医療系スタートアップのメドレーが三井住友海上、MRT、グリーから3億円を調達

メドレーのメンバーら。左から2番目が石崎氏、3番目が
5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

メドレーのメンバーら。左から3番目が代表取締役医師の豊田剛一郎氏、5番目が代表取締役の瀧口浩平氏

医療系スタートアップのメドレーは6月30日、三井住友海上キャピタル、MRT、グリーおよび個人株主を引き受けとする総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

今回メドレーに出資したMRTは、外勤紹介サービスの「Gaikin」、転職紹介サービスの「career」(いずれもMRTのコーポレートサイトで提供)、医局向けサービス「ネット医局」、ヘルスケア情報サイト「GoodDoctors」など、医療従事者向けのサービスを展開している。今後は、ジョブメドレーとGaikinのサービス連携、医師や医療従事者のネットワーク拡大、新サービスの共同開発を進めるとしている。

メドレーは2009年の設立。代表取締役の瀧口浩平氏は家族のがん治療の経験から、医療現場の効率化、情報の非対称性といった課題に気付き、それを改善すべく医療領域で起業した(同士は学生時代にも一度起業しており、これが二度目の起業となる)。

同年11月には医療・介護業界専門求人サイトの「ジョブメドレー」の提供を開始。2015年2月には瀧口氏と小、中学校時代からの友人である医師の豊田剛一郎氏を代表取締役医師として招聘。あわせてオンライン病気事典「MEDLEY」を公開した。また、2015年にはグリー傘下で介護施設の口コミサイト「介護のほんね」を提供していたプラチナファクトリーを株式交換により子会社化している。

同社にはこれまでにウノウ創業者でメルカリ代表取締役の山田進太郎氏やアトランティス創業者の木村新司氏といった個人投資家のほか、East Ventures、インキュベイトファンドなどが出資している。

社員数は現在約60人。役員を中心に、東大医学部卒業生も4人在席している。「2009年に創業した時は、医療分野をやりたいエンジニアなんかいなかった。だここ最近はApple Watchでヘルスケア情報が取得できるようになったりして、医療領域に注目が集まってきている」(瀧口氏)

医療情報の提供、「生半可な気持ちでやっていくつもりはない」

今回の増資を受け、メドレーでは前述のMRTとの協業に加えて、オンライン病気事典MEDLEYおよび医療系人材の求人サイトジョブメドレーのサービス開発を加速するとしている。

MEDLEYでは、医師や医療従事者が執筆する情報を、220人の専門医が校正。一度掲載された情報についても逐次アップデートするという体制を取っているそうだ。「病気を調べるときにパッと思い浮かぶ病気のサイトにしたい。将来的には疾患の基礎情報からQ&Aまでを網羅する。医者1人1人も時間が限られている。診断したあと、(MEDLEYの)URLや印刷物を渡して『聞きそびれ』をなくすようなものにしたい」(豊田氏)。

ここ最近では医療情報サイトもいくつか出ているが、その一部は、情報の信頼性に不安をおぼえるものも少なくない。例えば、ある医療情報サイトで「子宮肉腫」という項目が「良性の腫瘍」と説明されているのだが、実際は「良性の子宮筋腫と間違いやすい、悪性の腫瘍」なのだそう。競合サイトでこういった生死に関わる情報が正しく扱われていない背景を踏まえて豊田氏は前述のコンテンツチェック体制を強調。「サービスを生半可な気持ちでやっていくつもりはない」と語る。

またジョブメドレーも売上は伸びており(グラフを見せてもらったが、金額自体は非公開とのこと)、「採用決定数も競合比較で多くなっている」(瀧口氏)のだそう。

将来的には、遠隔医療分野を支援、効率化するサービスの提供も予定しているという。こちらも具体的な話は非公開ということだったが>、豊田氏いわく「医療は『サイエンスとアート』なんて言われることがある。そのサイエンスの部分をシステムに置き換えて、アート、つまりコミュニケーションなどのために医師が時間を使えるようにしたい」とのこと。

どんなデータソースもいきなりWebサイトに変えてしまうをSlashDB…データベース操作の部分を書くのが嫌な人向け

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プログラマが好きな二つのものは、ピザと、仕事を楽にしてくれるもの、だ。ぼくがSlashDBにとくに関心を持つのも、そのためだ。このプロダクトは、どんなデータソースでもXMLやJSONやHTMLで表現してアクセス可能にする、と自称している。プログラマのVictor Olexが作ったこのシステムは、どんなデータでも、REST APIによりほんの数秒でWeb化できる。

Olexはこう言う: “SlashDBは、データベースのための自動化Web APIだ。つまり、データベース中のどんなレコードでも、分かりやすいリンクから到達できるようにする。互いに関連する複数のレコードもリンクにできるから、これまでのSQLデータをグラフ的に見せることもできる。そうやって作られるデータのWebは、リード、ライト、そして通常のHTMLによるいろんなデータ形式での検索が可能だ”。

彼がリンク、リンクと言っているものは、REST APIの結果としてうんと長くなったURLだ。たとえば、こんなの:

http://demo.slashdb.com/db/Chinook/Genre/Name/Classical/Track/InvoiceLine/Invoice/Total/

これでDBからデータがとり出され、いろんなフォーマットで返される。いろんなWebページの上に正しいHTMLコードを出力するクェリも、ありえる。

このシステムは今、数社のクライアントのところで使われており、最近ではOlexはAruba Tourism Authorityと一緒に、バックエンドがほとんどなくてデータベースだけがある、というWebサイトを作った。今では、Microsoft Azure Marketplaceでも売られている。その”lite”バージョンは、一データベースあたり250ドルで、今では、大量のデータベースを使っているユーザのための大型の実装も提供している。SlashDBはピザではないけれども、アプリケーションのデータ接続層で多くの時間と労力を費やしたくないデベロッパにとっては、おもしろいソリューションだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Googleの教育プラットフォーム「Classroom」にAPI、ウェブサイトからのシェアボタンなどの機能が追加

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Google Classroomは、同社が教育分野での取り組みの一環として昨年ローンチした、Googleのツールやサービスを活用して教師と生徒がコミュニケーションを取ったり、互いに協力して作業をするためのプラットフォームだ。今日それに、複数の新機能が追加された。最も注目すべき機能は、管理者用のClassroom APIとClassroomのシェアボタンだ。後者は、開発者や学校がウェブ上のリンク、動画、画像をClassroomのプラットフォームに共有するのを簡単にするためのものだ。PBS、Quizlet、the American Museum of Natural History、Discovery Education、Duolingo、TIME for Kidsといった20以上の教育コンテンツやツールの提供者の協力を得て、ローンチした。

ClassroomはGoogleが提供する教育向けプロダクトの1つで、2014年の新学期が始まる少し前に登場した。GoogleのDocs、DriveとGmailを活用し、教師の課題の製作と進捗を追うのを助け、お知らせを出したり、生徒に問いかけたり、生徒の質問にリアルタイムで回答することができるものだ。その後、このプラットフォームはモバイル対応も行われた。このプログラムはGoogle Appsを学校のシステムに浸透させ、Googleの他の教育分野における取り組みと連携するものだ。例えば、Chromebookを教育機関に打ち出す施策を促進する。

今日発表した機能は、管理者、開発者、そして学校がClassroomをより簡単に導入して幅広く活用するのを促すものだ。現在ClassroomのAPIは開発のプレビュー段階にあるが、これにより管理者は教師の代わりにClassroomの設定、準備、導入が簡単になる。また、生徒の情報システムのコンテンツをClassroomと同期し、どのような授業が管理者のドメイン内で教えられているかといったデータから洞察を得ることができるようになる。

Googleは、既に幾人かの開発者が発表前から新APIを試していると伝えた。その内の2つは、The New Visions CloudLabDoctopusの製作元)のSheets用のrosterSyncAlmaで、Classroomにクラス名簿といったデータを同期させることに焦点を当てている。3つ目のPear DeckはAPIを使用し、既存のクラスの名簿を元に彼らのPear Deckというインタラクティブなプレゼンテーションサービスに招待を自動で行うものだ。

また管理者は、ドメイン内の教師と生徒のClassroomのデータにアクセスするアプリの承認権限をコントロールすることができる。Googleは、Classroomのデータを広告に利用するためにAPIを利用するアプリは承認しないことを強調した。これは、Googleの昨年の春に導入した教育に関連するGmailとGoogle Appsのアカウントの情報を広告ターゲティング目的で採取することは止めるとする ポリシーを改訂に準拠するものだ。これは、裁判でそうすることがプライバシーの侵害に当たるという判決を受けて変更した。

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開発者向けには、GoogleはClassroomのシェアボタンを紹介した。これは課題を設定したり、教師や生徒が外部のサイトやサービスからClassroomにコンテンツを持ち込むのを容易にする。例えば、教師は生徒にウェブ上のリンク、画像、動画を直接、Classroomのインターフェイスから示すことができる。生徒もシェアボタンを実装しているサードパーティのサイトのコンテンツをClassroomに共有することがクリック1つでできる。

Classroomのプラットフォームは他にもいくつかのアップグレードが行われ、まだ利用できないものもあるが、次の数週間内に公開される予定だそうだ。Google Appsの教育分野の中で信頼できるドメインの一覧、他の学校の生徒、教師、スタッフがDriveやClassroomで効果的に作業を行うことができる機能が盛り込まれる。他の追加機能には、Classroomのモバイルアプリでのプッシュ通知の対応、以前の投稿を再掲載する(例えば、以前の課題や教材を将来の授業でも使用できる)機能、Google Appsのアカウントの準備をより簡単にする ユーザー名の自動作成といった機能もある。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

LivecodingはプログラマのためのTwitchだ…コーディングを実況中継してアドバイスを求める

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Y Combinatorの今のクラスで修行しているLivecoding.tvは、プログラマがほかのプログラマたちからリアルタイムで学べる、というサービスだ。

使い方は簡単で、プログラマが自分のプログラミング過程の実況をストリーミングし、‘視聴者’はそれを見物しながら質問をしたりフィードバックを与えたりする。

ベータでローンチしたのが2月だが、これまで162か国4万名あまりがサインアップした。当然、言葉はポルトガル語、ロシア語、ドイツ語等々とさまざまで、プログラミング言語もC#、Python、PHPなどなど、さまざまだ。

自分のプログラミングをストリーミングで流したい人も、エキスパートのプログラマから初めてのゲームをJavaで作っている11歳の子どもまで、いろんな人たちがいる。

PeriscopeやMeerkatなど、ユーザのリアルタイム実写ビデオ(自撮りビデオ)と同じく、視聴者はそのユーザをフォローでき、するとその人がまた新しいライブストリーミングを始めたら通知をもらえる。

プロのプログラマは、このサービスで、ベータユーザになってくれそうな人を見つけたり、新しいアプリケーションに関してフィードバックをもらったりできる。たとえば、著名なプログラマで物理学者でもあるStephen Wolframは、彼の新しいプログラミング言語をLivecoding上で宣伝し、先週行われたそのデモを見た人は4000名を超えた。

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経験の浅いプログラマたちにプログラミングを教えるリソースはネット上にたくさんあるが、このようなプログラミングのリアルタイムの実況で助言を得たり、エキスパートによるコードの書き方を見たりする、リアルな学習体験は、これまで、あまりなかった。

Livecodingの協同ファウンダJamie Greenは曰く、“YouTubeなどでチュートリアルを見るのと違って、Livecodingには対話性がある。そこが、重要な差別化要素だ”。

“既存の静的なチュートリアルは、きちんと編集されていて、問題解決へのいちばんの近道を行こうとする。でも、現実の技術者たちによる現実の問題解決過程は、そんなストレートなものからはほど遠い”。

初心者も自分のストリーミングをポストして、今やってることに関するコツや意見を求めることができる。

“これまでは、誰かに聞こうとすると、いちいちFacebookにアクセスしなければならない。問題がややこしいので、5分おきぐらいにそれをやることもある。そのたびに、プログラミングの集中力が途切れ、邪魔される”。

Livecodingでは、プログラミング以外に、たとえば初めて使う3Dプリンタのセットアップの仕方を尋ねる人もいる。ライブで音楽を演奏するコードを書いて、実際にLivecodingの聴衆に音楽を聴かせてしまったユーザもいる。Greenは、プログラミング以外の別部門をいろいろ作らなければならないだろう、と言っている。

“ライブの教育は未来の鍵であり、未来の教育の鍵である”、とGreenと主張する。“デザインなどの分野も、このやり方で教育/学習すれば、すごくおもしろくなるだろう”。

今のところLivecoding.tvは完全に無料で、Greenは広告は絶対やらない、と言っている。しかし今後、テーマを絞った専門性の濃いコンテンツは、有料になるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Microsoft、AOLに検索を供給、広告事業の一部と社員数百名を移管

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アップデート:インタビューの中でMicrosoftは、Bingが現在損失を出していないことを明らかにした。これは公表されていたキャッシュフロー計画より数四半期早い。

地図技術移管契約の一環として約100名の従業員をUberに引き渡すニュースに続き、今日(米国時間6/29)の午後Microsoftは、AOLの検索サイトにエンジンを供給し、広告事業の一部をAOLおよびAppNesus両社に移管することを発表した

AOL(TechCrunchの親会社)は最近Verizonに買収されたため、どうやらこれでMicrosoftとわれわれは一緒に仕事をすることになりそうだ。

この動きには多くのレイオフが伴うが ― 約1200人と言われている一部の職務はAOLに吸収される対象者全員にAOLでの仕事が提示される。なおMicrososftが最近、Nokiaのハードウェア事業の大部分を買収した後、大規模なレイオフを敢行している。

この取引きもまた、Microsoftが現在声高らかに進行している、事業スリム化と製品フォーカス強化計画の一環である。今日これ以前に報じられた同社の地図画像部門を手放すニュースも同じ流れだ。全てに答える議論は何も答を生まない、という古いジョークがあるが、このケースは、全てをやる会社は何もうまくできない、ということになる。

不思議なことに、MicrosoftはTechCrunchについて何か良いことを言っている。これも一つの情報開示と促えられたい。

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この契約は、MicrosoftにとってBingの検索および広告プラットフォームを、大規模に「品質検証」する新たな機会を意味している。

Microsoftは、オンライン広告会社 AppNexusとの提携拡大も発表し、同社はBingの独自プログラム技術を開発し、ヨーロッパ数十ヵ国の販売パートナーとなる。

この提携拡大は、Microsoftによるヨーロッパ市場広告主へのプログラム的アクセス方法提供に向けての取り組みを強調している。同社はブログ記事で、北欧諸国企業の50%以上がプログラム的利用に切り換えており、今日からさらに拡大すると言っている。

正式コメントは以下の通り:

本日のニュースは、当社がMicrosoftの長所への集中を高めている証である。即ち、検索、検索広告、およびすばらしいコンテンツと消費者サービスの構築である。広告表示に対する当社のアプローチが進化することによって、われわれはこの集中を維持することが可能となり、また業界のリーダーらと協力して当社サービスの販売を進めていく。

契約の当事者であるVerizonの時間外株価は横ばい。Microsoftの株価ややや高値をつけている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スペースマーケットがiOSアプリをリリース、今後はポップアップショップの紹介なども

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昨年4月にサービスを開始した“ビジネス版Airbnb”こと「スペースマーケット」。野球場から映画館、果ては船まで、さまざまなスペースを1時間単位でレンタルし、会議や株主総会、研修、イベントなどに利用できるこのサービスが6月30日、iOS版のアプリをリリースした。App Storeから無料でダウンロードできる。なおAndroid版アプリは今後提供する予定。

アプリでは、レンタルスペースを検索して予約リクエストを送信。アプリ上で決済までを完了できる。設備等の気になる点を質問できるメッセージ機能も用意する。ただし、アプリ経由でのオーナー登録(貸したいスペースを掲載する)の機能は現在実装されておらず、今後対応する予定だという。

取り扱いスペースは3000件に

サービスを運営するスペースマーケット代表取締役社長の重松大輔氏に聞いたところ、取り扱いスペースは現在約3000件。5月にはNPOと提携して群馬県桐生市にある遊休施設のレンタルを開始するなど、“地方創生”関連の案件なども積極的に開拓しているそうだ。

とはいえ、ビジネスの中心になっているのは結婚式場などの大きなスペースで企業の周年イベントや社員総会を開催するといったBtoBの案件。「今ホテルの宴会場を貸し切ると高い価格になるが、平日の式場などは安価に利用できる。我々にも競争力がついてきたので、スペースとの価格交渉もできるようになってきた」(重松氏)

事業面を見るとまだ赤字ながら、売上、利益ともに伸びているという。ただし売上は「季節要因が大きい」(重松氏)。会社行事などが集中する12月や3月、4月などは増加する一方、5月以降は下降ぎみだという。

今後はポップアップショップの紹介も

国内の競合を見渡すと、米「StoreFront」や英「Appear Here」のようにポップアップショップに特化したCOUNTERWORKSの「SHOPCOUNTER」が5月にスタートしているほか、またWiLなどが出資しており、安倍政権の特区構想に準拠するかたちで日本版Airbnb「TOMARERU」を提供する予定の百戦錬磨も、2014年末に「Jambalaya」なるスペースレンタルサービスをひっそりと開始している。古参の「軒先ビジネス」なども健在だ。

重松氏は「CM撮影やイベント開催、ポップアップショップなどはトレンドとして確実に『来る』と思っている。ちょっとしたスペースも、コンセプトを与えてやるとうまく回っている」と説明。今後はより広いニーズに対応していきたいと説明する。すでに同社のオウンドメディア「BEYOND」でも、そんな物件が紹介されていたりする。

AWSがユーザの費用管理サービスをローンチ…予算オーバーにはアラートを

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デベロッパがクラウドコンピューティングプラットホームAWS上で開発していくときの、出費をコントロールするためのツール集を、今日(米国時間6/29)Amazonが発表した

その最初のツール、その名もまさにBudgetsは、AWSの各月の予算を管理する。AWS全体、あるいはたとえばEC2のサービスだけの予算を設定すると、費用または当月の予測費用が設定をオーバーしそうになったとき、AWSがアラートをくれる。

また、前からあるリソース使用量/料金レポートサービスCost Explorerに、向こう3か月の料金予測が加わった。このサービスは全体量を見るだけでなく、個々のサービス、タグ、可用性ゾーン、購入オプション、API操作なども見ていく。ユーザの実際の使用量には変動がありうるので、この予測には、予測の信頼区間がつく。

AWSの費用の推定は、Amazonの粒度ベースの複雑な料金体系があるので、容易なワザではない。しかもユーザのアプリケーションが複雑であれば、費用計算はさらに難しくなる(そしてAWSの費用を他のクラウドプラットホームと有意に比較することも難しい)。今回の新しいサービスにより、サードパーティのツールがなくてもAWSの費用を追跡できる、ぐらいにはしていただきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Uber、Bingの地図資産の一部をMicrosoft従業員100名と共に買収

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UberはMicrosoft Bingの一部を買収し、同サービスの画像収集技術者約100名を引き取る。要するに、Uberは自社の地図作成作業を強化するために、Microsoftのデータ収集エンジニアを吸収する。

両社はTechCrunchに対して取引きを正式に認めたが、契約条件は明らかにしなかった。MicrosoftからUberに移管される運営費用は、両社の財務規模を踏まえると大きくない。移される技術の方がはるかに興味深い。

Uberのアプリは、実質的に地図+アドオンなので、エンジニア ― 現在シリコンバレーで最も人気の高いコモディティー商品 ― を集めたがるのは当然だ。そしてMicrosoftが、その大規模プラットフォームと生産性商品にとって必ずしも中核にない戦力の一部を手放したがったとしても驚きではない。

しかし、Microsoftは数年来、Bingは売却対象ではないと言い続けてきただけに、その断片を手放すことは注目に値する。(アップデート:Microsoftが指摘されてきたのはBing検索を傘下に持っていることの問題であり、資産としてのBingそのものではない。つまり、一人のオタクとして私が考える限り、この買売による戦略の変更は起きていない)。

この動きはUberの野心を浮き彫りにするものでもある。製品への大志がなければ、特定の専門エンジニアを一度に100人雇う会社はない。新たなUberキッズたちは、イメージデータをBingに注入していた人々であり、つまりは検索エンジンの3D、航空写真、およびストリート画像が主な仕事だった。そこから、Uberが何を考えているか予測できる。。

両社はこの契約について、人員だけでなく「資産」も移されるとTechCrunchに話したが、詳細については説明を拒んだ。しかし、予想はつく。自分の仕事に画像収集が絡んでいて、会社に引き抜かれたなら、どんな仕事が待っているかは常識の範囲内だ。

つまり、Microsoftは大量の画像コレクションをUberに売り、そのライセンス権利は保持すると私は予想する。さらに、Microsoftは一定の知的産をこの取引きでUberに売り渡す ― もし契約条件について私より知っている人がいたらダイレクトメッセージで知らせてほしい。

両社の正式コメントは無難にまとめられたもので、Uberは「この買収がもたらす人材と技術を大いに楽しみにしている」と言い、Microsoftも同じく平凡に、同社は昨年来「コアビジネス戦略に集中するために多くの行動を起こしてきた」と語った。

Uberは自立した運営を目指していることを明確にしたいと考え、一方Microsoftは、その製品フォーカスを武器として促えられたいと思っている。さてどうなるか。今のところ、Uberは新たなツールを手に入れ、MicrosoftのBing事業は財務的にわずかに軽くなったということだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookがYouTubeとの競争に備え、動画アナリティクス機能を全面刷新

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Facebookのソーシャルネットワークにブランド企業が直接動画をアップロードする回数がこれまで以上に増えたことで、Facebookの動画はYouTubeより増大しつつある。Facebookは、動画を投稿する発行元のニーズに応えるため、Facebook Pageのインサイト画面に新しい動画タブを加えた。期間別の動画データの動向やその他のデータが分かりやすく表示され、パフォーマンスをトラックするのが簡単になる。

[アップデート:動画を投稿するユーザーに情報を提供するのと同時に、Facebookはニュースフィードのアルゴリズムを、ユーザーが全画面でミュートを外して、HDで閲覧している動画を優先するようにした。このようなビッグデータによるパーソナライズで、個人にとって関連性のある動画を表示することは、YouTubeでの視聴と競う助けとなるだろう。]

以前からPageの管理者と動画投稿者は、Pageのインサイト画面で動画の指標をトラックすることはできたが、Facebookで期間を設定し、エクセルのようなファイルフォーマットを選択してエクスポートする形式でしかデータを利用することはできなかった。また、動画ごとにしかアナリティクスを見ることができなかったが、今後はPage単位で選択した期間の閲覧数をトラックすることができる。

動画専用のタブにより、Pageのオーナーは、Page単位での閲覧数と30秒以上の閲覧数をトラックしたり、特定の期間でのトップ動画や他のPageから共有した動画の指標も確認したりできるとFacebookは伝えた。また、Pageのオーナーは、オーガニック対有料、自動再生対クリック再生、一回対リピート再生の設定から対比情報を見ることができ、オーディエンスがどのように視聴しているかの理解が深まるだろう。

さらに期間を特定し、その間の閲覧数を確認することで日ごとの閲覧数の推移を理解することができる。

また、Pageオーナーがこのようなベンチマークを確認する際、長期での平均パフォーマンスと比較することもできる。

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「トップ動画」のセクションでは、特定の期間内のリーチ、閲覧数、平均再生完了率によって計測された、パフォーマンスの良い動画を確認できる。このようなデータで動画投稿者は、自分のオーディエンスにどのようなコンテンツが受け入れられるかが分かるだろう。動画をクリックして、個別のエンゲージメント、オーディエンスのリテンション率といった詳細を確認することもできる。

これ以外にも、Pageオーナーは、他のPageで共有した動画の閲覧数、リーチ、他の動画指標も確認することができるとFacebookは伝えている。

Facebookの動画指標は正確さに欠け、ソーシャルメディア担当者やPageオーナーが苛立っていた中、今回の刷新が行われた。多くの人の動画の指標が2ヶ月前よりずっと低い値を示していた。Facebookの数値が悪化したように見えたことで、Facebookに不安を持つ人もいた。Facebookは、この悪化した数値はバグによるものであるとし、この動画指標の全面刷新の準備により生じたものと説明した。

もう1つの問題は、長期間のデータのエクスポートでは、いくつかのデータポイントが欠落することだった。例えば、10日間、15日間のデータエクスポートには何ら問題はないのだが、期間を例えば3ヶ月間に伸ばすと、多くのデータポイントが欠落した。

Facebookで動画閲覧数のトラックを任されている人にとって、動画専用のタブができ、機能が改良されたという発表は良いニュースだろう。Facebookは、彼らの不満を無視しておらず、体験を改善するために動いていたことが示された。

動画タブは、まだ全員に公開されていないが、Facebookは「次の数週間内」に機能が利用できるようになると言う。

Facebookが動画指標と表示の改善に動いたのは、このソーシャルネットワークでの動画コンテンツの急速な拡大が見られるからだ。例えば、最近の調査では2万のFacebook Pageから8万の動画投稿があった。これは、12月におけるFacebookとYouTubeの動画投稿の差が開き、YouTubeよりFacebookの動画投稿が2万以上も多かったことを示している。また、Facebookの動画は、1月の1日の動画閲覧回数は30億回だったが、4月には40億回に急伸したという報告もある。

また、市場調査企業のAmpere Analysisによる調査では最近、Facebookは2015年、YouTubeの3分の2程度の動画閲覧数にまで伸びると示した。つまり、YouTubeの3兆に対し、Facebookは2兆だ。両社は、同程度のアクティブユーザー数を抱えている。Facebookが14億でYouTubeは13億だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

TechCrunchの日英記事を並べて学習、「ポリグロッツ」が英語音声を搭載したぞ

いつもTechCrunchを読んでくれて、ありがとう!

勉強を兼ねて英語でTechCrunchを読んでいる人に朗報だ。英語学習アプリ「ポリグロッツ」で、TechCrunch Japanに掲載した日本語記事と、その原文である英語記事を同時に読み比べながら、さらに英文についてはネイティブによる音声を聞くことができるようになった。英語やんなきゃと思いつつも始めるキッカケがなかったり、継続できなくて悩んでいるなら、毎朝(あるいは毎晩)決まった時間に情報収集を兼ねてTechCrunchの記事で勉強してみてはいかがだろうか。以下、音声読み上げのデモ動画をご覧あれ。

ポリグロッツは8カ月前ににローンチした「読むこと」に重点を置いた英語学習アプリで、現在までに20数万ダウンロードとなっている。アプリの動作としてはRSSリーダーに近く、ネット上にある英文コンテンツを読むリーダーアプリだ。ポイントは「好きなものを読む」ところ。まず、次のようなジャンルから関心のあるテーマを選ぶ。

ニュース、ビジネス、スタートアップ、マーケティング、テクノロジー、スポーツ、エンタメ、音楽・映画、デザイン、ファッション、グルメ、ライフスタイル、小ネタ、運勢・占い、ゴシップ・セレブ、医学・医療

すると、ポリグロッツが各ジャンルでセレクトした英語圏の記事が、読了予想時間や難易度とともに表示される。例えば、ニュースならBBCやHuffington Post、The Japan Times、New York Timesといったものがある。日本に暮らす身としては、同じ英語圏ニュースといってもアメリカでいえばUSA Today、イギリスでいえばThe SunやDaily Mailといった完全に地元の人だけを相手にしてるローカル紙じゃないところがいい感じだ。テクノロジー分野はTechCrunchを始め、Mashable、CNET、The Virgeなどが入っている。

記事の分類として「日本語訳あり」というのも存在する。これはTechCrunchのように日本語・英語で翻訳記事と原文が両方一緒に読める記事を集めたものだ。「JP/EN」というボタンを押して、切り替えながら読むことができる。

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ポリグロッツ創業者でCEOの山口隼也氏によれば、ポリグロッツはアダプティブ・ラーニングという教育メソッドをアプリの基本方針に採用している。学習者一人ひとりの興味やレベル(難易度)、読むタイミングにあわせて学習を進められるプラットフォームとしてポリグロッツの開発を進めている。

強制スクロールで目指せ200wpm!

ポリグロッツではリーディング学習のために、いくつか補助ツールが用意されている。

1つは自動スクロール機能。ポリグロッツを使ったリーディングは「自分のペースで読む」モードと自動スクロールによって読む「ペースメーカで読む」の2つのモードがある。映画の最後に出てくるスタッフロールのような自動スクロール状態で読む利点は、リーディング速度を意識して読めること。リーディング速度は1分間に読む単語数を使って「WPM」(word per minute)という単位で計測することが多いが、ポリグロッツではスクロール速度をWPMを使って調整できる。

日本人の英語学習者には、英語を読むことはできるけどリスニングが苦手という人は多いと思う。その原因の1つはインプットを理解する「吸収速度」が遅いことにある。

例えばテレビのアナウンサーが丁寧に話す速度は140wpm程度だが、早口な英語だと180〜200wpm程度と言われている。ぼくの個人的な感覚だとシリコンバレーの人たちは200wpmがデフォルトだ。一方、日本の平均的大学生だとリーディングで80〜100wpm、TOEICで800点前後の人でも120〜140wpm程度という話もあるから、リスニングで処理漏れが起こって理解できなくなるのは当然だ。ちなみに英語ネイティブのリーディング速度は250〜300wpmと言われている(wpmについては、こここここれこの本を見るといい)。

ポリグロッツは読了時間からwpmを計測して、日々読んだ英語の量やスピードをグラフ化してくれる。また、読んでいる最中に単語をクリックすると辞書が引ける。これは自動的に単語帳に入り、後から復習することもできる。記事を読み終わると、ほかのユーザーが調べた単語とその意味が表示されたりもするので、辞書を引くのが億劫な人にもいい。

冒頭で紹介した音声読み上げ機能は月額480円のプレミアム会員向け機能で、2週間で1記事までは無料。当初音声読み上げに対応するコンテンツパートナーは、TechCrunchとTech in Asiaの2媒体だ。音声付き記事は当初は1日1記事程度となる見込み。

プレミアム会員向け機能としては「オーディナリー・デイ」と呼ぶ、ロールプレイによる日常会話のやり取りによる学習コンテンツも利用できる。「帰りがけにビール買ってきてよ」というようなやり取りを英語でなんというかを選択肢で選ぶと、それについての解説を日本人の英語の先生と、英語ネイティブによる解説が、その場で日本語で見られるというものだ。

このほかポリグロッツには、端末上にある楽曲について、その歌詞と翻訳を表示して再生する機能や、雑誌をスキャンして辞書を引く機能などが搭載されている。以下がポリグロッツの各機能の紹介動画だ。

今さらリーディング? という人は過去の研究をググってみよ

ところで、いまさらリーディングなの? 問題はリスニングとかスピーキングでは? と思う人もいるかもしれない。

ぼくはリーディングを外国語学習の中心に据えるのは正しいと思う。第二言語習得研究では1970年代半ばにスティーブン・クラッシェンという研究者が提出した「インプット仮説」が、その後の研究に多大な影響を与えている。インプット仮説は5つの仮説を含むが、その1つは「第一言語(母語)であるか第二言語であるかを問わず、言語習得というのはインプットの理解を通してのみ起こる」という、ちょっと過激な主張だったりする。英会話学校のようなアウトプットの練習など必要ない、というのだ。必要なのは理解可能なインプットであり、それを通してのみしか人間は言語を獲得しないというのだ。

このインプット仮説には批判もあるようだけど、かつて特定の構文を繰り返してアウトプット練習することで徐々にしゃべれるようになるとしたリピートアフターミー式の「自動化モデル」への反省となり、今は多読やイマージョンプログラムなどインプット側を強調する外国語学習方法が注目されるという流れになっている。なのだけど、日本の英語学習アプリやサービスは全体にアウトプットの練習を強調しすぎていてバランスが悪いように感じている。英語教育の専門家も、英語が話せない真の原因はインプットが圧倒的に不足しているからで、英語学習におけるインプットとアウトプットの割合は「1:4」もしくは「1:9」くらいとし、インプットを多くせよと言っている

ちなみに個人的な話をすると、ぼくは十年以上前にwpmを計測しながら英語を学習したことがある。当初120〜140wpm(TOEIC900点程度)だったものが、ただひたすら毎日読み続け、聞き続けたことで250wpm程度にあがった(ちなみに200wpmくらいのときにTOEICを受けたら満点だった)。東京に暮らし、日本企業に勤めながらでも、目的意識をもったインプットさえ続けていれば語学力というのは上がっていくのだなというのがぼくの実感だ。

もう1つ、文字と音声の両方でインプットすることについても、少し書いておきたい。

アメリカでは13インチ以上のテレビには例外なく英語字幕表示機能(クローズド・キャプション)を搭載すべしとした法律が1990年に成立し、1993年から施行されている(Television Decoder Circuitry Actという)。これはもともと聴覚障害者や文盲でもテレビコンテンツにアクセスできるべきという理念から出たものだったが、実は英語を第二言語として習得中の移民や、英語を学んでいる子どもたちにとっても福音だったと言われている。字幕付き映像が第二言語習得にもたらす影響については結構いろいろと研究がある。例えばオランダの子どもたちがドキュメンタリー番組を見た場合に字幕があると英語の語彙をより多く獲得したという報告がある。よく引用されている論文だと、「Captioned television as comprehensible input: Effects of incidental word learning from context for language minority students」(PDF)というのがある。字幕付きで映像を見たり音声を聞いたりすることで、より偶発的な語彙獲得が起こるというのが研究者の間での一般的な見解のようだ(こうした議論に興味がある人は専門家が書いた一般向け解説書を読むと良いと思う。『外国語学習の科学―第二言語習得論とは何か』(岩波新書、白石恭弘著、2008)あたりがオススメだ)

英語話者向けアプリや、インフィード広告の展開も視野に

photo01さて、ポリグロッツの山口隼也CEOは、海外でのビジネス体験などを通して抱いていた「なぜグローバルにビジネスの世界で活躍している日本人はこんなにも少ないのか?」という疑問に対して、その最大の原因を英語力(の低さ)に求めたことから、これを解決すべく2014年5月にポリグロッツを創業したそうだ。2015年3月末にはEast Venturesやエンジェル投資家からシード投資で2000万円を資金調達。秋ごろに追加の資金調達も予定しているという。

ポリグロッツは「日本語→英語」の学習アプリだが、その逆に英語話者向けの日本語学習アプリを「Mondo」という別アプリとしてもリリースしている。

今後ポリグロッツは専門性の高いコンテンツは、パブリッシャーとのレベニューシェアで展開を予定していて、例えば会計士向けの会話集などを有料モデルで展開していくという。また、外資系企業のPRや記事広告をインフィード広告で展開することも視野に入れているのだそうだ。実は日本市場にも参入している海外企業のマーケティングやPRの英語ブログというのは大量にあって、これを学習コンテンツ化するというアイデアも考えているそう。

最後に繰り返しになるが、英語でもTechCrunchを読んでみたい、あるいは両方読んでいるという人は、ぜひポリグロッツを試してみてほしい。

Apple Music、日本時間7月1日午前0時よりスタート― iOS 8.4インストールが必要

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Apple Musicは明日スタートする。Apple Musicのシニア・ディレクターでBeatsの元CEO、Ian Rogersが太平洋時間6月30日午前8時〔日本時間7月1日午前0時〕のローンチをブログ記事で公式に確認した。 Rogersの記事およびFacebookイベントによれば、その時点でiOS 8.4が一般公開される。Apple Musicへの参加はiOS 8.4へのアップデートが条件となる。

iOS 8.4へのアップデートはごく簡単なものになるようだ。新OSの普及はApple史上でも新記録となるスピードとなるだろう。今回のアップデートではiOS 8が発表された当時のような空き容量不足による混乱などは起きないはずだ。

Rogersはサービス開始の日時に確信を持っているようだが、これまでもiOSのアップデートでは多数のユーザーが一時に殺到したためサーバーがダウンするなどの遅延を経験している。しかし最近では以前よりメジャー・アップデートもスムーズに実施されるようになった。Appleがクラウド・インフラに巨額の投資を行ってきた成果なおだろう。しかしOTAのOSアップデートによるストリーミング・サービスの提供という困難条件を考えるとApple Musicのスタートには一部で多少の遅れが出る可能性はある。

Apple Musicは3ヶ月の無料トライアル(この期間のアーティストへの支払を巡ってテイラー・スウィフトからの批判に譲歩した)経緯がある。著名アーティストがホストを務めるストリーミング・ラジオのBeats 1も提供される。

〔日本版〕Appleジャパンのサイトでは依然として「MUSIC まもなく登場」とだけ表示されている。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

フランスUberのトップ2人、違法タクシー営業の容疑で逮捕―先週のUber車焼き討ちと関連か

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フランスUberのCEO、Thibaud SimphalとヨーロッパUberのゼネラル・マネージャー、Pierre-Dimitri Gore-Cotyの2人がパリで逮捕された。このニュースを最初に伝えたのはAFP だった。警察は2014年11月からUberを対象に捜査活動を開始しており、去る2015年3月にはフランスUberのオフィスが家宅捜索を受けている。

逮捕された2人の容疑は2つあるとされる。一つは違法なタクシー営業。Uberはアメリカ始め多くの国でこの容疑で捜査されている。 Uberの社名は当初UberCabだったが、正規の免許を受けたタクシー会社からの強い抗議により、 2010年に社名をUberに変更することを余儀なくされた。

第二の容疑は、フランスUberがデジタル情報を隠して捜査を妨害したというものだ。3月に警察が家宅捜索を行ったときに、あるべき情報の一部が発見できなかったらしい。

今回の2人の幹部の逮捕は表向き先週起きたタクシー運転手の暴動と関係があるとはされていない。タクシー運転手はUberの一番安い営業、UberPOPの営業中止を求めて大規模な抗議行動を起こした。運転手は70台の自動車を襲い、一部をひっくり返して焼いた。 しかし二つの事件の間にまったく関係がないと考えるのは無理があるだろう。

ちなみにUberPOPは2014年2月 にフランスでスタートしたが、アメリカでいうUberXに相当するサービスだ(紛らわしいことに、フランスでは、UberXはアメリカのUberと同等のサービス)。UberPOPではタクシー運転手その他の免許なしでドライバーなら誰でも客を乗せて営業できる。

多くのタクシー運転手がこれを不正な競争であるとみなして激しく抗議してきた。UberPOPはブリュッセルオランダ、そしてFranceで営業を禁止された。

数ヶ月前からフランス警察はUberPOPのドライバーを摘発し罰金を課している。しかしその罰金はUberが肩代わりしてきた。最近フランスUberは中小都市にもUberPOPの営業を拡大していた。

このことが先週のUberPOPへの過激な抗議活動のきっかけとなった。ベルナール・カズヌーブ内務相はタクシー運転手組合の代表と会見し、警察にUberPOPの取り締まりの強化を命じた。現在200人の捜査官がUber取り締まりに投入されているという。フランソワ・オランド大統領もUberPOPに用いられた車は没収されるかもしれないと警告した。ただし没収措置が今後実際に広く取られるのかどうかは不明だ。

まだ裁判所の命令が出ていない段階で行政機関ができることには限界がある。先週木曜、 CEOのThibaud SimphalはBFM TVのインタビューに答えて、「裁判所yが営業禁止の命令を出すまではUberPOPのサービスを続ける」と述べた。現在でもアプリを開くと車両が見つかる。

アップデート:われわれの取材に対してUberは2人の逮捕を確認し、捜査に全面的に協力している旨コメントした。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

おこづかいアプリに中華ブースト、アプリストアのランキングはどこまで信頼できるのか

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「App Storeにランキングがある以上、事業者はその上位を目指す。そしてそのためにはアプリの面白さも大事だが、広告にだってお金をかける。これはi-modeの時代から何も変わっていない」——あるネット広告代理店関係者はそう語る。リワード広告によるブーストみたいなものは「昔からよくある話」なのだと。

アプリストアにあるランキングは、ダウンロード数をはじめとした指標に基づいて作成されている。そのランキングの上位に入るのは、面白くて話題になっているアプリばかりとは限らない。アプリ開発者が広告で露出を増やし、ダウンロードを促したアプリだったりもするわけだ。もちろん広告で知ったアプリが面白くて話題になるというのもよくある話だ。

だがそんな広告手法の中でも、リワード広告を使った「ブースト」と呼ばれる行為について、その是非が問われている。アプリを開発するスタートアップや広告を提供する代理店ならもちろんのこと、アプリストアを利用するユーザーもその実態は知っておいたほうがいいだろう。なぜなら人気だと思ってダウンロードしたアプリは、極端に言えばランキングを「買って」いるかも知れないからだ。そんなアプリストアを取り巻く環境について紹介していこう。

アプリランキングに影響を及ぼす「ブースト」

まずはリワード、ブーストといった言葉について説明する。リワード広告とはユーザーが広告を通じてサービスの会員になったり商品を購入したりすると、その広告収入の一部が還元される広告のこと。この広告の仕組み自体は何も新しいモノではない。「会員になれば○○ポイント」なんて案件が並ぶポイントサイトなどは、読者のみんなもこれまでに見たことがあるのではないだろうか。

そしてブーストというのは、このリワード広告の仕組みを使って、アプリストアのランキングを意図的に急上昇させる行為のを指す。一番多いケースは「おこづかいアプリ」や「懸賞アプリ」(ここからはおこづかいアプリで統一する)と呼ばれるアプリを使って、短時間に特定アプリのダウンロード数を増やすことでアプリのランキングを操作するわけだが、これがアプリストアのランキングに与える影響は決して小さいモノではない。

僕は2013年に、「App Storeランキング騒動の実態–「懸賞アプリ」に対する業界の懸念」という記事で当時のブーストの状況について伝えた。それから2年ほどたった今、過激化するブーストの実態について指摘する報道エントリーが増えている。これらの影響もあってか、昨日今日というタイミングでもアプリストア上からおこづかいアプリが削除されている状態だ。

「おこづかいアプリ」によるブーストはいまだ健在

おこづかいアプリを使ったブーストの方法を詳しく説明すると次の通りだ。ユーザーがおこづかいアプリ上で紹介されるアプリをダウンロードしたり、そのアプリについてアプリストア上でレビューをしたりすると、その引き替えとしてポイントを得られる。ユーザーはこのポイントを貯めることで、Amazonギフト券などを得ることができる。

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おこづかいアプリに並ぶリワード広告

そんなおこづかいアプリ上で「ダウンロードすると○○ポイント提供」なんて紹介されているアプリの枠、それこそがリワード広告なのだ。広告主が広告代理店の提供するリワード広告ネットワークに出稿すると、そのネットワークを利用するおこづかいアプリにその広告が掲載されるのだ。

ポイントを得たいユーザーは当然おこづかいアプリの広告を経由してアプリをダウンロードするので、そのタイミングでダウンロードが集中し、結果としてそのアプリのランキングが上昇することになる。

おこづかいアプリへの広告掲載時間は、実は夕方17〜19時前後に集中している。その理由は何なのか? App Storeでは3時間ごとにランキングが更新されているが、その中でも最もダウンロードが活発になる“ゴールデンタイム”が19時以降だからだ。

Appleはランキングのロジックを公開していないし、ロジック自体も日々変化していると聞くが、「直近数時間で大幅にダウンロード数が増加することがランキング上昇に繋がる」というのはアプリ業界関係者の一致した意見。これを見越して17時にブーストが始まるのだ。

ランキング操作を意図するアプリは「規約違反」

ではこのブースト、つまるところ何が問題なのだろうか。

ユーザー目線で言えばまず、アプリストアのランキングが信用できないものになるということだろう。当たり前だが、アプリストアのランキングは本来「人気のアプリ」が並ぶべき場所だ。そこにCPI(Cost Per Install:1インストールごとの課金)100円程度のいわば“実弾”広告を使ったアプリが入るのだ。ランキングの信頼感は低下しかねないし、極論を言えばアプリビジネスの市場自体にも影響があるという声も聞こえる。

また、ダウンロード数を水増しできるのが問題だと指摘する人もいる。最近ではどんなアプリでも、ダウンロード数よりもアクティブユーザー数が重視される風潮がある。実際取材でもMAUやDAUといった数字を聞くことが多い。だが一方でテレビCMを見れば、「何百万ダウンロード突破」なんてうたっているアプリはまだまだ多い。アクティブユーザーなんかよりもダウンロード数は何より分かりやすい数字だ。ブーストでは、このダウンロード数も急激に増やすことができてしまう。

関係者へのヒアリングや僕が実際におこづかいアプリを見て調査したところ、ゲームアプリを除いては、SNSの「Twitter」、ニュースアプリの「Gunosy」、月額定額制の音楽アプリ「AWA」、ECの「Amazon」などなど、TechCrunchの読者になじみの深いアプリもブーストを行っている、もしくは過去にブーストを行っていたことが分かる。ここで名前を挙げたサービスはあくまで直近に確認できたものの一部で、全体の数は正直把握しきれない。テレビCMなどで「何百万ダウンロード突破」なんてうたっているアプリも少なくないのだ。

また、プラットフォーマーの規約を見れば、そもそもブースト事態が違反行為ではないのかという話もある。Appleの開発者向けの規約には次のような項目がある(もちろんGoogle Playにも同様の規約がある)。

2.25 Apps that display Apps other than your own for purchase or promotion in a manner similar to or confusing with the App Store will be rejected
(App Storeと類似、もしくは紛らわしい表示をして、他のアプリの購入やプロモーションするアプリをリジェクトする)

3.10 Developers who attempt to manipulate or cheat the user reviews or chart ranking in the App Store with fake or paid reviews, or any other inappropriate methods will be removed from the iOS Developer Program
(偽物のレビューや金銭を支払って書いたレビュー、その他不適切な方法でApp Storeのユーザーレビューやランキングを不正に操作しようと試みる開発者はデベロッパープログラムから削除する)

ブーストが「ランキングを操作しようと意図しているもの」だと考えれば、それは明確な規約違反だ。ただし、リワード広告に関わる代理店やお小遣いアプリ開発の関係者としては、「あくまでダウンロード支援の施策であり、ランキングが変動するのはその結果でしかない」という説明をすることが少なくない。言い分としては分かるのだけれど、実際におこづかいアプリがストアから消えつつある今、はたしてその言葉をそのまま受けられるかというと、正直難しい。

Apple Japanは回答せず、一方で米Appleは「不正」と認識

ではアプリストアを提供するプラットフォーマーはブーストの実情をどう考えているのか? 実は先週Apple Japanの広報部に電話で問い合わせたところ、「メールで質問を送るように」と指示されたため、メールで質問を送付している。しかし1週間近く経っても回答がないままだ。僕が確認した限りでは、別の媒体の記者なども同様の状況らしい。

回答のないApple Japanに対して「プラットフォーマーとしておごりがあるのではないか」と考えるべきか、はたまた「米国本社との関係上、日本法人では回答できない歯がゆい状況にあるのではないか」と考えるべきかはさておき、僕はちょっと面白いメールを入手することになった。以下にあるのは、あるアプリ開発者が、米Appleのアプリレビューチームに対して、「あるアプリがブーストを行ってランキングを不正に操作している疑いがある」と指摘した際の回答メールだ。

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概要を訳すと次のとおり。

We take ratings fraud very seriously and investigate each claim. Someone from this team will investigate and follow up as needed. Because we can only share communications about an app with its developer, you will not receive updates about this matter.
(レーティングの不正を非常に深刻にとらえており、調査を行う。ただし我々は開発者とのみアプリに関するコミュニケーションをしているので、今後あなたには更新情報をお知らせしない)

あくまで個別のアプリに対する説明ではあるが、アップルでもブーストについて状況を理解しており、不正だととらえているのだというわけだ。実際これまでもアップルは「広告を閲覧することでアイテムをもらえる」なんて広告も規約で禁止するなどしてきた。プラットフォーマーとその上でサービスを展開する事業者の狙いは異なる。自分たちの管理下で健全にサービスを運営したいプラットフォーマーと、その裏をかいて少しでも自分たちの価値を高めたい事業者たち。その行動は結局いたちごっこになってしまう。

アプリ開発者「ブーストは“危ないモノ”ではない」

これまではユーザーやプラットフォーマーの視点での話をしてきた。では実際にブーストを行うアプリ開発者やリワード広告を取り扱う代理店、お小遣いアプリの開発者はどう考えているのだろうか。

リワード広告を買う側である、あるアプリの開発者はこう語る。「サイバーエージェントやアドウェイズといった上場企業が広告商品として推奨、販売してくる以上は“危ないモノ”ではないと思っている」「結局のところその善悪を判断するのはプラットフォーマー。彼らの横暴さも知っている」「広告を売っている代理店の思いはいろいろあるのだろうが、買っている我々はあくまで提案された商品を買っているだけ。その存在を問うこともない」——結局のところ、ブーストはマーケティングのツールの1つだし、当たり前のように提案される商品だ。そこまで問題視することはなかったという。

前述の開発者が語るとおりで、リワード広告のネットワークを提供しているのはサイバーエージェント傘下のCAリワードやアドウェイズ、VOYAGE GROUP傘下のZucks、ユナイテッドなど上場企業(の子会社含む)も多い。リワード広告によるブーストが完全に禁止となると、その影響範囲は決して小さくないのは分かる。そんな背景もあってか、あるアプリ会社の代表は「リワード広告自体は数えきれないほど多くのアプリが使っている。これをとやかく言うことは、拡大するアプリ産業にマイナスの影響を与えかねない」と語っていた。

リワード広告のネットワークを展開する広告代理店などに話を聞くと、前述のとおり「規約的にはグレーだが、問題はない」という回答が大半だった。冒頭の代理店関係者の発言にもある話なのだが、i-mode全盛期の時代にだってランキングを操作するような広告手法は存在していたと聞く。当時、公式サイト(キャリア、つまりここではNTTドコモが認めたサイトのこと。i-mode公式メニューからアクセスできる)のランキングはMAUをベースにしていたため、勝手サイト(キャリア非公認のサイト。ブラウザで直接URLを叩いてアクセスする必要があった)に公式サイトの隠しタグを仕込み、MAUを水増ししていたなんてこともあったそうだ。

代理店サイドの回答とは異なり、お小遣いアプリ開発者は、前述の規約によってアプリがリジェクトされたり、開発者プログラムからアカウントが削除されたりする可能性があることは認識していたようだ。自社のアカウントでお小遣いアプリを提供している会社などは誠実なほうで、事実上休眠している法人や開発者個人の名義で開発者登録をし、実質的な運営者を隠しているケースも少なくない。ひどい話では、アップル側から再三の警告があったにもかかわらずにそれを無視し、「稼げるうちに稼げ」という姿勢で小遣いアプリを提供して、最後にはアカウントを削除された事業者もいたという。

「中華ブースト」で制裁を受けたスタートアップ

ところで代理店の話を聞いていく中で「中華ブースト」という聞き慣れない言葉を聞くことになった。これは今まで語られてきたブーストとは全く異なるものだ。一体どういうモノなのか。

これまで紹介してきたブーストは、実際にユーザー1人1人が端末にアプリをダウンロードすることで、短時間でアプリの大量ダウンロードを促すというものだった。一方の中華ブーストというのは、中国で日本のApple IDを割り振ったiPhoneを複数台用意し、機械的にアプリの大量ダウンロードを行うのだという。そんなものが本当にあるのだろうか。

ある代理店関係者が「過去の話」として語った仕組みはこうだ。数年前の中国では、複数台のiPhoneをPCと接続し、機械的にIPアドレスを変更して、当該アプリを何度もダウンロードするという手法があったのだそう。こういったことを行う事業者はネットワーク化され、アプリストアのランキングを大きく動かすことができたという。「中国では『CPI○○円』というような売り方でなく、『1週間ランキング1位キープで○○円』といった大胆な価格設定が行われていた。つまりそれを実現できるような(ブーストの)仕組みがあった」(関係者)のだそうだ。

だがさすがにこれはAppleの知るところとなり、対策がなされた。しかし手を変え品を変え、安価なリソースと機械的な仕組みを組み合わせたブースト手法が編み出されているという。

この中華ブーストの仕組みを日本に持ち込んで販売する広告代理店が存在する。実はこのブースト、金額面でも安価に効果があると一部では話題なのだそう。通常国内でゲームアプリなどをブーストする場合、CPIは80〜100円程度が一般的。だがこの代理店の提供する中華ブーストは、CPI50円程度と通常の約半額で実施できるのだという(これとは別に国内でもCPI十数円の非ゲーム専門ブーストがあるようだ。ここでは割愛する)。

だがこの代理店の仕組みが、機械的なものであれば「規約上グレー」なんてレベルの話ではない。僕は複数人から名前の挙がったその代理店に問い合わせたが、金額については「実際に国内の一般的な価格の半額程度」と回答を得たものの、その手法については聞くことができなかった。

しかしこの中華ブースト、プラットフォーマーからすればたまったもんじゃないし、危険な手法だ。実際、数カ月前にさかのぼるが、このサービスを利用したスタートアップにある事件が起きている。

前述の代理店経由でブーストを行っていたあるスタートアップのアプリが、ある日突然App Storeのランキングから除外されたのだ。アプリ名を直接検索すればそのアプリは出てくるのに、ランキングには一切表示されないのである。アプリ解析サービスに「App Annie」でもそのランキングを探ってみたが、数カ月の間、ランキングの数字自体がつかない状態になっていた。

その原因は何か? この事件を知っていた関係者は一様に「中華ブーストだ」と答える。その手法に気付いたアップルが制裁を行っていたのだと。そのスタートアップの“中の人”も「プラットフォーマーとの関係を考えて利用をやめた。(ブーストは)もう懲りている」として利用を認めた。代理店側はその因果関係については明言せず、「プラットフォームの上でのビジネスなので、(ブーストには)ある程度のリスクはある」とだけ語った。同社への今も問い合わせは、今も増えているのだそうだ。

「規約上グレー」な手法がアプリビジネスの価値を生み続けるのか

取材を通して分かったのは、アプリ開発者や代理店からすれば、規約を唐突に変更するプラットフォーマーだって褒められたモノではないということだ。こんな状況にコメント1つ出さないAppleの対応にも疑問が残る。だがそういったプラットフォーマーの行動の裏には、正攻法から中華ブーストのような危険な手法までを駆使して、ランキングの上位を取ろうとするプレーヤーの活動があるのも事実。プラットフォームでビジネスをする以上、守らなくてはならないルールはある。でもそういった両者の関係について、それこそ普段ランキングを見て、アプリをダウンロードしている読者にも知って欲しいと思っっている。

ただブーストを肯定する人たちにはちょっと考えて欲しい。「規約上グレーだ」なんて言っていたが、今プラットフォーマーが規制を強めている商品を売り続けることが本当にアプリビジネスの価値を生み続けるのだろうか?

今回話を聞いた代理店関係者のうち数人は、「本音を言えば、リワードによるブーストはそう長く続くビジネスではない」といったことを語っていた。ある人物は「PCとアプリを連動させるターゲティング広告を企画している代理店もいる。リワード広告の『次』をすでに探している会社も少なくない」なんて具体的な話もしていた。アプリ広告のビジネスにはまだまだ先があるんじゃないだろうか。

リワードにブースト、これが今日明日ですべてなくなるなんて思わないが、そろそろ別の方向に目を向けたほうがいい時期が来ているんじゃないだろうか。App Storeで「このアプリはなんでこんなに急に上位表示されるのか?」なんてランキングを疑ってかかるのはそろそろやめにしたい。

photo by
Blake Patterson

LINEが人気飲食店のネット予約サービスをひっそり開始、しかも人力で

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LINEが一部地域で、ひっそりと飲食店のネット予約サービス「LINE グルメ予約」を開始した。

「デート」や「宴会」などのシーンから最大4店舗を選び、氏名や電話番号、来店日時、人数を入力すると、オペレーターが電話予約をしてくれる。飲食店のエリアやジャンル、予算などの詳細条件も設定できる。いわば人力の予約代行サービスだ。予約完了後はLINEで通知が届き、予約の依頼から完了まで最短10分で完結するという。

人気飲食店だけを厳選

人気飲食店の予約に特化していることも、大きな特徴だ。サービスの提供にあたっては実名型グルメサービス「Retty」と提携し、人気店舗を中心に9都道府県8500店舗を厳選。Rettyの画像や口コミといった店舗情報を掲載している。

ざっと見た限りだと、食べログの評価3.5点以上の店舗が多いような印象だ。逆に言うと、大手予約サービスが対応しているチェーン店は掲載していない。掲載店舗については、すべて許諾を取得している。

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利用するには外部のアプリインストール不要で、LINEアプリから「その他>LINE App>LINE グルメ予約」を選択する。現在は試験的な「ソフトローンチ」という位置づけで、LINE公式アカウントを登録して整理番号を取得した順番に、利用開始の通知が届く。今後は段階的に利用できるユーザーを増やしていく予定だ。

LINEの飲食店予約サービスは初めてではない。2014年11月には渋谷限定で、空席情報をLINEのトーク上からリアルタイム検索できる「LINEいますぐ予約」を開始。予約希望人数をトーク上から送信すると、当日の空席店舗情報がわかるサービスだ。LINE グルメ予約は、事前の予約を受け付けている点が異なる。

あえて人力予約を採用した理由

国内の飲食店ネット予約サービスにはホットペッパーグルメやぐるなび、食べログなどのプレイヤーが参入しているが、対応店舗は大手チェーン店が中心。今年4月には飲食店向け予約台帳サービスのトレタとヤフーが機能連携し、「俺のフレンチ」をはじめとする人気店のネット予約を開始したが、電話予約しか受け付けない人気店は多い。予約システム導入の負担が大きいためだ。

店舗の負担となっているのは、オペレーション変更に伴う教育コスト、複数の予約サービスを使うことでのオーバーブッキング、キャンセルのリスクなどがあり、集客に困っていない人気店がわざわざネット予約を導入しないのもうなずける。LINEは店舗の負担をなくすために、まずは、あえてスケールが見込めない電話での予約代行という方法を採用した。

前述のとおり、LINE グルメ予約はユーザーに代わってオペレーターが電話予約を代行してくれるサービスだ。店舗側はネット予約のシステムが不要で、オーバーブッキングも回避できる。個人と紐付いたLINEを通した予約となるため、キャンセルの抑止力も働く。悪質なキャンセルを繰り返すユーザーに対してLINEは、LINE グルメ予約の利用を停止させる措置も検討しているという。

ずっと人力の予約代行を続ける?

それでは予約代行サービスをずっと続けるのかというと、そうではない。今後は、飲食店がコミュニケーションツール「LINE@」を通じて予約を受け付けたり、顧客を管理できる機能を提供する。LINEとしては、LINE@の有料アカウント(月額5400円〜)を増やす狙いがある。

もともとネット予約を受け付けていなかった店舗に、どうやってLINE@を普及させるのか。LINE グルメ予約を担当するLINEの杉本謙一氏は、「人気店でも、曜日や時間帯によっては集客のニーズはまだある」と勝算を語る。「LINE経由の予約でキャンセル抑止につながったり、予約のやりとりを簡素化できることもアピールしたい」。

Uberが宅配ビジネスで成功する理由

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地理的飽和度は相乗りビジネスのネットワーク効果と利益性の鍵を握る。

ある地域のUberやLyftのドライバーが多ければ多いほど、配車時間は速まり、顧客体験は良くなり、乗車需要が高まる ― その結果ドライバーの収入は増え、多くのドライバーがネットワークに参加する。

昨年David Sacksが描いたUberのポジティブ・フィードバック・サイクルがまししくそれを表している。

もしSacksが正しければ、地理的飽和度の最も高い相乗り事業者が、最低価格と最高の乗車体験を提供することになり、その戦略は明白だ:できる限り多くの資金を調達して需要と供給の両方を助成し、ある意味で「勝者独占」状態を作ることだ。

しかし、果たしてUberのネットワーク効果は無限に拡大するのか、それともある時点で限界効用逓減が始まるのか? Lyftは、Uberのわずか数分の一のスケールで、配車待ち時間とドライバーの遊休時間で対抗できるのか?

仮に、ある地域でUberの地理的飽和度が、Lyftの10倍いや100倍のドライバーを持つまで拡大したとしよう(ドライバーは両方のサービスで同時に働くことが可能なので、現実にはまずあり得ない)。しかし、もしLyftが規模の違い敗れたとしても、Lyftがのドライバーが毎回3分以内に迎えにくるところまで、相乗り市場が拡大することは想像できる。

待ち時間が1分と3分で何が違うだろうか? 殆ど変わらない。

もしLyftがその目標を達成すれば、彼らはUberの密集度優位性を打ち消し、それによって財政的に優位性にも対抗できる。その段階で、Lyftは安定して市場シェアを獲得できることが予想される。なぜなら2社の本質的価値提案の差は小さいからだ。

そうした路線密度による限界効用の逓減は、Uberの戦略にとって何を意味するのだろうか?彼らの前例のない路線密度が価値を生む、そんな価値ある市場は他にないのだろうか?

圧倒的な路線密度によって、小荷物宅配ビジネスへの新規参入はほぼ不可能となっている。

ある。同じスケール経済は、運送ビジネスの最終配達部分に適用できる。そこではFedEx、UPS、USPSらが圧倒的地理的飽和度を達成している。これらの会社は、全米のほぼ全ブロックに毎日ドライバーを走らせているので、1つ余分に荷物を配達するための限界費用は1.50ドルまで下がっている。そしてもし2つの荷物が同じ家に届けられれば、2つ目の配送コストはほぼゼロになる。

この圧倒的な路線密度によって、小荷物宅配ビジネスへの新規参入はほぼ不可能となっている。DHLは世界運送ネットワークのトップ3に入っていながら、国内市場への参入には失敗し、2008年後半に撤退している。

しかしUberには、こうした巨大既存事業者をも上回る優位性がある。大企業運送業者は、各ブロックに毎日ドライバーを配置できるかもしれないが、Uberは各ブロックに〈毎分〉ドライバーがいる。

FedEx、UPS共に時間指定集荷を行っているが、Uberは(恐らくいつかLyftも)オンデマンド配達のための即時集荷に必要な密度を有している。これは、全く新しい世代のリアルタイムEコマース体験を可能にするゲームチェンジャーだ。

すでにUber Poolのユーザーは、低料金と引き換えに赤の他人と相乗りするころを受け入れている。もちろん顧客がトランクに荷物を入れるためにドライバーが停車することにも同じ取引きをするだろう。そしてもしドライバーが荷物を配達するために車を止めても、客は現在のUber Pool体験とさほど違いを感じないだろう。

Postmates等の宅配サービスと異なり、集荷した同じドライバーが配達する必要はない。単にトランクに荷物を積んでいき、一日の終りに集荷センターで荷下ろしするだけでよい。

すでにUberは、単なる相乗りサービスではなく、リアルタイム運送ネットワークへの道を歩み始めている。彼らは香港でUber Cargoを、ニューヨーク市でUber Rushをスタートさせた。現時点でこれらのサービスは、それぞれ運送トラックと自転車メッセンジーからなる別々のネットワークだ。しかし、Uberが相乗りサービスドライバーの密なネットワークを活用した運送ソリューションを提供するのは時間の問題だろう。

これが重要である理由の一次分析は明白だ:物流は世界GDPの12%を占めており、運送ビジネスはUberに膨大な収入源をもたらす。二次分析はおそらくもっと興味深い:荷物と人間が互いに助成し合うことによって、それぞれ単独よりも両サービスともに安くなる。

小荷物宅配サービスはUberにとってライバルLyftに対する強力な武器になる。かつてUberが突然、キャッチフレーズを「みんなのお抱え運転手」から「ライフスタイルが物流と出会う場所」に変えたことが、一層意味を持ってくる。この変更をはるか遡る2013年に実施していたことは、Uberが業界で最も先見性のある経営チームを持っていることを示している。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookがテスト中のSnapchat風フォトアップローダーは、テキスト貼り付け等が可能

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現実を見よ!あなたの写真は大して面白くない。しかしFacebookは、ピカピカの新写真アップローダーで写真を華かにするのを手伝ってくれようとしている。iOSでテストを始めたばかりだ。このアプリを使うと、簡単に写真に好きな色のテキストを重ね合わせたり、フィルターをプレビューしたり、Facebookのスタンプを貼り付けたりできる。Facebookは以前もっと標準的なフィルターを提供し、写真用スタンプのテストも行ったが、今度は拡張トレイに新たなテキストオプションが加えられている。

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Add overlaid text to Facebook photos with the new uploader

もし、写真のテキスト追加や、スワイプで切り換えるフィルターや、サイズ変更可能な絵文字について聞いたことがあると思うなら、それはSnapchatの機能そのものだからだ。FacebookはSnapchatの買収に失敗して以来、その成長につぐ成長を目の当たりにしてきた。Snapchatを丸ごと真似しようとしたPokeSlingshotは惨めに失敗した。一方、日本のメッセージングアプリ、LINEはスタンプのおかげで急成長を果たした。つまりFacebookは、良い物の全部載せをしようとしているだけだ。

われわれはFacebookに、この新インターフェースが何人のユーザーに使われていて、今後どのように展開されるのかコメントを求めているところだ。Android版Facebookアプリにはテキストとスタンプのオーバーレイがあるが、フィルターはオートエンハンス以上のものはない。

新しいiOS版Facebookアップローダーでは、選択した写真をスワイプして、「自動」色調整、セピアの「ビンテージ」、明るい「春」、金色の「夏」、オレンジの「秋」、落ち着いた「冬」、モノクロの「雪」の等のフィルターを切り換えられる。スワイプはいい具合で、隣同志のフィルターを比べるのに便利だが、離れたフィルターと比べるのは少し難しい。

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Facebookの新フィルターインターフェースでは、写真を指でドラッグして別のフィルターを試せる。これは私が落ち着いた「冬」フィルターからモノクロの「雪」フィルターにスワイプしているところ。

画面左下のマジックワンドボタンを押すと、フィルター、タグ、テキスト、トリミング、スタンプのタブからなる拡張トレイが表示される。ユーザーは、Instagram風のフィルター、タグ付け、切り抜きの機能一覧をタップして選ぶ。

Facebook Photo Stickers

テキストボタンは、FacebookのSlingshotからインターフェースを借りている。テキストをタイプして、ピンチとドラッグでサイズ変更・移動を行い。カラースライダーで色を選ぶ。しかし、面倒なことにテキストを入力して色を選ぶ間、写真は背景にボカされて表示され、Snapchatのようにリアルタイムには変更が反映されない。

これを盗作と呼ぶこともできるが、Facebookにおける利便提供の哲学は基本的に、「あなたにとって良いことは、わが14億ユーザーにとってはもっと良い」である。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソーシャルネットワークからマーケットネットワークへ

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編集部記James Currierは、Crunch Networkのコントリビューターである。James Currierは、アーリーステージのファンドでマーケットプレイスやネットワークビジネスのための3ヶ月プログラムを運営を行うNFX Guildの共同ファウンダーでパートナーである。

先月、HoneyBookという35名のサンフランシスコの会社がシリーズB*で2200万ドルを調達したことに多くの人は気が付いていない。

この投資案件の少し変わった所は、シリコンバレーの著名なベンチャーキャピタルのほとんどが投資を競っていたことだ。何故なら、HoneyBookはFacebookのようなネットワーク要素とAirbnbのようなマーケット要素の良い部分を併せ持ったデジタル企業における重要な新カテゴリーを体現するような企業だからだ。彼らのような企業をマーケットネットワークと呼んでいる。

マーケットネットワークは、これから新しいタイプの ユニコーン企業を輩出し、何千万人のプロの職業人の働き方と生計を立てる方法に多大な影響を与えるだろう。

マーケットネットワークとは?

「マーケットプレイス」は、不特定多数の購入者が不特定多数の販売者と取引する場を提供している。例えば、eBayEtsy、 UberLendingClubのような企業だ。

「ネットワーク」は、プロフィールに個人の情報を掲載し、ネットワーク内の人との360度、全方向のコミュニケーションを可能とする。例えば、FacebookTwitterLinkedInだ。

マーケットネットワークの特徴は以下のようにまとめられる。

  • ネットワークとマーケットプレイスの両方の主要な要素を併せ持っている
  • SaaSのワークフローソフトウェアを活用し、短期の取引だけではなく、長期のプロジェクトでのやりとりに焦点を当てて設計されている
  • それぞれのサービス提供者を差別化して打ち出し、彼らが他のユーザーと長期の関係を作るのを促進する

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例えがあると分かりやすいだろう。HoneyBookを見てみよう。HoneyBookはイベント業界のマーケットネットワークだ。

イベントプランナーは、HoneyBook.comでプロフィールを作成する。プロにとってこのプロフィールは、ウェブ上の窓口となる。HoneyBookのSaaSワークフローから自分のブランド名の元、クライアントに見積もり提案を送付し、契約もデジタルで交わされる。

他に一緒に働く職業人、例えば花屋や写真家といったプロをそのプロジェクトにつなぐことができる。彼らもHoneyBookのプロフィールを持ち、クライアントにサービスを提供するためにチームを組む。互いに見積もり提案を出し、契約書を交わし、支払いを受け取る。

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この多数対多数の取引パターンがポイントだ。HoneyBookは、一方通行でないN数の取引関係のあるマーケットプレイスということだ。取引は、ネットワーク上の360度の全方向で行われる。そのためHoneyBookは、マーケットプレイスとネットワークの両方を併せ持っているのだ。

マーケットネットワークは、通常オフラインのプロのネットワークを活用して始まることが多い。彼らは何年もの間、ファックス、小切手、翌日配達や電話を駆使して互いにやりとりをしていた。

これらのコネクションと取引をソフトウェアに組み込むことで、マーケットネットワークにおけるプロのビジネス運営とクライアントへのサービス提供が格段に簡単になる。

以前にも登場したマーケットネットワーク

AngelListもマーケットネットワークだ*。彼らが最初かどうかは分からないが、Naval RavikantとBabak Niviがこのモデルを2010年に先駆けて行ったことは称賛に値する。

AngleListのパターンも似ている。スタートアップのCEOは、AngelListのSaaSワークフローから資金調達のための書類作成、ネットワーク上の人と株取引、従業員の採用、カスタマーの発掘といったことを360度の全方向で行うことができる。

Joistも良い例だ。トロントに拠点を置く彼らは、住宅の改装や建築業界でマーケットネットワークを展開している。 Houzzもこの分野にいるが、広いリーチがあり、異なるアプローチを採用している*。シンシナティに拠点を置くDotLoopは、住宅の不動産仲介事業で同様のことを行っている。

AngelList、Joist、Houzz、DotLoop、HoneyBookを見ることで、マーケットネットワークのパターンが明確になるだろう。

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成功するマーケットネットワークの6つの要素

マーケットネットワークは、より複雑なサービスを対象とする
テクノロジー業界は過去6年間、サービスの簡単な受発注のための素早い決済が可能なオンデマンド労働マーケットプレイスに執着してきた。Uber、Mechanical Turk、Thumbtack、Luxeやその他多くの企業は、品質が客観的に判断できるようなシンプルなサービスの受発注を効率化することを追求してきた。彼らの成功は、マーケットプレイスの双方のユーザーをコモディティ化することでもたらされた。

しかし、例えばイベント企画や住宅の改装といった最高品質が要求されるサービスは、シンプルでも、品質を客観的に判断できるものでもない。また、長期間に渡ってそのプロジェクトに関わることが要求される。マーケットネットワークはそのようなサービスのために設計された。

人が肝心だ
複雑なサービスでは、クライアントが求めるものはそれぞれ異なり、どのプロに依頼するかも重要な要素だ。自分の結婚式のプランを誰にでも任せることができるだろうか?自宅の改装の場合はどうだろうか?取引におけるどちらの側も、LyftやUberのように代替が効くものではない。どの人も、そのサービスおける意見、専門性と関わり方が異なる。マーケットネットワークは、それを重要な理念として認識した上でソリューションを提供するために設計されている。

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プロジェクトを中心にコラボレーションが起きる
多くの複雑なサービスはある程度の期間をかけて、複数のプロが互いに協力し、またクライアントも関わることで進められる。SaaSがマーケットネットワークの中心となり、完成までに数日、あるいは数年かかるプロジェクトでのやりとりに焦点が当てられている。

マーケットネットワークは長期に渡る関係性を構築するために役立つ
マーケットネットワークによりキャリアを通して、プロが他のプロとのオンラインでのつながりを構築し、活用することができるようになる。これまでもLinkedInやFacebookといったソーシャルネットワークは、長期の関係を作るのに役立ってきた。ただ、マーケットネットワークの登場まで、コマースや決済に利用されることはなかった。

紹介が自由自在にできる
これらの業界では、クライアントとサービス提供を行うプロの両者にとって紹介はビジネスで重要なものだ。マーケットネットワークのソフトウェアは互いへの紹介を簡単に、そして頻繁に行われるようデザインされている。

マーケットネットワークは取引の速さと満足度の向上につながる
クライアントとプロのネットワークをソフトウェアに載せることで、マーケットネットワークは関連するそれぞれの取引を加速する。提案の締結率を向上させ、支払いを早めるのだ。ソフトウェアはカスタマーの満足度を高め、コミュニケーションの行き違いを減らし、仕事がしやすく美しくなる。仕事のしやすさと美しさを過小評価してはならない。

過去10年はソーシャルネットワークの時代だった。次の10年はマーケットネットワークの時代だ。

最初に電話やメールといったコミュニケーションのネットワークが出来た。次にFacebookやLinkedInのようなソーシャルネットワークが現れた。そして今、HoneyBook、AngelList、Houzz、DotLoop、Joistのようなマーケットネットワークが登場している。

マーケットネットワークがそれぞれのプロの代替が効かない業界に適応することが想像できるだろう。例えば、法律関係、旅行、不動産、メディア製作、建築、投資銀行、パーソナルファイナンス、建設、マネジメントコンサルティングなどだ。どのマーケットネットワークも、それぞれの業界で上手く機能するために異なる要素が組み込まれるだろうが、基本的な構造は似てくるだろう。

時間はかかるが、全ての独立したプロは、それぞれの業界のマーケットネットワークを通じてクライアントとビジネスを行うようになる。それが今まさに始まろうとしている。

マーケットネットワークの台頭で何千万人がより良いサービスを購入できるようになり、何千万人の働き方と生き方に広範でポジティブな影響を与えるだろう。

このビジネスに将来性を見出し、マーケットネットワークを構築する起業家が増えることを期待している。このようなプロダクトを正しく作るのは難しいことでもあるが、その潜在的な見返りは計り知れないものだろう。

*開示情報:私は、HoneyBook、Houzz、AngelListにアドバイスや投資、あるいは両方を行っている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

誰もがP2P職業紹介所になれる

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Instagramは大きい。しかし、UpworkとYouTubeはもっと大きい。Twitterは大きい。しかし、UberとAirbnbはもっと大きい。あなたのスタートアップのアイデアは大きい。しかし、人々に支払うあなたのスタートアップのアイデアはもっと大きい。YouTubeとAirbnb、Uber、Upworkの共通点は何か?使ってお金を稼げることだ。そして何千人もの人々がたった今彼らから収入を得ている。

どんなスタートアップであれ、あなたが今手がけているものを考えてほしい。あなたのユーザーが、あなたの別のユーザーに価値を与るよう仕向けて対価を支払うことは可能だろうか・

それが、数多くのユーザーに有用なサービスを提供して成長するスタートアップと、急速に成長して巨大になり、世界を動かす重要な部分のしくみをたちまち変えるスタートアップとの違いだ。

違いは、人間が人間を直接手助けすること。企業がサービスを提供するという古くから受け入れられてきた規範に取って代わるのが、今この新しいタイプのスタートアップの間で起きてていることだ。

今企業は、信頼されたブランド、分散ネットワーク、〈ここをクリックしてあなた写真をアップロード〉式の簡単なマーケティング・プラットフォーム、あるいは基本的な作法の教育等を提供し、あとはじっと動かず、プラットフォームの提供者たる自分の存在も殆ど忘れて、わずかな分け前を得るだけだ。あなたは自分のために働いている。ヒップホップなLyft野郎になるのもいい。ならなくてもいい。それはあなたの問題だ。

今歴史上初めて、そうした多くの効果的マーケティングプラットフォームに、あなたとあなたの選んだスキルを生かすための準備が整った。もしあなたが、ハウスクリーニングや、犬の散歩や、ウェブ構築をするなら、世界中あるいは地元でそのスキルを必要としている多くの人々と自由に連絡を取ることができる。毎日。

自分でポスターや広告を作ったり、起業家になるために精力的なマーケティングをする必要はない。個人が個人に直接サービスするための道すじやブランドはそこにある。それは共有やオンデマンドの経済ではない。むしろ、〈P2P〉経済と呼ぶべきだろう。

ユーザーがあなたのために何をするかではなく、あなたがユーザーのために何ができるかを考えよ。

では、あなたのスタートアップのユーザーは、あなたの他のユーザーに役立つどんな物を提供する必要があるのか。運転、家探し、エンターテイメント、それともコーディング?それらは既に殆どがブランド化されている。今そういうスキルを提供している人たちは、選択肢を持っている。例えばビジュアル・デザイン、コンピューター・アシスタンス、ビジネスコンサルタント、人の管理、イベントの主催、人を元気づける、リード生成、企業プロモーション、旅行の計画、あるいはスキルの教育。

有名な引用を強引に借りるなら:ユーザーがあなたのために何をするかではなく、あなたがユーザーのために何ができるかを考えよ。そうすれば、あなたが居なくなっても彼らがやってくれる。そして、彼らが起業家でいるために必要な時間のかかる部分を心配することなく、スキルで生計を立てられるようにするために、あなたはどうすればいいのか?精力的に彼らのスキルを宣伝し続けることだ。

人々が自身の状況を改善したいと思うことほど強い力はなく、日々の自然な力と人々の欲求を結び付けること以上に、スタートアップの成長を刺激するものはない。そして、仕事をして対価を得ることは、多くの人々にとって、自分の生活を改善する何よりの方法だ。なぜなら、誰もが給料日の嬉しさを知っているのだから。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヴォラーレがアプリレビューサイト「Appliv」で海外進出——MAU600万人、アプリ版は100万ダウンロード

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ヴォラーレ代表取締役の高橋飛翔氏

ヴォラーレが提供するアプリレビューサイト「Appliv(アプリヴ)」が海外に進出する。同社は6月にフィリピン子会社を設立。今後現地の人材を採用して英語でのアプリレビュー記事を作成していき、9月末をめどにUS版のウェブサイトを立ち上げる予定だ。将来的には他の地域への展開も視野に入れる。

Applivは2012年8月にスタートしたスマートフォンアプリ向けのレビューサイト。アプリを1500のカテゴリーに細分化し、約6万8000件のレビューを掲載している。レビューはヴォラーレのライターが執筆したものに加えて、ユーザーの投稿も掲載。MAU(月間アクティブユーザーは)は600万人。

3月に提供を開始したスマートフォンアプリ版(iOSおよびAndroid)は、合計100万ダウンロードを突破した。アプリ版のダウンロード数は現在月間数十万件ペースで増加しているという。

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iOS版の「Appliv」

ちなみにApplivはウェブ版とアプリ版でサイト構成が異なっており、ウェブ版が同社によるレビューが中心になっているのに対して、アプリ版ではユーザーレビューが中心(一部同社の「公式キュレーター」によるユーザーレビューもあるそうだ)になっている。またアプリ版はレビューが時系列で表示される「タイムライン」を用意している。

この理由についてヴォラーレ代表取締役の高橋飛翔氏は「ウェブとアプリではユーザーの導線設計が違っているから」と説明する。

ウェブ版は検索から流入するユーザーが中心。つまりどんなアプリをダウンロードしたいかというニーズが明確だ。一方でアプリの場合はニーズが抽象的。なんとなく(レビューを)見に行くので、「『友達のおすすめ感覚』でアプリを紹介している」(高橋氏)のだという。

Applivは広告モデルでサービスを展開しており、2013年からは「Appliv Ad」と呼ぶインフィード型のネイティブアドを展開している。アプリストアへの送客で課金を行う成功報酬型の広告となっている。

ミレニアル世代という想像の産物

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「ミレニアル世代」に固執する現象は興味深いものだ。歴史上最も話題に登っている世代にも関わらず、多くの人、それも重要で影響力のある人でさえ、私たちの世代のことを理解できないと言う。ミレニアル世代の行動はつじつまが合わないと考え、私たちの親世代の考え方やキャリアパスが理にかなう完璧なものだと考えているようだ。

ミレニアル世代との関わり方を企業に教える専門のコンサルティング企業さえある。(Googleさえ、一括りにしてしまうのはやめて欲しい。)このようなビジネスを私も立ち上げ、情熱を傾ける仕事として自分自身のことを話せれば楽しいことだと思う。そして、情熱を注ぐことのできる仕事を通して、ミレニアル世代の真髄に近づけるだろう。

メタ・ミレニアルとでも呼べるだろうか。

企業は気まぐれなミレニアル世代について多くのことを書いているが、議論は尽きることがない。

それもそのはずだ。そもそも実質的な議論はなく、「ミレニアル世代」というコンセプトすら本当は存在しないからだ。実のところ、ミレニアル世代の価値観は、アメリカ人の価値観に他ならない。今週の連邦最高裁判所の同性婚を認める判決や、医療保険制度改革住宅差別を巡る判断はそれを明示していると言えるだろう。これらはベビーブーム世代より、ミレニアル世代の価値観にぴったりと合致するものだ。

ミレニアル世代は想像の産物に過ぎない。社会で起きた変化に影響を受けるのは、全人口ではなく、一部の狭いグループだけだと信じている人やマーケターの幻想だ。

それは間違っているのだ。

実際に何が起きているかというと、人々がようやくここ何十年かの技術的な進化を有効活用し始めてきたということだ。それは、これまで世界に欠如していたものを埋めるための力となる。私たちは「情熱を注ぐキャリア」を追求するために自分の道を選ぶことができるようになった。十分なリソースを持つ特権階級のエリートでなくても、テクノロジーを活用して、より良い未来を作ることができるようなったのだ。

そして驚くことでもないが、誰もがそれを行動に移してきている。

テクノロジーが社会に与えている影響をどこにでも見ることができる。ミレニアル世代は他のどの世代より「社会を意識している」と言われるが、それは特にソーシャルネットワークのようなテクノロジーを頻繁に使用することの効用だろう。これまで以上にアメリカ国内、更には世界中のニュースや人々の意見を入手することができるようになり、他の地域の争いや病を知ることがミレニアル世代に感情的な影響をこれまでの世代以上に与えていることは想像に難くない。

例えばNikeやAppleといったブランド企業も、自社工場の厳しい労働環境の問題について取り組まなくてはならなくなった。労働環境の変更や改善を強いられたのは、法律の改訂や政府の意向によるものではなく、カスタマーがそれらの企業の動向を知る方法を手に入れ始めたからだ。

社会の進歩を促すツールとして、スマートフォンに内蔵されたカメラほど影響力のあるものは他に出回ってはいないだろう。PeriscopeやMeerkatのような動画中継のストリーミングアプリにより、時間が経過してからではなく、リアルタイムでのその状況の意味を知ることができる。痛ましいことが起きるのを見て、それを改善したいと思わない方が難しい。これはミレニアル世代に限ったことではないだろう。いわば、人の本来の欲求だ。

テクノロジーは、世界で何が起きているかについて意識することを可能にした。ミレニアル世代の多くが、これまでの労働市場での役割を担うことを拒み、自分の道を切り拓こうとする理由の一つでもある。世界の多くの過ちに晒され、それぞれが少しだけ世界をより良くするために挑戦する時代に到達したと言えるかもしれない。無知でいることが幸福なのなら、テクノロジーは全ての問題を正すまで人々に永遠の不安をもたらした。

そのような思いとアメリカが国を上げて継続的に起業を促すのが相まって、ミレニアル世代が以前の世代より自由な発想で、自立を考えるのは何ら不思議なことではない。企業組織の階段を上るというアイディアをとても異質に感じるのは、これまでの人生の中で名高い企業が幾つも消えていったこと、そして仕事があまりに分担され、実際に誰かのためになっているように感じられないからだろう。

また、テクノロジーが会社の設立やサービス提供のための組織を構築するコストを削減したことも背中を押している。今では、ミレニアル世代に限らず誰もが、他人を気にせず自分の道を歩むという別の選択肢を手に入れた。世界は停滞している状態からクラウドやモバイル端末に支えられたテクノロジーを基軸とする柔軟なものに変わった。

しかし、このような力を活用するには値札が付く。この国で議論が起きる余地があるなら、それは今でも素晴らしいプロジェクトを達成するには、優秀なチームが必要だということだ。全員がファウンダーになることはできない。協調性があり、コミュニティーを尊重する精神があったとしても、それは他の誰かのスタートアップや非営利団体に加入することには直結しない。それならば、自分でビジネスを始めたいと思う人も多いだろう。

それでも、数百の巨大企業が中心となるのではなく、何百万の小さな企業が世界を回すということを受け入れなければならない。「ミレニアル世代」がもたらす最大の難しさは、彼らは世界を分散したものと捉えていることに起因する。多くのビジネスは未だに中央集権化することに焦点を当てている。つまり、何万のブランドがそれぞれのコンシューマーに順応するのではなく、唯一無二のブランドが存在するべきと考えているのだ。

幸い、この10年でマーケティングの潮流は変わり、コンシューマーのブランドに対するエンゲージメントが促進されるようになった。しかし、それは更に商品やサービスレベルまで浸透する必要がある。

中央集権への欲求は、非営利団体や政府部門でより強く感じる。赤十字社の無駄遣いを巡る騒動は、現在の大規模組織の問題を如実に表している。この組織がトップダウンではなく、ボトムアップの考え方をし、何千万ドルにも及ぶ資金を倹約しつつ、集まった寄付金を誰かのためになるよう活用することはできなかったのだろうか?

赤十字社の無駄遣いは、ミレニアル世代にまつわる話の再掲になる。ジャーナリストのチームは、現地での調査とオンラインでの情報収集から、これまで証明することが不可能、あるいはとても難しかったことを立証した。テクノロジーは情報提供者に力を与えるのだ。

テクノロジーは、これまでにない選択肢と世界に意識を向けることを可能にした。豊富な選択肢の中を航海する術は、それを自然と理解するミレニアル世代と紐付けられがちだが、他の世代も順応してきている。新しい世界は今の世界とは違うだろうが、平等と保証を持って良くなるだろう。テクノロジーがそれを達成する助けになるのなら、誰もがミレニアルの考え方を持つべきだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter