Anker、新しいスピーカーとプロジェクターと小型充電器を発表

あらゆるガジェットアクセサリーの達人、Ankerが今夜(米国時間10/25)マンハッタンで行われたイベントでいくつか新製品を発表した。中でも最大/最小の発表だったのがPowerPort Atom、コンセント周りの場所をとらないデザインの小型充電器だ。

30ドルのこのデバイスは、USB-Cポートを備えほとんどのスマートフォン充電器より小さい。それでもNintendo SwitchやMacBookも充電できる出力を持つとメーカーは言っていた。ただし出力27wなので時間はかかりそうだ。発売日は未定。

一方、Modelシリーズは同社の新しいBluetoothスピーカーに付けられた落ち着いたネーミング。シリーズ第一弾はドーナツ型のModel Zero+で、Dolby Audio、Google Assitantを内蔵している。Model Zeroは機能は少ないがバッテリーの持ちが2倍だ。価格はModel Zeroが200ドル、Zero+が250ドルで発売は来月後半の予定。(訳注:1月のCESで披露されたが発売時期は未定だった)

最後はAnkerの小型プロジェクターNebula Capsuleの第2バージョン。解像度は1280 X 720でGoogle Assistantを内蔵、約1秒でオートフォーカスする。この商品はKickstarterで明日からキャンペーンが開始される。Early-bird価格は349ドルから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

バイオ、オフィス版「SUUMO」、ハイテク義足など——東大IPC起業支援プログラムが第3回目の支援先を発表

東京大学関連のイノベーション・エコシステムの発展を目指し投資活動を行なっている東京大学協創プラットフォーム(東大IPC)。同社は10月26日、起業を目指す現役東大生生や東大の卒業生、起業をしてまもない東京大学関連ベンチャーに対して事業化資金や経営支援を提供する「東大IPC起業支援プログラム」の新たな支援先を発表した。

3回目となる今回は計4チーム(2社はすでに法人化)が選出。バイオ関連の研究を応用したスタートアップ2社のほか、ロボット技術を活用したハイテク義足を手がけるチームや、機械学習を用いてオフィス探しの効率化を実現するプロジェクトが名を連ねる。

簡単にではあるけれど、各チームについて紹介していきたい。

ジェリクル : 独自のハイドロゲルを用いた医療技術の研究開発

ジェリクルは独自のハイドロゲルを体内に打ち込むことで、いろいろな疾患を治す治療法を研究・開発しているバイオスタートアップだ。

同社のコアな技術は生体適合性が高く(99%の水と1%のポリマーでできている)、かつ生成と分解を独自に制御できるゲルを作れること。体内でゲルを生成するだけでなく治療後の分解までをコントールすることで、ゲルを用いた医療技術「Gel Medicine」の概念を実現していきたいという。

具体的には治療をすると長時間痛みを伴ったり、1週間うつ伏せ状態が続いたりといった「従来の技術でも治すことはできるものの、治療が大変だった疾患」にこの技術を用いることで、QOLの高い治療法を開発することが当面の目標。まずは下肢静脈瘤という疾患に対して、従来のレーザーや接着剤を使った治療よりも患者への負荷が少ない治療法の実現を目指す。

ジェリクルの母体となっているのは東京大学の酒井崇匡准教授の研究。同社で代表取締役CEOを務める増井公祐氏は酒井氏の研究室の出身だ。増井氏は大学卒業後にITベンチャーのレバレジーズで新規事業の立ち上げや事業部長などを担った後、2018年8月に同社を創業している。

estie : AIを活用したオフィス版の「SUUMO」

estieはAIを活用して事業用の不動産賃貸をよりシンプルにしようとしているチームだ。たとえるならオフィス版の「SUUMO」のようなプロダクトと言えるかもしれない。

それこそ個人向けの賃貸ではSUUMOや「HOME’S」を始めオンライン上で情報を集め、自分にあった物件を探したり比較したりすることはごく普通のことだろう。一方でオフィス賃貸の場合はオフラインの要素が残り、人と人との関係で成り立っている側面が強いという。

estieでは個人向けの賃貸と比べて物件に関するデータにアクセスしづらいことが課題だと考え、オフィス賃貸に関するデータを収集し、オンライン上に押し上げるような仕組みを構想。AIを活用することでテナントにマッチしたオフィスをレコメンドできるようなプロダクトを開発中だ。

チームメンバーは全員東大の出身で、不動産業界のバックグラウンドがあるメンバーやエンジニアらが集まる。年内を目処にプロダクトをローンチ予定。

アグロデザイン・スタジオ : 農薬版の創薬スタートアップ

近年、医薬業界ではAIなども用いた創薬スタートアップが登場してきているけれど、“農薬業界”はまだまだ未開拓の領域と言えるだろう。アグロデザイン・スタジオは農薬の研究開発に取り組む農薬版の創薬スタートアップだ。

代表取締役の西ヶ谷有輝氏が東大や農研機構で研究していた農薬シーズの実用化に向けて2018年3月に創業。現在は土壌にいるバクテリア(細菌)を倒す薬剤である「硝化抑制剤」の開発を進めている。

西ヶ谷氏によると硝化抑制剤は撒くと環境負荷が減るという不思議な効果があるのだという。これは農業で使われる肥料の半分ほどしか作物に吸収されず、残りの半分がバクテリアの餌となり、その排出物が地球環境を汚染する物質に繋がっているからなのだそう。硝化抑制剤はそのバクテリアを倒すため、肥料の無駄がなくなり、環境の負荷も下がるという構造だ。

そんな力を持つ硝化抑制剤だけれど、効果が非常に弱いために大量に使わねばならず、それが残留農薬の問題に繋がってしまっていた。アグロデザイン・スタジオでは残留問題を解決するべく、少し撒くだけで足りる強力なパワーを持った独自の硝化抑制剤を開発した。

菌のみが持つ酵素だけに効く薬剤をデザインすることで毒性を抑制。仮に人が摂取しても健康に支障をきたさない安全な薬剤の実用化を進めている。

BionicM : ロボット技術を活用したハイテク義足

BionicMはロボット技術を活用することで、足に障害のあるユーザーのモビリティを高めるハイテクな義足を開発している。

現在流通している義足の多くはバッテリーやモーターを搭載しているものがまだ少なく、ユーザーは自分の力を使って義足を動かさなければならない。それによって疲れやすかったり階段の上り下りが大変だったりするほか、障害物にぶつかった際に膝の部分が折れて転んでしまいやすいという課題があったという。

BionicMが現在開発中の「SuKnee」では様々なセンサーによって歩行環境やユーザーの意図を検知し、楽に歩けるようにアシストする。転倒を防止する機能や、歩行時だけではなく椅子から起立する際のアシスト機能も搭載。ロボット技術によってユーザーの負担を軽減しつつ、より自由に移動できるような義足を目指している。

チームでリーダーを務める孫小軍氏は子供の頃に足を切断した経験があり、自身も義足のユーザーだ。交換留学で日本を訪れ東大の大学院を卒業後、ソニーに入社。エンジニアとして働いていたが、既存の義足の課題を解決するべく東大の博士課程に進学し、ロボット義足の研究に取り組んでいる。

累計で10チームが採択、4社は資金調達に成功

今回紹介した4チームも含め、東大IPC起業支援プログラムではこれまで10チーム(7社と3チーム)が採択。過去に紹介したヒラソル・エナジーソナスなど4社がVCなどによる資金調達を実現したという。

同プログラムは1年に2回実施していて、次回は2019年4〜5月頃から公募を始める予定。複数の事業会社と連携し、支援規模を従来の数倍に拡大する計画もあるという。なお前回採択された3社についてはこちらの記事で紹介している。

ボストン―ワシントン間に量子暗号ネットワーク――Quantum Xchangeは年内に商用運用開始と発表

アメリカ東海岸に設置された全長800キロに及ぶ未使用の光ケーブル(ダーク・ファイバー)が本格的な商用量子暗号ネットワークとして活用される。計画では今年中に最初の顧客を受け入れるという。これにより量子暗号化によって暗号鍵を交換する商用サービスがアメリカで初めて運用されることになる。

メリーランド州ベセスダに本拠を置く量子コミュニケーション企業、Quantum Xchangeでは光通信大手のZayoとボストン・ワシントンDC間に暗号化通信を提供する契約を結んだ。このネットワークはボストンとワシントンの中間のニュージャージーに計算センターを置いているウォール・ストリートの多くの金融機関を当初の顧客のターゲットとしている。同社ではセキュリティーの高い通信手段を必要とする産業、ヘルスケアや公共インフラなどの企業もこのネットワークに参加することを期待している。

量子暗号化を利用したネットワークというのは新しいコンセプトではない。しかしテクノロジーの発達と現行の暗号システムに対する攻撃が繰り返され、安全性に懸念が生じていることの双方の理由から最近急速に注目を集めるようになっている。これは量子力学の理論と光子を利用して暗号鍵を交換する通信だ。理想的な状態では傍受により量子状態が変化するため、中間での盗聴が不可能となる。これは量子鍵配送(quantum key distribution)と呼ばれ、2点間を結ぶ暗号通信の次世代標準にとなる可能性が高いと見られている。

量子暗号は長年研究されてきたが、実用化可能なテクノロジーとなったのは比較的最近だ。近く量子暗号はデータセンター間や投票、支払、医療やなど高度なセキュリティーを必要とする通信に広く用いられることになるはずだ。量子暗号化は衛星通信でも利用可能だ。

ヨーロッパですでに小規模の量子暗号ネットワークの構築ですでにある程度の成功をみている。しかしQuantum XchangeのCEO、John Priscoによれば「各種の欠点」があり、アメリカにおける実用化のハードルとなってきたという。

Quantum Xchangeではトラステッド・ノード・テクノロジーを用いて、離れた2点間で鍵情報をやり取りする。これはネットワークを地理的に拡大することを容易にするという。

「ボストンにオフィスを置く企業、組織はワシントンDCに所在する相手方と安全にデータをやり取りできるようになる。将来は通信可能は範囲はさらに拡大される。光ケーブルはアメリカのいたるところにすでに敷設されている。アメリカ全土に安全な量子暗号通信を提供できるようわれわれはこうしたケーブルの買収を続けるつもりだ」とPrisicoは語った。

Priscoは「量子コンピューターが(現在の暗号方式を無効にするなど)攻撃兵器として実用化される前に量子暗号化を防衛手段として普及させることが決定的に重要だ」と付け加えた。

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滑川海彦@Facebook Google+

Googleマップ、店舗を「フォロー」する新機能でFacebookページに対抗

Google Mapsは次々と新機能を追加して、このアプリを単なる場所を探してそこへ誘導する以上のものにしようとしている。最近だけをみても、グループ旅行プラニング音楽のコントロールと通勤情報到着予定時刻(ETA)の共有おすすめのパーソナル化などなど様々な機能を提供してきた。今度はユーザーがお気に入りの店——レストラン、バー、商店など——をフォローする新しい方法を提供し、店の最新情報がすぐ手に入るようにする。

もしあなたがこれを、Google Maps流のFacebookページなのではないかと思ったなら、それは正しい。

同社の説明によると、新たに追加された “follow” ボタンを押して店舗をフォローすると、その店のイベント、特典その他の最新情報が、Google Mapsの”For You” タブで見られるようになる。

イベント、特典や写真満載の記事で来店を促す? そう、それはまさしく実店舗の客をターゲットにしたFacebookページのライバルだ。

Googleによると、店舗はGoogle Mapsプラットフォームを使って、開店前から潜在顧客を呼び込むことができる。

Google My Businessページでで店舗プロフィールを作り開店日などを登録すると、開店の最大3ヶ月前からユーザーのモバイルウェブやアプリ内での検索対象になる。

このプロフィールには、店舗名のすぐ下に開店日がオレンジ色で表示され、ユーザーは 自分のリストに保存することができる。その他住所、電話番号、ウェブサイト、写真などの一般的な店舗情報も見られる。

新しい「フォロー」機能は、すでにGoogle Mapsにある1億5000万箇所以上の施設とそれらを探す数百万人のユーザーが利用できるようになる。

この機能は、今週Googleが正式発表する前から、すでに出回っているところを発見されていた。今後数週間をかけてまずAndroidで公開される。

“For You” タブは現在限られた地域で利用可能で、近々他の国々にも行き渡る予定だとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オフィスビルを大改造したApple渋谷がオープン、京都に続き秘密の部屋もあり

アップルは10月26日、東京・渋谷にあるApple渋谷の営業を再開した。昨年11月に改装のために閉店して以来、11カ月ぶり。国内では既存店舗を改装した初のリニューアルオープンとなる。

Apple渋谷がある渋谷区神南は、商業地として都内でも屈指の一等地。その場所で長期に渡って店舗を閉店・改装するというのは一般の小売店ではなかなか考えられない。改装に11カ月の期間をかけるのも異例だ。

しかし、過去にApple渋谷を訪れた人なら改装に時間がかかった理由がすぐにわかるはず。Apple渋谷が入居しているABC-MART公園通りビルは、地上8階建ての鉄筋コンクリートのオフィスビル。

この3階部分までが跡形もなく大改造されているのだ。旧店舗はApple銀座のように2階部分と3階部分の一面が看板になっていて、アップルのロゴマークが掲げられていたが、新店舗ではこれを取り外して巨大なガラスの壁を設置。それを囲むように配置された石材は、そのまま店内の壁に連なっている。

Apple表参道やApple銀座などに比べて床面積が狭いが、道路に面する壁面がガラスになったことで非常に開放的な雰囲気の店舗に生まれ変わった。なお、2階部分に掲げられたリンゴマークのオブジェは裏側から触れられるようになっている。

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以前は2階までだった店舗が改装後には3階までに広がったことで、らせん階段も3階まで伸びた。ちなみに3階は以前、iTunes株式会社が入っていたこともあるフロアだ。3階では無料の学習講座「Today at Apple」のセッションが毎日開かれる予定だという。

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一般客が行き来できるのは3階までだが、エレベーターを使うと、さらに上階の4階にたどり着けるようになっている。ここには法人向けの商談スペースである「BOARDROOM」が設置されている。国内ではApple京都に続いて2店舗となる特別な空間だ。

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Apple新宿、Apple京都に続き、今年3店舗目となったApple渋谷。iPhone XRの発売日でもあるオープン初日となる10月26日には、先着順で記念のTシャツとピンバッジが配られる予定だ。

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2018年にアップルが予告していた店舗はこれですべて営業開始。アップルからは今後の店舗展開について明らかになっていないが、来年には噂されている福岡天神店の移転のほか、オープン以来デザインが変わっていない銀座店や心斎橋店の改装されるかもしれない。

Fortniteベースのナーフガンの写真入手――サバイバルゲームならこれだ

ナーフガンでオフラインのサバイバルゲームをやるならこれがいいかもしれない。HasbroがEpicと提携したことでFortniteを公式にテーマにしたナーフガンが発売される。

いわゆるダーツ弾を発射するタイプのナーフ・ブラスターは、Fortnite版のモノポリーゲームと同時にHasbroから予告されていた。モノポリーのほうは今月すでに発売されているが、ナーフガンについても写真と詳しい情報が発表された。このAR-L Blaster の発売開始は来年6月1日だという。フレームのサイドに非常に目立つロゴが入り、Fortniteをベースにしていることを誇示する。Fortniteはプレイヤーが自分で目標を設定できるサンドボックス・タイプのサバイバルゲームで非常に人気がある。

この銃のマガジンにはダーツ弾を10発装填できる。サイトはフリップアップ式で動力はAA(単3)電池4本だ。予定価格は50ドルで、念のために断っておくがゲーム内通貨のV-Bucksは使えない。Hasbroによると、今後、コンピューター・ゲームをベースしたナーフガンをシリーズ化していくという。

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滑川海彦@Facebook Google+

Google、画像検索にLensを適用し、画像の公告活用を推進

Googleのアナウンスによれば、AIを活用したLens技術を画像検索で利用できるようにしたそうだ。検索したイメージ写っている物の情報を入手して、買い物の際に役立てることができるようになるとのこと。たとえば格好良いリビングルームの写真には、おそらく素敵なソファも写っていることだろう。そのソファに関する情報(購入できる場所など)を教えてくれるようになるのだ。

Pinterestを使っている人には、Google検索がPinterest風の機能ももつようになったのだといえばわかりやすいかもしれない。

Google Lensが生成した写真上の「dot」や、あるいは気になるものを手動で囲んで指定したエリアをタップすれば、Google検索が、指定したアイテムの関連情報を検索してくれるようになている。類似の画像、特定アイテムのウェブページ、ないし指定アイテムが写っている映像などを検索してくれるようになる

利用範囲はショッピングにとどまらない。写真に写ったランドマークや動物、あるいは旅行予定地についての詳細情報を得たりするのにも役立つはずだ。

さまざまな活用シーンが考えられるとは言っても、もちろんGoogleの主目的はグッズについての情報を提供することだろう。Googleの公告主のページへ閲覧者を誘導できる可能性も増えるわけだ。Pinterestの成功にあやかろうと考えているのだろう。

Pinterestは先月、月間アクティブユーザーが25%増加した旨をアナウンスしている。上場に向けて加速中ともいえる状況だ。Pinterestの利用者は、ファッションや家庭用品、旅行プランなどの情報を得て、Pinterestから商品やサービスを購入をする頻度を高めているらしい。公告主のプロダクトに、興味をもってもらえる仕組みも強化しているところだ。たとえば今年になってからは、公告製品のプロモーションビデオなども流すようになっている。

さらにPinterestは、1週間前に製品購入を便利にするための機能を増強した旨をアナウンスしている。テスト段階において、Pinterestからの製品ホームページへのアクセスが40%も増加したのだそうだ。

FacebookおよびInstagramは、次々にクライアントを販売店のサイトに送り込みつつある。またAmazonも広告ビジネスへの参入度合いを深めつつある。Googleもまた、公告主サイトへのクリックスルーレートを高めるなどの企業努力が期待される時期となっているわけだ。

画像検索でのLens活用は、まずアメリカにおける英語を利用するモバイルユーザー向けに公開したとのこと。他の国および言語へのサポートも広げていく予定であるとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

Teslaは来年からModel 3の生産の一部を中国で行う

水曜日に、この2年で初めて利益の出た四半期を迎えたことを報告したTeslaは、その収益の流れを、北米以外の顧客にも新しいModel 3を届けることで拡大しようとしている。その計画の一部には、中国における製造計画の加速も含まれている。

Teslaの収益は、第3四半期で急上昇し、68億ドルに達した(利益は3億1200万ドルである)。これは、生産ボトルネックや直近の物流問題を抱えてはいたものの、みな新しいModel 3のおかげである。同社は、米国とカナダでの販売を通じて、黒字化のマイルストーンを達成することができた。この結果、2つの巨大な市場がテーブルに課題として残された。欧州と中国である。

水曜日にTeslaは、2018年末までに、欧州と中国でModel 3の受注を開始すると発表した。またModel 3の欧州への出荷を、来年の初めには開始すると語っている。

水曜日に株主に送ったレターの中で、Teslaは「欧州における中型プレミアムセダン市場の規模は、米国の2倍以上です」と述べている。「これが来年早々に、Model 3を欧州に持ち込めることに興奮している理由なのです」。

また同社は中国向けのタイムラインをさらに加速し、来年にはModel 3生産の一部を中国に持ち込むと述べている。

Teslaはその業績レポートの中で「Model 3の生産の一部を2019年中には中国に移し、現地調達と製造を通じて徐々にローカリゼーションのレベルを上げることを目指している」と述べている。「中国での生産は、中国国内の顧客のみに向けられたものとなります」。

Teslaは今月の初めに、中国内での急速な工場建設の計画を発表した。だが、さらに新しい内容が加わっているようだ。「Model 3の生産の一部」という言い回しは重要なフレーズだ。これは、製造業の世界では完全ノックダウン(CKD)として知られている用語を指している可能性がある。CKDは基本的にある製品(例えばModel 3)の組み立て前の部品キットである。これは、外国への出荷時に関税を回避するために使われる戦略である。

Teslaは上海に工場を建設する予定だが、建設はまだ始まっていない。

同社は10月に、上海の臨港ある約210エーカーの土地の権利を確保した。Teslaにとって米国外初の工場予定地である。

Teslaは10月初めに出したその生産並びに物流レポートの中で、海運会社を使って車両を輸送するコストと関税、地元で生産された電気自動車への補助金の欠如などが、中国で同社にとって不利に働くと述べている。テスラは、第3四半期の業績レポートの中で、これらのコスト制約を再確認している。

Teslaは7月に上海政府と、1年に50万台の電気自動車を生産できる工場を建設する契約を結んだ 。建設が始まったあと、Teslaが車両を生産できるまでには約2年かかる。その契約締結時にTeslaのスポークスマンは「工場が完全に機能を始め、中国内の顧客に年間約50万台の車両を生産できるようになるには、2〜3年かかるでしょう」と語っていた。

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(翻訳:sako)

TechCrunch TokyoにTwitterの若きProduct Lead、Kayvon Beykpour氏が登壇!

今年も11月15日(木)と11月16日(金)に渋谷ヒカリエで開催する日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo 2018」。本日は追加で登壇者が決定したのでみなさんにお知らせしたい。みなさんも良くご存知のソーシャル・ネットワーキング・サービス「Twitter」からProduct LeadのKayvon Beykpour氏に来場していただくこととなった。Twitterが何なのかは説明不要だと思うので省略させていただこう。

Kayvon Beykpour氏

Beykpour氏はライブ配信アプリ「Periscope」の共同創業者で、2018年6月にTwitterのProduct Leadに就任したばかりだ。タイムライン、ビデオ、通知から健全性や安全性までコンシューマー・プロダクト戦略の全てを監督している。

11月にTechCrunch Tokyoが開催されるころには就任後約5ヵ月となるので、今後のTwitterの方向性について“詳しく”話を聞けるタイミングになっているのではないかと思う。Twitterにとって日本は非常に大きなマーケットなので、この国での利用者動向がプロダクトの進化にどのように貢献しているのかも気になるところだ。聞きたいことはいくらでもあるので、みなさんも当日のセッションをワクワクしながら待っていて欲しい。

現在、一般来場者向けの「前売りチケット」(3万円)、創業3年未満(2015年10月以降に創業)のスタートアップ企業の皆さんに向けた「スタートアップチケット」(1万8000円)、創業3年未満のスタートアップ企業を対象とした2日間のデモブース出展の権利と2名ぶんの参加チケットがセットになった「スタートアップデモブース券」(3万5000円)の3種類のチケットを販売中だ。

Beykpour氏以外に決定している登壇者は今のところ以下の通り。

  • Harinder Takhar氏/Paytm Labs CEO
  • Heather Sittig氏/Relola CEO
  • Jim Adler氏/TOYOTA AI Ventures マネージングディレクター
  • Jonathan Palley氏/Spire CEO
  • Julio Avalos氏/GitHub チーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセル
  • Long N. Phan氏/Top Flight Technologies CEO
  • 小泉文明氏/メルカリ 取締役社長兼COO
  • 中山一郎氏/PayPay 社長
  • 西田真樹氏/Bytedance 副社長
  • 林 隆弘氏/HEROZ 代表取締役CEO
  • 堀江裕介氏/dely 代表取締役
  • 向井秀明氏/楽天AirMap 代表取締役CEO
  • 芳川裕誠氏/Treasure Data CEO

それぞれのセッションの詳細やTechCrunch Tokyo 2018のスケジュールについては追って記事を公開する予定なので、楽しみに待っていてほしい。なお、前売りチケットは10月31日までの販売、スタートアップデモブース券は残りわずかとなっている。

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Facebookは新しい機械学習技術で870万件の児童搾取ポストを削除したと主張

Facebookが今日(米国時間10/24)、前四半期には新しい技術により、児童搾取の規則に違反している870万件のコンテンツを削除した、と発表した。同社が昨年来開発してきた新しいAIおよび機械学習の技術は、それらのポストの99%を、誰かがそれを報告する前に削除した、とFacebookの安全性担当のトップAntigone Davisがブログ記事で述べている。

その新しい技術は、児童のヌードなどの搾取的コンテンツをそれらがアップロードされた時点で見つけ、そして必要ならば、写真と説明文書をNational Center for Missing and Exploited Children(失踪および搾取された児童のための全国センター)に報告する。Facebookはすでに、写真マッチング技術を使って、新たにアップロードされた写真を児童搾取やリベンジポルノの既知の画像と比較していたが、新しいツールは、それまで特定されていなかったコンテンツ(既知でないコンテンツ)がFacebookのプラットホームから広まることを防げる。

その技術は完全ではなく、多くの親たちが、自分たちの子どもの無害な写真が削除された、と不平を言っている。Davisはブログ記事の中でそのことを認め、“虐待‘かもしれない’ものでも排除する方針なので、子どもがお風呂に入っているような一見無害で性的でないコンテンツも対象にしている”、と書いている。そしてこの“幅広いアプローチ”のために、前四半期には大量のコンテンツが削除された、という。

しかしFacebookのコンテンツ調整が完全には程遠くて、多くの人たちが、それは悉皆的でも正確でもないと思っている。家族のスナップ写真だけでなくFacebookは、ベトナム戦争の悲惨さの象徴となった1972年のPhan Thi Kim Phucの、“Napalm Girl”(ナパームの少女)と呼ばれている写真まで削除した。最重症のやけど第三度熱傷を負った少女は、村を南ベトナムのナパーム弾で焼かれ、裸で走って逃げていた。FacebookのCOO Sheryl Sandbergは、後日、その写真を削除したことを謝罪した

昨年、同社のコンテンツ調整ポリシーは、イギリスの国の機関である児童虐待防止協会から批判された。その団体は、Facebookは独立の調整機関の下に置かれるべきであり、ポリシーへの違反には罰金が課せられるべきだ、と主張した。Facebook Liveのローンチもときには同社とその調整者たち(人間とソフトウェアによるモデレーター)にとって逆風となり、性的暴行や自殺、殺人などのビデオが批判された。生後11か月の赤ちゃんが父親に殺されるビデオすら、放送されてしまった。

しかしソーシャルメディアのコンテンツの調整は、AIによる自動化が人間労働者の福利に貢献しうることの顕著な好例である。先月、FacebookのコンテンツモデレーターだったSelena Scolaは、何千もの暴力的な画像を調べさせられたために心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder, PTSD)に陥ったとして同社を告訴した。モデレーターの多くは契約社員だが、その多くが、彼らの仕事の精神的重荷について語り、Facebookは十分な教育訓練とサポートや金銭的補償を提供しない、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

楽天と西友が「楽天西友ネットスーパー」を正式オープン――最短4時間で配達、楽天IDとの連携も

楽天と西友は10月25日、協働で運営するネットスーパー事業「楽天西友ネットスーパー」をグランドオープンした。

同サービスは強固な会員基盤(楽天ID数は約9900万)やECの知見を持つ楽天と、実店舗での生鮮食品の販売などスーパーマーケット運営のノウハウを持つ西友の強みを活用した事業。1月に楽天とウォルマートが発表した戦略的提携の一環だ。

楽天では同サービスの大きな特長として「豊富な品揃え」「顧客のニーズに応える十分な配送キャパシティ」「楽天IDとの連携」の3点をあげる。

品揃えに関しては西友がこれまでも軸にしてきた生鮮食品をはじめとする食品や日用品のほか、時短ニーズに対応したカット野菜や半調理食品、ミールキットなどの簡便商品を提供。加えて「楽天市場」で人気のお取り寄せグルメや、「Rakuten Ragri」の有機野菜・有機野菜サラダなど最大2万品目を取り扱う。

配送面では西友の実店舗からユーザー宅への配送に加え、千葉県柏市のネットスーパー専用センター、都内数カ所に設置した配送拠点を本格稼動。専用センターには冷蔵・冷凍庫を完備し、常温・冷蔵・冷凍の3温度帯で商品を保管するという。

同サービスは16の都道府県で展開。エリアによっても異なるが、注文から最短4時間で商品が届くような設計で、午後3時までに注文すれば当日配達が可能だ。注文した日から3日後までの午前10時から午後10時まで、6つの時間帯で配達日時を指定することもできる。

また楽天IDとの連携によって、登録済みの住所やクレジットカード情報などを利用することで購入までの手間を削減。「楽天スーパーポイント」を決済時に活用することも可能だ。なお購入金額100円につき楽天スーパーポイントを1ポイント進呈するという。

楽天では「楽天と西友は、楽天西友ネットスーパーのサービス提供を通じ、日本のお客様のニーズにきめ細やかに応えることで、ネットスーパーのリーディングカンパニーを目指してまいります」としている。

ソフトバンクとヤフーのスマホ決済サービス「PayPay」が「Alipay」とのサービス連携を開始

ソフトバンクとヤフーの合弁会社であるPayPay(ペイペイ)は10月25日、同社が提供するバーコードを活用した実店舗でのスマホ決済サービス「PayPay」と中国のアント フィナンシャル サービスグループが提供するモバイルおよびオンライン決済プラットフォーム「Alipay」がサービス連携を開始したと発表した。この連携により訪日中国人はAlipayを起動し店舗に掲示されたPayPayのQRコードをスキャンすることで決済することが可能となる。

日本を訪れる中国人観光客は年々増え続けており、2017年には約735万人が来日、インバウンド消費額は1.6兆円に達した。そのため、今回の連携の目的は中国本土などから来日したAlipayユーザーがPayPay加盟店で決済できるようにすることで「PayPay加盟店への訪日中国人の来店を促し、インバウンド消費の取り込みを支援する」ことだ。Alipayの中国国内でのアクティブユーザー数は7億人以上だという。

PayPayは10月5日にバーコードを活用した実店舗でのスマホ決済サービス「PayPay」の提供をスタートした。同社はソフトバンクとヤフーが日本国内でキャッシュレス決済の普及を促進することを目的に6月に設立。ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先である、インドの決済サービス事業者Paytmとも連携してサービスを提供することでも話題を集めた。

11月15日・16日に渋谷ヒカリエで開催されるTechCrunch TokyoにはそんなPayPayの代表取締役、中山一郎氏、そして同社CTOでPaytm LabsのCEOも務めるハリンダー・タカール氏にご登壇いただく。

壇上では、後発のスマホ決済サービスとしての戦い方や、欧米や中国などに比べ普及が遅いと言われる日本におけるスマホ決済の未来について聞きたいと思う。お得な前売りチケットは10月31日までの販売となっているので気になる方はこのチャンスを逃さないでほしい。

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Alexa for Businessをサードパーティのデバイスメーカーが自社製品に利用できる

昨年Amazonは、‘企業用のAlexa’、Alexa for Businessを発表した。Amazonの音声アシスタントの技術を、企業がEchoなどのデバイスで利用できるためのシステムだ。そして今日(米国時間10/24)同社は、そのプラットホームを大きくアップグレードして、デバイスのメーカーが独自の企業用Alexaデバイスを作れるようにした。

Amazonによるとそれは、Alexa for Businessをすでに利用している企業からのフィードバックに応えての変化だ。同社によると、今すでに数千もの企業がAmazon Echoをオフィス器具の仲間に加えている。有名企業としては、Express Trucking, Fender, Propel Insuranceなどが挙げられる。

でも彼らによると、既存のデバイスにAlexaを組み込めた方が、管理すべき備品が増えなくてよい、ということだ。

これからは、デバイスメーカーが自由に、Alexa for Businessに登録でき、全社的に共有できるデバイスを作れる。そのためには、Alexa Voice Service(AVS) SDKを使用する。

デバイスの管理機能としては、各種の構成(使用する部屋、場所、デバイスの健康監視など)のほかに、スキルをパブリックかプライベートかのどちらかに指定できる。

もちろん企業が独自のスキルを作ることもできる。たとえば、社員名簿やSalesforceのデータを音声で検索する、企業独自のカレンダー情報を作る、など。

Amazonが最近Alexa for Businessに加えた機能としては、会議室の予約がある。

Amazonは現在すでにPlantronics, iHome, BlackBerryなどと協働して彼らのデバイスにAlexaを組み込もうとしている。また、LinkplayやExtronのようなソリューションプロバイダーとも協働している。Citrixも、AfBの統合に着手した。

Plantronicsの提携マーケティング担当VP Laura Marxが、同社のAlexa内蔵製品に関する声明の中でこう述べている: “Alexa for Businessはそのローンチの時点から利用しており、既存のビデオ会議デバイスPolycomとEchoデバイスをペアにしている。そういう体験をEchoデバイスを使わずにPolycom Trioなどの製品に組み込めれば、ユーザーにとってとても便利で使いやすい製品になるだろう”。

Plantronicsは今年の初めにAlexa体験を顧客に提供し、iHomeは既存のデバイスiAVS16にAlexaを内蔵させた。しかし両社とも、これまではAlexa for Businessを組み込んだ製品の発表はなかった。

Alexaの企業分野への進出が吉か凶か、まだそれを言うのは早すぎる。Echoデバイスは確かに、音楽をかける、ニュースや情報を知る、キッチンタイマーをセットする、ショッピングリストを作る、などなど消費者指向の目的で多く使われるようになっている。しかしAmazonがEchoスピーカーやそのほかのAlexa内蔵ビジネス器具で企業にも浸透できたら、同社の音声製品の市場は一挙に拡大し、スマートホームよりも大きな利益を得ることができるだろう。

Alexaを職場に持ち込むのはだめだ、という意見もある。某ハッカーの説では、デバイスが産業スパイに利用される、という。また、企業秘密のある企業は“聴く能力のあるデバイス”をオフィスに置くべきではない、とも。

それでもAmazonは前進する。この前はMicrosoftのCortanaさえも統合して、Cortanaが持つMicrosoft Office的な機能…カレンダーの管理、その日の予定、顧客からのメール通知…などをAlexaから利用できるようにした。

Alexa for BusinessはAVS Device SDKのエクステンションとして提供され、バージョン1.10をGitHubからダウンロードできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、ARメガネ開発中をあっさり認める

「そうだよ、もちろん取り組んでるよ」。LAで開かれたTechCrunchのAR/VRイベントで、私がARメガネを開発中か尋ねた時、FacebookのARのヘッドFicus Kirkpatrickはこう答えた。「ハードウェアのプロダクトを開発中で、前に進めるつもりだ…そうしたメガネを現実のものにしたいし、実現に一役買いたいと思っている」。

ARメガネの計画についてFacebookから返ってきた答えの中で今回が今までで最もクリアなものだ。そのプロダクトはFacebookにとってメーンストリームのコンピューターデバイスを所有するチャンスとなるかもしれない。

今月、FacebookはPortalスマートディスプレイという、同社のR&D特別組織Building 8のラボで生まれた初の自社ブランドガジェットをローンチした。ハードウェア開発はいま回転中だ。ARについて、Kirkpatrickは「いま発表できるプロダクトはない。しかし、ヘッドセットの将来で役割を担ってほしい、本当に注目せずにはいられない最先端の研究をしている多くの優秀な人材を抱えている」と話した。

戦いは始まっている。Magic LeapThalmic LabsのようなARスタートアップは独自開発した初のヘッドセットやメガネを発売し始めている。Microsoftは初期のHoloLensプロダクトのおかげでリーダーとみなされていて、その一方でGoogle Glassはまだ企業向けに開発が進んでいる。そしてAppleは自前のヘッドセット開発を加速させるためにAkonia HolographicsVrvanaといったARハードウェアデベロッパーを買収した。

テクノロジー面での進歩と競争はどうやらFacebookのタイムテーブルを早めたようだ。2017年4月にさかのぼるが、CEOのMark Zuckerbergは「我々は、最終的にメガネが欲しくなるということを知っている」と言い、しかし「我々はいま、欲しいと思うARメガネをつくるサイエンスやテクノロジーを持ち合わせていない。おそらく5年、あるいは7年以内だ」と説明した。彼はまた「我々は、今欲しいと思うARプロダクトをつくることはできない。だからVR構築がそうしたARメガネにつながる道となる」とも語った。FacebookのOculus部門はARメガネのポテンシャルについて広範に語ったが、同様に先のことという扱いだった。

しかし数カ月後にARメガネに関する同社の特許申請Business Insiderが見つけた。レンズにメディアを反映させるのに“二次元スキャナーがついたウェーブガイドディスプレー”を使っていると詳細が報道されている。CheddarのAlex Heath記者は、テーブルの上に置かれたチェスボードのような物体の表面にARを映しだしたり、あるいは遠隔会議のために何かに人物を映しだしたりするためのプロジェクターを使ったプロジェクトSequoiaにFacebookが取り組んでいる、とレポートしている。これらは、Facebookの中でARリサーチの段階が過ぎたことを物語っている。

先週The Informationは、FacebookのReality Lab(以前のOculusリサーチ)でカスタムARコンピューターチップをつくる、経験あるエンジニアを求める4つの求人情報を見つけた。その1週間後、OculusのチーフサイエンティストMichael AbrashはFacebookのVR会議での30分におよぶテクニカル要旨発表の最中に「いつでも買えるわけでないディスプレーテクノロジーがARには必要だ。だから我々は新たなディスプレーシステムを開発する他ない。そのシステムというのはVRを異なるレベルへともっていく可能性を有している」と手短に言及した。

しかしKirkpatrickは、FacebookのARの取り組みは単にVRヘッドセットの複合現実機能だけではないとの見方を明らかにした。「我々がたった一つのデバイスに向かっているとは思わない。また、誰もが四六時中VRに浸るReady Player 1のような将来になるとも思わない」と語った。「思うに、家で逃避的で没頭感のある体験をしたり、どこかに自分自身をトランスポートするのにVRを使ったりといった、今日のような暮らしを続けるのではないだろうか。しかし、あなたがつながっているような人々や、あなたがしていること、アプリの状態など全てが一緒に持ち運べて、外出先でも使えるようポータブルでなければならないと考えている。それが、我々がARについて考えていることだ」。

OculusのVRヘッドセットとFacebookのARメガネはソフトウェアを共有できるかもしれない。それはユーザーが馴染みやすいインターフェースをつくる一方でエンジニアリングをスピードアップするする可能性がある。「そうした全てのことが、何らかの方法でソフトウェアレベルで一点に集中するだろうと私は考えている」とKirkpatrickは語った。

FacebookのARの問題はというと、家の中にPortalのカメラを設置することについて人々が持つのと同じ、プライバシーの懸念に直面するかもしれない、ということだ。VRヘッドセットがフィクションの世界をつくる一方で、ARはユーザーの現実世界の環境についてデータを集めなければならない。これは、Facebookが家の中だけでなく我々がすること全てを監視下に置き、そのデータをターゲット広告やコンテンツレコメンデーションに使うかもしれないという懸念を引き起こすかもしれない。こうしたFacebookに特有の懸念はFacebookの一挙一動に向けられる。Magic Leapのような曇りのないクリーンなスタートアップや、Appleのようにプライバシーをしっかり管理している大企業の方が、ユーザーに使用してもらいやすいかもしれない。おそらくFacebookは、同社がARをやるに値すると人々に思わせるために、他ではできないようなことがこなせる最高クラスのガジェットを必要とするだろう。

TechCrunchセッション、AR/VRイベントin LAでのFicus Kirkpatrickのフルインタビューは以下で閲覧できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

トランプは「セキュアな」iPhoneを2台持っているが、それでも中国は聴いている

トランプ大統領はiPhoneを3台持っている——うち2台は「セキュア」で、もう1台は通常の個人用デバイスだ。しかし、最高司令官が電話を取るたびに、彼の敵たちは聴いているという。

これはThe New York Timesの最新記事によるもので、大統領の複数の端末——および彼がそれをどう使っているか——にスポットライトを当てている。

トランプは2016年に就任した際、Androidが走る古くて時代遅れのSamsung Galaxy携帯を渋々手放し、Appleデバイスに移行した。iPhoneは歴史的にAndroid機よりもセキュアであるとされてきた。彼が所有するうちの1台は通常のiPhoneで自分の連絡先を登録できるが、あとの2台は公務専用で、国家安全保障局によって盗聴を防止するための改造が施されロックされている。

ただし——たとえホワイトハウスの中にいようとも、ワシントンおよび全米の大部分を覆い尽くす、老化し劣化しつつあるセキュリティーの低い携帯ネットワークから逃れることはできない。

ネットワーク間で情報をやり取りするの極めて重要な携帯ネットワークシステム——Signaling System No. 7(SS7)と呼ばれている—— が、近年ハッカーらによる通話やテキストメッセージの傍受を容易にしている。SS7は携帯ネットワークが通話やテキストの接続やルーティングを確立するために使用しているが、SS7の著しい脆弱性のために、2要素認証に使われたコードが傍受され、銀行口座の侵入や資金流出に利用された

このほとんどが未修正の欠陥によって、各国政府——あるいは誰でも——が通話を簡単に傍受できる。そこには中国、ロシア、および傍受を成功するために必要なリソースと知識を持つあらゆるアタッカーも含まれている。

トランプが3台のiPhoneに頼っていることは面倒そうに思えるかもしれないが、これでも前任者より一歩前進している。

オバマ大統領は、いっとき彼の政府支給iPhone——2期目に与えられた——を「3才児が持っているおもちゃの電話」に なぞらえた。メールは受信できるが、発信できないように改造されており、海外の敵が大統領の様子を探れないようにカメラもマイクロホンもついていなかった。彼はテキストメッセージを送ることさえできなかった——必ずしも技術的理由からではなく、政府高官が公式なやりとりを保存することを義務付けている大統領記録法に従うためだ。

トランプはオバマよりも寛大な扱いを受けてはいるが、それでも毎月新しいクリーンなデバイスを受け取り、マルウェアが潜んでいる可能性を排除している。しかし、そのポリシーは本来あるべき厳密さで適用されていない、と記事は書いておりそれは、居残ったマルウェア(もしあれば)を誤って引き連れることなく、古いデータを新しい端末に手動で移行するのが大変だからだ。

SS7の欠陥は一般人にとっても未解決の問題ではあるが、大統領自身による “opsec” ——セキュリティー運用、すなわち直面する脅威に対する彼の認識とそれを回避する努力——のひどさとは比べ物にならない。もし中国やロシアが彼の通話に聞き耳を立てていなかったとしても、彼のゴルフコース周辺をうろつくだけで、いつでも運試しができる——そこでは大統領が携帯をゴルフカートに置き忘れ、スタッフを取りに走らせたことがある。

そしてこれは、核ミサイル発射コードを信託している人物の話だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

コードが写真の未来を創る

カメラの中には何があるだろう? レンズ、シャッター、感光面、そしてますます高度になるアルゴリズムのセットだ。物理的なコンポーネントは少しずつ改善されているが、Google、Samsung、そしてAppleは、完全にコードから生み出される精巧な改善に投資を増やし、そして披露している。計算写真学(Computational photography)だけが、今では唯一の実際の戦場なのだ。

このシフトが起きた理由はとても簡単だ。少なくともカメラの動作原理が全く変わってしまうことなしには、カメラが現在のものよりも遥かに良くなることはないからだ。スマートフォンメーカーたちは写真でどのように行き詰まり、それしてそれをどのように乗り越えることを強いられたのだろうか。

バケツが足りない

デジタルカメラの中によく見ることができるイメージセンサ

スマートフォンカメラの中のセンサーは本当に素晴らしいものだ。Sony、OmniVision、Samsung、その他のメーカーたちによって成し遂げられた、小さくても感度がよく多才なチップの設計と製造は、真に驚嘆に値する。デジタル写真の進化をその初期から見守っているカメラマンにとって、この顕微鏡でなければ見ることのできない小さなセンサーが提供する品質のレベルは驚愕以外の何物でもない。

しかし、こうしたセンサーにはムーアの法則は存在しない。むしろ、ムーアの法則が現在10ナノメートル以下のレベルで量子論的限界に達しているように、カメラセンサーは遥かに早く物理的な限界に達していた。センサーに当たる光を、バケツの集団に落ちる雨として考えてみよう。より大きなバケツを並べることはできるが、その場合は並べられる数が少なくなる。逆により小さいバケツを並べることもできるが、その場合は個々のバケツは十分な雨を集めることができない。バケツの形を正方形にしたりジグザグに配置したりといったあらゆる工夫を行うこともできるが、最終的には雨粒がとても多ければ、いくらバケツの並びを工夫してもそれを捕え切ることはできない。

もちろんセンサーはますます良くなっているが、そのペースは消費者たちに毎年新しい電話を買わせるほど速くはない(性能が3%良くなっただけのカメラを売ることを想像して欲しい)。しかし電話機メーカーたちはしばしば同じあるいは類似のカメラ構造を採用しているために、そうした改善(例えば最近起きたバックサイドイルミネーションセンサーへの移行など)は全員に共有されている。ということで、センサーだけで他社に先行することはできない。

関連記事:新しいiPhoneの「フォーカスピクセル」を見る【英語】

おそらくレンズを改良できるのでは?それは難しい。レンズは、特に小型のものは、これ以上改良することが難しいあるレベルの洗練度と完成度に達している。スマートフォンのカメラ筐体の内部のスペースが、限られているという言い方は相当控え目な表現だ。そこにはもう1平方ミクロンの余裕もないのだから。どれだけの光が通り抜け、どれほどの歪みが少なくなるかに関してはわずかに改善の余地があるかもしれないが、こうした問題は、ぼぼ最適化され尽くした古い問題なのだ。

より多くの光を集める唯一の方法は、レンズのサイズを大きくすることだ。そのためには、A:ボディから外側に突き出す、B:内部の重要な部品を置換する、またはC:電話機を厚くする、といった方法がある。Appleが受け入れると考えられるオプションはどれだろうか?

振り返ってみると、Apple(およびSamsung、Huaweiなど)は、「上記のいずれでもない」という選択肢Dを選ぶしか無かった。もしより多くの光を受けることができないならば、受け取った光そのものを使って、何とかしなければならないというだけだ。

すべての写真が計算では?

計算写真学(computational photography)の最も広い定義には、まさにあらゆるデジタルイメージングが含まれる。フィルムとは異なり、最も基本的なデジタルカメラでさえ、センサに当たる光を使用可能な画像に変えるための計算が必要だ。そしてカメラメーカー毎にこの計算をする方法は大きく異なっている。このため異なるJPEG処理方法や、RAWフォーマット、そしてカラーサイエンスが生み出されている。

長い間、処理能力の不足もあって、この基本層のさらに上にはほとんど関心が寄せられていなかった。とはいえ確かに、各種のフィルターはあったし、カメラ内で素早くコントラストとカラーを調整する手段はあった。しかし、結局のところ、これらは単にある程度自動化されたパラメータ調整に他ならなかった。

最初に登場した真の計算写真学的機能は、間違いなく、オートフォーカスのための物体識別ならびに追跡機能だった。顔と目の追跡により、複雑な照明やポーズの中で人間を簡単に捕らえることができるようになり、オブジェクトトラッキングによって、フレームを横切って移動する対象に対してシステムがオートフォーカスを行ってくれるために、スポーツやアクション撮影が容易になった。

これらは、画像を改善したり次のステップにわたすために、画像からメタデータを抽出して、それを積極的に利用する初期の例だった。

デジタル一眼レフ(DSLR)カメラでは、オートフォーカスの精度と柔軟性は目立つ機能なので、こうした初期の利用例は理にかなっていた。しかしいくつかのギミックを除けば、こうした「真面目な」カメラたちは一般的に、計算を極めて素朴なやり方で使っていた。より高速のイメージセンサーが意味することは、より速いイメージの転送の必要性であり、カラーと細部の保存などのために余分なサイクルが必要とされるということだ。DSLRはライブビデオや拡張現実には使用されていなかった。そしてかなり最近まで、スマートフォンカメラにも同じことが当てはまっていた。それは今日私たちが知っている多目的メディアツールというよりも、対象を狙って写真を撮影するものだったのだ。

従来のイメージングの限界

様々な場所で行われる実験や、時折生まれる変わり種にもかかわらず、スマートフォンのカメラはほとんど同じままだ。それは数ミリメートルの厚みに収まらなければならず、そのことで可能な光学的手法は限られることになる。センサーのサイズも同様に制限されている。DSLRは23mm×23mmのAPS-Cセンサーを使用することができる(面積は345mm2)。一方iPhone XSはおそらく現在市場にあるもののうちで、最大かつ最新のものだが、その大きさは7mm×5.8mm程度で、その面積は40.6mm2だ。

大雑把に言えば、そのカメラは「通常の」カメラよりも遥かに少ない光量を集めるだけだ。にもかかわらず、ほぼ同じ忠実度や色で場面を再現することを期待されている。ピクセル数もほぼ同じだ。一見これは解決不可能のような問題に見える。

従来的な意味での改善も役に立つ。例えば光学的および電子的なブレ防止によって、ぶれることなしに長時間の露光が可能になり、より多くの光を集めることが可能になる。しかしこれらのデバイスはそれでもなお、無理難題を実現することを迫られているのだ。

幸運にも、既に述べたように、皆は同じボートの中にいる。基本的な制限があるため、AppleやSamsungがカメラを再発明したり、競争相手よりも先行できるクレイジーなレンズ構造を考え出すことはできない。彼らは皆、同じ​​基本基盤を与えられてきたのだ。

したがって、すべての競争は、これらの企業がその基盤の上に構築するもので構成されている。

ストリームとしての画像

計算写真学における重要な知見は、デジタルカメラのセンサーから来る画像はスナップショットではなく、より一般的に考えられているということだ。従来のカメラでは、シャッターが開閉し、感光媒体をほんの一瞬だけ露光させる。これはデジタルカメラがやっていることではなく、あるいは少なくとも彼らができることではない。

カメラのセンサーには絶えず光が当たっている。前の比喩に戻るなら、雨が絶え間なく一面のバケツの上に降り注いている状態だ、だがもし写真を撮影しないなら、これらのバケツは皆底なしで、だれもその内容をチェックしない。それでも雨は降り続けている。

画像を取得するために、カメラシステムは、雨滴の計数を開始する時点を決め、センサに当たる雨滴を数える。そして計数を終了する時点を決める。従来の写真撮影用途では、これによりシャッタースピードをほぼ任意に短くすることができるが、これは小型センサーではあまり役に立たない。

なぜ、常時記録していないのだろうか?それは理論的には可能だが、それはバッテリを使い果たし多量の熱を発生させてしまうだろう。幸運なことに、ここ数年画像処理チップは、カメラアプリケーションが動作している間、そのストリームの一定の連続部分、例えば最後の60フレームを制限付き解像度でキャプチャできるほど効率的になっている。確かに、それは多少バッテリーを消費するが、それだけの価値がある。

そのストリームにアクセスすることで、カメラはあらゆる種類のことを行うことができる。コンテキスト(状況)を追加するのだ。

ここで言うコンテキストは多くのことを意味する。例えば照明や被写体までの距離などの写真要素だったり、動き、対象、そして意図だったりもする。

コンテキストの簡単な例は、一般にHDR(高ダイナミックレンジ)画像と呼ばれるものだ。この手法では、異なる露光量で連続して撮影された複数の画像を使用して、1回の露出では露出不足または露出過多となった筈の、画像の領域をより正確に撮影する。この場合のコンテキストとは、それらがどの領域であるか、そして画像をインテリジェントに結合する方法を理解するということだ。

これは、非常に古い写真技術である「露出ブラケット」で達成することができるが、もし画像ストリームが常に複数の露出範囲を生成するように設定されているならば、何の予告もなく簡単に実現できる。それはまさに、GoogleとAppleが現在行っていることなのだ。

もちろん、より複雑な「ポートレートモード」や、人工的な背景ブラーやボケなどが、ますます一般的になってきている。ここでのコンテキストは、単に顔までの距離だけではなく、画像のどの部分が特定の物理的オブジェクトを構成しているのかということや、そのオブジェクトの正確な輪郭を理解することだ。これは、ストリーム内のモーション、複数のカメラによるステレオ分離、および人間の形状を識別して輪郭を描くように訓練された機械学習モデルから導き出すことができる。

これらの技術は、第一に必要なイメージがまずストリームからキャプチャされている(イメージセンサーとRAMスピードの進化のおかげ)ことと、第二に企業たちが、そうした計算を行う高度に効率的なアルゴリズムを開発し、膨大なデータと計算時間を使って訓練したことによって、ようやく可能となったものだ。

しかし、これらの技術について重要なことは、単にそれらを行うことができるということだけではなく、ある企業は他の企業よりもそれを優れた方法で行うことができるということだ。またこの品質の全ては、注がれたソフトウェアエンジニアリング作業と、芸術的監修の賜物である。

関連記事:スマートフォンの写真の人工的ぼけの上手下手を点数で評価するDxOMark

DxOMarkはいくつかの初期の人工的なボケシステムの比較を行った。しかし、結果はやや不満足なものだった。それはどちらがより良く見えたかというよりも、効果をうまく適用できたかそれとも失敗したかという評価になった。計算写真学は、機能が単に動作するというだけで人びとを印象付けることができる位、まだまだ始まったばかりなのだ。後ろ足で立ち上がって歩いている犬を見たときのように、私たちは単にそれが起きたということだけで驚いている。

しかし、Appleはボケ問題に対して、馬鹿げた過剰エンジニアリングだと指摘する人がいるほど力を入れている。単にその効果を再現する方法を学ぶだけではなく、自由に使える計算パワーを用いてそれを生み出す光学現象の仮想的な物理モデルをも作り出した。これは、単に跳ねるボールのアニメーションを作ることと、現実的な重力と弾性体物理をシミュレートすることとの違いに似ている。

なぜそこまでやるのだろうか?Appleは他社にも知られているものは何かを知っているので、計算能力の限界を心配するのは馬鹿げている。ガウスぼかしのようなショートカットを採用している場合、光学現象がどのくらいうまく再現できるかには限界がある。もし光子のレベルでそれをシミュレートしたならば、上手く再現できるレベルに限界はない

同様に、5枚、10枚、または100枚の画像を1枚のHDR画像に合成するという考え方は馬鹿げたもののように思えるが、写真撮影では情報が多い方が、ほとんどの場合優れているというのが真実だ。これらの計算アクロバットのコストがごくわずかで、結果が明白に違う場合に、デバイスにこうした計算をさせない理由はない。数年後には、それらも普通のことのように見えるようになるだろう。

もし結果がより良い製品であれば、計算パワーとエンジニアリング能力は上手く使われたということだ。ちょうどLeicaやCanonが、たとえば2000ドルのズームレンズのような、安定した光学システムから、なんとかわずかでも性能向上を引き出すために数百万ドルを費やすように、Appleその他の企業は価値を生み出せる場所にお金を使うのだ、ただしガラスではなくシリコンに対して。

ダブルビジョン

私が説明してきた計算写真学の物語と矛盾するように見える1つの傾向は、複数のカメラを含むシステムの出現である。

この手法は、センサに光をあまり加えようとはしない。それは極めて複雑で光学的には高価になり、おそらくはうまくいかないだろう。しかし、長さ方向に少しスペースを空けることができれば(奥行き方向ではない、これは実用的ではないとわかっている)、完全に独立したカメラを最初のものの側に置き、最初のカメラによるものと非常に似た写真を撮ることができる。

色のついた一連のiPhoneのラインが、どのように見えるかのモックアップ

もしここでやりたいことが、単にウェインズ・ワールド(米国の喜劇映画の名前)を感知できないスケールで再現すること(カメラ1、カメラ2、….、カメラ1、カメラ2、 …と切り替える)だとしたら、必要なのはこれだけだ。しかし、ほんの僅かの距離だけ離れたイメージを同時に撮影したい者は普通はいない。

これらの2台のカメラは、独立して(広角とズームのように)動作するか、または1つは他のものを増強するために使用されて、複数の入力を持つ単一のシステムを形成する。

1つのカメラからデータを取り出し、それを使って別のカメラのデータを強化することは、想像できると思うが、非常に計算集約的な行為である。同じレンズやセンサーで撮影されていないため、はるかに複雑であることを除けば、複数の露出を行ったHDR問題のようなものではある。最適化することはできるが、それで簡単にはならない。

したがって、第2のカメラを追加することは、実際に物理的手段によって画像化システムを改善する方法ではあるが、最新の計算写真学によって改善できる可能性があるというだけの話だ。そして、より良い写真をもたらすのはその計算画像の品質である。そうでなければ失敗する。16個のセンサーとレンズを備えたLightカメラは、確立された計算写真学の技術を使ってより大きな画像を生み出そうとしながらも、優れた画像を生成することができなかった、野心的な試みの1例である。

光とコード

写真の未来は計算に依存している、光学ではない。これは、パラダイムの大規模な変化であり、カメラを製造または使用するすべての企業が現在取り組んでいるものだ。これにより、既存のDSLRカメラ(ミラーレスシステムに急速に移行している)、電話機、組み込み機器、そして光がキャプチャされて画像に変換されるあらゆる場所に影響が及ぶことになる。

このことは、私たちがこの先耳にするカメラは、ピクセル数や、ISOの範囲、F値などに関する限りは、昨年のものとほぼ同じであることを意味することになるかもしれない。それで問題はない。いくつかの例外を除いて、これらは合理的なレベルで期待できる範囲では既に十分良いものになっているのだ:ガラスはこれ以上きれいにならないし、私たちの視覚もこれ以上精細にはならない。光が私たちのデバイスや眼球を通り過ぎる方法はあまり変わらないだろう。

しかし、それらのデバイスが、光を扱う方法は、驚くべき速度で変化している。これは、冗談のように聞こえる機能や、疑似科学のハッタリや、バッテリーの速い消耗を招くことになるだろう。だがそれも問題ない。私たちがカメラの他の部品に対して前世紀に様々な実験を行って、様々な完成レベルを達成したように、私たちは新しい、品質や私たちが撮影するイメージに、非常に重要な影響を持つ非物理的な「部品」に挑戦するのだ。

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(翻訳:sako)

Y Combinator出身のサイバーセキュリティー・スタートアップTemplarbitが日本参入

左から、Bjoern Zinssmeister氏、Matthias Kadenbach氏

Y Combinator卒業生のコンビ、Bjoern Zinssmeister氏とMatthias Kadenbach氏が率いるサイバーセキュリティー・スタートアップTemplarbitは今月、日本市場にプロダクトを展開することを発表した。10月2日よりTemplarbitの全機能をあらゆる日本企業が利用可能となった。

Templarbitはソフトウェアをサイバー攻撃やデータ漏洩から保護するAIを使ったセキュリティー・ソリューション「Templarbit」を開発・提供している。最近では205 Capital、そしてY CombinatorやLightspeed Venture Partnersから3億円を調達した。

Templarbitはサイバー攻撃からアプリケーションを守るセキュリティー特化型プラットフォームで、Cross-site Scripting (XSS)、インジェクション攻撃、クリックジャッキング、DDoS攻撃などからアプリケーションを保護し、早期の脅威検知や脆弱性検査を可能とする。AIがデータを分析し、拡張性のある防御を構築。 同社の独自データと機械学習モデルを組み合わせ活用することによって実現されている。

Templarbitはその気軽さも1つの特徴だ。アプリケーションサーバーにエージェントをインストールすることで簡単にアプリケーションスタックへとデプロイできる。アプリケーション層を通過したデータをTemplarbitが分析し、不審な動きなどは管理画面にリアルタイムにレポートされる。

Templarbitが日本市場に参入したのにはワケがある。TemplarbitのCEOであり共同創業者のZinssmeister氏は「日本は非英語圏で最も多くのサイバー攻撃を受けている国の一つ」だからだとその理由を説明した。

「翻訳ツールの進化により、ハッカー達はより簡単にウェブサイト上で何が起こっているのか理解することができるようになった。ここ数年で日本でもサイバー攻撃が急増したのはそれが原因だ。だが、日本では残念ながらサイバーセキュリティーに対する投資が充分に行われていないと考えている。小規模な地方の銀行などはプロのハッカー集団などに対応するための準備が整っていない」(Zinssmeister氏)

アメリカでは2013年に顧客のクレジットカードとデビットカードのアカウント約4000万件が盗まれたTargetの事件が引き金となり、多くのECサイトがサイバーセキュリティーに大きな投資をしてきた。それを踏まえた上で日本とアメリカを比較すると「日本は6年から8年ほど遅れているのでは」とZinssmeister氏は警告する。

Zinssmeister氏は12ヵ月に渡り日本市場参入への準備を進めてきた。ローンチに際し同氏は「日本のテクノロジー業界、特に東京のテック・コミュニティーは非常に寛大でお互いにサポートしていることを知り、私達もその恩恵を受けてきた」とコメント。「日本では競合が少なくセキュリティー分野のニーズが高い。だが、国外初のマーケットとして日本は選んだことは私たちにとっては非常に難しいチャレンジとなるだろう」と付け加えた。

「アメリカの創業者は国外の文化に関する理解が乏しい。ヨーロッパやオーストラリアと同じ戦略で日本に挑むのは筋違いだ。日本の特殊なビジネスカルチャーを深く理解する必要がある。アメリカと違い日本では人間関係が重要で“推薦”が必要となってくる。それが原因で多くの米国企業がこの国で苦戦するのでは」(Zinssmeister氏)

Zinssmeister氏は10年ほどカリフォルニア州に住んでいるがドイツ出身だ。ヨーロッパと日本のビジネスシーンでは「保守的」だという意味で似ているため、日本でビジネスを展開する上で彼自身のバックグラウンドが大いに役立っているという。ローンチまでの準備は数年かかると予想していたが、12ヵ月で日本でのベースを築き上げることに成功した。

そんなZinssmeister氏は4ヵ月に一回ほどのペースで日本に訪れている。今では大手テック企業やEコマース、スタートアップなどを含む数々のビジネスがTemplarbitに興味を持ち始めているという。「私たちはまだ小さな会社だが、Templarbitの独自性と美しいUIが高い評価を得ている」(Zinssmeister氏)日本では特にUIのシンプルさ・使いやすさが重要視されていると同氏は話していた。

Templarbitはデータ漏洩やサイバー攻撃などの情報をまとめたBreachroomというブログを運営していたりもする。同社は日本ではまだローンチしたばかりだが、今後の成長を大いに期待したい。Templarbitではスタートアップ向けのプラン「Startup Security Program」も用意されているので、これも注目を集めるにはもってこいのフックとなるだろう。

Mozillaは寄付の全額をTor Projectへのマッチングファンドに、Firefoxへの内蔵も開発中

Firefoxの生みの親であるMozillaが、その長年の盟友Tor Projectに再び目を向け、寄付の全額をTorの資金として提供することになった。オンラインのプライバシーを強化するオープンソースのプロジェクトTorは、今年も年末恒例の資金集め活動を開始したばかりだ。

TorはMozillaのサポートを今日(米国時間10/24)発表し、両者のパートナーシップがさらに続くことになった。昨年Torが調達した40万ドルあまりには、Mozillaの貢献も含まれている。これはテクノロジー系のスタートアップなら小額のシードラウンドにすぎない額だが、しかし2015年に政府の補助金への依存をやめて、資金源をクラウドファンディングに切り替えたTorにとっては、重要な収入源だ。

その2015年には、Torは330万ドルという記録的な額の寄付を受領した。それは2014年の250万ドルを上回り、今だにTorの年収の最高額だが、しかしその86%は国の補助金だった。それは、これまでで最高の額だが、Torの研究部長で社長のRoger Dingledineは当時、もっと頑張ってその比率を減らすべきだ、と認めていた。

Torは2016年以降の決算報告をまだ出していないが、昨年はプロダクトの面では大きな飛躍があった。Torは今でも、NSAの内部告発者Edward Snowdenが使ったことが、いちばんよく知られている。大きな飛躍というのは、今年の9月にAndroid用のモバイルブラウザーをローンチしたことと、同じ月にTor Browser 8.0をリリースしたことだ。後者は、これまででいちばん使いやすいTorのブラウザーで、Firefoxの2017 Quantumがベースだ。TorをFirefoxに内蔵するために、Firefoxとの密接な協働が続いた。Mozillaの元CEO Brendan Eichが作ったブラウザーBraveは、すでにTorを内蔵している

Torはブラウザーと、盗聴や監視のおそれを最小化するTorネットワーク本体のほかにも、いろんなプロジェクトを抱えている。Tor自身のデータによると、Torの推定ユーザー総数はおよそ200万人だ。

Tor Foundationで資金調達を担当しているSarah Stevensonはこう語る: “Tor Projectには大胆なミッションがある。ネットワークに対する侵入や制限に抗して世界中のインターネットユーザーのプライバシーと自由を守ることだ。でもそれは、一人ではできない”。

“エジプトやベネズエラなどの国には表現の自由に対する制約があり、オープンなWebへの自由なアクセスができない。また企業サイドでは、GoogleやAmazonなどが人びとのデータを濫用し、監視経済を肥大させている。反対意見を封じ込めるために、インターネットアクセスを全面的に禁じている国すらある”。

というわけで、Tor Projectの果敢なミッションに賛同される方は、同団体にここで寄付できる。

参考記事

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Tesla、2018年3Qは2年ぶりの黒字決算

Teslaは第3四半期決算で利益を計上し、7期続いた赤字決算から脱出した。同社がこの目標を達成したのは設立以来まだ3度目だ。水曜日(米国時間10/24)の取引終了後に発表された第3四半期決算によって、株価は12%近く跳ね上がり320ドルを超えた。

Teslaは9月末までの3ヶ月間に3.12億ドルの利益を上げた。一年前の同時期は6.19億ドルの損失だった。

Teslaは設立以来わずか2回しか黒字の四半期がなく、2016年が最後だった。好転の原因はModel 3の販売であり、CEO Elon Muskが大きく賭けに出た製品だ。

Teslaは株主に強気のレターを送り、Model 3の潜在市場は全体でプレミアムセダン市場を上回ると豪語した。同社によると、顧客は比較的低価格の車を下取りに出してModel 3を買っているという。しかもこれは、まだリースという選択肢がなくQ3のModel 3最低価格が4万9000ドルという状況でのことだ。

同社は、当初の目標価格である3万5000ドルのModel 3をまだ発売していない。Model 3の最低価格車は中航続距離バージョンでEPA推定航続距離260マイル(418 km)、価格は4万6000ドルからだ(つい一週間前は4万5000ドルだったがその後修正された)。Teslaは、Model 3の価格を3万5000ドルに下げるために「懸命に努力」していると言い、Model 3の予想以上のコスト削減によって、近い将来この車をより求めやすい選択肢にすることができる、と付け加えた。

Model 3の低価格化は、Teslaの長期的利益の維持を難しくする。こうした苦難は第4四半期には見えてこないかもしれないが、Teslaがコストをさらに削減しない限り、いずれはのしかかってくる。また、それに成功したとしても支払うべき請求書は残っている。Teslaは35億ドルの買掛金を計上している。そして100億ドル以上の借入金がある。

ひとつの希望は、Model 3が現在米国とカナダでしか売られていないことだ。Teslaによると、年内にヨーロッパと中国でModel 3の受注を始めるとのことなので、さらに大きい顧客層への手がかりを得ることができるだろう。

一時的項目を除外すると、Teslaの利益ば5.16億ドル、1株あたり2.90ドルであり、前年同期は損失4.88億ドル、1株あたり2.92ドル(損失)だった。

Teslaの第3四半期決算によると、フリーキャッシュフローは8.81億ドルで、前年同期はマイナス14.16億ドルだった。フリーキャッシュフローとは企業が営業活動で得た現金から資本支出を差し引いたものを指す。

同社の現金総額は第3四半期末に7.31億ドル増加して30億ドルとなった。

Teslaの第3四半期売上は68億ドルと目覚しかった。これは前年同期の売上29.8億ドルの2倍以上であり、Model 3の販売によるものだ。Teslaの本年第2四半期売上は40億ドルだった。

Teslaの自動車事業の総利益率はGAAP[一般に認められた会計原則]ベースで25.8%へと上昇した。前年同期は18.3%だった。

Teslaは10月2日、 第3四半期に8万3500台の電気自動車を納車したと発表した。Musk率いる同社があらゆる手を尽くして最新セダンのModel 3を顧客に届けた結果であり、 前四半期を2倍以上上回った。

水曜日(米国時間10/14)同社は5万6065台のModel 3を納車したことを発表し、前四半期の1万8440台から大きく伸ばした。これは同社自身のガイダンスの範囲内だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook、「広告アーカイブレポート」で政治広告費ランキングを公表

明白な理由により、Facebookは中間選挙を前に政治広告の透明性を高めようとしている。去る5月、同ソーシャルネットワークは米国内の政治広告を検索できるデータベース、Ad Archiveを導入した。このほど新たに政治広告費用を週例報告するAd Archive Report機能を追加した。

レポートはキャンペーン別のトップ広告利用者を利用額および広告掲載数と共に公開している。最初のレポートは、FacebookとInstagramで5月から10月20日の期間に掲載された広告が対象で、総額2.56億ドルが160万件の広告に消費された。

この数字にはFacebook自身による選挙の公正化および投票推進運動に関連する広告も含まれている。それ以外ではあらゆる手を尽くして戦っているテキサス州のベト・オルーク下院議員がリードしているのは驚きではないだろう。”Beto for Texas” キャンペーンはこの期間約6000件の広告に530万ドルを使った。

ドナルド・トランプの “The Trump Make America Graeat Again Committee”[トランプがアメリカを再び偉大にする委員会]が190万ドルで2位。ちなみに “Donald J. Trump for President, Inc.” [ドナルド・トランプを大統領に株式会社] は160万ドルで8位だった。これは170万ドルを使ったトム・ステイヤーの”Need to Impeach”[弾劾せよ]のすぐ下だ。こうしたキャンペーンが2020年に向けて膨れ上がっていくことは間違いない。

アーカイブには、7年前まで遡って広告が収納されている。また同サイトでは、データをアクセスするためのリサーチャー向けのAPIも提供している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook