AWSのSnowball Edgeは100TBのストレージとコンピューティング機能を提供する

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Amazonのストレージ・コンテナSnowballは広い層に利用されている。同社の今日のre:inventカンファレンスでは、そのメジャーアップデートが発表された。同じ日にあのとんでもない化け物AWS Snowmobileが発表されて、影が薄くなってしまったが、Snowballではコンピューティングの機能に加えて、ストレージを100テラバイトまで増設できる。

今回のアップデートで提供されるSnowball Edgeでは、各デバイスから直接に、データに対する基本的なアナリシスができる。これは、リアルタイムのインサイト(洞察)が必要とされる現場作業にとって、理想的だ。昨年のモデルと同じく、満杯になったデータを直接AWSのデータセンターに送って利用できる。

AWSを仕切っているAndy Jassyによると、たとえばGeneral Electricは、同社のウィンドファームでコンピュテーション機能を利用している。そのウィンドファームでは各タービンのリアルタイムデータを集めて、異状を分析する。クラウドをフルに利用できない船舶や航空機でも、集めたリアルタイムデータに対し、同じことができる。そういうところでは、インサイトに加えてデータのセキュアなバックアップも要請される。

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Snowball Edgeでは万全のセキュリティのために、データを三種類の方法で暗号化する。またクラスタリング機能により、ひとつのエンドポイントに複数のデバイスが接続し、アクセスできる。サポートはS3やNFSのエンドポイントからの、データ保存とアクセスに対しても適用される。接続性が改善されたため、100TBのデータ転送が19時間で終わる。

EdgeはPythonで書かれたAWSのLambdaファンクションをサポートする。このファンクションに関しては課金の計画がないが、デバイス本体は利用料金が300ドルだ。これは、10日で完了するデータ転送の料金である。それを過ぎると、1台一日あたり30ドルが追加課金される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

フィーチャーフォン用のクロールとインデックスが変わります

フィーチャーフォン」のような機能が限定されたモバイル端末は、コンテンツの表示に特別なマークアップやトランスコーダーを必要とします。しかし、WAP や WML を使ってフィーチャーフォン対応のコンテンツを提供するウェブサイトはかなり減ってきています。Google ではこうした状況を鑑み、フィーチャーフォン向けコンテンツのクロール方法を以下のように変更しました(注: 今回の変更はスマートフォン向けコンテンツには影響しません)。

1. フィーチャーフォン用 Googlebot の廃止

今後は、フィーチャーフォン用のユーザー エージェントを検索のクロールに使用しないことになりました。

2. 「handheld」リンク アノテーションを使用してフィーチャーフォン向けコンテンツを動的に配信

一部のサイトでは、フィーチャーフォン向けのコンテンツを、ユーザーのユーザー エージェントに基づいて動的に配信しています。この設定を認識するための方法として、次のようなフィーチャーフォン用の自己参照型代替 URL リンクを、デスクトップ向けやスマートフォン向けのページに追加していただくことになりました。
<link rel="alternate" media="handheld" href="[現在のページの URL]" />

以前のガイダンスでは、「vary: user-agent」HTTP ヘッダーを使用する方法のみを紹介していましたが、今回の変更に合わせてフィーチャーフォン ページの作成に関するドキュメント(英語)を更新しました。お手数をおかけしますが、このリンク要素をサイトに追加していただきますようお願いいたします。Google がこのリンク要素を認識しユーザーにとって適切だと判断すれば、引き続きフィーチャーフォン用の URL が検索結果に表示されます。

3. Search Console のフィーチャーフォン ツールを廃止

フィーチャーフォン用 Googlebot を廃止するということは、フィーチャーフォン用の特別なサイトマップ拡張機能、Fetch as Google のフィーチャーフォン オプション、フィーチャーフォン用のクロールエラーは必要なくなります。一方、サイトマップとその他のサイトマップ拡張機能(動画Google ニュースなど)、Search Console のその他の Fetch as Google オプションは引き続きサポートします。


今回の変更は、影響を最小限に留めることを心がけました。ほとんどのサイトはフィーチャーフォン向けのコンテンツを配信していないため、これらの変更の影響を受けるサイトは限られるはずです。一方、フィーチャーフォン向けコンテンツを配信しているサイトの運営者様におかれましては、世界中のフィーチャーフォン ユーザーが引き続きコンテンツを快適に利用できるようご協力いただけますと幸いです。

ご質問がありましたら、お気軽にウェブマスター ヘルプ フォーラムまでお寄せください。

MotorolaがMoto ZのTangoモジュールを出すかもしれない…むしろモジュールが合ってる技術か

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歩みは遅いけどしかし確実に、Moto Zはエコシステムができつつある。その将来性のありそうなハンドセットはしっかりとしたスペックを持ち、アドオンも多く、これまでのモジュール化ハンドセットとしてはいちばん完成度が高かった。でも、もちろん、それだけでは足りない。

Motorolaは足りないものを補うべく、デベロッパーに開放して改造を自由にし、このハンドセットの機能を充実多様化するために、ハッカソンまで開催した。

今週シカゴで行われたイベントで同社の社長Aymar de Lencquesaingは、報道陣を前に、同社のZハンドセットに近くTangoモジュールが提供されるかもしれない、と述べた。はっきりしない言葉だし、完全な発表ではないが、パートナーシップとしてはありえる話だ。

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そもそも、Motorolaの親会社Lenovoは、このGoogleの拡張現実カメラ技術の、初めての実装製品を作って発売した企業だ(上図、Phab 2 Pro)。Tangoの現状は、一般消費者の購入動機になりうるほど完成度の高いものではないが、しかしそれでも、Moto Zのような多機能型スマートフォンのアドオンとしては十分だろう。

特別なハードウェア、それに新たにカメラや電池も必要とする技術だから、モジュールにするのがむしろふさわしいし、その方がインドアの3Dマッピングソフトウェアも本領を発揮しやすい。またそれによってMoto Zの、ハードウェア実験のためのプラットホームという位置づけもより確定し、今一般的な2年というスマートフォンのアップグレードサイクルとは無縁な位置を維持し続けられる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

iCalカレンダーにスパムが大量発生、Appleは問題解決に向けて対応中とのこと

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先週頃から突然、iCalのカレンダー宛にブランド偽造品セールといった謎のイベント招待を受け取っていないだろうか。君だけではないよ

ブラック・フライデーの少し前、スパマーたちは新しいスパムを思いついたようだ。iCouldのメールアドレスに通常のEメールではなく、イベント招待のスパムを送りつける手法だ。iCouldはデフォルトでこれを処理し、カレンダーに追加しようとする。これはスパムフィルターをかいくぐり、ユーザーの画面に通知を表示してしまう。特に悪質なものではないが、やっかいなことには変わりない。

数日間の沈黙を経てAppleは問題を認識し、スパマーによりスパムが送られてしまったことについて謝罪した。現在対応している最中という。Appleからの声明は以下の通りだ。

ユーザーのカレンダーにイベント招待スパムが送られてしまっていることに謝罪いたします。現在、問題解決に向けて鋭意取り組んでいます。疑わしい送信者とイベント招待のスパムを特定、ブロックいたします。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

釣果記録アプリのANGLERSが500 Startups Japanなどから数千万円規模の資金調達

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釣りの成果を記録できるアプリを展開する日本のアングラーズは今日、500 Startups Japan、IGNIS LTD、個人投資家から資金調達したことを発表した。調達額は「数千万円台の中間」だという。今回の調達は、500 Startups Japanが今年4月に発表したJ-KISSの新株予約権方式により実施される。また、同社は2015年12月に元クックパッドCOOの山岸延好氏からエンジェル資金を調達しており、今回が同社にとって2回目の外部調達となる。同社は今回利用した資金を利用して、モバイルアプリに続くWebプラットフォームなどの開発を進めていく予定だ。

写真を撮って仲間と釣果を共有

同社が展開するアプリ「ANGLERS」は、釣りの成果の記録と共有ができるアプリだ。釣りの世界では、釣った魚の種類やサイズなどの成果を「釣果(ちょうか)」と呼ぶ。ANGLERSでは、釣った魚の写真を取ってサイズを入力すれば、位置情報、気象情報、その場所の水位などが自動で記録される仕組みになっている。ユーザーは釣果を記録して自分で楽しむだけではなく、それを釣り友達との間で共有して楽しむことができる。しかし、釣果が共有されるのは限られた範囲のみだ。

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「釣りの世界では基本的に、リアルな釣り仲間以外には釣果を人に教えたくないというのが一般的。よく釣れる場所などを公表してしまうと、その場所に人が集まるようになり、結局その場所で釣れなくなってしまう」と語るのは、自身も大の釣り好きであるCOOの藤井紀生氏だ。そのため、同アプリでは釣果の公開範囲が招待コードで友達登録済みの仲間内のみに限られていることが特徴の1つとなっている。しかし、ANGLERSが提供するのはこのような半クローズドな世界だけではない。

ANGLERSでは、アプリで参加できる釣り大会を定期的に開催している。期間内にアプリを通して釣果を記録し、その記録を全国のANGLERSユーザーと競い合うことができるのだ。優秀な成績を収めれば協賛企業から提供された賞品を手に入れることも可能だ。今年は合計で22大会を開催しており、直近の大会での参加ユーザー数は約1000人だったという。

このような取り組みの他にも、アプリには釣りの分析機能も備わっている。「現状で提供できるのは釣った魚の種類や平均サイズくらい」だが、将来的には、水位などの環境データと釣れる魚の種類などの相関関係を提供していく。「釣り業界は感覚的なところが大きい。偉い人が話した言葉が根拠もなく神格化されてしまう。ANGLERSでは、データを根拠にした分析を提供していきたい」と藤井氏は語る。分析に必要なデータは1魚種あたり10万件程度だ。データの量だけで考えれば、魚種によっては現状でも分析機能を提供できる状態ではあるが、機能を実装するまでのタイムラインはまだ未定だという。

釣果登録数28万件、ユーザーは11万人突破

現在、同アプリを通して記録された釣果の数は28万件、ユーザー数は11万人となっている。2013年7月のリリース以降、この数字は順調に成長中だ。藤井氏が競合として名前を挙げたのは、同じく釣果記録アプリのFishBrainだ。同アプリは去年の7月にリクルートが出資したことでも話題になった。「他社では150万人ユーザーがいて、釣果件数は70万件くらい。つまり、ユーザー1人あたりの釣果登録件数は約0.5件ということになる。それを考えると、ユーザー数に対する釣果登録率(ANGLERSの場合は2倍以上)で考えれば他社にも引けを取らないのではないかと考えている」と彼は話す。

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同社によれば、日本の釣り人口は700万人から800万人程度。そして、その約半数を占めるのがルアーフィッシングで、ANGLERSがフォーカスするのもこの分野だ。実際、これまでに登録されている釣果の60%がルアーフィッシングの一種である「ブラックバス釣り」の釣果だと言うことだ。ルアーフィッシングは釣りの中でも比較的若い層に人気があり、ANGLERSユーザーの年齢層も35歳から45歳とのこと。釣りと言うと年齢層が高いイメージがあったので、その層をモバイルアプリでどれだけ取り込めるのかと思っていたが、この程度の年齢層であれば問題なさそうだ。

釣果のC2C取引、Webプラットフォーム、フォロー機能などを追加していく

今後のマネタイズの方向性について聞くと、「広告モデルはもちろん、釣果の個人間取引サービスなどを考えている。釣りは何時間もかけて行くものなので、きちんと整理された釣果データには需要があるはずだ」と藤井氏は話す。釣りブログなどを見れば、どこで、どの魚が釣れたという情報を断片的に手に入れることはできるだろう。しかし、アプリによって自動的に整理され、かつデータに裏付けされた釣果には価値が生まれる可能性もある。藤井氏は想定される釣果の単価について、「この辺りが釣れるというような、低いレベルの情報であれば50円から100円だが、ピンポイントかつデータの裏付けのある釣果であれば、一件あたり1000円程度も考えられるのではないか」と話す。

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株式会社アングラーズCEOの若槻嘉亮氏

株式会社アングラーズの創業は2012年10月だが、当時の企業名は「株式会社FIXA」だった。全員が34歳という創業メンバー3人の「モバイルアプリで起業したい」という想いで設立されたFIXAだが、創業後は2週間に1つのペースでプロトタイプを製作するなど、当初はなかなか方針が定まらなかった。「ジェネリック医薬品などに関するアプリも作ってみたりもしたが、それらのプロトタイプは、僕らが「あったらいいな」と思うレベルのものばかりだった。最後までやり切るためには、創業メンバーが熱をもつ「釣り」という分野で勝負することが重要だと考え、社名もアングラーズに変更し、釣果アプリのANGLERS一本で行くことにした」と藤井氏、そしてCEOの若槻嘉亮氏は話す。その後も、開発費用を捻出するために受託開発を行うなど紆余曲折を経験してきたアングラーズ。その後やっとの思いで熱中できるプロダクトを見つけた同社は、今回調達した資金を利用してANGLERSを単なるモバイルアプリから、もう1つ先の段階へと進化させる。

具体的には、モバイルアプリでインプットした情報の一部を、外部に公開するためのWebプラットフォームだ。冒頭で釣り人は釣果を公開したがらないと述べたが、藤井氏は「ここまでなら公開してもいいと思うようなラインがある。それをWebで公開できるような仕組みを作ることで、アプリを持ってない人でも釣果を見れるような場所を提供したい」と話している。それに加え、Webプラットフォーム上で釣具の比較ができる機能なども実装していくという。

このWebプラットフォームに先がけ、アングラーズは今月初旬にも新バージョンのモバイルアプリをリリースする。その新バージョンでは、それぞれのユーザーがプロフィールページを持つことができ、そこで好きな釣りの種類などをアピールすることが可能になる。また、Twitterのようなフォロー機能も実装される予定だ。

釣り好きの、釣り好きによる、釣り好きのためのアプリANGLERSは、iOSAndroidで利用可能だ。

Netflixで映画やテレビ番組がダウンロード可能になった―こうすればよい

アメリカではNetflixがダウンロード視聴機能を追加したことが大いに歓迎されている。しかしどうやってダウンロードしたらいいのか? 多少分かりにくいかもしれない。そこで簡単なチュートリアルを作ってみた。ビデオはiOSアプリの例だが設定やダウンロード方法について簡単に示してある。ビデオにもあるように現在オフライン視聴ができるのはNetflixがダウンロード可能と指定したコンテンツだけだ。

ダウンロードにはそれほど面倒な手順が必要なわけではないが、どこに行けばいいのか一見したところ明白ではない。ユーザーの環境によってダウンロード画質の調整なども可能だ。ビデオで説明しているので参考にしていただきたい。

〔日本版〕ダウンロードはiOS 8.0、 Android 4.4.2以降で可能という。日本のNetflixでのダウンロードについては不明だが権利関係が簡単な独自番組についてはダウンロード視聴ができるようになるはず。ビデオによれば、左上のハンバーガーメニューでAvailable for Downloadセクションが表示されればオフライン視聴が可能。コンテンツを開き、Donwloadアイコンをクリックするとダウンロードが始まる。ハンバーガー・メニューの最後のアプリ設定から画質その他の設定が可能。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleからApp Maker登場―ドラグ&ドロップで誰でもG Suiteアプリが作れる

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今日(米国時間11/30)、GoogleはApp Makerをリリースしたことを発表した。このプロダクトはコーディングをほとんど必要とせずドラグ&ドロップでアプリを作るサービスの市場に大きな影響を与えそうだ。

Microsoftその他数多くのライバルの製品と同様、App Makerも「誰もが簡単に手早くベーシックなアプリを作れるようになる」という。組織内で特定の処理のためにアプリを必要とする場合、理想的なソリューションになるかもしれない。

新サービスはクラウド・ベースのドラグ&ドロップ開発環境で、ユーザーインタフェイスを作成し、その中にG Suiteの各種アプリを埋め込むことができる。利用できるコンテンツにはGoogleマップ、連絡先、グループなどAPIが利用できるGoogleアプリのほとんどが含まれる。App MakerはコンテンツのG Suiteアプリと同一のインフラ上で動作する。 IT管理者はApp MakerのアプリをGmail、Googleドライブ、その他のG Suiteアプリとまったく同様にセキュリティーやアクセス権などを細かく設定できる。

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こうしたアプリが必要とされる代表的なケースは時間管理、受注・在庫管理など、比較的単純な処理でデジタル化されたデータが簡単に得られるような組織内業務だろう。

GoogleによればApp Makerを使う利点は、まず第一にユーザーはインフラに注意を払う必要がまったくないことだという(「サーバーレス・ソリューション」がバズワードだ)。しかも組織ごとに異なる特定のニーズを解決するためにいちいちデベロッパーの手を煩わせる必要がない。ユーザーに知識があり、さらに詳細なカスタイマイズがしたい場合はそれも可能だ。サービスにビルトインされているエディターを見た感じではフル機能のIDEのようだ。

App Makerは当面Googleの G Suiteビジネス向けアーリー・アダプター・プログラムの登録者が対象だ。

App Makerの発表と同時にGoogleは今日、いくつかのアプリを推薦プログラムと認定し、Recommended for G Suiteプログラムに追加した。これらのプログラムはG
Suiteとの適合性が高いというお墨付きを得たことになる。またセキュリティー脆弱性についてもGoogleのテストに通っている。今回発表された新しいパートナーはVirtru、LumApps、DocuSign、Freshdesk、Zoho Invoice、Xero、Asanaの7つだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AWS re:Inventでバーチャル・プライベート・サーバー、Lightsail発表―5ドル/月より

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今朝(米国時間11/30)のAWS re:InventカンファレンスでAmazonは新しいバーチャル・プライベート・サーバー〔VPS〕を発表した。料金は1台当た月5ドルからだという。このVPSサービスはLightsailと呼ばれ、ユーザーはクラウド上で簡単にサーバーを立ち上げることができる。しかも低価格で設定や管理の面倒な点は表に現れない。

AWSのCEO、Andy Jassyによれば、サーバーの立ち上げに通常なら必要とされる技術的知識をLightsailのユーザーは一切必要としないという。

またJassyはユーザーはメニューから必要とするオプションを選ぶだけでよいと説明した。 たとえばまずOSとしてUbuntuを選び、 あらかじめ付属する5つのバンドル(CPU、ストレージ、メモリなど)でVPSに必要なスペックを選択する。最後に名前を付けるだけで、すぐに作動させることができる。

クラウド上でバーチャル・マシンをスタートさせるために必要な各種の作業、たとえばストレージやセキュリティーを設定するなどの作業は非常に煩雑かつ技術的知識を必要としがちで、これがVPSの利用にあたって大きなハードルとなっていた。

Trinity Venturesのパートナー、Dan ScholnickはTechCrunchのインタビューに対し「この発表はAWSがマーケットを拡大しようとしていることを示す動きの一つだ。AWSは既存分野を守ることにも容赦ないが、可能性があればどこへでも出て行き、ライバルの弱みを攻撃する。ここ数年はAmazonのエンタープライズ市場への進出が注目された。今回の発表はデベロッパーに低価格で簡単にコンピューティング・パワーを提供するというAWSのデジタル・ビジネスの出発点に戻り、弱点を補強する動きだろう」と述べた。

面倒なしにサーバーを手早く立ち上げたいスタートアップやデベロッパー(個人かもしれない)にとってLightsail VPSは朗報だ。もちろんユーザー全般に向くプロダクトではない。それなりの技術的知識があり、自分が何を必要としているかよく知っているユーザー向けのプロダクトではある。しかしそのようなユーザーにとっては詳細なオプションが簡単に選択でき作業は大きくスピードアップする。スタートアップの立ち上げコストを削減するのにも大きな効果があるはずだ。

〔日本版〕AWSのカンファレンス関連記事に関しては下のバナーから参照できる(英語版)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

SUSEがHPEのOpenStackおよびCloud Foundry関連資産(そして人材)を買収

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SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。

今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。

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SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。

SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。

SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。

しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートセキュリティカメラCanaryの映像を自宅のApple TV(大画面)で見られる

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セキュリティカメラのCanary が今日(米国時間11/29)、顧客の不満のひとつを解消した。これまでは、カメラの像をテレビの大画面で見たくても見れなかったのだ。今日からはCanaryのアプリの新バージョンにより、Apple TVがサポートされた。これで、カメラが捉えるリアルタイムの映像や、録画されていた記録をテレビで見ることができる。

これでCanaryはさらに便利になる。それまでは、カメラが捉える映像をスマートフォンでリモートで見れることが、同製品の魅力だった。もちろんそれも便利だが、たとえば子どもが庭で遊んでいるときなどのように、自宅で単純にモニタしていたい場合もある。あるいはパーティーを主催したときには、誰の車がどこに駐車しているかが分かるだろう。

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Canaryのカメラが一台だけのユーザーには、今度の新しいApple TVアプリはいきなりダッシュボード画面を立ち上げる。そこでは、ライブの映像を見るか、タイムラインにアクセスするかを選択できる。複数台使っている人の場合は、ロケーション画面から、どれかの場所を選ぶ。

そして、見たい映像のサムネイルをクリックすると、それが大写しになる。またApple TVのメニューボタンをタップしてひとつの映像を見たら、タイムラインからそのイベントを消したり、あるいはブックマークしておける。

“Related Videos”(関連ビデオ)のところでは、タイムライン内の‘次’や‘前’のイベントに行ける。

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Canaryは199ドルの家庭用セキュリティカメラだ。その最新製品には、Canary Flexというワイヤレス接続タイプもある。同社はIndiegogoでスタートしたが、その後は4100万ドルあまりのベンチャー資金を調達している。同社のWebサイトのほかに、今ではAmazon, Best Buy, Home Depot, Walmart, Apple, Verizonなどでも買える。

消費者にアッピールした理由は、手頃な価格と使いやすさだ。セットアップは簡単だし、モバイルアプリも単純で使いやすいから日常的な利用はさらに一層簡単だ。

Canaryのアプリのニューバージョン(v2.0.2)は、Apple TVのサポートと並んで、タブレットがサポートされる(iPadとAndroid)。そしてAndroid Wearも。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

とにかくロードが早いHTML5ゲームを初披露、Blackstormが目指すアプリ開発の未来

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友人と楽しむアプリやゲームのローンチに数秒もかからない未来をErnestine Fuは思い描いている。数秒ですら長いくらいだ。

この構想の下、Blackstormは誕生した。Blackstormは素早く起動するアプリを制作するツールを備えた開発プラットフォームだ。App Storeで入手できるアプリと同じようなアプリを制作できる。BlackstormのアプリはHTML5で駆動し、メッセンジャーアプリやブラウザといった異なる環境でも利用することができる。今月にはゲームスタジオを新設し、このテクノロジーを使って初のゲームタイトルをいくつかFacebookのインスタントゲーム向けにローンチした。

このようなプラットフォーム、そしてBlackstormがローンチするゲームの特徴は、「瞬時に」ゲームがロードすることだ。Facebookの「インスタントゲーム」の名称が示している機能だ。BlackstormはHTML5のテクノロジーを最大限活用する一連のカスタムツールを構築し、ゲームの全アセットと要素の早いロードを実現する。少ないデータ量でも、従来のアプリにあるパーティクル・エフェクトや画面上で個別に動くスプライトを多く置くことを可能にしている。

「最大の点は、いかに迅速な開発を可能にし、今利用できるテクノロジーの限界に挑戦できるかです」とBlackstorm共同ファウンダーのFuは話す。「実際に何を制作できるか、何を表示できるかの限界に挑戦しています。Facebookのプラットフォーム、特に今回ローンチするゲームについては、ユーザーがゲームの開始ボタンをタッチした瞬間に動かなければなりません。人々が慣れ親しんだアプリストアの体験とは違います。基本的に、ゲームのすべてが5MB以内に収まっている必要があります」。

今日ローンチするゲームは2種類だ。1つはEverWingで、これは妖精のグループを操作してモンスターと戦う内容だ。昔ながらの宇宙空間で戦うゲームにファンタジー要素を加えたような見た目だが、メインのゲーム以外にも物語は広がっている。

2つ目はPuzzle Bobble Blitzだ。「Bobble(ボブル)」の部分でピンとくる人もいるかもしれない。Blackstormはタイトーのブランドと協力し、バブルが弾けるパズルゲームを開発している。定番ゲーム「バブルボブル」の派生版で、ここ10年で広まったモバイル端末のゲームスタイルを加えている。

「誰もがこのタイプのゲームで遊んだ経験があると思います」とFuは言う。「これはとても洗練したバージョンで、これからはFacebookで友人と遊ぶことができます。私たちはそのことにとてもワクワクしています。多くの人がこのゲームに親しみを持つでしょう」。

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競争的な要素は随時更新されるリーダーボードシステムにある。メッセンジャーのスレッドで友人とゲームをしている場合、常に最新のリーダーボードにアクセスすることができる。Blackstormには、さらに大きなグループの「Blackstorm Battle Group」がある。ここではそれぞれの高得点を閲覧することができ、競争心に火を付ける仕掛けだ。

もちろん、Facebookのインスタントゲームの開発は彼らにとって始まりにすぎない。Facebook Messengerやニュースフィードを介して何十億人の前にゲームを展開できたとしてもだ。Blackstormの目標はゲームや他のアプリ開発を裏で支えるテクノロジーを提供することだ。Facebookのインスタントゲームのように、異なる環境下でもアプリが瞬時にロードすることが求められる場合に対応している。

Blackstormが手がけるゲームは同社が発明し、構築している内部の開発環境で制作している。Xcodeに似ているとFuは話す。数週間から1ヶ月以内にはIDEと開発者向けツールを外部にも提供する予定だという。Blackstormは今年、3350万ドルの資金調達を実施したことを発表している。BlackstormのアドバイザーにはアメリカのSegaでチーフを務めるTom Kalinske(ソニック・ザ・ヘッジホッグに感謝!)、Zyngaの共同ファウンダー Justin WaldronとPlaydomのCEOであるJohn Pleasantsが含まれている。

このプラットフォームに開発者を引き込むのも課題だ。App Storeはゲームを始めアプリの最大の配信手段となっている。開発者をそこから剥がして、新しい開発環境とプラットフォームに移行してもらうハードルは高い。App Store経由でゲームを入手したユーザーに対して開発者は、クロスプラットフォームで他のゲームを宣伝することもできる。

しかしApp Storeが開発者にもたらす機会は、非効率で、時に数百メガバイトに及ぶゲームを最初にダウンロードするような労力をユーザーに強いているからだ。だが、App Storeのおかげでユーザーが多く集まるメッセージプラットフォームや他の代替サービスも誕生した。AppleはApp Storeでの体験をよりシームレスにしようと取り組んでいる。彼らは、ユーザーが何回も戻ってきたくなる方法を見つけだすかもしれない。しかし、少なくともBlackstormのような会社がApp Storeの時代以降の開発環境を作ろうと考える余地も残しているようだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

ロシア政府がJollaのSailfish OSを初のAndroid代替OSとして認可

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残り少ない独立系モバイルOSプラットフォームのひとつである、JollaのSailfish OSの未来が少しずつ見え始めてきた。他社へのライセンシングを目的に、Sailfish OSのコアコードの開発・保守を行っている、フィンランド生まれのJollaは、本日同OSがロシア政府および企業で利用されるために必要となる認証を取得したと発表したのだ。

近年ロシア政府は、AndroidとAppleのiOSの複占市場となっているモバイルOS界で、2つのOSを代替できるようなシステムの開発を奨励しようとしており、SailfishとTizenがその候補に挙げられていた。現状では、SailfishがTizenよりも、Androidの代替OSとして優位に立っているようだ。

さらにロシア政府は、海外製モバイルOSへの依存度を抜本的に減らしたいと語っている。具体的には、2015年の段階でAndroidとiOSが市場の95%を占めているところ、2025年までにはこの数字を50%以下にしたいと考えているのだ。

Sailfishがロシアの認証を取得する前に、今年に入ってからOpen Mobile Platform (OMP)と言う新たな会社が、ロシア国内の市場向けにSailfishプラットフォームのカスタマイズ版を開発する目的で、同OSのライセンスを購入していた。つまり、ロシアにとって極めて重要な”Androidの代替OS”は、現在Sailfishをもとに開発が進められているのだ。

OMP CEOのPavel Eygesは声明の中で「私たちは、オープンソースベースで作られ、他のOSに依存していないSailfish OSこそが未来のモバイルOSプラットフォームだと考えています。このOSは、ロシア以外の地域でも活躍できる可能性を秘めています。Sailfish OS RUSは、さまざまな人の参画やパートナーシップの上に成り立っており、ロシアを新たな高みに導くようなイニシアティブに向けて、私たちは積極的にパートナーやディベロッパーコミュニティに協力を働きかけていきます」と語っている。

他の独立系OSとは違って、SailfishはAndroidアプリと互換性を持っているため、MozillaのFirefox OSなど、なかなかユーザーが増えないOSに比べ、利用できるアプリの数において優位に立っている。なお、TizenでもいくつかのAndroidアプリが使えるようになっている。

Jollaは、TechCrunchの取材に対し、同社の投資家に今回Sailfishのライセンスを購入したOMPが含まれていることを認めた。そのため、昨年シリーズCを期間内にクローズできずトラブルに見舞われた(その後復活した同社は、今年の5月に再度資金調達を行い、1200万ドルを無事調達した)Jollaは、今後間違いなくB2Bのビジネスに注力せざるを得なくなる。

つまり今後Jollaは、インドのIntexのように、消費者に対してSailfishが搭載されたデバイスを販売している企業にOSをライセンスすることよりも、企業や政府に対してデバイスを販売している企業へのライセンシングに注力していくことになる。世界的にみれば、消費者向けデバイスにおけるAndroidの支配率はかなり高く、企業や政府の方が、データ・セキュリティについて専門的かつ差し迫った問題を持っている上、政府のサービスインテグレーションに対するニーズなどを考慮すると、この戦略にも納得がいく。

さらにJollaは、最近Sailfishが、ロシアのソフトウェアやデータベースに関する統一登録簿に追加されたと話す。これにより、今後ロシア政府やロシアの公企業は、モバイルデバイス関連のプロジェクトを行う際に、SailfishをOSとして利用することができるのだ。

Jolla会長のAntti Saarnioは、この登録プロセスに2015年の春から1年半近くかかったと語る。「登録プロセスは大がかりかつ長期に渡り、私たちもかなり力を入れてきました。まずは、ロシア情報技術・通信省が作成した代替モバイルOSの長いリストからスタートし、その後数が絞られていった結果、最終的に2つのOSが技術分析の対象となりました。ひとつがTizenで、もうひとつが私たちのSailfish OSでした」

「数ヶ月間におよぶ徹底的な技術審査を終え、彼らはようやくSailfish OSをコラボレーションの相手に選んだのです。その後、ロシア政府がSailfishベースでありながらも、独立したOSを利用できるように、Sailfishのロシア版のようなものを、私たちは現地企業と共同開発しました」

「ロシア政府は、監査・認証のプロセスを経た国家ソフトウェアのリストを持っているんですが、現在のところSailfishだけが、モバイルOSとしてそのリストに含まれています」と彼は付け加える。

ロシア版のOSは、Sailfishの派生物にはならないとSaarinoは強調する。むしろこのモデルは、ライセンシングパートナーのニーズにあわせて、Jollaがそれぞれのバージョンを開発するための土台となるものなのだ。ただし、コアコードは全てのバージョンで同じものが使われることになる。

同時にJollaは、拠点をロシアへ移し、アメリカ以外のひとつの国でだけ、AndroidとiOSに太刀打ちできるようなOSを開発するつもりもない。同社は、フィンランドにヘッドクオーターを置き続け、現在ロシアで取り組んでいるようなプロジェクトを、他のBRICs諸国へも展開していきたいと話しているのだ。

「私たちの使命は、OSをさまざまな目的に適合させ、その効率性を保つことです」とJollaのCEO兼共同ファウンダーであるSami Pienimäkiは話す。

「基本的に、私たちはSailfishをオープンソースのままにして、(ライセンス先に対して)常に最新のバージョンを提供しようとしています。ここでのJollaの責務かつ役目は、Sailfishの派生OSをつくらずに、ライセンス先企業とのコラボレーションを通じてのみ、Sailfishのカスタマイズ版を開発するよう徹底することです。私たちは、このモデルが他の市場でも成功すると信じています」と彼は付け加える。

「Jollaがロシアで成し遂げたのは、国家に対して自社のコードをベースにした独立モバイルOSを、自分たちのリリース方法で提供するという実例を作ったことです。私たちが知る限り、このような例は現在世界中で他には存在しません」とさらにSaarnioは続ける。

「世界中にはたくさんの国家が存在しますが、私はそのうちの多くが自分たち専用のサービスを求めていると考えています。そして、相手がロシアであるかそれ以外の国であるかに関わらず、実際に彼らにサービスを提供する方法について、少なくとも私たちにはノウハウがあります。今後は新たな顧客や国にアプローチして、ロシアで構築したモデルを他国で再現していきたいと考えています」

Sailfishは、大企業の支配が及ぼない独立系かつオープンなOSであるため、目的に応じてコラボレーションやカスタマイズをするのに最適です

「ある国が、自分たちのデータを管理するために、独自のモバイルOSを必要としているとしましょう。そして、彼らは既にクラウドソリューションなどへ投資しているとした場合、彼らの頭の中にすぐに疑問が浮かんできます。『それじゃ、専用のモバイルOSの開発には、どのくらい時間がかかって、いくらぐらいの資金が必要になるんだ?』これは普通であれば、答えるのが大変難しい問題ですが、今の私たちであれば、半年でここまでできると回答することができます。既にロシアでの実施例があり、予算感も把握しています。そのため、ロシアでのパイロットテストが完了すれば、私たちの顧客候補となる国は、具体的な情報をもとに判断を下すことができるんです」

2015年2月に、ロシアの情報技術・通信大臣であるNikolai Nikiforovは、「グローバルITエコシステムの非独占化」を求める発言をし、国内のディベロッパーが、SamusungのTizenとJollaのSailfishをサポートするよう、両社のプラットフォームへのアプリの移植に対して助成金を交付していた。

さらに同年5月、Nikiforovは、Jollaの株主にフィンランド、ロシア、中国の投資家が含まれていることに触れながら、Sailfishのことを”ほぼ国際企業”だと表現していた。

「私たちは、オープンなOSをベースとした、クローズドなモバイルプラットフォームを独自に開発する必要があると考えています。そのような構想をサポートする準備はできていますし、きっとBRICs諸国のパートナーもその計画に賛同してくれることでしょう。インド、ブラジル、南アフリカの戦略投資家も、いずれSailfishに参加することを私たちは願っています」と彼は当時語っていた。

また、フィンランドとロシアの物理的な距離がロシア政府の好感につながり、SailfishがTizenに勝つ要因のひとつとなった可能性も高い。

「Sailfishは、大企業の支配が及ぼない独立系かつオープンなOSであるため、目的に応じてコラボレーションやカスタマイズをするのに最適です」とPienimäkiは、Sailfishが選ばれた理由について話す。

OMPのロシア版Sailfishには、カスタマイズの結果、追加でセキュリティ機能が搭載される予定だ。Sailfishのプラットフォーム自体は既にロシア語をサポートしているため、ローカリゼーションは必要ない。「現在私たちはセキュリティ機能の強化にあたっています。さらに、顧客のニーズに合わせてOSのセキュリティレベルを上げられるように、OS用のセキュリティ・イネイブラーの開発も進めています」とPienimäkiは言う。

Jollaは以前、セキュリティ機能を強化したSailfishのバージョンを開発するため、どこかの企業とパートナーシップを結ぶ意向を示していた。Pienimäkiは、OMPとの協業がその結果だと言う。

「私たちは顧客の望む機能を実現し、OS用のイネイブラーを開発し、ソースコードや、システムの透明性、ライセンシングモデルなどを提供していますが、最終的なソリューションの実装は、その地域ごとの規制やアルゴリズムなどを理解した、地元企業が行うことが多いです。さらに、地元に根づいたテクノロジーを利用するほうが好まれるということも理解できるため、その地域のテクノロジーとの統合についても、地元企業に一任しています」と彼は話す。

Sailfishを搭載したデバイスが、実際にロシア市場に投入される時期については、未だ明確になっていないが、Pienimäkiは2017年中には実現するだろうと話している。さらに彼は、市場に製品が出るまでの最初のステップとして、公企業でパイロットプロジェクトが行われる予定だと付け加えた。

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またSaarnioは、長期的に見て、消費者もプライバシー機能が強化されたAndroidの代替OSを求めるようになると自信を持っているが、現段階では市場がSailfishを求めてはいないと認め、Indexが次の(上図のような)Sailfishデバイスを発売する予定もないと言っている。だからこそ、Jollaはビジネスモデルを、B2BやB2B2Gのライセンシングパートナシップモデルへと切り替えたのだ。

さらにJollaは、現在中国や南アフリカ政府ともSailfish導入に関する議論を進めている。

「中国はロシアよりも、交渉が難しい国です。しかし今回のロシアの例が、中国政府にとってかなり具体的なプロジェクト提案になると言え、さらに彼らは明らかにSailfishのようなソリューションを必要としています」とSaarnioは語る。

「さらに私たちは、他のBRICs諸国とも話を進めており、南アフリカとの議論や交渉も進行中です。しかしもちろん、普通の企業である私たちには、政治的な意図はありません。そのため、独立系OSの必要性や課題を持っている国であれば、どんな国とも喜んで議論をしていくつもりです」

また資金面に関し、Jollaは次の投資ラウンドを検討してはいるものの、新しいビジネスモデルのおかげで資金ニーズは減っているとSaarnioは話す。

「ライセンス先となる法人顧客へとターゲットを変更した結果、Jollaのキャッシュフローも増加しています。そのため、私たちはエクイティ過多の財務体質から脱却しました。しかし当然新たな資金は必要となるため、新しいライセンス先の獲得に努め、新たな顧客からの収益でキャッシュフローがポジティブになるよう願いながら、外部資金調達の計画も立てています」

また、JollaはSailfishを”オープンソース”と表現しているものの、プラットフォームの一部の要素は依然として公開されていない。同社によれば、この部分についても出来る限り公開しようとはしているものの、リソース不足から計画は思うように進んでいない。

「私たちは、プラットフォームの非公開箇所の公開に向けて努力を続けており、今はUIやアプリケーションのレイヤーを優先して、段階的に情報を公開していくつもりです。具体的な計画の詳細については、準備ができ次第発表します。いずれにせよ、私たちはこの課題に本気で取り組んでいきます」とPienimäkiは話す。

「私たちが採用している、ライセンス先企業とのコラボレーションモデルからも恐らく分かる通り、顧客もライセンシングとオープンソース、コラボレーションを組み合わせた形を望んでいます」

「オープンソースとは、実は私たちにとっての投資でもあるんです。ただソースコードを公開したからといって、みんながハッピーになるわけではありません。私たちがそのプロセスをサポートすることによって初めて、コミュニティ内の人たちが公開されたソースコードから意味のあるものを作ることができるんです」とSaarnioは語る。

「そして私たちのような企業にとって、これは大きな投資だと言えます。しかし、Jollaは今の道をこのまま進んでいくつもりでいると同時に、この投資が無駄になることがないよう、きちんとそのプロセスを管理しようとしています」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

日本の3大メガバンクが全銀システム業務にブロックチェーンを適用する実証実験、bitFlyerが新アルゴリズムを提供

ブロックチェーン技術の実ビジネスに適用する試みが盛んになる中で、図抜けてインパクトが大きな実証実験が登場した。みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、三菱UFJフィナンシャル・グループという日本の3大メガバンクが参加する実証実験の報告書をデロイトーマツグループが公表したのだ。TechCrunch Japanの目線からは、日本のビットコインスタートアップであるbitFlyerが実証実験での環境構築および「PBFT(Practical Byzantine Fault Tolerance)類似の独自のコンセンサスアルゴリズムを開発して提供する」という重要な役割で参加していることに注目したい。

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実証実験のイメージ。トランザクション検証を担う「コアノード」とトランザクションを生成する「アプリノード」に分けてシステムを構築した。

実証実験の範囲は、銀行間の決済において、現状では「全銀システム」が担当している「ペイメント」業務をブロックチェーン技術により置き換えるものだ。実験規模として144行の銀行が参加する前提でシステムを構築し、スループットとして取引1500件/秒(1拠点での実験)という能力を確認した。144行という数字は、現行の全銀システムでの参加者数を参考に設定したもの。また全銀システムのピーク時処理能力は1388件/秒とのことだ。つまり、今回の実証実験は、全銀システムの機能をブロックチェーン技術により置き換えるポテンシャルがあることを実証したといえる。報告書では「当該領域に対してブロックチェーン技術の適用可能性があるものと考えられる」と慎重な表現を使って評価を記している。

報告書には「コンセンサスアルゴリズムとしてPBFTに類する仕組み」を採用し、アルゴリズムはbitFlyerが独自に開発したアルゴリズムを採用したとある。コンセンサスアルゴリズムは、ブロックチェーン技術を構成する技術要素の中でも非常に重要性が高い。ビットコインでは計算競争に基づくPoW(Proof of Work)、日本で実証実験の実績を積み上げつつあるmijinではノードの重要さを評価するPoI(Proof of Importance)、コンソーシアムブロックチェーン向け技術として注目が高まっているHyperLedgerではノード数が既知の分散システム向けのPBFTを使う。コンセンサスアルゴリズムに何を利用するかで、ブロックチェーン技術の特徴の相当の部分が規定されてしまう。PBFTは、従来のコンセンサスアルゴリズムに比べ金融機関にとって重要なファイナリティ(決済の確定性)を満たす点、またスループットが高い点が評価されている(ただしパブリックブロックチェーンには向かない)。残念ながら報告書からはbitFlyerの独自アルゴリズムがPBFTに対してどのような改善点があるかまでは分からない。また、今回の実証実験で使われたブロックチェーン技術の固有名詞の記載もない(文脈からはHyperLedgerではないかと想像できるのだが、そうではないかもしれない)。情報量では物足りない部分もあるが、日本のスタートアップの技術がメガバンクのブロックチェーン実験の中核部分に使われたことは、素直に面白いと思える。日本の「ブロックチェーン界隈」からは、まだまだ面白い動きが飛び出してきそうだ。

Adidasのお店ではセンサーを靴につけてあなたの歩きや走りを分析しアドバイスする

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木曜日(米国時間12/1)にAdidasは、タイムズスクエアの近くに新しい主力店を開く。このドイツの大手製靴企業の小売ショップとしては今回が世界最大で、近くロンドンにも同じ規模の店を開く。今後も世界各地で、このような店舗の刷新が行われるようだ。プレス向けの内見会にぼくも行ったが、なにしろすごい。複数階あり、お客が店内のスポーツ関連イベントを見るための、野球場の外野席ふうの観客席がある。コールドプレス(低温圧搾)のジュースバーがある。そして、たくさんのたくさんの靴がある。

カスタムシューズ(注文靴)をデザインしてもらえるコーナーがあり、同社の海洋廃棄物キャンペーン(環境団体: Parley for the Oceansとの提携)を表す要素もいくつかある。たとえば、海洋廃棄プラスチックをリサイクルして作った洋服ハンガーだ。

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地下はトレーニング場だ。お店常勤のトレーナーから、無料で診断を受けられる。無料といっても、Adidasのランニングシューズをすすめられるのは、しょうがない。もちろん買わなくてもよいが、あらゆるおすすめを断り、何も買わずに店を出ることは、そう、かなり難しい。

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いちばんの主人公は、同社が内製した歩行走行分析システムRun Genieだ。ほかのスポーツ靴店にはカメラを使ったシステムがあるが、こちらは二つのセンサーを靴紐のところにクリップする(最上図)。人間がビデオの映像を見るよりも、精密な測定ができる。初心者から中級者向けのシステムで、約40歩走ると結果が分かる。

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システムは、そのランナーが回内しているか回外しているか、着地したとき足が蹴っているかなどを、内蔵の加速度計で判断する。その情報はユーザーにメールで送られる(プライバシー保護のためサーバーには保存されない)。そしてもちろん、問題の矯正に役立つ靴を、すすめられる。

このような、小売店のテクノロジー化はドイツで数店試し、アメリカでは今回初めて、新しいニューヨーク店のグランドオープンに合わせて導入される。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

フロントエンド開発の未来はデザインそのもの

Software developer programming code on computer. Abstract computer script source code.

【編集部注】著者のCarson MillerはイノベーションストラテジーとデザインファームFahrenheit 212(現在はCapgemini Consultingの一部)のデジタルヘッドである。

私たちの子供たちにコード作成を学ばせるべきか?この質問は、最近のディナーパーティーで私が受けたものだ。社会的サークルの中で、キャリア全体でソフトウェア開発に携わってきた唯一の人物の1人として、私はこの種の質問を頻繁に受けている。そのときの私の対応はとても肯定的で、その選択がきわめて明白であるすぐに思いつく理由をいくつか紹介した。

その時の会話はそれで終わったが、その質問は私の心に残ったままだった。おそらくその理由は、「コード作成」というフレーズにある。これはあまりにも多くの意味を内包しているのだ。自動運転、バーチャルリアリティ、その他の野心的な将来の技術を構築するために必要な、膨大な課題に注力するエンジニアの役割が常に存在していることを、私たちは否応なく思い浮かべるが、これらが私の友人たちがその子供たちのために心に描いていたものかどうかは自信がない。

もし彼らが、子供たちがウェブやモバイルアプリのコードを行う未来を想定していたのなら、私は正しい推奨をできたかどうかが疑問だ。デザインツールとソフトウェア開発インフラの大幅な技術革新を考えれば、このタイプのコーディングは、将来的には劇的に違って見えるものになるだろう。実際、設計と開発の境界線はもはや存在せず、製品を市場に出すために必要なスキルセットとチームには根本的な変化が起きることになる。

開発への障壁は急速に消滅しつつある

過去10年間、ソフトウェア製品をローンチするためのコストは指数関数的に減少してきた。たとえば、元々のドットコムブームの際には、資本の中の大きな部分をサーバー、インターネット帯域幅、ソフトウェアライセンス、オフィススペースなどが占めていたため、インターネットスタートアップのローンチにかかるコストは数十万ドルに及んだ。それ以降、Amazon Web Servicesのようなクラウドインフラストラクチャ、GitHubのような開発ツール、Ruby on Railsのようなオープンソースフレームワーク、検索のためのAlgoliaのような便利なバックエンドサービスが登場し、10年前に比べればほんの僅かなコストで、迅速なデジタル製品開発を可能にした。もし現在、あなたが時間とデザインと開発のスキルを持っていれば、数百ドルで製品を開発してローンチすることが可能だ。

デザインと開発は収束しつつある

新製品の構築はとても容易になった一方で、ユーザーが好む製品を生み出すことは大きな課題だ。あなたの狙っているユーザーたちに関する深い理解と、ユーザーのニーズに対応した楽しい体験をどのように届けるかへのビジョンが必要とされるのだ。また、製品チームが製品体験や、ビジネスモデル、そして提案価値を、迅速にテスト、学習、反復するためのワークフローが必要だ。

過去数年の間に、反復的な製品デザインが主流となってきた。Lean Startupの重要な指針、特に最小限の実行可能な製品(MVP)を迅速に市場に投入し、実際の顧客のフィードバックから学ぶべしというバイアスは、企業や製品を構築するためのより良い方法として広く受け入れられている。

コーディングの基礎技術とフロントエンドの開発との間には違いがあり、その違いは拡大しつつある。

そうした新しい作業方法をサポートする新しいツールのエコシステムが登場し、製品デザインチームは共同でより効率的に作業することができる。チームは、Photoshopの静的なデザインを作成する古典的なプロセスから、はるかに広大なツールセットを使うようになっている。そこにはSketchFigmaなどの共同デザインツール、InVisionMarvelなどの極めてシンプルなプロトタイププラットフォーム、UserTesting.comValidlyLookbackのようなユーザーテストサービス、そしてZeplinなどのデザイナーと開発者のコラボレーションツールなどが含まれる。

これらのツールはすべて、近代的な製品デザインワークフローの1つまたは多数のコア側面をサポートし、ほぼすべてがシームレスに連携することが可能だ。最終的な結果:製品をコーディングする前に、アイデアを体験、テスト、検証が可能な没入型プロトタイプにすることは、指数関数的に速くなった。

これは、フロントエンド開発に対して何を意味するのか?

今後数年の間に「製品デザイン」と「フロントエンド開発」に対する別々の機能としての意義は消滅する。多くの企業では、既にこのアプローチを採用していて、製品デザインとフロントエンドWebテクノロジ双方に精通した個人(クリエイティブ技術者(Creative Technologists)と呼ばれることも多い)を雇用することで、通常はデザインをコードの中に活かすために必要な引き継ぎをなくそうとしている。

この収束はまた、製品デザインチームが使用するツールの高度化においても起こっている。デザインとプロトタイピングを行うツールがフロントエンドの開発置き換え、選択したフレームワーク(React、Node、その他)のための高品質なフロントエンドコードをシームレスに生成するようになるのは時間の問題だ。Squarespaceは既に基本的なウェブサイトのためにこれを実現している。Webflowはインタラクティブなコンテンツ駆動型のWebサイトを作成するための、ドラッグアンドドロップ環境を提供している。AtomicOrigamiは再利用可能なコンポーネントとデータに対して幾つかの面白いことを実現している。

これらはすべてデザイン先行型のツールだが、多くはユーザーが作成されたコードに対して編集または追加を行って、製品を調整して洗練することを許す。これらのツールや他のツールが5年後にどうなっているのかを想像して欲しい。

このプロセス、スキルセット、そしてツールの収束は、製品デザインにおけるいくつかの重要な変更へとつながる:

  • チーム構成が変更される。チーム内にデザイナーとプロントエンド開発者の両者を抱える必要はなくなる、これによってチームはさらに身軽なものになる。
  • リアルタイム反復が標準となる。チームは継続的なデザイン改善の状態の中で運用することができるようになる。プロトタイピング、テスト、学習、そして新機能のロールアウトをこれまで以上に迅速に行えるようになる。
  • 業績が改善される。プロダクトチームはビジネス成果を駆動する最前線に立って、新しい機会を活用し、問題が悪化する前に対処することで、最終的な収益に対して意味のある行動を素早くとることができるようになる。

さて私たちの子供たちはコードすることを学ぶべきだろうか?私は、全ての子供たちがソフトウェア開発の実践的な知識を持つという価値に反論することはできない。しかし、コーディングの基礎技術とフロントエンドの開発との間には違いがあり、その違いは拡大しつつある。後者は、デザイナーたち優位性やデザインツールのおかげで絶滅の道を辿ろうとしている。よりよい体験を消費者とビジネスに対して作って届けることに興味のある子供たちは、深いソフトウェア開発専門知識を得ることよりも、デザインとビジネスに対して深い関心を寄せる必要があるだろう。

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(翻訳:Sako)

FEATURED IMAGE: MACIEK905/GETTY IMAGES

Facebook Messengerに簡単に遊べるインスタントゲーム17種が登場

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メッセージの返信を待っている時間は手持ち無沙汰になる。でもこれからは、Facebook Messengerでパックマン、スペースインベーダー、Words With Friends Frenzyなどのインスタントゲームで遊べて、友人と得点を競えるようになった。ゲームはメッセージのスレッド内から直接遊ぶことができる。HTML5のモバイルウェブ規格で構築されているので、やぼったいネイティブアプリをダウンロードせずとも瞬時にロードするのが魅力だ。

Facebookはユーザーと友人にちょっとした競争心を持たせることで、Messengerの利用時間を伸ばしたい考えだ。2人で同時に遊ぶのではなく、非同期的に得点を競う。いつでも、隙間時間に遊べるものだ。最終的にインスタントゲームはゲームを宣伝したい開発者からの広告収入をFacebookにもたらすかもしれない。アプリ内購入機能はまだないが、将来的にそれが実装されるのなら、それも収益源になるだろう。

インスタントゲームは本日アメリカを始めとする30の国でローンチした。バンダイナムコ、コナミ、タイトーといった昔からあるゲーム会社からZyngaやKingといった若いゲームスタジオのゲーム17種類がある。インスタントゲームはiOSとAndroidの最新バージョンで利用可能だ。ゲームは、Facebook Messengerのスレッドの電話とスタンプのボタンの隣にあるゲームコントローラーのアイコンをタップすると出てくる。Facebookのデスクトップアプリでも、モバイル画面が上に出てきて遊ぶことができる。

どのゲームで遊ぼうか? ゲームのレビューはこちらの記事を参照してほしい。

ハンズオン:ゲームの操作は難しいが、スムーズで中毒性が高い

17種類のゲーム全てを試してみた。ゲームの画質も動作も良い。どのゲームも3秒から10秒程度ですぐにロードするのには驚いた。得点やランキングも自動でスレッドに共有されるので、友人を誘うのがとても簡単だ。ほとんどのゲームはわかりやすくシンプルで、1回のゲームは30秒ほどで終わる。これなら誰でも隙間時間に遊ぶことができるだろう。

 

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ただ、コントローラーの動作がぎこちなく、それにはストレスを感じた。パックマンやアルカノイドといったゲームでは致命的だ。しかし、Messengerのインスタントゲームが大成功することの方が大問題だ。すんなりとゲームを進められるため、友人より高得点を取ろうとゲームにはまって、仕事より長い時間ゲームをしてしまいかねない。

FacebookでMessengerを率いるDavid Marcusは「ソーシャルゲームはデスクトップで大成功しました。しかしモバイルゲームでは、ソーシャルな要素は後付けでしかありませんでした」という。Facebookはすぐに遊べて、非同期的に友人と競う要素のあるゲームを作り直すことで、親しみやすいゲームの新時代を切り開けるのではないかと考えている。

HTML5でFacebookがゲーム領域に再挑戦

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Draw on your high score sheets and share them with friends to talk trash

Facebookは2008年頃、デスクトップアプリのソーシャルゲーム領域を席巻していた。便利なツールアプリより、ゲームが人気だった。ピーク時にはアプリ内購入の30%を得ることで、四半期に2億5000ドルもの収益を上げた。ゲームの中毒性とバイラルな特性により、Facebookはユーザー数とエンゲージメントを伸ばすことができた。今でもFacebook.comの滞在時間の15%はゲームに費やされている。ただ、最近の四半期のゲームの収益は1億9600万ドルに減速している。

ユーザーがモバイルに移行するほど、 Facebookはゲームを声高に宣伝しなければならなくなった。iOSとAndroidしかネイティブアプリストアを持っておらず、アプリ内購入から割り前が得られるのも彼らだけだ。2011年、Facebookも必死になってHTML5のゲームプラットフォーム「Project Spartan」を開発した。しかしこれが頓挫したのは、当時のモバイルウェブ規格は、ダウンロードして使う豪華なネイティブアプリに対抗できるほど強力なものでなかったからだ。

月日は流れ、開発者はHTML5で画質が高く、さくさく動くゲームを作る方法を見つけた。Messengerで Infinity Bladeのような3D長編ゲームを見ることはないだろうが、80年代のクラシック・アーケードゲームや簡単なパズルゲーム、 Flappy Birdのようなレトロゲームなら支障はない。

FacebookはMessengerゲームのアイデアを試すのに、自分たちでもゲームを作った。バスケットボールをシュートするゲームで、ユーザーは累計12億回、このゲームで遊んでいる。これはFacebookの予想以上だった。Messengerにゲームがあればユーザーは遊ぶことがわかった。もちろん、LINEやKakao Talkなどのチャットアプリも、チャットゲームプラットフォームを先駆けて開発している。

今月の初め、Facebookがインスタントゲームのプラットフォームを構築しているという情報が入った。TechCrunchは、このゲームがどのように使えるかやCandy Crushを制作したゲーム会社Kingがこのプラットフォームのために開発していることを他に先駆けて伝えた。

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MessengerのHTML5ベースのゲームの画質は他のゲームより劣るかもしれないが、エンゲージメントに関しては引けを取らないだろう。Gameeによるゲームネットワークの調査によると、チャットゲームではユーザーは毎日平均で2セッションにわたり、34回、21分間遊んでいる。ネイティブアプリのゲームでは平均2.5セッション、43回、33分間だ。

このチャットゲームのエンゲージメント率と気軽にゲームを始められる手軽さを持ち合わせたMessengerのインスタントゲームは広いオーディエンスに受け入れられるかもしれない。

You can play Messenger Instant Games like EverWing on Facebook's web site thanks to an overlaid phone screen plus your mouse and keyboard

FacebookのウェブサイトでもMessengerのインスタントゲームで遊べる

これはFacebookのゲーム領域の2軸の戦略の一環だ。モバイルにはMessengerのインスタントゲームを据えた。デスクトップでは新たにダウンロード可能なFacebook Gameroomを展開する。これはSteamのような高価で本格的なデスクトップゲームプラットフォーム以外の選択肢をとして、安価で手軽、そしてソーシャルなプラットフォームとして打ち出している。

インスタントゲーム

インスタントゲームの最大の魅力は、素早くゲームを始められることにある。メッセージスレッドにあるゲームコントローラーのアイコンをタップして、一覧からゲームを選ぶとすぐにゲームがロードする。一回のゲームは短く、獲得した点数はプライベート、あるいはグループのスレッドに自動で投稿される。

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高得点を獲得したスクリーンショットには、対戦相手を煽る文言など、Snapchat風に書き足すことができる。ニュースフィードにゲームをシェアすると、それを見た友人はFacebookアプリでもウェブサイトでもすぐにゲームに飛ぶことが可能だ。

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ここにゲームの一覧と簡単な説明を載せた。ゲームを試して、良かった順に並べている。

  • ギャラガ (バンダイナムコ)–クラシック・アーケードゲーム。宇宙船でシューティングする縦型ゲーム。ゲームセッション1回につきライフは1。
  • スペースインベーダー (タイトー)
    クラシック・アーケードゲーム。宇宙空間でシューティング。
  • EverWing (Blackstorm) – 1942年版縦型スクロール式ゲーム。画質とスピードに秀でた宇宙船シューティングゲーム。
  • Endless Lake (Spilgames) – 美麗なTemple RunとMonument Valleyを合わせたような、アート調アドベンチャーゲーム
  • アルカノイド (タイトー) – クラシックなブロック崩しゲーム。モバイルの操作感が良い。
    • Words With Friends Frenzy (Zynga) – 高速なScrabble(言葉並べ)ゲーム。少し練習が必要。
    • Hex FRVR (FRVR) – テトリスとCandy Cushを合わせたパズルゲーム。手が詰まるまで、列を消していく。
  • パックマン (バンダイナムコ): クラシック・アーケードゲーム。モバイルのスワイプコントロールが難しく、すぐに捕まってしまう。
  • Shuffle Cats Mini (King) – 画面スワイプの速度と方角でカードを飛ばす射撃ゲーム
  • Wordalot (MAG Interactive) –Scarabbleとクロスワードパズルを合わせたゲーム。解く速さを競う。他とは趣が違って面白いが、難しい。
  • ZooKeeper (Kiteretsu) – 時間制限つきCandy Crush風ゲーム。8ビットの画像はかわいいが、1回のゲームセッションが長い。
  • Track & Field 100M (コナミ) – ボタンを連打するスピードトライアルゲーム。コンピューターの対戦相手が速すぎる。
  • Brick Pop (Gamee) – ドットスタイルのパズルゲームで、ルールの要領を得ない。
  • Bust-A-Move Blitz (タイトー / Blackstorm) – バブルを合わせて消していくパズルゲーム。1回のゲームに時間がかかる。
  • 2020 Connect (Softgames) – Candy CrushとThreesのパズルを合わせたゲーム。Messengerで遊ぶにはやや退屈。
  • Templar 2048 (Vonvon) – Threesスタイルの時間制限つきパズル。遊び方が難解。
  • The Tribez: Puzzle Rush (Game Insight) – 恐竜版Candy Crushのクローン。

現在プラットフォームはクローズドベータ版だが、インスタントゲームを開発したい場合はここから登録することができる。

今日からインスタントゲームから利用できる国は以下の通りだ。ノルウェー、デンマーク、スイス、スウェーデン、英国、カナダ、米国、日本、オランダ、オーストラリア、オーストリア、ラトビア、ドイツ、アイルランド、ベルギー、ニュージーランド、フランス、シンガポール、フィンランド、香港、ロシア、エストニア、台湾、スロベニア、プエルトリコ、キプロス、イスラエル、リトアニア、スペイン、イタリア。

ギャラガやスペースインベーダーといったクラシックゲームがこのプラットフォームに最適だ。EverWingやEndlress Lakeも、新しい手法で短く楽しいゲームを確立している。

Facebook:次の開発者エコシステム

開発者にFacebookで引き続き開発を続けてもらうには、彼れらが収益を得られるプラットフォームにしなければならない。今のところ、これらのゲームには広告もなく、アプリ内購入もない。自分の裁量で課金や広告表示ができるネイティブアプリの代わりにインスタントゲームを作ってトラフィックをそちらに送っても、開発者は損をすることになりうる。

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Marcusは「ゲーム開発者がマネタイズする方法は見つけます。私たちは彼らと約束していますから、来年にもとりかかります」と話す。ただインスタントゲームではバイラルな広がりとトラクションが期待できる。スレッド内でチャット相手と自動で競ったり、ニュースフィードの投稿でゲームをシェアすることができる。開発者はオーディエンスを獲得してから、マネタイズを行うことも十分にできるだろう。

iMessageのゲームストアはアプリの奥にあり、ゲームもパッとしない。それに比べるとFacebook Messengerは魅力的だ。Kakao Talkでは別のネイティブアプリをダウンロードする必要があり、チャットアプリ自体はログインとゲームの競争の時に使用する仕組みだ。Messengerのインスタントゲームは、友人とのコミュニケーションにも自然と馴染む体験だと言える。また、TelegramもHTML5のゲームを提供しているが、ゲームはチャットボットにしかなく、見つけるまで時間がかかる。

また、Facebookはスパム対策をしなければならない。デスクトップでは、ソーシャルゲームはスパムの温床となっていた。Zyngaなどの開発者は、ゲームで友人に助けを求めるのにコミュニケーションチャンネルを乱用していたのだ。Facebookのプロダクトマネージャーを務めるAndrea Vaccariは、過去の間違いから学んだと話す。「現在、すべてのアプリ内コミュニケーションは私たちが管理しています」と言う。

Facebookの10億人のユーザーにリーチできることを引きに、最高の開発者にメッセンジャーを招き入れることができるかが鍵だろう。彼らがメッセンジャーから2タップで遊べるゲームを開発するのなら、Messengerは友人と話すのと同じくらいやみつきになるコンテンツを手に入れたも同然と言えるかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

デジタル時代に蘇る、電光掲示板風ディスプレイ

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2016年もそろそろ終わりだ。食料品や日用品、ペット関連グッズやゲーム関連でいろいろと新しいものが登場してきた。しかしまだまだ新しいモノを求める人が多い。新しく、クールなものはいつでも求められている。そんなニーズに応えようと登場してきたのが、新たなフリップディスク・ディスプレイだ。

製作したのはBreakfastNYで、空港にあったようなディスプレイシステムの現代版とイメージしてもらえば良いだろうか。表面に配置されたそれぞれのピクセルが、磁石を使ったコントローラーにより白黒(他の色の組み合わせも可)に変化してコンテンツを表示する。画面上にモノクロアニメを表示したり、サイネージ用途に利用することができる。

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当然ながら、用途が限られる。しかしオフィスにあれば格好良いし、受付においておくインテリアとしても活用できそうだ。

「配置しているフリップディスクは非常に高速に動作します」と説明に書いてある。「17インチ×17インチのパネルに、784個のフリップディスクが搭載されています。このパネルを自在に組み合わせて、必要なサイズや形にして使うことができます。たとえば32個のモジュールを用意すれば、11フィート×5.5フィートの長方形のディスプレイとしても利用できますし、またすべてを一列にならべて17インチ×45フィートのディスプレイとしても利用できるのです。ディスクのみならずケースの方にもカラーバリエーションを用意しています」。

制御用のアプリケーションも用意されており、3Dカメラを使って外部のものをディスプレイに表示したり、それに合わせたテキスト効果を実現することもできる。よりカスタマイズした動きを実現したい場合には、APIも用意されている。価格はオーダーするモジュールの数によって異なるとのこと。現在はプレオーダーの受付中だ。

直接的かつ具体的に何かの利益を生み出すというものではない。しかし見る人にかなりのインパクトを残すことができるだろう。雇いたいと思う人と面談する際に、オフィスに来るやいなや、その人の名前をディスプレイに表示するようなことも面白い。あるいはVCとの打ち合わせの際に、メッセージを伝える仕組みとして利用すれば、彼らの心を動かすこともできるかもしれない(”Help! We need money!”)。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

来年は7インチのタッチスクリーンのついたAlexaスピーカー(Echoの仲間)をAmazonが発売するとか

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Bloombergの記事によると、EchoとEcho Dotの成功に気を良くしたAmazonは、次のAlexaデバイスとして7インチのタッチスクリーンのついた高級品っぽいスピーカーを発売する。その画面はキッチンなどで使いやすいように、見る角度を変えられるそうだ。

そのスピーカーにはEchoたちと同様、音声アシスタントAlexaが収まっているが、画面もあるということは、天気予報や次のアポイント、ニュース、それに料理のレシピーなどの情報にもアクセスできることを意味している。キッチンのカウンターの上などに置いて、ほかの仕事をしながら使え、という意図だろう。

画面付きEchoを出す、ということは、Alexaの純粋音声主義に別れを告げる、ということだろう。サードパーティ製のAlexaデバイスNucleusはタッチスクリーンのあるインターコムだが、それもAlexaのAPIを使っており、同社独自のソフトウェアではない。

Bloombergの記事によると、ディスプレイを駆動するビジュアルOSはFire Sに手を加えたバージョンで、Fire OS自身はAndroidのフォークとしてFireタブレットを動かしている。ユーザーはアイテムをデバイスのスクリーン上にピンどめできるが、それはマグネットボードや冷蔵庫のドアの上のメモのようだ、とBloombergに情報を提供した筋が言っている。お値段は、今あるEchoスピーカーよりも高い。

Echoの上のディスプレイは、ユーザー体験としてはおもしろそうだ。Echoの成功について多くの人が、ぼくもその一人だが、オプションが音声だけでそれしかないこと、ひたすらそれだけであること(究極の単純性)が成功要因、と言っている。SiriやGoogle Nowも、それをしょっちゅう使う人はいない。だから機能とインタフェイスは、できるかぎり単純な方がよい。でもタッチスクリーンの操作も、まごついたり間違えたりせずにやりたいことのできる、単純なインタフェイスのひとつだ。

しかし今度の‘タブレットつきの高級Echo’が、思ったほどユーザーに好評でなくても、Alexaの失速にはつながらないだろう。そもそも現段階では本当に出るのかどうかも定かでないが、AmazonがAlexaの世界をより豊かにしようと努力するのも、当然の動きだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ポルノサイト「xHamster」のログイン情報38万人分が流出

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ポルノサイト xHamsterのメンバーは、今すぐパスワードを変更した方がいい。今日(米国時間11/29)38万人分のユーザー名、メールアドレス、および弱いハッシュのかかったパスワードがネット上に公開された。

有料侵入通知サイトのLeakBaseが一連のログイン情報を公開し、ネット上で取引されているとMotherboardが伝えている。データの入手経路は明らかにされていないが、xHamsterの登録ユーザー1200万人のうち、ごく一部の情報だけを含んでいる。xHamsterは、サイトを見るだけなら登録の必要はないが、コメントを付けたり、プレイリストを作るためには必要になる。

それでも、リークした情報はユーザーを困らせる可能性がある ― アカウントのいくつかは、米国陸軍や政府のメールアドレスにひも付けられていた。また、xHamsterの登録ユーザーが他のサイトでも同じパスワードを使っていれば、そこでも被害にあうリスクがある。

「xHamsterユーザーのパスワードは適切に暗号化されているため、解読はほぼ不可能だ。このためパスワードはすべて安全であり、ユーザーデータは守られている」と、xHamsterの広報担当者はMotherboardに話した。

しかし、LeakBaseの広報は異論を唱え、パスワードはMD5アルゴリズムでハッシュされており、安全ではないと考えられるとTechCrunchに伝えた。「MD5ハッシュは単純で容易に破ることができる。このハッシュを安全だと思っていること自体が、セキュリティーの欠陥を今日まで放置している会社の典型であることを示している」。

LeakBaseは、ハッキングを検証するために60人分のユーザー情報をTechCrunchに提供した。そこにあったメールアドレスはたしかにxHamsterの登録アカウントに対応しているようだった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook