Googleがテキサスの銃撃事件で誤報を検索結果の上位に出す、今回も情報源はTwitterだ

【抄訳】
Googleがまた、話題の事件に関する、疑わしくて政治的動機もありそうな推測や誤報を、そのアルゴリズムによって広めたとして、非難されている。

アルゴリズムによる誤報の増幅の、その最新例は、日曜日にテキサス州の教会で起きた銃撃事件だ。当局は、26歳のDevin Patrick Kelleyを犯人と認めた

Googleのユーザーが“who is Devin Patrick Kelley?”や、あるいはその名前だけで検索すると、その銃撃犯がイスラム教に改宗していた、とか、犯ファシズム団体Antifaの会員だっとか、民主党の支持者だった、などなどのツイートを見せつけられる。

[ツイート訳: Googleの’Popular On Twitter’(Twitter上で人気)は誤報の溝(どぶ)だ。Devin Patrick Kelleyで検索しただけで、これら4つのアイテムが現れる。]

重大な問題は、Googleが未確認の主張を検索結果の上位に表示することだ。同社はそれを、図書館が利用者に提供している真実なデータの索引にたとえたことがある。しかし“oracle of truth”(真実のお告げ)で検索するとWikileaksのJulian Assangeのツイートのフィードが出てきたりするから、明らかに、正常な索引ではない。

Google検索はTwitterのツイートの大量フィード(通称: firehose,消防ホース)をふつうの正常な情報源とみなしているから、アクセス数やクリック数の多いツイートは検索結果の上位に出る。そしてFacebook上のフェイクニュースのように、未確認の情報が山火事のように広がる。〔Google自身はツイートの内容を検証しない。〕

そうやって検索結果の上位に出るツイートは、“Popular on Twitter”(Twitterで人気)とか、単に“on Twitter”というラベルが付く。未確認情報でも、悪意ある情報でも、あるいは政治的意図のある情報でも…。

今回のテキサス銃撃事件の誤報ツイートが検索上位に出た件について、Googleのスポークスパーソンはこう言った: “Twitterからの情報は弊社のランク付けアルゴリズムによって取り上げられたものであり、刻々と変わっていくものであり、ほとんどリアルタイムで進行している動的な会話の表現である。問題のクェリに関しては、それらはページ上に表示される最初の検索結果ではない。それらは、常時アップデートされているTop Storiesなどのニュース項目の下に来るものであり、最上位ではない。検索で現れるツイートのランク付けに関しては、そのやり方をどう改善すべきか、検討を続けていきたい”。

しかし、一か月前には、やはり大量銃撃事件で、未確認情報のツイートが“Twitterで人気”ではなく、Top Storiesの欄に出たことがある。

一方Twitterは、現時点で何もコメントをくれない。

【後略】

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Appleは3000億ドルの資本利益事業の資金源として社債をさらに発行する

Appleがこのほど、株式買い戻し事業と株主への配当金の資金を得るために社債を発行を開始した、とBloombergが報じている。キャッシュが山のようにある企業にしては、ちょっと不可解な行動だが、実は同社のキャッシュの多くは海外にある。

Appleの第四四半期の決算報告では、キャッシュと換金可能有価証券の計が2689億ドルだった。しかしその94%は、国外にある。

今日の時点でその全額がアメリカに戻れば、Appleはその35%を支払うことになるだろう。トランプ政権は海外利益の法人税を12%と約束しているが、まだそれは実現していない。

Appleは、その税制改革を待てない。しかも同社は、アメリカでも多少のキャッシュを持つ必要がある。今国内に持っているのは有価証券も入れて約160億ドルなので、それではWhatsAppを買うことすらできない。

同社は前四半期で70億ドルの社債を発行したが、今度もそれと同じことをしようとしている。しかしそれでも、海外利益を本国へ還流する(法人税を払う)よりは、長/中/短期債の方がコストは安い。

Appleは、そのキャッシュを自分で使うわけではない。そのお金は、株式買い戻しと株主配当に充てられる。Appleの約束では、同社は今後2019年3月までの資本利益事業で3000億ドルを費消する。Bloombergによれば、Appleはすでに2250億ドルあまりを株主に還元している。

社債発行過程の詳細は現時点では不明だが、同社の計画では定率債を6回に分けて発行する。Appleがさらに今後もこのペースで社債の発行を続ければ、債券市場にはAppleの社債が大量にあふれることになるだろう。

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iPhone X、最初の週末はiPhone 8を上回る勢い

iPhone Xはすでに消費者の強力な支持を受けているとLocalyticsの最新レポートが伝えた。ただし予約分の出荷は大きく遅れる見込みのため、多くの顧客はまだ商品を手にしていない。それでもiPhone Xは、発売一週間でiPhone市場シェアの0.93%を確保したとLocalyticsは報じている。

ちなみにこのデータはiPhoneの「販売台数」を指しているのではない。ユーザーのアプリ使用状況に基づいて市場シェアを測定した数値だ。Localyticは、自社が運営するモバイル・エンゲージメント・プラットフォームを利用して、27億台のデバイスと3万7000種類のモバイルおよびウェブアプリからデータを収集している。このレポートでは7000万台以上のiOS端末から得たデータを元に週末(2017/11/3~11/5 2 PM ET)のデータを過去のiPhone機種のデータと比較したと同社は言っている。

iPhone市場シェアの0.93%と聞いても大したことはないと思うかもしれないが、iPhone 8が最初の週末に記録した0.7%を上回っており、Appleのハイエンド機種の需要が、ほどほどの(あるいは多く評論家言ったように、面白くない)機種よりも高かったともいえる。

ただし、Xの市場シェアは過去のiPhoneモデルよりは低い。ちなみに2014年のiPhone 6は最初の週末に2.3%のシェアを獲得し、2015年のiPhone 6は1.3%、2016年のiPhone 7は1.2%だった。

iPhone Xの発売時点の在庫が少なかったことに加えて(20都市の小売店では日曜日に売り切れた)、過去との比較は新規デバイスの人気を分析する最良の方法ではないとLocalyticは警告する。

たとえば、「2014年と比べて現在市場にははるかに多くのiPhoneが出回っている」と同社は説明する。言い換えれば、Appleが市場シェアを競っているのはライバルではなく自分自身だ。

出荷遅れはすで改善されつつあり、週末のデータはiPhone Xの売れ行きを判断する最善の方法ではないかもしれないが、今手に入るデータはこれだけだ。数カ月のうちには別の物語が聞けるだろう。最初の週末の結果はともかく、iPhone Xは発売後数カ月で過去のどのiPhone機種よりも大きなシェアをつかむだろうとLocalyticsは推測している。

ちなみにこれは、2017年のホリデー四半期はiPhone Xのおかげで史上最高水準になるだろうというApple自身の予測とも一致している。

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量販ディスカウント店BoxedがFC内の商品の流れを完全自動化、しかも誰もクビにならず

Boxedは、Costcoみたいな大量ショッピングのネット版だが、同社が力を入れているのは、大幅なディスカウントだけではない。

Boxedは今年の早い時期に、ニュージャージー州ユニオンのフルフィルメントセンターに自動化を導入し、顧客に送るべき品物が自動的にパッカーのところまで来るシステムをインストールした。しかも同社によれば、人を一人もクビにせずにそれを成し遂げた。

本誌はそのユニオンの施設を取材したが、同社の受注の40〜50%はここから発送されている。そして配送工程に起きた変化について、CTOのWill Fongと配送担当VP Rick Zumpanoに話を聞いた。倉庫内の自動操縦車両(いわば自動運転カート)も見たが、それは商品を他のフルフィルメントセンターに送るためにも使われている。

“これによって実際に起きていることといえば、消費者がスマートフォン上のボタンをいくつか押せば、翌々日には大箱入りのトイレットペーパーやペーパータオルなどの日用品がドアのところにある、ってこと”、とFongは語る。“でもその裏では、膨大な量のテクノロジーが、このようなトランザクションとフルフィルメントを動かしているのさ”。

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スタートアップに新たな資金調達手段を提供する日本版AngelList「エメラダ・エクイティ」が本日ローンチ

スタートアップがビジネスを拡大するために資金を調達する場合、その対象はエンジェル投資家やベンチャーキャピタルとなるのが一般的だった。これはTechCrunchで日々紹介しているスタートアップの資金調達に関するニュースを見ても、そのような傾向にあることがわかる。

だが近年クラウドファンディングやICOのように、資金調達の手段も少しづつ広がってきた。本日エメラダがローンチした「エメラダ・エクイティ」もまさにそのひとつ。同社が4月に2億円を調達した際には「日本版AngelList」とも紹介したが、エメラダ・エクイティは株式投資型のクラウドファンディング(以下株式投資型CF)という形でスタートアップ企業と個人投資家を結ぶプラットフォームだ。

エメラダ・エクイティを活用することで、スタートアップはVCやエンジェル投資家に限らず国内の幅広い個人から資金を調達できる。検討開始から払込までが最短1ヶ月以内に完了するため、資金調達に時間をかけすぎず事業の成長にコミットできることもメリットだ。

投資家1人あたりの出資額は最大50万円まで、スタートアップの資金調達は1億円未満と金額には上限はあるが、投資家側も今までは投資する機会のなかったスタートアップ企業に投資できるチャンスにもなる。

出資を受けているスタートアップを対象とした株式投資型CF

株式投資型CF自体は日本でもいくつかでてきているが「すでにプロが出資しているスタートアップが対象」で、かつ「新株予約権を活用」したプラットフォームというのは新しい。

まずエメラダ・エクイティに参加できるのは将来的にエグジットを見据えているスタートアップのみだ。それもエンジェル投資家やVCなど、プロの投資家がすでに出資をしていることをひとつの基準としている。エメラダ共同創業者で代表取締役社長兼CEOの澤村帝我氏によるとシードからシリーズA前後のブリッジファイナンスという形をメインに想定していて、「プロの投資家の補完効果」を得たいスタートアップに活用して欲しいという。

要は投資家は出資企業に成功してもらいたいので、スタートアップは人の紹介やプロダクトのPRなど積極的なサポートを受けられる可能性があるということだ。投資家側もバックグラウンドチェックがあり、長期的な視点と熱量を持って投資先をサポートすることを望む人が主な対象。そのような個人にプロ投資家との「相乗り投資」の機会を提供することで、スタートアップコミュニティを盛り上げていくこともエメラダ・エクイティの狙いだ。

「アメリカでもすでに出資をうけている会社が株式投資型CFを活用する事例が増えている。個人投資家にとっても、誰も投資をしていない会社に投資をするというのは不安。成功するスタートアップはエンジェル投資家やVCが出資しているケースが多いので、そのような企業に様々な個人が投資をするというのがトレンドだ」(澤村氏)

また新株予約権を活用しているのもユニークなポイント。これについては澤村氏自身が野村証券やゴールドマン・サックス証券で資金調達の実務に携わった経験が影響しているそうだ。

「普通株式や優先株式を活用すると多数の個人が議決権を有してしまうので、総会対応や、その後の資金調達やM&Aを実行する際などに支障がでることもある。少ない人材で事業を立ち上げなければならないスタートアップにとって成長やエグジットの阻害になっては致命的だ。新株予約権であれば、投資家はエクイティとしてのリターンを得る機会がある一方で、日々の経営には関与することはなく、スムーズな意思決定体制を維持できる」(澤村氏)

新株予約権を活用することのメリットは管理負担の削減だけではない。バリュエーションの決定を次回調達時に先延ばし、株式持分の希薄化を適正水準に抑えるという効果もある。これは主にシード投資で用いられるコンバーティブル・ノート(転換社債)を改良したコンバーティブル・エクイティと呼ばれる手法だ。

エメラダには澤村氏の他にも証券会社で資金調達やM&Aの実務に携わったメンバーが集まる。エメラダ・エクイティの開発時には社内のメンバーに加え、スタートアップやエンジェル投資家、VC、証券会社の担当者など業界関係者と意見交換をしながら最適なスキームを検討したそうだ。

今後はM&Aアドバイザーとの連携やベンチャー・デットの供給等の施策も考えているとのことで、このようなサポート体制もエメラダ・エクイティの特徴といえるだろう。

1号案件はVCが支援するクラフトビール会社

エメラダ・エクイティについては数十社から検討したいという声が上がっているそうだが、その中で第1号案件としてプロジェクトを開始したのはクラフトビール「KAGUA(馨和)」を生産するFar Yeast Brewing(ファーイーストブルーイング)だ。渋谷で直営の飲食店「Far Yeast Tokyo ~Craft Beer & Bao」を経営していて、こちらに足を運んだことがあるという読者もいるかもしれない。

Far Yeast Brewingはメルカリの子会社となったザワットにも出資をしていたエンジェル投資家の江見淳氏が、香港に拠点を置くNet Capital Partnersを通じて出資している企業。生産量を拡大した後にIPOを見据えていて、今回はエメラダ・エクイティを通じて4000万円強の調達を目指す。

澤村氏によるとこのようなエンジェル投資家との関係性を特に重要視しているそう。エメラダ・エクイティの特徴が「すでにプロが出資しているスタートアップが掲載されたプラットフォーム」ということもあり、歴戦のエンジェル投資家に案件をつないでもらえるようなインセンティブ設計なども検討しているという。

アメリカではAngelListを筆頭にCircleUpFundersClubなどが株式投資型CFサービスを通じてスタートアップの資金調達を支えているが、日本でも同様のプラットフォームのニーズはあるのだろうか。

澤村氏は日本でエメラダ・エクイティを立ち上げることについて「米国のように各大手プラットフォームが年間数百億円単位で株式の発行を担う世界にはすぐにはならないだろう。だが日本の起業は急速に増えており、エクイティファイナンスの総額自体が増えているので、モメンタムは強い。一方で、まだまだスタートアップコミュニティに関与できていない層も多いので、広めていく上では最適なタイミングだと考えている。中長期の話だが、海外のスタートアップ等も誘致できればさらに活発化するだろう」と話してくれた。

Samsung、新CMでAppleを10年遅れと攻撃

SamsungがiPhoneの欠点をあげつらうビデオでAppleを嘲笑するようになってしばらくになるGalaxy Note 7の爆発以来しばらく控えていたが、先週末のiPhone X発売直後、韓国メーカーは新たなビデオを公開して再び攻勢に転じた。

その趣旨はAndroidファンの間ではすっかりお馴染みの主張:Appleはあらゆる機能をSamsungよりずっと遅れて採用する。防水、高機能カメラ、ワイヤレス充電、大画面等々。

iPhone Xで、その差は10年に開いたとSamsungは指摘する。

この最新作品で、主人公は2007年に最初のiPhoneを買い、行列に並び、
ヘッドホンジャックのないiPhone 7にアダプターの使用を強要され、ついにSamsungに乗り換えて、めでたしめでたしとなる。

下に貼り付けた60秒間のビデオは、見る人がどちらのモバイル部族に属しているかによって評価がわかれるのだろうが、これまでにSamungがAppleに放った中で最高のジャブであるのは間違いない。

The Vergeの情報に感謝

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

BtoBサイトのSEOに関する「よくある質問」に答えてみた

こんにちは、デジタルマーケティング事業部でコンサルタントをしている藤沢です。(部署名がWebコンサルティング事業部からデジタルマーケティング事業部へと変更となりました。)

前回はBtoBビジネスにおけるコンテンツとSEOの重要性という内容でブログを執筆しましたが、今回もまたBtoBSEOをテーマに書いていこうと思います。

今回は、BtoBサイトの運営をしているWeb担当者やマーケターの方から聞かれたことのある質問をいくつかご紹介し、個人的な見解をライトに書いていきます。これからSEOに取り組もうと思っている方などの一助となれば嬉しいです。

Q.1:SEOのためにサービスサイトをつくるべきですか?

SEOに取り組むには対象となるサイトが必要ですが、運営しているサイトがコーポレートサイトのみの場合、そのコーポレートサイトでSEOに取り組むべきか、それともコーポレートサイトとは別に専用のサービスサイトを制作したほうがいいのか、どっちのほうが効果が高いか、といった質問をいただくことがあります。

たしかにコーポレートサイトを活かしたほうが、リンク資産やコンテンツ資産が1つのドメインに集約されるため、SEO的に有利に働いたり、新しくサービスサイトを立ち上げるよりも早く検索エンジンからのサイト評価を受けられるため、プラスに働くこともも考えられますが、このような場合においては、そもそもどちらがSEO効果が高いかといったSEO中心の観点で考えるべきではないと考えています。(当たり前のような話ですが、割と聞かれるのであえてQAのネタにしてみました。)

コーポレートサイトには多くの場合、見込み顧客・既存顧客・パートナー企業・株主・投資家・求職者・社員など様々な属性のユーザーが異なる目的をもってサイトにやってきます。そのため一番に考えるべきは、それぞれのユーザーが欲している情報を的確に届けることであり、それを実現するための全体設計が何よりも重要です。

以下はコーポレートサイト、サービスサイトのそれぞれでSEOに取り組む場合のメリット・デメリットです。

 

171206_コーポレートサイトとサービスサイトでSEOする場合のメリットデメリット

 

そもそも、「SEOをやるためにサイトを作る」わけではなく、「企業の情報をステークホルダーに正しく届ける」ことや「サービスの認知向上によってビジネスに繋げていく」ことが目的でサイトを持つと思うので、「どちらでやる方がSEO効果が高いのか」と考えるのはおかしな話ではありますが、たしかに企業やサービスの特性によっては予めSEOも考慮した上でどちらで取り組むべきかを検討しておいた方がよいケースもあるため、そういった方は上記比較表を参考にしてみて下さい。

結論、「どちらがSEO効果が高いのでおすすめ」というのはなく、企業やサービスごとにケース・バイ・ケースで考える必要があります。

Q.2:どんなキーワードを狙っていくべきですか?

次に紹介するのはキーワード戦略系の話です。前回のブログでも少し触れた内容ですが、よく質問されるため改めてご紹介します。

以下はtoBサイトで狙っていくべきだと考えるキーワードを5つに区分してみたものです。

BtoBサイトのSEOで狙っていくべくキーワードを5区分にしたもの

①指名検索キーワード:社名、サービス名、製品名

②メインキーワード:「勤怠管理」「勤怠管理システム」

③製品・サービスに関する情報収集キーワード:「勤怠管理システム 料金」「勤怠管理システム おすすめ」

④課題やニーズに関する情報収集キーワード:「ペーパーレス化 方法」

⑤用語の意味を知りたい:「クラウド勤怠管理とは」

BtoBサービスでSEOに取り組むのであれば、上記①~④はいずれも狙っていくべきキーワードだと言えます。また、専門分野においては「〇〇とは」のような言葉の意味を調べるクエリも多くなる傾向があり、そのような業界においては⑤も狙っていきたいキーワード群の一つとなります。

 

個人的にはBtoBサイトのSEOにおいて、最も重要なのはキーワード調査だと考えています。キーワード調査の段階で漏れが発生してしまうと、集客の機会損失にも繋がってきます。特に上記でいうところの「④課題やニーズに関する情報収集キーワード」は検索Volが比較的多く、顕在化するまえのユーザーにアプローチできるキーワードのため、SEO戦略上とても重要なキーワードと言えますが、キーワードツールなどを叩いたりしても、関連語などには表示されづらいため、メインキーワードの周辺にある関連キーワードばかりを探していても、そういったキーワードは調査の過程で漏れが発生しがちな印象です。

では、どのようにキーワード調査の漏れをなくすのかですが、効果的な方法として、自社の顧客情報からヒントを得る方法をオススメします。

具体的には、

  • 顧客が抱えていた当時の課題や導入背景を営業にヒアリングしてみる
  • 問い合わせフォームに届いた顧客からのメッセ―ジを見返してみる

などの方法がオススメです。自社の顧客が「どんな課題を解決するために」「どのような製品・サービスと比較検討し」「何に魅力を感じて導入に至ったか」を明らかにすることで、今まで見えてこなかったキーワードが見つかったり、自社ならではのキーワード戦略が見えてきたりするため、toBサイトのキーワード調査には顧客情報を参考にして考えるのが効果的だと思います。

Q.3:集客に向かない接客コンテンツはSEO的に重要ですか?

弊社のクライアントに提案する施策のなかには、導入事例ページの作成や、LP作成などの項目も含まれます。SEO(=集客を増やす)とは一見無関係なため、「それって重要なんですか?」とたまに聞かれたりしますが、最終的な成果を出すためにはめちゃくちゃ重要なのでご紹介します。

購買プロセスごとに対応するコンテンツ

 

  • 集客用コンテンツ:「コラム」「用語集」など集客には向いているが自社製品・サービスの魅力を訴求するには不向きなコンテンツ
  • 接客用コンテンツ:「製品情報」「費用・サポート」「導入事例」「選ばれる理由」など製品・サービスの魅力を訴求することに向いているコンテンツ

BtoBでのSEOは、例え狙ったキーワードで上位表示されたとしても、自社の課題解決に繋がるイメージをユーザーに訴求出来なければ、CVには至らずサイトから離脱して終わりでしょう。なぜならBtoBのユーザーは自社の課題解決につながるかどうかをじっくりと吟味し、他製品と比較検討をし、場合によっては複数社からのコンペ提案を受けた上で、最終的な導入先を決定するからです。

そのため、SEOに取り組むうえでも、集客のことだけを考えて「集客用コンテンツ」を拡充するだけでは最終的な成果には繋がらないということをまず前提として考えるべきで、集客したユーザーにどのような態度変容をさせるべきか、どのページに遷移させたほうがいいか、どうナーチャリングするか、といったユーザー別のCVシナリオを併せて検討し、シナリオ達成のために必要な「接客用コンテンツの拡充」についても併せて取り組んでいく必要があります

参考:SEO=「ユーザーにとって役に立つコンテンツを作る」に対する違和感

参考:検索ボリュームがないキーワードでSEOを行う必要があるのかという話

Q.4:外部リンクはどうやって集めればいいですか?

BtoBサイトにおいてメインキーワードの上位表示はサービスの認知を高める上でもCVを増やす上でも重要で、メインキーワードの上位表示のためには継続的な外部リンク獲得が必要になります。

外部リンクを獲得するための方法についてもよく聞かれるのですが、以前にブログ記事でリンク獲得方法について一度ご紹介したため、今回は要点だけまとめておきます。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

SEO HACKS式リンク獲得方法

  • 運営している別サイトにリンクを貼る
  • 企業間・個人間の関係性でリンクをもらう
  • 専門家でないと少し理解が難しいテーマを初心者が見ても分かってもらえるよう噛み砕いて解説するような記事を書く
  • 需要のあるトピックについての知識・経験・ノウハウをまとめた記事を書く
  • 時事ネタや速報系の記事を書く
  • 理解しづらい概念・考え方などを体系的に解説した記事を書く

まとめ

今回はtoBサイトのSEOにまつわるよくある質問をいくつかご紹介しました。あくまでも個人的な見解なので違ったご意見を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、今回は実際によく受ける質問とそれに対して自分が施策・回答してきた内容ということで、寛容にみて頂けますと幸いです。

他にもBtoBサイトのSEOで「こんなことに悩んでいる」「こんなことを知りたい」といった声があればおいおい追記していくかもしれません。

BtoBサイトのSEOに関する「よくある質問」に答えてみたナイル株式会社 - SEO HACKSで公開された投稿です。

Apple、タックスヘイブンをジャージーに変更――南ドイツ新聞とICIJがリーク

昨年、EUはAppleがアイルランドで違法な租税回避を行っているとして同社に145億ドルの支払いを命じた。競争担当欧州委員会の委員、Margrethe Vestagerが2014年にこの問題に関して調査を開始したとき、Appleは不穏な空気を感じたらしい。

昨日(米国時間11/5)、ICIJl〔International Consortium of Investigative Journalists=国際調査報道ジャーナリスト連合〕がParadise Papers暴露したところによれば、調査が開始された2014年始めにAppleは租税上の登記をジャージーに移したという。

ジャージーはフランスのノルマンディー半島沖に浮かぶ人口10万人程度の小さな島国〔イギリス王室属領〕だ。もっとも重要な点はジャージーでは企業は原則として課税されないことだろう。Appleはこれまでもジャージーを経由して利益を移転していた。

Appleは長年にわたり巧妙な資金操作とアイルランドの課税優遇措置を利用してヨーロッパでの課税を免れてきた。他の多国籍企業と同様、Appleもアイルランドに複数の子会社を持っている。

Appleの海外での利益はまずApple Sales Internationalというアイルランド子会社に移される。ICIJの調査によれば、同社は2009年から2014年までの間に1200億ドル以上を受け取っていた。

2つめの子会社はApple Operations Internationalと呼ばれ、この1200億ドルの大部分を配当収入として得る。2社得る利益の大部分は本社に属するものがだが、子会社は企業に課税する地域に登記されていない。両社への課税はまったく行われず、Appleの課税基準収入を著しく下げていた。

145億ドルという巨額の支払い命令となった調査は2014年6月に開始された。EUが税制改革を計画している現在、AppleがEUの命令にしたがって支払いを行うかどうかは不明だ。

フランスのブルーノ・ルメール財務大臣は「テクノロジー企業は利益を隠す方法を必ず見つけ出してしまうので、EU諸国における現実の売上に対して課税されるべきだ」と主張している。

Appleの租税回避テクニックはテクノロジー企業の間できわめてポピュラーな方法で、ダブル・アイリッシュという名前名前までついている。EUが2014年にダブル・アイリッシュを禁じたのはヨーロッパ各国政府からの強いう働きかけがあったからだ。

EUの税務調査とダブル・アイリッシュの廃止がAppleに登記をジャージーに移転させたものらしい。オフショア法律事務所のApplebyはAppleがジャージーにペーパーカンパニーを設立する手助けをした。今回の暴露はSüddeutsche Zeitung〔南ドイツ新聞〕とICIJが入手したApplebyの内部文書によるものだ。

Apple Sales InternationalとApple Operations Internationalは双方とも2014年に課税本拠地をジャージーとして登記している。ダブル・アイリッシュ方式が禁止されても、2014
年12月31日以前にアイルランドに設立された企業は2020年まで課税待遇措置をの恩恵を受けることができる。

Appleは現在、この猶予期間にあり、溜め込んだキャッシュを好都合な場所に移転することが可能だ。Appleは現在、アメリカ国外に2528億ドルの資産を持っている。もしAppleがこの利益をアメリカ本国に戻すと35%の課税を受けることになる。2020年以後も課税を逃れたいのであればAppleは何か新たな仕組みを考える必要がある。

Appleの「課税最適化措置」はそれ自身として違法ではなさそうだが、国際的な資金操作を行っていない他のもっと小さい企業に比べてAppleに対する課税が格段に軽いことを正当化するような理由もまた思いつかない。今回のAppleがいい例だが、租税回避のテクニックは日々変化しているものの、タックスヘイブンの本質は巨大多国籍企業に利益をもたらし、不公平な競争を生む根源だ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

初心者必見。テクニカルSEOに関する19の事実

特にSEOを始めたばかりの方であれば、テクニカルSEOの領域は専門的で分かりにくく思いがちです。
また、正しい知識がないままにサイトの運営をしてしまうと、不必要な心配をすることになったり、知らぬ間に思わぬリスクを抱えてしまう事もあります。
今回ご紹介する記事では、これらの懸念を回避するために初心者の方はもちろんのこと、SEO経験者でもいま一度確認しておきたいテクニカルSEOの重要ポイントを19個ピックアップしています。

どれもベーシックな内容ですが、それだけにSEOを語る上では必須となる項目ばかリですので、これを機にぜひチェックしてください。

— SEO Japan

初心者必見。テクニカルSEOに関する19の事実

*リンク先は一部を除き英語記事となっています。

テクニカルSEOは素晴らしい領域だ。そこにはエキサイティングにしているたくさん小さなニュアンスがあり、実践するものには優れた問題解決能力と本質を思考する力が求められる。
この記事では、いくつかの興味深いテクニカルSEOの事実を紹介する。
即座に効果を出すというものではないかもしれないが、SEOの知識を強化するのに役立つし、検索結果内のWEBサイトランクを高めるのに役立つだろう。

では早速リストを見ていこう。

1.ページスピードは重要

多くの人がページのロードスピードが遅い事をユーザーにとって迷惑ものだ程度に考えているが、それがもたらす結果はそれだけにはとどまらない。
ページスピードは長らく検索ランク要素となっており、Googleは近々モバイルページスピードをモバイル検索結果のランク要素として利用するとしている。
(もちろん、読者も短いページロードスピードも好むだろう)

多くの人がGoogleのページスピードインサイト(ツール)を、サイトスピードの解析と改善策の提案を得るために活用している。
モバイルのパフォーマンスの改善を特に考えている人向けに、Googleはモバイルに特化した新しいページスピードツールを発表した。
このツールは3G回線であなたのページをテストし、ページロード時間をチェックし、モバイルでのユーザビリティ等を評価する。

2.robots.txtファイルは、サイトのメインディレクトリに配置されなければならない。

このファイルはクローラーに認識されるために、小文字で命名(robots.txt)されなければならない。さらにクローラはサイトのメインディレクトリだけを参照する。
もしそこで見つけられなければファイルが存在しないと推測し、クロールを続ける。

3.クローラはいつでも無限スクロールにアクセスできる訳ではない

そしてもしクローラーがアクセス出来なければ、ページに順位がつかない。

無限スクロールを自分のサイトへ使用するときは、長いスクロールページに加えてページネーションが実装(ページが分割)されていることを確認しよう。
replaceState/pushStateを無限スクロールのページに導入することも確認しよう。これは多くのweb開発者が気づいていないちょっと面白い最適化だ。
なので、無限スクロールにおいてrel=”next” and rel=”prev“をコード内で確認しよう。

4.Googleはサイトマップをどのように構築しようが気にしない。

XMLファイルである限り、サイトマップをどのように構築しても構わない。
つまりカテゴリのブレイクダウンと、全体の構造はすべてあなた次第で、Googleがどのようにクロールするかには影響を与えない

5.noarchiveタグは、Google内ランキングには悪影響を与えない

このタグは、Googleが検索結果でキャッシュ版のページを見せないようにするもので、ページ全体のランキングにはネガティブな影響は与えない

6.通常Googleは、ホームページを最初にクロールする

これは決まり事ではないが、通常Googleはホームページを最初に見る。例外としては、特定のページへのたくさんのリンクがページ内に存在している場合などだ。

[質問者]ジョンさん、Googleボットは常にホームページからクロールするものですか?
[ジョン・ミューラー氏]いいえ、しかし往々にしてサイトの中でホームぺージが一番最初に見つかるのです。

7.Googleは内部リンクと外部リンクを別々にスコアリングしている

あなたのコンテンツやウェブサイトへのサードパーティサイトからのリンクは、自分自身のサイトからのリンクとは別物として評価される。

8.グーグルサーチコンソール内でクロールバジェットの確認ができる

クロールバジェットとは、限られた時間の中で検索エンジンがクロールできる、もしくはしたいと思っているページの量だ。自身のサーチコンソール内で確認することができる。
必要であれば、そこからバジェットを増やすことも試せる

クロールバジェット

9.SEO的な価値を生まないページをDisallowページに指定することで、クロールバジェットが改善される

SEOの改善に不可欠ではないページは、プライバシーポリシー、期限切れのプロモーションキャンペーン、利用規約などを含む。
私のルールは、そのページがランキングを目的としていないもので、100%ユニークなコンテンツ品質を持たないならば、ブロックするようにしている。

10.サイトマップについて知ることはたくさんある

・XMLサイトマップはUTF-8でエンコードされていなければならない
・URLのセッションIDを含んではならない
URLの数は5万個以下で、50MBを超えてはならない
・サイトマップインデックスファイルは、複数のサイトマップよりも推奨されている。
・ビデオ、画像やニュースなど、メディアの種類に合わせて別のサイトマップを使用することができる。

11.Googleのモバイルクローラが、どのようにあなたのウェブサイトを「見て」いるのかを確認できる

モバイルファーストインデックスに移行する中で、自分のページに対してモバイルデバイス上での動作確認を行う事は、かつてないほど重要になっている。
モバイルデバイス上のユーザビリティに対して問題のあるページを特定するために、サーチコンソールのモバイルユーザビリティレポートを使用すると良い。
モバイルフレンドーテストを試すこともできる。

12.Googleの検索結果の1ページ目のうち、半分はHTTPS

ウェブサイトのセキュリティはどんどんと重要になっている。安全なサイトへのランキングブーストに加えて、現在Chromeはユーザーがセキュアでないサイトに遭遇した時に、警告を発するようになった。
そしてウェブマスターがこのアップデ―トに対して反応したようだ。MOZによると、検索結果の1ページ目の半分以上のウェブサイトがHTTPSになっているようだ

13.ページロードタイムを2~3秒で抑えるよう努力すべき

Googleのウェブマスタートレンドアナリストのジョン・ミューラー氏は、ロード時間を2~3秒に抑えることを勧めている。(これより長かったとしても、必ずしもランキングに影響を及ぼすわけではないが)

14.robots.txtでの命令は、Google内ランクすることを(完璧には)止められない

robot.txt内の「Disallow」の命令に関して多くの誤解がある。robot.txtファイルは、単にGoogleに対してdisllowedされたページ、フォルダ、パラメータをクロールしないように伝えるもので、
これらのページがインデックスされないわけではない。Google’s Search Console Help documentationには以下のようにある。

Googleの検索結果から隠す目的でrobots.txtを使うべきではない。なぜなら他のページがそのページを示していることにより、robots.txtファイルを避けてインデックスを受けるということが考えるためだ。
もし検索結果に対して自分のページをブロックしたいのであれば、パスワード保護やnoindexタグや命令など他の方法を使うとよい。

15.新しいドメインから主要ドメインに対して、権威(canonical)を追加できる

これにより新しいドメインの名前をマーケティング活動の中やほかの場所で使用しながらも、古いドメインの価値を維持できる。

16.Googleは同一の箇所で、少なくとも1年はリダイレクトを続けることを推奨している

Googleがサイトの引っ越しを認識するまでに数か月かかることから、Googleを代表してジョン・ミューラー氏は301リダイレクトを少なくとも1年間はかけ続けることを勧めた
個人的には、重要なページ ― たとえばランキングやリンク、そして別の重要なページに対してのリダイレクトのオーソリティを持つページは、削除しないべきだと勧めている。

17.Googleのサーチボックスをコントロールできる

Googleは時に、あなたの検索結果の中にサーチボックスを含ませることがある。
このサーチボックスはGoogle検索によってもたらされており、あなたのサイト内の関連コンテンツをユーザーに見せる機能をしている。

サーチボックス

望むのであれば、このサーチボックスを自分の検索エンジンによって強化したり、モバイルアプリの結果を含ませることができる。
さらにnositelinkssearchboxメタタグを使用することにより、サーチボックスを無効化することができる。

18.notranslateタグを利用することにより、検索の中で翻訳されるのを防ぐことができる

notranslateメタタグは、Googleに対してこのページの翻訳を他の言語でのGoogle検索に提供しないよう伝える事ができる。
もしあなたが、Googleの翻訳力に対して懐疑的であるならば、これは良い選択肢だ。

19.Firebase app indexingを使うことによって、アプリをGoogle検索に含めることができる。

もしインデックスされていないアプリを持っているのであれば、ぜひ検討すべき。
Firebase app indexingを使うことで、既にアプリをインストールしているユーザーが、関連キーワードでGoogle検索をしたとき上に、
あなたのアプリ内での結果を検索結果内に表示されせられるようになる。

テクニカルSEOに精通するために
もしテクニカルSEOに通じていたいのなら、良いサイトがある。

・まずバリー・シュワルツが毎週更新しているビデオを見ることをおススメする
・次に、Search Engine Landも見るべきだ。
・3つ目に、Google Webmaster Centralのブログに参加すべき。
・最後にGoogle Webmaster hangoutに参加したり、録画されたものをYouTubeで観るのも良いアイディアだ。

19個のテクニカルSEOの事実を楽しんでいただけただろうか。
実はまだまだあるのだが、その中でも今回はとくに面白いものをピックアップした。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「19 technical SEO facts for beginners」を翻訳した内容です。


 

サイトの運営に携わるものとして、テクニカルSEOは避けては通れないものです。
苦手意識を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、最低限抑えるべきポイントを理解しておくことはきっと今後のサイト運営の役に立つはずです。

今回ご紹介した19個の中には、本当に初歩的な内容もあれば、SEOの知見をお持ちの方からすると思うところがある項目もあったかもしれません。
この項目って場合によってちがうよねなど、記事に関するコメント等があればTwitterなどで発信いただけると幸いです。
— SEO Japan

SoftBankは傘下のSprint株買い増しへ――T-Mobileとの合併は正式に破談

先週、アメリカの大手携帯網2社の合併交渉が正式に中止された。

SprintとT-Mobileはここ数か月、合併に向けて交渉を続けてきたが、ついに交渉を破棄することとなった。

土曜に両社は共同声明を発表し、「われわれは相互に利益となるような一致点を見出すことができなかった」と発表した。

この発表に先立って、先週、交渉は決裂寸前だという観測が流れていた。これは合併後の経営の主導権に関してSoftBank Groupが所有するSprint側が懸念を示したからだとされる。合併破棄のニュースにSprintとT-Mobileの株価はどちらもダウンした。

SoftBankはすでにSprint株の82%を所有しているが、交渉破棄を受けてさらにSprint株を買い増し、85%とする方針を明らかにした。

SoftBank Groupの会長でSprintの会長、CEOの孫正義氏は声明で「アメリカのオンライン世界は何十億ものデバイスとセンサーが結びつけられる新しいモバイル時代に入りつつある。世界的水準のモバイルネットワークを所有、運営することはあらゆるものごとを結びつけるというわれわれのビジョンの中心であり続ける」と述べた。

SprintとT-Mobileの統合が失敗したのはこれが最初ではない。両社は2014年に統合を試みたが、規制をクリアできず失敗に終わっている。

情報開示:TechCrunchの親会社、VerizonはSprint、T-Mobileとビジネス上競争する立場にある。

[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Face IDの「誤学習」に注意!

兄弟間でiPhone XのFace IDが誤作動してしまうという報告があるようだ。こうしたケースを避けるために、気をつけておきたいことがある。

顔の似た兄弟でも、顔認識を使ってアンロックしようとした際には、認証エラーとなるのが普通だ。しかしここでうっかり認証用のパスワードを入力しないように気をつけたい。パスワードを入力してエラーを回復させてしまうと、Face IDを誤った方向に調整してしまうことになるのだ。最初はエラーとなった兄弟も、次の機会には問題なくアンロックできてしまうことになりかねない。いってみれば、Face IDで採用している機械学習の限界であるといっても良いかもしれない。

Appleも、Face IDに関するサポートドキュメントでこの件に触れている。ただ、そのようなものは一般的に誰も読まないものなので、要点をここにまとめておこう。太字化はこちらで行ったものだ。「Face IDで利用するデータは、正しく認証されるたびにアップデートされていきます。似ているが異なると認識された顔でも、そのあとにパスコードが正しく認識されれば、正しいものとして学習するようになっています

快適に利用するために、顔認識の制度をあげようとするのは当然のことだ。TechCrunchのMatthew PanzarinoがCraig Federighiにインタビューした際には次のような発言があった。

ヘアスタイルを変えたり髭をはやしたり、あるいは整形を行ったさいにも正しく認識するのがFace IDの望ましい振る舞いです。そのためにFace IDには「Secure Enclave」と呼ばれる「再学習」の機能が備えられています。こうした学習は第三者のアクセス可能領域の外で行われます。このデータを第三者に提供することは一切ありません。

要点をまとめておこう。あなたに似た人がFace IDによる認証に失敗した場合、パスコードを入力して端末のアクティベートを行なってはいけないということだ。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

ジェフ・ベゾスが語る人生の極意

以下に紹介するのは、AmazonのCEOジェフ・ベゾスによる、インスピレーション、ワークライフバランス、そして発明家になるためのヒントだ。おっと、それに加えて彼のロケットが着地した際に、シャンパンでずぶ濡れになってどのように感じたかも語っている。この週末にロスアンゼルスで開催された有名な創業者たちが集う、招待客のみのイベントSummit Seriesの中でのインタビューで、この世界で最も裕福な人物は、これまでにないほどの率直さを見せたのだ。

なぜジェフがそれほどまでに無防備だったのかって?なぜならインタビュワーが彼の弟、マーク・ベゾスだったからだ。豪華なオルフェウム劇場で、古いベゾスの家族写真を背景にして、ジェフは彼の個人的な哲学を明らかにした。

ベゾスが高校卒業時に話した卒業生代表スピーチの締めくくり:「宇宙、それは最後のフロンティア。そこでまた会おう」、彼はスタートレックのモットーを行動への呼びかけに変えて語った。

ジェフは、今年初めにインターネット上で流行った「バフ・ベゾス」(筋骨逞しいベゾス)のことを笑い飛ばした。

彼は豊かな問題解決能力をどのようにして手に入れたのか:ジェフは4歳から16歳までの毎夏の期間を、彼が「ポップ」(じいちゃん)と呼んでいた祖父の所有する僻地の農場で過ごしていた。外部の助けを借りることのできない場所で、ポップは自力で様々なことをこなさなければならなかった。ジェフが言うには、ポップは自分で針まで作って、牛を縫合するような獣医師の仕事までこなしていた。ある夏ジェフは、ポップが5000ドルという破格の値段で買った、キャタピラー製の古い建築機械を修理することに時間を費やした。その機械がそれほどまでに安かった理由は、それが完全に壊れていたからだ。修理のために必要な巨大な通販荷物が届いたとき、それらは重すぎて動かすことができなかった。そこでポップはそれらを持ち上げるためのミニクレーンを自作した。「ポップは、初めはどうすれば良いかを知らない大規模なプロジェクトに取り組んでは、それをやり遂げて行ったんだよ」とジェフは語った。

窮地からの回復力を身につけることについて:ポップは、親指の先を切り落としてしまったことがある。彼はそのとき、動いているトラックから飛び降りて、車が通り過ぎる前に農場の門を開けようとしていたのだが、車が門に衝突し、もう少しでポップの指をもぎ取ってしまいそうになった。彼は猛烈に怒って、親指の先をちぎり取ってヤブに投げ捨て、自分で運転して病院に向かった。親指を脇腹に縫い付けて再生を待つのではなく、ポップは医者たちに素早く尻の皮膚を移植させることにした。ジェフは、それ以来「ポップの親指から尻の毛が生えていた」ことを明瞭に記憶していた。しかし不平を言うこともなく、ポップは彼の顔と一緒に親指も剃っていただけだった。「問題が起きる度に、回復力と問題解決力を発揮して、窮地を脱する方法を生み出すんだよ」とジェフは語った。

ロサンゼルスのSummitで語るマークとジェフ・ベゾス。画像クレジット: Michael Drummond

子育てについて:ジェフと彼の妻は、子供たちに4歳の時から鋭いナイフを使わせ、程なく電動工具も使わせるようにしている。もし怪我をすれば、自ら学ぶことになるからだ。ジェフによれば、彼の妻の意見は「知恵のない子供よりも、むしろ9本指の子供を持ちたい」というものなのだ。

ロマンチックなパートナーを選ぶことについて:ジェフが結婚したいと決意したとき、友人たちは彼のために、数多くのお見合いデートをお膳立てした。そして本当に機知に富んだ人物に出会って、彼は遂に自分の妻を見つけたことを知ったのだ。「私を、未開地の牢獄から連れ出してくれることができるような女性を、必要としていたんだよ」とジェフは語った。

仕事を辞めてAmazonを始めようと、どうして思うようになったのか:ジェフはウォールストリートで金融系ソフトウェアエンジニアとして働いていた。しかし1994年になって、彼は上司にインターネット書店を開きたいと申し出た。彼の上司は、それはとても良いアイデアだとは言ったものの、それは「良い仕事をしていない人にとっては『ましな』アイデアだ」という意味だった。数日の間にジェフは「このことを考える最善の方法は、私の人生を80歳に向けて眺めてみることだ」と決心した。そして彼は「後悔を最小にすることにしたんだ。後悔をカタログのように集めたくはないからね」という結論に達したのだ。間違ってしまったことに対して深い後悔を感じるかもしれないが、誰かを好きになって告白しなかったというような「行かなかった道」から生じる後悔の方がより深い。なので、会社を去ってAmazonを始めるべきだということは「結局あまり考えるまでもなく明らかなことだったんだ。もし失敗したとしても、80歳になったときには、挑戦したことをとても誇りに思うだろうからね」と語った。

ハロウィンのための野菜コスチュームを着た10代のジェフ・ベゾス

もし「ジェフ・ベゾス」ではないとしたら、何をしているだろうか:機械学習やAIに興味を持っている「幸せなソフトウェアエンジニアというところかな」。しかし彼はまた「バーテンダーだったらどうだっただろうという妄想もあるんだよ。私は自作のカクテルに自信があるからね」とも語った。しかしご注意を。彼は作業がとても遅いのだと告白した。彼の夢のバーにはこのような注意書きが書かれていることだろう「あなたのお好みはどちら?美味しいもの?またはすぐにできるもの?」。

ニュースへの個人的つながりとワシントンポストの所有について:ジェフは1973年の「ウォーターゲート事件の公聴会を、ポップは食い入るように見ていた」と語った。それは彼が2013年にワシントンポストを買収する際に表明した、調査的ジャーナリズムへの高い評価に対して、無意識に影響を与えているのかもしれない。

Summitが開かれたロサンゼルスのオルフェウム劇場で語るマークとジェフ・ベゾス。画像クレジット: Michael Drummond

宇宙旅行の必要性と、彼のロケット会社Blue Originについて:「地球を救うためには、宇宙に行かなければならない」とジェフは語る。「結構急ぐ必要があると思う」。それでも彼は、地球を居住可能な環境に保つためには、幾つかの計画が必要だと考えている。「私たちは太陽系内のあらゆる惑星に向けてロボットプローブを送る。これが最高のものなんだ。すぐに成果が出るものではないけれどね」。

宇宙起業家精神について:宇宙への機会を開く鍵は、地球の重力から物体を脱出させるコストを下げることだ。「インターネットで経験したように、何千人もの起業家たちが、宇宙でスタートアップを始めることができるようにするには、参入するためのコストを軽減する必要があるんだよ」インフラのコストが下がることで、ウェブ企業が爆発的に増えたことを指摘しながら彼は語った。

ポップの農場で働く少年時代のジェフ・ベゾス。

電話とマルチタスキングについて:マークは兄のジェフが驚くほど目の前のものに集中すること、そして滅多に電話に出ることがないと語る。ジェフは「友人たちや家族と夕食を食べるときには、私はやっていることに集中したいんだよ。マルチタスクは好きじゃないんだ。電子メールを読むときには、全身全霊を込めて読みたいしね」。ジェフは幼い頃、マルチタスクに対して抵抗したことを語った。彼が通っていたモンテッソーリスクールで、時間が経って次の課題に進むことを彼が拒否したので、教師は文字通り彼と椅子を拾い上げて、次のプロジェクトに移していたのだ。ジェフは、絶え間なくタスクを切り替えるのではなく、順番に集中するのだと語る。「私は一つ一つに集中して、結果的に複数のタスクをこなしていくんだ」。

ワークライフバランスを確立する方法について:「 私はワークライフハーモニーという言葉が好きだな」とジェフは語る。「バランスという言葉には、厳しいトレードオフがあるような響きがあるからね」。もし彼が、価値を生み出し、働くチームの生産的なメンバーであると感じることができたなら「家庭でも上手くやることができるようになるだろうね。逆に、私が家庭で上手くやれるなら、会社でも良き社員、良き上司になれるだろうし」。同僚や家族のエネルギーを奪い去る人物になってはいけない。彼は、単に一日に何時間費やすかではなく、情熱をもって参加できる十分なエネルギーがあるかどうかが問題なのだと考えているのだ。

ハロウィンのために仮装したジェフ(中央)と友人たち。

発明家になる方法について:世界は非常に複雑なので、問題の解決策を見つけるには「ドメインの専門家」でなければなならない。「しかし、危険な点は、一度ドメイン専門家になってしまうと、その知識に縛られてしまうかもしれないということなんだ」。物事に対しては、子供のような好奇心でアプローチしなければならない。発明家とは初心者の心を持った専門家のことだ、と彼は言う。

あなたを形作っているものについて:「私たちはみな、自分自身の物語を選ばなければならない。私たちを形作るものは、自分のした選択の結果であって、生まれ持った才能ではないということだね。私たちにできることは自分の選択を誇りに思うことだけだよ」とジェフは語る。「安らぎと快適」の人生を選ぶこともできるし、「奉仕と冒険」の人生を選ぶこともできる。でも80歳になったときに、より誇らしく思えるのは後者だろう。

最後にひとこと:「冒険と連帯を」と彼は言う。彼は単なる「友情」(friendship)の代わりに「連帯」(fellowship)という言葉を選んだと語った。なぜなら連帯という言葉は「一緒に道を進んで行くというビジョンを呼び起こすから」だ。

最後に、今回のトーク中で最も下らないエピソード:Blue Originの再利用可能なニューシェパードロケットの着陸成功を受けて、お祝いをしているトップの写真について話していたときのこと、ジェフはこう言った「私のカウボーイハットにはまだシャンパンのシミがついているんだよ。最高のシミだね」。

Summitの詳細については特集記事をご覧ください。

[原文へ]
(翻訳:Sako)

一部地域でApple Watchに天気を尋ねるとクラッシュする事例多数。原因はサマータイム

eng-logo-201511月4日前後、欧州および北米でApple Watchのクラッシュ事例が相次ぎました。この現象は主にSiriに11月4日の天気をたずねることで発生し、多くのApple Watch Series 3ユーザーはこのクラッシュによってホーム画面”Springboard”が再起動すると報告しています。

クラッシュは11月4日の天気について尋ねたときのみ発生すること、そして現象が発生する地域から、匿名掲示板Redditのユーザーらは、この問題がサマータイムの処理に関連したものであると推測しており、サマータイム精度を導入していないカナダ中部のサスカチュワン州の天気を尋ねても問題が発生しないことなどを報告しています。

アップルはどういうわけかサマータイムの処理が苦手なようで、これまでにもiPhoneなどのiOSデバイスにおいてもサマータイム対象地域でのアラームカレンダーの処理にバグを抱えていたことがありました。またアップルは公式サイトのサポートページにiOSデバイスにおけるサマータイムの切り替えがうまくいかない場合の対処方法を記しています。

すでに2017年のサマータイムの日程は終了していることから、Apple Watchユーザーが今後この現象を(少なくとも来年のサマータイムまでは)目にすることはなさそうです。アップルはまだこの現象に関して詳細を公表しておらず、原因が単純なものか深刻なものかはわかりません。とはいえ、この手のバグはいつの間にか修正され、来年のいまごろには誰も思い出さなくなっているはずです。

Engadget 日本版からの転載。

排泄予知デバイスの「DFree」が新たに5億円を調達、フランスへの海外進出も

排泄予知ウェアラブルデバイス「DFree」を開発するトリプル・ダブリュー・ジャパン(以下、TripleW)は11月6日、ニッセイ・キャピタルと鴻海ベンチャー投資のパートナーファンドである「2020」から総額5億円の資金調達を実施したと発表した。

同社は2018年度中に10億規模のシリーズBを予定しているが、今回はそれに先立つプレシリーズBとして、既存株主からの機動的な資金調達として行った。なお、今回の資金調達は第三者割当増資ではなく、新株予約権の発行によるものである。

TripleWは、介護の現場で利用される排泄予知ウェアラブルデバイスのDFreeの開発・販売を行う日本のスタートアップだ。

介護施設などの現場では、例えば3時間おきにトイレに連れて行くようなかたちで排泄ケアが行なわれているそうだ。それだけでも大きな労力だが、当然その人によってはその定時誘導のタイミングで上手く排泄ができなかったり、逆に被介護者自身が不安になって必要以上にナースコールを鳴らしてしまうというような問題がある。

DFreeはそのような問題を解決するために生まれたデバイスだ。DFreeは、古くから妊娠診断などでも利用されていた超音波で膀胱の膨張度を計測。それによって排尿のタイミングが近いのか、そうでないのかを判断する。デバイスが排尿を予知すれば、それをBluetoothを通して介護士がもつスマートフォンなどに通知するという仕組みだ。

介護の現場ではたびたび人材不足だと言われているが、時間のかかる排泄ケアをより効率化することで現場の負担を解消することを目指す。

ちなみに、国もこの排泄ケアの重要性を認識している。厚生労働省は2017年10月に「ロボット技術の介護利用における重点分野」を改訂し、新たに6分野13項目が重点分野として定めた。そして、その中の「排泄支援」の分野において「ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器」という項目が新たに追加されている。

DFreeは2017年春から介護施設向けへの販売を開始。これまでに150の施設に導入され、フランスでもパイロット導入が始まっているという。同社はデバイス単体を販売するのではなくログ記録システムまで含めたパッケージとして提供し、月額料金は1台あたり1万円からだ。

同社は今回の資金調達により、これまでの介護施設向けのビジネスに加えて在宅介護での利用を想定したC向けビジネスの実証実験に力を入れる。また、前述したようにフランスを含むヨーロッパ地域への海外進出にも注力していくそうだ。アメリカではなくヨーロッパを選んだのは、日本と同じように介護保険制度が整っているという理由からだという。

また、超音波を利用して内臓を調べるというDFreeの技術を腸にも適用することで、これまでの「排尿予知」に加えて排便予知サービスも実現可能だ。同社はその研究開発にも力を入れていく。

これまでに同社は2016年2月に1.2億円同年5月には5億円の資金調達をそれぞれ実施している。

リファラル採用支援「Refcome」提供元が約2億円調達――1年で登録社員数10倍、アルバイトにも活用

リファラル採用を支援するクラウドサービス「Refcome(リフカム)」を提供するリフカム(Combinatorから社名変更)は11月6日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ及び既存株主のDraperNexus、Beenext、ANRIを引受先とした第三者割当増資により総額約2億円を調達したことを明らかにした。

今回調達した資金で現在伸びているアルバイト領域への展開に力を入れていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化、さらには新サービスの開発にも取り組んでいく。なおリフカムは2016年10月にも伊藤忠テクノロジーベンチャーズを除く3社から5000万円を調達している。

1年間で登録社員数が10倍、アルバイト・派遣領域で利用が拡大

Refcomeは2016年7月にリリースされたリファラル採用を活性化させるクラウドサービス。人事と現場の社員双方の負荷を減らし、リファラル採用に取り組みやすい環境をサポートすることがウリだ。具体的には人事担当者が社員へ募集内容を周知できる機能や協力してくれた社員を把握できる機能、社員が友人に会社の紹介をしやすい機能などを備える。

2016年10月時点で2700人だった登録社員数は1年間で10倍越えの3万人に増え、月次の売上高も15倍へと成長した。リフカム代表取締役の清水巧氏の話では、この1年でIT企業だけでなく飲食チェーンやアパレル、不動産など導入企業の幅が広がったという。合わせてわずか10%だったアルバイトや派遣での利用比率が1年間で40%に増えるなど、正社員以外の利用も増えたそうだ。

アルバイトや派遣の採用でRefcomeの利用が増えてきた理由はどこにあるのだろうか? その背景のひとつには「離職率の問題」があると清水氏は話す。

「ある飲食店では採用したアルバイトの3人に1人が入社から2週間以内に辞めてしまうということがあった。その1人を採用するのにも求人媒体を使うと7〜8万円かかるということもあり、そもそも辞めない人をなるべく安く採用したいというニーズが強くなっている。リファラル採用の場合は友人が社内にいるため社内になじみやすいこともあり、問い合わせが増えてきた」(清水氏)

アルバイトの募集においても、たとえば「友人紹介キャンペーン」など、これまでもリファラル採用的な施策は行われていた。ただ時代の変化とともにほとんどの人がSNSを使うようになり「リファラル採用」という概念や、それを支援する仕組みも整い始めている。「おそらく5年前では少し早かった。外部環境が追いついてきてちょうどいいタイミングになってきている」という清水氏の話も頷ける。

従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動

清水氏にこの1年の変化についてもう少し詳しく話を聞くと「従業員のエンゲージメント測定とリファラル採用を連動させて提案できるようになったこと」と「事例が増えてナレッジが蓄積されてきた結果、提案できる施策が増えたこと」がサービスの成長につながっているという。

リフカムは2017年4月、アンケート結果を基に社員のエンゲージメントを可視化できる「Refcome Engage(リフカムエンゲージ)」をリリースした。リリース時にも話があったが、リファラル採用がうまくいくかどうかは、従業員のエンゲージメントが大きく影響するのだという。

たとえばある飲食チェーンではリファラル採用に協力的な店舗と非協力的な店舗があり、双方で従業員のエンゲージメントを測定したところ、協力的な店舗はエンゲージメントも高いという結果が出たそうだ。そこでまずはRefcomeの導入企業を中心にRefcome Engageを提案。双方のツールは連動しているため、エンゲージメントの測定結果からリファラル採用の施策設計までをシームレスに行えるようにした。

また1年以上をかけて様々な企業のリファラル採用をサポートする中で、ナレッジが蓄積されより効果的な提案ができるようになったきている。

「たとえば100名規模のITベンチャーで人事から全社的に人材紹介の依頼をしても効果が薄い一方で、事業部長など現場のトップから依頼をするようにしただけでうまく機能するようになった事例がある。規模や業種によっても最適な手法は異なるため、フォローアップする体制を強化してきた」(清水氏)

清水氏が前職のSansan時代にカスタマーサクセス部門に携わっていた経験もあり、リフカムでは初期からカスタマーサクセス(CS)に力を入れていてきた。年間の解約率は10%未満とのことで、現在もCSドリブンで新たな機能や施策が生まれているという。

採用から組織作りまでを一気通貫するHRサービスへ

今回の資金調達を踏まえて、リフカムではアルバイト採用領域を中心にIT業界以外への展開をさらに進めていくほか、リファラル採用の運用支援体制の強化も引き続き進めていく。

そしてその先には新たなサービスや機能を加えることで、リファラル採用システムを超えて組織作りまでをサポートするシステムへ拡張することを構想しているという。

「リファラル採用を推進していると中には今すぐ転職することは考えていない人もいる。そのようなタレントをデータベース化できるものなど、さらに川下のサービスも作っていく。もともと『採用を仲間集めに』をミッションに、リファラル採用を通じて良い会社を作るサポートをすることが目的。RefcomeやRefcome Engageに新サービスも加えることで組織作りまでを一気通貫でできるようにすることで、ミッションの達成を目指したい」(清水氏)

Twitter、写真とニュースの検索で”bisexual” が除外されたのは「エラー」と釈明

人の性的区別を表す単語が除外されるのは差別の一形態とも考えられ、この用語に関連する画像やニュース記事の検索が意図的に禁止されるというのは恐ろしい状況だ。

どうしてこれが起きたのか理由はまだわからないが、事故ではないと確信する人たちもいる。

TwitterはTechCrunchに、「早急に解決すべく作業中」であり、状況が「わかり次第」続報すると言った。本稿執筆時点でまだ問題は続いている。

この除外問題は、性的区別の名称にのみ影響していると思われることにも注意されたい。他の攻撃的になりうる単語(使用状況による)、”Hitler” あるいは “Nazi” は除外されていないとTwitterユーザーのGrady Broochは指摘している。

ちなみにTwitterは、あの厄介なロシア製ボット問題も抱えており技術チームが取り組んでいるが、解決のめどは立っていないようだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インキュベイトが100億円の4号ファンド組成、シード期VC輩出視野に50億円の新FoFも同時に発表

独立系VCのインキュベイトファンドは今日、100億円規模となる4号ファンドの組成中で年内にクローズすることをTechCrunch Japanへの取材で明らかにした。2015年1月に組成した110億円の3号ファンドに続くもので、3号のスタイルを踏襲して、シード投資と、それに続くフォローオン投資をしていく。4号ファンドの出資者(LP)は事業会社のほか政府系機関、金融機関を含む。

インキュベイトファンド、ジェネラル・パートナーの和田圭祐氏(左)と村田祐介氏(右)

 

3号ファンドのファンドのパフォーマンス(収益性)が良いことから、4号ファンドの投資スタイルも「既存産業の変革を支援するもの」(インキュベイトファンド、ジェネラル・パートナー和田圭祐氏)を中心としていく。ただ、これまで変革のカギがスマホだったところは「コネクテッドな産業領域に広がってくる」(和田氏)といい、これまでゲームやメディア、SaaSなどネットで完結してた事業領域が「ネットの真ん中から染み出している。その染み出し方が深くなる。そこにゼロイチにこだわってシードから投資していく」(同)という。

これまでのFintechやシェアリング、電力系スタートアップなどへの投資に加えて、現状で市場が存在しないものの、もしあれば大きな伸びが見込まれる宇宙やMR、ドローンといった研究開発先行型の領域にも踏み込む。すでに3号ファンドでも月面資源開発事業のispaceや今年LINEが買収したバーチャルホームロボットGateboxのウィンクルなどへの投資実績がある。

ファンド・オブ・ファンズの取り組みを切り出し、新ファンド「IFLP」を始動

インキュベイトファンドでは4人のジェネラル・パートナーが対等なポジションで投資・運用をしてきた。それに加えてファンド資金の一部を若手VCに任せて子ファンドとして運用する、いわゆる「ファンド・オブ・ファンズ」(FoF)の取り組みも行ってきた。TechCrunch Japanの資金調達の記事でも何度も出てきている、プライマルキャピタルIF Angelソラシード・スタートアップスなどは若手VCによるインキュベイトファンドの子ファンドだ。それぞれ元本のリクープも見えていたり、大きなリターンを出してキャリー(キャピタルゲインに比例してVCが得る成功報酬)を得ている若手VCもいる。

これまでインキュベイトファンドでは、こうしたFoFの仕組みで17本(33億円)のファンド、10人以上のVCを輩出してきたという。

このFoFの取り組みを切り出して、新たに50億円規模のファンドとする「IFLP」を年始にも開始する。IFLPには9人のジェネラル・パートナーを置き、それぞれにIFLPから5億円を出資する。各ジェネラル・パートナーは自らの裁量で外部LPから引っ張ってきた資金を足して最大10億円のファンドとして投資を行うことになる。

シード期投資ができるジェネラル・パートナーが日本には圧倒的に足りていない

ベンチャーキャピタルのファームは、戦略コンサルなどと同じでパートナーにならない限りは下積み。伝統的な組織型VCはパートナーになるまで何年もかけて組織階層の中で出世するモデルだったが、もともとインキュベイトファンドは金融系VCから独立した4人のパートナーが運営している「パートナー型」のフラットな形態。「アソシエイトには、いずれ辞めてもらう前提で入ってもらっている。最低3年、最長5年と言っている」(インキュベイトファンド、ジェネラル・パートナー村田祐介氏)というスタイルだ。一人前になったらファンドレイズ(ファンド組成のために事業会社や金融機関から出資を募ること)をやって独立しろ、ということだ。

ただ、駆け出しの若手VCにとっては、ファンドレイズはもちろん、ファンド管理業務やLP報告業務など「重たい」タスクが多い。だから、そうしたVC共通の業務についてはFoFならインフラを共有することで、より多くの若手VCが育つ土壌を用意する。初号ファンドを立ち上げるタイミングくらいの若手VCのプラットフォームを作る、というのがインキュベイトファンドがIFLPを開始する理由だという。

インキュベイトファンドの前身となるインキュベイトキャピタルパートナーズを1999年に設立した赤浦徹氏は、シード期のゼロイチのフェーズで投資ができるジェネラル・パートナーを日本に増やしたいとの思いが強く、米国などスタートアップ先進国と、VCの質でも量でも差が開くばかりだという焦りがあるという。「1人のVCがピカピカの起業家10人を送り出せるとすると、ジェネラル・パートナーを増やしたほうが経済波及効果が大きいのではないかと思っています」(村田氏)

VCの多くは、経営や事業創造の手助けをする、いわゆる「ハンズオン投資」を行うが、インキュベイトファンドではシード期や、シード以前から事業アイデアについて起業家に近い目線で強力な支援を行うスタイルで知られている。

いま日本のスタートアップ界隈では資金が集まりすぎで、スタートアップ企業の数が足りていないと言われている。ただ、起業家が足りないというのは現実である一方、その理由としてVCが起業家となるべき人に出会って事業化の構想を一緒に考えるようなシード投資が少ないという面もある。昨今数も量も増えているCVCはシード期でのリスクを取りづらい。日本でも成功した起業家たちによるエンジェル投資が増えているが、それでも人数的にも金額的にも足りてないのが現状だ。こうした中、立ち上がるIFLPの取り組みがスタートアップ・エコシステムに果たす役割に注目が集まりそうだ。

若手VCによる丁寧なハンズオン型投資でシードのディールを増やす

インキュベイトの4号ファンドも含めて、日本のVCファンドの規模が大きくなっている結果、1回あたりの投資金額、いわゆるチケットサイズが大きくなっている。このためシード期の小さな投資領域が、いまの日本でエアポケットように空いてしまっている、というのが村田氏の見立てだ。本当は2、3000万円あればプロダクトを2回くらい作り直してキャッシュフローを作るところまで行けるチームがあるのに、そこへのシード投資が足りていない。インキュベイト3号ファンドの子ファンドによる出資は、そうした領域において、新しい市場やトレンドに敏感な若手VCが素早く投資して成長させるモデルがうまく行っている。中長期の継続投資になる研究開発型へ本体ファンドが踏み出すのと対をなすかのように、IFLPによる9つの子ファンドにより小回りの効くシード投資の領域もカバーしていくことになるかっこうだ。

ファンドへ出資するLPから見ると、FoFの仕組みは「ゲートキーパー」の役割も果たすことなるかもしれない、と村田氏は指摘する。小さなファンドに対して少額出資する判断を事業会社や機関投資家が個別にやるのは困難だ。多数の子ファンドを束ねた親ファンドであれば、機関投資家が資金を入れやすい。

インキュベイトファンドは、前身となるインキュベイトキャピタルパートナーズの1999年の設立以来、累計300億円以上の資金で300社以上のスタートアップ企業へ投資している。また、創業期に近い起業家と、日本のVCを繋ぐ場としてシードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp」を2010年から運営をしている。

“波動”を打って闘うARスポーツ「HADO」開発のmeleapが3億円を資金調達、海外へ本格進出

ストレスがたまってイライラ、もやもや……ああ、こんなときに“波動拳”や“かめはめ波”が打てたらいいのに!と誰しも一度ぐらいは思ったことがあるのではないだろうか。今はいい方法がある。手からビームが出せて、しかも体を思い切り動かして、誰も傷つけずにストレス解消になる、AR(拡張現実)技術を使ったスポーツ「HADO」がそれだ。

HADOを開発するmeleapは11月6日、総額3億円の資金調達を実施したと発表した。引受先はインキュベイトファンドDBJキャピタルと、SMBCベンチャーキャピタルが運営するファンド。

meleapは、2014年1月の設立。KDDI ∞ LABOの第7期に参加し、2016年5月に開催されたSlash Asia 2016では、ファイナリストに選ばれ、PR TIMES賞を受賞している。2017年8月には、インキュベイトファンドが開催するシードアクセラレーションプログラム「Incubate Camp 10th」で総合1位を獲得した。

HADOは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)とアームセンサーを装着して、3 on 3(または2 on 2)で競い合うゲームだ。手から繰り出した「エナジーボール」を相手プレイヤーにぶつけ、敵のライフを削りながら得点を重ね、勝利を目指す。相手からのエナジーボールを防ぐ「シールド」をジェスチャーで作り出して、防御することもできる。

対戦は、プレイヤー以外の観戦者も映像で楽しむことができる。下の動画は、meleap創業者チーム(CEOの福田浩士氏・CAOの新木仁士氏)と投資家チーム(インキュベイトファンドの和田圭祐氏・DBJキャピタルの河合将文氏)による競技の模様だ。

meleapでは、HADOを国内外のショッピングモールやテーマパーク、レジャー施設などにフランチャイズ展開している。PvP型でなくモンスターを倒すタイプのゲーム「HADO MONSTER BATTLE」、「HADO SHOOT!」などのシリーズを含めると、常設店舗は世界9カ国、25店舗、プレイヤー数は延べ60万人に及ぶ。12月には、昨年開催された第1回大会に続き、最大6カ国からの選抜チームが集う世界大会「HADO WORLD CUP 2017」も東京で開催される。

今後さらに海外展開を加速させたいmeleapでは、調達資金により、アメリカ・ロサンゼルスとマレーシアのクアラルンプールに支社を立ち上げ、店舗開拓と顧客サポート体制の強化を目指す。またHADO以外にも、ARを使った新競技の開発を進めていて、来年のリリースに向けて開発体制の強化も行っていくという。

サウジのアルワリード王子ら汚職容疑で逮捕――テクノロジー・ビジネスに衝撃

サウジアラビアで反汚職キャンペーンの一環として王族少なくとも11人を含む多数の富豪が逮捕されたことが昨夜(11/05)報道された。この中には投資家として世界的に著名なアルワリード・ビン・タラル王子(Prince Alwaleed bin Talal)も含まれており、ビジネス界に大きな衝撃を与えたことは間違いない。

アルワリード王子は大型投資会社、キングダム・ホールディング・カンパニー(Kingdom Holding Company)のオーナーであり、世界でもトップクラスの大富豪として知られている。同王子はNews Corp.(ただし大部分の大部分の株式を売却)、Citigroup(1991年から株式所有)、衛星テレビ網に加えて多数のテクノロジー企業の大口株主でもある。

アルワリード王子とキングダム(王子が95%を所有)は2011年に初めてTwitterに投資した。これはTwitterが2015年に上場する2年前で、出資額は3億ドルだった。アルワリード王子はその後Twitterにさらに5000万ドルを投資し、持ち分を拡大している。昨年はTwitterの最大の株主の1人となっていた。

2013年にキングダムは中国のネット通販業、JD.Com(京東商城)の株式の2.5%を買収した。翌年JD.ComはNasdaqに上場し、株価はほぼ2倍になった。

アルワリード王子は昨年末、ライドシェアリンングのLyftにも投資している。これはLyftへの初期の投資家、Andreessen Horowitzとピーター・ティールのFounders Fundが所有していた株式の一部を購入したものだ。

また2015年3月、アルワリードらキングダムのトップはSnapのCEO、Evan Spiegel、同社の最高戦略責任者、 Imran Khanと投資の可能性をめぐって会談したことを発表した。ただし数か月後、キングダムに近い筋は「アルワリード王子はSnapに投資する予定はない」と語っている。

New York Timesの記事によれば、今回の逮捕は現サルマン国王の息子で最高顧問でもあるビン・サルマン皇太子への権力集中を図るためとみられる。サルマン国王は逮捕の発令に数時間先立って皇太子をトップとする反汚職委員会の設立を命じたとされる。

英国のTimesによればリヤドのリッツ・カールトン・ホテルは一時的に閉鎖された。これは逮捕された王族を収容するためのようだ。また王族らの国外逃亡を防ぐため自家用機専用空港も閉鎖されている。

昨年、アルワリード王子はビル・ゲイツが主唱し、ウォーレン・バフェットが賛同した「個人資産の大部分をチャリティーに寄付する」というGiving Pledgeに参加した。これに参加した富豪にはSalesforceのCEO、マーク・べニオフ、Airbnbの3人の共同ファウンダー(Brian Chesky、Joe Gebbia、Nathan Blecharczyk)、Intuitのファウンダー、Scott Cookらが含まれる。Timesによれば、サウジアラビアの反汚職委員会がアルワリード王子の個人資産(320億ドル)を差し押さえるかどうかは現在不明だ。

サウジ内外でMBSという呼び名で知られるモハメッド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子は2015年にサルマン国王が即位し、サルマン王子を新たに皇太子に任命して以後、長兄らと激しい権力闘争を繰り広げきた。Washington Postによればリヤドはゲーム・オブ・スローンズのような空気に包まれているという。32歳になるサルマン皇太子は「サウジを近代化して救うかもしれないが、崖から突き落とすかもしれない」とささやかれているという。

先月リヤドで開催され、ピータ・ー・ティールらが参加した投資フォーラムで、MBSは「サウジアラビアを穏健なイスラム国家に戻し、〔1979年のイラン革命以前の〕有力な地位を取り戻ねばならない」と語った。

またサルマン皇太子は「サウジアラビア国民の7割は30歳以下だ。彼らは今後30年も過激主義者の下で暮らしたくないと考えている」と述べた。

4月にはサルマン皇太子はVision 2030と呼ばれる経済改革のロードマップでサウジを代表する国営企業、アラムコ(Aramco)を上場させて株式の5%を売り出す計画を発表した。アラムコ株の販売は当初サウジ国内市場向けとなるが、少なくとも1箇所の外国の証券取引所に上場される。昨日、トランプ大統はアラムコの上場についてニューヨーク証券取引所(NYSE)を選んでもらいたい」とツイートした。トランプ大統領は「これはアメリカにとって重要だ!」としている。【略】

画像:Jordan Pix/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


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暇つぶしプロジェクトがスター・ウォーズになるまで:littleBits成長の歴史

多くの魅力的なスタートアップたちと同様に、littleBitsもその歩みはサイドプロジェクトとして始められた――何の期待もなく、ベンチャーキャピタルへ早々と駆け込むということもなかった。暇つぶしのためのちょっとした試行錯誤のようなものだったのだ。MITを卒業したばかりのAyah Bdeirは、会社の萌芽が見え始めた当時は、ニューヨーク市の建築デザイン会社I-Beamのフェローだった。

 Bdeirはマンハッタンの広々とした貸オフィスの一角に腰をおろしながら「それは決して製品化や会社化を狙ったものではありませんでした。私がやっていたちょっとしたプロジェクトに過ぎなかったのです。私はそれを、2009年のMaker Fairに持ち込みました」と説明した。「小さなプースで私1人だけで、やって来た友人たちに見せていたのです。そうしたらあっというまに人だかりができて、子供たちが遊ぼうと行列を作り始めたんですよ。私は、子供たちに刺激を与え、学ぶことに興奮する力を与えることのできる本当のチャンスに気が付いたのです」。

ニューヨークのチェルシー地区にあるLittleBitsのオフィスには活気が溢れている。同社はその急速に成長するビジネスに対処するために2014年にこの場所に移動してきた。しかしそれからおよそ3年を経て、既にオフィスのキャパシティは限界に達しつつある。ある意味、良い時期に良い場所で始めることができたのだ、なにしろlittleBitsは、KickstarterとIndiegogoがSTEM玩具で溢れ、主要な玩具メーカーたちがことごとく子供たちにプログラムを教えようとし始める数年前に、ドアに足を滑り込ませることができていたのだから。

初めは大人向け

しかしスタートアップの成功は良いタイミングだけで決められるわけではない。Bdeirは、同社を設立する丸3年前の2011年には、同社のモジュラービルディングブロックをあれこれと工夫し始めた。最も初期の段階では、同社の製品の中核をなす部品である「bits」たちは、プロトタイプ用途に向けてデザインされていた。ハードウェアスタートアップをゼロから立ち上げることが、徐々に容易になりつつあるこの時代の中で、Bdeir自身は、発明家たちのビジョンを実現することを助ける、強力なツールを手がけているのだと考えていた。

「デザイナーたちはこれまでテーブルと椅子を作ってきましたが、それがDVDプレイヤーのデザインとなり、そしてコーヒーメーカーやスマート家電をデザインするようになっているのです」とCEOは説明する。「そうした人たちは電子回路のプロトタイピングを行なう必要があります。元々はlittleBitsはプロトタイピングのためのツールだったのです。子供たちのためのものではありませんでした」。

おそらくそれは市場への回り道だが――しかし重要な違いなのだ。こうしてlittleBitsは大人のデザイナーのためのツールとして始まった。それが意味することは、この製品は子供向けに企画を練り上げる委員会方式によってデザインされたわけではないということだ。Bdeirがもともと想定していた顧客を構成するデザイナーたちは、電気技術者やプロのプログラマーではなかったことは事実だが、生み出されたコア製品は、多くの子供用の製品に見られるような、簡略化されたものではなかったのである。

すべての年齢へ

しかし予想していなかった対象層の変化にも関わらず、littleBitsのコア製品はその最初のコンセプトからほとんど変化していない。過去6年の間に、スタートアップは提供する部品を拡大し、コンテンツ会社や教育プログラムとの多くのパートナーシップを行って来た。しかしBdeirがその卒業後の多忙でなかった期間に生み出した部品群は、今でもlittleBitsの中核をなしている。

「これはEasy-Bake Oven(子供用のクッキーオーブン)ではありません」と、彼女は微笑みながら説明した。「それは子供だましのものではありませんし、過度に単純化されてもいないのです。使いやすくされた実際のエンジニアリングそのものなのです。8歳の子供でも、あるいは実際のエンジニアでも、bitsとのやり取りは同じです。変えたのはマーケティングでした。変えたのは私たちがそれについて話す方法でした。つまり、これを使って次の発明をプロトタイプできますと言う代わりに、格好いいものや、ロボットを作れるよと言うことにしたのです」。

同社の成功を支えたのが、オープン性の取り込みだ。製品そのもののオープン性はもちろん、それが対象としている顧客に対してもオープン性を担保している。前者について言えば、同社は可能な場所では互換性を提供している。これが意味するのは、LEGOのような一般的なビルディングブロック向けのアダプターを販売したり、Minecraftプレーヤーを対象とした拡張キットを作成したり、そのキットをIFFFTやScratchのようなプロトコルで制御できるようにすることが可能だ、ということだ。

希望のレイ

参加者の巻き込みに関しては、Bdeirは彼女が会社の「隠れたミッション」と呼ぶものを引用した。それはlittleBitsを通して、女の子たちをエンジニアリングとプログラミングの世界へと連れ出すというものだ。もちろん、同社はこれまでにそのミッションを否定したことはないが、旧来は若い男の子たちに向けられていたそのカテゴリーに対して、特別に女の子たちを対象にしたキットを作り出したこともない。その代わりに、その製品は特にジェンダー中立となるようにデザインされている。明るい色や手書きの文字は、STEM教育への足がかりに興味のある誰にでも、アピールするようにデザインされているのだ。

そのミッションは、littleBitsの最新の製品――小さな会社にとって変革の可能性を秘めたあるパートナーシップにまで及んでいる。2016年に、同社はディズニーのアクセラレータープログラムに参加するチャンスを与えられた。例えばこれまでこのプログラムは、子供に焦点を当てたスタートアップのSpheroを、電子玩具カテゴリーのフォースとして確立する役を果たしたりしている。2015年には、スマートフォンで制御される単なる目新しい製品を、BB-8のリリースによって、映画と提携した最高にホットな商品へと変身させたのだ。

「私は3人の同僚を連れて、この夏ロスアンジェルスで過ごしました」とBdeirは言う。「ディズニーとのミーティングを通して、さまざまな部門、クリエイター、キャラクターアーティストたちと一緒に、私たちが一緒にできることを見つけようと、多くの時間を費やしました。私たちが最高の組み合わせだと思ったのが、スター・ウォーズでした」。

LittleBits自身もロボットを所有していたが、結局このニューヨークの会社は、世間が親しみを感じている方を選んだのだ。littleBits Droid Inventor Kitは、12月公開の「スター・ウォーズ最後のジェダイ」に先行して、フォースフライデー(9月1日金曜日)に各社から一斉にリリースされた様々なグッズの中の1つである。その中核にある同社のお馴染みのシステム(30個の部品から構成される)を使って、若いクリエイターたちは、不変の人気を誇る歩行ドロイドのR2-D2を、自分で組み立てることができる(「ドロイド」はスター・ウォーズの中でロボットの代わりに用いられる呼称)。

「スター・ウォーズ製品に着手したとき、私たちは単なるロボットではなく、ドロイドといういうアイデアの扉を本当に開いたのです」とBdeirは言う。「外装シェルは透明ですから、内部を見ることができます。そして、それをカスタマイズして、靴下を並べ替えるドロイドや、兄弟を守るドロイドや、食事を運ぶドロイドといった異なる機能を与えることが可能なのです」。

Bdeirによれば、新しいスター・ウォーズは、littleBitsに「隠されたミッション」を現実にする力を与えたということだ。「私たちは(女主人公の)レイをメンターとして使います。彼女は不要なものを取り除き、問題を解決し、様々な工夫を重ねる人(ティンカラー)です。彼女があなたの旅のメンターなのです」。

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(翻訳:Sako)