Google Street ViewのライバルMapilleryは、Amazonと協力して3億5000万枚の画像DBからテキストを読み込んでいる

スウェーデンのスタートアップMapillaryは、クラウドソーシングによるストリート映像を使うことで、Googleやその他の企業たちに世界の地図化で対抗することを狙う企業だ。そのMapillaryがこのたび、そのプラットホームの開発の中で興味深い一歩を踏み出した。同社は現在、Amazonと協力し、特にそのRekognition APIを使って、Mapillaryの3億5000万枚の画像データの中から、テキストを検出し読み込もうとしている。

新機能の最初のアプリケーションは、米国の大都市(まだどの都市かは発表されていない)で使えるもので、路上のパーキングサイン(路上駐車の条件を表す標識)から「読み取れる」情報を用いて、パーキングアプリを開発する予定だ。

 

「路上駐車はとても関心が高く、路上駐車情報はMapillaryを使う人たちがもっとも求めているデータの1つなのです」と語るのはスウェーデンのマルモに拠点を置くMapillaryの、CEO兼共同創業者であるJan Erik Solemだ。彼は、路上駐車アプリは最初のアプリケーションであり、他の都市にも採用されることも期待されるが、やがてMapillaryの画像の中から読み取れるテキストとのマッチングを行う他のアプリケーションが登場するだろうと語った。それによって特定の場所の正確な緯度と経度をピンポイントで指定することが可能になる。「路上駐車は現代の都市における最大の問題の1つですので、私たちは米国のパーキングサインの読み取りから始めました。とはいえテキスト認識は多くの異なるタイプのオブジェクトや画像に適用することが可能です、例えばビルの正面など」。

都市が路上駐車の状況をしっかりと把握していないというのは奇妙に思えるかもしれないが、実際にこれはよくあることなのだ。Solemによれば、多くの都市は路上駐車規制を表すアナログ地図を持つだけのことが一般的で、大部分の都市ではデジタル化されていない。そのことが意味することは、もし都市が新しいサービス(特に路上駐車料金もしくは路上駐車違反の罰金から収益を得るためのサービス)を構築しようとしたり、あるいはもっと沢山の路上駐車スペースが必要か否かを考慮しようとした時に、それを検討するためのデータセットを持っていないということだ。

Mapillaryは、路上駐車問題は米国内の合計で730億ドルのコストがかかっているという調査結果を引用した、おそらくそれは人びとが超過駐車の罰金として払うものだけでなく、駐車場所を探すのに浪費するガソリンなども含んでいる。しかしおそらく超過駐車を誰も気がつかないことによって失われる収益もあるだろう。

注目されるのは、MapillaryがそのRekognition APIの利用を、Amazonとの「コラボレーション」であると表現していることだ。私はこの表現の意味について尋ねたが、彼はこの件に関しては私とはあまり「コラボレーション」してくれなかった。

「Amazonが何をしているのか、何故そうするのかについてのコメントはできません」と彼は言う。「それを発表の一部に取り込むことができれば良かったのですが、今回は見送りになりました」。どうやら両社はここしばらく共同作業をしているようだが、それらは全てNDA(秘密保持契約)の下で行われているらしい。

Amazonは多くのことを地図の世界で行って来ている。しかしそれはサードパーティへのデータ提供か、あるいは自身のサービス向けの用途である。まず第一に、Amazonは強力な物流組織であり、そうである理由の一部はもちろん、マーケットプレイスで売買される商品を、集荷し配送配達するための最適な手段を発見する、インテリジェントな地域経路決定を行うことにある。

しかし、それは地図と場所がAmazonで使われる方法の一部に過ぎない。同社はHereの地図を使用しており、一時はその地図作成会社を買収することに関心があると噂されていた。一方、Amazonは、同社のデバイス向けに位置サービスを利用するアプリを開発したい開発者たちのために、Googleのものに似たマッピングAPIを開発した(その過程では他のマッピング関連特許と技術者の獲得も行われた)。

現時点では、それが主に意味することは、Fireタブレットと急増するEchoデバイスバリエーション向けのアプリを開発することだ。しかしAmazonはまた別の種類のハードウェアにも大いに注力している、例えばコネクテッドカーなどだ。

1月にはトヨタが、Alexaを統合するためにAmazonと協力していることを発表した。それとは別にAmazonは自動運転車のエリアの特許も取得し続けている。

言い換えれば、Google Mapsの実用的な代替物をストリートレベルの画像で提供するMapillaryのような会社に、明らかなチャンスがあると言うことだ。特に周囲の情報をインデックスして提供し、A地点からB地点までのもっとも効率の良い経路を算出するこうしたサービスで、Amazonの強力なパートナーとして働く可能性がある。

そしてこれは補足だが、他の人工知能プラットホーム同様に、Rekognitionもアプリケーションの中で使われるたびに学習を行う。AmazonはMapillaryとの協力を通して、路上の標識から、それは何を言っているのか、それが設置されているのはどこかといった、より詳細なデータを集めることになる。

Mapillary自身については、私自身もずっと興味深いスタートアップだと考えて来た。Solemはコンピュータビジョンの専門家で、以前経営していた顔認識スタートアップのPolar RoseをAppleに売却している。そして彼の現在のベンチャーはこれまでに2450万ドルを調達しているが、投資しているのはSequoiaAtomico、Navinfo、BMWとSamsungなどである。現在は潜在的な顧客たちとの関係を深めている最中だ。

そうした顧客の1つに、AmazonのマッピングプロバイダであるHereも含まれている。その他の企業はNDAのため公表されていない。彼らは一緒に、Mapillaryの画像をそのより広範なデータベースのために投入している最中だ。Solemによれば3億5000万枚の画像の80パーセントはWazeのように個人から投稿された物であると言う。「誰もが何らかの問題を解決したいと思っているか、あるいは世界の地図を修正したいと言う希望を持っているようです」と彼は言った。

テキスト認識とその読み込みは現在Mapillaryが取り組んでいる問題の1つだが、次の段階は、人びとがより多くの画像を、より自動的に取り込む支援を行うことになるだろう。「次の開発サイクルの私たちの製品は、人びとが対象をカバーし尽くす手助けをします」とSolemは語ったが、それ以上の詳細な説明は行わなかった。「私たちが開発しているのは、キャプチャタスクを展開するためのツールです」。

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(翻訳:sako)

画像クレジット: Ken Hawkins / Flickr under a CC BY 2.0 license.

カリフォルニア州がPlanetの協力の下に汚染を観測する独自の衛星を打ち上げる

カリフォルニア州は、州内の汚染を監視し、気候科学に貢献する衛星を打ち上げる予定だ。本日(米国時間9月14日)知事のJerry Brownが発表した。同州は衛星画像提供者会社であるPlanetと提携して、「かつてない精度と規模で、有害汚染物質の排出を特定し、そして停止させるための」独自の衛星を作り出す。

Brown知事は、サンフランシスコで開催されたGlobal Climate Action Summit(地球気候行動サミット)の閉会挨拶で、2年前に米国地球物理学連合の2016年の会議でも科学者たちに約束したことを繰り返した。

「科学はいまだに攻撃を受けており、気候の脅威は強まるばかりです、私たち自身の凄い衛星を打ち上げます」とBrownは語った。

その衛星を開発し運用する予定なのは、実質的に地球上のあらゆる場所の画像をほぼリアルタイムに提供するために、過去数年の間に数百機の衛星を打ち上げたPlanetである。計画では、衛星は汚染の発生源(人為的あるいは自然のものかは問わない)を特定できるセンサーを搭載する予定だ。そのような直接観察によって直接的な行動が可能となる。

衛星の技術的な詳細は、プロジェクトの内容が固まる過程で発表される予定だ。おそらく、特定のガスや微粒子の検出に重点を置いた機器を搭載した、6U CubeSatのようなものが期待できるだろう。衛星の軌道は、南北の軸に沿って州全体を横切るものになることが予想される。一箇所に留まる1機だけではおそらく十分な範囲をカバーできないだろう。すなわち、複数の衛星の可能性もあるということだ。

「これらの衛星技術は、私たちの問題解決能力を拡大する環境イノベーションの新時代の一部です」こう語るのはEnvironmental Defense Fund(EDF)のFred Kruppだ。「それらが直接、汚染排出を止めるわけではありませんが、目に見えない汚染を可視化し、私たちの健康や、環境、そして経済を守るために必要な、透明で対応可能なデータを生成してくれます」。

EDFは、その目的のために独自の衛星(MethaneSAT)を打ち上げているが、さまざまなプラットホームからのデータが広くアクセス可能になるように、カリフォルニア州と協力してshared Climate Data Partnership(共有気候データパートナーシップ)の創設も行う予定だ。

計画が公表された今、より多くのパートナーたちが参加することが期待されているが、現時点ではプレスリリースに挙げられている名前はなく、これに関するPlanetへの質問にも回答は得られていない。資金調達もまだ未解決の状況だ。

この手のものには時間がかかるので、実際の打ち上げはまだ先だが、Planet自身に比較的短期間で設計と打ち上げを行う能力があることは既に証明されている。実際同社は、サンフランシスコに、新しい衛星たちを生み出すための新しい専用施設をオープンしたばかりだ。

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(翻訳:sako)

Amazon第2本社建設都市、年内発表へ

Amazon第2本社の建設について、このところ情報がなかった。今年初めにこのオンライン小売大企業は第2本社建設候補地を20都市に絞り込んだが、それ以降、一切情報はなかった。しかし、最終的な決定が年末までに下されるようだ。

今週ワシントンで開かれたエコノミック・クラブで行なったスピーチで、CEOのジェフ・ベゾスが年内に最終決定されると明言した。しかし、どのような結果になるのか、一切予断を与えなかった。

Amazonが5万人の雇用、50億ドルもの投資を行うとしたことから、北米中の都市が名乗りをあげた。こうした動きにより、Amazonが本社を置くシアトルはAmazonを綿密な調査下に置いた。そして7月、Amazonは低所得者向け住宅とホームレス用のシェルターの費用を賄うための企業を狙った税案を葬った。

Amazonが最終的にどこに拠点を構えるかを検討するとき、税というのは間違いなく決定を左右する大きな要素となる。

ベゾスはこのところ国レベルで批判の的となっている。先週、上院議員バーニー・サンダースが“企業福祉”を抑制するためにStop Bad Employers by Zeroing Out Subsidies(ベゾス)法案を提出した。

法案提出に伴い、サンダースの事務所は「Amazonの創業者ジェフ・ベゾスは地球上で最も裕福な男だ。今年の初めから、彼の富は毎日2億6000万ドルずつ増えている」と声明で述べている。「一方で、何千というAmazonで働く労働者が賃金があまりにも低く、フードスタンプに頼っている」。

また、理由は違えどもトランプ大統領もベゾスに対して批判的だ。ベゾスはワシントンポスト紙のオーナーであり、同紙は明確に政権を批判する記事を展開してきた。

ベゾスはワシントンで開かれたエコノミック・クラブでのスピーチでトランプについても触れ、「メディアを悪とするのは本当に危険なことだ。メディアを犯罪者呼ばわりし、メディアは人々の敵だと言うのも危険だ」と述べた。

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(翻訳:Mizoguchi)

新しいiPhoneは一件落着、今度はGoogleがPixel 3で騒ぐ番だ

今週はスマートフォンのニュースを読みすぎてすでに脳が満杯、ではない珍しい人たちのためにGoogleは、それほど遠くない未来に自分も一台出すよ、とフレンドリーなメッセージを提供している。

同社のイベントは来月初めだが、Googleは予告をばらまき始めた。これは大きな3の文字があるサイト、そしてこのページには、大きな“Coming Soon”の横に同社の新しいスマートフォンらしきものラフスケッチがある。

このページには、まだほとんど何もないが、スマートフォンの画面下の“G”のロゴをクリックすると小さなショウが始まる。Android Policeの巧みな記事によれば、スマートフォンのシルエットが黒、白、ミントグリーンの三色で表示される。

3の文字のページは、かなり前からインターネット上に激しくリークされていた。しかしペールグリーンの方は、“サプライズ”かもしれない。でもこの種のサプライズは、つねに意図的だ。彼らはプレスを釣るコツをよく知っている。騙(だま)されることも、よくあるが。

Android Pのシンボルとして、ポプシクル(popsicle)の壁紙が登場したことがあった。でも実際は、平凡な結果だった(Pie, パイ)。いずれにしても、今は世界中にPixel 3の情報が溢れている。新製品のリークが多いことでは、Appleに負けていない。

でも、真実は10月9日にならないと分からない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Uberの自動運転車開発、トロント拠点増強に1億5000万ドル投資

Uberの自動運転車がアリゾナ州テンペで歩行者をはねて死亡させた事故から何カ月もたち、この大手配車サービスはトロントに新たなエンジニアリングハブを設けると発表した。自動運転車の開発に再度注力するため、自動運転研究チームを増強する。

Dara Khosrowshahiは、昨年UberのCEOに就任してから初めてカナダのテックハブを訪れ、今後5年間でトロントに1億5000万ドル投資すると明らかにした。300人を新たに雇用し、トロントの従業員数を計500人にする計画だ。新しいエンジニアリングハブは来年初めのオープンを見込む。

この件について、我々はUberにコメントを求めている。

「我々は、カナダのイノベーションへの姿勢が積極的で、トロントのテックエコシステムが活発であると認識している」と Khosrowshahiは地元紙Toronto Starへのコメントでこう述べている。「この素晴らしい多様性に富んだ地域から生まれるイノベーションをサポートしたい」。

Uberは5月に高度技術グループのトロントオフィスを開所した。このオフィスのトップは地元のAI研究者Raquel Urtasunだ。Urtasunはトロント大学の教授で、機械学習とコンピュータービジョンにおけるCanada Research Chair(編集部注:カナダ政府直属の専門教授職)も務める。

死亡事故を受けてUberは当初、路上での自動運転車プログラムを全停止し、カリフォルニア州での自動運転車に関する許可も更新しなかった。その後、Uberは自動運転車の路上試験を再開したが、マニュアルモードで行なっている。

トロントでは自動運転車試験を昨年から実施していて、UberはトロントでのAV研究強化に引き続き“かなり注力する”と述べている。

イメージクレジット: Jeff Swensen / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

TechCrunch Tokyo登壇者が続々決定!オトクな超早割チケットは9月18日まで

日本最大級のスタートアップ・テクノロジーの祭典「TechCrunch Tokyo」。今年は11月15日(木)と16日(金)に東京・渋谷にある渋谷ヒカリエで開催される。現在、4万円の「一般チケット」や3万円の「前売りチケット」よりオトクな「超早割チケット」を1万8000円で販売中だが、この価格でチケットを購入できるのは9月18日までだ。

TechCrunch Tokyoは、創業3年以内のスタートアップ企業を集めたピッチイベント「Startup Battle」、国内外のスピーカーが対話形式で創業ストーリーや最新事情を語る「Fireside Chat」、VCやスタートアップのCEOなどがテーマに沿って激論を交わす「Panel Discussion」、創業3年以内のスタートアップ向けの専用ブース「Startup Demo Booth 」などで構成されるイベント。

オトクな超早割チケットの販売が終了する前に、現時点までに登壇が決定したゲストを紹介しておこう。

Julio Avalos氏(GitHubチーフ・ストラテジー・オフィサー兼ジェネラル・カウンセル)
GitHubは、ソースコードをホスティングするソフトウェア開発プラットフォーム。Avalos氏は、2012年にGitHubにジョイン。同社では経営陣および取締役会との連携を推進、ビジョンの定義および事業の管理運営を担うと同時に、法務や政策、人材、ソーシャルインパクト、戦略的パートナーシップを監督している。Avalos氏には今後のGitHubの戦略について聞きたいと思っている。

堀江裕介氏(dely代表取締役)
delyは、レシピ動画サービス「クラシル」などを展開するスタートアップ。2016年2月にサービス開始したクラシルは現在までに1200万以上のダウンロード件数、290万人を超えるSNSフォロワー数を獲得するまでに成長している。また、ヤフーによる連結子会社化が発表されて話題になった。堀江氏には、彼の頭の中にある1兆円企業になるまでのロードマップを聞く予定だ。

Long N. Phan氏(Top Flight Technologies CEO)
Top Flight Technologiesは2014年創業で、ドローンの研究開発と運用を進めることで、将来的に「空飛ぶクルマ」の実現を目指す米国スタートアップ。Long Phan博士からは、空飛ぶクルマというワクワクする話を聞けそうだ。

林 隆弘氏(HEROZ代表取締役CEO)
HEROZは、人工知能を活用したインターネットサービスの企画・開発・運営を手がける日本のスタートアップ。2017年には将棋AI「Ponanza(ポナンザ)」が現役将棋名人に勝利するなど、HEROZの技術力にいっそうの注目が集まった。林氏には、上場年となる今年に改めて創業当初を振り返り、氷河期と呼ばれる時代に起業家になることで得た経験、学び、苦労を大いに語ってもらいたいと考えている。

Harinder Takhar氏(Paytm Labs CEO)/中山一郎氏(PayPay社長)
PayPay(ペイペイ)は、ソフトバンクとヤフーの合弁会社で、2018年秋よりバーコードやQRコードを使って決済ができるスマホ決済サービスを開始する。同サービスを提供するにあたって同社は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先であるインドのPaytm(ペイティーエム)と連携。Paytmは、すでに3億人以上のユーザーと800万店の加盟店にサービスを提供している決済サービス事業者だ。TechCrunch Tokyoでは、元PaytmのCEOで、現在はPaytm LabsのCEOを務めるTakhar氏と、PayPayの中山社長に登壇いただき、モバイル決済の最新事情について語ってもらう予定だ。

登壇者については交渉真っ最中の人物もおり、10月中旬にはすべてが決定する予定だ。新たな登壇者が決まったら、追って記事を公開していくので楽しみに待っていてほしい。なお、1万8000円の「超早割チケット」の販売は9月18日までで、9月19日からは3万円の「前売りチケット」となることも忘れないでほしい。

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ドローンにオプティカルフローを教育して小さな穴を高速で通過させるテクニック

メリーランド大学の研究者たちが、鳥や虫が飛ぶときのテクニックをドローンに教えて、小さな穴を高速でくぐれるようにした。ドローンはわずかに数回、環境を調べて開口部を定義し、大きなドローンが不定形な穴を訓練なしで通り抜ける。

そのGapFlytと呼ばれるプロジェクトは、Nitin J. Sanket, Chahat Deep Singh, Kanishka Ganguly, Cornelia Fermüller, Yiannis Aloimonosの計5人が立ち上げ、簡単な昆虫のような目を使ってドローンを教育した。

彼らが使ったテクニックはオプティカルフローと呼ばれ、きわめて単純な単眼のカメラを使って3Dモデルを作る。各時点の像の中の特徴をマークすることにより、ドローンは各像(写真)の変化に基づいて穴の形と深さを知る。ドローンに近いものは遠いものより大きく動くから、ドローンは前景と遠景を見分けることができる。

ビデオを見てお分かりのように、研究者たちは自分たちのシステムをテストするためにかなり雑然とした環境をわざと作った。Bebop 2ドローンがNVIDIA Jetson TX2 GPUを搭載して、穴のまわりを蜂のように飛び回り、そして秒速2メートルという、まあまあのスピードで通り抜ける。遠くに似たような壁を作ってドローンを混乱させようとしても、彼らのテクニックはその新しい面倒な状況に影響されなかった。

メリーランド大学のPerception and Robotics Group(知覚とロボティクスグループ)の報告によると、ドローンはさまざまな開口部を85%の精度で通過できた。タトゥイーンのベガーズ・キャニオンを避けて飛ぶときのルーク・スカイウォーカーほど速くはないが、でも感動的なスタートだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

筋トレやランニングなどの“独りフィットネス”をプロトレーナーが音声でサポートする「BeatFit」

最近、都市部を中心に24時間営業のジムが増えている。マシン特化型で、セルフサービスでトレーニングを行うため、比較的低価格で、いつでも好きなときに利用できるのが特徴だ。ただ「いつでもできる」「自分でできる」というのは反面、自らモチベーションを上げて、やる気をコントロールする必要があるのも確か。これは24時間ジムに限ったことではなくて、ランニングやウォーキングなどでも同じことだ。

ともすれば、くじけやすく怠けがちな私たちの心を励ますように、トレーニングの管理やフィットネスの支援をする、さまざまなアプリが誕生している。「BeatFit」もそうしたアプリのひとつ。ランニングや筋トレなど、1人で行うフィットネスをプロのトレーナーによる音声ガイドでサポートするというものだ。

トレーナーの音声ガイドに加えて、BeatFitでは、トレーニングに合ったノリのいい音楽も流れる。4月にベータ版が登場したBeatFitは、アウトドアランニング、ランニングマシン、インドアバイク、筋力トレーニング、ストレッチといったジャンルで、運動レベル別・時間別にコンテンツを配信。レベルは初心者から上級者まで幅広く、運動時間も6分から60分まで選ぶことが可能だ。アプリは最初の1カ月は無料、その後は月額980円の定額で、全コンテンツを利用できる。

現在BeatFitでは、120を超えるクラス(トレーニングコンテンツ)を配信。9月1日には「トレーニングログ機能」「お気に入り機能」「フィルター機能」を追加し、またジャンルに「ヨガ・瞑想」を加えて、正式版としてリリースした。主に24時間ジムを利用するユーザーを中心に利用されており、アプリの利用をInstagramやTwitterなどに投稿する「熱量のあるユーザー」も増えているという。

トレーニングを長く続けるための購読型アプリ

アプリを運営するBeatFitは2018年1月の設立。創業者であるCEOの本田雄一氏、CPOの永田昌一氏、COOの宮崎学氏の3人が共同で代表取締役を務める。3人がBeatFitの着想を得たのは2017年12月のことだ。それまではフィットネスについて別々のアイデアを持ち、議論も白熱したというが、BeatFitで構想が一致してからは、スピーディーに起業が決まり、開発がスタートしたという。

CEOの本田氏は、福岡で一度起業した後、2015年から2017年にかけてアメリカへ留学。アメリカのフィットネス文化に触れ、日本でもこのジャンルは伸びると感じたが「ジャンルに、はやり廃りがある」ことに懸念があったという。そこで「プラットフォームとしてコンテンツを提供する形にすれば、流行に左右されないサービスができる」と考えたそうだ。

「もともとフィットネスおたくだった」という本田氏は、パーソナルトレーナーを付けることで「体が変わったことを実感した」という。「でも週2回で数万円から数十万円の費用がかかるトレーナーは、高額すぎてサステナブルでない。これを継続させるためにはどうすればいいか、ということを考えていた」(本田氏)

プロダクトのデザイン・開発を担当する永田氏も、本田氏と同時期にアメリカへ留学している。留学中、高齢者向けVRシステムの開発を手がける中で「お金があれば施設へ入ることはできるが、そこで過ごす人が必ずしも幸せでないのでは、と感じ、健康寿命について考えた」という。

また、永田氏は留学中に10Kgほど太り、帰ってきてからトレーニングを始めたが、継続して運動することが難しかったそうだ。ところが「トレーナーを付けてみたら全然違った」という。「2時間かけてジムにいて運動していたことが、トレーナーを付けることで30分で効率よくできる。トレーナーの重要さが分かった」(永田氏)

COOの宮崎氏は、電通からSpiral Venturesへ移り、プリンシパルとしてシンガポールに在住。その後、スパークスグループで未来創生ファンドの運用に携わった。スパークスでは、リハビリ系ロボットへの投資なども行っていた宮崎氏。投資先への助言の合間に、医師から聞いた「ロボットなどの機器はある。だがリハビリを続けるためのモチベーションを保つ仕組みがない」という言葉が印象深かった、と話している。

宮崎氏は「以前から、アメリカやシンガポールなど医療保障が十分でない国では、健康習慣への関心が強かったが、近年は日本でも24時間営業のフィットネスジムが増え、少子化時代を見据えた医療費問題などもあって健康意識が高まっている。またApple WatchやFitbitなどのウェアラブル端末も普及した」と日本のフィットネス市場を分析する。

その一方「パーソナルトレーナーについては、RIZAPのCMが話題になるなど、存在は知られるようになったが、いざ依頼するとなると金額が高いため、短期間の利用で終わってしまう人が多い」と宮崎氏。「継続して運動を続けるためには、アプリを通じて、低価格でトレーニングのクラスをサブスクリプション(購読)型で受けられるのは理にかなっている」と話す。

本田氏も「サブスクリプション型はフィットネスジムと構造が似ている。1回通うのも100回通うのも同じ額なら、多く通おうと考えるものだ。お金を払うから行く、続けられる、というスタイルはヘルスケアと相性が良い」と述べる。

こだわり抜いた音声コンテンツによるガイド

BeatFitでは「音声」ガイドのみで、トレーニングが進められる点がキモとなっている。世の中を見ると、YouTubeを始め、アプリでも、動画でトレーニング内容が見られるものが多い。そうした中で、あえて音声にこだわる理由を宮崎氏に聞いた。

「確かにビデオコンテンツは多いし、動きをどうするかを確認するには有効だ。でも『じゃあトレーニング中に動画を確認しながら運動するか?』と言われたら、どうだろう。BeatFitでは運動しながら聞く、ということにこだわって『聞くだけで分かるコンテンツづくり』に注力している」(宮崎氏)

確かに私も、BeatFitでいくつかのクラスを試してみて、ストレッチでどこの筋を意識すればいいのか、足や手の形や位置はどうすればいいのか、といった点をトレーナーが声できめ細かく指示してくれるので、気持ちよく運動できるな、という印象を持った。ただ、例えばヨガのポーズなど、自分が一度も見たこともやったこともない動きを、音声の指示だけで正しくやるのは、さすがに難しいのではないかと感じた。

こうした分かりにくい部分については、近日中に、要所要所を短い動画で事前にチェックしてからトレーニングできるように、機能とコンテンツを追加するとのことだった。開発中のバージョンを見せてもらったところ、音声ガイドを一時停止して、動画で動きを確認してからまた元のトレーニングに戻る、といったことも可能になるようだ。

だが、あくまで「動画はサブで、メインは音声」とのこと。その背景には「音声ベースだと安く、大量に、高品質なコンテンツが提供できる」側面もあるという。「動画ではちょっと間違えた、というときにうまく編集することが難しく、一から撮り直しになってしまう。音声のみなら、簡単に編集できるので多くのコンテンツが供給できる」(本田氏)

BeatFitでは、オフィスに録音ブースとトレーニングができる空間を備えた、自社スタジオを構えている。本田氏は「自社スタジオがあることで、たくさんのクラスを用意することができ、更新も頻繁に行える。結果としてユーザーがいろいろなトレーニングを選べて、飽きずに続けられる」と話す。

BeatFitのコンテンツにはもうひとつ特徴がある。トレーナーの音声ガイドの後ろでBGMとして流れる音楽だ。洋楽ポップスやロック、ヒップホップなどのヒット曲をふんだんに使い、リズムに合わせて楽しくトレーニングができるようになっている。

「音楽にトレーナーの声を掛け合わせ、DJプレイに近いような、高度なコンテンツづくりを行っている。こうした加工をともなうコンテンツでは、音楽の権利処理のハードルが高い。そこをきちんと押さえている点も我々のアドバンスだ」(宮崎氏)

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同社は9月3日、シードラウンドで総額1億200万円の資金調達実施を発表した。資金のうち、8200万円はJ-KISS型新株予約権方式により、SIG Global Japan Fund、MTパートナーズ、谷家衛氏、宗清晶氏、Asia Venture Group、ほか個人投資家から調達。また日本政策金融公庫から2000万円の融資を受けている。

資金調達を受けて、BeatFitでは、よりよいコンテンツづくりとソフトウェアの改良を目指す。また、健康増進への取り組みを保険料に反映する、健康増進型の保険を導入している生命保険会社や、フィットネスジムなど、法人とのアライアンスも進めたいとしている。さらにフィットネスマシンやウェアラブル端末との連携、AIスピーカーによるサジェスチョンなどにも取り組んでいく構えだ。

本田氏は「BeatFitは、パーソナルトレーナーの市場を食いに行くものではなく、共存できると考えている」と話している。「費用面で頻繁にはトレーナーが付けられない、という方が、合間で自習的に使ってもらうことで、トレーニングを継続して行うことができる。フィットネスジムでも、インストラクターがいないときや、グループレッスンの待ち時間などに活用してもらえれば」(本田氏)

「YouTubeのUUUM」がInstagramにも参入、インスタ・マーケティングのレモネードを5億円で買収

UUUMは9月14日、Instagram上でコンテンツを発信するインスタグラマーと、彼らとのタイアップを行いたい企業とをマッチングする「influencer One」を提供するレモネードの全株式を取得して吸収合併すると発表した。買収総額は約5億円だ。レモネード代表取締役の石橋尚也氏は合併後、UUUMの執行役員に就任する。

HIKAKINやはじめしゃちょーなど、有名YouTuberが多く所属するUUUM。同社がサポートするYouTubeチャンネル数は最新の数字で6570チャネル。うち専属契約を結ぶクリエイターは270名にのぼる。また、所属チャネルの月間再生回数は40億回(2018年8月)を突破するなど、YouTuberマネジメントの領域では圧倒的な強さを誇る。

これらの事実から「YouTubeのUUUM」とも比喩されることもある同社だが、これからはそうとも呼べなくなるかもしれない。レモネードの買収は、UUUMがYouTuberに加えてインスタグラマーのサポートに乗り出すことも意味するからだ。

現在、influencer Oneに登録するインスタグラマーの数は2800人。そこにUUUMが現在サポートを行うYouTubeチャンネル数を加えると、UUUMはこれからのべ1万人近くのクリエイターのサポートを行うことになる。

UUUM発表資料より

また、今回の買収によりUUUMがサポートするクリエイターが活躍できる場が増えることも大きなメリットの1つだ。今や、YouTuberとして成功するためにはInstagramをはじめとするSNSの活用が必須の時代。UUUMからYouTubeチャンネルの運用だけでなく、Instagramの運用についてもサポートも受けられるとなれば、さらに多くの有力クリエイターがUUUMに集まってくる。UUUMとしても、YouTube内での広告・タイアップ企画だけでなく、Instagramも絡めた提案が可能になることは大きなビジネスチャンスにつながる。

TechCrunch Japanでは、UUUM代表取締役の鎌田和樹氏に買収の背景と今後の戦略について聞き、近日中にはインタビュー記事を公開する予定だ。

昆虫からヒントを得た羽ばたくロボットが一回の充電で1キロメートルを飛ぶ

イエバエやミバエなどの、信じられないほどの敏捷さは、すべてのロボットとドローンを赤面させる。でも彼らに見倣ったデバイスが、やっと追いつきつつある。このたび新たに作られた四翼の羽ばたきロボットは、ミバエのあまりにも敏捷な飛行方法の模倣に成功しただけでなく、一回の充電で最大1キロメートルも飛ぶことができる。

デルフト工科大学のロボティクスの研究者たちは、昆虫の飛び方に関して彼らがまとめた理論を、実際にロボットとして実装し検証するための飛行体を作りたい、と思った。もちろんそれはワイヤレスで、しかもプロペラなど昆虫に本来ない推進機構があってはいけない。

彼らは単に、羽ばたきで前進するクールなロボットを作りたかったわけではない。昆虫が、突風や自分を叩(はた)こうとする人の手の動きなどに反応するときの、リアクションとコントロールはおそろしく速い。これほどの情報伝達能力を自動操縦ドローンや小型飛行機が持ったら、すごいことになるだろう。あなたが乗ってるジェット旅客機が稲妻を自動的にスムーズに避けることができたら、すてきではないか。

しかし昆虫よりもずっと大きなものになると、その飛行方法は質量が大きすぎて機能しない。彼らの羽ばたきロボットはScience誌の表紙を飾り、彼らのこんなペーパーが載った:

重量とサイズの制約が厳しいので、これまでの設計の多くが、その原型となった生物の飛行性能に到達できていない。それらは必要なレベルの敏捷性を欠き、離陸に必要なパワーがなく、1分以上飛ぶことのできる十分なエネルギーを搭載できなかった。

それだけではなく、Robobeeのような小さなロボットは電源に接続するケーブルを必要とし、そのほかの小さな羽ばたき機は手動による有線の操縦を必要とする。それでは、だめだ! そこでデルフトのチームは、小さな動物の生物的機構を忠実に模倣することをやめて、同じ飛行特性を現実的な大きさで実現できる、ほかの方法を探した。

彼らが作った四翼で尾のないスタイルの創造物DelFly Nimbleは、奇抜だが疑う余地なく有効だ。彼らのロボットは秒速7メートル(時速約25キロメートル)で飛び、定位置でホバーリングでき、急降下や回転など、あらゆる極端な動きがスムーズにできる。ジョークではなく実際に、継続的な推力のあるローターでそれらができる。羽根の動きを調整してコントロールする。このビデオで、そのほかの妙技を見てみよう。

たぶん、いちばん驚異的なのは、その航続距離だ。このロボットは一回の充電で1キロメートル飛ぶ。無人ロボットで‘キロメートル’などという数字は、ほとんど軍用品の仕様だ。

しかしDelFly Nimbleは、興味深い科学的データも作り出している。研究のリーダーMatěj Karásekが説明する:

動物実験と違って、ロボットの脳の中で起きることを完全にコントロールできる。そのため、飛行をアシストしている新しい受動空気力学の仕組みを見つけて記述できる。そのほかの飛行動物の、高速傾斜旋回の間の方向制御の仕組みも、そこから理解できるだろう。

開発は継続しており、生物学者や政府機関方面からオランダの発明家たちに宛てた、関心表明の手紙も日増しに増えている。

画像クレジット: デルフト工科大学

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ジェフ・ベゾス、幼児教育とホームレス支援で20億ドルの基金設立

Amazon創業者(そして世界一の富豪)であるジェフ・ベゾスは今朝、非営利のプレスクール施設網構築のため、そしてホームレス支援団体に資金を寄付するための基金を夫妻で設立するとツイートした。

ベゾスは「Day 1 Families Fundは、緊急に助けを必要としている若い家族を支援するためにシェルターを用意したり食糧を提供したりと、実際に思いやりを持って動いている団体や市民グループに毎年リーダーシップ賞を授与する」と述べている。

それとは別にDay 1 Academies Fundがあり、低所得者が多く住むエリアでモンテッソーリ教育に基づく無料の幼児教育施設網を展開する。

ベゾスは、この教育施設は“Amazon と同じ理念”で運営するとしている。その理念とは、ベゾスにとっては顧客中心を意味する。

この基金の名称 “Day 1”は、ベゾスの哲学“初心を忘れない”からきている。

経済的に恵まれていない子どもたちのための無料の教育施設網を築き、ホームレスのニーズに応える組織を支援するために資金を拠出するのは紛れもなく善行だ。しかし、こうした個の取り組みが、ホームレスや教育機会の欠如という全体にかかる問題を改善するのに効果的かは定かではない。

おそらくベゾスは、Amazonの従業員だったVickie Shannon Allenが職場での事故により職を失い、ホームレスになったことに関するレポートを目にしたことで、国に広がるホームレスの苦境に向き合う気持ちになったのだろう。

ホームレスのためのシェルターや低所得者向けの住宅の費用を賄うことを目的とした新税の導入をシアトル市が検討したが、Amazonがこの税の標的になった後に、ベゾスがこうしたホームレス問題に取り組むのはなんとも深遠だ。

法案を廃止にするためのAmazonの取り組みについてはFortuneが詳しく報じている。

Amazonは、原案では従業員1人あたり500ドルを課すとしていた税に反対した。不満の意を表明するために新タワーの建設を中止し、ダウンタウンにある立派なビルに確保していた72万2000平方フィートもの賃貸を又貸しするかもしれない、とほのめかした。そして市議会が275ドルに減額した税を承認したのち、Amazonはタワーの建設を再開した。しかし、法案に反対したグループNo Tax on JobsにはStarbucksや他の地元企業も資金を提供し、グループは税廃止の投票のために署名活動にかかった費用30万ドルを調達した。採決後の声明で、Amazonの副社長Drew Herdenerは「雇用創出への税を廃止するという今日の市議会の採決結果は、地域の経済発展のために正しい判断だった」と述べた。

今回の基金設立で、ベゾスは社会貢献のための基金活動をしている途方もなく金持ちの人々(参照:チャン・ザッカーバーグ、ゲイツ基金、そしてウォーレン・バフェット)の長いリストに加わった。

億万長者が社会への貢献を義務ではなく贈り物として行うのは、構造的問題の壁を超えた博愛精神の長い歴史の一部である。

新基金に関するベゾスのツイートは以下の通りだ。

イメージクレジット: Drew Angerer

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(翻訳:Mizoguchi)

Nintendo、Switch用NESコントローラーでレトロゲーマーのノスタルジーと懐を刺激

Nintendoが有料オンラインサービスの一貫としてSwitchにNESゲームを追加するというニュースは賛否両論を呼んだが、同社はこの議論を呼ぶ決断を断固として実行し、それらのゲームをプレイするためのワイヤレスNESコントローラーを発売した。60ドルは少々高いかもしれないが、いいじゃないか。どうせ買うことになるのだから。たぶん来週には。

コントローラーはNintendo Directのビデオニュース最新号で、その他新しいAnimal Crossing[どうぶつの森]や山ほどのFinal Fantasyなどのノスタルジックなゲームと共に発表された。しかし、まずはこの愛しい愛しいコントローラーを詳しく見てみよう。

これはボタンを含めて完全にNESスタイルだ。つまり、今あるSwitchのジョイコンを置き換えるものではない。だったら、なぜこんなに高いのか? それはNintendoだから。少なくともワイレスだし、ジョイコンと同じようにSwitchのサイドに差し込むと充電される。さらに、何らかの理由でショルダーボタンもついてくる。

価格は2台セットで60ドル。予約は9月18日からで、この日はNintendo Switch Onlineの開始日でもある。そう、Nintendoが長年無料で提供してきたオンラインプレイにお金を払うときがきたのだ。

幸いなことに、 以前の発表にあったように料金はかなり安い。年間20ドルでオンラインゲームをプレイできるだけでなく、増え続けるNESのクラシックゲームを利用できる。10タイトルはすでに確認されていたが、今日新たに10タイトルが追加された。

というわけで、開始日にプレイできるゲームは以下の通り:

  • Balloon Fight
  • Dr Mario
  • Mario Bros.
  • Super Mario Bros.
  • Super Mario Bros. 3
  • Donkey Kong
  • Ice Climber
  • The Legend of Zelda
  • Tennis
  • Soccer
  • Baseball
  • Double Dragon
  • Excitebike
  • Ghosts ‘n Goblins
  • Gradius
  • Ice Hockey
  • Pro Wrestling
  • River City Ransom
  • Tecmo Bowl
  • Yoshi

このサービスを使うとクラウドのバックアップとセーブが可能になり、スペシャル特典も提供される予定だ。多くの人々は自分たちのバーチャルコンソールゲームを取り上げられたと怒っているが、これは基本的に必携だろう。少なくとも、NESとSNES Classic Editionsが手に入るのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

元グノシー松本氏がDMMの新CTO就任、『モチベーション×能力』で測る組織づくりへ

「最初に会ったとき、この人は宇宙人だと思った」ーーこれは、DMM最高経営責任者の片桐孝憲氏が同社の新しいCTOのことを表した言葉だ。

DMMは9月14日、グノシー元CTOの松本勇気氏を新たに迎え、同社の新しいCTOとして起用する人事を発表した。TechCrunch Japanでは片桐氏と松本氏の両名にインタビューを行い、その背景を聞いた。

新CTOに就任する松本氏は、大学在学中に学生ベンチャーのLabitなど複数のスタートアップにてiOS/サーバーサイドの開発を担当し、2013年1月にグノシーに入社した。2014年6月には開発本部執行役員に就任。そして2015年からはグノシーのCTOとして、KDDIと共同開発した「ニュースパス」の立ち上げや、ブロックチェーン事業子会社のLayerXの立ち上げなどを手がけてきた人物だ。

ニュースパスチームの立ち上げの際には、松本氏はCTOの役職を返上してみずから開発の現場に参画。立ち上げから8ヶ月でチームのかたちを作り、再びCTOに就任した。

一方のDMMでは、片桐氏がCEOに就任した直後から、前CTOの城倉和孝氏と新しいCTOの招聘を検討していた。城倉氏から「自分の代わりにCTOになってほしいヤツがいる」と紹介されたのをきっかけに、松本氏と片桐氏が出会ったのは2018年春ごろのことだ。

当初、片桐氏は松本氏が「DMMに来てくれる可能性は低いだろう」と思っていたが、可能性を探るためにまずは3人で食事に行くことにした。

「(松本氏は)宇宙人みたいな人だなと思った。僕がDMMに入ってすぐの頃からCTO探しは続けていたが、DMMにフィットしてかつ未来が見える人はなかなか見つからなかった。みんな大人過ぎるなと。その一方、松本くんは飄々としていて、自分にもよく分からないような新しい未来の話をしてきた。彼のようにエンジニアとして具体的にビジネスの話をできる人もなかなかいない」(片桐氏)

松本氏を新しいCTOとして迎え入れたいと思うDMMだったが、当時の松本氏はグノシーを退職したあと独立して起業することも検討していた。そこで片桐氏と城倉氏は、月に一度のペースで松本氏との“親睦会”を行うことにした。松本氏を連れてDMMのマイニングファームを見せたり、金沢にある開発拠点を訪れ、現地のスーパー銭湯のサウナで語り合い、そのままその銭湯で一泊するなんてこともあったそうだ。

一方の松本氏は片桐氏について、「楽しそうに仕事をする人だと思った。僕自身も仕事においてモチベーションは非常に重要だと思っているので、ここに来れば何か楽しいことができると思いました」と話す。2018年6月にDMM会長の亀山敬司氏と面会する際には、8割方こころは決まっていたという。

創業19年目のカルチャーを作り変える

そもそもDMMが新しいCTOを探し始めたのは、片桐氏がCEOに就任してすぐのことだった。その背景には、以前からビジネス寄りの人材が多かったDMMを“テックカンパニー”にしたいという想いがあった。

「自分が最高経営責任者に就任するとき、亀山さんとも『DMMが今よりももっとテック寄りの企業になれたら成長が加速する』と話していた。僕が呼ばれたのもそのためだ。それを実現するために、技術的な方針を示してくれる人、エンジニアの見本となるような人物が必要だと思っていた」と片桐氏は話す。

片桐氏は現時点のDMMについて、「テックカルチャーが育つ余地はまだある」と評する。社内にはエンジニア出身の事業部長が少ないなど、改善の余地は大きい。

これまでにもテックカルチャーを根付かせるための改革を進めてきたが、片桐氏が松本氏に期待するのは、その改革をさらに加速させ、DMMを技術思考の会社へと作り変えることだという。

「Netflixは目標とするテックカンパニーの1つ。自分の親がNetflixを利用しても、『なんか面白い映画がどんどん出てくるな』くらいにしか思わないだろう。そんな風に、ユーザーが全然気づかないところで、実はデータ分析やテクノロジーが活かされている点が素晴らしいと思う」(片桐氏)

では、そのテックカンパニーを作りあげるためにはどうするか。

これからはじまるDMMの組織改革について、松本氏は「チームの総力を測る方程式は、『モチベーション×能力』だと思っている。チーム全体のモチベーションを高めるには、会社の戦略や文化に共感してくれる人を採用し、そういう人たちがモチベーションを高く維持したまま働けるような仕組みを作らなければいけない。ビジネスとエンジニア、どちらが偉いということではなく、どちらも対等に会話できる環境を作っていきたい」と話した。

総勢450人のDMMエンジニアを率いる29歳の新CTOの前には、創業から19年間で培ったカルチャーを作り変えるという大仕事が待っている。

iPhone XRは「買い」

iPhone XRは反省の産物のごとくやってきた。実際、驚きはなかった。Appleは常に全力で突き進んできた——最新、最高、文字通りの最大。最前線で命を張ることは、同社にとってイメージと市場シェアと株価の拠り所だ。

iPhone XRはそうではない。昨日の イベントを見る限り、この端末は等外馬だ。シングルレンズカメラと低解像度画面はネット上のディスプレイマニアの間で批判の的になった。これは、この会社が作る必要のあった製品そのものでもある——結局Appleは山ほど売ることになるだろう。実際このエントリーレベル機がプレミアムの兄たちより多く売れてもさほど驚かない。

過去24時間、かなりの人たちが、どのiPhoneを買うべきか私に聞いてきた。答えは相手によってまちまちなのは当然だが、多くの場合にXRがもっともしっくりくる。昨日のハンズオン記事にも書いたように、これは一般人のためのiPhone Xだ。

昨年の10周年記念端末は、テクノロジー、価格、予算、あらゆる面でiPhoneの限界を押し広げた。それは2008年のApple Store導入以来最大の飛躍であり、1000ドルスマートフォンの誕生でもあった。

ものごとがその方向に進んでいくことは誰もが知っていたし、、Samsungを始めとする各社はAppleに戦いを挑んできたが、iPhone Xは消費者がスマートフォンにいくら払うつもりがあるかの限界をテストする結果になった。当初の売上はこの製品にとって理想的ではなかったが、はるかに高いその価格は、同じ利益をあげるためにAppleは少なく売るだけでよいことを意味していた。

しかしAppleはsの100万円携帯のVertuではない。製品を実際に消費者の手に届けることは、新しい端末を売るのと同じく重要な側面だ。初期の報道では、Appleはより広い消費者層にアピールするために、LCDに戻してコストを下げることを考えていると言われていた。

Wall Street Journalは6月に、需要は「Appleが最初のOLEDスマートフォンを準備していた一年前に多くの業界人が予想していたよりも伸び悩んでいる」と書いた。AppleにとってLCDに戻ることは、最も先進的なスマートフォンを出したあとに一歩後退するように感じたのだろう。

しかし、それを気にする人たちがいる一方で、テクノロジーの刷新は、消費者の要求よりもライバルの先を行きたいという欲求に動かされることがよくある。そして、最高解像度の画面はすばらしいものの、必ずしも1000ドルに値するすばらしさではない。

iPhone XRはAppleにとって、よりバランス志向のアプローチだ。しかしこの端末は、iPhone Xをベースに比較的求めやすい価格を維持しつつ、Xと一緒に発表されたときのiPhone 8のような遺物感をもたせないことに成功している。

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XRは大衆向きiPhone。人々のためのiPhoneだ。私はこれをiPhoneのiPod Miniと呼んでおり、Matt Burns記者はこれをiBookと呼んでいるが、言いたいことは同じだ。より安く、よりカラフルな選択肢だ。すくなくとも同僚の一人は、どの色にするかで少々強迫観念を感じている。

749ドル(8万4800円)は決して安くないが、XSとXS Max(それぞれ999ドル/11万2800円と1099ドル/12万4800円)と比べるとお買い得に感じるし、欠けている機能の殆どは平均的ユーザーの日々の利用に影響しそうにない。そうそう、シングルレンズカメラがポートレイトモードを模倣することで、いっそう違いを和らげている。

もし私が今新しいiPhoneを買うなら、まず間違いなくXRで行く。わかってほしいのだが、私はニューヨークシティーに住むITブロガーだ。金のなる木をもっているわけではない。

あなたが今iPhoneの潜在顧客なら、おそらく同じ気持ちだろう。XRは断然買いだ。Appleは山ほど売ることになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NintendoがやっとSwitchのゲーム新作を発表…FFリマスター全集も出る!

Nintendoがついにやっと、Switchの新しいコンテンツを発表した。

Nintendo Directには今、いくつかのゲームとオリジナルコンテンツが載っている。それらの中でNintendo自身の大作は、Switch用に開発されているAnimal Crossing(どうぶつの森)と、Luigi’s Mansion 3(ルイージマンション新作)だ。

Animal Crossingについては、2019年発売ということしか分からないが、Luigi’sの方は冒険の一部を見ることができる。Luigi’s Mansion 3は前作の幽霊退治の続編のようで、不思議なカメラアングルを多用している。これも2019年発売となっているから、来年はNintendo作のタイトルが一度に二本揃うことになる。もしかして、Metroid Prime 4(メトロイドプライム4)も出るかな(?)。

おなじみのゲームとしては、Wii UのNew Super Mario Bros(New スーパーマリオブラザーズ)の移植がある。U Deluxeは1月に出て、Yoshi’s Crafted World(ヨッシークラフトワールド)は2019年の春になる。

[Switch用初代ファミコンワイヤレスコントローラー](未訳)

Nintendo作以外では、Final Fantasy(ファイナルファンタジー)の前作が一挙にSwitchにやってくることが、ビッグなサプライズだ。Final Fantasy VII, IX, X, X-2のHDリマスター版とXIIが、2019年に出る。

リマスター版も含め、ほかにもいろいろある。EA SPORTS FIFA 19, Starlink: Battle for Atlas, Diablo III: Eternal Collection, Mega Man 11, Katamari Damacy REROLLなどなどだ。Directのビデオで確認しよう(下図):

Nintendo Switchはすごいシステムだし、いろんなものを作ってるはずなのに、遊べるゲームが手元にもうない。ファンをじらすのはNintendoらしくないが、Switchに関してはコンテンツのリリースがローンチ以来順調でなかった。サードパーティを上手に活用するなどして、もっと快調な出足にしてもらいたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

高齢者の運転見守りサービス「SmartDrive Families」が正式リリース、月額2480円

自動車の走行データを活用した各種サービスを提供するスマートドライブは9月14日、高齢の家族などの運転見守りサービス「SmartDrive Families(以下、Families)」を正式リリースした。

高齢化が進む日本では、高齢ドライバーによる運転事故は社会課題の1つだ。法律として免許を返上する年齢を定めるべきなどの議論はあるが、運転のスキルや安全性は個人によって大きく異なる。特に、僻地に住む人たちにとってはクルマは生活に欠かせない移動手段であり、できるだけ長く免許を保持したいというのが正直なところだろう。

そんな課題を解決するため、スマートドライブが開発したのがFamiliesだ。クルマのシガーソケットに専用デバイスを差し込むだけで、運転の安全度や特徴などの走行データを取得することができる。取り付け工事も不要で、約5秒で取り付けが完了する。月額料金は2480円だ。

走行データは専用のスマホアプリから見ることができる。クルマの現在地、走行ログ、急操作のアラートなどをリアルタイムで確認することが可能だ。それぞれ走行ログごとにハンドリング、加速、減速のスコアを確認できるため、運転の“クセ”を把握して今後のアドバイスにつなげることもできる。

スマートドライブはこれまでに保険会社などと共同で、数万車分の走行データを分析。そのノウハウをもとにスコアリングしている。

スマートドライブ代表取締役の北川烈氏によれば、同社は今後、ランキングや運転診断レポートなどの新機能の追加、Familiesの走行データと保険料金との連動などにも取り組んでいくという。また、自治体との連携して免許返納の判断にデータを活かすことも将来的に進めたいとしている。

スマートドライブは2013年10月の創業。2018年8月には産業革新機構などから17億円を調達している。

Microsoft、ドラグ&ドロップでAIアプリを作るLobeを買収――Azure ML Studioの強化へ

今日(米国時間9/13)、MicrosoftはAIスタートアップのLobeを買収したことを発表した。 Lobeは簡単なドラグ&ドロップによって高度な機械学習モデルが制作できるシステムだ。今年に入ってベータ版がリリースされたLobeをMicrosoftは独自のAIモデル開発に利用する計画だ。ただし当面、Lobeは従来どおりの運営を続ける。Lobeチームは次のように述べている

Microsoftの一員となったことで、Lobeは世界でもトップクラスのAI研究の成果とインフラを活用できるようになった。またMicrosoftは数十年にわたってデベロッパー・ツールを開発してきた。われわれは今後ともオープンソースの標準に従い、Lobeをスタンドアロンでマルチプラットフォームのサービスとして発展させていく計画だ。

Lobeの共同ファウンダー、Mike Matasこれまで携わった開発にはiPhoneとiPad、FacebookのPaperとInstant Articlesなどのプロダクトがある。共同ファウンダーにはAdam Menges、Markus Beissingerが加わっている。

MicrosofはLobeに先立っては深層強化学習(deep reinforcement learning)のプラットフォーム、Bonsai.aiと会話形AIのプラットフォーム、Semantic Machinesを買収している。また昨年、2012年のTechCrunch Disrupt BattlefieldでデビューしたMaluubaを買収したことも記憶に新しい。機械学習のエクスパートをスカウトするのが非常に難しいことはよく知られている。そこで有力テクノロジー企業は人材とテクノロジーの獲得を念頭に置いてスタートアップの買収に全力を挙げている。Microsoftのエグゼクティブ・バイスプレジデント、CTOのKevin Scottは今日の声明に次のように書いている。

いろいろな意味でわれわれはAIがもたらす可能性の入り口に立っているに過ぎない。経験を積んだデータサイエンティストやデベロッパーにとってさえ機械学習モデルやAIソフトウェアの開発は時間がかかるタスクだ。多くの人々がAIへのアクセスに高いハードルを感じている。われわれはこれを変えていこうと決意している。

重要なのはLobeのアプローチがMicrosoftの既存Azure ML Studioプラットフォームと親和性が高いことだ。このプラットフォームは機械学習モデルの生成にあたってドラグ&ドロップによる直感的なインターフェイスをすでに提供している。ただし実用本位のデザインであり、Lobeチームのシステムのインターフェイスのほうが洗練されている。

LobeとAzure ML Studioはどちらも機械学習の普及を狙っており、TensorFlow、Keras、PyTorchなどの詳細な知識なしに誰でも機械学習を利用してアプリが開発できるようにするのが目標だ。もちろんこうしたアプローチにはそれなりの限界があるのは事実だが、「大量のコードを書かずにすむ」各種ツールは多くのユースケースで有用であり、十分に役割を果たすことが示されている。

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滑川海彦@Facebook Google+

XS、XR、XS Maxを比較――どのiPhoneが好み?

XSは標準。XRは安い。 XS Maxは大型。Appleから出た新しいiPhoneの各モデルを理解するにはまずそんなあたりからスタートするのがよいようだ。フラグメンテーションがひどいAndroidからすればiPhoneのシリーズ構成は簡明だ。それでもAppleは3モデルにそれぞれ3種類のストレージ容量を用意している。またカラーバリエーションは全9色ある。

XSはiPhone X、MaxはPlusのそれぞれアップデート版で、XRは子供に買い与えるのに好適なiPhone SEの復活版だ。以下それぞれのシリーズの機能、価格、オプション、出荷スケジュールなどを見ていこう。

iPhone XS —標準的、小型、高速

Appleの新フラグシップ機がiPhone XSだ。Appleの最高のテクノロジーを採用していながらポケットに楽に収まるモデルを探しているならこれだ。

このモデルは対角線サイズ5.8インチのOLED、 Super Retinaを採用している。解像度は458PPIのHDRディスプレイだ。 サイズは現行8 Plusの5.5インチよりわずかに縦が長いが横幅は狭い。スクリーンの面積自体は少し減っている。メインカメラは12メガピクセル2台で手ブレ補正と2倍の光学ズームをサポートする。ポートレートモードでは被写界深度調整が可能だ。価格は64GBが999ドル、256GBが1149ドル、512GBが1349ドルとなっている。

カラーバリエーションはシルバー、ゴールド、スペースグレーで、筐体は水深2メートルの防水機能を備えるステンレス製だ。予約は9月14日スタートで21日から出荷される。

iPhone XS Max —スクリーンはビッグ、値段もビッグ

スマートフォンでよく映画や写真を見る、あるいはビデオを撮影するならiPhone XS Maxがいい。

ディスプレイは6.5インチで、OLEDのSuper Retinaだ。 8 PlusをしのぐiPhone史上最大のスクリーン面積であるわりにデバイス全体のサイズXSよりほんのわずかしか大きくない。これはXS Maxのスクリーンの占める割合が大きいからだ。ツインカメラの機能、12メガピクセル、手ブレ補正、2倍光学ズーム、ポートレート・モードの被写界深度調整などはXSと同様。

筐体は水深2m対応の防水ステンレスでカラーバリエーションがシルバー、ゴールド、スペースグレーというのもXSと同じだ。価格は対応するXSモデルに100ドルがプラスとなる。64GBが1,099ドル、256GBが1249ドル、512GBが1449ドルだ。XS同様、14日から予約受け付け、21日から出荷となる。

iPhone XR —カラフル、安い、機能は初歩的

機能最高、ディスプレイ最大といったエッジの効いた製品を狙っていないなら、iPhone XRを買えばいくぶんキャッシュが節約できる。ディスプレイのサイズはXSとXS Maxの中間で対角長6.1インチだが、OLEDではなく通常の液晶を採用している。Liquid Retinaスクリーンの解像度は326PPIだ。

解像度が低く、HDRではないのでXRの画面はXSほどの鮮やかさはない。またXRのメインカメラは12メガピクセルが1台のみとなっている。手ブレ補正、2倍の光学ズームはない。しかしポートレートの被写界深度調整機能はあるので好みに合わせて背景にボケを加えることができる。

XRも防水仕様だが、XS系の水深2メートルに対して1メートル対応となる。また強く押すことでオプションを簡単に呼び出せる3D Touch機能も省かれている。

XRではバッテリー駆動時間が1.5時間長くなっており、クールな6色がえらべる。筐体はアルミ製で、ホワイト、ブラック、ブルー、イェロー、レッドの仕上げが用意される。64GBが749ドル、128GBが799ドル、256GBが899ドルと価格は手頃だ。

これでもまだ高いと思うなら、iPhone 7が449ドルから、iPhone 8が599ドルからにそれぞれ値下げされた。6S、SEは販売終了となるのでヘッドホン端子つきのモデルは存在しなくなる。高いモデルを買わせたいせいなのか、XRの発売はXS、XS Maxより1月遅れる。予約受付は10月19日、出荷は26日からの予定だ。

これだけのバリエーションがあれば誰もが自分の好みと使い方にあった製品を見つけることができるはずだとAppleは考えているようだ。逆に消費者としてはどれを買ったらいいのか悩むところだ。今回はiPhone Xに多数の大きな改良が加えられたが、そこまでの機能は必要ないというのであれば、上で紹介したようにもっと手頃な価格のモデルも多数用意されている。

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〔日本版〕日本で販売されるiPhoneの製品情報はこちら

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滑川海彦@Facebook Google+

GoogleはSamsungからRCSメッセージングへのより強い協力をとりつけた

Googleは、長らく推進している次世代メッセージング標準に対して、Samsungからのさらなる協力をとりつけた。

Android OSメーカーであるGoogleが、リッチコミュニケーションサービス(RCS:SMSが提供できるものをよりリッチなコミュニケーションとコンテンツ交換へと強化することができる技術)へ抱いている期待は、分断されてしまっているAndroidのエコシステムに対して、よりリッチなネイティブメッセージングを提供する方法を与えてくれることだ −− そう、AppleのiOS上のiMessageのように。

しかし、世の中に一体どれだけの数のAndroid端末があるかを考えると、それはとてつもない大仕事である。そしてGoogleにとっては、もし周辺で細々とやること以上のことを成し遂げようとするなら、(デバイスメーカーだけではなくキャリアも含んだ)業界全体がRCSのサポートで足並みを揃えることが必要だ。

ちょっと大きな観点から眺めてみよう。さらに大きな問題はメッセージング船が既に航海しているということだ。WhatsAppやTelegramのような、大規模で人気の高いプラットフォームが既に数十億人のユーザーをそれぞれの庭に囲い込んでいて、重心をSMSから引き離してしまっているのだ。

だが、戦略的に混乱しているにも関わらずGoogleが努力を止めてしまった訳ではない。そのメッセージングを普及させようとする相当な努力は続けているのだ(失敗したAlloのように)。

4月にGoogleはRCSへの倍賭けを行った。Alloメッセージングアプリからリソースを引き上げて、その代わりに次世代SMSへの進軍に集中する決断を行ったのだ。

また、RCSの背後のささやかな応援の動きも作り上げることに成功した。今年のMobile World Congressで、同社は40以上のキャリアがRCSをサポートすることを発表したのだ。これは1年前の27から増加している。最新のサポート数では、そのキャリア数は55になった。

しかしRCSの専門会社Jibe Mobileを買収してから3年目を迎え、そして「未来のメッセージング」の構築を語る野心的な発言にも関わらず、その発展の兆候はほとんど見えない。

さらなる問題は、キャリアたちもまた、単にサポートする意思を表明するだけでなく、積極的にRCSの普及を行わなければならなかったのだが、どれだけのキャリアが実際にそうしたのかは明らかではない。

またRCSのユーザーが現時点でどれくらいいるのかもはっきりとはしていない(2016年の時点では、キャリアたちはただ10億人のユーザーへの「道筋」をつけると語っていただけだ。その時点ではSMSには数十億人のユーザーがいたため、彼らは標準化を通して何らかの次世代メッセージングシステムの普及を行うことができるとはほとんど考えていなかったと思われる)。

Googleが支援する最新のRCS開発は、プレスリリースの発表によれば、マウンテンビュー(Google)とSamsungの間の「拡大コラボレーション」である。それぞれが提供するメッセージクライアントが「クラウド並びにメッセージングプラットホームも含み、シームレスにそれぞれの企業のRCS技術の上で動く」と言われている。

両者は以前はRCSのサポートを「選り抜きのSamsungデバイス」に追加していたが、現在はRCS機能は既存のSamsung製のいくつかのスマートフォンたちに搭載されると述べている。例えばGalaxy S8とS8+はもちろん、S8 Active、S9、S9+、Note8、Note9、そしてAndroid 9.0もしくはそれ以降が搭載された選ばれたA並びにJシリーズなどだ。

それを聞くとかなりの数のデバイスのように思える。しかしそれも、さらに不明瞭なのだ。なぜなら、やはりサポートが、キャリアと市場での可用性にかかっているからだ。よって、たとえSamsungのAndroid携帯電話のサブセットであったとしても、普遍的なものではないのだ。

彼らはまた、(選ばれた)新しいSamsung Galaxyスマートフォンが、RCSメッセージングをネイティブにサポートすると言っている。しかし、これもやはり、キャリアがその標準をサポートしている場合に限られるのだ。

以上のような一連の注意を述べた後に、彼らは「これは、消費者たちとブランドたちが、Android MessagesとSamsung Messagesユーザーの両者とよりリッチなチャットを楽しむことができるようになることを意味しています」と付け加えている。

両社の声明文が「Androidエコシステム全体に強化されたメッセージング体験」を持ち込むという、景気の良い調子で締めくくられているにも関わらず、明らかにその可能性は見えていない。Android生態系の豊富な「生物多様性」から導かれる明白な結果は、デバイス間標準に対する普遍性の低下である。

それでも、もしGoogleが十分なフラッグシップデバイスとRCSをサポートすることに協力する市場を確保することができるなら、AppleのiMessageに十分対抗できるだけの臨界メッセージ量を確保したと考えることだろう。なので、そのハイエンド端末が、iPhoneとの間でしばしば消費者たちの現金の奪い合いを繰り広げるSamsungからの協力のとりつけは、もちろんその戦略のための大いなる助けとなるのだ。

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(翻訳:sako)

「ほぼすべて」のPCとMacに、暗号化データを盗まれるセキュリティー欠陥がある

現代のコンピューターの殆どが、たとえディスクが暗号化されていても、数分のうちに機密データを盗む新たな攻撃に対する脆弱性があることが、最新の研究によって明らかになった。

F-Secureが水曜日(米国時間9/12)に公表した新たな発見によると、同社がテストしたあらゆるノートパソコンで、ファームウェアのセキュリティー対策がデータ盗難を防ぐのに十分な働きをしたものは皆無だった。

F-Secureの主任セキュリティー・コンサルタント、Olle SegerdahlはTechCrunchに、この脆弱性は「ほぼすべての」ノートパソコンとデスクトップ——WindowsもMacも——のユーザーを危険に晒すと語った。

新たな攻撃は、長年ハッカーらがシャットダウンされたパソコンからデータを盗むために使っていたコールドブートアタックと呼ばれる伝統的手口に基づいている。現代のコンピューターは、電源が切断されるとき、データが読み出されないようにメモリーをランダムに上書きする。しかし、Segerdahlと同僚のPasi Saarinenはこの上書きプロセスを無効にして再びコールドブートアタックを可能にする方法を見つけだした。

「いくつか余分な手順が必要だが、この欠陥は容易に利用できる」」とSegerdahlは言う。あまりに簡単なので、もしこの技法がどこかのハッカーグループにまだ知られていなかったとすれば「大きな驚きだ」と彼は言った。

「パソコンのデータを盗む任務を課せられた者なら誰でも,すでに同じ結論に到達しているとわれわれは確信している」

パソコンを物理的にアクセスすることが可能なら、データを盗み出せる可能性が高くなることは誰もが知っている。だからこそ、こんなに多くの人たちがディスク暗号化を使って——WindowsならBitLocker、MacならFileVaultなど——デバイスの電源が切れているときのデータを守っている。

しかし研究者らは、ほぼすべてのケースで、BitLockerやFileVaultが保護していたにもからわらず、彼らはデータを盗むことができたと言っている。

研究者らは上書きプロセスのしくみを理解したあと、ファームウェアがメモリーから秘密を消し去るのを防ぐ方法の概念実証を行った。そこからはディスクの暗号化キーを探し、見つかれば保護されたボリュームをマウントするために使用する。

危険にさらされるのは暗号化ディスクだけではない、とSegerdahlは言う。成功したアタッカーは、「メモリー上で起きるあらゆるものごと」を盗むことができる。パスワードや企業のネットワークIDなど、盗まれればさらに深刻な被害につながりかねない。

彼らの発見は、公表される前にMicrosoftとAppleとIntelに伝えられた。研究者らによると、攻撃に耐えられれたのはごく僅かなデバイスだけだった。MicrosoftはBitLocker対策に関する最近更新された記事で、スタートアップPINコードを使うことでコールドブートアタックを緩和できると書いたが、Windows “Home” のユーザーは残念ながらそれができない。なお、T2チップを内蔵したApple Macは影響を受けないが、それでもファームウェアにパスワードをかけることで保護は強化される。

MicrosoftとAppleは両社ともこの問題を軽視していた。

アタッカーはデバイスを物理的にアクセスする必要があることを認め、Microsoftはユーザーに対して「デバイスへの物理的な不正アクセスを防ぐことも含め、適切なセキュリティー習慣を実践すく」ようユーザーに勧めると言っている。Appleは、T2チップをもたないMacを保護する手段を検討していると語った。

Inte にも問い合わせたが、公表できるコメントはないと言った。

いずれにせよ、研究者らによると、該当するコンピューターメーカーが既存デバイスを修正できる見込みはあまりない。

「残念ながらMicrosoftにできることは何もない。なぜならわれわれはPCハードウェアメーカーのファームウェアの欠陥を利用しているからだ。」とSegerdahlは言う。「Intelのできることにも限度がある。エコシステムにおける彼らの立場は、メーカーが新しいモデルを作るためのリファレンスプラットフォームを提供することにある」

企業もユーザーも「各自で」行動する必要がある、とSegerdahlは言った。

「こういう出来事に備えておくことは、デバイスがハッカーによって物理的に損なわれることなどないと仮定するよりも、好ましい行動だ。そんな仮定が成り立たないことは明らかなのだから」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook