「パズドラのようなゲームを、サーバの知識なしで作れる環境を」ゲームインフラのGS2が8000万円を調達

「パズドラやモンストのようなゲームを、サーバの知識がなくても作れるような環境を整えていきたい」——ゲームサーバのクラウドサービスを提供するGame Server Services(GS2)で代表取締役社長CEOを務める丹羽一智氏は、同社の展望についてこう話す。

GS2が手がけているのはゲームサーバの開発・運用を行わずにゲームを作れるようにする、開発者向けのインフラサービスだ。同社は丹羽氏がセガや任天堂を経て2016年に創業。同年12月にワンダープラネットから資金を調達し、サービスのベータ版を公開している。

そんなGS2は3月30日、4社を引受先とした第三者割当増資により8000万円を調達したことを明らかにした。引受先となったのは大和企業投資GameWithKLab Venture Partnersディー・エヌ・エーだ。今回調達した資金を基に開発体制を強化し、サービスの拡充を目指すという。

サーバの保守、管理、運用が不要に

同社が手がけるプロダクトや、背景にある近年の技術トレンドについては前回の調達時に詳しく紹介している。ポイントとなるのは2015年ごろから注目されている「サーバレスコンピューティング」や「FaaS」と呼ばれる技術だ。

サーバレスというのは「サーバが一切必要ない」ということではなくて、「サーバの保守、管理、運用がいらなくなる」という意味。代表的なのはAmazonが手がけるAmazon Lambdaで、「API Gateway にHTTP リクエストが届いたら○○を実行せよ」というように、イベントが発生した際にあらかじめ登録しておいた関数を実行できる。

このFaaSによって開発者の負担も減った。プログラムの実行時間に対して課金されるので「利用した分だけ払う」ということができるようになる。従来はサーバの起動時間に対して課金されていたため、アクセスが少なくてもサーバを起動していれば費用が発生する点がネックになっていた。

このような概念をゲーム分野に持ち込んだのがGS2のサービスだ。GS2自身もサーバレスコンピューティングを活用して設計。低価格ながら大量のアクセスを捌けるスケーラビリティと、サーバダウンが発生しない高可用性を併せ持ったサービスを目指している。

具体的にはゲーム専用のSDKとAPIを開発。「ゲーム内通貨(魔法石)の管理機能」や「チャット機能」など、ゲームに必要な各要素を細かく切り分けて提供する。2016年12月の取材時には9個だったAPIの数は、現在21個になったそうだ。

初期費用は一切不要。1時間あたり数円〜数十円、ゲームサーバへのAPIリクエスト1000回〜10000回あたり数円というように、各サービスごとに使用時間またはAPIのリクエスト回数に応じて料金を支払う。「APIをたたくだけで使えるが、裏側ではすごいデータベースが動いている。使う側はシンプルで、かつ大量のアクセスにも耐えられる」(丹羽氏)サービスだ。

「FaaSは便利な一方で使いこなすのが難しいという側面もある。たとえばamazonが提供しているフルマネージドサービスは、独自のアーキテクチャで作られていて流儀を覚えるのに学習コストがかかる。サーバの基本的な知識ですら学習コストがかかるのに、FaaSの学習コストまでをみんなが支払う必要はない」(丹羽氏)

サーバのノウハウがなくてもゲームを作れる環境

GS2のサービスによって大きく2つの変化が起きる。1つはサーバを開発・運用するノウハウがない人でもゲームを作れるようになること。もう1つは従来に比べて開発の効率化が見込めるということだ。

「たとえばこれまで家庭用ゲーム機の開発をやってきた開発者たち。その中には面白いゲームを作ることはできるが、サーバには詳しくないという人も少なくない。そんな開発者が自分たちだけでもモバイルゲームを作れるようになる、というのを1つの目標にしている」(丹羽氏)

昨今ではモバイルゲームの配信開始時やイベント実施時に、サーバ障害が発生したというニュースもよく目にする。丹羽氏によると、これらは「設計ミス」「実装ミス」「キャパシティ予測ミス」のいずれかが原因となっているケースが多いそうだ。GS2であればゲーム毎にサーバシステムを都度開発する必要はないし、サーバ開発の経験や専門知識は必須ではなくなる。

「任天堂プラットフォームでは、ゲームサーバの開発・運用をせずともネットワーク対応のゲームを作れるような環境を実現できていた。一方でモバイルゲームにおいてはそれができていないため、開発効率の面で課題があったり、サーバ知識のない開発者が困ったりしている」(丹羽氏)

開発費の高騰や開発規模の大規模化、期間の長期化などはモバイルゲーム業界の課題。これらを解決するためには、開発効率向上を避けては通れない。

「Unityのようなゲームエンジンが開発効率を向上させ広がっていったように、サーバ側でこのような環境を提供していきたい。サーバのノウハウがないためにモバイルゲームを作れなかった開発者がチャレンジできるようになった結果、ユニークな発想の新しいゲームが生まれてくると嬉しい」(丹羽氏)

Apple CEO Tim Cookがプライバシーの懸念で再びFacebookを叩く

火曜日(米国時間3/27)に、Appleにとって昔から重要な教育市場に対する次のステップをプレゼンしたCEOのTim Cookは、Facebookを批判することを一休みしていた。しかしその翌日、MSNBCとRecodeの共催イベントに招待されたCookは再びFacebookのCambridge Analytica問題に触れ、消費者のプライバシーについて問いを投げかけた。

Cookはそのインタビューで、テクノロジーの大企業は自己規制が最良の態度だと思うがしかし、“今回はそれでは済まない”、と述べた。自分がもしZuckerbergの立場だったらどうするか、という問いに対しては、あっさりと、“私ならそんな状況にはならない”、と言った。

もちろんこのCEOは過去にも、Facebook批判をためらったことはない。2015年にはGoogleやFacebookのようなインターネット企業のやり方を暗に批判して、“彼らはあなたに関して分かることをすべて貪(むさぼ)り食って、それを金(かね)にしようとしている。それは間違っている、と私は思う。それは、Appleがそうなりたいと願う企業の形ではない”。

Cambridge Analyticaの一件がばれたあとの先週末にCookは、これと同じことを、Facebookに対するもっと直接的な批判として述べた。中国で行われたカンファレンスで彼は、“あなたが長年何に関するWebサイトを閲覧してきたか、あなたの連絡先は誰々か、彼らの連絡先は誰々か、あなたは何が好きで何が嫌いか、そしてあなたしか知らないはずの日常生活の細部、そんなものが分かる能力は、この世に存在すべきでない”。

Cookは今週も、同じことをステージで繰り返した: “われわれがもしも、そうやってわが社の顧客情報を金にしていたら、大量の金を稼げただろう。私たちの顧客を、自分のプロダクトにしていたら…。われわれは、それをしないことを選んだ”。

1月にアップデートされた同社のプライバシーポリシーにも、これと同じ心が映しだされている:

Appleはプライバシーが基本的人権の一部であると信ずる。したがってすべてのApple製品は、次のように設計されている:

  • 可能なかぎり処理はデバイス上で行う
  • データの収集と利用を制限する
  • ユーザーの情報に関してはコントロールをユーザーに与え透明性を確保する
  • セキュリティの強力な基盤の上で構築する

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebook、「Fighting Abuse @Scale」カンファレンス開催で姿勢を見せる

誤情報や詐欺、スパム等を阻止する取組みをアピールすることに必死のFacebook は、“Fighting Abuse @Scale”と題した招待制のカンファレンスを4月25日にサンフランシスコで開催する。FacebookのほかにAirbnb、Google、Microsoft、LinkedInから講演者が参加して、偽ニュースの阻止、偽造アカウント作成の抑止、ハニーポット(おとりシステム)を使った敵対組織の破壊、プラットフォームの安全強化のための機械学習の利用方法などについて議論する。

[アップデート:正式発表はされていないが、すでにカンファレンスは満席となった。Facebook広報によると、これは当初本誌が報じたような急遽企画されたイベントではなく最初の招待状は2月6日に送られていた。しかし、開催までひと月を切った時点で急遽報道を呼んだ行動は、現在進行中のデータ不正利用と選挙妨害スキャンダルに対するFacebookの取組み姿勢と一致している。

Fighting Abuse @Scaleカンファレンスはサンフランシスコのウェストフィールドモール内のBespoke Event Centerで開かれる。当日は、Facebookが今日選挙不正防止計画に関する電話会議で発表した先行的AIツールの技術的詳細を聞けることを期待している。この最初のセッションは「Facebookの誤情報と戦う」と題され、同社の技術部長とデータサイエンティストが登壇する予定だ。

過去にFacebookは、似たタイトルの“Fighting Spam @Scale” カンファレンスを2015年5月および大統領選挙直後の2016年11月に開催している。しかしそれ以来、同ソーシャルネットワークに対するいら立ちは限界に達した。ロシアの選挙妨害、有権者に対する誤情報の発信、Facebook Liveでの暴力、永遠に続くサイバーいじめ問題、および最近のCambridge Analyticaデータプライバシースキャンダルといった問題が反発の集中を呼んだ。株価の暴落、元幹部による同サービスの社会への影響に対する批判、CEO Mark Zuckerbergのメディア謝罪ツアーなどが続く中、Facebookはこれが単なる広報の問題ではないことを示す必要がある。ユーザーや規制当局や現在と将来の社員に対して、会社が責任をもってプラットフォームを改善しようとしていることを見せなくてはならない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

最新のテクニカルSEO:SMX West 2018レポート

テクニカルSEOというとページスピード、タグ設計、リンク構成などカバーする範囲は多岐にわたり、押さえるべき項目も変化を遂げるため常にキャッチアップする必要があります。SMX Westで語られた最新のテクニカルSEO事情をご紹介します。–SEO Japan

ページスピードはどこまで早くなれば良いのか?(Bastian Grimm氏)

Bastian Grimm氏

昨今、Googleはページスピードにとらわれている。そして、正式にランキングファクターとして用いており、とにかくページスピードを速くするようにと促してくる。

しかし、ページスピードはUXの要素であると私は考える。

実際、ユーザーはモバイルのページスピードの遅さを、ホラームービーを見ること以上にストレスを感じている。
ページスピードの遅さはホラームービーを見ること以上のストレス
Ericsson ConsumerLab. Neurons Inc 調べ(2015年)

昨今のページスピード問題は、計測が機械的に行われているという事である。

ユーザー体験に基づくページスピードの考え方

ユーザー体験とパフォーマンス基準を変換するとこのようになる。

ユーザー体験 対応した技術的基準
サーバーは動いているか? FP(ファースト・ペイント)/FCP(ファースト・コンテンツフル・ペイント)
ユーザーがエンゲージするためのコンテンツがレンダリングされているか? FMP(ファースト・ミーニングフル・ペイント) ⇒ ヒーローエレメント
もう使うことが出来る状態か? TTI(タイム・トゥ・インタラクティブ)
スムーズか?良い体験か? 長期的に取り組まなければならない

ペイントのタイミングの計測と最適化

ペイントのタイミングの計測と最適化

#2 FP(ファースト・ペイント) - ブラウザが何かしらをレンダリングし始めるタイミング。
#3 FCP(ファースト・コンテンツフル・ペイント) - ブラウザがDOMからテキストや画像最初の要素をレンダリングし始めるタイミング。 
#5 FMP(ファースト・ミーニングフル・ペイント) - ヒーローエレメントがロードされている状態
#6 TTI(タイム・トゥ・インタラクティブ) - ユーザーが使うことが出来る状態

クリティカル・レンダリング・パス

イニシャルビューとビロウザフォールド

ページを最初にロードした際に見えないビロウ・ザ・フォールドよりも、イニシャルビューの方がユーザーにとっては重要である。

CSSOM:CSSオブジェクトモデル

CSSOM
CSSOMとは以下のようなものである。

  • CSSOMはページ上で発見されたCSS styleのマップである。
  • DOMと似ているが、HTMLではなくCSSを対象としている。
  • CSSOMはDOMと組わせて、ブラウザがウェブページを表示するために使われる。

ウェブブラウザはレンダリングのためにCSSOMを使用する

ウェブブラウザはレンダリングのためにCSSOMを使用する
ページの読み込みは以下のような手順で行われる。

  1. ウェブブラウザがHTMLを調べ、DOMを構築する
  2. ウェブブラウザがCSSを調べ、CSSOMを構築する
  3. DOMとCSSOMを組み合わせ、レンダリングツリーを構築する
  4. ウェブブラウザがページを表示する

ちなみにGoogleはCSSのためにGETリクエストを行っていない。インラインで記載を行っている。
Googleインライン

実際の導入はこのような手順で行うとよい。
IMG_1388

  1. 重要なCSSをインライン化する
  2. 重要でないCSSをrel=”preload”で非同期にロードする
  3. onloadでロードが完了したら一度CSSを適用する
  4. 非JSのリクエストをフォールバックする
  5. 古いブラウザのためにloadCSSを実装する

どれくらい効果があるのか?

実装結果
レンダリングまでの時間と、インタラクティブになるまでの時間の短縮に成功した。

  • レンダリングまでの時間 0.6秒 ⇒ 0.410
  • インタラクティブになるまでの時間 0.931秒 ⇒ 0.563

サイト構造にクロールデータを活用する(Brian Weiss氏)

Brian Weiss氏

なぜクロールをするのか?

  • サイトの構造とSEO的な問題を特定するため
  • モバイルとデスクトップの構成を均一にするため
  • 前回とのクロールの差分を正確に計測するため
  • リソースのリクエストをするためのデータを集めるため
  • 何か足りないものはないかを確かめるため
  • サイトの規模が大きく、全てのページを訪れるのは難しいため

有名なクローリングツール

  • DEEP CRAWL
  • Screamingfrong
  • BOTIFY
  • STONE TEMPLE
  • OnCrawl

クローラが集めるべき情報

IMG_1201
基礎的にはURLや、Canonicalなどの情報を集められる必要がある。

特に、情報をフォルダやページタイプ毎に仕分けをする能力は必須である。
IMG_1203

クロールを行う前の心構え

サイト内で何が重要なURLなのかを理解しておく
結果の予測をしてみる ⇒ 予測と結果の差分が分かる

見るべき重要なポイント

  • 重要なページに対して効率的にクロールされるような導線設計になっているか
  • Googleに薄いコンテンツとして見られていないか
  • クロールバジェットを有効に使えているか
  • タイトルや見出し、タグの設置に問題はないか

クロールを用いたインデックスに関する診断

各ページタイプごとの「ページ総数」と「インデックス可能なページの総数」を比較
⇒もしインデックス可能なページが、ページ総数の半分を下回っていた場合、処置をやりすぎている可能性がある。

処置法毎に生じるコスト

処置法毎に生じるコスト

Robots.txt クロールバジェットは保持するが、ページランクを垂れ流す Nofollowも同様だが、さらに悪い影響がある(内部リンクには使わないように)
Canonical ページランクを統合するが、2ページ分のクロールを必要とする
Noindex ページランクを渡し、クロールバジェットも消費する

処置法の選び方

  • ページランクをあまり渡さないページが大量にあるか? ⇒ Robots.txt
  • Canonicalのターゲットと適用法があるか? ⇒ Canonical
  • 上記の問いへの回答が全て「否」であり、インデックスされたくないページがあるか?⇒Noindex

デスクトップとモバイルのクロール分析

  • リンク均一性が保たれているか
  • コンテンツ均一性が保たれているか・・・Title、H1、メタディスクリプション、タグなど
  • ユーザーエージェントの一貫性があるか

まとめ

  • 見つけられないものは治すことが出来ない。クロールをしなければ、視覚的に把握することが難しい課題がある。
  • どの処置法でもコストが生じる
  • リンク構成はGoogleに対して、あなたがどのページを重要と考えているかを伝えることになる。
特にBastian氏のページスピードに関するセッションは、とにかく機械的に早ければ良いという考え方とは異なり、ユーザー視点でページスピードを考える上では非常に有意義なセッションでした。-SEO Japan

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ブログを始める前に必ず行いたいコンテンツプランニングの3ステップ

多くのユーザーから支持され、SEOでも大きな成果が得られるブログを作るには、”コンテンツプランニング”が欠かせない。 コンテンツプランニングとは、ユーザーにとって価値あるサイトを生み出すための設計図のようなものだ。 事前 […]

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FCC、SpaceXの衛星ブロードバンド計画を承認―― 4425個の小型衛星で世界をネットワーク

数千個の小型衛星のネットワークで世界的ブロードバンド網を建設するSpaceXの計画にFCC〔連邦通信委員会〕が承認を与えた。しかもこの計画は(少なくとも宇宙計画の一般的スピードでいえば)近々実行に移されるはずだ。承認された計画によれば、SpaceXは向こう6年間に計画されている衛星の半数を打ち上げることになっている。

FCCのAjit Pai委員長が先月メモを発表して、アメリカ企業による世界初の衛星による地球規模のブロードバンド網を建設する計画の称賛したため、SpaceXの提案がFCCから承認されることは確実になっていた。無論この称賛にイーロン・マスクも異議を唱えていない。

SpaceXのCOO、Gwynne ShotwellはFCCの承認に関連してTechCrunchに次のようなコメントを寄せた。

われわれはSpaceXの衛星ブロードバンド計画をFCCが詳細に調査した上で承認したことを喜んでいる。きわめて複雑な計画であるため、今後なすべきことは数多いが、FCCの承認はSpaceXが次世代の衛星ネットワークを建設する上できわめて重要なステップだった。このサービスは経済的であり、信頼性が高く、重要な点として現在インターネットに接続する手段を持っていない人々を結びつけるために特に役立つものとなるだろう。

Starlinkと呼ばれるSpaceXの計画は、OneWeb、Spireなど他の衛星事業者から反対を受けていた。単に事業のライバルが増えるということ以外に、何千個もの衛星が軌道と電波の帯域を混雑させることに対する懸念だ。

SpaceXのインターネット衛星網:FCCへの申請書から

たとえばOneWebは、SpaceXの衛星軌道は自社の衛星から高度にして125キロ以上離すべきだととしている。もちろん衛星間の干渉を防ぐ必要はあるが、それにしてもこれほどの距離が必要かどうかは疑わしい。

しかし軌道上に散らばるスペースデブリを極力減らすべきだという点はFCCによっても留意された。【略】SpaceXとしては計画を実行に移す前にさらに研究を続ける必要がある。

しかも問題は早急に解決する必要がある。FCCはSpaceXに対して「急がないなら承認を再検討する可能性もある」としている。FCCでは2024年3月29日までに計画している衛星の50%を打ち上げるよう求めている。【略】SpaceXでは最終的に1万2000基の衛星によるネットワークの構築を計画しているが、今回承認されたのは軌道高度が高い4425基の分だ。残りの衛星は高度と使用する周波数帯が異なるため別個の承認を必要とする。

Falcon 9がStarlink衛星を実験打ち上げ。2月22日

なおFCCのRosenworcel委員は、委員長のものとは別の声明で宇宙の商業利用に関するFCCの諸規制を根本的に見直す必要があると述べている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

英単語アプリのmikanがビットコイン用ウォレットアプリ「Yenom」をリリース

英単語の高速暗記アプリ「mikan」を運営するmikanが、ビットコイン用ウォレット事業への参入を発表したのは、3月9日のこと。今日3月30日、リリースが予告されていたウォレットアプリ「Yenom(エノム)」のiOS版・Android版が日本語・英語の2言語で正式公開された。

エノムは、ビットコインキャッシュ(BCH)の受け取り・送金専用のウォレットアプリ。ビットコインキャッシュが利用できるECサイトや一部飲食店で決済に使えるほか、個人間でもビットコインキャッシュの送受信ができる。

mikan代表取締役社長の宇佐美峻氏は、機能や通貨の種類を絞ったことについて「とにかく簡単に使えるウォレットを作って、ビットコイン利用のハードルを下げたかった」と説明する。

※この記事では宇佐美氏の発言に沿って、通貨としてのビットコイン自体を表す場合には「ビットコイン(BTC)」、ビットコイン(BTC)とそこから派生した暗号通貨を総称する場合には「ビットコイン」と表記しています。

エノムと既存の暗号通貨(仮想通貨)のウォレットとの違いは、機能がシンプル、ということのほかにもある。既存のモバイルウォレットでは、インストール後のチュートリアル、バックアップの手順があって、なかなかすぐに送受金ができる、というわけにはいかない。

これにはもちろん理由があって、例えば「12個の復元フレーズを書き留める」といった形でバックアップを行うのは、スマホ自体をなくしたときでもフレーズさえ保管してあれば、ウォレットに移した暗号通貨を復元することができるようにするためだ。

暗号通貨がどういう仕組みでやり取りされるもので、どのように保護すべきかが分かっている人や、既に多額の暗号通貨を保有していて、取引所には置いておきたくない、ハッキングの心配が少なく保全性の高いウォレットに通貨を移したい、という人なら、こうしたウォレットを利用する意義もあり、積極的に使っていくべきだろう。

しかし「少額でいいからビットコインというものを使ってみたい」「友だちの持つビットコインを受け取ってみたい」という初心者にとっては、ウォレットを作ることのハードルが高く、そのことが「ウォレットにさわれない、あるいは場合によっては取引所に通貨を置いたままにしてしまう理由にもなっている」と宇佐美氏は言う。

英語版のYenom。左から受け取り、送金、取引履歴の各画面。

エノムはインストールすると、利用規約の確認・同意後すぐ、ビットコインキャッシュの受け取り画面が表示される。チュートリアルの説明を読み込む必要もないし、パスフレーズの入力も不要だ。宇佐美氏は「スマホをなくしたらエノムに入っていた通貨はなくなってしまう。資産としての暗号通貨を保持するには向いていない。これまでのウォレットが銀行口座のようなものを目指しているのに対して、エノムは常に持ち歩くお財布のような存在だ」と説明する。

「お財布に数百万円、数千万円を入れて歩く人はいない。エノムでは、簡便さと引き換えに“資産”の保全はやらない。少額の暗号通貨を触ってみたい、受け取ってみたいという人が、初めて使うためのウォレットアプリだ」(宇佐美氏)

ビットコインを通貨としてもっと使いたい、使わせたい

そもそも、英単語アプリの開発・運営を行うmikanがなぜ、ウォレットアプリを提供するのか。そのきっかけは、昨年5月末にリリースされた「VALU」にあると宇佐美氏は言う。

VALUは個人の価値を株式のように発行し、ビットコイン(BTC)で取引できるSNSサービス。このVALUを通じて、取引のためにビットコインを買ったり、自分でもビットコインをもらったりして、宇佐美氏はビットコインにはまったという。

その後、昨年8月のビットコイン(BTC)のハードフォークイベントの際、「(ハードフォークで誕生する)ビットコインキャッシュ(BCH)を持ちたい」と考えたことが、さらに宇佐美氏をビットコインにのめり込ませることになる。「自分でウォレットを作って、そこにビットコイン(BTC)を保有すれば、ビットコインキャッシュを受け取ることができる。そう考えてウォレットをつくり、自分でビットコインキャッシュを分離した」(宇佐美氏)

フォークイベントの後も「最初は土日の趣味として始めたものが、いつの間にか月曜もビットコインのことを調べていて、そのうち火曜も、水曜も……。ホビーのつもりが完全にはまってしまって」と話す宇佐美氏。「マイニングもトレードも一通りやって、調べていく中で知った暗号通貨の考え方や仕組み、歴史もすべてが面白かった」と言う宇佐美氏は、ついには「何かビットコインのためにできることはないか」と考え始めたという。

そうしているうちに宇佐美氏が気づいたのは「他の人にビットコインのことを説明するのが難しい」ということだった。「日本ではそもそも、株や通貨の取引も日常的にやっている人が少なくて、その比喩ではビットコインのトレードの面白さもあまり伝わらない。『じゃあ、とにかく一度少し送るから受け取ってみてよ』というのが(理解してもらうのに)早いかな、と思っても、ウォレットのインストールが面倒で『ああ、やっぱまた今度にするわ』となってしまう。実際に触っている人が少ないのがウォレットのせいなら、簡単に使えるウォレットを作ってみよう、と考えた」(宇佐美氏)

「取り扱う暗号通貨にビットコインキャッシュを選んだのは、通貨としての価値と決済のしやすさにある」と言う宇佐美氏は「暗号通貨普及のキラーアプリは“通貨”だと考えている。であれば、普通のお金と同じように誰もが簡単に使えないといけない」と話している。そして「暗号通貨の中には、投機などを中心にしていて通貨を目指しているものが少ない。その中で、世界的に普遍的な通貨として使えるのはビットコインだ」と言う。

「暗号通貨の通貨としての堅牢性や、データの整合性は、コンピューティングパワーの強さで担保される。ビットコインはネットワーク効果が非常に強い。ネットワーク効果が強ければ通貨として強いのはリアルな貨幣と同じで、現段階でビットコインが世界最大の暗号通貨と言っていい」(宇佐美氏)

一方で宇佐美氏は「ビットコイン(BTC)は通貨として決済に使われるのを目指していないのではないか」とも指摘する。「ビットコイン(BTC)の送金手数料は、高いときには数千円、今でも数百円かかり、少額決済向けではない。データベース改ざんなどに強く、高額決済ではリアルマネーより相対的に手数料が低いので、高額決済には良いけれども」(宇佐美氏)

宇佐美氏は「諸説あるが」と前置きした上で、ビットコインキャッシュはビットコイン系暗号通貨のひとつと捉えている、とし、その中でビットコインキャッシュを選択した理由について、こう述べている。「ビットコインキャッシュは、通貨として日常的に使われることを指向していて、手数料を安くしている。通貨は使われることが大事。鶏が先か卵が先か、みたいな話だが、使われることでマイニングへの参加も増えて、参加が増えれば増えるほど改ざんもされにくくなる」(宇佐美氏)

エノムのマネタイズについては「今は考えていない」と宇佐美氏は言う。「現在世界で最も使われているウォレット『Blockchain』のアカウントが2〜3万ぐらい。当面はそれを超える世界一のウォレットになること、そして世界中でビットコインが使われることを目標とする」(宇佐美氏)

宇佐美氏は「お金がある人が使うものなのだから、何らかの形でいずれ収益化は考えられる。それより今は、ビットコインをとにかく使いたいし、使わせたい。エノムを提供することで『これで使えますよ』というふうにしたい」と語り、「ビットコイン周りでやりたいことは、ほかにもいろいろあるけれど、まずはウォレットにフォーカスして、みんなが使うアプリにしていきたい」としている。日英に続き、中国語やほかの言語への対応も、近日予定しているとのことだ。

ちなみに英単語アプリのmikanの方も事業は順調で、昨年黒字化を果たしたとのこと。「今年は学校用プロダクトのリリースも予定していて、事業として軌道に乗り始めた。こちらも引き続き、運営を行っていく」と宇佐美氏は話していた。

ニューヨーク市は住民にサイバーセキュリティアプリを無料で配布する

ひとつの都市(アトランタ)がサイバー攻撃されたこの怖ろしい週に、ニューヨークはその予防策を講じようとしている。

そのタイミングはあくまでも偶然だが、ニューヨーク市の市長Bill de Blasioは今日(米国時間3/29)、市民をとくにモバイルデバイス上のオンラインの悪行から護るための、一連のセキュリティツールを用意し、まずその第一弾を導入する、と発表した。

それがこの夏ローンチすると、ニューヨーク市の住民はNYC Secureと呼ばれる無料のアプリをダウンロードできる。このアプリはスマートフォンのユーザーに、ありうる危険を警報し、“悪質なWi-Fiネットワークからの遮断や、危険なWebサイトに行かないこと、悪質なアプリをアンインストールすることなど”の対策を教える。

アプリ自身が何かをやってくれることはないので、もっぱらユーザーが言われたアドバイスを守らなければならない。NYC Secureが個人を特定できる情報やプライベートなデータを集めることもない。

市はまた、その公開Wi-Fiネットワークのセキュリティも強化する。それは、悪いやつが暗号化されてない個人情報を盗むことで悪名高いターゲットだ。市は、Quad9というサービスを利用してDNSの保護を実装する。それは、Global Cyber Alliance(GCA)とIBMとPacket Clearing Houseが共作した無料のサイバーセキュリティ製品だ。

市のセキュリティ担当官Geoff Brownはこう述べる: “たえずユーザーのすきをねらっているサイバー犯罪者から前もって市民を護るためには、市民のデジタル生活の安全に投資する必要がある。サイバーセキュリティの脅威に対して免疫のある個人は存在しないから、今回の計画は、多くの場合大量の機密データが所在する個人のデバイスに、セキュリティの新しい層を加える”。

2017年の7月に市長命令で創設されたサイバー防衛団体NYC Cyber Command(NYC3)がこの新しいセキュリティツールの導入を担当し、それらの実装を監督する。

セキュリティ企業McAfeeのCEO Christopher Youngは、こう言う: “ニューヨーク市のこのような活動は、サイバー犯罪が増加していることへの市民の認識を強化し、自衛のための行動ができるようにする”。

国際的なビジネスハブで、文化の中心都市でもあるニューヨークは、さまざまな、ときには当市独特のサイバーセキュリティの脅威にさらされている。しかしそんな都市だからこそ、他の大都市のお手本になるような、市としての主体的なサイバーセキュリティ対策を展開できる、とも言えるだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

住宅ローン借り換え支援のMFSが3.3億円調達、BtoBtoC型サービス開始でユーザーリーチ拡大めざす

住宅ローンの借り換え支援サービス「モゲチェック」などを提供するMFSは3月30日、YJキャピタルゴールドマン・サックスを引受先とする第三者割当増資を実施した。調達総額は3億3000万円だ。

写真左より、MFS代表取締役の中山田明氏、COOの塩澤崇氏、CTOの大西貴之氏

低金利が続く日本では、以前に組んだ住宅ローンを借り換えることで金銭的なメリットを得られることが多い。MFSが提供するモゲチェックでは、ユーザーが11項目の質問に答えるだけで、借り換えによる金銭的メリットの総額と、融資を受けられる確率を判定する。また、MFSは同じく11項目の質問に答えることでユーザーの信用度をスコアリングして推定の融資可能額を表示するという、新規で住宅ローン借り入れるユーザーに向けた「モゲスコア」も提供している。

MFSはこれら2つのサービスを無料で提供している。マネタイズポイントは、その後に提供する手続き代行サービスだ。融資が完了したときのみ、住宅ローンの支払い削減額の10%を成功報酬として受け取る。MFSはこれまでに3000件の借り換え相談を受け、うち約440件ほどが成約しているという。

そして、そのMFSが今回の資金調達とともに発表したのが、BtoBtoC型サービスの「モゲチェックPLUS(以下、PLUS)」だ。同サービスは不動産会社向けのサービスで、不動産会社は不動産を購入しようとしている消費者のデータをPLUSに入力することで、融資確率を判定し、最適な住宅ローンを推薦することができる。また、PLUS上でローン申し込みの手続きが可能で、ユーザーが銀行に来店する必要がなくなる。

少し考えてみると、PLUSが提供する機能は従来サービスのモゲチェック、モゲスコアと大差ない。重要なのは、これまでC向けにしか展開してこなかったサービス群を、B向けにも展開することを決断した点だ。その理由として、MFS代表取締役の中山田明氏は、住宅ローンの借り換えメリットをエンドユーザーに直接説明するのは非常に難しかったと話す。また、もともとMFSはエンドユーザーとの接点として来店型の相談窓口を展開していたが、これも現在はコールセンターに相談と手続き代行の機能を集約し、今後は直接店舗を増やす予定はないという。

MFSと同じく住宅ローンの借り換え支援サービスを提供するWhatzMoneyは、2016年6月に不動産会社向けのローン仲介サービスとして一足早くBtoBtoC型サービスを提供開始した。そのことからも分かるように、住宅ローンの借り換えメリットをエンドユーザーに直接説明するのは非常に難しいようだ。

2009年に創業のMFSは、2015年9月にマネックスベンチャーズなどから9000万円を調達。つづいて2016年6月には2億円を、2017年8月には2億5000万円を調達している。今回のラウンドを含む累計の調達金額は8億7000万円となる。

Uber、死亡事故の被害者遺族と示談が成立

報道によると、Uber は先週同社の自動運転車の事故で死亡したElaine Herzberg(47)の遺族と早期の和解が成立した。Herzbergは暗い道路を自転車を押しながら横断していて事故にあった。

和解条件は非公開。本誌はUberに追加情報を求めたがコメントはなかった。

和解によってUberは厄介な民事訴訟を避けられる可能性が高いが、Herzbergがどのような額と内容の支援を受けることになるのかはわかっていない。

Reutersが先週報じたところによるとHerzbergはホームレスで、友人らによると近々路上生活をやめ彼女を世話していた人物と生活する予定だった。ホームレス仲間の間で彼女はMs. Elle と呼ばれていたと記事は伝えている。

Herzbergには既婚と思われる娘がいた。Reutersの別の報道によると、アリゾナ州グランデールの破産と債務交渉専門のある弁護士は、UberとHerzbergの夫と娘との間の「問題は解決している」と語った。遺族に関するそれ以外の情報は公表されていない。

本件はUberにとって大きな支出をともなう形で和解したものと思われるが、長引いていればいっそう高額になっていた可能性が高い。人身事故の裁判は、双方が考える損害価値を主張したあと、類似の事例で過去の犠牲者が受けた賠償額を参考にして決められる

Herzbergは自動運転車による死亡事故の最初の被害者であるという特殊事情と、Uberが非上場市場で720億ドルという過去に例のない高額の会社評価額を得ているという状況を踏まえると、和解金額の決定は極めて難解だっただろう。

Uberはこの事故に関してまだ様々な問題を抱えており、刑事責任を追求される可能性もある。アリゾナ州テンピ警察の自動車犯罪課は現在も事故の詳細を捜査している。

Uberはこの事故を受けカリフォルニア州の公道での自動運転技術の試験許可を再申請しないことを表明している。これは現行の許可が失効すると同社は州内の公道で自動運転車を運行できなくなることを意味している。

アリゾナ州のダグ・デュシー知事は月曜日(米国時間3/26)の夜、Uberの同州内公道での自動運転車の運行許可を取り消したが、その後見つかったメールによると、デュシー自身がテスト走行を認可した際、専門家による十分な監視を求めていなかった認可した疑いが浮上している。

上記の写真はHerzbergに衝突したものと同タイプの車両。

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ディズニー、8 GPUの超高精細度ミレニアム・ファルコンを開発中――「銀河外縁」アトラクションの一部に

ディズニーはウルトラ高精細度かつリアルタイムで動作するミレニアム・ファルコンのフライトシミュレーターを開発中だ。動作には直列接続した8基のNvidiaのGPUを使う。このアトラクションはカリフォルニアのディズニーランドとフロリダのディズニーワールドに来年登場する予定だ。

ディズニーはNvidia、Epic Games、Lucasfilmの ILMxLABと提携して開発を行っている。アトラクションが公開されれば、ディズニーランドの入場者はミレニアム・ファルコンのコックピットに乗り込んでブラスターを全開にして宇宙の彼方にワープすることができる。

ディズニーはNvidiaのGTCカンファレンスでこのプロジェクトを発表し、没入型体験を与える最新のゲームエンジンのテクノロジーを多方面に利用する方法について語っている。

それぞれのフライトシミュレーターはNvidia Quadro P6000 GPUを8基装備したBoxxワークステーションで駆動される。 表示にはNvidiaのQuadro SLIテクノロジーが用いられる。というわけでこれは消費者レベルのプロダクトにはならない。ディズニーはマルチGPUテクノロジーを開発しEpic GamesのUnreal Engineと統合させた。

上の画像は開発初期のレンダリングだが、このシミュレーターがどんな雰囲気になるか予想がつくだろう。

このアトラクションはディズニーがカリフォルニアのディズニーランドとフロリダのディズニー・ワールドに建設中のStar Wars: Galaxy’s Edgeと呼ばれる新しい施設の一部となる。この「銀河外縁」エリアはディズニーのテーマパークでも最新のテクノロジーを最大限に活用したエキサイティングなものとなりそうだ。

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Apple、iPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリース――ARKitが1.5に、アニ文字もクール

さきほど、AppleはiPhoneとiPad向けにiOS 11.3をリリースした。このアップデートでは多数のバグ修正が行われただけでなく、新機能も含まれている。われわれが以前に報じたiPhone X向けアニ文字も今回のリリースで4種類が追加された――オリエンタルなドラゴン、クマ、ライオン、ドクロだ。

しかし新機能はアニ文字だけではない。Appleは数ヶ月前にベータ版を公開しているが、11.3にはARKitのメジャー・アップデートとなるARKit 1.5が含まれている。Appleの拡張現実はさらに多くの対象物やその表面の質感を認識できるようになった。

iOS 11.3では待望のバッテリー駆動時間の改良も実施された。設定からさらに詳しいバッテリー情報が得られる(ベータ)。現在のバッテリーの容量や交換時期について教えてくれる。

古いバッテリーを保護するためにiPhoneのパフォーマンスを絞るという仕組みはあちこちで批判を浴びたため、Appleはこの機能をユーザーが無効にできるようにした。ただしこれもベータ版だとい。

AppleはiPhone向けヘルスケア・アプリに新機能を導入した。ユーザーはすべての健康関連情報をこのアプリにまとめることができる。各種の情報を得るためにいちいちそのアプリを開く必要がない。

またAppleはメッセージ・アプリにカスタマーサポートとの会話機能を導入した。ショップやレストランはメッセージを通じて注文や席の予約などを受け付けることが可能になる。Discover、Hilton、Lowe’s、Wells
Fargoは初期ユーザーとしてすでにこの機能を利用し始めている。ただいヘルスケアとメッセージのビジネス機能は当面アメリカでベータ公開となる。

You’ll also see a new privacy icon across the operating system. A new website to export all your data is coming in May as well. Apple needs to add those features to comply with GDPR.

Apple Musicにはビデオクリップのセクションが追加された。App Storeのアップデートのタブにはアップデートのサイズが表示される他、さまざまな目立たない改良が実施されている。セキュリティーに関してもデバイスを常に最新の状態に保っておくのが最上の策だ。残念ながらiOS 11.3ではまだiCloudにiMessageがサポートされていない。

アップデートをインストールする前にパソコンないしiCloudにデータをバックアップしておくことをお勧めする。あとは「設定」アプリで「一般」を開き、ソフトウェア・アップデートを選択するだけでよい。この他macOS、watchOS、tvOSのアップデートも今日公開された。

〔日本版〕iOS 11.3は日本でも公開済み。最初に起動する際に個人情報の保護に関するAppleのポリシーが表示される。

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SoftBank Groupとサウジアラビアが世界最大の太陽光発電所に2000億ドルを投資する

金額規模数十億ドルという派手な投資の数々で知名度を上げたSoftBank Group Corp.については、本誌TechCrunchもそのVision Fundや、UberDidiへの投資などを取り上げてきたが、今回は総工費2000億ドルの太陽光発電所を建設するための、サウジアラビアとの基本合意書に署名した。2030年には200ギガワットの最大発電能力に達すると予想されているその太陽光発電所は、この種類の発電所としてはこれまでで世界最大規模となる。

Bloomberg New Energy Financeがまとめたデータによると、このサウジアラビアのプロジェクトは、二番目に大きいとされる開発計画の約100倍の規模だ。その二番目とは、オーストラリアで2023年に完成予定のSolar Choice Bulli Creek PV、その最大発電能力は2ギガワットだ。

火曜日にサウジのMohammed Bin Salman王子も出席したニューヨークのイベントで孫は、このプロジェクトが10万の雇用を作り出し、サウジの発電能力を現在の三倍にし、電力コストを400億ドル節約する、と述べた。サウジアラビアは世界最大の原油輸出国だが、しかしこの王国は現在、石油依存を脱して経済を多様化しようとしている。政府は先月、サウジアラビアで最初の公共事業規模の再生可能エネルギープラントACWA Powerに、3億200万ドルを助成した

2011年の福島の原発炉心融解以降、クリーンエネルギーのプロジェクトは孫の情熱のひとつとなり、SoftBankはモンゴルの風力+太陽光エネルギープロジェクトや、きわめて意欲的な、アジアの複数国をカバーする再生可能エネルギー送電網Asia Super Gridにも投資している。

SoftBankはサウジアラビアでこのほか、2017年5月に発表された930億ドルのテクノロジー産業育成ファンドにも出資している。こちらは、Vision FundとサウジアラビアのPublic Investment Fundが創ったファンドだ。

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iOS 11.3正式版リリース(ただし新iPad限定)。iPhoneユーザーはしばらくお預け?

eng-logo-20152018年1月に開発者向けのベータ版が配布されていたiOS 11.3ですが、正式版がリリースされたと伝えられています。ただし、現状でダウンロードが可能となっているのは、なんと先日発表された新しいiPad(第六世代)のみ、という仕組み。

新しいiPadの初出荷は今週末であり、店頭ではまだ販売されていません。iPhoneなど他のiOS機器はまだ対象外のため、何らかの理由により新しいiPadを手にしている人だけが利用できるという現状です。

関連記事:
iOS 11.3の開発者向けベータ版がリリース。バッテリー状態の診断や健康管理の新機能が追加
アップル発表まとめ。廉価iPadがペンシル対応、教育向け新機軸も多数

もし新しいiPadをお持ちの方は、従来のiOSアップデート手順と同じく【設定】【一般】【ソフトウェア・アップデート】の順に選択することでダウンロードできるとのこと。

iOS 11.3の新機能はすでに明らかにされています。アップルの公式プレビューによれば拡張現実感をサポートする開発環境ARKitの更新、アニ文字4つの追加と健康データ管理の新機能であるHealth Records、ユーザーが企業と直接コミュニケーションが取れるBusiness Chatなど。

さらにベータ版を解析した技術者からは、iCloudベースのシングルサインオンの可能性も報じられていました。

その中での目玉機能であり、世界を騒然とさせたiPhoneの意図的な低速化にも関わる「Battery Health」は、iPhoneのみが恩恵に預かれる機能です。ある意味では今回のバー序アップの目玉だけに、それを確認できないiPadだけで先行してダウンロードできるのは、少し肩透かしといえるかもしれません。

ともあれ、正式版がリリースされたことは事実です。従来の動向からすると、早ければ今週中から来週ぐらいにも、他のiOS機器でもダウンロードが可能になるかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

AIの活用で介護領域の課題解決へ、エクサウィザーズが産業革新機構などから8.9億円を調達

医療・介護領域を中心に、AIを活用して様々な業界の課題解決を目指すエクサウィザーズ。同社は3月29日、産業革新機構など合計8社から総額8.9億円を調達したことを明らかにした。今回のラウンドに参加したのは以下の企業だ。

  • 産業革新機構
  • 三菱東京UFJ銀行
  • SOMPOホールディングス
  • D4V
  • iSGSインベストメントワークス
  • Scrum Ventures
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • IDATEN Ventures

エクサウィザーズは「介護×AI」分野でサービス展開をしていたデジタルセンセーションと、大手クライアント向けにAIソリューションを提供していたエクサインテリジェンスが2017年10月に経営統合してできたスタートアップだ。

デジタルセンセーションはリクルートでAI研究所を立ち上げた石山洸氏がジョインした際にTechCrunchでも紹介。一方のエクサインテリジェンスも京都大学等の研究者・学生と、ディー・エヌ・エー元取締役会長の春田真氏らが運営するベータカタリストが共同で立ち上げたスタートアップとして2016年に取り上げた(エクサウィザーズでは春田氏が代表取締役会長、石山氏が代表取締役社長を務める)。

これまで同社では認知症ケア技法「ユマニチュード」の普及や、熟練者のケア技能を解析することで特徴を抽出し、介護者の育成を促進する「コーチングAI」の開発に力を入れてきた。これらの活動には今後も力を入れつつ、今回の調達を機に新しい取り組みも始めるという。

AIを活用した科学的裏付けに基づくケアの確立(ケアのエビデンス・ベースド化)はそのひとつ。介護領域ではケアの内容を科学的に評価・検証することが難しかったが、現場にあるデータをAIで解析することで、新たな評価手法の確立を目指すという。

構造化されたデータだけではなく、動画や音声、テキストなどのデータも合わせて解析。この結果から優れたケアの動作や対話を可視化できるようにれば、それをケアの内容に反映することもできそうだ。今後は産業革新機構や政府機関、地方自治体と連携を強化し、実証実験や事業化を進めるという。

またエクサウィザーズではAIを活用して、自治体が保有する介護データの無料解析サービスも始める。こちらについては認知症ケアの現場などが抱える課題の解決を目的としている。

認知症は時間の経過と共に症状が進行していくため、ケアの介入効果を検証することが困難だった。同サービスを活用すれば事前に適切な介入タイミングを予測し、予測結果に対する介入効果の比較検証ができるようになる。症状進行前に介入することも可能で、予防介護にも繋がるという。

なお直近では今回の資金調達先でもあるSOMPOホールディングス、三菱UFJフィナンシャル・グループと業務提携を締結(三菱UFJフィナンシャル・グループについては、子会社であるJapanDigitalDesignと提携)。SOMPOホールディングスとは介護や認知症の領域おける取り組みを、JapanDigitalDesignとはオンラインファイナンス関連商品やHR Techサービスの開発検討を進めていく方針だ。

Google Cloudがアプリケーションパフォーマンスモニタリングのツール集を提供

Googleのクラウドプラットホームでは、社内用に作ったツールやサービスがGoogleのプロダクトとして顧客に公開提供されることが多い。今日(米国時間3/28)同社は、その一環として、Google Cloud Platformの上でアプリケーションを構築するデベロッパーにとって重要な、アプリケーションのパフォーマンス管理(application performance management)ツール集Stackdriver APMを発表した。

APMの考え方はやや変わっていて、問題の責任をオペレーションに渡すのではなく、デベロッパーがアプリケーションを調べる。つまりアプリケーションを作ったデベロッパーがコードにいちばん近いところにいるので、そこから出てくる信号もいちばんよく理解できるはずだ、とする。

StackDriver APMは、三つのツールで構成される: プロファイラーとトレース(トレーサー)とデバッガだ。トレースとデバッガはすでに利用できるが、しかしプロファイラーと併用することによって、三つのツールが協働してコードの問題を特定し、調べ、そして修復できるようになる。

Stackdriver APMを発表するブログ記事でGoogleのプロダクトマネージャーMorgan McLeanはこう書いている: “これらのツールのすべてが、どんなクラウドの上で動くコードやアプリケーションでも扱えるし、オンプレミスのインフラでも使える。つまり、アプリケーションがどこで動いていても、一貫性がありアクセス性の良いAPMのツールキットを使って、アプリケーションのパフォーマンスをモニタし、管理できる”。

ほかにStackDriverにはモニタリングとロギングのツールもあり、これら完全なAPMのスイートが、SplunkやDatadog、New Relic、AppDynamics(Ciscoが買収)などのベンダと競合することになる。しかしGoogleのプロダクト管理担当VP Sam Ramjiによると、これらのベンダは競合他社であるだけでなくパートナーでもあり、お互いのツールが協働して問題解決に取り組むことを、Googleも十分に理解している。

“しかし、コアシステムがみんなによく見えるようにする点では、うちが一番だ。人びとはこれまで使ってきたお気に入りのツールをこれからも使って、彼らの企業の事業目的という見地からプロダクションシステムを検査したり、適切なタイミングでアラートしていくだろう”、と彼は述べる。

まず最初は、プロファイラーの出番だ。これによりデベロッパーは、軽量級の(全量ではなく)サンプリングベースのツールで、アプリケーションのすべてのインスタンスからデータを収集する。

Stackdriver Profiler. 画像提供: Google

プロファイラーが集めたデータから問題を判定したプログラマーは、次にトレースを動かす。Ramjiによると、コードの問題はほとんどつねにクリティカルパスの後(あと)にあるから、このツールを使えば、問題が分散システムの全域にわたって伝搬していく様子を理解できる。トレースの画面(下図)は視覚化されたアナリティクスのような形をしていて、これらにより問題の性質と、計算資源に対するそのインパクトが分かる。

Stackdriver Traceツール。 画像提供: Google

そして最後がデバッガだ。Ramjiがこれをとくに好きなのは、若き日の90年代のツールを思い出させるからだ。当時はデバッガでアプリケーションを止めたり動かしたりしながら、問題の所在を突き止めていた。このAMPのデバッガもやはり、指定した箇所でコードを止めて、問題の核心を見つける。

ただしこの現代的なデバッガには、Ramjiが“マジック”と呼ぶものがある。デベロッパーによるコードの停止や再開が、顧客に影響を及ぼさないのだ。McLeanもこう書いている: “プログラマーにおなじみのブレークポイント方式のデバッグ処理を提供するが、それによって顧客へのネガティブなインパクトはない”。

Stackdriver APMは今日(米国時間3/28)から可利用になり、完全なサービスから成る完全なモニタリングスイートが提供される。これでGoogleは、モニタリング〜デバッグという分野でも、既存の選手たちと競争するつもりのようだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Einrideの自動運転トラックはNvidiaを搭載、今秋出荷を開始

EinrideのT-pod電動自動運転運搬車はNvidiaのDrive AIプラットフォームを利用し自律運転を実現する。スウェーデンのテクノロジー企業が本日(米国時間3月28日)発表を行った。Einrideはまた、量産型T-podトラックの、顧客に対する最初の出荷はこの秋になることも明かした。意外に早い出荷となるようだ。

Nvidia Drive AIプラットフォームにより、EinrideのT-podは、経路立案とインテリジェントな環境検知によって、最大124マイルの距離を自律的に走行する。T-podは遠隔操作向けにもデザインされており、当初はスウェーデンの街であるGothenburgとHelsingborgの間が結ばれる計画だ。合計200台の車両がその間を往復する。

上のビデオでは、本当に完全に自律的な走行をしているTポッドの車両を見ることができる。それらは、比較的小さな物理的底面積の中に、なるべく多くの貨物スペースを確保できるように、機能的にデザインされている(それぞれが15個の標準的なパレットを運送できる)。このことでバッテリーの効率が上がる。一緒に走る車両群はお互いに連携し、現代の大きくて石油で動く運送トラックに比べて、かなりの量の貨物をクリーンにそして効率的に運搬することができる。

複雑ではない高速経路(すなわち物流倉庫から物流倉庫までなど)の場合、T-podはおそらく完璧な解である。しかし自動運転機能が安全にかつ意図通りに動くことを保証することが、消費者へのさらなる広がりに対する鍵となる。

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(翻訳:sako)

Facebook、広告ターゲティングにサードパーティーデータを利用不可に

驚きの方針変更だ。Facebook は広告主が関連性の高いユーザーをターゲットするために使っていた主要な情報源の一つを手放す。同社はFacebookが大手データ提供業者と結んでいる提携関係のうち、2013年にスタートしたパートナー・カテゴリーと呼ばれる機能を終了すると発表した。

サードパーティーのデータは、Facebookがユーザー基盤を広告主にとって意味のあるセグメントへと分類するために利用されている。データ連携がスタートした際にTechCrunchが次のように説明していた

オンラインならびにオフライン購入データの大手提供元であるDatalog、Epsilon、Acxiom、BlueKai各社との新たな提携によって、Facebookは広告主に対して、RPGゲーマーや炭酸飲料好きなどといったきめ細かいターゲティング機能を提供できるようになった。

FacebookはTechCrunchに対してこの変更は恒久的で一時的な措置ではないことを正式に認めた。Facebookはユーザーから集めた膨大なデータを活用するために、ユーザー自身から得たデータ(いいね!をつけたFacebookページ等)と広告主から得た情報(ポイントプログラムの登録状態等)に、サードパーティー提供者のデータを組み合わせている。

Facebookは、最初の2つのカテゴリーのデータ整合性には満足しているようだが、サードパーティー各社が集めたデータに手を出すことについては決心がついていない。今回の決定は最近同社に起きているサードパーティーデータの不正利用に関わるプライバシー問題に端を発している。

Facebookのプロダクト・マーテケティング・ディレクター、Graham Muddが声明文でこの決定について詳しく書いている。

広告主のみなさんにはパートナーカテゴリーを廃止することをお知らせしたい。これはサードパーティーデータ提供者がFacebookで直接ターゲティングする機能を提供するサービスだ。これは業界では一般的な慣行だが、この変更がFacebookユーザープライバシー改善に役立つと信じている。

FacebookはExperianやAcxiomなどの会社とは広告効果の測定や指標データの提供などで関係を続けていくが、今後の関係の見直しも行っていくことを明らかにした。Facebookはユーザーのプライバシー保護を強化する観点から、共有サーバー環境でデータ共有する方向に進む可能性がある。Muddが指摘しているように、パートナー・カテゴリーは数カ月のうちに廃止される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook