある。そこでは、メーカーが来たる年に展開する商品のほとんどを展示する。しかしその多くが数カ月間は購入できない。下記に挙げるものは2019年も引き続き入手できる、最高&最悪のガジェットのリストだ。

最高ガジェット

Google Home Hub

GoogleはEcho Showのライバルをマーケットに持ってくるのにたっぷり時間をかけた。しかし、最終的にHome Hubが売り出された時、Googleは競争を制した。このスマートスクリーンはEcho SpotとShowの中間にくるサイズで、ほとんどの家の装飾にマッチする形状だ。

アシスタント機能に関してはAlexaよりずいぶん深い知識を誇り、またこのHubは公然とした武器を提供する:YouTubeだ。GoogleのこのビデオサービスはAmazonが(実際には他のところも含む)現在提供しているものよりずっと先をいっていて、YouTubeに追いつくようなものは見られない。

DJI Osmo Pocket

本当は僕はOsmo Pocketを嫌いたかった。スクリーンがビルトインされたジンバルが349ドルなんてどう考えても高いーこのドローンメーカーが他にもっと安くてプロ仕様の選択肢を展開しているのを考えると特にそう感じる。しかし、ある日の午後Pocketを使ってみて、取り憑かれてしまった。

ソフトウェアは慣れるのに少し時間がかかるが、いったんマスターしてしまえば、あとは同じトリックがMavicラインナップにも通用する。タイムラプス、被写体の顔の追跡、10のストーリーモードテンプレート、どれも素晴らしく、対象物がありふれたものであってもはっとするようなビデオを初心者でも撮れるようにサポートする。

Oculus Go

最近のVRヘッドセットは全く違う2つのカテゴリーに分けられる。片方にはハイエンドなRiftやVives、もう片方には超安いDaydreamsやGear VRがくる。消費者は大金を払うべきか、あるいは標準より下の体験をとるべきか、その選択に悩むことになる。

OculusのGoヘッドセットはその中間に位置するものとして今年リリースされた。バーチャルリアリティがハイプサイクルの末尾にある間は、199ドルのデバイスは最も注目すべき主流商品であり続ける。

Timbuk2 Never Check Expandable Backpack

これはガジェットではないことは承知している。しかしNever Checkは僕が今まで使った中で最高のバックパックだ。このバックパックを当初選んだのはGift Guide記事を書くためだったのだが、それ以来愛用している。

最近外を出歩くことが多い僕にとって、このバッグのたっぷり収納とびっくりするほどのスリムさには助かっている。香港やナイジェリアへの旅行にも、仕事で使うテック用品をこのバッグに詰め込んで持っていった。

普段使い用としてもでしゃばらない感じだ。ウォータープルーフのジッパーの一つをしめるだけで小さくできる。

Happy Hacking Keyboard Professional 2

間抜けに聞こえるかもしれないが、僕は友達の数よりたくさんのキーボードを持っている。2018年、僕はメカニカルキーボードを試した。そして年末が近づいている現在、僕はHappy Hacking Keyboard Professional 2でタイピングしている。すごくいい。

このキーボードは東プレのキャパシティブで45グラムのスイッチを採用している。これが何を意味するか? タイピングしているとき、このスイッチによりスムーズな動作と触感の絶妙なバランスが得られる。メカニカルスイッチはほかにもあり、それらのほとんどを試したが、東プレのスイッチが僕にはベストだった。東プレのキャパシティブスイッチはいくつかのキーボードに採用されているが、僕はHappy Hacking Keyboard Professional 2が一番好きだ。

Happy Hacking Keyboardは1996年以来、さまざまな形で展開されているが、この最新バージョンはディップスイッチを含め魅力をたくさん持っている。誰もがディップスイッチは好きだ。このバージョンはMacとよく動き、2つのUSBポートを備え、バッグの中にほうり込めるほどに十分コンパクトだ。このキーボードは米国ではつい先月、富士通を通して購入できるようになった。なので、購入する人は“闇ルート”を使わなくてもよくなった。

最悪ガジェット

Palm

Palmというのは本当に好きになりたい類のデバイスだ。実際、僕は挑戦した。僕はPalmにMP3プレーヤーとして第二の生を授けることができるかもと期待してアフリカに持参した。しかしその前に不合格となった。

第二スマホは問題を求めた末のデバイスで、ごく一部の人にアピールするものだ。Palmは絶対的にかわいいが、しかしこれを所有する消費者は、その必要性とセカンドディスプレイにかけるお金があり、そしてスマートウォッチは持っておらず、Verizonと契約を結んでいる人となる。もしこれらの条件をクリアしたとしても、このプロダクトは、複雑なユーザー問題から、音量ボタンがないなどシンプルで馬鹿げた問題まで、紛れもない欠陥を抱えている。

概ねよくデザインされた第一世代のプロダクトと大目にみるのは簡単だが、新しく生まれ変わった会社がここからどう展開するのか先を見通すのは難しい。Palm、現実を直視せよ。

Red Hydrogen One

どこから始めようか? 値段から? スマホ分野におけるRedの初製品は1293ドル(もしアルミニウムをチタンにアップグレードしたければ1595ドル)からとなっている。この価格を支払えば疑いもなく魅力的なギミックな感じを備えた中級スマホを手に入れることができる。

何年間もティーザーが展開されたのち、Hydrogen Oneは大きさやメタルデザイン、ランボースタイルのとがったエッジを見せびらかしながらようやく10月に登場した。ディスプレイは、我々が子どものころに持っていたホログラフィックなベースボールカードの動くバージョンのような“ナノフォトニック”なデザインを示している。

テスト期間中、僕は何人かの仲間にこれを見せたが、みんな最初は面白いを感じるのだが、決まって「なんで?」と尋ねた。僕はまだこの問いにうまく答えられない。それから、何人かは見ていると気分が悪くなった、と言った。思うに、みなを魅了することはできないようだ。

Facebook Portal

「なんで?」というのが、最悪ガジェットに共通する疑問だ。Portalがまるで悪いプロダクトであるかのように、というわけではない。これのデザインはしっかりしているー実際、Echo Showより随分素敵に見える。当初は機能が十分ではなかったが、Facebookは最近実施したソフトウェアのアップデートで挽回した。

疑問の中心は、Echo ShowやGoogle Home Hubにはないものについてだ。Facebookブランドのハードウェアをリビングに持ってくるというのを正当化するには、かなりしっかりしたものでなければならない。特に、このソーシャルメディアが今年直面したプライバシーの懸念を考えた時はそうだ。このようなプロダクトをFacebookが立ち上げるのにこれまでいいタイミングというのはなかったが、特に今は最悪なように思う。

PortalにはすごいカメラトラッキングやARストーリーを含む素敵な仕掛けがあるが、まったく音痴で悪夢のようだ。

PlayStation Classic

  1. ゲームの半分はPALポートで、米国のテレビではうまく作動しない
  2. Gran Turismo、Crash Bandicoot、Tomb Raiderのようなクラシックゲームがない
  3. 電源アダプターが含まれていない
  4. サスペンドポイントが1つだけ
  5. 腹立たしい気分になる

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(翻訳:Mizoguchi)

ジェネシア・ベンチャーズがシード・アーリーに特化した80億円規模の2号ファンド組成へ

左からPortfolio Manager水谷航己氏、Relationship Manager吉田愛氏、General Partner鈴木隆宏氏、General Partner田島聡一氏、Principal河野優人氏、Associate一戸将未氏

創業者でジェネラル・パートナーの田島聡一氏率いるジェネシア・ベンチャーズは12月23日、2号ファンドとなる「Genesia Venture Fund 2 号投資事業有限責任組合」(以下2号ファンド)のファーストクローズを行い、総額約45億円規模で同ファンドを設立したことを発表した。

なお同ファンドは2019年9月末をメドにファイナルクローズを行う予定だ。最終的なファンド総額は80億円程度を予定している。

2号ファンドの主なLPは以下の通りだ。

  • みずほ銀行
  • みずほキャピタル
  • TFHD Open Innovation Program
  • 丸井グループ
  • ミクシィ
  • JA三井リース

主な投資対象事業領域は大きく分けて3つ。まずは「リアルとITの融合によるデジタル・トランスフォーメーション周辺領域」。この領域はアナログデータのデジタル化、ローカルデータのオープン化・クラウド化等を通じたデジタルデータの集約により、金融、通信、出版、医療、不動産、製造業、農業など既存産業の産業構造の再定義をもたらすXaaS、直接取引プラットフォームなどのデジタル・トランスフォーメーション周辺領域を指す。

次は「ニューエコノミー/デジタルメディア・コンテンツ周辺領域」。これにはC2C、シェアリングエコノミー、クラウドソーシング、非中央集権型プラットフォーム周辺領域、ビデオ、AR、VR、MRなど新たなメディアやコンテンツフォーマット周辺領域が含まれる。

最後は「フロンティアテック周辺領域」。これはAI、ロボット、ドローンや低軌道衛星など、新たな産業のソフトウェア領域において生み出される革新的なデジタル・イノベーション周辺領域だ。

ジェネシア・ベンチャーズの「ジェネシア(Genesia)」という単語は、創生という意味を持つ「Genesis」という単語に「Asia」を掛けあわせたもの。2016年8月の設立後、2017年8月に1号ファンドの組成を発表している。

1号ファンドからは、2018年11月末の段階で、原則リード投資家として日本・東南アジア地域のシード・アーリーステージのスタートアップ47社(日本35社、海外12社)に投資を実行。ジェネシア・ベンチャーズはTechCrunch Japanで紹介してきたスタートアップでいうとJob RainbowタイミーNon Brokersなどに投資してきた。

2号ファンドも1号ファンドと基本的なコンセプトは変えずに投資を実施していく方針だが、2号ファンドより東南アジアでの投資実績・トラックレコードを有する鈴木隆宏氏が新たにジェネラル・パートナーとして参画する。インドネシアのジャカルタに駐在事務所をすでに準備中であり、鈴木氏の参画により、東南アジア全域へ投資エリアを拡大、グローバル・スタートアップを目指す日本人起業家へのサポートもより充実させていく。

iPadで問診、医師と看護師の働き方改革を目指すCAPSが資金調達

写真中央がCAPSで最高医療責任者を務める白岡亮平氏

CAPSは12月20日、第三者割当増資による500 Startups Japanからの資金調達を発表した。調達額は1億円を超えない額。

同社は、かかりつけの医療機関向けの総合支援サービス「プライマリケア・クリニックチェーンマネジメント」を提供する創業4年目の企業。これはクリニックを開業する際の不動産の選定・取得から、経営システム、電子カルテの構築・運用、医師や看護師の募集をまとめてアウトソージングできるサービス。365日、夜間対応も可能な診療体制を支援する。

現在は、CAPSの最高医療責任者・白岡亮平氏が理事長を務める医療法人社団ナイズ向けにサービスを提供中だ。ナイズは、西葛西、北葛西、代官山、紀尾井町、柏の葉の首都圏6拠点でクリニックを運営しており、のべ16万人以上(2017年実績)の患者がいる。CAPSとしては当面、同サービスを導入しているナイズの拠点を増やしていく方針だが、将来的にはほかのクリニックへの提供を積極的に進め「2021年ぐらいに100拠点を目指す」とのこと。

白岡氏によると「医療機関は全国に10万拠点ほどあるが、その95~96%が個人経営」だそうだ。個人経営のクリニックでは、カルテの記録や保管、医師や看護師のシフト管理、給与計算、患者の予約管理など、医療行為以外の業務を院長や少数の看護師が自ら行うこともある。働き方改革が叫ばれる中、これらの業務負担により夜間診療が難しいうえ、時間外労働時間を減らせないのが現状なのだという。

ネット経由の予約システムはもちろん、問診のシステムも提供

ナイズでは、「プライマリケア・クリニックチェーンマネジメント」の導入により、1時間あたりで診療できる患者数を68人から、最大1516人に増やせたそうだ。具体的には、問診にiPadを活用することで時間短縮を実現している。問診はウェブ経由でも利用できるため、移動中にスマホで問診を済ませることも可能だ。白岡氏によると「ナイズでは、受付、問診、診察、会計のそれぞれの業務にかかった時間をログとして記録しており、どこで待ち時間が多く発生しているかを分析して最適な人員の配置を実現している」とのこと。現在、医師や看護師の時間外労働は月10時間以内で、離職率も低下したそうだ。

さらに小児科がメインの西葛西では21時まで、亀有と柏の葉では20時30分まで、北葛西では20時までの夜間診療を実施している。一般的に18時~22時の診療は「時間外加算」のため診療報酬点数が上がり、クリニックを個人経営するうえでのインパクトは強い。患者にとっては診療費は少し上がるものの、会社帰りでも医師の診断を受けれるという直接的なメリットのほか、蓄積された各種データにより自分の健康維持に役立てられ、病気の予防にもなる。「プライマリケア・クリニックチェーンマネジメントの導入により、セルフメディケーションで治療できる患者を増やしたい」と白岡氏。

500 Startupsから資金調達を受けた理由について白岡氏は「資金調達なしでもサービスの運営を続けられるが、500 Startupsとの提携で知名度を上げて優秀なエンジニアを確保するのが1つの狙い」とのこと。過酷な労働環境としてメディアにも頻繁に取り上げられる医療の現場が、こういったサービスの広がりで改善されることを期待したい。

UberのパートナーFairはソフトバンクから3億8500万ドルの投資を受け世界の自家用車に変革を起こす

カリフォルニア州のスタートアップFair.comは、車を購入するものから、安価で勘弁なリースするものへと自動車産業の舵を切ることを目的に、本日(現地時間12月20日)、野心的な、新しい大きな一歩を踏み出す。

Fairは、ソフトバンク率いる3億8500万ドル(約428億円)という巨額のシリーズB投資ラウンドによる資金を調達した。この投資には、Exponential Ventures、Munich Re VentureのERGO Fund、G Squared、CreditEaseも参加し、このビジネスの世界展開を目指す。Fairは、運転免許証とクレジットカード(または銀行口座を証明するもの)があれば、日常的な個人使用でも業務用でも、誰にでも柔軟なリースのオプションを提示してくれる。昨年、密接な協力関係にあったUberは、そのリース部門を今年の初め、Fairに4億ドル(約444億7500万円)で売却した。これによりUberは、ドライバーに車両を用意することができる。この方式を、他のライドシェア企業にも広めたいと考えているのだ。

「計画では、ビジネスを10倍にすることです」とCEOで共同創設者のScott Painterはインタビューに答えて話している。Fairはすでに、アメリカの15の州(25の市場)で事業を展開し、毎週、新しい街に進出している。今日までに、2万件以上のリース契約を行ったと彼は語っている。「去年は劇的な成長を遂げました」

今回の投資は、ソフトバンクがビジョンファンドを通じて行った、技術業界全体からしても、このシリーズの最新にして最大のものであり、とても戦略的な意味を持つ。

ソフトバンクは、ライドシェア業界では世界最大の投資企業であり、Uberだけでなく、中国のDidi、東南アジアのGrab、インドのOla、アメリカのGetaroundも支援している(その他、食料品配達スタートアップDoordash、ドイツの自動車販売プラットフォームAuto1、自律運転車両の企業Cruise、マッピングのスタートアップMapboxなどといった、自動車、運送関係の数多くの企業にも投資している)。

その長期計画の中には、Fairを使って、より多くのドライバーに車両を与えることでライドシェア産業を拡大するというものがある。すでにUberで行っているように、ドライバー志望者に車両を素早く提供できるようにするのだ。

「Fairなら、ライドシェアを世界規模で展開できると思っています」とソフトバンク・ビジョンファンドの投資家Lydia Jettは、TechCrunchとのインタビューで話していた。「これがソフトバンクのポートフォリオに何を加えるのか、またその逆を見るのが、大変に楽しみです」

Painterによれば、Fairは昨年から今日まで、ソフトバンクと話を続けてきたという。ソフトバンクが投資を決めた理由には、FairがUberの事業を好転させた実績があった。

「Uberは、私たちを納得させるケースとなりました」とJettは言う。「投資家としては、2つの異なるチームによって運営されるひとつの資産に注目することは滅多にありませんが、Fairのチームは、Uberがうまくできなかったことを解決しようとしていました。彼らは資産を好転させ、それが多大な付加価値を与えることを証明して見せたのです」

Painterは、自社の評価額について、直接的に述べることは決してしなかったが、今回のラウンドによってFair.comが調達した投資総額は、現在のまでにおよそ5億ドル(約556億円)になった話している。また、私は推測するところでは、Fairの現在の企業価値は、株式投資家が集団で事業を支配していない状態で、10億ドル(約1112億円)は下らない。

株式投資の他に、Fairは車両を揃える目的で最大10億ドル(約1112億円)の借入資本を確保した。Painterが私に話したところによると、今回の投資により、同社は必要なときに必要に応じて大きくなる借金の壺ができたという。「平たく言えば、株1ドルにつき10ドルの借金ができます。その現金を使って車を買うのです」

データを使ってスケールを拡大する

Painterは、株式投資はおもに、より多くの市場に事業を広げるために使われると話しているが、それはライドシェア業界に留まらず、「ギグエコノミーの中にいるあらゆる労働者」も含まれる。とは言え、一部の投資は同社の技術プラットフォームにも引き続き割り当てられる。

このプラットフォームには、近年成長してきた金融サービスに共通するものがある。ビッグデータの解析と人工知能を利用するというものだ。Fairは、手続きをできる限り簡便化して、ちょっと興味を持った人を、本物の顧客に変えることを目指している。

この場合は、同社の新車または新車に近い車(こちらが主だが)を借りたい人は、たった2つの書類を提出すればよい。自動車運転免許証と、クレジットカードか銀行口座を証明するものだ。

これを元に、Fairは申請者の資産概要をバックエンドで組み立て、リースが可能かどうかを即座に判断する(それだけでも大きな成果だ。車のリースや購入には、多くの人の手と時間を要する手続きが付き物だからだ。そうした手間を省くことができる)。利用者は車を「サブスクライブ」(定額利用)することになる。契約は5日前の通知で解約できる。プランは130ドル(約1万4500円)からとなっている。

車両の側でも、Fairは計算を行っている。どの車種に需要があるかを見極め交渉を行う。自動車販売業者(すでに3000社と契約している)との間で価格を決め、車を入手するための、確かなビジネスの流れを作る。

そのビジネスのデータの流れには、無駄な側面はないようだ。

「私たちのアプリは、およそ200万本インストールされていて、中古車を探している人のための大変に便利な場になっています」とPainterは言う。「それを通じて、私たちは利用者とその購買行動の情報を手に入れ、それをもとに、どの車種や製品が適しているかを考えることができます。データ駆動形の深層学習の実践です」

Painterの事業は、車を所有せず、すべての人がリースする自動車産業を前提としている。好都合なことに、それは、自動車産業はすでに変化し始めていると信じる大勢の人々の考えと一致している。

変化はこのように起こる。自動車がより高性能になる。そしてより高価になり、人々の手が届きにくいものとなる。または、自分で運転するのを嫌うようになる(まさに、自動車メーカーはそんな未来のための準備を始めている)。

人々が移動サービスを好むようになるか、まだ自分で運転したいと思うかに関わらず、自分で車を買うことはなくなる。こうした傾向を、オンデマンドサービスで見てきた大きな経済の変化と合体させると、効率的で、納得価格のリースというビジネスモデルとなり、人々は一度試してみようと思うようになる。

長期的には、個人に車を提供する以外に挑戦したいドライビング・シナリオがあるとPainterは言っている。

「今、私たちは乗用車と個人の移動にフォーカスしていますが、小型の運搬車という商用利用も考えられます。たとえば、小さな運送会社やパン屋、花屋など、輸送が必要なすべての業種が対象です」とPainter。「しかし、2019年はUberや同業の企業を助けることが先決です。そこには明確な要請があります。彼らを成長させるために、私たちはオフバランスシートでやっていきます」。Uberも同業の企業も、いずれは株式を公開する。それが来年である可能性もある。まさに、成長という名のゲームの始まりだ。

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(翻訳:金井哲夫)

GPS戦争勃発

あなたはどこにいるのか? これは、単なる純正哲学的な問ではなく、地政学的にますます重要な問題となってきた。それによって、AppleやAlphabetのようなIT系の大企業が厳しい立場に追いやられようとしている。

中国、日本、インド、イギリス、そして欧州連合を含む世界中の国々が、独自の測位システムを構築するための研究、実験を行い、実際に衛星を打ち上げている。

これは、ここ何十年もの間、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)によって、物体の位置を測定する機能を実質的に独占してきたアメリカにとって、とてつもなく大きな変化となる。GPSは、冷戦時代にアメリカ空軍 が軍事目的で開発し、2000年の半ばに民生用にも開放された(GPSの簡単な歴史については、この記事を、詳しい歴史が知りたければ、一冊の本となった情報もここにある)。

GPSを支配することには、多くの利点がある。その中で、第一の、そしてもっとも重要なことは、軍用、商用に関わらず、世界中のユーザーがアメリカ政府が提供するサービスに依存するということだ。いわば、ペンタゴンの慈悲によって位置を決めさせてもらっているわけだ。この技術の開発と測位衛星の打ち上げが、宇宙産業に利益をもたらす波及効果もある。

現在のところ、そのシステムに対する代替手段となるのは、世界規模では唯一ロシアのGLONASSだけだ。これは、ロシア大統領ウラジミール・プーチンの肝入で進められたアグレッシブなプログラムによって、数年前に全球をカバーするようになった。ソビエト連邦の崩壊後に衰退していたものを再構築したものだ。

今では、他にも多くの国々が、米国への依存度を下げ、独自の経済的な利益を得たいと考えている。おそらく、それがもっとも顕著なのは、GPSに代わる世界的なシステムの構築を国家の最優先事項としている中国だ。そのBeidou(北斗−「Big Dipper」)ナビゲーションシステムは、2000年以降ゆっくりと構築されてきており、主にアジアでのサービス提供に焦点を当てている。

しかしこのところ中国は、Beidou衛星の打ち上げを加速し、世界規模の測位サービスの提供をもくろんでいるFinancial Times紙の数週間前の記事によれば、中国は今年だけで11個のBeidou衛星を打ち上げた。それは、そのネットワーク全体のほぼ半分に当たる数であり、2020年までには、さらに十数個の衛星を追加する計画だという。完成の暁には、世界でもっとも規模の大きなシステムの1つとなるだろう。

2017年11月5日、中国は西昌の衛星打ち上げセンターから発射されるLong March-3B型の打ち上げロケット。第24号と第25号のBeidouナビゲーション衛星を搭載している。写真は、Getty Imagesから、Wang Yulei /中国通信社/VCGによるもの。

中国は、衛星を軌道に乗せるだけでなく、自国のスマートフォンメーカーに、Beidouに対応した測位チップを各社のデバイスに搭載するよう要求している。すでに、HuaweiやXiaomiといった大手メーカー数社のデバイスは、GPSとロシアのGLONASSに加えて、Beidouのシステムに対応している。

それはAlphabetや、とりわけAppleのようなアメリカのスマートフォンのリーダーを苦境に陥れる。たった1種類に統合されたiPhoneデバイスを世界中に供給していることを誇りにしているAppleにとって、GPSに関する独占の崩壊は頭の痛い問題だ。中国市場にだけBeidouに対応した独特なデバイスを供給することになるのか。あるいは、世界市場向けの携帯電話にもBeidouチップを搭載するのか。それによって、米国の国家安全保障当局とトラブルになるのではないか?

やっかいな問題は、それだけではない。GPSに代わるシステムを立ち上げることに、もっとも積極的なのは中国で、世界中を網羅することに強気の姿勢を見せているが、独自のシステムを追求しているのは中国だけではないのだ。

日本は、宇宙開発を、中国に対抗し、経済を回復させるための国家的な優先事項と位置づけており、そのプログラムのもっとも重要な要素の1つとなっているのが、ポジショニングシステムの構築だ。そのQuasi-Zenith Satellite System(準天頂衛星システム)には、現在までに1200億円(10億8000万ドル)の費用をつぎ込んでいる。GPSを補強して、日本国内のカバー範囲を拡大するように設計されたものだ。それによって、推定2兆4000億円(2155億8000万ドル)の経済効果を見込んでいる。

この新しいシステムを利用するには多大なコストがかかる。生産規模が小さいためだ。Nikkei Asian Reviewの数週間前の記事は、「受信機の価格が高いことがハードルになる。三菱電機が木曜日に発売した受信機は、誤差が数センチ以内という精度を持っているが、その価格は1台が数百万円、つまり何万ドルもするのだ。」と指摘している。自律走行車には、日本国内でのより高い位置精度が必要なのかもしれないが、その技術を車に取り入れたいのであれば、自動車メーカーは直ちにコストを下げる必要がある。

日本と同様に、インドもGPSを補完するIRNSSというシステムの実現を目指している。すでに7つの衛星を打ち上げ、インド亜大陸でのカバー範囲を拡張している。一方、Brexitをめぐる国民投票の結果、3月に欧州連合から脱退することになっている英国は、EUのGalileo測位システムにアクセスできなくなる可能性がかなり高い。そのため、独自のシステムの立ち上げを計画している。そのGalileoは、2019年には完全な運用状態になると期待されている。

かいつまんで言えば、世界は1つのシステム(GPS)から、おそらく7つのシステムに移行したのだ。中国のメーカーは、GPS、GLONASS、そしてBeidouを1つのチップに実装することを促進しているが、それは中国という国家規模でしか成立しないだろう。たとえば日本では、スマートフォン市場は飽和状態にあり、人口は中国の10分の1にも満たない。そのため、価格を下げるために必要な量産効果は見いだせない。同じ理由で、英国ではさらに厳しいだろいう。

理論的には、1つの測位チップを、それらのさまざまなシステムすべてに対応するように設計することは可能だ。しかし、特にGLONASSとBeidouに関しては、米国の国家安全保障法に抵触する可能性がある。つまり、インターネットが異質な極に分断されているのと同様に、スマートフォンの測位チップも、そうした地域ごとの市場に対応するため、細分化を余儀なくされることが、すぐに明らかになるだろう。それは最終的には、消費者にとって、より高い価格を意味し、製造業者にとっては、より厳しいサプライチェーンを意味することになるのだ。

画像クレジット:AFP/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

高齢者のほとんどが施設よりも在宅を望む、CherryHomeが$5.2Mを調達してAIによる在宅ケアに挑戦

高齢者ケアにAIを利用するスタートアップが新たな資金を獲得して、歩き方や行動の変化、そして転倒やぶつかりを検出できるようにしたい、と考えている。言い換えると彼らは、長期的に高齢者の健康をモニタして、変化を予測できるようになりたいのだ。

そのスタートアップ、Cherry Labsが作ったAIによる家庭用安全システムCherryHomeが、GSR Venturesから520万ドルを調達して、在宅高齢者ケアにテクノロジーを活用しようとしている。CherryHomeはコンピュータービジョンの独自のアルゴリズムを使ってカメラのデータを解釈し、仮想の“スケルトン”(人体骨格)を作る(上図)。それをAIが見て、家の中での出来事や人間の行動を分析する。たとえば、この状態を放置したら足を引きずって歩くようになりそうだ、とか。

競合するサービスSafely Youは、転倒に反応してアラートを送る。NestとLighthouseは、画像処理に初歩的なAIを利用している。そしてAmazonのRingは、屋外での安全をサポートする。

CherryHomeでは、すべての情報がローカルに処理されるので、ビデオが家の外に出ることがない(サーバーに送られたりしない)。ビデオの中では高齢者が上図のようにマッチ棒で描いたような線画で表現されるから、プライバシーが保たれる。この最後の部分が、とても重要だろう。

今度得た資金でCherryHomeは、在宅ケアサービスTheraCareと、介護施設のためのテクノロジーシステムTriCuraと共に、パイロット事業を興すことになった。どちらも、ベイエリアの企業だ。

CherryHomeのCEOで協同ファウンダーのMax Goncharovは次のように語る: “人間の生き方の中に、多くのアプリケーションの芽がある。家の中や外の安全、在宅高齢者ケア、スマートホームの完全な自律化、などなど、ニーズはさまざまだ。しかしテクノロジーによる改良がいちばん必要なのが、高齢者のケアだと私は思う”。彼によると、高齢者は現在、アメリカの人口の15%を占め、2030年にはアメリカ人の5人に一人は、退職後の年齢になる。いくつかの調査によれば、これらの人びとの多くが家にとどまることを願ってる。アシストの完備した施設へ移るのではなくて。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企業用のメッセージ伝言板Convoが、全員が確実に読んだことを知る簡単な方法を考案

企業のリアルタイムの伝言板Convoが今週、ちょっとした工夫で、読んだことの確認を自動化した。

企業ではよくあることだが、社員全員に何かを送る必要があるときは、それを誰が見て、誰がまだ見てないかを知る必要がある。全員が読むべきものを、全員が読んでくれたか? まだ読んでない人は誰々か?

「読んだ」というメールをもらうようにしてもよいが、大きな会社ではメールが使えないところにいる人もいる。署名帳を回す方法もあるが、少々めんどくさい。全員が見た/読んだことが分かるリストがほしいだけだから、これは簡単なコンプライアンスの問題だ。であるべきだ。

Convoの新しいツールは、それが容易にできる。伝言を書いて送るのは前と同じだが、それを実際に送る前に、“受け取った者は受け取りを確認してから見ること”*、というボックスにチェックを入れる。〔*: 下図では、Tap Acknowledge to view the post、Acknowledgeをタップしてからポストを見よ〕

伝言のメッセージが同僚のConvoのタイムラインにポップアップしたとき、タイトルを除くメッセージ本文は完全にぼやけている(下図)。意識的にそれを確認(acknowledge)すると、ぼやけはなくなる。そしてメッセージの送信者には、誰それが今読んだ、というアラートが行き、その人の名前は“まだ読んでない”のリストから“読んだ”のリストへ移動する。

ただしこれはセキュリティの機能ではないから、正式に確認せずにぼやけを消すこともできる。送った人が、相手の人のスマホの画面をいちいちチェックするなんて無理。目的は、会社の誰もがそれを見ないようにするというセキュリティではなくて、誰もが確実にそれを見て、自動的に生成されるリストにより、何かのコンプライアンス要求を満たすことだ。Convoのグループ機能を正しく使えば、メッセージはそれを見る必要のある人だけに行く。

この機能は今週初めに展開された。来月にはすべてのConvoネットワークで使えるようになるだろう。そのとき同社はその利用を、エンタープライズのレベルの顧客に限定したいだろうな。

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人間の爪のミクロン単位のゆがみから症状の治癒や悪化を判定する超小型センサーをIBM Researchが開発

IBMが今日(米国時間12/20)、人間の手の指の爪につけて、パーキンソン病なやそのほかの疾病の治療薬の効果をモニターする、小さなセンサーを開発した、と発表した。そのデータを分析する専用のソフトウェアと共にセンサーは、ユーザーが物を握ったときの爪の歪(ゆが)みを測定する。ほとんどどんな活動にも、物を握る行為があるので、そのソフトウェアが分析すべき大量のデータが生成される。

センサーを爪ではなく肌につけて運動をモニターし、筋肉や神経の健康を調べる方法もあるが、IBMのチームによると、皮膚を使う方法には感染など多くの問題があるので、爪の曲がりから得られるデータを使う方法を選んだ。

ただし、多くの場合に、爪はわずかしか曲がらないので、感度の高いセンサーが必要になる。研究者たちはこう説明している: “分かってきたのは、人間の指が、それらで物を握ったり掴んだり、曲げたり伸ばしたりするとき、一定のパターンで変形することだ。この変形の大きさは通常、ひと桁の数ミクロンのオーダーで、肉眼では見えない。しかし、ひずみゲージを使えば容易に検出できる。ご参考までに、人間の毛髪の太さは50から100ミクロン、赤血球の径は10ミクロン未満だ”。

現在のプロトタイプバージョンでは、センサーを爪に接着している。爪はけっこう丈夫なので、そのやり方でもリスクはほとんどない。肌につけるセンサーよりは、ずっと安全だ。センサーのデータはスマートウォッチへ行き、そこで機械学習のモデルを動かして、震(ふる)えなどのパーキンソン病の症状を検出する。モデルは、装着者が今何をしているかも検出できる(ドアノブを回している、ドライバーを使っている、など)。装着者が自分の指で数字を書くと、それも正確に判読できる。

今後は、このセンサーのプロトタイプとモデルの改良により、そのほかの疾病も認識し分析できるようにしたい、とチームは望んでいる。このセンサーが市販される時期については、まだ発表の段階ではないようだ。

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Apple App Store(アメリカ)の売上100万ドルのパブリッシャーは164社、Google Play Storeの倍だった

AppleのApp Storeは長年、アプリ内購入やサブスクリプションも含むデベロッパーの収益性で、Google Playを上回っていた。そしてモバイルアプリの経済的側面を分析しているSensor Towerのレポートによると、2018年に収益が100万ドル以上となるアプリはApp StoreがGoogle Play Storeの倍近くとなる。

Sensor Towerの分析によると、2018年のアメリカのApp Storeでは164のパブリッシャーが100万ドル以上の売上を獲得した。対してGoogle Play Storeでは、それがわずか88社だった。

しかしそれでも、100万ドルパブリッシャーを作りだすGoogle Play Storeの能力は、Appleよりも速いペースで成長している。

すなわち、上図で見るとアメリカのApp Storeの百万ドルパブリッシャーは2017年の143から2018年の164へと、約15%増加しているが、Google Play Storeでは71から88へ、24%増加している。成長率ではGoogleが大きい。

新しい100万ドルパブリッシャーの多くが、当然ながらゲームだ。アプリストアの売上におけるゲームの貢献率を見てみよう。2018年には、Apple App Storeの164のミリオンダラーパブリッシャーのうち、その33%に相当する54がゲームだ。トップはFoxNext GamesのMarvel Strike Forceで、今年1500万ドルあまりを売り上げた。

しかしそれでも、App Storeでは他のカテゴリーが伸びているため、ゲームの比率は10%下がった。たとえばLifestyleのカテゴリーは前年比で5から10%に伸び、Health & Fitnessは6から12%へ増加した。

Google Play Storeでは、100万ドルパブリッシャーの65%がゲームで、Apple App Storeの33%よりも大きい(下図下)。次位はSocialの6%である。

どちらのアプリストアも、ダウンロード数と消費者支出の両方が伸びている。全世界では、両アプリストアの計で今年のダウンロード数は1130億回、消費者支出額は760億ドルとなる。これらは、12月半ば現在の数字だ。

画像クレジット: TechCrunch

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自動運転スタートアップZoox、カリフォルニアで客乗車の許可取得に一番乗り

米カリフォルニア州で、ドライバーなしの車両テストの許可を受けている企業は60社以上にのぼるが、そうした車両で客を輸送することができる許可を初めてZooxが取得した。カリフォルニア公益事業委員会(CPUC )は今日、同州の自動運転車両による客輸送サービス試験にZooxが参加する許可証を発行した。

試験期間中、Zooxは安全のためのドライバーを運転席に待機させる必要があり、乗車した客に課金することは許されない。そして試験事業の一環として、ZooxはCPUCにインシデントや乗客を乗せて走った距離、乗客安全プロトコルについてデータやレポートを提出しなければならない。

「これは、完全自動運転を使った商業サービス展開に向けての重要な節目となる」とZooxのコーポレート規制問題の責任者はTechCrunchに対し電子メールでこう述べた。

今回の許可に先立ち、3カ月前にZooxはグローバル気候行動サミットの一部として自動運転乗車をテストしていて、4カ月前の8月下旬にはZooxの創業者Tim Kentley-Klayが追放されている。さらに追放の1カ月前にZooxはGrokベンチャーズのMike Cannon-Brookes主導で5億ドルを調達し、これにより累計資金調達額は8億ドルとなった。

Zooxは最終的に2020年までに自前の配車サービスという形で自動運転車両の商業展開を目指している。車両は全電動で完全自動運転だ。一方、この分野大手となるいくつかの企業と同様にUberやLyftといった配車サービス会社もまた自動運転車両に取り組んでいる。

CPUCによるZooxへの許可は2021年12月21日まで有効だ。経験を積むために、CPUCは2種類のパイロットプログラムを行う。1つはセーフティードライバー付きの客を乗せてのテスト、もう1つはセーフティードライバーなしで客を乗せてのテストだ。

イメージクレジット: Zoox

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(翻訳:Mizoguchi)

存在教育エラー:学生のソフトウエア教育に失敗しました

[著者:Ryan Craig]
University Venturesのマネージング・ディレクター。

ほとんどのデジタル革命のきっかけとなった画期的な発明は、ゼウスの額からアテナが生まれたように、アメリカの大学の研究室から、直接、飛び出してきたものだが、学校の側からすると、アメリカの高等教育は、これまでずっとのんびりした態度でやってきた。もちろん、コンピューター・サイエンスの講義はたくさんあり、何百万人という学生がインターネットを通じて受講している。MITなどは、AIのための新しい単科大学を10億ドル(約1125億5000万円)をかけて設立した。しかし、25年から50年ほど前の人間がタイムトラベルして今の大学を訪れたとしたら、環境はあまり変わっていないように感じるだろう。ただ学生が、人と目を合わせたがらず、デジタルデバイスの画面を見つめている点が違うぐらいだ。

こうした昔ながらの大学の姿は、変革を経験した職場から訪れた人には、さらに驚きだろう。10年前まではデジタルデバイスをまったく、あるいはほとんど使わなかった職場も、学生がスマートフォンの画面を食い入るように見つめるように、コンピューターの操作ができる人間を血眼で探している。紙の書類で行われていた仕事は、今は完全にデジタル化されている。仕事に関わる機能を持つ業界固有のビジネス・ソフトウエアの使用経験は、簡単な職種であっても、今や業務経歴書には必須項目だ。

このことは、数週間前に250名の大学関係者の前で講演を行った際に、彼らの急所を突いた。私は、アメリカのビジネス業界でナンバーワンのSaaSプラットフォームSalesforceの使い方を授業で教えている大学はどれほどあるか尋ねてみた。

誰も手を挙げなかった。

理由はいくつかある。学生が最初に就いた仕事で、しっかりと働き成功できるように必要な技術を身に着けさせることに全力を傾けている(または少しでも真剣になっている)教師が、まったくとは言わないが、ごく僅かしかいないことも考えられる。学生が就職できなくとも、彼らはクビにはならない(今のところは)。もうひとつは、コストの問題だ。そうしたスキルを持つ学生を強く望む声が企業から伝えられていても、それを教える能力を持つ教師を探して雇うぐらいなら、役に立たない科目を教えていたほうが安上がりなのだ。さらに、技術の変化が激しいという理由もある。どんなに一生懸命に教えても、数年後には時代遅れになっているという観念がある(もちろん、現実のビジネス・ソフトウエアの世界はまったく違う。Salesforceのような基本的なプラットフォームの寿命は長く、10年を超えてもいまだ現役だ。なかには一世代続くと予想されるプラットフォームもある)。

しかし、大学が学生たちに、就職に必要なソフトウエアの使い方を教えたがらないいちばんの理由は、ミレニアル世代(Z世代)は「デジタル・ネイティブ」(生来のデジタル人間)なので教える必要がないと、彼らが思い込んでいることだ。

デジタル・ネイティブという考え方は、今に始まったものではない。何十年もの間、デジタル技術と共に育った子どもたちは、あらゆるデジタル製品を受け入れることができると思われてきた。たしかに、大学生たちはNetflixやSpotifyやスマートフォンを使いこなしているのは事実だ。しかし、彼らが子どものころから親しんできたスマートフォンは、会社の電話のとり方や、就職に欠かせないビジネス・ソフトウエアの使い方は、これっぽっちも教えてくれていないことも事実だ。

デジタル・ネイティブにとっても
ビジネス・ソフトウエアは
非常に厄介な代物だ

高等教育機関と連携してビジネス・ソフトウエアのトレーニングを提供するスタートアップPathstreamの共同創設者Eleanor Cooperは、こう話している。ミレニアル世代とZ世代は「直感的に操作できて、すぐに満足できる結果を与えてくれるInstagramのようなプラットフォームは使い慣れていますが、ビジネス・ソフトウエアを習得するといいう体験は、例外なく、まったく逆です。たちまちイライラして、満足できる結果はなかなか得られません。まずは何時間もかけて技術的なステップを踏み、ソフトウエアのセットアップを行います。その後でようやく、悪夢のようにボタンを押しまくる操作の段階に入ります。今時のソフトウエアからすれば、よくて退屈、悪くすれば時代遅れで不確かな代物です」

先月のThe New Yorkerの記事『Why Doctors Hate Their Computers』(なぜ医師はコンピューターを嫌うのか)で、Atul Gawande博士は、患者のケア、つまり「診察所見の記録や閲覧、処方箋の薬局への送付、検査とスキャンの予約、結果の評価、手術の予定、保険請求書の送付」などを行うためのSaaSプラットフォームEpicの導入を試みたときの話をしている。

最初に16時間のトレーニングを受ける必要があった。Gawandeは「患者の氏名を探したり、緊急連絡をしたりといった最初の練習ではよくできました。しかし、検査の結果を評価する段になると、頭が混乱してきました。画面の左側には13個のタブの欄があり、ほとんど同じ言葉が書かれていました。チャート評価、結果評価、評価フローシートなどです。どうやって情報を入力するか、まだ何も教わっていません。しかも、それぞれのタブで開くフィールドには固有のツールがあり、微妙に雰囲気も違います」

デジタル・ネイティブにとっても、ビジネス・ソフトウエアは非常に厄介な代物だ。今の学生たちはシンプルなインターフェイスに慣れている。しかし、シンプルなインターフェイスが使えるのは、メッセージや動画を選ぶといった、シンプルな機能しかない場合のみだ。現在主流のビジネス・ソフトウエア・プラットフォームは、単機能ではない。何千とまでは行かなくても、何百もの機能がある。

Gawandeは、IBMのエンジニアFrederick Brooksの著書『The Mythical Man-Month』(邦題『人月の神話』丸善出版)を引き合いに出している。この本には、ダーウィンの進化論になぞらえて、クールで簡単に使える(「数人のナードが友人のナードのために」作った限られた機能を持つ)プログラムから、より多くの機能をより多くの人に提供する大きな「製品」としてのプログラムへ、そして「まったくクールじゃないプログラム・システム」に進化する様子が説明されている。Gawandeは、大学院の学生が小さなスケールの流体力学をシミュレーションするためのプログラムFluidityの例をあげていた。研究者たちはそれを大変に気に入った。そしてすぐに新機能のためのコードを追加した。するとそのソフトウエアは複雑になり、使いづらくなり、制約の多いものになってしまった。

煩雑なインターフェイスの他に、ビジネス・ソフトウエアが本当に難しいもうひとつの理由は、ビジネスの商習慣に固められて、がんじがらめになってしまった点だ。Salesforceのコンサルタントはこう言うだろう。Salesforceのカスタマイズを試みる(または設定を変える)ぐらいなら、会社の商習慣をSalesforceに合わせたほうがずっと簡単ですよと。それは、すべてのビジネス・ソフトウエアに言えることだ。Gawandeが指摘するように、「多くの人に適応し、多くの機能を提供しようとするほど、プログラムは自然に制限が多くなります。ソフトウエア・システムは、私たちがグループとして使うことを想定しており、そのために否応なく、官僚的な性質になるのです」

デジタル・ネイティブの伝説は
大学にとっては便利なものだ
それが学生が本当に
必要としているものではなく
学校が教えたいことだけ
教えていればよいとするための
言い訳になるからだ

ソフトウエアに規定された商習慣は、職務全体、業界全体にわたり標準化されつつあり、非常によく知られるようになっている。よく知られるようになったので、人事担当は、それを知っている人材を欲しがる。そうなると、大学はソフトウエア教育だけの話ではなくなる。学生にビジネス・ソフトウエアを教えるということは、当然のこととして、業界および職務の専門性も備えさせることになる。それには、16時間の訓練などでは、まったくおぼつかない。

「仕事用のシステムが、なぜスマートフォンのように、柔軟で、簡単で、カスタマイズができるようにならないのでしょうか? その答は、これらのシステムの目的が異なるからです」とGawandeは話す。「一般消費者向けの技術は、自分のためだけのものです。複雑な企業向けの技術は、自分一人では難しい仕事をグループで行うことを支援するもの、つまり、連携のためのものです」

デジタル・ネイティブの伝説は、大学にとっては便利なものだ。それが、学生が本当に必要としているものではなく、学校が教えたいことだけ教えていればよいとするための言い訳になるからだ。しかし、それは自己中心的で、浅はかで、愚かなことだ。Netflixやスマートフォンがテクノロジーなのだと思ってしまわずに、外の世界に出て、自分の大学の入学審査や財務や人事といった職務に使われているソフトウエアを見て欲しい。大学卒業生の95パーセントは、そうした職場からキャリアを積むことになる。教職員ラウンジのような場所ではない。それも、幸運な学生の話だ。それ以外の卒業生は、スターバックスのような場所からスタートすることになる。

Gawandeは、その記事の中で、ビジネス・ソフトウエア・プラットフォームに順応して働く(そして生きる)には大変な苦労を重ねる必要があるが、ソフトウエアは、世界を食い尽くそうとしていると書いている。それが消費者にとって、よい結果をもたらすという。Epicを導入すれば、病院は、3カ月以上オピオイドを使用している患者を探し出して、その人の過量摂取の危険性を減らすことができる。または、ホームレスの患者の結核の検査が3回続けて陰性だったとき、隔離の必要はないと伝えることができる。「私たちはこれを、私たちのためのシステムであり、またそうではないと考えています」と話すのは、医療システムの最高医療責任者だ。「これは患者のためなのです」

この恩恵は、大学が新しい教育プログラムができたと大喜びして入学者数を増やすことになったデータ解析革命がもたらした恩恵と同質のものだ。しかし、よりよい成果を得るために追加されるデータは、まずキャプチャーしなければならない。それを行うのが、複雑なビジネス・ソフトウエアだ。だから、自分で種を撒かずにビッグデータの果実だけを収穫しようとする大学の考え方はズルくて、少くとも偽善的だ。種を撒くためには、ビッグデータを活用できるソフトウエアの扱いに欠かせない技術とビジネスの実践的知識を学生たちに植え付けることが肝心であり、それには、大胆な投資が自ずと必要になる。

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(翻訳:金井哲夫)

NORADのサンタクロース追跡サービスは政府が閉鎖しても継続する

60年以上前から、NORAD(North American Aerospace Defense Command, 北米航空宇宙防衛司令部)とその前身CONAD(Continental Air Defense Command, 米国本土防空軍)は、12月24日に世界中でサンタの飛行を追跡してきた。

そしてそのオペレーションセンターは金曜日(米国時間12/21)のツイートで、政府による閉鎖にもかかわらず今年も続ける、と語った。

[このツイートの概要は以下の記事に]

NORADによると、NORADのサンタ追跡(Santa tracker)は、約1500名のボランティアが支援し、電話やコンピューターを使って世界中の子ども(と大人)たちからの質問に答えている。

そのリアルタイムのアップデートは、WebサイトNORAD Tracks Santaや電話、およびメールで得られる。言語は、7か国語に対応している。Twitter上のアップデートもある。

ここでもフォローできる。

この伝統のすべては、ある新聞に載った広告の中の電話番号の誤植から始まった。その広告の中ではサンタが、“さあ、子どもたち、私に直接電話しなさい、番号を間違えないようにね”、と言っていた。1955年の12月24日にある子が電話をしたら、コロラド州コロラドスプリングスにあるCONADのオペレーションセンターにつながった。

その夜、宿直を担当していたのHarry Shoup大佐が、電話に答えた。しかしその夜電話をしたのは、その子だけではなかった。Shoupはオペレーターたちに、サンタクロースの位置を見つけてそれを電話してきたすべての子どもに伝えるよう命じた。そして、その、毎年の伝統が始まった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Google、ウェブ検索の半数をモバイル優先に変更済、モバイル非対応サイトには将来悪影響も

Googleは公式ブログで「すでに検索対象ページの半数をMFI(モバイル・ファースト・インデクシング)に切り替え済み」と発表した。Googleは数年前から検索の主力をデスクトップからモバイル優先へとシフトさせてきたが、ここでひとつの大きなマイルストーンを達成したといえる。

Googleがモバイル・ファーストのインデクシングに力を入れ始めたのは2016年だった。このとき同社はモバイル優先インデクシングの内容とその影響を説明し、「ウェブサイトのページのインデクシングを行う際、今後はモバイル版のコンテンツを対象としていく」と述べた。またページのデータ構造がモバイル利用に適切かどうかを考慮し、検索結果をスニペットとして表示することも付け加えている。

このシフトは理由ははっきりしている。Google検索の大半がデスクトップ・パソコンからではなくモバイル・デバイスから行われるようようになったからだ。もちろんGoogleの検索ランキングはデスクトップ時代に構築されたシステムで、当然ながらデスクトップ版のコンテンツをインデクシングしてきた。

これはサイトのデスクトップ向けのコンテンツとモバイル向けコンテンツが適切に同期されていない場合に問題を引き起こす。【略】2017年の12月にGoogleは「一部のサイトでモバイル・ファーストのテストを開始した」ことを発表した。それから1年半後、今年に入ってモバイル・ファースト・インデクシングを公式に採用した。このときGoogleは「モバイル向け・インデクシングのガイドラインをすでに採用し、モバイル・フレンドリーなページを構成しているサイトを優先して新しいポリシーでのインデクシングを行う。この場合、oogleの高速読み込み対応のAMPページよりも、サイト自身のモバイル向けページを優先する」と述べた。

サイトのGoogle検索がモバイル・ファーストに変更された場合、Search Consoleのメッセージで通知される。これに伴い、 Googlebotがモバイル版をクロールする頻度が増える。 サイト運営者はサーバー・ログのGooglebot Smartphoneからの接続要求の回数をチェックして確認できる。

GoogleはまたURL検査ツールを提供しているので、サイト・オーナーは直近のクロール、インデクシングがいつ行われたかチェックできる。

Googleはブログ記事で レスポンシブウェブデザインを採用していないサイトの場合、モバイル・ファースト・インデクシングに移行する上で2つの障害に遭遇することを指摘した。

デスクトップのデータは構造化されていてもモバイルサイトには使われていないサイトがある。Googleにとって構造化データが用いられていることは重要だ。システムはこれによってコンテンツの内容を理解し、要約を作成して検索結果に表示する。またレシピや映画のレビューの星、カルーセルなどのリッチリザルト表示や、ナレッジグラフの利用など各種の拡張機能も利用できるようになる。トップの青文字のリンク以外の検索結果表示にはなんらかのデータの構造化が必要ということだ。

Googleはまた「画像の説明(alt-text)がない場合、システムが画像の意味を把握するのが困難になる」と警告している。

モバイル・ファーストへの一大シフトの開始時点でGoogleは「これは表示ランクに直接影響を与えるものではないが、モバイル向けコンテンツを用意しておくことはモバイル検索におけるパフォーマンスを向上させる」と述べていた。実際、モバイル・フレンドリーは重要な要素だが、検索ランキングを決定する要素は他にも多数ある。

今のところGoogleは適切なモバイル対応を行っていないサイトをどのように処理するか明らかにしていない。しかし、将来ある時点で、非対応サイトの検索ランキングに悪影響が出るようになるのは避けられないだろう。

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滑川海彦@Facebook Google+

中国、ゲーム認可を再開ー業界に今年最後の大きな朗報

2018年が終わりに近づくなか、9カ月にもわたるゲーム認可の凍結で打ちのめされていた中国のゲーム業界にとって明るいニュースが飛び込んできた。当局が、新作ゲームの認可を再開した、と発表したのだ。

かなり切望されていたゲームの認可は、デベロッパーが合法的に中国で稼ぐために必要不可欠のものだ。「第一群のゲームのレビューを終えたところだ」と中国共産党教育部の高官Feng Shixinは金曜日に開かれた業界スンポジウムで語った。かなり多くの認可申請がそのプロセス過程にあるが、Fengはイデオロギー監視当局が間もなく認可を割り当てる、とも付け加えた。

中国最大のゲーム事業者Tencentの株価は金曜日、4%上昇した。その一方で、Tencentより規模の小さいNetEaseは1%のアップだった。

中国政府は、国家新聞出版広電総局がゆくゆくは国の宣伝機関の直接の管理下になる大きな改革を実施し、それに伴いゲームを管轄する規制当局は今年3月に新作ゲームの認可を停止していた。この大刷新は、数十億ドルマーケットのコントロールを中央政府に与えるのがねらいだ。

一つには、当局はポルノやギャンブル、暴力、そして政府が不適切と考えるコンテンツを含んでいる不法なゲームをきつく取り締まろうとしている。Fengによると、この不適切なコンテンツには歴史を書き換えるようなものも含まれる。3月、Tencentの大ヒットしたモバイルゲームHonor of Kingsは、中国の歴史上の人物について誤って表現しているとして共産党機関紙から批判を浴びた。

二つ目に、中国は特にゲーム中毒や不法コンテンツから子どもを守るという点においてゲームデベロッパーに“確たる社会的責任”を持つよう求めている。政府は子どもの視力低下を引き起こしているとしてビデオゲームを非難さえしている。これを受けて、大手ゲーム事業会社の中ではTencentとNetEaseが未成年プレーヤーに時間制限を設けた。

当局はまた、制作会社にゲームの質を改善するよう求め、また海外展開を促している。中国製のゲームが海外で展開されるにつれ、それらが“中国の文化を広め、中国の価値観を宣伝し、中国の嗜好を披露する”ためのエンジンとなりうる、とFengは話した。

ゲーム認可の長い凍結は、世界最大のゲーム市場にとってこたえるものだった。市場調査のNewzooによると、中国製ゲームの売り上げは右肩上がりで、2018年は400億ドルとなるとみられている。しかしながら、この巨大な産業において過去10年で最も小さい成長率だ。北京拠点の調査会社GPCと中国の公認ゲーム団体CNGのレポートによると、2018年上半期の対前年同期比の成長率は5.4%だった。

たとえば、世界最大のゲームサービス事業者(そして中国最大のメッセージアプリWeChatのデベロッパーでもある)Tencentは、人気のゲームで稼ぐことができなかった。このゲーム大手のゲーム分野における収入は第三四半期に4%減った。消費者向けゲーム事業での圧力を相殺するために、Tencentは企業向けサービスによりフォーカスしようと10月に大規模な組織再編を実施した。

Tencentは第三四半期の決算発表時に、15のゲームが認可待ちだとしていた。これは、切望されたゲーム認可が得られれば、ゲーム事業の売り上げが戻ってくるかもしれないことを意味する。

「これは中国のゲーム業界にとって心強いニュースだ」とTencentは金曜日に出した声明文で述べた。「ゲームのレビューと認可プロセスが再開すれば、Tencentは社会や市民が受け入れるような、そしてより質の高い文化的作品を制作することになるだろう」。

小さなゲーム会社もまた、生き返ったマーケットで競争を有利に進めるチャンスを手にするかもしれない。「ゲーム会社の規模は問題ではない。新たな規則やガイドラインにいかに早く対応するかが問題だ」と海外のゲームが中国で展開するのをサポートしている企業APPTUTTiで事業開発ディレクターを務めるIlya Gutovは話した。

「そうは言っても、コンプライアンスにあたっては大企業の方がより大きな資力を持っている。しかし大企業には経なければならない内部プロセスがあり、小さな企業ほどにフレキシブルではない。だから、いかに素早く新たな認可プロセスに対応できるかが鍵を握る」。

イメージクレジット: Tencent

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(翻訳:Mizoguchi)

ドローン出現で閉鎖の英ガトウィック空港が再開

付近でドローンの飛行が継続的に確認されたために丸一日閉鎖されていた、英国で2番目に大きいガトウィック空港が今朝早く滑走路の使用を再開した。


今朝8時(グリニッジ標準時)に発表されたメディア向けの声明文では、同空港は午前6時に滑走路の使用を再開し、“限られた数”の飛行機が離発着を行なっている、としている。

滑走路使用の頻度は1時間あたり数回と“かなり制限されている”とも警告している。

警察部隊が特定されていないドローン操縦者(ら)の捜索を昨日から続けているが、これまでのところいまだ不明だ。昨夜はドローン操縦者探しに軍も投入された。

ガトウィック空港は、搭乗予定の人に対し、空港に来る前に航空会社に運航状況を問い合わせるようアドバイスしている。

ガトウィック空港は、滑走路を再開してもいいかどうか、そして最優先事項である乗客の安全の確保を図るために、政府、そして軍と夜通し作業を行なった、としている。

「我々は引き続き、影響を受けて空港にとどまっている乗客へのサポートと情報提供を続けていて、一晩中チームが対応にあたった。今日、我々が優先することは、人々がクリスマスにいるべきところに行けるよう空港を正常に戻すことで、日中を通してなるべく多くの情報をアップデートしていく」と付け加えた。

Guardianは運輸大臣Chris GraylingがBBCの番組Breakfastで今朝述べたコメントを伝えている。彼は「空港が閉鎖されている間、“少数のドローン”と思われるものが40回ほど目撃された」と語っている。

「このような形で空港が大混乱するのは、世界でも前代未聞だ。今回起きたことから早急に学ばなければならないだろう」ともGraylingは述べた。

「何が起きたのかを共有するため、そして何を学ぶ必要があるのかを理解するため、国中の空港関係者を呼んで会議を開く。そしてこのような事態が二度と起こらないよう、とれる全ての対策を実行する」。

航空大臣のBaroness Suggは今回の事態をめぐり、昨日上院で厳しい質問責めにあった。

ロボティクス専門家もまた、政府はドローンがいかに誤って使用され得るかという懸念に何年も耳を傾けてこなかった、と述べて政府のテクノロジーについての独りよがり的な姿勢を酷評した。

英国は今年法改正し、空港から1キロ以内と上空400フィートの領域での飛行を禁じるなどドローンに制限を加えた。

違反してむやみにドローンを飛行させたり、航空機や搭乗している人を危険にさらすような行為には、最大禁錮5年の刑、または制限のない罰金、もしくはこの両方が科される。

しかし、批評家は規則があまりにも弱く、広範にわたるインフラやサービスを混乱させるのにドローンが使用されることがないよう、より踏み込んだ措置が必要、と指摘している。

Image Credits: Derek Croucher / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

著名アナリストがアムネスティインターナショナルによる虐待批判を擁護してからTwitter株激落

著名な株式市場ジャーナリズムCitron ResearchTwitterを、“ソーシャルメディアのHarvey Weinstein”*と呼び、20ドルという低い目標価格を設定してから、同社の株は11%下げた。今日(米国時間12/20)現在では株は11%よりさらに下がって29ドル29セントになっている。〔*: Harvey Weinstein, #MeToo運動の契機になったセクハラ常習プロデューサー。〕

Citronの歯に衣着せぬ記事は、Twitter上では虐待が氾濫しているとするアムネスティインターナショナルの報告を根拠にしている。Citronはこう書いている: “Citronは長年Twitterを見ているが、発表されたばかりのアムネスティインターナショナルの報告を読んだときにわれわれは直ちに、その株が投資不適格になり、広告主たちは近いうちに確実に、Twitterのスポンサー(広告の出稿者)であることを再検討せざるを得なくなる、と判断した”。

Citronがそう反応したアムネスティインターナショナルの報告書は、Twitterが虐待や人身攻撃をやめさせるための十分な努力をしていない、と言っている: “私たちは女性に対するネット上の嫌がらせに関する、世界最大のクラウドソースなデータ集合を構築した。…。Twitterは、人種差別や女性蔑視、同性愛嫌悪が基本的に無チェックで氾濫することを許されている場所である”。

その報告書はさらに、Twitterは何もしていない、と言っている: “このプラットホーム上の虐待的ツイートを分析することは、人権擁護団体である私たちの仕事ではなく、Twitterの仕事である。しかし同社はこの情報の公開を拒否し、他方では虐待/嫌がらせ/人身攻撃等が基本的にチェックされることなく繁茂することを許している。そのため私たちは、同社を調査対象にせざるを得なかった”。

Twitter自身は、同社がいじめや脅(おど)し、威嚇などを厳しく禁じており、それらを事前にに排除するための技術の改良にも投資している、と反論している。また同社の法務のトップVijaya Gaddeは、アムネスティインターナショナルの‘虐待的ツイート’や‘問題のあるコンテンツ’の定義が明確でない、と批判している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

マレーシア発のドローンスタートアップ、エアロダインが日本進出

マレーシアを拠点とし、ドローンを利用したインフラ点検サービスなどを提供するエアロダインは12月21日、北海道伊達市にある風力発電機の保守点検を実施した。これが同社にとって日本における初オペレーションとなり、この市場における日本進出を果たした。

従来、風力発電機の点検は人間の作業員が行っており、作業時間と人件費の削減が大きな課題となっていたという。また、背の高い風力発電機の保守点検は危険を伴う。そんななか注目されているのがドローンによるインフラ点検サービスだ。

エアロダインは2014年にマレーシアで設立されたスタートアップで、ドローンによるインフラ点検を行うほか、インフラ設備点検と建築現場のモニタリングに特化したクラウドプラットフォームをSaaSとして提供している。ドローンで撮影した風力発電機の表面の画像を取り込むことで、AIが欠陥を自動で判定したり、通信タワーの点検では3Dモデリングを作成して細かな欠陥箇所を検出したりすることが可能だ。

そのエアロダインは2018年7月に日本法人であるエアロダインジャパンを設立。今回の風力発電機の点検オペレーションで本格的なジャパンエントリーへと舵を切った。エアロダインにとって、日本が16番目の海外拠点になる。

海外を含むエアロダイングループ全体では、現在までに世界7ヶ国で2000基以上の点検作業を受注しているものの、日本におけるドローンを活用した風力発電機の点検はまだ欧米や中国に比べて進んでいないとエアロダインジャパン代表取締役の伊藤英氏は語る。「現在日本には2253基の風力発電基が設置されているが、この数字は欧米や中国などの風力発電先進国からすると、大手の風力発電事業者1社がもっている規模感以下になる」と語り、そのことから、この市場に参入しようとするドローン事業者が少ないことを理由にあげた。

このような背景や、日本におけるドローン関連の法規制の問題から、エアロダインジャパンは当面のあいだ海外にアセットをもつ日本企業向けの営業を中心にビジネスを展開していくという。すでに、日本の大手ゼネコンが海外で進める建築プロジェクトのモニタリングを、3年契約で受注予定だという。

AppleのAI責任者が、エグゼクティブチームのメンバーに加わった

Appleは、元Googleの機械学習専門家で、この4月にAppleに入社したJohn Giannandreaが、Tim Cook、Jony Ive、Eddy Cue、Angela Ahrendtsなどと同様に、同社のエグゼクティブチームに加わったことを発表した。

エグゼクティブチームにおける彼の役割は、「機械学習と人工知能戦略のシニアバイスプレジデント」であり、この先のAppleの戦略にAIと機械学習が如何に重要な位置を占めるかを示している。
Giannandreaは、以前は2つの独立したチームだったAppleのSiriとCore MLのチームを、自らリーダとなって数ヶ月にわたって率いてきた。

Appleに入社する前には、GiannandreaはGoogleでAIの利用を8年にわたって推進していた。また2016年の時点では同時に検索チームも率いていた。

私たちはTechCrunch Disruptで、Googleを離れる直前のGiannandreaに話を聞いていた。以下にそのときのビデオを示す(YouTubeなので右下に並ぶアイコンのうち一番左のものをクリックすることで字幕を出すことができる)。

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(翻訳:sako)

Lyftは新しい人材を得て、自動運転車の安全性により真剣に取り組む

本日(米国時間12月20日)Lyftは、American Center for Mobilityの創設者であり、米国交通省の自動車安全センターの元副長官だったJohn Maddoxを、自動運転車の安全性ならびにコンプライアンス担当者として採用したことを発表した。Lyftでは、Maddoxは、同社初の自動運転車の安全性とコンプライアンス担当のシニアディレクターになる予定だ。

「私は安全なモビリティ技術を推進するために、これまでのキャリアを捧げてきました。Lyftへの参加は、その努力の継続です。自動車産業と未来の輸送を再定義する道を率いる、素晴らしく才能と活気に溢れたチームの一員になることに興奮を抑えられません」とMaddoxは声明の中で語っている。

最近Lyftが立ち上げた、自動運転の安全性とコンプライアンスを担う部署の中で、Maddoxは自動運転車を大衆の手に届ける際に必要な、同社の安全活動を監督する。

Lyftは2017年7月に自動運転車部門を初めて立ち上げた。それ以降、Lyftは自動車業界のティア1サプライヤーであるMagnaと自動運転技術で提携しただけでなく、Drive.aiとも提携を行っている。Magnaはまた、株式交換によってLyftに対して2億ドルを投資している。

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(翻訳:sako)