ハッカーが新型コロナのパンデミックに乗じてマルウェア拡散

パンデミックの最中に必ず起きることがあるとすれば、悪意のハッカーがそれに乗じることだ。

驚かないでほしい。大きなニュースや世界的イベントさらには税金申告シーズンのような定期的国内イベントでさえも、悪意のハッカーたちは無防備な標的を攻撃する好機と捉えて虎視眈々と狙っている。

もちろん新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックも例外ではない。

進行中の新型コロナのパンデミックを利用して犠牲者を騙しマルウェアを実行させようとする攻撃について、いくつものサイバーセキュリティー会社が警鐘を鳴らしている。現在世界の大部分がコロナウイルスの大流行による封鎖状態にある。世界保健機関(WHO)は米国時間3月12日の状況報告で、コロナウィルスによる感染者12万5000例、死亡者4613名を確認したことを発表した。

サイバーセキュリティー会社のFireEye(ファイア・アイ)によると、中国、北朝鮮、およびロシアのハッカーらによる標的型スピアフィッシング攻撃を使ったマルウェア配信が増加している。FireEyeの情報アナリストユニット・シニアマネジャーのBen Read氏は、同社が確認した攻撃はすべて、新型コロナウイルスを、餌に標的のコンピューターに侵入していたと語った。

Recorded Future(レコーデッドフューチャー)も、コロナウイルスを利用してさまざまなマルウェアを米国、欧州、およびイラン(中国以外でCOVID-19の影響を最も大きく受けている3地域)の標的に対して拡散するサイバー犯罪を複数確認した。 中にはWHOや米国疾病対策センター(CDCP)のような「信用のある」組織になりすまして標的に侵入する攻撃もあった。

そして先月コロナウイルスに便乗した偽情報の流布を発見したCheck Point(チェック・ポイント)が、今度はウイルスへの恐怖に乗じて標的のパソコンを完全にコントロールする強力なリモートアクセス型トロイの木馬をインストールする新たなマルウェアを見つけたと発表した。

しかし研究者によると、犯人はコロナウイルスをマルウェア配布の隠蔽に使っているだけではないという。

Eメールセキュリティー会社のAgari(アガリ)は、コロナウイルスを利用した初のビジネスEメール攻撃の証拠を発見したと本誌に伝えた。企業を騙して金銭を支払わせるしかけだという。

Agariは、複数のコロナウイルス関連メールがスパム配信、個人情報搾取、マルウェア配布などに利用されている一方、Ancient Tortoiseと名乗る犯行グループは、偽メールを使って被害者企業の顧客に、支払いを「コロナウイルス蔓延のため」別の銀行口座に振り込ませるという手口を使っていると語った。振込先は香港の偽口座だった。

政府や企業がパンデミックの抑制に緊急対応する中、セキュリティー研究者はマルウェア蔓延の現状を正確に理解し、検知しようと努力している。コロナウイルスの脅威が続くかぎり、ハッカーによるリスクも続く。

関連記事:WHOが新型コロナは「パンデミック」と宣言

画像クレジット:AlonzoDesign / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonが在宅勤務可能な全従業員にリモートワークを推奨

Amazon(アマゾン)は3月12日、新型コロナウイルス(COVID-19)対策として、自宅から働ける世界中の従業員を対象に3月末までリモートワークを推奨する案内を出した。

「我々は、事態が進展し続ける中で正しい対策をとるため、行政そしてプライベートの医療専門家と引き続き緊密に連携をとっている」とAmazonの広報は電子メールでの声明で述べた。「その結果、我々は自宅から働くことが可能な、世界の全従業員に3月末までそうするよう推奨している」と説明する。

今週はじめにAmazonは、、フルタイム、パートタイムの従業員で新型コロナウイルスの感染を診断された人、または隔離に置かれた人に対し、追加で2週間の有給休暇を付与すると明らかにした。これは、時間給で働く従業員向けに3月末まで賃金を支払うという約束に続く措置だ。同社は、フードサービスや清掃、セキュリティなどオフィスの維持管理に時間給で携わっている全従業員に支払いを続けると話した。

Amazonはおよそ79万8000人を雇用している。Amazonのオフィスワーカーの一部は家から働くことができるが、労働者の大多数は現場で作業する。同社は数万人の配達ドライバーと、100カ所以上の配送センターで働く従業員に頼っている。

Amazonの取り組みは、新型コロナウイルスの拡大スピードを抑制する方策をとるよう、グローバルの健康機関からの要請を受けてのものだ。新型コロナウイルスはコロナウイルスの仲間で、SARSやMERSのウイルスに近い新ウイルスによって引き起こされる。このウイルスのために政府や企業は、全米大学体育協会男子バスケットボールトーナメント(NCAA Men’s Basketball Tournament)、NBAやNHLなどのプロスポーツゲーム、ジュネーブ国際モーターショー、バルセロナのMWC、テキサス州オースティンのSXSWフェスティバルなど、世界中でテックやビジネス、自動車関連のイベントを中止した。ディズニーランドとカリフォルニア・アドベンチャーも3月末まで休園する。

他の企業も従業員に家から働くよう促している。Googleは在宅勤務を勧める対象を北米の全従業員に拡大した。Box、Lyft、Microsoft、そしてTwitterも在宅を推奨、または求めるメモを出している。労働時間が減っても賃金を維持することを約束した企業もある。

画像クレジット: Beata Zawrzel/NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

GitHubが宿題の自動採点やインラインフィードバックなどが可能な教師向け新ツールを公開

GitHubは米国時間3月12日、GitHub Classroomの新しい機能を発表した。このサービスは、コンピューターサイエンスの教師が宿題としてコーディングの練習問題を作ったり結果を評価する業務を助ける。そのほかにも、教師のための無料のツールをいろいろそろえている。

今回の新しい機能は、まず自動採点だ。先生は自動的に作られたテストの問題を宿題として出し、結果が自動的に採点される。テストは各学生のリポジトリーで自動的に行われる。その際、先生はインラインフィードバックと自動プルリクエストでフィードバックを提供できる。

自動採点は、もちろん先生の時間をかなり節約してくれる。そして、これと同時にローンチしたTeacher Toolboxには、さまざまな開発ツールやチュートリアル、ドメインネームなどへのアクセスが含まれている。それらの無料サービスの中には、.techドメインネームやオンデバイステストのBrowserStack、SSHクライアントTermiusなどがある。Arduinoのツールにもフリーでアクセスできる。

今ツールボックスには35のツールとサービスがある。なお、これらのツールの多くは、GitHub Student Developer Packにはない。後者は、BitnamiやFigure Eight、Namecheap、そしてもちろんGitHubなどのツールに無料または割引料金でアクセスできる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

3月12日はビットコインにとっても最悪の日

Bitcoin(ビットコイン、BTC)もかなりマズイことになっている。今月は暗号通貨(仮想通貨)だけでなく、あらゆる資産にとって試練の時だ。米国時間の3月12日、ビットコインの平均価格はわずか20分の間に15%も下落した。

画像クレジット:Chesnot/Getty Images(画像は編集済)

CoinGeckoのあちこちの取引所では、世界標準時午前10時30分には、1BTCは約7250ドル(約76万1400円)の価値があった。しかし同午前10時50分には、1BTCは6160ドル(約64万7000円)まで下がった。ビットコインの価格はその後回復せず、本稿執筆時点でも1BTCは6150ドル(約64万6000円)で取引されている。

これは単なる事故ではない。この1カ月の間、ビットコインは少しずつ下落していた。2月19日の時点では、1 BTCは1万ドル(約105万円)以上の価値があったのだ。

米国時間3月11日、WHO(世界保健機関)は新型コロナウイルス(COVID-19)の流行がパンデミック状態であることを正式に宣言した。米国は、新型コロナウイルスの拡散を防止するため、ヨーロッパから米国への入国制限を含む追加の対策を講じている。

多くの人は、暗号通貨は株式市場とは逆の相関関係があると信じていた。しかし、経済不安は暗号通貨をも傷つけることになった。現在の暗号資産の売却は不確実性から来るものだ。経済が新型コロナウイルスから回復できるかどうか不確かな状況では、リスクの高い資産の売買を続ける気にはなりにくい。

Ethereum、XRP、Bitcoin Cashなど、人気の高いほかの暗号通貨も、この24時間でそれぞれ28.3%、23.2%、31.1%下落した。言い換えれば、今はすべてが赤字で埋め尽くされている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルはシザー式キーボード採用の新MacBookをもうすぐ発売か

アナリストのMing-Chi Kuo(ミンチー・クオ)氏からの新しいレポートによると、Apple(アップル)は、シザー式キーボードを採用した新しいMacBook Proと、MacBook Airを発表する可能性が高いという。最初にこのレポートに目を止めたのはMacRumorsだった。TechCrunchも、それに関する考察メモを入手した。

アップルは昨年11月に、大きいほうのMacBook Proをアップデートした。ディスプレイのサイズは、15インチから16インチへとわずかに拡大されたが、全体的なサイズとしては特に意味のある変更ではなかった。ただしアップルは、物議をかもしてきたバタフライ式キーボードを破棄した。16インチのMacBook Proは、以前に使われていたシザー式キーボードを採用したのだ。

そしてクオ氏は、アップルが2020年の第2四半期のある時点でシザー式キーボードを採用する新たなMacBookを発売すると考えている。つまり近い将来に、MacBook Airと小さいほうのMacBook Proのアップデートが期待できるということ。またアップルは、この機会を利用して、13インチMacBook Proのディスプレイのサイズを拡大する可能性もある。

このようなマイナーながら重要なアップデートに加えて、アップルはすでにMacBookシリーズの大幅な変更を計画しているといううわさもある。同社が設計したARMプロセッサを搭載する最初のノートブックが、2020年の第4四半期または2021年の第1四半期に発売される可能性もあるのだ。

ただしこの変更は、デベロッパーに対する影響が大きい。ARMプロセッサ上で実行できるようにするために、アプリを再コンパイルする必要があるからだ。アップルは、ARMベースのノートブックを市場に導入する前にあらかじめロードマップを示し、サードパーティのデベロッパーが対応するための十分な時間を確保できるようにすることになるだろう。

2021年の第2四半期、あるいは第3四半期には、まったく新しいデザインのノートブックが登場することも考えられる。しかしクオ氏も、この点については歯切れが悪い。アップルの計画が変更される可能性もあるからだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ダウ平均が1987年以来最悪の暴落、ビットコインも例外ではない

まったく、最悪の日だった。

狂乱の売買が行われたその日、ダウ平均株価は10%近く下落し、1987年(市場があまりにも混乱したため、いっそうひどい暴落を未然に防ぐべく、一時的に取引を停止するサーキットブレーカーが発動された)以来、1日あたり最大パーセンテージの暴落だった。

トランプ大統領が新型コロナウィルスの蔓延を防ぐ政府の対策案を公表した翌日、主要インデックスはそろって急落し、連邦準備制度理事会(FRB)が1.5兆ドル近くを供給する緊急介入を行ったというニュースにも、投資家らは動かされなかった。

米国の主要インデックスを見てみよう。

  • ダウ平均株価は9.99%、2352.60ドル下げ、2万1200.62ドルで引けた
  • NASDAQは9.43%、750.25ポイント下げ、7201.80ポイントで引けた
  • S&P 500は9.5%、260.74ポイント下げ、2480.64ポイントで引けた

この1週間で、1日の高騰に対する3度目の大暴落だ。今や今週の火曜日(米国時間3月10日)が遠い昔に感じる。

関連記事:COVID-19 market turmoil tests NYSE’s shutdown circuit-breakers

大量売りの理由は?

投資家の売りが続いているのは、FRBによる暴落緩和策による短期的利益が米国(および世界)の短期的・長期的経済状態を改善できないと見ているからかもしれない。米国と世界の経済はもちろん驚くほど連動しているのだ。

「政府は積極的に行動し、中でも今中央銀行は市場が機能することに集中し、今後も十分な流動性を提供するであろうことを再度強調したい」と、Citi Research(シティ・リサーチ)のグローバル経済担当ディレクターであるEbrahim Rahbari(エブラヒム・ラバリ)氏がCNBCに伝えた。そして「しかし、強力なリスク回避策にも関わらず、信用懸念と健康への高まる懸念を踏まえると、こうした対策は市場の安定を維持するにはまだ不十分であると考えている」と続ける。

 

一方米国産業の大部分が、全米に蔓延する新型コロナウィルスの被害を緩和するための対応で麻痺状態に陥っている。ブロードウェイが閉鎖され、主要なスポーツイベントは中止になり、シーズン全体が中断している。航空および旅行業界は特に大きな打撃を受けており、米国時間3月12日にユナイテッド航空の株価は12.26%、デルタ航空は21%、アメリカン航空は17.28%下げて取引を終えた。航空会社は今後30日間、米国・欧州間の移動を禁止するという米国時間3月11日の夜にトランプ大統領が発令した大胆な決断を耐え忍ばなければならない。本日航空会社はフライトの欠航を開始した。デルタはオランダ、アムステルダムと、フロリダ州オーランド、オレゴン州ポートランド、ユタ州ソルトレイクシティ各地を結ぶフライト、およびパリ行きのオハイオ州シンシナティ発、ノースカロライナ州ローリー・ダーラム発、およびインディアナ州インディアナポリス発の各便を一時的に欠航すると発表した。

投資家が現在も身を潜めているのにはこうした背景がある。そしてこの国が新型コロナウイルス(COVID-19)の検査体制を十分に整えるのを待っている。

暗号通貨さえも、この暴徒の前には安全ではない。Bitcoin(ビットコイン)をはじめとする主要暗号通貨はすべて、投資家の大量売りのために数年来最悪の暴落に見舞われた。SaaS関連株は8%以上下げ、取引終了後に発表されたSlackの決算も投資家を引きつけることができず株は売りに出された。つまるところ明るい兆しを求めているなら、本日はその日ではないということだ(1カ月前に原油を空売りしていた人を除く)。

画像クレジット:Cloudytronics / Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2019年の5Gデバイスの売上は米国スマホ市場の1%未満

5Gは当然のように人気上昇中だ。率直に言って、調査会社NPDの店頭結果を見るかぎり、言えることはそれしかありえない。この調査レポートでは、5Gのハンドセットは米国における総売上の1%未満としている。

購入時の障壁もわかりきっている。価格が高いうえ5Gを使えるところが少ない。また2019年のほとんどの期間、店頭に並ぶ機種が少なかった。LGやSamsung(サムスン)、OnePlus(ワンプラス)などの製品が出てから増え始め、その年の後半は前半の9倍の売上になった。

知名度もかなり上がった。年の後半には、米国の消費者の10人中9人が5Gを知っていた。それは前半に比べて73%の増加だ。そして65%が買うことに関心を示した。しかし実際にどれだけ売れるかは未知数だ。

今ではQualcomm(クアルコム)などの低価格コンポーネントもあるから製造コストは下がる。また米国などの市場では年内に5Gの圏域が大きく増えるので、消費者の購買意欲を後押しするだろう。そしてもちろん、Apple(アップル)の最初の5G機のインパクトも見逃せない。

スマートフォンのメーカーは、5Gへの関心が増えればこのところ不振だったスマートフォンの市場がやっと盛り返すと大いに期待している。

もちろん、新型コロナウィルスの影響という新しい未知数もある。こういう場合、消費のそのほかの部分と同じく、スマートフォンも高級品を買う人は減るだろう。スマートフォンを買うことなどは、目の前のパンデミックに比べてどうしても影が薄くなる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

米国が欧州からの入国を禁止、例外的入国も11空港に制限

ヨーロッパからの外国人の米国への入国を30日間禁止するというホワイトハウスの決定により、すでに苦境にあった航空業界はさらに深刻な問題に直面することになった。米国市民および合法的永住権を持つ人々もCDC(米疾病予防管理センター)が承認した11空港以外は利用できない。当然ながら、このため多数の予約キャンセルが発生している。

CDCの承認を受けた空港は、アトランタ(ATL)、ダラス・フォートワース(DFW)、デトロイト(DTW)、ニューアーク(EWR)、ホノルル(HNL)、ニューヨークJFK(JFK)、ロサンゼルス(LAX)、シカゴ・オヘア(ORD)、シアトル(SEA)、サンフランシスコ(SFO)、ワシントン・ダレス(IAD)。これらはすべて主要なハブ空港であり、現在のところ中国からの直行便の受け入れも承認されている。ただし最近は多数の航空会社がこれらのハブに小規模な空港からの直行便を設定している。

米国時間3月12日、デルタ航空はアムステルダムとオーランド間、ポートランドとソルトレイクシティ間という都市間のフライトのキャンセルを発表した。またシンシナティ、ローリー/ダーラム、インディアナポリスからパリへのフライトも当面キャンセルされる。米国発のフライトは、米国時間3月12日まで運航され、3月13日に米国に戻るのが最終フライトとなる。

TechCrunchの取材に対してアメリカン航空は「状況が流動的なので事態を見極めるべく努力していると答えたが、CDCのリストにない空港へのヨーロッパ便は停止を余儀なくされる。 ルフトハンザなどほかの航空会社も、小規模空港へのフライトをキャンセルしている。この発表以前に、ルフトハンザのみで2万3000のフライトをキャンセルしたという。

アップデート:以下はユナイテッド航空の声明だ。

米政府による旅行制限措置に対応するため、我々はフライトおよび乗員のスケジュールを調整している。現在、変更手数料の規定を変更し、国内外の旅行客に対し、4月30日まで手数料を免除している。ヨーロッパから帰国する場合は、米国とヨーロッパ間の運賃に上限を設けている。

重要な点として、3月19日までヨーロッパから米国への定期便を引き続き運航する。20日以降はチューリッヒ、ブリュッセル、パリ、アムステルダム、マンチェスター、エディンバラへ毎日運航し、フランクフルトとミュンヘンへへは每日複数便を運航する予定だ。ロンドンへは每日往復18便、ダブリンへは3便、リスボンへも每日ではないが定期便を運航する。ただし需要の状況を注意深く観察している。

従来どおり、ユナイテッド航空は乗客、社員に最新の情報を提供し続ける。

画像: BERTRAND GUAY/AFP/Getty Images

【Japan編集部追記】新型コロナウィルス関連のニュースはこちら

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

クラウド受付システムのRECEPTIONISTがオプト、Salesforceから数億円規模の資金調達

写真左からオプトベンチャーズ パートナー 日野太樹氏、RECEPTIONIST代表取締役CEO 橋本真里子氏、セールスフォース・ベンチャーズ日本代表 浅田慎二氏、セールスフォース・ベンチャーズ パートナー 浅田賢氏

クラウド受付システム「RECEPTIONIST(レセプショニスト)」を提供するRECEPTIONIST(旧社名:ディライテッド)は3月13日、オプトベンチャーズとセールスフォース・ドットコムの投資部門Salesforce Venturesを引受先とした資金調達実施を発表した。金額は非公開だが、関係者の話によれば、総額で数億円規模と見られる。

2500社以上へ導入、大企業向け機能も追加されたRECEPTIONIST

RECEPTIONISTは、従来の内線電話による来客対応を自動化する、オフィス受付のためのクラウドサービスだ。受付に置いたiPadから来訪者があらかじめ発行されたコードを入力、または担当者の名前で受付を行うと、担当者にはSlackやChatworkといったビジネスチャットや、アプリなどで直接通知が送られる。

電話の取次や、担当者が離席していた場合の「○○さん今どこにいる?」といった捜索なども不要になるほか、来客情報がデータ化されて残るため、管理や分析のための転記や、来訪者の手を煩わせて来客票を書かせる手間もなくなる。

また2018年12月に搭載した新機能「調整アポ」を利用することで、来客受付だけでなく、日程調整の工程も約8割減らすことが可能となった。Google カレンダー、Outlook カレンダーと連携した調整アポにより、関係者・会議室の空き日時を仮押さえすると、来訪者にはURLが通知される。来訪者が、リンク先の候補から都合の良い日時を選択すると予定が確定し、それ以外の仮予定は自動でキャンセル。予定確定後、来訪者には受付コードが自動で送られ、受付時の名前や社名の入力も不要だ。

このため、「ご都合の良い日時候補をいくつかいただけますか?」から始まる来訪者・関係者のスケジュール調整、会議室仮押さえや、日程が決まってから仮押さえした会議室を開放する、といった細かい作業のほとんどを省くことができる。

RECEPTIONIST誕生のきっかけは、TechCrunch Tokyo 2015で開催されたハッカソン。このとき開発された「キタヨン」というオフィス受付のiPadアプリをベースに、譲渡を受けたRECEPTIONIST(当時の社名はディライテッド)が追加開発を行い、2017年1月にサービス提供を開始した。同年秋に開催されたTechCrunch Tokyo 2017スタートアップバトルでは、東急電鉄賞を獲得している。

2020年1月にサービス開始3周年を迎えたRECEPTIONISTは現在、2500社以上に導入されるようになっている。RECEPTIONIST代表取締役CEOの橋本真里子氏は「顧客に大手企業が増えており、そこはプロダクトの機能強化の際にも意識している」と話している。

例えば、大手企業向けに提供されているプレミアムプランでは、AD(Active Directory)連携により社員の一括登録・更新・削除が可能。グループ会社で共通の受付を可能とするホールディングス機能も搭載されている。

また拠点を複数持つような、中規模以上の企業を対象にしたエンタープライズプランでも、拠点をまたいだアポイント、会議室予約が行えるような機能や、逆に別の拠点の社員を間違えて呼ばないように、参加者を管理できる機能などを搭載。

以前はアポイントごとに発行していた受付コードも、来客ごとに発行できるようにアップデートされた。これはプロジェクトなどに外部から参加する人がいる場合、1つのミーティングでも先に帰る人や途中から参加する人がいることも多いことを受けての改良だ。

「昨年からスタートアップやIT系企業だけでなく、枠を飛び越えた利用の広がりを感じている」と橋本氏。中には、当初は「やはり内線の受付にする」と導入を見送られた企業から、1〜2年経ってからもう一度、利用を検討するとコンタクトがあったケースもあるという。

橋本氏は、スマートフォンの普及がさらに進むなどして「プライベートでもビジネスでも、(ツールやアプリ利用において)取り巻く環境が変化したのではないか」と分析する。企業の経営陣や決裁権を持つ人から「そろそろうちも受付をiPadにした方がいいのでは」との声が、導入担当者にかかることも増えているらしい。

当初のRECEPTIONISTには、オフィスを構えたばかりのスタートアップに取材で訪問すると、必ずと言っていいほど導入されているような印象があった。小規模で受付に割く人手がもったいないと考える、先進的な企業が積極的に取り入れているというイメージだ。しかし今では、有人の受付と併用するような大手企業も現れているそうだ。

「RECEPTIONISTは受付の人をリプレースするものではなく、人がやらなくてもよい取次や、来客情報のデータを残すといった部分を担当するもの。それ以外の人にしかできない案内などは、今まで通り人がやることで、ホスピタリティーを発揮できる。だから管理画面でも、受付の人が気づいたトピックを共有するために入力できるような項目を用意するなど、工夫している」(橋本氏)

2月にオフィスを移転、3月1日に社名をプロダクト名に合わせる形で変更したRECEPTIONIST。橋本氏は「ほかの領域でプロダクトを開発する可能性もあったので、社名はディライテッドとしていたが、RECEPTIONISTの認知が広がり、現プロダクトと大きくかけ離れたプロダクトは出さないことも確実になってきた。それに何より、インサイドセールスのメンバーが、電話口でプロダクト名と社名を両方名乗っているのが大変そうで、『これは早く変えなければ』と思って」と社名変更について語る。

オフィス移転に伴い、元受付嬢である橋本氏の起業の原点でもある受付カウンターをシンボルとして設置したという。

iPad受付システムの市場を広げ、シェア獲得目指す

RECEPTIONISTは、2017年5月に大和企業投資やツネイシキャピタルパートナーズ、個人投資家から数千万円規模、2018年3月に大和企業投資、ツネイシキャピタルパートナーズなどから約1.2億円、2019年2月にSalesforce Venturesから1億円超の資金調達を発表しており、今回の調達はこれらに続くものとなる。調達資金は、マーケティングおよびプロダクトの開発強化、人材採用に投資していくと橋本氏は説明している。

本ラウンドのリード投資家であるオプトベンチャーズのパートナー・日野太樹氏は「労働人口が減少し、生産性向上が必須とされる中で、RECEPTIONISTはこれらの大きな社会課題を解決するプロダクトとしてシンプルで、取り組みやすい領域にある」と語る。

「IT系以外の大手企業にも浸透するだろうと分析していて、これからの時代に必ず広がるサービスだと感じた。また大手だけではなく、中小規模の古い企業にとっても、業務改善のためにIT化を進めようという文脈に乗っているサービスではないだろうか」と言う日野氏。「自分も受付からの電話を受けるのは面倒に感じるし、ペインが分かりやすい。橋本氏の経営者としての力、メンバーへのリスペクトの強さも見ており、大きくなる企業だと感じている」と述べている。

Salesforce Venturesにとっては、本ラウンドは前回に続く追加投資となる。セールスフォース・ドットコム常務執行役員でセールスフォース・ベンチャーズ日本代表の浅田慎二氏は「(事業計画を)実行してきて、数字も上がっていることを見ての追加投資。(Salesforceとのサービス連携など)いろいろな構想はあるが、まずは受付システムのマーケットシェアを取ることに集中しようと橋本氏とも話している」と話す。

北米では、エンタープライズ向け来客管理システムを提供するカナダのTraction Guestにも投資実績があるSalesforce Ventures。浅田氏は「大手企業の引き合いも増えると思うが、そうなると、いずれセキュリティなどの既存システムとの接続を求められるようになるはず。今のところは、事業が伸びていて、人材をプロダクトに集中しなければならないスタートアップで(単体で)展開し、市場シェアを拡大するのは重要」と話している。

橋本氏は「iPad受付システムが世の中に受け入れられる世界を作らなければならないので、競合も含めて一緒に市場を広げる必要があるとは思っている」としながら、「とはいえ、その中できっちりシェアは取っていかなければならない。そこは当社のメンバーが自信を持って進めてくれている」と語っていた。

地図と連携したモバイルCRMで“訪問営業”を最適化、セールステックのUPWARDが5.5億円調達

フィールドセールス領域に特化したモバイルCRM「UPWARD」を開発するUPWARDは3月13日、DBJキャピタル、三菱UFJキャピタル、DNX Ventures、日本ベンチャーキャピタルを引受先とした第三者割当増資により総額で5.5億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

UPWARDにとっては2018年5月にDNX Ventures(当時はDraper Nexus Venture Partners)や日本ベンチャーキャピタルなどから3億円を調達して以来の、シリーズEラウンドでの資金調達となる。今後はプロダクトの改良やマーケティングへの投資に加えて、新サービスとなるパーソナルアシスタント機能の開発にも力を入れていく計画だ。

マップを見るだけで顧客情報や営業状況がわかるモバイルCRM

UPWARDはフィールドセールス担当者の訪問営業活動を支援するCRMだ。特徴は地図とCRMが組み合わさっていること。Salesforce連携することで同サービスに登録している顧客情報とUPWARD上から入力した営業情報を合わせてマップ上に可視化する。

訪問状況や重要度に応じて顧客を色分けして表示する機能(たとえば担当者と会えたら赤色、商談が発生したら黄色に変えるなど)を使えば、地図を見るだけで営業状況を把握することが可能。一定期間訪問していない顧客を自動でアラート表示する仕組みもあり、これらの機能によって過去の営業活動を踏まえた上で「今優先してフォローすべき顧客」を簡単に割り出せる。

結果的に営業の質の向上を見込めるほか、最適な訪問ルートを自動作成する機能を用いることで1日の訪問量を最大化したり、そもそも訪問計画の作成にかかっていた時間を削減したりする効果もある。

”データドリブンな訪問営業”を実現するためには、そもそも日々の営業活動をしっかりと記録していくことが不可欠だが、UPWARD代表取締役社長CEOの金木竜介氏によると多くの企業にとってそれが1つのネックになってきたという。

「企業としては顧客データベース自体はあるものの、現場の担当者によるラストワンマイルの訪問情報が会社に入ってきていないことを課題に感じている。つまり日々の顧客接点情報が会社の資産になっておらず、属人的な営業活動になってしまっている」(金木氏)

UPWARDの場合は各営業パーソンが簡単に記録を残せるような仕組みを構築。位置情報を基にスマホからワンタップでチェックインする機能や音声入力など、移動時間やちょっとした空き時間を使ってスマホだけでデータエントリーできるようにした。

リアルタイムに各メンバーの訪問履歴が収集されていくことで、全体の訪問計画を最適化することにも繋がる。金木氏の話では従来でもトップセールスと言われるような一部のセールスパーソンは個人的にデータを記録して営業活動をしていたようだが、それをチーム全員で実行できている企業はまだまだ多くはない。

特に大企業などフィールドセールスを担当するメンバーが多いような企業ではオペレーションで苦しんでいるところも多かったそう。現在UPWARDは約300社に導入されているが、メインは製造業などをはじめとしたエンタープライズの顧客だ。

たとえば訪問内容の共有によってナレッジの浸透や営業効率がアップしたことで導入1年で売上実績が5.5倍になったダイハツ工業の事例をはじめ、実際に売上増加や業務効率化に大きく貢献できた事例も積み上がってきているとのこと。最近ではPayPayの加盟店開拓における訪問営業でもUPWARDが使われたという。

新サービスとして「パーソナルセールスアシスタント」機能を予定

今回の資金調達はUPWARDをさらに使いやすくするための機能拡張に向けた人材採用とマーケティングへの投資が主な目的。機能改善や連携CRMの拡充(現在はSalesforceのみ)なども随時行っていくほか、4月にベータ版ローンチを予定している新サービス「AGENT」の開発にも力を入れていく。

UPWARDではAGENTを「パーソナルセールスアシスタント」と表現しているが、このサービスでは大きく2つの観点から各セールス担当者を今まで以上に支援する。

1つはデータエントリーの自動化。モバイルGPSを軸にセンサー情報なども用いて、担当者がスマホを持ってさえいればCRM上に顧客訪問日時やこれまでの訪問回数などが自動で入力される仕組みを作る。

そしてもう1つがデータを基にした営業アプローチ方法の提案(インサイトの提供)だ。すでに接点のある顧客への営業についてはCRMの情報を参照して「最適な訪問タイミング」や「次の訪問先」をレコメンドしたり、自動で訪問計画に組み込むことで営業活動における漏れをなくす。新規顧客の開拓においては過去の営業データを基に「上手くいく可能性の高い見込み顧客」を発掘し、提案するような機能も計画しているようだ。

「フィールドセールスにおけるラストワンマイルのパーソナライズを加速させていく。ここ数年、顧客からは個別最適化したCRMが求められてると感じている。『CRM3.0』という言葉を使われることもあるが、プラットフォームに蓄積してきたデータをどのようにフロントエンドで、現場で使いこなせるような形で提供していくか。CRMの活用部分がより重視されるようになってきた。自分たちはフィールドセールスという領域において、そこを追求していきたい」(金木氏)

米国が外国製ドローンの政府使用を禁止へ

TechCrunchが得た情報によると、米トランプ政権は国家安全保障上のリスクを理由に、連邦政府の部門や機関が外国製ドローンを購入または使用することを禁止する大統領令を準備している。

TechCrunchが確認した大統領令の草案は、この数週間で起草されたものだ。ドローンが収集した機密データが敵国に送信される恐れがあるため、外国製ドローンと外国製部品を使用するドローンの両方を事実上禁止する案だ。草案は特に中国の脅威を強調している。中国は米国で政府と消費者の双方にドローンを供給する主要拠点だ。他国製も後で追加される可能性がある。

草案は、米国製ドローンの使用を「奨励する」ことが政府の方針だと述べている。

署名されれば、連邦政府機関は1カ月以内に大統領令を順守する必要がある。だが草案によれば、軍と諜報機関に広く免除を認める見込みだ。

ホワイトハウスの広報は問い合わせに対しコメントを控えた。

これは中国製の技術を取り締まる最新の動きだ。中国政府が権力と影響力を行使して企業にスパイを強要している懸念がもたれている。とりわけHuawei(ファーウェイ)とZTE製品は、米政府機関内の使用が禁止された。中国政府とのつながりがリスクとなるという主張に両社は反論している。中国政府は、米国その他の外国製技術の政府内使用を禁止することにより対抗した

米政府が中国製ドローンを広範に使用している点が、ここ数カ月でより厳しく精査されている。米内務省は1月、収集されたデータが米国の敵にとって「貴重」だという懸念から、800近くの外国製ドローンの使用を緊急時を除き禁止するよう命じた。

だが、TechCrunchが2019年7月に確認した電子メールによると、禁止命令が発効するほんの数カ月前まで、外国製ドローンの使用に伴うリスクに関して政府内部で不一致があったようだ。内務省の最高情報責任者であるWilliam Vajda(ウィリアム・ヴァイダ)氏は、2人の上級スタッフへのメールで、同省のドローンプログラムは外国製ドローンの「リスクを理解した上で軽減するための適切な措置を講じている」と述べた。

「より効果的なリスク軽減策は、非外国、すなわち米国の技術のみを使用することだ」と同氏は述べた。

内務省が使用するドローンの大部分は、DJIなど中国拠点の会社が製造したものだ。大統領令が署名された場合、最も多くを失うのはDJIだ。10年後に約150億ドル(約1兆5600億円)の規模が見込まれる市場で、同社は世界のドローンの約70%を供給している。

内務省の広報は、同省が外国製ドローンの「リスクをさらに検討する」ために取り組んでいると語った。

DJIの広報担当Michael Oldenburg(マイケル・オルデンバーグ)氏は声明で「当社は草案を確認していないが、今回の提案は製造国を名目としたドローン技術に対する新たな攻撃だ。最近の報告によれば、 農務省、内務省、魚類野生生物局、さらにホワイトハウスの行政管理予算局もこのような攻撃を批判している」と述べた。

「これら機関の当局者らは互いに協議し、このようなアプローチが米国の利益を毀損するだけでなく、サイバーセキュリティーの問題解決にもならないと説明している。また、DJIの製品が政府の業務で安全に使用できると検証されたことも認めている」とオルデンバーグ氏は述べた。

画像クレジット:Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

マーケットプレイスの作り方(4):エンドユーザーを伸ばす12の戦略

マーケットプレイスの作り方(4):エンドユーザーを伸ばす12の戦略

編集部注:本稿は米国スタートアップやテクノロジー、ビジネスに関する話題を解説するPodcast「Off Topic」が投稿したnote記事の転載だ。当シリーズ第1弾「Airbnb、Uberから学ぶマーケットプレイスの作り方(1)マーケットプレイスを制限する」第2弾「マーケットプレイスの作り方(2)サプライかデマンド、どちらにまず集中するべきか? 第3弾「マーケットプレイスの作り方(3):サプライを増やす12のグロース戦略集」も合わせてぜひチェックしてみてもらいたい。

こんにちは、宮武(@tmiyatake1)です。普段は、LAにあるスタートアップでCOOをしています。今回も引き続き、Lenny Rachitsky(@lennysan)さんから許可を頂き、翻訳した「How to Kickstart and Scale a Marketplace Business」のパート4をお送りします。前回を読まれていない方はこちらから読めます。

本シリーズは、大きく3つのフェーズに分けての構成になります。

1) フェーズ1:ニワトリとタマゴ問題について
マーケットプレイスを拘束・制限すること
 ・サプライ側かデマンド側、どちらにまず集中するべきか?
初期サプライの伸ばし方
エンドユーザーの伸ばし方(←今回)
2) フェーズ2:マーケットプレイスのスケールの仕方
・サプライ側とデマンド側のどちらが伸び悩んでいるかをどう判断するべき?
・スケール時のグロース戦略
・クオリティー担保戦略
・学び・やり直すと何を変える?
3) フェーズ3:マーケットプレイスの進化させる方法
・「Managed」(管理された)マーケットプレイスへの進化する方法とは?
・新規事業の追加方法 ・新規事業の追加方法

どこかのタイミングでデマンド側を増やす必要がある

これまでは、マーケットプレイスを「地域別」もしくは「カテゴリー別」で制限をかけたり、サプライ側を先に集中して増やす方法をご紹介した。しかし、どこかのタイミングでデマンド側にも集中しなければいけない。どれだけ早めにここにフォーカスするべきかはPMFの強さ、どこからグロースが来ているか、どれだけ簡単にサプライを獲得しているかによって大きく変わる。

OpenTable、Lyft、Uber、DoorDashはデマンドを増やすための投資はあまりしてなかった。逆にZillow、Rover、TaskRabbitは早めにデマンドを伸ばす仕組みにフォーカスを当てた。

デマンド側にフォーカスするべきタイミングは:

・サプライ側が簡単に増えているとき
・サプライ側があまり使われていなく、キャパの余裕があるとき
・エンドユーザーの課題を本当に解決しているか明確じゃないとき

最後の項目についてはサプライ側に本当にエンドユーザーが価値を感じるかをテストするため。そこで、本当に課題を解決できているか検証する方法として類似するものと比較する方法がある。完璧な方法ではないが、代替品より安い場合(Airbnb)、便利の場合(Uber)、クオリティーが高い場合(Etsy)はPMFに近づいていると言えるだろう。詳しく知りたい方はこの記事を参考にしてほしい。

以下の表は、デマンド側(エンドユーザー)の初期グロース戦略を種類別に分けたものだ。

画像1

1) 口コミ
2) サプライがデマンドを伸ばす
3) SEO
4) 広告
5) PR
6) ループ
7) リファーラル
8) ダイレクト営業
9) イベント
10) シングルプレイヤーモード
11) パートナーシップ
12) モバイル重視

デマンドのグロース戦略についてそれぞれ事例と合わせてご紹介しようと思う。

デマンドのグロース戦略1:口コミ

半分以上の成功事例で口コミが一番重要なグロースチャネルだった。「戦略」とは言いにくいかもしれないが、グロースのドライバーになり、PMFが成立した証拠でもある。自社サービスで新規ユーザーがどれほど口コミから来ているかは必ずトラッキングするべきだ。

事例1:Lyft
「口コミは初期のグロースに大きく影響した。Lyftのピンク色のヒゲを車に付けたのも新しい市場に入る時に周りの人の注目を引寄せたかったから。「ピンク色のヒゲ」のキーワード検索からのオーガニック流入もあったぐらい。」— Benjamin Lauzier氏

事例2:Airbnb
「初期のグロースチャネルを分別してみると、口コミが一番大きかったね。ゲスト側で50%以上、ホスト側で70%以上だった。」— Gustaf Alströmer氏

事例3:OpenTable
「エンドユーザー側は全て口コミから始まった。サイトをローンチして、エンドユーザーがそのサイトを発見した時に、周りにOpenTableについて話すのが楽しみだった。」— Mike Xenakis氏

事例4:Uber
「口コミは大きかった。最終的には50%広告、15%リファーラル、35%口コミだったが、初期は30%リファーラル、50%〜60%口コミ、残りはPRなどだった。」— Andrew Chen氏

事例5:AngelList
「初期デマンドのグロースはほとんど口コミ。Venturehacksで我々の記事やコンテンツで多くの起業家から信頼を得られた。」— Babak Nivi氏

事例6:TaskRabbit
「初期では口コミは大きな事業ドライバーだった。その頃は90%以上のユーザーが口コミから来ていた(PRも含めて)。」— Jamie Viggiano氏

事例7:Instacart
「初期だと3分の1のデマンドは口コミからだったね、もっとあったかもしれない。」— Max Mullen氏

デマンドのグロース戦略2:サプライがデマンドを伸ばす

面白いのは約半分の会社は強い口コミからのドライバーがなかったこと。インタビューした40%の会社はサプライ側がデマンド側を伸ばす仕組みになっていた。そう言う会社はひたすらサプライ側を伸ばすことにフォーカスしていた。

事例1:DoorDash
「レストラン側がマーケティングをしてくれた。我々から指示無くプラカードやステッカーを作ってくれた。窓ガラスのステッカーのプロモーションはよかった。レストランオーナー自身も起業家なので、集客をするためにかなりクリエイティブに考えてくれていた。」— Micah Moreau氏

事例2:GrubHub
「Yelpの「People love us on Yelp!」ステッカーを真似て、店舗内のサイネージをやった。「Open/Closed」看板、メニューの印刷、クーポン付き名刺、デリバリーバッグなど色々試した。」— Casey Winters氏

事例3:Etsy
「売手側は自分たちでマーケティングをしてくれたのでそこからデマンドが来た。Etsyは売手側に自社店舗をローカルのコミュニティーにプロモーションすることを推薦することで、最終的には全体のマーケットプレイスのグロースに影響した。」— Nickey Skarstad氏、Dan McKinley氏

事例4:Eventbrite
「大体のイベント作成者はデマンド(参加者)を呼んでくれる。」— Tamara Mendelsohn氏

事例5:Patreon
「PatreonのグロースモデルはYouTubeなどで作りあげて既に熱狂的フォロワーがいるクリエイターを獲得して、そのクリエイターがフォロワーにPatreonページをマーケティングしてくれる仕組み。」— Tal Raviv氏

デマンドのグロース戦略3:SEO

サプライ側では1社しか重要視しなかったのが、デマンド側だと40%の会社がSEOを重要視した。

事例1:Thumbtack
「偶然創業者JonathanがSFのバーで世界的SEOエキスパートの横に座った。そこでThumbtackの話を始めた。当時はSEOなんて聞いたことなかった。そのエキスパートは後々Thumbtackの社外取になって、我々のSEO戦略を設計してくれた。最終的にSEOから80%〜90%のデマンドが来た。当時は型破り的な戦略をとった。全国で何万企業のアンケートをとり、自治体がどれだけビジネスフレンドリーかを聞き、各州と都市でランキングを作った。7ヶ月フルタイムで取り込んでSEO以外の重要情報を取得出来たので成功の基盤となった。」— Sander Daniels氏

事例2:GrubHub
「新規ユーザーの30%はSEOから、10%〜15%はSEMから。ほとんどレストランがサイトを持ってないので、各レストラン用のLPを作った。最終的にはGoogle Localへの導入もできた。」— Casey Winters氏

事例3:DoorDash
「SEOはかなりやった。今日現在もかなりの割合のレストランはオンラインで全く活動していない。DoorDashでは検索からレストランのページへの流入は大きい。」— Micah Moreau氏

事例4:Eventbrite
「初期グロース戦略の一つはSEOだった。実際はサプライ側とデマンド側の集客で被るものも多かった。ローカルSEOページ(例:SFイベントページ)はエンドユーザーを引き寄せたと同時に、20%ぐらいのサプライの獲得にもつながった。」— Tamara Mendelsohn氏、Brian Rothenberg氏

事例5:Etsy
「Googleが数百万の商品をインデックスしてくれる中、検索からの流入は初期から多かった。」— Nickey Skarstad氏

事例6:Zillow
「初めはSEOにフォーカスしてなかったが、PRと口コミで伸びていた中で全く知られていない競合がSEOだけで伸びているのを見た。そこでトップクラスのSEOが必要と思い、そこにかなり努力を費やした。小さい会社だとSEOにそこまでフォーカスしなくても良いが、かなり大きく無料な流入ソースなので、自社サービスの成長する際にはそこからの流入を取れるようにポジショニングが必要だね。」— Nate Moch氏

事例7:OpenTable
「SEOへのフォーカスは少し遅れたが、重要性を理解した時はかなりそこに投資した。外部からエキスパートを呼んでSEOプログラムをローンチしてもらったよ。数ヶ月後にはSEOからのリファーラルを3倍に伸ばして、新規ユーザー獲得の大きな流入ソースとなった。」— Mike Xenakis氏

デマンドのグロース戦略4:広告

3分の1の成功事例はGoogle、Facebook、Twitterなど広告からの流入。

事例1:Breather
「Twitter広告プラットフォームを上手くハックした。ほとんどの人はリツートやフォロワー数を増やすためにTwitter広告を出していたが、我々はBreatherへのオンボーディングのために使った。個人アカウントからTwitter広告を作った。例えば「BreatherがNYでローンチする!試したかったら返信送ってください!」みたいに送ると、何千人からDMが来て、そこからひたすら我々の7ステップのオンボーディングファネルに落とし込んで行った。労働集約的だったが、会社のグロースにつながった。」— Julien Smith氏

事例2:Airbnb
「オンラインマーケティングを初期にやってなければ今のサイズにはなっていない。家やアパートで宿泊する人たちがグーグルで検索していたキーワードを買い取っていた。どこでグロースしたいかは戦略的に考えていた。」— Gustaf Alströmer氏

事例3:Rover
「ほとんどのエンドユーザー獲得はGoogle広告から。ペットホテルなどを検索している人たちをターゲットした。後々競合であったDogVacayと広告費の闘い合いになったので、合併することにした。」— David Rosenthal氏

事例4:GrubHub
「一つの料理カテゴリーで4つ以上のレストランを獲得できた時に獲得したレストランのためにAdWordsを購入した。SEOが一番の流入で、2番目はSEM。」— Casey Winters氏

事例5:Lyft
「広告は初期はかなり重要だった。Lyftブランドを知らなかったユーザーに何がヒットするかがわかったので、Lyftのメッセージングの改善にも繋がった。」— Benjamin Lauzier氏

デマンドのグロース戦略5:PR

PRは3分の1の成功事例で使われていて、TaskRabbitやZillowだと一番の成長戦略だった。

事例1:TaskRabbit
「初期のマーケティング戦略はポジティブな口コミとPRを作ることだった。2009年〜2011年はシェアリングエコノミーの時代が始まったばかりだったので、他人を家に呼んでタスクを実行することにためらいはあった。マーケターとしてはそのためらいを乗り越えてもらうのが一番の仕事だった。その信頼性を作るのは口コミとPRだった。」— Jamie Viggiano氏

事例2:Zillow
「Zillowのグロースの始まりや少しユニークで、PRから始まった。かなり型破りなプロダクト(家の価値を計算して空中画像を出す)を作り、住宅産業のデータや分析を共有した。公開データへのアクセスをしやすくした。それでかなりブランド認知と流入を得られた。大不況の中で家の価値が下がっている中で住宅産業のデータを提供していたタイミングもちょうど良かった。その時はメディアは住宅の価値の落下について話したかったので、我々のデータを使ってくれたおかげでブランドへの信頼性を向上することが出来た。」— Nate Moch氏

事例3:Airbnb
「初期はイベントでのプロモーションにフォーカスした。民主党のイベント、大統領就任式、音楽フェス、ワールドカップ、オリンピックなど。イベントとPRは初期のネットワークをブートストラップの仕方だった。」— Brian Chesky氏

デマンドのグロース戦略6:ループ

数社ではデマンド側の強いグロースループを作った。

事例1:GrubHub
「サプライ側起点のコンテンツループを作った。コンテンツ(メニュー)を獲得 → メニューを集計 → 流入を獲得 → 流入をコンバージョンさせる → よりレストラン側に集客をギャランティー出来る → レストランを獲得。」— Casey Winters氏

事例2:Etsy
「初期のグロースループは売手が作ってくれた。売手がハンドメイドの物を作るために一部の素材を他の売手から買い取っていた。そこの自立されたエコシステムが上手くネットワーク効果を生み出して、初期の買手側のグロースを作ってくれた。」— Nickey Skarstad氏

事例3:Eventbrite
「FacebookとTwitterでイベント参加者が共有してくれたことが初期のデマンド側でのループだった。」— Tamara Mendelsohn氏

デマンドのグロース戦略7:リファーラル

初期のリファーラルプログラムは3社(Instacart、Airbnb、Uber)にとってかなり重要だった。後ほど説明しますが、その3社にとってはこの流入チャネルはスケールしてからより重要となった。

事例1:Uber
「初期だと約30%の配車はリファーラルから来た。」— Andrew Chen氏

事例2:Instacart
「エンドユーザーのリファーラルプログラムはかなり上手くいった。初期の3分の1のデマンドはリファーラルから来た。口コミのリファーラルも起きていたが、良いリファーラルプログラムを作ったおかげでリファーラルのトラッキングと改善が出来た。」— Max Mullen氏

事例3:Airbnb
「リファーラルは開発された口コミと思うべき。ユーザーが既に自分のプロダクトについて話してれば、リファーラルはよりプロダクトについて話してもらう物。それはより話しやすくするやり方もあれば、金銭的インセンティブのやり方もある。」— Gustaf Alströmer氏

デマンドのグロース戦略8:ダイレクト営業

サプライ側では一番のグロース戦略だったが、デマンド側では3社(Lyft、Uber、Rover)のみが重要と思えた。

事例1:Lyft
「周りのスタートアップの各社にドアノックしにいって、無料でカップケーキやドーナッツと一緒にLyftの無料クーポンを渡していた。」— Benjamin Lauzier氏

事例2:Uber
「Streetチームをかなり使った。SF内の各Caltrain駅に行ってリファーラルコードをばらまいていた。元CEOのTravisさん自身がTwitter本社に行ってリファーラルコードを従業員にばらまいていたと。これが後ほどUberのグローバルアンバサダープログラムとなった。」— Andrew Chen氏

事例3:Rover
「ドッグパークに行って従業員がチラシやクーポンコードをばらまいていた。」— David Rosenthal氏

デマンドのグロース戦略9:イベント

サプライ側でイベントを上手く活用した会社は大体デマンド側でも同じく成功していた。

事例1:Lyft
「ローンチイベントは重要だった。重要なグロースドライバーだった。草の根的な動きが各都市で欲しかった。最大1,000人ぐらいのイベントだったが、熱狂的なコアファンを作って長期的にLyftのアンバサダーとなってくれる重要なコミュニティーを作れた。」— Benjamin Lauzier氏

事例2:Uber
「新しい市場でのグロースの立ち上げに出た大きなアイデアが『ライダーゼロ』コンセプト。新しい市場での一番最初のユーザーをセレブや人気者になるようなキャンペーンをやった。Uber KITTENS(猫の日に動物シェルターで保護されている子猫を配達するキャンペーン)やUber Ice Cream(Uberでアイスクリームを届けてくれるキャンペーン)などやった。」— Andrew Chen氏

デマンドのグロース戦略10:シングルプレイヤーモード

サプライ側を作る前にエンドユーザーに提供出来る物を探した会社も数社いた。

事例1:GrubHub
「鶏卵問題のデマンド側の解決法はレストランのデリバリーメニュを自力でスキャンしてオンライン化して、SEOで流入させたこと。流入が多くなった際にレストランへ営業した。ある程度のレストラン数やユーザーが揃ったタイミングで直接レストランに行った。」— Casey Winters氏

事例2:AngelList
「スタートアップ用のフォームを作って投資家への紹介が欲しければ入力するようにお願いした。各エントリーをレビューして、良いのを自社メーリスに入っていた投資家に送った。投資家が気に入ったら紹介をした。」— Babak Nivi氏

事例3:Instacart
「スーパーが閉まっている間に新規ユーザーを集めたので、スーパーがオープンした時にすぐにユーザーに連絡できるようにした。」— Max Mullen氏

デマンドのグロース戦略11:パートナーシップ

TaskRabbitやOpenTableの場合は初期に上手く提携先を見つけたおかげてグロースのアクセルを踏めた。

事例1:TaskRabbit
「Pepsi、Bravo TV、Gap、Sephoraなど有名ブランドと色々パートナーシップを組んだ。ほとんどのパートナーはオフラインでの顧客アクティベーションをしてくれた。PRと同じようにパートナーシップのおかげでブランド認知が上がり、TaskRabbitの信頼度が上がった。ビッグブランドと組めたのはブランド認知もユーザー登録でもかなり役立った。」— Jamie Viggiano氏

事例2:OpenTable
「デマンドを作るためにパートナーシップを上手く使った。Citysearch、AOL、Digital Cities、Yahoo、Metromixなどと提携した。提携先のオンラインディレクトリにリスティングされた場合にOpenTableのリンクが表示されていた(当時はAPIの概念がなかった)。ただ、幅広く提携しましたが、結果としてブッキングの15%ぐらいしか至らなかった。残りは直接OpenTableサイト、もしくはレストランのサイトからだった。」— Mike Xenakis氏

デマンドのグロース戦略12:モバイル重視

今だと当たり前になっているが、ZillowやThumbtackは早めにスマホファーストに切り替えたのが重要だった。

事例1:Zillow
「今だとおかしく聞こえるが、モバイルプラットフォームへの対応を早くしたのがかなり大きなグロースにつながった。モバイルが明らかに普及する前にコミットしていた。Blackberryに適したマップツールがなかったので、自社で開発した。新しいプラットフォームや技術に早く移管するのは重要だと気付いた。iPad、Apple TV、360度カメラなど、新しい技術を早めに対応するため、ファーストムーバーアドバンテージになるし、良いPRにもなる(Steve JobsはZillowのiPadアプリを紹介してくれた)。」— Nate Moch氏

デマンド側のグロース戦略まとめ

・8つの戦略はサプライ側のグロース戦略と被っているが、インパクトが違う。ダイレクト営業はサプライ側では一番使われていたが、デマンド側では8位。
・デマンド側の使われてた平均戦略数の方が多かった。サプライ側は2個の戦略だったが、デマンド側は平均が3個。これは複数のチャネルから多くのインパクトを出せるのはデマンド側から。

あまり効果がなかった事例やシチュエーションもある

成功したケースも面白いが、うまくいかなかったケースの学びの方が面白かったりもする。なので、効果がなかったケースを紹介しようと思う。

効果がなかった広告の事例

事例1:Thumbtack
「広告はあまりデカくなかった。そのお金を払うキャッシュは売上は初期にはなかった!」— Sander Daniels氏

事例2:TaskRabbit
「初期はデジタル広告にあまりお金を使わなかった。ローンチしてから5年ぐらいで重要になってきた。」— Jamie Viggiano氏

事例3:Instacart
「初期の広告費用はほぼゼロだった。」— Max Mullen氏

効果がなかったループの事例

事例1:Lyft
「Uberはループにかなり投資したが、意外とLyftでは上手くいかなかった。」— Benjamin Lauzier氏

事例2:DoorDash
「バイラルループを作ろうと社内で言ったことがなかった。」— Micah Moreau氏

事例3:Patreon
「Patreonをユーザーとしてサービスを発見するのが一番のプロモーションかもしれないが、Eventbriteみたいにユーザーからクリエイター側になるのが難しい。」— Tal Raviv氏

効果がなかったサプライにデマンドを増やしてもらう事例

事例1:TaskRabbit
「ほとんどのタスクが家の中で行われて、プライベートの話なのでLyftのピンク色のヒゲみたいな効果は出ない。」— Jamie Viggiano氏

事例2:Rover
「RoverのTシャツが街中で見ても大してグロースに影響はない。」— David Rosenthal氏

効果がなかったPRの事例

事例1:OpenTable
「実はPRを避けた。ハイエンドのレストランで食べるときは計画されるし、頻繁ではないので、あまりPRしてもデマンドに繋がらないと思った。上場してからようやくPR活動にフォーカスし始めた。」— Mike Xenakis氏

効果がなかったリファーラルの事例

事例1:TaskRabbit
「リファーラルモデルが出始めていた時(2010年)に$10を使うと$10分無料で使えるアイデアを出した。最初はメールでテストして効果を測って、インパクトを知った際にプロダクト内への導入も行なったが、実際はあまりそこからビジネスは出てこなかった。エンドユーザーはオーガニックで共有して、あまりリファーラルプログラムを使ってくれなかった。」— Jamie Viggiano氏

効果がなかったSEOの事例

事例1:Caviar
「SEOのインパクトはかなり低かった。」— Gokul Rajaram氏

泥臭い道のりでコツコツ成長させることも重要

インタビューで一番の学びはマーケットプレイス事業を立ち上げるのは難しいこと!みんなコツコツ、泥臭い道のりを歩んだ話をしていた。そこの初期の泥臭さの事例をいくつか紹介する。

事例1:Breather
「まだ何もないマーケットプレイスでサプライとデマンドを獲得する本当の答えは、とりあえず何があってやり続けること。上手く行くまでいろんな物を試す。Twitterでリード獲得して何百人をマニュアルでオンボーディングしたファネルを作った。アプリをダウンロードするようにメールした。そのあとにまだダウンロードしてないか通知した。ダウンロードしたらアカウントを作ったかメールした。それを何百回と繰り返した。」— Julien Smith氏

事例2:Thumbtack
「初期はGoogleの検索アルゴリズムのリバースエンジニアリングにすごく時間をかけた気がする。今を振り返ると時間と努力の無駄と感じてしまう。最高なプロダクトを作るのが夢だったのがアルゴリズムにフォーカスしていた。でも当時は仕方がなかった。SEOがビジネスの起点だったので、良いプロダクトとブランドを作れる時間稼ぎが必要だった。」— Sander Daniels氏

事例3:Airbnb
「シリコンバレーのメンタリティーで最初からスケールできる課題解決を作る必要があると思ってた。コードの美しいところは一人でも、1万人でも、1億人でも同じ一行のコードで解決できる。創業して最初の一年間はパソコンの前でひたすら課題をコードで解決しようとしていた。それがシリコンバレーの課題解決法だと思っていた。YCのPaul Grahamと始めてあった時に初めてスケールしないことの許可をもらった。その瞬間を今でも忘れない。そのおかげでビジネスが変わった。」— Joe Gebbia氏

事例4:DoorDash
「泥臭い事例としてCEOのTonyがいつも語るのはSFのMacy’sビルに入っているCheesecake Factoryを獲得したストーリー。大手ケーキショップのCheesecake Factoryを獲得できたのは、6FにあったCheesecake Factoryの食べ物を1Fから6Fへエレベーターでひたすら登り下がりする専門Dasherがいたから。それは普通の体験以上、スケールしない事例。」— Micah Moreau氏

事例5:GrubHub
「レストランの名刺を我々が作っていた。それ以外にファックスでオーダーを送って電話をしたりしていた。」— Casey Winters氏

事例6:Etsy
「本当の創業物語は誰も知らないが、私の理解だと創業者が当時フルタイムでウェブ制作の受託をしていて、たまたまクラフト系のフォーラムの仕事をした時にeBayに不満を持っていたeBay売手のグループを見つけたらしい。そこでEtsyのプロトタイプを作って、そこのグループに見せて始まった。そのあとはローカルのクラフトフェアなどに行って、一人一人へプロダクトを見せていった。」— Dan McKinley氏

事例7:Lyft
「初期はスケールできないグロース戦略を多く行なった。例を挙げると、スタートアップにひたすらドアノックしにいって無料でクーポンと一緒にカップケーキとドーナッツをあげてた。」— Benjamin Lauzier氏

事例8:DoorDash (2回目)
「DoorDash初回バージョンはpaloaltodelivery.comと言うサイトだった。Palo AltoのレストランのメニューをPDFで出していた。CEOのTonyさんがチラシを作って$6の配送手数料を指定してスタンフォード大学でばらまいた。どれだけ需要があるか知りたかった。」— Micah氏

事例9:Thumbtack(2回目)
「マーケットプレイス事業を考える時に二つの項目がある。一つは取引の頻度で、二つ目は取引の大きさ。Thumbtackは低い頻度で高い取引サイズだった。なのでUberみたいに絞った市場みたいにビジネスを作れなかった。幅広いマーケットプレイスを作る必要があった。力ずくで平凡なプロダクトでやった。それで時間稼ぎをして良いプロダクトを作れるようになった。このマーケットプレイスを作るには何十年かかると知っていたので、初期からタフな判断やプライオリティー付をする必要があった。」— Sander Daniels

以上フェーズ1でした!次回のフェーズ2では以下のお話をご紹介します。
・マーケットプレイスのスケールの仕方(効果的なグロース戦略)
・マーケットプレイスのクオリティー担保について
・サプライ側かデマンド側で拘束されているかの知り方

Windows 10の脆弱性修正パッチを緊急配布、月例アプデのSMBにバグ

Microsoft(マイクロソフト)がWindowsのセキュリティ脆弱性を修正するパッチを緊急リリースした。これは今週はじめにネット上に公開されてしまった脆弱性を修正するものだ。

問題のバグの深刻度は「critical」で緊急に対応が必要だ。バグは月例アップデート、いわゆる「アップデートの火曜日」に配布されたプログラムのSMB(Windowsのサーバーのメッセージを処理するブロック)に含まれていた。SMBはプリンターやファイルだけでなく、ローカル、さらにはインターネットに接続された他のデバイスとのコミュニケーション全般を処理する。

攻撃者がSMBのバグの利用に成功すれば、悪意あるコードをリモートで実行できる。サイバーセキュリティー企業のKryptos Logicで脅威情報収集および分析チームの責任者を務めるJamie Hankins(ジェイミー・ハンキンズ)氏は「インターネットに接続していれば遠隔実行に対する脆弱性を持つパッチ未適用のサーバーは4万8000台とされる。しかし実数ははるかに大きいだろう。つまり脆弱性があるサーバーに接続している他のデバイスも同様に脆弱性があることになるからだ」と述べた

このバグのニュースは2017年に世界のインターネットに急激に拡散したWannaCryのような「ワーム感染可能」な悪意あるプログロムが出現するかもしれないとテクノロジー・コミュニティーを恐怖させた。2日後、Microsoftは has SMB v3のバグを修正するパッチをリリースした。ターゲットはWindows 10、 Windows Server 2019のv1903とv1909だ。

Windows 10より前のバージョン、Windows 8やWindows 7(こちらはサポートが打ち切られセキュリティ・パッチの提供も終了している)などにこの脆弱性はない。月例アップデートに含まれていたバグがなぜ不適切な方法でネット上に公開されてしまったのか、詳しい事情は不明だ。セキュリティ専門企業、FortinetとCiscoはそれぞれブログ記事でこの脆弱性を公開した後、バグに関連する情報を削除している

パッチの配布は通常の方法による。Windows Updateから適用可能だ。

画像: Bloomberg (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ARヘッドセットメーカーMagic Leapが身売りを熱望、売却希望価格は約1兆円

AR(拡張現実)ヘッドセットメーカーのMagic Leap(マジック・リープ)は物理法則と格闘し、商品の展開に失敗した。そしていま身売り先を探しているが、BloombergのEd Hammond(エド・ハモンド)氏の記事によると、Facebook(フェイスブック)そしてJohnson & Johnson(ジョンソン&ジョンソン)との話し合いは実を結ばなかった。

Magic Leapはこれまでに20億ドル(約2100億円)を調達し、バリュエーションは一時60億〜80億ドル(約6300〜8400億円)あったが、「もし商品の発売を追求したら100億ドル(約1兆円)超のバリュエーションになっていたかもしれない」とハモンド氏は買いている。この額は馬鹿げている。「プライドの高い企業が、たとえ実際の買収額がこれより低いものになるとしても、買収への関心を引き寄せるという望みをかけて戦略的にリークしたのかもしれない」というような数字だ。

スタートアップは上場する時に、バリュエーションを「細切れ」にされる。そして経済全体が新型コロナウイルスっで弱っている。ARは公共の場を避ける人々にとってVRよりもそう面白くは映っていないようだ。中古のARヘッドセットをデモで人々の顔に装着してもらうのは、未来が見通せない中で難しいことだろう。

高価で装着するのが奇妙なガジェットであるARアイウェア。消費者を引きつけるような使用方法を誰も考えついていない。スマホですでにARを利用でき、しかもスマホではARヘッドセットができないセルフィー撮影やビデオチャットができる。私は昨年Sundance Film Festival(サンダンス映画祭)でMagic Leapを試したが、かさばるハードウェアにぼんやりとした投影、狭い視野と、笑えるほどにひどい体験だった。

Apple(アップル)とFacebookがiPhone販売とNews Feedの売上を、より良いコンシューマーヘッドセット開発につぎ込んでいる。ARヘッドセットが広く受け入れられるようになるまで10年かかるとSnapchat(スナップチャット)のCEO、Evan Spiegel(エヴァン・シュピーゲル)氏は考え、同社はそれまでのつなぎとなるメガネをつくった。Microsoft(マイクロソフト)のようなARライバルの製品ではより良いエンタープライズ体験ができ、接続もよく流通もいい。企業向けARスタートアップのDaqriは廃業した。

Magic LeapのCEOは初年に2300ドル(約24万円)のヘッドセットを100万台売ろうと考えていたが、その後販売予想を10万台に修正した。しかしThe InformationのAlex Heath(アレックス・ヒース)氏の記事によると、最初の6カ月で売れたのはたったの6000台だった。2014年のMagic Leapの1400万ドルの資金調達をGoogleがリードしたにもかかわらず、AlphabetのCEO、Sundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏はMagic Leapの役員を降りた。Business InsiderのSteven Tweedie(スティーブン・トゥウィーディー)氏とKevin Webb(ケビン・ウェブ)氏は、CFOのScott Henry(スコット・ヘンリー)氏とクリエイティブ戦略のSVP、John Gaeta(ジョン・ガエタ)氏がMagic Leapを去ったと報道した。そして同社は従業員を何十人も解雇した。同社はまた昨年Microsoftとの5億ドル(約530億円)の契約も失った。Apple、Google、そしてFacebookのCEOたちは買収について話し合うために2016年にMagic Leapの本部に足を運んだが、いずれも交渉には至らなかった。

ARアイウェアは未来の一部なのだろうか? おそらくそうだろう。そしてMagic Leapは価値があるのか? おそらく、幾分そうだろう。効率に執着するマーケットに何億ドルもの金をつぎ込むというのは同社にとって早すぎた。そして額としては少なすぎた。100億ドルという売却価格をつけるには、遠い将来の成功につながる、他社が真似できないような才能とテクノロジーをMagic Leapが持っていると、世界でも有数の大企業に確信させる必要がある。

巨額の買収に馴染みのあるFacebookがMagic Leapを買収しようとはしなかったという事実は何かを物語っている。これは何億ものユーザーのためのプロダクトでもなければ、急速に売上高を押し上げるものでもない。サイコロ博打のようなビジョンとタイミングによるギャンブルだ。Magic Leapが人々に使ってみたいと思わせるような、飛んでいるクジラや部屋の中の恐竜といったレンダリングをいつ現実のものにできるのかは不透明だ。

どんなことができるのかを示す、Magic Leapの初期のレンダリングの1つ

金額的なもの、そしてARヘッドセット実現のための幅広い需要が出てくるまでにまだ時間があることから、人材の獲得や開発時間の短縮を目的とした買収が考えられる。もし誰かがMagic Leapをかなりの額で買収するなら、すぐ帳消しにするかもしれない。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi

テンプレートからセールス書類を簡単に作れるエディタをPandaDocが発表

米国時間3月11日、セールスのための書類作成を自動化するスタートアップのPandaDocが、ウェブベースの新しい書類作成エディタを発表した。このエディタを使うと、セールスチームはデザインテンプレートを利用して素早く提案書や契約書を作成できる。

画像:EmirMemedovski / Getty Images

セールス用の書類はWordやGoogleドキュメントなどのワープロソフトで作るかもしれないが、テンプレートを使えば一貫性がありプロ級の仕上がりの書類を作ることができる。利用者は自由にカスタマイズできるが、テンプレートを使うことで美しい書類を作るためにデザイナーの手を借りる必要がなくなる。

PandaDocの共同創業者でCTOのSerge Barysiuk(セルジェ・バリシュク)氏によれば、同社には以前から、セールス用の書類は動きのないPDFやWord文書ではなくインタラクティブなものになるだろうというビジョンがあった。そこでインタラクティブな書類を作るエディタを構築し、同時に書類を開いてどれぐらいの間表示していたかといった利用状況をセールスチームが確認できるようにするために、多くのリソースをつぎ込んできた。

バリシュク氏はTechCrunchに対し「当社のプラットフォームに、新しい書類作成エディタを追加した。このエディタで、書類をカスタマイズし、データをまとめ、インタラクティブにすることもできる」と述べた。

PandaDocの書類テンプレート選択画面。スクリーンショット:PandaDoc(図はトリミング済み)

バリシュク氏によれば、書類にはビジネスロジックとデータが含まれ、しかもオンラインで見てもモバイルデバイスで見てもプロ級の仕上がりになるという。

PandaDocは、Wordなどのツールで文例を作る顧客がいることを認識し、ユーザーが既存の書類をPandaDocのエディタに読み込めるようにしていると同氏は語る。

書類編集機能に加え、セールスチームをサポートするために提案から契約、デジタル署名までの一般的なワークフロー、そして資金集めのフローも提供されている。

PandaDocは2011年に創業した。これまでに2100万ドル(約23億円)以上を調達し、PitchBookのデータによればポストバリュエーションは7000万ドル(約75億円)。従業員数は250人で、顧客は1万7000社だという。顧客の大半は中小企業で、プラットフォーム上ですでに200億ドル(約2兆2000億円)以上の取引があった。

直近では、2017年にRembrandt Venture Partnersの主導で1500万ドル(約16億円)を調達した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

米配送大手DHLは配送業務にLocus Roboticsの運搬ロボ1000台を導入予定

ロボティクスは物流企業が業務の時間を短縮できることから、配送や倉庫で大きな成果を上げている。その最も顕著な例はおそらくAmazonで、米国各地の同社の配送センターには現在20万台以上のロボットが配備されている。

Amazonが当日配送、翌日配送に移行したため、競合他社やパートナーは対抗策を求め、その多くは他社のロボティクスを取り入れている。米配送大手のDHLもロボティクス企業に期待を寄せてきた。同社の北米部門は、350カ所の施設でロボティクスと自動化に3億ドル(約320億円)を投資する計画を2018年11月に発表していた。

2017年以来のパートナーであるマサチューセッツのLocus Robotic(ローカス・ロボティック)は、その恩恵を受けている。DHLは今週、合計1000台のLocusBotsをLocus Roboticから調達し、配備することを決めた。投資額の大きさやDHL全体の規模からすればごくわずかのようにも思えるが、ロボットを配備する施設は来年には2カ所から12カ所へと拡大する。当然、DHLはこれまでの試験導入はうまくいったと語っている。

DHLの小売輸送事業プレジデントを務めるJim Gehr(ジム・ゲーア)氏は発表の中で「DHLサプライチェーンがライフサイエンスとリテールの部門で初めてLocusのソリューションを実装し、大きな成功を収めた。一部の顧客の業務において、生産性は最大で80%向上した。そこで、Locusの極めて柔軟なAMR(自律型協働ロボット)ソリューションの活用を複数の分野の顧客に拡大することにした。我々はこれからもLocusと協力して、生産性の向上、業務量増加への対応、米国全土の顧客のサプライチェーンについて継続的な改善を図っていきたいと考えている」と述べた。

Locus Roboticsは、2018年にDHLが投資を発表した時点で提携する計画を立てていた25社のロボティクス企業のひとつだ。Locus Roboticsは、2019年4月にシリーズCで2600万ドル(約27億円)を調達した。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS 14の新機能はスタートアップにとって脅威となる

フィットネスや壁紙、失くしたアイテムの探索機能などを提供するスタートアップは、強大な競合と新たに直面することになりそうだ。しかもそれは、すべてのiPhoneに標準装備される。

Apple(アップル)が、この6月に公開することになるiOS 14のコードのリーク情報から、多くの新機能と、新しいデバイスの登場が予想される。アップルが、そうした新たな機能をOSレベルで組み込んでくることは、スタートアップにとって脅威となるだろう。新しいiOSが登場した途端に巨大なインストールベースを獲得し、そうした新機能を無料、もしくは安価に提供できるからだ。そして、iPhoneという収益の柱の売れ行きをさらに増加させることになる。

このような新たに発見されたものが、すべて実際に6月に公式に発表されるのか、あるいはもっと後になるのかは、まだわからない。以下に示すのは、9To5MacのChance Miller(チャンス・ミラー)氏が取得したiOS 14コードの分析結果だ。そこから、どのようなビジネスにアップルが割り込み、どのスタートアップが打撃を受けることになるのか、予想できる。

フィットネス:コードネーム「Seymour」

AppleはiOS、WatchOS、Apple TVで使えるトレーニング用のガイドアプリ「Seymour」(シーモア)を準備しているようだ。これにより、ユーザーは解説ビデオクリップをダウンロードして、さまざまなエクササイズができるようになる。MacRumorsのJuli Clover(ジュリ・クローバー)氏によれば、このアプリは、「Fit)」(フィットまたは「Fitness」(フィットネス)と呼ばれる可能性が高いという。ストレッチ、コアトレーニング、筋力トレーニング、ランニング、サイクリング、ローイング、アウトドアウォーキング、ダンス、ヨガをサポートしている。Apple Watchを使えば、トレーニングルーチンの進捗を把握できるようだ。

iOS 14のコードに埋め込まれたアップルのフィットネス機能のアイコン

iOSの「ヘルスケア」アプリは、歩数やその他のフィットネス関連の目標を管理するため、かなり一般的に使われている。ヘルスケアを使って、新しいフィットネス機能をパーソナライズしたり、利用を促進することにより、アップルは簡単に巨大なユーザーベースを手に入れることができる。適切なトレーニングによって怪我や障害を避けるためには、学ぶべきことが多いので、ウェイトトレーニングや、筋力トレーニングに恐怖感を抱いている人も多い。複数のアングルから撮影されたビデオによるビジュアルなガイドによって、腕立て伏せや二頭筋カールなども、正しくできるようになる。

アップルがフィットネスに参入することで、Futureのようなスタートアップは危機にさらされる可能性がある。Futureも、個々のエクササイズのやり方をビデオで説明する、カスタマイズされたトレーニングルーチンを提供しているからだ。Futureは、これまでに1150万ドル(約12億400億円)の資金提供を受けたスタートアップ。月額150ドルで、Apple Watchを使ってトレーニングの進行を管理するサービスを提供している。これは、視覚、音声、バイブレーションを利用して、iPhoneの画面を見なくてもエクササイズを切り替えるタイミングを知らせてくれるもの。Featureの場合には、人間のパーソナルトレーナーがいて、エクササイズをサボると、テキストメッセージで小言を言ってくるが、アップルはそれがない代わり、同様の機能を無料で提供してくれるのだ。

アップル製のFitnessは、トレーニングの視覚的なガイドのみを提供するSweatやSworkit、あるいは音声のみのAaptivのような、それほど高額ではないアプリにとっては、もっとやっかいかもしれない。バイクを使わないBeyond the Rideというトレーニングを、ライブまたはオンデマンドのクラスとして提供しているPelotonや、巨大な3Dセンサーを内蔵したウェイトリフティング用の家庭用スクリーンを提供するTempoといったハードウェアメーカーも、アップルの無料、または安価なサービスに、それほどこだわりのない顧客を奪われる危険を感じているかもしれない。

支払い方法に関するコードがないので、アップルのFitnessは無料だと考えられる。とは言え、アップルがサービスを拡張して、有料のプレミアム機能を付加することも十分に考えられる。たとえば、人間の専門家によるリモートのパーソナルトレーニング補助機能や、エクササイズの種類を、有料で追加することもあるかもしれない。それによって、こうしたサービスから収益が得られるようにするわけだ。

壁紙:サードパーティによるアクセス

現在のiPhoneの壁紙セレクター

iOS 14では、アップルは新たな壁紙のカテゴリを、現在のダイナミック(ゆっくりとずれる)、静止画、Live(タッチすると動く)という3種類のオプションに追加するかもしれない。これまでアップルは、最初からあるいくつかの内蔵の壁紙に、カメラロールからだけ追加できるようにしてきた。しかしiOS 14のコードは、サードパーティが壁紙を提供することに、アップルが道を開く可能性を示している。

壁紙の「ストア」ができるとすれば、この分野の起業家にとって祝福すべきことにも、呪うべきことにもなる可能性がある。壁紙を取り揃えて閲覧させ、購入、ダウンロードできるにしているVellum、Unsplash、Clarity、WLPPR、Walliなどのサイトやアプリを危険にさらすことになるかもしれない。アップルは、同様の機能を壁紙の設定に直接組み込むことで、自ら膨大な壁紙のコレクションを提供することも可能だからだ。とはいえ美しい壁紙のクリエーターにとって、iOS 14が新たな販売方法を提供することになることも考えられる。ユーザーがiPhone画面の背景をインストールする場所で、直接サードパーティの壁紙を購入できるようになる可能性もあるのだ。

大きな疑問は、アップルは単にいくつかのプロバイダーと協力して壁紙パックを無料で追加するだけなのか、プロバイダーを財政的に支援して協力を取り付けるのか、あるいはアプリのデベロッパーのように、クリエイターが画像を販売できる本格的な壁紙市場を形成しようとしているのか、ということ。以前は無料だった機能を市場に変えることで、アップルはその売上をサービス収益の増加につなげることもできるのだ。

AirTag:探しものを見つける

アップルが、待望のAirTagを発売するのも、間近に迫っているようだ。それも、iOS 14のコードの断片から判断できる。これは、小さな追跡用のタグを、財布、鍵、ガジェット、その他の重要だったり、簡単に失くしてしまいそうなモノに取り付けると、iOSの「探す」アプリを使って見つけることができるようになるというもの。MacRumorsによると、AirTagは交換可能なコイン型のバッテリーで動作するようだ。

iOSとネイティブに統合されるので、AirTagのセットアップは非常に簡単だ。そして、アップル製のデバイスが世界中どこにでもあることで、大きなメリットが享受できる。というのも、AirTagは多くの人が持っているアップル製のスマホ、タブレット、ノートブックの通信に便乗して、失くしたアイテムの位置情報を元の持ち主に知らせることができるからだ。

ここで明らかなのは、AirTagがこの業界で長年に渡って先頭を走ってきたTileの強力なライバルになりそうだということ。このスタートアップは1億400万ドル(約108億円)の出資を受けている。追跡タグの販売価格は20〜35ドル(約2100〜3600円)で、150〜400フィート(約46〜122m)離れた場所にあるデバイスを見つけることができる。また、年間30ドル(約3100円)の会費を払えば、バッテリー交換が無料となり、30日間の位置情報の履歴も利用可能となる。この業界には、他にもChipolo、Orbit、MYNTといった会社がある。

しかし、すでにAirPodsの発売時に経験しているように、アップルならではの知見を生かした設計によるiOSとのネイティブな統合により、同社の製品は市場に出回っている製品を凌駕するものになり得る。もしAirTagが、iPhoneのBluetoothや通信ハードウェアへの独自のアクセスを可能にしセットアップが早ければ、アップルのファンならそうしたスタートアップの製品からアップル製の新しいデバイスに乗り換えるだろう。さらに、アップルも有料のサブスクリプションを設定して、バッテリーやAirTag本体の交換、あるいは特別な追跡機能をサポートする可能性さえある。

拡張現実スキャン:コードネーム「Gobi」

iOS 14には、ユーザーが現実世界の場所や、可能性としては個々のアイテムをスキャンすると、そこから有用な情報を引き出すことが可能な、新しい拡張現実機能のコードが含まれている。9To5MacのBenjamin Mayo(ベンジャミン・マヨ)氏によると、このコードは、アップルが、Apple Storeとスターバックスで、コードネームGobi(ゴビ)と呼ばれる機能をテストしていることを示すものだという。ユーザーは、製品の詳細や価格、他製品との比較情報を見ることができる。Gobiは、QRコードなどを認識して、特定のショップの位置情報を取得し、その場所に付随する拡張現実体験を開始させることもできる。

SDKを使えば、パートナー企業が独自の拡張現実を開発し、それを開始するQRコードを生成できるようになるようだ。最終的には、こうした機能は、アップル製のモバイルデバイスだけでなく、サポートするARヘッドセットにまで展開できるようになる。それにより、ユーザーが所定の場所に入るだけで、即座にヘッドアップディスプレイに情報を表示するといったことも可能となる。

アップルは、本格的なアプリを構築するためのAR Kitというインフラをデベロッパーに提供するよりも、より手軽に使えるAR体験を可能にする方向に舵を切ろうとしている。その動きが、いくつかのスタートアップや、他の大手IT企業との競合を生む可能性がある。拡張現実の本質は、現実世界の隠れた体験を探索しやすくすることにある。そこでもし、ユーザーがいろいろな場所、あるいは異なる製品ごとに、別々のアプリを探し、ダウンロードしてインストールするのを待たなければならないとしたら、そうした体験は台無しになってしまう。すぐに起動して、シンプルな体験を提供する1つのARアプリに統合すれば、普及も促進されるはずだ。

SnapchatのScan ARプラットフォーム

Blipparのようなスタートアップは、消費者向けのパッケージされた商品や、小売店で活用できることを目指し、長年ARスキャン機能に取り組んできた。しかし、上で述べたように、そのためのアプリをダウンロードしておいて、使うのを忘れないようにしなければならないこともあって、そのような体験が主流になることはなかった。SnapchatのScanプラットフォームは、特定のアイテムから、同様にAR効果​​を開始できる。こちらは、もう少し人気のあるアプリから使える。そして、FacebookやGoogleのティーザー広告が示している拡張現実のハードウェアとソフトウェアも、結局のところ日常生活をより便利にするものとなりそうだ。

もしアップルが、このテクノロジーをすべてのiPhoneカメラに組み込むことができれば、ARが抱える普及への最大の課題の1つを乗り越えることになる。それにより、デベロッパーのエコシステムを開拓し、最終的にARメガネが利用可能になるまでに、ユーザーにとってARが普通のものとなるように慣れさせることができるだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

「サポートチームのためのOS」提供を目指すAssembledが3.2億万円調達

顧客管理などに使われるCRM(Customer Relationship Management)ソフトウェアは、企業のIT支出全体の4分の1を占めている。しかし皮肉なことに、外部からの問い合わせや外向けのマーケティング活動の管理に対して、SalesforceやSAPのようなプラットフォームに多くの費用が支払われている一方で、そうしたソフトウェアを利用するチームがよりよい仕事をするためには、どうすればよいかという点に多くの注意が払われては来なかった。

通話のピーク時間はいつなのか?最も一般的な質問は何なのか?どのスタッフがどのような質問に最も精通しているのか?そして、ある時点で実際に働いているのは誰か?こうしたことは課題の一部に過ぎないが、多くの場合、こうした課題の支援に使われるツールはほとんど存在していない。各組織はこうした場合、単にGoogleスプレッドシートやカレンダーアプリのようなプラットフォームを無理やり使うか、何もしないままになりがちだ。

米国時間3月11日、Assembledという名のスタートアップがこうしたギャップを埋めるためにステルスモードから姿を表した。その提供するプラットフォームは、カスタマーサポートチームが遭遇し(そして良い回答を行えた)質問や課題に特にアプローチするように構築され、チームがよりよく働けるようにするものだ。

Assembledはまず、設立チームがこれまで勤務していたStripeが主導するシードファンディングから310万ドル(約3億2000万円)の資金を得たことを公表した。この調達にはほかに、Basis Set Ventures、Signalfire、および複数のエンジェル投資家(主にStripeの元従業員たち)も参加している。Assembledの長期的な目標は、共同創業者のRyan Wang(ライアン・ワング)氏が「カスタマーサポートのためのロジスティクス」と表現するツールを構築することだ。

「サポートチームのためのオペレーティングシステムになりたいのです」と彼は言う。同社の直近の焦点は、カスターサポート担当者のパフォーマンスに当てられることになる。「チームは、トップパフォーマーとその時間の使い方について学び、その意思決定力を強化するためのデータを共有したいと考えているのです」と続ける。

現在350億ドル(約3兆6000億円)と評価されている、支払いならびに関連サービスプロバイダーのStripeは、その関心領域に隣接するスタートアップやその他の小規模ビジネスとの間に関係を築く中で、スタートアップに資金提供を行う大規模な事業を展開してきてきた。その意味で、StripeはAssembledにとっての戦略的投資家の1つと考えることができる。Grammarly、Gofundme、Hopper、そしてHarry’sと並んで、StripeはAssembledの有力顧客の1つなのだ。

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兄弟であるJohn Wang(ジョン・ワング)氏と、AssembledのCEOになったBrian Sze(ブライアン・ジー)氏(どちらも元Stripe)らと、共同創業を行った元Stripeのエンジニアであるライアン・ワング氏は、とあるインタビューの中で、今回のスタートアップのアイデアは、Stripeの初期メンバーであった彼らの経験から直接得られたものだと語っている。

Stripeの初期段階でのアプローチは、極めて草の根的なものだった。従業員たちはオフィスの外で集まり、サポートチケットのレビューを行って、傾向を見定め、何を修正すればよいかを見出し、将来的に課題をどのように扱って行けばよいかなどを話し合っていた。

このやりかたはおそらく、顧客が必要としているものをチームが理解するために最適な方法だったのだ。だが、最終的にはこのアプローチには問題があった。こうしたやりかたをどのようにスケーリングすれば良いのだろうか?技術者にとっては、目指す解決方法は明らかだ。それを行うために役立つプラットフォームを開発するということである。

「CRMという世界の中で、カスタマーサポートをサポートするというビジネスに、技術が実際は適用されていなかったことに気が付きました」とワング氏は言う。「それが私たちがStripeを去った理由です。私たちはそれが、適用範囲の広い問題であることを理解していたのです」。

カスタマーサポートチームの従業員管理を改善するためのツールを作成することは、既に独自の自家製ソリューションを通じてこれらの問題に対処しようとしている企業にとっては、難しいことではない。ワング氏は、現在の顧客の1つがそうしたデータの膨大なマップをGoogleスプレッドシート上に構築して、カスタマーサポート従業員の管理にアプローチしようとしていたと明かす。しかし結局「彼らはそのGoogleスプレッドシートを壊してしまったんですよ。とにかく大きすぎたんです」と語った。

実際、Stripeの運営責任者であるBob van Winden(ボブ・バン・ウィンデン)氏は次のように述べている。「数え切れない数のビジネスが、常時Stripeに依存しています。それらをサポートするために、無料の24時間年中無休の電話およびチャットサポートを含む、高速で信頼性の高いカスタマーサービスを提供するための、細部にこだわっています。このことが私たちをAssembledへと向かわせました。これを使うことによって、私たちのグローバルサポートチームは、Stripeユーザーの成長を支援するための体制を整え、集中することができているのです」。

企業がこうした問題を一度も意識したことがなかったり、またはそれらを知ってはいるものの、解決は難しすぎると思っているために努力をしていなかったりする場合は、ユースケースはそれほど明白ではない。(ここでの古典的な問題は、Assembledが「あまりにも賢すぎる」、あるいは「時代よりも先行しすぎている」ことだ)。それは、Assembledにとっては、オープンな市場であると同時に、未踏領域への挑戦でもあるのだ。

顧客に対するアプローチの1つは、より確立されたCRMパッケージと統合することだ。現在Assembledは、Salesforce、Kustomer、Zendeskと統合されていて、これらのデータを吸い出し、より多くの洞察をユーザーに提供することができる。

また別のアプローチは、企業運営を改善するために使うことのできる、分析およびデータベースからの知見の、幅広い傾向を知ることができる一連のツールを提供することだ。実際、インバウンドリクエストの狭い範囲に焦点を合わせていたCRMの常識を、Kustomerが覆したように、カスタマーサポート担当者が何をいつ行うべきかを把握するためのデータを解析する方法を、Assembledは再検討している。

スタートアップのプラットフォームは、インバウンドサポートの問い合わせ量を予測し、それをチャット、メール、電話、ソーシャルメディアなどの複数のチャネルでカバーする人員配置計画にマッピングする手段を提供する。その人員配置計画はまた、グループや個々人のカレンダーを設定するために用いられる。

一方、チームのアクティビティは、チーム全体が確認し作業をより良く調整するために使用できる一連の計測指標によって追跡される。

この先、Assembledが複数の異なる方向に展開していくことが想像できるだろう。1つは、カスタマーサポートに限ることなく、より多くのチームに従業員管理手段を提供することかもしれない、だがインバウンドリクエストを管理し、より効率的な作業計画に変換する方法も生み出していかなければならない。また別の方向は、「顧客」が実際に誰であるかに応じて、顧客サポートが異なることを意味する現実に対応するために、顧客サポートチームの機能を補完するツールの種類を拡大し続けることだ。

「私たちは『カスタマーサポート』という用語が進化していると考えています」とワング氏は語る。「大きな悩みは、その代わりとなる包括的用語がどうあるべきかということです。一般的に言うなら、私たちの望みは、カスタマーサポートの意味を変え、より向上させたいというものです。それはコールセンターだけに限られたことではなく、カスタマーエクスペリエンスを向上させるための、製品に関するあらゆる要素を含むものです」。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:sako)

新型コロナ対策でTwitterは全世界の全従業員に在宅勤務を義務化へ

今月はじめに、在宅勤務を「強く奨励する」という声明を出したTwitterは、米国時間3月11日に「新型コロナウイルス(COVID-19)の懸念のため世界中の全社員に在宅を必須とする」と発表した。発表の中で同社は「これが前例のない措置であることは承知しているが、今は前例のないときである」と説明している。

米国時間3月11日、世界保健機構は公式に新型コロナウイルスをパンデミックと宣言した。現在の報告されている患者数は114か国に約11万8000人である。世界の死者数は4000人を超えている。

Twitterは「時間給労働者や契約社員も含めて全社員のホームオフィスセットアップ費用を負担する」ことも明らかにしている。在宅勤務ができない契約社員や業者、および時間給労働者は、在宅勤務のポリシーが有効である間、標準の労働時間に対して今後も賃金が支払われる。また新型コロナウイルスのために通常のデイケアが閉まった場合、親のデイケア費用が増えるぶんをTwitterが負担する。

同社のInclusion and Diversityチームは、社員サポートプログラム「#FlockTalk」により、新型コロナウイルスに関するニュースのさまざまな影響について議論している。話題は学校やオフィスの閉鎖、健康に関する深刻な心配、コミュニティに対する人種差別などさまざまだ。

3月2日に同社は在宅勤務を強く奨励すると発表し、特に香港と日本と韓国では政府の規制もあり在宅を必須とした。そして本日の発表ではその方針を全世界に適用し「最上位のプライオリティはツイープ(Twitterユーザー)の健康である。コミュニティと弱者と、このパンデミックの最前線にいる保健医療関係者を支援する責任もある」と述べた。

AmazonやBox、Lyftなどのテクノロジー大手は、新型コロナウイルスに対応して在宅勤務を勧奨したりポリシーにしたりしている。MWCやE3などのビッグイベントは、中止または部分的にオンライン化された。

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(翻訳:iwatan、a.k.a. hiwa

台北のTNLメディアグループが広告テックスタートアップのAd2ictionを買収

台北の報道メディア企業のTNLメディアグループが、モバイル広告テクノロジーのスタートアップでデジタル広告とデータ分析を手がけるAd2ictionを買収したと発表した。Ad2ictionは映画サイトのAgent Movieなどのバーティカルも運営しているが、これらのブランドはTNLメディアグループに買収された後も独立して継続される。

Ad2ictionは現在、Ad2 CMP(クリエイティブ・マネジメント・プラットフォーム)というクラウドベースのプラットフォームを約500社に提供している。このプラットフォームでは、ディスプレイとモバイルデバイスに関する行動分析やデジタルコンテンツ制作を支援している。

2013年にニュースサイトのThe News Lensを開設してから、TNLメディアグループは一連の提携や買収によって拡大してきた。現在は、ライフスタイル、スポーツ、テクノロジー、ビデオのコンテンツに特化したブランドを有している。例えば2018年には台湾のテックニュースサイトのINSIDEとスポーツサイトのSportsvisionを買収した。台湾、香港、東南アジアに住むユーザー向けに中国語のコンテンツを制作しているが、世界の読者に向けて英語の記事も配信している。

TNLメディアグループは最近、TNLRというマーケットリサーチ部門も設立した。「R」はリサーチの頭文字だ。この部門では、ユーザーベースから得たデータを分析し、Dell、Uber、Fordなどの顧客にレポートを提供している。

報道発表の中でTNLメディアグループ創業者のJoey Chung(ジョイ・チャン)氏は「両社は、これが戦略的パートナーシップの理想的なタイミングであると確信している。双方の強みを生かして、これまで以上の規模で最高のコンテンツプラットフォームを構築しプロダクトを多角化できる。Ad2ictionの卓越したモバイル広告テックプロダクトを新規顧客や海外マーケットに拡大し、国際的な中国語市場に対して最高のコンテンツとテクノロジーサービスのプラットフォームを展開していくことを楽しみにしている」と述べた。

画像:Ad2ictionのチーム

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(翻訳:Kaori Koyama)