GoogleがG Suite for Educationの無料利用を家庭学校共同事業にも提供

Googleが今日(米国時間5/24)、G Suite for Educationサービスの無料利用を家庭と学校の共同活動に対しても認める、と発表した。そのような共同事業に参加している親と教師は、数週間後にこのサービスにユーザー登録できる。

G Suite for Educationには、Googleの通常のオンライン生産性ツールがすべて含まれるほかに、Classroomのような教育向けサービスもある。Google ClassroomはG Suiteユーザーなら誰でも利用できるが、G Suite for Educationの登録ユーザーになるためには、学校や校区との公的な関係が必要である。そこで家庭と学校の共同事業はメンバーのステータスを確認でき、その中からG Suite for Educationにアクセスできなければならない。

ホームスクーリングを支援する非営利団体Home School Legal Defense AssociationのDarren Jonesが、今日の発表声明でこう述べている: “テクノロジーのおかげで、家庭と学校の共同事業を推進する教師たちは宿題を授業と並行して気軽に作ったり、その一部を簡単に変えたりできる。児童生徒たちは地理的に離れていても一緒に勉強でき、みんなが共通のフォーマットでコラボレーションできる。このような可能性があるため私は、今年Googleと密接に協働して、家庭学校共同事業が一般の学校と同じくG Suite for Educationにアクセスできるよう努力した”。

Googleは最近の数か月、いくつかの家庭学校共同事業でこのプログラムをテストした。グループがある種の学校のように機能し、フォーマルだったりカジュアルだったりタイプもさまざまだから、このような総合的なツール集合に共有アクセスできることは、きわめて有益だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ご用心! Echoが勝手に会話を録音して知人に送信した――Amazonから説明あり

オレゴン州ポートランドの一家がKIROニュースで語ったところによれば、一家のAmazon Echoがプライベートな会話を録音し、登録されていた連絡相手に勝手に送信していたという。 Amazonでは「きわめてまれなケース」だとした(Amazonからのさらに詳しい説明を下にエンベッドしてある)。

ポートランド在住の女性、Danielleは夫の会社の社員から「Alexaのプラグを今すぐ抜いた方がいい。ハックされているかもしれない」という電話を受けた。電話してきた社員はAlexaから夫妻が木のフローリングについて会話している録音を受け取ったという。夫妻は事実そういう会話をしていた。

女性はなんとかAmazonの担当者を捕まえることに成功し、問題を報告した。Amazonのエンジニアが問題のAlexaのログをチェックすると報告のとおりの事態が起きていたと判明した。Amazonは声明を発表し、「問題を精査した結果、きわめてまれなケースだと結論した。われわれは将来同様の事態が再発することを防ぐために対策を準備している」と述べた。

いったい何が起きたのか? 私の推測ではEchoデバイスの音声認識システムが何かを聞き違え、会話を録音するよう命じられたと解釈したのだろう。さらに続けて録音したノートないしメッセージをある宛先に向けて送信するよう命じられたという聞き違いが起きたに違いない。しかもこうした一連の動作をユーザーに報告しなかったことになる。

この家庭には複数のAlexaデバイスがあったという。そこでAlaxaは間違ったデバイスで命令の確認を試みたかもしれない。Alexaは「私はスティーブにメッセージを送りました」とリビングのEchoデバイスに発声させたが、スティーブはそのときキッチンに移動していた。…なにかそんなことが起きていたかもしれない。

もちろんAlexaが勝手に会話の録音を知人に送信するなどとは誰も予期していなかったはずだが、EchoAlexaは電源が入っているかぎりいつも聞き耳をたてており、会話を録音してデータをインターネットにアップし続けていることが確認されたのは重要なポイントだろう。Alexaはますます賢くなっている。つまり「会話を録音して知人に送る」程度ではすまない被害をもたらす可能性があるということだ。

アップデート:私はAmazonに何が起きたのかもっと詳細な情報を明かすよう要請した。するとこの稿を公開した後、Amazonは以下のような説明を行った。内容はおおむね私の推測に近かった。

バックグラウンドにAlexaに似た発声があってEchoが起動されたものと思われる。Echoは会話の続きをメッセージ送信の命令と解釈した。Alexaは十分な音量で「誰に?」と尋ねた。その後の背景の会話の一部がAlexaに登録された連絡相手の名前と解釈され、Alexaは「[人名]ですね?」と確認の発声をしたが、それに続く背景の会話を「はい」の意味に取った。ミスがこのように連続することはきわめてまれなケースと考えられるが、われわわれはこうしたミスが再発する可能性をさらに下げるための方策を検討中だ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

GoogleのSEOはかつてより難しくなった?ここ数年で何が変わったのか。

Googleのアルゴリズムは日々進化を繰り返していますが、振り返ってみるとここ数年でSEOの難易度は上がっています。どのような変化がGoogleの攻略をかつてよりも難しいものにしているのでしょうか?
— SEO Japan

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いまWebmasterWorldでは、「GoogleのSEOはここ数年で何が変わったのか」という興味深いトピックが持ち上がっている。
特に、2016年に使われていたテクニックがなぜ効果がなくなってきているかの話題が盛り上がっている。

過去数年でSEOがどれだけ変わったのか、そしてGoogleのトラフィックが減ったのか、増えたのか、変わらなかったのかについて色々と考えさせられた。

なので、Google Analyticsにて一昨年の同時期のトラフィック数と比較してみたが、Googleからのオーガニックトラフィック数は20%上昇していた。

もちろんデータをめちゃくちゃにしてしまうようなものの可能性もあり、GoogleAnalyticsはこれを除外はしてくれない。
これは予想だが、おそらくGoogleからのトラフィックはそこまで変わってはないはずだ。なぜか?ここ数年でそこまで大きな変更はしていないからだ。

もちろん、書いている中で私のライティングが良くなっていることは望ましいことだ。Googleもそれを良しとしている。

しかし、15年間SEOとGoogleのアップデートを見て、書いてきて、特にここ数年では何が変わったのか?過去数年では効果があったのに、現在人々が困っていることは何だろうか?

私が思いつく限りで、SEOは数年でこのように変わってきたように思う。

  • コンテンツの質
    Googleは良い品質のコンテンツを望んでいる。特に英語ではその傾向が強い。
    数年前よりも良いコンテンツを決定することにおいて、はるかに成長している。
    もちろんと時に誤りは犯すが、だからこそより良くするためにアルゴリズムのアップデートを継続している。
  • レス イズ モア
    たくさんの質の低いコンテンツよりも、少ない質の高いコンテンツの方が良いとされている。
    これはパンダアルゴリズムアップデートによるものであったが、より多くの領域で語られるようになった。
    他の人間がが何と言おうとも、コンテンツプルニング※(Conent pruning)は現実的な選択肢である。
    ※コンテンツプルニング・・・質の低いコンテンツ等を「Noindex」などを利用してGoogleの評価対象から外すこと。
  • リンク
    アルゴリズム、そして手動により、Googleは良くないリンクに対しては評価を下げている。
    リンクファーム(※1)やPBN(※2)を活用して数日でランキングが上がるという簡単なものではなくなった。
    ※1 リンクファーム・・・相互に大量のリンクをもったウェブサイト群を人為的に大量生成し検索エンジンスパムに活用する、というかつて有効であったSEO手法の一つ
    ※2 PBN(Private Blog Networks)・・・保有する小規模なブログ(プライベートブログ)をネットワーク化したもの。オーガニックトラフィックを増加させることを目的として使用される。
  • ユーザー体験
    かっこよく、簡単なUXが優れたサイトがパフォーマンスを発揮するようになっている。
  • 競争の激化
    数年前より、同一のキーワードに対してより多くのウェブページがしのぎを削るようになっている。
  • GoogleのUIの変化
    もちろん強調スニペットや、広告の位置の変更、音声検索、新しいユーザーインターフェースなどが該当する。
    Googleからのトラフィックにおいて、これらは何かしらの役割を担っている。

要約すると、同じことを延々と継続していては、悪くなることはあっても良くなることはないだろう。
常に改善をしつづけずに、なぜ検索エンジンで上位を維持することが出来ようか。継続した改善が必要だ。
10年前は素晴らしかったが、その後ヒット作に恵まれなかった俳優のようになってしまう。
時には自分自身を再開発し、認知されるためにあっと言わせるようなことをしなければならない。

皆はどう思うだろうか?


この記事は、Search Engine Roundtableに掲載された「SEO For Google Now Harder? What Has Changed Over The Past Few Years?」を翻訳した内容です。


記事中では、特に英語においてコンテンツの質が求められると書かれていますが、日本語でも同様、もしくはそれ以上にコンテンツの質が求められているように感じます。
地道な努力の積み重ねこそが、今日のSEOにおけるベストプラクティスかもしれません。
— SEO Japan

Netflixは時価総額でComcastを超えた――絶好調という噂一覧

Netflixの時価総額は今やケーブルTVの最大手、Comcastを超えた。企業を評価する尺度は時価総額以外にも多数あるが、象徴的な意味としてはAppleの時価総額がExxonを追い越したときと比較できる。テクノロジーの発達におけるある種の分水嶺となるかもしれない。

Netflixについて、実際の意味はともかく、象徴的に目立つ話題をいくつか拾ってみよう。

  • Netflixのユーザー数は依然上昇中:ユーザー数は市場が最初に注目する数字であり、Netflixの株価(つまりは時価総額)が上昇しているのもこれによる。
  • ケーブルTVの解約が続く:. Netflixはコンテンツの配信をビジネスとしており、ケーブルTVを提供しているわけではない。しかしNetflixから配信を受けるためにはインターネット接続が要るので現状では家庭になんらかのケーブルを引き込む必要がある。もちろん将来すべてが無線接続になれば話は別だ。
  • Netflixはコンテンツ製作に大金を投じている:人々が望む(消費する)のはコンテンツだ。ケーブルTVも結局はそのコンテンツを売っているわけだが料金が高い。Comcastはこれに対抗してNetflixをバンドルし始めた
  • NetflixとComcastは株価の基準が大きく異なる:Comcastの株価はその現実の収益性に基づいている。Netflixは…なんというか、成長中の会社として、将来はComcastより大きなビジネスになるだろうという期待に基づいて評価されている。そうなるかもしれないし、ならないかもしれない。
  • Comcastの売上はNetflixよりはるかに大きい:今年第1四半期の売上はNetflixが37億ドル、 Comcastが228億ドル、フリーキャッシュフローが31億ドルだった。一方、Netflixは2018年のフリーキャッシュフローについて30億ドルから40億ドルの赤字を予想している。

ともあれNetflixは2ヶ月くらいのうちに次の四半期決算を発表するはずだ。上に挙げたような指標にも変化が生じるだろう。Netflixの株価は市場の期待に基づいているため、簡単に動く。もちろん株価の変動はBitcoinほど大きいわけではないが、ランダム性も高く予測は難しい。

おっと、これからNetflixでリバーデイルのシーズン2を見なければならない。やっぱりこういう独占コンテンツがあるからComcast より強いのだろう。あと数時間は忙しいので悪しからず。

画像:Ethan Miller

〔日本版〕現在のNetflixの時価総額は1518億ドル、Comcastは1455億ドルとなっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

さようなら、StumbleUpon

消えゆくことにはなったが、なかなか頑張ったと言えるのではないだろうか。何の話かといえば、StumbleUponのことだ。2002年にスタートしたコンテンツ発見ツールのStumbleUponが、6月30日をもってサービスを終了することとなった。共同ファウンダーのGarrett Campが投稿したMedium記事によれば、これまでに4000万の人が利用して、600億のコンテンツリンク(stumble)を集めていたとのこと。

StumbleUponは、その最盛期には膨大な数のトラフィックを招くためのツールとなっていた。大きな特徴は、そのシンプルさにあったといって良いだろう。利用者は、ワンクリックで新しいコンテンツと出会うことができたのだ。しかしCampによれば、オンライン環境が変化していく中で、ウリであったはずのシンプルさがむしろマイナスに作用した面もあるとのこと。

StumbleUponは、2007年にeBayによって買収された(買収額は7500万ドルといわれている)。しかしこの買収は成果をあげることができなかった。2013年には大規模レイオフを行うこととなり、そこから株価も低迷することとなった。

「StumbleUpon登場時に比較すれば、インターネット利用者はほぼ10倍の規模となっています。スマートフォンが広まり、ソーシャルメディアが必携ツールとして成長する中、私たちのサービスにも変化が訪れました。コンテンツを自ら提供したり、あるいはシェアするためのプラットフォームは次々に増えていきました。そんな中でStumbleUponは、膨大なコンテンツの中から見るべき情報を選び出すためのツールとして成長したのでした。StumbleUponが提供したシンプルさとセレンディピティの魅力は、たしかに多くの人に訴えることができたと思っています」。

こうした教訓(およびStumbleUponの利用者)は、Campが新たに立ち上げたMix.comに受け継がれることとなるのだろう。StumbleUponは、6月30日までの間に、Mix.comへの移行を促していく構えだ。

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(翻訳:Maeda, H

Vivoのオールスクリーンスマートフォンはカメラが飛び出し方式で6月にデビュー

今やオールスクリーンのスマートフォンはひとつの必然性である。だから現時点の疑問は、出るか/出ないかから、どこのどれが市場に一番乗りするか、にシフトしている。G7のローンチのときLGの連中は、ノッチはあと二年ぐらいは人生の現実であると言っていたが、最近の各メーカーの動向を見ると、もっと早いようだ。

2月のMWCで、VivoのApexハンドセットは単なるコンセプトのように思えたが、最近のリーク画像/映像を見ると違うようだ。 そのビデオは、はね上げ方式の自撮りカメラをデモしているし、スケジュールは6月12日の上海のイベントを告げている。そのハンドセットは、いちばん控えめに言っても、かつてのコンセプト機の親(ちか)しい親戚のようだ。

2月のプレスリリースは、コンセプトを詳しく述べている。

このように: “ユーザーの習性をサポートし続けるという約束に基づいて、Apexには8Mpの飛び出し型フロントカメラがある。このカメラは0.8秒で素早く上昇し、使用が終われば引っ込む。内部に接近センサーと周辺光センサーがあるため、従来のフロントカメラのようにスペースを奪わず、しかも同じ自撮り体験をユーザーに提供する”。

しかしVivoは、自分こそ答を見つけたと自負している企業の一つにすぎない。2月に会ったDoogeeは、ノッチを回避したプロトタイプをいくつか見せてくれたが、その中にも飛び出し型があったし、スライド式カメラのもあった。

そして、Lenovo Z5を忘れてはいけない。それは同社のVPが今月初めにソーシャルメディアで見せてくれた。ただし、写真ではなくてスケッチだった。でも、全体的に今感じるのは、たくさんの企業が、“最初に考えたのはうち”と言い張っていることだ。

でもたぶん来月には、Vivoがいよいよ本物を見せてくれるかもしれない。

参考記事

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

紛失防止タグのMAMORIO、シール型の「FUDA(フューダ)」を6月1日に発売

eng-logo-2015紛失防止IoTタグMAMORIOの新製品「MAMORIO FUDA(フューダ)」が発表されました。6月1日発売で、価格は2759円(税抜)。

MAMORIOはスマートフォンと連携して利用する紛失防止タグ。万が一どこかに置き忘れた場合には、スマートフォン上でいつどこで最後に通信したのかを確認できるほか、他のMAMORIOユーザーが紛失したタグの通信圏内に入るとその場所を通知するクラウドトラッキング機能を備えます。ユーザーが増えれば増えるほど、発見率が上がる仕組みです。

従来のMAMORIOはキーホルダーなどに取り付けるタグ型でしたが、新しいFUDAは機器に直接貼り付けるシール型になりました。PCなどの電子機器や手帳などの文房具にも取り付けたいとの要望が多かったのだそうです。

ちなみにFUDA(フューダ)の名称は「お札」から。そしてもう一つ「FUture DAys」との意味も込められているそうです。

カラーはWhiteとBlackの2種類。表面にMAMORIOの文字が入っていますが、無地バージョンもあるとのこと。

材質はポリ塩化ビニルで、表面は柔らかくなっています

台紙には本体側とペアになる金属端子が付いていました。これにより、台紙に付けられている状態では電源が入らず、電池の消耗を抑えるようです。

両面テープでの貼り付けとなりますが、何度も貼り直したり、曲面には貼らないようにとのこと。粘着力は結構強いので、取り外す際に折り曲がらないよう、注意する必要がありそうです。

サイズは24×36.2×3.4mmで、通常のMAMORIOよりも一回り大きくなっています。ただし性能面は、有効距離60mに電池寿命は約1年と、仕様自体は上位モデルのMAMORIO S相当。

バッテリー交換がユーザーでは行えないのも従来どおりです。ただ、初回ペアリングから180日以上経過していれば、MAMORIOを半額で購入できる有償交換サービス「OTAKIAGE(お焚き上げ)」が利用できます。

3.4mmとそこそこの厚みがあります

正直なところ、コンパクトなMAMORIO Sを両面テープで貼り付けておいたほうがスマートなのではとも思いましたが、MAMORIO Sと同機能ながら1000円以上安いMAMORIO FUDAはなかなかお買い得なのかもしれません。

外に持ち出すことも多いコンパクトPCとの相性は良さそうです

なぜか外に持ちだしている人が多いOculus Goにも。コントローラには通常のMAMORIがよさそう

MAMORIOの管理はスマートフォンアプリから。管理と言っても初期設定以降は特にすることはありません。MAMORIOが手元から離れた(通信圏外になった)場合には、アラームを発報。画面上にクラウドトラッキング機能の「みんなでさがす」ボタンが表示されます。

左の画面は通信圏内にある状態、中央は通信圏外となった(なくしたと思われる)状態。「みんなで探す」機能はオン/オフ設定が可能です(右)

この種のIoTタグは数多くリリースされており、クラウドトラッキングと同じ機能を備えたものも珍しくありません。これの精度を上げるためには、ユーザー数の増加が欠かせない要素となります。

アプリや公式サイト上で確認できるすれ違い数や、見つかったMAMORIOの数。これが多いのか少ないのかは判断が難しいところ

この点、MAMORIOでは、先に書いた通り、駅や商業施設などにMAMORIOスポットを設置してるほか、花火大会などのイベント時にも積極的に臨時のMAMORIOスポットを開設しており、少なくとも国内では、比較的見つけやすい(見つかりやすい)状況にあるのではないかと思います。

もっとも、MAMORIOのお世話にならないことが一番ではありますけど。

Engadget 日本版からの転載。

Apple、フォルクスワーゲンと提携して従業員用無人運転シャトルを開発

Appleは自動運転車の開発でVolkswagenと提携することを決めた。The New York Timesが今日(米国時間5/23)報じた。同紙によると、VolkswagenのトランスポーターT6を無人運転車に改造して従業員向けシャトルバスにする計画だ。

しかしプロジェクトは予定より遅れていて、Appleの無人運転チームはかなりの時間を費やしている。NYTによると、AppleのBMW、Mercedes-Benzらといった製造メーカーとの提携交渉は決裂した。

A Volkswagen T6 van

今月、Appleのカリフォルニア陸運局登録済みの自動運転車は55台に増えた。これはAppleがGeneral Motorsに続いて州で2番目に多く自動運転車を保有していることを意味している。Appleの標準的な自動運転テストでは、センサーと自動運転ハードウェアを装着したLexus SUVを利用している。

AppleとVolkswagenに連絡を取ったので、情報が入り次第本稿を更新する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google PayがSuica、WAONに対応。今夏以降にはウォレットアプリ「Kyash」での店頭支払いも

eng-logo-2015Googleは5月24日、同社のモバイル決済サービス「Google Pay」において、SuicaとWAONが利用可能になったと発表しました。これまでに対応していた楽天Edy、nanacoとあわせ、4つの電子マネーサービスに対応となります。

Android端末上ではすでに「おサイフケータイ」がありますが、各電子マネーに対応したアプリをインストールする必要があるおサイフケータイと違い、Google Payでは1つのアプリ内で各電子マネーサービスを利用できるのが大きな違いです。

また、Google Payに登録しているクレジットカードを使い、アプリ内で各電子マネーにチャージを行うことも可能。対応したアプリ・WEBサイトでは、Googleアカウントに紐づけたクレジットカードでオンライン決済も行えます。

なお、モバイルSuicaで利用できる特急券の購入などはGoogle Pay上からは行えませんが、購入したデータはGoogle Pay上でも確認できるとのことです。

このほか、今夏以降には、Kyash、JACCS、JCBの発行するクレジットカード、プリペイドカード、デビットカードを使い店舗支払いも可能になるとしています。

ただし、日本国内でGoogle Payの電子マネーサービスを利用できるのは、おサイフケータイに対応したAndroid 5.0以降の端末のみ。残念ながら、おサイフケータイに非対応の端末では利用できません。

複数のアプリを使い分ける必要がなく、オンライン決済で利用できるのは強みですが、おサイフケータイとの明確な違いが見えてこないのも事実です。

これからGoogle Payなりの独自性を発揮してくるのか、このままおサイフケータイと共存することになるのか、今後の対応にも注目したいところです。

Engadget 日本版からの転載。

 

1.5万施設が登録する民泊管理ツール提供のmatsuri technologies、数億円を調達

民泊管理ツール「m2m Systems」など、民泊事業者向けのサービスを複数展開するmatsuri technologies。同社は5月23日、DasCapital(連続起業家の木村新司氏が代表を務める投資会社)、ファンドクリエーション、リンキンオリエント・インベストメントが運営するファンドより、数億円規模の資金調達を実施したことを明らかにした。

なおファンドクリエーションとは資本業務提携を行い、共同で民泊マンスリーファンドを組成。資金面でも民泊事業者をサポートしていく方針だ。合わせて複数社と協業し、民泊借り上げ事業にも取り組む予定だという。

matsuri technologiesが提供しているm2m Systemsは、複数のAirbnbアカウントを登録・一元管理できる民泊管理システムだ。ゲストからのメッセージ対応を始め、事業者が民泊運営において抱える課題を解決する機能を複数搭載する。

メッセージの自動送信、清掃状況の確認と手配、複数アカウントの一元管理などを通じて、事業者の業務効率化に加えて物件の稼働率の向上もサポートするのが特徴。2018年5月には登録件数が1万5000施設を突破した。

また6月に施行される民泊新法(住宅宿泊事業法)では民泊営業の上限が年間180日とされ、事業者は残りの期間を住宅利用することが必要だ。業界内ではこの180日以外の期間を、短期の賃貸物件として運用する「二毛作民泊」が注目を浴びていて、matsuri technologiesでも民泊とマンスリー賃貸の併用管理システム「nimomin」を手がけている。

今回の資金調達を踏まえ、同社ではm2m Systemsをはじめとする民泊運営支援ツールの機能拡充を進めるとともに、ファンドクリエーションと共同で組成する民泊マンスリーファンドなどを通じて、民泊事業者を支援していく方針だ。

Bluetoothプロトコルの多用途化を目指すTempowが$4Mを調達、すでにLenovoなどが採用

フランスのTempowが、400万ドルの資金を調達した。この投資を仕切ったのはBalderton Capital、これにC4 Venturesが参加した。同社は、Bluetoothのプロトコルを改良して、その用途を広げようとしている。

スマートフォンやスピーカー、それにさまざまなコネクテッドデバイスは、それぞれいろんなやり方でBluetoothを利用している。しかしBluetoothのチップセットを作っているのは、QualcommやBroadcomなど、ほんのひとにぎりのメーカー企業だ。Bluetoothのチップはすばらしく効率的になり、電力消費も前よりずっと少なくなったが、ソフトウェアは進歩が停滞している。

ソフトウェア企業であるTempowは、Bluetoothのソフトウェアスタックを完全に書き換えようとしている。同社はまず、オーディオのプロファイルからスタートした

Tempowの技術を使うと、スマートフォンを複数のBluetoothスピーカーに同時に接続できる。ソフトウェアの改良だけで、それができる。Bluetoothのチップセットやオーディオデバイスは従来のものでよい。

このアイデアを気に入ったLenovoはTempowの技術をライセンスして、Moto X4ハンドセットに使った。その、TempowのBluetoothスタックを使ったデバイスは、500万台以上売れた。

今回得られた資金で同社は、ユースケースを拡大したい、と思っている。そのために必要な低レベル技術が、ペアリングプロセスの最適化、プロトコルのセキュリティの強化、電池寿命のアップなどだ。協同ファウンダーでCEOのVincent Nallatambyは、“そのうち、NFCよりBluetoothを使った方がペイするだろう”、と言っている。

同社は今、複数のメーカー企業に技術を売り込んでいる。今後はもっと多くのデバイスが、TempowのBluetoothソフトウェアを使っているだろう。

同社は今、7つの特許を出願しており、先週最初のひとつが認可された。今後はBluetoothのエキスパートチームを作って、同社のプロトコルをさらに普及させたい、と考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ザッカーバーグはどうやら欧州で味方をつくれなかったようだ

欧州連合の議員との会合で、Facebook創設者のザッカーバーグはEU一般データ保護規則(GDPR)の“コントロール、透明性、責任”という原則に言及した。この新たな規制GDPRは25日金曜日に施行され、そこには、反した場合に科す罰則も盛り込まれている。FacebookはGDPRを遵守すると、とザッカーバーグは明言した。

しかしながら、今回の会合では透明性や責任というものはほとんど見られなかった。会合に出席した議員からかなり突っ込んだ質問が1時間にわたって出されたが、ザッカーバーグは黙って顔をひきつらせながそうした質問を聞いたのち、そこから答えやすいものばかりを選んだ。

議員からの質問は多岐にわたり、その多くはFacebookの企業倫理について深く掘り下げるようなものだった。情報の不正使用によるプライバシーの侵害の影響はどの程度あったのか、Facebookが会社分割を必要とする独占状態にあるかどうか、データの不正使用についてユーザーはどのように償われるべきか、といったものだ。

Facebookは本当にGDPRを遵守しようとしているだろうか、という質問が何回も投げかけられた(当然のことだが、データ保護を専門とする懐疑派の議員からだ)。Facebookはなぜ15億人にものぼる世界のユーザーのデータ操作ステータスを変更し、GDPRの効力が及ばないようにしたのか。ユーザー情報をもとにしたターゲット広告をやめることを必死に回避してきた同社だが、そうしたターゲット広告のシステムを人々が拒否できるプラットフォームを提供する用意があるのだろうか。

そもそも、なぜ欧州議会との会合を公にすることを拒んでいたのか。EUのプライバシー規則に反対するロビー活動に、なぜ何百万ドルもの金を費やしたのか。サービスを運営している国で税金を払うのか。フェイクアカウントを防止するためにどんな取り組みをしているのか。いじめを防ぐ取り組みはどうか。コンテンツを規制するのか、それともニュートラルなプラットフォームなのか。

矢継ぎ早に厳しい内容の質問がなされ、ザッカーバーグは集中砲火を浴びた格好だった。しかしいざ質問に答える段になると、それは応答の体をなしていなかった。自分が選んだテーマで話したいことだけを話し、しかもそれは事前に準備されたものだった。

ここに、なとびきりの皮肉がある。人々の個人情報は、あらゆるトラッキング技術やテクニックを介してFacebookに大量に流れている。

Cambridge Analyticaによるデータ不正使用スキャンダルの詳細が物語っているが、個人情報はFacebookから大量にリークされたのだ。そのほとんどがユーザーの知らないところで行われ、もちろん同意を伴うものでもなかった。

Facebookの運営の話しになると、同社はかなりの秘密主義を展開している。ほんのわずかな’ニュースフィード“を公開し、どんなデータをどういう目的で収集しているのか詳細は一切明らかにしない。

先月もザッカーバーグは米国議会との会合に臨んだが、そこでもやはり基本的な運営についての質問にまともに回答することを避けた。もし今回の会合で真の透明性や責任の所在が明らかになることを期待していた議員がいたとしたら、完全に失望しただろう。

Facebook ユーザーは、Facebookに自らアップロードしたデータは、ダウンロードできる。しかし、Facebookがあなたについて収集した全情報をダウンロードできるわけではない。

欧州議会の会派の代表らの関心はいまやFacebookのビジネスに集中しているようだ。そして、今回のザッカーバーグの黙り芝居を、Facebookに罰則を適用するためのさらなる証拠としてとらえる向きもある。

EUの規則はお飾りではない。GDPRの欧州外への影響と、有力なパブリックプロファイルはさらなる政治的な論争を展開しそうな勢いだ。

ザッカーバーグが欧州議会の声に耳を傾け、これまで同様のことを語ることで、CEOがブリュッセルでの会合に出た、という事実を作ることをFacebookが今回望んでいたのなら、これは大きな誤算だったようだ。

「まったくザッカーバーグの対応には失望させられた。議員からの詳細な質問に答えなかったことで、欧州の市民の信頼を取り戻すチャンスを失った。それどころか、出席議員に‘より強い規則と監督が必要’との印象を与えた」と、欧州自由連盟議員でGDPR報告者でもあるJan Philipp Albrechtは会合後、我々にこう語った。

Albrechtは会合で、FacebookはWhatsAppとデータの共有をどう行なっているのか、とただした。この問題はデータ保護当局の怒りをかっている。当局がFacebookに対し、そうしたデータフローを止めるよう促しているのにもかかわらず、Facebookはいまだにデータ共有を続けている。

また議員は、そうした2つのアプリ間でのデータ交換はしないことを約束するよう迫った。しかし、ザッカーバーグは頑として約束は口にしなかった。

欧州議会で人権委員会(Libe)の委員長を務めるClaude Moraesは会合後、極めて厳しいトーンではあったものの、そつのないコメントをしていた。

「データ漏えいの結果、Facebookの信用は地に落ちた。こうした状況を打開し、Facebookは欧州のデータ保護法を完全に遵守していると人々に納得してもらうためには、ザッカーバーグ氏とFacebookは真摯に努力しなければならない。’私たちはユーザーのプライバシー問題を真剣に考えている‘といった一般的なコメントだけでは不十分だ。Facebookはそれを行動で示さなければならない。差し当たり的なものであってはならない」と述べている。

「Cambridge Analyticaスキャンダルの件はすでに現在のデータ保護ルールに違反しており、間もなく施行されるGDPRにも反するものだ。この法律に従い、欧州データ保護当局はしかるべき対応をとることになるはずだ」とはっきり語ったのは英国議会の文化・メディア・スポーツ省の委員長Damian Collinsだ。

同委員会はこれまでに3度ザッカーバーグを召喚しているがいずれも実現していない。完全にザッカーバーグに拒絶され、容赦ない姿勢は当然だろう。ザッカーバーグの代理として英国議会で証言に立ったCTOが質問に対してあいまいにしか答えなかったことでもFacebookを非難している。

Collinsはまた「欧州議員からの極めて重要な質問について綿密に調べる機会を逸したのは残念だ。シャドープロファイルやWhatsAppとのデータ共有、政治広告を拒否できるかどうか、データ不正使用の実際の影響度合いはどうだったのか、といったことに関する質問は図々しくも回避された」と指摘した。「残念ながら今回とった質問形式ではザッカーバーグに質問の選り好みをさせる結果になり、各指摘についての回答はなかった」。

「出席議員の、今回の会合はまったく意味をなさなかったという明らかな不満をここに代弁する」とも付け加えた。“ユーザーが知りたいこと”を議会で明らかにするという点では、今回の会合は結局4回目の失敗に終わった。

今回の会合の最後の方では何人かの議員が明らかに激昂した様子で、これまで答えなかったことについて再度ザッカーバーグを質問攻めにした。

ザッカーバーグが話しを次に移そうとするタイミングで、1人の議員は「シャドープロファイル」と言葉を挟んだり、ザッカーバーグが鼻息荒く笑ったり時間を稼ぐためにあらかじめ用意したメモをみたりすると別の議員が「賠償」と叫んだりといった具合だった。

そうした後に、やや不満な態度をあらわにしたザッカーバーグが追求する議員の1人をみて、議員のシャドープロファイルについての質問に答えると言い(実際のところ、認識していなかったというのを理由に、ザッカーバーグはシャドープロファイルという言葉を使わない)、Facebookはセキュリティ目的でそうした情報を収集する必要があると持論を展開した。

議員の1人が、Facebookは非ユーザーの情報をセキュリティ以外の目的で使用することがあるのかと質問したのに対し、ザッカーバーグは明確に答えなかった(後付けしたセキュリティ目的というのは、隠そうとしていることを逆に明らかにするようなものだ)。

ザッカーバーグはまた、非ユーザーはどうやって“データの収集をやめさせる”ことができるのか、という再三の質問も無視した。

話すべきポイントについて隣にいる弁護士の方を向く前に(“他に話しておくべきことはあるだろうか”と尋ねた)、ザッカーバーグは「セキュリティという面で、私たちは人々を守ることは大変重要だと考えている」と素っ気なく述べた。

FacebookにとってCambridge Analyticaの件は、将来あるかもしれないデータ強盗を未然に防ぐのにどうやってプラットフォームを厳重に監視するかということをPRする材料となった。弁護士は、話がCambridge Analyticaに戻るのに不満を表したものの、すぐさまそうしたスキャンダルの危機PR術を行動に移した。

今回の会合ではっきりとしたのは、Facebook創業者のコントロール方法の好みだ。それは、彼が現在訓練中のものだ。

Facebookが欧州の議員と会うことについて同意するのに先立って決められた会合形式の制限により、議員に追及を許可しないというのは明らかにFacebookにとっては好都合なことだった。

ザッカーバーグはまた、それとなくほのめかしたり、時間になったようだと言ったりして何度も会合をたたもうとした。議員はこうしたザッカーバーグのたたみ掛けを無視したため、自分の言うことがすぐさま実行に移されなかったザッカーバーグはかなりの不快感を露わにしていた。

議員から出されたそれぞれの質問について、Facebookから書面による回答を受け入れるかどうかという、議会議長と議員との間で展開されたやり取りをザッカーバーグは見守り、その後に書面で回答することにAntonio Tajani議長とその場で合意することになった。

あらかじめCollinsが議員に警告していたように、Facebookは自らのビジネスのプロセスについての質問に対し、多くの言葉を語りながらその実は何も語っていないという回答方法を十分に練習している。その回答方法というのは、質問されていることの意図や目的を巧みに避けるというものだ。

ザッカーバーグが演じた会合でのショーで見られた自制というのは、明らかに欧州議員がソーシャルメディアに必要だと考えているようなガードレールではない。何人かの議員がザッカーバーグの顔から感じた自制は、効果的ではなかったようだ。

最初に質問した議員はザッカーバーグに謝罪が十分でないとせまった。他の議員は、15年悔恨し続けることになる、と指摘した。

Moraesは、Facebookは欧州の基本的価値観に対し“法的そして道義的責任”を果たす必要があると発言した。Libeの委員長であるMoraesはさらに「GDPRが施行されるEUにあなたは今いることを忘れてはならない。EUのデータ保護法を確認し、また電子上のプライバシーについて考え、EUのユーザーならびに何百万ものEU市民、非ユーザーのプライバシーを守るために、法的そして道義的責任を果たしてほしい」と述べた。

自制、もしくはザッカーバーグがいうところの次善の策であるFacebook流の規則は、欧州議員の規制の話に対し、米議会で述べた言葉で答えるというものだった。その言葉とはこうだ。「ここでの問いは、規制があるべきかどうかだと考えていない。何が正しい規制なのか、ということだと思う」。

「インターネットは人々の暮らしにおいてとても重要なものになりつつある。ある種の規則が重要であり、不可欠のものでもある。ここで重要なのは、この規制を正しいものにすることだ」と彼は続けた。「人々を守る規則体系を有すること、革新の余地があるようフレキシブルであること、今後さらに進化するAIのような新技術を妨げるようなものでないことを確認しておく必要がある」。

彼はスタートアップのことも引き合いに出した。’好ましくない規制‘は将来のザッカーバーグの登場を妨げるものになると言っているのだろう。

もちろん、ザッカーバーグは自身が所有するFacebookというプラットフォームが注意を十分にひく存在であり、我こそはというエントレプレナーがひしめく次世代の中でも飛び抜けた存在であることに言及していない。

ブリュッセルでの会合で、味方をつくったり人々に影響を与えたりする代わりに、彼は欠席するよりももっと失うものがあったようだ。Facebookに適用されるEUの規則を刷新するのを仕事とする人たちを怒らせ、遠ざけたのだ。

皮肉にも、ザッカーバーグが答えたいくつかの質問の一つに、Nigel Farageによるものがある。Facebookが“政治的に中立なプラットフォーム”なのか、1月にアルゴリズムに変更を加えた後、中道右派の発言を差別しているのではないか、といったものだ。Facebookはフェイクニュース監視を行う第三者のファクトチェッカーの名前を明らかにしていない。

つまり、米国の上院と議会でも明白だったが、フェイスブックはあらゆるところから集中砲火を浴びている。

実際のところ、Facebookはファクトチェックのパートナーシップについて情報を開示していない。しかし、ザッカーバーグが大した意味もない質問に限られた時間を費やしたのは、十分に意味するところがある。

Farageは、彼の持ち時間の3分の間に、「Facebookや他のソーシャルメディアの存在なしには、英国のEU離脱やトランプ政権、イタリアの選挙結果はあり得なかった」と述べた。

ザッカーバーグがこの発言についてコメントする時間がなかったのは、滑稽としか言いようがない。

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(翻訳:Mizoguchi)

Uber、アリゾナ州内の自動運転テストを終了

Uberは、アリゾナ州テンピで起きた死亡事故を受け、自動運転車の路上テストをすでに中止しているが、このほど同社はアリゾナ州でのテストを全面的に終了することを正式に発表した。The Wall Street Journalが最初に報じ、Uberの最新技術グループのトップ、Eric Meyhoferの社内メモを引用した。

これに伴いUberは300人のテストドライバーとの契約を解除した。これに先立ちアリゾナ州は3月にUberの公道でのテスト走行を正式に禁止している。

「われわれは自動運転技術に全力を注いでおり、近い将来公道に戻れることを願っている」とUber広報担当が声明文に書いた。「今後も徹底的な安全確認に焦点を絞り、元NTSB会長のChristopher Hartを招いて安全カルチャー全体について助言を求めている」

Uberは自動運転車の公道でのテストを今後数カ月のうちに再開することを望んでいると、Uber CEO Dara Khosrowshahiが今月のUberカンファレンスで語った。国家運輸安全委員会がテンピの事故調査を終えれば、Uberはサンフランシスコ、トロント、およびピッツバーグでテストを続ける計画だ。しかし、Uberがカリフォルニア州でテストを続けたければ、新たな認可を受けるとともに、「アリゾナでの事故の追跡調査結果」を提出しなければならないとDMVの法律顧問、Brian Soubletが3月にUberあてに出したメールに書いた。UberはDMVとの打ち合わせも設定する必要がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FBI、暗号化でアクセス不能な端末数を水増し報告

暗号化された携帯電話に関するFBIの嘘がまた発覚した。昨年12月、FBIのChristopher Wray長官は、アクセス不能の携帯電話が2017年だけでほぼ7800台あったと推定した。実際の数字はその1/4以下だった可能性が高いことをThe Washington Postが伝えた。

情報筋が示した内部記録によると、暗号化された端末の実数は1200から最大でも2000台で、FBIは同紙に「初期評価の結果プログラムのエラーによる著しい数え間違いがあることがわかった」と声明で語った。端末数を追跡するデータベースが3つあり、複数回カウントされたものと思われる。

あまりに初歩的なミスであり、どうすればそんなことが起きるか考えにくい。これは裁判記録でもメモでも取るに足りない証拠品でもなく、シリアルアンバーと名前がつけられた物理的デバイスだ。議会証言のために台数を伝える際、誰一人重複チェックをしなかったという事実が、陰謀あるいは重大な無能さをものがたっている。

後者でる可能性が高い。監察官室のレポートによると、FBIはロックされたiPhoneをアクセスするために自身で努力する代りにAppleを訴え、根拠(テロ攻撃に関わるロックされたiPhone)がなくなると急いで取り下げた。自らの能力を軽視あるいは無視することで、暗号化の普及はバックドアがないと法律執行にとって危険という物語を追求しようとしたのだろう。

FBIでは、実際に何台の端末がアクセス不能であるか、できればなぜこんなことが起きたかを突き止めるために監査が行われている。

FBIの目的が、完全に暗号化された端末を当局がアクセスできない、という問題を強調することにあるのは明らかだ。そこまで公共の場で話している。これは当局にとって深刻な問題だが、FBIは作られた物語を広めるためには、喜んでずさんにも欺瞞的にもなる、ということも明白だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GUNはオープンソースのP2Pデータベース――ノードがオフラインでも機能する

GUNはオープンソースの分散データベース・システムでデベロッパーは簡単にP2Pネットワークで作動するアプリを開発できる。しかもこのネットワークでは一部のノードがオフラインであっても作動する。今日(米国時間5/23)、このデータベースを開発した会社(ピストルのロゴと社名は一考の要があるかも)はDraper Associatesがリードしたラウンドで150万ドルのシード資金の調達に成功してことを発表した。今回のラウンドにはSalesforceのマーク・べニオフのAloha Angels、Boost VC、CRCM Venturesなどのエンジェル投資家が加わっている。

GUN のファウンダー、Mark Nadalは私の取材に答えて、「データベースに取り組み始めてから4年になる。きっかけは、私の初期のプロジェクトでの失敗のほぼすべてがデータベースが原因だったからかだ」と語った。データベースがダウンすればサービスはすべてダウンする。そこでリアルタイムでアップデートしても整合性が保たれる分散データベース・システムの開発を始めたたのだという。

GUNはマルチマスタ・レプリケーションによるP2Pデータベースであり、クラウド・サーバーはネットワークの一つのピア・ノードに過ぎない(もちろんユーザー側ブラウザに比べてはるかに大量のリソースをを持ち、信頼性もはるかに高い)。GUNユーザーにはアップデートにおけるコンフリクト解消などのデータベース運用上必須のツールが標準で提供される。データは自動的にピアに拡散、同期される。ユーザーがオフラインになるとデータはローカルにキャッシュされ、再度オンラインになったときにネットワークに書き戻される。

Nadalは2014年にFirebase、MySQL、MongoDB、CassandraをベースにGUNの最初のプロトタイプを開発した。これはかなりつぎはぎの仕事だったが、引き続きこのアイディアを追求するに足るだけのデベロッパーの関心を集めることができた。

現在GUNを利用してRedditのクローン から分散版のYouTubeのコピーまでさまざまなデータベースが実験されている。

Nadalはまた一部の現行データベースに比べてこのシステムはスピードの点でも大きな優位性があるとしている。「予備的なテストの結果ではわれわれのキャッシュはRedis、MongoDBなどに比べて28倍速いと判明した。GUNは現在、ゲーム、IoT、VR、分散的機械学習などの分野におけるパイオニア企業と提携を進めている」という。

オランダ海軍はすでに艦上のIoTサービスの一部にGUNを採用している。AI/機械学習分野で利用しているグループも多い。Nadalはこのデータベースはブロックチェーン・テクノロジーとの適合性が高いとして、この分野のデベロッパーもGUNに注意を払うべきだと考えている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

OktaのPassProtectはあなたのパスワードがどこにもリークしてないか調べてくれる

セキュリティ企業のOktaが今日、Chromeブラウザー用の無料のエクステンションをローンチした。そのエクステンションPassProtectをインストールすると、ユーザーがタイプするパスワードを、被害に遭ったパスワードのデータベース、Troy HuntのHave I Been Pwnedで調べる。

このエクステンションは、本誌TechCrunchの読者のようなテクノロジーに詳しい人向けではないかもしれない。でも、コンピューターのことを何も知らないお隣(となり)さんには、有益だろう。彼らのGmailのパスワードは、すでに盗まれているかもしれない。

Have I Been Pwnedは、これまでリークしたパスワードを集めている大きなデータベースだ。過去には大規模なセキュリティ破り事件が、Dropboxでもあったし、LinkedInやTumblr、Adobeのサービスでもあった。だから過去にあなたのパスワードも、やられているかもしれない。

だからみんな、パスワードマネージャーを使うべきだし、個々のオンラインサービスごとに違うパスワードを使い、そしてできるかぎり二要素認証を利用すべきだ。今多くの企業がOktaに依頼して、会社のイントラネットの認証を安全にしようとしているのも、そのためだ。

でも、大多数のユーザーは何もしていない。

だから今度親戚の家を訪ねたときは、このエクステンションをインストールして、パスワードのセキュリティチェックができるようにしてあげよう。このエクステンションはk-Anonimityというものを利用して、ユーザーのパスワードを安全にHuntのデータベースで調べる。ユーザーのパスワードがOktaやHave I Been Pwnedに共有されることはない。このエクステンションはしかも、オープンソースだ

〔訳注: 本誌TechCrunch Japanは、この記事で紹介されているエクステンションの絶対安全性を保証できません。試用は、自己責任でお願いいたします。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Facebookの二要素認証がユーザーの電話番号(SMS)を使わないようにできる

Facebookの二要素認証をより安全にするためのオプションが、もうすぐさらに増える。

すなわちFacebookは確認プロセスを単純化して、電話番号の入力を不要にする。同社は今日(米国時間5/24)、Duo SecurityやGoogle Authenticatorのようなサードパーティの認証アプリケーションのサポートを発表し、同時にそのセットアップ過程を簡素化して、それらを容易に使い始められるようにした。

二要素認証(Two-factor authentication, 2FA)は今や広くサポートされているセキュリティ方式で、防御ラインを二重化することによって、通常のログイン認証情報が盗まれても安心できる。第二の防御ラインとしてはSMSからの番号入力がよく使われているが、SIMをハックして別の電話に情報を転送することもありえる。そのハッキング行為はソーシャルエンジニアリング的な手口を使うから、認証用のハードウェアデバイスや、サードパーティのアプリケーションの方がまだ安全だ。

3月には、FacebookのCSO Alex Stamosが、Facebookは二要素認証用の電話番号をスパム行為に利用している、というユーザーのクレームに対して謝罪し、注目を浴びた。同社は、二度といたしませんと言い張ったが、そもそもそれは、ログインに電話番号を利用しなければ起きなかったことだ。

今度の新しいセキュリティ機能は、Facebookの設定ページの“Security and Login”(セキュリティとログイン)のタブで有効にできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Apple、昨年iPhoneのバッテリーを保証外で交換したユーザーに50ドルのクレジットを提供

昨年、保証期間の過ぎたiPhoneのバッテリーを有償で交換した人は、Appleから50ドル[5600円]の返金を受けられるかもしれない。今週Appleは、サポートページでiPhone 保証対象外バッテリー交換クレジットを発表した。対象となるのは正規修理拠点で行われた交換。

今回の措置は、旧モデルのiPhoneでバッテリー寿命を延ばすために処理速度を落としていたことを同社が認めたことを受け、今も続いている補償プログラムの一環だ。昨年末Appleは、この問題をユーザーに告知していなかったことを謝罪し、今後は透明性を高めることを約束した。

その後間もなく、Appleは通常より50ドル安い29ドルのバッテリー交換プログラムを提供開始した。今回のクレジットは2017年中この割引サービスが始まる前にバッテリー交換を行った人が対象だ。

同社は7月27日までに対象者全員にメールを送り、ユーザーのアカウントでクレジットを受け取る手順を通知することを約束した。通知は来ないが対象者であると信じる人は、今から年末までの間に直接Appleに連絡されたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ミスマッチをなくし成果が上がる、エンジニアの採用・評価テクニック——TC School #13

TechCrunch Japanが主催するテーマ特化型のイベント「TechCrunch School」で、2017年3月から5回にわたって人材領域をテーマに開催してきた「HR Tech最前線」。その第5弾となるイベント「TechCrunch School #13 HR Tech最前線(5) presented by エン・ジャパン」が3月22日に行われた。

イベントの前半部分をお伝えした前編に続き本稿では、昨年7月のイベントから2度目の登壇となる及川氏を中心に「エンジニア人材の採用、教育、評価」について話を聞く、パネルディスカッションの後半部分をレポートする。

登壇者は前半と同じく、プロダクト・エンジニアリングアドバイザー(フリーランスコンサルタント)の及川卓也氏とグロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー/Chief Strategy Officerの高宮慎一氏、そしてエン・ジャパン 執行役員の寺田輝之氏。

及川氏は米Microsoft、Googleを経て、Qiitaを運営するIncrementsで勤務した後、現在はフリーランスとしてスタートアップを中心とした企業の支援を行っている。高宮氏は、ベンチャーキャピタルとしてスタートアップに投資をしながら経営に参画する立場。そして「HR Tech最前線」シリーズの全イベントに登壇してきた寺田氏は今回、HR Techサービス提供者であり、スタートアップ成長期の経験者でもある立場から、半ばモデレーター的な役割で参加してもらっている。

ミスマッチをなくすための企業の基準作りと採用プロセス

イベント後半では、まず2017年7月に行われた「HR Tech最前線(2)」でも紹介された、エン・ジャパン調査による、エンゲージメントに関するアンケート結果が取り上げられた。

「中途採用した人材が早期に活躍する(エンゲージメントを高める)ために最も大切だと思われることは?」という設問に対し、圧倒的に多かった回答は「ミスマッチのない採用」だった。この結果について寺田氏は「結局はエントリーマネジメントが大事ということ」と述べる。

「入社後に、企業カルチャーを説明したり、評価で辞めそうな人材を引き留めようとしたりするのは、どのようにしても後の祭り。エントリーマネジメントをしっかりするというのが一番、社員の活躍につながるポイントだ」(寺田氏)

ではエンジニア採用で、ミスマッチのない採用のための仕掛けづくりとは、どのようなものなのか。及川氏に尋ねたところ、企業の基準をきちんと作ることと、基準が候補者に合っているかどうかを確認するための場として採用プロセスを設計することが大事になる、ということだ。

プロダクト・エンジニアリングアドバイザー 及川氏

基準作りについては、エンジニアから企業を見たときの3つの視点で説明があった。1つめはほかの職種と同じく、給料や職場環境、福利厚生などの条件。ただし及川氏によれば、エンジニアの場合、これらの条件の良さへのこだわりは「ほかの2つに比べるとそれほど強くない」という。

2つめはその企業のビジョンに対する評価。エンジニアを採用するということは製品やサービスを提供する、ということになるが「それによって社会がどう変わるのか、人々の生活はどのように良くなるのか。それに候補者がどれだけ共感を覚えられるか」が大事だと及川氏は言う。

3つめは「技術者として面白いかどうか」。技術者として成長していきたいという人にとって、「自分が使いたい技術をその企業が使っている」あるいは「自分が既に持っているスキルをフル活用できる」などなど、人によって価値は違えど、そうした価値観をエンジニアは重視する、と及川氏は話す。

「この3つの部分を『我々の企業はこういうふうです』といかに企業が提示できて、ミスマッチがないようにしていくかが大事」と及川氏は続ける。

「実はこれを言語化できていないことが多い。言語化できていないと、そもそも募集要項にそういった“思い”が入ってこない。かつ、採用プロセスが始まって社員が書類選考し、面談していくときにも判断基準がバラバラになってしまう。結局よくわからない人が入社して、実はミスマッチだった、ということが起こる」(及川氏)

及川氏は「言語化といっても、きれいな言葉にしておかなくてもいい。『どういう人材を我々は迎え入れたいのか』ということを決めておくことが必要だ」と話す。そして「それができたら次に、採用プロセスの場でそれをきちんと確認していくことだ」と続けた。

「採用プロセスというのは、採用候補者が自分たちの仲間として社内に入ったときのシミュレーションをする場だと考えるといい。エンジニアの場合なら、ある機能を開発しようとするときの設計について議論をしてもらう。(その人が入社して)コードを書いたらコードレビューがあって、ほかのエンジニアがそのコードを見ることになる。それと同じことを面接の場でやる。技術的な内容を聞くということが大事」(及川氏)

具体的には次のように進めるとよいそうだ。「候補者の過去のプロジェクトの内容でもいいし、今その企業が抱えている課題を抽象化して伝えるのでもいい。例えば『こんな感じのシステムを作ろうと思っているが、このデータベースのところにアクセスがたくさん集まったときの負荷処理をどうすればいいと思いますか?』とか。入社したらやるかもしれない話を、30分なり1時間なりといった面接の場でしてみるといい」(及川氏)

採用時のコードチェックについて及川氏は「しない会社が多いようだが、Googleでは行っていた」とその内容を説明する。「ホワイトボードに擬似コードでもいいから書いてもらい、それに対してチェックをする。これはもちろん、コーディングスキルやアルゴリズム、システム設計に対する能力を見ているのだが、同時に、社内に入ったときにコードレビューでやるようなプロセスでもある」(及川氏)

コードチェック実施のメリットについて、及川氏は「(コードが)間違っていてもよいのだが、間違っていることを指摘したときにどう答えるかだとか、採用側が出した質問がわからなかったときに、どのように質問を返してくるかといったことを面談の場で見ることによって、求める人材とのミスマッチを面談、採用プロセスの時点で解消することができる」と話していた。

エン・ジャパン 寺田氏

ここで寺田氏から「エンジニアの採用基準を作る際、非エンジニアしかいない場合はどう基準を作ればよいのか」、また「今いるメンバーより良いエンジニアを採用したいときに、現メンバーで採用基準を作るのは難しいと思うがどうすればよいのか」という2つの質問があった。

及川氏は「非エンジニアがエンジニアの採用基準を作ってはいけない」と言う。「どうにかしてエンジニアのスキルを入れない限り、『社会人としては極めて立派だけど……(エンジニアとしてはいかがなものか)』という人が採用されかねない。もちろん仲間として迎え入れるときに技術的な能力以外のところを見る必要もあるので、そこに非エンジニアの方が入ってもらうのはいいと思う。ただ技術者として採用するためには技術軸が必要。自社にエンジニアのマネジャーがいなかったとしても(現場の)エンジニアの意見を入れるなり、外部の方にアドバイスをもらうなりして、技術的な軸を入れるべきだ」(及川氏)

また2つ目の質問に対しては「自分より上の人を入れることができない、その軸が作れない、ということは、採用とは別に、その組織が技術的に欠陥を抱えている可能性がある」と及川氏は答えている。

「今や、クラシックでレガシーな大企業以外であれば、多くの企業のエンジニアは自分の会社の狭いコミュニティだけでなく、外のコミュニティと触れ合っているし、触れ合っていなければ成長はない。首都圏に住んでいれば毎晩のようにどこかでIT系の勉強会もあるし、オープンソースのコミュニティもある。Slackなどでいろいろな意見交換もしているし、技術者の間で話題になるようないろいろなブログもある。外の世界との接点があれば、自分の周りだけでは『どんなエンジニアが優秀であり、どんな人と働きたいか』ということが見えなかったとしても、外を見てわかるものだ。それをある程度、基準として入れていくようにすればいい」(及川氏)

それができないのだとすれば、まず採用の前に自社のエンジニアに「もっと外の世界を見るようにさせてあげる」ことから始めるべき、と及川氏は言う。

評価基準づくりにはリバースエンジニアリング的手法が効く

採用に続いて、エンジニアの評価に関する話題に移った。MicrosoftやGoogleなどグローバルなエンパイア企業とスタートアップ、両方を経験した及川氏に、成長企業で評価制度をどのように設計していけばよいのか、事例も交えて聞いてみた。

及川氏がMicrosoftやGoogleに入社した頃は、現在に比べればまだ小さいが、それでも既に数千人規模の組織。「マネジメントもしっかりしていて、評価制度もかなりカッチリしていた」という。

「職種・職位のマトリックスがあり、それぞれの位置で期待されることがあって、それが何軸かに分かれていて、実際のエンジニアとその内容を比較することによって評価が行われる。360度評価や数階層のキャリブレーションもあって、かなり確立した立派な仕組みだった」(及川氏)

そうした「立派な」制度を、例えばエンジニアがまだ数十人しかいないようなところに導入しようとしても「ヘビーウェイト過ぎて全く機能しない」と及川氏は言う。「逆に評価のプロセスが多すぎて、(本来行うべきことに手が付かず)評価を行う月の生産性が悪くなる、ということになりかねない」

及川氏は、多くの企業での評価基準の作成方法について「企業のビジョン、ミッションからコアバリュー、そして評価基準へと、トップダウンで、コンセプチュアルなベースから落ちてきている」と話す。

そして「それは悪くはないんだけれども、(基準が)あまりにも立派で、技術者としては関係ないものだったり、(良いとされている基準について)全部が丸な人がいたとしたら逆に人間として気持ち悪い、というようなものになっている。そのため、できあがった評価基準を実際には使っていないことが多い」という。

そこで及川氏は「評価基準はせっかく作ったものなので、それはそれとして使えるようにしつつ、エンジニア向けにはボトムアップ型でリバースエンジニアリング的な評価のやり方を、自分が支援する企業には勧めている」ということだ。

その方法を、AIによる画像認識になぞらえて具体的に説明してもらった。「画像認識でネコかネコじゃないかを判定するには、特徴量を抽出していって機械が判定する。それと同じことを評価でやろうとしている。例えば10人のエンジニアがいたら、10人を1から10まで並べてもらう。そして『なぜそのような順位にしたのか』理由を書いてもらう。これを1人がやるのではなく、できれば2人か3人のリーダークラスが、またはドラスティックにやるならエンジニア全員が、自分も含めた周りのエンジニアを全部ランク付けする」(及川氏)

及川氏は「ほかの職種でもそうかもしれないが、エンジニアって『できるエンジニア』がわかる。また『できないエンジニア』もわかる」という。ただし単にランキングのためにこの評価方法を使うのではない。

「順位を並べて書いてもらうときに『なぜか』を書いてもらうと、『この人はコーディングがめちゃくちゃ早い』とか『この人はコードレビューのときに非常に丁寧に教えてくれる』とか『この人は誰も見ていないけれども、お客さんからバグ報告が上がったらすぐに再現テストをし、バグ登録をし、時間があったら直している』といったことが書かれている。全部ができればいいが、これらはだいたいトレードオフ。コーディングが速かったらクオリティーがちょっと落ちてしまうこともあるかもしれない。すると書かれた『なぜか』で、その組織において大事にしていることがわかってくる」(及川氏)

そこで書かれたことをピックアップすることによって、その会社がエンジニアリング組織において、どういうことを大事にしているかがわかる。「これぞまさしく(機械学習でいう)特徴量抽出。それを採用基準のほうにも混ぜていくとよい」と及川氏は語る。

評価するエンジニアの数が少ない場合は、今までに採用面接をしてきた人もランク付けの中に入れてみるとよいそうだ。採用しなかった人を「なぜ落としたか」、理由を見ていくと評価の価値基準に持ってこられるものもある、と及川氏は話す。「そういうのも含めて、コンセプチュアルな評価とリバースエンジニアリング的な評価を混ぜていけばいいんじゃないかな、と思う」(及川氏)

高宮氏は及川氏が紹介した手法を「エース営業マンの行動特性を分析して、それをロールモデルにしていくときと同じやり方だ」と言う。「しかも副次的なメリットとして、キャリアパスが見えるようになる。エースを師匠としたロールモデルにすることで、その先どういうところへ行き着けるか、組織の中で自分がどうキャリアを立てていくのか、先が見えてキャリアプランニングがしやすくなる」と人材の成長にも効果があると、高宮氏は話している。

OKRは個人の評価と連動させてはいけない

ここからは会場の質問に答える形でディスカッションが進められた。最初は及川氏への質問で「OKR(Objective and Key Result:目標と主な結果)を個人の評価に用いるべきか。GoogleではOKRを個人の評価・給与に活用していたか」というものだ。

四半期ごとに目標を設定し、各期末に100%(1.0)を最大値としてスコアを付ける目標設定・管理の手法、OKR。3月に刊行されたばかりのクリスティーナ・ウォドキー著『OKR シリコンバレー式で大胆な目標を達成する方法』の解説も担当している及川氏は、「私はOKRを個人の評価とは連動させるなと言っているし、Googleもそう表明している」と話す。

ただしGoogleでも「OKRを全然見ていないかというと、そういうわけではない。OKRのスコアを評価に直接連動させることをしていない、という意味だ」と及川氏は続ける。

「OKRについてGoogleで言っているのは『ストレッチで(背伸びした)ゴール設定をしろ』ということ。全部できても0.7ぐらいになるようなゴールがよいとされている。スコアが悪かったとしてもそれは個人やチームが悪いのではなく、次回のOKRのプランニングのときの材料にすればよい」(及川氏)

及川氏は「常にアグレッシブなゴール設定にしなさい、という方針なのに、OKRのスコアを評価に連動させるのは無意味」と言う。

また「仮にそういう方針がなかったとしても、もしスコアを成績に連動させようとしたら、人は保守的になる。1週間でできるものを『2週間かかる』という調子で目標設定していけばいいわけだから。で、それをやられてしまったら、事業はどんどんスピードダウンしてしまう」と警告。「そういうことのないように、アグレッシブなゴール設定をしてもらい、スコアを評価に直接連動させない、ということにしている」(及川氏)

もうひとつ、OKRを評価に用いない理由を及川氏は例を使って説明した。「例えばプロダクトのあるKPIを上げたいという話になって、そのために『この機能を入れればよい』と考えた企画側の人がいるとする。その企画にチーム全員が合意して実装し、世の中に出した。ところが機能としてはちゃんと動いているけれども、KPIは上がらない、ということがある。ここでKPIが上がらなかったからといって、エンジニアの成績を悪くするか、というと、そんなことはしてはいけないわけで」(及川氏)

及川氏は「ゴールが達成できたかどうかではなく、会社・チームとして設定したゴールに向かって『あなたは貢献していたか』というところを見なければいけない」と言う。「OKRの方向性に向かって仕事をしていたかということと、その質は見るんだけれども、単純にスコアだけを見て成績に連動させるようなことは、絶対にしてはいけない」(及川氏)

日本でもOKRの導入が進み、及川氏のところにも相談が来るが、OKRと成績・評価を連動させているところは多いそうだ。「連動させたくなる気持ちはとてもわかる。楽だから。でもそれをやっちゃったら、もはやOKRじゃない」(及川氏)

及川氏はOKRを「目標管理の設計であると同時に、むしろ、チームあるいは全社をひとつの方向に向かわせるためのエンパワーのツールだ」と語る。「実際に結果がどうだったかというのはもちろん大事なんだけれども、ダメだったら次にがんばればいいだけの話。みんなの進むベクトルが分散することなく、同じ方向に向かわせるための道具がOKRであって、それができているかどうかをしっかり見ることが一番大事」(及川氏)

グロービス・キャピタル・パートナーズ 高宮氏

ここで高宮氏から、OKRに限らず目標管理と評価との関係性について、人事の“アート”での見方の提示があった。

「OKRでもほかの目標管理でも、まず経営目標や部署の目標があって、個人にブレイクダウンされていく。個人のエンパワーと行動・結果の管理をどこまでやるかというのは、結局その会社のカルチャーや、事業戦略達成のための手段として(目標管理を)どう見ているかによって決まると思う」(高宮氏)

プロセスドリブンでマイクロ管理をするという戦略を持つ会社に向いている事業もたぶんある、と言う高宮氏。「営業ドリブンな会社が、営業の行動一つ一つを管理していて、『訪問数何件、成約何件、リピート何件を、半期で達成しなければ詰める!』というやり方も、戦略としてはあり得る。そういう会社ならば(目標管理と成績を)連動させてもいい」と話す。

一方で「個人の自由に任せて自発的・自主的にやったほうが結果が出る、というカルチャーの会社だったら、絶対連動させない方がいい」と高宮氏は言う。「どこまで個人のマイクロ管理をしていくか、企業の価値観、戦略と連動した部分だと思う

及川氏は「OKRでも個人管理の部分では考え方が分かれる」と述べ、「個人ではOKRを必ずしも作らなくていいと思う」と言う。「OKRを作るのは基本、チームまででいい。個人のOKRは、本人が作りたければ作る、という形で十分。各プロジェクトやチームのOKRには、私は担当者を書くように言っている。自分が担当者になっているものを集めれば、個人としてのOKRができあがる。だから重複するようなものを別に作る必要はない」(及川氏)

また及川氏は「会社の目標とは連動しないけれども自分のゴールを持ちたい」として個人の目標を持つことはよいことで、個人としてのパフォーマンス評価もあるべきだと話している。

「OKRなどの目標管理とは全く無縁に個人の評価というのもあるべき。GoogleでもOKRとは別に自己評価のシートがあり、達成したことを書く。それらは多くの場合は必然的に連動するが、必ずしも連動していなくていい。『OKRにはないけれど、実はこれだけでかいことをやった』というのは奨励されるべき。それを自分の成績、評価してほしい項目として書けばいいし、実際にそれが評価されるということもたくさんある」(及川氏)

それが高宮氏の話した「ボトムアップ的に、自由にやって成果が出る」というパターンにつながる、と及川氏は述べ、「そういう余地もきちんと残しておくということも大事だと思う」と言っている。

高宮氏も同意して「人事の仕組みを作るときには、“遊び”の部分も重要」と話す。

「定義しているものしかこなさなくていい、となってしまうと、組織としてはよくない。また遊びがないと、経営者が戦略的に『誰それを抜擢する』という話もやりにくくなる。遊びの部分が、1%なのか5%なのか10%なのか、というのは人事のアートの部分だけれども、半期先のやるべきことをガチガチに今定義して決めておくというのは、競争環境を100%読み切れば勝てると言っているようなもの。定義しきってしまうと不確実性に弱くなってしまう。管理型でグリグリやるとしても、遊びの部分は大事になる」(高宮氏)

最初のエンジニアはリファラルか、技術がわかる人を味方にして探す

続いて取り上げられた質問は「そもそもなかなかエンジニアを取れない組織が、何とかエンジニアのチームを作りあげるにはどのようにしたらよいでしょう?」というものだ。

「文系でチームを作ったときに、最初のエンジニアはどうやって採ればよいのか」「エンジニアが採用できないときに何をすればよいのか」という課題に対して、どのように取り組めばよいのか。

及川氏は「これは難しい問題。正直言うと、エンジニアとどうにかして知り合いになるしかない」と答えている。

「先ほども挙げたIT系の勉強会のようなところに『自分も勉強したい』といって入り、そこで知り合った人に声をかける、ということをやっている人は多い」と及川氏。ただし「勉強はした方がいいんだけれども、実際、これはすごくエンジニアに嫌われることもある」とも述べている。

「『こいつは明らかにエンジニアをスカウトしに来ているな』という人が最近多いので、勉強会への参加はお勧めするとは言いにくいところ。だが、何らかの形で知り合いにならない限りは誘えないので、誰かと知り合いになるか、知り合いから紹介してもらうなど、最初の一人はリファラルというか知り合い経由でたどっていった方がいい」(及川氏)

また採用エージェントなどの活用について及川氏は「もちろん、それでうまくいっているところもあるので、やったほうがいいと思うが、エージェントに声をかけたとしても、まわりに技術のことがわかる人が誰もいなかったら、たぶん採用の判断すらできない。だからどうにかして、技術がわかる人をまわりに付けないと、ことは始まらない」と話している。

「それこそ私みたいな技術アドバイザーをやっている人もいるので、何かの形でそういった人を見つけるのがいいと思う」(及川氏)

技術顧問については高宮氏からも「最近だと、元ミクシィ、元Viiber CTOの松岡さん(レクター代表の松岡剛志氏)が『CTOたちで作るCTOコンサル/組織構築コンサル』といったことをやっているし、元アトランティスCTOの加藤さん(イロドリ代表の加藤寛之氏)もいろいろなところでアドバイザーをしている」と、スタートアップの技術支援に携わる企業や人の紹介があった。

ここで寺田氏から「技術顧問を付ける、というのは一つの大きな選択だと思うが、その方にどう説明すればよいのか。エンジニアリング部門の方々にとっての『自社の魅力』をどう発見していくか、というのも悩みのポイントだと思うが、そのあたりはどうしていけばよいのか」との問いが投げかけれられた。

及川氏はこの問いに「先ほど話した、エンジニアを引きつけるのと全く一緒」と答えている。「技術的なところではなく、その組織、企業が作ろうとしているサービスや製品がどれだけ魅力的なものかということ、その魅力的なものを実現したいのでエンジニアリング組織を作ろうと思うが協力してもらいたいということを訴えていくしかない」(及川氏)

採用メッセージ発信は飾らず、一貫性を持たせること

最後の質問は、創業期スタートアップ代表の方からで「0から1を立ち上げるフェーズに面白さを感じるエンジニアやビジネスサイドの人に加わってもらいやすいように、事前にメディアやSNS上でコンテンツをためておいたほうがよいのか。発信するメッセージで工夫するべきことや、Tipsはあるか」というものだ。

「僕は酔っ払った次の日に泣きながらTwitterで前日のツイートを消している人なんで、僕に聞くのも間違っていると思うんですが」と答えて場内の笑いを誘った及川氏だが、質問に対しては「やっぱりそういうことは(わざわざ)やってもバレちゃう。人間性だと思うんですよね」と真剣に答えていた。

「普段から自分がどういう人間か、というところが大事。結局5人とか10人の創業期だとしたら、もちろん事業の方向性などもあるけれども、一方で創業メンバーにほれる(ことで人が集まる)。それってもう隠せないところがあるので、自分の思いとかを素直に出していくのがいいと思う。下手にデコレーションしてもダメ」(及川氏)

むしろメッセージを飾り立てておいて、入社してからミスマッチを感じさせることのほうが問題、と及川氏は続ける。「入った後に『SNSではこんなにカッコいいこと言っていたのに、社内に入ったら言ってることと違うじゃないか』となって、ミスマッチが発覚してエンゲージメントができないよりも、自分の本当の思いを生の言葉で出していくのがいいと私は思う」(及川氏)

高宮氏は「創業メンバーに近い4〜5人は、一本釣りで口説くしかない」と話す。「(事業成長に)必要な機能と候補者をリストアップして、営業のパイプライン管理と同じようにシステマチックに会って進捗管理していくことだ。あるスタートアップでは上場直後、毎週経営会議をやるたびに、役員全員が各機能でリストアップした人について『この間メシを食いに行って口説いたけれども、まああと1年はかかるね』というようなことを突き合わせて、パイプライン管理をしていたという話があるぐらい」(高宮氏)

及川氏も「自分たちで採用候補者をリストアップして、それぞれが今パイプラインのどのステージにいて、『この人はまだだ(入社してくれない)けれども3カ月後にはもう一度メシを食いに行こう』、『今度は誰々が行け』というのをローテーションを組んで決めたりするのは普通に行われている」と話している。

高宮氏はこの方法のポイントは「上場するような大企業になったところでも、一本釣りをしなきゃいけないような人は、役員クラスが気合いで口説きに行く、人と人との関係性」にあると言う。

また「最初の4人が集まった後は『4人が4人ずつ集めてこい』という世界になる。その時に一貫性を持たせた方がいい点がある」と高宮氏は言う。

まず高宮氏は「どんなステークスホルダーであっても、何かをコミュニケーションするときにはマーケティングの観点があると思うが、マーケティングの意味とは、大きく見せることではなく、価値あるものの価値を正しく伝えるということ」と述べている。

その上で採用候補者というステークスホルダーに関しては「プロダクトをターゲットユーザーに対して一生懸命マーケティングするのと同様、自分の会社というプロダクトを採用候補者にどう伝えれば、価値がちゃんと正しく伝わるのか。それは間違いなく『報酬が高い』とかいう話ではなくて、『こういうふうに世の中を変えていく』だとか、『こういう面白い事業でチャレンジングな楽しい旅ができる』という話。何を売りにしているのかということを発信し続けていくことが大事」と話す。

高宮氏はまた、発信するメッセージについて「顧客向け、投資家向けなど、どのステークスホルダーに向けるかで微妙に伝え方は変わる。だけどコアの部分はぶれないことが大切」と語っている。

「『顧客向けにはこう言っているのに、採用向けでは逆のことを言っている』となると破綻する。一貫した、会社としての価値を発信し続けるべき。カッコいいけど平易な言葉、というとコーポレートブランディングみたいだけれども、あまり小難しく考えすぎずに自分たちの価値を伝えきることだ」(高宮氏)

及川氏はさらに「高宮氏の言う、一緒に食事をして人を誘ったときに話した口説き文句を、SNS上にも書けばいい」とアドバイスする。

「ロック歌手がステージ上で『俺はお前たちを愛してるんだ!』と全員に愛を語るんだけど、実は目の前の女の子1人を口説いてる、ということってあるわけじゃないですか。それと同じことをやればいい。採用候補者とランチを食いに行ったときに、その人にいろいろと思いを込めて話をする。その後、ちょっと時間が経ってから、その人に向けて話したことをSNSに書いてもいいわけだ。誰に、ということは言わなくていい。『私たちの会社に興味がある人、全員にお伝えしたいのはこんなこと』と言えば、一貫性もあるし、いいかもしれない」(及川氏)

パネルディスカッションの終わりに、5回にわたって行われた「HR Tech最前線」シリーズの締めくくりとして、寺田氏からシリーズ全体を通しての感想を聞いた。

1年前は、HR Techのツールを使う手前の段階、例えば、『データをちゃんと整備しておくべき』といったところから話が始まった。だがその後、皆さんとセッションをしながら、だんだん『大きな課題は、採用のところにあるな』と感じるようになった」(寺田氏)

「今日の2人の話でもそうだったが、採用やHRを考えるときには、人と企業との距離をどう縮めていくのかが重要」と寺田氏は述べ、「エンゲージメントという言葉や採用の広報のあり方を取り上げてきたが、テクノロジーを使って、必要とする人材を惹きつけ、魅力づけし、活躍し続けてもらう事がHR Techの本質の1つだと思う」と語った。

寺田氏はエン・ジャパンが提供する「engage」の採用HP作成などのサービスにも触れ、「自社について、なかなか伝えられない、知ってもらいたいけれども、どう表現していいかわからないということも多いと思う。しかし、何も表現しなかったら存在しないと同じ。自分たちが何をやっているのか、しっかり言語化して発信していくことが、人材を魅力づけし、お互いの距離を縮めるために重要なことだ」と述べた。

「求職者として会社を見たとき、どういう情報が載っていれば自分が不安じゃないか、よりその会社に興味が持てるのか、といった目線で、ぜひ皆さんにも発信をしていってほしい。この1年でも、テクノロジーやツールがたくさん出てきている。いろいろなものをうまく使いながら、自分たちのことを表現していくこと、伝えていくことを意識していっていただければと思う」(寺田氏)

あるVCがファンドの規模を急激に拡大しないワケ――業界の流れに逆行するEmergence Capital

テック業界への投資を強化しようとする機関投資家が増えたことで、シリコンバレーでは実績のあるベンチャーキャピタル(VC)が資金調達で困ることはない。今年の3月にはSECに提出された書類によって、General Catalyst13億7500万ドルのファンドを立ち上げたことがわかった。これは同社の18年におよぶ歴史の中でも最大規模だ。設立から35年が経つBattery Venturesも、今年に入ってから2つのファンドを組成し、合計調達額は同社史上最大だった。さらにSequoia Capitalは、複数のファンドを通して合計120億ドルを調達中だと報じられており、これは同社だけでなくアメリカ中のVCを見渡しても、これまでになかった規模だ。

設立から15年のEmergence Capitalもやろうと思えば彼らのように巨額の資金を調達できただろう。同社はエンタープライズ向けのプロダクトやSaaSに特化したアーリーステージ企業への投資を行っており、その実績には定評がある。Emergence CapitalのポートフォリオにはストレージサービスのBox(上場済み)やソーシャルネットワーキングのYammer(2012年にMicrosoftが12億ドルで買収)、生命科学や医薬業界向けのCRMで有名なVeeva Systemsなどが含まれている。Veevaにいたっては、2013年の上場でEmergenceに300倍以上ものリターンを生み出したと言われている(Emergenceは650万ドルの投資で手に入れた31%の株式をIPOまで保有し続けた上、彼らはVeevaの株主の中で唯一のVCだった)。

そんなEmergenceであれば、第5号ファンドで何十億ドルという資金を調達できたはずなのに同社はそうしなかった。カリフォルニア州サンマテオに拠点を置く彼らは、その代わりに2015年に設立された3億3500万ドルのファンドから調達額を30%だけ増やし、先週の金曜日に4億3500万ドルの投資ビークルを設立した。

先日、Emergenceの共同創業者Jason Greenと話をする機会があった。彼は4人いるジェネラル・パートナーのひとりでもあり、同社の要と言える存在だ。私たちが特に聞きたかったのは、なぜ在シリコンバレーの他のVCのように、前回のファンドから調達額を大きくひきあげなかったのかという点。この質問に対しGreenは「私たちは プロダクトマーケットフィットを目指すアーリーステージ企業のなかでも、一緒に仕事がしやすいコアメンバーがいる企業に絞って投資を行っている」と答えた。このターゲット像が変わっていないため、ファンドの規模も変える必要がないと彼は言うのだ。

とは言っても社内ではいくつかの変化があった。2016年にはKaufman FellowsからEmergenceに移って3年のJoe Floydがパートナーに昇格。なお、Kaufman Fellowsは2年間におよぶベンチャーキャピタリスト育成プログラムを運営している。またEmergence Capital共同創業者のBrian Jacobsは、このたび新設されたファンドにはタッチしないのだという。そこでGreenにJacobsは仮想通貨投資を始めようとしているのか(最近よくある動きだ)と尋ねたところ、彼は「Jacobsはそれよりも慈善活動に取り組もうとしている」とのことだった。

Emergence初の投資先はSalesforceだった。それ以外にも、2016年にServiceMaxをGEへ9億1500万ドルで売却し、昨年にはIntacctをSage Groupに8億5000万ドルで売却。新しい企業への投資は年に5〜7社といったところだ。続けて私たちはEmergenceがどうやってその5〜7社を選んでいるのかという問いを投げかけた。

するとGreenはまず、Emergenceは「テーマを重視している」のだと答えた。そして、同社は設立当初からSaaSやクラウド、ホリゾンタル(業界を問わない)なアプリケーション、そしてエンタープライズ向けプロダクトに特化してきたが、今後は関連分野の中でもう少し業界を絞っていこうとしているとのことだ。最初のターゲットは「コーチングネットワーク」とGreenが呼ぶプロダクト群で、これはエンタープライズ向けの機械学習テクノロジーと読み替えることができる。たとえば彼らの投資先でシアトル発のTextioは、AIを搭載したツールでビジネスライティングの可能性を広げようとしている。また、営業電話の音声を分析し、営業チームにリアルタイムでフィードバックを送るシステムを開発するChorusもEmergenceの投資先だ。Greenがこのようなプロダクトを総称して「コーチングネットワーク」と呼ぶのは、システムが人間を代替するのではなく、人間の仕事のパフォーマンスを上げるための手助けをしているからだという。

またEmergenceは、“デスクレス”労働者にも注目している。デスクレス労働者とは、世界の労働者の80%にあたる、オフィスの外で仕事をしている人たちのことを指す。これは決して新しいトレンドではないが、「早いイニング」だとGreenは語り、関連テクノロジーは「世界中のチームで徐々に浸透し始めている」のだという(急成長を続けるビデオカンファレンスシステム企業Zoomへの投資も恐らくこのカテゴリーに入るのだろう)。

Greenは具体的な投資額については明言しなかったが、従来のVCのようにEmergenceは投資先の株式の20%以上を保有するようにしており、「シリーズAから(イグジットまで)通して」企業をサポートしているのだという。

また最新のファンドで新たに加わった投資家がいるのかという問いに対しては、「財団法人や基金への寄付など、リターンを世のために使うだろうと私たちが信頼できる何社/人かをリミテッドパートナー(LP)に選出した」と答えた。

現在の流れとして、巨額の資金を調達しないことが「だんだんと珍しくなってきている」とGreenは語る。「今は簡単に多額の資金を調達して思いっきり投資できてしまうため、かなりの自制心がいる。そんななかEmergenceはずっと軸をブラさずにいることを誇りに感じている」

結局のところは「自分がやっていて楽しいことがすべて」だと彼は続ける。「私たちは単にお金を賭けているわけではなく、事業に直接関わるのを心から楽しんでいるのだ」

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(翻訳:Atsushi Yukutake