買収の噂が消えてTwitter株、20%暴落

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Twitterの株価はここ数週間非常に好調を続けていた。しかしこのハネムーンも終わり、現実に戻るときが来たようだ。現在(米国時間10/6)、Twitteの株価は昨日の終値24.87ドルから20.06%ダウンして$19.88ドルとなっている。

いったい何が起きているのだろうか? Recodeの複数記事によれば、Twitterの買収を検討していた大企業の多くが手を引くことを決めたからだという。Google、Apple、DisneyはもはやTwitter買収に関心がないという。

Salesforceはどうやら最後に残った買い手候補らしい。Salesforceは以前プロフェッショナルのSNS、LinkedInを買収しようとしたことがあったが、Microsoftにさらわれた。

しかしSalesforceのCEO、Marc Benioffは「われわれは結局Twitterを買収しないかもしれない」とも述べている。Benioffの今日の投資家向けの発言にはさまざまな要素が含まれていた。

こうしたことがすべて現在のTwitterの株価に反映している。Twitterの時価総額から一夜にして20億ドル以上の価値が消えた。もしかすると、株価が下がったことで、現在は表に出ていない買い手がTwitterに手がとどくようになったかもしれない。

Twitterが株式を公開したのは2013年の11月で、上場初日の終値での時価総額は310億ドルだった。今日の時価総額は150億ドル弱だ。去る6月のTwitterの時価総額はこれよりさらに低く、100億ドルだった。

ともあれ、ここしばらくはTwitterは独立企業として運営されるしかないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Duolingoに外国語学習を手助けするチャットボットが登場

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チャットボットのブームであるようだが、実際に役立つものが少ないと感じている人も多いようだ。しかし言語学習の際に利用できれば、それはきっと便利なのではないだろうか。学習した内容を、コンテキストの中で使ってみることができれば、身につく度合いも変わってくることだろう。とくにオンラインで学習している場合、習ったことを試してみる相手が周りにいないケースが多いだろう。そういうケースに対処しようと、DuolingoはAIを活用したチャットボットをアプリケーションに導入することにしたのだ。

2016-10-05_1648今のところ、チャットボットが対応しているのはフランス語、スペイン語、およびドイツ語についてのみだ。またiPhone版アプリケーションのみの対応となっている。ボットはクラウド上に存在するので、利用にあたってはインターネットに接続している必要もある。

ボットとの会話を魅力的なものとするため、Duolingoは複数のキャラクターを用意してもいる。たとえばシェフのRobert、ドライバーのRenée、およびオフィスワーカーのAdaなどのボットが存在する。それぞれに、こちらからの会話に対して異なるリアクションをとるようになっている(過ちの正し方もそれぞれに異なる)。いろいろなキャラクターを用意することで、現実世界に近い状況を提示しようという意図もあるのだろう。

なお、チャットボットが会話時のバリエーションを認めているのもうれしいところだ。言語学習のアプリケーションでは、これができないものが多い。たとえば挨拶の仕方などは何通りもある。しかし決まった表現しか許さない学習ソフトウェアが多いのだ。さらにはどのように答えてよいのかまったくわからない場合には、ボタンクリックでヒントを示してもくれるようになっている。

「外国語を学ぶ際の大きな目標のひとつは、会話をすることだと思います」とDuolingoのCEO兼共同ファウンダーのLuis von Ahnは述べている。「ボキャブラリーや読解力のトレーニングはこれまでのDuolingoアプリケーションでも行うことができました。しかし学んだことをいきなり現実世界で試すというのはいろいろと難しいものでしょう。そういうときに、わたしたちのチャットボットが便利にかつ有効に機能すると思うのです」。

今のところはテキストベースのやり取りしかできない。しかし音声対話も行えるようにしたいと考えているそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

それで良いのかGoogle(Not OK, Google)

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昨日サンフランシスコで開催されたハードウェアの発表イベントで、Alphabetは、更に幅広く消費者の個人データ(それも、これまで以上に個人的な性質の情報の)収集に向かう野心を表明した。この先コンピューティングが静的なデスクトップやスクリーンを離れ、相互結合したデバイスのクラウドと合体し、更なるデータの生成に向かう動きを加速するためである。

新しい2種類の「Googleデザイン」旗艦Androidスマートフォン(Pixel)と共に、同社のAIアシスタント(Google Assistant)が最初からインストールされたAndroid、そしてユーザーの写真とビデオをGoogleのクラウドに吸い上げる容量無限のクラウドストレージも提供され、また厄介な家庭内のインターネット接続をすべて引き受けるGoogle Wifiルーターもある; Google Homeは常に接続されたスピーカーを通して耳を澄ましていて、Google Assistantを介して声で制御され、またサードパーティ製のIoT機器(たとえばフィリップスのHue電球)を制限付きだがサポートする;新しくなったChromecast(Ultra)は任意の古いTVパネルをインターネット利用可なものにする;そして、Googleの使い捨てではない携帯VR再生機、別名ソフトタッチDaydream Viewヘッドセット がある ‐ 万一消費者の目がデータ収集型スマートホームの外へさまよい出たいと思ったときに、逃げ込むための仮想現実を提供するために。

GoogleブランドのためにAlphabetが描く野望は明快だ:Googleの情報整理頭脳を家庭の中心に埋め込みたいのだ ‐ すなわち、消費者たちにとって高度な個人データを定常的にそこに流し込まない選択肢を選ぶことが不可能になるということだ(もちろん、Google Homeにはミュートボタンがついている、実際にはそれが音量を喋ることを止めるためにボタンを押す必要があるが…)。

言い換えれば、あなたの日々の活動が、Googleの活動そのものなのだ

「私たちはモバイルファーストの世界からAIファーストの世界に移りつつあります」と、昨日のイベントのキックオフでCEOのサンダー・ピチャイは語った。そしてAIは、もちろん、これまでの技術が持っていなかったようなデータへの食欲を持っている。機械学習は、自身の有用性を手に入れるために情報を必要とする。手探りでは機能できない、データ駆動型の領域なのだ。

よってAlphabetのハードウェアのためのビジョン「Made by Google」は、消費者たちに対して利便性の誓いを販売することである。そして、全てを接続するデバイスと共にこの販売ピッチが、パーソナルスペースをユーザー情報データベースへと変容させ、この先何十年にも渡って広告エンジンに燃料を供給し続けることが可能になるのだ。

Made by Google

デジタル消費者の大部分の問い合わせと好奇心が1つのGoogleブランド検索エンジンに注ぎ込まれるようになったとき、私たちは現代の情報社会のはるか奥深くに入り込んでしまったことになる。このため、Alphabet(以前はGoogleのブランド名を身に着けていた)はとても長く険しい道をAndoridを広くそして深く普及させるために突き進み、電話を超えて幅広いハードウェアの世界にたどり着いたのだ。

そして今、Alphabetはそのプロセスを、よりシンプルなデスクトップウェブの時代と同様に、Googleを手放し難くすためのAI駆動の消費者向けサービス層を用いて、加速しようとしている。

ということで、昨日の大規模なコネクテッドハードウェアのお披露目大会は、実際には、IoT時代に向けて、Googleブランドを頼りになるキーワードとして再活性化し、位置付けの再確認を行わせるためのものでもあったのだ。

特に、AmazonのAlexaやAppleのSiriといったライバル仮想アシスタント技術とは異なり、Alphabetはしっかりと消費者向けのAI界面の端にGoogleブランド名を保持している。そのスマートホームやAIアシスタントを購入した者に、Googleブランド名を文字通り、毎日毎時間声で与えることを要求するのだ。

「OK Google、子供の寝室のライトを消して…」

うーん。

個人的にはそれだけで十分不愉快だ。しかし本当の意味で「not OK, Google」なのは、急速に浮かび上がってきたプライバシーに関するトレードオフなのだ。そしてアルファベットが、こうした懸念を無視していくやりかたも。

「私たちは、あなたが身の回りの仕事を片付けることのお手伝いをしたい」というのが、Googleブランドのスマートホーム、そしてGoogle AI一般についてのピチャイのピッチだった。

「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogleを構築することに私たちは興奮しています」というのが、なりふり構わぬAIへの突進に話を添える、彼のまた別のマーケティングフレーズだ。

その通り – 彼は文字通り、このように言っている…

彼が言っていないことの方がはるかに興味深い。すなわち、お好みのレストランを予測したり、通勤経路上の支障がどのようなものかを尋ねたりできるような「カスタムな利便性」の約束を果すためには、あなたの個人情報、嗜好、嗜癖、ちょっとした過ち、偏見…そうしたことを限りなく収集し、データマイニングを継続的に行うことになるのだ。

AIが、データの要求を止めることはない。気まぐれな人間が関心を失いがちな点である。

なので、「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogle」構築の対価は、実際には「誰でも、何処でもプライバシーゼロ」ということなのだ。

なので、「誰でも、何処でも役に立てることのできるパーソナルGoogle」構築の対価は、実際には「誰でも、何処でもプライバシーゼロ」ということなのだ。

さてそう考えると「OK, Google」という言葉も、それほどOKには響かないような気がしてこないだろうか。

(同僚の1人が以前、Google Assistantの前身であるGoogle Nowをオフしたきっかけを語ってくれた。彼が日曜の夜に時々行くバーへの到着時刻を、頼まないのに教えてくるようになったからだ。彼はこう付け加えたそうだ「おまえにそんなことまで知っていて欲しくない」)。

なので私たちは、ピチャイの「パーソナルGoogle」ピッチの中にセキュリティとプライバシーに関する言及が全く無かったということに驚くべきではないし、消費者がハードウェアと引き換えにプライバシー(と現金を)渡す際に、彼らが実は決心しなければならない巨大なトレードオフについてGoogleが説明し損なったことを見逃すべきではない。

徐々に親密な関係をGoogleとの間に築いていくこととの引き換えに、消費者が期待する巨大な「利便性」に関しては、まだほんのわずかの実体しかない。

「まだほんの初期段階ですが、全てが一体として動作したときに、Google Assistantはあなたが仕事をやり遂げるお手伝いをすることができるようになります。必要な情報を、必要なときに、どこにいたとしても、取り寄せることができるのです」とピチャイは書いている。頼りにならない曖昧な約束ランキングとしては高得点をつけるに違いない。

彼は「次の10年の間に、ユーザーに対して驚くようなことを提供できる」ことに関しては「自信がある」と付け加えた。

言い換えればこうだ、あなたのデータの扱いに関しては私たちを全面的に信頼して欲しい!

ううーん。

今週EFFも、いかにAIがユーザーのプライバシーと衝突するかについてGoogleを非難している、特に最近のプロダクトAlloメッセージングアプリがその対象だ。そのアプリにはGoogle Assistantも組み込まれていて、ディフォルトでAlloはAIを利用するので、アプリはエンドツーエンドの暗号化をディフォルトでは提供しない。単なるオプションとして提供されるだけだ。この理由は勿論、Google AIがあなたのメッセージを読むことができなければ、Google AIは機能することができないからだ。

Alloがエンドツーエンドの暗号化を「めだたない」ところに押し込んでいるやり方が批判の対象になっていて、EFFはそれをユーザーを混乱させ、機密データの漏洩に繋がるものではと考えている。そしてGoogleを「ユーザーに対して暗号化というものは、たまに使えばいいものだという考えを植え付ける」として非難しているのだ ‐ そしてこのように結論付けている:「より責任あるメッセージングアプリは、機械学習とAIではなく、セキュリティとプライバシーがディフォルトであるべきである」。

さて、それがGoogle HomeなのかGoogle Alloなのかはともかく、Googleは消費者たちに比類なく便利なAI駆動の魔法体験を約束している。しかしそのためには厳しい問いに答えなければならない。

このアドテックの巨人は、そのプロダクト体験を支配してきたように、物語を支配しようと努力している。GoogleのCEOは「驚くべきこと」がパイプを下って、皆がGoogleを信頼しデータを委ねる世界にやってくると語っただけで、小説1984のビッグブラザー(監視機能を備えたAI)の世界に迫っていると言ったわけではないが、Googleのプロダクトは同じくらい不誠実なものだ;ユーザーにより多くを共有させ、より考えることを減らすことを促すようにデザインされているという意味で。

そして、それは本当に責任ある態度とは逆のものだ。

だからノー。Not OK Google。

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(翻訳:Sako)

初めてのGoogle Tangoプロジェクト実装機、Lenovoの大きなファブレットPhab2 Proがやっと11月に発売

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6.4インチである。奥行き(z軸方向)検知カメラという、すごいものがある。実際に来月にも発売されるかもしれない。LenovoのでっかいPhab2 Proは、予定ではこの夏発売だったが、その次に秋という曖昧な言葉になり、GoogleのTangoシステムを初めて搭載したハンドセットは、結局陽の目を見ないのではないか、という憶測も生まれた。

しかし、Googleがハードウェアの新製品を発表した日の翌日である今日(米国時間10/5)、それまで神話の世界に住んでいたそのファブレットに、ややましな日程が与えられた。GoogleのVR担当Clay Bavorが確認したところによると、アーリーアダプター(初物好きの人びと)たちはついに、やっと、11月に、そのLenovoのデバイスを手にすることができる。

 
ついでだが、このハンドセット(アンロック機)のアメリカでのお値段は499ドル、でっかくて、しかも待望の新しいコンピュータービジョンシステムを初めて搭載した製品のわりには、まあ、リーズナブルな金額かもしれない。これにより、うまくいけば、モバイルの拡張現実が、これからおもしろいことになるかもしれない。

この夏発表されたときに、写真は見た。その試作機には将来性のありそうな新しい機能がいくつかあったけど、今度は、このプラットホームの未来が厳しく問われる番だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

レレレ、「CoffeeMeeting」「TimeTicket」などをグローバルウェイに譲渡——山本氏は引き続きサービスを担当

レレレ代表取締役の山本大策氏(左)、グローバルウェイ代表取締役社長の各務正人氏(右)

レレレ代表取締役の山本大策氏(左)、グローバルウェイ代表取締役社長の各務正人氏(右)

“コーヒー1杯飲む時間を過ごす”をコンセプトにしたビジネス向けマッチングサービスの「CoffeeMeeting」、ユーザー同士が自分の空き時間を売買する「TimeTicket」などを提供するレレレは10月6日、グローバルウェイに事業を譲渡すると発表した。金額は非公開。

また今回の事業譲渡にともない、レレレ代表取締役の山本大策氏はグローバルウェイに参画。グローバルウェイ内に新設する「グローバルウェイラボ」にて、TimeTicketなどのサービスの運営・開発を継続する。法人としてのレレレは今後解散する予定で、実質的にはグローバルウェイがレレレを買収するかたちとなる。なお、事業譲渡後もサービス名等に変更はない。

レレレの設立は2012年5月。代表の山本氏はリクルートのMedia Technology Lab(MTL)の出身だ。同社はこれまでにインキュベイトファンドやEast Venturesから資金を調達。外部のデザイナーなどとも組みつつ、山本氏1人でサービスを開発してきた。TimeTicketは現在3万3000ユーザー。これまでのマッチング数は6000件。常時2万枚のチケットが販売されている状況だという。

さまざまなスキルを売買できる「TimeTicket」

さまざまなスキルを売買できる「TimeTicket」

グローバルウェイは4月に東証マザーズ市場に上場したばかり。企業の口コミ投稿や就職・転職支援を手がける「キャリコネ」を運営するほか、法人向けのクラウドサービスを提供している。

両者によると、今回の事業譲渡はグローバルウェイ側からオファーがあったものだという。

「レレレはこれまで4年で4つのサービスをリリースしている。これは1人だからこそできたスピードだとは思う。その一方で1つ1つのサービスの熱量が下がってしまったし、緩さはあった。だが今後に光が見えたサービスはある。これをどう成長させるかと考えた時にグローバルウェイと話ができた」(山本氏)

「キャリコネでやりたいのは、働く人を応援し、元気にすること。当初はビジネスSNSとして展開したがうまくいかず、口コミを中心とした現在のかたちにサービスをシフトした。(キャリコネは)口コミで働き方を『認識』し、転職で働き方を『改善』することを支援している。だが転職のゲートウェイを提供するだけでなく、転職しなくても学びによって自身の価値を向上させる『学習』もサポートしたいと考えていた」(グローバルウェイ代表取締役社長の各務正人氏)

働いている人同士がTimeTicketをはじめとしたサービスを通じて出会い、互いのスキルを学ぶ——グローバルウェイがキャリコネで作っていきたいのは単なる口コミサイト、転職サイトではないという。

キャリコネの年間ユニークユーザーは4200万人。今後はユーザーの送客などをはじめとして、連携した施策を進める予定。またTimeTicketなどのユーザー獲得に向けた広告出稿、開発メンバーの拡充なども進め、「今後数年間で億単位の投資を実行していく」(各務氏)としている。

なお今回の事業譲渡のスキームについては、「レレレの法人格を残して欲しいと思っていたが、事業に億単位の投資をするとなると貸し付けになるため(に事業譲渡というかたちをとった)。気持ち的には山本氏に引き続き社長として事業を進めて欲しい」(各務氏)と説明した。

インフォステラが6000万円を調達、人工衛星との通信手段を「クラウド化」で低コストに

人工衛星向けアンテナシェアリングサービスを手がけるスタートアップであるインフォステラがシードラウンドで6000万円の資金を調達した。フリークアウト、500 Startups Japan、エンジェル投資家の千葉功太郎氏に対して第三者割当増資を実施する。

同社のビジネスモデルは、人工衛星のための通信リソースを効率よくシェアすることでコストを下げ、使い勝手を高めるというものだ。いわば衛星通信インフラのクラウド化だ。同社は「宇宙通信分野のAWS(Amazon Web Services)になりたい」(取締役COOの石亀一郎氏)と話している。

打ち上げられる人工衛星の数は急増しているのに対して、人工衛星の運用に不可欠な地上局の運用コストは高価なまま──同社はここに目を付けた。

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インフォステラの提供するサービスの概念図。既存の地上局のアンテナ、同社の無線機、それにクラウドサービスを組み合わせ、人工衛星運用に欠かせない「通信機会」を効率よくシェアして提供する。

低コスト人工衛星の需要増に対応し、地上局との通信機会を提供

商用宇宙開発のブームについては読者はすでにたくさんの話題を耳にしていることだろう。イーロン・マスクのSpace X、ジェフ・ベゾスのBlue Originが再利用可能な打ち上げロケットを開発し、日本では堀江貴文氏が後押しする小型ロケットのスタートアップであるインターステラテクノロジズ(ITS)がチャンスをうかがっている。彼らが目指すのは、より低コストな人工衛星打ち上げ手段を提供することだ。背景には人工衛星の需要が急増していることがある。

特に超小型人工衛星の需要が急増している。以下のグラフを見てほしい。低コストを特徴とする超小型人工衛星(Cube Sat)の打ち上げ数を示すグラフだが、2013年から2014年にかけて打ち上げ数が年間100機のラインを突破して急増していることが分かる。「打ち上げる衛星の予約は先まで詰まっていて、今はロケットがネックになっている。安いロケットがあればバサバサ決まる状態にある」(石亀氏)。

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超小型人工衛星(Cube Sat )の打ち上げ数は急増している。Satellite Industry Reportより引用。

打ち上げ手段と人工衛星の需要が揃えば、次に解決すべき課題は通信手段の確保だ。人工衛星を追尾可能なアンテナを備えた地上局の設備は有限の資源だ。さらに、超小型人工衛星が投入される低軌道では人工衛星が視野に入る可視時間が短く、一つのアンテナで通信できる時間は1回あたり十数分にとどまる。つまり、人工衛星との通信機会は希少性がある資源なのだ。

こうした背景から、人工衛星向け通信手段を提供する企業は数が限られており(ノルウェーKSAT、スウェーデンSSCが寡占状態にあり、最近ではRBC Signalsが登場している)、価格も高止まりしているのが実情とのことだ。つまり、スタートアップの参入余地がある分野ということだ。

人工衛星の需要増に伴い、人工衛星と地上局との間のデータ通信の需要も急増している。例えばリモートセンシングによる地上の画像のデータを集めて気象、交通量などのデータを抽出する取り組みが盛り上がっているが、こうした分野では大量の画像データを人工衛星から地上局へ転送する必要がある。地表をくまなく撮影できる人工衛星を打ち上げても、通信機会を十分に増やさなければ取り出せる画像データが限られてしまう。

インフォステラが狙うのは、既存の地上局のネットワークを作り、通信機会という資源を効率よく配分し、低コストで顧客に供給することだ。衛星通信に必要なアンテナは既存の設備を借りる。ただし、通信機は自社開発のものを使う。衛星通信分野では標準規格が確立していないことから、幅広い周波数帯(バンド)に対応できる通信機を開発して適用することで通信機会を増やす狙いだ。

クラウドサービスは大規模なサーバーインフラを多数のユーザーでシェアし、手軽かつ低コストに時間課金で利用できるようにする。同様に、インフォステラのサービスでは世界各地に散らばる人工衛星用の地上局をパス(通信機会)単位の課金で利用できるようにする考えだ。地上局設備の初期投資なしに、人工衛星との通信機会(パス)を買うことができるのだ。

宇宙開発では、自分たちの人工衛星のために地上局のアンテナを設置してきた事例が多い。ただし、自分たちの人工衛星の運用に使うだけではアンテナの空き時間が長く、稼働率は低いままとなる。アンテナ保有者にとって、アンテナの空き時間を売ることができれば新たなビジネス機会となる。

創業メンバーは宇宙と無線のプロ

インフォステラは2006年1月の設立。創設メンバーはCEOの倉原直美氏、COOの石亀一郎氏、社外取締役の戶塚敏夫氏の3名である。

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超小型人工衛星「ほどよし」1号機の外観。形状は1辺約50cmの立方体で質量約60kg。

桑原直美CEOは人工衛星の地上システムのプロフェッショナルだ。東京大学で、内閣府の最先端研究開発支援プログラム(FIRST)に採択された超小型衛星「ほどよし」のプロジェクトにおいて地上システム開発マネージャーを務め、北海道大樹町における人工衛星データ受信用パラボラアンテナと運用管制システムの設置にも関わった。なお、「ほどよし」プロジェクトは人工衛星スタートアップであるアクセルスペースが参加していることでも知られている。

石亀一郎COOは、学生時代に宇宙ビジネスに関するメディアastropreneur.netを運営し、アニメグッズのフリマアプリを運営するセブンバイツのCOOを経験している。今回で2度目のCOOへの挑戦となる。社外取締役の戶塚敏夫氏は無線機メーカーのエーオーアール取締役専務だ。エーオーアールはインフォステラのシステムに必要となるユニバーサル無線機の開発も手がけている。

創業メンバー以外に、顧問として超小型人工衛星の第一人者である東京大学の中須賀真一 教授(前述の「ほどよし」プロジェクトの中心人物でもある)と、元ヤフーCTOで現在フリークアウト執行役員の明石信之氏が名前を連ねている。

アドテク、Web、IoTの技術を投入

ところで、今回のシードラウンドで筆頭に挙がっている投資家はアドテクノロジーを手がけるフリークアウトである。前出のフリークアウト執行役員の明石氏はインフォステラに対してエンジニアリング面での支援を行っているとのことだ。

ここでは取材内容から想像できる部分を記すに留めるが、アドテクノロジーと衛星通信との関係は、どうやらあるようだ。アドテクノロジー分野では、ユーザーが広告を閲覧する機会(インプレッション)と広告主のニーズとをマッチングする仕組みがビジネス価値の源泉となっている。一方、インフォステラのビジネスでは、人工衛星が地上局と通信できる通信機会(パス)という資源と、人工衛星を運用するユーザーとのマッチングがビジネスの根幹となる。この部分で、Webやアドテクノロジーで培った技術的なノウハウが役に立つ──らしい。

インフォステラでは、「今回のシード投資をテコにエンジニアの求人を活性化させたい」(石亀氏)と話している。同社が作り上げているのは、人工衛星用のパラボラアンテナと接続した通信機から取り出したデジタルデータをリアルタイムに処理し、さらにクラウドサービスに吸い上げて処理する仕組みである。いわゆるエッジコンピューティングやAWSのIoT向けの機能群などの最新技術を投入する必要があるとのことだ。

宇宙ビジネスに取り組む起業家が活躍し、人工衛星打ち上げが増え続けていることから、人工衛星向けアンテナシェアリングサービスの必要性も増していく。同社のチャレンジに期待したい。

Samsung、Siriの製作者が開発する次世代型AIシステム「Viv」を買収

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SamsungVivを買収することに合意した。VivはAIのアシスタントシステムで、Dag Kittlaus、Adam Cheyer、Chris Brighamが共同創業した会社だ。彼らはSiriを制作し、2010年にAppleに売却している。この3人は、AppleがSiriを買収した翌年にAppleを去り、2012年にVivを創業した。買収額は分かっていないが、情報が入り次第お伝えしたい。

VivはSiriより拡張的で、強力なバージョンとして開発された。

Vivは買収後も独立した会社として運営を続け、Samsungと彼らのプラットフォームにサービスを提供するという。

Vivの特徴は2つある。1つは相互に連携する性質だ。Siriといった他のエージェントは最近になってようやく、それぞれ分断された情報をアプリやサービス同士でやりとりし、ユーザーの一連の指令と結びつけることができるようになってきている。これにより、人が実際に話すのに似た会話形式の複雑なクエリにも対応することができるようになる。

2つめは、Vivのバックエンドシステムのプログラムの性質にある。プログラム合成からの「ブレークスルー」ができるようになり、VivのAIは新しいタスクをこなすのに、独自のコードを自ら書くという。「自らを構築するソフトウェア」は、複数の点において新しい概念と言えるものではないが、早くにAI分野でこの技術を発表し、大きな反響を呼んだ会社の1つがVivだった。Vivはこれを「ダイナミック・プログラム生成」と呼び、Vivがユーザーの意図を理解し、過去に行っていないタスクでも、進行しながらタスクを実行するためのプログラムを作成することを可能にする。

Vivは今年開催されたDisrupt NYカンファレンスで、初めてこのシステムをライブデモで披露した。

「全ての指令をコードで書く代わりに、何をしてほしいか説明するだけでいいのです」とデモの後、Kittlausは私のインタビューで話していた。「Vivのアイデアは、開発者はすぐに欲しいと思う体験を構築できるようにすることです」。

KittlausがAppleを去った時、彼は「Siri Is Only The Beginning(Siriは始まりにすぎない)」という記事を書いた。その中で、彼は「AIでカンブリア爆発が起きます。数多の既存システムと新規のシステムでAIが活用されるようになります」と記した。

「ユビキタスであること」。Kittlausは、VivがSamsungの傘下になった理由としてそう話す。なぜSamsungなのかと彼に聞いたら、彼はこう説明した。

「彼らは1年で5億台の端末を出荷しています。前回登壇した時、あなたは私たちの目標について聞いたと思います。私はユビキタスであることと答えました。

近年、市場で何が起きているかを見た時、そしてVivを広く届けるための準備ができたことを鑑みると、これが理にかなうことだったのです。私たちのビジョンはSamsungの事業と一致し、私たちのコアテクノロジーという資産を広く届けることを考えた時、今が最適な時期で、Samsungが最適なパートナーでした」。

Samsungはもちろん、スマートフォンの売上高をめぐってAppleとトップシェアの座を競っている。単体のメーカーとして、Appleに挑戦している競合は彼らだけだ(利益に関してはAppleに遠く及ばない)。Samsungのスマホは売上不振により、利益もしばらくの間低調だったが、最近発表した2つの盤石なモデルで持ち直しつつあった。だが、その売上はバッテリーの爆発でリコールしているGalaxy Note 7のために台無しになった。

それ以外でも、Samsungは自社スマホのソフトウェアの運命をどのように進めるかという難題を抱えている。Googleはますます直接的な競合になりつつある(少なくともGoogleはそうなる施策を打っている)。Samsungにとっては、Tizenや他のAndroidベースのソフトウェアパッケージを使用するより、自社のハードウェアとそのためのソフトを所有する方が未来は明るくなるだろう。Googleのアップデートや機能を借り受けなくてもよくなる。

「この買収はモバイルチームが行ったものですが、他の全てのデバイスにこれを適応することの意義も明らかです」と SamsungのSVPを務めるJacopo Lenziはインタビューに答えた。「私たちから見ても、クライアントから見ても、Samsungの全体で持つスケール感を活かすことで、この取り組みの意義と本当の力を引き出すことができます。また、私たちとコンシューマーとの豊富なタッチポイントも活かすことができます」。

Vivを買収することで、SamsungはSiriとGoogle Assistantと競合するのに十分な力を得ることができる。1つ難点は、Vivはまだローンチしていないということだ。現実世界でVivが通用するかどうか、現時点で言及することはできない。ただ、この12ヶ月の間で、AI駆動のアシスタントがいかなるモバイルプラットフォームでも役立つかが分かってきた。AppleのAirpodsは長時間着用可能で、複数のビームフォーミングを行うマイクでは正確な音声入力を実現し、Siriと驚くほど相性がいいということが分かった。もしSamsungがこの領域で競合を買いたいのなら(当たり前のようにそう思っているだろう)、Vivと彼らのチームを買収するのはこれ以上ない選択肢だ。

この買収はモバイルグループが行ったものの、それ以上に連携できる可能性も大いにある。Amazon Echo、Google Home、Appleのスマートホームハブがそれぞれのサービスを仕込んでいる様子を見れば、大手企業がいかに熾烈にユーザーの自宅のテーブル上のスペースを巡って競っているかがわかる。Samsungの発表は、モバイルやウェアラブルの他にも、自宅にある家電にも注目を集めさせる内容だ。

Samsungは2014年、およそ2億ドルでSmartThingsを買収している。Vivというクロスプラットフォームの不可知な知性を、SmartThingsの主力となる製品群にも実装するというのは理にかなう話だ。さらに、Samsungは洗濯機や冷蔵庫といった家電も多く扱っている。「IoT」はどんどん従来の意味での「IoT」ではなくなるだろう。「IoT」なんてアホらしい名称もそろそろなくなるだろう。実際には、ほとんど全てのものが通信機器やマイクロプロセッサーを搭載し、端末がユーザーと周りの状況を把握することでユーザーの生活に溶け込むことを保証するようになる。

「具体例はありませんが、私たちはAIがカスタマー体験を進化させるだろうと考えています。特にAIを端末やそのシステム、あるいはIoTに組み込むほど、それが顕著になるでしょう。ここで重要なのは、ユーザーがこのようなテクノロジーと本当に関わりたいと思う方法を実現することです。それはシンプルな会話形式のインターフェイスです」とLenziは言う。

ここでいう知性とは、単に端末の知性ではなく、それらをコントロールする頭脳のことであり、Vivはその知性を与えることができるだろう。

Googleがさらに機能を追加しているAndroid、あるいはiOSとの差別化を図るために、SamsungはVivを自社のエコシステム内に閉じ込めるかと、私はKittlausに聞いた。

「それは絶対にありません。このシステムと理念は、できる限りオープンであり、できる限り多くの部分に価値を付加していくことにあります。もちろん、Samsungが持つサービスとデバイスの両方における存在感をフルに活用し、それらと連携することで、体験を本当に良くできると思います」と彼は答えた。

「これに取り組み始めた最初の日から、私たちが目指しているのは、前回登壇した時に話したように、世界がこのシステムを使って新たなマーケットプレイスを形作ることです。それが次のパラダイム、ウェブサイト、モバイルアプリ、そして今回はこの取り組みにつながりました」。

「今、人々が市場で見ている基本の状態から、世界中の異なるマーケットの異なる端末を用いて人々が自分からこのシステムにプラグインするために、オープンなシステムが必要です。そのようなスケールが実現した時、このアシスタントがユーザーのために何ができるようになるか想像してみてください」。

「アシスタントがこなせるタスクの数は、数十から千になり、万になり、将来的にはもっと増えるでしょう。そのようなスケールに達するために必要なのは、そのために必要な多様なテクノロジーやプラットフォームを考えぬくことです。私たちは過去4年間、それに費やしてきました」。

Samsungが単に自社のプラットフォームにAIアシスタントを加えること以上の施策を検討していると考えるなら、その証はすでにいくつかあるようにも思える。プレスリリースには、「VivでSamsungはカスタマーに対し、新たなサービス体験を提供することが可能になります。例えば、ユーザーインターフェイスをシンプルにし、ユーザーの状況を理解して、ユーザーにとって最も適切で、有意義な提案やレコメンドができるようになります」とある。

宣伝文句でもあるが、この先を予見させる言葉でもある。

Samsungの様々な端末のソフトウェアにVivを搭載した場合、どのように他社との差別化につながるか、とKittlausに聞いた。彼は「外には広大なエコシステムが広がっています。この取り組みでは、私たちはポスト・アプリ時代に向かってゆっくりと進み出すということが1つです」と言った。

「Samsungはこの全く新しい分野を牽引できる位置につけています。どこからでも利用できるアシスタント、シームレスなインタラクション、会話型のコマース、私たちがこれまで話してきたことが実現するためには、新たなバックボーンが必要です。これらを組み合わせることで、クリティカルマスを獲得する機会が得られます」。

SamsungによるVivの買収は、AppleやGoogleが提供するような音声駆動のアシスタントを開発するためというよりも、音声駆動のインターフェイスを作るためということなのだろう。それは、スマホ、ホームハブ、ドアノブ、冷蔵庫に至る全ての端末に一貫して存在することになるのかもしれない。AIでカスタマーを獲得し保持することを目指す、少数の会社と同様にSamsungをそれを目指しているのだろう。

もし、Apple、Amazon、GoogleがAIをOSやデバイスの中核に据え、デバイスは単にそのコアに紐づく電化製品というコンセプトを煮詰めることができるなら、私たちにもできないことではないというのがSamsungの考えのようだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

水に潜るときのビーバーの毛皮の構造に理想のウェットスーツのヒントがあった

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サーファーが毛皮を着るようになる?! MITのエンジニアたちが作った、“毛皮のようなゴム状のペルト”は、ビーバーの断熱能力を模倣する。これで、今よりももっと断熱効果の高いウェットスーツを作れば、人間が冷たい水の中でも作業できるようになり、しかもそれは、水から上がればすぐに乾くほど水切れが良い。

温かくて乾きの良いウェットスーツは、サーファーの長年の夢だ(その日最大の波に乗って最高のテン(ハングテン)をキメることもね…そう、ぼくはプロのサーファーだよ、どうして分かったの?)。しかし今ある素材はどれも、水中で温かく、ボードの上では乾いているの両者が、うまく両立していない。クジラなど一部の生物は厚い脂肪の層で体を保温しているが、それは人間にはない。

そこで研究者たちは、もっと細身の哺乳類、ビーバーに目をつけた。そして、水に潜るときはその毛皮の個々の毛包が空気を保持することを見つけた。ビーバーはそのペルトの中に泡を保持し、冷たい湖の水の、凍えるような温度から身を守る。研究者たちは、毛と毛の間隔と、水に潜るときのスピード、そして保持される空気の量とのあいだに、直接的な相関関係があり、その関係を人工物で再現できることを見つけた。そのような人工物こそ、サーファーにとって最良のウェットスーツを作れる、正しい素材でありうるだろう。

彼らの研究結果から生まれるウェットスーツは、それほど毛むくじゃらではなく、それでいて、ビーバーが持つ利点のすべてをサーファーに与えるだろう。研究から、そんな技術の商業化に、うまく移行できたらね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Sharpの小型HDディスプレイでVRの解像度が倍(1000ppi)になる

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仮想現実は、がんばって装着してみれば、なかなかすごい。でも今あるヘッドセットは、その最良のものでも、それほどシャープ(高精細)ではない。このことに着目したSharpは、今あるものの倍の解像度を持つVR専用のディスプレイを作った。

それはまだプロトタイプで、日本のCEATECで展示されている〔7日まで〕。PC Watch誌がSharpのブースで写真を数枚撮ったが、小型スクリーンは矩形と円形の両方がある(上図)。

矩形は2160×1920、円形は直径1920だが、サイズはわずか2インチだ。だからppiは1000にもなる。今のスマホの5〜6インチの画面が、300-500ppiぐらいだ。Oculus RiftやHTC Viveで使われてるのも、やはりそれぐらい。ただしVR用でなければ、もっとすごい、2000ppiの製品もすでにある。

このSharpのディスプレイが発色もレスポンスタイムも良好だとすると…IGZOだからそのはずだが…、VR体験に革命をもたらす。それは、レティナディスプレイの前とあとのiPhoneの違いにも匹敵するだろう。

展示されてる中で、もうひとつ、ぼくの目を引いたのが、5.2インチのHDパネル“Free Form” だ(下図)。ご覧のようにコーナーが円くて、完全にベゼルがないスマートフォンのプロトタイプだ。エッジの丸いところも画面表示の一部だから、すごい。来年は、これでキメたいな。

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PC Watchのページが、Sharpのブースを詳しく紹介している。

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Twitterを利用した顧客対応の有用性調査

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商品利用者などの顧客が不満をツイートした際、それに対応することで事態を沈静化することができると、以前からよく言われている。果たしてそれは本当に効果があり、コスト的に見合うものなのかどうか。

Twitter自らが、その効果について調査を行った。Applied Marketing Scienceとの協力で行ったものだ。この調査によれば、顧客がクレームをツイートした場合に企業からレスポンスがあると、当該企業からの購入額が平均して3%ないし20%向上するのだとのこと。さらに44%が自らの体験をツイートして、30%が他の人にもプロダクトをすすめるようになるそうだ。

また、返信ははやいほど有効でもあるらしい。こうした対話を行う意図がある場合、ネガティブなツイートも悪いことばかりではないようだと結論されている。不満をツイートしながらも企業側から返信を受け取ったひとの60%は、企業に対して良い印象を持つようになったのだそうだ。

TwitterのブログにてWayne Huangが次のように記している。

カスタマーサービスの質を向上させることで、ブランドロイヤルティを向上させることができることは誰もが知るところです。今回行った調査は、対話から生まれるさまざまなメリットを明らかにするものです。さらに、対話を通じたカスタマーサービスは、他の手段にくらべて安価に行うことができます。McKinsey & Companyによればコールセンター設置の6分の1のコストで顧客サービスが行えるようになるとしています。顧客対応がさらなる購買につながり、好感度や満足度もあがり、他の人に推奨してくれるようにもなるのです。Twitter上でのコミュニケーション重視策は、まさに企業の利益に直結するものであると言えるでしょう。

こうした調査はさまざまな業種について行われており、昨年は航空業界についてレポートを発表している。今回の調査は、企業との対話にTwitterを用いた人と、他の既存チャネルを用いた人、そして何のコミュニケーションも行わなかった人の合計で3,139名を対象に行ったものだ。

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Built.ioがビジネスユーザーのためのIFTTT、その名もFlow Expressをローンチ

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Built.ioFlowは、ドラッグ&ドロップの簡単なインタフェイスで、複数のステップから成る複雑なタスクを、まるで一つのシェルスクリプトのように統合できる便利なツールだ。そのBuilt.ioがこのほど、技術系ではないふつうの社員でも使える、いわば簡易バージョンのFlowをローンチした。これを使うとユーザーは、Cisco Spark, Slack, Gmail, Marketo, SalesforceなどのアプリケーションをIFTTT的に統合できる。名前を区別するために従来のFlowはFlow Enterpriseになり、この新しいFlowはFlow Expressと呼ばれる。

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Built.ioのCOO Matthew Baierはこう説明する: “統合化と自動化は、ビジネス系と技術系、どちらのユーザーにとっても有益だ。しかし両者のあいだには、ニーズとスキルの違いがある。これまでうちは、ITアドミンなど技術系のユーザーに奉仕してきたが、非技術系の労働者にも仕事を統合化するニーズがあることに気づいた。ただしその場合、プログラミング不要でなければならない。Built.ioのFlow Expressを使えば、コーディングのスキルのない人でも、毎日使うアプリケーションやサービス、デバイスなどを結びつけて、自動化されたワークフローを作れる”。

彼の話を聞くと、Flow ExpressはIFTTTZapierMicrosoft Flow(同じ名前!)とよく似ているようにも思えてくるが、しかしBuilt.ioは、ビジネスプロセスは単純なif〜then〜の論理だけで表せるものではない、と主張する。

Baierによると、Built.ioの企業ユーザーは、同社の競合製品に飽きたらなくて乗り換えた人たちが多い。“そしてFlwo Expressは、うちに長らく欠けていた初等的入門的な製品だ。Flow ExpressとFlow Enterpriseがあることによって、本当のエンドツーエンドの統合化が提供される。IFTTTでできる単純なものから、もっと複雑高度なものまでどんなものでも統合化でき、ユーザー自身のかぎりない成長に伴走できる”、と彼は語る。

Flow Expressのインタフェイスは、〜Enterpriseのドラッグ&ドロップ方式ではなく、ステップバイステップのウィザードを使ってマルチステップのフローを作る。そしてExpressで物足らなくなったユーザーは、そのフローをFlow Enterpriseにエキスポートできる。Flow Expressでは42のサービスを結びつけることができるが、他社製品はもっと多い。でも現状でSlack, Microsoft Dynamics, Salesforce, Trello, Box, Dropbox,などなどをサポートしているから、とりあえず十分だろう。

Flow Expressには、試用バージョンがある。有料プランでは、ワークフローが9つから、月額料金は9ドルからだ。最高は25ワークフローの月額29ドルだが、10月24日までなら25ではなく27のワークフローを作れる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの自動運転車、走行距離200万マイルに到達

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Googleの自動運転車が、新たなマイルストーンに到達した。200万マイルの走行を達成したのだ。公道でのテスト走行距離は、平均的個人による年間運転距離に換算すると300年分にもなるのだそうだ。

Googleの自動運転向けソフトウェアの開発をリードするDmitri DolgovがMediumに投稿した記事によれば、「運転技術のうち90%は学習が比較的容易なものなのです」とのこと。フリーウェイを走行したり、空いている都市部を運転したり、交差点の通行などが、この「比較的容易な90%」に含まれるのだとのこと。しかし混雑して、偶発的な事態が数多く発生するような場所での通行には、やはりさまざまな困難があるそうだ。

Googleによるここしばらくのテスト走行も、この「困難な10%」に対処するために行われてきたものだ。Dolgovの言うところでは、自動運転技術の進化については、依然として困難は残っているものの、「満足できるレベル」にあるとのこと。「進化」は歩行者や他の自動車が通行中に示す「意志」を解釈して、それに適切に対応するといった「ソーシャル」の面にも及んでいるのだとのこと。

「困難な10%」のうち、どれだけを克服したのかという数値は発表されていないようだ。しかし現在開発中の第4世代の自動運転車により、日常的に自動運転車を利用する世界が現実味を帯びてくるだろうとのことだ。

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(翻訳:Maeda, H

宅配ネットクリーニングのリネット、独自のトラッキングシステム「エスコートタグ」を発表

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宅配ネットクリーニング「リネット」を運営するホワイトプラスは10月6日、富士フイルムイメージングシステムズと共同開発した独自のRFIDを用いたトラッキングシステム「エスコートタグ」を発表した。10月末からふとんの宅配クリーニング「ふとんリネット」で試験運用を開始する。

リネットは、ネット予約で集荷から配送まで頼める宅配クリーニングサービス。関東圏の30代から40代の共働き家庭を中心に利用が拡大。9月には会員数20万人を超えた。9月末からは「“家事の延長”からクリーニング体験を革新する」として「Love more」プロジェクトを始動、「物流」「生産」「商品」の3軸で改革を行っていくとしている。

第1弾として9月29日に発表されたのは、午前0時まで衣服を集配する「夜間便」と、衣類を工場からハンガーにつるしたまま配達する「シワなしハンガー便」の二つのサービスだ。クリーニングの集配が定期的なサービスであることに着目して独自の物流インフラを開発したもので、「物流」面からクリーニングサービスの革新につなげていく。

そして今回発表されたエスコートタグは「生産」のイノベーションとしての導入となる。ホワイトプラス広報・渉外グループマネージャーの中島規之氏によれば、エスコートタグは「クリーニングの生産性を2倍に効率化することを目指し、IoT時代への対応も視野に入れた独自のシステムだ」という。

エスコートタグのRFIDタグは、クリーニングに必要な耐水性、仕上げのアイロンやプレスへの耐熱性、業務用ドラム式洗濯機洗浄への耐衝撃性、ドライクリーニングへの耐油性などを備え、かつ薄く、軽く、柔らかい業界初の独自タグだ。この独自RFIDタグとこれに対応したリーダ/ライタ、アプリケーションを使ったエスコートタグシステムで、検品したクリーニング品の現在地をリアルタイムに把握。工場内で衣類がどの工程にあるかをトレース可能にする。

「エスコートタグ」のRFIDタグ

「エスコートタグ」のRFIDタグ

10月末からふとんリネットにて試験運用を開始し、今後は全工場への導入を目指す。将来的には工程を可視化し、ユーザーが宅配便のように自身のクリーニング品の状況を確認できるサービスを提供したり、注文後の依頼内容を柔軟に変更したりするなど、サービスの拡張も考えているという。さらに「大量のデータを活用することで、例えばクリーニングのタイミングをリコメンドするなど、お客様の満足度を向上するサービスを将来的に提供していきたい」と中島氏は話す。

リネットでは、10月中には物流・生産に続く3軸目の「商品」でも、業界初となる新たなサービスの投入を予定しているそうだ。ホワイトプラス代表取締役の井下孝之氏は「20万人突破は会員の支持のたまもの。現在までに総額で7億円の調達を実施してきたが、すべて品質と顧客の利便性向上に投資してきたことが評価されていると考えている」と話している。

「送料無料のラインを3000円から1900円に引き下げたり、子ども服の料金を標準価格の3割引に設定したり、独自の洗剤を開発するなど、これまでにもさまざまなイノベーションを起こしてクリーニング体験の変革を実施してきた。今回のLove moreプロジェクトはクリーニング革命の集大成とも言えるものだ。顧客からは常にシビアな目で見られている。品質の追求と顧客の利便性向上に対して、今後もより投資していく」(井下氏)

リファラル採用ツール「Refcome」のCombinatorがBEENEXTなどから5000万円の資金調達、開発・サポートを強化

左からBEENEXTの前田ヒロ氏、Combinator代表取締役の清水巧氏、Draper Nexus Venture Partnersの倉林陽氏、ANRIの佐俣アンリ氏

左からBEENEXTの前田ヒロ氏、Combinator代表取締役の清水巧氏、Draper Nexus Venture Partnersの倉林陽氏、ANRIの佐俣アンリ氏

リファラル採用(紹介採用)支援サービス「Refcome(リフカム)」を手がけるCombinatorは10月6日、BEENEXT、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersを引受先とした総額5000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

7月にリリースしたRefcomeは、効果的なリファラル採用を行うための施策設計のサポート(コンサルティング)に加えて、人事担当者、社員、社員の友人(採用対象)の3者に向けた機能を提供する。

社員への人材紹介依頼機能や、協力した社員の管理機能、そして友人の招待を促すメッセージの作成機能を提供することで、人事、社員の双方に余計な手間がかからないリファラル採用が実現する。利用料は導入企業の社員数やコンサルティング内容によって異なるが月額7万〜10万円程度。正式公開から3ヶ月で、すでに約30社9000人に利用されているという。

screenshot_667同社は今回調達した資金をもとに、開発および営業・サポート体制を強化。リファラル採用の支援だけでなく、より良い組織創りのヒントが得られるプロダクトの開発を目指すとともに、サポート体制を整えることで、企業ごとに最適化したリファラル採用の施策を支援できるようにするとしている。

「Incubate Camp」での優勝が資金調達の契機に

Refcomeの正式公開から3カ月で資金調達を実施したCombinator。その経緯には7月15日、16日に開催されたスタートアップとベンチャーキャピタリストの合宿「Incubate Camp」が大きく関わっている。

「BEENEXTからの投資はIncubate Campが開催される前に決まっていたのですが、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersからの投資はIncubate Campでの結果があったからこそ、決まったのではないかなと思っています」(Combinator代表取締役の清水巧氏)

Incubate Campはシードラウンドの資金調達およびサービスリリース済みで、さらなる事業成長を目指して資金調達を希望するスタートアップとVCが一堂に会し、2日間で事業アイデアを磨きあげる合宿イベント。今回参加した17社のスタートアップの中で、Combinatorは最も高い評価を獲得。その結果も相まって、3社のVCから資金を調達することができたという。

3人の投資家と一緒に戦おうと思ったワケ

もちろん、Incubate Campに参加していたVCは数多くいる。様々な選択肢が用意されている中、なぜCombinator代表取締役の清水巧氏はBEENEXT、ANRI、Draper Nexus Venture Partnersの3社から投資を受けることにしたのだろうか?

「BEENEXTは前田ヒロさんがいたからです。前田ヒロさんには、スタートアップに特化した仲間集めプラットフォーム「Combinator」を立ち上げた頃から事業の相談に乗ってもらってたんです。その経験もあって、今回資金調達の相談をしに行ったら、その場で快諾していただけて。前田ヒロさんは起業家と一緒になって事業をつくっていくことに強みを持っている方だと思っているので、僕自身、一緒にRefcomeをつくっていきたいと思っていました」(清水氏)

清水氏自身、Refcomeはプロダクトマーケットフィットの少し前の段階と話しており、”事業・組織づくり”の観点から前田ヒロ氏が所属するBEENEXTを選択した。ANRI、Draper Nexus Venture Partnersを選んだ理由もそれぞれある。

「Draper Nexus Venture PartnersはIncubate Campでメンタリングを担当してくれたこともあるのですが、パートナーの倉林陽さんがSaaSの領域に強く、BtoBサービスのグロースの方法に精通していた方だったので、その方法を教えてもらいたいと思いました。ANRIの佐俣アンリさんはCombinatorの創業時から相談に乗ってもらっていて、僕のことをすごく理解してくれ方だと思っていました。また、すごくビジョナリーで大変なときも背中を押してくれるので一緒に戦っていきたいと思いました」(清水氏)

組織課題も解決できるようなサービスに

実際、3カ月間サービスを走らせることで見えたこともある。それはリファラル採用のハードルを下げられたこと。リファラル採用の導入・運用の簡略化させることで、「リファラル採用って何から始めて良いかわからない」という人事担当者の悩みに答えることはできた。

しかし、一方で「ツールを導入すればリファラル採用が上手くいく」と思っている企業も一定数出てきたという。その原因は、リファラル採用を運用していくための仕組みづくりができていないことにあるので、今後、清水氏はRefcomeを社員満足度や組織課題を可視化できるようにし、より良い組織づくりのヒントが得られるプロダクトにしていくそうだ。

また、企業によって最適なリファラル採用の手法が異なることもわかったため、カスタマーサポートの採用を強化。導入企業のサポート体制を整えることで、企業ごとに最適化したリファラル施策を支援できる基盤を整えていく。

「3カ月間サービスを運用していく中で、リファラル採用の導入ハードルを下げることはできたかなと思っています。ただし導入後、リファラル採用が定着していない企業も多くある。もちろん、リファラル採用の導入・運用の簡略化も継続して行っていきますが、リファラル採用をきちんと運用できるよう、組織づくりもサポートできるサービスにしていきたいと思っています」(清水氏)。Combinatorでは2016年中の導入企業100社を目指す。

なぜシリコンバレーのトップ投資家たちは今、ラテンアメリカに投資するのか?

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ベンチャー〔編集部〕Julie Ruvoloは元TechCrunchライターで、現在はLatin American Private Equity and Venture Capital Associationの論説主任を務めている。

ラテンアメリカは、今地球上で最も見過ごされている市場かもしれない。

ラテンアメリカのベンチャー市場規模はインドや中国には及ばない。ウォールストリートジャーナルによれば、2016年前半の中国における新規ベンチャーキャピタルファンドは118億ドル(14%減)に上るのに対し、ラテンアメリカでは2億1800万ドルだった。「真のスタートアップ」となるには10億を超えるユーザーが必要だと考える投資家たちは、同地域の6億人という人口規模も見落としている。

しかしAndreessen Horowitz(コロンビア)、Founders Fund、Sequoia Capital(ブラジル)、QED(メキシコおよびブラジル)からの初投資によって、その様相は変わりつつある。

自分はここ数年、TechCrunch向けにラテンアメリカでの投資について書いてきた。VivaRealPSafeComparaOnlineDescomplicaなどのスタートアップのラウンドについて取り上げたこともある。また、幅広く成功中のMercadoLibreが設立した「KaszeK Ventures」や、その名のとおりRedpointとe.Venturesのジョイントベンチャーである「Redpoint e.Ventures」のようなラテンアメリカ地域の主要なローカル投資家を取材したこともある。

ローカル投資家の視点から見た場合、ラテンアメリカにおける機会には次のようなものがあるだろう。

  • インターネット人口は3億人から6億人へと倍増する見込み。
  • 人口の半数が銀行システムを利用していない(たとえばメキシコではわずか15%しかクレジットカードを所持していない)。
  • 人々のほとんどが安価なAndroid経由でオンラインに接続している。

注目に値するのはブラジルで、その人口2億人のうち、半数しかオンラインにいないにもかかわらず、すでに主要ソーシャルプラットフォームで世界2位または3位を占めている事実だ。また、データよっては、ブラジル人は(不思議なことになぜかOrkutに端を発して)世界のどの国民よりもオンラインで時間を過ごしているという。

ではベンチャーに関するデータはどうだろうか。ベンチャーキャピタルによる投資はこの5年間で着実な増加をみせている。2015年には過去最高となり、総額5億9400万ドル、182件以上の取引があった。ブラジルは経済的・政治的危機にもかかわらず、調達額と投資額の点でラテンアメリカのベンチャー市場ではトッププレイヤーだ。

Latin American Private Equity and Venture Capital Association(LAVCA)による年半データによると、ラテンアメリカでのベンチャーキャピタル取引は前年比で46パーセント増加したという(ちなみにLAVCAは筆者が勤務するOmidyar Networkがサポートする非営利団体だ)。

アメリカ国境よりも南では「大したことは起きていない」と思っているあなたのために、以下に自分が気づいた投資トレンドをいくつか紹介しよう。

シリコンバレーのトップ企業がラテンアメリカで投資を始めた

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ちょうど今年、Andreessen Horowitzがコロンビアの食料品宅配サービスRappiに、ラテンアメリカで初めての投資を行った。

Founders Fundもラテンアメリカでデビューを飾った。投資先は弁護士マッチングプラットフォームのJusbrasilと、フィンテック関連のスタートアップNubankだ。Nubankは昨年にかけてFounders Fund、Sequoia Capital(同キャピタル初のブラジルへの投資)、Tiger Global、KaszeK Ventures、QED Investorsから8000万ドルを調達し、さらに今年に入ってゴールドマンサックスによる5200万ドルの債務投資も受けた。

またゴールドマンサックスは今年、ブラジルの物流系スタートアップCargoXに対する1000万ドルの投資も率いた。その際にはValor Capitalと、Uberの共同設立者Oscar Salazarの参加があった。

メキシコではAccel PartnersとQED Investorsが初めての投資を行った。Accelは同国の食料品ショッピングサービスCornershopへのシリーズAで670万ドルを出資したのだ。このラウンドはラテンアメリカで最もアクティブなベンチャーキャピタルの1つ、ALLVPが率いた。QEDはKaszeK、Quona Capital、Accion Frontier Inclusion Fund、Jaguar Ventures(メキシコの投資会社)とともに、融資プラットフォームKonfioに向けた800万ドルのシリーズAに参加した。

メキシコは2015年、資金調達で初めてブラジルを追い抜いた

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2016年上半期には、メキシコの資金調達件数はラテンアメリカでトップとなった。取引数は47件(2015年上半期と比較して4.2倍)で、政府機関であるFondo de FondosとNational Institute of the Entrepreneur(INADEM)がここ数年で提供した資本によって活気づいたところが大きい。

(ちなみに、ブラジルにおけるベンチャーキャピタルのエコシステムも、BNDESFINEPからの政府出資で活性化した経緯がある。また、多数国間投資ファンドFOMINのSusana Garcia-Roblesが、ラテンアメリカ地域における70ファンド以上で個人的にアンカー投資を率いているのも注目に値する。)

今のところラテンアメリカのベンチャー投資ではフィンテックが優勢

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IT関連の投資では、フィンテックが投資額面で2015年には29パーセント、2016年上半期では40 パーセントを占めた。メキシコでは前述のKonfioに加えて、同じく融資プラットフォームのKueskiがCrunchFund、Rise Capital、Variv Capitalなどから1000万ドルを調達した(さらに2500万ドルの借入もあり)。ブラジルではIFCが1500万ドルを調達したGuiaBolsoのシリーズCを率い、KaszeK Ventures、Ribbit Capital、QED Investorsが名を連ねた。興味深いのは、ラテンアメリカでは人口の半数が銀行サービスを利用していないため、ほとんどすべてのフィンテック系スタートアップは直接的、あるいはそうと意図せずとも、市民の金融サービスへのインクルージョンに影響していると言える点だ。

MonsantoやQualcomm、BASFによる大規模投資で、アグテックもヒートアップ中

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ブラジルは、アメリカに次いで世界第2位の農業ビジネス市場だが、ラテンアメリカにおけるアグテックは全くといっていいほど注目されておらず、2011年以降は同地域におけるベンチャー投資の1パーセント以下しか占めていなかった。しかしこれも変わりつつあるようだ。Monsantoが、ブラジルのアグテックファンドBR Startupsに最大9200万ドルを投資することになった。このファンドはMicrosoftがQualcomm Venturesとの協力のもと管理しているものだ。

またQualcomm Venturesは、ブラジルで200万件以上あるすべての農場にドローン1機を配置するプログラムをローンチした。さらにドイツの大手殺虫剤メーカーBASFも、アグテックアクセラレーターのAgrostartを先頃ローンチしたばかりだ。

買収に精を出すブラジルのモバイル複合企業Movile

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ラテンアメリカ関連のデジタルM&A取引については、公に入手可能なデータが十分とはいえないが(これについては現在改善中だ)、現在最も活発に買収活動を行っているのはMovileのようだ。

Movileの子会社で、ラテンアメリカでオンデマンド式フードデリバリーの先陣を切るスタートアップのiFoodは、シリーズFで調達したばかりの3000万ドルでSpoonRocketを買収した。これは過去2年以内で15件目の買収にあたる。

また、メキシコではMovileのオンデマンド式デリバリー・配送サービスのRappidoが、ブラジルでのライバル会社99Motosを合併し、ますます勢いを増している。

注目の集まるアルゼンチン

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新たに選出されたマウリシオ・マクリが大統領となったアルゼンチンでは、起業を促そうと構造改革が進行中だ。

マクリ大統領とNational Secretary of Entrepreneurship(起業庁)長官のMariano Mayerは、起業家精神と新規企業設立の促進を目的とした一連の法案を発表した。このLey del Emprendedor(起業家法)では、起業家はオンラインから24時間かからずに登記して会社を設立できるようになる。Ley de Sociedades de Beneficio de Interés Colectivo(集団的利益に関する会社法)は、持続可能な環境的・社会的影響について定義し、ビジネスを承認する法律としてはラテンアメリカ地域で初めてのものとなる。

加えて、新たに10件のファンドを設立して起業家が資本にアクセスできるようにする計画(このうち3件は今年末までにそれぞれ3000万ドルを調達する予定)や、クラウドファンディングの許可に関する法案も提出予定となっている。これと似た企業の新設を後押しするための法案プロジェクトは、メキシコシティとブラジルでも進行中だ。

<筆者付記>ラテンアメリカのベンチャー資金調達や投資データ、ローカルおよび世界で最もアクティブな投資家と最大規模の取引などについては、LAVCA発行の5年間の動向レポートをお読みいただきたい。最新のベンチャーキャピタル取引をフォローするには、同じくLAVCAが隔週発行するLatAm Venture Bulletinの定期購読をおすすめする。

 

画像提供:LEIRIS202/FLICKRCC BY 2.0ライセンス)

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(翻訳:Ayako Teranishi / website

ベゾスのBlue Origin、ロケットからの乗員脱出テストに成功―ブースターも5回目の垂直着陸

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今日(米国時間10/5)のBlue Originの飛行テストは成功したと同時に非常にユニークなものになった。今回ジェフ・ベゾスの宇宙企業では乗員安全確保システム(打ち上げ時にロケットに異常があった場合、乗員を安全に退避させる)を実験し、乗員カプセルは正常に回収された。この際、New Shepardロケット自体も(予定外だったが)安全な垂直着陸に成功した。

Blue Originではこのテストで打ち上げロケット本体を無事に回収できる可能性は低いとみており、事前にそのことを強調していた。ベゾスはメール中で「今回の乗員カプセル回収テストではブースターはすでに飛行中であり、条件は極めて厳しいのでブースターはおそらく破壊されるだろう」と述べていた。〔ビデオでは1:06:16にブースターのエンジンに点火〕

このテストでブースターは破壊されるだろう。ブースターはフライト中の乗員カプセルの脱出に耐えるようには設計されていない。

ともかく今回の実験の目的はクルーカプセルを飛行中のブースターから脱出させ、安全に着陸させることだった。ブースター自体の回収は目的に入っていなかった。しかしビデオで見られるとおり、ブースターも垂直着陸に成功し、New Shepardシステムの堅牢性を示す結果となった。このブースターにとっては今回が5回目の垂直着陸成功だった。またこれが最後の飛行となるようだ。ベゾスはこう述べている。

もしブースターも無事に生き残るようであれば、われわれは功績を讃えて引退パーティーをを開催し、ブースターは博物館に展示したい。

今回の実験はもちろん無人で行われた。打ち上げ途中で飛行継続できない異常が発生するという極限的な場合を想定した実験であり、そのような場合のシステムの挙動の情報を収集し、分析することが第一の目的だった。Blue Originが脱出システムを作動させるとロケットモーターによってカプセルはブースターから分離した。分離が行われるのは飛行中の空力的な圧力が最大になる地点が選ばれた。

この地点はシステムが音速を超える瞬間であり、Max Qと呼ばれ、カプセルに最大の力がかかる困難な地点と考えられている。今回のMax Qは高度1万6000フィート(4.9km)だった。

35分の遅れの後、東部時間午前11時35分にNew Shepardはウェストテキサス打ち上げ基地から発射された。打ち上げ後45秒で固体ロケットが2秒間噴射され、クルーカプセルをブースターから切り離した。〔ビデオでは1:07:03で脱出ロケット点火〕

Blue Origin escape system activated / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originの乗員脱出システムが作動 / Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

分離成功後、乗員カプセルは通常の手順どおり、姿勢安定用のドローグ・パラシュート、続いて減速用のメイン・パラシュートを開いた。カプセルはリング状のフィンによって姿勢を制御しながら下降し、最後にエンジンを逆噴射して時速3マイル程度で静かにタッチダウンした。

Blue Origin crew capsule touching down in West Texas / Screenshot of Blue Origin live feed

Blue Originのクルーカプセルがウェストテキサス打ち上げ施設付近にタッチダウン/ Blue Originのライブ中継からのスクリーンショット

クルーカプセルのタッチダウンから3ほどでブースターも安定した姿勢で垂直着陸に成功した。このブースターがこれで連続5回、垂直着陸に成功しているというのはNew Shepardの安全性を考える上で印象的だ。

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Blue Originが打ち上げ時の乗員脱出のテストをするのはこれが初めてではない。2012年10月には同じクルーカプセルを使って静止状態からの脱出実験を実施している。ただしこのときは実物のブースターは用いられていない〔下のビデオ〕。

今回の脱出テストで用いられたクルーカプセルは2012年のテストで用いられたカプセルそのものだ。発射台に静止している状態からの脱出と異なり、加速して飛行中のブースターからのカプセル切り離しは考えられる中でもっとも過酷な条件でのテストだった。

こうしたテストは有人飛行のために必須の準備だ。ベゾスは早ければ2018年にも宇宙高度に乗客を送れると述べている

まだ有人での飛行ミッションは行われていないものの、ベゾスとBlue Originはさらなる未来を計画中だ。先月、Blue Originは衛星打ち上げ能力を備えた新しい大型ロケット、New Glennの開発計画を公式発表した

New Shepardと同様、New Glennのブースターも垂直着陸による再利用を目指している。今回のテストの成功をみるかぎり、Blue Originのブースター再利用による衛星打ち上げ計画は着々と前進しているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

アーリーステージの企業がShippoのシリーズAから学ぶべきこと

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シリーズAのクロージングは難しいことで有名だ。その厳しさから”シリーズA危機”という言葉が生み出されるほどである。また、シードラウンドで資金調達に成功したスタートアップのうち、25%しかシリーズAをクローズできないとも推定されている。

複数の配送会社に対応したAPIを提供しているShippoは、その苦難を乗り越えたスタートアップのひとつだ。先月同社は、USVをリードインベスターとするシリーズAで700万ドルを調達したと発表し、今後USVのAlbert Wengerを取締役として迎える予定だ。

他の起業家がShippoの経験から学べるよう、彼らは特別な計らいとして、シードラウンドとシリーズAで使われたプレゼン資料を一般公開することを決めた(記事の末尾参照)。プレゼン資料からは機密情報が取り除かれているものの、Shippo CEOのLaura Behrens Wuはそれぞれの資金調達の詳細について話をしてくれた。

TC:2014年にシードラウンドで資金調達をしようとしていたときの話からはじめましょう。いつ頃資金調達の必要性を感じましたか?また、その時はどんなゴールに向かって進んでいましたか?

Wu:Shippoをはじめてから7ヶ月経った頃に資金調達を決断しました。最初の4ヶ月は手持ちの資金を使い、残りの3ヶ月は500 Startupsのプログラムに所属していて、Shippoの成長に関する数字を確認したとき資金調達の必要性に気づきました。機能しているプロダクト・満足している顧客・取引量の増加という、ビジネスに最低限必要なものはその頃既に揃っていたんです。一方で、その当時私たちのプロダクトがヒットしていたとも、市場にフィットしていたとも言えないんですけどね。その頃から何度も何度もプロダクトの改良を行ってきましたし!

新米ファウンダーだった私たちは、Shippoのビジネスに参加して会社の成長を手助けしてくれるような支援者を探していました。また、事業の成長に専念できるよう、資金調達のプロセスは本業とは全く別のスケジュールで捉えるようにしていました。

TC:あなたと共同ファウンダーのSimonはどちらも外国人ファウンダーですよね。アメリカではどのように投資家とのネットワークを作っていったんですか?

Wu:当初は500 Startupsを通じてでしたが、その後は自分自身の評判を高めることでネットワークを築いていきました。さまざまな場面で会う投資家(や他のファウンダーなど全員)に、自分のことを、信頼に値し責任感がある人だと考えてもらいたいですよね。そのためにも、自分が約束したことを必ずやり遂げるということが大切です。アドバイスをもらって人の時間を使っておきながら、なにもアクションを起こさないなんてことは、絶対にしてはいけません。

TC:当時のShippoの段階において、投資家はどのような指標を重要視していたんですか?

Wu:投資家はトラクションの兆候を見たがっていました。私たちは、ユーザーが常にShippoを利用し、気に入っている(利用率・継続率の増加、低い解約率などを指標として)ということを投資家に証明することができました。また、常に議論にあがっていたのが市場規模で、支援先企業にとって十分な可能性がその市場にあるのかというのを彼らは知りたがっていました。

TC:シードステージにある企業には、何も指標がなかったり、あったとしても価値ある洞察が得られるほどではないという場合が多いと思いますが、彼らにはどのようなアドバイスをしますか?

Wu:ひとつのKPIを重視するということですね。指標を得たいがために複数の指標を準備する必要はありません。本当に意味のある数値だけに集中するんです。もしもそれが何か分からない場合(もしくは目標に到達しない場合)は、お客さんが自分たちのプロダクト無しでは生きていけないと思うほど、彼らを満足させることに集中すればいいんです。

TC:投資家を説得させるのが最も難しかったことはなんですか?

Wu:マーケットプレイスやECが盛り上がっている一方、配送業に注目している投資家はあまりいませんでした。配送業に隠された問題を知らない人にとっては、とても地味な業界ですからね。しかし、そのうち問題の深層や、私たちのプロダクトがどのようにその問題を解決できるか、さらにはそこからどのようなデータが得られるか、といったことにある人が気づきはじめると、段々と興奮が高まっていったんです。

TC:ラウンドはクローズまでにどのくらいかかりましたか?また、ラウンド自体はどのように構成されていたんですか?

Wu:私たちが資金調達に注力しようと決めてからは、全部ひっくるめて約4ヶ月程度かかりました。その間に125もの投資家と話をしました。一旦勢いづくと、とても上手く進んで行き、全てが3週間のうちにまとまりました。当時はYC Safeがまだなかったので、法律事務所が用意した通常のコンバーティブル・ノートの書類を準備して、Jeff Clavierがそれを基にプライスドラウンドを計画しました(これはとても一般的な書類とプロセス)。

他社とちょっと違っていたのは、シード段階のプライスドラウンドで取締役のポジションを投資家に渡したことですかね(これは一般的なアドバイスに反する動き)。しかしこれは私たちにとって、とても価値のあることでした。シード段階で取締役になるということは、私たちが成功するまで支援し協力するという覚悟をその投資家が持っているという表れですからね。私たちがシリーズAで資金調達した際に、Jeffは取締役のボジションをはずれ、通例に従ってシリーズAの投資家が取締役になれるよう席を空けてくれました。

TC:会社をシードステージからシリーズAで資金調達ができるようになるまで成長させる上で、1番大変だったことはなんですか?

Wu:ファウンダーに期待される役割がすごい速さで変わっていくことです。もともとは全て自分たちでやっていたのに、専門家を雇って権限を委譲していなかければいけません。そしてファウンダーとしての私たちの役目は、会社がスケールするにつれて目まぐるしく変わっていきます。チームが出来上がってくると狂乱状態がおさまってきて、より大きな課題に取り組めるようになるんですが、それでもプレッシャーは変わらずそこにあります。ただ、そのプレッシャーは当初のものとは少し性質が違うような気がします。

TC:スタッフの雇用というのはどのファウンダーも直面する課題のようですが、どうやって効率的に人を雇う術を学んだのですか?

Wu:当初は、以前自分の下で働いていた人や一緒に働いていた人など、知り合いを当たるのが1番の手段でした。しかしそれでは数が稼げません。

私たちは、大規模な雇用方法についてはまだまだ模索している最中です。雇用は、一時期私が自分の時間の約80%を費やしていた程、シリーズA後のShippoにとって大きな焦点のひとつとなっています。現在私たちは、リクルーターや紹介ボーナス、ブランディング、カンファレンス参加など、さまざまな方法を試しているところです。近いうちに新しい情報を共有できればと思っておりますのでお楽しみに!

TC:シリーズAでは、どのようにアプローチ先となるVCを決めましたか?シードラウンドと比較して話をしたVCの数に変化はありましたか?

Wu:シリーズAでは25社のVCと話をしました。さらに私たちは、組織としてのVCだけでなく、その中にいるパートナーという存在に重きを置いていました。また、これまでに大型のマーケットプレイスやEC企業の立ち上げに関わったことがあり、願わくばECショップが日々直面している配送に関する問題点を理解しているような投資家と仕事をしたいと考えていたんです。結果的に、シードラウンドの投資家の支援を引き続き受けると同時に、USVのAlbert WengerがShippoに参加することとなり、私たちは興奮しました。Albertが持つTwilio(別のAPI企業)とEtsyでの経験は、非常に貴重ですからね。

シードラウンドに比べるとずっとタイトな日程でしたが、自分たちのスケジュールに沿って、プロセスに振り回されるのではなく、私たちの方からプロセスを進めていきました。

TC:プレゼン資料以外に、デュー・デリジェンスの一環として何か別の資料を準備しましたか?

Wu:シリーズAのミーティングに向けて、Shippoのフィナンシャルモデルと収支予測が正確かつ完全かというのをチェックし、顧客からの推薦状も持っていきました。さらにはSocial Capitalのmagic 8-ball分析を行い、これは投資家だけでなく私たちにとっても大変有益な情報でした。今でも会社の状況を確認するために分析結果を使っています。

TC:シリーズAでの資金調達前に知っておけばよかったと思うことは何ですか?

Wu:数週間の間でシリーズAの投資家について深く知ることはできないため、彼らとは資金調達のプロセスを開始するずっと前から関係性を築きはじめなければいけません。そして資金調達の段階で、既にどの投資家に参加して欲しいかというのが分かっていれば、彼らとの会議がもっと効果的なものになります。

TC: Shippoの投資家であるAlbert Wenger(USV)やJeff Clavier(SoftTech VC)とはよく話をしているようですが、積極的なアドバイザーの存在はどのくらい重要だと思いますか?

Wu:Jeffとは月次の電話ミーティングをしていますが、それだけでなく必要に応じて彼とは連絡をとっています。何かあればどんなときでも彼にテキストを送っていますし、Albertについても同じことが言えます!

私は定期的に連絡をとることで信頼関係が構築されると強く信じています。投資家は(悪い)ニュースを聞いたときに驚くべきではないと思いますし、彼らとは常に会社の動向に関する最新情報を共有すべきだと思います。つまり、取締役会の場にサプライズがあってはいけません。

Version OneのBoris WertzFundersClub、500 Startups、Jeff、Albertは、大企業との交渉の場や、見込み顧客への紹介、採用者候補の選定、オペレーションに関するアドバイスなど、さまざまな場面で私たちにとってかけがえのない存在でした。

TC:シリーズAに到達するのは大変ですが、シリーズBに到達するのも同じくらい大変ですよね。今後Shippoの成長を持続または改善するにあたって、どんなことを考えていますか?

Wu:成長を続けるには、繰り返しになりますが人材の雇用が不可欠です。Simonと私しか会社にいなかった頃は、私たちが全部やらなければいけませんでした。でも今は、自分たちのやっていたことを他の人ができるようにしなければいけません。そのためには、仕組みやプロセスが必要で、現在専門家の力を借りながらそのシステムを構築しようとしています。最高の幹部陣を揃えるのは本当に重要です。

また、私たちは話をした全ての投資家から資金を調達したわけではありません。その代わり資金調達のプロセスで、たくさんの素晴らしいフィードバックを得ることができました。そのフィードバックを持ち帰って、私たちの事業のさまざまな点を改善するのに使おうとしているところです。

TC:Shippoの次の一手は何でしょうか?

Wu:私たちはどんな企業や人に対しても、よりスマートにものを送ることができるテクノロジーを提供したいと考えています。

Shippo Seed Deck

Shippo Series A Deck

原文へ

(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Google AssistantとGoogle Homeによって、Googleは”ハンズフリーの検索”における勝利を狙っている。

10月4日(現地時間)に開催されたMade by Googleにて、Googleの様々なプロダクトが紹介されました。一見するとSEOには関係のない話題ではありますが、Google AssistantとGoogle Homeは、検索の未来となる可能性があるとの声もあります。今年の5月に開催されたGoogle I/Oで発表されてから個人的にも注目しておりましたが、Search Engine Landのダニー・サリバン氏が、検索とのかかわりを興味深くまとめています。まだまだ先の話しなのか?それとも、近未来の話しなのか?私が的確に予言することなどは不可能ですが、非常に興味深い分野であるとは考えております。– SEO Japan

デスクトップとモバイルでの勝利を手にしたまま、Googleは全く新しい分野の成功を目論む。特に家庭内における、ハンズフリーの検索である。

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*記事内のリンクは全て英語となっています。

Googleはインターネットにおける検索の第一世代、つまりはデスクトップ検索での勝利を手にするために博打を打った。また、その成功をモバイル検索でも手にすることを可能とした。そして、今は第三世代へと変貌する局面に直面している。インターネットに接続されたデバイスの時代における、ハンズフリーの検索だ。Google AssistantとGoogle Homeの登場により、Googleがこの分野における勝利を手にすることも可能となる。

Google HomeはAmazon Echoへの挑戦

現状、ユーザーがGoogleを利用する場合、”タッチ”という作業が必要不可欠となっている。デスクトップでも、モバイルでも、ユーザーは文字を入力するためにキーボードをタッチしなければならない。音声検索を利用する場合でさえも、検索結果を選択するために、スマートフォンにタッチする必要がある。もちろん、最初の検索結果は音声で知らせてくれるのだが、それでもタッチという作業は発生してしまうのだ。

これは、Amazon Echoとは非常に異なる点である。Amazon Echoは製品に話しかけるだけで、本日の天気がわかったり、最新のニュースが知れたり、商品を注文したり、音楽を再生できたりする。Amazon Echoにはスクリーンは存在しない。Amazon Echoはタッチも必要としない。他の製品と比べても、人間に話しかけ情報を得るといった感覚に最も近しい製品であるのだ。Googleはこの分野において遅れをとっていた。今までは。

もし、(家電製品に組み込まれたあらゆるアシスタント機能を含む)ホーム・アシスタントという分野がかつてのスマートフォンの繁栄のように急激に成長していけば、Googleのポジションは危ういものとなってしまうだろう。Googleはこの分野で戦うための物理的なデバイスであるGoogle Homeを手にしたのだ。しかし、このデバイスには新たな知力も必要とされる。

ユーザーとの対話を可能とするGoogle Assistant

Google Assistantはその知力となる存在であり、機械学習や人工知能の技術を活かしている。Google Assistantは、Googleへ話しかけるという行為をユーザーに促す目的で設計されている点が、非常に重要であろう。

もちろん、「既にGoogleに毎日話しかけている」と思うかもしれない。タイプして検索を行い、返事を得るということだ。しかし、Google AssistantはGoogleをさらなる高みへと導くものだ。まるで、何かを行うために人間に話しかけるているという感覚を、ユーザーに与えてくれるのだ。

「Googleにおける会話式のインターフェイスをゼロから構築するとさえ言える」。これは、Google Assistantを統括する、エンジニアリングのヴァイス・プレジデントである、スコット・ハッフマン氏が先週語った内容だ。

もちろん、音声検索という手段で、ユーザーは何年間もGoogleと会話してきた。しかし、Google Assistantはそうした経験をさらに高めるものであり、実世界におけるアシスタント(実際の人間)から何かしらの答えを得るような方法で、Googleとかかわりあうことを可能とするのである。

AlloのみでGoogle Assistantを評価するべきではない

Google Assistantは、先月リリースされたメッセージアプリ、Google Alloの一部として、初めて一般公開された。

Alloでは、情報を得るためにGoogle Assistantに直接かかわりあうことができる。しかしながら、単純にGoogle検索を行った方が便利だと私は感じている。AlloにおけるGoogle Assistantが魅力的となる場面は、ユーザーの役に立とうと、会話中に情報を提示してくれる時である。

例えば、誰かと映画に行こうかと会話をしている場合、Google AssistantはGoogleの広大なデータベースから参照した情報を提供し、我々が見るべき映画を提示してくれるのだ。

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【画像内和訳】
ユーザー:映画にでも行かないか?(映画の上映時間を教えて)
Google Assistant:サンフランシスコ近郊で上映している映画です。
*画面に映画のリストが表示されている。

非常に素早く、便利で、他のアプリで検索を行う必要が無い。

個人的な意見ではあるが、メッセージアプリとして認知されるために、Alloにも直面している課題はある。Alloの一部としてのGoogle Assistantを見るだけでは、十分な評価とは言えないだろう。仮にAlloが広く普及しなかったとしても、それはGoogle Assistantの失敗であるとは結論付けられないのだ。

なぜなら、Google Assistantはあらゆるアプリやデバイスに組み込まれる存在であるからだ。そして、Google PixelとGoogle HomeにGoogle Assistantが使用されることが、本日発表されている。

スマートフォン用のGoogle検索アプリとの関係は?

Googleは既に、Android端末(スマートフォン)に加え、iOSのデバイスにおいても、Google検索アプリによる圧倒的なシェアを獲得している。また、Google検索アプリに話しかけることで、必要な情報を得ることもできる。しかし、Google Assistantはさらに上を行く存在を目指しており、Googleとの関わりにおいて、より多くの情報と支援を与えているのだ。

Google Assistantは、あらゆる場面におけるGoogle Assistantとの会話を記憶する。そのため、Google HomeやAlloで交わされた会話を、それぞれの利用シーンで引用することができるのだ。(Google Homeで行われた会話の内容が、次にAlloを使用した際に、参照されることがある。)

また、アシスタント機能も非常に重要だ。現在のGoogle検索アプリでは、検索結果はリスト形式で返ってくる場合が多い。しかし、Google Assistantでは、アクションを起こす内容が提供されるのだ。

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画像内和訳】
Google Assistant:何かお困りですか?
ユーザー:去年の大みそかに取った写真を見せて。
Google Assistant:Googleフォトから、条件に合致した写真を表示します。

Google Assistantは文脈を解釈する知能も備えている。これは、以前は”Now on Tap“と呼ばれていたものであるが、例えばWebページを閲覧している時に、Google Assistantは役に立つであろう、関連する情報を提案してくれるのだ。

私は、ホームボタンを長押しして起動することができるこの機能が、Android端末に実装されていることをしばしば忘れてしまう。しかし、PixelのようなGoogle Assistantが実装されているスマートフォンの場合、追加情報があることを知らせるために、アニメーションが表示されるとのことだ。

Pixel以降、Android端末はどうなっていくのか?iOS端末におけるGoogleアプリとGoogle Assistantとの関係はどうなるのだろうか?

ハッフマン氏は次のように述べている。「最終的な目標は、広範囲おいてGoogle Assistantを普及させることだ。しかし、その順序や期限などは設けていない。我々は、新しいGoogle製のスマートフォンから始めていくことが、まずは最善であると考えている。」

Google Homeに話を戻そう

Google Assistantで注視すべき分野はGoogle Homeであろう。Googleにとっても最も注力する分野だ。この分野がデスクトップの領域を支配するようになれば、既存のプレーヤーを窮地に追い込むことになる。モバイル検索が台頭した際、Googleは自身の強みを保持しながら、変化する環境に適応している。

インターネットに接続されたデバイスやホーム・アシスタント端末は新たな境地である。Googleにとって好ましいことは、この新たな領域こそが、Google Assistantにとって理想とも言える領域であることだ。

私は、Amazon Echoを長らく愛用している。そして、多くのAmazon Echoのユーザーと同様、私はこのデバイスを非常に気に入っている。音楽の再生、ニュースのヘッドライン、ショッピングリストへの追加などが音声で行うことができ、そのたびに「未来はここにある」というような感覚を覚える。

Amazon Echoにとっての課題は、複雑な作業や、既存の情報リソースでは対応できない内容が求められた場合だろう。そして、その課題に対して、Googleは解決策を提供している。Googleは既に、スマートフォンにおける音声検索とWeb全体から答えを導き出すという経験をすでに持っているのだ。

Google Homeによって、大まかな検索体験は保持しつつ、非常に狭い領域での対応が必要な場合も対処してくれるはずだ。Amazon Echoよりも低価格であることからも、Google Homeが大きな売り上げを見せ、多くの家庭に設置される可能性はあるはずだ。

名前についても言及しておこう

Google AssistantがGoogle Homeに搭載されるが、人間の名前のようなものは付けられていない。AppleのSiri、MicrosoftのCortana、AmazonのAlexa。Googleは・・・、Google Assistantだ。

「信じてほしい。我々はその件について、本当に長い時間、社内で検討しているのだ。」とはハッフマン氏の言葉である。

「Google AssistantはGoogleのインターフェイスであり、代表するものだ。そのため、”ジョーイ”や”スージー”といった名前は付けづらい。」とも述べている。

映画スタートレックに登場するような、コンピューターに向かって話しかけるという状況とよく似ている。スタートレックに出てくるコンピューターにキャッチーな名前は付けられておらず、我々は”コンピューター”と呼んでいたのだ。

ハッフマン氏はGoogle Assistantは個性(パーソナリティ)を持つことになると述べている。Googleは確かにその取り組みを進めており、こちらの記事で詳細を確認することができる。

少なくとも、Google Assistantはいずれ正式な名前を付けられるだろう。先日のGoogle IOで発表された際は、”Google assistant”と発表されていた(assistantの”a”が小文字になっている)。Googleは、まだ満足のいく名前は付けれらていないのだ。

今回発表されたGoogle Assistantは、1つの名前であるが2つの意味を持っている。1つはGoogleが長い間をかけて構築してきた検索プラットフォームを多くのプロダクトに組み込むというもの。もう1つは、ユーザーを支援してくれる存在としての名前であり、ユーザーに愛される存在となることを望んでいる。

Google AssistantとGoogle Homeについての詳細は、本日行われたGoogleのイベントについての記事も確認してほしい。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「With Google Assistant & Google Home, Google seeks to win the hands-free generation of search」を翻訳した内容です。


Googleがフィーチャードスニペットを導入した当初、Webサイトへのトラフィックを奪うという理由で、Webマスターから不満の声が挙がっていました。フィーチャードスニペットは検索結果画面で答えを入手できてしまいますが、対話式検索の場合は”検索結果画面”といったものがそもそも存在しません。もしも、こうした対話式検索が今後の検索行動の主流となった場合、SEOの有り方もずいぶん変わっていくものと予想されます。もちろん、パソコンやモバイルでの検索が全くなくなるとは考えづらいのですが、対話式検索の存在感が増す可能性について、否定する意見を出すことも難しいのではと思います。こういうことを考えるといつもGoogle Glassを思い出してしまうのですが。(笑)– SEO Japan

民間企業の宇宙レース激化―ボーイングCEOが「SpaceXより先に火星に着く」と宣言

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競争は進歩の源だ。ボーイングのCEO、Dennis Muilenburgが人間を火星に送り込むレースでSpaceXに勝つことを宣言したのは素晴らしい。

Bloombergによれば、Muilenburgば火曜日、シカゴで開催されたカンファレンスで「火星に足を踏み入れる最初の人類はボーイングのロケットを使っているものと確信している」と語った。

ボーイングはスペース・ローンチ・システム(Space Launch System)と呼ばれる大重量打ち上げシステムを開発中だ。これはTechCrunchでも紹介したSpacecXの惑星間輸送システム(Interplanetary Transport System)とほぼ同様の目標を狙っている。先週開催された宇宙開発に関するコンベンションでSpaceXのCEO、イーロン・マスクはキーノート講演を行い、この惑星間システムについて詳しく説明した。

ボーイングとSpaceXはすでにNASAからの衛星打ち上げの契約獲得でビジネス的に激しい競争関係にある。ボーイングがSpaceXに対抗して有人火星探査計画に力を入れているのはこうした現実のライバル関係を反映したものだろう。ボーイングでは早ければ2030年代後半に火星の有人探査を実現する計画であり、これにはNASAの資金援助を受けて600億ドルの開発費用がかかるとみている。

これに対してマスクの計画によれば、火星の植民が実現する時代にはSpaceXの1人あたり費用は20万ドルという実現可能な額になっているという。火星プロジェクトの資金は企業、公的組織から広く集められる(マスク自身も投資する)としている。

単なるマーケティング上の効果を狙った発言ではなく、ボーイングが実際にSpaceXと競争する計画であるなら、こうした競争関係はプロジェクトを前進させる効果が期待できよう。その結果、火星有人探査が単なる夢から現実の目的になっていくことを期待したい。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サウスウェスト機、Glaxy Note 7の発煙により乗客を退避

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サウスウェスト航空は、同社のルイビル発ボルチモア行きの便が、機内で端末から発煙したため、乗客を退避させ現在もゲートに停機中であることをTechCrunchに伝えた。「乗客および乗務員全員が客室扉から無事に降機した。乗客は他のサウスウェスト機に塔乗して最終目的地へ向かう予定」と広報担当者が説明した。

この事故による乗客の怪我はなかった。

航空会社は、「初期調査結果」によると問題の端末はSamsung製である可能性が高いと発表したが、機種名は特定しなかった。一方、端末の持ち主についてははるかに具体的であり、The Vergeは、機種がGalaxy Note 7であることだけでなく、以前同社が30件以上の障害報告を受けて顧客に発送したグリーンのバッテリーアイコンがついた交換ユニットであると報じている。

端末の所有者であるBrian Greenは、初期の問題が主に充電器に起因していたのとは異なり、端末は客室乗務員の指示に従い電源を切った状態だったと話した。またGreenによると、発煙が始まった時Galaxy Noteは本人のポケットに入っていた。それを同氏が床に落としたことで事態は悪化し、最終的に端末がカーペットを焼き穴をあけた。

GreenはNoteの箱を写真に撮り、バーコードの上に印刷された交換用モデルであることを示す黒い四角形を見せつけた。

このニュースは、同社の主要ファブレット機を巡って1ヵ月以上続く物語の最新事象にすぎない。同社は、塔乗の際は電源を切りケーブルを外すことを当該端末ユーザーに要求するよう、FAAから公式に警告を受けている。

アップデート:Samsungからの本件に関する回答は、予想通り曖昧な内容で、サウスウェスト社と検討しているとだけ説明している。以下に全文を掲載する。

端末が回収できるまで、この事象に新しいNote7が関わっているかどうかは確認できない。現在当局およびサウスウェストと協力して、端末の回収と原因の究明に努めている。調査結果がわかり次第、詳細な情報を伝える予定。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook