2016年に約4600億円で非公開化したRackspaceが再IPOを準備、少々図々しい

1株当たり32ドル(約3400円)、総額43億ドル(約4600億円)の条件をApollo Global Management(アポロ・グローバル・マネジメント)から受け入れ2016年に非公開化(未訳記事)したあと、Rackspace(ラックスペース)は再び公開市場に目を向けている(Form S-1提出書類、上場前に米証券取引委員会に提出する書類)。同社は2008年に初めて株式を公開した。そのデビューから約12年経ち、 二度目の株式公開を目指している。

Rackspaceは自社の事業を「マルチクラウドテクノロジーサービス」ベンダーだと表現し、顧客のクラウド環境の「設計・構築・運用」を支援している。同社自身がサービスに注力していると強調していることは、後述するように同社の財務面の特徴を理解するヒントになる。

だが最初にいくつかの基本事項から。同社のS-1申請書類では、株式公開による調達金額を仮に1億ドル(約107億円)としている。この数字は変わるが、仮の数字としてよく使われるもう1つの数字である5億ドル(約535億円)よりも、株式発行による収入の目標が1億ドル(約107億円)に近いことを示している。

RackspaceはNadaq(ナスダック)市場にティッカーシンボル「RXT」で上場する。 Goldman(ゴールドマン)、Citi(シティ)、J.P. Morgan(J.P. モルガン)、RBC Capital Markets(RBCキャピタルマーケッツ)などの銀行が2度目のデビューで引き受けを担当する。

財務実績

非公開企業になったほかの企業と同様、後になって再び公開企業としてデビューするRackspace(未訳記事)は「借金の海」を抱えている。

2020年3月31日時点の同社の貸借対照表には現金および同等物が1億2520万ドル(約130億円)計上されている。貸借対照表の反対側には39億9000万ドル(約4300億円)の負債を抱える。主な内容はタームローンファシリティ(中長期のローン)が28億2000万ドル(約3000億円)とコスト(利率)8.625%のシニアノート(高格付け債券、シニア債)が11億2000万ドル(約1200億円)だ。シニアノートよりコストが4%ほど低いタームローンは、Rackspaceを非公開化した際の借入金20億ドル(約2140億円)と、後に「Datapipeの買収に関連して」借り入れた8億ドル(約820億円)からなる。

もともと総額12億ドル(約1300億円)あったシニアノートは、2016年に同社が非公開化した際に借り入れたものだ。借りてきた金で企業を買収し、後で再び公開し、その資金で膨らんだ負債を減らす。それを可能にするプライベートエクイティの能力が「もうけ」をもらたすが、少々図々しい。

RackspaceはIPOで調達する資金で、タームローンとシニアノートの両方を含めた負債を減らす予定だ。負債をどれだけ減らせるかはIPO価格による。この負債によって同社は、営業ベースの収益性は良いが、純利益ベースでは非常に収益性が低い会社となっている。下表を見てほしい。

画像クレジット:SEC

一番右の列を見ると、売上高が大きい企業だとわかるが、粗利益はテック企業にしては小さい。2020年第1四半期は売上高6億5270万ドル(約700億円)から営業利益2150万ドル(約23億円)を生み出した。だが、7200万ドル(約77億円)の支払利息もあり、4820万ドル(約52億円)もの巨額の純損失を計上した。

ただし、同じ3カ月で営業キャッシュフローはプラスになっており、何もかも失われたわけではない。それでも、同社の数十億ドル(数千億円)の負債は巨額であり、負担は大きい。

Rackspaceの事業の説明に戻り、同社が「マルチクラウドテクノロジーサービス」を提供していることを思い出してほしい。これが物語るのは、粗利益が今後はサービスから生まれ、ソフトウェアからではなくなるということだ。実際にそうなっている。2020年第1四半期の同社の粗利益は38.2%で、前年同四半期の41.3%から下落した。この傾向は気がかりだ。

成長の軌跡もやや不安定だ。2017年から2018年にかけて、売上高は21億4000万ドル(約2290億円)から24億5000万ドル(約2620億円)へと14.4%増加した。同社は2019年にわずかに縮小し、売上高は2018年の24億5000ドル(約2620億円)から翌年度には24億4000万ドル(約2610億円)に減少した。2019年の景気とクラウドの重要性を考えると、結果は少々驚きだ。

ただし2020年第1四半期は増収となった。同社の第1四半期のトップライン(売上高)6億5270万ドル(約700億円)は、2019年第1四半期の6億690万ドル(約650億円)を楽に上回り、7.6%成長した。それほど大きなことではないが(特に粗利率が低下している)、成長路線へ戻ることはいつでもおそらく歓迎される。

TechCrunchは開示書類に目を通したものの、現時点ではS-1で2020年第2四半期の結果を確認していない。新型コロナウイルスの時代にあって、第2四半期の数値を開示せずに魅力ある株価でデビューすることは難しいと考える。

Rackspaceの評価はパズルのように難しい。同社は一種のテック企業だから、ある程度の関心は集まる。だが、成長率の低さ、巨額の負債、さえない利益率により、「正しい」マルチプル(投資尺度)を定めるのが難しい。それらが解消すれば評価は上がる。

画像クレジット:TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

インテルCPUからApple Siliconへの移行のキモとなるUniversal 2とRosetta 2とは何か?

MacのCPUをインテルからApple Siliconに乗り換えることは、アップル自身にとってはもちろんのこと、サードパーティのアプリのデベロッパーにとっても、そしてユーザーにとっても、それなりに大事業であり、大きな変化を余儀なくされることがあるのも確かだ。

しかしアップルでは、この大事業をできるだけスムーズかつシームレスに成し遂げられるよう、そしてユーザーやデベロッパーの負担ができるだけ小さくて済むように、何種類、何段階もの施策を用意している。

WWDC20のキーノートでも述べられていたように、こうした動きを広く捉えると全部で4種類の方策が数えられる。そのうち最初の2つが特に重要だ。1つはインテルとApple Silicon、両方のネイティブコードを含む1つのアプリを提供するためのUniversal 2というバイナリフォーマットの採用。もう1つは従来のインテル用のアプリをApple Silicon Mac上で自動的に変換して実行できるようにするRosetta 2の導入だ。アップルでは、それらに加えてサードパーティ製の仮想化技術と、iPhone/iPadアプリがそのままMac上でネイティブ動作するBig Surの新しいアプリ環境を挙げている。

後半の2つのうち、仮想化技術は、これまでのインテルMacでも、非Mac、あるいは非ネイティブなアプリ用の動作環境として重要な役割を果たしてきた。そうした環境がApple Silicon Mac上でも継続的に用意されることは重要だ。

それに比べると、以前には存在しなかったiPhone/iPadアプリの動作環境は、インテルからApple Siliconへのスムーズ/シームレスな移行には直接関係ないように思えるかもしれない。しかし、Apple Siliconに移行した直後には、真にネイティブなサードパーティ製のMacアプリが不足気味になる可能性もあることを考えると、その際にネイティブで動作するiPhone/iPadアプリが存在するのは、ユーザーにとっても心強いことだと考えられる。

ともあれ、やはり今回の移行をストレスのないものにするための重要な技術は、Universal 2とRosetta 2の2つであることは間違いない。これらの技術は、主に誰のためにあるものかと考えると、対照的な位置づけであることに気付く。つまり、Universal 2は、アプリのデベロッパーが利用して、両方のCPUにネイティブ対応できるアプリを作成するためのものであるのに対して、Rosetta 2はもっぱらユーザーが利用して、旧形式のアプリを新しいプラットフォームで動作させるためのもの。それぞれ現時点でわかっている範囲で詳しく見ていこう。

デベロッパーのトランジションをスムーズにするUniversal 2

今回のWWDCで、Universal 2について最初に言及したのは、もちろんキーノートだった。その際には、インテル用とApple Silicon用のネイティブコードを1つのバイナリで供給できるフォーマットであることが紹介されただけで、それ以上の技術的なことは述べられなかった。

ただしデモとしては、すでにApple Siliconにネイティブ対応しているマイクロソフトやアドビなど、大手のデベロッパーのアプリが登場した。こうしたアプリは、インテルからApple Siliconへの移行期間として想定されている少なくとも2年間は、Universal 2アプリとして供給されることになるだろう。実のところユーザーの手元には、さらに長期間インテルMacも残るはずなので、Universal 2アプリが必要とされる期間は2年よりもう少し長くなるはずだ。

キーノート以外では「Platforms State of the Union」でも、実際にXcodeを使ってUniversal 2アプリをビルドするデモを交えなから、より詳しい話が語られた。

そこでまず出た話は、複数のCPU用コードを内蔵するユニバーサルアプリは、特に新しいものではないということ。Macでは、PowerPCからインテルに移行する際にはもちろん、同じインテルでも32ビットから64ビットに移行する際にも同様の仕組みを利用している。それを考えれば、今回は複数のCPUコードの組み合わせが、インテルとApple Siliconになったに過ぎないと考えることも可能だろう。

また、ユニバーサルアプリの基本的な情報として、コードは確かに2種類だが、それ以外のリソースはすべてひととおりしか持たないということも示された。つまり、画像や音声、3Dモデル、機械学習モデルといった容量が大きくなる可能性のあるデータは、コードの種類によらず共通なので、1つ持てばいい。そのため、ユニバーサルアプリにしてもアプリのサイズの増加は最小限に留められる。実際の増分はアプリの内容によって異なるが、通常のアプリでは純粋なコードの容量はアプリサイズの数十%以内だろう。とすれば、その部分だけが2倍になっても全体の増分は元の数十%に収まることになる。仮にリソースとしてのデータをまったく持たず、すべてコードだけで構成されているようなアプリがあったとしても、最大でほぼ2倍には収まるはずだ。

Xcodeでアプリをビルドする場合、そのXcodeが動作しているMacと同じアーキテクチャのネイティブコードをターゲットにビルドするには、単にそのMacの名前(この例では「My Mac」)を選べばいい。そして、Universal 2アプリをビルドするには、その選択を「Any Mac」に変更するだけ。それだけで、インテルとApple Silicon、2種類のCPUの実行コードを含んだユニバーサルアプリがビルドできる。

原理的には、このようにXcodeのターゲットを切り替えるだけでUniversal 2対応のアプリを作成できるわけだが、アップルではインテルアプリからUniversal 2への移行に要する時間を、ほとんどのデベロッパーについて「数日」以内としている。それは、CPUのアーキテクチャの違いからくる可能性のある問題を解決したり、最適化したりするのに時間を要する場合があるからだろう。

それでも、インテルからApple Siliconへの移行は、少なくともPowerPCからインテルへの移行よりは、かなり楽にできるはずだとしている。その理由として、3つの要因を挙げている。

まず、Apple Siliconとインテルのエンディアンが同一だから。つまり2バイト以上で表現するデータのメモリ上での配置の順番が、いずれも下位バイトのデータをメモリアドレスの小さいほうに、上位バイトのデータをアドレスの大きいほうに格納していくリトルエンディアンを採用している。そのため、データのバイト順をスワップする必要がない。

実はPowerPCは、バイエンディアンと言って、リトルエンディアンとビッグエンディアンのいずれに設定することも可能だった。しかしMacでは、それ以前の68Kプロセッサーがビッグエンディアンだったため、PowerPCをインテルとは逆のビッグエンディアンで使用していたのだ。PowerPCからインテルに変換したアプリでは、実行時にデータを扱うたびに余計な時間がかかるだけでなく、トリッキーなデータの扱いをしているプログラムでは、重大な、それでいて見つけにくいバグの原因となっていた。

2つ目の理由は、macOSアプリのデベロッパーは、iOS/iPadOSアプリもリリースしていることが多いことからくるもの。その場合、macOS用とiOS/iPadOS用のコードで、ソースレベルでは共通のものも少なくないはずだ。少なくともその部分は、すでにARMアーキテクチャへの移行が完全に済んでいることになる。そこには触る必要なくユニバーサルに移行できる。

3つ目は作業効率的な問題だが、Apple Silicon用アプリを開発するマシンは、必ずしもApple Silicon搭載Macである必要はない。つまりXcode 12をインストールしたインテルMacでも、Apple Silicon用のコードを含むUniversal 2アプリをクロスコンパイルしてビルドすることが可能なのだ。それによって、Mac用アプリのデベロッパーは既存のリソースをフルに生かしてApple Silicon対応アプリ開発に取り組むことができる。

なお「Port your Mac app to Apple Silicon」というセッションでは、アプリがCPUに関わるローレベルの情報を直接扱っているような場合や、プラグインを利用している場合などに発生しがちな不具合を取り上げて、移行の方法をXcode上で具体的に示している。デベロッパーにとっては参考になるはずだ。

ユーザーに気づかれない移行を目指すRosetta 2

Rosetta 2についても、最初に紹介されたのはキーノートでだった。そこでは大きな特徴として、高性能かつ互換性が高いこと、アプリのコードはインストール時に変換されること、プラグインなどは実行直前にダイナミックに変換することも可能であること、ユーザーにとっては意識せずに動作することなどが挙げられた。

また「Platforms State of the Union」でもRosetta 2は取り上げられた。Metalでも有効で高性能を発揮することが付け加えらたほか、いくつか新しいデモが示されたが、技術的な内容としてはキーノートと大差がなかったと言える。

一方「Explore the new system architecture of Apple Silicon Macs」のセッションでは、比較的詳しい技術的内容も明らかにされた。まず示されたのは、Rosetta 2で動作可能なアプリの種類だ。一般的なmacOSのアプリはもちろん、Mac Catalystを利用して作られたアプリ、ゲーム、JavaScript用のJITコンパイラーなどを含むウェブブラウザーなどが挙げられた。Metalを利用したアプリでも、Rosetta 2によって適切なApple Silicon上のGPUコマンドが生成されるという。さらに、機械学習を扱うCoreMLフレームワークを利用したアプリでも、Apple Siliconに内蔵されるニューラルエンジンを利用して動作するようになる。

次に、Rosetta 2によって実際のコードの変換が発生するタイミングについても説明された。それによると、1つは、App Storeからインストールするタイミング。もう1つは、どこからかダウンロードしたインストーラーのパッケージからインストールするタイミングだ。そして、こうしたアップル製の標準的なインストーラーを使わないアプリでも、初めて起動するタイミングで自動的に変換が実行される。その場合でも、最初だけDockの中でアプリのアイコンがバウンスする回数が多くなる程度だという。

またRosetta 2によるコードの変換は、セキュリティ的にも配慮されたものとなっている。コードは署名され、安全に保存される。また変換を実行したマシンでしか動作しない。こうしたセキュリティ設定は、OSをアップデートする際に更新されるので、変換済のコードはそのまま利用できるはずだ。

変換済のアプリを起動すると、当然ながら変換後のコードが動作する。ただし、プラグインのように、インストール時に変換されなかったコードについては、実行時に自動的に変換されるようになっている。

それでも、インテルCPUとApple Siliconには、細かな点でいろいろと違いがあるため、Rosetta 2で吸収しきれずにうまく動作しないアプリがあることも考えられる。たとえばRosetta 2は、インテルのAVX(Advanced Vector eXtension)と呼ばれるベクトル演算の拡張命令をサポートしていない。行儀のいいアプリであれば、事前にCPUがAVXをサポートしているかどうかを確認してから使うように作られている可能性もある。そうしたアプリでは問題ないかもしれないが、最初からAVXの存在を仮定して、いきなりそうした命令を使うようなアプリは、Apple Silicon上では動作しないだろう。

Rosetta 2は、多くの場合デベロッパーがアップデートをやめてしまったり、Apple Siliconへの移行をあきらめたような過去のアプリを動作させるためのものと考えられる。そのようなアプリにRosetta 2が対応できない部分が出てきてしまった場合、対処方法はほぼない。実際にはApple Silicon搭載Macが登場してみないと何とも言えないが、そのようなアプリがそれほど多くないことを願いたい。

画像クレジット:Apple

グーグルのFitbit買収はユーザーの健康データを広告に使用しないことへの同意でEUから承認される

Google(グーグル)は、2019年11月にFitbitを21億ドル(約2250億円)で買収するプランを発表した。しかしこの記事を書いている時点では、買収は完了していない。大企業が大企業を買うときは、規制当局の審査も厳しくなるからだ。この種の契約ではEUの規制当局がハードルになることが多いが、今回も同じことがいえるのかもしれない。

ロイターは「近い筋の話」として、グーグルが何らかの譲歩をしなかった場合、同社はEUの独占禁止法違反調査という形の精査に直面する可能性があるとしている。懸念の核心は健康のプライバシーだ。Fitbitなどのウェアラブル企業は、ユーザーの健康に関する情報を大量に収集する。

グーグルは、データと広告に途方もなく投資を行っている企業だ。この買収に批判的な人たちは、Fitbitを買収することで同社はまた新たな鉱脈のようなデータを提供することになると示唆している。そのため今回の買収は、グーグルが広告の販売に健康に関するデータを利用しないという約束にかかっている。

関連記事:GoogleがFitbitを約2300億円で買収

規定は、買収が最初に発表された際にグーグルが交わした約束に沿ったものだ。同社のハードウェア部門のトップであるRick Osterloh(リック・オスターロー)氏は「プライバシーとセキュリティが最優先される。弊社の製品を使用するユーザーは、自分の情報の安全についてグーグルを信用している。私たちはそれがとても大きな責任であることを理解しており、ユーザーの情報を保護し、ユーザーデータのコントロールをユーザーをコントロールし、ユーザーデータに透明性確保するよう努める」と約束している。

今週の報道に対してグーグルは、この買収が競争を激しいものにすると指摘している。Fitbitのシェアはかなり大きいが、同社がスマートウォッで出遅れたためにApple(アップル)やXiaomi、Huaweiなどがこのカテゴリーを支配している。グーグルは2019年1月にFossilからスマートウォッチの技術を大量に手に入れたが、Wear OSによるグーグルの市場参入努力の成果はほとんど上がっていない。

関連記事:グーグルがAndroidウェアラブルの希少恒存種Fossilのスマートウォッチ技術を$40Mで入手

広報担当者は、潜在的な規制への懸念を払拭しようと「弊社はあらゆる機会に、Fitbitの健康とウェルネスのデータをグーグルの広告に利用しないというコミットメントを明らかにしてきたし、データの選択権とコントロールをユーザーに提供する責任も明示してきた」という。

EUの規制当局は7月20日に取引を決定する予定であり、グーグルは7月13日までに譲歩を提示しなければならないと報じられている。

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルが教育者向けにSwiftとXcodeが学べる無料のプログラミング教材を拡充

米国時間7月9日、Apple(アップル)は、あらゆるスキルレベルの教育者がSwift(スイフト)とXcode(エックスコード)の両方を教えることができるようにするための、新しい無料教材の計画を発表した(Appleリリース)。米国時間7月13日には、アップルは「Develop in Swift(Swiftで開発)」カリキュラムの入門編として役立つ無料のオンライントレーニングを、教育者に提供し始める。

アップルによれば、このカリキュラムは学生の学習スタイルに合うように、ユーザーのフィードバックに基いて完全に再設計されたものだという。

この結果、新しいシリーズには「Develop in Swift Explorations」(探究)「Develop in Swift AP CS Principles」(上級コース)および「Develop in Swift Fundamentals」(基礎)という3つのコースが含まれることになり、いずれもすぐに利用可能となる。また4冊目の本「Develop in Swift Data Collections」(データコレクション)は、今秋後半に発行される予定だ。すべてApple Booksから入手できる。

カリキュラムは高校および高等教育の学生を対象としており、アップルが設計したオープンソースのプログラミング言語Swiftに焦点を当て、Mac上でXcodeを使用して行う。

画像クレジット:Apple

4年生から8年生(日本の中学2年生に相当)の若い学習者向けには、アップルのEveryone Can Code(誰でもプログラミングができる)カリキュラムが用意されていて、そこではSwift Playgroundsアプリを通じて、パズルとゲームを使いSwiftのブロック式コーディングが教えられている。このコースも、現在拡張されている最中だ。

「Everyone Can Code Puzzles」本をすでに完了している学生は、新しい本「Everyone Can Code Adventures」に進むことができる。この本は、学生が重要なプログラミングの概念について学びながら、Swiftでの開発を練習できる、より高度なアクティビティを含んでいる。

同社は、新しく拡張されたコースの意図を、しばしば必要とされる米国でのコンピューターサイエンス教師たちのニーズを補足することだという。

アップルはComputer Science Teachers Association(CSTA、米国コンピューターサイエンスティーチャーズアソシエーション)が、今日コンピューターサイエンスのクラスを提供している高校は全体の半分にも満たず、多くの大学生が教師不足のために卒業に必要なコンピューターサイエンスコースに参加できないと主張している点に着目している。

さらに、これらのコースは保護者にも提供されている。多くの保護者は現在、新型コロナウイルス(COVID-19)によるパンデミックの中で、自宅スクールで教師の役割を果たしている。

またアップルは自宅学習者の保護者向けに、iPadまたはMac上での10のコーディング課題を含む「A Quick Start to Code」などの、10歳以上向けの新しいリモート学習リソースセットを加えた。さらに、今春にローンチしたアップルの Learning from Home(リモート学習)ウェブサイトにも、リソースが置かれている。このサイトには、オンデマンドビデオやリモート学習に関する仮想会議、および無料の1対1の仮想コーチングセッションをスケジュールするオプションが含まれており、アップルの教育者によってホストされる。

アップルによって推し進められているコーディング教育の強化の長期的な影響は、まだわからない。例えば「Everyone Can Code」は2016年に開始されたばかりで「Develop in Swift」カリキュラムは2019年に始まったばかりだ。合計すると、現在それらのプログラムは、世界中で9000を数える高等教育機関で採用されている。

「誰もが」コードを学ぶことができ、そして学ぶべきであるという考えは、まだ議論の余地がある。多くの人がコーディングの基礎を学ぶことはできるかもしれないが、誰もがコーディングを楽しんだり、それに優れているわけではない。さらに、人はしばしば間違った理由でコーディングに目を向けたり(Bloomberg記事)、わずか2、3週間のトレーニングで簡単に年収数千万円を手にすることができると煽るブートキャンプに騙されたりしている。

その一方で、より多くの子供たちをコーディングの概念を教えることで、見過ごされていた可能性のある、潜在的な才能とプログラミングへの関心を発見できる可能性もある。そうした関心は、子供が成長する中で、将来のコースや教育によって育むことができる。

「アップルは40年の間、教育者の方々と協力してきました。特にDevelop in SwiftとEveryone Can Codeが、教師と生徒のみなさんがコミュニティに影響を与えるお手伝いをできたことを誇りに思います」と、アップルのマーケット、アプリ、ならびにサービス担当副社長であるSusan Prescott(スーザン・プレスコット)氏は声明で語った。「私たちは、コミュニティカレッジの学生がキャンパス向けの食品安全アプリを作成したり、中学校の先生たちが夏休みに仮想コーディングクラブを主催したりするのを見ました。コンピューターサイエンス教育への関与を拡大する取り組みの一環として、これまでの経験に関係なくより多くの教育者がコーディングを学び、次世代の開発者やデザイナーに教える機会を提供できるようする新しい専門学習コースを追加できることを、うれしく思っています」と彼女は付け加えている。

画像クレジット:Apple

原文へ
(翻訳:sako)

Kubernetes管理のReplicatedがGitLabのプロダクトのトップをCPOに招聘

Kubernetesベースのアプリケーションのモニタリングと管理を提供しているロサンゼルスのReplicatedが、評価額27億5000万ドルのプログラミングサービスの大手GitLabのプロダクトのトップを、同社のチーフプロダクトオフィサー(CPO)に迎えた。

Mark Pundsack氏は、Replicatedで同社の事業拡大を手伝うことになる。GitLabでPundsack氏は、同社が社員数70名から1300名に成長する過程を見てきた。成長は主に、同社のオンプレミスプロダクトへの注力によるものだった。

ReplicatedのCEO、Grant Miller氏によると、同社も同様のオンプレミスサービスを多様なエンタープライズ顧客に提供していきたいと考えている。

Pundsack氏はCircleCIにいたときにReplicatedを初めて知ったが、同社がKubernetesのデプロイ管理ツールキットで新たに伸びてきたとき、再び気になる存在になった。

Pundsack氏は声明で次のように述べている: 「Replicatedが最新の製品で作り出した勢いはすごく大きくて、同社の軌道を変えてしまった。彼らのプロダクトとチームと顧客をよく見ると、これなら自分も加わりたいという気持ちになる。同社はエンタープライズのソフトウェアエコシステムの全体を貫く価値を作り出すという、きわめてユニークな立ち位置にあり、そのようなリーチはきわめて稀だ。同社のポテンシャルを見ると、初期のGitLabをいろいろと思い出してしまう」。

一方Miller氏は、これはReplicatedにとって大当たりだ、と言う。

Miller氏は曰く、「MarkはGitLabで中核的なプロダクト戦略を作り、同社をソースコントロール企業から完全なDevOpsプラットホームに変身させ、Kubernetesの最高のサポートを導入した。Replicatedのプロダクトのリーダーとして、彼ほど経験豊富な適任者は他にいない。MarkはGitLabの、従来的なオンプレミスのインストレーションからKubernetesベースのインストレーションと管理体験への進化を目撃してきた。それは、うちの顧客の多くが今経験しているものと同じ遷移であり、Markはその最良のものをすでに自分で体験している。弊社のプロダクトへの彼の関与により、より多くの弊社の顧客が成功する、と私は確信している」。

Pundsack氏は、この半年間でReplicatedが招いた二人目の新たな役員だ。同社は役員層の強化によって経営を拡張しようとしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

MacにApple Siliconを搭載するアップルの本当の狙い

2020年6月に開催されたアップルのWWDCでは、MacのメインCPUをIntel(インテル)からアップル製のいわゆるApple Siliconにスイッチすることが発表された。それ以来、その方針があたかも金科玉条のように語られ、ずっと以前から運命付けられていたかのような雰囲気さえ漂っている。それこそが実際の製品の発売にかなり先立って、こうした方針転換を発表したアップルの狙いだったことは間違いない。

いみじくもAPIを公開し、サードパーティにアプリケーションの開発を可能にしているパソコンが、CPUのメーカー、系統を大きく変更するというのには大きく2種類の理由が考えられる。1つは技術的なもの。もう1つは政治的なものだ。WWDCのキーノートなどでは、当然ながら政治的な狙いについては何も語られていない。もちろん技術的なメリットがなければ、政治的な理由だけでCPUを変更するとも考えにくいが、すでに成熟した製品となって久しいMacが、この段階に来て変更に踏み切るからには、政治的なメリットもそれなりに大きいはずだ。

この記事ではそこには深入りしないが、アップルにしてみれば今後はCPUの選択、設計、コスト、納期など、あらゆる面に関して、自らコントロールできるようになる。すべてが自分の責任になるものの、そこから生まれるメリットは絶大だろう。とはいえ、それはあくまでもアップルにとってのメリットだ。デベロッパーやユーザーは、性能や機能、価格など、背に腹は代えられない部分で明らかなメリットがなければ、MacのCPUの変更は面倒の種が1つ増えるだけで、できればやめてもらいたいと思うだろう。

もちろん、MacのCPUがiPhoneやiPadなどのモバイルデバイスと共通になるのは、それだけで大きなメリットだ。「iPhone/iPadアプリは本当にそのままApple Silicon Mac上で動くのか?」でも述べたように、すべてのアップル製品のアプリケーションの基盤が共通化され、膨大な数のiPhone/iPadアプリがそのままMacで動作する夢のような環境への扉を開くからだ。しかし、Apple Silicon採用のメリットは、それだけではない。キーノートでは詳しく述べられていなかった数多くのメリットがある。それらを具体的に見ていこう。

高性能と低消費電力の両立は真のメリットではない

今回のキーノートでは、CEOのティム・クック氏自らが、Apple Siliconへの転換を明らかにした。その際に述べられていた動機は、大義名分としてまことにもっともなものだった。かいつまんで言えば、アップルではハードウェアとソフトウェアのインテグレーションが、すべての基本となっている。「自ら開発するApple Siliconの採用によって、それがさらに高いレベルで実現し、より優れた製品を提供できるようになる」というのだ。

キーノートでクック氏を引き継いだハードウェア技術担当の上級副社長であるJohny Srouji(ジョニー・スルージ)氏も、技術的にはそれほど詳しい具体的な話はしなかった。ただ、「Apple Siliconはパフォーマンスと消費電力のバランスに優れ、1つのアーキテクチャでApple WatchからMac Proまでカバーできるほどのスケーラビリティを備えている」ということを強調していた。

これも確かにそのとおりだろうし、納得しやすい話だが、Apple Siliconでなければならない理由には踏み込んでおらず今ひとつ説得力には欠ける。というのも、現在のコンシューマー機器向けCPUであれば、力点を置く部分に多少の違いこそあれ、どんなメーカーの製品でも高性能と低消費電力の両立を目指していると考えられるからだ。

同じWWDCの「Platforms State of the Union」でも、今年は当然ながらApple Siliconがメインのトピックに据えられた。アップルのプラットフォームに関して、キーノートよりも技術的に突っ込んだ話をすることになっているセッションだ。しかしそこでも、どうしてApple Siliconが優れているかについては漠然とした話しか語られなかった。

そのセッションで挙げられたApple Siliconの技術的なメリットは、次の4点に集約される。

  • Huge Improvements to Speed(速度の飛躍的な向上)
  • Graphic Performance(グラフィック性能)
  • Power Consumption(消費電力)
  • Security(セキュリティ)

これらのメリットについて、いくつかのアプリケーションのデモが示され、すでに実際にApple Silicon上でMacのソフトウェアが動作し、高性能を発揮していることが強調された。それでも、なぜApple Siliconでなければならないのか、簡単なアーキテクチャの図が示されただけで技術的な説明はここでもまだ具体性に欠けている。

Apple Siliconのパフォーマンス面でのメリット

Apple Siliconについて技術的に一歩踏み込んだ詳しい話は、ようやく「Explore the new system architecture of Apple Silicon Mac」というセッションで登場した。実際にmacOSをApple Siliconに移行させる仕事をしているCore OSグループの担当者であるGavin Barraclough(ギャビン・バラクロー)氏による説明だ。

そこではまず、現状のインテルベースのMacの基本的なアーキテクチャの確認から入った。独立したGPUを持つマシンでは、インテル製のCPUとAMD製のGPU、そして主にセキュリティに関するコントローラーとして動作するアップル製のT2チップを備えている。この場合、CPUとGPUは、それそれ独立したメモリを使って動作する。それがメリットになる場合もあるだろうが、両メモリ間でのデータ転送はPCIバス経由となり、大量のデータを扱うには効率が悪い。

それに対してApple Siliconでは、1つのSoC(System on a Chip)として、CPU、GPU、セキュリティ関連の機能はもちろん、ビデオのエンコーダー/デコーダー、機械学習関連の処理をハードウェアで実行するニューラルエンジン、機械学習アクセラレーターなどが詰め込まれている。このように多様な機能をワンチップに統合できるのは、iPhoneやiPad用のSoCとして培ってきた設計技術の成果だろう。

この構成では、CPUとGPUが1つのメモリを共有することになり、画像やテクスチャ、ジオメトリなどのデータ転送は効率化される。アップルではこれをUnified memory architecture(統合メモリアーキテクチャ)と呼んでいる。

またApple SiliconのCPUには、これまで採用していたインテル製のCPUにはない大きな特徴がある。それは内蔵する複数のコアの処理能力が、すべて同一ではないということだ。アップルではこれをAsymmetric multiprocessing(非対称マルチプロセッシング)、略してAMPと呼ぶ。例えば、ユーザーによる操作の追従のような軽い処理は低能力のコアで実行し、負荷の重い高度な演算処理は高能力のコアで実行することで、全体的なコアの利用効率を高めることができる。アプリのデベロッパーとしては、プロセスの優先順位を適切に見積もって設定し、効率的な処理が実行されるよう追求する必要がある。とはいえ、一般的なマルチタスク処理は、これまでどおりGCD(Grand Central Dispatch)を利用して、個々のタスクが適切にスレッドに割り振られるようにすることが推奨される。

アプリとして、こうしたApple Siliconの能力を利用するために、特に新たなAPIを導入する必要ない。例えばGPU処理に関しては、これまでどおりMetalを利用すれば、自動的に最大限のパフォーマンスが発揮される。また、ビデオ関連はAVFoundationやVideoToolbox、機械学習関連はCoreMLのように、それぞれ使い慣れたフレームワークを利用すれば最適な処理が実行される。機械学習関連については、Accelerateフレームワークを利用して、ハードウェアをより効率的に利用することも可能だ。

Apple Siliconが可能にするMacならではの機能

Macに搭載されるApple Siliconは、これまでiPhoneやiPadといったモバイルデバイスに使われてきたアップル製のSoCとは異なる部分もある。それはMacがデスクトップコンピューターであることに関連する機能だ。つまり、Macに搭載されるApple Siliconは、単にiPhoneやiPadにすでに搭載されているものをそのまま、あるいは性能を強化して持ってくるのではなく、Macならではの機能も盛り込んだものとなる。

まず異なるのが起動プロセスだ。Apple Siliconを搭載するMacでは、iPhoneやiPadと同様の起動セキュリティを確保しつつ、外付けのディスクを含めて複数のボリュームから選択的に起動する機能を実現する。それらの複数のボリュームには、異なるバージョンのmacOSがインストールされている可能性がある。そのため、新しいブートローダーは、その時点での過去のバージョンも含め、アップルによってサインされたすべてのバージョンのmacOSから起動できる。

さらに新しいリカバリー機能も含まれている。これは、新世代のMacの大きなメリットの1つに数えられるだろう。「Startup Options UI」という専用のインターフェースが用意され、すべてのMacから共通の操作によってアクセスできる。MacBookシリーズではTouch IDボタン、デスクトップでは電源ボタンを長押しするだけで、このUIを起動できる。

ここからは、起動ディスクの選択だけでなく、新たに搭載される「Startup Manager」(起動マネージャ)、「Mac Sharing Mode」(Mac共有モード)を起動することも可能となる。後者のMac Sharing Modeは、これまでのターゲットディスクモードに代わるものとなる。これはSMBを利用したファイル共有機能によって、外部からユーザーデータにアクセスすることを可能する。当然ながらMac内部のディスクにアクセスするには、正当なユーザー認証が必要となる。

起動ディスクの選択についても、これまでにはなかった細かな設定が可能となる。具体的には、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーを選べるようになる。Macを何らかの業務に使うだけであれば、iPhoneなどと同様、常に最高のセキュリティポリシーを適用して起動すればいい。しかし、研究者や趣味でいろいろいじりたいユーザーは、それでは自由度が制限されて目的が達成できないことある。そこで、あえてセキュリティを低減させるモードも用意している。

セキュリティポリシーは、これまで同様csrutilコマンドによって設定できる。しかしインテルベースのMacでは、設定したセキュリティーポリシーはシステム全体で有効となるものだった。そのため1つのボリュームのセキュリティを低減させたい場合、他のボリュームのセキュリティも低減させざるを得なかった。Apple Siliconを搭載するMacでは、起動ボリュームごと独立にセキュリティポリシーが設定できるので、他の部分のセキュリティを強固に保ったまま、目的のボリュームだけ低減させるという使い方が可能となる。

リカバリー機能も強化される。macOSには、通常のボリュームから起動できなくなった場合に備えて、リカバリーボリュームが用意されている。そこから起動すれば、通常のボリュームを修復したり、再インストールしたりすることが可能となる。ここまでは、インテルベースのMacでもApple SiliconのMacでも同じだ。リカバリーボリューム自体も起動できない場合、インテルベースのMacでは、インターネットリカバリー機能によって、サーバーにある最小限のOSを起動できるようになっている。Apple Silicon Macでは、さらに最小限のOSを保持した「System Recovery」と呼ばれる隠しコンテナを内蔵している。万一の場合は、そこから起動することでリカバリボリュームや通常のmacOSボリュームを修復、再インストールすることが可能だ。

現時点で明らかにされている内容は、Apple Siliconの全容からすれば、まだほんの一部だと考えられる。しかし、Apple Siliconが単に高性能と低消費電力の両立だけを狙ったものでないことは、すでに明らかだろう。とはいえ仮にそれが本当にメインの理由だったとしても、最近発表されたスーパーコンピュータの世界ランキングで、複数の部門にまたがってトップの座を獲得した理化学研究所の富岳が、ARMベースのアーキテクチャを採用しているという事実は、Macの将来にとっても極めて明るいニュースであることに疑いの余地はない。

画像クレジット:Apple

Coinbaseが2020年後半か2021年初頭の上場を検討中との報道

Coinbase(コインベース)は、株式公開市場にアプローチする可能性のあるメガスタートアップの中でも最右翼にいる。デジタル通貨取引所の同社は、秘密のデータに特化するユニコーンのPalantir(パランティア)に続くかもしれない。Palantirは申請書類を非公開で提出したと発表後、同じくIPOに向かっている。

ロイター通信は米国時間7月9日、米国を拠点とする人気の高い仮想通貨取引プラットフォームであるCoinbaseが、2020年後半か2021年初めに上場デビューを果たす可能性があると報じた。それによると計画は依然流動的だが、仮想通貨に特化するフィンテック企業である同社は「複数の投資銀行や法律事務所と、起用に向け交渉を行っている」という。

Coinbaseはコメントを拒否し、TechCrunchにメールで「噂や憶測についてコメントすることはできない」と述べた。

さらにロイターは、Coinbaseが従来の株式公開ではなく株式の直接上場を目指す可能性があると報じた。企業は直接上場により、IPOで行われるブロックトレードを通じた株価の正式決定を経ずに、公開市場で取引を開始できる。直接上場はコンセプトとして近年人気が高まっている。未公開企業が資金調達手段の際にIPOに頼るケースが少なくなったこと、一部のシリコンバレーのエリートがIPOで通常起こるディスカウントに幻滅していることが理由だ。ディスカウントにより企業は数千万ドル(数十億円)、場合によっては数億ドル(数百億円)を取り損なう。

Coinbaseは直接上場を考える会社の典型的な例だと思われる。未公開企業としてこれまで5億ドル(約530億円)以上を調達し、資金が豊富でバリュエーションも非常に高い。Crunchbaseのデータによると、Coinbaseが直近で3億ドル(約320億円)を調達した際のバリュエーションは80億ドル(約8550億円)だった。高いバリュエーションと潤沢な手元資金は、以前直接上場したSlack(未訳記事)とSpotifyにも共通する。

ほとんどの企業はいまだにIPOで公開市場を目指す。この数週間のAccolade(未訳記事)やVroom(未訳記事)などで見られた伝統的なデビューだ。TechCrunchは米国時間7月8日、さらに2つのIPO(未訳記事)、GoHealth(ゴーヘルス)とnCino(エヌシーノ)の株価の初期的レンジ(仮条件)について採り上げた(未訳記事)。両社はいずれも直接上場モデルを避け、未公開市場からのイグジットで資金調達を選好した。

結果

現在のCoinbaseの規模ははっきりしない。同社の過去の財務数値はベールに包まれており(未公開企業では通常のこと)、(漏れてくる情報による規模は)少し不揃いだ。メディアの報道によると、2017年の売上高は仮想通貨ブームに乗り約10億ドル(約1070億円)に達した(Vox記事)。2018年の正確な実績は明らかではないが、メディアの報道によるともう少し小さい規模であることがうかがえる(THE BLOCK記事)。

Coinbaseが直接上場か従来のIPOのいずれを選択するかに関係なく、S-1(上場前に米証券取引委員会に提出する書類)を見ることはできる。S-1は同社の過去の財務実績に関して詳細な情報を提供する。同社が数々の仮想通貨のブームとその崩壊をどう乗り切ってきたのかもわかる。

史上最高水準の株式市場と、過去の常識的な水準をはるかに上回るハイテク株の株価をみて、非常に評価の高い一部のユニコーンが株式市場でのデビューに向け準備していることは驚くにあたらない。果たして何社がやってのけるのか見物だ。

画像クレジット:Chesnot / Getty Images

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

フェイスブックのコード変更の影響でSpotifyやPinterest、WazeなどのiOSアプリがクラッシュ

米国時間7月10日の朝、iPhoneユーザーの多くがアプリを再起動しようとしていらいらしていただろう。私の場合は、Spotifyが起動せず朝の散歩が台なしになった。PinterestやWazeといった多くのアプリでも、同様の問題が起こっていたと報告されている。

その後、問題は解決したが、Facebook(フェイスブック)は原因はもっぱら自分たちにあるという。同社のログページによると、数時間前からフェイスブックのiOS SDKに起因するエラーが急増している。フェイスブックによると、原因はコードの変更だという。

「今朝、フェイスブックのSDKを使っている一部のiOSアプリで、コードの変更によりクラッシュが発声した」と開発チームは書いている。「私たちは問題をいち早く特定し、解決した。ご不便をお詫びしたい」。

対応は比較的早かったが、大切なアプリに影響を受けた人には、数時間が永遠のように感じられたかもしれない。2020年5月にもSDKのアップデートで同じ問題が起きたことを関係者は覚えている人もいるだろう。今回の問題は、フェイスブックのSDKを使っているアプリの開発者が最も苦痛な思いをした(GitHub投稿)はずだ。

同じ問題を二度も経験したユーザーの中には、ソーシャルネットワークとの関係を見直そうとしている人も多いと思われる。そもそも、ひどい体験をした人はアプリそのものを嫌いになってしまう。Apple Music対Spotifyをめぐるソーシャルメディアに関する議論も、今朝になって指摘したように悪い体験は人をアプリから完全に遠ざけることになる。多くのユーザーが、今回の原因であるフェイスブックのSDKではなく、アプリに責任があると考えるだろう。

SDKのアップデートについていえば、フェイスブックのそれはあまりにも早すぎて、多くのものを壊しているようだ。TechCrunchは現在、フェイスブックに対して今後の問題解決について確認している。

画像クレジット:Bryce Durbin

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

EVピックアップトラック開発のRivianが2670億円調達

世界初のEVピックアップトラック販売を目指しているEVメーカーのRivian(リビアン)は、投資管理会社であるT. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドなどがリードするラウンドで25億ドル(約2670億円)を調達した。

新規投資家のSoros Fund Management LLC(ソロス・ファンド・マネジメント)、Coatue(コーチュー)、Fidelity Management and Research Company(フィデリティ・マネジメント・アンド・リサーチカンパニー)、Baron Capital Group(バロン・キャピタルグループ)そして既存株主のAmazon(アマゾン)とBlackRock(ブラックロック)が管理するファンドも参加した。新たに役員は加わらなかった。

Rivianと同社の創業者でCEOのR.J. Scaringe(R.J. スカーリンジ)氏は上場を避け、代わりに戦略的ファンドとプライベート投資家から資金を調達してきたが、今回の調達は同社にとってこれまでで最大のラウンドだ。一連の投資を通じて28億5000万ドル(約3050億円)を集めた活発な2019年に続く動きだ。今回、Rivianは2019年に相当する額を一度に集めた。

同社は2019年2月に、Amazonがリードした7億ドル(約750億円)の資金調達を発表した。その後、Ford(フォード)による5億ドル(約530億円)の投資を含め、将来のEVプログラムでコラボする約束とともにさらに多くのディールや投資が続いた。Cox Automotive(コックス・オートモーティブ)も9月に3億5000万ドル(約370億円)を投資した。RivianはT. Rowe Price Associates Incのアドバイスを受けたファンドなどがリードし、AmazonやFord、BlackRockが管理するファンドが参加した13億ドル(約1390億円)の資金調達ラウンドを発表して2019年を締め括った。

Rivianはまた2019年に、スケートボードプラットフォームを活用してAmazon向けの配達EVバンを開発していることも発表した。AmazonはEVバン10万台を発注し、2021年から納車が始まる。

Rivianは集中的に資金調達を行っており、これは2021年まで続きそうだ。同社はR1T電動ピックアップトラックとR1S SUVを組み立て、AmazonにEVバン納車するための工場をイリノイ州ノーマルに準備している。

これら3つのプロダクトは(EVバンに限っては直接Amazonへの納車になるが)2021年に販売開始となる見込みだ。R1TとR1Sは2020年に生産が開始される予定だったが、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで後ろ倒しになっている、と同社は以前述べていた。

「我々はR1TとR1S、そしてAmazonの配達EVバンの立ち上げにフォーカスしている。これらはすべて2021年にローンチされる予定で、当社のチームは生産を増強できるように車両やサプライチェーン、生産システムの準備に注力している。生産にフォーカスできるようにしてくれている強力な投資家に感謝する」とスカーリンジ氏は声明で述べた。

Rivianは困難も抱えていた。Fordとのコラボは棚上げされ、新型コロナで余儀なくされた工場停止はRT1とRS1のプロジェクトの遅延につながった。 2020年初め、Ford傘下のラグジュアリーブランドであるLincoln Motor(リンカーン・モーター)はRivianのスケートボードプラットフォームを活用した新電動車両を生産する計画をキャンセルした。RivianとFordは当時、現状に基づく共同の決断だと述べた。現状とは、主に新型コロナパンデミックを指す。両社はまだ将来共同で車両を開発することを計画している。

画像クレジット: Rivian

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

NASAとJAXAがアルテミス有人月面探査における協力で正式合意

NASAと日本は新しい協定に調印した(NASAリリース)。両国はISS(国際宇宙ステーション)における現在の協力を継続すると同時に、NASAのアルテミス計画に日本の宇宙開発機関であるJAXAが協力していく。

日本時間7月11日にNASAのJim Bridenstine(ジム・ブライデンスタイン)長官と日本の萩生田光一文科相がリモート会議でそれぞれ協定文書に署名した。 この文書は共同声明(JEDI)の形式で、 ロボットおよび有人の月面探査を含むアルテミスプロジェクトにおける両国の役割を具体的に定めるプラットフォームとなるものだ。

日本はNASAのルナゲートウェイ構想に参加した国際パートナーの最初の国の1つで、その発表は2019年10月にさかのぼる。 これ以降、カナダをはじめとする多くの国と機関が同様の意向を表明している。カナダはISSで使用されているロボットマニュピュレーターであるカナダアームの3番目のバージョンを開発する。また欧州宇宙機関(European Space Agency)も参加する。

今回の協定は、これまでの合意を文書の形で正式なものとした。今後、両国はプロジェクトにおける役割分担などさらに具体的な部分を検討していくことになる。

日本は火星の衛星の探査を計画しており、最大の衛星であるフォボスのサンプルをロボットで採取し、地球に持ち帰ろうとしている。打ち上げは2024年の予定だ。日本のJAXAはすでに探査衛星であるSELENE(かぐや)を月周回軌道に乗せて各種の調査を行うと同時に高度な姿勢制御技術をテストしている。JAXAではSLIM(Smart Lander for Investigating Moon)と呼ばれる小型月着陸実証機の打ち上げを2022年に計画している。 これはJAXAとして初の月着陸ミッションとなる。

画像クレジット:NASA

原文へ
滑川海彦@Facebook

苦戦中のハーレーダビッドソンが構造改革推進で700人削減

苦戦しているミルウォーキー拠点のHarley-Davidson(ハーレーダビッドソン)は2019年に、売上の回復と若年層へのアピールを狙って初の電動バイクを立ち上げたが、いまグローバルで700人を削減しようとしている。約500人が年内に解雇される、と同社は米国時間7月9日に明らかにした。

同社のCFOであるJohn Olin(ジョン・オリン)氏もまた社を去る。退職は即日だ。財務担当の副社長であるDarrell Thomas(ダレル・トマス)氏が、次のCFOが指名されるまで暫定CFOを務める。「大きな変化が必要だ。そして我々は新たな方向へと進まなければならない」とハーレーダビッドソンの会長兼CEOのJochen Zeitz(ヨッヘン・ツァイツ)氏は声明で述べた(Harley-Davidsonリリース)。

ハーレーダビッドソンは人員削減と構造改革の計画に「The Rewire」という名称を付けた。ツァイツ氏が2020年4月に第1四半期の決算会見で明らかにした。当時、ツァイツ氏はハーレーダビッドソンが「More Roads」という戦略計画をまだ進めていると話していた。この計画はマーケティングやディーラーシップイニシアチブ、アジア市場向けの小型バイクやLiveWireで始めるEVなどを含む一連の新プロダクトを通じて、ハーレーダビッドソンをアクセスしやすいグローバルのブランドにすることが目的だ。

しかしツァイツ氏は4月に、変革の時だと宣言した。

「観察と評価の結果、持続性のある利益や長期的成長のために我々は大胆なアクションを取り、優先順位や実行、オペレーティングモデル、戦略という点で刷新する必要があるという結論に至った」と同氏は4月に述べている。「我々はこれを『The Rewire』と呼ぶ。これは今後数カ月のためのシナリオであり、新たな5カ年戦略計画につながるものだ。戦略計画は将来の見通しが戻ってきたときに共有する」。

将来の見通しは明らかに戻った。そしてハーレーダビッドソンはコストを削減し、基幹プロダクトに戻る時だと考えている。初のRewireアクションは2020年第2四半期の約4200万ドル(約45億円)のコストの構造改革となる見込みだと同社は7月9日の声明で述べた。第2四半期の決算を発表するときに、追加コストや予想される節約幅を含めたThe Rewireの概要を明らかにする計画だ。The Rewireは、第4四半期に発表される見込みの2021〜2025年新戦略計画の基礎となる。

ハーレーダビッドソンの主要顧客であるベービーブーマー世代が年を取るにつれ、同社にとって最大のマーケットである米国では近年販売が不振だった。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックは販売をさらに下押しし、同社は生産を縮小した。その結果、ウィスコンシンとペンシルバニアの工場で先月数十人を解雇した。EVとアジア諸国向けプロダクトの推進は、新マーケット拡大とハーレーダビッドソンの復活を目的としていた。

「The Rewire」が同社のEV推進にどのように影響するかは不透明だ。2019年秋にローンチされたLiveWireは、同社が計画したバイクや自転車、スクーターを含む未来のEVラインナップにつながるはずだった。ハーレーダビッドソンにコメントを求めたが返事はなかった。反応があり次第、記事をアップデートする。

同社の声明では、EVについて特に言及されていない。ただ構造改革計画の主要素は、中核となる強みやバランスのとれた新分野への進出の推進、重要マーケットの優先、リセットプロダクトの立ち上げ、アクセサリー・小売事業の構築だと述べている。

原文へ
(翻訳:Mizoguchi

Spotifyがヨガやランニングなどユーザーのワークアウトに合わせたプレイリストの提供を開始

Spotifyは一人ひとりに合わせたプレイリストのコレクションを新たに始めた。ワークアウトをしながら新たに出会う音楽を楽しみたいユーザーのための新機能だ。ただし再生履歴に基づいて自動で表示されるフラッグシップのサービスである「Discover Weekly」とは異なり、ワークアウト用プレイリストはマイクロサイトの「Soundtrack Your Workout」で質問に答えるとそれに基づいて作られる。

ユーザーはこのサイトでエクササイズの種類、ワークアウトの所要時間、一緒にワークアウトをする人(子供と、ひとりで、パートナーとなど)、強度、気分などの質問に答えていく。するとSpotifyはワークアウト用プレイリストをその人に合わせてカスタマイズするために、回答した情報と音楽の好みを同期させる。音楽とポッドキャストを組み合わせたプレイリストにすることもできる。

ワークアウトのアクティビティを変更するときはいつでも質問に回答し直して、パーソナライズされたプレイリストをさらに作ることができる。こうして作られたプレイリストはSpotifyアプリのプレイリストのコレクションに追加されるので、あとから簡単にアクセスできる。

ストリーミングサービスではワークアウト向けの音楽が、特に若年層のユーザーの間ですでに大人気になっている。例えばSpotifyの調査では、ワークアウト中に音楽やポッドキャストを聴いたリスナーの半分以上(53%)は18〜29歳のユーザーだった。しかも新型コロナウイルス(COVID-19)の影響によるロックダウンでユーザーがジムに行けなくなっているにも関わらず、ワークアウト用音楽への関心は衰えない。例を挙げると、Spotifyのリスナーはこの2カ月間でワークアウト用プレイリストを100万以上作った。

Spotifyのトレンド専門家であるShanon Cook(シャノン・クック)氏は今回の発表の中で「Spotifyユーザーは新しい環境下でも活動的かつ健康的でいられる方法を模索している中、ワークアウト用の音楽に注目が集まっています」と述べている。

この新機能の開発にあたって、Spotifyはセレブのトレーナーを務めるCorey Calliet(コリー・キャリエト)氏の協力をあおいだ。キャリエト氏はオリジナルのサウンドトラックを作って共有している

Spotifyがサービスのプロモーションのためにマイクロサイトを利用するのは今回が初めてではない。最近では一部の市場で、ユーザーに質問に答えてもらい、オプションでSpotifyと連携してその地域の音楽を紹介する「Listen Local」という試みを始めた。また、同じ曲を同時に再生し始めた人々を表示する「Listening Together」も公開している。

ただし、ユーザー自身ではなくSpotifyがプレイリストをカスタマイズ前に質問によって情報を収集する方法は、あまり多くは使われていない。ワークアウトの場合はユーザーそれぞれで大きく異なる可能性があるため、質問に答えてもらう必要がある。ヨガのセッションで集中するときに聴きたい曲やテンポと、トレッドミルでランニングをするときに聴きたい音楽は、たいていかなり違うものだ。

Spotifyはこうして収集した情報を別のところで使える可能性がある。おそらくユーザーの関心に沿ったプレイリストを今後提案したり、広告の目的で使ったりすることができるはずだ。

もちろん、Spotifyがパーソナライズして作成するプレイリストはどれでもそうだが、自分がすでにSpotifyに提供したデータを反映したものになる。子供や家族が自分のアカウントを使っていたり、別のサービスを使っていてSpotifyはあまり使っていない場合、プレイリストは自分の好みを完全に反映したものにはならないだろう。

新しい「Soundtrack Your Workout」は日本でもすでに公開されている。

画像:stockcam / Getty Images

原文へ
(翻訳:Kaori Koyama)

新型コロナ下の第2四半期のモバイルアプリはダウンロード数、利用時間、売上いずれも新記録達成

新型コロナウイルス(COVID-19)による危機に世界が対処を続ける中、2020年第2四半期のテクノロジービジネスはモバイルアプリのダウンロード数、使用時間、消費者支出のいずれも新記録を作る結果となった。

モバイルビジネスのアナリティクス企業であるApp Annieの最新レポートによれば、第2四半期にモバイルアプリの使用量は前年比40%アップした。トータルの利用時間は2020年4月に過去最高の2000億時間以上となった。消費者支出は270億ドル(約2兆8900億円)でこれも過去最高となった。アプリのダウンロード数は約350億を記録した。

世界中でソーシャルディスタンスの確保とロックダウンによって新型コロナの流行を抑え込もうとしていることが、モバイルアプリの利用に強い追い風となったようだ。

画像クレジット:App Annie

例えばインドでは2020年第2四半期のアプリ滞在時間は2019年第4四半期以降35%増加している。イタリアで30%、インドネシアでも25%の増加だ。米国ではアプリの滞在時間が15%増加している。

App Annieによると、平均的ユーザーはスマートフォンを毎日4時間20分使っているという。

画像クレジット:App Annie

消費者はスマートフォンにあるアプリを起動するだけでなく、新しいアプリをダウンロードする。第2四半期の新アプリのダウンロードは350億回に上ったがこれも史上最高だった。

このうちGoogle Playが250億回を占め、前年比10%の成長だった。今四半期、Google Playの最大のマーケットはインドとブラジルだった。

画像クレジット:App Annie

iOSのダウンロード数は前年比20%アップで100億回近くとなった。iOS最大のダウンロード市場は米国と中国だった。伸び率が大きかったのは米国とサウジアラビアだった。これは、全国的なロックダウンと学校閉鎖に原因があるだろう。アプリのダウンロード数は2020年4月に史上最高となり、iOSで前年比100%アップとなっている。

App Annieによれば、この四半期のゲームのダウンロードは記録的なものとなり合計140億回となった。第2四半期の第1週はモバイルゲームのダウンロード数が12億回を超えて新記録になった。四半期を通しての週あたり平均ダウンロード10億回、対前年比で20%増加した。

画像クレジット:App Annie

ゲーム以外のアプリは、Androidにおける新規ダウンロードの半数(55%)、iOSにおける70%を占めている。

ゲーム以外のトップカテゴリは、Google Playでは「ツール」と「エンターテインメント」、iOSでは「写真とビデオ」と「エンターテインメント」だ。しかし他のカテゴリーの伸びも大きかった。Google Playのダウンロードでは、直前の四半期と比較して「ビジネス」が115%、「健康とフィットネス」が75%、「教育」が50%それぞれアップしている。

一方、iOSでは前四半期に対して「健康とフィットネス」が30%、「ショッピング」が25%、「医療」が20%と大幅に増加している。

記録的なダウンロードと使用時間が新記録となったので消費者支出、特にストリーミングビデオに対する支出も大幅に増加した。

画像クレジット:App Annie

第2四半期の消費者のアプリへの支出額は過去最高の270億ドル(約2兆8900億円)で、iOSが前年比15%アップの170億ドル(約1兆8000億円)、Androidが25%増の100億ドル(約1兆1000億円)だった。

ゲーム支出は190億ドル(約2兆円)、前四半期に対して15%アップとなった。Google Playは25%と大幅に成長しており、これはiOSの成長率の2倍だった。

画像クレジット:App Annie

iOSへの支出額のうちゲーム以外が35%を占めた。この四半期のiOSのゲームアプリ、ゲーム以外のアプリの双方で最大の貢献をしたのは米国と中国の市場だ。これまで消費者向けゲームの最大市場は中国だったが、今回は米国がトップの座を奪い返した。第2四半期の対前四半期の成長は30%に達した。

Google Playでは非ゲームが支出の15%だった。ゲームとゲーム以外の双方で米国、日本、韓国がトップ市場だった。

Google Playのトップカテゴリーは「ゲーム」以外に「ソーシャル」「エンターテイメント」が含まれた。App Annieでは「エンターテインメント」のアップは主としてDisney+とTwitchによるものとみている。

iOSでは「ゲーム」「エンターテイメント」「写真とビデオ」が最大のカテゴリだった。「写真とビデオ」の拡大はTikTokが牽引し、ビデオストリーミング制作者に対する投げ銭に使うバーチャルギフトの販売によって売上高のトップを占めた。

画像クレジット:App Annie

パンデミックを追い風としたモバイルデバイスの大半はビデオストリーミングやゲームなどエンタテインメイント関連だったが、ビジネスアプリもいくつか四半期のランキング入りしている。例えばZoomはこの四半期にダウンロードされたアプリの2位に入った。Google Meetは7位だった。

ショートビデオのTikTokはダウンロード数と支出でトップとなり、月間アクティブユーザーでも7位だった。しかしインドでのTikTokの禁止は次の四半期に大きな影響を与えるはずだ。また米国でもTikTokの締め出しが検討されていることがショートビデオのライバルに勢いを与えている。この波乱のなかで、インドではローカルのライバルの利用が急増している(Reuters記事)。他の地域ではByteやLikeeのような競合サービスが成長している。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ
(翻訳:滑川海彦@Facebook

リモートからも脳のイメージング装置を利用できる技術で神経科学の深化を目指すKernelが約53億円調達

ロサンゼルスに拠点を置くバイオサイエンスのスタートアップであるKernelがGeneral Catalyst、Khosla Ventures、Eldridge、Manta Ray Ventures、Tiny Blue Dotらの投資家たちから5300万ドル(約56億7000万円)を調達した。これはKernelにとって初めての外部資金となるが、それでもシリーズCなのは創業者でCEOのBryan Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏がこれまで5400万ドル(約57億7000万円)の資金をKernelに投資してきたためだ。ジョンソン氏は最新のラウンドに外部投資家たちとともに参加した。

今回の資金調達は、同社の脳の活動を記録する生体に負担を与えない非侵襲的な技術への「オンデマンド」アクセスをさらに規模拡大するために使われる。同社の技術は主に2つのアプローチあり、Kernelはそれらを別のプロダクトとして区別している。Fluxは脳内の中性子の集団的活動によって生じる地場を検出するもので、Flowは脳内の血液を測定するものだ。これらはいずれも研究者や医療従事者が脳の働きをモニターするときの重要な信号だが、これまでは侵襲的で高価なハードウェアを使用せねばならず、脳の手術が必要になることもあった。

Kernelの目標はその技術を広く普及することであり、「サービスとしての神経科学(Neuroscience as a Service、NaaS)」を提供している。それにより有料クライアントがリモートからでも脳のイメージングデバイスにアクセスできるようになる。2020年初めにKernelは、このプラットフォームを一般的な顧客にも提供することを発表している。

SFのように思えるが、この技術は実際に、これまで密室のような環境で行われていた極めて高価で、専門的だが被検者にとって危険でもあった技術を、オンデマンドで誰にでも利用できるようにする試みだ。これは、多くのヒトゲノム企業がビジネスや研究コミュニティのために、ヒトのゲノム配列決定の速度と利用可能性の進歩を利用して、同じようなことをしようとしているのと似ている。

ジョンソン氏の長期目標は、神経科学の分野での理解をより深めることだ。

「意識的なものと潜在意識的なものを問わず思考と感情を定量化できれば、理解や健康、人間の向上につながる新しい時代が訪れる」とジョンソン氏はプレスリリースで述べている。

確かに脳内部の働きは、多くの研究者にとって今だにその大部分がわかっておらず、特にそれらの働きが私たちの認識や感覚に行動にどのように反映されているかという点では謎が多い。Kernelのプラットフォームのようなものがあれば、もっと多くの人が脳の働きの背後にある科学を研究することが可能になり、神経科学のまだ解明されていない領域の説明を提供できるようになるだろう。

原文へ
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国は政府契約業者によるファーウェイ製品の使用禁止を正式決定する方向へ

今週トランプ政権は、米国政府がHuawei(ファーウェイ)、Hikvision(ハイクビジョン)、Dahua(ダーファ)、Hytera Communications(ハイトラ)など中国企業のテクノロジーを使っている業者と契約することを禁止する規制を正式決定する方向だ。Reuters(ロイター)が報じた

最初に禁止が規定されたのは2019年の国防授権法(NDAA)で、国家安全の懸念から政府機関がHuawei、ZTE、Hikvision、Dahuaおよびその関連企業の機器、サービス、システムを使用する企業と契約することを禁止した。

契約業者は2020年8月13日までに規制に従う必要があるが、規則の曖昧さについて直ちに異論を唱えることができる(Nextgov記事)。

また最近、業界団体の国防産業協会は、多くの契約業者が現在新型コロナウイルス(COVID-19)の経済的影響に対応していることを理由に、期限の延長を政府に要求したとDefense Newsが伝えている

連邦契約業者にとってもう1つ問題なのは、ブラックリストに載っている企業がそれぞれの分野における世界的なリーダーであり、代わりを見つけるのが困難なことだ。例えばHuaweiとZTEは世界最大の通信機器メーカーの2社であり、DahuaとHikvisionは監視機器とカメラの2大メーカー、Hyteraは双方向無線の市場リーダーだ。

今回の禁止措置は、2012年の議会報告でHuaweiとZTEが国家安全の脅威であると認定されて以来(The NewYork Times記事)、Huaweiと米国政府の間に起きているさまざまなもつれのひとつだ。

2019年5月にHuaweiは、国防授権法の条項に対して意義を申し立て、同社の法務責任者は「米国の政治家は国全体の力を利用して一民間企業を追及している」と語った。

しかし、Huaweiに対して国家安全の懸念をもっている国は米国だけではない。7月9日にReuters(ロイター)は、Telecom Italia (TIM)(テレコム・イタリア)がイタリアとブラジルの5G機器の入札から排除すると決定したことを報じた。イタリア政府は同国の5GネットワークでHuaweiの技術を禁止する検討を進めていた。HuaweiはReutersに「イタリアのデジタル開発のセキュリティーは、根拠のない疑惑ではなく事実に基づく方法で決められるべきだ」と語った。

英国も同国の5Gネットワークで同様の禁止を検討していると報道されている(CNBC記事)。

画像クレジット:DANIEL LEAL-OLIVAS/AFP / Getty Images

原文へ
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アクセルマークが積雪深自動モニタリングシステムの自治体向け商用サービス開始

アクセルマーク 積雪深自動モニタリング YUKIMI

アクセルマークは7月10日、Momoと共同開発した積雪深自動モニタリングシステム「YUKIMI」の自治体向け商用サービスを今冬より開始すると発表した。

YUKIMIは、「積雪深センサー」と「データ閲覧システム」が一体となった積雪状況モニタリングシステム。センサー設置地点の積雪状況を24時間リアルタイムで可視化し、パソコンやスマホを利用しいつでも積雪状況を確認できる。

アクセルマーク 積雪深自動モニタリング YUKIMI

同サービスは昨年度、全国30自治体との大規模実証実験を実施し、商用化にむけた積雪データや事例の収集に取り組んできた。様々な環境下で積雪深を計測できたこと、実験中に判明した課題などを解決する手段を確立できたことを受け、本年度より商用サービスの開始となったという。

アクセルマーク 積雪深自動モニタリング YUKIMI

すでに100を超える自治体より問い合わせがあり、複数の自治体と正式導入に向けた協議を開始。また、自区域内での実証後に商用サービスの導入を検討したいという声もあることから、積雪深センサーと閲覧システム一式を小ロットでテスト導入できる有償実証実験プランの提供も決定した。価格は税別45万円(1シーズン)。

アクセルマークによると、適切な除雪作業を行う上で、積雪状況の把握は重要な工程となっている一方、多くの自治体では自治体職員や地域住民による目視での確認が行われているという。

また、高齢化などに伴う人手不足や、深夜・早朝の見回り負荷の軽減、天候の急激な変化に対応するため、より効率的でリアルタイム性の高い確認手段が求められており、同サービスを開発したとしている。

今週の記事ランキング(2020.7.5〜7.8)

Amazon Fire TVにYouTube Kidsアプリが登場

YouTubeのファミリー向けバージョンで、ペアレンタルコントロールと子供向けコンテンツを備えたYouTube KidsがAmazon Fire TVに対応した。このアプリは、Google(グーグル)とAmazon(アマゾン)が相互の利益のために合意した結果、昨年YouTubeがFire TVに入り、Amazon Prime VideoがChromecastとAndroid TVに登場したのに続くものだ。

両社の合意は、YouTube TVやYouTube KIdsなどほかのYouTubeアプリもFire TVプラットフォームに対応することを意味していた。しかし、昨年9月にYouTube TVがFire TVに登場したあと、YouTube Kidsは2019年中という約束から大きく遅れた。

ともあれYouTube Kidsアプリが利用可能になり、多少リスクの小さいバージョンのYouTubeサービスを親に提供する。親は子供一人ひとりに個別のプロフィールを作り、年齢層ごとにカスタマイズして、未就学児童、低学年、高学年などに分けることができる。しかし、アプリのコンテンツは手動で選ばれるわけではない。何が年齢相応かをYouTubeの自動化システムが決定する。その結果間違いが起きることもあり、その場合は親がアプリ内のツールで通報できる。

もっとカスタマイズや管理の行き届いた選択を希望する場合は、子供が利用できるチャンネルを親が個別に選ぶこともできる。YouTube Kidsアプリは「米国時間2020年7月9日からFire TVユーザーに提供開始される」とアマゾンは説明する。Fire TV以外では、YouTube KidsはApple TVでも最近スタートした。Rokuではまだ利用できない。

YouTube Kids公開のほか、Amazonは7月9日に、米国および一部地域のFire TV Cubeユーザーが、地上波テレビの視聴とAlexa(アレクサ)を使ってチャンネルを変えることが可能になったことを発表した。ユーザーはそのために自分で地上波チューナーを接続し、Fire TV Cubeで設定する必要がある。設定が済むと、ユーザーはAlexaに頼んでチャンネルを番号や名前を使って変えることができる。

Fire TVは昨日にも、YouTuve TV、Sling TV、およびHuluライブTVという有力ライブストリーミングサービスを有力ライブストリーミングサービス(未訳記事)の追加を発表した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

【現在は復旧】米国からの追放が検討される中でTikTokの「いいね」数と再生回数に異常

TikTokの「いいね」の数と再生回数が米国時間7月9日の午後、人数不明の一部ユーザーで異常を示した。該当ユーザーは自分のものもほかのユーザーのものも含めてTikTok投稿の「いいね」数が「ゼロ」になり、再生回数も「ゼロ」になった。同社は問題を認めたうえで修正中であると言ったが、問題の原因は説明しなかった。

TikTokのTwitterサポート・アカウントは、米国東部標準時午後2時43分(日本時間7月10日午前4時43分)に問題について返信して、至急修正すると語った後、午後3時35分(日本時間7月10日午前5時35分)に修正作業が進行中であることを投稿した。問題は内部で解決し、まもなく表示は正常に戻ると同社は語った。

一般にこの種のバグはさほど大きな問題にならない。そもそもオンラインアプリはときどき壊れるものだからだ。しかしTokTokの問題は、中国とのつながりが米国で非難を浴びている最中に起きた。

今週、Mike Pompeo(マイク・ポンペオ)国務長官の声明から米国が TikTokをはじめとする中国製ソーシャルメディアアプリの禁止を検討しているというニュースが浮上した。すでにインドではTikTokをはじめ58本の中国製アプリが同様の理由で禁止されている

米国時間7月9日、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル)は、TikTokの親会社であるByteDanceの経営陣がTikTokの企業体制の変更を検討中であり、TokTokを中国から遠ざけ、アプリが中国当局に侵入される可能性を防ぐために本社を中国以外に置くことも視野に入れていると報じた。この種の議論がなされたのは初めてではない(CNCB記事)。

その意味で、本日の「いいね」数を巡る問題を禁止の前兆だと見るユーザーもいた。しかしそれは当たらない。何人かのユーザーが、TikTokはアルゴリズムに何らかの変更を加えたという説を唱えている。それは、いいねの数が戻ったあとも「For You」ページが、ユーザーの興味を反映していないからだという。しかし、現時点でそれを検証するのは不可能だ。

しかし米国でTikTok廃止というニュースは、TikTokコミュニティーを心配させている。このためすでに一部のユーザーは、Byte、Dubsmash、Likeeなどの米国製アプリに逃げ始めている。たとえばByteは、米国App Storeのソーシャルネットワーク部門で210位だったが、7月5日に同部門1位となり、9日にはアプリ全体のトップになった。Z世代が中心のTikTokユーザーの集団脱出のおかげだ。

【アップデート】米国東部時間午後8時49分(日本時間7月10日午前10時49分)、TikTokは問題が解決したと伝えた。

画像クレジット:TechCrunch

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プログラミング学習サービスのProgateが世界登録ユーザー数150万人突破

Progate プロゲート プログラミング学習

Progate(プロゲート)は7月10日、オンラインプログラミング学習サービス「Progate」、同名スマホアプリ(Android版/iOS版)の合計登録ユーザー数が全世界で150万人を突破したと発表した。

Progateによると、2019年10月に登録ユーザー数100万人を突破、その8ヵ月後に150万人に到達したことになるという。背景にはステイホーム期間におけるユーザー登録数の増加があるとした。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19))による外出自粛要請を受けて自宅で過ごす時間が増えた多くの方に、オンラインプログラミング学習サービスを提供できたという。

Progateは、実際にプロダクトを作りながらコードを書く練習をすることで、初心者でもプログラミングを学べるというオンライン学習サービス。一般的なプログラミング学習には「環境構築」と呼ばれる開発を始めるための準備が必要だが、Progateでは、Webブラウザーやアプリのみで学習を始められる。

関連記事
Preferred Networksが教育事業に参入、独自のプログラミング教材「Playgram」を開発
40万人が使うプログラミング学習サービス「Progate」、米国子会社を設立しグローバル展開を加速
新世代プログラミング学習サービス「Progate」にiOSアプリ、専用キーボードでPC同様の学習が可能に