デベロッパーが直面する難題、オープンソースのライセンス管理を助けるFOSSAが$2.2Mのシード資金を獲得

Shot of a young programmer working in a dimly-lit office. All screen content is designed by us and not copyrighted by others, and upon purchase a user license is granted to the purchaser. A property release can be obtained if needed.http://195.154.178.81/DATA/i_collage/pi/shoots/783867.jpg

FOSSAは、デベロッパーのために、オープンソースのライセンスの管理という面倒な仕事を助けたい、と願っている。その同社が今日(米国時間2/23)、220万ドルのシード資金の調達を発表した。また、その社名と同名のプロダクトが、今日から公開ベータで提供されることも発表した。

今回の投資はBain Capital Venturesがリードし、Salesforceの会長でCEOのMarc Benioff, YouTubeの協同ファウンダーで元CTOだったSteve Chen, Skypeの協同ファウンダーで元CTOのJaan Tallinn, Clouderaの協同ファウンダーでCTOのAmr Awadallah, Tinderの協同ファウンダーでCMOのJustin Mateen、というオールスターメンバーが参加した。

これらの個人たちは、オープンソースのライセンス管理が重要かつ困難な仕事であることを、十分に理解している人たちのようだ。FOSSAの22歳のファウンダーKevin Wangによると、今時(いまどき)のプログラムは一連のオープンソースおよびサードパーティ製の部品で組み立てられる傾向があるが、しかしその一つ々々に独自の権利要件がある。それらすべてと正しくつき合っていくことはデベロッパーにとって大変な仕事であり、しかも既成のソリューションは乏しい。というか、今はほとんどの人がスプレッドシートを使って手作業でライセンス要件をチェックしている、とWangは述べる。

“今年はすでに2017年だが、私たちは未だに、自分が何を作って何をリリースしたのかをよく知らない。デベロッパーは、自分のコードのコントロールを握っていない”、と彼は語る。

彼のプロダクトはこの問題を、すべてのコードを自動的に分析することによって解決するようだ。そのシステムはライセンス要件を見つけて、問題があれば修復を提供する。追跡のためのツールとしてJiraや、Slackなどを推薦することもある。報告は正しい法律用語で書かれているが、Wangによるとそのためにオープンソースの法務ソフトを利用し、また詳細情報や著作権情報は自動的に生成する。

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写真提供: FOSSA

同社への投資ラウンドをリードしたBain Capital VenturesのマネージングディレクターSalil Deshpandeによると、この分野でエンタープライズ級のソリューションを見たのは、これが初めてだそうだ。“現代のソフトウェア開発のトレンドは、スピードの向上とリスクの増大の両方を抱えている。ライセンス管理の自動化はもはや、あればいいねの段階ではなく、なければ危険の領域だ”、と彼は声明文で述べている。

今やコード中に正しい権利情報が書かれていないと、コードの無断使用で訴えられることすらある。Wangは自分のソリューションが完璧だとは言わないが、開発チームが手作業で正しい完全なコンプライアンスをやるのはほとんど不可能だ、と述べる。一つのソフトウェアが、サードパーティ製のプラグインやライブラリを何百も使っているからだ。“そして結局は、責任を顧客に押し付けることになる。でも私たちは、最小の努力で実現できる、できるかぎりのコンプライアンスを提供していきたい”、とWangは語る。

FOSSAは2014年に創業し、今では10名弱の社員がいる。シード資金は、技術者と営業の増員、そしてマーケティング努力に充てたい、とWangは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

OpenStackの第15リリースOcataはコンテナのサポートをさらに充実、プライベートクラウドの第二の夜明けを目指す

Fibre-optic cables feed into a server inside a comms room at an office in London, U.K., on Friday, Oct. 16, 2015. A group of Russian hackers infiltrated the servers of Dow Jones & Co., owner of the Wall Street Journal and several other news publications, and stole information to trade on before it became public, according to four people familiar with the matter. Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg via Getty Images

今日(米国時間2/22)OpenStack Foundationが、同プラットホームの最新バージョンをローンチする。企業はOpenStackを使って、AWSのようなクラウドコンピューティングプラットホームを自己のデータセンターでプライベートに運用できる。Ocataと呼ばれる今日の15回目のリリースは、前回のリリースからわずか4か月後と早いが、今後は通常の6か月サイクルに戻る。今回とくに早かったのは、Foundationが近くデベロッパーのためのイベントを開催するからだ。短いサイクルなので新しい機能よりも安定性が重視されているが、しかしそれでも、いくつかの新機能を見ることができる。

今やOpenStackは巨大なプロジェクトで、20近いサブプロジェクトで構成されている。もちろんどれもコンスタントにアップデートされているが、今回の新機能で目立つのは、OpenStackにおけるソフトウェアコンテナのサポートがさらに充実したことだ。OpenStackのCOO Mark Collierによると、コンテナプロジェクトは他のプロジェクトよりも進捗が早い。彼によるとOpenStackとGoogle生まれのコンテナオーケストレーションシステムKubernetesの組み合わせは“クラウドのLAMP”みたいなものであり、Kubernetesの人気が高いのはGoogleや特定一社がそれをコントロールしようとせずに、オープンソースのコミュニティにその成長を委ねたからだ、とCollierは語る。

今回のOctaリリースにおけるコンテナサポートの改良は、OpenStackのコンテナによるデプロイをサポートするプロジェクトKollaにKubernetesをより完璧に統合したことだ。それによってOpenStackのデプロイの管理が容易になるだけでなく、アップグレードもよりシンプルな工程になる。そのほかのアップデートとしては、コンテナのオーケストレーションサービスを支えるOpenStackのメインプロジェクトMagnumがMesosphereをより本格的にサポートするようになったことが挙げられる。またOpenStackのコンテナネットワーキングサービスKuryrが、Docker Swarmをサポートする。

OpenStackは明らかに、コンテナエンジンに関してえこひいきはしていない。わずか1年前ですら、コンテナがOpenStackの死を招くか云々という議論がまだあった。しかしそんな不安はいかにも大げさであり、今やコンテナはこのプロジェクトの中核的部分のひとつだ。

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OpenStackの今後に関連してCollierの説では、このところ、企業のプライベートクラウドの見方が変わってきている。OpenStackにかぎらず、最初の世代のプライベートクラウドサービスは、あまり使いやすくはなかった。“今よりもずっと大きなチームを必要としたし、採用もPayPalやWalmartなど超大企業に限られていた。つまりクラウドをプライベートで立ち上げるのは、ふつうの企業には無理だった”。でもCollier説によると、今はプライベートクラウドの第二世代だ。プライベートクラウドを立ち上げるのに、もはや巨大なチームは要らない。それに今では、セットアップを手伝ってくれる企業のしっかりとしたエコシステムがある。

初期には、OpenStackのクラウドをセットアップするために必要なマンパワーの量が大きすぎて、小さなチームでは難しかった。しかしCollierによると、今では費用の面でもプライベートクラウドがAWSなどのパブリッククラウドサービスと十分に競合できる。パブリッククラウドサービスはいろんなオプションなどで費用がかさむことが多いが、OpenStackなどを自前で使えば、持続可能なワークロードを低費用で維持できる。つまり彼の主張では、これからはプライベートクラウドの方がAWSなどを使うより費用効率が良い、というのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

どんなアプリにもメッセージング機能をつけられるLayerが$15Mを調達して対話的機能の充実のためにColaを買収

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どんなアプリケーション/アプリにもメッセージング機能を持たせることができる、というメッセージングプラットホームLayerは、2013年のTechCrunch Startup Battlefieldの優勝チームだが、今日(米国時間2/24)は大きな発表が二つある: シリーズBで1500万ドルを獲得したこと、そして、スタートアップColaを買収したことだ。

Layerを使えば企業は自分のiOS/AndroidアプリやWebサイトに、メッセージングの能力を容易に加えることができる。顧客の中には、Trunk Club, Staples, それにUdacityなどもいる。しかも最近同社はMicrosoftとパートナーして、ダヴォスの世界経済フォーラムの公式アプリにメッセージング機能を持たせた。同時翻訳/通訳つきだ。

一方Colaは昨年ローンチしたテキストメッセージングアプリだが、カレンダーや位置共有、投票、トゥドゥリストの共有、といった対話的機能がある(下図)。LayerのCEO Ron Palmeriによると、Colaの技術はLayerのプラットホームに良く合っている。とくにColaの‘バブル’は、企業と顧客の対話をとてもスムースにする、という。

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Palmeriは曰く、“保険の請求手続きや住宅ローンの申し込みなどは、顧客がやるべきことのステップ数が多くて、日数もかかる。でもそれをメッセージングとColaの‘バブル’でやれば、分かりやすいし、非常に単純すっきりになる”。

そこでColaを買収したLayerは、その機能をWebやモバイルなど、あらゆるプラットホームに実装する。長期的にはメールやSMSへの導入も考えている。ColaのCTO Jeremy Wyldが率いるチームがLayerへの統合作業をやるが、そのほかのCola社員やCEOのDavid TemkinはLayerに加わらない。

買収の価額等は、公表されていない。Colaは過去に、Brad Garlinghouse, Steve Case, Naval Ravikant, Tribeca Angelsなどから130万ドルのシード資金を獲得している。

なお、Colaアプリの開発は継続しないが、それを閉鎖する計画もない。

Layerの新たな資金調達は、Greycroft PartnersがリードしてMicrosoft Ventures, Salesforce Venturesなどが参加した。Palmeriによると、今後のLayerはさらにさまざまな統合に力を入れる。また、そのオープンソースのユーザーインタフェイスフレームワークも改良を続け、人工知能や機械学習など新しい技術も導入していきたい、という。

Layerの調達総額は、2300万ドルになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VRベースのソーシャルプロダクティビティアプリBigscreenがAndreessen Horowitzらから$3Mを調達

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VRの“キラーアプリ”(killer app)*をめぐる議論が喧しい中で昨年は、VRが提供する他に類のない優れたコラボレーション機能を活かそうとするソーシャルアプリがいくつか登場してきた。〔*: killer app, ここでは特定のアプリケーションではなく、その分野をメジャーに押し上げるアプリケーションのジャンル。〕

それらの中で、VRの面白さと仕事の生産性(プロダクティビティ, productivity)の二兎を追った初期の試みのひとつがBigscreenだ。それは初期のVRユーザーたちのあいだで、かなりの人気を獲得したが、その製品は過去の同社の、Web上のコンテンツ共有経験がベースになっている。

同社は今日(米国時間2/24)、Andreessen Horowitz率いるラウンドによる300万ドルの資金調達を発表した。そのラウンドにはほかに、True Ventures, Presence Capital, Ludlow Ventures, David Bettner, SV Angelらも参加した。

Andreessen Horowitzがハードウェア以外の分野でAR/VRに投資した例は、あまり多くない。その中で同社のOculusVRへの投資は、同じく投資家の一員であったFacebookによる2014年20億ドルの買収で、VR企業としては初めての大型イグジット(exit, 出口)になった。

VRアプリケーションはVRの最大の特性である3Dのインタフェイスを強調したものが多いが、そんな中でBigscreenは、2DのWebの世界で提供されているコンテンツと、VRが提供する高度なソーシャル体験の両者を、結びつけようとしている。

同社のベータ・アプリケーションは、仮想会議室におけるコラボレーションや、ひとつの部屋に友だちが集まってお互いのアバターとゲームをプレイする、などの使われ方で人気が急伸し、今や15万人のユーザーがいる。まだ費用的にも大衆化しているとは言えないVRの世界でこの数字は、相当なものだ。

Presence CapitalのマネージングパートナーAmitt Maharjanが、Mediumに書いている: “最初からマルチプラットホームに対応しており、そして、体験を他と共有するやり方がきわめてシンプルなため、Bigscreenは知らない人たちが互いに関心を共有してコミュニティを形成する能力に秀でている”。

同社の次のアクションは、Bigscreenの1.0をリリースすること。また、同プラットホームのネイティブアプリケーションや、モバイルのVRヘッドセットへの対応も課題だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ニューヨークで野菜を地産地消―、ハイテク農業のBoweryが750万ドルを調達

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環境汚染や異常気象、人口過密によって、大規模な屋外農場の存続が危ぶまれている。Bowery Farming Inc.と呼ばれるスタートアップは、この度のラウンドで750万ドルを調達し、都市部でも屋内で食物を栽培できるよう努力を重ねている。同社は、ロボット工学やLED照明、コンピュータビジョンやセンサー、データ解析といったハイテク技術を駆使し、農薬ゼロかつ少量の水を使って葉物野菜を栽培している。

Boweryは、自社で栽培したレタスやケール、ほうれん草、バジルなどの野菜を、業務用スーパーやレストラン、食料品店などに販売して収益を挙げている。同社の技術を使えば、1年を通して野菜が栽培でき、収穫量は同じ作付面積の従来の屋外農場と比べて100倍以上にもなる上、水の量は95%も少なくてすむ。

Boweryの共同ファウンダーでCEOのIrving Fainは、「過去10年間のテクノジーの進歩によって、今では農作物を安定して生産できるようになりました。私たちは2年前から、この進化したテクノロジーの活用に取り組みだし、近いうちに世界の人口は90億人に達すると言われ、そして約35年後には世界中の70%の人が都市部に住むことになると言われている状況で、人々に食べ物を供給するにはどうすれば良いのだろうと考えはじめました」と話す。

Leafy greens growing at a Bowery indoor farm.

Boweryの屋内農場で育つ葉物野菜。

Boweryがつくった「現代的な屋内農場」を使えば、都市部でも新鮮な野菜の地産地消が実現できるとFainは言う。「LED照明など人工の光源を使った屋内栽培は、既に何年間も行われています。しかし照明機器の値段が下がったことで、商業目的での屋内農業ができるようになったんです」

Boweryの施設のほとんどは市販の製品から構成されているが、同社が開発した「FarmOS」とよばれる自前のシステムで全てが管理されている。Boweryはコンピュータビジョンの技術やセンサーを使って、作物の様子や屋内の気候をモニタリングし、作物に影響のある数値を何百万というデータポイントからリアルタイムで集めることで、何が作物の成長度合い、もしくは色、質感、味といった個別の要素に変化をもたらすかというのを把握することができる。

First Round Capitalがリードインベスターを務めた今回のラウンドには、Box GroupLerer Hippeau Ventures、さらにはショートリブの蒸し煮が看板メニューのシェフで、レストラン経営者としても人々に愛されており、その上Bravoのテレビ番組Top Chefで審査員も務めるTom Colicchioが参加していた。Fainによれば、Colicchioが経営するレストランの中にも、既にBoweryの野菜を使っているところがいくつかあるという。同社の作物は、それ以外にもWhole Foods Marketsなど、ニューヨークを含むトリステートエリア(3つの州の境界が交わる地域。この場合だとニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州)のお店で販売されている。

Greens grown at a high-tech indoor Bowery farm.

Boweryのハイテク屋内農場で生産された野菜。

First Round CapitalのパートナーRob Hayesは「今すぐにとは言わずとも、仮に15年もすれば水の値段は上がり、作物を育てられるような土壌は貴重な存在になり、屋内よりも屋外で作物を育てるほうが高くつくようになるというのは、農業に携わっている人たち全員が考えていることです。そこで、わざわざ悲劇が起きるのを待つ必要もないだろうと私たちは考えました」

自称楽天家のHayesの言っていることは、決して誇張ではない。California Climate and Agriculture Network(CalCAN)によれば、「サラダボール州(salad bowl state)」とも呼ばれるカリフォルニア州の農地は、開発のせいで毎年平均5万エーカーも減少しており、この状況が過去30年間続いている。昔は作物の栽培や家畜の育成に使われていた土地が、ここまで舗装されてしまっているとは驚きだ。

Boweryの競合には、葉物野菜の生産大手のEarthboudやFarms、Doleがいるほか、屋内での持続可能な農業に取り組んでいるスタートアップとしてはAerofarmsや、温室栽培のBrightFarmsなどが存在する。しかしHayesは、ただソフトを開発して、他人の農場で作物をリスクにさらしながらビジネスを展開するよりも、「種からお店まで」のアプローチで、自社の農場を使って実際にシステムに効果があることを証明してきたBoweryのやり方に惹かれたと話す。

今回の調達資金は、新しい屋内農場の設置や、他の作物を屋内で育てるための新しいテクノロジーの開発・テスト、そして引き続き食料品店やレストラン、食品EC企業などへの営業に使っていく予定だとFainは話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Facebookが動画内に挿入できる広告ブレークを導入へ―、広告収益の55%がクリエイターのもとに

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Facebookは本日(米国時間2月23日)、数社のパートナー企業を対象に、動画の最中に表示される広告ブレークのテストを開始したと発表した。広告収益のうち55%はビデオを提供している企業が受け取り、残りの45%がFacebookのポケットに入ることになる。広告ブレークの導入により、Facebook向けコンテンツをつくる人が増える可能性があると共に、ユーザーに広告を最後まで見せるため、今後動画の構成が変わっていくかもしれない。

動画をアップする企業や個人は、どこに広告を挿入するか選ぶことができるが、少なくとも20秒の尺をとって各広告の間隔は2分以上空いていなければいけない。ちなみに広告ブレークの導入については、先月Recodeが報じていた。

サードパーティーアプリで広告を表示するためのAudience Networkでも、昨年から今年にかけて行われたテストが終わり、利用者は動画内広告を使えるようになった。

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動画内広告の例(Matt Navarraのツイートより引用)

さらにFacebookは、昨年8月に発表した通り、現在行っている広告ブレークのテスト範囲をライブ動画にも広げていく。現在のところは、アメリカ国内のFacebookページや個人のアカウントの中で、フォロワー数2000人以上かつ最近のライブ動画配信で同時視聴者数が300人を超えたものについては、広告ブレークを使えるようになった。

同時視聴者数が300人を超えた状態で4分以上動画を配信していると、「広告ブレークを挿入できます」というお金のマークがついたアラートが、視聴者からのリアルタイムコメントと並んで表示される。メッセージをタップすると、最大20秒間の広告が表示され、さらにそれから5分以上経つと新しい広告が表示できるようになる。

広告ブレークの導入によって、ライブ動画を配信する人も、予め準備した動画をアップする人も視聴数に応じて広告収益をあげられるようになる。その結果、Facebookはオープンな広告収益プラットフォームとしても機能するようになり、クリエイターをFacebook Liveにひきつけることができるかもしれない。

収益面に限らず、広告ブレークはライブ動画を配信する側にとって便利な機能だ。というのも、動画配信中にちょっと一息ついたり、髪型をなおしたり、セッティングを変えたりしたいと思ったら、彼らは広告ブレークを使って、カメラから離れることができる。さらに広告ブレークは縦向き動画にも対応しており、FacebookがSnapchatの陣地へさらに攻め込もうとしているのがわかる。

また、Facebookが広告営業や集金を行ってくれるので、動画配信者はマネタイズに関して何か特別なことをする必要がない。大手報道機関やエンターテイメント企業を除くと、ウェブ上の有名動画クリエイターの多くは自分の部屋で動画を撮っているティーンやヤングアダルト層にあたり、彼らは必死に自分たちの趣味を仕事にしようとしている。

だからこそ、彼らに広告収益をもたらしているYouTubeが、若いビデオグラファーの拠点になっているのだ。しかしFacebookの広告ブレーク導入により、たとえYouTube上のコンテンツと共食いすることになるとは言え、彼らには動画を拡散させる以外の目的でFacebookに動画を投稿するインセンティブが生まれた。そしてライブ動画へも広告が挿入できるようになった結果、まだ有名人との大型スポンサー契約をはじめたばかりのPeriscopeから、Facebookはライブ配信者を奪うことができるかもしれない。Facebookも、大手エンターテイメント企業にライブ動画機能を使ってもらうための単発の取引を過去に行っていたが、同社の新しい広告システムは、もっと広い範囲の人々を対象にしている。

広告ブレークによって動画の数が増えると共に中身が変わる

これまで、Facebook上の動画広告は、ユーザーが自分で選んで見た動画が終わった後に関連動画として表示されるか、フィード上に単独で表示されていた。しかし今後Facebookは、1日合計1億時間も視聴されているという動画コンテンツから、直接広告収益をあげられるようになる。しかもこの1億時間という数字は1年前のもので、そのときFacebookはまだ有力なビデオプラットフォームとして認知されていなかった。さらに同社は、ストリーミングボックス用アプリ(今のところ広告表示は予定されていない)のローンチによって、これまで主戦場としていたモバイル端末を超えて、動画の視聴数を伸ばすことができる可能性もある。

live-ad-break一方で心配なのは、動画をつくる人が盛り上がりどころを広告ブレークの後に持ってきてしまい、そもそも動画の視聴数が減ってしまうということだ。これまで動画クリエイターは、視聴者が求める面白い部分を最初の数秒に詰め込むことで、フィードをスクロールしていくユーザーの目を引こうとしていた。

今後彼らは、最初の20秒間で緊張感を高めてから広告ブレークを入れ、収益を確保した後に、動画の面白い部分をおくようになるかもしれない。そして自動再生時のデフォルト音声設定がオフからオンに切り替わったように、Facebook向け動画作成のルールは大きく変わっていくだろう。

Facebookでパートナーシップ担当VPを務めるNick Grudinは「Facebook向けであろうが他のプラットフォーム向けであろうが、私たちはパートナー企業と強力して、デジタル動画用の新しいマネタイズ方法や広告商品の開発に力を入れています。まだこの分野でのビジネスをはじめたばかりですが、本日のアップデートによって、一歩ゴールに近づけました」と話す。

諸々の施策によって、Facebookはニュースフィードのスペースはそのままにして、売上を拡大できるかもしれない。彼らが優秀なクリエイターを集めることができれば、ユーザーはこれまで目もくれることのなかった写真広告よりも収益性の高い動画広告を最後まで見るようになるだろう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleの新プロジェクト―、文脈を判断できるAIが有害コメントを検出

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もしもあなたが普段インターネットで何かを読んでいれば(この記事を読んでいるということはもちろんそうだろう)、「コメントは飛ばす」という黄金律を知っているはずだ。

記事や物語の終わりからさらに下へとスクロールしていくと、そこには人種差別や陰謀論、個人攻撃で溢れる別世界が存在し、すぐに人間という生き物への信頼をなくしてしまう。しかし今後コメント欄では、ゴドウィンの法則よりもGoogleに出会うことの方が多くなるかもしれない。Alphabetの子会社で、ネット上の安全を育むためにつくられたJigsawは、米国時間2月23日にコメント欄の清浄化を目的としたPerspectiveと呼ばれる新たなサービスをローンチした。

Perspectiveはコメント内容を評価し、各コメントに悪意がある可能性を数値化するサービスだ。Jigsawはオンラインでの議論を促進することをゴールとしているため、コメントが「有害」かどうかというのは、他のユーザーを議論から遠ざけてしまうかどうかで判断される。

「朝読んだニュースについて友だちと話している様子を想像してみてください。もしもあなたが何か言うたびに、誰かがあなたの顔めがけて大声を出したり、不快な名前で呼んできたり、言われもない罪であなたを非難してきたりすれば、きっとあなたはその場を去るでしょう」とJigsaw社長のJared Cohenは話す。「残念ながら、こんなことがオンラインでは嫌になるくらい起きています。人がお気に入りのニュースサイトで何かについて議論しようとすると、たちまち有害なコメントで責め立てられてしまうんです」。

Jigsawが算出した有害性をどう理解するかや、有害なコメントにどう対応するかはプラットフォーム次第だ。Jigsawは有害性スコアの提供以外は行っていないため、企業は有害コメントにフラグを立てて担当者が内容をレビューしたり、有害コメントを注意表示で隠して、ユーザーが表示をクリックしないとコメントを読めないようにしたりといった対策を自分たちで考えることができる。またユーザー側は、自分のコメントも有害と判断される可能性もあるため、入力した内容が本当に自分の言いたいことなのか判断できる。

メディア各社は、コメント問題への解決策を編み出そうとこれまで苦しんできた。Reutersをはじめとする数社はコメント欄自体を削除し、BuzzFeedはコメントのキュレーション方法を模索している。一方The New York TImesは、Perspectiveの開発でJigsawと手を組み、1日あたり1万1000件も集まるという同紙の記事へのコメントを、機械学習モデルのトレーニング用にJigsawへ提供していた。

Perspectiveは、特定の人種を中傷するようなキーワードをピックアップするだけでなく、ある言葉の攻撃対象がコメント主なのか、それとも議論の対象となっている話に出てくる人なのかというのを文脈から判断することができる。なお、各プラットフォームはAPIを通じてPerspectiveを利用できる。

またJigsawは、Perspectiveの力を証明するために、Wikipediaのディスカッションページにおける嫌がらせの調査を行った。まず彼らは、編集者がWikipediaの記事のアップデートについて議論を交わすトークページから、100万件以上のコメントを分析のためにかき集めた。その後、10人の審査員が各コメントに個人攻撃が含まれているかや、誰が攻撃の対象になっているのかを評価し、その結果をPerspectiveのトレーニングに使用した。Jigsawは英語で書かれたコメントだけをトレーニングに使っていたので、Perspectiveは少なくとも今のところは英語にしか対応していない。

Wikipediaのコメントに関する調査の結果、モデレーターから警告やブロックを受けた人は18%しかおらず、ほとんどの嫌がらせが野放しにされていたことがわかった。さらにJigsawは、Yahooの初期のコメント管理システムについても調査を実施した。Yahooはモデレーターが有害だと判断したコメントを使ってアルゴリズムをトレーニングしており、調査の結果、その検出率は90%に達することが分かった。

Perspective以外にも、Googleの実験的なプロジェクトを会社化したJigsawは、DDoS攻撃の軽減やニュースのファクトチェックを目的としたサービスを開発している。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

EFFレポート:ウェブ通信の半数以上は暗号化対応済

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EFF(電子フロンティア財団:Electronic Frontier Foundation)が今週になって公表したレポートによれば、ウェブトラフィックの半分が暗号化されているのだそうだ。標準でHTTPSを利用するようにするなど、テック系企業の努力も大きかった。たとえばFacebookTwitterは、それぞれ2013年および2012年からHTTPSを利用するようになっている。GoogleやWikipediaBingないしRedditなどもHTTPSを利用するようになっていた。

こうした中、Googleが検索ランキングにHTTPSの利用を含めるようになったのも大きく影響した。さらに今年からは、パスワードやクレジット情報をHTTP上でやりとりするサイトについて「危険」である旨を表示することにもなっている。

HTTPSは通信中のデータを暗号化し、不正なサイト改変を防いだりするための技術だ。最近になって多くの通信が「傍受」されている(ときには政府によるスパイ行為もある)ことが意識されはじめており、それがために一般利用者のセキュリティ意識を高めることにもつながっている。

そのような中、2016年にはWordpress.comも広くHTTPSを採用するようになった。カスタムドメインでもHTTPSが利用できることとなり、すなわちWordpressがホスティングするすべてのブログないしウェブサイトで高速かつ安全なHTTPSが利用できるようになったのだ。ブログ界の話をすればGoogleのBlogspotでも、2015年秋にHTTPSを利用できるようにし、さらに2016年5月からはHTTPSを標準としている。

もっといえば合衆国の政府機関も、この春からHTTPを捨て去ってHTTPSを標準とすることとする様子。調査によれば、HTTPSを採用した政府組織は今年になって1000程度になり、全体の61%を占めるまでになったとのことだ。

モバイルウェブの世界でも、たとえばAppleは開発者に対して、昨年中に通信方式をHTTPS化しなければならないとの通知を行った(但し締め切りは延長されることとなった)。

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メジャーなニュース配信組織私たちも含んでいる)も、続々とHTTPSの採用に踏み切ったし、HTTPS化を支援するLet’s Encryptなるプロジェクトも立ち上げられ、これがWordpressの後押しをすることにもつながった。EFFも自前でCertbotなるツールを用意している。これを使えば小さなサイトを運営しているオーナーも、手軽にHTTPSを利用できるようになっている。

なお、HTTPS化の割合はブラウザ提供者からもたらされるもので、それぞれに違いが見られるそうだ。しかし、たとえばMozillaは「暗号化されている通信が、平文通信よりも多い」と述べているし、GoogleのChromeは「50%を上回る」と表現している。さらにGoogleは「OSに関わらず」に、暗号化通信を行なっているサイトは50%を超えているとアナウンスしている。

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もちろん、まだHTTPSを採用していないサイトも存在する。そうしたサイトでデータのやりとりをする場合には、Chrome向けの拡張機能(訳注:OperaやFirefox向けもあるようです)であるHTTPS Everywhereを利用するのも手だ。しかしHTTPSの採用を広めたいのならば、ウェブに関わるすべての人のセキュリティ意識を高めることがもっとも重要なこととなる。

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(翻訳:Maeda, H

より良い「双方向」脳=コンピューターインターフェイスの研究が進んでいる

今回スタンフォード大学、そしてジュネーブ大学からそれぞれ発表された研究は、脳=コンピューターインターフェイス(BCI)の進化の速度が高まっていることを示す良い例だ。決してすぐにはマウスやキーボードの代わりになるというものではないし、未熟ではあるものの、この技術は障害を持つ人たちのための変革を予見するものだ。

まずスタンフォードの研究を紹介しよう。改善されたマイクロ電極アレイとコンピューターシステムを用いて、オンスクリーンカーソルを用いた文字入力を、麻痺したユーザーに対して可能にするものだ。

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「小さなアスピリンサイズの」電極アレイは100の電極を持ち、それぞれの電極が個別のニューロンをモニターすることができる。これを運動皮質に差し込み、利用者がカーソルを動かしたい方向へ腕を動かすイメージを思い浮かべると、何人かの人は、わずかの訓練で既存システムによる能率を凌ぎ、助力なしで1分間に何十文字もの入力を行えるようになる。

スタンフォード大学工学部教授でありレポートの共同執筆者であるKrishna Shenoyは、「この研究は、これまでに報告されていたものよりも、速度と正確さで3倍の成績を示しました」とニュースリリースの中で述べている。

当然ながら、望まれているのは、可能な限り簡単なセットアップで、麻痺に襲われた人びとのコミュニケーションできる速度を向上させることだ。そして、簡単かつ正確に画面上でカーソルを移動することができるということは、通常のコンピューターとの対話も遥かに簡単になるということを意味する。なので、文字入力を簡単にすることに加えて、人びとはウェブをナビゲートしたり、ゲームをしたりといった行為を簡単に行うことができるようになる。

「今回の実験は、安全性並びに実現可能性を確かめるためのものです」と、教授であり共著者でもあるJaimie Hendersonはスタンフォードビデオの中で語っている。「しかし、私はそう遠くない将来に、麻痺を持つ人びとを助けることのできるシステムを展開できるようになると信じています」。

彼らの研究は(米国時間)21日に発行されたeLife Sciencesで読むことができる。

次に紹介するのは、より理論的な性質のものだが、ジュネーブ大学のチームによるものだ。彼らはカーソルや腕の制御をするだけではなく、対象物からのフィードバックを脳に戻すことのできるBCIメカニズムを試作した。

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ジュネーブ大学の発表に実際に添えられている画像

BCIにありがちな課題は、脳から読み出した情報を元に行われた動作(バイオニックアームを動かしたり、スクリーン上のカーソルを選択したりといったもの)の結果を、利用者が視覚的に確認する必要があるというものだ。しかし、手足を有することの感覚の中には、位置に関する情報も含まれている。これは私たちが固有受容感覚(proprioception)と呼ぶもので、関節がどのくらい曲がっているか、手がどのくらい高く上がっているか、といった感覚を与えるものだ。こうしたフィードバックを生み出すための研究が行われてきたが、今回ともあれマウスを使って、より単純なプロセスを示すことができた。

研究者たちは、光を用いた顕微鏡的技術を利用して、マウスの脳内の細胞群をモニターした。マウスが、研究者によって選ばれた特定のニューロンを使うと(それ自身は何も行わないが、その活性化が明かりをつけたり、腕を動かしたりする外部の仕掛けに対応付けられている)、その動作結果に対する報酬とフィードバックパルスを、光を当たることで刺激を受けるように改変された感覚皮質の細胞を用いて受け取るようになっている。

この実験で示されたものは、研究者たちが選んだニューロンの活性化に対して、戻される人工的な感覚を、マウスの中で光刺激を用いて関連付けることができた、ということだ。これはプリミティブではあるが機能するフィードバックループである。

もちろん、人間がこうした感光ニューロンを手に入れるために、遺伝子治療を施されることはない、この研究はスタンフォードのものよりも、更にプリミティブなものだ。しかし、この研究は基本的な仕組みが働くこと、そして人間への応用が可能であることを示唆している。これらのフィードバックループをいくつか装着することで、目を閉じている時にも人工義肢のおおよその位置を感じることができるようになるかもしれない。

この論文はNeuronジャーナル上で、米国時間22日に発表された。

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(翻訳:Sako)

コンテンツ・リコメンデーションのRevcontentがパーソナライゼーションのRoverを買収してサービスの質をアップへ

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自己資金のみでやっているRevcontentは、ForbesやThe Atlanticなどの一流パブリッシャーに、コンテンツ・リコメンデーション・サービスを提供している。同社はこのほど、Roverを買収した。

ペットシッターを紹介するRoverではなくて、コンテンツ発見アプリケーションで、前はFliporaやInfoaxeという名前だった。RevcontentのCEO John Lempによると、Revcontentがこの買収の代価として支払ったのは“3000万ドル強”のキャッシュと、株だ。彼によるとそれは、もっと良いコンテンツ・リコメンデーションになるための投資だ。

Roverはパブリッシャーに、Facebookのような個人化機能を提供するが、その粒度はFacebookの3倍も細かい、という。ユーザーの関心対象を最大3000項目も見る、という意味だ。

Lempは曰く、“コンテンツの提供者と、その本当のユーザーを、Web上で結び付けたいからね。そのために均質でむらのない“パーソナルWeb”を作り、メディアがオーナー企業ではなくユーザー/読者に奉仕するようにしたい”。

コンテンツ・リコメンデーション・サービスといえば、TaboolaやOutbrainなどのサービスは、高品質なジャーナリズムをリコメンドしているとはとても言えないが、Lempによると、テクノロジーの力でこの業界をもっと良くしていける、という。“今はまだ、浅っぺらなユーザー体験や、破綻しているユーザー体験が少なくないけど、テクノロジーをうまく使いこなせば、もっと良いユーザー体験を作れるはずだ”。

RoverのCEO Jonathan Siddharthは、彼の会社の技術とRevcontentのデータ、という組み合わせがおもしろい、と言う。Revcontentは毎月2500億件のコンテンツ・リコメンデーションを配布している、と主張している。またSiddharthの協同ファウンダーVijay Krishnanによると、RevcontentとRoverのシナジー効果で、とくにeCPMSWikipedia)が改善され、売上も増えるだろう、という。

Lempと同様にSiddharthとKrishnanも、オンラインジャーナリズムの有効なビジネスモデルが成り立つためにはコンテンツ・リコメンデーションが鍵だ、と主張する。それはトラフィックや売上に関してだけでなく、ユーザーの反応に関する有意義なデータも得られるからだ、と。

“民主主義が有効に機能するためには、言論の自由を法が保証しているだけでなく、自由な言論が商業的にも成り立たないとだめだ”、とKrishnanは語る。

買収により、Roverのチームは全員がRevcontentに加わる。Roverはこれまでに700万ドル近くを、Founders FundのStephen OskouiやGokul Rajaram, Barney Pell, Ilya Fushman, Mayank Bawa, Draper Fisher Jurvetson, Amidzad Venturesなどから調達している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Waymoが企業秘密の窃盗でUberとOttoを訴訟、元社員が14000件のファイルを無断ダウンロード

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Googleの自動運転車プロジェクトがAlphabet傘下の独立企業になったWaymo社が今日(米国時間2/23)、自動運転トラックのOttoとその親会社Uberを訴訟した。Waymoによると、Uberは同社の企業秘密を“悪用し”、同社が保有する特許を侵害した。具体的には、Waymoが見つけた証拠によると、OttoとUberは、同社が今年初めに発表した同社独自開発によるライダー(LiDAR)センサーに関連した、自動運転技術のいくつかの要素を、使っていた。

訴状でWaymoは、同社は、いくつかのユニークなレーザーシステムの組み合わせにより、完全な自動運転車の操縦のための重要な情報を得ているが、それをOttoのファウンダーAnthony Levandowskiが奪った、と言っている。彼は以前、Waymoに勤務するマネージャーだった。Levandowskiは14000あまりの、機密性の高い、企業に私権のあるファイルを、社を去る前にダウンロードした。その中には、企業秘密とされているLiDARの回路基板の設計図もあった。そしてWaymoの驚くべき指摘によると、同社がこれら一連の事件を発見したきっかけは、あるサプライヤーからのメールに、そのサプライヤーがUberとOttoに宛てたメールのコピーが、うかつにもあったことだ。そこには、そのライドシェア企業〔==Uber〕から送られてきた回路基板の設計図もあり、しかもその図面はまさしくUber自身のものとされていた。

Waymoによると、この窃盗行為が行われたのは2015年の12月だ。その直後にLevandowskiはWaymoを去り、自分の会社を始めた。それが、2016年1月にOttoになった。訴状によるとLevandowskiは、Waymoを去る前に自分のベンチャー企業を設立していた。

訴状はLevandowski以外の元Waymo社員も訴えており、彼らも後にOttoとなる企業に参加し、その前には、サプライヤーリストや技術的ドキュメントなどの企業秘密をWaymoからダウンロードした、としている。

Waymoが訴状で引用しているBusiness Insider誌上のBiz Carsonの記事によると、Ottoが独自のLiDAR技術を内部開発できたことが、Uberによる買収の中心的動機であり、したがってLevandowskiとOttoはこの窃盗行為から直接、5億ドルあまりを獲得したことになり、またUber自身も、それまで行き詰っていた自動運転車の取り組みを蘇らせて、その計画的な悪事に基づいてWaymoと再び競合できるようになった、と訴状は言っている。

当然ながらこれは、Uberにとって大きな打撃だ。今は元社員が被ったいわゆるセクハラ事件が明るみに出て、内部的にも対外的にももめている時期だけに、大きな火に多量の油を注ぐ形になった。

今、Uberにはコメントを求めている。得られ次第、この記事をアップデートしよう。

〔参考記事: ライダーとは何か

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

DMM.comがオンラインサロンサービス運営のシナプスを子会社化

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DMM.comは、2月24日付けでオンラインサロンサービス「Synapse」を運営するシナプスの株式を取得し、子会社化したことを明らかにした。金額等は非公開。

Synapseはオンライン上で月額会員制のサロンを開設できるサービス。当初は個人がオンライン上でコンテンツの販売をできるプラットフォームとして2012年2月にスタートした。そこから月額会員制のサロンへとモデルを変え、現在は「橋下徹の激辛政治経済塾」「猪瀬直樹の『近現代を読む』」をはじめ、多くの作家、実業家、アスリート、モデル、テレビタレント、アルファブロガー等がサロンを開設。現時点でサロン数は約300個、有料会員数は約1万3000人となっている。

サロン主宰者は実名参加が基本となるFacebookグループと、2015年末に作られた匿名での運用が可能なシナプスの独自プラットフォームから選択ができる。シナプス代表取締役の田村健太郎氏によると、2016年に入ってから特に恋愛相談や転職相談をテーマとした匿名のサロンが好調で、月に数十万単位で稼いでいるサロンも増え始め、同年10月頃からサービスの拡大に向け資金調達に動いていたという。

DMMが運営する「DMMオンラインサロン」は競合にあたるが、「最もサービスが伸びる手段を選択しようと、億単位の資金調達とバイアウトどちらも考えていた。いくつかオファーを頂く中で、ちょうどDMMの代表に片桐さんが就任された。オンラインサロンを牽引していくべき当社とDMM社が争っていても仕方ないし、片桐さんと一緒にマーケットを広げていくチャレンジをしたいと思い、今回の決断をした」(田村氏)

当面の間、両サービスはこれまで通り各社にて独立して運営され、その後は現在開発中の新たなサイトへ統合し多様な形でのコンテンツ配信・販売のできるサービスにしていく予定だ。

また「出版社や大手メディアから自社サイトのデザインに合わせてオンラインサロンをやりたいという声を頂いている」(田村氏)とのことで、自前の冠でサロンを運営できるようにOEM展開も視野にいれながら、コンテンツ流通事業のさらなる発展・拡大に取り組んでいくという。

シナプスは2007年にモバキッズとして設立(2015年2月にシナプスへ社名変更)。インディーズコミックのCGMや電子書籍プラットフォームを手がけたのち、2012年2月にSynapseを立ち上げ、同年4月から月額会員制サロンサービスを始め、以後は同事業へ注力してきた。同社はこれまでにサムライインキュベート、プライマルキャピタル、ディー・エヌ・エーから資金を調達している。

写真左から:DMM.com オンラインサロン事業部事業部長の川本栄介氏、シナプス代表取締役の田村健太郎氏、DMM.com 代表の片桐孝憲氏

写真左から:DMM.com オンラインサロン事業部事業部長の川本栄介氏、シナプス代表取締役の田村健太郎氏、DMM.com 代表の片桐孝憲氏

京都発、イラストマップや古地図と現在地が連動する「Stroly」で街歩きが変わる

ポケモンGOを始めて起動した時、見慣れた街が一変した。ARでポケモンが普段の見慣れた風景に出現したのも目新しかったが、ポケストップをタップすると、今まで気にも留めなかった場所が実は歴史上の遺跡や名所だったことを発見できたことにも新鮮な驚きがあった。京都発のスタートアップStorlyは地図に新たな見方を提案するサービスを開発している。同社は本日、イラストマップや古地図とGPSによる位置情報を連動させるプラットフォーム「Stroly (ストローリー) α版」を2月21日にローンチしたことを発表した。

古地図やイラストマップは、縮尺や位置情報が正確ではないことが多いだろう。これでは地図を持って街歩くするのが難しい。Storlyでは、そうした古地図やイラストマップでもGPSによる位置情報を照らし合わせて、地図を提示することができる。サービス内でイラストマップと現代の地図とを切り替えることも可能だ。

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Storlyで見れる江戸古地図(1844)。左が古地図上の増上寺、右が現代の地図。

Strolyでは自作のイラストマップを作成することもできる。イラストの画像を取り込み、画像と実際の緯度・経度との対応付けを行って投稿するだけでいい。地図にはおすすめの店舗やスポットを「ランドマーク情報」として登録することもできる。Strolyのおすすめマップには京都の観光イラストマップや古地図が20種類以上揃っていて、気に入ったのがあればマイページに保存しておける。

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京都のスイーツを特集したイラストマップ

Strolyはもともと2005年に国際電気通信基礎技術研究所の社内ベンチャーとして始まり、2016年にMBOを経て、独立したと同社の代表取締役社長である高橋真知氏は説明する。

デジタルとアナログのいいとこ取り

高橋氏は「地図が変わると、世界の見え方が変わります。様々なテーマの地図により、その地域の良さや魅力を広めることができると考えています」とStorlyのコンセプトについて説明する。Google Mapsでは目的地までの最短距離を知るには便利なものの、地域の良さが伝わらなかったり、新しいものには出会いづらい。一方で、地域で配布している紙のイラスト地図には、その地域の情報がキュレートされているが、使い終わったら捨てられてしまうし、現在地が分かりづらいという欠点がある。デジタルとアナログの良いとこ取りができるサービスとして考えたのがStrolyと高橋氏は言う。

Storlyは自体はコンシューマーが利用できるものだが、事業としては法人向けサービスを提供する。具体的には自治体やエリアプロモーションを行いたい企業と提携して、地図の作成及び地図のデジタル化サービスや制作した地図の利用データの提供を行う。すでに京都市と協力し、観光施設や交通機関をまとめた「京歩きマップ」Stroly内で提供する実証実験を開始しているそうだ。現在はWebブラウザのみで提供しているが、今後はアプリを開発する予定という。

Strolyは京都のけいはんなオープンイノベーションセンターに入居しているスタートアップだ。周りにアプリなどを手がけるIT系スタートアップは少ないが、京都には観光資源が多く、Strolyの事業が活かせる環境にあると高橋氏は話している。ゆくゆくは、B2Cサービスの展開や海外展開を行うことも視野に入れているという。

Alexaの録音内容を警察が聴くことは憲法修正第一条のプライバシー保護に反するとAmazonが主張

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昨年晩く明らかになったように、AmazonのEchoスピーカーが、実は2015年にアーカンソー州で起きた殺人事件の捜査で重要な証拠物件になっていた。そのスマートホームアシスタントの音声の録音を、警察が調べようとしたためだ。しかし今年になってこの巨大テクノロジー企業は反撃に転じ、録音されていたユーザーのコマンドとAlexaの応答は共に、保護されるべき談話だ、と主張した。

先週提出された長大なファイルでAmazonは、これまでユーザーの購入履歴の要請には応じたけれども、Alexaの録音の要請は“憲法修正第一条とプライバシーの原則に抵触するおそれがあるので、裁判所が今回の事案の特別の難度に鑑み、州に対し特段の特例を認めないかぎりは、命令書は廃棄されるべきである”、と主張している。

同社の説明によると、捜査を妨害する意図はないけれども、録音を政府機関の手に渡すことは消費者のプライバシーの権利を冒涜するものである。同社は2010年に同社が関わった裁定を、次のように引用している: “…人が読んだもの、聞いたもの、見たものに対する政府による追跡や検閲の不安があることは、修正第一条の実践を毀損する”。

この場合AmazonとACLUの解釈では、憲法修正第一条が、顧客の記録をノースカロライナ州歳入局に渡すことからAmazonを保護している、となる。

そのファイルでは、Echoはすでにユーザー数がとても多いから、記録の開示が悪い前例となり、Amazon製品にかぎらず、音声を使用する家庭用デバイス全般に対するプライバシーの不安感を多くの人びとに広める〔==営業妨害になる〕、と企業としての主張も展開している。自社製品の宣伝の意図も、ありそうだけれど。

Echoが2015年の殺人事件の重要物件になったのは、その年の11月終わり頃の夜に殺されたアーカンソー州の住民Victor Collinsの、死因等に関する何らかの手がかりが得られるとして、警察がそのデバイスを差し押さえたからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、iPhone 6sの突発シャットダウン問題はiOS 10.2.1で80%減少したと発表

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過去何世代かのiPhoneで、「突然」シャットダウンするという苦情が出ている。iPhone 6、6 Plus、および6s、6s Plus各機種の一部で、突然画面が真っ暗になり電源アダプターにつないで再び電源を入れなくてはならなくなる問題が起きている。

Appleはこの非常に厄介なバグの解決に取り組んできたが、このほど大多数のiPhone 6/6sの問題を軽減するであろう修正にたどりついた。実はこの修正はiOS 10.2.1をインストールした人にはすでに適用されている ― iOSユーザーの約50%がインストール済み。修正がある程度浸透した今、Appleは問題がどれほど解決したかというデータを公表した。iPhone 6sで80%、iPhone 6では70%、問題が減少したという。

今のところiPhone 7はこの問題の影響を受けていない。なお、昨年末一部のデバイスでバッテリー交換のリコールがあった問題でも、同じく突然シャットダウンする症状が起こりよく似ているが、本件とは問題も解決方法も異なるので注意されたい。

今日AppleからTechCrunchに送られてきたコメントは以下の通り。

iOS 10.2.1で、Appleは少数のiPhoneユーザーが経験している突発的シャットダウンの頻度を減らす改善を実施した。iOS 10.2.1はアクティブなiOS端末の50%以上にインストールされており、アップグレードしたユーザーから受け取った診断データによると、問題を経験しているこのわずかな割合のユーザーのうち、iPhone 6sで80%以上、iPhone 6では70%以上の端末で突然のシャットダウンが減少していることがわかった。

突然のシャットダウンに遭遇した場合に、電源につながなくても再起動するしくみも追加した。一連の突発的シャットダウンが安全に関わる問題でないことは指摘しておくべきだが、不便をかけていることは理解しておりできるだけ、早く問題を修正したかった。使用中の端末に問題のあるユーザーはAppleCareに連絡してほしい。

何が起きたのか私に理解できる範囲で書くと、Appleは突然大電力を消費する瞬間現象が起きることを突き止めた。ある程度疲労した古いバッテリーはこの影響を受け電力の供給が不均等になり、端末の緊急シャットダウンを招いた。新品のバッテリーは影響を受けないが、ほとんどのバッテリーは充電サイクルを繰り返すことで能力が低下しているため(リチウムイオン技術の副作用としてよく知られている問題であり、もっといいものが出てきたらすぐにでも乗り換えたいと誰もが思っている)この種の瞬間現象の影響を受けやすい。

Appleは電源管理システムに何らかの細工をしてシャットダウンを大幅に減らした ― しかし完全に取り除いてはいない。突然のシャットダウンに遭遇したとき、iPhone 6sと6s Plusはアダプターにつながなくても再起動できるようになった。

もう一つ私の理解では、iOSの新しいベータ版では、iPhone 6と6 Plusでも自動再起動するはずだ。

ある時点でバッテリーの疲労が著しくなり交換が必要になることは、Appleが公式サイトで説明している。iOS 10.2.1 の設定アプリのバッテリー情報には、新たに「バッテリーの交換が必要です」というメッセージが今後数日のうちに加わる予定だ。Appleが必要と判断した場合にのみ表示される ― これはバッテリーがどの程度疲労するとAppleは交換すべきと考えるのかという人々の疑問に多少の透明性を与えるものだ。バッテリー交換が必要であると判断する正確な基準は不透明のままだが、Appleは最大充電回数と寿命についていくつかのヒントを公開している

問題が完全に解決したわけではないが、トラブルに悩まされているユーザーには何らかの安心感を与えたことだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インターネットのあちこちを探しまくって目的のコード片を見つけてくれるDeepCoder、プログラマーの生産性は上がるか?

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ぼくはプロのプログラマーではないけど、でも彼らを真似て、多くのコードをStackOverflowのQ&Aからもらっている。Flaskに認証を加えるやり方は? そんなの簡単。sendmailのシャットダウンの仕方は? ほら、これさ。そして、今やインターネット上のすべてのコードのおかげで、ロボットが年俸18万ドルのプログラマー並に優秀だ。

そのシステムはDeepCoderと呼ばれ、コードのコーパスを検索して仕様どおりに動くコードを構築する。すでにプログラミングのコンペに‘参戦’したこともあり、またコードではなく、複雑なプロダクトを作るための大きなデータセットを見つけることもできる。

彼らのペーパーより:

たとえばIPSシステムを作るためには二つの問題を解決しなければならない。最初に、その問題の解になりそうな適切なプログラムの集合を見つける。そして次は、手元の要件に照らしてそれらのプログラム集合をランク付けする。どれが、今抱えている問題の解として使えそうか? この二つの問題はどちらも、問題の具体的な内容に依存している。したがって、プログラムを組み立てていくための最初の重要な決定は、ドメインスペシフィックな言語を選ぶことだ。

 

このシステムは使ってるうちに次第に賢くなり、どんな場合にどんなコード片が良いのかを、自分で見分けるようになる。そして、そうやって‘学習’を重ねるたびに、ユーザーはプログラムをより早く書けるようになる。

ケンブリッジ大学のMatej BalogとMicrosoft ResearchのAlexander L. Gaunt, Marc Brockschmidt, Sebastian Nowozin, Daniel Tarlowがこのプロダクトを作り、その使い方に関するペーパーを共著した。ただし、このようなシステムを使って、小さなコード片から大きなプロジェクトを構築することはできない。そういうのを、‘ないものねだり’と言う。

こういった、既存のコードの切り貼り再利用は、多くのプログラマーが実際にやっていることだから、ディープラーニングの優れた応用と言えるだろう。データベースの更新のようなシンプルなCRUDアプリケーションには、十分に使えると思う。入社したばかりの初心者プログラマーにやらせる仕事がなくなる、と言えるかもしれない。でもAIロボットが地球と人類を支配して、人間の仕事が完全になくなってしまうのも、悪くないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのiOS用キーボードにようやく音声入力がやってきた

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Gboardは私のお気に入りだ。2016年5月にGoogleが公開して以来私のメインiOSキーボードになっている。私が一週間以上使い続けた唯一のサードパーティー製iOSキーボードでもある。

しかし、一つだけiOSの標準キーボードでは何年も前から提供されている重要な機能が抜けていた。音声入力だ。それも終わりだ!

今日(米国時間2/23)の午前Googleはアップデートを公開し、音声タイピング機能を追加した。新たに多くの言語に対応し(計15言語になった)iOS 10で加わった新しい絵文字にも対応した。

音声タイピングを有効にするには ― もちろんアップデートしたことを確認してから ― スペースバーのマイクアイコンを1~2秒長押ししてから私を離す。新しい画面がスライドして表われマイクロホンが点滅している。好きなことを話せばGoogleが適切に変換してテキストフィールドに入力してくれる。

iOSの組み込み機能と比べるとほんの〈少々〉不安定だが仕事はしてくれる。実はかなり賢い回避方法が使われている。Appleはサードパーティー製キーボードがマイクを使うことを許していない。しかし〈アプリケーション〉が使うことは可能で、これにはサードパーティー製キーボードの「親」アプリとして動作するものも含まれる(ホーム画面にアイコンが置かれるので容易に削除できる)。そこでGboard(キーボード)はGboard(アプリ)を呼び出して音声認識を行い、結果を再びキーボード入力として使用中のアプリに送り返すことで機能を実現している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがプロフィール写真用に国旗多数を追加―ザッカーバーグの理想との関係は?

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Facebookはプロフィール写真用に200以上の旗を追加した。 選択されたオーバーレイはプロフィール写真の上に表示される。Facebookのプロフィール用オーバーレイは2015年にファンのためにスポーツチームのロゴで作られたのが最初だ。昨年にはユーザーが独自のオーバーレイを投稿できるようになった。

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ただ、今日オーバーレイに追加された旗の多くは国旗だ。このことはFacebook上で自分に近しいコミュニティーを発見することに役立ちそうだ。しかしCEOのマーク・ザッカーバーグが「開かれたグローバル・コミュニティー」を作ることを理想としていることの関係が気になる。Facebookのプロフィール写真で国旗を振るユーザーが増えると、そのグループに属さない人々を疎外する効果を持つかもしれない。

ザッカーバーグは5000語のマニフェスト「われわれ対彼ら」というイデオロギーに強く反対している。 しかし多数の国旗をプロフィール写真に持ち込むのはこの理想に矛盾しないだろうか?

もちろんオーバーレイの追加は大規模な機能変更ではないし、おそらくは単にちょっとした面白さと愛国主義を狙ったものに過ぎないのだろう。しかしFacebookが世界の諸問題に対して公にしている立場との関連は懸念を抱かせる。ユーザー・エンゲージメントと、従って株主にとっての会社価値を最大限にするという企業としての立場だけでなく、世界の人々を結びつけるという使命ともバランスを取っていくためには、新しい機能が開かれた安全な世界を作る上で役立つかどうかを慎重に判断する必要があるだろう。

トランプに代表される憂鬱な時代にあってテクノロジー分野を含めて世界のリーダーがすべての人々の公正と安全のために行動することが必要だ。しかしこうしたより幅広い正義を求めることはビジネスの運営を困難にするかもしれない。

〔日本版〕Facebookの「プロフィール写真の変更」では左上部の検索窓でJapan、Xmasなどと入力すると一致するオーバーレイがサムネールで表示される。サムネールをクリックするとプロフィール写真に重ねて表示される。プロフィール写真はドラグ、スライドバーで調整できるがオーバーレイそのものは調整できないもよう。なお環境によってはFacebookが反応するまでかなりの時間がかかる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが新興国向けにSkype Liteをローンチへ―、2Gでも使えるSkype

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Microsoftは、ビジネスユーザーにおなじみのSkypeを新興国ユーザー向けに一新し、インドの現地時間2月22日に行われたFuture Decodedで、新アプリSkype Liteを発表した。

Android用アプリとして開発されたSkype Liteは、Skypeの核となる音声・ビデオ通話機能に重きを置きながら、2Gのような速度に限りのある通信規格向けに最適化されている。まずはインドでのリリースを予定しており、アプリは8言語にローカライズされているほか、SMSの送受信機能、データ通信量の確認機能も備えている。さらにMicrosoftは、インドにフォーカスしたさまざまなボットも準備しており、ユーザーはタスクの自動化に加え、ブラウザを開くよりも簡単にニュースなどのコンテンツをチェックできるようになる。また、データ通信量を抑えるために、チャットを通じて送付された写真、動画、その他のファイルは全て圧縮されるようになっている。アプリ自体のサイズも13MBしかなく、インドのような新興市場の大部分を占める、安価な携帯電話の少ない記憶容量をできるだけ食わないように作られている。

またMicrosoftは、6月以降に一部機能を有効化するために、インドの公的デジタル個人認証システムであるAadhaarとSkype Liteを連携させる予定だと話している。これが実現すれば、「Skypeユーザーは、面接時や何かを売買する際など、相手が誰なのか確認する必要があるさまざまなシチュエーションで、知らない相手の身元を確認できるようになる」とMicrosoftはブログポストに記している。

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興味深いことに、Skype Liteは「インドユーザーのために、インドでつくられた」とMicrosoftは話しており、同社がインドのモバイル革命に大きな勝負をかけようとしているのがわかる。インドのインターネット利用者数の増加率は世界一で、さまざまな社会・経済的な変化が起きているが、まだそれもはじまったばかりだ。というのも、Counterpoint Researchの調査によれば、インドの人口約12億5000万人のうち、まだ3億人しかスマートフォンを持っていない。

一方で、Microsoft以外にもインド市場を狙っている企業は多数存在する。Googleは、公共Wi-Fiプロジェクトや、さまざまな人気アプリへのオフライン機能の搭載、メッセージングサービスAllo・Duoのローカリゼーションなど、インド市場向けにさまざまな施策に取り組んできた。しかし数々の巨大企業がインド市場を攻め込んでいるにもかかわらず、Facebookが未だにインド市場では優位に立っている。同社の情報によれば、WhatsAppのユーザー数は1億6000万人を超えているほか、メッセージ以外のソーシャル機能ではFacebookがインド市場を独占しており、そのユーザー数は1億5500万人におよぶ。

この記事(英語原文)の公開時点では、まだSkype Liteはリリースされていないが、インド国内ではこのリンクから22日中にはアプリをダウンロードできるようになるはずだ。なお、インド以外でのリリース予定については明らかになっていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

TwitterのDMにサポート担当者の写真と名前を表示する新機能―、企業の売上への影響も

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Twitterは今朝、担当者のプロフィールがダイレクトメッセージ(DM)画面に表示される、企業アカウント向けの新しいカスタマーサービス機能をローンチした。今後ダイレクトメッセージを通じて顧客からの問い合あわせが合った場合、企業は会社のプロフィール画像と名前の代わりに、各担当者の名前と写真を表示できるようになる。この機能の背景には、ボットではなく人間の担当者とやりとりしていると顧客に感じさせることで、企業と顧客の交流をパーソナルなものにするという狙いがある。

この機能を最初に採用したのは、カスタマーサービスのパーソナル化に積極的に取り組んでいるT-MobileだとTwitterは発表している。T-Mobileは顧客の本名と担当者のイニシャルをツイートに記載しはじめた最初の企業のひとつで、昨年には問合せへのリプライに、担当者のプロフィールが記載されたウェブサイトへをリンクすることで、担当者の写真と名前を表示する取り組みをはじめていた。

そして本日より@TMobileHelpは、他の企業に先駆けてDM画面でも担当者の情報を表示しはじめる。しかし、ユーザーは他の企業のアカウントでも近いうちに同じ情報を確認できるようになるとTwitterは話す。

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さらにサポート担当者は、個性を出すために自分の名前に絵文字を追加することもでき、絵文字もちゃんとDM画面に名前の一部として表示される。実際のやりとりの様子は、上のスクリーンショットを参照してほしい。

ひとつの企業が作れる担当者ごとのプロフィールの数には制限がなく、機能を利用する上では企業のサイズも関係ない。ただし、この新機能を使うためには、その企業のアカウントが認証済みで、ホワイトリストの認可を得ていなければいけない。実際に新機能を使いたい企業は、アカウントの認証を得たあとで、こちらのフォームから申し込める。

新機能と現在改良が重ねられているAPIは無料で利用できるが、もちろんAPIにアクセスするには、Twitterのパートナー企業に頼る必要がある。

Twitterはこれまでにも、ビジネスアカウント向けのカスタマーサービス機能の拡充に努めており、過去にはDMボタンを目立たせて顧客が企業にDMを送りやすくしたり、企業のツイート内に「プライベートメッセージを送る」というボタンを設置できるようにしたり、DMの自動メッセージ機能を追加したり、プロフィールにサポート時間を記載できるようにしたりといった施策を実行していた。

Twitterが自社で行った調査によれば、消費者は問合せへの返答がもらえるならば、その企業の平均的な価格の商品に対して3〜20%多めに払っても良いと考えているという。情報通信企業に絞ると、その数は10%になる(だからこそT-Mobileがローンチパートナーに選ばれたのだ)。

さらに、情報通信サービスを利用しているユーザーは、問合せへの回答が4分以内に受け取れるならば、月々の携帯料金が17ドル上がってもかまわないと考えているが、回答を受け取るのに20分以上かかる場合はせいぜい3.52ドルの値上げしか許容できないと考えているとTwitterは言う。この数字を考えると、T-Mobileのような企業が、何か新しい機能が追加されるとすぐにTwitterベースのカスタマーサービスを改良しようとしているのも理解できる。

一般的に言っても、人間味のあるカスタマーサポートを受けることで、77%のユーザーがその企業を推薦したくなると考えており、ボットなどを使ったあまり人間味のないサポートを受けたユーザーと比べ、自分の問題が解決したと感じるユーザーの数は19%、満足感を得るユーザーの数は22%多いとTwitterは発表している。

新機能は既に実装済みでコチラからサインアップでき、APIは現在プライベートベータの段階にある。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter