中国Didi、殺人事件を受けて相乗りサービスを一時停止へ

中国最大の配車サービスDidi Chuxing(滴滴出行)は、乗客がドライバーに殺害されるという事件の発生を受け、同社が展開する相乗りサービスの一つのHitchを1週間停止する。

殺害されたのは21歳の女性客室乗務員Liさんだ。中国の官営英字メディアGlobal Timesの報道によると、事件は5月5日夜に発生した。仕事を終えたLiさんは、河南省の鄭州新鄭国際空港から帰宅するためHitchで配車を依頼。Hitchは、同一の目的地に向かう人が相乗りできるサービスだ。報道では、Liさんはドライバーに凶器を使って殺害された、との警察発表を伝えている。

Didiは2016年から、ドライバーを確認するのに顔認証システムを活用している。最初に行うドライバー登録手続きをスピードアップし、また運転業務を行う際の不正行為を防ぐためのものだ。このシステムでは、アカウントを持つドライバーが自撮り写真を撮り、そのデータがDidiの持つ情報と一致したときにだけアプリが使えるようになる。

今回の悲惨な事件では、このセーフガードは機能しなかった。

Didi によると、Liu Zhenhua容疑者はプラットフォームに登録はしていなかったが、父親が持つドライバーアカウントを利用し、アプリにアクセスして配車依頼を受けることができる状態にあった。Didiは、その日は顔認識システムに“欠陥”があり、アカウントの不正利用を防ぐことができなかったとしている。

しかしながら、予兆はあったようだ。Didiによると、そのアカウントに関しては、今回の事件が起こる以前に乗客からセクハラの苦情があった。その苦情は父親に対するものなのか、アカウントにアクセスしていた容疑者へのものなのかは不明だが、苦情を受けてDidiは少なくとも5回アカウントに連絡を試みて、結局つながらなかった。苦情があったにもかかわらず、このアカウントはログインでき、配車依頼を受けることができたのだ。

「プラットフォーム上の仲裁規則が完全でなかったために、苦情はその後適切に処理されていなかった」とDidiは文書で認めている。

Hitchは、通勤や中長距離移動にフォーカスした都市をまたぐ相乗りサービスで、乗り合わせた人が燃料代とドライバーの基本料金を割り勘にするというものだ。Didiの稼ぎ頭の相乗りサービスには影響はないが、Hitchの一時停止は5月12日からだ。この一時停止期間中、同社はドライバー全員を対象にドライバーと車両の情報にミスマッチがないか再調査を行う。

Didiはまた、プラットフォームの運用と顧客サポートシステムの改善を約束している。

TechCrunchへのコメントで、Didiは事件に関して責任があることは“否定できない”として“深い自責の念”を明らかにしている。

我が社が提供するサービスDiDi Hitchの利用中にLiさんに起こった悲劇につきまして、遺憾の意とともに深くお詫び申し上げます。極めて非道な事件であり、慚愧に堪えません。Liさんのご家族に対し、心からのお悔やみとお詫びを申し上げます。利用者の信頼を得るためには、何らかの行動が必要と考えております。今回の事件に関しましては、当社に責任があることは否定できません。

この件に関しては専従の職員を配置し、現在、捜査当局にできる限りの協力を行なっております。殺人犯は処罰されるべきであり、これはLiさん、そしてLiさんのご家族が当然望むものです。

被害に遭われたLiさんとLiさんのご家族、そして広く皆さまにも重ねてお詫びを申し上げます。このような事件が二度と発生しないよう、今後、事業全般を見直す所存です。

Global Timesの報道では、同社は今回の殺人事件に関する情報提供者には100万元(15万ドル超)の懸賞金を支払うとしている。

Didiはいま、同業他社との競争に直面している。ライバルであるMeituan Dianping(美団−大衆点評)はつい最近ライドシェアサービスを導入し、またMobikeの買収でドックレスの自転車シェアサービスにも参画を果たした

Didiは2016年にUberの中国事業を買収して以来、中国唯一そして最大のライドシェア事業者となったわけだが、今回のような乗客が被害に遭う殺人事件は初めてではない。2年前、深セン市の女性がDidiのドライバーにより強盗殺人に遭っている。

UberやLyftでも同様に極めて重大な事件が発生している。

米国では、2014年にサンフランシスコで7歳の少女がUberドライバーによってひかれ、2016年にはミシガン州でドライバーが配車サービスの業務中に6人を殺害した。そのほか、オーストラリアやレバノン、シンガポール、インドなどでも深刻な事件が起きている。

Uberの自動運転車は今年、市民を巻き込んだ交通事故を起こしている。3月にはアリゾナ州テンペで自動運転中だったUberのSUVに女性がひかれ、死亡した。警察は、この事故に関しUberに責任はないとしたが、同社はその後自動運転テストを一時停止した。

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(翻訳:Mizoguchi)

I/O:Google Payが全面アップデートへ――新APIでチケット購入、ボーディング・パス発行などに対応

マウンテンビューで開催されたGoogle I/Oデベロッパー・カンファレンスでGoogle Pay(以前のAndroid PayとWalletが統合)の大幅アップデートが発表された。今回Googleがオンライン支払プラットフォームに追加した新しい支払機能にはAPIの利用、P2P送金、チケット購入、ボーディングパス発行などが含まれる。

ブラウザやデバイスのサポートの追加が予定されていることはすでに発表されていたが、アップデートの詳細が明らかになったのは今回の I/Oが最初だ。新機能はGoogle Payプラットフォームに順次公開される。

特に目立った新機能の一つはGoogle PayアプリでP2P送金が可能になったことだろう。この機能は当面アメリカとイギリスでリリースされる。

また支払履歴はあちこち探し回る必要なしに、アプリ内から一箇所で確認できるようになった。

Google Payのプロダクト責任者、Gerardo CapielはI/Oのデモセッションで次のように述べた。

今回アップデートされる新しいGoogle Payでは、Googleを経由するすべての支払が単一のアカウントで処理できるようになる。対応店舗での支払時だけでなく、Playストア、YouTube、サードパーティーの通販会社、Uber、友だちへのP2P送金などすべての支払について全体像が一覧できる。

ユーザーは送金、送金の要請などGoogleアカウントに関連する支払関連の履歴をGoogle PayのiOSアプリでも表示し、確認できる。

I/Oはデベロッパー・カンファレンスなので、こうした新しい機能はデベロッパーが利用できる新しいAPIという形で紹介された。

デベロッパー向けの努力の第一歩としてGoogle Payをサードパーティーのアプリに組み込むための新しいAPIがリリースされた。

「われわれのAPIセットを使えば、サードパーティーのマーチャントはアプリであれウェブサイトであれ(支払情報がGoogle Payに登録ずみの)準備済みユーザーに関しては簡単に支払を処理できる」とCapielは述べた。

Capielによれば、デベロッパーはGoogle Payをサポートすることによって処理の迅速化とコンバージョン率のアップを図ることができるという。

これに加えて楽曲や飛行機のチケットの購入、ボーディングパス発行も、関連する情報をGoogle Pay APIに渡すことで処理できる。この場合、会員カードへのポイント、マイレージの加算
も従来どおりサポートされるという。

これによりiOSアプリ開発のUrban Airshipや送金プラットフォームのDotDashPayなどは顧客企業に提供しているアプリにGoogle Payを利用してチケットや契約をアップグレードする機能を容易に追加できる。

DotDashPayのファウンダー、CEOのSean Ariettaはプレゼンの後でTechCrunchの取材に対して「Google Payがデジタルウォレット機能の強化にこれまで以上に取り組んでいるのは心強い。今回のGoogle PayのアップグレードでわれわれDotDashPayのようなパートナーが提供しているブランドと消費者を結びつける機能がさらにアップグレードされた。支払からNFCによるタップ認証までまでの一連の流れをすべてこなすところがデモされたが、非常に強力だった。Google Payはほぼ完璧な仕上がりになった」と述べた。

Urban Airshipも今週、プレスリリースでアップグレードを発表している。【略】

Google Payがチケット購入をサポートするにあたってのアーリー・パートナー、 Singapore Airlines、Eventbrite、Southwest、FortressGBなどが含まれる。FortressGBはイギリスを始めとする各国でプロサッカーリーグのチケットを扱っている企業だ。

近くGoogle Payを採用する予定の公共交通関係のパートナーにはカナダのバンクーバー、イギリスのバス会社や近くスタート予定のラスベガス、ポートランドの交通機関が含まれる。

今回Google Payの普及度について新しい数字が発表された。それによるGoogle Playストアでのダウンロードは世界18カ国の提供地域で1億回以上となっている。

今回発表されたGoogle Payアプリの新機能の多くは世界で数十億といわれるGoogleユーザー向けに近々公開される。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

誰もがISPになれる教育指導サービスNectoがY Combinator 2018冬季を巣立つ

都市に住んでると、数社の大手ブロードバンドやワイヤレスのキャリアからインターネットプロバイダー(ISP)を選ぶことになる。ComcastかAT&Tか、などと。しかし実は、機会をねらっている地元のキャリアはほかにもたくさんいる。そこでBenjamin Huangは、ローカルISPを育ててユーザーがもっと多くから選べるようにしたい、と考えた。

そして生まれたのが、HuangとAdam MontgomeryをファウンダーとするNectoだ。このスタートアップは、一種のISP学校のようなものを作って、人びとが自分のインターネットサービスプロバイダーを立ち上げられるようにする。それはふつうなら難しい目標だが、Nectoは個人を対象として、ネットワークの作り方や、正しい装置の揃え方、消費者が大手キャリアから乗り換えてくれるためのデプロイ方法などの学習を助ける。たとえばすでにサンフランシスコの新興プロバイダーSonicは、はやいインターネットを安く提供しようとしているが、自分のISPを作ってそれをビジネスにしたい、と考える個人はもっとたくさんいる、とHuangは語る。Nectoは、Y Combinatorの2018年冬季クラスから孵化した。

“最終的には、ネットの中立性が問題にならないような中小のISPがたくさんいる状態にしたい”、とMontgomeryは言う。“インターネットサービスプロバイダーは今やとても安い費用で容易に立ち上げられる。まだそのことを知らない人が多いが、ネットワーキングの専門技術者とか、大量のスタッフとか、そんな高価なものは、もう要らないのだ。うちは、ISPスターターキットをサービスとして提供する。運営者へのガイダンスも提供する。彼らが、うちの顧客だ。装置はどんなものを買って、それらをどう構成するのか…それもガイドする。まあ、IKEAの家具を組み立て方を教えるようなものだ。ルーターの構成のような難しい部分は、自動化して楽にする。

Necto自身がまさに、インターネットサービスプロバイダーをやろう、というところからスタートしたが、しかしHuangとMontgomeryは、ホールセール(卸)のファイバーを見つけて使うことが参入障壁になっていることを悟った。そこで二人は、ホールセールのワイヤレスに目を向けた。Huangによるとその技術は近年ではブロードバンドなみに速くなっているし、再販もある。難しいのは、自分のISPをやりたい個人が装置を揃えて事業を開始する部分だ。カスタマーサービスも個人にとってはたいへんだ。そこでそれらの部分をNectoが面倒を見る形で、彼らがレースに参戦できるようにした。

Nectoが課金するのは、ISP開業のハウツーに関するガイダンスで、それを学校の教室(クラス)のような形でやる。装置の準備を自動化するソフトウェアも、提供していく。それら個人に対する、今後のサポートも重要だ。装置類は一般市販の既成品のみ、とHuangは言う。安上がりにすることが、重要だからだ。

消費者を顧客としてつかむことも重要だが、それは地元の産直市に出掛けて、そこの運営者の協力を取り付けるなど、ハイパーローカルなやり方になる、とMontgomeryは言っている。誰がISPをやりたがっているか、などの情報もそんな地元の人脈基盤の上で分かってくる。ホールセールのワイヤレスプロバイダーとの付き合いに関しても、個人のISPを事業として成り立たせるためには彼らの協力を取り付けることが欠かせない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Instagramがアンケートを楽しくするために絵文字スライダーステッカーを追加

もし新しいヘアスタイルの出来栄えを、友人たちにどれだけセクシーか「ナスビ度」(ナスの絵文字は一部の人たちの間ではセクシーな意味合いを持つ)で聞いてみたいなと思っていたならおめでとう。今日(米国時間5月10日)Instagramは、「絵文字スライダー」という機能を発表した。これは任意の絵文字を使ってフォロワーたちが投票を行う、フィードバックステッカーだ。この更新されたInstagramアプリは、現在App StoreとGoogle Playの両方で利用可能になっている。

たとえば、金曜日の夜に外出しないことにして、際どい自撮り写真を撮り、友人たちにその行為を、天使の絵文字もしくは怪しい悪魔の絵文字でレーティングしてしてもらうことができる。あるいは、ヘビなのか、それとも小さな足を持つサンショウウオなのかが判然としない生き物を見た際に、Instagramのストーリーをよく読む人たちに、ヘビの絵文字を使って「ヘビ度」を0から100パーセントの範囲でレーティングしてもらうこともできる。こうした実用的とは言い難い応用はいくらでも考えられる。

Instagramによると、絵文字スライダはpoll stickerの人気から生まれたと言う。poll stickerは確かに友人やフォロワーたちに自然な参加を促す楽しい手段だ。絵文字スライダを使用することで、単純な2択の質問代わりに、対象の「絵文字度」をアナログ尺度で尋ねることができるというわけだ。なにしろ2択なんてもう終わってるからね。

もしも使ってみる気になったなら、絵文字スライダーはストーリーのステッカートレイの他のナンセンスなものたちの中に見つけることができる。ただそれを選んで、質問を書き、ストーリーに放り込もう。やがて甘い甘〜いフィードバックがパラパラと…。

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(翻訳:sako)

ニッセイのアクセラレータプログラム「50M」、第1期デモデイ――優勝は船舶のIoT化めざすライトハウス

日本生命グループでスタートアップ投資行うニッセイ・キャピタルは5月11日、同社のアクセラレータプログラムである「50M」の第1期採択企業のデモデイを開催した。

1991年の設立以降、約27年にわたりスタートアップ投資を手がけてきたニッセイ・キャピタル。運用期間13年のファンドはこれまでに8つ組成されている。同社が手がける50Mは約5ヶ月間のアクセラレータプログラムで、採用企業はその期間中、担当するキャピタリストとともに2人3脚での事業立ち上げを目指す。

また、その名の通り、50Mは「特に優秀な企業に対し、5000万円(50 Milion Yen)の投資を実行する」と明言している。すでに第1期採択企業のうち数社には出資が実行されているという。

第1期プログラムは2017年12月〜18年5月までに実施。今回のデモデイは、採択企業がプログラムによって成長した姿をお披露目する場だ。同プログラム採択企業名と、ビジネス概要は以下の通り。

  • 電玉: 伝統的な玩具のけん玉とIoTを融合するメーカー
  • アイリス: 事業内容はステルスのため、非公開
  • Gecipe: ゲームアプリの攻略動画の提供
  • Handii: 従量課金制の無人ジムの運営
  • TradFit: クラウドAIを活用した音声データプラットフォームの構築、および運営
  • Yper: 置き配バッグ「OKIPPA」の開発で、宅配業のラストワンマイルにおける課題解決
  • ライトハウス: 船舶のコネクテッド化による漁業の効率化
  • リマールエステート: 不動産売買仲介業の業務支援システム「キマール」を開発
  • SEIMEI: 生命保険業務のRPAシステムの開発
  • Quadlytics: ウェアラブルデバイスによる生体信号の計測、リアルタイム解析
  • NearMe: タクシーの相乗りサービスの運営
  • PLAce: 保育園・幼稚園向けの出欠連絡、忘れ物防止アプリの開発
  • ウェリコ: SMB向けのニッチなSaaSを複数展開
  • スタジオアンビルト: 建築図面や設計プランを全国のデザイナーに外注できるサービスの開発

合計で5時間にもおよぶピッチイベントの結果、見事に最優秀賞(第1位)を獲得したのは、船舶のIoT化めざすライトハウスだった。以下、第2位にアイリス、第3位にYperと続いた。また、オーディエンス賞はアイリスが受賞した。ニッセイ・キャピタルは、「今後も採択企業には、ニッセイ・キャピタルの豊富な資金力を活かし必要なタイミングで、必要な資金を投資していく」としている。

外科手術ロボットDa Vinciを使った初の脊索腫除去手術が成功。患者はすでに職場復帰

eng-logo-2015ペンシルベニア大学の医師が、世界初のロボット支援による脊索腫(せきさくしゅ)除去手術に成功しました。脊索腫は頭蓋底腫瘍(ずがいていしゅよう)の中でも最も治療が困難な病気と言われ、手術は患者の背骨と頭蓋骨の間にできた腫瘍を取り除くという熟練の外科医でも困難な内容でしたが、医師は千手観音的なアームを備える外科手術ロボットDa Vinciを使用し、のべ20時間にわたる手術を無事に終えたとのこと。

手術は3段階に分けて実行されました。まず神経外科医が患者の首から腫瘍ができた脊柱を超音波で切断。次いで、口から喉の奥を切り開いて(切断した) 脊柱にアクセスして、Da Vinciロボットアームで腫瘍をくまなく除去。最後に腫瘍を取り除いた部分に体の別の場所から採取した骨などを継ぎ足して、背骨は再建されました。

この手術は神経が通る脊柱部分に関わるため、これを傷つけてしまうと患者に麻痺が残る可能性がありました。また腫瘍をすべて取り除かなければ再び残った部分が成長してきてしまう可能性もあります。

今回の手術は、従来なら放射線による緩和治療に頼るしかなかったこのような症例においても、外科ロボットを使えば積極的に腫瘍を除去できるようになったことを意味します。手術に関わった医師は、この方法が患者への負担も小さく済み、回復も早いことも指摘しました。

なお、この手術は2017年の8月に実施されました。術後の患者の回復も良好で、すでに完全に回復して職場復帰を果たしたとのこと。

手術はロボットによるというよりは医師がロボットアームを操作したという方が正確かもしれないものの、このような細かい作業を要する人間には難しい手術でロボットが有効に機能したというのは喜ばしいこと。まだまだ先の話とは思われるものの、もしもAIが医師を凌ぐ手術スキルを獲得できるようになれば、SF映画のような全自動手術ロボットが登場する未来も現実化するかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

売りたいものを家に取りにくる出品代行サービス「トリクル」、梱包や発送など面倒な作業は一切不要に

売りたいものはたくさんあるけど、フリマサービスやオークションに出品するのは少し面倒ーーもしそんな悩みを抱えている人がいれば「トリクル」というサービスをチェックしてみるといいかもしれない。

5月11日にSpiceが公開した同サービスは、ユーザーが売りたい物を家まで取りに来て、販売代行までしてくれるというもの。商品の出品手続きや梱包、発送業務といった一連の作業が不要になることが特徴だ。

ユーザーがやることは、サイトから集荷日時を選んで当日スタッフに商品を渡すだけ。商品は1点から依頼でき、本や洋服、コスメ、家具など幅広いジャンルが対象になる(基本的には販売できるものが対象になるため、汚れがひどいものや大型の家具・家電など集荷できないケースもあるそう)。集荷は朝10時〜深夜24時までで費用は無料。現在対応しているエリアは渋谷区・港区・目黒区・品川区・世田谷区・新宿区だ。

集荷した商品はトリクル側がAmazonなど既存のマーケットプレイスやオークションサイトで販売。取引が完了したものについては、販売額から30%の手数料と購入者への送料を差し引いた金額がユーザーの取り分となる。ユーザーはサービスの画面上で商品のステータスが確認できるほか、売れた際にはSMSで通知を受けることができる。

Spice代表取締役の徳泉成夏氏によると、周囲の人に困っていることをヒアリングしてみたところ「家に売りたいものはあるけれど、売るのが面倒」だという声が数人からあがったそう。フリマアプリなど二次流通マーケットが成熟してきたからこそ、便利になる一方で、出品者側には丁寧なコミュニケーションやスピード感のある対応が求められるようにもなってきた。

そのような背景も含め、既存のチャネルで物を売るに至っていない人達が「面倒」だと感じている作業をなくすことができないかを検討。結果として梱包や配送の手間もなくし、ユーザーは家で商品を渡すだけで済むというアイデアに行き着いたのだという。

事前にテストリリースをしてみたところ、同じ課題を感じているユーザーが多く中には1人で200点以上の集荷を依頼して人もいたそう。商品としては洋服などが多く、数点のみというよりはある程度まとまった数の商品を売りたいユーザーが多いようだ。

「手数料がものすごく安いというわけではないし、値付けが自分でできるわけでもない。ただそれでも使いたいと思ってくれる人が一定数いると考えた。その人達にとって使いやすいサービスにしていきたい」(徳泉氏)

ハッカーのKevin Mitnickがフィッシングで二要素認証をバイパスする方法を教える

二要素認証(two-factor authentication, 2FA)を破ろうとするハッカーは、ユーザーに偽のログインページを送り、ユーザー名とパスワードとセッションクッキーを盗む。

KnowBe4のチーフ・ハッキング・オフィサー(Chief Hacking Officer) Kevin Mitnick*が、そのハックをビデオで公開している(下図)。ユーザーがLinkedInを訪ねようとしたら、一字違いの“LunkedIn.com”のページを送ってログインさせ、パスワードと認証コードを捉える。そしてそれらを使って本物のサイトにアクセスしたハッカーは、セッションクッキーを入手する。そのあとハッカーは、いつまでもログインできる。これは要するに、一回かぎりの2FAコードを使って偽のログインをし、データを盗むのだ。〔*: Mitnickの著書。〕

“Kevinの友だちのホワイトハットハッカー(white hat hacker, 犯罪行為をしない研究者的ハッカー)が、ソーシャルエンジニアリングの巧妙なやり方で二要素認証をバイパスするツールを開発し、それを使うとどんなサイトでも破れる”、とKnowBe4のCEO Stu Sjouwermanは語る。“二要素認証はセキュリティの層を一つ増やすが、でもそれだけで企業を守ることはできない”。

ホワイトハットハッカーのKuba Gretzkyが作ったそのevilginxと呼ばれるシステムは、彼のサイトに詳しい技術的説明がある。

Sjouwermanによると、セキュリティ教育の中でもとくに重要なのがフィッシング対策であり、被害者がセキュリティについてよく知り、メール中のリンクをクリックすると危険!と知っていたら、このようなハックは成功しない。そのことをぼくに教えるために彼は、本誌ライターのMatt Burns(matt@techcrunch.com)が、記事中の誤字について述べているメール(偽メール)を送ってきた。そのメールにあるリンクをクリックしたらリダイレクトサイトSendGridへ連れて行かれ、そこからTechCrunchに放り込まれた。しかしそのペイロードは、きわめて悪質だった。


そしてSjouwermanは曰く、“これで分かったと思うが、今や新しいセキュリティ意識が必要であり、とくにフィッシングをシミュレーションで体験することが重要だ。なぜなら、防衛ラインの最後尾を固めているのはソフトでもハードでもなく、人間だからだ”。

彼の予想では、この偽メールを使ったテクニックが数週間後に流行(はや)って、ユーザーとIT管理者はセキュリティのためのプロトコルを強化せざるをえなくなるだろう、という。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ペンシルベニア州立大の研究員が本物のクローキングデバイスを作った

ペンシルベニア州立大学の研究員Amanda D. Hanfordが、音波を迂回させる(反射しない)ことによって、一部の感知技術に対してオブジェクトを不可視にする、本当のクローキングデバイス(cloaking device, 物を隠すデバイス、忍者デバイス)を作った。

報告記事は曰く:

Hanfordのチームは、音波が、反射せずに迂回して進むようなメタマテリアルの開発に取り組んだ。メタマテリアルは一般的に、密度が負である、など、自然界に存在しない特異な性質を示す。そのために、メタマテリアルの最小の構成部位であるユニットセルは、この研究の場合、音波の波長よりも小さくなければならない。

Hanfordは、水面下で音を偏向させる音響学的なメタマテリアルを作った。それは、難しい開発テーマだった。テストではその素材を水中に置き、それをねらって発射した音波を測定した。水中のエコーは、音波がその素材から反射していないことを、示していた。したがってその新素材は、ソナーにとって不可視だろう。

まだ初期的段階の技術なので、オブジェクトが完全に不可視にはならないが、しかし水中では検出がきわめて困難だ。これからは、水平線上にレーザー銃を備えた潜水艦が現れたら、船の船長は“クローキングデバイスをonにせよ!”、と叫ぶようになるかもしれない。そう考えると、なかなか楽しい技術だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ウェブマスターとコンテンツ クリエイターの方々のお役に立つために

魅力的なウェブサイトは、有益なコンテンツやサービスを世の中に届けようとご尽力されている、サイトを運営する皆様の努力が実を結んだものです。ウェブサイトの運営は、数年前に比べれば効率化されましたが、それでも骨の折れる仕事であることに変わりありません。私たちが Google 検索の改良に膨大な時間と労力を費やしている理由はそこにあります。ユーザーがコンテンツを見つけるまでのところは Google にお任せいただき、皆様にはユーザーの役に立つ魅力的なコンテンツを作ることに集中していただきたいのです。

Google 検索でどんな処理が行われているかは、あまり気にしても仕方ないと考えていらっしゃる方が多いかもしれません。確かにコンテンツを公開しておけば、Googlebot が自動的に見つけてクロールし、コンテンツを理解してインデックス登録し、サイト内の適切なページにユーザーを誘導してくれます。しかし、技術的なことを理解しているのとまったく知らないのとで、大きな差が生まれることもあります。

Google は、サイト所有者様向けのサポートやリソースの充実に力を注いできました。Google に質問したいと感じたときや、なぜそういう結果になったのか疑問に感じたとき、技術的な問題を解決する方法がわからないときは、世界中の Google エキスパートが力を合わせて作成しているこれらのリソースをぜひご覧いただけたらと思います。

最初におすすめしたいのが Google ウェブマスターです。すべてのサポート リソース(多くのコンテンツは 40 の言語に対応しています)を 1 か所にまとめ、探している情報に簡単にアクセスできるようにしました。例えば次のようなコンテンツがあります。

サポートが必要なときの 2 つ目の選択肢が Google ウェブマスター ヘルプ フォーラムです。現時点では、16 か国語(日本語英語スペイン語ヒンディー語フランス語イタリア語ポルトガル語ドイツ語ロシア語トルコ語ポーランド語バハサ インドネシア語タイ語ベトナム語中国語韓国語)で運営されています。フォーラムには専任の Google 社員がおり、皆様の質問にきちんと回答が寄せられているかどうか目を配っています。フォーラムを管理する Google 社員のほかに、トップレベル ユーザー プログラムのメンバーとして、コミュニティを積極的にサポートしてくれるユーザーがいます。彼らには、個別のウェブサイトのコンテンツに関する情報提供や分析など、Google ではなかなか難しいきめ細かい対応をお願いしています。フォーラムは基本的に公開されたディスカッションの場ですが、必要に応じて非公開で個別に返信することも可能です。

ウェブサイト所有者が利用できる 3 つ目のサポート手段が、オンラインのウェブマスター オフィスアワーです。現在のところ、日本語、英語、ドイツ語、トルコ語、ヒンディー語、フランス語で開催しています。ウェブマスター オフィスアワーでは、Google 検索でのウェブサイトの掲載についてなど、皆様からの質問に Google 社員ができる限りお答えします。カンファレンスやイベントの一番の醍醐味は参加者との質疑応答ですが、オンライン形式のオフィスアワーは、遠方でイベントに参加できない方々と意見交換できる貴重な機会となっています。今後のウェブマスター オフィスアワーやイベントの予定については、Google ウェブマスター カレンダーをご覧ください。

これらのリソース以外にも、How Search Works (検索の仕組み)というウェブサイトを頻繁に更新し、検索を利用したいと考えているすべての方が必要な情報を確実に見つられるよう、努力しています。

ウェブ上に公開したサイトは誰でも見ることができます。しかし状況によっては、ウェブサイトの問題についてフォーラムでオープンに議論したくない場合もあることは承知しています。特に慎重な対応が必要な問題で詳細を公にしたくない場合には、フォーラムの「非公開での返信」機能を使用して、経験が豊富な少人数のエキスパートに、必要最小限の情報を提供するかたちでサポートを受けることもできます。

Google 検索とウェブサイトに関連して他にご提案などございましたら、フォーラム、オフィスアワー、Twitter(@googlewmc)宛にお知らせください。

AWSのデータベースサービスAuroraにアンドゥ機能が誕生、72時間の遡及可能

AWSの‘マネージドMySQL/PostgreSQL’データベースサービスに、アンドゥ機能がつく。今日の同社の発表によると、そのAurora Backtrack機能により、ユーザーは“時間を逆行できる”。今それはMySQLのみだが、この機能を有効にするとそれ以降新たに作られるデータベースクラスターとバックアップからリストアされたクラスターに対し、アンドゥができるようになる。それまであったデータベースは、ノーだ。

この機能を有効にすると、AWSは最大72時間ぶんのトランザクションのログを取る。本番のデータベースに不正なテーブルを入れた、などの間違いに気づいたら、アプリケーションをポーズして、どこまで戻りたいか、時間(時刻)を指定する。するとAuroraはデータベースもポーズして、開いているすべての接続を閉じ、まだコミットしてないものをすべて落としてから、指定された時点までロールバックする。

もちろん、トランザクションの逆行はAWSが初めてではない。MySQLも含め、多くのデータベースシステムが、すでに何らかの形で実装している。ただしそれらの多くは、今日AWSが発表したものに比べると範囲が狭い。

AWSのチーフエヴァンジェリスト(Chief Evangelist) Jeff Barrが今日の発表で言っているが、それは災害復旧だけが目的ではない。彼はこう書いている: “あなたも、このクールな新しい機能の、クリエイティブで奇抜な使い方を、きっと思いつくだろう。たとえば、本番データベースでいろんなテストをして、そのテストの痕跡をすべて掃除することもできる。復旧の指示は、APIまたはCLI(コマンドライン)からできるから、この機能を既存のテストフレームワークに統合するのも容易だ”。

Aurora Backtrackは今、すべてのデベロッパーが使える。料金は、アメリカリージョンではレコードの書き換え100万文字につき約0.012ドルだ。ヨーロッパとアジアでは、やや高くなる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、カーボンフリーのアルミニウム精錬に1000万ドルを投資

カナダのジャスティン・トルドー大統領とケベック州のフィリップ・クイヤール首相は、Appleならびに製造大手AlcoaおよびRio Tintoの主要役員らと共に、温室効果ガスを出さない新しいアルミニウム精錬法を発表した。

AlcoaとRio Tintoはモントリオール拠点のジョイントベンチャー、Elysisを設立してこのプロセスを推進し2024年の商用化を目指す。製造工程で発生する炭素を酸素で置き換えることに加え、新技術はコストを15%程度引き下げることも期待されている。

Appleがこの技術に飛びつき、ジョイントベンチャーに1300万カナダドル(1000万米ドル)を投資する理由は明白だ。同社は過去数年間、あらゆる分野で炭素排出量削減を強く押し進めてきた。つい先月Appleは、全世界の自社施設を100%クリーンエネルギー化したことを発表した。

「Appleは地球にとって良い技術、今後何世代にもわたって地球を保護するのに役立つ技術を前進させることに取り組んでいます。私たちは、この野心的な新プロジェクトの一翼を担うことに誇りを持っており、将来的に温室効果ガスの直接排出を伴わない製法で作られたアルミニウムを私たちの製品の製造に使うことができるようになることを期待しています」とTim Cookはリリース文で述べている。

関係各社とカナダおよびケベック州政府は、この先見的取組みに合計1.88億カナダドルを投資した。新事業の拠点はモントリオールに置かれるが、米国製造業界も分け前にあずかる。Alcoaはこの工程を用いた小規模な精錬をピッツバーグ郊外で2009年から行っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

下院民主党、ロシア発のFacebook広告3500点以上を公表

下院諜報特別委員会の民主党議員らは、ロシア拠点のインターネット調査機関、IRAがFacebook に掲載された広告数千点を公開した。

民主党によると、本日(米国時間5/10)公開したのは2015~17年にかけて掲載された広告3519点。ここにはIRAが一般投稿としてFacebookでシェアした記事8万件は含まれておらず、民主党は後日これも公開する予定だ。

これらの広告が実際にどれほど世論に影響を与えたのかは未だに不明だが、1140万人以上の米国民の目に触れたと民主党は言っている。

問題の広告はここですべて見ることができるが、ダウンロードするだけでもかなり時間がかかる。以前(少数)公開されたIRA広告についても指摘されたように、広告はトランプ支持むき出しではなく、 幅広い範囲のユーザーを対象に、目もくらむ数の意見や議論が書かれている。

「ロシアはソーシャルメディアを武器としてアメリカを分裂させるべく、2016年選挙を揺さぶろうとした」と、下院諜報特別委員会の有力メンバーである民主党のアダム・シフ議員はツイートした。「彼らは偽アカウントで偽のページやコミュニティーを作り、対立を呼ぶようなオンラインコンテンツとビデオを拡散し、アメリカ人を実際に動かそうとした」

議員はさらに、「ロシアが作ったFacebook広告をこうして公開することで、正当な政治的表現が守られ、アメリカ市民の求める情報が海外の広告主によって汚染されることが防がれることを願っている」と付け加えた

この公開にあわせFacebookも投稿で、2016年選挙の際に「このような情報運用妨害に気づくのが遅すぎた」ことを認め、今後の再発防止策(政治広告の公開データベースの構築など)の概要を示した。

「われわれの相手は決意の固い創造的で資金豊富な敵であり、これは永久に解決しない問題だ。それでも事態は着実に進展している」とFacebookは言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Alexa、Siri、Googleアシスタントは音楽でだませる――UCB、浙江大学等の研究者が超音波ハッキングを発表

Alexa、Siri、Googleアシスタントなどのポピュラーな音声認識アプリを超音波を使ってハッキングする方法がUCB(カリフォルニア大学バークレー校)の研究者によって発表された。超音波のコマンドを楽曲に紛れ込ませることにより、ユーザーに気づかれることなくアシスタントに特定の動作をさせることができるという。

New York Timesの報道によれば、これより前に発見されていたスマート・アシスタントを騙す方法を発展させたものだ。

昨年、プリンストン大学と中国の浙江大学の研究者は音声認識デバイスは人間には聞こえない超音波によって起動できることをデモした。 このハッキングでは最初にスマートフォンをミュートするのでユーザーはスマート・アシスタント側の返事を聞くことができない。

浙江大学の研究者によってDolphinAttackと名付けられたこの攻撃はスマートフォンに悪意あるサイトを訪問するよう命じる。このハッキングはスマートフォンの電話、カメラ、テキスト・メッセージなどを操作できる。ただし超音波の発信源が攻撃対象のデバイスに近くにある必要があるのがDolphinAttackの限界だ。しかし専門家は強力な超音波発信源が用いられる危険性を警告した。

<pこの警告は4月にイリノイ大学アーバナ・シャンペン校の研究者が7.5メートル離れたところから超音波攻撃を成功させたことで現実のものとなった。超音波は建物の壁を透過することはできなかったが、建物の外から開いている窓を通してデバイスを乗っ取ることに成功した。

今回のバークレー校の研究は悪意ある超音波コマンドを楽曲に紛れ込ませてデバイスを乗っ取るというものだ。 この攻撃では楽曲にある種のデジタルノイズが混じるが人間の耳には意味ある音声としては聞こえない。

このハッキングはまだ初期段階だが、音声アシスタントのセキュリティー全般に関してはまだほとんど研究がされていない。音声アシスタントの能力が拡大し、ユーザーがメールやテキストの送信だけでなく、ショッピングやバンキングにもアシスタントを利用するようになってきただけに、こうした攻撃の可能性は懸念を呼び起こす。

最初に考えられる防止策は、デジタル・アシスタントのメーカーがセキュリティー保持にもっと力を入れ、音声認証の精度を高めると同時に音声の本人性に疑念があるときはアシスタントの音声機能をロックダウンすることだろう。.Amazon Alexa、Googleアシスタントは両方とも音声パターンによって個人情報を特定のユーザーのみ利用できるようロックするオプションがある。AppleのiOSの場合、秘密度の高い情報の大部分はアクセス前にデバイスをアンロックしなければならない。

いちおうそうした対抗手段はあるものの、このハッキングがさらに進化すると非常に怖いことになる。メーカー側のすばやい対処とその情報の公開が強く望まれる。Google I/Oデベロッパー・カンファレンスでデモされたDuplexソフトウェアを見ても音声認識アシスタントの能力拡大に力を入れていることが見てとれる。今回Googleが発表したカメラ付きスマート・ディスプレイも音声で操作できるのでやはりこのハッキングに対象となるわけだ。潜在的攻撃対象は急速に拡大しつつある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

生物学を3Dで視覚化する強力なツールAllen Integrated Cellで感動しよう

細胞ってどんな形をしているのだろう? 絵を描(か)けと言われたらたぶん誰もが、中央に卵黄のある目玉焼きのようなものを描き、リボゾームを二本ぐらい添えるだろう。凝り性の人なら、さらに小胞体をざっと描くかもしれない。でも本物の細胞はそれよりもずっと複雑で、しかももちろん立体だ。そして細胞を実際に体(からだ)にあるとおりに、誰もが視覚化できるツールが、ここでご紹介するAllen Integrated Cellだ。

このツールを作ったAllen Institute for Cell Science(アレン細胞科学研究所)は、Microsoftの協同ファウンダーPaul Allenがシアトルに作った研究施設だ。この研究所は長年、主に細胞の視覚化を研究してきたが、今日(米国時間5/9)やっとそれをAllen Integrated Cellと名付けた企画として一般公開し、Web上でも見られるようにした。

このアプリケーションは、もっぱら幹細胞が対象だ。その3Dモデルは一般的な理論だけでなく、彼らが研究所内部で行った記録や観察にも基づいている。細胞のタイプは数十種類あり、プロテイン(タンパク質)をはじめ、細胞を構成しているさまざまな物質を像を切り替えながら見ることができる。

オルガネラやプロテインの位置を観察できただけでなく、このシステムはそのほかの類似の細胞を調べることによって、それらの位置を予測できるようになった。そこで、特定の物質を探索しなかった細胞についても、その存在を確率モデルから推測できる。

それが重要なのは、特定の物質やオルガネラを選んで蛍光染色し、顕微鏡で直接見るやり方が細胞にとって良くないからだ。そうやっていろんなものをタグ付けしていると、細胞が死ぬこともある。しかしモデルによって、細胞膜Bの存在と形からオルガネラAの所在を導けるのなら、タグ付けは不要だ。

研究所の常勤取締役Rick Horwitzがプレスリリースで述べている: “これは、人間の生きている細胞の内部を見る新しい方法だ。将来的にこの方法は、新薬の発見や疾病の研究など、人間の細胞の研究を必要とする研究開発の、あり方を変えるだろう”。

微生物学者でない人が見ると、これらは岩を描いたヘタな絵か、モダンアートに見えるだろう。しかし、ある種のプロテインの生体内の働きや、特定の医薬やホルモンへの反応、その分布を支配している体内的過程、などを研究している者にとっては、強力なツールになりえる。

関心を持たれた方は、研究所にある、人間の細胞のヴィジュアルガイドをご覧になるとよいだろう。それも今日公開され、見る人に高校時代の生物学を思い出させるだけでなく、撮影された動画等ではなくWebそのものの技術で描かれる、3Dのすばらしいビューアーを体験できる。

画像クレジット: Allen Institute for Cell Science

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アップル、Apple TVにサブスクリプション機能を追加か。チャンネル集約で個別契約不要に?

eng-logo-2015アップルが、Apple TVおよびiOS用のApple TVアプリにビデオサブスクリプションを提供するかもしれません。もしこれが実現すれば、Apple TV単体、もしくはiPhoneやiPadのApple TVアプリ(日本では未提供)のなかでHBOやShowtimeなどの月額ビデオサービスに加入し、それらを視聴できるようになります。

現在でもApple TVやApple TVアプリではHBOなどのサービスを見つけることができるものの、その視聴契約は個別に行う必要があります。

このしくみはアマゾンが提供するCannnelsサービスによく似ています。Amazon Channelsでは、ユーザーはHBOやStarz、Showtimeといったコンテンツを選んで視聴でき、それぞれの月額料金は割引価格でプライム会員費に上乗せされます。

Bloombergは、新しいApple TVアプリにおいて、Amazon Channelsと同様にそれぞれのサブスクリプションサービスをアプリ内から契約し視聴可能になると、アップルの内部に詳しい人物からの情報として伝えました。つまり、ユーザーとしてはいちいちサービスごとに視聴契約をする手間がなくなり、チャンネル感覚で各サービスを視聴できるようになるということです。

アップルはiTunesによる映画販売/レンタルにおいては最大の売り手となっているものの、世の流れがすでに月額の動画ストリーミングサービスに向かっている事は否めません。「趣味」と称してApple TVを発売し、テレビ画面への進出を目指していくつかの方法を試してきてはいるものの、名前どおりの「テレビ」としての役割はまだまだNetflixやHulu、Amazon プライム・ビデオの後塵を拝している状態です。むしろこれらサービスのアプリを提供して、その契約窓口に成り下がっていると言えなくもありません。

アップルは例によってこの件にコメントしていません。

Engadget 日本版からの転載。

中古建機の販売プラットフォーム「ALLSTOCKER」のSORABITOが3.6億円を調達

中古建機販売プラットフォーム「ALLSTOCKER」を運営するSORABITOは5月10日、Spiral Ventures Japanマーケットエンタープライズちばぎんキャピタルらを引受先とした第三者割当増資により、総額3.6億円を調達したことを明らかにした。

ALLSTOCKERはオンライン上で建設機械や重機、運搬車両を売買できるプラットフォームだ。初期から日本国内だけでなく東南アジアを中心にグローバルで活用され、現時点では150を超える国と地域からのアクセスがあるという。サービスの正式リリースは2015年11月。建機の買取販売などに携わっていた経験のある青木隆幸氏(SORABITO代表取締役)が立ち上げたもので、このあたりの背景などは以前TechCrunchでも詳しく紹介している。

現在はマーケットプレイス形式の「ALLSTOCKERマーケット」とオークション形式の「ALLSTOCKERオークション」を運営。軸となるALLSTOCKERマーケットでは建機を売りたいユーザーと買いたいユーザーをオンライン上でマッチングし、現在は月間で100台規模の取引数になっているという。

青木氏は以前にも日本の中古建機は品質が高く、海外で人気があるという話をしていたが、このニーズはさらに高まっているそう。そのためここ1,2年はより使いやすく、安全な取引ができるようにプロダクトやオペレーション面の改良を進めるとともに、出品数を拡大する取り組みに力を入れてきた。

直近では伊藤忠建機との提携のほか、今回の調達先でもあるマーケットエンタープライズとも中古建機・重機の買取・販売で事業提携を締結している。

「海外での成約も増え、継続的な顧客もつくようになってきた。アジアを中心とした中古建機の流通プラットフォームとして、まずは欲しいと思った建機がきちんと手に入るような環境を作っていく。並行して海外での営業も進めながら(国内外で中古建機の需要と供給をつなぐ)架け橋のような存在を目指す」(青木氏)

SORABITOでは調達した資金を通じて運営体制を強化するとともにサービスの充実を図る方針。今回リード投資家となったSpiral Venturesはアジアでも精力的に投資をしているVCで、今後は投資家のサポートも受けながらさらなる海外展開を進めるという。

なお同社は2016年5月にGMO VenturePartners、グリーベンチャーズ、JA三井リース、オプトベンチャーズ、SMBC ベンチャーキャピタル、個人投資家の小泉文明氏や高野秀敏氏らから5億円を調達。2015年11月にもGMO VenturePartnersらから約1億円を調達している。

起業家の有安氏を含む6人のメンバー、ブロックチェーン特化のコワーキングスペース立ち上げへ

ブロックチェーン領域に特化したスタートアップのHashHub。同社は5月10日、会社の設立と仮想通貨とブロックチェーン領域に特化したスタジオ型コワーキングスペースを今年夏頃にも立ち上げることを発表した。設立メンバーは、仮想通貨領域のメディアの運営やウォレットの開発などを手がけてきた東晃慈氏(HashHubの代表取締役に就任)を中心とする6人。その中には、起業家でエンジェル投資家の有安伸宏氏も含まれる。

HashHubのコワーキングスペースは東京大学がある東京都本郷に設立される予定だ。ブロックチェーンを活用したビジネスを立ち上げたい個人やチームが対象となる。入居費用は月額3万5000円から。

HashHubは施設をコワーキングスペースとして開放する一方で、自社でもブロックチェーン技術を使ったプロダクトやサービスの開発を進める。入居者も巻き込みながら新しい事業の開発に取り組むという、“スタジオ型”のコワーキングスペースだ。また、HashHubはブロックチェーン技術がオープンソースで開発されることの重要性を認識しており、売上の一部をオープンソースでの開発支援にあて、開発者による勉強会やワークショップ、技術アドバイスを行っていくという。

設立背景について、代表取締役の東氏は「国内では仮想通貨の投機市場が大きく伸びたが、それ以外のビジネスが育っていない。この状況を打破しなければ、海外勢に遅れをとってしまうとの懸念からコワーキングスペースの運営に乗り出した」と語る。

また、有安氏は「『分散型の◯◯を作ります!』と意気込む起業家と会えるようになったのは、ここ最近のこと。しかし、従来のWebビジネスと比較すると、ブロックチェーン関連事業に必要なテクノロジーや法関係などのノウハウには、黎明期ならではの学びにくさがあります」と話し、ブロックチェーン領域でイノベーションをおこす起業家へのサポートの重要性を語った。

HashHubのコワーキングスペースは今年の夏頃にオープンする予定だ。入居申し込みや価格プランなどの詳細は、このWebページで確認できる。

「学習と人脈のハブ機能となる物理的な拠点の誕生は、エコシステムにとって王道的な布石。かつて、日本のWebビジネス黎明期に渋谷周辺が「ビットバレー」と名づけられ、多様なベンチャーが集積したように、様々なblockchain startupが日本でもポコポコと生まれてくることを期待している」(有安氏)

AIでロゴを自動的にデザインしてくれるTailor Brandsが$15.5Mを調達

中小企業にブランド戦略とマーケティングサービスを提供するTailor Brandsが今朝(米国時間5/9)、シリーズBで1550万ドルを調達したことを発表した。

CEOのYali Saarによると、同社はデザインと機械学習が交わるところに位置している。というのは同社が、ロゴのデザインとコピーライティングとソーシャルメディア戦略を理解する技術を作っている、という意味だ。

同社の自動的に作られるロゴデザインは、すぐに人の目を引く。Tailor BrandsのWebサイトで、それを体験できる。有料で高品質な画像ファイルにもアクセスできるが、文字だけのロゴなら、あなたの会社に関する情報をいくつか入力すると、1分足らずで無料で作ってくれる。〔日本語文字はまだサポートされていない。〕

下図は、そうやって作ってもらった本誌TechCrunchの新しいロゴだけど、どうかな?

techcrunch tailor brands

Tailor Brandsは2014年の本誌TechCrunchのStartup Battlefieldでローンチし、これまでにロゴを4500万個作った、という。昨年の顧客数は386万で、毎月50万社ずつ増えているそうだ。

今回の投資ラウンドをリードしたのはPitango Venture CapitalのGrowth FundとBritish Armat Group、これにDisruptive TechnologiesとMangrove Capital Partnersが参加した。これで同社の調達総額は2060万ドルになる。今度の資金の主な用途は、グローバル展開と、多言語化、そしてブランド戦略のためのツールをもっと増やすことだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

副業人材と企業をつなぐシューマツワーカーが4000万円調達、登録ユーザーは1300人

副業したい人材と企業をつなげる「シューマツワーカー」を運営するシューマツワーカーは5月10日、KLab Venture Partnersサイバーエージェント・ベンチャーズ、および大冨智弘氏ら複数の個人投資家から4000万円を調達したと発表した。今回の資金調達は、J-KISS型新株予約権方式によるものだ。

シューマツワーカーはエンジニアやデザイナー、マーケッターなどの「副業社員」を、人材を求める企業に紹介するというエージェント型のサービスだ。現在までの登録ユーザーは1300人で、これまでに約80社への紹介実績があるという。利用企業として紹介してもらった企業群を見る限り、現在のところスタートアップ企業による利用が多いようだ。

シューマツワーカー代表取締役の松村幸弥氏は、エンジニア人材の採用コストがあがり、スタートアップが良いエンジニアを雇いづらいくなったという背景があると説明する。そういった理由から、パラレルワーカーとしてエンジニアを雇いたいという企業側のニーズが高いのだという。加えて最近では人事や広報の人材に対する企業からの引き合いも多くなったようだ。

「“副業社員”という言葉を流行らせたい。副業というものがもっと身近になるような社会になってほしい」(松村氏)

シューマツワーカーは2016年9月の設立。今回の資金調達は同社にとってシードラウンドという位置づけとなる。ちなみに、TechCrunch Japanで以前紹介した副業系サービスのカオスマップはシューマツワーカーが作成したものだ。