LinkedIn、動画投稿機能を一般公開――将来的にはライブ動画、動画広告も導入か

ソーシャルネットワークの世界では動画の重要性がますます高まっている。FacebookやTwitterをはじめとする各サービスが、トラフィックの獲得やエンゲージメント率の向上、さらにはテレビ業界の高額な広告料を狙って動画機能の拡充に努めている。Snapchatにいたっては開発時点から動画をサービスの中心に据えてきた。

Microsoft傘下のLinkedInもようやくその仲間に加わろうとしている。本日(現地時間8月22日)同社は、iOS・Androidアプリ経由で動画をアップロードできる機能を全ユーザーに対して公開すると発表した。

彼らの狙いは、進行中や完了したプロジェクト、製品デモなど、仕事の様子を動画でユーザーに共有させることだ。その様子はSnapchat系以外のソーシャルサイトの動画機能とよく似ている。動画に興味を持っているものの何から手をつければいいかわからないというユーザーに向けて、説明書まで準備されている(Snapchatとは大違いだ)。

実は今回発表された機能は全く新しいものではない。LinkedInは今年に入ってから対象を絞って動画投稿機能をローンチし、その結果は彼らの願い通りだった。動画コンテンツはそれ以外と比較して20倍以上もシェアされやすいということがわかったのだ。それ以前にも、同社は昨年インフルエンサーによるQuora風のQ&Aサービスがローンチしており、厳密な意味で言えばLinkedInは既に動画コンテンツの分野に足を踏み入れていた。

そう考えると、動画投稿機能の一般公開はようやくという感もあるが、5億人のLinkedInユーザーにとっては、流行りに乗り切れないLinkedInというのはそこまで驚くべきことではないのかもしれない。

これまでも同社は、比較的動きが遅いソーシャルサイトとして知られていた。「LinkedIn」と「ようやく(finally)」という言葉を組み合わせてGoogle検索してみれば、TechCrunchだけでなくさまざまなメディアで、同社がモバイル(AndroidiPadへの対応、さらにはモバイル・ウェブ版の統一)やコミュニケーション・シェア機能の拡充新興国への進出といった波に乗り遅れてきた様子が報じられているのがわかる。

なぜ動画機能のローンチにここまで時間がかかったのかという質問に対し、同社の広報担当者は「私たちはユーザーが仕事に関連したコンテンツを制作・シェアする手段の拡充に注力してきた。パブリッシングツール同様、動画機能の導入にあたっては、現状のコンテンツの投稿、共有、発見フローを変えず、さらにユーザーエクスペリエンスを向上するような形になるよう試行錯誤を繰り返した」と語った。

何はともあれ、ようやく動画機能がローンチされたことで、今後同機能がどのようなプロダクトへ進化していくのか、そしてこれまでにローンチされた機能や将来的に開発予定のものとどのようなシナジーを生み出していくのかに関して興味が湧いてくる。

そこでカギになるのがライブ動画だ。

今年LinkedInはFacebok Liveのプロダクトマネージャーを務めていたPeter Roybalを密かにチームに迎え、今後彼が動画ビジネスを率いていく予定だ。Roybalの上司は、LinkedInが去年買収したRun HopというスタートアップのファウンダーPete Daviesで、彼は現在LinkedInのコンテンツ・パブリッシング機能全体を管轄している。ソーシャル界の雄Facebookのライブ動画配信プラットフォームを管理していたRoybalの参画により、LinkedInが今後動画機能をどのような方向に導こうとしているのかある程度予想がつく。

会社のプロフィールページ、教育サービス、採用支援、プロフェッショナルネットワークといった、LinkedInがこれまでに構築してきたサービスとライブ動画の相性の良さは言わずもがなだ。

教育分野に関し、LinkedInはLynda.comを15億ドルで買収した後、LinkedIn Learningと呼ばれるサイトをローンチし、従業員向けの教材を探している企業や個人に向けてオンラインコースを提供している(さらに現在は個別指導機能のテスト中)。

これらの分野では、文字ベースでやりとりできる機能が付いた一対多数配信、そして一対一のビデオチャットの両方が有効活用できる。

特に長年LinkedInの収益の大部分を担ってきた採用ビジネスにおける一対一ビデオチャットの有効性(企業や求人の宣伝、候補者の面接など)は明白だ。

(ちなみに現在Microsoftが運営しているSkypeとLinkedIn間のコラボに関する話は全く聞かないが、Skypeも面接用のプラットフォームを開発中との噂を耳にしたことがある。Microsoftは本件に関するコメントを控えているが、既に企業の面接でSkypeが広く利用されていることを考えるとこの動きには納得がいく)

「ライブ動画やビデオチャットを利用することで、サービスに全く新しい側面が加わるため、将来的な可能性としては興味を持っている」と広報担当者も語っている。

その他に近い将来LinkedInが動画を活用するであろう分野としては、広告や企業動画が挙げられる。

企業動画の配信に関しては「近日中にローンチ予定」と広報担当者は話しており、別の情報筋によれば、企業動画はプロフィールページ以外にも掲載されるようになるとのこと。これに関連し、LinkedInはハッシュタグを使ってコンテンツが検索できるページ(例;#TED2017)を改良中で、今後このページが動画の拡散に使われることになるだろう。

上述の機能やサービスは全て、何のためにLinkedInが動画に力を入れはじめたのかということに繋がってくる。その目的は、ずばり広告だ。

Facebook、Twitter、Snapchat、YouTube、Yahoo/AOL/Oathといった企業が既に気づいた通り、今日のデジタル広告界では動画こそが王様だ。LinkedInも動画コンテンツを充実させることで、動画広告に近づける。

「現時点では動画広告は掲載しておらず、今はエクスペリエンスの向上やユーザーからの情報収集に努めている。しかし動画広告の導入は自然な流れであり、将来的なプランとして検討中。今のところ具体的な計画はないが、さまざまな可能性を模索していきたい」とLinkedInは語った。

多くの可能性が広がっていると同時にゴールが見えづらい動画ビジネスだが、LinkedIn(そしてMicrosoft)の次なる狙いであることは間違いないようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

Walmart、Googleと音声ショッピングで提携――Amazon Alexaの独走に“待った”

本日(現地時間8/23)WalmartとGoogleは、音声アシスタント「Google Assistant」を通じた音声ショッピングに関するパートナーシップを結んだと発表した。今後消費者は、WalmartのEasy ReorderサービスとGoogle Express(Googleの宅配サービス)を併用し、何十万種類もの商品をスマートスピーカーに話しかけるだけで購入できるようになる。

さらにこのパートナーシップを受け、GoogleはGoogle Expressの会費を廃止し、サイトに登録されている各小売店の最低購入金額さえ満たせば、商品を1〜3日間で無料配送すると決めた。

これまでは月額10ドル(年額95ドル)の会費が設定されていたGoogle Expressにとって、これはかなり大きな変化だ。現在のところ同サービスでは、TargetやCostco、Kohl’s、Bed Bath & Beyond、PetSmart、Staples、Toys R Us、Walgreensなど大手小売店から、ファッション、家庭用品、ハードウェア、パーソナル・ヘルスケア用品、スポーツ用品、化粧品といった幅広いカテゴリーの商品を購入できる。

しかしGoogleは、会費のせいでGoogle Expressのユーザー数が伸び悩んでおり、特に音声ショッピング普及の障害になっていると考えたのだ。

「メンバーシップ制がだんだんとサービスの障害になってきていた」とGoogle Express担当GMのBrian Elliottは語る。「モバイルユーザーに対して、4.99ドルの配送料を支払うかメンバーになるかというオプションを説明するのは簡単だが、それでもユーザーにはいくばくかの負担がかかってしまう。しかし、さらにそれを音声だけで伝えるとなると、かなり難しいということがわかった」

なおGoogle Expressの利用者数や、同サービスを通じた売上額について、Googleはコメントを控えている。

これまでWalmartはGoogle Expressには参加せず、自分たちでオンラインの注文を処理していた。今年に入ってからは、(Amazon Primeとは違い)35ドル以上の商品を購入した全顧客に対して、無料の2日間配送さえ行っていた。

しかしGooge Assistantとの連携で、Walmartは音声操作という自社にはないテクノロジーを利用できるようになった。

音声ショピングこそが小売業界の未来だと考える専門家もいる。例えばRBC Capital Marketsは、音声ショッピングからの売上やプラットフォーム収益によって、Alexaは2020年までに100億ドルもの収益をもたらすことになるだろうと予測している。

もしもそうだとすれば、Walmartもその波に乗らないわけにはいかない。

そしてスマートスピーカーの分野でAmazonと肩を並べる主要プレイヤーといえば、Googleしかいないのだ(AppleのHomePodはまだ出荷が始まっておらず、サードパーティーアプリのサポートに関する計画も発表されていない。またMicrosfotのCortanaを搭載したスピーカー有力な対抗馬とは言えない)。

WalmartでEC部門のトップを務めるMarc Loreは、「(音声ショッピングは)未だ黎明期にある。しかし過去2年間でAI技術が発達し、今後の方向性が見え始めてきた」と音声ショッピングの野望について語った。

「将来的には音声認識テクノロジーの精度が桁違いに向上し、消費者のニーズを理解してそれに応えられるようにさえなるだろう。これによりショッピング・エクスペリエンスは大きな変化を遂げることになる」と彼は付け加えた。

Google ExpressとGoogle Homeの連携は今年の2月から既にスタートしており、Walmart以外の小売店も音声ショッピングに対応している。

しかしEasy Reorderサービスのおかげで、Walmartでは他社よりも簡単に音声ショッピングを楽しめるようになっている。というのも、Easy Reorderはオンライン・オフライン両方の購入履歴をベースに、個々の利用者の好みを理解しているのだ。例えば、いつも使っているブランドや商品のサイズ、さらには直近の購入日や頻度までEasy Reorderには記録されている。

そのため、実際に商品を注文するときは、「OK、Google」からスタートし、「ピーナッツバターを注文して」や「ピーナッツバターを再度購入」「ピーナッツバターを買って」「Walmartからピーナッツバターを買って」といった感じでGoogle Homeに話しかけるだけで済む。

購入しようとしている商品が35ドル(無料配送のための最低金額)以上であれば、2日以内の配送を希望するかどうか聞かれ、35ドル未満であればWalmartのカートにその商品が自動的に追加される(カートへはGoogle HomeとGoogle Expressのアプリからアクセス可能)。そしてカート内の商品の合計額が35ドルを超えた時点で支払いを促されるという仕組みだ。

まずはEasy Reorderにフォーカスしたサービスが提供される予定だが、音声ショッピングの分野で今後Googleとさらに協力関係を深めていこうとしているWalmartは、Googleとのパートナーシップという側面を強調している。

来年からは生鮮食品の音声注文も受け付ける予定で、ユーザーは予め袋詰された商品を実店舗で受け取ったり、家まで配達してもらったりできるようになる(受け取りオプションはユーザーの居住地域によって異なる)とのこと。さらに、顧客の好みや購買習慣に関するデータが集まるにつれて、システムがさらにスマート化していく可能性もあるとWalmartのLoreは言う。

Walmartのモバイルアプリ内にあるEasy Reorderの画面

「音声サービスが普及するにつれて、更なるパーソナライゼーションが要求されるようになり、結果的に各消費者の求めるものがそのままオススメ商品として表示されるようになるだろう」と彼は話す。「まだまだ実現には時間がかかるが、その可能性には大いに期待している」

Google ExpressおよびGoogle HomeとWalmartの連携は9月末からスタート予定だ。

まずはGoogle Homeだけが対象になるが、Elliottはその他のGoogle Assistant搭載デバイスも順次Walmartでの買い物に使えるようになると語った。

しかし、スマートスピーカー市場におけるAmazon優位の現状を考慮すると、WalmartはAlexaとも連携しないと、かなり大きなのチャンスを逃すことになりそうだ。ある予測によれば、今年中にはAmazonがスマートスピーカー市場の70%を占め、2020年までに1億2800万台ものAlexaデバイスが稼働することになるとさえ言われている。

そこでLoreに、WalmartがAlexaとも連携する可能性があるか尋ねたところ、彼はただ「No」とだけ答えた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

イーロン・マスク、SpaceX謹製宇宙服の写真を公開

SpaceXが有人飛行時に採用しようとしている宇宙服の写真を、イーロン・マスクが公開している。Instagramに公開されたこの写真は、モックアップのものではないとのこと。完全に動作する本物の宇宙服の写真なのだそうだ。通常の運用圧力の倍の圧力下でのテストも行ったものなのだそうだ。

マスク曰く、外観と機能のバランスを取るのが非常に難しいとのこと。従来の宇宙服と比較すれば、明らかに外観を意識したファッショナブルなものになっているといって良いだろう。ボーイングが、最初の有人商用ミッション用に予定している宇宙服と似ている面もある。両者とも、従来のものにくらべてより身体にフィットするようになっている。しかしSpaceX製のもののほうが、さらにスリムでファッショナブルになっている。

Instagram Photo

ちなみにこの宇宙服は、SpaceXの内製品だ。ボーイングが宇宙服開発を専門にするDavid Clark Companyに依頼しているのとは異なるやり方だ。コスト削減やサプライチェーンの管理のためにさまざまな製造工程を内製化しているSpaceXにとっては、これも当然のやり方であるといえるだろう。

マスク曰く、より詳細な情報を公開する予定であるとのこと。全体を写した写真などもまもなく公開されるのだろう。ところで、この宇宙服デザインをもとにした普段着などを作ってくれても面白い。個人的にはぜひとも入手したいと思っている。

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(翻訳:Maeda, H

Googleは企業のChrome OS機採用を促進するためエンタープライズサービスのワンセットChrome Enterpriseをローンチ

Googleは、Chrome OS機の採用を考えている大企業のための新たなエンタープライズサービスをローンチする。そのChrome Enterpriseと呼ばれるサブスクリプション(会員制サービス)は、一機につき年間50ドルで、基本的にはChromebooks for Workの別名のようなものだが、サービスの内容は増えている。名前にChromeがあってもそれはChromeブラウザーのことではなく、あくまでもChrome OSである。エンタープライズのChromeユーザー向けにはすでに、Chrome Enterprise Bundle for ITというものが用意されている。

Chrome OS機のユーザーのためのChrome Enterprise会費制サービスの呼び物は、既存のオンプレミスのMicrosoft Active Directoryのインフラストラクチャと完全互換であることだ。担当ディレクターのRajen Shethによると、この件はChrome OS機を採用しようとする企業にとって長年の障害だった。しかしChrome Enterpriseでは、ユーザーはそれまでの認証情報を使ってChrome OS機にログインでき、自分たちのGoogle Cloudサービスにアクセスできる。そしてITアドミンは、彼らのデバイスとサービスへの、彼らのアクセスを管理できる。

なおChrome OSのアドミンは前からすでに、SAMLスタンダードを使ってChrome OS機へのシングルサインオンを有効にできるサービスなら、有効にできていた

それに加えて企業はこれからは、彼らがすでに使っている同じエンタープライズモバイル管理ソリューションから、自分たちのChrome OS機を管理できる。まず最初は、VMwareのAirWatchからだ。そのほかの同様のサービスも、今後追い追いサポートされる。

このChrome Enterpriseのライセンスでは、ITアドミンが自分たちのユーザーのための、管理サービス付きのエンタープライズアプリストアをセットアップできる。この機能は目下ベータで、Chrome OSのAndroidアプリを動かせる能力にフォーカスしている。この能力は、多くのエンタープライズが使っているChrome OS機のほとんどで利用できる

さらに好都合なのは、Chrome Enterpriseの会員になると24/7のエンタープライズサポートや、OSの管理つきアップデート、プリンターの管理などが提供される。プリンターのところで笑った読者もおられるかと思うが、プリンターはいまだに、多くの会社で重要なのだ〔文書やコミュニケーションがデジタル化/ネット化されていない〕。

周知のように今のGoogleは、なりふり構わず多くの企業を自社のクラウドサービスの顧客にしようと努力している。Chromebookはすでに、リテールや教育の分野で、稼げるニッチを見つけている。それをさらに一般的な企業分野に拡大していくためには、たとえば今回のAirWatchとの統合のような機能が、ものすごく必要とされていたのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マニュアル作成サービス「Teachme Biz」運営が9000万円を調達、シリーズB調達額は3.3億円に

スタディストは、写真や説明文を追加するだけで簡単に業務マニュアルが作成できるクラウド型マニュアル作成・共有プラットフォーム「Teachme Biz」を提供している。本日スタディストは記者会見を開催し、総額約9000万円の資金調達を発表した。引受先はちばぎんキャピタル、横浜キャピタル、三井住友海上キャピタルだ。同時に千葉銀行と四国銀行との業務提携も発表している。

スタディストは、2017年5月9日にSalesforce Venturesから、続く6月26日に総額1.2億円をリクルートホールディングス、日本ベンチャーキャピタル、三菱UFJキャピタルから調達した。今回の発表を含め、2017年内に実施した3回の資金調達の総額は3.3億円になったとスタディストは説明している。

Teachme Bizの導入企業は1500社以上になり、32.6%は地方のユーザー、とスタディストの代表取締役を務める鈴木悟史氏は話す。スタディストでは今後さらに地方の企業にリーチしていき、全国展開を進めるという。今回、地方銀行と業務提携を実施した目的は、地方企業との接点を持つためだ。千葉銀行と四国銀行との業務提携では、両行が地元企業に対してTeachme Bizを紹介するビジネスマッチングを実施するという。

また、海外展開も進める計画だ。すでにマレーシアでは現地資本の回転寿司店での導入事例もあるという。海外展開の戦略について鈴木氏は、まずASEANに進出する日本企業にTeachme Bizを訴求していき、その後ベトナムやインドネシアなどでもサービスを広めていきたいと話す。

Teachme Bizの開発面では、単にマニュアルの電子化ツールに留まらず、「業務を動かすプラットフォーム」になるための機能を追加すると鈴木氏は説明する。Teachme Bizではすでに管理者がマニュアルと共に、特定のユーザーにタスクを配信できる機能を実装した。

この「タスク配信機能」では、従業員がマニュアルを開封したかどうかや、タスクを処理したかどうかといった進捗も確認することが可能だ。この機能で例えば、チェーン展開する本社の担当者は、各店舗の担当者に陳列のマニュアルとタスクをTeachme Bizで配信し、現場に行かずとも各店舗の進捗を確認できるようになる。

今後、タスクが完了するまでにかかった時間や成果を撮影した写真をアップロードする機能なども提供予定だ。タスクとマニュアルの両方を必要な人に配信することで、職場がより効率的に作業を実施できるようにしたいと鈴木氏は話している。

楽天が米スタートアップと組んで、ドローン空域管制プラットフォーム「楽天AirMap」をローンチ

空港の管制官は、航空機が他の機体などに接近、衝突しないようパイロットに指示を出し、空の安全を守っている。楽天AirMapでは、ドローンの飛行においても空港の管制官と同じように空の安全を守るためのシステムを提供したい考えだ。本日楽天AirMapは、ドローンが安全に飛行するためのUTM(無人航空機管制)プラットフォームの提供を開始した。

AirMapは2014年12月にカルフォルニアで設立した会社で、ドローンの空域管理ソリューションを提供している。2017年3月、AirMapは楽天と合弁で楽天AirMapを設立し、今回日本でのサービス提供に至った。

AirMapは米国でドローン操縦者や関連事業者、開発者向けにいくつかサービスを展開している。ドローン操縦者には空域の飛行要件を確認し、安全な飛行ルートを計画するためのアプリを提供している。

空間管理者ダッシュボードのイメージ

 

土地を所有・管理する自治体や大学、空港などの空域管理者向けには、管轄内のドローンの飛行状況を把握できるダッシュボードを開発している。空域管理者はこのダッシュボードからドローンの飛行を承認したり、ドローンの運行者にSMSや電話で直接連絡することが可能だという。現在125カ所以上の空港および空域管理者が、AirMapの空域管理者向けツールを利用していると楽天AirMapは説明している。

また、ドローンメーカーやアプリ開発者向けにはUTMプラットフォームのAPIやSDKを用意している。

今回楽天AirMapでは、まずドローンメーカーやアプリ開発者向けの機能を提供していくという。ドローン開発者はこれらのAPIで飛行禁止や制限エリアといった情報の取得やフライトプランの作成、フライト中のアラートの受信、フライトログの生成の機能を活用できるようになる。今後、ドローン操縦者や空域管理者向けにサービスを広げていく計画、と楽天AirMapは説明している。

2014年12月に設立したAirMapは、2015年7月のシードラウンドで260万ドル、2016年4月のシリーズAで1500万ドルを調達した。2017年2月、2600万ドルを調達したシリーズBラウンドではMicrosoft Venturesをリードインベスターを務め、楽天やソニーなども参加している。

Salesforceの第二四半期決算報告を見ると年商100億ドルがいよいよ現実的に

今年早くからSalesforceは、同社の年商が100億ドルに達すると予想された。そしてどうやら、今後とくに問題なければ、実際に100億に達するようである。

Salesforceが今日(米国時間8/22)発表した第二四半期の決算報告によると、売上は25億6000万ドルで、EPSは33セントとなった。どちらも予想を上回ったが、株価は時間外取引でやや下げた。今年は一貫して、驚異的な上げ潮続きだったから、すこし引いたという感じだ。今年の1月以降これまでの上げ幅は36%近かったが、今日の決算報告後では約3%下がった。

Salesforceはこのまま行けば年商100億に乗りそうだが、人びとが注目しているのは年後半のDreamforceカンファレンスだ。そこでSalesforceはいくつかの新製品を発表するだろうし、同社のAIシステム“Einstein”に関する詳しい報告もあるだろう。Salesforceは、ネットを利用するCRMツールの元祖だが、最近ではもっと若くて小さい競合企業の成長が著しい。

そこで同社は、製品を現代化して今後も先頭を走り続けようとしている。その現代化には、企業がワークロードを機械学習を利用してダイエットしていくためのツールなどが含まれる。機械学習は今、エンタープライズソフトウェアの分野にも入り込みつつある。その方面ではSalesforceがとくに積極的で、これからはカスタマーサービスのツールを半日で作れる、とまで豪語している。SalesforceはCRMサービスのAI化を、今後も強力に推進していくつもりのようだ。

同社はデベロッパーが自分のアプリケーション開発のために利用するAIのAPI(EinsteinのAPI)を、すでに提供している。そこで今年の後半に関しては、ウォール街ですら、同社がそのサービスをAI利用でますます自動化していくこと、そしてそのための一連の新製品がカンファレンスで発表されることを、期待しているのだ。

そのウォール街の予想では、Salesforceの第二四半期のEPSは32セント、売上は25億1000ドルだった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

楽天出身・出張手配サービスのAIトラベルが4000万円を資金調達、法人向けサービスも開始

出張が決まったとき、地図アプリ、乗換案内や航空会社サイトの時刻表、ホテルや航空券の予約サイトなどを駆使してプランを決め、交通手段を確保し、最適な場所と価格のホテルを予約するのは、楽しいという人もいるかもしれないが、なかなか手間がかかることは間違いない。「AI Travel」は、国内外への出張時に、出発地と目的地、行き帰りの日時と、大体の宿泊予算を入力するだけで、AIが最適なホテル・飛行機・新幹線を調べてくれて、そのまま予約までできる出張手配・予約・管理サービスだ。

このサービスを提供するAIトラベルは8月23日、旅費の申請・精算機能や、部門やプロジェクトごとの経費の一元管理・分析機能を追加した、AI Travelの法人向けサービスの提供を発表、申し込み受付を開始した。法人向けサービスでは、海外出張時のビザの手配代行やリスク管理のサポート、主要な会計ソフトへのデータ入力などにも対応するという。AIトラベルは法人サービスでは、出張者の手配効率の向上だけでなく、総務・経理の業務の自動化・効率化による管理コストの削減、出張経費の可視化も図れる。「TechCrunch Tokyo 2016」のスタートアップバトルでファイナリストにも選ばれている

また同日、AIトラベルはプレシリーズAラウンドとして、ジェネシアベンチャーズベンチャーユナイテッド、TLMを引受先とした総額約4000万円の第三者割当増資を実施したことも明らかにしている。

サービス開始当初から、出張の多いビジネスマンにとっての利便性もうっていたAI Travel。だが実際にユーザーへのヒアリングを進めていくと、「予約のプロセスが楽になっても、出張者の多くは(会社のルール上の)申請フローにおける雑務に対してまだ不満を強く持っているということが分かってきた」(AIトラベル代表取締役の藤原由翼氏)という。また同時に、出張者を管理する総務・経理部門にも課題感があった。

「上司からは業務効率の改善やコスト削減を依頼され、現場からは面倒なプロセスに対する不満が出たり、出張報告書の依頼や経費精算に関するやりとりでのストレスなどがあったりする。もっと効率的にできるはず…と思っても最適なサービスが分からないという意見が多かった」(藤原氏)

実際藤原氏が法人向けの旅行サービスを調査したところ、観光向けサイトに多少の機能が追加されただけ、もしくは逆に多大なコストのかかる大規模なシステムしかなかったのだという。

「米国ではトラベルマネージャーという出張管理を専門とした役職があり、インハウスで雇っている例が多いことも分かりました。既存のプレイヤーのように旅行代理店として予約を増やすことを目的とせず、企業の出張を(まるで優秀なトラベルマネージャーがいるかのように)適切にマネジメントできるサービスを目指しています」(藤原氏)。トラベルマネージャーは、実際経費削減や業務改善といった観点まで含めて出張を管理する。AI Travelも単なる代理店機能でなく、そこまでの機能を提供したいという。すでに、月間50〜100件程度の出張が発生する会社を中心に試験的な導入も行っている。

AIトラベル代表の藤原氏は楽天出身で、インキュベイト・ファンドのデザインフェローを務めた後、2014年に起業した。今回の調達資金により、サービス開発と運営体制をより一層強化する、としている。

HPのゲーム用ハイエンドラップトップOMEN XはCPU, GPU, RAMがオーバークロックをサポート

HPは最近、本格的なゲーム用パソコンを作り始めている。ぼくがレビューを書いたラップトップOMEN 17や、Maingearのキューブ型デスクトップなどは、その好例だ。でもOMENシリーズの最高のハイエンド機と言えるOMEN Xに関しては今日(米国時間8/22)やっと、新シリーズが2機種登場した。

OMEN Xの新しいラップトップは、15インチと17インチの2機種だ。どちらもNVIDIA G-Syncを搭載し、オプションでオーバークロックされたNVIDIA GTX 1080グラフィクスカードを使える。RAMやSSDの増設など、面倒な拡張をやりたい人は、Philips製の専用ドライバーを使って自己責任でパネルを開けること。

ぼくの唯一の、個人的な不満は、Intel Coreの第八世代が載ってないことだ。どんなに新しくてテスト不十分でも、やはりゲーム機のチップは最新世代を使いたいね。

ベースモデルは1999ドルで1080のディスプレイ、RAM 16GB、HDD 2基(256GB/1TB)、そしてCore i7-7700HQプロセッサーだ。オーバークロックできるCore i7-7820HK搭載機もある。もちろん、お高い。

そのほかの仕様は、この種のハイエンド機として予想どおりだ。プログラマブルでバックライト付きのメカニカルキーボード、各種揃ったポート、そしてGPUとRAMのオーバークロックがサポートされている。

OMEN Xラップトップは11月にHPとパートナーのサイトから直販で発売される。お値段は1999ドルからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftがディープラーニングを超高速化するFPGAシステムBrainwaveをベンチマーク結果と共に発表

今日(米国時間8/22)の午後Microsoftは、クラウド上で遅延のほとんどないディープラーニングを動かせるFPGAベースのシステム、Brainwaveを発表した。初期のベンチマークによると、IntelのStratix 10 FPGAsを使った場合Brainwaveは、大きなGated Recurrent Unit(GRU)の上でバッチなしで39.5 Teraflopsを維持できる。

MicrosoftはこれまでFPGAに注力し、FPGAの大きなクラスターを同社のデータセンターでデプロイしている。アルゴリズムはFPGAに書き込まれ、高い効率を得るとともに、プログラムの書き換えを容易にしている。FPGAのこのような専用化により、機械学習、とくにそのための並列処理が効率化される、と期待されている。

これらの成果を踏まえてMicrosoftは、FPGA中へ専用プロセッサーDPU(Dataflow Computing Unit)ないしDNN(Deep Neural Network)プロセシングユニットを合成した。このようにディープニューラルネットワークにフォーカスすることによってMicrosoftは、そのインフラストラクチャを研究のニーズに応じて高速化し、リアルタイムに近い処理を提供できる、と期待している。

FPGA自体はレトロな技術だが、最近ではその開発対応の素早さが見直されている。FPGAに取り憑かれているかのようなスタートアップMipsologyは、Amazonと密接に協働して、Amazon Web Servicesやそのほかのプラットホームでその技術を使えるよう、努めている。

これまでの数十年間が汎用CPUとその進化の過程だったとすると、最近の数か月は汎用の逆の、特定のタスクに秀でたカスタムチップに開発の主力が移行している。そして中でもとくにその注力が厚いのが、機械学習のための専用チップだ。

いちばん知名度が高いのが、GoogleのTensor Processing Unit、TPUだ。このチップはTensorFlow向けに最適化され、初期のベンチマークは将来有望と見なせる結果だった。しかしそのほかの主要テクノロジー企業も、その多くがサイドプロジェクトとして未来のコンピューティング、量子チップやFPGAなどに取り組んでいる。そして大企業がそうなら、スタートアップもそのゲームに参加しようとする。RigettiMythicWaveなどが、そんなスタートアップの例だ。

BrainwaveがMicrosoft Azureの顧客にいつから提供されるのか、それはまだ不明だ。現時点でこのシステムは、人気の高いGoogleのTensorFlowと、MicrosoftのCNTKに対応している。同社はこの技術を利用して、ディープラーニングのパフォーマンスを画期的に向上させるつもりだから、今後もさまざまなベンチマークが相次いで発表されることだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

米法務省、反トランプサイト訪問者のIPアドレス提出要求を取り下げる

米国法務省(DOJ)は、大統領就任式に向けた「反トランプ」サイト訪問者のIPアドレス提出要求を取り下げた。これはDreamHostの勝利と言える。同社は先週、disruptj20.orgの閲覧者を危険であるとしてそのIPアドレスを要求したDOJをプライバシー侵害であると非難し、世間の注目を集めた

法務省は裁判所への回答の中で、DreamHostの所有する問題のIPアドレス130万件の情報は、元々存在を知らなかったと主張し、対象外とするよう要求を修正した。またDOJは裁判所に対し、非公開ブログ記事のテキストおよび写真は除外するよう依頼した。

「政府が知らなかったのは…2017年1月20日の暴動の計画、組織、および参加者に関する捜査に必要な情報以上の閲覧者データをDreamHostが保持していたことだ。DreamHostが数多くのプレスリリースや反対表明で言及している130万件のIPアドレス関連情報に、政府は一切関心がない。捜査の焦点は宣誓供述書に書かれている暴動に絞られている。」

書簡によると、政府は捜査令状の範囲を超える情報は除外する意向だが、DraeamHostは捜査令状そのものが「不適切」であるとしてこの問題についての対話を拒否している。法務省は、捜査令状が合法であるという立場を貫いている。「DreamHostの主張に反して、捜査令状は『現政権の反対派を見つけるため』に使われるためのものではなく、今後使われることもない」と裁判所宛ての書簡に書かれている。

一方、DreamHostは計画通りに行動するつもりだ。DreamHostは、”Narrowing the Scope“[範囲を狭める]と題したブログ記事で、これはプライバシーの勝利であると祝いつつ、今週裁判所で予定されている、「この令状が提起した憲法修正1条および4条の問題」の議論に向けて準備を整えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nintendo SwitchでPayPalが使えるようになった

Nintendoは、Nintendo Switchでeショップの買い物をする際の支払い方法に、新たなオプションを追加した。今日(米国時間8/22)から、ユーザーはNintendoアカウントにPayPalアカウントをリンクすることが可能になり、PayPal残高あるいはPayPalアカウントにリンク済みの支払い方法を使って買い物ができるようになる。

このアップデートはSwitchのみが対象で、Wii UやNintendo 3DSをまだ使っている人は残念ながら使えない。これで次回Switchを使って何かを買う時は、クレジットカード情報を登録するか、登録済みのクレジットカードを使うほかに、PayPalアカウントを追加することができる。

新たなオプションが特に便利な理由はいくつかある。第1に、Switchはリージョンフリーのゲーム機であり、これはほかの国で買ったゲームでも自分のSwitchでプレイできることを意味している。

しかもNintendoの対応は物理的ゲームに留まらない。コンソールを米国で買った人でも、eショップで日本のゲームを買える。あるいは、ヨーロッパに住んでいても米ドルで支払うことができる。他国のストアを利用できることがうれしい理由はいくらでもある。

別のストアを利用したいときは、Switchに新しいアカウントを追加する必要がある。そうすることで様々なストアでゲームを買うことができる。購入したゲームはSwitchのホーム画面に表示され、どこで買ったかによる区別はない。

しかし、銀行によっては海外取引の手数料を高くとるところがある。PayPalは完璧ではないものの、ユーザーの銀行によっては、海外通貨でゲームを買うのに便利だ。

第2に、子供のいる人にとってPayPalはありがたい選択肢だ。クレジットカード番号を子供のゲーム機に保存するかわりに、子供用にPayPalアカウントを作っていくらかの金額を入金しておける。そうすることで、子供たちは自分の好きなものを買えて、親は金額の上限を設けることができる。

PayPalのSwitchとの統合は、日本、米国、カナダおよび欧州31か国で利用できる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

生鮮食品配達のBlue Apron、IPO後の株価下落で集団訴訟の恐れ

Blue Apronには息をつく暇もないようだ。食品通販サービスを提供する同社の株価は6月下旬のIPO時点から半分近く下がり、訴訟問題にまで発展しようとしている。

現在複数の弁護士事務所が集団訴訟の準備を進めており、彼らはBlue Apronが株価に影響を及ぼす重要な情報を開示していなかったと主張しているのだ。

具体的な内容としては、顧客維持、配送遅延、広告費の削減が焦点となっている。現地の法律事務所Bragar Eagel and Squireの主張は次の通りだ。「1)Blue Apronは2017年Q2に広告費を大幅に削減し、将来的な売上・利益をないがしろにした 2)Blue Apronは食材セットまたは一部食材の配送遅延で顧客維持に難航していた 3)ニュージャージー州リンデンに新しく設立された工場の稼働状況に問題があり2017年Q2にも配送遅延が発生していた」

Bottini & Bottiniという別の法律事務所も同様の内容で訴訟手続きを行った。こちらの原告はRustem Nurlybayevとなっており、以前Alibabaを訴えたのと同じチームのようだ

先述の事務所以外にも同じ内容の申し立てをしているところがいくつかあり、Googleで検索するとかなり数のウェブサイトがヒットする

Blue Apronに近い情報筋によれば、まだ原告を募集しているものもあるという。

先述の問題に加え、Blue Apronが上場する数週間前にWhole Foodsの買収を発表したAmazonの存在も、株価の急落に大きく関係していると言われている。買収発表後、多くのメディアがAmazonの食品通販サービスへの参入可能性について報じていた。そういう意味では、IPO時に株を購入した投資家は、少なくともAmazonの動きによる株価下落の可能性については事前に把握できていた。

業績の思わしくない企業が株主から訴えられるというのは珍しいわけではない。英語では”stock-drop challenges(=株価下落に伴う困難)”という呼び名がついているくらいだ。2012年に上場したFacebookも、IPO後に連日株価が下がったことを背景に訴訟問題を抱えていた(結局その後同社の株価は爆発的に上昇した)。最近で言えば、Snapの株主も同社がSnapchatのユーザー数を偽って公表していたと訴えていた。ロサンゼルス連邦地方裁判所に訴状が提出された本件では、Snapがユーザー数を偽ったことで株価が下落したという主張のもと、賠償金とクラスアクションの認定が求められている。

「このように、株価が下がるとすぐに弁護士が出てくる」とIPO ETFを運用しているRenaissance Capital社長のKathleen Smithは語る。

さらにSmithは、このような問題を「株主による抵抗」と呼び、通常和解に至るケースが多いと話す。原告が勝訴するためには、企業が重要な情報を偽り、かつ原告がそれを信用して株式を取得したと証明しなければならず、実証が難しいことがその理由だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

YC 2017年夏学期デモデー1日目、50チーム一挙紹介

Y Combinatorの第25回のデモデーがスタートした。2017年夏のYCクラスには124社が参加している。YCでは毎年2回、夏と冬のクラスの卒業イベントが行われるが、今年の夏学期は12年6ヶ月の歴史の中でも参加チームの数が最大となった。内容はバイオテックからAIまで最近のテクノロジーのトレンドを反映したものとなっている。

YCのパートナー、Michael Seibelはイベントの冒頭の挨拶で「われわれはシリコンバレーにおけるダイバーシティーを前進させることに全力を挙げている と述べた。今回のクラスではファウンダーの12%が女性で9.5%がアフリカ系ないしラテン系(latinx *)だった。

こうしたパーセンテージはかなりの期間にわたって安定しているものの、YCは世界各地からスタートアップを受け入れている点で賞賛されるべきだろう。ひとつにYCのStartup Schoolがオンラインであるため国際的にスケール可能だという点がある。 今回は28%のスタートアップがアメリカ国外発だった。

Pykaは個人用自動飛行機をデモ。Y Combinatorのデモデーはカリフォルニア州マウンテンビューのコンピューター歴史博物館で開催された。

これまでのYC卒業生にはAirbnb、Dropbox、Stripeなどの著名企業に加えて、最近ではTwitch、Instacart、Coinbaseなどが含まれる。シリコンバレー内外からマウンテンビューに集まった投資家はどんなスタートアップが登場するか大きな期待を寄せている。

デモデーは2日にわたって開催されるが、以下は1日目に登場した50社だ。〔スタートアップのデモ内容についてはTechCrunchが注目するトップ7チームを訳出。他はチーム原文参照〕


Zendar – 悪天候下でも自動運転を可能にする高精細度レーダー

Zendarは自動運転車向けの高精細度レーダーを開発している。現在の自動運転車は車両が置かれた状況を認識するにあたってLidarと通常のレーダーに頼っている。レーザーを用いたLidarは精度が高いが悪天候下では能力が大きく低下する。レーダーは悪天候でも能力が落ちないが精度が悪い。Zendarは悪天候下でも高い精度で環境を認識できる機械視覚テクノロジーを開発している。これによりあらゆる天候下で実用可能な自動運転の実現が目的だ。Zendarによれば、向こう3年間で1000万台の自動運転車が製造されるという。Zenderは自社のテクノロジーができるだけ多くの市販車に採用されることを期待している。

Image via Sombre Lidar

Meetingbird – 企業チーム内におけるスケジュールの調整と最適化

TechCrunch記事.

Thematic – レビュー、調査記事のテキストを分析しテーマに対する評価を認識する

PullRequest – コード・レビューのマーケットプレイス

PullRequestは企業とコードレビューができるフリーのプログラマーを仲介するマーケットプレイスだ。プログラマーは企業で作成されたコードに問題点がないか調べ、副業とすることができる。PullRequestではAmazon、Facebook、Dropboxなどトップクラスのテクノロジー企業で働いた経験があるプログラマーをリクルートしている。優秀なプログラマーを揃えたことで、PullRequestには450社からの関心が集まっている。実際にサービスを利用するのはこのうちの一部ではあるが、
PullRequestはすでに通年換算で13万6000ドルの売上を得ている。同チームがターゲットしている市場ではスタートアップとFortune
500クラスの大企業を合計して400億ドル相当のコードレビューが行われている。PullRequestのビジネスの秘密はレビューを迅速、正確に実行するためのシステムの自動化にあるという。

Helium Healthcare – アフリカにおける医療記録の電子化

Darmiyan– アルツハイマー症を最大発病前15年で早期予測

Roofr – 衛星画像を利用した屋根の吹き替えの費用見積もり

CashFree – インドにおける支払い自動化

Skyways – 垂直離着陸できる大型輸送用ドローン

Mystro – Uber、Lyftなどのドライバーの業務を効率化し利益の増大を助ける

TechCrunch記事.

10 By 10 – 人材リクルートのためのマーケットプレイス

Honeydue – カップルのためのフィナンシャル・プランニング

TechCrunch記事

D-ID – 顔認識からプライバシーを守るテクノロジー

Life Bot – 誰でも簡単に使える音声対応アプリ

TechCrunch記事

Modular Science – ロボット農業

イーロン・マスクは人工知能に反対らしいが、Modular Scienceではロボットが野菜を栽培できるようにしたいようだ。このスタートアップではカリフォルニア州ペチュラで実際に野外テストを実施中だ。向こう半年以内に独自の農業ロボットを用いて野菜生育のプロセスの99%をロボット化するのが目標だという。
Modular Scienceでは1エーカー(4046平方メートル)あたり2000ドルの料金を考えている。同社によればこれは現在農家1「が労働者に支払っている賃金の半額だという。

Audm – オーディオコンテンツのサブスクリプション

TechCrunch記事

GameLynx – 次世代のモバイルeSport

Gopher – An app platform atop email

メールが好きな人間はいないが、われわれの多くは毎朝メールを開いている。Gopherではメールをベースにした自動化が簡単に実行できるプラットフォームを提供する。たとえば着信したメールの内容をSalesforceや会議の日程調整アプリに転送したりできるようになる。着信メールに対してフォローアップを返信する同チームの最初のメール拡張機能は1万3000の月間ユーザーを獲得している。また300人のデベロッパーがこのプラットフォームを利用するために登録している。いちいちメールを開き、別のアプリに送って処理するというわずらわしいことをする代わりにGopherでは必要な作業すべてをメールの着信トレイ内で済ませることができるようにする。


70 Million Jobs – 犯罪記録保持者の就職を助けるサービス

May Mobility – 都市部における自動運転交通機関

TechCrunch記事

Flock – Wi近隣の安全を守るワイヤレス・セキュリティー・システム

Indivio – ビデオ広告のA/Bテスト・システム

Relationship Hero – 人間関係の悩みを専門家が解決

ShiftDoc – ヘルスケア専門家向けマーケットプレイス

Dropleaf – インディー・ビデオゲームのためのNetflix的サービス

Sunu – 視覚障がい者のためのソナー式ブレスレット

Wildfire – 大学当局の承認を受けたキャンパス掲示板

OncoBox – 後期がん患者のための抗がん剤治療の決定を助ける

VergeSense – 建物、施設の管理をAIで効率化

Pyka – 個人用自動飛行機

Pykaは「一人乗り自動操縦飛行機」で空飛ぶ自動車の夢を実現しようとしている。同社はすでに重量180kgで30m以下で離着陸できる自動飛行機を製作している。規制当局により有人飛行が許可されるまでには膨大なテストが必要なのでPykaではニュージーランドに空中播種ビジネスのための会社を設立している。この会社では毎時600ドルの料金を得つつ有人飛行が許可されるために必要な飛行時間を蓄積中だ。ただし空中播種自体もアメリカで15億ドルの規模であり決して小さいビジネスではない。ZeeやGoogle Waymoなどに先駆け、Pykaは個人向け自動飛行のパイオニアとしての地位確立を狙っている。

Fastpad – インドにおける求人プラットフォーム

Gustav – 小人数の企業のための人材サービス

Forever Labs – 個人の幹細胞を利用した老化防止テクノロジー

Forever Labsでは老化に基づく疾患が生じた際、治療のために利用できるようユーザーの幹細胞を冷凍保存して将来に備えるシステムを開発している。幹細胞はネズミにおける実験では寿命を平均16%延ばす効果が認められている。しかし老化に伴って幹細胞の有効性は減少する。Forever
Labsでは現在20人の医師がこの治療を提供しているが、来年までにアメリカ全土の主要都市にサービスを拡大したい意向だ。同社によれば、幹細胞銀行は560億ドルの市場があるという。

TechCrunch記事

Ubiq – エンタープライズの遠隔会議のための画面共有システム

Airthium – 水素圧縮によるエネルギー蓄積システム

UpCodes – ビル建設におけるコンプライアンスを助けるサービス

TechCrunch記事

Cambridge Cancer Genomics – l血液検査による抗がん剤治療のモニター

HelpWear – 医療器具認定レベルのウェアラブル心臓モニター

Net30 – 建設作業員への支払いの迅速化

TechCrunch記事

Guggy – テキストメッセージをユーモラスなGIFに変換

Escher Reality – 拡張現実のデータ処理バックエンド

現実世界をARテクノロジーによって拡張するためには、正確なデータが必要だ。Escher Realityはユーザーのスマートフォン・カメラのビデオ・データを処理し、現実世界の中に位置づけることによりデベロッパーがARを作成することを助ける。Facebook、Appleも独自のARプラットフォームを開発しているが、EscherチームではiOSとAndroidを通じてデベロッパーがARアプリを開発できるようにする。すでに600人デベロッパーが待機リストに登録しており、ゲームスタジオその他の企業10社からも問い合わせを受けているという。また大ヒットしたロボットが登場する映画、『パシフィック・リム』のARアプリに利用する契約も結ばれている。Escher RealityがデバイスやOS独立にARを提供できるプラットフォームとなるなら多くのデベロッパー、ユーザーにとってAR世界への好都合な入口となるだろう。

TechCrunch記事

Carrot Fertility – 企業保険加入者の不妊治療を助ける

Feather – ミレニアル世代向けスタイリッシュ家具のレンタル

TechCrunch記事

Prism IO – 消費者のサービス離脱を防ぐ

PayFazz – インドネシアにおける銀行を経由しな支払いサービス

TechCrunch記事

Sixty– オンデマンドのウェブアプリ・サポート・プラットフォーム

Totemic Labs – 高齢者向け安全サポートシステム

Peergrade – 教師に生徒のフィードバックを伝え評価作業を助ける

Kestrel Materials – 温度に反応して特性を変える繊維

SMB Rate – スモールビジネスの信用格付けによりローンを得やすくするサービス

〔日本版〕* latinx スペイン語では名詞に性があるためは男性、女性双方に用いられるlatinxという新語が作られている(まだ利用者はさほど多くない)。なお、 1日目にデモした50社のうち、内容紹介を訳出した7社は次の記事と同じ。Check out TechCrunch’s picks for the top 7 startups from YC Demo Day 1

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

全ゲノムのサービスプラットフォーム「GENOMIC EXPLORER」が正式ローンチ、運営元は5000万円を調達

ゲノムスタートアップのAWAKENSは8月21日、総額約5000万円の資金調達を実施した。今回のエンジェルラウンドに参加したのは500 Startups Japan、エムスリー、日本医療機器開発機構、エンジェル投資家の鎌田富久氏、西野恒五郎氏(マーソ代表取締役)、北野 宏明氏(ソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長)、その他複数の個人投資家だ。

AWAKENSは2017年1月にサンフランシスコに設立し、コンシューマー向けの「GENOMIC EXPLORER」と法人向けの「GENOME LINK」の2つのサービスを準備している。GENOMIC EXPLORERは米国でベータ版を先行リリースしていて、米国時間8月22日に正式版をリリースした。日本では今年秋以降に提供を開始する予定だ。

コンシューマー向けのGENOMIC EXPLORERは自身の全ゲノムデータを見える化し、ゲノムデータの網羅的な解釈情報へのアクセスするためのサービスだ。

自身の全ゲノム情報を取得するにはGENOMIC EXPLORERで遺伝子検査キットを注文するか、あるいはすでに米国の遺伝子検査サービス23andMeAncestry.comを受けたことのあるユーザーはその検査結果をアップロードして利用することもできる。ただ、23andmeやAncestry.comの検査は全ゲノムの解析ではないので、一部のデータしか閲覧できない。

GENOMIC EXPLORERの特徴は全ゲノム配列の生データを見たり、世界中の論文から自分のゲノムのどこにどのような傾向が出ているか調べたりできる点だ。また、レポーティング機能では、自分が朝型か夜型なのかや体質的に不足しやすい栄養素、味覚、性格の傾向などを知ることができる。

現在、数万円で受けられる遺伝子検査は複数あるが、そうしたサービスはゲノムデータ全体の0.01%から0.03%程度の配列データでしか解析していないものが多く、遺伝子検査サービスごとに解析結果が異なることもあると共同ファウンダーでCEOを務める高野誠大氏は説明する。

GENOMIC EXPLORERでは、まずユーザーにとって信頼できる情報にアクセスできる場を提供し、ユーザーが自分のゲノムについて知りたいことを調べ、理解できるようにしたい考えだという。ただ、最終的にAWAKENSが目指しているのはゲノムのビジュアライズツールに留まらず、「ユーザーがそのデータを他のサービスで活用できるプラットフォームになること」と高野氏は説明する。

現状では、全ゲノムの遺伝子検査は十数万円程度かかるが、今後5年から10年でその費用は数万円台まで下がることが見込まれている。そうなれば、ほとんどの人が人生のどこかの時点で自身のゲノムデータを取得し、そのデータを例えば、医療、ヘルスケア、フィットネス、教育サービスなどで活用するようになると高野氏は考えている。それは例えば、ユーザーが自身のゲノムデータをフィットネスサービスと連携することで、より自分の体質や性格に合ったサービスを受けられるような世界だ。

AWAKENSではそうした未来の実現のために、ユーザーのゲノム情報を個別化サービスに連携するためのB2B事業GENOME LINKを準備している。GENOME LINKは日本で医療やフィットネスといった分野企業とのパートナーシップを進めていると高野氏は言う。

高野氏は前職で医療ベンチャーのエムスリーにおいてゲノムビジネスの新規事業に携わっていた。同社の共同ファウンダーでCOOを務める松田祐太氏もDeNAにて遺伝子検査MYCODEの立ち上げに携わっていたそうだ。全ゲノムデータを用いるサービスは彼らが週末プロジェクトとして始めたものだったが、投資家のサポートもあり起業に至ったのだという。

今回の調達した資金は主にサービス開発と法人パートナー企業との連携構築を進める計画と高野氏は話している。

日本では8月21日に遺伝子検査サービスなどを提供するジェネシスヘルスケアが楽天から総額14億円を調達したとTechCrunch Japanでも報じた。他にもDeNAライフサイエンスやユーグレナの完全子会社となることを発表したGenequestなどの遺伝子検査サービスがある。遺伝子検査が一般的になるほど、その先データをどのように活用するかが重要な部分になりそうだ。

ボニー・タイラーのリバイバルヒットは自然科学的必然

ルイス・フォンシもダディー・ヤンキーも、ボニー・タイラーにはかなわないということか。1983年にリリースされた、ボニー・タイラーの曲がiTunesチャートでトップになったのだ。曲のタイトルは「Total Eclipse of the Heart」だ。これまでトップだったルイス・フォンシの「Despacito」をやぶっての戴冠だ。

もちろん理由はあるし、読者の方もお気づきだろう。アメリカでは皆既日食がおこり、全国的に盛り上がったばかり。目を痛めたり(大統領は大丈夫?)、大渋滞に巻き込まれた人も多かった。そして、曲のタイトルである「Eclipse」とは「日食」の意味なのだ。

ちなみに、ピンク・フロイドの「狂気」(The Dark Side of the Moon)に収録される「狂気日食 」(Eclipse)も、順位こそ25位と低いものの改めて注目を集めている。

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(翻訳:Maeda, H

WalmartがAmazonのアイデアに刺激を受けて、ドローン発着飛行船の特許を申請した

Walmartは、明らかな模倣に見える動きでAmazonへ挑戦しようとしている、ドローンの母艦となる小型飛行船の特許を申請したのだ。

1年前にAmazonが、ドローンを顧客のドアに向けて送り出す空飛ぶ倉庫の特許を取得したことを思い出すかもしれない。Walmartは今、Amazonのアイデアを取り込みたいと考えているようだ。

ブルームバーグが最初に報告したこの特許出願書には、人間が制御するドローンと自律ドローンの両方が配達のために発着することができる複数の発射台を備えて、約150メートルから300メートルの空中に浮遊するWalmartの飛行船が記載されている。

この移動可能な倉庫飛行船は、Walmartにとって土地代と、通常サードパーティ配送会社によって扱われる「ラストマイル」配送コストの両者を節約する役にたつだろう。

この浮遊式倉庫の動きは、買い物客のドルを激しく奪い合う両社による、シリーズ最新版なのだ。Amazonは急速にWalmartの競合相手として台頭しつつある、安価な商品をいち早く、ドアの外に1歩も出る必要なく届けることによって。しかし、Walmartは依然として世界最大の小売業者であり、米国中に根を張った実店舗たちは仮想的「なんでもストア」に比べて物理的な利点を持っている。

しかし機会を見逃さないAmazonは、より多くの顧客を引き込むために、自分自身の物理店舗群の構築を開始した。Amazonは、Whole Foodsの高級小売店舗群を完全に取得するために、137億ドルを支払うことを既に同意しており、更にAmazonFreshを通じて、地元における食料品配送を拡大している。

しかし、Walmartは挑戦に尻込みするような会社ではない。Amazonの配送ビジネスプランに挑戦するための他の計画を携えているはずだ。

Walmartは既に、自動機械を使用したドライブスルーピックアップをテスト中だ。必須アイテムを揃えた飛行倉庫を所有することで、物理的な場所と自動ピックアップ、そして幅広い選択肢を生かした本当にスピーディな出荷を行うことができ、Amazonを出し抜くために必要な競争力を身につけることができるかもしれない。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: BLOOMBERG / CONTRIBUTOR/GETTY IMAGES

啄木鳥(きつつき)のように垂直面にとまれる固定翼ドローンをシャーブルック大の連中が開発

Multimodal Autonomous Drone(S-MAD)(複数の飛行モードのある自律ドローン)は、鳥のように飛べる隠しワザを持っている固定翼のドローンだ。たとえば、屋内や広い空間でグライダーのように飛べるが、しかし垂直な面(壁)に近づくと、歯のようなものを壁に引っ掛けて停止する。これは、あの悪夢のようなBig Dogといい勝負の、世界でもっともキモいロボットである。

S-MADは、マイクロスパイン(microspines, 小さなとげ状突起)と呼ばれるものを使って、自分を粗い面にくっつける。そのとげ状突起は鋼鉄製のスパイクで、それが面の突き出た部分やふくらんだ部分を二方向からつかむ。スタンフォード大学の研究者Hao Jiangは、こう説明している:

“マイクロスパインの二方向からつかむやり方は、人間の手が飲み物のボトルをつかむときと同じだが、人間の手は指を大きく曲げてオブジェクトに巻きつけるのに対し、マイクロスパインは粗い面の微小構造に食い込んで、面のふくらみや凹(へこ)みをつかまえる”。

こういうとげ状突起は、多回転翼のドローンではすでに使われているが、固定翼のデバイスで使われるのはこれが初めてだ。この飛行機は、垂直な粗い面への着陸に失敗したことはまだ一度もなく、それは、こんなドローンにしてはすごいことだ。

この飛行機は、マイクロスパインを利用して壁に平らに張り付き、鳥のようにとまることができる。そしてデータを集めたり、環境をスキャンしたりするだろう。そして帰還の用意ができたら、スパインと翼を開いて大空に飛び立つ。シャーブルック大学の研究員Dino Mehanovic, John Bass, Thomas Courteau, David Rancourt, Alexis Lussier Desbiensらはスパインを固定翼ドローンに付けることを決め、飛行機を空中に静止させ、垂直面にしがみつかせる新しい方法を発明しなければならなかった。鳥なら、簡単にやることなのにね。 彼らのそのシステムは、飛行機を一瞬だけヘリコプターに換えて、壁に張り付くようにした。以下は、Spectrumの記事の一部だ:

これには、いくつかのトリックがある。最初のトリックは、ピッチアップ(機首上げ)作戦だ。それにより固定翼機が一時的にヘリコプターのようなものになり、プロペラだけから浮力を得て(推力重量比1.5)、翼はトルクをキャンセルするに十分な制御面を提供する〔翼がブレーキになる〕。以上により、この無人機は、所望の遅さで(レーザーレンジファインダーで見つけた)壁に接近できる。それによって得られる第二のトリックは、“適切なタッチダウン条件ゾーン”の最大化、である。すなわち接近が十分に遅くて安定しているので、感知能力のある小さなハードウェアで確実に壁にとまれる。そして第三のトリックは、とまり木システムだ。それは脚とマイクロスパインから成り、飛行機の動きにわずかな誤差があっても確実に壁にとまれるだけの柔軟性を確保している。

 

これはもちろん、まだ概念実証にすぎないが、長距離の滑空が恒久的な‘縦とまり’で終わり、そこで高所におけるデータ収集を継続する実用シナリオがありえる。そのデータ収集が終わったら飛行機は壁や崖などの面から外れて、自力で帰還する。空高く舞い上がり、自分の家に向かって滑空するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

May Mobilityは10年の経験をもつ自動運転スタートアップ、来年にも商用運行を開始

May Mobilityは、(米国時間)月曜日に開催されたY Combinatorのデモディに正式デビューを果たした。10年後ではなく、より近い将来に商用車に利用できる自動運転技術に注力している。しかし、このスタートアップは、まだ若い企業でありながら、2007年の第3回DARPAグランドチャレンジ以来自動運転技術に取り組んでいるチームのおかげで、実際には10年の経験を重ねてきている会社だ。

May MobilityはCEOで共同創業者のEdwin Olsonによって率いられているが、彼はかつてFordの自動運転プログラムの主任研究員として働いていた。Olsonはまた、トヨタ研究所で自動走行に焦点を当てた研究の共同ディレクターも務めていた(トヨタ研究所は、ロボットの世界でトップクラスの人々を抱えている)。そして彼はこれまでのポジションであるミシガン大学コンピュータサイエンス学科の准教授を去り、Mayを設立した。

Olsonと共に共同創業者に名を連ねるCOOのAlisyn Malekも、自動運転では優れた経歴を持っている。かつてGM Venturesで働き、そこで彼女は最終的にはGMに買収されたスタートアップCruise Automationを担当し、GM社内での自動運転テクノロジーの自力開発を助けた。Malekは、自動運転技術や製品を宣伝するスタートアップの素人ではない。それゆえに、彼女がMayに参加すると決めたことは大いに宣伝となる。

5月のチーフ・テクニカル・オフィサーであるSteve Vozarも、Fordの自動運転プログラムの元メンバーであり、自動運転の研究に注力しているミシガン大学のAPRILロボット研究室を指導していた。一方、APRILで働いていたOlson研究室出身の研究者たちの多くも、スタートアップに参加している。

スタートアップを支えるチームはアカデミックな専門知識を備えてはいるが、その目的は、自動運転テクノロジーの実世界における実用的な実装だ。5年から10年後におそらく実現可能だとされているものには目を向けず、特に現時点で可能なものに力点を置いている。すなわち、ビジネスエリア、キャンパス(学校や企業)、そしてクローズドな住宅地域のような、ルートがより簡単にマッピングされ、状況が比較的予測可能な場所での車両ニーズを持つ顧客に訴求することを目指しているのだ。

なぜMayのアプローチは他と異なるのかと問われて、Olsonは「私たちはFord、フォード、そしてGMの経験を間近に見て来ています」と説明する。「この領域の他の大企業、例えばWaymo、Zoox、その他のOEMたち同じように、彼らは皆輸送マーケット全てを一体のものとして追いかけています。これは4兆ドルに達するオンデマンド輸送の課題です。自律的Uberのことを考えてみてください。それは素晴らしい課題であり、素晴らしい市場です。しかし私たちはその方向の技術的パスにはより長い年月、少なくとも5年から10年が必要になると考えています。一方その間に、実世界に出ていくことで、成功したビジネスを構築できるだけではなく、R&Dモードで開発を行うOEM企業たちよりも早く行動し、システムを素早く改善することができるようなデータフローや運用のノウハウを手に入れることができる、と私たちは考えているのです」。

これを達成するため、Mayはコアチーム全体としては6番目の主要なスタックとなる、包括的な自動運転テクノロジースタックを作成した。見込み客たちの自動輸送ニーズに合わせて、このスタックは車両にインストールすることができる。May自身は車両を製造していないが、この種の車両サービス用に設計された既存の車両プラットフォームで動作し、その実装は単なるアドオンよりも深く入り込んでいる。

同社はまた、フルフリートオペレーションサービス(車両群の完全運行サービス)を提供することによって差別化を行なっている。Mayは、日々の運行からメンテナンスおよび清掃まで、あらゆることを手がけようとしているので、自動シャトルサービスを提供しようとする者にとっては、フルサービスの垂直サービスプロバイダとなる。

では実際にはいつからこれらの提供を始めることができるのだろうか?May Mobilityは、2018年中のいずれかの時点で最初の顧客との長期的な事業を開始することを目指している。これは今年始めに会社として立ち上がったばかりだということを考えると素早い動きだ。Mayはまた、現在最大4社と来年の2月までにパイロット運行を始める交渉を行なっている。これらは公的並びに私的なエリアをカバーしている。

これまでのところ、MayはMaven、Trucks、そしてTandemなどの投資家たちから約350万ドルを調達している。雇用と業務の成長を助けるために、来年中にはさらに調達を行うことが目標だ。

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(翻訳:Sako)

炭素繊維とガラス繊維を使って鋼鉄よりも強度のある機械部品を3DプリントするMarkforgeのX3とX5

ボストンで3Dプリンターを作っているMarkforgedが、二つの新機種、X3とX5を発表した。どちらも、ふつうのフィラメント方式のプリンティングで、炭素繊維を満たしたオブジェクトを作れる。それらのオブジェクトには、スチール製のオブジェクトを置換できるほどの強度がある。

どちらの機種もレベリングとスキャンニングを自動的に行い、完全に同じオブジェクトをプリントできる。またどちらも、Markforged特製の特殊な熱可塑性ファイバーフィラメントを用い、X5の方は“ガラス繊維フィラメントの連続的供給”を行うので、通常のプラスチックよりも“19倍も強く10倍の硬度のあるオブジェクト”を作れる。つまり同じマシンで実用に耐える部品と実用に耐える工具の両方を作れるし、ガラス繊維のフィラメントのおかげで、それらは使用中に折れたりしない。あるユーザーは、わずか10分で、自転車の車輪の(チューブの)バルブを締めるバルブレンチ(下図)を作った:

次は悪いニュース。X3はたったの36990ドル、X5は49900ドルだ。Markforgedは、“国内の製造業企業”がターゲット、と言っている。良いニュースは、ユーザーのニーズの変化によっては、X3の機能をX5にアップグレードできること。またどちらも、製造業企業がプロトタイプではなく最終製品の生産に使えることだ。しかも、エンドユーザーの現場でも。

“顧客は、特定の部品が必要になったその日のうちに、強度とコスト要件を満たす部品を作れる”、とCEOのGreg Markは語る。

これらのプリンターは、Markforgedが最終的に目指している“物質転送システム”への途上にある。その複雑なスキャンニングと測定システムにより、ユーザーは遠方から3Dプリントのモデルだけを受信し、完全に同じものを自分の目の前に実現する。そのシステムにはフェイルセーフモードがあり、プリントが異常停止した場合にはレーザースキャナーがその原因を調べる。そしてプリンターはその箇所からリスタートする。同社は金属の3Dプリントについても独自の研究開発を行っていて、それにより複雑な機械の複雑な部品でも、実用に耐える強度のものをプリントできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))