Aibnb、人種差別主義のホストを追放

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AirbnbのCEOであるBrian Cheskyは、自社プラットフォームで人種差別や他の差別を認めないと伝えた。ノースカロライナのAirbnbのホストが黒人ゲストの予約をキャンセルし、彼女に人種差別的な言葉を何度も送った出来事を受けての発表だった。CheskyはこのAirbnbのホストを永久にプラットフォームから追放したと伝えた。

「ノースカロライナで起きたこの不穏な出来事は許されるものではありません」とCheskyは今日のツイートで発信した。「Airbnbは人種差別や他の差別を許しません。私たちはこのホストを永久に追放しました」。

Cheskyが言及するこの出来事は本当に不愉快だ。ホストは、黒人の予約をキャンセルする理由としてあからさまに彼女の人種をあげた。ホストの物件に宿泊を許可しない理由を伝えるのに、黒人を侮辱する言葉を複数回使用した。いつもだったら記事にホストの言葉を引用するところだが、そのような人種差別的なゴミをここには載せないことにした。

また他にも黒人がAirbnbで予約を拒否され、白人である友人が予約依頼を出すと許可されるといった体験をした複数の人がその詳細を語っている。そのような話は@#AirbnbWhileBlackから読むことができる。また、ハーバードの研究者の調査では、Airbnbホストによる差別が横行していると示す

Airbnbには確かに追放しなければならない人種差別主義なホストがいる。今回のホスト追放がその最初の1件となった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

新しいチャレンジはいまだに「ヒリヒリする」——挑戦を続ける経営者の覚悟と苦悩

左からプロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏

左からプロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏

スタートアップの起業家が事業を育て、大きな組織を動かす経営者となったとき、果たしてどんなことが求められるのか? 5月26日〜27日にかけて宮崎県で開催された招待制イベント「Infinity Ventures Summit 2016 Spring Miyazaki」の2日目のセッション「プロの経営者に求められるもの」には、エウレカ代表取締役CEOの赤坂優氏、SSTJ INVESTMENT CEOの木村新司氏、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏が登壇。プロノバ代表取締役社長の岡島悦子氏がモデレーターを務める中、それぞれの経営論、そしてチャレンジを続けることの苦悩を語った。

サービスへの「愛」だけではなく、「組織」として成り立つことが重要

エウレカと言えば、ちょうど1年前の2015年5月に米IACグループのThe Match Groupが買収したことで話題になった。岡島氏は赤坂氏にエウレカの歩みと、どこでIACグループ入りをしたのかと改めて尋ねた。

「通常の会社は一発大きいサービスを開発して、外部から資金を調達するもの。僕らは受託などをやって底力を付けてから、(インキュベーションプログラムの)KDDI ∞ laboに参加して自社サービスを作った」——同社は外部から資金調達をせず(厳密には経営共創基盤がごく一部の株式を取得していた)、自社サービス開発するための土壌を作ってきたのだという。

そんな同社が買収を受け入れる際に重視したのは、“会社のカルチャーを変えない”ということだった。「これまでに4つほどのサービスやってきたが、『サービス愛』で成立しているのではなく、『組織』として成立している」(赤坂氏)。つまりエウレカは、1つのサービスを愛しているメンバーが集まった訳ではなく、さまざまなサービスを作ってきた経験のある組織自体が強みなのだということだ。買収の際にはその組織、カルチャーを変えないということが受け入れられたことで、買収の話は進んでいった。

だが当然ながら親会社から数字に対するコミットメントは強く求められる。「何やってもいいけど結果を達成せい、ということ」(赤坂氏)。しかし必要なM&Aは進める、KPIを達成できる見込みがあればマーケティング予算を捻出するといった投資には積極的だという。また本社とのコミュニケーション頻度は非常に多い。週1回の電話会議に加え、3カ月に1回のペースでアジア担当のCOOやCFOが来日。密なコミュニケーションを取っている。「買収からちょうど1年。まだ信頼されていないので、短期業績へのコミットの色が強いと思っている」(赤坂氏)

岡島氏は赤坂氏に買収後の「経営者としての役割」が変化したかと尋ねる。「(IACグループによる)M&Aが終わったからといって変わるわけではない」と答える赤坂氏。だが会社が100人を超える規模に成長したことを契機にして、組織化されたマネジメントが求められるようになってきたという。権限委譲も進めているところだ。

“大学院のお兄ちゃん”はIPOを通じて経営者として成長

シリウステクノロジーズ取締役を経てアトランティスを創業。その後グリーに同社を売却し、エンジェル投資家としてニュースアプリ「グノシー」を開発するGunosyに投資(2013年11月には代表取締役となるも2014年8月には退任)した木村氏。岡島氏は同氏にGunosyとの出会いについて尋ねる。

「グノシーがリリースされた日、Facebook上にその情報が流れてきた。『これは(他のサービスと)ちょっと違う』と思ったので知人に紹介してもらい、(メンバーと)会いましょうとなった」(木村氏)。当時大学院生3人で開発していたグノシーだが、法人設立時点でユーザー数が2万人、デイリーのアクティブレートが50%という状況。この数字を見て、事業化する価値があると判断したという。

その後木村氏は同社の経営に参画することになるが、その理由について次のように語る。「ニュースだと競合はヤフー。そうすると、戦うためにサービスを変えないといけないし、会社としての体裁を整えていかないと、お金でも文化でも負けてしまう可能性がある。それならば自分が入っていかないといけないと思った」(木村氏)。また木村氏は、グリーの急拡大を“中の人”として見ていた経験がある。そこで学んだマネジメントや仕組み作りに、自らチャレンジしたいという思いもあったという。

「やっぱり(創業メンバーは)大学院の3人。ニュースという大きなポテンシャルのあるサービスに、学生も、CFOも、営業できる人も呼び込まないといけなかったので、エンジニアサイドは福島(創業者であり、代表取締役の福島良典氏)らに任せて、それ以外は僕が連れてくるという話で折り合った」(木村氏)

その後木村氏はグノシーの代表を退く。その発表は当時さまざまな憶測を呼んだが、木村氏は「事業の解像度が深掘りできて、行動規範もできたことで、(自身が)抜けても伸びつつある状況だった」と振り返る。岡島氏が再び経営メンバーに戻る気持ちがないのかを尋ねると、「以前は戻る気持ちが少しあった」とした上で、「経営陣と話して、自分たちで持っている(目標の)数字が僕と同じだったので、戻る必要はないと思っている」とした。木村氏は福島氏について「最初は大学院のお兄ちゃんだったが、IPOを経験して、一番成長した」と評価する。

「自動的に伸びていく組織」こそ美しい経営

創業間もなく、サブ・アンド・リミナルという社名でダイレクトメールの発送代行などを手がけていたのがセプテーニ。そこに社員として入社し、ネット広告事業を立ち上げて現在の同社の基盤を作ったのが佐藤氏。同氏はIPOを通じて経営者としての意識が大きく変化したと語る。

「数えてみたら四半期決算をもう60数回発表していて、それで学んだことはたくさんある。当時は現コロプラの長谷部さん(コロプラ取締役CSOの長谷部潤氏。以前は大和証券のアナリストだった)にアナリストとして詰められ、逆に市場のことを教わったりもした。『経営』とは何か? となっていたことが鮮明になってきた」(佐藤氏)

佐藤氏は、売上高100億円程度の頃まで組織を階層化せず、「力で引っ張る」という経営手法が成果に繋がっていたと振り返る。だがある時期を境に、「オートマティカル(自動的に)に伸びていく組織」を作ることこそが正しい経営ではないかと考えようになったという。「『ハイパフォーマーがめちゃくちゃ働いてすごい成果を出す』というのを『普通の人を普通以上にして成果を出す』に。そうなるよう、自分のリソースを作る方が会社にとっての価値になるのではないか」(佐藤氏)

そうやって組織の仕組み化を進めていった佐藤氏だが、現在、自身のリソースの半分を新規ビジネスであるモバイルマンガ事業「GANMA!」に費やしているという。

「権限委譲で生まれた成長のカーブはとても連続的。良くも悪くも成長しやすく、売上や利益が見える。だが非連続な成長のためには物足りなさが出てきた。非連続な成長のためには、行動を変えないといけないのではないかと思った」

「マネジメントの仕事は経営陣の成熟を感じていたので他(の経営メンバー)でもできる。逆に自分は1つのプロダクトにこだわり抜いて、サービスのエコチェーンを作る。自分の中にあるイメージは、別の人には作れない」(佐藤氏)

新しいチャレンジは「ヒリヒリしている」

他部署の事業担当社と横並びで、自ら新規事業に取り組む佐藤氏。その挑戦について、「結構ヒリヒリしている」と心境を吐露する。

「なまじトラクションがあると、2回目を外すのが格好悪いじゃないですか。それでも自分がしたことがないことに挑戦する。キツい状況に身を置いた方が成長率が上がるので、過去の実績をアンラーン(脱学習)して、一度ゼロに戻した」(佐藤氏)

佐藤氏の発言をうなずきながら聞いていた木村氏も、続けて自身の思いを語る。「やはりすごく怖い。Gunosyもそうだ。アトランティスがうまくいって、(次のチャレンジに)失敗したら恥ずかしいな、と思うんです。だから寝ないんですよ。寝てる間も考えているだけ。とにかく成功に持っていく」

「それだけ怖いのだから、価値あるものだけをやる。また企業として大きくなるためには市場もあるが、会社のバリュー(になるか?)、社会の役に立つモノであるか? ということがある。恐怖よりリターンがあるかというのが自分の中の(チャレンジするかどうかの)物差し。だからあえて外に『やります』と言っている。でないと逃げてしまうので。でもやっぱり怖いですよ」(木村氏)。

これに対して赤坂氏は「自分にプレッシャーかけられるのは才能だ」と語った。通常であれば逃げてしまいたいものにチャレンジするからこそ、その先に進めるのだと。

起業家から経営者へ、非連続な成長を生み出すには

木村氏はエンジェル投資家としての現在20社ほどのスタートアップに出資しているという。投資先の若き起業家に対してはどのようなコミュニケーションを取るのか。

「基本的に戦略には口に出さない。口を出すと投資先は『何でこんなことを言うのか』と思うし、現場のことは現場の方が知っているからだ」(木村氏)。だがその一方で、どのレベルで事業理解が必要なのか、ビジョンや行動規範はどうやって定めるか、会議の進め方に予算作り、評価制度の設計まで、組織をどう「仕組み」にしていくかについては徹底して伝えているのだという。

組織が100人を超えたばかりのエウレカ。冒頭で権限委譲を行うフェーズだと語っていた赤坂氏も、「細かい施策は現場の方がプロフェッショナル」だと同意。会議などでも可能な限り発言を控えるなどしているのだという。「意思決定をさせることの訓練。ケツを持たないと人は成長しない。僕も事業を作ってる中で、10個のうち1個が当たったようなもの」(赤坂氏)

また、自身が新しいチャレンジを行う必要性については、次のように語った。「そうやって(権限委譲で)できる組織は、連続的な成長しかない。非連続な成長のためには圧倒的なチャレンジをしないと。あと0を1個増やす(売り上げの桁を1つ上げる)には何をするか。以前に木村さんは、それを『たがを外す』と言っていた」(赤坂氏)

また、木村氏とは以前から親交があるという赤坂氏は、木村氏から教わったこととして、「事業」「経営」「投資」という3つのステージを経験することがプロの経営者に求められると語った。木村氏もこう続ける。「非連続な成長というのは、事業もあるし、投資もできないといけない。さらに投資先のバリューアップもしないといけない。そういうことを突き詰めていかないと」(木村氏)

佐藤氏はさらに、新しいチャレンジのためには経験を武器にしつつも、初心を忘れないようにと続けた。「僕は41歳で、会社経営としては(登山に例えて)やっと一合目。それは一緒に登る強い仲間ができて、装備についても何が必要か分かって、複数のルートが見えている状態。それを登っているのが今。デイワン(1日目の気持ち)で居続けることが一番大変で、価値が高い。フレッシュで居続けたい」(佐藤氏)

Facebookの新しい人工知能「Deep Text」は、あらゆる投稿を分類する

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もしFacebookが、近況アップデートにあなたが書いた内容を知っていれば、その話題を気にかけている人に見せることができる。もし、「今タクシーを降りたところ」と「車が必要」を区別できるなら、Uberを呼びたいかどうかをあなたに尋ねられる。もし近況アップデートで何かを売ろうとしていることを知ったら、自動的に商品と価格をフォーマットできる。そしてもしFacebookが、有名人の投稿へのコメントでどんなものが面白いかを判別できるなら、あなたが本当に読みたいコメントを優先して表示することができる。

上に挙げたのはFacebookの最新人工知能システム、“DeepText”の重要な応用例だ。40万件の新規投稿と12万5000件の公開記事へのコメントが、毎分Facebookでシェアされている。Deep Textは、Facebookが毎秒数千件の20言語にわたる投稿を、人間に近い精度で分析する手助けをする。

Facebook Deep Text Ride Gif

DeepTextを使って、Facebook Messengerはあなたがいつ車に乗る必要があるかをが認識し、UberやLyftのアプリ内オプションを薦める。

Deep Textの最もわかりやすい応用例はMessengerに登場する。私が車に乗りがっているとDeep Textが考えると、Messengerは統合機能を利用してUberやLyftを薦める。”I need a ride” [車が必要]を認識するのは簡単だが、 “Should I call a car?”や”I can pick you up in 20” や “I’ll get an Uber” 等も拾う必要がある。

Facebookは、「人間が文章を理解する方法に近づくためには、コンピューターにスラングや言葉の意味の曖昧さ等を教える必要がある。例えば、誰かが “I like blackberry” と言った時、それは果物なのか端末なのか?」と説明する。

もちろん、プライバシーの懸念が一部の人々を心配させるだろう。今Facebookは、ユーザーのプライベートメッセージを分析することを強調している ― 以前Facebookが集団訴訟の標的になった案件だ。

Facebook Deept Text Analysis

Deep Textや様々な画像認識AIによって、Facebookは、コンテンツを書き手から読み手に渡す方法を大きく改善しようとしている。そうすることで、ユーザーが見る物を積極的にフィルターしたり推奨したりするためのノウハウや製品デザインを持たない、SnapchatやTwitterといった他のサービスに対して優位に立つことができる。

もしニュースフィードの記事が全部面白くなれば、ユーザーがFacebookに費やす時間は増え、さらに多くのテキストをシェアするようになり、Deep Textはさらに賢くなる。そしてFacebookのAIフィードバックの車輪はどんどん速く回転し、完璧なコンテンツ推奨エンジンへと向かうだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

レディー・ガガの母、「ネットいじめ撲滅」をIT業界に要請

NEW YORK, NY - MAY 04:  Lady Gaga and  Cynthia Germanotta  launche Love Bravery Collection at Macy's Herald Square at Macy's Herald Square on May 4, 2016 in New York City.  (Photo by John Lamparski/WireImage)

ネットいじめはよくない。残念ながらインターネット利用者の40%が何らかのネットいじめを受けた経験があり、18~24歳では70%の人々が標的にされていることが、Pew Research Centerの調査でわかった。

「何世代か前の若者は、家に帰ればいじめから逃れることができた」と、レディー・ガガの母でBorn This Way Foundationの代表、Cynthia Germanottaがリリース文で言った。「しかし今、いじめはどこまででも追いかけてくる。どのパソコンもタブレットもスマートフォンも残酷と嫌悪の道具として使われる。これは決して受け入れることができない。私たちはHack Harrasmentによって、これを改善できる、改善すべきだと信じている。」

今日(米国時間6/1)のRecodeカンファレンスで、GermanottaはHack Harassment誓約を発表し、既にIntel CEO Brian Krzanich、Vox Media CEO兼会長、Jum Bankoff、およびRecode 編集長・共同ファウンダーのKara Swisherが署名している。Hack Harassmentの誓いを立てることは、誰かがネットいじめを受けているのを見たら、いじめられている人を助けることを意味している。

誓約文は次の通り:

ネットいじめは蔓延し、しばしば実生活に深刻な影響を及ぼしている。個人の幸福と安全およびデジタルコミュニティーの成功に、著しい被害をもたらしている。全員が ― 生まれ、経歴、信仰によらず ― ネット世界で敬意をもって扱われ、いじめを受けない権利を持っている。

より安全で、賢明で、誰もが受け入れられるオンライン体験を作るために、私はいじめが起きていることを認識し、責任をもってそれを声に出し、被害に遭っている人を支援するために次のことを行う:

  • オンラインでもオフラインと同じ基準と価値を守り、自分のオンライン行動が実生活に影響を及ぼすことを受け入れる。
  • 多様な視点、経歴、および意見の価値を認め、支援する。
  • ネットいじめの蔓延と激化を防ぐ活動に積極的に参加する。

Hack Harassmentは、ネットいじめと戦うために今年1月に発表された。ここで誓約書に署名できる

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

メアリー・ミーカーが恒例のインターネット・レポートを発表―2016年版のハイライトとスライド完全版

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テクノロジーの世界で何が起きているかを学ぶいちばん手っ取り早い方法はこのレポートを読むことだ。 KPCBのパートナー、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)が今や伝説的となったインターネット・トレンドの年次レポートを発表した。

これにはインターネットの進化の現状を考える際に不可欠の統計が多数収集されている。ベンチャーキャピタルの動向、スマートフォン普及率、巨大企業の現状、優秀なターとアップ、その他、メアリー・ミーカーのレポートにはすべてが含まれている。

この記事の末尾に 2016版レポートのスライド全体をエンベッドしておいた。

ハイライトをいくつか拾ってみると―

  • 世界のインターネット普及率は対前年比9%と頭打ち。 世界人口の42%にあたる30億人が利用している。
  • スマートフォン普及率の伸びも減速。Androidのシェアは増大するもデバイス単価は下がる
  • ビデオ視聴は急成長、SnapchatとFacebook Liveは有望。 ビデオ広告の有効性には疑問符。
  • Facebook、WeChatなどッセージ・サービスは急成長。単純なテキスト・チャットから新たな「ホーム画面」に成長し、自己表現の場となる。コマースも有望。
  • アメリカのデジタル広告はさらに成長。GoogleとFacebookで市場の76%を支配。ただしオーディエンスの新メディアへのシフトと比較すると広告主はレガシー・メディアに不相応の支出を続けている。
  • ミーカーの予測によれば音声インターフェイスには高い将来性がある。速く、使いやすく、個人別に特化され、ハンズフリー、しかも安い。Android版Google検索の20%はすでに音声。Amazon Echoの販売も増加。ただしiPhoneは減速。
  • アメリカの自動車産業は1959年以來縮小を続けてきたが、TeslaとGoogleのおかげで再活性化中。Uber/UberPoolなどの共有経済がメインストリームになるにつれ、自動車所有率は減少。
  • 中国のインタネットのトレンドはアメリカより有望。世界の大国のインターネットは引き続き成長中。
  • さまざまなインプットデバイスの普及によりデータが次世代のプラットフォームになってきた。これにより非テクノロジー分野の巨大企業がテクノロジー企業を買収し、デジタルにシフトすることによって成長を活性化しようとする動きが目立つ。

詳細はこちら。 Here’s our breakdown of the most important insights from the 2015 Internet Trends report

〔メアリー・ミーカーは元モルガン・スタンレーの上級アナリストで、インターネットの動向をまとめた詳細なレポートが高い評価を得るようになった。2010年からはベンチャーキャピタルの名門KPCBのパートナー。TechCrunchでも毎年紹介している。2015年版2014年版(ハイライト付)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Apple、6月13日午前10時のプレスイベントの招待状を発送

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つい先ほどAppleは、Bill Graham Civic Auditoriumで行われる次期プレスイベントの招待状を発送した。これまでと同じく、イベントは6月13日の午前10時(PT)、WWDCの初日に行われる。例によって彼らが何を発表するのかはわからない。しかし、いくつか可能性の高いものはある。

まず、AppleはiOS 10を発表するに違いない。おそらくOS X 10.12も。WWDCはデベロッパーカンファレンスなので、満場のデベロッパーの前で最新ソフトウェアのイノベーションを披露するのは理にかなっている。

iOS 10の目玉機能のひとつは大きく改善されたSiriかもしれない。このバージョン2のSiriは、コンテキストや補足質問を理解できるものと思われる。SDKも提供されるので、Amazon Echoのような複雑なアクションを起こさせることも可能になる。

しかしAppleは、この機会をその他の発表のためにも利用してきた。今回噂されているのは新MacBook Proだ。新しいノートパソコンには、TouchIDセンサーとキーボードの上にOLEDミニ画面が付き、新しいIntel Skylakeプロセッサーを塔載すると言われている。

Appleの外部ディスプレイはもう何年も更新されていない。WWDCで新しいレティナディスプレイを発表する意味は十分にある。デベロッパーは巨大なディスプレイが大好きだから。だったらMac Proも改訂されていい。

AppleがApp Storeを刷新し、発見しやすくデベロッパーにもっと多くのオプションを与えるという噂もある。改善の余地があるApple Musicについても何か話をするかもしれない。

一つ、確実なことがある。Appleが新しいiPhoneを見せる可能性はない。通常彼らは新しいiPhoneを9月の個別イベントで発表する。本誌は現地にチームを送り込んでイベントのライブログをお送りし、最新ニュースをカバーする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

次回のモバイルフレンドリー・アップデートに、モバイルページのスピードがランキング要素として加わることをGoogleが示唆。

現在シドニーで行われている、Search Marketing Summitにて、Googleのゲイリー・イェーシュ氏が発言しました。The SEM Postのジェニファー・スレッグ氏がこのイベントに参加しており、第一報として報じています。かねてから予想されていたことではありますが、早ければ数か月後に実現される見込みです。– SEO Japan

モバイルページのスピードは、現在モバイルのランキングに影響を与えていない。しかし、Googleのゲイリー・イェーシュ氏によれば、間もなく影響を与えるようになるかもしれないということだ。

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*リンク先は全て英語となっています。

Googleのゲイリー・イェーシュ氏がシドニーで行われている、Search Marketing Summitにて本日発言した。Googleは、ページスピードのランキング要素をアップデートするつもりのようだ。モバイルフレンドリーアルゴリズムに関して、モバイルページのページスピードを考慮することになる。

この情報は、ジェニファー・スレッグ氏によってもたらされた。ジェニファー氏によると、ゲイリー氏は、”数年後”ではなく、”数か月後”に起こりうると述べたということだ。

今日における問題として、Googleがモバイルのランキングに使用しているシグナルの多くが、モバイルページではなく、デスクトップページを元にしていることが挙げられる。そのため、デスクトップページのスピードが非常に速ければ、モバイルページがとても遅かったとしても、モバイルのランキングに悪影響を与えることはない。

モバイルフレンドリーアルゴリズムが導入された際、Googleはデスクトップページではなく、モバイルページのスピードをランキング要素に組み込むことを望んでいた。

2010年4月にページスピードはランキング要素となった。2013年6月に、マット・カッツ氏はスピードの遅いモバイルページに悪影響が起こることをほのめかした。昨年には、ゲイリー氏がモバイルページのスピードをランキング要素にすることに取り組んでいると述べていた。そして、今回ゲイリー氏は、数か月後になることを示唆している。

しかし、ゲイリー氏はTwitterにて、まだ計画段階であるとも述べている。

他の要素についても言えることではあるが、デスクトップページではなく、モバイルページのシグナルを考慮することは、理に適っていることだ。これが、私だけの考えではなく、Googleの計画でもあるのだと思う。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google says page speed ranking factor to use mobile page speed for mobile sites in upcoming months」を翻訳した内容です。


特にモバイルにおいてはスピードの重要性がGoogleからも叫ばれていたことですが、ランキング要素として考慮されていないことに矛盾を感じているという意見は多くあったかと思います。Googleとしても承知のことであったと思いますが、実現するにあたって色々と課題があったのかもしれません。遅いサイトに悪影響を与えるのか、速いサイトに恩恵を与えるのか、そのどちらかについては明らかではありません。しかし、ランキング要素になる、ならないに関わらず、ページスピードはユーザー体験に大きな影響を与えるため、可能な限り早いサイトを構築したいものですね。– SEO Japan

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中国がインターネットユーザー全員の実名による登録を義務付けへ

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中国が、モバイル番号の登録をすべて実名で行わせる取り組みを再開している。国営の通信社China News Service(Google Translateからのリンク)によると、政府は中国でSIMカードを購入する者は、外国人も含めて全員、パスポート等の本人証明を提示すべし、と布告した。

その記事によると、今現在1億以上のSIMカードが実名で登録されていない。かねてから中国のMinistry of Industry and Information Technology (MIIT, 中華人民共和国工業情報化部)は、6年以上使用するモバイル番号を取得する際は実名を用いるべし、としている。MIITは、実名による登録はインターネットユーザーをオンライン犯罪から守る、と主張しているが、しかしもちろん、それにより検閲がやりやすくなる。

実名規制の実施の開始にあたってMIITは、中国の三つの通信企業、China Mobile, China Unicom, およびChina Telecomに、この規則を守らせようとしていた。そして2012年には、人気のマイクロブログサービスSina Weiboに命じて、ユーザーのアカウントにIDカードやモバイルフォーンの番号を伴わせるようにした。その後TencentのWeChatがSina Weiboの人気を上回るようになると、国はすべてのメッセージングサービスに対して、ユーザーの実名登録を義務付けた

さらに最近中国政府は、オンライン決済サービスのAlipayとWeChat Payに対して、7月1日までにユーザー名にID番号または中国本土の銀行口座情報を付随させよ、と命じた

しかしこれまでの6年が何かを語っているとするなら、中国は今後も依然として実名登録制の実施に困難を抱え続けるだろう。なによりもまず、偽のID番号や名前を使って規則を出しぬくことが、簡単にできる。そのことを、Tech In AsiaのCharles Custerも指摘している

ユーザーではなくサービスを提供するテクノロジー企業に強制しても、あまり効果はない。そもそも、彼らの何億というユーザー全員のアカウントを彼らの本人性に結びつける作業は時間と費用がかかりすぎてほぼ不可能であり、彼らのビジネスに負の効果をもたらすこともありえる。たとえばSina Weiboの場合は、実名登録規則以降、ユーザーの新規登録が落ち込んだと主張されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ユーザーの4人に1人は、アプリの利用1回で離脱している

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AppleのiTunes App Storeには150万以上のアプリがあり、Google Playには200万以上のアプリがある。だが、実際にコンシューマーの端末にインストールされるアプリの数はほんの一握りだ。ユーザーが日常的に使っているサードパーティーアプリは少数であることも分かってきた。モバイルアプリの利用に関する新しい調査結果によると、4人に1人のモバイルユーザーはたった1回しかアプリを使用せずに離脱していることが分かった。

アナリティクス企業Localyticsと彼らのユーザーベースにある3万7000個のアプリのデータから、2015年に34%だったユーザーのリテンション率は、2016年には38%となり、少し上昇したことを示している。

しかし、数値が回復したからといって、この数値が良いということではない。むしろ、この数値が意味するところは62%のユーザーは11回未満しかアプリを使用していなかったということを示している。

レポートは「これは持続可能なビジネスモデルではない」としている。

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最近の調査結果で、23%のユーザーはアプリを1回しかローンチしていないことが分かった。昨年よりは改善しているが、ほんの少しだ。比較のために記すと、2014年時のアプリを1回で離脱するユーザーは20%だった。

iOSではユーザーリテンションが少し改善した。1回しかアプリを使用しなかったユーザーの割合は昨年の26%から24%に下がり、11回以上アプリを使用する割合は2015年の32%から36%に上昇した。

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特に、成長の途中段階にあるアプリ(月間アクティブユーザーが1万5000人から5万人まで)はリテンションと離脱に最も大きな改善が見られたと調査レポートは示している。これは、アプリのプッシュ通知、アプリ内メッセージ、メール、リマーケティングの活用による結果だ。プッシュ通知はこれまでもユーザーを保持する施策として挙げられてきたが、アプリ内メッセージにも注目に値する影響があった。これらのメッセージはユーザーのリテンションを46%改善すると調査は報告している。

アプリ内メッセージをユーザーが見ても17%は1回しかアプリを使わずに離脱するが、アプリ内メッセージ機能のないアプリは1セッション使った後、ユーザーの26%が離脱する。

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マイナーな改善は見られたものの、総じてみればこのデータはアプリ開発者にとって悩みの種となるような内容だ。このレポートは、ここのところ続いたアプリ・エコノミーの弱点を示す報道にだめ押しする。人気のあったアプリ開発企業のPixiteが停滞するまでの詳細な記事では、彼らの収益が昨年、3分の1にまで落ち込んだという。他にもユーザーのアプリ発見、ディスク容量の不足、インストールプロセスに関し、 アプリ・エコノミーは壊れているという詳細な分析記事も出ている。

さらに投資家さえもアプリ企業から遠ざかっている。Union Square VenturesのFred Wilsonは、 昨年終盤に「コンシューマー向けサービスのモバイル企業を作るのは難しい時期にある。それらの企業に投資するのもまた難しい時期だ」と書いた。

良いニュースがあるとするなら、それはアプリの問題点が判明したことで、アプリがどのように機能すべきかということに関して新しいアイディアが登場していることだ。

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例えばGoogleは、 今月のI/Oイベントで発表した「Instant Apps」のデビューで、アプリのインストールプロセスを丸ごと刷新することを計画している。ユーザーがアプリを探し、ダウンロードやインストールするのではなく、Instant AppsではユーザーはURLをクリックするだけでほぼ瞬時にアプリをローンチすることができるようになるという。

しかし、Googleはスマートフォンのエコシステムの二大勢力の一方に過ぎない。Appleも同様に新しいアプローチを検討しなければ、開発者がAppleのプラットフォームで開発することへの意欲を失ってしまうことになるかもしれない(Appleはこの課題に対し、開発者向けに新しいガイドやハウツーをリリースしたり、ヨーロッパインドにアプリ開発センターをローンチすることで対処しようとしている)。

アプリの減速の影響はすでに出ているという話も出てきた。 別の最近レポートでは、開発者はApple WatchやtvOSのためにアプリを開発することにさほど関心を持っていないと示す。リリースするiOSアプリ1000個ごとに、tvOSのリリース数は10個、Watchアプリは1個に留まる。

もちろん、この数字はWatchとApple TVのプラットフォームのリーチにも比例するだろう。しかし、App Storeの初期にあったゴールドラッシュは姿を消し、アプリで利益を稼ぐのが難しくなっている。また、ロイヤルユーザーを獲得するコストも上がっている。2014年には1.50ドルから2.25ドルだった獲得コストは昨年2.50ドルに上昇し、時には4.00ドルにもなることがあった。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

ロボットがデートして交配して3Dプリントで子孫を産む‘Robot Baby’プロジェクト、進化(自然淘汰)の過程もある

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オランダの研究者たちが、“繁殖するロボット”を作った、と主張している。繁殖とは、生殖能力がある、ということ。お子様向きに説明すると、二つのロボットの相性評価アルゴリズムが良い結論に達したら、ビューティフルなことが起きるのだ。それ以上詳しいことは、大人になったら分かるよ。このページを下へスクロールしてもいいね。

この“Robot Baby”プロジェクトのプレスリリースはこう述べている: “産業革命の次は産業進化だ。進化の重要な第一歩がこの画期的な発明であり、たとえば、未来における火星の植民地化に重要な役割を演ずる”。小さなどんぐりから大きな樫の木が育つ、とは言うけど、でも、彼らの主張は眉をよーく濡らして聞くべきだ。

“交配”し、“進化”するロボットの研究は、これまでにもいろいろあった。自己再生産能力のある“分子キューブ”や、生まれた子の中から優秀な子を選別する“ロボマザー”、互いに競争し共有し合う“遺伝子”のある“ロボフィッシュ”などなど。でもまだ、本物のGrey gooやロボットの軍隊は見たことがない。…ここは、クォーテーションマーク(引用符記号)の使いすぎで、編集長に叱られそうだ。

でも今度のプロジェクトには、概念実証の段階にすぎないとはいえ、何か新しいものがありそうだ。電動ブロックをランダムに構成したロボットが二つ(将来的にはもっと多く)あり、彼らはよろめきながら歩いて行くが、そのとき、なるべく明るい方向に向かう習性がある(人間の性質ならそれを走光性(phototaxis)と呼ぶ)。光源に早く到着した、運動能力の高いロボットだけを集めて合コンを行い、互いを評価し、番(つがい、夫婦)を選ぶ。

この、番の決定過程はもっと複雑だが、大雑把に言うと、構成ブロック数と脚の長さが同じで、光源への0.5メートルダッシュのタイムがほぼ同じであること、だ。

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そうやって出会った二人はデートを数回行い、たちまち恋仲になる。そして、お互いの遺伝的素材(自分を動かしていたコードとハードウェア)を提出しあい、それらを混成して新しいロボットを作る。これが生殖の過程だ(分からなかった読者もいるかもしれない!)。

こうして生まれる赤ちゃんは、パパの右足とママの左足、しっぽ、姿勢安定装置を合わせた奇怪なキメラだ。そしてこの赤ちゃんの脳が言うとおりに各部材を3Dプリントし、それらを組み立てる。より優秀な新世代ロボットの、量産だ。

研究者たちの主張は、難解でもあるが不合理ではない。自己変容型ロボットは状況と環境に自力で適応し、人間の指示や命令を必要としない。

そして自然淘汰のアルゴリズムは、人間のちっぽけな脳の能力を超えたユニークなソリューションを作り出すかもしれない。たとえば、誰かがキリンにプロポーズしたら、あなたはそれを承認するか? しかしそれでも彼ら自身は、きわめてまともだ。この滑稽なビデオは、実際にキリンの解剖を記録している。

コンピューターによる自然淘汰があり、それによる進化もある、という説に納得しない方は、この“進化した仮想生物”を見るか、または、このすばらく楽しいスクリーンセーバーを動かしてみよう。

Robot Babyプロジェクトは、アムステルダム自由大学のAIの教授Guszti Eibenのロボットベビーだ。それは、移動式テクノロジー見本市Campus Partyで披露された。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

VetTechTrek、退役軍人のテック業界での再就職をeラーニングで支援

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VetTechTrekは昨年設立された非営利団体で退役軍人とテクノロジー業界が結びつく手助けをすることを目標に掲げている。

これまでの12ヶ月間で彼らはこの目標を達成するため何度もいわゆる「トレッキング」を開催して、180人以上の退役軍人とその配偶者を、同じく退役軍人で現在テック業界のスタートアップで働く人々に引き合わせてきた。それらのスタートアップはニューヨーク、シリコンバレー、ワシントンDCを拠点にする60以上の企業に及び、それらの中にはDropbox、Twitter、Facebookや Y Combinatorが含まれる。

反響は大変良かったものの、退役軍人と企業の両方からさらなる参加を要望する声は予想をはるかに上回るものであった。

そこで本日VetTechTrekはProject Standardを立ち上げる運びとなった。Project Standardはeラーニングのプラットフォームで、退役軍人が退役後に素晴らしいキャリアを形成する為の手助けとなるリソースを蓄積、収納する。基本的にその計画とは、退役軍人の経験を採用担当者や創業チームが理解できるストーリーやスキルに落とし込むためのサポートを提供するというものだ。

これらの教育プログラムは内容別に「会社」、 「トピックス」、「役割」の3つからなる。

「会社」の部分はビデオ版の「トレッキング」というべきもので、彼らの主催してきた人的交流プログラムに相当する。他の2つの部分は履歴書の書き方やネットワーキングの他、再就職を検討中の軍人に有用な様々なトピックスに焦点を当てる予定だ。

今回のプラットフォームを構築するにあたり、VetTechTrekは5万ドルを目標にKickstarterで資金を募り始めた。その資金は「Netflix級の」、質の高い教育ビデオを企画、撮影し編集する為に必要な人員を雇うのに使われる予定だ。

しかし、これまで関係を築いてきた60以上もの企業からおそらく容易に資金提供が得られる状況にあって、なぜKickstarterなのだろうか。

VetTechTrekによれば、彼らは自分たちが退役軍人の人達が本当に望むものを作っているという点を”何の疑いの余地もなく”確実にしたかったということだ。

VetTechTrekはSteve WeinerとMike Slaghという、現在サンフランシスコのテック企業で働く二人の海軍出身者が設立した。

同団体は今後も年数回程度ネットワーキングのためのトレッキングを主催し続ける一方で、今後そのリソースの大部分を新しいeラーニングのプラットフォームの構築に注ぎ込むことになる。

彼らのKickstarterに関しての詳細はここからどうぞ。今後3週間の予定で資金を募るが、すでにゴールに設定された5万ドルの内、1万2千ドルを調達している。

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(翻訳:Tsubouchi)

BBCが100万人の子どもたちに配布するプログラマブルマイコンボードmicro:bit、いよいよ一般予約の受付を開始

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イギリスの公共サービス放送局BBCが配布する、子どもたちがプログラミングを学ぶための小さなプログラマブルボードが、いよいよ一般公開予約を開始する。当初の配布予定台数は100万台だ。

このmicro:bitと呼ばれるマイコンボードは、Element14のWebサイトで予約を受け付け、配布は7月を予定している。

お値段は、ボードだけなら£12.99(12ポンド99ペンス)、miniUSBとバッテリーパックと4つのプロジェクトアイデア含むスターターキットは£14.99、これら10セットから成る‘BBC micro:bit Club’パックは£140だ。学校のクラスなど、複数の子どもを相手にプログラミング教室を開講する場合は、Clubパックを利用できる。

micro:bitプロジェクトのねらいは、定款により‘放送’だけでなく‘教育’も事業とするBBCの、‘Make it Digital’イニシアチブの一環として、“新世代にプログラミングとデジタル技術による創造力を涵養する”ことだ。デバイスの配布は、当初の100万台以降も継続的に行われる。

このボードは、最初からいろんなセンサーがついていて、センサーに対するプログラミングができることが特徴だ。Bluetoothをはじめ、多様なI/Oも用意されているから、ほかのデバイスやセンサーなどとの接続も容易だ。サポートソフトウェアはWebサイトから提供され、さまざまなコードエディターやチュートリアルを利用できる。

イギリスにはmicro:bitの大先輩、Raspberry Piがいる。これも最初の意図は、子どもたちがプログラミングを自力で学んでいくためのデバイス、だった。その後本格的なプロダクション用途が発達していったRaspberry Piと違ってmicro:bitはもっとシンプルで、メインのターゲットは11歳以上(イギリスの7学年以上)を想定している。

Piは2012年に世に出てから今日まで800万台以上も売れているが、結果的にメインのユーザーは学童ではなく大人のメイカーたちだ。そこでBBCは、micro:bitが伸びる余地がある、と見ている。

Piを子ども向けの教材プラットホームにしようと頑張っているKanoのような企業もいる。これらに対してBBCは、micro:bitはオープンソースであり、売れることより、たくさんの子どもたちのあいだに広まることが目的、としている。

このデバイスの設計や生産に協力したパートナーの数は、とても多い。企画のスタートから学校への配布開始まで1年半もかかったのは、パートナーの数が多すぎたためかもしれない。

いよいよ一般的に可利用となったmicro:bitは、Piのユーザー層よりも若い世代にねらいどおり広まり、多くの子どもたちにプログラミングの能力を育み、‘Raspberry Piの弟’と呼ばれるほどの成功を、果たして収めるだろうか。

 

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Facebook、Twitter、YouTube、Microsoftの4社が、EU全体でのヘイトスピーチ排除に合意

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Facebook、Twitter、GoogleのYouTube、Microsoft、および欧州委員会(EC)は、新たな行動規範公表し、当該ソーシャルメディアプラットフォーム上では、同委員会ガイドラインに沿ってヘイトスピーチを24時間以内に削除することを定めた。EUは、最近ブリュッセルとパリで起きたテロ攻撃を受け、この行動規範への取り組みを急いでいた。

ISISは、ここ数年ソーシャルメディアを利用した兵士の採用に成功している。それに加え、ヨーロッパの経済不況によって極右党が勢いを増し、ネット上のユダヤ人差別や外国人嫌悪を助長している。

IT企業は、おそらくヘイトスピーチの責任を負いたくはなく、強くヘイトスピーチに反対する立場を取っている。多くのソーシャルネットワークが表現の自由を謳い、これまでコンテンツやアカウンとの削除を拒んできたことを踏まえると、驚きではある。

しかしそれは、ゆっくりだが着実に変化していた。すでにTwitterは2015年中頃以来、12万5000のISIS関連アカウントを停止している。 Facebookは、2015年9月に、ドイツ政府と反ヘイトスピーチで合意している。GoogleとTwitterも2015年12月に、Facebookとドイツ政府に仲間入りした。そしてこのたびIT企業4社は、ヨーロッパ全体を通じて反ヘイトスピーチを正式に誓約する。

「最近のテロ攻撃は、違法なオンラインヘイトスピーチへの早急な対応の必要性を喚起した」と、EUの司法、消費者および性平等担当委員、Vĕra Jourováは、欧州委員会のプレスリリースに書いた。「残念ながら、ソーシャルメディアはテロリストグループが若者たちを過激化させ、人種差別者が暴力と憎悪をまきしらす道具として使われている。この協定は、インターネットがヨーロッパの価値と法を尊重し、自由で民主的表現の場であり続けるための重要な一歩である」

IT企業は、表現の自由と嫌悪なコンテンツの適切なバランスを見つけなくてはならないだろう。行動規約に基づき、各社は問題ある記事を検閲する専門チームを持つことになる(毎日ひどい記事を見なくてはならない社員たちは気の毒)。

テクノロジー企業はさらにユーザーを教育して、憎悪に満ちたコンテンツの投稿が禁止されていることを伝える必要がある。各会は協力して最善の行動を共有する。彼らは意意あるコンテンツを検閲すると共に、悪意ある表現に対抗する反論スピーチも広めていく。

この問題が表面化し、欧州委員会がこれほど早くに行動規範を定めるに到ったことは喜ばしい。IT各社が欧州諸国と個別にやりとりする代わりに、EU全体の規則に合意することができる。

同時に、IT企業がこの種の繊細な問題に協力して取り組んでいることも心強い。これは良い出発点であり、将来新たなソーシャルプラットフォームが出来たときには、この行動規範に同調することを願っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AppleのThunderboltディスプレイが在庫僅少。新型の発売間近か

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AppleのThunderboltディスプレイが発売されたのは2011年夏であり、今度のWWDCで新しくなる可能性がある。もし、今の品薄が何かの兆候なら。

地元のAppleストアを探してみてほしい ― 私の近所の十数店舗では「取り寄せ」で、(新製品発売前によくあるように)在庫が足りないか、MacRumorsの情報筋が言うように、倉庫に戻されているのかもしれない。

2560 x 1536 のディスプレイは、値段は高くても、当時はすばらしい選択肢だったが、5年が過ぎ…今は高いだけになってしまった。もちろん、もはや推奨商品ではない ― しかし代わりが出てきそうなのは良いニュースだ。

もちろん、液晶パネルは、高くても、すばらしい5K iMacと同じだろう。Appleが2014年後半に発売した製品だ。より薄く、高解像度で、カラーが改善され、ポートも一新された ― いずれもモニターにとって重要な要素だ。問題は、5K解像度を処理できるデバイスが限られていることだ ― それはMacBook Proの4倍のピクセル数であり、Thunderboltインターフェースを通じて送られる。2本のケーブルを必要とする可能性もあるが、Appleが標準の接続方法としてそれを許すとはとても想像できない。

DiplayPortプロトコルの改訂で可能になるかもしれないが、WWDCには間に合いそうになく、何らかのハードウェアがそこで発表されることも考えにくい。私には有効な方法が思いつかない ― ワイヤレスとケーブル接続でディスプレイを駆動することはあり得るが、可能性は小さい。Appleは、標準を置き去りにすることを恐れないので、新しくて奇抜な何かがやってくるのかもしれない。

WWDCで詳細が語られるものと私は見ている。大きな新型ディスプレーと、場合によって新たな駆動方式は、デベロッパーが早く知りたがるものだからだ。しかし、それまでにAppleが必要なハードウェアを揃えられるかにもかかっている。

いずれにせよ、6月13日には何かがわかる。2週間後に本誌のライブ記事をご覧あれ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Instagram、近くビジネス向けにアプリ内広告ツールをリリース―投稿がその場で広告になる

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今朝(米国時間5/31)、Instagramはビジネス・ユーザー向けツールをリリースすることを公式発表した。これには新しいフォーマットのビジネス・プロフィール、アナリティクス、そしてInstagramアプリ内からの投稿をそのまま広告にする機能などが含まれる。

今回のローンチについてはしばらく前から情報が流れていた。全般的にみて新しいプロフィールアナリティクスを通して得られるユーザー情報などに関する事前の情報は正しかったようだ。

Instagramではツールの正式公開前に何百社ものベータテスターから広告プラットフォームに関するフィードバックを得ていた。ビジネス・オーナーからの各種の要望が新しいプロフィールやInsightsと呼ばれるアナリティクスになったものだろう。

Instagramのビジネスとブランド開発のグローバル責任者、James Quarlesは、今回のビジネス・ツール発表の背景をこう説明する。「われわれの広告のアクティブ・ユーザーは20万に成長した。その大部分はスモール・ビジネスや中規模のビジネスだ。それに加えて、Instagramのユーザーの50%はなんらかのビジネスをフォローしている。60%のユーザーはプロダクトやサービスに関してInstagramで情報を得ている」

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われわれが以前報じたとおり、ビジネス・オーナーは新しいプロフィールにアップグレードすると拡張されたビジネス・ツールを利用することができるようになる。これには消費者がビジネスに電話、メール、メッセージで問い合わせできる能力、所在地が簡単に分かるナビゲーション付の地図などが含まれる。

ただしInstagramaのユーザーが誰でもこの機能を使えるわけではない。すでにFacebookページを開設しているビジネス・オーナーだけが、このページをInstagramのビジネス・アカウントに変換することができる。

「この方法ならば、Instagramのアカウントを作成する際にわれわれはユーザーの身元や支払情報に関する情報を得ている。またユーザーが望む場合はFacebookページのビジネス名、住所、電話番号、ウェブサイトのURLなどを再入力せずに利用できる」とQuarlesは説明する。

さらにこの方式であればビジネスを運営していないにも関わらず、Instagramを利用して売名行為に走る困り者を排除できる。こういしたユーザーはInsights(アナリティクス)のようなInstagramのすぐれた新機能を利用できない。ただし機能の詳細は利用コミュニティーの拡大とともに多少変更される可能性がある。

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Insightsを利用するとビジネス・オーナーは投稿した広告のパフォーマンスを調べられるだけでなく、顧客の人口動態統計もモニターできる。既報のとおり、このツールでは閲覧者属性、閲覧者数、インプレッション数、エンゲージメント数などが分かる。またフォロワーの性別、年齢、居住地域に関する統計も表示される。

Insightsはモバイル第一主義でデザインされている。つまり大企業の場合、担当者が出先から手軽に利用できること、スモール・ビジネスの場合はモバイル・デバイスがInstagramの主要な利用手段になるということなどを念頭に置いている。

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また今回、Instagramは手軽なモバイル広告作成手段の提供を始めた。ユーザーは投稿のアナリティクスを調べ、人気の高い投稿をアプリ内から広告に変換できる。アプリはまたオーディエンスの反応と広告予算をベースに適切な広告方法を提案する。ビジネス・オーナーはこうした機能の数回のタップで利用できる。ただしFacebookが提供する本格的な広告ツールであるAds ManagerPower Editorと比較するとアプリからの出稿には機能面でやや制限がある。

たとえばFacebookのデスクトップの広告ツールの場合、ユーザーはターゲットとなるユーザーを指定するためにメールアドレスのリストを送信したり、ランディングページでFacebook Pixelなどの高度なトラッキング機能が利用できた。Instagramのアプリ内広告ツールはこうした機能が省かれているかわりに使い勝手とスピードとが大きく改善されている。

ただし、InstagramがFacebookグループの一員であるというメリットをフルに利用するためには、豊富なk情報が得られるFacebookのデスクトップ広告ツールを併用するのが効果的だろう。【略】

Instagramの新しいビジネス・プロフィールはこの数ヶ月以内にアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドで公開される。年末までには全世界で利用可能になるという。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Y Combinatorがオークランドでベーシックインカムの検証実験を計画中

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Y Combinatorは本日、カルフォルニア州オークランドで初のベーシックインカムの検証を行うと発表した。このスタートアップ・アクセラレーターは昨年秋からベーシックインカムのコンセプトについて調査を行っていて、近いうちに給与を支払うようになるという。

Y Combinatorは当初、所定のグループに対してベーシックインカムを5年間支払い、その効果を研究すると言っていたが、そこから方針を変えた。まずは短期的な研究をオークランドで開始するという。Y Combinatorはブログ記事に「目標は、ベーシックインカムの手法について検証し、さらに長期の研究に備えることです。例えば、どのように給与を支払うか、データを集めるか、ランダムなサンプルを抽出するかなどです」。パイロット検証での結果によっては、Y Combinatorは継続して長期的な研究を行う考えだ。

全員に一定の金銭的な支援を保証するというベーシックインカムのコンセプトは、ここのところ注目を集めてきた。数日後には、スイスでベーシックインカムに関する国民投票が行われる。テクノロジー業界の大物もベーシックインカムを支持している。Y Combinatorの会長であるSam Altmanは、テクノロジーが仕事を奪うほど、ユニバーサル・ベーシックインカムの必要性が高まると主張している。

「テクノロジーが仕事を消し去る時代が来るということは、十分な人生を送るために必要なコストが大幅に下がるということです」とAltmanは ツイートしている。「そして、私は未来の仕事環境にスムーズに移行するためにはベーシックインカムのようなクッションが必要だと考えています」。

しかし、ベーシックインカムのコンセプトに反対する人もいる。一番大きな課題は、どこからそのお金を支出するかだ。Y Combinatorには裕福な投資家陣がいるため、ベーシックインカムの資金源について思い悩む必要はないかもしれないが、政府にとってこの資金源は問題だ。政府の予算優先政策センター(CBPP)は、政府がベーシックインカムの財源を担うことは、貧困層を支援する政策の財源を削減することになり、貧困率を高め、資金は中流階級や上流階級に回ることになると主張している。

「例えば、UBI(ユニバーサル・ベーシックインカム)で全員に毎年1万ドルを支給したとします」とCBPPのRobert Greensteinは今日、書いている。「それで年間3兆ドル以上のコストがかかります。10年で30兆から40兆ドルかかるのです」。スイス政府もコストを指摘し、投票者にベーシックインカムの否決を促している。

しかしY Combinatorは、このパイロット検証を将来のベーシックインカムの設計する方法として捉え、政府の財源からの支出が正しいアプローチとは限らないという。オークランドでの研究は、ミシガン大学で博士号を取得したElizabeth Rhodesが率いる。

「私たちのパイロット検証では、収入は無条件で提供します。検証期間中、いかなる状況でもベーシックインカムを提供し続けます。参加者はボランティア活動をしてもいいですし、仕事をしてもしなくてもいいのです。海外に引っ越しても構いません。なんでもできます。私たちはベーシックインカムが自由な行動を推奨することに期待し、この研究では人がその自由をどのように体験するかを知りたいと思います」とAltmanは言う。

Y Combinatorはすでにオークランドの役人やコミュニティーグループと協力してパイロット検証の計画を立てているが、まだ正式なローンチ日は決まっていない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

ASUSの599ドルのロボットは、あらゆる家事を手伝おうとしている

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ASUSは、今年のComputexでZenbook、Transformer、およびZenFoneの新しい商品ラインを発表する。しかし、同社のネーミングが残念な “Zenvolution” パズル、最後のピースはWall-E(ウォーリー)と、映画『ロッキー4』でエイドリアンの兄、ポーリーとかなり不安な関係だったお手伝いロボットのSicoとを掛け合わせたような、輝く目をした小さなロボットだった。

もちろん、何ら不建全なところはない。Zenbo(”ZenBook”、と似ているがもっといただけない名前)は、台湾で行われた記者発表のステージに、ASUSのJonney Shih会長と共に登場した。この不気味な小さくて可愛いいET頭のロボットは、不気味の谷に住む家庭でロボットが見せる様々なスキルを紹介する11分にわたる長編CMで何度も顔を見ることができる。

Zenboはカメラと顔認識機能を持ち、ビデオ通話や室内の遠隔監視が可能で、音声コマンドや音声応答もこなす。音楽や映画の再生もして、薬をむ時間や約束に出かける時間を教えたり、オンラインの様々な仕事もや、ベルト選びも手伝ってくれる。小さなロボットには教育的機能も組み合まれており、人間に代って子供たちを楽しませることもできる。

いずれも、ごく初期段階にある。Zenboの発売日は決まっていないが、Shihは599ドルで売り出すと言った。子供の最高の友と、理想的なベルトを見つけてくれる無二の親友を兼ねるわが家の一員しては、驚くほど手頃な価格だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

10年ぶりの新規参入、スマホ証券「One Tap BUY」が今日ついにローンチ

TechCrunch Tokyo 2015のスタートアップバトル決勝戦で審査員特別賞とAWS賞を受賞したり、2015年12月に金融商品取引業者として登録完了したことなどを順次お伝えしてきたスマホ証券のスタートアップ「One Tap BUY」が、4月末から続けてきた1000名規模のクローズド・ベータ期間を経て、本日正式にアプリ(サービス)をローンチした(iPhoneアプリAndroidアプリ)。

One Tap BUYは名前の通りに手軽さをウリにしている。既存のオンライン証券会社が提供するアプリだと、売買手続きに16〜18タップが必要なところ、One Tap BUYは3タップで終わる。ローンチ時点ではアメリカ株の取り扱いだけとなるが、FacebookやGoogle(Alphabet)、コカ・コーラやウォルト・ディズニー、スターバックス、COACHといった日本人にも親しみのある海外ブランドの株式を1万円という少額から購入可能だ。

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口座開設や使い方の説明もスマホネイティブ

口座開設もアプリ上からできる。住所氏名や投資経験などに回答して、運転免許証や住民票など本人確認書類の写真、そしてマイナンバーの番号を入れて写真をスマホで撮影する。後は書留で送られてくる書類に従ってログインするだけで完了だ。金融機関にありがちな大量の書類が送られてきてハンコをつくような面倒がなく、これまで投資経験がない層に対してハードルを下げる工夫が感じられる。

アプリ内からダウンロードできるマンガでは、実際の運用や銘柄選びのヒントを解説している。口座登録の流れと売買の様子を説明する「マニュアル」もマンガ。想定ターゲット層のひとつの類型と思われる若い女性が登場人物となって、初めての投資を体験している様子がマンガ仕立てで分かるようになっている。個別銘柄の創業(者)ストーリーや投資運用のミニ講座などもアプリ上にあるマンガとして読める。TechCrunch Japan読者なら、米Yahoo!創業物語がどう描かれてるかとかは気になるところかも。ウォーレン・バフェットの教えなんかもマンガになっている。

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ポートフォリオの円グラフを指でグルッと回して銘柄の持ち分比率を直感的なUIで変更したり、含み益のぶんだけを売ったりできるなど、従来の株取引アプリと違ったアプローチが多く取り込まれている。このへんは株式投資を経験したことがない若い世代に対して、本気でお金のリテラシーを啓蒙しようというOne Tap BUYの考えが色濃く反映されているところだ。さらに大手銀行口座と直接つなぎ込みをして普通預金口座から直接株を売買できるような仕組み(実際には一旦資金はOne Tap Buyへ送られるが)を秋口に用意する計画であるほか、クレジットカード決済による小口の積立投資にも対応していくという。いったんネット証券の口座にまとまったお金を振り込んで、それを元手に売買をする従来のネット証券の方式とは異なるアプローチでハードルを下げていくそうだ。

売買の約定は24時間可能。これは委託取引ではなく、いったんOne Tap BUYが株式を事前に仕入れて在庫や評価額の変動リスクを引き受ける相対取引としているから。こうした証券基幹システムは通常、野村総研や大和総研、日本電子計算、日興システムソリューションなど数社のソリューションを使うことになるが、今回One Tap BUYはAWS上で自社開発したという。One Tap BUY創業者の林和人CEOによれば自社開発としたからこそ、新しい仕組みを取り入れることができたのだという。

One Tap BUY創業者でCEOの林和人氏

One Tap BUY創業者でCEOの林和人氏

1%の利用者が高速売買をしているのが現状のネット証券市場

既存証券会社による子会社設立や、事業譲渡による参入などはあったものの、過去10年ほど新規設立のネット証券会社というのは登場していない。東証での個人投資家の売買代金もライブドアの株式分割ごろの約180兆円をピークに、ライブドアショック以後の近年は50〜60兆円と低調。アベノミクスで少し増えているものの、まだまだ低いままだ。

取引している金額ベースでいっても、その6割程度は月100回以上の売買を行ういわゆる「デイトレーダー」によるものだそう。ネット証券の口座自体は1800万程度はあるが、売買が活発なのは、このうち約1%の口座に過ぎない。ネット証券会社の登場によって以前よりは株式売買が身近になったとはいえ、日本における個人の株式取引の大部分は、今も一部のデイトレーダーの投機だけとなっているということだ。

「1%の人が回転売買をしているだけ。政府は貯蓄から投資へとは言ってるが、貯蓄から『投機』へとは言っていない。ここに何らの歪みがある。その歪みを解消すれば大きな市場があるだろうということです。そこに大義を見出しています。ネット証券は現状1800万口座にすぎないですが、日本の成人人口は約6000万です。銀行口座はみんな持っていますよね? 証券口座もそんなふうになればと思っています。例えば郵便局の学資保険は6兆円の市場なのですが、それよりこっちのほうがいいといって、10年、15年とスマホで子どものために積み立ててあげる。そういうふうになればと思っています」(林CEO)

今は若者でも、いずれ10年で稼ぐようになる

日本の個人資産の約1800兆円のうち約半分が現預金となっていて、欧米などに比べると中長期の資産運用ができていない(例えば日本銀行調査統計局のPDF資料参照)。個人資産に占める金融商品の割合はアメリカだと約半分、日本では6.3%にすぎない。この眠っている個人資産を動かすべく、例えばロボアドバイザーのWealthNaviTHEO、それからFolioなどが資産運用系のFintechスタートアップ企業が出てきているわけだ。

One Tap BUYが取り組もうとしているターゲット層の1つはスマホネイティブの若者。しかし、若者だと投資の金額的にも極めて少なく、動かないものはやっぱり動かないのでないか?そう尋ねると、林CEOからは次のような答えが返ってきた。

「以前に中国株専業のネット証券会社を創業して売却したのですが、そのとき15年やって分かったことがあります。当初20代とかで株式やったことのない人たちだった顧客層も年齢が上がっていくということです。事業を売却したとき、利用者の平均年齢は43歳となっていました。だからOne Tap BUYで取り込む若年層だって、10年も続ければ、いまはアルバイトでも、いずれお金を稼ぐようになるでしょう」

証券会社を立ち上げてエグジットした経験のある林CEOは、単にモバイルの証券会社を立ち上げようというのではなく、「貯蓄から投資へ」という課題に取り組むという中長期のビジョンのもとに事業を開始したという。既存ネット証券と同じようなアプリを出したところで状況が大きく変わることはないとしたら、そこに自分が取り組むほどの意義はないということだろうか。林CEOの言葉の端々には連続起業家としてのやり甲斐の見出し方と、さわやかな覚悟が読み取れた。

「すでに(起業家としてのエグジットは)1回やってるので、次にやるというなら違うことをやりたいんです。この歳(52歳)になって起業しようと思うと、新しいこと、大義が必要です」

「もちろん成功するかどうは本当に分かりません。やっぱり日本には高速売買しか市場がなかったね、ということになる可能性はあります。えっ、そうなったらですか? まあ、そのときは会社を畳むしかないですよね(笑)」

すでに事業計画ではIPOを見据えた数字を積み上げているというが、本当に市場があるかどうか分からない。国内VCや金融リテラシーの高い人たちの中には、One Tap BUYを見て「あんなのただのUIにすぎないでしょ」と肩をすくめたり鼻で笑う人もいる。だけど、型破りの新ネット証券というのは、すごく価値のあるチャレンジだと思う。結局のところ欠けているのは経済的インセンティブや資産形成・保全の合理的行動なんかではなく、その前段階にある国民一般の金融リテラシーや投資の原体験なのではないか。One Tap BUYがそこを変えていくことになるか。サイト上から密かに募って行っていたベータテストの利用者1000人のうち6割は投資未経験者だったというし、今後も動向が注目だ。

 

Energysquareのパッドはスマートフォンを置くだけで充電できる―Kickstarterでキャンペーン中

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Energysquareは長方形の薄い充電パッドだ。これがあればもうモバイル・デバイスの充電器を探してうろうろしないですむ。 Energysquareのパッドは既存のワイヤレス充電デバイスのような誘導充電方式を採用していない。その代わりEnergysquareではパッドの表面を導電性素材とし、モバイル・デバイスの背面に充電用の金属突起を持つステッカーを貼る方式としている。

この製品は現在、Kickstarterキャンペーンを実施中だ。

私はパリで開発チームに会い、製品のプロトタイプを試してみた。メインとなるのはマウスパッド大のデバイスで、導電性の金属が貼られた25区画に分割されている。金属の表面にスマートフォンを置くというのは気が進まないが、これで充電できるならそうも言っていられない。

ユーザーはスマートフォンの裏側に専用のステッカーを貼る必要がある。ステッカーの表面には小さな金属の突起があり、USBまたはLightningコネクターが付属する。ステッカーから伸びるコネクターをデバイスの充電ソケットに挿せば準備完了だ。

自分のスマートフォンにステッカーを貼るのもあまり好きではないが、充電器から充電器へと毎日忙しくプラグの抜き差しを繰り返すのも飽き飽きしていた。Energysquareのアイディアというのは、この充電パッドを自宅の寝室のサイドテーブルと職場のデスクに置いておけば、もう充電器を探す必要がなくなるというものだ。ユーザーがパッドの上にスマートフォンを置くだけで充電がスタートする。

誘導充電方式に比べるとEnergysquareの接触充電方式はフルスピードで充電ができる。またパッドに載せられるかぎり多数のデバイスを同時に充電できる。要するにステッカー上の2つの金属突起がパッドの別の区画に接触するようにデバイスが置けさえすればよい。

もうひとつ良い点はこのステッカーが安いことだ。1枚が10ドルなので複数のデバイスに使うことも、取り換えることも簡単だ。Energysquareの充電パッドはKickstarterで65ドル(59ユーロ)で入手できる。

開発チームはこの充電パッドを公共の場所、駅や空港、レストランやバーなどに普及させたいとしている。これはなかなか野心的な計画だが、もちろんそういった場所で簡単に充電ができるなら便利であることは言うまでもない。

〔日本版〕キャンペーンのページによれば、最初の出荷は今年11月を予定している。3万ドルの目標額に対し、すでに4万8000ドル以上がプレッジされているのでプロジェクトはスタートするはず。59ドルのプレッジで充電パッドとステッカー5枚が入手できる。ビデオによればテープ状のステッカーの端が充電プラグになっており、他のプラグを挿す必要があれば簡単に外せるようだ。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WHILLが新たに約20億円を調達、電動車椅子の枠を超えたパーソナルモビリティ事業に取り組む

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「次世代パーソナルモビリティ」の開発を手がけるWHILLは本日、総額1750万ドル(20億円弱)の資金調達を行ったことを発表した。Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)をリード投資家とし、未来創生ファンド、ゴールデンアジアファンドⅡ等が参加している。また、Eight Roads Ventures JapanのDavid Milstein氏がWHILLの社外取締役として就任すると発表した。今後、電動車椅子に留まらず、WHILLが掲げる「次世代パーソナルモビリティ」の普及を目指し、新たにシェアリング事業なども手掛ける計画だ。

TechCrunch Tokyo 2012のスタートアップバトルの優勝者でもあるWHILLは、ソニー、トヨタグループ、オリンパスなどメーカー出身のエンジニアを中心とするチームだ。CEOの杉江理氏も日産自動車出身だ。彼らが最初に取り組んだ「WHILL Type-A」は、手動の車椅子にモーターをアタッチする形式だった。その後、現在のモーターと車輪が一体型の「Model A」を開発し、2014年9月から一般販売を開始している。「Model M」は、アメリカでFDAの認可を得るために「Model A」の仕様を一部変更したモデルとWHILLの広報担当者は話す。FDAの認可を得ることで、医師が処方することができるようになり、保険も適用されるようになるという。「Model M」はFDAの電動車椅子としての要件をクリアするため、主に変更したのは背もたれの部分だ。様々な症状の患者に合わせてカスタマイズできるよう変更しているという。また「Model A」ではBluetooth経由でiPhoneアプリから車椅子を遠隔操作することが可能だが、「Model M」にはそれがない。いかなる環境でも安全、安心を追求するFDAの基準に則すためという。

2016年2月、FDAから商品の認可が下りたとWHILLの広報担当者は話す。現在、FDAによるWHILLの製造現場の調査が行なわれていて、順調に進めば7月からアメリカで「Model M」の一般販売を開始できる予定だという。アメリカのユーザーは代理店経由で車椅子を扱う約50店舗からWHILLを購入できるそうだ。

今後WHILLは、シェアリングサービスなどの事業開発を検討しているという。例えば、自転車の貸し出しやカーシェアリングのように、駅付近やアミューズメントパークなどの施設内でパーソナルモビリティを活用した事業を考えているそうだ。それに伴う機能開発、例えばパーソナルモビリティが自動で当初あった場所に戻るなどの自律走行機能などの開発を行うことも視野に入れているという。

今回Eight Roads Ventures Japanをリード投資家に迎えたのは、新たな事業を展開を行うためのアライアンスや機能開発で協力できる企業を探すためのネットワークに期待しているためという。また、主要市場と位置付けているアメリカ市場での販売強化と認知度の向上を図るための協力を得られることも理由の一つと話す。WHILLの2015年度の販売実績は日米合わせて500台だったとし、2016年度はその2倍、1000台の販売を目指す計画だそうだ。

WHILLは「電動車椅子という枠に超えて、新たな乗り物を提案していきたい。そしてこれに乗るのは楽で、かっこよくて、クールであるという認識を広めたい」と話している。2012年5月に正式に法人化したWHILLはこれまでに総額約1285万ドルを調達している。今回の調達で累計調達額は約3035万ドルとなった。