Google、AMPフォーマットをメールに拡大――対話的カレンダーやアンケートを含めることが可能に

Google AMP はモバイルページを高速で表示するためのオープンソース・フォーマットだが、Googleはウェブサイトのレシピやハウツーといった記事を越えて適用範囲をさらに拡大しようとしている。今日(米国時間2/13)、Googleは手始めとしてAMPストーリーを発表し、続いてAMPをメールに適用した

AMP(Accelerated Mobile Pages)のメールへの適用というのは一見奇異に感じれるかもしれない。メールの表示が遅いと文句を言う人間は少ないからだ(メールは大部分がテキストだ)。しかしGoogleによればAMPフォーマットはメールを現代化する上でもっとも適切なフォーマットだと主張する。「ニュース、ショッピング、電車、フライトなどを始めとして、メールは現代人が情報を得る上で欠かせないツールになっている。世界では毎日2700億通のメールがやり取りされている。AMP for Emailを利用すれば、メールに含まれる情報を魅力的かつ対話性が高いものにする。ユーザーはそうしたメールにリアルタイムで反応できる」とGmailのプロダクト・マネージャー、Aarash Sahneyは今日のブログ記事に書いている。

AMP for Emailを利用すれば、デベロッパーは、たとえば、対話的に日付を指定できるカレンダーをメールに挿入することができる。つまり会議の日程を決めるのに5回も6回もメールのやり取りをする必要がない。航空会社がAMPを利用すれば常に最新のフライト情報が得られるメールを送ることができる。またユーザーが別のサイトに移動せず、その場で記入して返信できるアンケートなども作成できる。

Googleはこの間メールの現代化を図るプロジェクトを多数実施してきた。たとえば2013年にはカスタマイズ可能なアクションボタンをGmailに追加している。そうした努力にもかかわらず、メールは全体としてそう変わっていない。特にAMP for Emailのような新しいフォーマットの場合、Googleのライバルのメール・プロバイダーがサポートを決めなければ広く普及しないだろう。

現在のところAMP for Emailはプレビュー版で、デベロッパーはGoogleの専用サイトにサインアップする必要がある。Gmailでのサポートは今年中の予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

試験対策から生活情報まで、外国人留学生向けEラーニングのLincが1億円調達

外国から日本に留学する人材向けのオンライン教育サービスを提供するLincは2月14日、ジェネシア・ベンチャーズBEENEXTを引受先とする第三者割当増資を実施した。調達金額は1億円だ。

Lincの中心メンバーたち。写真左が代表取締役の仲思遥氏。ここに写る全員が外国籍の留学生だ。

近年、日本における外国人留学生数は右肩上がりで推移している。2007年には約12万人だった留学生数は、その10年後の2017年には約26万人にまで増えた。そういった人材が日本に来る際に障害となるのが、言語や文化の壁だ。Lincは同社のオンライン教育サービス「羚課日本留学」を通してその壁を取り払おうとしている(羚課はLincの中国語発音だ)。

現在、Lincが主に提供しているのが留学生向けの試験対策カリキュラムだ。外国人留学生が日本の大学に入学する場合、日本留学試験(EJU)を受験する必要がある。これは留学生版のセンター試験とも言えるもので、日本語能力のほか、地理、歴史、政治経済などの文系科目や、物理や化学などの理系科目などの基礎学力を評価するテストだ。

LincではこのEJU対策カリキュラムをオンライン授業という形で提供している。ただし、現在は歴史や数学などの科目の授業のみを提供。語学としての日本語を教える授業は提供していない。また、Lincは今のところ中国人向けにサービスを特化しているため、授業はすべて中国語で提供している。同社によれば、ターゲットとなる中国語圏の日本語学習者は約100万人ほどいるという。

羚課日本留学のオンライン授業には録画とライブ配信の2種類がある。科目授業など知識系の授業では録画形式で授業を行ない、日本に渡航したあとの生活についてレクチャーを行う授業では、受講者からの質問に対応するためにライブ配信で授業を行っている。この、日本の生活についてのレクチャーは、日本の慣習や文化に慣れない留学生にとって価値のある情報だ。

クレジットカードの審査で見られる信用情報(クレジットヒストリー)の履歴は、渡航した直後から蓄積される。留学生はその認識が低くなりがちで、渡航直後に公共料金の支払い遅延があったなどという理由でクレジットカードが発行されないケースもあるという。ライブ配信の授業ではこういった日本のルールについても学ぶことができる。「その人が育った国の常識に従えば良いのではなく、日本ではそういった遅延がのちのちトラブルにつながる可能性があることなどを教える」(Linc代表取締役の仲思遥氏)

こう話す仲氏自身、中国出身の外国人として日本の大学を卒業した元留学生だ。中国で生まれた仲氏は6〜12歳まで日本で暮らした。その後中国に戻ったが、「日本での生活が好きだった」という仲氏は進学先として日本の大学を選んだ。仲氏自身が日本での生活から学んだ“体験”を外国人留学生に伝えたいという。

現在のところ羚課日本留学では約680本の授業動画が提供されていて、総視聴回数は10万回を超えるという。単月ベースでの黒字化はすでに達成しているそうだ。羚課日本留学の利用料金は1年契約で10万円。日本語学校の中には日本留学試験の対策講座を行っている学校もあるが、それらの授業料は1年あたり約60〜70万円の費用がかかることもある。それに比べれば、羚課日本留学の利用料金はかなり安く設定されていると言えるだろう。

外国人が日本に留学しようと決意したとき、彼らの多くはまず留学エージェントに相談する。エージェントはバックマージン欲しさに日本語学校への入学を強く勧めるが、それが唯一の選択肢だと勘違いしてしまっている人もいる。その結果、授業料の支払いのために母国で大きな借金を抱えて来日する人たちもいる。仲氏は羚課日本留学について、「日本語学校以外の選択肢の1つとして見てもらいたい」と話す。

今回のラウンドで1億円を調達したLincは、今後カリキュラムの提供国を東南アジアにまで拡大する。また、将来的には、サービスを通して集めたユーザーデータをもとに外国人材の「信用」をスコア化し、それを利用して外国人向けの住宅探し、アルバイト探し、転職支援サービスなどにビジネス領域を拡大していきたいという。仲氏は今後、さまざまなライフイベントに関わるサービス群を提供していくことで「外国人版のリクルートを目指したい」と将来のビジョンを語った。

インフォステラが初の衛星通信向けアンテナシェアリングサービスをリリース

人工衛星向けアンテナシェアリングサービスのインフォステラが最初のサービス「StellarStation Amateur」をリリースした。学術研究向けの超小型衛星が利用するアマチュア無線向けUHF帯を対象とし、打ち上げから初期軌道まで(LEOP、Launch and Early Orbit Phase)の衛星運用を支援する。同社は学術向けの衛星で経験を積み、2018年内には商用衛星向けサービスに乗り出す考えだ。

インフォステラは2016年設立。アンテナシェアリングサービスの実現へ向け、専用通信機やソフトウェアプラットフォームの開発を続けてきた。2016年秋にシードラウンドで6000万円、2017年秋にシリーズAで8億円を調達している。

宇宙ビジネスを支える3つの要素は、ロケット、人工衛星、そして衛星との通信を担当する地上設備だ。人工衛星の打ち上げ需要は急増していて、そしてロケットを作るスタートアップや人工衛星を作るスタートアップが現れ、どちらも劇的な低コスト化が進みつつある。Space Xが2月6日に打ち上げたロケットFalcon Heavyのブースター回収や宇宙を行くテスラ・ロードスターの映像は記憶に新しい。その一方、地上設備の革新はまだこれからだ。「みんなロケットや衛星を作りたい。地上設備にはそこまで時間をかけたくない。学術研究の対象にもなりにくい」(インフォステラ代表取締役社長の倉原直美氏)

インフォステラが今まで作り続けてきたサービスStellarStationは、世界中のアンテナ(すなわち通信機会)という有限のリソースをクラウド流のやり方で配分するものだ。地球上の各所に設置されたアンテナを束ね、衛星運用のための通信機会を共有する。

StellarStationのインターフェース

通信機会は衛星の位置とアンテナの位置により制約を受ける。打ち上げから低軌道投入までの段階では、一カ所のアンテナで確保できる通信可能な時間(可視時間)は長くない。そこで、アンテナのシェアリングにより通信機会を低コストで使い勝手よく提供しようとするのが、インフォステラのサービスだ。

アマチュア無線向けのUHF帯からサービスを提供する理由は、大学など研究機関が開発する超小型衛星(キューブサット)ではこの帯域が主に使われているからだ。アマチュア無線向けの帯域なので商用には使えない。インフォステラは、大学などの研究機関を初期顧客とすることでサービスの成熟に必要な経験を積むことができると考えている。商用衛星への展開はその次の段階となる。アマチュア無線向けUHF帯以外にも、Sバンド、Xバンド、Kaバンドに対応する予定だ。

打ち上げに始まる運用の初期段階「LEOP」を支援

今回始めるサービスでは、ロケットを打ち上げ、衛星を分離し、目的の軌道に投入するまでの初期運用のフェーズであるLEOP(Launch and Early Orbit Phase)を対象とする。インフォステラがLEOPを対象とするサービスをまず立ち上げた理由は、このフェーズでの通信機会の重要性が非常に大きいためだ。

衛星を打ち上げて通常運用に至るまでのLEOPでは、スケジュール変更が頻繁に発生する。ロケットの打ち上げが諸々の事情で延期される様子はよく報道されているが、打ち上げた後も変更は続く。そして、衛星ミッションの失敗の多くはLEOPで発生している。

「例えば、予定していたアンテナで通信できず、別のアンテナを使って通信を試みたい場合が出てくる。あるいは、衛星が予期しない回転をしていて姿勢制御のコマンドを送るために予定よりも長い時間、通信を維持したい場合もある。このような不測の事態に対応するにはアンテナのスケジュールを柔軟に変更したい。そのためのサービスを開発している」(倉原CEO)。

従来の宇宙開発の考え方では、不測の事態に備えるには地球上に散らばった複数の地上設備のスケジュールを事前に抑える必要があった。インフォステラのサービスでは、アンテナのリソース配分変更をユーザー側で柔軟に実行できるようにする。

インフォステラが提供するアンテナシェアリングのプラットフォームは、世界各地の地上局を束ねて通信機会を分配する。参加する地上局のパートナーとして、ガーナ共和国のAll Nations University College 、バングラデシュのBRAC University 、日本の九州工業大学、台湾の国立成功大学(National Cheng Kung University)を含む世界各地の大学が参加する。準備中のものを含めると地上局は10カ所。今後さらに数を増やしていく。以下の動画はインフォステラが横浜に所有するVHF/UHFアンテナの設置風景である。

日本円の出金は401億円、事業継続と業者登録を目指す——コインチェック大塚COOが説明

コインチェック取締役COOの大塚雄介氏

仮想通貨「NEM」の不正流出事件が起こり、仮想通貨の売買や日本円の出金を停止していた仮想通貨取引所「Coincheck」。サービスを運営するコインチェックは2月13日、日本円の出金を再開した

コインチェックでは同日20時から本社が入居するビルのエントランスで会見を実施。同社取締役COOの大塚雄介氏が現状を説明した。なお、同日午後には複数メディアで同社が会見をするとの報道があったが、報道後も同社広報は「会見は行わない」としていた。

冒頭、大塚氏は「まだすべて話をするわけではなく、後日改めてその機会を設けさせていただきたいと思う」とした上で、現時点での同社の状況を説明した。

コインチェックでは2月13日付けで金融庁の業務改善命令に対して、報告書を提出。「継続して事業をさせて頂くところを一歩一歩、改善を進めている。まず一歩目だが、日本円の出金を再開した」と説明。すでに13日だけで401億円の出金を終了しているという。また明日以降についても、順次出金を行うという。すでに発表済みのNEMに関する補償については「ある程度の目処はついている」としたものの、時期や詳細については「確定したらご報告する」とするにとどめた。

現時点ではいまだ中止している仮想通貨の送金や売買に関しては、外部のセキュリティ専門会社と安全を確認した後に再開するという。ただしこちらに関しても具体的なスケジュールは明示せず、「明確に決まり次第、ちゃんとご報告をさせていただく」とした。

大塚氏かra

説明があったあと、報道陣との質疑応答が行われた。以下はその概要だ。なお会見は「後ろの予定が詰まっている」(同社)とのことで20時20分で終了した。最後に報道陣が投げた「被害者に対してひと言」という質問に回答することなく、大塚氏はその場を去っている。

–業務改善報告書の内容、金融庁とのやり取りについて
お答えすることができないかたちになっている。(記者からの話せる範囲で、という質問に対しても)ちょっとお答えできない。すみません。基本的には今、進めている最中。内容についても、プレスリリースには出しているが、改善報告書の項目の中身に関しては答えられない。

–再発防止策において、不正監視の回数増加やコールドウォレットの扱いについて
今の時点でお答えできない

–経営体制や第三者委員会の設置について
(前の質問と)一緒で、そこについてもお答えできることない

–補償のめどについて
改善計画については、お答えできない。補償のめどなど日付については正式に決まったら。補償金額と数量については報告していることがすべて。(残りの入金額については)今時点ではお答えできない。(ユーザーから返金依頼があれば返せるかについては)はい。

–NEMの補償時期がはっきりしない理由について
資金自体はすでにある。そこの調整を行って、問題ないことを1つ1つ確認していく。補償の資金となる現金は手当できている。(財務状況を金融庁に報告しているかについて)金融庁とのやり取りに関しては話せない。

–NEMの補償時期が言えないと不信感がある
おっしゃることはまさにそうだが、お答えできない。1つずつ確認しているので、確認できれば報告させて頂く。

–顧客資産と会社資産を分別した上で返せるということか
はい。もともと分別管理が前提。今回の日本円の出金も、預かった資金から出している。
(補償の資金についても)自己の資金から。(他の仮想通貨も分別管理しているかについては)、はい。

–そもそも金融庁の仮想通貨交換業者登録が遅れた理由について
事件と関係がないのでお答えしかねる。

–売買機会を逸したユーザーからの損害賠償の動きについて
売買については今しばらくお待ち頂く。(補償については)まだ確認できていないのでお答えしかねる。

–事業者登録ができる確信があるか
はい。基本的には事業を継続する。登録もさせて頂く。(登録ができなければ)違法になるので事業ができないと思う。

–NEM流出からの2週間で決まったことは
外部の専門家にセキュリティの確認をして、日本円の出金ができるようになった。加えて仮想通貨売買も前に進めている。(解決までの時間について)ある程度の見通しはついているが、正式にはまだ。目処についてもお伝えできない。私たちのシステムとして安全に送金できるのかどうかを確認中。一番はユーザーの資産が手元に戻る事。

–だいたいでいいので目処を示せないのか
見通しとズレがないようにしてから正式に報告する。

–なぜ代表取締役社長の和田晃一良氏はいないのか。
私が責任を持っているから。(和田氏は)今日は業務改善命令の報告をしていた。今もオフィスにおり、サービス改善に関わっている。

–コインチェックの現預金について
お答えしかねる。(売上高や営業利益、純利益なども)お答えは控える。(開示の意向について)現時点では、ない。

–経営責任について
繰り返しになってしまうが、業務改善命令の中身に関してお答えできない。(責任の取り方については)今ちゃんと考えているところ。正式な内容がきまれば報告する。(経営陣の辞める意向については)そこらへんも含めて中身が決まれば報告する。

–出金停止、業務停止の是非について
ユーザーの資産を一番に考えて、これ以上被害が出ないためにも妥当な判断だと思っている。

–破産申請の可能性について
破産するつもりはなく、事業継続の意思がある。ある程度の見通しも立っている。事業の継続と金融庁への登録を継続する。

–不正アクセスの原因究明について
報告の内容になるため話せない。(ユーザーへのアナウンスについて)目処が立ち次第報告する。

–不正流出したNEMが換金されているという話について
捜査関係の話はできない。

FoxconnとREDが共同で安価で小型の8Kカメラを作る、やがてスマホにも搭載か?

Foxconn、またの名Hon Hai Precision Industry(鴻海精密工業)、またの名iPhoneを作っている会社は、デジタルシネマのパイオニアRED(Red Digital Cinema Camera Company)と共に、手頃な値段の8Kカメラを作っている、と発表した。会長のTerry Gouは台北で日経などの記者たちに、目標はカメラの価格とサイズを今の2/3にすることだ、と述べた。

今日では、スマートフォン上の小さなセンサーで4Kは撮れるから、小型8Kカメラに大手ハードウェア企業が注力していても、それほど意外ではない。それはかなりすぐに、各社スマートフォンのメインの機種に標準で載るだろう。

Gouは、その画質の価値や意義については何も言わない。その解像度で記録するセンサーが8Kシステムの中枢部だろうが、それだけではない。まず、良質な画像を捉えるためには、センサーを覆うガラス、すなわちレンズが重要だ。今の消費者製品のレンズには、それほどの精度はない。映画撮影用は、5桁以上の精度が必要だ。

まだほかにも、重要なことがある。ガラスと並んで重要なのが、非常に高速な画像プロセッサーと大量のストレージだ。8Kのビデオは、圧縮しても、1080pの画像の10倍から20倍のデータ量になる。さらに、色や編集の問題もある。そしてそれだけ苦労しても、ほとんどの人に、8Kと通常のHDの違いが分からないだろう。

しかしデジタルシネマは、カラオケをやってる友だちのビデオを撮ることほど単純ではない。安いカメラでまあまあの8Kを撮れるようになったら、画面にたくさんの天使が欲しい映画監督や、画素数が多いほど嬉しいVFXアーチストや、重い8Kカメラをかついで背中を痛めた撮影スタッフや、コストを下げたいプロデューサーにとって、すばらしいことだ。高価なカメラ1台よりは、まあまあのカメラ2台の方がありがたいケースもある(その逆もあるが)。

REDにある製造ラインは、プロの映画業界人でない人にとっては高すぎる(15000〜30000ドル)が、ArriやPanavisionほどめちゃ高くない8Kカメラを作れる。それを実際に作るために、今二社はジョイントベンチャーやパートナーシップを検討しているのだろう。それは、Foxconnの対他社差別化努力の一環でもある。

今REDにコンタクトしているので、情報が得られ次第この記事をアップデートしよう。

画像提供: RED

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

アメリカの富豪投資家たちは富士フイルム/ゼロックス合併条件に大不満

Carl IcahnとDarwin Deasonの二人はベテランの富豪投資家で、良くない取引や契約はそれを見たときに分かる。そんな彼らは、先月発表されたFujiとXeroxを結合する61億ドルの取り決めが断じて気に入らない。今日のブログ記事(米国時間2/12)で彼らは、投資家仲間である株主たちに、そのオファーを拒否するよう勧めている。

そもそも先月、Xeroxは売りに出すべしと要求したのは、両社の株を合わせて15%持つご両人だった。そしてそう言いながら両者は、CEOのJeff Jacobsenを即刻解雇することも求めた。二人とも、ぐずぐずすることが嫌いだ。

そこでよく考えた結果Xeroxは、売れという要求に従った。しかしIcahnとDeasonは、その条件が気に入らない。その条件はFujiにとって不当に有利であり、その合併の仕方には投資家が公正なリターンを得られる保証がない。…彼らは、そう見た。

IcahnのWebサイトに載った共同声明で二人の富豪は、その‘とんでもない’契約をこっぴどく叩いている: “この取引の構造は、無理と作為に満ちているが、いちばん的を得ている要約は、Fujiの会長でCEOのShigetaka KomoriがNikkei Asian Reviewで言っている、彼らのブログ上の自慢の言葉、‘この方式によりわれわれは一銭も金を出さずにXroxのコントロールを握ることができる’、だ”。

二人は、Fujiのこれまでの業績には無関心だが、しかし彼らの関心は、企業統治云々ではなく、純粋に経済の問題だ。“われわれの投資対象に対する今後のコントロールやガバナンスの問題以上に、この取引の基本的な経済性は、われわれの犠牲の上でFujiを不公平に厚遇している”、と彼らは書いている。

彼らは、XeroxとFujiのこれまでのパートナーシップに対しても批判的だ。“悲しいことに、われわれもよく知ってるように、XeroxがFujiとひどい契約を交渉したのはこれが初めてではない”。しかも契約の条件が長年、株主に対して非公開だった、と彼らは言っている。そこで、中に入れてもらえずに庭先でキャンプするしかなかった彼らは、嬉しくない。

共同声明は、この契約を拒否せよ、という株主たちへの呼びかけで終わっている。“現在の取締役会はXeroxの故意の破壊を看過し、われわれが何もしなければ、この最新のFuji方式がXeroxの最後の弔鐘になる。株主のお仲間たちよ、Fujiにこの会社をわれわれから盗ませないようにしよう。正しいリーダーシップの下(もと)なら、独自の価値を実現する巨大な機会が今でも存在している”。

【以下抄訳】
これに対しXeroxのスポークスパーソンは、Fuji Xeroxの結合が、Xeroxの株主に価値をもたらす最良の道だ、と反論している。二人は以前から、Xeroxは売れ、と主張していたのであり、今回は、その売り方/売られ方が気に食わないのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「RVのAirbnb」のOutdoorsyが2500万ドルを調達

連続起業家Jeff Cavinsによれば、毎年3500万人以上の人たちがRV(レクリエーショナルビークル:キャンピングカーやキャンピングトレーラーなど)を借りようとしているそうだ。そしてそのうちの38%がいわゆるミレニアル世代だ。しかし、そうした人たちは結局その目的を遂げられないことが多い。彼によれば、その理由は、これまでのレンタルサービスが提供している車の数が、10万台以下しかないからだ。

Cavinsは、サンフランシスコに本社を置く彼の会社Outdoorsyが、この問題に取組始めていると語る。その手段は米国内で個人的に所有されている1400万台のRVを他のユーザーにレンタルするというものだ。いわばAirbnb流である。

こうしたRVは多くの時間、使われずにホコリをかぶっていることが多い、とCavinsは言う。彼はOutdoorsyを2014年の末に共同創業した(彼はそれまでに7つの会社を起業していた――そのうちの2つは公開企業である)。

「アメリカ人たちは休暇を確保するのに必死ですが、その実態と言えば、キャンピングカーを買って使い、そしてまた翌年1週間ほど使う、といった具合なのです」とCavinsは言う。「そして使われないときには、車はは単に車庫に鎮座していて、オーナーはローンと保険を払い続けるというわけです。そして3年目になると、人びとはディーラーを再訪して、『もういいや』と言うんです。そこでディーラーが言う答は『申し訳ありませんが、3年前に10万ドルでお買上げいただいた車は、現在4万ドルの価値しかありません』というものです」。

直観的に考えると、このプラットフォームは理にかなっているように思える。ほとんどの人にとって、RVはそれほど手頃なものではない。それらを維持するのも大変だ。そして人びとは、ホームシェアリングのサイトやホテルでは、訪れることのできないような場所へ行きたいと、ますます思うようになっている。例えばバーニングマン(アメリカ北西部の人里離れた荒野で、年に1度約1週間に渡って開催されるイベント)や、毎年開催されるコーチェラ・フェスティバル(野外音楽フェスティバル)のことを思い起こして欲しい。

しかし、Cavinsによれば、彼がそのアイデアをプレゼンし始めた数年前には、ベンチャー投資家たちがそのアイデアを「買うことはなかった」そうである。彼はすべての適切なファームにアプローチしたものの、そのアイデアをリスキー過ぎるとみなした人たちによって、丁重な門前払いが繰り返されたと話した。

実際に、Cavinsによれば、彼と共同設立者兼人生のパートナーであるJen Youngは、初年度は会社への資金調達を諦めて、2人の「驚異的」な開発者たちと素晴らしいプラットフォームを開発したという。VCからは4つの条件規定書が提示されたが、彼はその全てを断ったという。(「私は自分の会社を、彼らに渡すことを望んでいませんでした」と彼は言う)。その代わりに、彼が次にとった動きは、会社をNFXに参加させることだった。NFXは毎年小さな企業グループと一緒に働き、その「ネットワーク効果」に集中したり、マーケットプレイスの拡大を常に狙っている、ベンチャーファーム兼アクセラレーターである。

プログラムで費やされた時間はその価値があったと、Cavinsは述べている。「NFXでは、プラットフォームのプロフェッショナル化を学びました。例えばeBay上の販売業者、Zillow上の不動産会社、そしてAirbnb上の不動産管理会社などを想像してみて下さい。私たちが必要としていたのは、プラットフォーム上でのパートナー企業でした」それがOutdoorsyの始めたことだ。Outdoorsyは相互プロモーションパートナーシップを結んでいる。例えば北米で約500のキャンプ場を抱え、KOAという名前で知られる、キャンプ場のネットワークKampgrounds of Americaとの提携もその1つだ。「彼らは土地と空間を売り、Outdoorsyはホテルの部屋を持って行くのです」とCavinsは言う。

Cavinsによれば、Outdoorsyは、Facebook広告、口コミ、そして彼が言うところの「新興パワーセラー」を介してユーザーを探しているという。彼はカリフォルニア州ハンティントンビーチに住むシングルマザーの例を挙げた。彼女は5台のRVを購入し、それを使って娘がUCバークレーのロースクールに通うための学費を稼いでいるのだという。「これは、キッチンテーブルの前に座って、私たちのプラットフォーム上でビジネスを行う人びとの、コテージ産業のようなものです」とCavinsはう。

またさらに、Cavinsによれば、Outdoorsyは現在25万6000人のユーザーを抱えており、毎月2万1000人のユーザーが増えているそうである。RVのオーナーたちは、価格を設定し、サイト上での「信頼性」ランキングと貸出台数に基いて車両貸出小計の80から94パーセントの取り分を手にする(沢山貸し出せば貸し出すほど、取り分も多くなる)。Outdoorsyはこれとは別に総合計のうち最低10%を徴収するが、その一部は様々なパートナーを通したオンデマンド保険(無制限のロードサービスを含む)へ支払われる。

勢いに乗り、今や50人を雇用するOutdoorsyは、Aviva VenturesとAltos Venturesの主導により、2500万ドルのシリーズB資金調達を達成したばかりだ。この調達にはTandem CapitalとAutotech Venturesも参加している。(Autotech Venturesは以前にも、Outdoorsyが調達した650万ドルの資金提供を行ったことがある。その大部分の資金はCavinsから来たもので、さらに彼自身はNFX、Tekton Ventures、そして数多くのエンジェル投資家からの出資を受けていた)。

もちろん、Outdoorsyも完璧に順風満帆というわけではない。

Outdoorsyが公開したRVを眺めると、多くのピックアップトラックが登録されている。これはレクリエーショナルビークルの定義を少々拡大解釈し過ぎだろう。少なくとも人びとがその中で寝たいと思わないようなものは(敢えてトラックレンタルのためにOutdoorsyを訪れるなら別だが)。またMighwayCampandaといった、少なくとも10以上の競合RVレンタル会社もある

そしてOutdoorsyにとっては、Airbnb自身も競合となる。家や空室レンタルと並んで、AirbnbはユーザーをRVやキャンピングカーに誘う。

Cavinsは、その他の競合会社やAirbnbとは異なり、Outdoorsyのユーザーたちは「心でつながっている」と主張する。なぜならホストとゲストが顔を合わせることが滅多にないAirbnbと違い、Outdoorsの「ホスト」は借り手に実際に会って、車の使い方を教えなければならないからだと言う(彼は「家族同士が親友になるところ」を見ただけでなく、「結婚に至る場合も」あったと語る)。

Airbnbはまた、借り手が物件を破壊するという問題でも、幾分有名になっている。Outdoorsyが同じ問題をどのように処理しているかを尋ねたところ、同社の保険は、すべての州、郡、管轄区域、地域をカバーする「単発の」保険であると説明された。利用者がOutdoorsyのDMVチェック(運転資格チェック)を通過すると(同社は、そのソフトウェアがこれを20秒以内に行うと言う)、その利用者に対する保険の承認が行われ、旅行に対して200万ドルまでの保障が行われるようになる。保険は、事故の際に、オーナー、借り手、および第三者を保護する。

想像はできると思うが、CavinsはAirbnbと比べられることを気にしていない。彼は、どちらの企業もパートナーシップに焦点を当てるなどの点で、いくつかの類似点があることを指摘している。例えばCavinsによれば、Outdoorsyは数多くのイベント主催者と協力して、それほど遠くない未来に、顧客がNASCARレースや、コーチェラやボナルーなどの音楽フェスティバルのチケットを購入した際に、駐車券とお気に入りのシャンパーニュが冷蔵庫で冷やされたRVを、同時に予約できるようにしたいと考えているそうだ。

「これらのパートナーシップへの取り組みは既に始まっています」とCavinsは言う。

上の写真:共同創業者のJen YoungとJeff Cavins。Youngは同社のCMOであり、CavinsはCEOである。

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(翻訳:sako)

まずは福岡から、メルカリのシェアサイクル「メルチャリ」が2月27日にリリース

メルカリのグループ子会社であるソウゾウは2月13日、オンデマンドシェアサイクルサービス「メルチャリ」を2月27日より提供開始すると発表した。メルチャリの導入都市の第一号として選ばれたのは、福岡だ。

メルチャリは、フリマアプリなどを提供するメルカリグループが提供するシェアサイクルサービス。メルチャリの利用の流れは以下のようになる。ユーザーはまず、アプリ内にあるマップを見て近くの専用ポート(駐輪場)に行き、自転車をレンタルする。その際、アプリで発行されるQRコードにより自転車の鍵を解除する仕組みだ。

料金は1分あたり4円。例えば、新宿から渋谷まで自転車で行くと約20分ほどかかるから、80円と体力さえあればこの区間を移動できることになる。ちなみに、メルチャリに利用される自転車は折りたたみ自転車にも採用される小型の20インチタイプで、3段変速ギアが搭載されている。電動アシストはない。

先行する競合サービスにはセブンイレブン・ジャパンがソフトバンクグループのOpenStreetと共同で手がける「HELLO CYCLING(ハローサイクリング)」や2017年8月より日本にも上陸した中国の「Mobike(モバイク)」などがある。それらと比べてメルチャリが特徴的なのが、個人宅や店舗の軒先を自転車を駐輪するポートとして利用する点だ。

メルカリは同サービスを“ユーザー・地域参加型”と呼んでいる。その理由は前述のポートの運用だけではない。地域の目がサービスの質向上にもつながる仕組みがある。

メルチャリでは、ユーザーが違反報告や自主的な放置自転車の移動などのアクションをすることで、サービス内のマイルやメルカリポイントが付与されるという。

実際、シェアサイクル先進国の中国では同様のサービスが普及したことによる放置自転車の増加が問題視されている。それを防ぐ良い手となるかもしれない。

メルカリは今後、ユーザーにインセンティブを与えたり、運営の参加にゲーム性をもたせることで、ポートの清掃などその他のサービス運営にも個人を巻き込んでいきたい考えだ。

もちろん放置自転車対策などのサービス運営体制はそれだけに限らず、自転車に内蔵されたGPSで常時自転車の駐輪場所を把握し、サポートトラックが放置・違法駐輪の自転車や故障者を移動・回収することで各ポートを常に最適な状態に保つという。

メルチャリはまず、2月27日に福岡でサービスを開始する。リリース時点での自転車台数は400台、ポート数は50箇所だ。メルカリはこれを2018年夏までに2000台、200箇所にまで拡大するとしている。初めての導入都市に福岡を選んだ理由としては、メルカリのカスタマーサポート拠点が福岡にあること、坂が少ない自転車の移動に適した地形であること、公共交通機関のすきまを埋めることが期待できることなどを挙げている。

「メルカリはこれまでお客様同士の取引の場を提供してきたが、それはオンラインの場だけに限られていた。メルチャリを展開することで、それをオフラインの場にまで広げたいという思いがあった」と話す、ソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏。

“個人と個人をつなぐ”ことが得意なメルカリだからこそ、個人をサービス運営に巻き込むというアイデアが生まれたのかもしれない。この仕組みは新しい取り組みだからこそ、どれほどの人々が自宅へのポート設置などに協力するのかという点に注目が集まる。

Google Kubernetes Engineのコンテナ用GPUが公開ベータへ

GoogleのKubernetes Engine旧: ‘Google Container Engine and GKE’)では、これからすべてのデベロッパーが自分のコンテナにNvidiaのGPUをアタッチできる。

そのGPUs on GKE(←これはGoogleがよく使っていた頭字語だが、今はあまり使われていない)は、これまで半年あまり、非公開アルファで提供されていた。しかし今度からそのサービスは公開ベータになり、機械学習アプリケーションなどのワークロードを動かしたいデベロッパーが誰でも、GPUの力を利用できる。Googleによるとこのサービスは、Tesla P100とK80 GPUs の両方へのアクセスを提供する。それらはどちらも現在、Google Cloud Platformで利用できるGPUだ。

コンテナとGPUという組み合わせのアドバンテージは、必要に応じてワークロードの増減に、容易に対応できることだ。GPUのワークロードのすべてにスパイクがあるわけではなくても、万一のときには便利なオプションとして評価できるだろう。

Googleでは、GPUジョブのモニタリングを、そのAPIStackdriver、ロギングサービスなどから容易に行える。

全体としてKubernetes Engine(←GoogleがGKEの正式名として使うことにしたらしい名前)は、そのコアアワー(core数×時間)が2017年に9倍になった。コンテナのブームと、(当時の)GKEが2016年にローンチしたばかりであることを考えると、9倍も意外ではないが、しかしそれは、Googleがコンテナの世界で勝馬を獲得したことを、意味しているのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Boston Dynamicsの新型ロボットはひとりでドアを開けられる

いつかこの日が来ることはわかっていた。Boston DynamicのスリムになったSpot Miniが、今度はドアの開け方を覚えた —— 使っているのが腕なのか顔なのかは、見る人次第。

チームがGoogleからSoftbankに代わったあともバイラルなロボットマーケティングは健在だ。あのスリムデザインのSpot Miniのデビューから3カ月、新たに制作された予告編ビデオでは、ヘッドマウントアームを装備したもう一匹がドアを(比較的)すばやく操作して仲間を部屋に通す。

ビデオを見てすばらしいと思うのは、アームの機敏な動きに加えて、かなり重そうなドアを開きながらバランスを維持しているところだ。

これはまさしく「クレバーガール」だ。

前回のビデオと同じく、この予告編でもすでに発表済みのロボットのミツバチ色バージョンの新機能について詳しい説明ない。

この技術は高度な自動制御システムの可能性を感じさせるが、ビデオが短すぎて誰かが画面の外からロボットを操作しているのかどうかはわからない

もし、Spot Miniが実際に自分でドアを開けて友達を自由にできるようになったら、そろそろ心配し始める時だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonが数百名をレイオフ、人減らしというより過剰部門の調整のよう

eコマースの巨人としては珍しく、Amazonはシアトル本社などから数百名をレイオフしようとしている。Seattle Timesが、そう報じている。

同社はその直前までの8年間雇用ブームで、シアトル本社は2010年の5000人から40000人に膨れ上がり、また全国から数社の小売企業を買収してきた。

しかし記事によると、過去2年間の増員によって一部の部門は経費と人が過剰になった。最近の数か月同社は雇用を凍結して社員増を抑え、空席は昨年夏の3500名からその半分に減った。

今回のレイオフはAmazonのシアトル本社が主だが、これまで、そのほかの地域の小売子会社の一部も人減らしを行っている。たとえばラスベガスのフットウェア店Zapposは最近30名をレイオフした。そしてDiapers.comのオーナーQuidsiは昨年、250名あまりを切らざるをえなかった。

これらの動きは、Amazonが支出の抑制に向けて動いていることと、同社傘下の小売企業の一部を整理統合しようとしていることを示唆しているのかもしれない。

しかし数万人の社員を抱える企業が数百名規模の人員調整を行うことは、異例ではない。最近もっと多くの人員をレイオフした著名な大規模テクノロジー企業に比べると、かなり少ないとも言える。たとえばMicrosoftは昨年後半、数千名の社員をレイオフした…ただしその多くはアメリカ国外の社員だった。

またこのレイオフは、全世界で50万名あまりを雇用するAmazonが、さらなる人減らしや、ほかの部門や地域での雇用の鈍化を意図している兆しではない。至近の四半期決算報告によると、同社は昨年1年間で海外の社員数を66%増やしている。そして現在のシアトル本社だけを見ても、4000名あまりの求人情報がある。

本誌TechCrunchは今回の新聞報道についてまだAmazonからのコメントを得ていないが、同社のスポークスパーソンはThe Seattle Timesに対して、この異動は同社の例年の計画数値の一環であり、“人員調整は全社的に行っており、二箇所で少数の人員削減、そして他の多くの場所では積極的な雇用を行っている”、と述べている。

記事によると、すでに数名の社員がレイオフを告げられており、その実施は数週間後となる。

“調整の対象となった社員については、新たな雇用を行っている部門に役割を見つける努力をしている”、とスポークスパーソンは語っている。

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TraegerのWi-Fi燻製器は驚異的な優れもの

肉も火も大好きなので、Traeger Timberline 850というハイテク燻製器は私のど真ん中にヒットした。非常に優秀で(ただし非常に高価な)なアウトドア用オーブンだ。ありきたりの木炭やガスを使う燻製器とはまったく違う。Treager独自の燻製用ペレットを使うシステムで、ペレットの種類によってそれぞれ独自のフレーバーを与えることができる。

Traegerはだいぶ前にできたスタートアップだが、頑丈なバーベキューや燻製器で西海岸を中心にカルト的人気を得るようになった。 最近Skullcandy の元CEO、Jeremy Andrusを迎えてブランドを一新した。今やTreagerはアウトドア料理マニアの垂涎の的となっている。もっとも裕福なミレニアルならこの燻製器に気軽に1700ドル支払えるのだろう。

Timberline 850で重要なのはペレットシステムだ。小指の先ほどのペレットが少しずつ火床に運ばれて煙を出し、ファンが煙をグリル内に循環させて所定の温度を保つ。いわば巨大なコンベクションオーブンだ。肉、魚はもちろん野菜やフルーツも最適のプロフィールで燻製される。私はビーフ、ポークはもちろんピザも焼いてみたが、どれも感動的な仕上がりになった。もうひとつ、私のお気に入りは(ビールの空き缶にまるごとのチキンをかぶせてローストする)ビア・カン・チキンだが、これも1時間ぐらいで完璧にできた。

ひとつ重要な点はペレットの補充だ。グリル内が所定の温度になるには15分から20分かかるのでペレットの必要量はそれだけ増す。しかしペレットは全国どこでもDIYショップで売っている。

ではWi-Fiはどういう役割を果たすのか? ひとつはリモート・タイマーだ。調理が終わる時刻になるとグリルからどれほど離れたところにいてもiPhoneのアプリが教えてくれる。また庫内温度、素材温度などあらゆる設定がWi-Fi経由で可能だ。またTreagerの専用サイトからレシピを選んで送信すれば所定の燻製プロフィールをセットできる。【略】

このモンスターは普通のガスや木炭のグリルよりだいぶ場所を食うが、それだけのことはある。平凡な裏庭料理がスターシップ・エンタープライズのレベルにアップグレードされることは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

仮想通貨マイニングのマルウェア、英・米政府のパソコンをこき使う

先週末、ちょっとしたマルウェアが政府のパソコンで仮想通貨のマイニングに精を出していた。最初に気づいたセキュリティー研究者のScott Helmeによると、このマルウェアは英国のプライバシー監視機関(ico.org.uk)と米国裁判所システムのウェブサイト(uscourts.gov)を含め4000台以上のパソコン上で実行された。

マルウェアは侵入先のデバイスを利用して、「マイニング」(採掘)と呼ばれるCPUに高い負荷のかかる複雑な計算処理を実行した。マイニングは一部の仮想通貨(暗号通貨)に利用されている。

[BrowserAloudの@texthelpというソフトウェアに注入された悪意のコードは、小さいが非常に強力だ。画面の白いテキストが元のコードで、紫色のテキストが犯人に注入されたコードだ]

疑うことを知らないパソコンに暗号解読ソフトウェアを潜入させるために、犯人らはBrowsealoudという失語症や読解力の低い人向けのアクセシビリティープラグインを標的にした。Browsealoudに侵入したマルウェアは、プラグインのコードを書き換えて悪意のあるJavaScriptコードを注入し、Coinhiveという名前で知られるマイニングソフトウェアを無防備なパソコン上で密かに実行させた。

日曜日(米国時間2/11)、英国の国立サイバーセキュリティーセンターは、現在「違法な仮想通貨マイニング に使用されたマルウェアに関係するデータを分析している」とする声明を発表した。

サイバーセキュリティー会社のCrowdStrikeは先月、新しいタイプの脅威として、仮想通貨マイニングマルウェアの台頭を指摘していた

「ここ数カ月間、他人のCPUサイクルを無許可で利用して利益を上げる、暗号通貨マイニングに焦点を絞ったサイバー攻撃が増加している」と同社は指摘し、2018年にはこの種の事件がいっそう増えると予想している。

しかしHelmeが言うように事態はもっと深刻なものになりえた。類似の侵入方法を使って、Moneroをマイニングする代わりに政府の認証情報や個人情報が盗まれていたかもしれなかったからだ。

[考えれば考えるほど、もっと悪いことを想像してしまう。攻撃した犯人は英国の数多くの情報局ウェブサイトを含む何千ものサイトに任意のスクリプトを注入している。その技術を使ってほかに何ができるか考えてみてほしい… 」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、カスタムTPUマシン、アルファ版公開――クラウドで機械学習を加速

GoogleのTPU(Tensor Processing Units)は、TensorFlowフレームワークによる機械学習を効率的に実行するために独自に開発されたカスタムチップだ。このTPUがアルファ版であるものの、クラウド利用できるようになった

Googleがデザインしたチップは、一部の機械学習のワークフローを他社の標準的GPUよりもはるかに高速にを処理できるという。このTPUの消費電力が少ないことはGoogle側にとって重要なポイントだろう。デベロッパー側は消費電力などあまり気にかけないだろうが、Googleにとってデータセンターへの電力供給は大きな課題だ。また利用料金の引き下げにもつながる。

Googleは9ヶ月前のI/Oデベロッパー・カンファレンスでクラウド上でTPUを利用できるようにすると発表していた(このとき一部のデベロッパーに限定してアクセスを許可)。 それぞれのCloud TPUは4基のASICと64GBの広帯域メモリーを備える。Googleによれば、1つのTPUボードのピーク能力180TFLOPSだという。

すでにTensorFlowを利用して機械学習を実行しているユーザーは、新しいサービスを利用するためにコードを大きく書き換える必要はない。ただし当面、Cloud TPUを利用するのはワンクリックというわけにはいかない。アクセスを管理するため、「利用希望者はCloud TPUの利用割当を申請する必要がある」ということだ。割当を受けた後は、1TPU1時間あたり6.50ドルの料金となる。標準的なTesla P100 GPUがアメリカでは1時間1.46ドルで利用できる。ただしFP16によるピーク能力は 21TFLOPS程度だ。

機械学習で大きな実績を挙げてきたGoogleだけに、新しいクラウドTPUサービスにはユーザーが殺到するだろう。長期的にみれば、Googleにとって重要なのはGoogle CloudにAWSやAzureに対する差別化の要因を与えるところにある。クラウド・サービスも基本的な部分ではどれもほぼ横並びだ。コンテナ・テクノロジーのおかげで、プラットフォームを移し替えるのも非常に簡単になった。その点、TensorFlowとカスタムTPUはGoogle独自のものだ。少なくとも当面、機械学習の分野ではライバルは歯が立たないだろう。

〔日本版〕Cloud TPUはGoogleの日本サイト経由で登録できる

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DNA利用のナノボットがガン細胞攻撃に成功――折紙方式で畳まれ、標的で抗がん剤を放出

SFのように聞こえるが現実の話だ。今日(米国時間2/12)、Nature Biotechnologyに発表された論文によると、自律的に作動する微小なロボットによって抗がん剤を標的細胞に有効に送り込む実験がハツカネズミで成功したという。

このDNAナノボットはガン細胞を探し出し、その細胞への血液供給を妨げる薬品を注入する。その結果、ガン細胞はやがて死滅するという仕組みだ。

「腫瘍細胞を持つハツカネズミによる実験で、われわれは 腫瘍細胞に特異的に結合するトロンビンを運搬するDNAナノボットを静脈注射によって投与した結果、腫瘍組織に血管内血栓形成を引き起こし壊死に至らせ、また腫瘍の成長を妨げることを実証できた」と論文は説明している。

DNAナノボットというのは薬剤投与における新しいコンセプトで、特別に合成され日本のオリガミのように畳まれるDNAシートを微小ロボットとして用いるものだ。

DNAナノボット:Nature Biotechnology 2018

この研究を行ったチームが人間の乳がんを持つハツカネズミにDNAナノボットを注射したところ、48時間以内にナノボットは乳がん内のガン細胞を発見してに結合し、ガン組織への血液供給を阻害、組織を壊死させることができたという。

論文によれば、この実験で重要な点は、血液凝固因子をもつトロンビンを付着させたナノボットが標的とするガン細胞以外に血栓を引き起こさなかったことだという。

The s研究チームはまたBamaミニブタにナノボットを投与し、健康な組織に血栓を引き起こさなかったことを実証した。これによりハツカネズミより大型の動物でも安全であることが示された。

この研究チームによれば、最終目標は、この薬剤投与方法を人間に対しても確立することだ。もちろん実際の治験に進む前にさらに多数の研究が必要だという。

そうであっても、今回の実験の成功はガンの治療における大きなブレークスルーだ。現在の抗がん剤によるケモセラピーはガンであろうとなからろうとすべての細胞に届いてしまう。DNAナノボットを用いる方法に比べると野蛮だ。ナノボットはガン細胞に特異的に結合し、そこで抗がん剤を放出するのでガン細胞だけを壊死させる。近い将来、この手法が人間のガン治療において承認され大きな効果をもたらすことが期待される。

画像:: KTSDESIGN/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

この先YouTubeは、不快なビデオを投稿するチャネルの広告を剥奪し発見性を低下させる

本日(米国時間2月11日)の早い時間に、Logan Paulのビデオチャンネルへの広告表示を停止したことに続き、YouTubeはより厳密で幅広い制裁措置を、視聴者、YouTubeのコミュニティ、あるいは広告主たちに対して有害なビデオを投稿するクリエイターたちに適用する準備を整えたことを公表した

Paulへ対して措置を行った際に(今や対象は2つになった)、YouTubeはビデオに対するマネタイズオプション、特にアドバタイジングプログラムへのアクセスを禁止すると発表した。しかし、さらにその上に、多くのビデオの人気が発見可能性に依存することを考慮して、さらに影響のあるヒネリも加えられた。

「私たちは特定のチャンネルがYouTube上で推奨される資格の剥奪も考えています。たとえば私たちのホームページ上に表示されること、トレンドタブ、次はこちらなどから取り除くということです」と語るのはYouTubeの製品管理担当副社長のAriel Bardinである。

YouTubeが概説した制裁手段の完全なリストは以下の通り:
  1. プレミアムマネタイズプログラム、ならびにプロモーションとコンテンツ開発パートナーシップ:Google Preferred(Google推奨)からチャンネルを削除し、作成者のYouTube Originalを一時停止、キャンセル、削除することがある。
  2. マネタイズとクリエイター支援特典:YouTubeは、チャンネルの広告配信機能、収益の獲得機能、YouTube Partner Programからのチャンネル削除を行う可能性がある、またその中にはクリエイターサポートやYouTube Spacesへのアクセス禁止も含まれる。
  3. ビデオ推奨:YouTubeは、YouTubeのホームページ、トレンドタブ、または次はこちらなどの、YouTubeで推奨される資格を、チャンネルから剥奪する可能性がある。

この変更は、苦しいクリエイターたちに実際に打撃を与えるだけでなく、プラットフォームの性格を変えてしまうという意味でも重要である。長い間YouTubeは、コメディーや表現の自由の名の下に作られた、悪ふざけや潜在的に不快なコンテンツで満たされた、尖ったビデオの宝庫として知られていた。

現在、YouTubeは心機一転を目指して、大規模な人間のキュレーターとAIを動員し、投稿されるコンテンツを追跡している。そしてビデオがYouTubeの広告ガイドラインに抵触したり、広いコミュニティに脅威を与える場合には、YouTubeの規則に反したものとして排除される。

「ある1人のクリエイターが、特に露骨なことをした場合、例えば人びとが傷つくような悪質な悪戯を仕掛けたり、特定のグループに向かって暴力や憎悪を煽ったり、残酷さを見せつけたり、オーディエンスやサブスクリプションを得るために他者の痛みをセンセーショナルに扱うなどのことをしたりした場合、その行為はコミュニティ、視聴者、クリエイター、そして世界に癒えない傷を残します」とBardinは述べる。「その傷は現実世界にも影響を及ぼし、ユーザーだけではなく、他のクリエイターたちの創作の機会の喪失、収益の喪失、そして生活そのものにも重大な害が及ぶ可能性があります。だからこそ、チャンネルを使ってファンとつながったり、繁盛するビジネスを構築しようとする99.9%の人びとに、わずかな人間が影響を及ぼさないようにすることが重要なのなのです」。

こうした動きは、毎日何百万人もの人が投稿し、共有し、視聴しているYouTube全体の質を高めようとする、同社のより一層の協調的努力から生まれているものだ。これまでに多くの好ましからざる連中が告発されてきた。例えば人びとの投票行動に影響を与える政治的宣伝活動を行う輩や、子供向けの有害コンテンツを投稿する輩、そして単純に残酷で、不愉快で、常軌を逸したビデオをコメディの名の下に投稿するような連中だ。

この問題は、Paulの件で山場を迎えたようだ。彼は1月に、日本で自殺者の遺体をとりあげたビデオを投稿した、そしてその後も、より疑わしいコンテンツを、無害な楽しみとして投稿したのだ。

本日の早い時間の記事でも指摘したように、たとえ彼が広告を通して何十万ドルを稼いでいたとしても(正確な金額は不明。これは複数の分析会社による予想である)、広告手段を取り上げてもその制裁は部分的なものに留まる。何故ならPaulは他の手段(例えば商品販売)などでも収益を挙げているからだ。なので、YouTubeが、クリエイターの口コミ伝播力に影響を与えるような、より細やかなクリエイター制裁の手段を追加することは興味深い。

Paulのケースでもみられたように、YouTubeは、そのプラットフォーム上のクリエイターの大多数が、本日の発表の影響を受けないことを強調している。なぜなら、その大部分のコンテンツは許容範囲に収まっているからだ。YouTubeによれば、このような制裁は最後の手段として適用され、恒久的なものでもない場合がほとんどだが、クリエイターがコンテンツを削除したり変更したりするまでは続くということだ。これがプラットフォーム全体でのビデオコンテンツに、どのように影響するかは注目していく価値がある。

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(翻訳:sako)

広告業界インサイダーのグループが、広告賞にロシア疑惑を推薦

少人数の広告業界インサイダーのグループが、今年の広告賞シーズンに向けて斬新なキャンペーン制作し、ロシアの偽情報活動をノミネートした。

The New Yorkerの報道によると、この広告インサイダーたちは、自ら制作したロシア疑惑のケーススタディー —— “ProjectMeddle.com” —— をWebby Awardsに推薦した。

Webbyアワードは「インターネット最高の作品」に対して称賛と謝意をこめて贈られる賞だ

Project Meddleの応募ビデオだけでも一見の価値がある。

広告専門家からなる同グループは有志の協力を得て、ロシアの妨害活動を強く訴える事例を、マーケティングの名作にしあげた。

グループはロシアのプロパガンダと偽情報を流布するシステムの露骨なやり口を注意喚起するべく、マーケティングの手法を使った。

ロシアが支援する活動がポケモンGOなどの人気アプリやソーシャルメディアを悪用して、自分たちの作戦を推進する「ニュース」を創作しようとしたことも、キャンペーンは指摘している。

ロシアの一連の行動が、選挙結果に何らか影響を与えたことは、運動のスコープと到達範囲から考えて疑いの余地はない。

キャンペーンを賞に応募したことで、広告業界は自らの偽善的行為と直面することになった。これが上層部が行動を起こすきっかけになれば理想的だ。

「私の願いは、あの部屋に座っている力の強い人たちの何人かだけでも『こういうことが再び起きないために、私は何をしているのだろう?』と気づいてくれること」とある参加者がThe New Yorkerに話した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagramがストーリーのスクリーンショット通知機能をテスト中

Instagramは、他の誰かが自分のストーリーのスクリーンショットを撮ったときに、ユーザーに通知する機能をテストしている。テスト対象になっているユーザーたちは、以下のように「次に友人のストーリーのスクリーンショットを撮ったら、友人はそれを知ることができる」と警告を受けている。

インスタのストーリーのスクリーンショットを撮る自由はおしまい    インスタさん警告してくれてありがとう

そしてテストに参加しているユーザーは、誰が自分のストーリーのスクリーンショットを撮ったかを、ストーリー視聴者のリスト上の名前の横にある、カメラシャッターロゴで知ることができる。はっきりさせておくと、誰かがスクリーンショットを撮ったからといって明示的な通知が行われるわけではない。単にストーリー視聴者のリスト上に現れるだけだ。

お知らせ:誰かがストーリーのスクリーンショットを撮った時に知らされる方法

InstagramがTechCrunchに送って来た声明文によれば、彼らはテストの実施を認めた上で、以下のように述べている「私たちはInstagram体験を向上させる方法、そして皆さまにとって重要な人たちと、どのような瞬間でも共有しやすいようにする方法を、いつでもテストしています」。

Instagramは、機能がすべてのユーザーにロールアウトされるかどうかを決定する前に、エンゲージメントに顕著な影響があるかどうかをこのテストを通して確認する筈だ。例えば、作成者に通知せずにスクリーンショットを撮る機能がないと、やがてストーリーを見なくなっていってしまうユーザーもいるだろう。

このテスト以前にInstagramが提供していた、唯一のスクリーンショット通知は、誰かがプライベートダイレクトメッセージのスクリーンショットを撮ったときに限られていた。それ以外は作成者に知らせずに、他者の写真やストーリーのスクリーンショットを撮ることができたのだ。特に、ユーザーは24時間以内であればストーリーを好きなだけ見直すことができ、作成者はある人が何回ストーリーを見たのかを、正確に把握することはできない。

もしロールアウトされれば、この機能はプラットフォームがスクリーンショットをどのように扱うかという点に関して、InstagramはSnapchatと肩を並べることになる。ダイレクトメッセージのスクリーンショットは送信者へ通知されるが、ストーリーのスクリーンショットは視聴者分析タブの名前の一覧の横にマークが現れるだけだ。

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(翻訳:sako)

キャッシュバックサービスのCardlytics、IPOで7000万ドル調達。株価は3%高

米国ジョージア州アトランタ拠点のCardlyticsは金曜日(米国時間2/9)、公開市場へのデビューを果たし、IPO価格の13ドルをわずかに上回る13.37ドルで引けた。同社は540万株を売り出し、7000万ドルを調達した。

Cardlyticsは、Bank of Americaを始めとする2000社の金融機関と提携してキャッシュバックプログラムを運用している。レストラン、小売店、旅行業者、食料品店、家庭用定期購入サービスなどのブランドと手を結び、割引サービスを提供する。現在Starbucks、Spotify、Airbnb、Hilton、Whole Foodsなどの店舗で銀行顧客が特典を受けている

同社は「消費者の購入行動に基づいてターゲットされた特典を提供している」と共同ファウンダー・CEOのScott Grimesが本誌に語った。また「オンラインだけでなく消費者を実際の店舗に送り込む」。

銀行の顧客は受けたい特典を選んでおくと、指定の店舗で買い物すれば自動的にディスカウントが適用される。これまでに2.3億人の顧客が利用したと同社は言っている

しかしCardlyticsはまだ利益を上げていない。2016年には1.238億ドルの売上があったが7570万ドルの損失だった。2015年は売上7760万ドル、損失4060万ドルだった。

「売上成長率を将来も維持できるかどうかはわからない」とIPO申請書の必須項目である「リスク要因」に警告が書かれている。

2016年、CardlyticsはIPOに備えた財務改善の取組みの一環として、15%近い人員整理を敢行した

共同ファウンダー・COOのLynne Laubeは、今後も広告パートナーを増やしていく予定であり、それは「提供するディスカウント1ドル当たり、売上30ドルに影響を与える」からだと説明した。

Cardlyticsは、2009年にDiscovery Capital、Canaan Partners、Polaris Venture Capitalらから、新株発行により約2億ドルを調達した。CEO Scott Grimesは、かつてCanaanの主任パートナーだった。

Bank of AmericaとJ.P. Morganのが引受銀行としてこのIPOを統括した。

昨年TechCrunchはCardlyticsのIPOを第一報で知らせた。CardlyticsのIPOは、今年初のベンチャーキャピタル支援によるテクノロジー系IPOだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook