マネーフォワード、ブロックチェーンや仮想通貨関連新サービス開発に向けてラボ立ち上げ

個人向け家計管理ツールの「マネーフォワード」や自動貯金アプリの「しらたま」などを提供するマネーフォワードは12月29日、ブロックチェーン技術や仮想通貨を活用した送金・決済領域の研究を目的とした「MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボ」を設立したと発表した。

2012年に創業して以来、個人向けと企業向けにさまざまなタイプの金融サービスを提供してきたマネーフォワード。同社がこれまで注力してきたのは、“お金の見える化と経営の見える化“だった。そのうちに、マネーフォワードは「個人間および企業間の送金・決済領域において、既存の金融システムでは解決できない課題が存在している」ことに気づく。同社がその解決策として期待するのがブロックチェーン技術だ。

日本は全世界におけるビットコイン取引高の大部分を占めるなど、仮想通貨先進国として知られている。マネーフォワードは、「日本はFintechの市場規模では世界に遅れを取ってきたが、仮想通貨・ブロックチェーン分野では世界に先進できる可能性をもつ」と語る。

MF ブロックチェーン・仮想通貨ラボを設立することにより、マネーフォワードはブロックチェーン技術を活用した新サービスの開発に着手する。その具体的な内容はまだ分からないものの、同社から入手した資料によれば、個人間と企業間、そして国をまたぐ海外送金にかかる手数料を削減すること、そして、送金にかかるストレスを軽減することがこの新サービスの目標となるようだ。

写真左より、執行役員CTOの中出匠哉氏、執行役員 渉外・事業開発担当の神田潤一氏

研究開発の中心となるのは、2017年12月に執行役員と渉外・事業開発担当に就任した神田潤一氏、そして執行役員CTOの中出匠哉氏の2人だ。神田氏は日本銀行と金融庁を経てマネーフォワードに入社した人物。ブロックチェーン技術や仮想通貨の分野は規制がいまだ不十分という声も聞かれるなか、新サービス構築にあたって必要となるであろう各省庁との“会話”では神田氏がキーマンとなる。

同社は今回の研究機関設立にともない、ブロックチェーン技術に興味・関心をもつ人材の採用を進めるとともに、仮想通貨交換業者登録を検討するとしている。

SoftBankのUberへの巨額投資、間もなく完了――株式公開買付の成功が報じられる

ここしばらく大きな話題になっていたSoftBankのUberへの投資がほぼ完了した。

Wall Street Journalによれば、 SoftBankがリードする投資グループがUber株式の15%前後を所有する手続きが、早ければ太平洋時間の今日(米国時間1/28)にも完了するという。

発行済株式を株主から買い上げる取引については、総額は480億ドルとなるもようだ。Uberが前回ベンチャーキャピタルから資金を調達した際の会社評価額をベースにした場合、株式の額は690億ドルだったはずで、SoftBankの取得価格は大幅な割引となった。これと別にSoftBankらはUberに直接10億ドルを投資するが、こちらは690億ドルの会社評価額をベースとしている。

Uber社員やBenchmark Capital、Menlo Venturesなど、初期から投資を行っていたベンチャーキャピタルはSoftBankに所有する株式を売却するものとみられる。これによって現在まで「ペーパーマネー」に過ぎなかったものがキャッシュに置き換わるわけだ。Uberは現在まで株主に株式の売却を原則として禁じていた。

UberとSoftBankはこの件に関するコメントを避けた。

SoftBankの投資が完了すればBenchmarkはUberの元CEO、トラビス・カラニックへの訴えを取り下げる。この訴訟はカラニックが取締役会の決議を経ずに取締役を任命する権限があるかどうかを巡って提起されていた。

カラニックはUberに対して社会的批判が高まったのをうけて6月にCEOから退いた。Uberは性的差別やハラスメントを容認する企業文化があったとして非難されてきた。また、Googleの親会社Alphabetグループが所有するWaymoから自動運転テクノロジーを盗んだとして巨額の特許訴訟を起こされている。

今回の株式公開買付ではSoftBankが唯一のメンバーというわけではなく、このグループにはDragoneer Investment Groupが含まれている。先月TechCrunchが報じたとおり、Sequoia Capital、Tencent、TPGなど他の投資家もUber株式の買い付けに興味を示していた。

画像:: ANTHONY WALLACE/Getty Images

〔日本版〕Reitersが報じたところによれば、Wall Street JournalはUberの株主は同社の20%程度を所有しているとしている。これが事実ならSoftBankグループは公開買付の成功でUberの20%を所有することになる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「猛烈に売れるインフルエンサーは100人もいない」3人の先駆者が語る、国内ライブコマースの現状と展望

写真左から左からメルカリ執行役員の伊豫健夫氏、Candee代表取締役副社長CCOの新井拓郎氏、BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏

2017年の流行語大賞にはWeb関連の言葉としてAIスピーカーやユーチューバー、インスタ映えといったキーワードがノミネートされた。仮にもう少し範囲を絞り、国内のスタートアップ界隈限定で流行語を決めるとすると、「ライブコマース」は少なくともノミネートはされるのではないだろうか。

スマートフォンでライブ配信をしながら、その最中にモノを売るライブコマース、は中国で先行して注目を集め今年に入って日本でも話題となった。

11月16日・17日に開催されたTechCrunch Tokyo 2017でも、ライブコマースに取り組む3社によるパネルディスカッションを開催。TechCrunch Japan副編集長の岩本有平がモデレーターを務める中、メルカリ執行役員の伊豫健夫氏、Candee代表取締役副社長CCOの新井拓郎氏、BASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏がそれぞれの戦略や今後の展望を語った。

3社がライブコマースを始めた理由と狙い

3社の中でライブコマース用の独立したプラットフォーム「Live Shop!」を提供しているのがCandee、既存のプロダクトにライブコマース機能を組み込む形で提供しているのがメルカリ(メルカリチャンネル)とBASE(BASEライブ)だ。

国内でもいち早くライブコマース市場に参入したCandeeは6月に「ライブ配信× コマース× インタラクティブ」をテーマとしたLive Shop!をリリース。インフルエンサーやモデルが自身のチャンネルを解説し、ライブ配信を行う。

同社は「ソーシャルビデオ革命を起こすこと」を目標に掲げていて、スマホファーストかつソーシャル性とインタラクティブ性を兼ね備えるライブストリーミングに注目。この領域では女性向けのプラットフォームが少ないことから、ファッションなどの分野にまずは集中する形でスタートしている。新井氏によるとライブコマースにしたのは、広告以外のマネタイズ手段を作る目的もあったという。

メルカリの場合はライブフリマ機能という形で7月にメルカリチャンネルをリリース。直接的なきっかけは中国の上海で実際にライブコマースを目にしたこと。「C2Cの売買がリアルタイムで進む様子を見て驚いた。これを自分たちがやらなければ誰がやるのかという話で盛り上がりリリースに至った」(伊豫氏)

当初はインフルエンサーや芸能人が中心で始まり、8月から個人ユーザーにも解放。農家の人が野菜を売ったり、家族が古着を売ったりなど幅広い領域で利用が進み、1日800名ほどが配信を行うほどに成長している(11月のTechCrunch Tokyo開催時点)。

BASEもメルカリ同様にライブコマース機能を9月にリリース。BASEでは自分のブランドや商品を作る店舗が多く、商品のブランディングが課題のひとつ。商品ページのテキスト情報だけでは十分に伝わらない魅力を届ける手段として、ライブ機能を始めた。11月時点で1日あたりの配信数は100本弱、売れる商品だと1時間の配信で売り上げが100万円弱になっている。

メルカリやBASEで共通していたのは、商品の背景にあるストーリーを伝える手段としてライブ配信に注目していること。視聴者とのコミュニケーションも含めて、商品の魅力を深ぼって紹介できるのがライブならではの利点だという。

積極的にライブ参加する視聴者ほど、購入率が高い

参入の背景はそれぞれ違えど、やはり気になるのは実際に売れているのか、手応えを感じているのかどうかということ。その点について新井氏は「ぶっちゃけ日本でも売れるのか?またどうやったら売れるのか?ビジネスモデルの検証を最初にやった」という。

具体的にはユーザーボリュームは追いかけず、商品が売れるかどうかのコンバージョンやどのような演者の評判がいいのかを分析した。「結果として見えてきたのが、ライブに参加するほど購入率があがるということ」(新井氏)

Live Shop!ではライブ中にハートやコメントをした場合にライブ参加としてカウント。実際に商品を購入した人は、その他の人に比べて2倍のライブ参加率だったそうだ。それがわかったため、次のフェーズでは「どうやればライブに参加してもらえるか」に着目して映像の作り方や機能面の研究をしているという。

売れる人と売れない人の二分化が進む

メルカリチャンネルの場合はLive Shop!とはある意味真逆。伊豫氏いわく「インフルエンサーじゃない一般の人が配信しても売れるのか?」ということを検証してきた。

「売れる人と売れない人の差が広がり、二分化が進んでいる状態。売れる人はメルカリの中でインフルエンサーとなってフォロワーがつき、ずっと売れ続ける。1番の成功例はテレビでも紹介された農家の方。収入が20~30倍になり『人生が変わった』という声もいただいている」(伊豫氏)

その一方で全く売れない事例もたくさんあるそう。ライブ配信で商品の魅力を説明することは簡単なことではない。多くの場合はスペックを語るくらいしかできず、この点が今後伸ばしていく上でのポイントだという。

売れるユーザーと売れないユーザーの二分化現象はBASEでも同様だ。鶴岡氏は「本当に好きでその商品を作っている・売っている人と、お金儲けが先行している人で結果が大きく変わってくる」と話す。

「ユーザーからの質問に対する回答ひとつですぐにわかる。たとえばある漆職人の方の場合は『どこの漆なんですか?』という質問に対して、日本の漆の状況や特殊な作りなど永遠と語り続けるほど。好奇心があってものづくりが好きな人のライブは、インフルエンサーかどうかに限らず盛り上がる傾向にある」(鶴岡氏)

このようなチャンネルは固定のファンがつき「人で売れる」ようになるというのは、3社とも共通しているとのこと。商品を売り始めた瞬間に商品が売れて「バグが起きたのかと思った」(新井氏)こともあるそうだ。

少なくとも現段階においては、“誰が発信しているのか”ということが重要なポイントになっているのは間違いない。ただ新井氏が「猛烈に売れる人は、100人もいないのではないか」と話すように、ライブコマースで物を売ることのできる人数には限りがある。

「現時点でのマーケットサイズは小さいが、マーケットポテンシャルは大きい。人の育成や発掘にも力を入れていく」(新井氏)

ライブ配信を重ねていくうちにスキルをあげ、売り上げを伸ばしていく人は各社にいるそう。伊豫氏は「1日目と2日目の配信で結果は全然違う。配信者が育つのは間違いない」とメルカリチャンネルの事例を紹介。鶴岡氏も「最初は恥ずかしくて顔を出さない人が多いが(慣れていくにしたがって)徐々にみんな顔出しをするようになる」と話す。

ライブコマースの本質は「コミュニティ」にあり

3人は今後国内のライブコマース市場がどのようになっていくと考えているのだろうか。パネルディスカッションの最後にそれぞれが見解を述べた。

「地方のショップオーナーが『今お客さんがいないので1時間だけライブECします』とライブ配信をして商品を売っていたことに未来を感じた。これが来年なのか10年後なのかは別として、今後スタンダードになっていくと思う。ポテンシャルは十分にある」(鶴岡氏)

「中国の事例含め、(2時間で約3億円売れたケースなど)最大瞬間風速にスポットライトが当たっているが、実際にはコミュニティビジネスに近い。永続性、継続性を持ってファンとのコミュニティを育てていくことが重要。その上でスモールサイズのコミュニティをたくさん作るのか、ミドルサイズを狙っていくのか。自分たちはミドルとある程度大きなコミュニティを作りながらブランドを育てていく」(新井氏)

「重要なのは『在庫』と『人』。(この2つをつなぐ)スムーズな仕組みが作れれば日本でもポテンシャルはある。ライブコマースによって物と人の組み合わせのバラエティが豊かになり、新しい流通や市場が生まれている。インターネットとコミュニティの掛け合わせがライブコマースだと考えていて、メルカリでも可能性を狭めずにこの市場を捉えていきたい」(伊豫氏)

セッションが終了してまだ約1ヶ月ほどだが、その間にも大きな動きがあった。Candeeではセッション中に少し話のあった、ライブコマースとD2C(Direct to Consumer)を掛け合わせたプライベートブランドを11月16日に発表。新たな商品展開に取り組み始めるとともに、12月には24.5億円の資金調達を実施した。

メルカリも12月より伊藤久右衛門やインプローブスといった一部の法人にメルカリチャンネルの提供を開始。C2Cという枠組みを取り払って、コンテンツの拡充に向けて動き出している。

主要サイトの多くが、密かにアンチ広告ブロッカー対策を講じている

広告ブロッカーが、ウェブ上の広告ベースのビジネスモデルに、不利な影響を与えていることは特に秘密ではない。これは、広告主たちの様々な反応を引き起こしている。例えばあるサイトは比較的丁寧な利用者へのホワイトリストへの追加依頼(TechCrunchが行っているもの)を行い、また他のあるサイトはブロックを避けるための広告の動的再配備を行う。新しい調査によると、Web上の上位1万サイトのうち、3分の1近くが広告ブロッキング対策を講じている。その多くは対抗策を静かに実行し、とても洗練されている。

アンチア広告ブロッキング技術の伸びを受けて、アイオワ大学とUCリバーサイド校の研究者たちは、かつて行われたものを上回る規模で、主要なサイトに対する詳細な調査(PDF)を行うことにした。目に見えたり、ポップアップや壊れたコンテンツなどの明らかなアンチ広告ブロッキング対策などの観察から立てられたりした最初の予想では、おそらく有名サイトの1から5%がそのような対策を施しているのだろうと思われていた――しかし実際には、その割合は桁違いに高かったのだ。

研究者たちは、広告ブロックソフトウェアが埋め込まれたブラウザー、埋め込まれていないブラウザーの両者を用いて、何千ものサイトを何度も訪問した。ブロックを行うブラウザーと、ブロックを行わないブラウザーの最終レンダリングコードを比較することによって、たとえ利用者に通知を行わなくても、サイトがページ内容を変更したり、ブロッカーの存在を認知していることを判断できる。

上に示したように、(調査会社Alexaによる)トップ1万サイトのうち30.5%が、何らかの広告ブロッカー検出を行っていた。トップ1000で見てみると、その割合は38.2%となる(TechCrunchもこの中に含まれているが、私の知る限りでは、訪問者に、サイトをホワイトリストへ追加するよう依頼している)。

得られた結果は、アンチ広告ブロッカーは、以前レポートされたときよりも、更に普及が進んでいることを示している[…]私たちの仮説は、以前に報告されたものよりも、更に多くのウェブサイトが、広告ブロッカーを「気にしてはいる」ものの、多くのサイトはまだ、実際には広告ブロッカーを使うユーザーに対して対抗手段をとってはいないだろうというものだった。

しかし、実際には多くの広告プロバイダーが、アンチブロッキングテクノロジーを提供していることが判明した。それは広告に似た様々な「おとり」コンテンツを生成するスクリプトの形で提供されている。例えば広告ブロッカーを起動するきっかけになる名前やタグが付けられた画像や要素がある場合、サイト側にそれを知らせる。例えば”banner_ad”というマークのついたdiv は読み込まず、”banner”という説明の書かれたイメージはロードするようなブロックのパターンは、ブラウザによって強制される広告ブロッキングの種類と深さを明らかにする。

サイトは、(単に応答の必要性を判断するために)単純にこの情報を記録したり、検知された広告ブロッカーが反応しない形で、広告の再配備を行ったりすることができる。

広告主たちによるこれらの新しい共通対抗手段の検出に加えて、研究者たちは、現在の広告ブロッカーたちを、意図通りに機能させ続けさせることができるかもしれない、いくつかの手段を提案している。

1つの方法は、ブロッカーをチェックするJavaScriptコードを動的に書き換えてしまい、ブロッカーがないと思わせるようにすることだ。しかし、この方法は、本当は広告ブロッカーがあるのに、あたかもブロッカーが無いようにレンダリングさせることで、いくつかのサイトを壊してしまう可能性がある。

2番目の方法は「おとり」のコンテンツを特定し、それをわざとブロックしないことで、サイト側にブラウザーにブロッカーがないと思わせ、サイトから広告を普通に出させる――しかし結局実際の広告はブロックする――というものだ。

しかし、もちろんそれは、広告主たちによる、新しくより洗練された対策を誘発していくことになるだろう。論文の結論は以下の通り:

長期的に出版社や広告主たちに圧力をかけ続けるために、急速に拡大している技術競争の中で、広告ブロッカーはアンチ広告ブロッカーに対抗するペースを緩めないことが大切である。私たちの研究は、この方向への重要な一歩である。

この調査は、2018年2月のNetwork and Distributed Systems Security Symposiumに向けて投稿された。

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(翻訳:sako)

任天堂Switchの64ギガバイト巨大カートリッジはさらに遅れて2019年か?

任天堂のSwitchは、2017年のテクノロジーの世界でいちばん楽しいサプライズだったかもしれないが、多くの点で優れているけれどストレージの容量はそんなにすごくない。そしてそれは、The Wall Street Journalの伝聞のように64ギガバイトのカートリッジの生産が遅れるのなら、来年も解決しない問題として残るだろう。

今のところカートリッジの最大容量は32ギガバイトで、それでも十分大きいけど、コンテンツが大量にあったり、高解像度のリソースが限界ぎりぎりまであるゲームは、それでも苦しい。

カートリッジの容量が足りない場合は、不足分、あるいはゲーム全体をシステムのオンボードストレージにダウンロードしなければならないが、それもすぐに満杯になる。データはユーザーのMicro SDカードに載せられるが、高価な200+GBのやつでさえ、トータルのストレージは、最小規格のXbox One SやPS4 Slimにも劣る。

WSJの情報筋によると、64 GBのカートリッジは2018年の後期、という予定だったが、それが2019年にずれた。せっかくRPGの大作を作っても、それでは来年のXmas年末商戦にすら間に合わない。

一つのゲームが複数のディスクに分かれていた時代に戻るのか? しかしディスクと違ってカートリッジは高価なメディアだし、ダウンロードできることは問題解決にはならない。しかも毎回、今ある何かを消してスペースを作るようではね。

しかし、ゲームが多すぎて全部はデバイスに載らない、という問題は、贅沢な悩みかもしれない。しかも、巨大なゲームだから32ギガバイトに押し込められない、という問題でもない…Breath of the Wild(ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド)は、その半分もないからね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

日本のVC・エンジェル投資家が予想する2018年のスタートアップ・トレンド(後編)

2018年、テック業界を取り巻く環境はどう変化するのか——昨日に引き続き、毎年恒例となっている企画の後編をお送りする。本企画ではベンチャーキャピタリストやエンジェル投資家を中心にして2018年の業界予想アンケートを実施。その結果をとりまとめている。

アンケートの内容は「2017年に最も盛り上がったと感じる分野、プロダクトについて(150文字以内、自由回答)」「2018年に盛り上がりが予想される分野やプロダクト(可能であれば企業名なども)について(600文字以内、自由回答)」の2つ。アンケートの回答順にご紹介する(敬称略)。なお各VCから回答を得ているとはいえ、キャピタリストは通常カバー範囲が決まっている。各回答が必ずしもそのVCを代表する意見ではないことはご了承頂きたい。(前編はこちら

セールスフォース・ベンチャーズ

Japan Head 浅田慎二
2017年の振り返り:全体的に2017年は、B2Bスタートアップの資金調達件数と金額がメインストリーム化した印象。その中でも、古い産業をDisruptするB2B SaaS(貿易、物流等)の資金調達が活発な年だった気がする。
2018年のトレンド:AIへのハイプ(過熱感)がようやく収束し、2018年は実用的なAI/ML/DLをベースとした問題解決型SaaSが生まれてくる事を期待したい。そして、AIのSI案件が実は、良質データが無いと運用フェーズに移行できないという問題が多数発生している事から、米国の弊社投資先Crowd Flower社のような、「データクレンジング as a Service」が日本でも急速に立ち上がってくると予想。

他には、Product AnalyticsのSaaS (製品のUIUXに対するユーザ満足度可視化SaaS。USのAmplitude社)や、ID管理SaaSのOkta(見事2017年にIPO)のように、IT部門が統合管理する形態のセキュリティSaaSとして、CASB(Cloud Access Security Broker。USのNetskope社やSkyhigh Networks社)のスタートアップが、日本からも出てくるのではないかと注目している。そして引き続き、生産性向上系の代表格セールス&マーケ系SaaSや人事法務労務系SaaSも新たに多少増えつつも、顕在プレーヤーの優勝劣敗が進む年となるだろう。

グロービス・キャピタル・パートナーズ

パートナー/Chief Strategy Officer 高宮慎一
2017年の振り返り:2017年はブロックチェーン、AIなどの新技術のテクノロジービジョン=テクノロジーが機能的に何が実現できるか見えてきた年だった。象徴的なのはバズワード化したICOで、ブロックチェーンという技術を応用した仮想通貨は、貨幣の機能的側面が純度高く実現でき、ICOにおいてはコミュニティ作りや資金の担保ができると提示された。
2018年のトレンド:2018年は、新技術に市場課題が結びつき、応用先とビジネス化が見えてくる、テクノロジービジョンがビジネスビジョンに昇華される年になる。新技術の中でも、特にAI、ブロックチェーンのビジネス化は進むと予想する。

AIは、完全に自律的に課題解決するまでには至っておらず、法制度と人の心の受け入れ態勢も整っていない。よって過渡期的ではあるが“半人力AI”=人をAIが補完する形でビジネスモデルに内包されていくだろう。そして、市場観点では、 既存のやり方の負が大きいが故に半人力AIでも十分に価値が出せる領域からビジネス化が進む。具体的には、『最適化』:コールセンター・CS業務、稼働率ビジネスのダイナミックプライシング、SCM、『マッチング』:人材採用、婚活・出会い、『関係性抽出』:コンテンツのパーソナライズ、コマースのレコメンド、ヘルスケア業界の診断などだ。

ブロックチェーンは、ICO乱発の中から、真にブロックチェーンの必然性がある課題の最適な解決策となっている領域が見えてくるだろう。一方で、投機的過熱感の中で、社会問題化する懸念もある。業界自ら襟を正し、当局と連携しつつ自主規制や法制度の整備が急務だ。

Draper Nexus Ventures

Managing Director 倉林陽
2017年の振り返り:Big Data Analytics & AI分野。価値あるInsightの提供を実現して事業拡大をする企業が出てきており、弊社投資先のCylance(Cyber Security)やNauto(自動運転)等でも業績の急拡大や大規模調達が続いた。
2018年のトレンド:過去7年ほど一貫してCloud/SaaS推しだが、日本においてもSansanやマネーフォワードといった成功事例によって認知が広がり、近年はSaaSスタートアップの質も数も右肩上がりの印象である。

その中でも、昨年に引き続き特にIndustrial Cloudに注目している。伝統的商習慣の残る業界に対して、SaaSやMobile、Big Data Analyticsといったテクノロジーで変革を起こすスタートアップに可能性を感じる。

日本においてもカケハシ(ヘルスケア)、オクト(建設業)、サークルイン(国際物流)、atama+(教育)等、業界の課題について深い知見を持った経営陣が、UI/UXに優れたアプリケーションを提供し差別化を実現している。今後も様々な業界でこうした事例が出てくることを期待したい。

アイ・マーキュリーキャピタル

代表取締役社長 新和博
2017年の振り返り:「動画」。LIVE配信、動画メディア等、 スマホで利用する動画サービスの大型調達が相次いだ。また、ある種の社会現象となったAbemaTV、LINEによるFIVEの買収に代表されるように、VCの投資テーマだけではなく大手企業が本腰を入れて取り組むテーマになってきた。
2018年のトレンド:2018年に短期間で盛り上がるトレンドとして予想するのは、以下の通り。
1.「ライブ配信サービス」の乱立。プレイヤー間でのプロモーションや配信者獲得の競争が激しくなり、既婚の視聴者は配信者に対する精神的浮気がバレて家庭不和になる。
2.「スマートスピーカー」の一般家庭への普及。当面のキラーアプリは音楽と天気で各社とも大差ないと思われるが、日本語認識精度と通話機能が勝負の分け目になると予想。(2017/12/8発売のClova FriendsはLINE通話機能を搭載)
3.メルカリの”プラットフォーム化”による「シェアリング・エコノミー型サービス」の勃興。ニッチな市場でもメルカリからの集客と資金の支援を得ることで手堅く立ち上げることが可能になる。
4.東京五輪をターゲットにした「訪日客向けサービスEC」、特に飲食店や交通手段は需要が大きい。弊社投資先が運営する厳選飲食店の予約・決済サービス「Pocket Concierge」はインバウンド向けビジネスが平均年率3倍以上の成長を遂げている。
5.「ブロックチェーン」技術を活用したビジネスのキラーコンテンツが見つかるまで、数多くのブロックチェーン・スタートアップが登場する。

iSGSインベストメントワークス

代表取締役 代表パートナー 五嶋一人
2017年の振り返り:2016年もバズワードが幅を利かせた年でした(なんちゃって◯◯)。
Fintech、Helthtech、仮想通貨、オープンイノベーションetc.・・・。ベンチャーキャピタルの立場からは、注視するべきポイントは多かったものの、特定の新しいトレンドは案外なかった気もします。
2018年のトレンド:引き続き「インターネット+デバイス」「インターネット+リアルのサービス・ヒト・モノ・場所」といった「インターネット+α」領域が、より活発になると予想します。2018年はその中でも農業や製造業に関連する領域が、より活性化すると考えます。この文脈で地方スタートアップの台頭も期待します。

事業分野としては、日本は世界最先端の超高齢化市場であることから、へルスケア分野で日本発世界で活躍する企業が現れることを期待しています。

また、政府の「日本再興戦略 2016」で重点領域とされているスポーツ分野は、ヘルスケア分野とのクロスオーバーがある「Doスポーツ」を中心に成長が予想されます。

ライブエンターテイメント分野は、インターネット上のサービスやコミュニティ、さらに新しいテクノロジーとの連携を深化させ成長を続けると考えます。

事業分野やプロダクトではないですが、「サービスのサブスクリプション(月額課金)」に加えて、ファイナンスリースやオペレーティングリーズといった金融を活用した「モノのサブスクリプション」の成長が始まると考えます。

ほとんどの企業にとって、人工知能や動画、暗号通貨などは「ツール」であって、事業そのものではありません。これらのツールを活用してどのような価値を創造するのか、どのようなユーザー体験を提供するのか、という事業としての「本質」が、より強く求められるようになるのでは。

グロービス・キャピタル・パートナーズ

ジェネラルパートナー COO 今野穣
2017年の振り返り:基本的に昨年挙げたトレンドどおりだったかと思いますが、特に印象的だったのは、各産業向け・企業向けクラウドサービスです。弊社の投資先で言えば、Yappli社は目覚ましく成長しましたし、HR Tech関連は劇的に増加しました。ビジネスモデルやKPIが標準化されつつあるのも要因として大きいかと思います。
2018年のトレンド:2018年は、「なめらかな社会」に向けた技術とサービスの融合、言いかえれば骨太で必然性のあるユースケースの確立に期待をしています。技術的側面で言えば、「AI」「IoT」「VR/AR」「ブロックチェーン」などの技術がここ数年のトレンドかと思いますが、2018年はプラットフォーマーからの開放などにより、技術そのものがコモディティ化する年になるかもしれません。 その上で個人的に注目しているのは、(1)IoT/AI技術を活用したDMPの構築 (2)ブロックチェーン技術を活用した還元型社会の構築 と言った切り口です。

前者はビックデータ・ソフトウェア/クラウドサービス・オープンイノベーションなどの文脈に乗るでしょうし、後者はシェアリングエコノミー・トークンエコノミー・マイクロペイメント・クラウドファンディングなどの文脈に通じるかと思います。 また非中央集権的性質を持つブロックチェーン技術に対して、どのような統制・管理を自律的に機能させるか、その場合従来のマッチングサービスなどはどのように変容していくのかという点も興味を持って観察しています。 さらに、年々中国をベンチマークするサービスが増加しているのも特徴だと思います。その意味では、個人的には仮想通貨よりもWechat Pay上のデジタル通貨の世界観は待望していますし、中国で既に賑わいを見せるeスポーツは、日本での立ち上がりも時間の問題ではないかと思っています。

プライマルキャピタル

代表パートナー 佐々木浩史
2017年の振り返り:上半期:スマートスピーカー、音声UI、機械学習/AI、無人コンビニ、動画
下半期:ブロックチェーン、暗号通貨、ICO、シェアサイクル、iPhone X、CASH
2018年のトレンド:1. IoT(屋内外問わず)
・ハードウェアはもちろんですが、センサー・データ解析・音声UI等を活用したサービスレイヤーは多分に事業機会があると思います。
・ハードの普及に伴って、セキュリティーや電力といった領域で様々課題が表面化してくると思います。

2.バーティカル×データ×機械学習/AI
データ取得や整理と機械学習/AIの活用によって効率化される産業はまだまだ多いと思います。

3.Deep-Tech、R&D領域
非ネット領域で、最先端テクノロジーを活用したイノベーションを起こすスタートアップへの投資が加速すると思います。
※暗号通貨やICOは他の寄稿者の皆様にお任せします(笑)

サイバーエージェント・ベンチャーズ

取締役 日本代表 近藤裕文
2017年の振り返り:圧倒的に仮想通貨とICOが盛り上がった一年でした。
2018年のトレンド:2018年ですが、引き続きFintechに注目しており、仮想通貨とICO領域は更に盛り上がるため、サービスレイヤーなど周辺の事業に投資したいと考えています。

また、ToCではお金を増やす、お金を送る、お金を換金するなどオンデマンドで提供するところは既存サービスにはない、新たなサービスの登場にまだまだチャンスがあると思っています。

ToBではDLTなどBlockchainの基盤技術周辺のエンタープライズ分野がPOCを終えて、ユースケースを伴って来年以降立ち上がるので注目しています。CAVはシードステージにフォーカスした投資をしていますが、上記領域はシードに拘らず投資検討したいと考えています。

エウレカ創業者、個人投資家

赤坂優
2017年の振り返り:Bitflyer、Coincheck、CASH
2018年のトレンド:・引き続き仮想通貨周辺事業(取引所、ウォレット)
・検索させないサービス(タベリー)
・オンライン店舗とリアル店舗のボーダレス化、D2C
・チャットコンシェルジュ
・民泊予約アグリゲーター

Facebookの「思い出コメント」ミームは味気ない誕生日メッセージにこそ生かすべきだ

友達の誕生日を祝う気持ちを、無意味で味気ない作業へとFacebookが変えてしまったを本当に悲しく思う。これはFacebookが悪いわけではない。制約のないコメントボックスを用意しただけだ。しかしわれわれの怠慢さと社会的義務感は、 “Happy Birthday!” や ひどいときは”HBD!”の山をウォールに書き込ませてしまう。

私は2011年以来この突発的行動を非難してきた。これはFacebookが友情の意味を破壊していると人々が感じる理由の一つでもある。中には誕生日を変更したりウォールを閉じて中身のない通知を避けようとする人までいる。”HBD”などの簡単なひと言でも何も書かないよりいいと言うかもしれないが、もっと心をこめる方法はいくらでもある。

これが、最近出回っているFacebookの近況アップデートに関するミームを、誕生日にも応用すべきだ私が思う理由だ。最近何十人もの友達がこんな書き込みをした、「あなたがこれを読んでいるなら、たとえめったに話したことがなくても、私たちの思い出をコメントしてほしい。その後、もしよかったら、自分の近況アップデートにもこれを書いてみれば、みんなの心にあるあなたの思い出に驚くことでしょう。」

これは気が利いているし、心温まる話や情熱的な物語やばかばかしい写真が続くきっかけになることも多い。ただ私は、少々「余分」(悪気はない)にも感じる。この呼びかけを再掲することをためらう人も多かったに違いない。愛情に飢えていたりつながりを求めて関心を買おうとしているようにみられる事を恐れるためだ。

最近Facebookは、企業ページの管理者に対してこの種の「釣り」投稿はニュースフィードのランクを下げると警告した。つけられたコメントによって、アルゴリズムが投稿を本来以上に重要だと思い込むからだ。

だから、思い出をシェアすることを強要するのではなく、自由にさせたほうがいい。こんど誰かのウォールに誕生日メッセージを書き込むときは、少し余分な時間を使ってその人と共有した時間や特に懐かしいことを思い出してみるのもいいだろう。ソーシャルメディアが私たちの人間らしさを邪魔するべきではない。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「DELISH KITCHEN」提供のエブリーが約20.6億円を調達、累計調達額は54.3億円に

レシピ動画メディア「DELISH KITCHEN」など複数の動画メディアを展開するエブリーは12月28日、WiL、伊藤忠商事、GMO VenturePartners、Ad Hack Venturesおよび既存株主であるDCM Venturesを引受先とした第三者割当増資により、約20.6億円を調達したことを明らかにした。

同社は2015年の9月創業。2016年6月に約6.6億円、2017年3月に約27億円を調達。今回の調達と合わせて累計の調達額は54.3億円になるという。これまでグロービス・キャピタル・パートナーズ、DBJキャピタル、SBIインベストメント、SMBCベンチャーキャピタル、グローバル・ブレイン、INTAGE Open Innovation Fund、SEGNEL VenturesなどのVCに加え、エウレカ共同創業者の赤坂優氏など複数の個人投資家が出資している。

エブリーではDELISH KITCHENのほか、ライフスタイル動画メディア「KALOS」、ママ向け動画メディア「MAMA DAYS」、ニュース動画メディア「Timeline」という4つのサービスを展開。同社では今回の資金調達を踏まえて、さらなる事業拡大に取り組む。

特にDELISH KITCHENは現在レシピ動画メディア市場を牽引するサービスのひとつに成長している。2016年12月のアプリリースから半年後の2017年5月にには600万DL、同年11月には900万DLを突破。レシピ動画の本数は1万本を超え、アプリおよびSNSアカウントでの動画再生数は月間で5億2000万回以上だという(11月時点)。DELISH KITCHENの詳細については11月に公開されたインフォグラフィックに詳しい。

DELISH KITCHENでは2018年1月末から人気雑誌や書籍、料理研究家によるプレミアムレシピの掲載を開始。出版社や料理研究家とのレシピの共同開発に加えて広告パッケージ展開にも取り組む方針だ。

レシピ動画についてはdelyが提供する「kurashiru(クラシル)」が12月に1000万DLを突破したほか、レシピサイトの雄であるクックパッドも12月から料理動画事業を本格化することを発表。料理動画数No.1を目指し、代官山に料理動画の撮影スタジオ「cookpad studio」をオープンしている。

SonosとBoseのコネクテッドスピーカーはハッカーにアクセスされて勝手に曲が鳴る

Trend Microの研究員たちが、SonosとBoseのスピーカーに、リモートアクセスされてしまう脆弱性を見つけた。それを最初に報じたWired誌の記事によると、Sonos Play:1, Sonos One, Bose SoundTouchの3機種には、ハッカーにアクセスされ、音楽を再生されてしまう危険性がある。

今のところ、悪ふざけのようなアクセスがほとんどだが、研究員たちはもちろんその脆弱性を利用して彼らの好きなRick Astleyの曲を鳴らし、近くにあるAlexa対応デバイスに命令していたずらをした…South Parkのように。またSonosのフォーラムには、ドアが軋る音や赤ん坊の泣き声やガラスの割れる音が大音量で鳴った、というユーザーのおそろしい報告が載っている。

しかしその脆弱性のあるシステムの数は、比較的限られている。被害の生じた機種のスピーカーの数はSonosが2000から5000、Boseは500足らずだ。Sonosのスポークスパーソンはこう語った: “今詳しく調べているが、被害に遭ったのはユーザーが構成を間違えたネットワークで、そういうごく少数の顧客のデバイスが、一般的に公開されているネットワーク上に露出したのだろう。そんなセットアップを、弊社が顧客に勧めているわけではない。とりあえず、心配なお客さんは、Sonosのシステムが確実に、安全な内部ネットワーク(LAN)上にセットアップされているように、していただきたい”。

Sonosは、この穴を塞ぐパッチも発行した。Boseからはまだ、公式の応答はない。

Trend Microのコメントも、やはりネットワークへの接続を、スピーカーのデフォルトの設定とともに問題視しているようだ。同社の調査部長は曰く、“不運なのは、これらのデバイスが接続されるネットワークが、根拠もなく信頼されていることだ。ネットワークの状況を、もっと詳しく知る必要があるね。現状では、デバイスをハックしたり、ネットワークの構成が不注意だったら、誰もがスピーカーにアクセスして、音をコントロールできる”。

単なる悪ふざけで終わってしまう可能性もあるが、でもこれを機に、あなたの家のインターネットに接続されたすべてのデバイス(“コネクテッドデバイス”)が安全であることをチェックしてみたらどうか。今はとくに、誰もが、いわば自分のプライバシーを犠牲にして、家庭内のスマートデバイスを次々と増やしている状況だからね。その中には当然、カメラや常時onのマイクロフォンがついたのも、あるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

2017 年もありがとうございました!ブログのアクセスランキングで振り返る 2017 年

2017 年もいよいよ終わりが近づいてまいりました。今年もウェブマスター向け公式ブログをはじめ、ウェブマスター ヘルプ フォーラムGoogle ウェブマスター コミュニティ、そして ウェブマスター オフィスアワー やイベントなど、多くの方にご参加、ご愛読いただき、ありがとうございました!

みなさんにとって今年はどんな一年だったでしょうか。今年は Google Analytics によるセッション数ランキングトップ 10 でウェブマスター向け公式ブログの 1 年を振り返ってみたいと思います。
  1. 日本語検索の品質向上にむけて
  2. 医療や健康に関連する検索結果の改善について
  3. モバイル ファースト インデックスに向けて
  4. Google 検索における最新の品質向上について
  5. HTTPS をランキング シグナルに使用します
  6. Google の検索結果からコンテンツを削除するには
  7. 3/24 開催イベントのお知らせ「オンラインメディアのための Google 検索入門&コンテンツ制作のベストプラクティス」
  8. Chrome の HTTP 接続におけるセキュリティ強化に向けて
  9. HTTPS ページが優先的にインデックスに登録されるようになります
  10. 良質なサイトを作るためのアドバイス
2016 年はモバイルの話題が中心でしたが、2017 年は検索結果の品質に関連する記事が 1 位、2 位、4 位、そして 10 位と数多く読まれていたようです。モバイルの記事は昨年 11 月にアナウンスしたモバイルファーストインデックスの記事が 3 位に入りました。また、HTTPS 関連の記事もトップ 10 に 3 つの記事が入っており、ホットな話題だったことが伺えます。

また、2017 年は Google Dance Tokyo#GoogleDanceTokyo) など主催イベントを 2 つ開催しました。特に今年初めて開催したオンラインメディア向けのイベント(#読者ファースト)はランキングでも 7 位と多くの方に関心を持っていただいたようで、来年もまた何か開催できたら、と思っています。

そして残念ながらランキング入りは逃したものの、ブログ ホスティング サービス運営者のみなさまと取り組んでいる Advanced Hosting Meetup プログラムは、参加サービスが増えるなど、活動の幅も広がっております。来年も少しでもユーザーのみなさまが快適にインターネット上の情報にたどり着けるように努力していきたいと思います。

最後となりますが、みなさんが年末年始も安心してオンライン ショッピングをご利用いただけるよう、昨年に引き続き #NoHacked キャンペーン(Twitter はこちら)を実施しましたので、ぜひご覧ください。みなさまの Tips も #NoHacked をつけてご投稿いただければと思います。

それでは、2017 年もありがとうございました!2018 年もどうぞよろしくお願いします。

Takeaki Kanaya, Kazushi Nagayama and Anna Ogawa, Search Quality Team

前大統領オバマがソーシャルメディアの現状を孤立化を助長し分断的と警告

前大統領バラク・オバマが今週、イギリスのハリー王子と共に、BBCの話題が多岐にわたる長時間のインタビュー番組に出て、彼のソーシャルメディア観を語った。

ソーシャルメディアは、いろんな話題の中に一つにすぎなかったが、彼はとくに、国のリーダーの地位にある者が、インターネット上に共通のスペースを築くことを妨げるようなやり方でそれを使うことを戒めた。名前こそ挙げなかったがそれは、ドナルド・トランプと彼のTwitterの使い方を暗に指しているのだろう。その、おそらく意図的に国民同士の対立を煽るようなやり方を。

BBCによると、オバマは王子にこう語った: “インターネットが危険なのは、人びとが互いにまったく異なった現実を持ってしまうことだ。彼らはそれぞれの情報の繭の中に閉じ込められ、それまで持っていた偏見を〔相対化とは逆に〕強化される”。

オバマはトランプを名指しはしなかったが、彼は、“複数の声が存在を許されるような方向でこの技術を利用すべき”、と語り、BBCの書き起こしによると、“社会のBalkanisationに導くのではなくてね”、と述べた。〔バルカン半島化==分断分裂激化の比喩〕

アメリカの前大統領は、ソーシャルメディアを完全に否定することはしなかった。むしろ彼はそれが、“共通の関心を持つ人びとを召集して互いに知り合い結びつけることのできる、実に強力なツールだ”、と定義した。しかし同時に彼は、人びとがそれをもっと発展させて、お互いが公共的空間で出会い、親しくなり、相互理解を深めるべきだ、とも述べた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

LGが地図技術のHEREとパートナーして自動運転技術向けテレマティクスに活路を求める

LGは、自動運転技術の勃興を自らの機会として、同社のエレクトロニクス事業を拡張しようとしている。そのために同社は今、ドイツの自動車メーカー連合傘下の地図サービス企業HEREと共同で、自動運転アプリケーションのためのテレマティクス製品を開発している。この共同開発体制により、LGのテレマティクス技術とHEREの位置サービスおよび高解像度地図技術を組み合わせて、自動車メーカーが全自動/半自動車のコミュニケーションハブとして利用できるものを作っていく。

LGはテレマティクス分野の異邦人ではなく、自動車の安全技術やエンターテインメント技術において2013年ごろから業界のリーダーだ。しかし同社は今、さらに高度な先進運転支援システム(ADAS)と次世代型自動運転技術を目指して、HEREと提携した。HEREは今年、Audi, BMW, Daimlerなどから成る自動車メーカーのコンソーシアムに買収され、もっぱらこの分野の技術に奉仕していくことになった。

LGが提供するものはGPS, Bluetooth, Wi-Fi, 今後の5Gも含むモバイルネットワークなどの通信コミュニケーション技術が主体で、自動運転車とほかの自動運転車や、さまざまな情報システム、社内ナビゲーションシステム、そして技術センターなどとの通信を支える。多くのセンサーからの融合データや、クラウドソーシングされる情報、そして既存のテレマティクス情報などが、自動運転システムの主要な構成成分となる。

自動車の分野で自動運転技術の重要性が増すにともなって、今回のLGの例のように、既存技術のサプライヤーや、自動車産業の専門企業ともパートナーすることが、機会を前向きに活かすために必要になってくる。

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ICO時代の新しい企業のカタチ「自壊企業」

【編集部注】筆者のEden SchochatはイスラエルのベンチャーキャピタルAlephのパートナー。

数々の投資家や起業家は、トークンを基点としたネットワークが企業の誕生や運営を左右する世界に突入しようとしている。ネットワークビジネス(ネットワークが根幹にあるビジネスの意。連鎖販売取引とは異なる)のモデルを根源から変えるこの変革についていけない企業は、いずれ取り残されることになるだろう。

ネットワークビジネスのなかでも、特にスケールやマネタイズが困難でこれまで広告に頼ることの多かったものは、一企業が顧客にサービスを提供するというモデルよりも、「トークンネットワーク」を活用した方が得るものが多い。このトークンネットワークによって、私たちのスタートアップの捉え方も、単に顧客がサービスに対して対価を支払う企業体のモデルから、経済の計画、構築、維持などに関する決定権を参加者が持つネットワークへと変わっていくだろう。さらにトークン経済においては、ネットワーク内で生み出された価値が、ファウンダーや開発者、顧客、サービスプロバイダー、投資家といったさまざまなステークホルダー(=トークンホルダー)の間でより効率的に共有できる可能性もある。

しかしここ最近、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)には逆風が吹き荒れている。

相対するふたつの恐怖がトークンネットワークの普及を妨げているのだ。ひとつはガバナンスの欠如に対する恐れ、そしてもうひとつが規制に対する恐れ。

その一方でトークン時代の今、矛盾しているようにも見えるこのふたつの恐怖を同時に解消するような起業の手段がある。

その手段とは、企業を完全に崩壊させてしまうというものだ。まずは従来の企業のように株式と引き換えに資金を調達してから事業をスタートさせ、ある地点で企業という名の「殻」を破り、ガバナンス体制を非中央集権的なものへと転換させるというのがその概要だ。

ICOが抱える問題のひとつは、トークンネットワークの構築や資金調達に関するルールが現在作られている最中だということ。今年はICOを通じて何億ドルという資金を手にする企業が何社も生まれたが、ほとんどの場合、ICO時に確認できたのは笑顔のファウンダーの写真と、簡単には読みこなせないホワイトペーパーだけだった。

多くのICOが成功をおさめる背景となったのが、仮想通貨という近代史上類を見ない速度で価値が上昇した資産を通じて大金を手にしたクリプト・エンジェルの「金余り」状態だ。ビットコインやイーサリアムをはじめとする仮想通貨の過去10年間の値動きを見てみると、5000億ドルもの資産がたった10年未満で生まれたとわかる。しかもそのうち4500億ドルは過去1年(2017年12月22日現在)のうちに誕生したのだ。

ビットコインの驚異的な値上がりの様子

こうして生まれた資金が市場に流れこんだ結果、初期のICOにおいてはガバナンス体制など問題にならなかった。さらに、どんな分野であれ黎明期には詐欺行為が横行する。ペニーストック(1株当たり1ドル未満で取引される株式)のIPOが同じような道をたどったのを覚えている人もいるかもしれない。ペニーストックをめぐる詐欺行為が増えた結果、1930年代には何千万ドルという売上が上場の必須条件となった。歴史はそのまま繰り返すことはなくとも、このように時代を超えて同じパターンを目にすることはある。今日のICO周りの動きは、ペニーストックのそれに似ていると言っても過言ではないだろう。

さらに先日、米証券取引委員会(SEC)は初期にICOを行ったThe DAOに関する調査レポートを発表した。同レポートの焦点はプリンシパル・エージェント問題にあり、利害関係の一致しない少数のマネージャーによって管理されるネットワークの構造が、SECの調査のきっかけとなったのだ。これを受けて、現在規制強化に対する恐れが高まっており、実際にSECは最近何件かのICOをストップさせた。

規制当局がICOに関与しだしたことで、最近ではICOを検討している企業の代理人を何十万ドルという料金で務めようとする法律事務所を見かけることもある。同時に、以前は創業チームとビジネスアイディアだけを材料に積極的な姿勢を見せていた投資家の勢いもおさまり、既にトークンネットワークの構築を終えたような、ある程度成熟したプロジェクトに注目が集まるようになった。要するに、これまでのようにICOを実施するだけでは、大金を集められなくなりつつあるのだ。

これは、最初の資金作りにICOを活用するというモデルが、もはや(比較的最近ながらも)過去のものになろうとしている、と言い換えることもできる。この変化自体は必ずしも悪いこととは言えない。というのも、アイディア段階にあるにもかかわらず必要以上の資金を調達したスタートアップが失敗しがちということは、過去の例を見れば明らかだからだ。新しいテクノロジーが登場したところで、この傾向が変わる兆しはない。

そもそもトークンの価値とは、早い段階でどれだけの資金を調達できるかではなく、トークンネットワークが公開された時点でのバリューフローや生み出された価値によって決められるべきだ。プロダクトが完成する前にICOを実施するということは、多くの企業の存在を脅かすことにもつながる。もしもプロダクト完成前にトークンの価格が急騰すれば、ローンチ前にもかかわらず企業がトークンホルダーに提供しなければいけない価値も当然上昇する。これを望むファウンダーはいないだろう。

上記から、「トークンネットワークは起業において大きなメリットを持つ」そして「ICOで『上場』するというのは、ビジネスモデルとして成立し、資金調達上のメリットもあるが、ICOにかかるコストは上がってきており、投資家を保護しようとする規制当局の意向にも反する」ということがわかる。

SECによるThe DAOのレポートには、ポジティブな面があるということも忘れてはならない。トークンホルダーが資金使途を自分たちで決められるような、完全に非中央集権化したトークンネットワークでは、プリンシパル・エージェント問題が発生しえないため、(SECのような)中央集権的組織が不要になるのだ。しかし残念なことに、プロダクト開発の初期段階においては、非中央集権的な組織よりもむしろ中央集権的な組織の方が課題を乗り越える上で効率が良い。LinuxにはLinusがいたように、FacebookにはMarkが、イーサリアムにはVitalikが、ビットコインにはSatoshiがいたのだ。TravisなしにUberがこれほどまでに成長していたかどうか考えてみるといいだろう。

この点に関しては、興味深いことに、インターネットや自動運転車など今日のさまざまなテクノロジーの母とも言える米国防高等研究計画局(DARPA)から学べることがある。

DARPAは、当初の課題を解決した後も主導権を握り続ける「Kingdom Builders(王国の建国者)」になることを良しとしない。それを防ぐために、DARPAはプロジェクトを率いるプログラムマネージャーに対して、具体的な責任区分と時間制限を設けている。

そのため、各プログラムマネージャーはプロジェクトの成否にかかわらず、いずれは自分がプロジェクトから手を引かなければならないということを理解している。さらに任期はIDバッジにも明記されており、彼ら自身そして彼らの同僚も、大事な仕事を完遂するまでの時間は限られているということを意識せざるをえない。つまりプロジェクトマネージャーにとって、各プロジェクトはいずれ「消え去る」ものなのだ。実際にほぼ全てのOpen Sourceプロジェクトで、特定の創始者と協力者がいるフェーズを過ぎると、プロジェクトの運営主体がコミュニティへと変化していった。

もしも特定のネットワークを構築するという明確なミッションと、それを達成するまでの期間、そしてネットワークが完成した後は権限を移譲するということが予め定められた企業があったとしたらどうだろうか?

これこそが「自壊企業」のアイディアの根幹だ。

自壊企業のアイディアのもとでは、企業のライフサイクルを次の3つに分けることができる。まずはネットワーク構築に向け、企業が「ネットワーク主体」として機能する段階。この段階では、影響力のあるファウンダーが先頭に立ち、当局の認可を受けた投資家(ベンチャーキャピタルや仮想通貨億万長者のような人たち)からさまざまな形(株式、SAFEのようなコンバーチブルノート、SAFTのような将来的なトークン入手権など)で資金を調達するというモデルが考えられる。その次がトークンと株式が共存する第2段階だ。

第2段階はトークン経済のテストからスタートする。ファウンダーはネットワークを構築し、初期の顧客に対してトークンを「エアドロップ(無料配布)」したり、預入金に応じて配布(「預金者」に対してある種の資産を提供しつつも、トークンを販売しているわけではないので規制を避けられる)したりする。そうすることで、企業は規制対応にコストをかけず、将来についての意思決定ができる自己統制機能を備えた存在としての第一歩を踏み出せるのだ。そして最終段階として、予め決められた時期もしくはマイルストーンに到達した時点で、ネットワークはトークンだけで動きだすようになる。もともとネットワークの運営主体であった中央集権的な企業は、ICOを通じて権利をコミュニティに移譲し、設立当初に組み込まれた「時限爆弾」がその終わりを告げる。面白いことに、このステップをたどればICOがIPOに代わってレーターステージにおける資金調達の代替手段となりえるのだ。

最後にトークンオンリーの段階を設けることで、株主価値とトークン価格のどちらを最大化すればいいのかということについて、経営層の衝突を避けることができる。その一方で、株式とトークンが共存するハイブリッドな段階では、異なる(ときには衝突するかもしれない)利害関係が生まれることになる。

企業を解体するにはいくつかの方法が考えられる。そのうちのひとつが、ICO時に株式とトークンを等価交換するというもの。つまり株主は配当金のように株式の保有割合に応じてトークンを受け取るということだ。税金のことを考えると、保有割合に応じて各株主へのトークンの販売価格を割り引くという方法もありえるだろう。いずれにしろ、株式とトークンを交換する場合には、交換用のトークンが別途必要になる可能性があるため、経営陣はスマートコントラクトを作る前にこのステップについて十分に理解し、綿密な計画を練らなければいけない。

本稿で紹介したモデルには、何百年間もほぼ変わらずに生き続ける従来の企業構造と比較して以下のようなメリットがある。

  • プロジェクト開始時に必要な資金をトークン販売以外の方法で調達するため、規制環境をそこまで気にしなくてもよい
  • 各段階で重視すべき価値が明確化されるため、株主とトークンホルダーの板挟みにあわない
  • ベンチャーキャピタルの投資を受け、ファウンダーが旗振り役を担う企業であれば、ネットワークを十分なレベルまで成長させられるため、規制に準拠し自己統制ができるようになった段階でICOを迎えられるようになる
  • 自壊企業は最終的にトークンオンリーの構造へと変化することから、勝者が全てを獲得するネットワークの世界において、トークンホルダーがネットワーク効果を生み出し、口コミでバイラルにネットワークを広げるインセンティブを生み出せる

このように、自壊企業はネットワークをベースとしたビジネスモデルの未来にウィンウィンの状況をもたらす存在であるとともに、時代遅れの起業メカニズムを加速化させるトークンというエンジンの活用法としても魅力的なモデルなのだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Instagramのフィードに「おすすめの投稿」表示へ

InstagramのフィードにはRecommended for You〔あなたへおすすめ〕が表示されるようになる。今月初めInstagramがこの機能をテストしていることが報告されていたが、特に大掛かりな発表もなしに本番運用となったようだ。Instagramヘルプセンターの記事〔日本語未訳〕によれば、「おすすめ」はユーザーがフォローしている相手につけた「いいね!」の状況をベースに選択されるとのこと。

「あなたへのおすすめ」ははっきりそのように表示されるので、自分がフォローしている相手の投稿と紛れることはない。このセクションには3本から5本の投稿がふくまれるという。

Instagramが「おすすめ」を表示する試みはこれが初めてではない。しかしたとえば「おすすめの動画」の場合、ユーザーは「検索」セクションに出向く必要があった。ユーザー側で何もしいなのにホームフィードに挿入されるわけではない。フォローしている相手のセクションに飛べば、友達がどんな投稿に「いいね!」しているか知ることもできる。

しかしホームフィードに「おすすめ」をプッシュしてくるというのはInstagramのユーザー体験にとって大きな変更だ。当初、投稿時間ベースでフィードが表示されていたのをアルゴリズムによる表示に変えたことや、広告をプッシュ表示し始めたことに続くメジャーアップデートといえるかもしれない。

ユーザーがホームフィードをスクロールしていくと、直接フォローしている相手の投稿と広告に加えて「おすすめ」セクションも見ることになる。直接フォローの相手以外の広いネットワークからの投稿が表示されるというのはFacebookに追加された「発見フィード」によく似ている。

今回のアップデートはユーザーが直接フォローしている相手以外にソーシャルネットワークを拡大しようとする別の試みに引き続いて行われた。今月初めにInstagramはハッシュタグをフォローする機能を追加した〔本人のページを開き「フォロー中」をクリック〕。つまりユーザーは特定のアカウントをフォローするのではなく、関心を持つテーマをフォローすることができるようになった。

しかし「ハッシュタグのフォロー」はオプトインであり、ユーザー自身が明示的にあるハッシュタグをフォローするのでなければホームフィードに表示されることはんばい。ところが今回のホームフィードへの「おすすめ」の表示は無効にする方法がない。

Instagramのヘルプ記事には「おすすめ」セクションを一時的に非表示にする方法が説明されている。投稿上部の「…」メニューを開き、 “Hide”をタップすればよい。

しかし「おすすめ」は友達の投稿を排除して表示されれるわけではないというのはグッドニュースだ。 Instagramの広報担当はTechCrunch.の問い合わせに対してこの機能が一般公開されたことを確認すると同時に、「おすすめセクションはユーザーがフォローしている相手の投稿を表示し終わった後に表示される」と説明してくれた。

しかしそうであっても一部のユーザーにとっては新機能は評判が悪い。以前の「時間順」表示に戻すことを望んでいるユーザーもいる。

ノー、Instagramのフィードに「おすすめ」を表示しないでもらいたい。誰かをフォローするのはそうする理由があってのこと。

Instagramによると新機能はiOS、Android双方で用意されており、現在順次公開中だという。ただしInstagramでは全ユーザーに公開が完了する日時については明らかにしなかった。

画像: Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

起業家たちのスマホの中身――Slack、yenta、Eightなどが高頻度で登場

いまや生活に欠かせないものとなったスマートフォン。今さらながら、スマートフォンの魅力は好きなアプリをダウンロードして自分好みに機能をカスタマイズできることだ。では、普段からTechCrunch Japanに登場していただいている起業家はどんなアプリを使っているのだろう。

そこで、TechCrunch Japanでは今年のTechCrunch Tokyoファイナルに出場した新進気鋭の起業家6人に協力いただき、彼らのスマホの中身を覗いてみることにした。そう、いわゆる年末企画というやつだ。

東京ロケットの我妻陽一氏

2017年3月に創業の東京ロケットは、建設現場と職人のマッチングアプリ「助太刀くん」を提供するスタートアップ。2017年のTechCrunch Tokyoでは、審査員特別賞、engage Award、さくらインターネット賞を受賞した。

我妻氏がプライベートでよく使うアプリは、「Amazonプライム・ビデオ」だという。ちなみに好きな番組は「有田と週刊プロレスと」。我妻氏はTwitterアイコンの中でフェイスマスクを被るほどのプロレス好きだ。

我妻氏が仕事でよく使うのは、「Facebook Messenger」だ。東京ロケットは社内のコミュニケーションでもMessengerを使っていて、Slackは以前使っていたが結局Messengerに集約してしまったらしい。

最近ダウンロードしたのは11月29日にリリースしたばかりの「助太刀くん(iOS版)」とのこと。一方、最近デリートしたのは「Uber Eats」で、ダウンロードはしたけれど登録が面倒で消してしまったそうだ。

空の松村大貴氏

2015年創業の空は、ホテル業界向けの適正価格算出サービス「MagicPrice」やその効果測定ツールである「ホテル番付」などを提供している。TechCrunch Tokyo 2017では見事優勝を獲得した。

松村氏はよく「radiko.jp」でインターネットラジオを視聴するという。仕事でよく使うのは定番のノートアプリ「Evernote」だ。社内のコミュニケーションには「Slack」を利用している。

そんな松村氏が最近ダウンロードしたのが、動画ソーシャルアプリの「Tik Tok」。このアプリではスマートフォンで音楽などのエフェクトをつけた15秒の短い動画を撮影し、それをソーシャルに公開することができる。一方、任天堂が提供している「はねろ!コイキング」は飽きてデリートしたという。

 

 

Voicyの緒方憲太郎氏

音声コンテンツの放送局アプリ「Voicy」を率いる緒方憲太郎氏のスマホの中身も見てみよう。緒方氏はプライベートではFacebook Messengerをよく利用する一方で、社内コミュニケーション用には国産チャットアプリの「ChatWork」を利用しているそうだ。

他社アプリの研究のためだろうか、緒方氏は「毎日5〜10個のアプリをダウンロードして、5〜9個をデリートする」のだが、そのなかでも印象に残ったのはレストランコンシェルジュアプリの「redish」だったという。redishでは、アプリ内のチャットで“コンシェルジュ”にレストランの予約代行を頼んだり、一緒に食事をする相手をもてなすための要望などを伝えることができる。

ちなみに、松村氏と同じく緒方氏もTik Tokを最近ダウンロードしたが、「アイコンのせいで乱視になりそうだった」のでデリートしたらしい。

 

 

 

 

justInCaseの畑加寿也氏

90秒で申込可能なスマホ画面割れ保険など、新しくてユニークなスマホ保険アプリのjustInCase。代表取締役の畑加寿也氏がプライベートで良く使うアプリは何かと聞くと、ある意味“今っぽい”答えが帰ってきた。ずばり、ビットコイン取引所の「bitFlyer」だ。毎日価格が気になって仕方がないのだそうだ。社内コミュニケーションにはSlackを利用している。

畑氏が仕事でよく使うアプリとして挙げたのが名刺管理アプリの「Eight」。法人向け名刺管理システムのSansanがその個人版として生み出したこのアプリは今年、競合アプリの「Wantedly People」とほぼ同時期にテレビCMを放映開始したことでも話題になった(Eightは12月8日、Wantedlyは12月11日より放映開始)。

畑氏が最近デリートしたのはゲームアプリの「LINE:ディズニー ツムツム」。自分と子供が中毒になってしまうので断腸の思いで消したというのがその理由だった。僕とまったく同じ理由だ。

 

 

 

Scoutyの島田寛基氏

Socutyは、SNSやエンジニア向けサービスの情報をAIが分析することで、これまで人間が行っていたヘッドハンティングの自動化を目指している。代表取締役の島田寛貴氏にもスマホの中身を見せてもらった。

島田氏がプライベートでよく使うのはEvernote。「記録グセがあるので、読書のまとめ、お酒やコーヒーのテイスティングノート、友だちと話した内容の記録など、すべて残している」そうだ。社内のコミュニケーションにはSlackを利用している。

そんな島田氏が最近ダウンロードしたのは、ニュースアプリの「NewsPicks」だ。最近になってプロピッカーに選ばれたことが理由でアプリをダウンロードしたらしい。

一方で、島田氏が最近デリートしたアプリは「CASH」だ。即時買い取りアプリのCASHは今年、ローンチから2ヶ月弱で買収されたことなどで何かと話題になったが、島田氏は「どんなものか見てみようとダウンロードしたが、最初の登録で心が折れて使わないまま残っていたので消してしまった」と話す。我妻氏のUber Eatsと同じく、ユーザー登録が足かせになって離脱してしまったようだ。

trussの久保田修司氏

21世紀になっても紙のカタログが主流の建材業界。そんな古びた仕組みをテクノロジーで変えようとしているのがtrussだ。代表取締役の久保田修司氏も今回の企画に協力してくれた。

久保田氏によれば、彼がプライベートでも仕事でもよく使うのがFacebook Messengerだという。社内のコミュニケーションにはSlackを使っているが、こちらはスマホではなくPCアプリで利用している。

「そもそもアプリをあまりダウンロードしないので、デリートしたのも思い当たらない」と話す久保田氏。そんな彼も最近ダウンロードした話題のアプリがある。完全審査制のAIビジネスマッチングアプリ「yenta」だ。Tinderに似たUIをもつ同アプリでは、表示される人物プロフィールを左右にスワイプをしていくことで、採用につながりそうな人物やビジネス関連で“面白そうな人”を探していくことができる。

trussは2017年10月に1億円を調達しているから、今まさに採用に力を入れている時期なのかもしれない。

Slackやyentaなどが高頻度で登場

以上が今年のTechCrunch Tokyoファイナルに出場した6人のスマホの中身だ。彼らに話しを聞いてみると、社内コミュニケーションにはSlackを利用しているという例がほとんどだった。一方、ChatWork派であるVoicyの緒方氏にSlackと比べた同アプリの利点を聞くと、「通知関係などではSlackも利用しているが、ChatWorkはビジネスとエンジニアが連携する際、『(タスクを)もう投げたからやれよ!』としっかり投げ込むことができるなど“タスク管理”に強いことが利点。プロジェクトが横断的で、それを社員全員が抱えているときにはChatWorkの方が良いと思う」と緒方氏は話した

ビジネスマッチングアプリの「yenta」も人気だった。6人中3人のスマホ画面に登場している。yentaについてjustInCaseの畑氏は、「面白そうな人や協業できそうな人、そして採用できそうな人にはyentaで会う」と普段の活用法を話す。yentaのほかにも、「名刺管理はEightでニュースはNewsPicks」など、起業家たちの間でどんなアプリが定番化しつつあるのかが読み取れそうだ。

アメリカの議会図書館がすべてのツイートの保存をやめて今後は選ばれたツイートのみ

アメリカの議会図書館(Library of Congress)が今日(米国時間12/26)、7年前に意欲的な試みとして始まったすべての公開ツイートの文書館への保存をやめる、と発表した。その理由として挙げているのは、このところツイートの量が前よりも大幅に多くなっていることと、Twitterの決定により文字数制限が140から280に倍増したことだ。1月1日より同図書館は、保存するツイートを選ぶ、と白書で述べている。

その説明によると、“今後は、選挙や特定の政策など、一定のテーマやイベント、国民の関心事に関連しているツイートを保存していく”そうだ。トランプ大統領のツイートはたぶんすべて保存されるけど、あなたの朝食の写真はだめでしょうね。

2010年に、同図書館はすべての公開ツイートの保存を開始した。“それは、そのほかの素材を収集するのと同じ理由、すなわち、議会およびアメリカ国民のために知識と創造性の記録を取得し保存するためだ”、と今日の発表は言っている。Twitterから同図書館への寄贈により、それにはTwitterがローンチした2006年からのすべての公開ツイートのバックログも含まれる。

しかし今やツイートは量が膨大で、しかも今後はより長くなるから、ひとつ残らずの悉皆的な収集は無理になった。しかも同図書館が保存するのは今後もテキストだけなので、画像やビデオやリンクの多い最近のツイートは、同図書館的にはあまり価値がない。

“本図書館は一般的に、網羅的な収集は行わない”、とも述べられている。“文書館への寄贈が最初に企画されたときはソーシャルメディアの方向性が定かではなかったので、公開ツイートだけを例外として取り上げた。今やソーシャルメディアは一般的に定着しているので、本図書館の収集方針〔==網羅的でない〕に合った収集の実践を行うべきである”。

同図書館がふつうの人びとの体験や記憶を史料として記録している例として、ほかにAmerican Folklife Centerが挙げられる。ここはVeterans History Projectの実行主体として、主に方言の記録を収集している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

自転車メディア「FRAME」の自転車創業が資金調達、シェアサイクル時代に向けた新サービスも展開

自転車メディア「FRAME(フレイム)」を提供する自転車創業は12月27日、複数の事業会社および個人投資家2名を引受先とした第三者割当増資により、資金調達を実施したことを明らかにした。関係者によると数千万円規模の調達だという。

今回同社に出資した事業会社は、エボラブルアジア、カヤック、クララオンライン、ノーマディックの4社。各社とは事業間の連携も進めていく方針だ。

自転車創業のメンバー。写真右から2番目が代表取締役CEOの中島大氏

オウンドメディアが月間60万UUの自転車メディアへ成長

自転車創業はその社名の通り自転車に関する事業に取り組むスタートアップだ。最初に手がけたのは駐輪場のAirbnbともいえる、シェアリングエコノミーサービス「PEDALRest」。同サービスでKDDIのインキュベーションプログラムKDDI∞LABOに採択され、プログラム期間中の2013年11月に代表取締役CEO中島大氏とCTO幸龍太郎氏の2人で創業したのが始まりだ。

現在の主力事業は月間60万UUの自転車メディアFRAME。もともとは自転車保険比較サービスの集客目的で立ち上げたオウンドメディアだったが、メディアとして収益化できるほどに成長した。

中島氏によると、既存の自転車系ウェブマガジンはレース層をターゲットにしているものが多いそう。そこでFRAMEではもう少し母数が多いホビー層をターゲットに設定。おすすめの自転車やグッズの紹介、メンテナンス方法などのハウツーコンテンツに加え、グルメや旅行などライフスタイル系のネタも掲載している。

シェアサイクルの普及を見据えた新メディアも

またシェアサイクルが今後普及することも見据えて、8月には新サービス「FRAME OUT」のベータ版をローンチした(現在はスマートフォンからのみアクセス可能)。FRAME OUTはユーザーがまちの見どころやスポットを投稿する自転車よりみちサービス。「シェアサイクルがインフラ化した際に求められるであろう観光コンテンツを、UGC(User Generated Contents)として提供していく」(中島氏)

自転車創業では調達した資金をもとにFRAMEおよびFRAME OUTの成長に向けた運営体制の強化を図るとともに、調達先である事業会社との協業や連携にも取り組む。エボラブルアジアとは同社のOTA(オンライン旅行代理店)サービスとの協業、カヤックとはカマコンなど全国的に派生する地域コミュニティとの連携、クララオンラインとは同社が10月に解説した「シェアバイクラボ」との連携を進めるという。

「まずはFRAMEを自転車ウェブマガジンNo.1にすること、そしてFRAME OUTの正式版リリースとプロダクトマーケットフィットの達成を目指していきたい」(中島氏)

読者に本を最適に届ける出版プラットフォーム――幻冬舎とCAMPFIREが共同出資会社を設立へ

左から幻冬舎代表取締役社長 見城徹氏、CAMPFIRE代表取締役社長 家入一真氏

本日、幻冬舎とクラウドファンディングプラットフォームを提供するCAMPFIREは共同出資会社、「株式会社エクソダス」を設立することを発表した。エクソダスは20181月末に設立予定で、クラウドパブリッシング事業を提供する。出版比率は幻冬舎 50%、CAMPFIRE 50%だ。エクソダスの取締役会長に幻冬舎 代表取締役社長の見城徹氏、代表取締役社長にはCAMPFIRE 代表取締役社長の家入一真氏が就任する。

近年、雑誌の休刊が相次ぐなど出版不況が浮き彫りとなっている。先日、共同通信社が伝えたところによると、今年の出版物の推定販売金額はピークだった1996年の約52%まで縮小する見通しだ。

こうした出版不況の背景にあるのは、若者の活字離れではなく、「本の情報が的確に届かない、欲しい本があってもすぐ買えない」ことにあるとエクソダスは考えている。エクソダスは、あらゆる人々が利用できる出版プラットフォームを提供することで、本というコンテンツを多くの読者に最適に届けられるようにしたい考えだ。

両社はプレスリリースで以下のようにコメントしている。

一般のユーザーから、フリーライターなどの個人事業主、さらに出版社や編集プロダクションなどの出版を営む企業まで、あらゆる人々にご利用いただける新時代の出版プラットフォームを提供します。

持ち込まれた出版アイデアをもとにCAMPFIREがこれまでに培ってきたクラウドファンディングのノウハウを使い、さらにそこに幻冬舎の企画力や編集力、宣伝力を掛け合わせることで、全く新しい出版のモデルを構築します。

幻冬舎にとってインターネット企業との協業はこれが初めてではない。20174月にはニュース共有サービス「NewsPicks」と協業し、書籍レーベル「NewsPicks Book」を創刊している。

未開拓のペットテック市場に挑むシロップが資金調達、次なる構想はペットライフ・プラットフォーム

ペット関連のサービスを複数展開するシロップは12月27日、福岡銀行系のベンチャーキャピタルであるFFGベンチャービジネスパートナーズ、獣医師の佐藤貴紀氏など複数の個人投資家を割当先とする第三者割当増資を実施。融資と合わせて総額3800万円を調達したことを明らかにした。

シロップのメンバー。写真中央が代表取締役の大久保泰介氏

今回の資金調達は2016年12月に続くもの。前回はサイバーエージェント・ベンチャーズやiSGSインベストメントワークス、エウレカ共同創業者の西川順氏を含む個人投資家から数千万円規模と見られる金額を調達している。

今後は運営体制を強化しながら、飼い主とペットのデータを活用して最適な情報や商品を提供する「ペットライフ・プラットフォーム」を目指していく。

専門メディアとマッチングサービスを展開、単月黒字化も

現在シロップが展開しているのは、ペットの飼い主向けメディア「ペトこと」と保護犬猫と飼いたい人をマッチングする「OMUSUBI(おむすび)」の2つ。

2016年5月リリースのペトことは、ペットの健康管理やしつけなどを中心に飼い主に必要な情報に特化したメディアだ。既存のペットメディアではかわいい動物のコンテンツなどライトな記事も多いが、ペトことの場合は獣医師やトレーナーなど専門家が病気やしつけに関する記事を執筆。

シロップ代表取締役の大久保泰介氏いわく「マニアックだけど、飼い主にとっては絶対に必要な知識」を届けることで差別化を図っている。

もうひとつのOMUSUBIは犬猫の殺処分問題を解決する目的で2016年12月にベータ版をリリース。保護犬猫の飼い主を募集する団体と、飼いたい人をマッチングする。2017年9月からは提供範囲を拡大し登録団体が28団体、累計の会員数が1300名。累計の応募数も200を超えた。

大久保氏の話では2017年12月には黒字化も達成の見通し。「記事や動画制作、リアルイベントやソーシャルグッドのプロモーションなどタイアップ案件に加えアフィリエイトも好調。たとえばペットと泊まれる宿を紹介した記事からは月間総額で1600万円の予約が発生している」(大久保氏)という。

ペット関連事業者だけではなく自動車や住宅メーカーからの関心も高まってきていて、今後はこのような間接企業とのタイアップも拡大していく方針だ。合わせて今後は広告収入以外のマネタイズ手段の開発に向けた取り組むも強化する。それがペトことを軸としたメディアコマースだ。

メディアを軸にコマース事業を開始、サプリなど自社ブランドも

ペトことでは2018年の3月に大幅なリニューアルを実施する予定。スポット検索やQ&Aなどコミュニティとしての機能を搭載するとともに、自社ブランドや外部の商品を購入できるコマース機能を追加。コンテンツを読んで終わりではなく、ユーザーの行動や商品購入までつなげる狙いだ。

すでにペット向けのサプリメント「SUPPY」の開発に着手していて、2017年11月にはクラウドファンディングを通じて約140万円を集めた。2018年1月から国内と東南アジアで一般販売を開始する予定で、今後はサプリに加えてフードやおもちゃなどの開発も検討していくという。

OMUSUBIでもレコメンド機能の開発や団体管理ツールの開発に加えて、保護犬猫だけでなく優良なブリーダーと飼い主をマッチングすることにも取り組む。ブリーダーとのマッチングについては仲介手数料をとることも検討する。

同サービスについてはエウレカ共同創業者の西川氏の存在も大きいそう。エウレカはマッチングサービスの「Pairs」を提供しているが、そこで培った知見も生かしていくことで成長を見込む。

シロップが掲げるペットライフ・プラットフォーム構想

シロップが今後見据えているのは、既存サービスを通じて蓄積されたデータをもとに、個々の犬猫に最適な情報や商品を提供するペットライフ・プラットフォーム「PETOKOTO」の展開だ。OMUSUBIでペットを迎え、ペトことを通じて飼育するといったように、飼い主がペットを迎えてから飼い終わるまでをサポートするプラットフォームを目指していく。

その上でカギを握るのが「オーダーメイドに近い情報や商品を提供すること」であり、そのための基盤となるデータの蓄積だ。

「この業界で起業してから約3年かかって、飼い主にとって必要な情報は属性によって異なることがわかってきた。たとえばトイプードルがかかりやすい病気があるように、犬種などによっても欲しい情報は変わる。年齢やペットの状況、飼い主の生活環境なども加味すると、オーダーメイドに近いレコメンドサービスが必要になる」(大久保氏)

今後の展望としてはまずペトことやOMUSUBIを通じて会員のデータを蓄積していく。ある程度データが溜まった段階で、そのデータを活用して個々に最適化された情報や商品を提供するというのが次のステップだ。コマース事業を本格化するのもこのタイミングになるという。そしてその先には獣医療の改革などペットヘルスケア領域でも事業を展開する。

写真右は株主でもある獣医師の佐藤貴紀氏

大久保氏の話では、獣医療の需要が増えている一方で供給が不足しているのが現状。ひとりの獣医師が幅広い専門領域のニーズに応えるのは難しいことに加え、動物病院の7割が獣医師ひとりで経営しているそう。たとえばAIを活用した画像解析やIoTプラットフォームなど、獣医の負担を減らすサービスにも取り組む方針だ。

海外ではBARKのようにメディアやマッチングプラットフォームで集客をしてコマースで売り上げを作っているペットテックスタートアップもあるが、日本ではまだまだ開拓の余地が残されている領域。ペットヘルスケアとなるとなおさらだ。

「この業界は課題も山積み。事業をきちんと伸ばしながらも発生する売り上げの一部をOMUSUBIの登録団体に寄付するなど、まずは保護犬猫というところからペット産業全体を健全化し、業界を盛り上げるチャレンジをしていきたい」(大久保氏)