シェフ版のWeWorkで“飲食店経営のサービス化”へ――favyがマイナビから10億円を調達

“飲食店が簡単に潰れない世界”の実現に向けて、食領域で複数のサービスを展開するfavy。同社は9月25日、マイナビを引受先とした第三者割当増資により約10億円を調達したことを明らかにした。

favyと言えば6月に約5億円を調達したばかり。そこからわずか数ヶ月で新たに10億円もの資金を調達したことになる。

マイナビとは事業面で連携を深めて飲食店向けのサービスを一気に拡大していく狙いもあるが、どうやら調達した資金を基に新サービスを含むサービス群の拡充と、いわば“シェフ版のWeWork”とも言えるシェフ向けのコワーキングスペースの開発に力を入れていくようだ。

マイナビとのタッグで営業網を一気に拡大

以前から紹介しているように、favyの事業は幅が広い。

月間閲覧者数が6700万人を突破したグルメメディア「favy」を始め、簡単にホームページが作れる「favyページ」やサービスEC「ReDINE」といったWebサービスに加え、自ら飲食店も経営している。

現在もさらなるラインナップの拡充を進めていて、つい先日にはキッチンも客席もシェアするレストラン「シェフのためのコワーキングスペース」を今秋銀座にオープンすると発表したばかり。また本日より前回取り上げた飲食店向けのMAツール「顧客管理ツール」と、favyの導入店舗へ食材や調理器具、サービスを紹介できるプラットフォーム「favy store」の提供も始めた。

冒頭でも触れた通り、favyにとって今回の資金調達のポイントのひとつはマイナビとタッグを組んだことだろう。今年に入ってぐるなび×楽天食べログ(カカクコム)×KDDIRetty×ヤフーといったように、グルメサービスを提供する各社と他業界の大手企業が連携を深めている。

favyのパートナーはマイナビということになったが、特に営業面でプラスの影響が大きいようだ。同社代表取締役社長の髙梨巧氏によると、すでに「マイナビバイト」を運営するマイナビのアルバイト情報事業本部とfavyのサービスの販売協力トライアルを都内で始めているそう。

これまでfavyでは東京と大阪の2拠点で営業を進めていて、顧客となる飲食店もその2地域が中心だった。そこに営業体制1000名以上、60を超える拠点をもつ同事業部のリソースが加えることで全国の飲食店へfavyのプロダクトを一気に広げる計画だ。

高梨氏いわく「B2BのSMB(中小企業)向けのプロダクトは泥臭い営業活動が重要」であり、「現在約50人体制の社内営業チームを大幅に強化し営業の面を作ることで、プロダクトの拡充だけでなく飲食店とのマッチングを進めていく」という。

また採用面に強みを持つマイナビと飲食店向けの採用ブランディングサービスを共同開発し、飲食店の人手不足に関する課題の解決も目指す。

ソフト領域のサービス拡充とハード領域への進出

並行して、調達した10億円を使ってfavyはこれからどんなことに取り組むのか。鍵となるのは「ソフト」と「ハード」という2つの軸だ。

favyではこれまでSaaSのような形で、飲食店の“集客”の課題を解決するプロダクトを軸に展開してきた。本日より提供開始となったMAツールもまさにこの領域のサービスだ。

今回マイナビとタッグを組むことで採用面でのプロダクトも今後強化できるだろうし、多くの飲食店をサポートしたり直営店で貯めたナレッジを活用したりすることで、メニュー開発や企画の面でも飲食店を支援できるだろう。

これまでサービスの拡充を図ってきた中でソフト領域がある程度整ってきたからこそ、「ハード領域にも積極的に取り組んでいくフェーズ」(高梨氏)に変わってきたのだという。

それに向けた動きのひとつが本日スタートしたfavy storeだ。ここには飲食店の「仕入れ」をサポートするプロダクトで、食材はもちろん、調理器具、家具、ユニフォーム、清掃、予約サービス、店舗BGM、アプリなど飲食店経営に役立つツールが掲載される。

メーカーなど出店する企業にとっては、favyを導入する全国3万店舗以上の飲食店に掲載料無料で自社の商品を紹介できるのがメリット。高梨氏によればこのサービス単体で収益化を図る意図はないそうで、サービスの利便性が増した結果「飲食店がfavyを選ぶ理由になればいい」と話す。

まずは100以上のストアがサービス上に並ぶことを目指していて、調達した資金の一部はこのfavy storeやMAツールのシステム開発、エンジニアの採用強化に用いる。

WeWorkがオフィスをサービス化したように、飲食店経営もサービス化

そしてもうひとつ、favyが資金を投じて取り組んでいるのが、シェフが料理だけに集中できる新しい形態のコワーキングスペース兼シェア型レストランだ。

「WeWorkがオフィスをサービス化したのと同じようなことを、飲食店でもできるのではないかと考えている。シェフが自分で飲食店を構え、運営するにはかなりの初期コストがかかる。料理を作る以外の部分をフルセットでサポートすることで、飲食店経営をサービス化したい」(高梨氏)

高梨氏の話す通り、favyのコワーキングスペースではシェフが起業する際の課題となる「出店コスト」「スタッフの採用」「集客ノウハウ」が必要ない。

見た目は1つの飲食店に見える約120坪(120席ほどを予定)の店舗のキッチンには5人のシェフが滞在でき、それぞれに調理機材と収納スペースが用意。客席はもちろん、ホールスタッフも5人でシェアをする(スタッフはfavyが採用)。集客面でもfavyのグルメメディアと、同社が培ってきたナレッジを用いたサポートを受けられるのが特徴だ。

キッチンに立つシェフは定期的に入れ替わり、某アイドルグループの総選挙のように来店者が飲食店を評価し、ランキング化される仕組みを考えているそうだ。

「スタートアップ的な表現をすると、シェフがもっと簡単にPMF(プロダクトマーケットフィット)を図れるようにしたい。一度自分で飲食店を始めると、ピポットをするのも難しい。最初に初期コストを抑えて色々と試し、コアなファンができた段階で自分の店舗を持てばリスクも少ない」(高梨氏)

高梨氏によると以前から飲食店経営のサービス化の構想やシェフ向けのコワーキングスペースのアイデアがあったそう。これまでの期間は、そこに必要なモジュールをひとつずつ仕込んでいた段階だったと言えるのかもしれない。

favyでは今秋を目処に第一弾となるスペースを銀座にオープンする計画。「1拠点を作るのにけっこうなコストがかかる」(高梨氏)そうで、急激に多拠点展開をするという訳ではなさそうだけど、今後全国に同様のスペースを広げていきたいという。

iPhone XS MaxはXSより劇的に売れている(MacRumors報道)

異彩のAppleアナリスト、Ming-Chi KuoによるAppleの初期データによると、iPhone XS Maxは、小さな兄弟分を圧倒する売れ行きを見せている。MacRumorsに載った記事でKuoは、この6.5インチ端末が発売直後の週末に、XSの3~4倍を売ったと報告している。

「われわれはXS Maxの需要が予想以上だった(XSの3~4倍)という確証を得た」とKuoは言った。「ゴールドとスペースグレーはシルバーより圧倒的に人気が高い。256GBが一番人気で、512GBは深刻な品薄状態であり、これは現在NAND Flashを安定供給できるのがSamsungのみだからだ。XS Maxの出荷台数は、アジア市場とギフトシーズンのおかげで2018年4Q中は安定成長を続けるだろう」

需要の大きさは決して驚きではない。何しろXSは、先行機種と比べて驚天動地の新製品ではない。一方Maxは、消費者は大きい電話など欲しがっていない、と言っていた会社としては、かなりの画面サイズ変更だ。

しかも、2つのモデルはスペック的にほぼ変わらず、大画面の価格差はわずか100ドルだ。すでに1000ドルの世界にいる人たちにとって、100ドルの違いなどどうでもよい。

記事はApple Watch Series 4の需要が予想以上であること、iPhone XRが売れ筋だろうとも書いている。後者
は何ら驚きではない。XRは、去年と変わらない端末に1000ドル払うつもりがない/払えない人たちにとって到達可能なアップグレードなのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

街のおでかけメディアとSaaSでリアル店舗の集客課題解決へ、Patheeが三井物産らから6.5億円を調達

写真左からEight Roads Ventures Japanの村田純一氏、Pathee代表取締役の寺田真介氏、三井物産の大久保忠治氏

徒歩5分圏内の地域情報を検索できるサービス「Pathee(パシー)」を提供するPathee(2018年2月にトライトゥルーから社名変更)は9月25日、既存株主のEight Roads Ventures Japanに加え、三井物産(リード投資家)、地域創生ソリューション、第一勧業信用組合、シークウェル、SMBCベンチャーキャピタルを引受先とする第三者割当増資により総額6.5億円を調達したことを明らかにした。

Patheeでは今回調達した資金を基にビジネスサイドおよび開発組織の体制強化を進める方針。コンシューマー向けのおでかけメディア「Patheeメディア(Web版のPatheeのような位置付け)」、実店舗のマーケティング課題を解決するSaaS「Patheeパートナー」の拡大を目指す。

なおPatheeにとって今回のラウンドは2017年6月にEight Roads Ventures Japanなどから3億円を調達したシリーズAに続くもの。同社ではそれ以前にも2014年にオプトベンチャーズらから1.3億円を、2012年にはサムライインキュベートから数百万円規模の資金を調達している。

目的に沿ったスポットを探せるローカル情報検索サービス

同社が以前から手がけているPatheeについては何度も紹介しているけれど、個人的には初めて使ってみた際に「周辺のスポット検索に特化した『かゆい所に手が届くGoogleマップ』のようなツール」という印象を受けた。

Patheeは現在地やこれから向かうエリアから「徒歩5分圏内にあるお店やスポット」を検索できるサービスだ。

たとえば急にトイレに行きたくなって現在地付近でトイレを探したい場合、待ち合わせの駅に早く着いてしまったので少し休めるスポットを探したい場合、出先で切らしてしまった文房具を買いたい場合など、目的に沿った場所を検索できる。

この“目的に沿った”というのがPatheeの最大の特徴であり、意外と他のマップツールでは実現できていない価値だ。

たとえば「新宿で少し休憩できる場所」を検索するために、「新宿 休憩」というキーワードでGoogle検索をしてみる。すると休憩所や展望休憩室などスポット名に「休憩」と含まれる場所に加え、たくさんのホテルが表示される。

一方Patheeの場合だとどうなるか。アプリで検索すると出てくるPatheeメディアのコンテンツを見てみると「新宿パークタワー8Fに誰でも利用できる休憩ラウンジがある」とか「小田急百貨店 新宿本館の屋上はベンチ数が申し分なくて子どもが遊べるスペースが充実している」といった密な情報が出てくるのだ。

Patheeメディアのコンテンツはアプリとも連動。該当するコンテンツがある場合はWebだけでなくアプリ上でもチェックできる

Patheeはユーザーの目的がより具体的なほど、そのポテンシャルを発揮する。たとえば前回も紹介したけれど「カレンダー」を探している場合、必ずしも文房具店に絞る必要はないかもしれない。

近年のドラッグストアではコスメやお菓子など医薬品以外の商品が充実しているお店も多いが、近くの店舗で「コスメ」を買いたいユーザーにとって、ドラッグストアでもニーズを満たせる可能性はあるだろう。

「ユーザーは達成したい目的があって検索し、お店に行く。“お店のジャンル”という括り方は時代に合っていない。目的をベースにお店を探せるメディアが求められているが、そこに対してアプローチしているサービスはなかった」(Pathee代表取締役の寺田真介氏)

そもそも飲食店の情報を扱うサービスは複数ある一方で、非飲食店の情報を整理したサービス自体が少ない。その情報をユーザーの目的に沿った形で検索できるようにしたことで、事業の成長に繋がっているという。

寺田氏によるとPatheeメディアは2017年6月の調達時から約1年でMAUが300%成長し、月間のPVも800万を超えたそう。90%がスマホからのアクセスということもあり、出先でお店を探す際に重宝されているようだ。

Patheeと連携したSaaSで小売店舗のデジタルシフトを支援

このPatheeメディアをフックとして、現在同社が力を入れ始めているのが小売店舗のデジタルシフトをサポートするSaaS型のプロダクト「Patheeパートナー」だ。

メディアの成長に伴って店舗からの問い合わせが増える中で、約100店舗へヒアリングを実施。そこで見えてきた店舗側のニーズに応えるべく、4月に同サービスをローンチした。

「Web上でのプレゼンスを高めたいというのはもちろん、特にこだわりのある店舗ではユーザーに対して伝えたい情報はあるけれど、上手く届けられていないという課題があった。突き詰めるとマーケティングに関して課題を感じている店舗が多かったので、そこを支援しようとヒアリングベースで作ったのがPatheeパートナーだ」(寺田氏)

もちろんInstagramやTwitterなどを器用に使いこなす小売店舗もあれど、全ての店舗がデジタル化の波に乗れているわけではない。そもそもホームページがなかったり、あっても更新が止まっている店舗も存在する。

飲食店は食べログやホットペッパーなどのグルメサービスが比較的普及しているが、非飲食店に関してはWebサービスを使いこなすという文化も根付いていない。海外であればYelpがローカルビジネスのレビューサイトとして飲食店以外の情報も広くカバーし、様々な企業が広告を出稿していたりもするけれど、日本の場合はまだ空いている領域と言えるだろう。

そんな小売店舗のマーケティング課題を解決すべく、Patheeパートナーでは「店舗がやらないといけないコンテンツマーケティングを全部カバーする」(寺田氏)プロダクトを展開していくという。

同サービスは簡易ホームページ作成ツールのような機能を備え、そこにインスタを始めとしたSNSやブログの最新情報をウィジェットっぽく自動で取り込むことで、情報を一箇所に集約することが可能。管理画面から複数のSNSやGoogleマイビジネスなど、リアル店舗を運営する際によく使うツールを一元管理することもできる。

そのほかチェーン店向けに店舗情報や権限を管理できる機能のほか、クーポンの発行機能や、Patheeメディアの記事と連携したアクセス統合分析機能などを備える。

各種ツールの運用にかかっていた時間を削減するだけでなく、分析機能を使って「どのような目的を持ったユーザーが店舗ページに来店しているか」を把握し、店舗の運用に活かせる点も特徴。一例をあげると、靴屋が「サンダルを紹介した記事とスニーカーを紹介した記事では、どちらがより多くのユーザーを集めているか」を分析することで、これまで掴めていなかったユーザーのニーズを探るといった具合だ。

寺田氏の話では4月のリリースから約5ヶ月で100店舗近くまで導入が進んでいるそう。今はチェーン店での利用が多く、ジャンルとしてはインスタ受けが良さそうなアパレルや靴、水着、ジュエリーといった「おしゃれ小売」店舗が中心だ。

今後は調達した資金も活用して、PatheeメディアとPatheeパートナーの2軸で事業の拡大を目指す方針。特にPatheeパートナーについては新機能も追加し、リアル店舗がその存在感を高められるような仕組みを整備しながらマネタイズも進めていくという。

「この領域はユーザー側だけをやっていても店舗だけをヨイショしていてもダメで、両軸を良くしていかないと難しい。その意味ではSaaSを通じて小売のデジタルシフトの手助けができれば、その情報を見るユーザーの実店舗での買い物も、もっとしなやかにできると考えている。ここを起点にビジネスも世の中も変えていくチャレンジをしていきたい」(寺田氏)

15番目のメジャーリリース、macOS Mojaveが無償ダウンロード可能に

macosmojaveアップルは日本時間の9月25日早朝に、macOS(Mac OS X、OS X)の15番目のメジャーリリースとなるmacOS Mojaveをリリースした。macOS Mojaveは数字のバージョンで示すと10.14。macOSは、最初のバージョン10.0 Cheetahから9番目の10.8 Mountain Lionまではネコ科の大型動物、10番目の10.9 Mavericksから現在の10.14 Mojaveまでは米国カリフォルニア州の地名がコードネームや名称として使われている。

macOS Mojaveの対応機種は以下のとおりだ。MacBook Pro(mid 2012)など、6年前にリリースされた機種もサポートしている。

MacBook(2015)以降
MacBook Pro(mid 2012)以降
MacBook Air(mid 2012年)以降
Mac mini(late 2012)以降
iMac(late 2012)以降
iMac Pro(2017)以降
Mac Pro(late 2013)以降

主な新機能は、新UIのダークモード、デスクトップ上でのファイルのスタック表示、コンテクストメニューからPDF作成やマークアップが可能になるクイックアクション、ファイルを高速プレビューできるクイックルックでの編集機能の強化、スクリーンショット撮影後の編集機能、iPhoneカメラとの連動、グループFaceTime、「News」「株価」「ホーム」などのiOS由来のアプリの追加、Mac App StoreのUIの刷新など。

また、汎用の3D描画APIであるOpenGLが非推奨となり、アップル独自の3D描画APIであるMetalが標準となる。

Google Lensが画像検索にやってくる――自分が見ているのが何なのか即座に分かる

今日(米国時間9/24)、Googleがサンフランシスコで開催した小さなプレスイベントで、検索に重要な新機能が準備されていることが判明した。近く画像検索でGoogle Lensがサポートされるという。

念のため復習しておくと、現在はGoogle Lens(Googleフォトの一部、あるいは専用アプリ)をタップするとGoogleのコンピューター画像認識機能が対象画像に関連する詳しい情報を提供してくれる。これによりユーザーは自分が見ている画像が何であるかを知ることができる。

Googleがデモした例でいえば、 育児用品(nursery)で検索するとベビーサークルや乳母車の画像がヒットする。ユーザーは表示された乳母車の一つを買いたいと思うかもしれない。しかし現在の検索インターフェイスではその画像だけを頼りに買おうとするとかなり難しいことになる。「乳母車」プラス、好みの色その他のキーワードを入力して改めて検索する必要がある。

しかしLensボタンが表示されていれば簡単だ。ボタンをクリックするとGoogleはコンピュータービジョン能力を総動員して画像を解析し、それが何であるか突き止めようとする。乳母車ではなく、背景に写っているランプが気に入ったのなら、指でランプを押さえればその部分にフォーカスが移る。

解析可能なのは乳母車や照明器具ばかりではない。写っている犬の種類から名所旧跡、アパレル、自動車、その他さまざまなカテゴリーがカバーされる。十分詳細な画像が得られGoogleの人工知能がそれを認識できる場合、Lensは対象の画像がどこから来たかを遡って調べ、詳しいデータを教えてくれる。

Google画像検索にLensがやってくるのは今週後半になる予定。

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滑川海彦@Facebook Google+

AIでOfficeが賢くなった――Microsoft Ignite 2018カンファレンス開幕

今朝(米国時間9/24)、MicrosoftのIgnite 2018カンファレンスがフロリダ州オーランドでスタートした。Office 365の新機能が次々に発表されているが、現在Microsoftが全力を挙げている分野を考えれば、新機能の多くがAIテクノロジーに支えられていることは驚くにあたらないだろう。オンラインだろうとオフラインだろうと、Officeシリーズの製品の新機能も例外ではない。今回のアップデートにより各種ツールのアシスタント機能が賢くなり、Officeはすこし使いやすくなる。

もっとも興味深い新機能はIdeasと呼ばれるものだ。これにより、まずExcelとPowerPointがスマートに利用できるようになり、日常業務が効率化される。PowerPointの場合、Ideaはプレゼンの内容に適したスライドのデザインや画像を探してくれる。Excelでは適切なグラフの候補を挙げたり、データ中の異常値を発見したりする。これらの機能はすでにオンラインのExcelで利用可能で、オンラインのPowerPointにもプレビュー版として近く登場する。こうした機能は近く他のOfficeツールにも拡張されるはずだ。ClippyジョークのタネにされているMicrosoftのアシスタントをあちこちで見かけるようになるかもしれない。

ExcelにはさらにいくつかのAI機能が追加された。Ignite 2017でMicrosoftはExcelに新しいデータ形を追加することを発表した。今年初め、プレビュー版にその機能がお目見えしていたが、今回正式に一般公開された。株価や地理的情報などがデータ形となり、ユーザーがスプレッドシートで処理するのが容易になった。MicrosoftはExcelに画像認識も導入した。この便利なツールは複雑な表の画像を認識して…お察しのとおりExcelファイルに変換する。ツールはData from Pictureというそのまんまの名前だ。

またlookup系関数が改良され、処理がスピードアップされたという。

またAIとは直接の関係がないものの、Officeの使い勝手を改善するアップデートとして、検索機能の強化が挙げられる。新しいMicrosoft Searchは近くBingと Office.comで公開される(Microsoft Edge、 Windows、Officeでの公開はその後になる予定)。Microsoftによれば、新しい検索機能はユーザー自身が保存しているファイルも対象とすることができるようになったという。たとえば「出張に家族を同伴できるだろうか?」と入力すると、人事部の規則が検索され、答えはノーだとわかる、という具合だ。

more Microsoft Ignite 2018 coverage

画像:STAN HONDA/AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

サイバーの小学生プログラミングコンテスト、初代優勝者は“全てがオリジナルのスマホゲーム”を開発した5年生

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化される。しかし、サイバーエージェントグループでプログラミング教育事業を行うCA Tech Kidsは「算数・理科などの既存の科目内での限定的な実施となり、経済産業省の試算では2020年に37万人のIT人材が不足する見込みとなるなど、世界的にも日本のプログラミング教育が遅れていることから、民間団体による強化が重要な課題となっている」との懸念を抱いている。

そのような課題の解決に向け、同社は国内最大級の“小学生のためのプログラミングコンテスト”「Tech Kids Grand Prix(テックキッズグランプリ)」を本年、初めて開催した。イベントの司会を務めた代表取締役社長の上野朝大氏によると「子供達がプログラミングを学ぶことに世間の関心が非常に高まっている一方、多くの人がまだその重要さを十分に理解していない」という。

「我々はプログラミングは優れた技術であって、何かを実現するための優れた手段だと考えている。小学生のような子供達であっても、プログラミングを使いこなせば作りたいものを作れたり、困っていることを解決できたりする。それを多くの人に知ってほしいと思い、今回のコンテストを開催する運びとなった」(上野氏)

9月24日、渋谷ヒカリエで行われた決勝プレゼンテーションでは「ゲーム部門」と「自由制作部門」でそれぞれ6名ずつ計12名の小学生が登壇し、自身の開発した自慢の作品を発表した。ファイナリストは国内外より集まった1019件のエントリーの中から選出された強者たちだ。

総合優勝を果たした宮城采生さん

見事に総合優勝を果たしたのは小学校5年生で10歳の宮城采生(みやぎ・さい)さん。デザイン・プログラミング・BGMなど“全てがオリジナルのスマホゲーム”を発表し、ゲーム部門で1位に選出された後、初代グランプリに輝いた。

「オシマル」と題されたゲームを開発した宮城さんは去年の夏から真剣にプログラムに取り組むようになったという。開発にはMac版Unity、素材にはMac付属のソフトとiPadアプリを使ったそう。スタッフとして「ゲーム制作は自分、テストプレイは家族や友人」と説明するなど、“チームでの開発体制”を意識していたのが印象的だった。

ゲームはCPUを相手にした対戦型のもの。自分が左右に操作する“アニマル”を3体ゴールさせることでクリアとなる。キャラクターは数種類あり、「種類によってコストや性能が違う」ので状況に応じて使い分ける。

タイトルは「アニマルブロックが押し合っている印象から」オシマルと名付けたそうだ。タイトル画面も「ゲームの方向性に合うよう密度感を表現した」と説明するなど、かなりロジカルに世界観の表現を追求していた。審査員からの質問に対し「iPad一つで向かい合って勝負ができる」機能を実装したいと今後の展望を話していた。

Tech Kids Grand Prixの審査項目は「掲げる夢や実現したい世界観」「夢を実現するクリエイティブなアイデアとそれを体現した作品」「自身のビジョンやプロダクトを社会に発信していく姿勢」の3つ。若い感性から生まれたユニークな作品はどれも自由で興味深かった。「大好きな“数学”を友達にも楽しんでもらいたい」「僕のソフトで世界を変える」など名言が盛りだくさんのコンテストだったが、その熱い気持ちを忘れず、テクノロジーでより楽しく美しい世界の実現を目指してほしい。近い将来、TechCrunch Japanで取材できる日を楽しみにしている。

トラック運送のUber、Convoyが評価額10億ドルで1.85億ドルを調達

Alphabetの未公開株投資部門であるCapitalGは、Convoyの1.85億ドルの調達ラウンドをリードした。同社にとってシアトル拠点のIT利用トラック輸送ネットワークへの初めての投資だ。

このラウンドによってCovoyの総調達額は2.65億ドル、企業評価額は10億ドルとなった。新たな投資家として、T. Rowe PriceとLone Pine Capitalが既存投資家とともに参加した。

Convoyは長年Greylock Partnersの支援を受けてきた。同社は2015年のシリーズAラウンドをリードしている。 Y Combinatorも支援者のひとつだ。昨年 Y CombinatorはConvoyの6200万ドルのラウンドをリードするという異例の行動にでた。アクセラレーターであるY Combinatorが、Continuity Fundの資金をYC卒業生以外のレイトステージ企業に投資したのは初めてだった。

Salesforce CEOのMarc Benioff、Dropbox CEOのDrew Houston、Bezos Expeditions、および元Starbucks社長のHoward BeharもConvoyに出資している。

元AmazonのDan LewisとGrant Goodaleのペアが設立したConvoyは、8000億ドルのトラック業界に変革をもたらそうとしている。これは至難の業だ。トラックのUberとも呼ばれるConvyのアプリは、トラック運転手と荷物を運ぶ必要のある人たちをつなぐ。同社は新たな資金を使って、全米に規模を拡大するとともに運送マッチンク以外の事業にも進出しようとしている。

「トラックは40%の時間、からっぽで走っている。また、非効率的なスケジューリングのために何もせずに止まっていることがしょっちゅうだ」とConvoyのCEO Dan Lewisが声明で言った。「これは経済や環境だけでなく、荷主や運送会社の利益にも悪影響を及ぼす」

GeekWireによると、Convoyは、トラック運転手が仕事をうまく組み合わせて時間の無駄を省けるように新しいツール群を開発している。また、荷主にはシステムを通じて荷物追跡や価格データの利用を可能にしようとしている。

CapitalGのパートナー、David Laweeは出資契約の一環としてConvoyの取締役会に加わる。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

日本のHayabusa 2ミッション、遙かなる小惑星の地表に到達

これまで聞いたことのない最高にクールなミッションが大きな節目を迎えた。日本の小惑星探査機Hayabusa 2が目的地のRyuguに到達し、小惑星表面に探査ロボット2台を送り込んだ。近いうちにHayabusa 2自身も着陸し、Ryuguのサンプルを地球に持ち帰る! うそだろ? これは驚きだ!

Hayabusa 2は、ご想像の通り、同じく小惑星のサンプル採取ミッションを務めた初代Hayabusaの後継だ。つまり、一連のプロセスには前例がないわけではないが、小惑星採掘がすでに実現間近なことに驚かれた向きもあるかもしれない。

しかし、これも想像できるだろうが、この2回目のミッションは初回よりも高度だ。第1回目の余勢と教訓を得たHayabusa 2は、さらに多くの機器を備え、目的地での滞在期間もずっと長くなる予定だ。

その目的地は地球と火星の間に軌道を持つ小惑星、Ryuguだ。Ryuguは「C型小惑星」に指定されており、これは水および有機物質が相当量存在すると考えられていることを意味している。すなわち、地球外生命の可能性やこの(あるいはそれ以外の)太陽系の歴史を学ぶうえで大いに期待されているターゲットだ。

Hayabusa 2は2014年後半に打ち上げられ、その後数年をかけて慎重にこの小惑星の安定軌道に乗せられた。この夏ついに、到達した。そして今週には地表55メートル(!)まで近接し、持参した4基の着陸機のうち2基を着地させた。下の動画は着陸機が小惑星に向かって降下していく様子だ:

着陸機 “MINERVA”(トップ写真にレンダリング画像がある) は地表面をホップ(飛び跳ねる)ように作られており、重力が小さいため一回の跳躍は15分程度持続する。地表の写真を撮影し、温度を測定し、(どこであれ)着地した場所の全般的調査を行う。

アップデート:本稿執筆時点で、ローバー2基は無事着陸していたが、小惑星の裏側にいたため母船との連絡が取れなかった。現在は通信が可能になり、素晴らしい画像も送られてきた。

[この躍動感あふれる写真はRover-1Aによって9月22日の11:44 JSTに、Ryugu表面を跳躍中に撮影された。左半分がRyuguの表面で、右側の白い部分は太陽光による。]

送り込まれるのを待っているのは、もう1基のMINERVAと、新開発のMASCOTだ。MASCOTは多くの科学機器を搭載しているが移動能力は小さい。小惑星の磁気的性質をより詳細に分析し、表面上の鉱物を非侵襲的に検査する。

ビッグニュースは来年やってくる。Hayabusa 2自身が「小型のインパクタ(衝突装置)」とともに小惑星表面に着陸する。インパクタは「人工クレーターを作る」ために使用され、Ryuguの地下物質を採取する。こいつがすごい。要するにこれは巨大な弾丸であり、2キログラムの銅製円盤が爆発物の前面に装着されていて、爆発時には秒速2km、時速約7200kmで目標に向かって発射される。

試験中のHayabusa 2のインパクタ。標的を打ち抜き、試験場の反対側のがれきに衝突した。

探査機は衝撃による表面の変化を観察し、他のクレーターの起源に光を当てて表面の性質の分析に役立てるだけでなく、自身が着陸し、露出された「新鮮な」物質を採取する。

全体的にみて、これはとてつもなく興味深いミッションであり、日本のNASAにあたるJAXAが独自に築き上げた業績だ。小惑星採掘会社の連中はHayabusa 2を固唾をのんで見守っているに違いない。数年後には、彼ら自身の探査機を打ち上げるかもしれないからだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonの新しいEcho Dot、実機レビュー

Amazonが発売しているデバイスの中でいちばん改良が必要なのはEcho Showだ(お願いしますよ、本当に)。僅差で2位につけているのがDotだったと思う。Echoシリーズでいちばん安く(かついちばん売れている)Dotはすでに何度かアップデートされている。それでもDotは居間のコーヒーテーブルの上に堂々と並べておくのがはばかられるようなデザインだった。

Amazonの新しいベストセラーのスマートスピーカーを見てすぐに気づくのは新世代版がGoogle Home Miniにひどく似てきた点だ。実際、Googleの影響はいたるところに感じられる。

とはいえ、私はこのデザインの方が好きだ。新しいDotのサイズは現行製品とほとんど同一で、ボタンのレイアウトにも変更はない。最大の変化はGoogle Home Mini同様、ファブリックで取り囲まれていることだろう。ともあれスマートスピーカーのスピーカー部分はしっかりネットの外皮に囲まれている。

オリジナルのDotより音量も70%大きくなっているという。Amazonはハードウェア・イベントのデモでいくつかのバージョンを試させてくれた(ちなみにエド・シーラン版は私の好みではなかった)。どれも左右のチャンネルがしっかり作動するステレオだが、自宅の居間に置いてあるGoogle Home Maxを急いで取り替えようと考えるほどの音質ではなかった。

新しいDotで最大の魅力はなんといっても価格だ。Amazonは機能を改良しても値段は据え置きにした。しかし49ドルという定価に釣られて手を出すと、全Alexaエコシステムに巻き込まれることになるかもしれない。

入門レベルの価格のDotを複数の部屋に置いてマルチルーム・オーディオが楽しめる。これはAmazonが進めているホームオーディオの形で、HomePodやGoogle Home Maxのような高価なデバイスなしに一部屋ずつオーディオシステムを増やしていけるというのがセールスポイントだ。

Amazonのハードウェアイベントで登場した製品関連記事はこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

Airbnb、ホストに株式付与を計画――SECに規則701改正のパブコメ提出

評価額310億ドルの巨大企業、Airbnbは宿泊施設を提供している契約ホストに会社のビジネスに参加する道を開こうとしている。Axiosの報道によれば、AirbnbはSEC(証券取引委員会)に株式の所有に関する規則の変更を求める要望書を提出した。

Airbnbが変更を求めているのは、SECが企業の株式保有に関する条件を定めた規則701だ。Airbnbでは共有経済に対応する新たな株式保有者の分類を設ける必要があるとしている。Uberは同様の措置を求めてSECと会談しているが、Airbnbの場合は要望を文書として明確化して提出した点が異なる。こちらから全文が読める(Axiosが発見した)。要望書には次のように書かれている。

共有経済市場におけるAirbnbの成功はホストの成功にかかっている。 われわれは ホストその他 早い段階から非公開企業の共有経済に参加している関係者がその企業の株式を得られるよう規則を改正することは共有経済における企業と参加者に成功へのインセンティブをもたらし、双方の利益になるものと信じる。 

Airbnbは早ければ来年にも株式を上場するもの.と見られている。

ホストやUberやLyftのドライバーに対する株式付与の仕組みの詳細はまだ明らかでないが、実現のためにはSEC規則の改正が必要だ。現在のSECの規則では非公開企業の株主が2000人を超えるか、非適格投資家株主が500人を超える場合、所有の登録や審査などの手続きが必要となる。

2008年の創立以来急拡大を続けてきたAirbnbは現在500万件以上の宿泊先をリストするようになっている。SECの株式保有に関する規則が同社にとって大きな障害となっていることははっきりしている。ただ規則が改正されたとしも、ホストのうちどれくらいの部分が株式を得られるようになるかはまだ分からない。またSECの規則に抵触するような人数の契約者に対して株式による報酬を与えようと考える共有経済のスタートアップがどれほどあるのかも不明だ。

いま一つの問題はAirbinbのビジネスの国際化が進んでいる点。Airbnbの宿泊先の大部分はアメリカ国外に所在している。Airbnbでは世界190カ国の8万1000都市でビジネスを展開していると主張している。このような状態の場合、ホストがアメリカ企業の株式を受け取ることからは複雑な問題が生じる可能性がある。

そうであっても、Airbnbが同社の成功にホストの役割が決定的であると公式に文書で認めたことは積極的な方向への一歩だ。共有経済企業がこのような形で参加者との関係をポジティブな文脈で論じるのは珍しい。

現在メディアで取り上げられる議論はほとんどが共有経済の運営企業と参加者との対立だ。たとえばUberの場合が典型だが、契約ドライバーは社員ではないという連邦地裁の決定が出ている。これにより、契約ドライバーは公正労働基準法を受けないとされた。

共有経済の参加者は柔軟な働き方ができる一方で、同様の仕事をしている常勤社員が受けるような、有給休暇、超過勤務手当、健康保険など、各種の福利厚生から取り残されるという問題を生じている。こうした問題をカバーしようとするスタートアップも多数生れていいる。しかし多くの場合、福利厚生のコストは労働者が負担することになる。共有経済に参加する労働者は当初から経済的に余裕がない場合が多く、問題を複雑化させている。

〔日本版〕SECは規則701の改正を検討しており、これに関してパブリックコメントを求めていた。Airbnbの文書はこれに応えたもの。連邦証券法によれば未公開企業の株式の売買、保有には各種の制限が課せられるが、SEC規則701はその例外を定めている。未公開企業がストックオプションなどにより報酬の一部として社員に株式を付与する場合はこの条項によっている。Airbnbは契約ホストのような共有経済参加者にも適用されるよう規則の改正を求めている。

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滑川海彦@Facebook Google+

コーポレートベンチャー投資、2018年通年で増加の見通し

【編集部注】筆者Jason RowleyCrunchbase Newsでベンチャーキャピタルとテクノロジーを担当するライター

多くの企業が将来をベンチャー投資ポートフォリオにかけている。イノベーション競争でスタートアップにかなわないのであれば、ファイナンシャルパートナーとしてスタートアップとビジネスを展開すればいい。

多くのテック企業が確固たるベンチャー投資イニシアチブを持っているーAlphabetが世界展開するベンチャーファンディングや実をたくさん結んでいるIntel Capitalのスタートアップ投資などが思い浮かぶーが、他企業はたったいまベンチャー投資を倍増させつつある。

過去数カ月、いくつかの大企業がコーポレート投資に資本を追加した。たとえば、軍事企業ロッキード・マーチンは6月に自社ベンチャーグループに資本として2億ドルを追加した。アヒルで有名な保険会社Aflacはコーポレートベンチャー基金を1億ドルから2億5000万ドルに増やした。Cigna2億5000万ドルの基金を立ち上げたばかりだ。日本の通信大企業ソフトバンクが自ら280億ドル拠出している本当に巨大なVision Fundは言うまでもない。

2018年はこのままいくと、米国企業がかかわるベンチャー案件数として記録を打ち立てることになりそうだ。米国拠点のトップ100の公開企業(記事執筆時点での株式時価総額によるランクづけ)のコーポレートベンチャー投資パターンを分析し、そうした結論に至った。下のチャートはステージ別を表記した2007年からの投資アクティビティを示している。

このチャートでいくつか目を引く点がある。

これら大企業が投資するラウンドの回数は今年、このまま行けば最多を記録する。今年はまだ四半期まるまる残っている。ホリデーシーズンは例年ベンチャーの動きがややスローダウンする傾向にあるとはいえ、おそらく前年を上回るだけの十分な動きはある。

そのほかに特記すべきこととして、コーポレートインベスターの一部はシードやアーリーステージの企業に繰り返し、そしてより多く投資している。2018年のこれまでのところ、シードまたはアーリーステージのラウンドはコーポレート・ベンチャーディールフローの60%超を占めている。より投資件数が増えればこの数字はさらに大きくなるかもしれない。(特に、エンジェル、シード、シリーズA案件はレポートとして上がってくるまでにタイムラグがある)。過去数年は同様の動きだ。

また、このチャートには優良会社の過去10年のリスク対応姿勢の縮図が現れている。リスクを伴うキャピタル投資の後退を引き起こした2008年経済危機時の恐怖や不確かさが見て取れる。

危機は2008年に始まったが、株式市場は2009年まで底を打たなかった。チャートでコーポレートベンチャー投資の動きが少なくなっているところが底だ。その後経済は回復するが、安い金利で元気付けられたのだろうか。パブリックそしてプライベートの投資家にとってはわずかに膨らんで弱っただけのマーケットを引き起こしたにすぎず、我々はいま、その真っただ中にある。

従来のベンチャー企業の多くがリミテッドパートナーに保有されていた一方で、投資家ベースでは異なった年金基金、寄付、投資信託ファンド、富裕層をターゲットにしたファミリーオフィスへと少しずつ広がっている。稀な例外もあるが、コーポレートベンチャー企業の投資家は、企業そのもの1社のみだ。

たいていそれは、コーポレートベンチャー投資はその企業の戦略と方向性は同じということになる。しかし企業はまた、投資家やエンジェルが行っているように、バラエティを豊かにするという理由でスタートアップにも投資を行う。それは将来を考えてのことだ。

データに関して

この記事の目的は企業の投資活動を可能な限りつまびらかにすることだったが、言うほどに簡単なことではない。

我々はなんとも不自然なデータセットで取り組み始めた。そのデータセットとは、米国に拠点を置く公開企業で、記事執筆時点での株式時価総額ランキングトップ100の企業というものだ。それから我々は、そうした企業のネットワーク下にあるサブ組織をCrunchbase データであたった。これにより、各企業が行った直接的な投資だけでなく、企業のベンチャーファンドや他の子会社が行った投資の動きも拾うことができた。

我々がAlphabetの世界的な投資を調べるときにとった手法と同じような方法だ。Alphabetの例でいくと、Alphabetの直接の投資に加え、サブ組織に関連する投資も把握できた。今回はこの作業を1社ではなく100社分行った。

これは決してパーフェクトなアプローチではない。企業はCrunchbaseに記載されるベンチャー部隊を持つことは可能だ。しかしどうしたことか、ベンチャー部隊は親会社のサブ組織として記載されない。加えて、リストにある企業の多くが米国拠点であるにもかかわらずグローバルで存在感が大きく、そうした企業のいくつかがレポートにあがってこない海外マーケットで投資を行っているというのはあり得る。

イメージクレジット: Li-Anne Dias

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(翻訳:Mizoguchi)

史上「最高」の最悪映画である”The Room”がYouTubeで全編視聴可能になった

映画The Roomは、Plan 9 From Outer Spaceと並び立つ、史上「最高」の最悪映画とみなされてきた。いまやそれがYouTube上で全編視聴可能になった。

トミー・ウィソー(あるいはワイゾー)が脚本、監督、そして主演を努めたThe Roomは、Plan 9やCoven(1999年のドキュメンタリーAmerican Movieでその名を不滅のものにした)と同じカテゴリーに属する映画だ。すなわち映画をどのように作るべきかを全く知らない人たちによる、映画制作への讃歌なのである。

情熱と技量不足の組み合わせは、リリース後のThe Roomをカルト映画の古典にし、ジェームズ・フランコが撮影したThe Disaster Artistに、大いなるインスピレーションを与えて魅力的なものにしたのだ(Plan9の監督について描いたティム・バートンによる伝記映画エド・ウッドも素晴らしい)。

脚本、俳優、そして監督を務めたトミー・ウィソー。”The Room”より

“The Room”では、ウィソーはジョニーという名前の投資銀行家を演じ、彼の親友であるマーク(グレッグ・セステロ)と、ジョニーの婚約者であるリサ(ジュリエット・ダニエル)との奇妙な三角関係に巻き込まれる。

フランコが、彼の弟であるデイブと、セス・ローゲンを主演に据えた“The Disaster Artist”を撮影したのは、セステロによる同名の書籍(The Roomの制作過程を書いたノンフィクション)に触発されたからだった。

The Daily Dotよればセステロとウィソーは現在、彼らのデビュー作に引き続き、直接デジタル配信を行う前後編のブラックコメディ”Best F(r)iends”(Fiendというのは悪党といった意味)のプロモーションに力を入れている。

なお読者は、最高の「最悪映画」のライバルPlan 9も見たほうが良いかもしれない。こちらも今はYouTubeで視聴することができる。

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(翻訳:sako)

Polestar、打倒Teslaの初EV公開

【編集部注】Jake Brightはニューヨーク拠点のライター・作家。著書に「The Next Africa」(共著)がある。

Polestarは同社初の電気自動車(EV)を発表した。正面切ってTeslaに狙いをつけていて、ニューヨークでCEOが披露した。

ボルボ傘下のPolestarが発表したPolestar 1はプラグインハイブリッドEVだが、EVの購入を迷っている人を引きつけようと、ハイブリッドの要素は抑えめで完全EV(ガソリンはオプショナル)という位置付けだ。

15万5000ドルするこの車はー2019年に出荷が始まるー搭載する3つの電動モーターを2つの34kWhバッテリーパックとターボで動かし、スーパーチャージャー付きV4エンジンがフロント部分にくる(詳細はこちら)。

電気自動車としてのPolestar 1の航続距離は100マイル。同社によると、この数字ははハイブリッドとしては最長となる。

Polestar 1は600馬力と738ft-lbsトルクを備える。同社にとって初の製品で、2019年に完全EVのPolestar 2の公開を予定し、SUVのPolestar 3がその後に続く。

「Polestar 2はTesla社のModel 3と直接競合するだろう…」とCEOのThomas Ingenlathはお披露目ステージで語った。

IngenlathはTechCrunchに対し、今後はTeslaのマーケットシェアを奪うというより、EVへの転換を促すのに注力したいと述べた。

Ingenlathに言わせると、Polestar 1のアドバンテージは完全電気自動車に向けた入り口的な存在であることだ。「車には燃焼エンジンがなければ、と考えている人は多い」と彼は語る。「その一線を超えさせるのに、Polestar 1はかなりいい車だ。一度乗ってしまえば、電気自動車の素晴らしさに気づく」。

しかし、Polestarはガソリンと電気のコンボにこだわっているわけではない。

Ingenlathによると、Polestar 1は同社にとって最初で最後の電気とガソリンを組み合わせたハイブリッド車となる。「今後は電気自動車だ。ハイブリッド車を再びつくる気はない」とTechCrunchに語った。

ニューヨークでのPolestar 1公開では、同社は実際に販売する時のセールスとサービスについてかなりの時間を割いた。それによると、セールスとサービスにはアプリから実在店舗まで複数のチャネルがあり、いくつかの点ではボルボのディーラーネットワークの一部をレバレッジするが、他の点では完全に区別する。Ingenlathによると、Polestarは車を展示するのにディーラーを抱えたり、ボルボのディーラーを使ったりすることはないという。

車の購入体験はまず同社のアプリで始まる。その次に、米国、欧州、そして中国に展開されるる“Polestar Spaces”ネットワークが紹介され、購入者はそこで実物を見たり、テストしたりできる。車は購入者の自宅まで届けられ、修理サービスなどはアプリで予約でき、その際は自宅までピックアップに来てもらえるーただし、Polestarはサービスを行うのにボルボのディーラー(物理的スペースではない)を活用する。

「我々は年間10万台を生産するメーカーになる。この数字は必ずスケールアップするだろう」とIngenlathは語る。「我々はボルボのようになることを目指しているわけではない。ただし、収益をあげるためには必ずある程度のスケールが必要だ」。

Polestar 1は、北米のバイヤーから枠を超える200台のオーダーが入っている。

Polestarの本社はスウェーデンのヨーテボリにあるが、製造は中国・成都市で行う予定だ。

Polestarの初EVは、NHTSA(米国運輸省道路交通安全局)の安全性レーティングで最高評価を獲得したTeslaの4万9000ドル〜6万4000ドルするModel 3や、Audiが発表した7万4800ドルの電気自動車e-tron SUV(こちらのTechCrunch記事で紹介)と並ぶものとなる。

EV Volumesによると、米国の電気自動車マーケットにおいてはTeslaがメーカー別、モデル別ともに圧倒的なシェアを占めていて、Model 3で今後さらにリードを広げることが予想されている。

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(翻訳:Mizoguchi)

AmazonのAlexaは深層学習に基づきユーザーのやりたいことに関して‘勘’を働かせる

Amazonのビッグな ハードウェアイベントは、確かにハードウェア山盛りだったが、それ以外のものもあった。Amazonは、同社のバーチャルアシスタントAlexaを、人間のやることに対して、もっとお利口にし、もっと直観的な理解や判断ができるために何をしているか、を説明した。一家にたくさんのインターネットに接続されたスマートホームデバイスがあるときには、それ〔ユーザーが今何に対して何をしたいのかという直観、勘〕がとくに重要だ。

Amazonは木曜日(米国時間9/20)のイベントで、Alexa Hunchesと呼ばれる機能を発表した。この機能によりバーチャルアシスタントは、ユーザーの振る舞いに関する手がかりを知り、それに基づいて提案をする。そのためにAlexaは、ニューラルネットワークによるディープラーニングを利用して、人間の振る舞いを理解し学習する。〔hunch == ‘勘’〕

Alexaは人間の脳が対応できる判断をしなければならないし、そのためにはデータを必要とする。今のところ“Hunches”は、そんなデータが得やすいという意味で、スマートライトやセキュリティカメラのようなコネクテッドデバイスにフォーカスしている。たとえばユーザーが、“Alexaおやすみ”とか、“Alexa目ざましをセットして”と言ったら、毎日そんなコマンドを聞いているAlexaは、振る舞いに関するデータに基づいて勘を働かせる。そしてAlexaは、“ポーチのライトが点いたままだと思います。私が消しましょうか?”、と答えるかもしれない。

ずっとこの勘機能をテストしてきたAmazonは、機能のローンチを今年の終わりごろと予定している。勘機能は、時間とともに学習し改良されていく。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LimeのスクーターのライダーがワシントンD.C.で今月二人目の死亡事故に遭う

生後18か月のサンフランシスコのスタートアップLimeは、今やその明るいグリーンの自転車やスクーターがアメリカ中の都市に広まっている。今日(米国時間9/11)はタコマとワシントンでパイロット事業を立ち上げたが、でもその小さな勝利は、短命と感じられたかもしれない。その理由は、この国の反対側〔イーストコースト〕で今日、Limeのライダーが、ワシントンD.C.のDuPont界隈を乗り回しているとき、一台のSUVに殺されたからだ。地元の消防署が救助時のビデオをビデオをシェアしたが、被害者の成人男性を車の下からひきずり出さなくてはならなかった。

それは、知られているかぎり同社にとって二度目の死亡事故で、今月初めにはダラスで、24歳のテキサス州の男性が自分が乗ってるスクーターから落ち、頭を強打して死亡した。

ある面でそれらの事故は、不運だったとはいえ、現状のライダーやe-スクーターの劣悪な脆弱性があるかぎり、誰にとっても意外ではないはずだ。e-スクーターの利用は増えていて、LimeとそのL.A.のライバルBirdは今週、彼らの顧客が1000万を超えた、と発表した。しかしそれと同時に、各都市はからと、歩行者の事故防止のために歩道での使用を禁止している。そこでライダーたちは、彼らがいずれ徐々に追い払いたいと願っていたものと同じタイプの、巨大で排気ガスを吐きまくるマシンと、街路を共有することになった。ところが、追い払うどころか、SUVの売上台数は、失業の減少と製品に対する消費者の高い信頼、そしてアメリカ人の心から消えることのない巨大な乗り物への愛が相まって、どんどん増え続けている

e-スクーターの企業とその投資家たちが前から言っている解決策は、専用レーンを設けることだ。Birdは、自転車とスクーターの安全を確保するインフラストラクチャを作るためのファンドまで創設している。

ヘルメットの着用義務も有効と思うが、カリフォルニア州は反対している。水曜日(米国時間9/19)にJerry Brown知事は、電動スクーターに乗る〔年齢18歳以上の〕カリフォルニア州民は1月1日よりヘルメット着用を義務付けられない、という法案 に署名した。

この法案はBirdがスポンサーだ、と報じられている。

画像クレジット: Lime

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

トランプの新しいサイバー戦略で政府がサイバー兵器を使いやすくなる

今週出たトランプ政権の新しいサイバー戦略は、これまで検討されていた方針の寄せ集めにすぎない。

その40ページの文書で政府は、サイバーセキュリティーの向上、変化の促進、そしてコンピューターのハッキングに関する法改正の計画を述べている。選挙のセキュリティについては、ほぼ1/4ページで、“宇宙のサイバーセキュリティー”の次に短い。

変わったのは語調だ。アメリカを攻撃する人物や国に対する軍事攻勢の言及はないが、その行為に対する結果が課せられる(imposition of consequences)という、反撃を意味する遠回しな言い方が何度も使われている。

国家安全顧問John Boltonは、記者たちにこう述べている: “大統領の指示はこれまでの抑制を逆転して、実質的に、関連部門からの攻撃的なサイバー作戦を可能にするものだ”。

“われわれの手は、オバマ政権のときのように縛られていない”、とBoltonは前政権を暗に批判した。

古い政策や原則の焼き直し以上に大きな変化は、オバマ時代の大統領指令PPD-20の破棄だ。それは、政府のサイバー武装に制約を課していた。それらの機密規則は1か月前に削除された、とWall Street Journalが報じている。そのときの説明では、現政権の方針として、“攻撃の最優先”(offensive step forward)という言葉が使われた。

言い換えるとそれは、サイバー攻撃の実行者とみなされたターゲットに反撃する、より大きな権限を政府に与える。近年、アメリカに対するサイバー攻撃が疑われているのは、ロシア北朝鮮、そしてイランだ。

現実世界であれ、サイバー空間であれ、軍事的アクションの脅威を強調し、力の使用を掲げるレトリックはどれも、緊張を高めるとして批判されてきた。しかし今回は、誰もそれを嫌わない。トランプ政権の熱烈な批判者であるMark Warner上院議員ですら、新しいサイバー戦略には“重要かつ、すでに確立しているサイバーセキュリティの優先事項が含まれている”、と言っている。

北朝鮮によるWannaCryの使用や、ロシアの偽情報キャンペーンなど最近の脅威に対してオバマ政権は、対応が遅くて腰が引けている、と批判されてきた。しかし前政権の職員たちの一部は、外国のサイバー攻撃に対する積極的な対応を阻害してきたものは政策ではなく、各省庁に有効な対応を講じる能力がないことだ、と反論している。

前政権でサイバー政策の長官だったKate Charletは、“彼らの大げさなレトリックも、それが作戦のエスカレーションを意味しているのでないかぎり、許される”、と言う。

彼女は曰く: “私が痛いほど感じるのは、各省庁レベルにたまっているフラストレーションだ。彼らは自分たちが、サイバー空間において自分たちの組織とアメリカを守るためのアクションが取れないことに、苛立っている。そのときから私が心配していたのは、振り子が逆の極端な方向へ振れることだ。そうなると粗雑な作戦のリスクが増え、鋭敏で繊細な感受性どころか、フラストレーションがさらに増すだけだろう”。

トランプの新しいサイバー戦略は、語調が変わったとはいえ、レトリックを積み重ねているだけであり、政府が一夜にして突然、好戦的になったわけではない。より強力な反撃ができるようになったとはいえ、本来の目的である抑止力として十分機能すれば、実際に反撃をする機会もないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

無名の作家や映画監督を発掘してハリウッドに送り込むスタートアップたちのエンターテインメント改革

5月11日、Netflixはアメリカ全国で学年末を迎える十代の若者向けに、コメディードラマ『The Kissing Booth』を公開した。

6月までに、このドラマは若い十代から思春期層の若者の間で大ヒットとなったのだが、その権利を所有する企業Wattpadは、世界初の画期的なシステムを備えていた。Wattpadの出版プラットフォームにBeth Reeklesが書き下ろしたこのドラマによって、同社の宣伝文句のとおり、このプラットフォームが、エンターテインメント業界のシナリオや才能を発掘する方法に新たな方向性を与えるものであることが実証されたのだ。

Netflix’s latest hit ‘The Kissing Booth’ is a Wattpad success story


Netflixの最新ヒットドラマ『The Kissing Booth』はWattpadのサクセスストーリー(本文は英語)

この映画の成功の陰には、夢の工場ハリウッドの扉を開こうとする、いくつもの若いスタートアップによる動きがあった。創作活動を行う大勢のプロたちを、二次創作やユーザーが制作したコンテンツの波に乗せて、パラマウントの撮影所(またはディズニーの撮影所やソニースタジオ)まで運ぼうというものだ。

「エンターテインメント業界が明らかに行き詰まっているこの時期に、物語を探し出す方法が進化しているのです」とWattpad Studioの責任者、Aron Levitzは話す。

YouTubeも(Vineアプリは短命に終わったが)Instagramも、潜在的な才能発掘のためのプラットフォームを開発した。AmazonAppleFacebook、(ここでも)Instagram、Netflix、(そしてまた)YouTubeは、テレビと映画の配給システムを粉砕したが、トップを狙うこれらのプラットフォームも従来型のスタジオも、シナリオの不足に苦しんでいる。だが(その多くは)、ヒットする確証が持てない作品に何百万ドルもの予算をつぎ込む勇気がない。

ハリウッドは、大衆を楽しませようと、他のメディアからアイデアを拝借(または盗用)してきたが、その新しい話を採取しにゆく場所は、連続物の畑に限定されている。つまり、漫画、昔のテレビ番組や映画、大ヒットした若年成人向けの物語などだ。

たしかに、そこには無数の花が咲いているが、新しい技術を有する企業は、別の畑にも新しい才能が花開いていることを知っている。それを活用すれば、企業は潤い、観客も喜ぶはずだ。

WattpadやTongal(監督とカメラマン向け)や、Legion Mのような制作向けの資金調達プラットフォームは、新しい才能を引っ張り上げて、NetflixやAppleといった成功した新しいプログラムやプラットフォーム、さらには、ますます細分化するメディアの世界で注目を集めたい何百ものネットワークに固定客を増やすため、企業が望むものを与えようとしている。

しかし、これまではなかなかうまく運ばなかった。およそ10年前、Tongalが創設されたころ、エンターテインメント業界は、今とはまったく違っていた。

10年前、Netflixは、DVDの購読者がストリーミング動画も見られるようにした。そのほとんどは、制作会社やスタジオがすでに大儲けした古い映画や全国配信されたテレビ番組だ。これが、競争が激化しつつあったクリエイティブな業界での、才能の囲い込みと観客争奪のレースの火蓋を切った。新規参入者は、毎回、新しいレースに参加することとなった。

その当時、Tongalは新しい才能を発掘するためのメカニズムであり、ユーザーが制作したコンテンツの中で気に入ったものを有名ブランドに有料で提供していた。そして同社は、Insight Venture Partnersから1500万ドル(約16億8000万円)を調達し、ソーシャルメディアの人気の高まりを利用して、口コミで話題になりそうな動画を有名ブランド向けに制作するようになった。

Tongal Raises $15M For Platform That Lets Anyone Compete To Make Branded Video Campaigns


誰もが有名ブランドのキャンペーン動画を作れるプラットフォームにTongalが1500万ドルを調達(本文は英語)

Tongalは今でもユーザーが制作したコンテンツを元に制作を行なっているが、昔と違うのは、そうした動画や作家が何百万ドルも稼げるようになったことだ。そして、ファンに力を与え、刺激し、新しいタイトルに、より直接的に、より頻繁に関われるようにする能力を備えたことだ。同時にTongalは、制作スタジオに幅広い才能を紹介するショーウインドウの役割も果たしている。

このプラットフォームで作品を作ったTucker Barrieは、アイムスのためのソーシャルメディア用短編動画などを作っていたが、映画『犬ヶ島』のようなプロジェクトのアニメーターとして活躍するまでになった。「Tongalは、経験の少ない人たちが経験を積んで、名前を売るためのいい場所です」とBarrieは話している。

昨年、Tongalは、『WILD After Dark』という番組の制作でナショナル ジオグラフィックと契約を結んだ。これは、ナショナル ジオグラフィックWILDシリーズでは初めての深夜帯の番組で、Tongalプラットフォームのメンバーが制作した動物に関する短編作品が放映されることになっている。作品公募は2月から始まった。

最近では、TongalはWattpadと提携し、そのクリエイターのネットワークを通じて、WattpadがヒットさせたSFスリラー『Expiration Date』のトリートメントの募集を開始した。7月、Tongalは映像作家に募集をかけ、そこから3組をWattpadが選出する。それらの作家には予算が与えられ、概念実証のためのシリーズのトレーラーを制作することになる。

その後、WattpadとTongal、そして配信パートナーであるSYSYとで最優秀者を選び、デジタルでパイロット・エピソードを制作する予算を提供する。それには、SYFY.comが、「ファン・クリエイターズ・プログラム」の一貫として、全シリーズを制作するチャンスも含まれている。

「TongalとWattpadとの提携は、私たちの才能ある人たちのためのオープンなプラットフォームを通じて、どのように、誰がコンテンツを作るのかを変革することで、ハリウッドの脚本のページをめくることになります」と、Tongalの共同創設者で社長のJames DeJulioは、当時の声明で語っていた。「これらの新しい世界的なコミュニティーは、多様で情熱的な作家たちによって構成されています。実際に今、彼らは自分が見たい番組を作っています。この革新的で、ファンによるファンのための転換のために、SYFY.comが扉を開いてくれたことを、本当に嬉しく思います」

これは、ひとつのネットワークのためのプロジェクトでの、TongalとWattpadとの2回目のコラボとなる。どちらの企業も、片や映像面に、片やストーリー面にフォーカスした番組制作のためのクリエイティブなプラットフォームを提供していることで親和性がある。また同様にCW Seedでの放映を巡って競い合い、Wattpadのもうひとつの人気ドラマ『Cupid’s Match』(ネタバレ情報:あんまり面白くない)の制作でも競い合っていた。

 

「これは、WattpadとWattpad Studioの偉大なるひとつの証です」とWattpad Studioの責任者、Levitzは2月のインタビューで話していた。「私たちが、公に、力強く話すことができたのは、これが初めてだと思います」

Wattpadでは、『Cupid’s Match』が320万readを記録し、その口コミによる人気の広がりにCW Networkが興味を示した。「私たちは視聴者の力を活かして、CWのような企業に放映したいと思わせることができました」とLevitzは言う。「私たちのプラットフォームには4億本の話があります。私たちは、私たちのデータ、私たちの視聴者、そして私たちの話を見て、そのデータを使って、適切なパートナーに適切な物語を提供できるのです」

パートナーも揃いつつある。Sony Pictures TelevisionはWattpadの『Death is my BFF』の権利を購入した。Huluは『Light as a Feather』の発注契約にサインした。TurnerUniversal Cable Productions(NBCUniversalの一部門)、eOneParamount Picturesといったスタジオやネットワークも、Wattpadとの共同制作の契約を結んでいる。

Tongalと同様、Wattpadもまた、ハリウッドのプレイヤーになるための回り道をしている。Wattpadは、に二次創作や古典作品の電子書籍コミュニティーの運営者としてスタートした。やがて、二次創作の市場が大きく成長し、エンジェル投資家のコンソーシアムから資金を調達してトロントに本拠地を構えた同社は、今年の初めには、中国のインターネット大手Tencentを含む投資家コンソーシアムから5100万ドル(約57億円)の資金を得るまでになった。Tencent(とそのパートナーであるスタジオ)は、Wattpadの月間6000万人というユーザー数に惹かれたようだ。

Wattpad’s storytelling app, now with 60M monthly users, adds a subscription service


Wattpadの物語制作アプリは6000万ユーザーを獲得し、購読サービスを追加(本文は英語)

二次創作が映画業界にもたらす影響力は数億ドル規模になるという信念は、『フィフティー・シェイズ』の成功が根拠になっている。Twilightの二次創作から派生したこのベストセラー本は、1億5000万ドル(約168億円)という驚異的な価格で3部作の映画化権が売られた。

シリーズ最終作品が公開された時点で、興行成績はすでに10億ドル(約1120億円)を超える勢いだった。

この10年間、ハリウッドは巨額な権利の購入とファン主導による原作の提供に依存して、劇場やインターネットで大きな数字を生み出してきたとDeJulioは言う。

「ファンは、そうした権利の購入に必要不可欠なものです」とDeJulioは話す。「今は非常に奇妙な時代です。……マーケティングに多額の資金がかかり、それがいろいろな意味でエンターテインメントの自由を奪っています」

DeJulioは、Tongalを、一人の人間が他の人に影響を与え支援できるプラットフォームだと見ている。

「スタジオは、一度ヒットを出すと、ファンのコミュニティーを通して、また彼らと関わることで、宣伝ができるだけでなく、仕事(新しいコンテンツの制作)もできることに気がつくのです」とDeJulioは話す。

米カリフォルニア州ロサンゼルス、マウント・リーのハリウッドヒルズ

もしWattpadとTongalが、彼らのユーザーのネットワークを使って才能を発掘し伸ばすことができるなら、Legion Mは、そのジャンル化されたコンテンツのユーザー・ネットワークを利用して、新しい作品制作に資金を出したいと考えている。

この制作スタジオのスタートアップは、2回にわたる株式投資型クラウドファンディングで300万ドル(約3億3600万円)を調達し、『シンクロナイズドモンスター』アン・ハサウェー、ジェイソン・サダイキス主演)とニコラス・ケイジの新作で、すでにカルトの名作と謳われている『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』といった人気のインディー映画で大きな報酬を手にしてる。同社の資金調達キャンペーンを支援した株主に配当がある限りは、その行き先は不透明だ。とくに、同社のプロジェクト『バッド・サマリタン』(新バージョンの『ドクター・フー』で人気のデイビッド・テナント主演)が酷評されて以来、わからなくなっている。

インターネット企業をいくつも立ち上げたPaul ScanlanとJeff Annisonが創設し、オースティンに本社を置く劇場チェーンAlamo Drafthouseなどのパートナーの援助を受けているLegion Mの目標は、制作プロジェクトに投資してくれるファンを100万人集めることだ。

セールスとマーケティングにファンの力を借りて、すでに十分な固定客がある作品を世に送り出すことで利益を得る、というのが彼らの考えだ。

「エンターテインメント企業はファンが所有するほうが、ウォール・ストリートに所有されるよりいいと私たちは信じています」と、Legion Mの新しいクラウドファンディング・キャンペーンの発表声明の中で、共同創設者でCEOのPaul Scanlanは話している。

Legion Mが提携するプロジェクトには、実際の投資よりも、ファンとの関わり合いを基本にした活動が多いものがある。事実、同社は大ヒットした『シンクロナイズドモンスター』の制作会社とはなっておらず、ファンのネットワークを使ってマーケティングを支援していると、インタビューの中で監督が話していた。

ScanlanとAnnisonは、モバイル機器向けの初期のストリーム配信技術を開発したMobiTVを創設している。その後、New York Rock Exchangeを立ち上げた。好きな歌の流動性のない株式をファンが購入できるようにする企業だ。これは投げ銭のようなものだ。購入したものに実際の価値はないため、相場の上昇もなければ、法律的に面倒なこともない。

Rock Exchangeとは違い、平均的な投資家は、この2人の共同創設者が米証券取引委員会の新しいクラウドファンディングに関する規制に従って、クラウドファンディングで提供する実株を買っている。そして彼らは、商業的に競争力のあるコンテンツを作り出す力が、これまでになくファンや消費者に備わっているという説に頼ろうとしている。

こうした努力を行なっているのは、Wattpad、Tongal、Legion Mだけではない。Seed&SparkCoverflyThe Black Listといった企業も、新しいアーティストやクリエイターを掘り出して、エンターテインメント業界の発展に貢献しようと頑張っている。資金面においては、MovieCoin(新しい映画を制作するためのトークン化された資金提供手段の先行販売を始めたところ)やTaTaTuのような新しい暗号化通貨が、映画好きの人々に、もうひとつの(理想的にはより透明化された)映画への資金提供の方法を与えたいと考えている。

「ハリウッドは、エンターテインメント業界に参入しよとする者には難しい場所です。コンテンツ制作と投資のプロセスを通して知ったことは、どのプロジェクトも観客を求めているということです」と、AnnisonはThe Niner Times(ノースカロライナ大学シャーロット校の校内新聞)のインタビューに応えて話していた。

「ハリウッドは、踏み込もうとするにはあまりにも大きな世界です。巨大な企業と一緒にやっていくには制約があります。本質的に、ウケ狙いなのです。映画作りの芸術面と、エンターテインメントのビジネス面との間には、はっきりと線が引かれています。そのため、とっても歩きにくい街になっています」

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(翻訳:金井哲夫)

 

WayRayのホログラフィックAR HUDにポルシェなど自動車メーカーが800万ドルを投資

巨大にして古い体質を引きずる自動車産業は、次世代の自動車技術を開発してもらおうと、革新的なスタートアップに望みと夢を託してきた。そのいちばん新しい物語のページが、先日(9月18日)、開かれた。チューリッヒに本社を置くホログラフィーを使った拡張現実技術(AR)とハードウエア(運転者の視界に映像を投影するヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)に使われる)を開発する企業WayRayが、ポルシェが主導するシリーズC投資として800万ドル(約9億円)の資金を調達した。これには、現代自動車、以前から同社に投資を行っているアリババ・グループ、招商局集団、JVCケンウッド、さらに政府系ファンドも加わっている。

WayRayは、この資金の使い道として、来年を目処に自動車メーカーにディスプレイ技術をOEM供給すること、長期的には、建築用の窓のような自動車用以外のディスプレイを開発する計画を示している。

WayRayは設立から約5年になる。製品は広く紹介されているものの、まだプロトタイプの段階に留まっている。しかし、その評価額は非常に高い。WayRayに近い情報筋によると、現在の評価額は5億ドル(約560億円)にのぼる。だが、WayRayの創設者でCEOのVitaly Ponomarevは、来年に予定されている製品の出荷が始まれば、その額は2倍になるだろうとインタビューで話している。

「私たちの製品の寿命はとても長いものです」とPonomarevは言う。「私たちは今、自動車業界への部品の認定供給業者になろうとしてるところですが、それには時間がかかります。来年にはティアツーサプライヤーになることを目指しています。年が開けるとすぐに契約が結ばれ、私たちの評価額に影響してくるはずです」。さらに彼は、すでに「すべての大手自動車メーカー」と接触していると話していた。

(資金に関して付け加えるならば、同社は公式には1億1000万ドル(約124億円)を調達していることになっているが、我々の情報筋によると、非公式に1億4000万ドル(約157億円)を、今は支援していることを伏せておきたい投資家から受け取っているという)

自動車用のHUDの市場価値は、昨年の時点で5億6000万ドル(約630億円)と見積もられていたが、2023年までには10億ドル(約1120億円)を超える見通しだ。WayRayのような企業は、コンチネンタルやパナソニックといった企業と頭を付き合わせて、彼らの要求に応えるシステムを作ることになる。これには2つの役割がある。ひとつは、運転者のアシスト。もうひとつは、乗客(または自動運転車の運転席に座る人)に情報や娯楽を提供することだ。

Ponomarevは、2週間以内に、それらのケースに対応するアプリ開発用のSDKを発表すると話している。

企業としてのWayRayは、AIに強く、とくにコンピュータービジョンと車内の安全システムの技術に優れた2つの国にまたがっている。WayRayの研究開発の大部分を占め、最初の(プロトタイプ用の)工場が置かれたのはロシアのモスクワだ。もうひとつの拠点が、現在はスイスのチューリッヒにある。最近までローザンヌにあったのだが、ドイツの国境に近く、複数の自動車メーカーが拠点を置いているチューリッヒに移転した。WayRayは、製品を製造する最初の工場をドイツに構える予定もある。2番目の工場は上海に作られる。現在、上海には営業所があるだけだ。

TecCrunchでは、今年のCES会場でWayRayを見つけて、その技術について簡単な記事を紹介したが、その画像の鮮明さや広さは、HUDの可能性を信じる私たちを勇気付けるものだった。すでにいくつものHUDメーカーが製品を販売しているが、言わせてもらえば、NavdyiScoutなど残念なものが多い。 しかしWayRayは、そうした多くのメーカーとはアプローチの角度が違う。反射式画面や埋め込み型ディスプレイではなく、ホログラフィックAR技術に特化している。

それにより、同社の専門はソフトウエアのみならず、最新のレーザー技術や材料科学(新しいポリマーを開発している)にまで広がったとPonomarevは話す。ホログラフィックHUDを研究している企業はWayRayだけではないが、WayRayがもっとも進んでいると彼は信じている。「特許の面から言えば、私たちが世界でナンバーワンです」と彼は言う。このシステムは、現在作られているものに比べて、20分の1のサイズにまで小さくできる可能性がある。

WayRayは、現在、埋め込み型のHUDシステム、つまり車両に組み込むための技術とハードウエアにフォーカスしているが、それは最近になってからのことだ。今年の初めまで、ユーザーが自分で買って好きな車両に取り付けられる、後付け型のハードウエアも同時に開発していた。

後付け型ハードウエアの問題点は、基本の技術がかならずしも同じでなくても、過激な競争になることだ。「中国など、世界中の何十社もの企業が参入して、後付けHUDビジネスを破壊してしまいます」とPonomarevは言う。「理由は単純です。中身に(独自の)技術がないからです」

後付けハードウエアのもうひとつの問題点は、販売チャンネルを作らなければならないことだ。

「小売りチェーンを通ることで、大きなマージンが取られてしまいます」と彼は言う。「しかし、OEMチャンネルに競争相手がひとつもなかったなら」……これはWayRayが主張する現在の状況だが……「それは金の鉱脈です。顧客は、一緒に仕事ができる時間が作れるまで、私たちのことを列を作って待っていてくれます。敷居が高い(一から始めて新しい技術分野を切り開き自動車産業に参入する)のが難しいところですが、良い面がとても大きく広がっているので、私たちは後付け型から埋め込み型に切り替えました。私たちは、それに相応しい技術を持っています」

それでも、WayRayが成功を実感できるようになるまでには、乗り越えなければならないハードルがある。自動車の内装には物理的にさまざまな違いがあり、それによってホログラフィック・ディスプレイの挙動は変わる。それに、本体はできるだけ小さく、映像はできるだけ大きく映し出すというハードウエアの開発には、つねにその2つの駆け引きによる緊張が付きまとう。

もうひとつ、その車種に、これを受け入れる準備ができているかどうかを考慮する必要がある。高度なドライブシステムや複数のセンサーなどを備えた車種なら、WayRayのシステムから出力される映像のレンダリングが高速に処理されるだろうが、そうではない車種では、WayRayのシステム自身が必要なデータを収集する方法から考えなければならない。それには、より複雑で高価な技術が必要になる。

しかし、そうした困難な問題に取り組んだとしても、見返りは大きい。

ポルシェは、WayRayの技術を、単に運転車のアシストに使ったり、すでに高い性能を有する車のオマケにするだけでなく、いずれはもっと多くのサービスを提供したいと考えている。たとえば、アリババを使った電子商取引だ。

「私たちが手を組むことで、お客様がポルシェに期待している基準での顧客ソリューションを提供できるようになると確信しています」と広報担当者は話している。

「WayRayは、宇宙工学、ハードウエアとソフトウエア開発といったしっかりとした経歴を持つユニークな専門家集団です」と、ポルシェの取締役会副会長であり財務IT担当取締役員のLutz Meschkeは、声明の中で述べている。「彼らの革新的なアイデアと製品には、非常に大きな可能性があります。これを基に、私たちはカスタマイズされたポルシェのソリューションをお客様に提示できるようになります。だからこそ、私たちはこの戦略的な投資を決断したのです」

また、長期的にその技術の応用に対する投資も拡大している。

「WayRayは、ホログラフィックARディスプレイ・システムのハードウエア開発、ソフトウエア開発の両方において、卓越した専門性を有しています」と現代自動車グループの最高イノベーション責任者であり執行副社長の池永朝(ヨンチョウ・チ)博士は声明の中で話している。「現代とWayRayの協力により、私たちはAR技術を利用した、まったく新しいエコシステムを確立し、ナビゲーション・システムの強化だけでなく、スマートシティーやスマートビルディングのためのARプラットフォームも構築することになります。それは、現代自動車グループは新事業でもあり、将来的に、私たちの車を運転されるお客様に、革新的な顧客エクスペリエンスを提供します」

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(翻訳:金井哲夫)

Twitterのバグで一部のダイレクトメッセージがサードパーティのデベロッパーへ誤送された

Twitterによると、ある“バグ”が、ユーザーのプライベートなダイレクトメッセージを、“それらを受け取る権限のない”サードパーティデベロッパーに送っていた。

このソーシャルメディア大手は金曜日(米国時間9/21)に、そのアプリ内でメッセージが露呈された可能性に関する警報を開始した。

“この問題は2017年5月から存続していたが、われわれは発見後すぐにそれを解決した”、とMashableの記者がTwitterにポストした、Twitterの警報メッセージが言っている。それによると、“この問題に対するわれわれの調査はまだ継続中であるが、現時点では、権限のないデベロッパーへ送られた何らかのデータが悪用されたと信ずべき理由はない”そうだ。

Twitterのスポークスパーソンは本誌TechCrunchに、何らかの通信が不正なデベロッパーに送られたことは“到底ありえない”、と述べたが、でも多くのユーザーに警報が送られている:

[私のDMが1年以上も送られていたのね??]

そのバグに関するTwitterの注記によれば、被害を受けたのは航空会社やデリバリーサービスなど、企業へ送られたメッセージのみだそうだ。Twitterによると、調査で判明したのは、“この問題が起き得たのは、ある特定の技術的情況においてのみ”、だという。

バグが見つかったのは9月10日だが、ユーザーへの報告はそれから2週間近く経ってからだ。

“あなたのアカウントがこのバグの影響を受けていたら、われわれはアプリ内通知とtwitter.com上で直接あなたにコンタクトする”、とも言っている。

同社によると、被害者はTwitterのユーザーの1%に満たない、という。最新の決算報告によると、同社のユーザー数は3億3500万人だ。

上の警報メッセージは、“あなたからのアクションは何も必要ない”、と言っている。

それは、今年二度目のデータ関連のバグだ。5月には、同社は誤ってその内部的ログに、ユーザーのパスワードをプレーンテキストで記録した、と述べた。Twitterはユーザーに、パスワードを変えるよう促した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa