グーグルがスマートホームセキュリティ企業のADTに470億円超を投資、Nest製品群との連携を計画

ADT

Google(グーグル)は米国時間8月3日、フロリダ州に本社を置くセキュリティとスマートホームソリューションを提供するADTの株式を6.6%取得するため、同社に4億5000万ドル(約477億円)を投資することを明らかにした。

長期投資の一環として、両社は次世代のスマートホームセキュリティの提供に取り組む(ADTプレスリリース)。グーグルは、自社のNestのハードウェアとサービスをADTのDIYや専門家が設置したスマートホームセキュリティソリューションと統合し、個人消費者や中小企業により良いサービスを提供する計画だ。

今後両社は、共同マーケティング、製品開発、技術や従業員教育への投資のためにそれぞれ1億5000万ドルを投資することを約束している。

ADTはブログ記事で「このパートナーシップは、グーグルの機械学習技術を搭載した受賞歴もあるNestのハードウェアとサービス、ADTのサービスや専門的な監視ネットワークなどを組み合わせて、米国全土の顧客のためのより便利なスマートホームと統合された体験を提供します」と説明している。ADT社の株式は、この発表を受けて市場前の取引で38%急騰した。

Nest部門のGM兼副社長であるRishi Chandra(リシ・チャンドラ)氏は声明で「家庭に役立つデバイスを構築するという当社のミッションをさらに進めるために、ADTとパートナーを組むことに興奮しています。ADTはスマートホームセキュリティのリーダーです。誰もが安全で守られていると感じられる革新的なスマートホームセキュリティソリューションを生み出すために、ADTチームと一緒に働くことを楽しみにしています」と述べている。

画像クレジット: ADT

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(翻訳:TechCrunch Japan)

名門VCのSequoia CapitalにRevolutの元製品担当者が入社、欧州拠点の2人目のパートナーに

George Robson

シリコンバレーのベンチャーキャピタル(VC)であるSequoia Capital(セコイアキャピタル)は、同じくVCのAccelのロンドンオフィスからLuciana Lixandru(ルシアナ・リキサンドル)氏を採用した後、最近ヨーロッパに拠点を構えた。そして2人目のヨーロッパのパートナーとして、金融スタートアップのRevolutでプロダクトリーダーを務めるGeorge Robson(ジョージ・ロブソン)氏を採用した。同氏のTwitter投稿で判明した。

ロブソン氏は、英国の学生が運営するアクセラレータープログラム「Kickstart London」の共同設立者であり、Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)でアナリストとして働いていた経験もある人物だ。先週Twitterで急成長中のSequoia Capitalの欧州事業に参加したことを発表した。

同氏はツイートで「Revolutで世界初の真のグローバル金融スーパーアプリを構築した聡明な頭脳の持ち主たちと3年ほど働いた後、次の行動に移す時が来ました。8月下旬にヨーロッパのパートナーとしてSequoiaに入社することになり、とてもワクワクしています。2つ目のツイートでは、「ヨーロッパにはこれまで以上に多くの機会とイノベーションがある」と続けた。

同氏はRevolutで、ネオバンクの有料銀行口座であるRevolut Premiumのプロダクトオーナーを務めていた。LinkedInには、Revolutのサブスクリプション製品チームに最初に採用された人物と記載されており、製品、エンジニアリング、プロダクトマーケティング、戦略的パートナーシップになど複数の業務を統括していたようだ。そのほか、「Revolut Metal」の立ち上げを含むRevolutのリテールプランや、コンシェルジュ、スマートトラベル、保険、ギフト機能を含む複数のサードパーティとの統合を含むロードマップの作成にも参画した。

ロブソン氏は8月24日に正式にSequoia Capitalに入社し、アーリーおよびグロースステージの企業への投資を担当する。同氏はロンドンに拠点を置き、欧米のVCチームと緊密に連携して業務を進めていく。

繰り返しになるが、ロブソン氏はSequoia Capitalの欧州初のパートナー採用を経て同社に加わった。一方のリキサンドル氏は、Accelから引き抜かれた人物で、UiPathのシリーズAラウンドをリードしたことでよく知られているほか、Deliveroo、Miro、Tessianなどヨーロッパで成功を収めているスタートアップとともに働いている人物だ。

画像クレジット:YouTube

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(翻訳:TechCrunch Japan)

コンテンツマーケティング初級講座 / メディア運用を制する3つのポイント

こんにちは。バズ部広瀬です。 9月にコンテンツマーケティング入門者向けの新セミナー開催が決定いたしましたのでそのお知らせです! 今回の講座タイトルは コンテンツマーケティング初級講座/メディア運用を制する3つのポイントで […]

Disrupt 2020の早期割引は8月8日(土)まで

初期段階スタートアップの厳しい競争の世界でさえ、一定数の先延ばし屋、怠け者、のんびり屋、優柔不断、そして土壇場まで決断を下せないひとがいる。もしあなたがそうした属性の方なら、良いお知らせだ。

米国時間9月14日から18日にかけて開催される、Disrupt 2020への早期割引の申し込みの締め切りが、延長された。先延ばし屋の守護聖人Saint Expeditusのおかげだ。新しい締め切りの米国時間8月7日午後11時59分(PDT)(日本時間8月8日(土) 15時59分)までにパスを購入すれば、最大300ドル(約3万1700円)を節約できる。祈りや願いは届くものだ。

パスを買うことで、これまでで最大かつ最長の、TechCrunch Disruptへの5日間の扉が開かれる。世界中から何千人もの参加者と、何百社ものイノベーティブな初期ステージスタートアップを世界中から引き寄せるこの会議以上に、ビジネスのスピードを加速するための良い時間、場所、機会は見つけられないだろう。

Disrupt 2020に参加すべき、4つの世界クラス理由を以下に示そう。

世界クラスの登壇者:Disruptのどのステージでも聞くことができる、テクノロジー、ビジネス、投資の世界での最先端の意見を、是非聴いて欲しい。Sequoia CapitalのRoelof Botha(ロエロフ・ボサ)氏、UreekaのMelissa Bradley(メリッサ・ブラッドリー)氏、SlackのTamar Yehoshua(タマル・イェホシュア)氏といった人たちは、登壇者のほんの一例だ。登壇予定者はこの特集ページで随時公開していくのでチェックして欲しい。

世界クラスのスタートアップ:TC Top Pickを含む、Digital Startup Alleyに出展する何百ものイノベーティブなスタートアップたちをご覧いただきたい。この精鋭集団は、私たちの厳格なスクリーニングプロセスを経て、この栄誉ある場所にやってきた。これ以上に多彩で興味深いスタートアップたちに会える機会は滅多にない。

世界クラスのネットワーキング:AIを利用したネットワーキングプラットフォームであるCrunchMatchは、創業者、潜在的な顧客、R&Dチーム、エンジニア、投資家同士の出会いを、より簡便なものにする。1対1のビデオ会議をスケジュールしたり、採用または拡張ピッチセッションを開催したりして欲しい。CrunchMatchは、Disruptの数週間前にリリースされるので、スカウト、詳細調査、スケジュールのための時間をたっぷりとることができる。

世界トップクラスのピッチング:TripIt(トリップイット)、Mint(ミント)、Dropbox(ドロップボックス)などの大成功企業を含む、900を超えるスタートアップがこれまでに競い合った、壮大なピッチコンテストのStartup Battlefieldをお見逃しなく。今年のスタートアップたちが、名誉と10万ドル(約1060万円)の賞金を掴むために、本気の勝負にでることは間違いない。

これでもまだ参加理由が足りないだろうか?SIMBAチェーンの創業者である、Joel Neidig(ジョエル・ネイディグ)氏の戦略ブックの中から以下の文を引用しよう:

私たちの第一の目標は、人々にSIMBAチェーンプラットフォームの機能を知ってもらうことでした。Disruptに参加することは、あなたの名前を広め、顧客基盤を構築するための素晴らしい手段です。

先延ばし屋でなかなか動けないあなたにとって、これが300ドル(約3万1700円)を節約する最後のチャンスだ。米国太平洋時間8月7日の23時59分(日本時間8月8日(土) 15時59分) までにパスを購入して欲しい

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(翻訳:sako)

ポンペオ米国務長官が「米国はTikTokと他の中国のハイテク企業に対してまもなく行動を起こす可能性がある」と発言

ドナルド・トランプ大統領がTikTokを米国から追放するために執行命令を使う可能性があると発表した数日後、Michael Pompeo(マイケル・ポンペオ)国務長官は、トランプ政権は「解決策に近づいており、まもなく大統領の発表があるだろう」と述べた。

ポンペオ氏は、Fox News(フォックス・ニュース)の「Sunday Morning Futures」ホストのMaria Bartiromo(マリア・バーティロモ)氏のインタビューで、トランプ政権が米国でビジネスを展開しているほかの中国のテック企業に対しても行動を起こす可能性があると述べ、一部の企業が「中国共産党に直接データを供給している」と主張した。

TikTokの運営元である中国・北京拠点のByteDanceは現在、米国および他の数カ国でのTikTok事業を売却するためにマイクロソフトと交渉中だ。トランプ政権が人気アプリに関する発言をエスカレートさせていることから、この交渉はここ2週間でさらに緊急性を増している。

マイクロソフトは米国時間8月2日、9月15日までに米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドのTikTokの事業を買収するための協議を行っていると述べ、同社の最高経営責任者(CEO)であるSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏がトランプ大統領の安全保障上の懸念についてトランプ氏と話し合ったと述べた。

ロイター通信は先週、ByteDanceが米国のTikTok事業の少数株を保持することを希望していたが、完全にマイクロソフトに支配権を譲ると報じた。

特に注目すべきは、マイクロソフトは声明の中でインドについて言及していないことである。Steven Mnuchin(スティーブン・ムニューシン)財務長官は米国時間7月29日、TikTokが米国外国投資委員会(CFIUS)の審査中であることを明らかにした。CFIUSは現在、ByteDanceが2018年買収したMusical.lyとTikTokとサービス合併が国家安全保障上の脅威に該当するかどうかを調査している。

売却すれば米政府をなだめるのに十分なのかと、ホストのバーティロモ氏に質問されたポンペオ氏は、トランプ政権は「我々が行ってきたすべてのことが、米国民のリスクをゼロに近い状態に追い込むようにする」と述べた。

しかし、共和党議員の中には「売却だけでは十分ではない」という意見もある。上院情報委員会の委員長であるMarc Rubio(マーク・ルビオ)氏は先週、フィナンシャル・タイムズ紙に対して「TikTokはデータがどこに保存されているか、どのように保護されているかについて、まだ質問に答える必要がある」と語っていた。

「TikTokの所有者が誰であろうと、これらの基本的な質問に答え、話をはっきりさせるまでは、私は会社の活動と報告されている中国との結びつきを懸念し続けている」とルビオ氏はコメントしている。

TikTokを超えて

ポンペオ氏のFox Newsのインタビューの前日、ホワイトハウスの貿易顧問を務めるPeter Navarro(ピーター・ナバロ)氏はFox Newsに対し、トランプ政権は「『米国人の情報を中国のサーバーに送り返すあらゆる種類のソフトウェア』も検討している」と語った。

ポンペオ氏はまた、米国政府がより多くの中国のテクノロジー企業に対して行動を起こす可能性があることを示唆した。

「ピーター・ナバロが言ったように、米国でビジネスをしているこれらの中国のソフトウェア企業は、TikTokやWeChatなど数え切れないほどあり、顔認識パターンや居住地、電話番号、友人などの情報を中国共産党や国家安全保障装置に直接供給している」と彼は主張した。

ポンペオ氏は、トランプ氏が「中国共産党に接続されたソフトウェアによって提示される国家安全保障上のリスクの広範な配列に関して、今後数日間で行動を起こす」と付け加えたが、それが何を意味するか、またはどのような企業が影響を受ける可能性があるかについては詳しく説明しなかった。

しかし、その中にはTencent(テンセント)が所有するWeChatも含まれているかもしれない。米政府は先月、米国で利用可能なWeChatのバージョンは中国のものよりも機能が限られているにもかかわらず、米国でWeChatを制限する可能性があると述べた。

中国ではWeChatはユビキタスな存在だが、米国でのユーザー数は中国に比べるとはるかに少なく、主に米国の中国コミュニティのメンバーや、中国で事業を展開している、または中国に関係のある外国企業が利用している。

画像クレジット:JIM LO SCALZO/AFP / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

VC、セレブ、アスリートがLAに女子サッカーチームを設立する構想を発表

数年前、Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)のパートナーKara Nortman(カーラ・ノートマン)氏はNatalie Portman(ナタリー・ポートマン)氏と会い、彼女らの非営利団体 All Raise(オールレイズ)とTime’s Up(タイムズアップ)が協力してなにかできることはないかを話し合ったことがあった。この時ノートマン氏は、後に彼女らがスポーツフランチャイズにおけるパートナーになるとは思ってもみなかった。

現在この2人の女性はAngel City(エンジェル・シティー)の共同創設者として、ベンチャーキャピタル、スポーツ、有名人投資家を率い、Angel Cityの共同創設者でプレジデントのJulie Uhrman(ジュリー・アーマン)氏とともに、2022年春までにNational Women’s Soccer League (ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)のチームをロサンゼルス市に設立しようとしている。

これを支援しているのがRedditの共同創設者Alexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、彼の妻でテニス界のスーパースター、Serena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏(および彼らの娘Alexis Olympia Ohanian Jr.(アレクシス・オリンピア・オハニアン・ジュニア)ちゃん)、俳優のUzo Aduba(ウゾ・アドゥバ)氏、America Ferrera(アメリカ・フェレーラ)氏、Jennifer Garner(ジェニファー・ガーナー)氏、Eva Longoria(エヴァ・ロンゴリア)氏、Lily Singh(リリー・シン)氏、および女子サッカー米国元代表のJulie Foudy(ジュリー・ファウディ)氏、Mia Hamm(ミア・ハム)氏、Rachel Buehler(レイチェル・ビューラー)氏、Shannon Boxx(シャノン・ボックス)氏、Amanda Cromwell(アマンダ・クロムウェル)氏、Abby Wambach(アビー・ワンバック)氏、 Lauren Cheney Holiday(ローレン・チェイニー・ホリデイ)氏、そしてソーシャルメディアスタントマンのCasey Neistat(ケーシー・ナイスタット)氏を含む多数の投資家である。

米国では未だにコロナが猛威を振るっている。そのような状況で新しいスポーツリーグを立ち上げるのは良いアイディアに見えないかもしれないが、ノートマン氏は投資を行い、ロサンゼルス市にチームを発足させるという決断はシンプルなものだったと述べた。

「私たちはベンチャーキャピタリストです。私たちは楽観主義者なのです。」とノートマン氏は述べた。

ノートマン氏にとって、Angel Cityのストーリーは生涯を貫くスポーツへの熱意から始まった。ロサンゼルス市に住む熱狂的なスポーツファン一家の中で成長したノートマン氏は、あらゆる地元チームのファンであった。ドジャース、キングス、レイカーズが常にテレビに映っていて、また一家は1999年の女子ワールドカップの試合をローズボールで観戦したこともあった。しかし2015年に女子ワールドカップの試合を見に家族をバンクーバーへ連れて行った時には、ノーマン氏のサッカーへの個人的な思い入れは、サッカーとサッカーの女子選手にもっと注目を集めるにはどうすればよいかという、より一般的な探求に変わっていた。

「その時、そう!私のお金をあなたたちのために使ってもらえないかしら?と思ったの」とノートマン氏は言う。ノートマン氏によると、4年前、大成功を収めた女子代表チームの選手たちはプロのサッカー選手として生計を立てるのに苦労していたらしい。

Image Credits: Angel City

女子代表チームが始めた給与格差の是正を求める戦いは今でも継続中(そして今年はじめに苦境を迎えた)であるが、ノートマン氏とポートマン氏は彼女らへの支援でリーグに新しい動きをもたらすことができるのではないかと考えた。

Time’s UpとAll Raiseによる話し合いの後、2人はサッカーで絆を深めることとなった。「ナタリーは『私の友達をたくさん試合に連れて行くのはどうかしら?私たちも、ジャック・ニコルソンがレイカーズやショウタイムのためにしたようなことを彼女たちのためにできるかもしれないわね』と言ったんです」とノーマン氏。

そこでこの2人の女性は自分の知り合いをサッカーの試合に連れて行くようになり、女子サッカーリーグおよびサッカー全般に勢いをもたらし支持を集め始めた。

ノートマン氏によると、この時に話したことや2019年の女子ワールドカップに先立って開催された代表チームの親善試合を観戦しに行ったことが、後にエクスパンションチームをロサンゼルス市に発足させる話につながっていったという。

「その頃になると、ナタリーは私に『チームを見つけましょうよ』と言うようになりました」とノートマン氏は述べた。そして2人の女性はそれを実行に移した。フランチャイズの買い付けについてリーグと話し合いを行い、投資家グループをまとめ始めたのだ。

「ブランドを構築し、全米で最もサッカーの観戦者が多い町に、世界で最も優秀な選手からなるチームをぜひ発足させたいと思っています。私たちは女性主導のグループを作ることに成功しましたが、同じ方式でこれを実行することができると思います」

ロサンゼルス市にフランチャイズをもたらす契約の金額等の条件は明らかにされていないが、数千万ドルに上ると見られる。それでも、一部の見積もりによると5億ドル(約536億円)以上の価値があるとされるロサンゼルスフットボールクラブのような男子チームの現在の評価額に比べると小さなものだ。

ノートマン氏にとってAngel Cityのようなフランチャイズを運営するのはフルタイムの仕事であったが、彼女はすでにフルタイムの仕事を持っていた。そこで、彼女はグループの統括者を探すべく自らの仕事上のコネクションを利用し、ジュリー・アーマン氏を見出したのだ。

ノートマン氏と同様、ロサンゼルス市で生まれ育ったアーマン氏は、Kleiner Perkins(クレイナ-・パーキンズ)の支援を受けたゲームコンソール会社Ouya(ウーヤー)を立ち上げ、その後Lion’s Gate Entertainment(ライオンズゲートエンターテイメント)およびPlayboy Enterprises(プレイボーイエンターテイメント)でメディア関連の役職に就いていた。ノートマン氏は、ロサンゼルス市の女性投資家、起業家、およびその友人たちがバスケットボールの試合に気軽に参加できるような環境の立ち上げを支援したが、これにアーマン氏が加わっていた、というのも彼女のキャリアと同様に重要なポイントである。

何回か試合を楽しんだ後、ノートマン氏はアーマン氏にAngel Cityの取り組みを主導する役員会に加わってもらうことにし、3人の女性が協力しながらAngel Cityの立ち上げを推進した。

三人の創設者たちそれぞれにとって、現状の改革と地域社会への関与は、ロサンゼルス市で新しいスポーツビジネスを立ち上げるのと同様に重要な意味を持つ。

そこで同グループは、十分なサービスが行き届いていないコミュニティにスポーツ面から支援を行っているLA84 Foundation(LA84財団)と手を組んだ。この非営利団体はAngel Cityのパートナーでもある。

LA84 Foundationのプレジデント兼CEOのRenata Simril(レナタ・シムリル)氏は「2014年に、私たちは Play Equity Fund(プレイ・エクイティ・ファンド)を立ち上げました。これは社会における公正さの問題としてスポーツにおける公平性に焦点をあてた唯一の非営利団体でした」と言う。 「Play Equity Fundは、十分なサービスが行き届いていないコミュニティの人々がスポーツに親しむ機会を広げる取り組みを行っています。こうしたコミュニティには、有色人種、少女、身体的な問題や発達障を持つ人々のコミュニティが含まれます。この素晴らしい女性グループが新しい事業を立ち上げるにあたり、協力関係を持てるのはこれ以上ないほどワクワクすることです。彼女たちは最も支援を必要とする人々のためにプラスの影響を与えようと取り組んでいるのです」

消費者行動の長期的傾向とスポーツ観戦への関心の全体的な低下を考えれば、スポーツフランチャイズを所有することに対する熱意は興味深いものがある。ここ数年、米国における主要スポーツへの関心は衰えて行っている。人口構成が変化し、多くの人々がトーナメントよりもTwitchのストリーミングを見るようになるに連れ、NBAファイナルズ、ワールドシリーズ、スーパーボール、インディ500などのスポーツイベントの観戦者数が低下しているのだ。

ノートマン氏とオバニアン氏は現代テクノロジーに精通する知り合い達を起用し、こうした傾向に歯止めをかけることができると考えている。

「私たちは、現実のスポーツ対eスポーツという2つの対立した図式で考えがちです。[しかし] 私たちはこれをブランドとして考えているのです。例えば、マンチェスターユナイテッドとそのブランドについて考えれば、それがスポーツ以上のものを意味することをおわかりいただけると思います…私たちはサッカーと実際のサッカーの試合を私たちのブランドの1つの表現と考えてはいますが、それが最も重要なことにはならないかもしれません」とノートマン氏は述べた。

しかし、まずなにもよりも重要なのはロサンゼルスコミュニティであり、フランチャイズとその幅広い使命をロサンゼルス市の人々に受け入れてもらうことである。

「今日私たちは、初となる、女性が大多数を占める、女性主導のオーナーシップグループを発表しました。これは素晴らしいことです。プロの女子サッカーチームをロサンゼルス市に発足させるために、この素晴らしい人々からなるグループと協力する機会に恵まれ、本当に興奮しています。私たちは一丸となり、試合に勝てるチームを作ると同時にチームを心から応援してくれる熱心なファン層を作ることを目指しています」とポートマン氏は述べた。「また、私たちはLA84 Foundationとの関係を通じ、ロサンゼルス市の若い人たちがより一層スポーツに親しめるよう取り組み、コミュニティに実質的な影響を与えることができればと考えています。スポーツは楽しみならがら人々に連帯感をもたらすことのできる素晴らしい方法です。またこの取り組みは、私たちのコミュニティおよびプロスポーツの両面で女性アスリートに具体的な変化をもたらす力を持っているのです」。

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カテゴリー:VC / エンジェル

タグ:スポーツ

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(翻訳:Dragonfly)

これこそ完璧なワイヤレスイヤホンだーーBang & Olufsenのスポーツ向け新モデル「Beoplay E8 Sport」

Bang & Olufusen(バング&オルフセン)が、高い評価を受けてきた同社の高精度かつ自然なサウンドをスポーツ仕様のデザインに詰め込んだBeoplay E8 Sportを発表した。価格は350ドル(約3万7000円)。IP57認証の防水性能、合計最大30時間のバッテリー駆動時間(1回の充電で最大7時間再生)、外音を取り込める透過モードなど、優れた機能が満載の完全ワイヤレスイヤホンだ。

製品の概要

E8 Sportは、バング&オルフセンがしばらく前から展開している完全ワイヤレスイヤホン「Beoplay E8第三世代」の最新モデルだ。同シリーズで初めてスポーツ仕様の防滴・汗耐性を備えたモデルとなる。だからといって、以前のE8モデルが運動に不向きだというわけではない(筆者も使っている)。しかし、E8 SportはIP57認証の防水性能を備えていて、浅瀬程度の水深であれば30分間、水中で完全防水機能を発揮する。だから、雨の中でジョギングする時も、たくさん汗をかく時も、安心して使えるのだ。

ただし、泳ぐ時には使えない。E8 Sportの防水性能は、製品の耐久性を強化し、望むなら使用後にさっと水で洗えるようにすることが目的だからだ。言ってしまえば「気休め」なのかもしれないが、それでも、あればうれしい機能である。

Image Credits: Darrell Etherington

E8 Sportのイヤーピースの表面はラバー感が前面に出た新しいデザインとなっていて、充電ケースの予備電源バッテリー容量はE8の前継モデルよりやや少ないが(その差はわずか30分程度)、USB-Cケーブルやワイヤレスパッドを使って充電できる。充電ケースのバッテリーで23時間、イヤーピース内蔵のバッテリーだけでも7時間のオーディオ再生が可能だ。

また、各種サイズのシリコン製イヤーチップセットとComply製の形状記憶チップ(Mサイズ)1セットに加えて、ランニングや高強度の運動をする時でも高い装着フィット感を維持できる各種サイズのシリコン製イヤーフィンセットも付属している。Beoplay E8 SportのカラーバリエーションはパステルターコイズのOxygen Blue(オキシジェンブルー)とBlack(ブラック)の2色。さらに、スイスのランニング用品ブランドOn(オン)とコラボした特別エディション「Beoplay E8 Sport On Edition」も発売されている

イヤホンの内部は、スポーツ向けではない他のE8シリーズ標準モデルとほぼ同じだ。つまり、バング&オルフセンが誇るあの高精度で豊かな音質を楽しむことができる。

デザインと性能

バング&オルフセンはE8 Sportで新しいデザインを採用している。他のE8モデルのイヤーピース表面は滑らかだが、E8 Sportは丈夫でラバー感が前面に出た仕上がりとなっている。また、E8のケースがレザー仕上げであるのに対して、E8 Sportのケースはシリコン製だ。さらに、汗でぬれても滑りにくいように、E8 Sportのイヤーピースとケースの表面には浅い溝が刻まれている。

Image Credits: Darrell Etherington

スポーツ仕様とされる多くの他社製品とは異なり、Beoplay Sport E8は控えめで洗練された雰囲気を保っている。イヤーピースは装着時でもまったく目立たず、特にブラックの方は装着していても決して気づかれないのではないかと思う。「オキシジェンブルー」の方は少し目につきやすいが、それでも派手さや華やかさは感じさせないソフトな印象だ。

イヤーピースの左右どちらの表面にも、バング&オルフセンのロゴが刻印されたアルミニウムリングが埋め込まれていて、フェイスプレート部分はタッチセンサー式ボタンの役目も果たしている。全体的に他のE8モデルと異なるデザインであることは一目瞭然だが、それでも、バング&オルフセン製かどうかを疑うほどかけ離れた冒険的なデザインにはなっていない。

性能面では、E8 Sportという名の通り、長時間のバッテリー性能、パッシブ遮音性、並外れてクリアな音声分離機能、抜群の装着フィット感など、スポーツ向けモデルに期待されるあらゆる条件を満たしている。筆者も、30分間のランニングなど、さまざまなシチュエーションで実際に使ってみたが、接続品質も音質も常に最高だった。特に、スポーツ向けワイヤレスイヤホンなのにこれだけ高品質のサウンドを実現できていることに驚いた。他メーカーのスポーツ向けモデルは音質に妥協してベース音が濁ることが多いのだが、E8 Sportではまったくそのようなことはなかった。

それこそE8 Sportが最高の製品たるゆえんである。どんな天候の中でどんな運動をする時でも、家で静かにくつろぐ時でも、極上のサウンドを楽しめる万能イヤホンだ。もし、どんなシチュエーションにも最適なワイヤレスイヤホンを探しているのなら、E8 Sportが文句なしにおすすめだ。

Image Credits: Darrell Etherington

バング&オルフセンのアプリを使えば、好みのサウンドに細かく調整できる。また、イヤーピース表面のタッチセンサーに触れるだけで、音楽再生のコントロールや、外音透過モードへの切り替えが可能だ。そして、これらの操作はすべて、ランニング中でも、電話会議中でも実行できる。さらに、通話時の音質も非常にすばらしい。筆者がテストした時の通話相手は、電話を口元に近づけて話す場合よりもはるかに音質がよく、筆者がプロ仕様のオーディオ機器を使って録音しているポッドキャストの音声品質に近い、とまで言っていた。

総合評価

ワイヤレスイヤホン市場にはすでに無数のプロダクトが存在しており、その数は常に増え続けていて、性能も価格もさまざまだ。バング&オルフセンは現行のE8第三世代でワイヤレスイヤホンとして最高の音質を実現したと筆者は思っている。そして新製品のE8 Sportはその最高音質に加えて、見事な耐久性も備えている。

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カテゴリー:ハードウェア

タグ:ガジェット イヤフォン レビュー

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(翻訳:Dragonfly)

自社株を売れない創業者たちへ、分散化のすすめ

編集部注:本稿を執筆したPeyton Carr(ペイトン・カー)氏は、創業者や起業家およびその家族の財務アドバイザーとして、財務計画や投資に関するアドバイスを行っている。Keystone Global Partners(キーストーン・グローバル・パートナーズ)の代表取締役社長。

シリーズ前回の記事では、自社株集中型の投資を自分の投資計画全体の中でどのように位置づけるべきかを熟考する方法について考えた。今回は、自社株をなかなか売れない人がいるのはなぜなのか、その理由について詳しく見ていきたい。

初めて自社株集中型の投資をする人の多くが、「自社株に集中的に投資すれば、いずれ莫大な利益を手にできる」という神話のような思い込みをしている。本記事では、集中型投資の実情を紐解くとともに、ポートフォリオの分散化が堅実な選択肢である理由を説明する。

ポートフォリオ分散化にはどのようなメリットがあるのか、自社株をどの程度保有すると過剰集中になる得るのか、さらに、ポートフォリオを戦略的に分散させるためにどのような選択肢を検討できるのか、といった点について学べる記事になっているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。

自社株集中型の危険性

自社株集中型のポジションを継続するか否かを検討する際に、いくつかの厳然たる事実を心に留めておく必要がある。

  1. 言うまでもなく、すべての株をアップルやアマゾンの株と同じように考えてはならない。Hendrik Bessembinder(ヘンドリック・ベッセンビンダー)氏が発表した研究によると、1926年以降の米株式市場全体の上昇のほとんどを、上場銘柄のうちパフォーマンス上位4%の企業が担っていたことが判明したという。残りの96%の銘柄の合計収益率は、米国短期国債の収益率とほぼ同じだ。1926年以降、上場全期間の利益率が米国1か月短期国債の利益率より低い銘柄は、米国株式市場の58%を占める。また、ラッセル3000指数(米国企業株のうち時価総額上位3000銘柄からなる株価指数)に登録されている全企業のうち40%の企業の時価総額が、1980年以降、各々の最高値から少なくとも70%は下落している。
  2. それでも、ブロードベースの銘柄では他の大半の資産クラスを上回る年間9%強のリターンを生み出しているのは、前述の上位4%企業の利益率が高いためだ。将来上位4%に入る企業を確実に言い当てることは誰にもできないが、分散化すれば上位4%の企業の株を必ず所有できる。
  3. 仮に、現在集中的に保有している特定の銘柄がアップルやアマゾンに匹敵する銘柄になるとしよう。しかし、どちらの株価もこれまでに90%を超える下落を経験しているという事実を忘れてはならない。それでも、大半の投資家はそのような下落が起こるという確信が持てず、同じ銘柄を保有し続ける。その銘柄がポートフォリオの運用益と純資産の大部分を占めている場合はなおさらだ。大暴落は、その企業自体とは関係のない業界または既存の脅威によって引き起こされることもあれば、その企業固有の事情によって引き起こされ、外部要因は一切無関係という場合もある。

新規IPOを達成した企業が上位4%に入る確率はルーレットで自分のラッキーナンバーに玉が入る確率よりもわずかに高い程度だ。あなたは、成功する投資ポートフォリオと、長期的な財政目標を達成する確率を、ルーレットを回すような方法で決めたいと思うだろうか。

分散化の利点

ボラティリティ(株価の変動率)が極度に高いと、運用益が低下することがある。以下の例は、ボラティリティの低い分散型ポートフォリオとボラティリティの高い集中型ポートフォリオを比較したものだ。単純平均利益率は同じであるにもかかわらず、低ボラティリティのポートフォリオの方が高ボラティリティのポートフォリオよりも実質的に高いリターンを生み出している。

Image Credits: Peyton Carr

単純に計算することはできないが、予期せぬ時にボラティリティが急上昇すると大幅な価格低下が起こることがある。価格が乱高下すると、投資家が感情的に反応して、賢明でない投資判断を下す可能性が高くなるためだ。このような「行動ファイナンス」の側面については記事の後半で説明する。ポートフォリオのボラティリティを低下させるのは簡単だ。ポートフォリオの分散化を進めるだけでよい。

米国の大手上場企業3000社で構成される株価指標であるラッセル3000指数は、95%強に属するどの単一銘柄よりもボラティリティが低い。では、ボラティリティを低く抑える代償としてあきらめるべき利益はどの程度のものなのだろうか。

Northern Trust Research(ノーザン・トラスト・リサーチ)によると、ラッセル3000株の利益率は年間平均5.96%で、中央値の利益率5.23%よりも0.73%高い。つまり、単一銘柄ではなくラッセル3000株を保有することで、壊滅的損失を被る可能性を排除できるということだ。ちなみに米国株式市場では、20%以上の銘柄が、20年間で年間平均10%を超える損失を出している。

この事実が過度の集中型ポートフォリオを避けることの重要性を証明しているとしたら、「過度の集中型」とは、特定銘柄をどの程度保有することを意味するのだろうか。また、そのような株はどの程度の価格で売るべきなのだろうか。

「自社株集中型」の定義とは

この記事では、保有している特定銘柄のポジションがポートフォリオの10%を超える場合に「集中型」のポジションとみなすことにする。厳密に定義する具体的な数字はない。集中度が適切なレベルかどうかは、必要な流動性の程度、全体的なポートフォリオ価値、リスク選好度、長期の資金管理計画など、いくつかの要因に左右される。ただし、10%を超えて、その単一ポジションのリターンとボラティリティがポートフォリオのパフォーマンスを左右し始めたら、ポートフォリオのボラティリティが高い状態と言ってよいだろう。

ポートフォリオを構成する自社株は、会社全体の財務リスクのわずかな部分にすぎない場合が多い。自社株以外のリスク源としては、制限付き株式、RSU(譲渡制限株式ユニット)、株式オプション、従業員株式購入制度、401k、その他の株式報奨制度、および会社の成功に応じた現在および将来の給与動向などが考えられる。大抵の場合、財務目標を達成するための賢明な方法は、ポートフォリオを適度に分散させることだ。

売りたくないと感じる理由

事実はどうあれ、より計画的なアプローチをとるよりも、自社株を集中的に持つことに魅力を感じるのは自然なことだ。現実を示す退屈な論拠よりも、ザッカーバーグやベゾスなどの数少ない成功例の方が輝かしく思えるし、実際、自分自身に賭けて莫大な利益を得る可能性がないわけではない。つまり、感情に負けてしまうわけだ。

しかし、ここで株に関する投資戦略と意思決定の根拠とすべきなのは、感情ではなく、自分の投資目標である。投資ポートフォリオとそれに含まれる自社株は、その目標を達成するためのツールとして使用するべきである。

そこでまず、意思決定に影響を与える行動心理学について詳しく見てみよう。

あらゆる証拠が「売り」を示しているにも関わらず、こんな心の声が聞こえることがある。

「この株は売りたくない」

こうした気持ちに抗いがたいのはなぜだろうか。これは人の自然な性である。筆者も同じ気持ちになることがある。人は、偏った見方を正当化し、そうした見方に影響を受けやすいことを信じまいとする、強い衝動を感じることがある。

自分が立ち上げた会社に執着するのは当然だ。何といっても、その株こそが今の自分に富を授けてくれたものであり、今後もそうしてくれる可能性があるのだ。確かに、集中的に保有している自社株を売って分散化するのはなかなか難しいものだが、大抵はその方が合理的な判断である場合が多い。

多くの研究によって、投資行動と心理学の間の相互関係について深い考察が行われてきた。データは自社株を集中的に保有すべきでないことを示しているのに、無意識のうちに発生している心理的障害と行動的バイアスに影響されて、集中的な保有を続けてしまうことがある。

このようなバイアスについて理解しておくと、株を売るかどうかを判断する際に役立つ。こうした行動的バイアスは気づくことさえ難しく、克服するのはなおさら困難だが、まずはその存在を認識することが克服への第一歩である。以下に、一般的な行動的バイアスをいくつか挙げてみる。自分に当てはまるかどうか、確認してみよう。

親密性バイアス:非常に多くの創業者たちが自社株を集中的に保有し続ける理由はおそらくこれだ。自分の知っているものは危険性が低いと考えるこのバイアスのゆえに、自社株は安全だと勘違いしてしまいがちだが、両者は別の問題だ。株式市場では、親密性と安全性は必ずしも連動しない。優良な(安全な)会社であっても株価が危険なレベルまで過大評価されることはあるし、ひどい会社でも株価が不当に過小評価されることもある。会社の質だけを見て、その会社の株が将来高い利益率を達成するかどうかを判断することはできない。重要なのは、その会社の質と株価との関係性である。

もう1つ、このバイアスが顕著に表れるのは、創業者が株式投資に疎く、所有している株は自社株のみ、というケースだ。このような創業者は、市場で取引するより自社株を自分で持っていた方が安全と考えるかもしれないが、実際は、自社株のみを保有するより市場で取引した方が安全であることが多い。

自信過剰:特定の個別銘柄を過度に集中的に保有する投資家は例外なく自信過剰になっていると言える。創業者たちは自分の会社を信じやすい。何といっても、IPOを達成するまでに成長してきた会社なのだから、自信を持つのも当然だ。しかし、この自信が株に関しては見当違いを生む。創業者は多くの場合、値が上がっている自社株を売るのを嫌がる。さらに上がると信じているからだ。自社株が売られている時でもやはり同じで、値が戻ると信じて疑わない。会社に対する強い愛着感が先に立って、客観的になるのが難しい創業者は多い。大抵の創業者は、自分は一般には知られていない独自の情報を持っており、自社株の「本当の」価値を知っている、と信じている。

アンカリング効果:一部の投資家は、過去に体験したことを固く信じ込む。集中的に保有している銘柄の株価が下がっても、その株には直近の高値が付くだけの価値があると信じて、売ろうとしない。しかし、この直近の高値というのは、本当の価値を示すものではない。本当の価値を示しているのは現在値である。買い手と売り手が現在入手可能なすべての情報を考慮した上で取引した結果として付いた値だからだ。

授かり効果:多くの投資家は、自分が所有している資産に対して、その資産を所有していない場合に付ける値よりも高い価値があると考える傾向がある。これが、売るのをさらに難しくする。授かり効果が発生しているかどうかをチェックするいい方法がある。「この株を今持っていなかったら、今日この価格で買うだろうか」と自問してみることだ。今日この価格では買わないとしたら、授かり効果が発生しているためにその株を保有し続けているだけ、という可能性が高い。

これを別の視点から見るには、IKEA効果の研究について調べてみると面白い。この研究では、自分が作ったものに対して、その価値を潜在的価値よりも高く評価することが証明されている。

このような背景を合わせて考えてみると、投資家は集中的に保有している銘柄を売るかどうかを判断する際に、かなり恣意的になる可能性があるということがわかる。こうしたバイアスはなかなか気づきにくいものだ。相談できる人、共同経営者、アドバイザーなどがいると有効なのはそのためだ。

大切なのは「流されない」こと

特定の銘柄を集中的に保有できている皆さんにはおめでとうと言いたい。簡単にできることではないし、将来大きな富につながる可能性があるからだ。ただ、集中型のポートフォリオを管理する方法にいわゆる「正解」はないと心得てほしい。人によって状況は異なるため、自分の状況に合った選択肢について専門家に相談することが絶対に必要だ。

まずは、達成したい具体的な投資目標を盛り込んだ財務計画を立てよう。何を達成したいのかを明確に理解できると、事実を新しい観点から見ることができるようになる。さらに、合理的な意思決定と投資行動がもたらすあらゆる影響と機会について考慮することにより、自社株を集中的に保有することの危険性とポートフォリオ分散化の利点に対する理解が深まるだろう。

戦略的に分散化するには

自分の株を普通の方法で単に売るだけなら誰にでもできる。しかし、分散化には他にもさまざまな戦略がある。最大限の節税に効果を発揮する戦略もあれば、望み通りのリスク・報酬バランスを達成するのに適した戦略もある。いつ売るのがベストかを知りたい人もいるだろう。シリーズ最終回となる次回の記事では、こうした点について説明する。

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カテゴリー:その他

タグ:投資 コラム

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(翻訳:Dragonfly)

培養肉の最大の問題点に立ち向かうカナダ拠点のFuture Fields、培養を促す安価で人道的な材料を発見

細胞農業が抱える最大の問題の解決策、つまり培養肉の培養を促す、安価で人道的な材料の開発に有望な方法が生まれたのは、カナダはアルバータ州にあるドーナッツチェーンのTim Hortons(ティムホートンズ)の店内での会話からだった。

Matt(マット)とJalene(ジャリーン)のAnderson-Baron(アンダーソン=バロン)夫妻は、ティムホートンズでドーナッツとコーヒーを待っている間、2人が設立したスタートアップ企業のFuture Fields(フューチャー・フィールズ)の柱となるテクノロジーについて話し合っていた。そのとき、ジャリーンは新しい増殖用材料を提案した。

マット・アンダーソン=バロン氏は、この研究で壁にぶち当たっていた。そこで、3人で共同創設したFuture Fieldsの3分の2の責任を負う夫婦は、お茶をしに出かけたのだった。友人のLejjy Gafour(レジー・ガフォー)氏を加えた3人は、世界中が動物にタンパク源を依存している現状をなんとかしたいと、このスタートアップをカナダで立ち上げた。

彼らは、世界の食肉の需要に応えようとする畜産業には、膨大な持続不可能な問題があることを承知していた。そこで、細胞ベースの代替品で市場の需要に応えることを目標に定めた。

「これは、私たちが仕事とは別に興味があって進めていたクレイジーなプロジェクトでした。これがビジネスになるなんて、夢にも思っていませんでした」とジャリーン・アンダーソン=バロン氏。「それが去年になって、有望なビジネスアイデアに転じたのです」。

Future Fieldsの共同創設者。マシュー(マット)・アンダーソン=バロン博士、レジー・ガフォー氏、ジャリーン・アンダーソン=バロン氏(画像クレジット:Future Fields

当初3人は、研究室で培養した鶏肉を世界に販売する独自の食肉ブランドを立ち上げたいと考えていたのだが、実験に4カ月を費やしたころ、マット・アンダーソン=バロン氏とその仲間は方向転換し、新しい形の成長血清の開発に取り組むようになった。すべてはティムホートンズでの会話のお陰だ。

「私たちのMVPはチキンナゲットでしたが、1ポンド(約450g)あたり3000ドル(約32万円)かかることが判明しました。どう考えても利益率の高いビジネスとは思えません。そもそもの狙いは、食肉と張り合える価格の製品を作ることでしたから」とアンダーソン=バロン氏。「私たちは、経済的に有効と思われる新しい材料に焦点を移したのです。それはもともと、社内で使うためのものでした。私たちが開発したその材料が斬新なもので、業界に大きな恩恵をもたらすものになるとは、当初は思ってもみませんでした。約8カ月前、私たちは方向転換を果たし、その成長材料を製品化しようと決めたのです」

Y Combinator(ワイ・コンビネーター)のアクセラレーター・プログラムを間もなく修了する同社は、すでに数件の有償契約を結び、細胞増殖材料の最初の試験製品ラインを来月中に出荷する予定になっている。

同社の製品への潜在的需要は非常に大きい。Alpha Meats(アルファ・ミーツ)、Shiok Meat(シオク・ミート)、Finless Foods(フィンレス・フーズ)、Memphis Meats(メンフィス・ミーツ)、Meatable(ミータブル)、Mosa Meat(モサ・ミート)、Aleph Farms(アレフ・ファームズ)、Future Meat Technologies(フューチャー・ミート・テクノロジーズ)、Lab Farm Foods(ラブ・ファーム・フーズ)、Eaat(イート)はどれも、研究室で畜肉や魚肉に代わるものを培養している企業だ。これらはみな、2億ドル(約210億円)を優に超える資金を調達したと言われている。昔ながらの食肉製品大手Tyson Foods(タイソン・フーズ)も、代替肉に投資している。

培養肉の製造工程。1.動物の組織を採取、2.幹細胞を抽出.3.成長血清を投与して増殖、4.足場材料の中で細胞が筋肉に成長、5.筋肉を動かしてタンパク質を増やす、6.筋肉を挽く、7.ビタミン・脂肪・調味料・鉄分を添加、8.調理して食べる(画像クレジット:Getty Images/VectorMine

「規模を大きくして価格を下げるという考え方です。少量生産の企業も、価格を10分の1から100分の1に引げることは可能です。それはあり得ます。しかし、私たちのスーパーパワーは、成長材料を大規模に生産することで、価格を1000分の1にまで下げられることです」とマット・アンダーソン=バロン氏。「大量生産すれば、1Lあたり2ドルから3ドルというレベルにできるという話です」。

Future Fieldsの創設者は、彼らの技術について詳しくは話さなかったが、特定の組織の遺伝子を書き換えているとだけ教えてくれた。未確認の細胞株に特定のタンパク質を生成させる遺伝暗号を挿入し、異なる成長因子を作らせるというのだ。

アルバータ大学は、医療アクセラレーター・プログラムを独自に実施している(訳注:Future Fieldは現在そのコホート)。それは珍しいことではないが、エクイティーを要求しないアプローチは、スタートアップや生物工学を志す起業家に、希薄化を恐れず事業を発展させる機会を与えている。

Future Fieldsは、すでに少額のプレシード投資48万ドル(約5000万円)を、未公表のエンジェル投資家のグループと、シンガポールの農業食品技術アクセラレーターGROW(グロウ)から得ている。

ガフォー氏によれば、現在同社は数百Lの成長因子を生産できる能力があるが、来年にかけて、月間数万Lにまで生産規模を拡大できる工場の建設計画に取り組んでいるとのことだ。

ガフォー氏とその同僚たちの細胞農業は、すでに変曲点に達した。次なるステップは、科学的発見や大胆なイノベーションよりも、技術の地道な洗練作業と商品化に重点を置いたものになる。

「成長材料溶液が手に入り、中核的な部分は整いました。今後は、規模拡大のための効率性の把握が重要になります」とガフォー氏。

それでも、本当の意味で価格を引き下げ、現在の食肉と張り合えるようになるまでには、開発しなければならない要素がまだいくつも残されている。同社は今後、筋肉へと成長する細胞を支える足場材料や、肉に風味を与える脂肪組織の開発も行わなければならない。マット・アンダーソン=バロン氏によれば、バイオリアクターの改良も必要だという。「ここは未開の地です。やるべきことは、まだたくさんあります」。

この技術開発に取り組んでいる企業は、他にも数多く存在する。Glycosan(グリコサン)、Lyopor(リオポー)、Prellis(プレリス)は、みな動物の組織を発達させるための足場材料の開発に取り組んでいる。

「私たちの会社の展望は、この産業を加速させ、前進させることです」とジャリーン・アンダーソン=バロン氏。「最初、私たちは自分たちの技術の可能性に気づいていませんでした。しかし、みんなが同時に、この障害物を迂回できるようになると、私たちは考えたのです。そして他社と話し合い、他社とつながりのある投資家と話し合うちに、細胞農業を前に進める上で、これが重要なピースになるとわかったのです」。
画像クレジット:Getty Images under a Getty Images license.

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(翻訳:金井哲夫)

Crew Dragonテスト成功でSpaceXはNASA初の有人民間宇宙飛行事業者へ


既報のとおり、SpaceXとNASAは極めて重要なミッション「Demo-2」を成功させて、宇宙飛行の新たな歴史を作った。SpaceXのCrew Dragon宇宙船は初の有人飛行を無事完了したのだ。NASAの2名の宇宙飛行士、Bob Behnken(ボブ・ベンケン)氏とDoug Hurley(ダグ・ハーリー)氏は5月30日に軌道上国際宇宙ステーション(ISS)に到着し、約2か月間実験などに従事したのち無事に地球に帰還した。

Crew Dragonは当初の計画どおりに全任務を進めることができたようだ。打ち上げ、ISSへのドッキング、逆噴射による衛星軌道離脱、完全自動操縦により着水という重要なステップを予定どおり実施し、何より重要なことだが、すべての段階で2名の宇宙飛行士の安全を確保できた。

今回のミッションの最終段階はベンケンとハーリーの両飛行士を乗せたCrew Dragonをメキシコ湾にパラシュートで着水させ、ゴーナビゲーターと呼ばれるSpaceXの回収船に引き上げることだった。このプロセスは米国東部時間午後3時18分(日本時間8月3日午前5時18分)にスムーズに完了した。その後、午後4時ごろにカプセルのハッチが開かれ、4時6分に両宇宙飛行士が姿を現した。

周辺には多数の民間船が見物のために集まっていた。これは航行禁止区域の違反でセキュリティー上の問題なのだが、SpaceXは制止線を作って作業を続行した。ともあれこの状況では他に方法はなかっただろう。

今回の飛行が成功したことで、Crew DragoとFalcon 9ロケットをNASAの正規の基準により商用有人宇宙飛行システムとして認証する準備がすべて整った。ただし最終的な認証決定までには今回の飛行に関する情報をすべて詳細に審査し、解決を要する何らかの問題が残っていないかチェックする必要がある。我々が中継で見た限り、Demo-2は終始絵に描いたように順調に作業が進んだように思われるので、NASAの認証を得るための困難は大きくないだろう。もうひとつ記憶すべき点は、これが45年ぶりの有人着水だったことだ。前回の着水は1974年のSkylabの最後のクルー(NASAプレスリリース)だった。

Crew Dragonが進むべき次のステップは宇宙ステーションへの往還における米国の主要手段となることだ。次回からは本番任務となり、Crew-1と呼ばれる。スケジュールとしては9月中が予定されており、NASAの宇宙飛行士と日本の宇宙開発機関であるJAXAの星出彰彦宇宙飛行士がISSへ向かう(JAXAプレスリリース)。

これによってNASAは2011年のスペースシャトルの退役以後失っていた自国(および友好国)の宇宙飛行士を自力で宇宙ステーションに往復させる能力を取り戻す。ただしこれは商用クループログラム(Commercial Crew program)とう名前が示すとおり、スペースシャトルの際のようにNASAが打ち上げから機体運用まですべて単独で実施するものではなく、あくまで民間企業との協力によって行われる。全ミッションを完了したのはSpaceXが最初となったが、ボーイングもNASA向け商用宇宙飛行の実施の2社目となるべく準備を進めている。

NASAは将来にわたってISSへのアクセスを確保したい意向だ、また宇宙産業育成の資金とするためにできるかぎりコストを節約したいのでCrew DragonもボーイングのStarlinerも有料の乗客のための席を確保している。SpaceXはすでにCrew Dragonによる宇宙往復(ISSには滞在しない)旅行のチケットの予約を取り始めている。Dragonカプセルは最大7名の収容能力がある。NASAはこのうち4席のみを予約している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Twitterの著名人ハッキング事件でフロリダの17歳「首謀者」が逮捕

米国時間7月31日、テキサス州ヒルズボロ郡のAndrew Warren検事は、同州タンパ在住の17歳を30件の重罪容疑で逮捕した。最近Twitter(ツイッター)で起きたハッキング事件の首謀者だとされている。

事件は7月に起こり、Apple(アップル)、Elon Musk(イーロン・マスク)氏、Barack Obama(バラク・オバマ)氏、Joe Beiden(ジョー・バイデン)氏ら著名人のアカウントがハックされ、暗号通貨詐欺に誘導するメッセージがそこから発信された。指定されたビットコインのウォレットに送金すると、金額が2倍になった返ってくると謳われていた。

10代の容疑者(未成年のため身元は公表されていない)はこの暗号通貨詐欺によって10万ドル以上を稼いだとされている。

州検事局によると容疑者は31日に連邦捜査局(FBI)および米国司法省の捜査によって逮捕され、成人として裁かれる。容疑は組織的詐欺(5万ドル以上)1件、および通信詐欺(300ドル以上)17件にわたる。

「一連の犯罪は著名人の名前を用いて実行されたが、主要な被害者は彼らではない」とWarren氏が声明で語った。「この ‘Bit-Con’(ビットサイン詐欺)は、ここフロリダを含む全米の一般人から金銭を搾取するよう仕組まれていた。この大規模な詐欺事件はわれわれの庭で画策されたものであり、断じて許すことはできない」

この攻撃はTwitter自身の内部管理ツールを使って著名人アカウントに侵入することで行われた。「

Twitterは31日に公式ブログを更新し、ハッキング事件の概要を説明した。

2020年7月15日に起きたソーシャルエンジニアリングは、電話によるスピアフィッシングによって少数の社員が標的となった。攻撃が成功するためには、当社の内部ネットワークにアクセスが可能であること、及び社内サポートツールの利用を許可された特定社員の個人認証が必要だった。当初標的とされた社員の全員がアカウント管理ツールの利用を許可されていたわけではなかったが、アタッカーは彼らの個人認証を用いて当社の内部システムをアクセスし、われわれのプロセスに関する情報を手に入れた。この情報を得ることによって、アカウントサポートツールを利用できる別の社員を標的にできるようになった。アタッカーはこれらのツールを利用できる社員の個人認証を使って、130件のTwitterアカウントに侵入し、最終的に45のアカウントからツイートを発信し、36アカウントのDM受信箱をアクセス、7アカウントのTwitterデータをダウンロードした。

将来同様の手口が使われないように、Twitterは「セキュリティー作業手順の適用を早め、ツールを改善する」ほか、社内システムの不正アクセスを検出、防止するための方法を改善すると言っている。

アップデート:司法省は個別の発表で、ハッキング容疑で逮捕されたのはフロリダ州タンパの10代だけではなく、ほかに英国のMason Sheppard(19歳)、別名 “Chaewon”(通信詐欺、マネーロンダリング、および保護されたコンピューターの意図的アクセスの容疑)とフロリダ州オーランドのNima Fazeli(22歳)、別名”Rolex” (保護されたコンピューターの意図的アクセスの幇助)の2名が関与していたことを明らかにした。2名はカリフォルニア州北部地区検察局で処置される。

「ハッカー社会には、今回のTwitterハックのようなアタックは匿名で実施可能で足がつかないとする誤った認識がある」とDavid L. Anderson検事が声明で語った。「今日の発表は、保護された環境に対する遊びや金銭目的のハッキングは割りに合わないことを知らしめるものだ。インターネット上の犯罪は、本人にとっては見られていないように感じるかもしれないが、隠し通せるものなどない。法を犯せばわれわれが必ず見つける、ということを潜在的犯罪者に言っておきたい」

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Twitter says ‘phone spear phishing attack’ used to gain network access in crypto scam breach

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ケータリングのノンピが約2.1億円調達、法人オンライン飲み会専用の食事配送「オン飲みBOX」開始

ケータリング ノンピ オンライン飲み会 オン飲みBOX

ケータリングサービスのノンピは8月3日、第三者割当増資として約2.1億円の資金調達を発表した。今回の資金調達により、さらなる経営基盤の強化を図るとともに、オンライン飲み会専用の食事配送サービス「オン飲みBOX」を開始した。

オン飲みBOXは、法人のオンラインコミュニケーションを促進するための新サービスとして、オンライン飲み会に最適化された食事の開発や、幹事向け受付サービス、配送オペレーションの仕組化を進めるとしている。

同社はこれまで、社員食堂の遊休資産を活用し調理した食事を提供する法人向けケータリングサービスを展開。官公庁、スタートアップ、外資系企業のキックオフや歓送迎会、新人歓迎会など年間約8000件のサービス提供実績があるという。

新型コロナウイルス感染拡大の影響などによりテレワーク・リモートワークが急速に普及した一方、同社顧客から、「オンラインキックオフ向けの食事を提供してほしい」「オンライン送別会を実施するから参加者の自宅にケータリングを届けてほしい」という要望があった。それらニーズに応える形で開発したのが「オン飲みBOX」としている。

オン飲みBOXは、調理・梱包した食事を1人分1箱としてパッケージングし、クール便で参加者の自宅に送付(全国配送可)。オンライン飲み会開催当日または前日に到着するように送り、参加者全員で同じ食事をとれるという。最大400名まで対応でき、全社員のオンラインキックオフやオンライン送別会などで利用できる。

ケータリング ノンピ オンライン飲み会 オン飲みBOX

 

ケータリング ノンピ オンライン飲み会 オン飲みBOX

またオン飲みBOX利用の際は、オンライン飲み会の開催日1週間前までに、申し込む必要がある。幹事から参加者のメールアドレスをノンピに送付すると、同社にて配送先住所や配送時間を収集する。幹事のオペレーションを最小限に抑えると同時に、参加者のプライバシーを守れるとしている。また、費用清算は一括での対応となる。

ケータリング ノンピ オンライン飲み会 オン飲みBOX

なおノンピは、100社限定で1社10名分までの半額トライアルを開始した。締め切りは8月31日まで。詳細は、「オン飲みBOX」ページを参照。

ノンピは、Google japan food teamの元総料理長や、外資系ホテルの元シェフなどを中心に構成された、食のプロフェッショナルチーム。ケータリングサービスにおいては、官公庁や外資系企業を中心に、年間約1万0000件の提供実績があるという。また、川崎市 藤子・F・不二雄ミュージアム内「ミュージアムカフェ」や、埼玉スタジアム2OO2「VIEW BOX」、三菱地所本社内カフェテリア「SPARKLE」、食事と空間にこだわる8ヵ所のフードプロデュースも実施した。

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オフィス向けケータリングサービスのZeroCaterが410万ドルを調達
シェフと企業をつなぐケータリングのマーケットプレイス運営のHungry、評価額約110億円突破

【特集】揺れる中国企業

2018年、ファーウェイCEO任正非氏の娘で、同社CFOを務める孟晩舟氏がアメリカ合衆国司法省からの要請を受けたカナダの司法当局により、米国によるイランに対する制裁をくぐり抜けるため米金融機関に虚偽の説明をしたとしてバンクーバーで逮捕された。かねてより米国とファーウェイの間には火種がくすぶっていたが、この事件をきっかけに両者の亀裂は大きく広がった。2019年5月15日、アメリカのトランプ大統領は、米国企業が安全保障上の脅威がある外国企業から通信機器を調達することを禁止する大統領令に署名。この禁止措置対象リストにファーウェイの名前が書き込まれると、Google、インテル、クアルコムなどの企業がそれに追随してファーウェイとの商取引を一部停止すると報道された。

最近では、インド政府が大人気の動画配信アプリ「TikTok」を含む複数の中国製アプリの使用を禁止するなど、外国政府と中国企業による攻防はファーウェイに限ったことではない。今週の特集「揺れる中国企業」では、時系列に沿って過去のニュースを整理することで、外国政府からの“締め出し”に揺れる中国企業の現状を探る。

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豪州がフェイスブックとグーグルにニュース使用料支払いを義務付け

オーストラリアは、アドテク大手のFacebook(フェイスブック)とGoogle(グーグル)に、自社のソーシャルメディアプラットフォームに表示したニュースコンテンツであげた収益をニュースコンテンツを所有するメディア機関に支払わせる、法的拘束力のあるフレームワークを導入する方向だ。

オーストラリア政府は、テック大企業とメディア機関に自主的な協議と合意を働きかけたが進展が見られず、テック大企業の広告売上高をメディア機関に分配することを義務付ける指針を作成すると4月に発表していた。

7月31日、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は記事使用料に関する草案を明らかにした(ACCCプレスリリース)。そこには「地元ニュース機関と2大アドテク大手のフェイスブックとグーーグルの間にある「深刻な交渉力の不均衡」を解決するものだ」とある。

「ACCCは幅広いオプションについてのフィードバックを反映させた構想を5月に発表し、協議を重ねて今回の草案に至っている。40件以上の具申があった」とACCCは述べた。

草案では、ACCCはプラットフォームが支払い交渉を長引かせようとするのを回避する方法として、拘束力のある「最終決定」の仲裁プロセスを盛り込んだ。3カ月間「交渉と調停」を行い、それでも結論が出ない場合は独立した仲裁人が、双方が出す支払い提案のどちらが「より合理的か」を45日以内に決める。

「これにより、コンテンツ対価に関する意見の相違が素早く解決される。草案が法制化されれば、仲裁が必要となった場合、支払いに関する交渉は6カ月以内に妥結する」とACCCは書いている。

この規則は、メディア機関(ローカル、地域の出版会社など)が大手プラットフォーム上での自社コンテンツの使用について、良い条件が得られるよう合同で交渉できるようにすることも目的としている。

拘束力に関し、草案では誠実に交渉しない、最小限の関与を実行しないなどの不履行は罰金につながる、としている。罰金は最大1000万ドル(約10億円)、もしくは得た利益の3倍、または過去12カ月の豪州マーケットでの売上高の10%とされている。つまり、フェイスブックとグーグルは、そうした規則を破ったと認められた場合、何百万ドルもの罰金に直面する可能性があることになる。

規則適用の対象は広く、Google Newsなどのニュース専門のプロダクトを単にスイッチオフにすることでプラットフォームが支払いを回避するのを防ぐ意図がある。グーグルは実際、スペインでニューススニペット再使用で対価を支払う代わりにオフにした(まだオフのままだ)。しかしACCCの草案はGoogle検索とDiscoverも対象としていて、グーグルがコンテンツ代の支払いを避けるにはあらゆるオーストラリアのニュースコンテンツの表示を見合わせなければならなくなる。これはオフにするにはかなり大きなスイッチだ。

このほか草案で興味深い点は、ニュースやペイウォール対象のニュースのランキングへの口コミによるアクセスに「実際に影響を及ぼしそう」なアルゴリズムの変更を、1カ月(28日)前にニュース機関に通知することをプラットフォームに義務付けていることだ。ニュースの表示やプレゼンテーション、そしてニュースに直接関連する広告への「相当な」変更も通知義務付けの対象となる。

もう1つ注意をひくのは、プラットフォーム上でのユーザーのニュースコンテンツやり取りを介して集めるデータについて、「明確な情報」をニュース機関に提供することをプラットフォームに求めている点だ。ここでの情報とは、ユーザーが記事にどれくらいの時間を費やしたのか、特定の時間内に何本の記事を閲覧したのか、プラットフォームサービスでのユーザーのニュース閲覧に関するデータなどだ。

主要プラットフォームはインターネットユーザーがいかにコンテンツを扱っているかについての情報にコンテンツ制作者がアクセスするのをブロックすることでデータへのアクセスを独占できるようにしているが、アテンションエコノミーを支配し続けるために主要プラットフォームがマーケット支配力を使うという問題に取り組むためのもののようだ。

フェイスブックのようなプラットフォームは、他社のコンテンツを自社の都合のいいところに集めようとしてきた。インタラクションデータに自社だけがアクセスできるところにコンテンツが投稿されるようマーケット支配力を使っている。これによりニュース制作者とニュース視聴者のつながりは絶たれ、ニュース制作者が記事に関する分析を行ったり、変更や消費者動向のトレンドに対応するのは困難になる。

相当量のユーザーデータから遮断されると、ニュース機関は視聴者との緊密な関係の構築が難しくなる。視聴者との関係構築は、例えば購読などさらなる収入源の確保においてかなり重要だ。

「ニュース機関と主要なデジタルプラットフォームの間には深刻な交渉力の不均衡がある。これは部分的にはニュース機関がプラットフォームと取引せざるを得ないためであり、コンテンツや他の問題に関する支払いでプラットフォームと交渉する力はほとんどない」とACCCの委員長を務めるRod Sims(ロッド・シムズ)氏はコメントした。

「草案を作成する中で、ニュース対価を確保しようと取り組んだ海外の規制当局や議会のアプローチを参考にした。我々は深刻な交渉力の不均衡を解決し、コンテンツに対する正当な支払を実現するモデルを求めていた。非生産的で長々と続く交渉を回避し、グーグルとフェイスブック上でオーストラリアのニュースが引き続き利用できるようにするものだ」

「草案はこうした目的を達成していると確信している」と同氏は付け加えた。

草案には、アドテク大企業2社とメディア機関の間の力の不均衡をなくすことを目的とした提案も含まれている。1つには、サービス上でオリジナルのニュースコンテンツがわかるようにするということだ。これはExclusive(独占)ラベルのようなもので、「ファクトチェック」ラベルとともにプラットフォームは必要に応じて適用できる。

2社はまた、プラットフォームに投稿された個人のコンテンツへのコメントをオフにできるなど、ACCCが言うところの「フレキシブルなユーザーコメントモデレーションツール」をニュース機関に提供する必要がある。

ここでの意図は、ニュース機関と大手プラットフォーム2社がコンテンツをめぐる議論を形成するより良い方法を持てるよう仲介を増やすことだ。

規制の適用についてACCCは、「制作したオンラインニュースコンテンツが『オーストラリア国民にとって公益性がある問題を調査・説明するもの』、あるいは『オーストラリア国民が公に議論していて民主的な政策決定を示すもの、またはコミュニティや地元の出来事に関連する問題』であれば、プラットフォームのコンテンツ再使用に対してニュース機関は支払いを求めることができる」としている。

他にも、専門的な編集基準の最低レベルの維持、「適切な」編集の独立性の維持、主にオーストラリア人に提供するために国内で事業展開していること、年間売上高が15万ドル(約1600万円)以上であることなどが要件となる。

まずはフェイスブックとグーグルにのみ適用されることになる規制は(ACCCは2社と同様のマーケット支配力を持つ他のプラットフォームも対象となり得ると書いている)、ドラマやエンターテイメント、スポーツ放送など非ニュースコンテンツ制作会社を対象とするものではない。

草案についての声明で、グーグルのオーストラリア責任者であるMel Silva(メル・シルバ)氏は深い失望を表明した。

規則が前向きなもので、より良い未来に向けてニュース機関、デジタルプラットフォームの両方が協議することを促すようなプロセスを我々は期待していた。なので、我々はかなり失望していて、規則草案ではより良い未来の構築が達成できないと懸念している。政府の行き過ぎた干渉はオーストラリアのデジタルエコノミーを妨げ、我々がオーストラリア国民に提供できるサービスに影響を及ぼす。

規則は、Googleがニュース機関に提供しているかなりの価値を過小評価している。当社はオーストラリアのニュース機関に毎年何十億ものクリックを無料で提供していて、この価値は2億1800万ドル(約230億円)だ。マーケットを機能させるのではなくオーストラリア政府が干渉するという懸念すべきメッセージを事業者や投資家に送っている。また、2030年までにデジタルエコノミーを主導する存在になるというオーストラリアの野心に悪影響を与える。メディア部門を刷新するために誤った道をとることになり、デジタル時代に合うビジネスモデルを創出するための基本的な問題を何一つ解決しない。

オーストラリアの消費者の益になり、ウェブで生み出される共有の恩恵を守り、小さなニュース機関を犠牲にして大きなニュース機関のに有利とならないよう、最終的な規則が実用的なものになるよう議員に求める。

Facebookは、オーストラリア・ニュージーランドの責任者William Easton(ウィリアム・イーストン)氏が「『業界や我々のサービス、オーストラリアのニュースエコシステムへの投資に与える影響を理解するために』草案をレビューしている」との短いコメントを出した。

次のステップとしては、8月にさらに規制草案の審議が行われる。「その後すぐに」法制化される、とACCCは説明している。

草案の詳細はこちらで閲覧できる。

テック大手に適用する規制は複数の国で検討されている。米国の議員はかなりパワフルな米テック大手のマイナス要素を議論している。

ニュース広告売上を分配するというオーストラリアのアプローチで考えられる問題要素の1つは、FacebookとGoogleの監視資本主義という乱用モデルに取り組むものではないことだ。この問題は欧州当局が調査を続けている。大手プラットフォームは、行動ターゲティング広告のために消費者からプライバシーを奪うことで成り立っているデータマイニングビジネスモデルでメディアをさらに取り込むようだ。

時間潰しのクリックベイトから民主主義を歪める誤情報、ヘイトスピーチに至るまで、批評家は行動ターゲティング広告の多くの害を論じた。その一方で、さほど侵入的でないタイプのターゲット広告も利用可能だ(未訳記事)。

「プラットフォームユーザーのプライバシー」について草案で触れられている部分には次のようにある。「規制草案の最低基準は、デジタルプラットフォームにニュースコンテンツを通じて現在集めているデータについて明確な情報を提供することを求めている。ただし、規制はデジタルプラットフォームがニュース機関とのユーザーデータ共有を増やすことを要件としていない。したがって、規制はデジタルプラットフォームユーザーに適用される現在のプライバシー保護に影響を及ぼさない」。

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(翻訳:Mizoguchi

グーグルとアップルの接触通知システム採用アプリの米国展開は「数週間後」か

Googleの副社長であるDave Burke(デイブ・バーク)氏は、Google(グーグル)がApple(アップル)と共同で開発したExposure Notifications System(接触通知システム、ENS)に関する最新情報を提供(Googleブログ投稿)した。公衆衛生当局の接触追跡を支援するこのコネクテッドソリューションは、プライバシーを保護しつつ、新型コロナウイルスへの感染が確認された人へ接触した可能性がある人に警告を発する。バーク氏は「グーグルはこれら一連のアプリが米国で今後数週間で展開されると見込んでいる」と述べた。実際の製品は5月にリリースしたテクノロジーをベースに作られているが、製品化への進展が見られないとの批判もあった(CNBC記事)。同氏のコメントは批判に対する暗黙の返答かもしれない。

バーク氏によると、現在米国内の20の州と地域がENSシステムを利用したアプリを検討中であり、検討中の州・地域合計で米国人口のほぼ半分(45%)をカバーする。また同氏は、Exposure Notification API(ENS API)や関連する文書や情報について最新情報と改善状況を公表した。両社がそれらを公表したのは、州保健機関からの質問に回答し、望むらくはAPIの使用とプライバシーへの影響に関して透明性を確保するためだ。

ENS APIは、国をまたぐ接触通知もサポートしている。バーク氏によると、このテクノロジーに基づいてアプリをすでにリリースした国、具体的にはカナダCOVID Alert)と一部の欧州諸国があることを前提として追加された機能だ。また、多種のデバイスに固有のBluetooth値を使って、近くのデバイスの検出する精度にも優れている。加えて、開発者向けにアプリとデバッグツールの両方の信頼性を向上させたため、公衆衛生当局と開発パートナーは、実際にENSを利用するアプリをより簡単に開発できるはずだ。

バーク氏は「開発者から、ENSが内部でどのように機能しているかより詳細な情報が欲しい」というフィードバックがあったと述べた。そこで、テスト検証サーバーの作成、基礎的な動作を明らかにするコード、実際に(匿名化された上で)収集されるデータの種類について保健当局の参考となるガイドを公開した。透明性を確保したデバッグと適切にアプリが機能することの検証を可能にするためだ。

Googleは接触通知機能を利用するためにAndroidデバイスの位置情報設定をオンにする必要がある理由も説明している。APIを使用して開発されたアプリは位置情報データの収集を明確に禁止しているからだ。基本的にこれは古い要件が残ったままになっており、間もなくリリースされるAndroid 11では不要となる予定だ。ただしそれまでは、位置情報サービスがオフになっているとENSを利用するアプリは実際には位置情報を表示または受信することができない。

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【Japan編集部追記】日本国内で配布されている「新型コロナウイルス接触確認アプリ(COCOA)」もExposure Notifications Systemを使って開発されている。

(翻訳:Mizoguchi

マイクロソフトが9月15日までにTikTok買収へ、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの事業が対象

米国時間8月2日、マイクロソフトは同社のコーポレートブログに、米国でのTikTok買収の可能性についての議論を継続する声明を掲載した。声明の中には「米国の投資家」を少数派で参加させる可能性があるという記載もある。

今回の声明は、同社CEOのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏とトランプ大統領との会話の結果だという。これまでの報道やTechCrunchの調査では、状況は完全にホワイトハウスの手に委ねられていると指摘されていた。同社は買収に意欲的だが、大統領の感情という障害物を抱えている。もし、ナデラCEOがトランプ大統領に直接接触したのであれば、TikTok米国事業の行く末は明るいものになるかもしれない。

声明には「ナデラCEOとトランプ大統領の直接交渉に続いて同社は、米国でのTikTok事業の買収を探索するための議論を継続する準備ができている」と書かれている。「マイクロソフトは、大統領の懸念に対応する重要性を十分に認識しています。完全なセキュリティ審査を受け、米国財務省を含む米国に適切な経済的利益を提供することを条件に、TikTokの米国事業を買収することを約束しています」ともある。

同社はいずれにしてもByteDanceからの買収に関する協議を2020年9月15日までに完了するとしており、大統領や米国政府との協議を継続する。今回の買収は、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドでのTikTokの事業を対象としており、これらの市場ではマイクロソフトが所有・運営することになる。

声明には「他の手段の中で、マイクロソフトはTikTokの米国ユーザーのすべてのプライベートデータを米国内に転送したうえで米国内に残すことを保証します。これらのデータが米国外に保存またはバックアップされている場合、データが転送された後に国外のサーバからそのデータを削除することを保証します」とも記載されている。

ここでの歴史的経緯は、マイクロソフトが今回のアクションを起こしているのは、ByteDanceの最大市場の1つである米国でTikTok事業を継続するには事業売却の必要があるからだ。事の発端は、中国企業が運営するネットサービスでのデータの扱いについてホワイトハウスが強い懸念を示したこと。FacebookやTwitter、Googleなどのなどを含む多くのネットサービスが、グローバルでさまざまユーザーデータを集計・分析しているにもかかわらず、反中国の旗を掲げて、米国市民の膨大な量の行動データにアクセスできることが間違いないアプリ、つまりわかりやすいターゲットを狙う機会を得たわけだ。

一方でTwitter界隈では、トランプ大統領がTikTok上で彼をからかうことで人気を博したコメディアンに腹を立てただけだという説(Vouge記事)もあるが。

いずれにせよ、今回のことでTikTokの刻みの時計の中にもう1つの「トック」が増えた。関係者には手を差し伸べるが、この件に関しては先週末のバタバタしたニュースの最終的な結果になりそうだ。

情報に更新があれば記事をアップデートする。

法務局に行かずにストックオプションの登記申請が可能な「AI-CON登記」が登場

AIを活用した各種リーガルテックサービスを開発・運営するGVA TECHは8月3日、法務局に出向くことなくストックオプション(新株予約権)の登記申請に対応したサービス「AI-CON登記」を発表した。同社は、弁護士の山本 俊氏が設立した2017年1月設立のリーガルテックスタートアップ。同氏は、スタートアップ企業のIPOまでの法務サービスなどを提供する、GVA法律事務所の代表弁護士でもある。

AI-CONは同社独自のAI契約書レビュー支援サービスで、登記申請できる契約書の種類は以下の9種類と今回のストックオプションで合計10種類になる。

  • 株式会社の役員変更(新任)登記
  • 株式会社の役員変更(辞任)登記
  • 株式会社の役員変更(重任・退任)登記
  • 株式会社の本店移転登記(管轄内外)
  • 株式会社の募集株式発行(増資)登記
  • 代表取締役の住所変更登記
  • 株式会社の商号変更登記
  • 株式会社の目的変更登記
  • 株式会社の株式分割登記

AI-CON登記を利用するには、同社のウェブサイトで会員登録後、会社情報や発行するストックオプションの情報を入力するだけで、AIが税制適格要件をカバーした割当契約書や発行要項などを含む、登記申請に必要な書類を自動作成してくれる。作業・所要時間は1時間程度。あとは、作成された書類を印刷して押印と収入印紙(登録免許税)を貼って法務局に郵送することで登記申請が完了する。もちろん、法務局にこの書類を持ち込んでもいい。

利用料金は、ストックオプション発行手続書類が税別3万円、各書類を印刷してレターパックとセットで届けてくれる「かんたん郵送パック」が税別5000円から。かんたん郵送パックを使えば、所定位置に押印や収入印紙を貼って投函するだけで登記申請ができる。なお現在は、コロナウイルス感染拡大に伴う「No!3密キャンペーン」を実施中で、かんたん郵送パックを税別3000円で利用できる。

そのほか税別5000円の「登記簿謄本郵送オプション」サービスもある。申請した登記内容が反映されたら、通知と登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を郵送で申請者に送付するサービスだ。法務局には登記完了を申請者に通知する仕組みは用意されておらず、申請者が登記情報を逐一チェックする必要ある。このオプションサービス使えば、申請者はチェックの手間なく登記簿謄本が郵送で届くのを待つだけでいい。

GVA TECHでは、今後もさまざま登記種類への対応を計画しており、司法書士などに書類作成を頼むコストを手間、時間の軽減を目指し、起業家やスタートアップ企業の支援を進める。

キャンピングカーと車中泊スペースシェアなど「バンライフ」のCarstayが約5000万円を調達

VANLIFE バンライフ Carstay キャンピングカー 車中泊

キャンピングカーと車中泊スペースのシェアサービスなど「バンライフ」プラットフォーム事業を展開するCarstay(カーステイ)は8月3日、初の第三者割当増資として約5000万円の資金調達を発表した。引受人はサイバーエージェント・キャピタル、ライフタイムベンチャーズ、平井誠人氏、田端信太郎氏を含む個人投資家。これにより、金融機関からの借入を含めCarstayの資金調達の総額は1.3億円となった。

今回の資金調達は、2020年6月末に正式リリースした、日本初のキャンピングカーのカーシェアサービス「バンシェア」のデザイン改善、システム追加開発、ユーザー獲得のマーケティングに投じる。

また、CarstayのCMO(Chief Marketing Officer/最高マーケティング責任者)に、ZOZO 元執行役員の田端信太郎氏が就任。同氏はマーケティング・PRのプロフェッショナルとして、経営に参画、事業戦略の立案から遂行までを通じて、更なるバンライフの普及拡大、事業の成長を図るという。

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大防止のため、3密(密閉・密集・密接)を避けられる旅行手段として車旅や車中泊、新たなライフスタイルとしても「バンライフ」が注目されており、Carstayのユーザーは急増、7月は過去最高の予約件数を記録したという。現在、「バン シェア」には50台のキャンピングカー、車中泊スポットのシェアサービス「カーステイ」には200箇所が登録されている。

2018年6月創業のCarstayは、「誰もが好きな時に、好きな場所で、好きな人と過ごせる世界をつくる」というミッションを掲げ、“移動”を基盤にあらゆるサービスを提供する概念「MaaS」(Mobility as a Service)領域で新しい旅と暮らしのライフスタイルVANLIFEをテーマに事業を展開するスタートアップ企業。今後、5G・自動運転社会の到来で必要となる「快適な移動」と「感動体験」を「VANLIFE」プラットフォームの提供を通じてデザインするとしている。

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GitHub解析でエンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するFindyが総額7.7億円を調達

ファインディ Findy

GitHub解析によるエンジニアスキルの見える化をコア技術に、エンジニア転職とエンジニア組織の生産性向上を支援するファインディは8月3日、第三者割当増資と融資を合わせ、総額7.7億円の資金調達を発表した。引受先は、リード投資家のグローバル・ブレイン(既存投資家)、ユナイテッド、SMBCベンチャーキャピタル、KDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、JA三井リース、HAKUHODO DY FUTURE DESIGN FUND(博報堂DYベンチャーズ)、みずほキャピタル。

今回調達した資金を活用し、プロダクト開発やマーケティング、営業活動の強化、また新規株主の事業会社・CVCとの協業も視野に事業拡大に努めるという。

ファインディは、エンジニアと企業の高精度マッチングから開発力強化までを一貫して支援するスタートアップ。エンジニアのスキルおよび企業の魅力度を見える化する独自アルゴリズムを核に、2017年5月より「Findy転職」、2018年2月より「Findy Freelance」を開始。2020年4月からエンジニア組織の生産性自動診断・生産性向上サービス「Findy Teams」β版を提供している。

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違いのわかる大人の完全ワイヤレスイヤフォン「Technics EAH-AZ70W」

ワイヤレスイヤホン Technics EAH-AZ70W

あのTechnicsから完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ70W」登場

左右ユニット間との通信をもワイヤレス化した「完全ワイヤレス(True Wireless)イヤフォン」は、イヤフォン界隈の”台風の目”。いわゆる最先端で売れ筋の商品であり、イヤフォンメーカー各社が鎬を削るカテゴリだ。

しかし、競争が激しいだけに技術が進化するペースも速い。当初は完全ワイヤレスというだけで話題になったが、左右ユニット間の音途切れを減らした製品が人気となり、やがて音質志向の製品が次々登場し、デザイン性や価格で訴求を図るブランドも現れ始めた。

そして2019年には、「(アクティブ)ノイズキャンセル」という要素が加わった。小型マイクで集音した周囲のノイズをもとにプロセッサーで演算を行い逆位相の音波を生成、それを重ねて出力することによりノイズを打ち消すという機能だが、これを完全ワイヤレスで行うのは技術的なハードルが高い。

1つにはプロセッサーの性能。精緻な逆位相波の生成には演算性能が高いプロセッサーのほうが有利だからだ。2つには、ノイズを取り除くためのソフトウェア(フィルタ)。どの帯域をどれほど調整するかによってノイズの減り方や音質が変わるため、開発の経験値が要求される。マイクをどこに、どの角度で取り付けるか、耳とユニットがどれだけフィットするかなどのアナログな作り込みも重要だ。

今回取り上げる「EAH-AZ70W」は、2014年に復活を遂げた歴史あるオーディオブランド「Technics」初となる完全ワイヤレスイヤフォン。左右ユニットの音途切れを防ぎ、アクティブノイズキャンセル機能を備え、そしてTechnicsの名にし負う音質と、最新のトレンドが”全部入り”の製品だ。そのあれやこれやについて、開発者のコメントを交えながら紹介する。

ワイヤレスイヤフォン Technics EAH-AZ70W

Technics初の完全ワイヤレスイヤフォン「EAH-AZ70W」。ボディカラーはシルバーとブラックの2色が用意される

Technics開発チームに訊いてみた

一般的に完全ワイヤレスイヤフォンといえば、左右ユニットのどちらかがスマートフォンなどの送信機器(Bluetoothトランスミッター)と通信してLR両チャンネルのオーディオ信号を受信し、もう一方のユニットに片チャンネルの信号を送信するというリレー方式の接続が行われるが、EAH-AZ70Wは「左右独立受信方式」。左右ユニットそれぞれが送信機器から直接LRの信号を受信するのだ。

この左右独立受信方式は、Qualcommが「TWS Plus」という名称で商品化しており、スマートフォンなどBluetoothトランスミッター側にQualcommのSoC(Snapdragonシリーズ)が必要。iPhoneなど他のSoCを積むスマートフォンでは利用できないため、市場が限られてしまう悩ましさがある。

EAH-AZ70Wでは、他社製のチップを利用して左右独立受信方式を実現しており、前述した”Qualcommしばり”は存在しない。Bluetooth/A2DP対応製品であればよく、iPhoneとAndroidのどちらでも左右ユニットそれぞれが直接LRの信号を受信できるのだ。

この点についてTechnics開発チームに尋ねると、「完全ワイヤレスは大きさが重要。ドライバーやマイクも影響するが、電池をコンパクトにする効果が大きい。そのためには左右独立受信方式が必要だった」(深川氏)という。電力消費ペースが左右一方に偏りがちなリレー方式に比べ、均等に電力を消費する左右独立受信方式のほうがバッテリーサイズを小さくできるのだそうだ。

レイテンシーの軽減にも左右独立伝送がひと役かっているのだそう。Bluetoothオーディオでは音途切れを回避するため、オーディオ信号を一定量バッファーするが、そのサイズを増やすと途切れにくくなる反面レイテンシーが長くなる。しかし左右独立受信方式は片チャンネルの信号を右から左へ(あるいは左から右へ)送る必要がないぶん、リレー方式に比べバッファー量が少なくていい。「音途切れや混信を避けるため多少は設けている」(稲田氏)とのことだが、リレー方式と比べればバッファーが少なく、結果としてレイテンシー短縮に寄与しているのは確かだという。

EAH-AZ70Wのもうひとつの売りは、ノイズキャンセルの独自性にある。一般的にアクティブノイズキャンセルで効果を高める場合、ノイズを拾うマイクをハウジングの外側に設置する方式(フィードフォワード)と、内側に設置する方式(フィードバック)を併用するが、最終的にはプロセッサーで処理する都合上両方をデジタル回路にすることが多い。しかし、EAH-AZ70Wではフィードバックにアナログ回路を利用している。これが「デュアルハイブリッド・ノイズキャンセリング」と呼ばれるPanasonic/Technicsの独自技術だ。

ワイヤレスイヤフォン Technics EAH-AZ70W

ハウジングの周囲にはノイズキャンセル(フィードフォワード)用マイクを確認できる

この技術の効果は確かで、ONにするやいなや電車やクルマの走行音がすっと消える。まったくの無音ではないものの、電車の「ガタンゴトン」は「カタンコトン」になり、窓越しに聞こえるクルマの走行音は「ブオー」から「シュー」に変わる。しかも一部のノイズキャンセルイヤフォンで感じる独特の閉塞感・圧迫感 — エレベーターで耳がツンとするときに似ている — が気にならない。ノイズ低減効果がいいだけでなく、自然なのだ。

効きの要因についてTechnics開発チームに尋ねると、ひとつにアナログ回路の採用を挙げた。しかも、「フィードフォワード方式は信号がドライバーに到達するまでの時間を考慮した高精度な演算が必要なため、プロセッサーの性能は高ければ高いほどいいが、消費電力とのトレードオフの関係になる。一方のフィードバック方式は鼓膜に近いため、そこまでではない。しかも我々はアナログ回路を選択したため、遅延がないうえ省エネだ」(深川氏)というから、計算づくだ。

Technicsの名を冠するだけに、「音質最優先で設計した」(小長谷氏)と音にもこだわる。ノイズキャンセルなど他機能と同時進行で開発されるが、まずはこれらの機能を除いた音響設計で音質目標を明確にした上で開発を行ったそうだ。音の要因となるドライバーは、5、6つほど候補がある中、ドライバー特性や音質を確認のうえ改良を加えるなどして最終決定したそうだが、「音がいいものは電気の消費が少くてすむ、つまり能率がいい。だから特性が良く駆動力が高いドライバーを追い続けた」(小長谷氏)とのことで、強いこだわりが感じられる。直径10mmのグラフェンコートPEEK振動板は、その帰結というわけだ。

品よく大人の仕上がり

2週間ほど試用したうえでの印象だが、左右独立伝送が予想以上にいい。1mほどの常識的な範囲で利用したかぎりでは音途切れがなく、バッテリーが減るペースも左右でほぼ同じだ(専用アプリ「Technics Audio Connect」で確認できる)。Qualcommのチップを使わないという選択をしたため、同じくQualcommが開発したコーデック「aptX」を使えないものの、それはaptX非対応のiPhoneユーザーには関係ない話。ほぼすべてのスマートフォンユーザーが「音途切れなし&省電力」のメリットを享受できるほうが合理的だ。

ワイヤレスイヤフォン Technics EAH-AZ70W

スマートフォン用アプリ「Technics Audio Connect」(画面はiOS版)。ノイズキャンセル/外音取り込みのレベルはアプリで調整する

ノイズキャンセルの効きも上々。今現在も遠くからセミの鳴き声(人間がもっとも敏感に反応する4KHz前後)は聞こえるものの、エアコン室外機の不快な低周波音はしっかりシャットアウト。感じない人もいるそうだが、個人的には閉塞感・圧迫感が少ない自然なところが気に入っている。

課題があるとすれば、通話時の音声品質だろうか。テレワークでの利用を考慮すれば、マイクが拾った音(自分の声)の騒音抑制/ノイズサプレッション機能があればいいし、HD Voice対応も欲しいところ。ただここ数ヵ月で急速にニーズが高まった機能なだけに、この点に関しては次期モデルに期待したい。

それにしても、直径10mm/グラフェンコートPEEK振動板を採用したダイナミックドライバーの鳴りっぷりたるや。しっかりと低音を感じさせてくれるし、音の輪郭に精緻さもある。デザインはシンプルだが品よくまとめられ、飽きがこない。初号機なれど、”違いのわかる大人の完全ワイヤレス”として独自のポジションを確立したように思うが、いかに。