NBCとSnapchatが東京五輪コンテンツ制作で提携

Snapchat(スナップチャット)とNBC Olympicsは、米国のユーザー向けのオリンピックコンテンツ制作で再びタグを組む。今回は、今夏開催される東京五輪のものだ。2社は2016年のリオ五輪と2018年の平昌五輪でもコラボしている。平昌での冬季五輪では4000万人超の米国ユーザーにコンテンツを提供し、この数はリオ五輪から25%増となった。

加えて、そうしたユーザーの95%は35才以下だった。

多くの人が購読型の有料テレビや従来の放送局の視聴をやめ、Netflixのようなオンデマンドストリーミングサービスを利用するコード・カッティングの時代にあって、若い世代に視聴してもらうことは難しくなりつつある。これは広告主の視聴者へのアクセスを制限し、NBCの収支に影響を及ぼす。

この問題を改善するのにSnapとの提携が役立つ。というのも、テレビをさほど、あるいは全く観ない若年層のファンにアクセスしたい広告主から広告を出してもらう方法としてNBC Olympicsを提供できるからだ。今日では、米国の13〜24才の90%がSnapchatを利用している。そして2億1000万人がSnapchatを毎日使用している。

Snapとの提携による、競技に関するカスタマイズされた新たなコンテンツの独占セラーだ、とNBC Olympicsは話す。

今年はこれまでよりも多くのコンテンツを扱う。五輪開催前と開催期間中に、4つのデイリーSnapchat番組で70超のエピソードをリリースする計画だ。この数字は2018年に提供したエピソードの3倍となる。

そして今回初めて、2つのデイリーハイライト番組をSnapchat向けに制作する。これはほぼリアルタイムでアップデートされる見込みだ。この番組にはオリンピックでのその日の必見シーンが含まれる。

加えて、2つの台本なし番組が期間中に放送される。それぞれ1日あたり2つのエピソードを扱う。1つは、平昌五輪でデビューした「Chasing Gold」で、米国選手団をフォローする。もう1つは、Snapchatユーザー向けに精選された最も心に残る場面のデイリーリキャップで、今年初めての試みだ。どちらもNBCUniversal Digital Labがプロデュースする。

今回の提携ではまた、五輪期間中にSnapがデイリーのOur Storiesを精選する。こちらは以前の五輪でも行なった。Storiesにはファンからの写真やビデオ、そしてNBC Olympicsからのコンテンツが含まれる。

「Snapのオーディエンスがオリンピックゲームを好きなことはわかっている」とNBC Olympics会長のGary Zenkel(ゲーリー・ゼンケル)氏は声明文で述べた。「2つの五輪での成功を受け、提携を次のレベルにもっていき、より多くのコンテンツやSnapchatユーザー向けの番組を制作することを楽しみにしている。Snapchatユーザー向けのコンテンツは、若年アクティブ層へのアクセスを模索している多くのNBC Olympics広告主に直接恩恵をもたらすはずだ」。

しかしオリンピックのコンテンツが視聴できるのはSnapchatだけではない。NBCとTwitterは、限定されたライブのイベント放送やハイライト、デイリーオリンピック番組をストリーミングすることですでに提携している。NBCがSnapchatの代わりにTwitterを選んだのか、提携が発表された時点では明らかではなかった。そして今日、そうではなかったことがはっきりした。実際、Snapとの提携はこれまでよりも大規模だ。

これより前に、NBCUはNBCやNBCSN、オリンピックチャンネルなどでも放映される2020年東京五輪の広告売上として12億ドル(約1300億円)超を期待していると述べている。

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(翻訳:Mizoguchi

Tencentが約162億円でノルウェーのゲーム会社Funcom買収へ

売上高で世界最大のビデオ・オンラインゲーム会社の1つTencent(テンセント)は1月22日、その地位をさらに確たるものにするための動きに出た。ビデオゲームConan Exiles(Conanシリーズも)、Dune、その他28タイトルの制作を手掛けたFuncom(ファンコム)の完全買収提案だ。このディールが承認されれば、ノルウェー・オスロ拠点のFuncomの買収額は1億4800万ドル(約162億円)となり、同社は次世代のゲームをめぐる長期的戦略につぎ込む資金を手に入れることになる。

Funcomはオスロ証券取引所に上場していて、取締役会はすでに買収提案受け入れを推奨している。これにより、同社の株価は17クローネ(約206円)となり、前日(1月21日)の終値から27%上昇した。

このニュースはいくぶん興味深いタイミングで発表された。Tencentは大衆市場向けのゲーム売上高でソニーMicrosoft(マイクロソフト)、任天堂としのぎを削っている。しかし今週初め、大ヒットしているソーシャルメディアアプリTikTokを展開しているByteDance(バイトダンス)がゲーム市場参入の準備をしているとの報道があった。

もしこの通りになれば、2社の敵対関係は別のレベルへといく。Tencentはまた、特に自社のメッセージアプリのWeChatを通じてソーシャルメディア業界にもかなりの関心を持っている。多くの消費者が複数のアプリを利用するだろうが、実際にそうなったとき、1つのアプリで金を使うというのは他のアプリでの支出を制約することを意味する。ByteDanceは現在、Tencentのゲームに関係するソーシャルアプリに掲載するコンテンツから収益をあげている。この2社は(当然だが)、部分的にはゲームコンテンツに関連する不当競争をめぐり中国の法廷で争っている。

Tencentはいまや世界最大のビデオゲーム会社の1社だ。直近の四半期決算(昨年11月に発表した第3四半期)で同社は、オンラインゲームの売上高は286億元(約4500億円)で、そのうち243億元(約3830億円)はスマホゲームによるものだったと発表した。

買収と経営支配は同社のゲーム分野における成長戦略の鍵を握る。これまでの大きな案件としては、Tencentは2016年にフィンランドのSupercellの過半数株取得に86億ドル(約9400億円)払った。Tencentはまた、Riot Games、Epic、Ubisoft、Paradox、Frontier、Miniclipなど数多くのゲーム会社にも投資している。そうして投資を受けたゲーム会社も買収を行なっている。ちょうど今月初め、Miniclipがイスラエルのllyon Gamesを1億ドル(約109億円)で買収したことが報じられた(TechCrunchも情報筋に確認した)。Funcomのケースのように、Tencentの投資の一部は少数株だ。大きな視点で見ると、そうした企業はTencentにとって潜在的に買収対象となる。

Funcomに話を戻すと、TencentはFuncomに出資している。KGJ Capital買収という2度目のディールで2019年9月にFuncomの株式の29%を取得した。KGJ CapitalはそれまでFuncomの最大株主だった。

「Tencentは信頼できる長期的投資家として、そしてオンラインゲームでのオペレーション能力で名を馳せている」とFuncomのCEO、Rui Casais(ルイ・カザイス)氏は話した。「Tencentがもたらす識見、経験、知識は我々にとってかなりの価値があり、緊密に連携して引き続き素晴らしいゲームを制作し、またFuncomの輝かしい未来を構築することを楽しみにしている」。

今から考えてみると、この発言はわずか数カ月後にくる買収に向けた基礎準備と両社の関係を示していた。

「我々は最大の株主であるTencentと素晴らしい関係を築いていて、Tencentのチームの一部になることにとても興奮している」とカザイス氏は声明文で述べた。「今後も世界中の人がプレイする素晴らしいゲームの開発を続ける。またTencentのサポートによりFuncomが次なるレベルにいくと確信している。Tencentはゲーム分野におけるリーダーとして幅広い知識を持ち、運用レバレッジや見識をFuncomにもたらすだろう」。

背景には、Funcomが長期的戦略に沿って業務を推進するためには、さならる投資が必要と判断したことがある。買収受け入れを提案する前に出した声明文によると、同社はGaaSビジネスモデルを活用しながら「Open World Survival部門」の構築を続け、2年以内の提供が予定されている野心的なDuneプロジェクトを開発中だ。

「これらにさらに注力するには他のイニシアチブのリソース投入を必要とする。他のイニシアチブを代表するものとしては、当初2020年中のリリースが予定されていた共同制作のシューターゲームがある。このゲームは、その後競争の激化と内部の遅れによる外部からのプレッシャーにより余儀なくされたスコープの変更で大きな影響を受けた」。もし戦略通りに物事が運べば、「Funcomは現在の事業活動であげている売上高を補うためにさらなる資金調達を必要とすることになる」と取締役会は書いている。

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(翻訳:Mizoguchi

位置情報データ分析のPlacer.aiがシリーズAで約13億円を調達

米国時間1月22日、位置情報と歩行者の状況を分析して小売業などのクライアントにデータを提供するスタートアップのPlacer.aiが、シリーズAで1200万ドル(約13億円)を調達したと発表した。このラウンドを主導したのはJBV Capitalで、Aleph、Reciprocal Ventures、OCA Venturesなどの投資家も参加した。

画像: Placer.ai

今回調達した資金は、新機能の研究開発と米国での事業拡大に使われる。

Placer.aiは2016年に創業した。同社のSaaSプラットフォームはクライアントに対し、どこに不動産を借りるかまたは買うか、いつプロモーションを実施するか、どう資産を管理するかなどを判断するのに役立つ、リアルタイムのデータを提供している。

Placer.aiはクライアントがマーケティングや広告支出に関する決定を下す際に役立つよう、歩行者を分析し、さらに消費者のプロファイルも作成する。情報共有を許可しているデバイスからジオロケーションや近接するデータを収集して、こうしたことを可能にしている。Placer.aiの共同創業者でCEOのNoam Ben-Zvi(ノーム・ベン-ツビ)氏は、同社は匿名の集計データを提示し個人を特定するデータを収集しないことで、プライバシーを保護し規則に従っていると語る。また広告やローデータの販売もしていない。

Placer.aiは現在、JLL、Regency、SRS、Brixmor、Verizon(※)、Caesars Entertainmentなど、大型ショッピングセンターを含む小売業、事業用不動産、サービス業のクライアントにデータを提供している。

ベン-ツビ氏はTechCrunchに対しメールで次のように述べた。「これまで我々は事業用不動産の分野に集中してきたが、このことが小売業、サービス業、地方自治体へと(さらに消費財にも)有機的につながってきた。巨大な市場があるとわかったので、我々は核となるオーディエンスの様々なニーズに直接応えるような機能の構築に力を入れている」。

さらに同氏は、オフラインで大規模な事業を展開する小売業にとってはデータ不足が打撃となるが、「このギャップを効果的に解消することで、我々は持続可能な成長を促し、大企業を支援し、小規模な企業のリスクを最小化して積極的な戦略プランを加速させている」と付け加えた。

同様の分野を手がけるスタートアップには、Dor、Aislelabs、RetailNext、ShopperTrak、Densityなどがある。ベン-ツビ氏は、Placer.aiはより多くの種類のリアルタイムデータ分析を提供して差別化したいと語る。

同氏は「位置情報を分析する分野を扱う企業はたくさんあるが、我々は幅広い機能を有するリアルタイムのプラットフォームを持ち、国内のどこについてもアクション可能な深い洞察を提供できる唯一の企業という点で独自性がある」と述べた。

【情報開示】Verizon MediaはTechCrunchの親会社である。

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(翻訳:Kaori Koyama)

レガシー企業のITをクラウドネイティブ&サーバーレス化するTriggerMesh

オープンソースのKubernetesを利用するエンタープライズサービスのTriggerMeshは、企業がクラウドや従来型のデータセンターで動かしているアプリケーションの「サーバーレス化」を支援する。同社はこのほど300万ドル(約3億2800万円)のシード資金を調達した。

このラウンドをリードしたのは、Index VenturesとCrane Venture Partnersだ。TriggerMeshによると「この投資は同社の開発チームを増員して、同社が自称する業界初の『サーバーレス時代のためのクラウドネイティブな統合化プラットホーム』を提供していくために使いたい」という。

同社の2人の創業者である、CEOのSebastien Goasguen(セバスチャン・ゴアスグエン)氏とCMOのMark Hinkle(マーク・ヒンクル)氏は、どちらもオープンソースの世界では名を知られた人物だ。二人の出身地は、ジュネーブとノースカロライナである。TriggerMeshのプラットホームにより企業は、複数のクラウドやデータセンターにまたがるエンタープライズ級のアプリケーションを構築できる。同社によると、サーバーレスというアーキテクチャがもっと普及するには、そこが克服すべき難関だ。

TriggerMeshのプラットホームとサーバーレスのクラウドバスは、「アプリケーションのフローオーケストレーション」(イベントフローのオーケストレーション)を行い、さまざまなデータセンターアプリケーションやクラウドのイベントソースからのイベントを消費して、サーバーレスのファンクションをトリガーする。

それを同社は「クラウドネイティブのアプリケーションはクラウドで大量のサーバーレスの提供物を使うから、TriggerMeshは宣言的なAPIと各種のツールを提供して、モダンなアプリケーションを構成するイベントフローとファンクションを定義できるようにする」と説明する。

特にTriggerMeshがセールスポイントとして強調するのは、レガシーなエンタープライズなどにおけるオンプレミスソフトウェアとの統合化だ。同社のソフトウェアによりSaaSやサーバーレスのクラウド提供物、そしてオンプレミスのアプリケーションへの接続が容易になり、低コストかつ迅速にスケーラブルなクラウドネイティブアプリケーションを提供できる。

Crane Venture Partnersの共同創業者でパートナーのScott Sage(スコット・セージ)氏が声明で「今は膨大な数の非接続アプリケーションがあり、それらはクラウドコンピューティングや増加する一方のネットワーク接続を十分に利用できない。多くの企業にクラウドとオンプレミスのアプリケーションの何らかの組み合わせがあり、さまざまなベンダーからのアプリケーションが増えるに伴い、統合化のニーズが今や限界まで高まっている。TriggerMeshのソリューションはこのニーズに理想的にフィットしており、そのために魅力的な投資対象にもなっている」と語る。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「フォートナイト」が米国の高校と大学の公式スポーツに

世界中で大人気のゲーム「フォートナイト」が、ロサンゼルスを拠点とするスタートアップPlayVS(プレイバーサス)の働きにより、米国の高校と大学に公式スポーツとして導入される。

PlayVSはEpic Games(エピック・ゲームズ)と提携し、リーグ戦形式の対戦を、大学生や高校生を対象に設定した。またこれにより、PlayVSは大学の市場に参入することとなった。

PlayVSは、昔ながらのバスケットボールやフットボールと同等に、eスポーツを高校に導入してもらうという使命のもと2018年4月に創設された。全米州立高校協会と手を組むことで、高校(または父兄、生徒自身)はプレイヤー1人につき64ドル(約7000円)を支払うことでリーグに参加し、一般的なスポーツと同じように他校と試合ができるようになる。

だが、PlayVSの提携相手は、全米州立高校協会(全米大学体育協会の高校版)だけではない。ゲームパブリッシャーそのものとも提携をしている。それがPlayVSを一歩前進させた一助になったと、創設者のDelane Parnell(ディレイン・パーネル)氏は言う。

ほかの企業は、ゲームを軸に有料の対戦リーグを設定しているが、パブリッシャーと直接提携するという形は皆無ではないが非常に希だ。そうしたスタートアップは、ゲームの知的財産権を持つパブリッシャーの一存で潰されてしまう恐れがある。

PlayVSは、世界でもっとも人気の高いゲームのメーカーであるEpic Gamesとの提携を果たした初めての企業だ。またこうしたパブリッシャーとの提携により、PlayVSは、学校や団体の伝手をほとんど必要としない形でその経験を商品化できる。プレイヤーは、ただPlayVSにサインインして、予定されている試合に参加するだけでいい。そしてPlayVSは、その試合から吸い上げた数値データや見識を、プレイヤー、コーチ、ファン、さらには人材スカウト担当者に提供できる。

PlayVSにとって、大学という世界は新しい挑戦になる。高校に拡大したお陰で全米州立高校協会は急速に発展的な成長を遂げた。創設以来、1万3000校を超える高校がPlayVSを通じてeスポーツ代表チームを待機リストに登録している。これは、全国の高校の68%にあたる。PlayVSは、比較対象として、フットボールクラブのある高校は、全米で1万4000校を少し超える程度だと話していた。

全米州立高校協会は全米大学体育協会とつながりがあるものの、公式な提携という形はとっていない。そのためPlayVSは、各大学を個別に訪ねて彼らの技術を売り込まなければならないのだ。だが幸いにも、彼らは世界で一番人気のあるゲームを武器にできる。しかも今は、多くの大学がeスポーツによる奨学金やeスポーツ課程の開講を検討している好機だ。

PlayVSが銀行に相当額の現金を預けていたとしても、それが障害になることはないだろう。設立以来、同社は9600万ドル(約105億円)を調達している。

その他のPlayVSのゲームタイトルとは異なり、フォートナイトの第1シーズンは、登録ユーザーなら無料で参加できる。これはEpic Gamesとの提携による恩恵だ。第1シーズンの登録締め切りは、高校は2月17日、大学は2月24日となっている。シーズンの公式スタートは3月2日を予定している。

参加形式はデュオ。団体は2人1組のチームをいくらでも登録できる。トップになったチームはプレイオフに招待され、5月のチャンピオンシップ出場をかけて戦うことができる。

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(翻訳:金井哲夫)

Google Cloudに秘密データを管理するSecret Managerが登場

米国時間1月22日、Google CloudはSecret Manager発表した。これを利用してユーザーは、APIのキーやパスワード、証明などのデータを安全に保存できる。これによりGoogle Cloudは、ユーザーが単一のツールでこの種のデータを管理し一元化できる場所を提供する。それは高度なIT部門のあるエンタープライズですら往々にして欠けている機能だ。

Googleのデベロッパーアドボケイト(サードパーティーの開発者を支援する役職)のSeth Vargo(セス・バルゴ)氏とプロダクトマネージャーのMatt Driscoll(マット・ドリスコ)氏は本日の発表声明で「多くのアプリケーションが、データベースやAPIキーへのアクセスに本人証明情報を要求している。しかし企業にはデータの複雑怪奇な拡散現象や可視性の邪魔、そして統合化の欠如があるので、秘密データの保護が難しい」と語る。

Googleはすでに秘密情報を管理するオープンソースのコマンドラインツールBerglasを提供している。Secret ManagerとBerglasは相性がいいので、ユーザーは秘密情報をオープンソースのツールであるBerglasからSecret Managerに移し、Berglasを使ってクラウドベースのツールであるSecret Managerからのデータを作ったりアクセスしたりできる。

またGoogleは、暗号鍵を管理するKMSで、管理の完全な鍵管理システムを(他のクラウドサービスと同様)提供している。BerglasとKMSは、互いに補い合う関係だ。Googleも言っているが、KMSは秘密データを保存しない。ユーザーがどこかに保存した秘密データを暗号化するだけだ。そしてGoogle Cloudへの秘密データの保存と管理は、Secret Managerが行う。

Secret Managerには、達等エバ秘密データのバージョンを管理したり監査ログを取るツールもある。Secret Managerにある秘密データは、プロジェクトのグローバルリソースでもあるとGoogleは強調している。競合するツールは、1つのリージョンの秘密データを管理することが多い。

この新しいツールは現在ベータで、Google Cloudのすべての顧客が利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

モノに触れずにつかめるロボ用超音波グリッパー

ロボットが、病院やスマホ修理店などで仕事を手伝う場合、少なくともそっとモノに触れる必要がある。まったく何にも触れずに手伝うということは可能なのだろうか? 超音波を利用して物体を空中に浮遊させて支えるグリッパーを開発した研究者がいる。非常にデリケートな作業にも適用できるものだ。

画像クレジット:Stefan Weiss/ETH Zurich

これは、極めて精緻に制御された周波数と音量で音波を発生する小さなスピーカーの配列で実現されている。それらが、ある種の定在圧力波を発生し、物体を持ち上げる。また、さまざまな方向から圧力をかけることで、その場に静止させたり、動き回らせることも可能だ。

このような「音響浮遊」自体は、そういう言葉もあるように、まったく新しいものではない。あちこちで奇術の類として使われてきた。しかしこれまでは、これといった実用的な用途はなかった。しかし、ETHZürichのマーセル・シャック(Marcel Schuck)氏と彼のチームは、このようなポータブルなデバイスが、小さな物体を非常に優しく保持する必要があるような作業に使えそうなことを示した。

たとえば、小さな電気部品、腕時計やマイクロロボット用の油を塗布した微小なギアやベアリングは、物理的な接触なしに保持するのが理想的。接触すれば静電気を伝えたり、汚れを付着させてしまうことがあるからだ。そのため、そうした作業に使うロボグリッパーは、清浄な状態に保ち、隔離しておく必要がある。しかし、音響による操作なら、汚濁の可能性は大幅に低くできる。

ちょっと不気味な見た目の別のプロトタイプ

問題は、対象の物体を空中に浮遊させるのに、どのような周波数と振幅の組み合わせが適切なのかが、必ずしも自明ではないこと。そのため、この仕事の大部分は、新たな物体に対して、それを扱えるよう簡単に調整できるソフトウェアを開発することだった。それには、回転させたり、ひっくり返したり、ユーザーが意図したように自由に物体を動かせるようプログラムする機能も含まれる。

実際に動作するプロトタイプも完成した。シャック氏は、さまざまな業界にアンケートを実施して、そのようなデバイスが実際に役立ちそうか、役立つとすればどのような用途に使えるのか、調査することにしている。スイスでは、もちろん腕時計の製造は重要な産業であり、部品は小さく、接触に弱い。「たとえば歯車は、まず潤滑油でコーティングされ、その潤滑油の皮膜の厚さが測定されます。ほんのちょっと触れただけでも、その被膜にダメージを与えてしまうことになるのです」と、ETHZのニュースリリースで、同氏は指摘している。

腕時計職人は、そのようなロボアームをうまく活用できるのだろうか? マイクロロボットの設計者はどうだろう? または生化学者の役にも立つのだろうか? 潜在能力があるのは間違いないが、必ずしも用途は明確になっていない。同氏は幸い、そのような疑問を調査するための特別研究予算をいくらか持っている。もしその結果、実を結びそうな用途が見つかれば、来年あたりスタートアップとしてスピンオフしたいと考えている。

(関連記事:傷つきやすい海洋生物を捕獲できる「超優しい」ロボットハンド

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

サーバーレスワークロードの保護とトラブルシューティングを支援するThundra

サーバーレスツールスタートアップのThundra(サンドラ)は、米国時間1月22日に、Battery Venturesが主導する400万ドル(約4億4000万円)のシリーズAを発表した。同社は、2018年に2億9500万ドルでAtlassian(アトラシアン)に売却されたOpsGenie(オプスジニー)から、スピンアウトした企業だ。

画像クレジット: Adrienne Bresnahan / Getty Images

ラウンドにはさらに、York IE、Scale X Ventures、そしてOpsGenieの創業者であるベルケイ・モラムスタファオール(Berkay Mollamustafaoglu)氏も参加した。Batteryのバッテリーのニーラジ・アガルワル(Neeraj Agarwal)氏は、契約条項に基づき、同社の取締役会に参加する。

このスタートアップはまた、最近Ken Cheney(ケン・チェイニー)氏をCEOとして雇い、技術創業者のSerkan Ozal(セルカン・オザール)氏がCTOになったことも発表した。

もともとThundraは、OpsGenieの中でサーバーレスプラットフォームの実行を支援していたツールだ。商用ツールとしてThundraは、AWS Lambdaでのサーバーレスワークロードの監視、デバッグ、セキュリティ保護を支援する。チェイニー氏は、これらの3つのタスクを別のツールとして提供するのは簡単だが、それぞれが互いに何らかの形で関連し合っているために、すべてを一体として提供することには意味があると語る。

「すべてを統合して、アプリケーション内で何が起こっているかをエンドツーエンドで表示します。これがThundraの本当にユニークな点なのです。実際に、絶えず変化するアプリケーションの高レベルの分散ビューを提供し、そうしたアプリケーションのすべてのコンポーネント、それらの相互関係、およびそれらのパフォーマンスを示します。また、ローカルサービスのトラブルシューティングを行うだけでなく、ランタイムコードを調べて問題の発生箇所を確認し、迅速に通知することもできます」とチェイニー氏は説明した。

同氏によれば、これにより、開発者は通常は難しいサーバーレスアプリケーションの非常に詳細なビューの取得が可能になり、インフラストラクチャ自身の基本部分に対する心配を減らすことができるという。そもそも開発者がサーバーレスを選ぶ理由が、アプリケーションにより多く集中するためなのだ。

Thundraの提供するサーバーレストレースマップ。スクリーンショット提供:Thundra

Thundraはこれらすべてを、(サーバーが固定されておらずリソースが一時的なために)問題の特定と修正が難しいサーバーレスの世界で行うことができる。これはAWSのLambda(AWSのサーバーレス機構)レベルに、またはライブラリレベルのコンテナに、実行時にエージェントをインストールすることによって行われるとチェイニー氏は語る。

Batteryのニーラジ・アガルワル氏は、OpsGenieに投資したことで、エンジニアリングチームを知ることができ、彼らがその内部ツールをより広く適用可能な製品に移行させることができることに自信を持つことができたと語る。

「これまでOpsGenieを育ててきた、エンジニアリングチームの品質に関係していると考えています。彼らは非常にマイクロサービス指向であり、かつ製品指向なので、製品の反復開発をきわめて迅速に行います。これは社内のツールでしたが、製品化の価値が高いもので、それをより広範な市場に販売できることに対してとても興奮しています」と彼は語っている。

同社は無料版を提供し、その後、使用量、ストレージ、データ保持に基づいて段階的な価格設定を提供する。現在の製品はクラウドサービスだが、近い将来にはオンプレミスバージョンを追加する予定だ。

メルペイがOrigamiの全株式を取得して完全子会社化

メルカリグループで決済サービスを開発・提供しているメルペイは1月23日、は、キャッシュレス決済サービス「Origami Pay」を開発・運営しているOrigamiの全株式を取得したことを発表した。これにより、Origamiはメルカリグループ入りすることになる。なお、本株式譲渡は2月25日の予定だ。

詳細は追って記載する。

GM傘下の自動運転車メーカーのCruiseがハードウェア部門を強化

10カ月前、Cruise(クルーズ)は昨年末までに少なくとも1000人のエンジニアを雇うと宣言していた。72億5000万ドル(約7950億円)の軍資金を有する企業であっても、スタートアップや自動車メーカーや巨大ハイテク企業が人材の熾烈な争奪戦を繰り広げる業界においては、かなり挑戦的な目標だ。

当時、そしてその後もCruiseは誰を雇うのかは話してこなかった。Cruiseはソフトウェアのエンジニアを狙っていて、認知と判断と操作、シミュレーションとマッピングの専門家を雇い入れ、自動運転車の「頭脳」を作らせるつもりだとの憶測も飛んだ。それも確かに目的のひとつではあった。

GMの子会社であるCruiseは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド、自動車メーカーのホンダ、T. Rowe Price(ティー・ロウ・プライス・アソシエイツ)の支援も受け、現在、1700名の従業員を擁している。そのうち、ソフトウェアエンジニアはかなりの部分を占めている。

Cruiseは、この18カ月間、あまり知られていない活動に着手していた。大規模なハードウェアエンジニアのための部門の設立だ。うまくいけば、ビル1棟を割り当てるほどの規模になる計画だ。現在、その努力の最初の結果は、サンフランシスコのブライアント通りにあるCruiseの社屋地下の拡大を続ける研究室であくせく働いている。

もしCruiseの計画が思い通りに進めば、ビルの地下では収まりきれなくなる。Cruiseの計画に詳しい情報筋によれば、同社は、ブライアント通りのかつてCruiseの本社が置かれていた床面積約1万3000平方mの建物を、ハードウェア部門専用に割り当てるつもりだという。

ソフトウェアエンジニアは、一部がブライアント通りに残るものの、大部分は他の従業員とともにブラナン通り333に移動する。そこはDropboxの本社があった建物で、2019年にCruiseが買い取った。

Cruiseは、ハードウェアチームもソフトウェアチームも、具体的な従業員数を公表していない。現在の求人情報やLinkedInなどの情報を合わせて考えると、ハードウェア専門の従業員は300人以上いると思われる。LinkedInのデータベースを見る限り、少なくともその10%は過去90日以内に雇用されている。

それでもまだ求人は続いている。Cruiseのウェブサイトでは、あと160人分の職が空いている。およそ106名がソフトウェア関連で、ハードウェアエンジニアは35名だ。残る24名は、管理、広報、事務、保安など他の部門のものとなる。

ハードウェア本部

風通しのいい、陽光あふれるダイニングホールとCruiseの試験用自動運転車が保管されたガレージの下で、数百人のハードウェアエンジニアたちが、今の、そして将来の車のためのセンサーからネットワークシステム、演算システム、情報システムにいたるまで、あらゆる開発を進めている。

つまりCruiseは、未来の車を見据えてソフトウェアと同じぐらいハードウェアの開発に積極的になっているということだ。その手作りハードウェアは、サンフランシスコで1月22日の夕方から開かれるCruiseの「Beyond the Car」イベントで初披露される可能性が高い。

Cruiseの価値は、そのソフトウェアに寄るところが大きい。6年前、既存の車に後付けしてハイウェイで自動運転ができるようにするアフターマーケットキットを開発するという計画の下に創設されたときから、Cruiseはソフトウェアの会社だった。

Cruiseの創設当初の歴史に詳しい情報筋によれば、GMのベンチャーチームが2014年の初頭からCruiseに目を付けていたという。しかし、GMとの関係が花開いたのは、Cruiseがアフターマーケットキットを捨てて、市街地で使える自動運転車の開発に方向転換してからのことだ。

そのときCruiseは、ハードウェアとソフトウェアを統合させるためには、もっと高度な専門知識が必要だと気がついた。2015年後半には、GMとの話し合いは事実調査の段階を超えて発展した。そして2016年3月、GMはCruiseの買収を発表した。

GMが親会社となったCruiseは、突然、製造大手の便宜が得られることになった。GMの電気自動車であるシボレー・ボルトEVは、Cruiseが自動運転の試験車両として使えるプラットフォームになった。現在、Cruiseには180台の試験車両があり、そのほとんどをサンフランシスコの公道で見ることができる。

Cruiseは以前からハードウェア・エンジニアを雇ってきた。しかし、ハードウェア開発とシステム統合に力を入れ始めたのは、2018年の初めにCarl Jenkins(カール・ジェンキンス)氏をハードウェア部門副社長として、Brendan Hermalyn(ブレンダン・ハーマリン)氏を自動運転ハードウェアシステムの責任者として雇い入れてからのことだ。

それとほぼ同時期に、GMはCruiseの自動運転車の量産型を製造すると発表した。無人運転で、ハンドルもペダルも人のための操作系もない車を、ミシガン州オライオン・タウンシップの組み立て工場でイチから作るという計画だ。自動運転車の屋根のモジュールはブラウンズタウン工場で組み立てられる。GMは、このミシガン州の2つの工場に1億ドル(約110億円)を投じて生産に備えると話した。GMのオライオン工場では、すでにシボレー・ボルトEVと、Cruiseの第三世代の自動運転車の試験版が生産されている。

その6カ月後、GMは、GMとCruiseが新しい種類の自動運転車を開発するという包括合意の一環として、ホンダが27億5000万ドル(約3020億円)を出資することになったと発表した。

システムズアプローチ

システム統合は、以前にも増して重要になる。Waymo(ウェイモ)でカメラ部門を率いていたハーマリン氏は、システム統合の主要な牽引役の一人だ。

ハーマリン氏がシステム統合に情熱的だという表現は、控えめ過ぎるかも知れない。去年、1時間におよぶインタビューで、彼は繰り返しその言葉を強調していた。整列する試験車両の間に立ち、ひとつのことを力説した。「最もエキサイティングなのは統合です」と。彼はまた、Cruiseの理念とリアルタイムで即応し、安全第一の感覚知覚処理を可能にするシステムを、大きなスケールで製造するアプローチに関するブログ記事も執筆している。

ハードウェアとソフトウェアを統合する能力は、自動運転車の安全運用には不可欠であり、自動運転車を開発する企業はみな同様に追求している。しかし、Cruiseの力の入れようを見ると、ほとんどのハードウェア部品を自社開発しているという事実も相まって、この領域が同社にとって、どれほど大切なものかがわかる。

Cruiseのハードウェア開発の焦点は、センサー、コンピューター処理、ネットワークシステム、通信、インフォテインメント、ユーザーエクスペリエンスと、自動運転技術全般に当てられている。

Cruiseの自動運転車。2019年1月12日、ワシントン州シアトルにて(写真:Stephen Brashear for Cruise)

Cruiseは初期段階の製造を自社で行うが、1社だけですべてをやろうとは思っていないとハーマリン氏は強調している。

「GMとホンダをパートナーに出来て、私たちは幸運でした」と彼は、10月に行ったTechCrunchとのインタビューで話していた。「それらの会社の自動車工学の専門知識を活用でき、さらに開発工程から、その自動運転トポロジーを工場の生産ラインで組み立てられた完成車両に組み込むまでを彼らと共同で進めることができるからです」。

Cruiseの車に搭載されているカメラシステムのバッフルなどは、GMとの提携関係から生まれたごく小さな例に過ぎない。そこでは、自動洗浄システムが開発され組み込まれた。その他、共同開発されたハードウェアには、センサー、マンウト、ライダーの組み込みが容易なバンパーなどがある。Cruiseは、ライダーのスタートアップであるStrobe(ストローブ)を2017年に買収した。

「私たちの目標は、できるだけ早く作ることです。すべてを作ることではありません」とハーマリン氏は後に補足していた。「当然、私たちもサプライヤーに製造を委託します。ひとつひとつ手作りすることに拘束されるゼペット問題を抱えたくないのです」。

昨年10月、TechCrunchがCruiseのオフィスを訪れたとき、地下の研究室は落ち着かない様子だった。部分的にぎゅうぎゅう詰めのところがあり、拡張への準備が始まっていることが目に見えた。

研究所の増築は続いた。ハードウェア・チームはとくにセンサーの開発に集中しており、「ハードウェアの急速な成熟のための少量製造能力」を発揮していると、彼は追伸のメールに書いていた。

「これは、航空宇宙業界で行っているものと、あまり変わりません」とハーマリン氏はそのシステムズアプローチについて語っていた。「しかし、その解決方法に独自性が出るのだと私は思っています。私たちはパートナーたちと共に、そうしたシステムとしての問題を追求し、市場で対処することができます」。

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(翻訳:金井哲夫)

ボーイングがイスラエルのTactical Roboticsと提携して垂直離着陸機技術を開発

Boeing(ボーイング)は、イスラエルに本拠を置くTactical Robotics(タクティカルロボティクス)と新たな契約を締結した。これは、Tactical Roboticsの「Fancraft」ローター格納技術に基づく垂直離着陸機(VTOL)の「開発、生産、マーケティング」に両社が共同で取り組む契約だ。

Urban Aeronautics(アーバン・ エアロノーティクス)傘下のTactical Roboticsはすでに自動運転飛行機の「Cormorat」を開発済みだ。何となくハンヴィー(多目的軍用車両)の面影があるが、CormoratはFancraftローターによって垂直に離着陸できる。オープンローターとは違い、ローターはダクト内に配置されており、気流誘導と、車両周囲の人間への安全性の点で優れている。両社間の新契約では、災害対応など新しい利用方法を想定したCormorantの生産および販売ができないか検討することから始める。

ボーイングとTactical Roboticsの包括的な契約は、広範囲におよぶ可能性があり、有人および自律VTOL航空機の研究開発も視野に入る。この契約はVTOL業界がパートナーシップ、投資、製品化の面で熱くなっていることを示す1つの例だ。

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(翻訳:Mizoguchi

Amazon Musicユーザー数が5500万人超え

eコマースとクラウドの大企業が展開する音楽ストリーミングサービスのAmazon Musicは、SpotifyやApple Musicと競争を展開しているが、1月22日にマイルストーンを達成したと発表した。月15ドル(約1600円)の有料サービスから広告が入る無料のサービスまで、6つの価格設定があるAmazon Musicの利用者が5500万人を超えたのだ。

この数字は、2016年10月にサービスを開始したAmazon Musicにとって力強い成長を示すものだ。しかし消費者を引きつけて購読につながるストリーミングサービスにするという大きなレースにおいては、Apple MusicとSpotifyの後塵を拝している。Apple Musicは昨夏、有料会員が6000万人を超えたと発表した(以来データはアップデートされていない)。そしてSpotifyは直近の四半期のグローバルユーザー数が2億4800万人、うち有料のユーザーは1億1300万人だったと発表している。

TechCrunchから問い合わせているが、Amazonは価格設定ごとのユーザー数を明らかにしていない。もし情報が入ったらアップデートする。Amazonによると、米国、英国、ドイツ、日本で、楽曲5000万曲のHD品質トラックが含まれるAmazon Music Unlimitedを購読するユーザー数が50%超増えた。またAmazon Musicは利用できるがHD品質トラックは提供されていない国としてはフランス、イタリア、スペイン、メキシコがあり、これら4カ国ではユーザー数が2倍超になったとした。ブラジルでも最近サービスの提供を開始した。

「この素晴らしいマイルストーンを達成できたことを誇りに思うと同時に、Amazon Musicに対する顧客の反応に圧倒されている」とAmazon Musicの副社長であるSteve Boom(スティーブ・ブーム)氏は声明文で述べた。「我々の戦略はユニークで、Amazonで行うすべてのことは顧客とともに始まる。我々は他にはない選択肢を常にリスナーに提供することで音楽ストリーミングのマーケットプレイス拡大に注力してきた。というのもリスナーはそれぞれのニーズを抱えていることを我々は知っているからだ。Alexaと、Amazon Music HDを活用した高品質オーディオに投資を続けていて、2020年以降も顧客や音楽産業にさらなるイノベーションをもたらすことを楽しみにしている」。

他のAmazon製品やサービスと同様、Amazonは既存客への組み合わせ販売で音楽を提供している。具体的には、Prime会員になっている人あるいはPrime加入を検討している人向けの提供がある。この組み合わせ販売にはスケールメリットが働く。または、1つの請求書であらゆるサービスを利用できるという利便性に満足している消費者をターゲットにしたものもある。Prime会員向けの割引は有料購読を検討している人にとっては魅力的な蜜となる。

Prime会員では、個人でのUnlimitedサービスの購読を月額7.99ドル(約880円)、年額79ドル(8700円)、そしてファミリープランで割引を受けられる。同様にFire TVやEchoなどデバイス1台に限定して購読する人の月額料金は3.99ドル(約440円)となる。広告が入るサービスには「トッププレイリストと何千ものステーションの無料利用」が含まれるとAmazonは述べた。

ストレージやビデオ、読み物、ゲームなどAmazonのメディアサービスの「まとめ売り」はアップルも追随しているモデルだ。App Storeにあるサードパーティのアプリのものと併せて、自前のコンテンツでも商品を作っている。一方でSpotifyは、音楽やオーディオにより重きを置いたアプローチをとっていて、ビデオなどではユーザーを引き付けていない。直近の四半期決算でSpotifyは、マーケットでの自社の位置とライバルのサービスの影響を次のように語った。

「我々は引き続きこのマーケットで競争することを前向きにとらえている。Appleとの比較では、1カ月で増やしている購読者の数はAppleの数字のおおよそ2倍であることが一般的に利用可能なデータで示されている。加えて、月間使用量も2倍ほどで、顧客が離れる率は半分だ。そのほか、我々の試算では弊社はAmazonよりもユーザーベースを増やし続ける。我々のデータではまたアマゾンのユーザーベースが『プレミアム』よりも『広告入り』に偏っていて、我々のプラットフォームの平均使用量がAmazonの3倍ほどであることもわかっている」。

しかしながらAmazonはこれに反論している。同社の広報は「顧客5500万人の大半は有料サービスを利用している」と述べた。

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(翻訳:Mizoguchi

培養肉開発のMemphis Meatsがソフトバンクなどから176億円超を調達

動物細胞から肉、シーフード、鶏肉を人工的に製造する技術を開発しているMemphis Meatsは、ソフトバンクグループ、Norwest、さらにシンガポール政府が支援するTemasekといった投資家から、新たな資金1億6100万ドル(約176億5400万円)を調達した。

今回の投資を受け、同社の総資金は1億8000万ドル(約197億3700万円)となった。これまでの投資は、Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏、Threshold Ventures、Cargill、Tyson Foods、Finistere、Future Ventures、Kimbal Musk(キンバル・マスク)氏、Fifty Years、CPT Capitalなど、個人および機関投資家から受けていた。

Memphis Meats以外にも、Future Meat Technologies、Aleph Farms、Higher Steaks、Mosa Meat、Meatableといった企業が、培養した細胞から肉を作る技術を探求している。それによって、世界中の森林破壊と気候変動を増長している畜産業を代替することを目指している。

計算生物学、バイオエンジニアリング、材料科学といった領域での革新によって、企業は従来の農業を置き換えることが可能な技術を商業化する機会を得ようとしている。それにより、食品を生産するための二酸化炭素排出量を大きく削減し、非常に豊かな時代をもたらすことができると、投資家たちは期待している。

「誰が最初に製品を市場に供給できるか」という競争は始まっている。

「業界全体にとって、このような規模の投資は、このテクノロジーが、遠い将来の努力目標ではなく、今ここにあるのだという自信を強めてくれるものです。培養肉が、リーズナブルな価格で市販される、という『概念実証』ができれば、さらに関心を集め、この業界への投資も加速するはずです」と、Good Food Instituteの専務取締役であるBruce Friedrich(ブルース・フリードリック)氏は、電子メールで表明している。「これは、まだ非常に新しい業界であり、注意深く見守ることが重要です。培養肉というアイデア自体は、すでに1世紀近く言われてきましたが、最初のプロトタイプが作られたのは、わずか6年前のことなのです」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

マイクロソフトがデュアルスクリーンデバイスの開発ツールをリリース

Microsoft(マイクロソフト)の10月の発表では、同社は1つではなく2つのデュアルスクリーンデバイスを自慢していた。Surface DuoとSurface Neoだ。Surface DuoはAndroidが動き、Surface Neoは「Windows 10 X」と呼ばれる、Windows 10の特殊なフォークが動く、とされていた。

米国時間1月22日、同社はカーテンを少し開けて、デュアルスクリーンのための開発ツールの最初のバッチを披露した。特に、アプリケーションがセカンドスクリーンを何のためにどうやって使うのかについて、ちょっとだけ明らかにした。

Android機であるDuoに関しては前から開発キットが提供されていたが、同社によるとWindowsで動くNeoの開発ツールは数週間後、日付としては2月11日に提供される。

さらに同社によると、これらのデュアルスクリーンデバイスはデフォルトでは画面を一つしか使わない。ユーザーが「span」(広がる)を指定すると、その1つの画面が両方に広がるが、しかし少なくとも現状では、アプリの中からそれを強制することはできない。

アプリが単純に両画面に広がるだけでなく、マイクロソフトは以下のような、2画面の多様な使い方を提示している。

向かって左から、拡張キャンバス、主画面・細部画面、2ページ、二つのビュー、補助画面

マイクロソフトはまた、デュアルスクリーンデバイスのためのウェブの標準的な形を作ろうとしている。例えば、デベロッパーはAPIによりデュアルスクリーンデバイスであることを容易に検出でき、ウェブアプリケーションをそれに適応させることができる。同社によると、Microsoft Edgeのプレビュービルドでは、デュアルスクリーンAPIの初期的なバージョンがもうすぐ提供される。

どちらのデバイスも発売日は確定していないが、どうやら2020年のホリデーシーズンらしい。開発ツールは早く出てほしいものの、画面が2つあるデバイスは少しカッコよくても特別のメリットは感じられない。そのため、このコンセプトを本格的に普及させるには、デベロッパーに2画面の面白い使い方をいろいろ考えてもらうしかない。ちょっと変わったデバイス、ではなく、消費者が「こいつは欲しい!」と思うような使い方を。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleのスマホ使いすぎ防止用新アプリは「紙の封筒」を使う?

2019年10月、Googleはデジタル生活改善を目的とした実験アプリ群を公開し、通知受信箱や端末をアンロックするまでの時間を測定するツール、さらにはスマートフォン上の必要な情報を印刷してそれ以上端末を見なくてすむためのツールなどを紹介した。今回披露された ユニークなアプリ3種は、スクリーンタイムを監視する「スクリーン・ストップウォッチ」、スマートフォンの使用時間をバブルで視覚化、そして「スマートフォンを封筒に入れる」。ちょっと待て、なんだそれは?

Envelope(封筒)はジョークではない。ロンドン拠点のデザインスタジオであるSpecial Projectsが作った最新の創作だ。彼らはすでにスマートフォンの情報を印刷するアプリ、Paper Phoneを開発していて、昨年GoogleがDigital Wellbeing Experimentsプラットフォームを公開した際に発表した。

同社の新作アプリ、Envelopeは、通話を発信、受信したり、カメラで撮影するなどスマホの基本機能だけを使うためのツールだ。ただし、それをそのカスタムデザインされた紙の封筒で実現している。Google Pixel 3a端末用の PDFをダウンロードして印刷し、切り抜いて折ってのり付けする。端末を入れると前面にテンキーがあるので、必要なら電話をかけることはできる。専用アプリがボタンを光らせて紙の上から見えるようにしている。

Envelopeは、どちらかというとデザイン実験であって実用ツールではない。タッチスクリーンは紙越しでも使えるが、端末を1日中紙で包んでおくのは間違いなくものごとを複雑にする。例えば、誰かの電話番号を調べたい時(昨今誰も番号を覚えていないので!)や道順を調べたいときなどなど。しかし、これを使えば封筒を破るまでどれだけ我慢できるかのチャレンジができると思う。

別の新アプリであるActivity Bubblesは、その日にスマホをアンロックするたびに新しいバブルを作る。バブルは端末を使う時間が長ければ長いほど大きくなる。バブルはライブ壁紙に設定できるので、スクリーンタイムをリアルタイムで監視できる。

Screen Stopwatch(スクリーン・ストップウォッチ)は、アンロックするたびにその日どれだけスマホを使ったかを時、分、秒で表示する。これもライブ壁紙にできるので、利用時間が増えていく様子を1日中見ていることができる。

あとの2つのアプリはGoogle Creative Labが開発した。昨秋公開された多数のアプリも同様だ

当時Googleは、Digital Wellbeing Experiments(スマホ使いすぎを防ぐ実験)の目標はデザイナーやデベロッパーが技術を開発する際、常に健全な利用を念頭に置いてもらうことだと説明していた。実験の一部は「かなり独特」(スマホを入れる封筒など)だが、全体としての目的はこれをメインストリームのアプリにすることではなく、スマホやスマホ中毒について人々に真剣に考えてもらうことだ。Googleをはじめとする大手IT企業の多くがこの分野で改善できることを見つけようと力を入れている。「ひと休みしたら」と声をかけて、フィードに「熱中しすぎた」人に注意を促す機能や、スクリーンタイムを減らすためのアプリ、気を散らされる通知を停止したりする機能などだ。

Digital Wellbeing Experimentsプラットフォームは、作品の投稿を受け付けているがサイトに追加される前にレビューがあり数週間かかることがある。アプリは最近のAndroid端末で動作する。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

テスラが3大自動車メーカーのお膝元ミシガン州でまもなく販売可能に

Tesla(テスラ)は、同社車両の販売およびサービスに関してミシガン州と合意に達した。AP通信によると、これで同社のミシガン州を相手取った訴訟は終了する。同州はテスラをはじめとするメーカーが消費者に直接自動車を販売することを禁止していた。この結果消費者は、テスラ車の購入や保守をミシガン州内で行えるようになる。

現在ミシガン州法は、消費者が自動車を購入できるのは契約ディーラーからのみで、自動車メーカーから直接買うことはできないと定めている。自動車メーカーであるテスラは、直営ディーラーを通じて消費者に車を直接販売している。このためミシガン州民がテスラ車を買うにはかなりの難関をくぐり抜ける必要があった。

現在同社は、米国の3大自動車メーカーのお膝元である同州ではごく限られた存在だ。購入希望者はデトロイト郊外の高級ショッピングモールにあるいわゆる「ショウケース」まで出かけなくてはならない。しかもそこにいる販売員は客に車の価格やオプションについてアドバイスすることはできない。さらに、ミシガン州でテスラ車を買った場合、別の州で受け取らなくてはならない。

2016年、同社はミシガン州のやり方に異議を唱えた。その結果、同州で販売・保守ができるようになり、消費者に選択の自由を与えることができた。この合意のもとで同社は、子会社を通じて車両を販売して消費者に届けることができる。ただし、車両は他の州で登録され、新車オーナーはミシガン州で再登録する必要がある。テスラはミシガン州でサービスセンターも開業できるようになる。

Elon Musk(イーロン・マスク)氏この決定を喜んでいるようだ。

イェイ!

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FacebookとInstagramはストーリーの再放送をやめるべきだ

InstagramからFacebookにクロスポストされたストーリーをどちらかのアプリで見たら、もう一方のアプリに行ったときには「既読」になっているべきだ。一度見たストーリーを見るのは時間の無駄だ。

Instagramのストーリーにクロスポスト機能がついてから2年以上になる。それぞれのサービスのデイリーユーザー5億人の膨大な時間が再放送を見るために費やされてきた。FacebookとMessengerはすでにストーリーの既読/未読状態を同期している。クロスポストにInstagramが含まれてから長い時間がたっている。

私はFacebookとInstagramに修正の予定があるか質問した。広報担当者は私に、クロスポストはFacebookどInstagramの異なるユーザーへのシェアを簡単にするために作られたものであり、ストーリーの使いやすさと改善の方法は今後も探求を続けると答えた。しかし、どれほどこれを迷惑であるかにFacebookが気づいているのか、解決策を検討しているのかについては何も言わなかった。

これが解決すると何が起きるのか?ユーザーが新しいコンテンツを見る時間が増え、見てもらえるクリエーターが増え、多くのアプリにストーリーを入れようとするFacebookにとっても無駄が減り侵略的でもなくなる。私があるアプリでストーリーに返信した時、数分後数時間後に別のアプリで同じストーリーを見た時に返信することはない。コンテンツが繰り返されると視聴方法が受動的になり友達との対話が減る。FacebookとInstagramがゾンビ的で不健康であると 強調している視聴方法だ。

この変更の唯一の欠点は、大親友のストーリーを二度目に見るときよりも、新しいコンテンツを見る方が広告インプレッションが減るかもしれないことだ。しかし、利益をユーザー体験に優先させるのは、これもMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏がFacebookの戦略ではないと強調していることだ。

説明を繰り返す必要はないだろう。時間を返してくれ。再放送はやめよう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

会員制の動物病院Small Doorがニューヨーク7番街に正式オープン

会員制の動物病院Small Doorは米国時間1月22日、米国ニューヨーク7番街に正式オープンした。Small Doorは昨年11月から、この場所にソフトローンチしていた。

同社は2019年の4月に350万ドルのシード資金を調達して注目を浴びた。そのラウンドをリードしたのはLerer Hippeau Venturesで、Primary Venture PartnersBrand Foundry Venturesが参加した。また、Flatiron Healthの創業者であるNat Turner(ナット・ターナー)氏とZach Weinberg(ザック・ワインバーグ)氏、Warby Parkerの共同創業者であるDave Gilboa(デイブ・ギルボア)氏とNeil Blumenthal(ニール・ブルメンタール)氏、そしてSweetgreenの創業者であるJon Neman(
ジョン・ネマン)氏、Nic Jammet(ニック・ジャメット)氏およびNat Ru(ナット・ルー)氏らも参加した。

同社は、動物病院に会員制という新しいやり方を採り入れている。その点は、人間のプライマリケアサービスOne Medicalに似ている。

今の動物病院の問題は、獣医の過重労働と低収入だ。そして患者の待ち時間は長く、診療時間は短く、獣医もプロとしての尊厳ある生活を送れない。Small Doorは、会員制の導入によって獣医がペットの患者を診る時間が増え、患者と飼い主の待ち時間が大幅に減ると考えている。

同社は健康的な動物病院にも配慮している。たとえば待合室は広くて、小さな凹みが随所にあり、待ち時間に動物が他の動物の脅威を感じないようになっている。

会費は、サービスの内容によって段階的だ。たとえば月額12ドルの犬の基本メニューでは、当日または翌日診療と専門医への優先アクセス、そして24時間年中無休の仮想ケアが提供される。月額75ドルの特別メニューでは、年2回の健診、重要な予防接種、年1回の血液検査、フィラリアなどの寄生虫の予防と検査と駆除が含まれる。さらに月額89ドルの最高メニューでは、1カ月に一度のノミ、マダニ、フィラリアの予防処置がある。猫には、月額8ドルから74ドルで上と同様のメニューがある。

Small Doorは企業の形態として公益社団法人を選び、獣医とペットの両方が株主だ。今、獣医師の自殺が問題になっている。負債の増大や同情疲労、重労働、飼い主のわがままなどがその原因だ。

創業者のJosh Guttman(ジョシュ・ガットマン)氏によると、ソフトローンチのときには、顧客の55%がミレニアル世代で、70%は女性だったとのこと。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スマートロックをサブスクで提供するビットキーが39億円超の資金調達、ID連携・認証などの基盤も整備

通販サイトで注文した商品が、今日配送できると通知が来た。あなたは配送業者に、配達時間帯の一度きりのオートロック解除の許可を送り、自宅マンションの玄関ドア前まで届けてもらうよう指定する。今夜は楽しみにしていた人気アーティストのコンサートがあり、帰宅は遅くなる予定だからだ。

終業時間になり、オフィスを出る。ライブ会場はオフィスから地下鉄で数駅。駅のゲートは最近、顔認証に対応したので、ゲートを通るだけで運賃が自動的に電子マネーで精算されるようになった。あなたは会場の最寄り駅で降り、コンビニエンスストアに立ち寄る。少し喉が渇いたので、商品の水を棚から取り、店を出た。万引きしたわけじゃない。ここでも精算は顔パスになっているのだ。

コンサートチケットを顔認証とひも付けておいたので、ライブ会場への入場もゲートを通るだけ。スマートフォンの電子チケットを確認して席に着く。と、スマホから軽いアラート音が響く。どうやら1列ズレた席に座ってしまったようだ……。

——こんな感じの未来を、デジタルID連携・認証と権利処理のプラットフォームで実現しようとしているスタートアップがある。独自の「鍵」テクノロジーを開発するビットキーだ。

写真左からビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏、代表取締役COOの福澤匡規氏

スマートロックにちょっと詳しいTechCrunchの読者なら、ビットキーは初期費用ゼロのサブスクリプションモデルで電子錠を提供する、IoTハードウェア企業としてのイメージが強いかもしれない。だが「カギとトビラ」はビットキーがやりたいことのほんの一面に過ぎない。

1月23日、ビットキーはシリーズAラウンドで総額39億300万円の資金調達を、2019年12月末に完了したと発表した。ゴールドマン・サックスをはじめとする10社を引受先とした約34.4億円の第三者割当増資と、りそな銀行、みずほ銀行からの4.6億円の融資が調達金額の内訳だ。2018年8月創業(会社設立は同年5月)の同社の累計調達額は約50億円となった。

シリーズAラウンドで第三者割当増資に参加した企業・ファンドの一覧は下記の通りだ(五十音順)。

  • HHP共創ファンド1号投資事業有限責任組合
    (阪急阪神不動産のCVCファンド)
  • グッドパッチ
  • グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合
  • ゴールドマン・サックス
  • サイバニクス・エクセレンス・ジャパン1号投資事業有限責任組合
    (CYBERDYNE子会社のCEJキャピタルが運用するファンド)
  • 新生ベンチャーパートナーズ1号投資事業有限責任組合
    (新生企業投資が運営に関与するファンド)
  • フルタイムシステム
  • マーキュリア・ビズテック投資事業有限責任組合
    (マーキュリアインベストメントが伊藤忠商事と共同組成したファンド)
  • 31VENTURES Global Innovation Fund 1号
    (三井不動産が運営するCVCファンド)
  • 他1社

物理扉+デジタル上のカギ認証・ID連携も支える「鍵テック」

2019年4月にビットキーが発売を開始したスマートロック「bitlock LITE(ビットロック ライト)」は、初期費用なし、月額300円(年間一括払いの場合・税別)の低費用のサブスクスタイルとしたことが功を奏し、9カ月で12万台を受注。国内でのシェアを一気に拡大した。

また、同社のコアプラットフォームで、bitlock LITEをはじめとする「bitlockシリーズ」にも応用されている、ID連携・認証と権利処理のデジタルキー基盤「bitkey platform(ビットキープラットフォーム)」は、2019年2月にプロトベータ版が発表された後、開発が進み、12月には正式版が公開されている。

ビットキー代表取締役CEOの江尻祐樹氏は、bitkey platformを「安全で、便利に、気持ちよく、鍵の共有やID連携・認証、権利の受け渡しができるようにする基盤」と説明する。技術的には各種のP2P・分散技術や暗号化技術を組み合わせて開発されているbitkey platformだが、「何に使えるか」を説明した方が分かりやすいだろう。

「カギとトビラ」の領域では、bitkey platformは自宅やオフィスなどの出入りのほかに、自宅不在時の配達や家事代行業者の入室、不動産の物件のセルフ内見、民泊など宿泊施設の鍵システムなどに応用できる。ここまでは他社の提供するスマートロックでカバーできる範囲でもあり、想像も付きやすいところだ。

さらにbitkey platformでは、物理的な「トビラ」を開くだけでなく、デジタルな認証によりセキュリティのゲートを開くID認証、各サービスのIDをセキュアにつなぐID連携と、ユーザーの持つ権利を安全・正当に保証・移動する基盤としての利用が構想されている。具体的には、金融取引でのID認証とセキュリティの強化、クルマや交通機関などのモビリティや買い物での利用、チケット購入者の本人確認などへの応用が考えられている。CES 2020でのトヨタによる発表で話題となったスマートシティも、ID連携・認証が活用できそうな舞台のひとつだ。

「bitkey platform」の4つの機能

今回の調達資金について、江尻氏はまず「bitlockシリーズをあらゆる扉に物理的に広げていくために、セールス、マーケティング体制の強化を図る」と使途を説明している。サブスクリプションモデルで提供するbitlockのカスタマーサクセスおよびサポートを充実させるため、人材やシステム、仕組み面も強化していくという。スマートロックのプロダクトそのものについても「9カ月の展開でノウハウが蓄積してきた」として、「ハードウェア面でも、ソフトウェア面でも、さらに開発を進める」と江尻氏は述べ、「2020年中にbitlockシリーズの受注台数100万台を狙う」と話している。

さらにビットキーでは、bitkey platformを活用できるような事業者を対象にした、提携先の拡大も重視している。「(デジタル完結型の)SNSが勃興した2000年代に比べて、2010年代は、AirbnbやUBERなどのシェアリングエコノミーをはじめ、入口はデジタルで出口がリアル、というサービスが広がった時代だった。今後一般にもこの流れが広まると見ている。不動産会社やECサイトなどで、入口がデジタルなサービスを展開する企業をパートナーとして連携し、bitkey platformをリアルの出口につなげるID連携・認証のハブとして提供するため、研究・開発も進めていきたい」(江尻氏)

bitkey platformはプロトベータ版公開以降、国内外から想定以上の引き合いがあり、正式版リリースから1カ月ほどだが「既にかなり多くのパートナーが決まっている」(江尻氏)とのこと。今後、システムやオペレーション体制を整えて、連携を実装していくと江尻氏は述べている。

その他、スマートロック開発の中で採用しようとしている、顔認証などの生体認証についても研究・開発がなされているところだと江尻氏。「生体認証は個人情報の固まり。システムなどを整備して情報保護に強い仕組みを作ろうとしている。これができれば、KYC(Know Your Custmer:顧客の本人確認)についてもbitkey platformで、ID認証とeKYCの仕組みを入れて実現することができる。チケット認証のためのスマートIDなどについては、数カ月で実装したいと思っている」(江尻氏)

「データセラーはやらない」「強者総取りは目指さない」

江尻氏は「初期費用ゼロのbitlockばらまきが注目されがちだが、ビットキーは創業以来、最初からBtoBに力を入れてきた企業だ」と語る。「社会インフラとしてのデジタルキープラットフォームを展開するために、強い営業力で取り組み、事業提携を実現してきた」(江尻氏)

toBでの強さの実例として江尻氏が挙げたのが、集合住宅のオートロックを解除できるbitlock GATEの普及ペースだ。2019年7月、月額2000円からの定額制で発売されたbitlock GATEは、既に数千を受注しているという。「販売数が数万レベルになれば、オートロックを顔認証で開くことも実現できるようになるだろう」(江尻氏)

競合について江尻氏は、アメリカのAmazonで不在配達の課題を解消するために取り入れられたスマートロック「Amazon Key」など「局所競合はある」というが、「いずれもオープンな取り組みではなく、エコシステムやプラットフォームの一部が被っているだけ」と話している。そして「ビットキーでは、それぞれの入口となるサービスを倒すつもりはない。またパートナーが別のパートナーと組んでもよいと考えている」として、各サービスと手を結び、そのハブとしての役割を担いたいとの考えを強調した。

スマートID、スマートシティの行き着く先として「スマート国家」のようなものも考えられる。実際、日本でも出入国審査で顔認証が導入されたし、中国では顔認証その他の生体認証によるIDチェックが広がっている。ただ、その活用が「政府、または企業によるプライバシーの把握、管理」にまで及ぶと、ディストピアっぽい気持ち悪さが拭えない。

江尻氏は「データセラーはやらないと決めているし、社内にもそれを徹底している」とビットキーのポリシーを宣言。今後もこのポリシーは貫くつもりだ、と述べている。加えて「サービサーをインフラ(プラットフォーム)に従わせるのは良くないと考える」とも話している。「強者総取りでなく、緩くつながることを目指す。1社による囲い込みではなくオープンにすることで、サービス提供者は互いの許諾さえあれば連携でき、コントロール権はそれぞれにある形が作れる。これなら、国をまたいでも連携がしやすくなる」(江尻氏)

この考え方はハードとして提供するスマートロックにも及んでいる。「bitlockシリーズも良いものにしたいとは考えているし、そのための開発もしているが、ビットキーのベースはそこではない。僕らとしては他社とも組んで、プラットフォームを提供したいと考えている。パートナリングが進めば進むほど、ネットワーク外部性が効いてきて、事業者間の連携も作りやすくなる。そこで各社をブリッジする存在になりたい」(江尻氏)

月商は2億円規模、会員数8万人のパーソナライズシャンプー「MEDULLA」が丸井などから6億円調達

Spartyのメンバー。前列中央が代表取締役CEOの深山陽介氏

パーソナライズシャンプーのD2Cブランド「MEDULLA」を手がけるSpartyは1月23日、丸井グループ、XTech Ventures、アカツキ、ジンズホールディングスを引受先とする第三者割当増資により総額で約6億円を調達したことを明らかにした。

今回の資金調達を機に体験型店舗の運営やサロンとの提携など、オフライン展開を加速させていく計画。現在期間限定で有楽町マルイ1階にオープン中の店舗を3月1日より常設店舗として再オープンするほか、新たな店舗も開設していく予定だ。

なお今回の調達先は丸井グループを除いて全て既存投資家。SpartyではこれまでXTech、アカツキ、ジンズの3社に加え、サティス製薬やアイスタイル、赤坂優氏から資金調達を実施している。

「パーソナライズ×スマホUX」で急成長、会員は8万人突破

Spartyは2017年7月に博報堂出身の深山陽介氏(代表取締役CEO)らが立ち上げたスタートアップ。2018年5月よりユーザーの髪質や香りの好みなどを踏まえたパーソナライズシャンプー・MEDULLAの提供を開始している。

情報通の人は知っているかもしれないけれど、2018年にはOEM先のトラブルにより商品回収を行うなど一時は売り上げがほとんどない危機にも陥った。そこからサティス製薬と資本業務提携を結び、同社と協業する形で2019年4月に全面リニューアルを実施。同年11月からはヘアオイルの販売も始めた。

深山氏によると特に昨年の秋口以降、事業が一気に伸びたそう。現在会員数は8万人を超えるまでに成長し、2020年1月の月商は2億円近くを見込んでいるという。

プロダクトの特徴は「パーソナライズ×スマホUX」だ。MEDULLAはオンライン上で9つの質問に回答するだけでカルテを発行し、約3万通りの中から各ユーザーにカスタマイズしたレシピでシャンプーとリペアを製造する。

ユーザーはスマホをタップしていくだけで自分に合った納得感のある製品を手にすることが可能。フィードバックを送ればより自分に適した形へ処方を改善していくこともできる。

MEDULLAでは自分の髪質やなりたい髪など、9つの質問に対してスマホ上の画面をポチポチタップしながら回答していくだけで、自分に合った処方箋が作成される

質問回答後の画面

日本には1万種類以上のシャンプーが存在すると言われ、店頭やWeb上に様々な商品が並んでいる状況において自分に合ったものを見つけるのは大変だ。深山氏は「思考停止時代のUX」という表現もしていたけれど、実際に「いろんな商品を試したけど、どれがいいのかわからない。自分に本当に合ったものが手軽に手に入るならお金を払いたい」と考えるユーザーは多いという。

「美容はそうとう曖昧なものだと思っている。データだけでその人が本当に喜ぶものを提供できるかというと、その時の環境や気分、体験によっても大きく左右され難しい。だからこそデータで最適なものを提供することをベースにしつつも、ユーザーにデジタル起点でしっかりと寄り添い、曖昧な悩みを一緒に形にする。そしてずっと同じものではなく商品をどんどん変え、『サービス』にしていくことを大事にしている」(深山氏)

プロダクトを多くの顧客に届けるという観点では、Spartyは初期からサロンとの提携にも力を入れてきた。現在150店舗を超える提携サロンでは美容師が無料で髪質や頭皮の状況を診断し、MEDULLAを体験してもらった上で興味を持ったユーザーに販売する「体験型販売」を実施している。

ユーザーは美容師の診断を受けた上で実物を試してから購入できるのがメリット。通常通りユーザーのスマホを使ってオンラインで購入手続きをするため、サロン側は在庫を抱える必要がなく始めやすい。販売できると定期的にマージンが得られるので収益アップにも繋がる。デジタルを起点にサロンのビジネス構造をアップデートする取り組みと捉えることもできるだろう。

MEDULLAにとっても顧客とのタッチポイントが増えるだけでなく、“認知されてはいるものの購入には至っていなかった顧客”の背中を押すスイッチにもなりうる。

美容品ということもあり「実際に香りを試したい、対面で話を聞いて確認してから購入したいというニーズも一定数ある」(深山氏)ため、サロンはそのための場所として効果的。サロン経由で購入した顧客は翌月以降の継続率が高く、良質な顧客との接点になっているようだ。

サロン連携と並行して取り組んできたオフラインの自社店舗についても狙いは近しい。有楽町マルイ内の期間限定店舗では専任スタッフが無料でヘアカウンセリングや頭皮診断を行うほか、ヘアオイルを無料で使用できるブースを用意。ギフト用単品販売など店頭限定商品なども扱い、オンラインとオフラインを融合させたデジタルネイティブな体験型店舗として運営している。

丸井グループとの協業などでオンライン展開加速へ

今回の資金調達は上述してきた取り組みを加速させ、事業をさらに成長させていくことが大きな目的となる。直近では特に「店舗」「サロン」「人を起点としたブランド」の3つが注力ポイントだ。

店舗に関しては「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げる丸井グループとの協業を軸に、体験型店舗を広げていく計画。3月1日スタートの有楽町マルイの常設店のほか、渋谷ヒカリエ ShinQsや阪急うめだ本店などでも期間限定の店舗を開設する予定だ。

同時に提携サロンの拡大にも引き続き力を入れ、2020年に1000店まで増やすことを目指すという。

もう1つの人を起点としたブランドの構築は若干ベクトルが異なるが、深山氏いわく「消費財版のBASE」のような世界観を実現したいとのこと。MEDULLAと同様のフローで3万通りの中から処方を選び、デザインを変更した上で“自分のブランドとして”商品を簡単に製造販売できる仕組みを作る。

すでに先日より第一弾としてアーティストの伊藤千晃氏とタイアップしたシャンプートリートメントセットの販売を開始。このような事例を今後も増やしていく方針だ。

MEDULLAを最初にローンチしてから1年半以上が経過し、同サービスはもちろんマーケット環境にも様々な変化があった。近年はパーソナライズヘアケア商品も盛り上がってきていて、参入障壁自体はそこまで高くないこともあり、ボタニストやユニリーバなども昨年からこのビジネスに参入している。

そのような環境において深山氏が今後ビジネスを一層スケールさせていくためのポイントにあげていたのが、店舗やサロン、人起点のブランドを含めた「強固なチャネルを構築すること」だ。

「化粧品メーカーの歴史を紐解くと、それはチャネルを作ってきた歴史でもある。もちろんブランドも大事だが、チャネルを構築してそこにブランドを流せる土壌を作ってきた企業がビジネスを拡大してきた。今は様々なチャネルをデジタル起点で変革できるタイミングが訪れていて、自分たちもまさにそこに取り組んでいる」

「要はこれまで店舗にしてもサロンにしてもオフラインからオンラインが主流だったところを、『オンライン起点でいかにオフラインを最適化していくか』考えて体験を設計していくということ。パーソナライズ×スマホUXを軸として、チャネルに投資をして土台を作る。製造も含めたバリューチェーンを磨いていくに力を入れる」(深山氏)

まずは化粧品領域から「パーソナライズ×スマホUX」のモデルを広げていく方針で、今年の春頃を目処にスキンケア商品も販売する予定。ゆくゆくは化粧品以外も含めて、いくつかのブランドを保有するD2Cホールディングスを目指していきたいという。