上院議員4名がTwitterにイラン指導者の利用禁止を強要

共和党でテキサス州選出のTed Cruz(テッド・クルーズ)氏をはじめとする上院議員4名は、イランに対する制裁の一環として、Twitterはハーメネイー師を始めとする同国指導者へのサービス提供を中止すべきであると強く主張した。「ハーメネイー師は米国権利章典による言論の自由を謳歌している」と同議員はTwitter宛てのレターに書いた。

この動きはイランと米国の間で起きた一連の暴力的事件に続くかつてない緊張状態に関連しているものだが、同時に連邦規制の束縛に抵抗してきた各IT企業に対して行政権を執行しようとする試みでもある。

Twitterおよびカリフォルニア州北地区司法長官らに送ったレター(PDFで、上院議員らはこの要求の正当性を説明した。オバマ政権は2014年に輸出規則の例外として、無料メッセージングおよびソーシャルメデア的サービスをイラン国民に提供することを認めるための規則を制定した。その背景には、Twitterを始めとする多くの同種のサービスがイランではほとんど禁止されていたが、表現の自由とコミュニケーションのためのツールを同国民に提供することに問題はなかろうという考えがあった。

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しかし、例外は例外に対してすら存在し、今回それがTwitterに適用されるとクルーズ議員らは主張している。具体的には、イランへの追加制裁を課した6月の大統領命令の後、ハーメネイー師およびジャヴァード・ザリーフ外相は、それまであった法による保護を失った。

「あなた自身やTwitterも含めてすべての米国人は『彼らに対していかなる便益も与えてはならない』」とレターにかかれている。「憲法修正第一項は米国人の言論の自由を保護しているが、ハーメネイー師および彼に支援を提供するあらゆる米国企業は、全面的に米国法の刑罰の対象になる」。

輸出入法の専門家ではない私には、この主張の効果を判断することはできないが、表面上は理にかなっていると思う。しかしこれは、連邦政府がブラックリストに載せた人物にTwitterが「サービスを提供」できる、できないの問題ではなかかもしれない。

Twitterが同社のプラットフォームの利用を他者に提供するかどうかの選択は、それ自体が言論の自由で保障されているという議論もある。

つまるところホワイトハウスは、渡航禁止対象の国々の指導者をブラックリストに載せる大統領命令を、ごく簡単に発行してきた。それはあってもよいことなのか?それは政府から見た法的身分によらず世界中の誰に対してでも、米国企業が言論の自由のための自社プラットフォームを拡大できる権利なのか?

クルーズ氏と共和党でテネシー州選出のMarsha Blackburn(マーシャ・ブラックバーン)氏、共和党でアリゾナ州選出のTom Cotton(トム・コットン)氏、共和党でニュージャージー州選出の(マルコ・ルビオ)氏の各上院議員の考えはそうではないようだ。

Twitterはコメントを拒んだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ニュース記事の栄養成分表示で偽情報と戦うOur.News

Our.News(アワーニューズ)というスタートアップは、ユーザーをニュースの消費者として賢くするための努力を続けている。言い換えれば同社は、まったく手に負えない、ある大きな問題に立ち向かっている。そのひとつが、インターネット上に蔓延する膨大な量の偽情報だ。Our.Newsの創設者でCEOのRichard Zack(リチャード・ザック)氏は「悲しいことに、それが真実かどうかを故意にわかりづらくする人たちが世界には無数にいます」と話す。

同時に、メディアを信じない人や、ファクトチェッカーを信じない人(さらに、真実では考え方が変わらない人)も大勢いる。これらすべてが、何を信じるべきかを誰も知らない、または自分の信念を後押ししてくれる話だけを単純に信じる人たちばかりの環境に積み上がっている。

「人々に真実を告げても、偽情報と戦うことはできません。信じてもらえないからです」とザック氏。ではどうしたらいいのか?そのひとつが「ニュースの栄養成分表示」だと彼は言う。「良いか悪いかを示すものではなく、買うべきか止めるべきかを指示するものでもありません。その判断は消費者の自由です」。

ある意味このアプローチは、インターネット上の情報源を格付けするNewsGuardと似ている。実際、ザック氏も「私たちはNewsGuardと彼らのやり方を真剣に支持しています」と話している。だが彼は、パブリッシャーの評価が十分でないと指摘する。そこでOur.Newsは、個々の記事のラベル付けを開始したのだ。彼はそれを、どちらもグラハム・ミルズが製造するシリアルであることを知るに足る情報がない中で「ラッキーチャームかチェリオかで迷う」ようなものだと例えた。

別の言い方をすれば、パブリッシャーの話を鵜呑みにしないほうがいいということだ。超一流のメディアでも間違いはある。なので、彼らが何を主張しているのかを理解し、その情報源と、その主張が独立したファクトチェッカーの審査を受けたか否かを知っておくべきだ。

この記事は私たちのデータベースにインデックスされていません、追加しますか?

Our.Newsのラベルは、FirefoxかChromeの拡張機能、またはiOSで使える。このラベルには、Freedom Forumによるパブリッシャーの説明、AllSidesによる偏向評価、記事の情報源、著者、編集者に関する情報、PolitiFact、Snopes、FactCheck.orgなどの情報源によるファクトチェック情報、「クリックベイト」や「風刺」などの分類、ユーザーの評価とレビューといった情報が含まれる。

Our.Newsでは、1日におよそ5000件のラベルを作成し、今日までに60万件にのぼったと話している。もちろん、我々が読む記事にこのラベルが付いてないことのほうが多いが、そんなときでも、Our.Newsはパブリッシャー情報だけでも提示してくれることがある。また、ボタンをクリックしてその記事を彼らのシステムに追加することもできる。

「私たちはあえて、(記事に関する)客観的な事実と主観的な観点を混合しました」とザック氏。「それが解決策だと考えたのです。[中略]主観ばかりでは単なる人気投票になってしまう。客観性だけでは、誰が真実と判断するのか? となります。この2つを私たちは混在させ、すべてを栄養成分表示ラベルに凝縮したのです。それにより、ニュースの消費者は、より早く自身の判断ができるようになります」。

彼はまた、ユーザーによってこのラベルの扱い方が異なることに気がついた。たとえば、それでもファクトチェッカーは信用できないという人もいるが、パブリッシャーに、通常のコメント欄よりも体系化された形で意見を伝える方法を提供するという価値はあると、ザック氏は主張している。

また、ユーザーによる評価は、評価した人のラベルへの関与度に基づいて比重が変わるという。パブリッシャーの情報、情報源、ファクトチェックを読み飛ばした人による評価は、それらすべての情報を慎重に考慮した人の評価よりも価値は低めになる。

こうした現在の消費者向けの情報配信に加え、Our.Newsは、パブリッシャーやその他の業者がラベルを組み込めるサービスも開始した。ザック氏によるとこれは「ニュースパブリッシャー、コンテンツ収集サイト、ソーシャルネットワーク、記事を公開してるあらゆる組織」が利用できるという(これが同社の収入源にもなる)。

彼らの願いは、Our.Newsのパートナーたちがこのラベルを使うことで、読者がコンテンツをもっと楽に信頼できるようになり、そうした読者からの意見が集めやすくなることだ。ある程度のカスタマイズが可能だが、パブリッシャーはラベルの実際の内容を変更することはできないとザック氏は念を押していた。

関連記事:Facebookのファクトチェッカーは精を出す(未訳)

画像クレジット:Jon S Flickr under a CC BY 2.0 license

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(翻訳:金井哲夫)

AI搭載IP電話「MiiTel」開発のRevCommがカラダノートと提携、ノウハウを可視化して子育てママとのエンゲージメント強化へ

IP電話を利用した営業支援サービス「MiiTel」(ミーテル)を開発・提供するRevCommと、さまざまな子育て支援サービスを展開しているカラダノートは2月10日、2月1日付けでパートナーシップ契約を締結したことを明らかにした。カラダノートのクライアントである妊娠育児層向け事業会社での架電オペレーションにMiiTelを導入し、生産性向上に取り組む。

RevCommは、2019年にTechCrunch Japanが開催したテクノロジーとスタートアップのイベント「TechCrunch Tokyo 2019」の「スタートアップバトル」で最優秀賞に輝いた企業。2019年のスタートアップバトルは、過去最多の120社超から選抜された20社がファーストラウンドに登壇、その20社からさらに選抜された6社がファイナルラウンドに進んで最優秀賞をかけて戦ったピッチイベントだ。ちなみに同社は、TechCrunch Tokyo 2019だけでなく、2019年にはさまざまなイベントで賞を獲得し、サービスの知名度や契約者数を向上させてきた。

カラダノートは、提供中のアプリで合計で約55万MAU(月間アクティブユーザー)、新規で毎月3万人以上の接触可能ユーザーを獲得しており、既存ユーザーを含む登録ユーザーに向けて、前述の提携クライアントが電話や訪問などで販促活動を進めていた。しかし、その内容はこれまで共有されてこなかったそうだ。

写真に向かって左から、RevCommで代表取締役を務める會田武史氏、同社広報の藤村侑加氏、カラダノート事業企画室で室長を務める松枝愛子氏、同社代表取締役の佐藤竜也氏

カラダノートの事業企画室で室長を務める松枝愛子氏によると「各社とも独自の営業ノウハウをお持ちですが、すべてのノウハウがカラダノートのユーザー層にマッチするわけではありません。実際に、子育て中や子育て経験のある女性が多い営業部署ではアポ取得率が高く、男性中心の営業部署では低いというケースもありました」と語る。

とはいえ、子育て経験者だけを集めた営業部署は簡単に作れないので、経験者の知見を効率よく共有するために今回のパートナーシップ締結に至ったそうだ。すでに2月からカラダノートのクライアントの電話営業にはMiiTelが導入されており、オペレーターの応対を可視化している。MiiTelで取得・解析したデータはカラダノートにも共有され、子育て支援についてさまざまな知見を持つ同社がクライアントの電話営業の運用を支援していくという。

「提携クライアントからの突然の電話に戸惑うユーザーさんもいることから、当初は各種サポートや電話営業を担当する部署を社内に新設するという考えもありました。しかし、さまざまな営業ノウハウを持っているクライアント各社の営業部署にMiiTelを導入し、そのデータを可視化・共有したほうがより効率的だという結論に至りました。子育て経験がない営業担当者が理解することが難しい子育て家庭の環境や悩みなどを、カラダノート側でサポートする体制を整えていきます」と松枝氏。営業電話は押し売りと感じるユーザーも多いが、「カラダノートでは保険商品をいきなり売り込むのではなく、悩みを解き明かすヒアリングスキルをMiiTelで可視化・向上させ、まずは子育てでさまざまな不安を抱え、孤独になりがちなユーザーとのエンゲージメント強化を図りたい」と続ける。

RevCommが開発・提供しているMiiTelとは、音声解析AIを搭載したIP電話で、会話の速度や声の高さ、抑揚の強さなどの解析のほか、音声認識によって通話内容をテキスト化し、キーワードで分類できるのが特徴。営業電話を終えたあと、解析されたデータをオペレーター自身が参照することで、セルフコーチングに役立つほか、これまでブラックボックス状態だった各オペレーターの営業手法などを手軽に共有できるようになる。すでに契約者は3000ユーザーを超えており、主にBtoBインサイドセールスで活用されているという。業界としては、保険、不動産などが多いそうだ。

RevCommで代表取締役を務める會田武史氏は「MiiTelの導入で働く女性を支援したい」と語る。「通話の解析はもちろんですが、いつ誰が誰と何を話したかをMiiTelがすべて記録してくれるので、在宅勤務でもあってもオフィスと同じように仕事ができる」ことを強調。會田氏は以前から「女性が活躍できる場所を作りたい」という想いがあり、今回のカラダノートとの提携により、まさに同氏の想いが現実になった。

Facebookの共同創業者が立ち上げた投資ファンドB Capitalが急成長

2015年にFacebookの共同創業者であるEduardo Saverin(エドゥアルド・サベリン)氏とラジ・ガングーリ氏が創業したB Capital Group(旧称Bain Capital)は、コンサルティング業界の巨人のBoston Consulting Group(BCG)の支援を受けつつ、クローズした3億6000万ドル(約395億円)の1号ファンド以来、静かにビジネスの拡大を続けている。

すでに50人を雇用し、4億1000万ドル(約450億円)の2号ファンドの投資を行っている同ファンドは、さらに大きな資金調達を行うと私たちは伝え聞いている。新たにジェネラルパートナーとして加わったのは、以前MicrosoftのコーポレートベンチャーグループであるM12のマネージングディレクターを務めていたRashmi Gopinath(ラシュミ・ゴピナ)氏だ。

エンタープライズテクノロジー、特にクラウドインフラストラクチャ、サイバーセキュリティ、そしてDevOpsを専門とするゴピナ氏は、サベリン氏、ガングーリ氏、Kabir Narang(カビル・ナラン)氏(Eight Roads Ventures Indiaからやって来たフィンテックを専門とする人物)、そしてKaren Page(カレン・ペイジ)氏(昨年B Capitalに参加する前は、10年近いBoxと1年間のAppleの経験を持つ)に続く5番目のジェネラル・パートナーとして参加した。

同社は他に、COO、CFO、およびロスアンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨーク、そしてシンガポールの4つのオフィスで世界中の取引を精査する15人の投資家も抱えている。実際、そちらのグループにも別の新規採用者がいる。Primary Venture Partnersから参加したばかりのプリンシパルであるCrissy Costa(クリッシー・コスタ)氏だ。

米国時間2月6日、私たちはガングーリ氏に会い、この成長を続ける組織について、現在注力している分野も含めて、より詳しい話を聞いた。彼は会社が現在資金調達を行っているか否かに関してのコメントは拒否したが、その他の活動に関しては、少しだけ内容をほのめかした。

私たちが知ったことの一部は、BCGがB Capitalにどれだけしっかりと織り込まれているかということだ。BCGは、最大の外部リミテッドパートナーであるだけでなく(パートナーたち自身は会社の最大の投資家だ)、両社は強力な戦略的パートナーシップを結んでいる。

ガングーリ氏が説明するように、「(B Capitalが投資する)企業はリソースとネットワークを提供してくれるBCGパートナーにアクセスできるようになる」ことで、見かけ上大きなパートナーシップやその他の取引へと結びつく。またB Capitalは、例えば大手製薬会社などのBCGの顧客が、何を欠いていて何を持っているかを内部的に把握することで、それに応じてスタートアップに投資することができる。

AIを使用して患者に対するより効果的な癌治療を予測するNotable Labsへの投資は、一部はこうした経緯から生まれたものだ (Notable Labsは、昨年B Capitalが共同で主導したシリーズBで、4000万ドル(約44億円)を調達した)。さらに広く見れば、デジタルヘルス領域は、B Capitalが業界について学んだ結果から、同社の主要な集中領域の1つになった。

それ以外の関心領域としては、B Capitalは現在フィンテックにも強い焦点を当てている。「大銀行が十分にサービスを提供していない領域だと私たちが考える、小規模なビジネスを中心にしています」とガングーリ氏は語る(彼の説明によれば、B Capitalは他のファンドに投資するのではなく、アメリカ、インド、そしてインドネシアの関連した領域で、彼らを助けることのできるテクノロジーに投資している)。

同社はまた、B Capitalのサンフランシスコオフィスを共同して統率しているゴピナ氏とペイジ氏が、ほとんどの時間を割いている水平展開できる企業向けソフトウェアもお気に入りだ。実際、同社は最初のサイバーセキュリティ投資のクロージングを行っている最中であり、ガングーリ氏はさらなるクロージングがあることも示唆した。

これは記しておく価値があるだろう:B Capitalの最初の2つのファンドは今日の基準から見ればそれほど大きくはないが、彼らはB、C、Dステージのスタートアップに1000万ドル(約10億円)から4500万ドル(約49億円)の小切手を渡す後期投資に焦点を当てている。こうした企業のほとんどは、B Capitalの候補になった時点での年間収益が1000万ドルから5000万ドルの間の企業であり、またほとんどが海外展開を行うビジネスであるか、そうなりたいと熱望する企業たちだ。

ガングーリ氏は、カリフォルニア州サンマテオにあり、健康アプリの医学的検証を提供している創業8年の会社Evidation Healthの名前を挙げ、そのBおよびCラウンドにB Capitalが関与していると語った。Evidation Healthは最近シンガポールへの進出を発表したが、その動きは裏でB Capitalによって支えられている。

ガングーリ氏によれば、同社は投資先を「テーマ優先で選定する」ために、「地理的には定まっていない」という。しかしチームは欧州、米国、インドに続き、南アメリカも、まだ実際の投資は行われてはいないものの、徐々に興味深い対象として見るようになっている。

同社は、LAを拠点とするスクーター会社のBirdを対象にしたり、より最近のケースではインドのスクーターと自転車の企業Bounceへ非常に大規模な投資を行ったりしたように、異なる地域での似通った企業を支援する。ガングーリ氏は、B Capitalはこの分野を愛しているのだと語る。「スクーター事業の利益性はカーシェアリング事業よりも優れていると考えています。そしてある意味投資家の意欲は減退気味なのですが、私たちは単体としての経済性は非常に良好な分野だと考えています」。

将来BirdとBounceの間に生じる可能性のある利益相反に関しては、ガングーリ氏は心配していないと言う。「カーシェアリングがどのように進化したかを眺めてみると、勝者はローカル市場をよく理解している者たちなのです」。彼は、インドにおけるスクーターのユースケースは、米国とは非常に異なっていると指摘する「利用者はスクーターをはるかに長い距離で利用しますが、それこそが、彼らがビジネスを遂行し運営するための主要なメカニズムなのです。彼らの仕事はこれらのスクーターなしでは上手くいきません。こうした事情は先進地域とは大きく異なっているのです」。

B Capitalのこれまでの最大の投資たちは、様々な場所に分散している、例えばシアトルを拠点とする創業11年の契約ライフサイクル管理ソフトウェア会社のIcertisから、カリフォルニアのEvidation、そしてシンガポールに拠点を置くeコマース企業向けの翌日配達を専門とする創業6年のNinja Vanなどだ。

「(私たちのすべてのポートフォリオ企業に対して)私たちが、本当に最大限注力していることは、初期の顧客との高い再契約率です」とガングーリ氏は語る。「多くの人は、総ユーザーベースを急速に成長させる会社の能力に集中していると思います。しかし、(特に)企業投資においては、ただ使い続けていただけるだけでなく、年々支出を増やしていただけるような顧客の方にお会いしたいのです」。

B Capitalは「常にエンタープライズとビジネス向けのテクノロジーに焦点を合わせてきました」と、彼は付け加えた。「そこがこれから20年で最大のチャンスが生まれる場所だと考えているのです」。

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(翻訳:sako)

米トランプ大統領はNASAの2021年度予算を約3300億円増額提案へ

米国のドナルド・トランプ大統領は、会計年度の2021年に、NASAの予算として256億ドル(約2兆8000億円)を要求するつもりであると、米国時間2月7日にWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)が報じた。これはNASAの会計年度2020年の予算の226億ドルよりも30億ドル(約3300億円)近い増額となる。この増えた資金の大部分は、新たな有人月面着陸船の開発に充てられると言われる。

これは、この数十年間にNASAの予算について提案された最大の増額となるもの。そして、米国時間2月4日の一般教書演説で表明された、NASAの活動に対するトランプ大統領の新たなコミットメントを反映したものと考えられる。トランプ氏は議会に対して、「アルテミスプログラムに十分な資金を注ぎ込んで、月に到達する次の男性と最初の女性が、アメリカ人の宇宙飛行士になることを確実にする」ことを求めた。

NASAの長官、ジム・ブリデンスティーン(Jim Bridenstine)氏は、2024年までに最初のアメリカ人女性と次のアメリカ人男性を月面に派遣する、という目標を頻繁に繰り返してきた。これは現状のアルテミス(Artemis)計画に沿った目標だ。ブリデンスティーン氏は以前に、2024年までに再び月に到着するのにかかる費用を、200億から300億ドル(約22000億円〜33000億円)の間と見積もっていると表明していた。しかし長官は昨年の暮に、下院歳出小委員会によって、NASAの会見年度2020年の最終段階での16億ドル(約1750億円)の追加予算の要求について糾弾されていた。

WSJはまた、2021年の予算計画の一環として、NASAは月着陸船への入札を募るつもりだと報告している。これは以前の、アルテミス計画用の打ち上げ機に対しての取り組みと同様のもの。NASAは、すでに認定されたベンダーリストにある多くの商業パートナーと協力して、ロボットの無人月着陸船ミッションに取り組んでいる。2021年から、月面に実験装置や物資を届けるためのものだ。

NASAは、アルテミス計画用の有人着陸システムに関して、業界からコメントを募るため、昨年7月に広く告知している。また続く8月にはそれを改定し、20199月には公式な提案の要請を公開した。NASAの宇宙飛行士を乗せる有人着陸船については、2社が選ばれることになっている。NASAによれば、2024年の着陸に向けて1社が着陸機を完成させている間に、もう1社は2025年のミッションの準備をする。そうした賞を競い合う会社としては、ボーイングのような伝統的な会社だけでなく、SpaceXやBlue Originなど、新規参入の会社も含まれているという。

トランプ政権としては米国時間2月10日に予算を提出する予定となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ホワイトハウスが2021年にAI研究予算を倍増、2年間で約2200億円に

ホワイトハウスが人工知能研究資金として10億ドル(約1100億円)増額するべく動いており、予算はほぼ2倍になる。ロイターが27、予算案について説明を受けた関係者の話として報じた。金額には国防省の予算は含まれない。量子コンピューティングへの投資も大幅に増額される見込みだ。

2021年の予算案では、今後2年間でAIの研究開発資金を約20億ドル(約2200億円)に、量子コンピューティングは約86000万ドル(約950億円)に増額するとのことだ。

米国は、AI分野で中国との「レース」を争っているが、ほとんどのレースと違い、このレースには実際のゴールはない。ただ、十分にリードできれば、ビジネスや軍事用途での機会が生まれ、Google(グーグル)やFacebook(フェイスブック)のような次の世界的な独占企業に成長する可能性がある。そうした独占企業は、国家に準ずる存在として、自身の目的のためにこの分野に大きく投資する。

単純に予算を2倍にしても、誰もがその規模の予算を持てるなら、先頭を走るための魔法の弾丸にならない。もちろんAIを新しい分野に展開するのにコストがかからないわけではなく、補助金やもっと直接的な資金供給が実行されれば、確実により広く応用される。機械学習が非常に幅広い目的に役立つことは明らかなため、当然多くの研究者や研究所にとっての次の一歩になるが、専門知識や処理能力を備えるには資金が必要だ。

資金がどう供給されるかははっきりしない。このトピックを念頭に置いて連邦中小企業革新研究報奨金のような既存のプログラムを拡張するか、国立研究所のような研究センターへの直接的な資金供給を増やすこともできる。

量子コンピューティング関連分野の研究も同様に金がかかる。Googleが秋に達成した、あるいはそう主張している「量子超越性」という一つの節目はこの分野の科学の始まりに過ぎず、関連するハードウェアもソフトウェアも先例のようなものはまだ多くない。

さらに、現在および近い将来の量子コンピューターに使えるアプリケーションはまだほとんどないため、この分野で何かを追求することは、投資とは言っても最も楽観的な意味になる。ただし、既存の制度を介した政府からの資金提供や助成金は、まさにこの種の研究のリスクを軽減する意図がある。

NASAの予算もアルテミス計画におけるさまざまな試みを加速および強化するために大幅増加が予想される。ただ、資金がどのように調達、再配分されるかは、現状明らかではない。

画像クレジット: DrAfter123 / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

Uberは昨年インドで週1400万回、業界トップの乗車を提供

Uberは、同社の主要海外マーケットにおいて支柱的な存在であるインドで昨年、1週間あたり1400万回の乗車を提供し、これは業界トップだったと明らかにした。

Uberは多くの地域で配車サービスを展開しているが、なかでもインドマーケットにおいてシェア50%超を占め、この業界のリーダーだった、と2月6日の四半期決算発表の際に公開されたレポート(PDF)に書かれている。

公開企業である同社は、この主張を裏付けるための内部評価も示した。比較材料として「2018年のインドでの1週間あたりの乗車提供は1100万回だった」とUberの広報はTechCrunchに対し語った。

こうした情報開示はかなり興味深い。というのも、Uberもその主要ライバル企業であるOlaもインドで提供している乗車の回数について明言を避けてきたからだ。

2018年にブログへの投稿で、Olaは同社のプラットフォームが毎日200万人超の移動を支えていると明らかにした。ソフトバンクから出資を受けているUber同様に、Olaの広報は新たな数字を明らかにするのは却下したが、自らをインドにおいて「最大のモビリティプラットフォーム」だとする声明文を出した。

「インド最大のモビリティプラットフォームとして、Olaは二輪、三輪、四輪車を含むあらゆる車両のドライバー250万人のネットワークを通じて顧客2億人超にサービスを提供している」と広報は語った。同社はインド国内250の市町村でサービスを展開している。

先月Uberはフードデリバリー事業のUber Eatsのインド事業をライバルの地元企業Zomatoに約1億8000万ドル(約198億円)で売却した。これにより基幹事業の配車サービスにこれまでに以上に注力できるはずだ。

Uberの広報は「現在200市町村でサービスを提供しているが、この数を年末までに50増やす計画だ」とTechCrunchに話した。「そうした自治体では二輪車と三輪車にフォーカスする」とも述べた。

Uberのインドにおけるエリア拡大は、Uberの主要なテリトリーマーケットにOlaが参入するのと相前後する。Olaは先週、2月10日からロンドンでサービスを開始すると発表した。

画像クレジット:Himanshu Bhatt / NurPhoto / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

FacebookがGPS以上の位置情報精度技術を持つの英国スタートアップを買収

英国ロンドン拠点のコンピュータービジョンスタートアップであるScape Technologies(スケープテクノロジーズ)は、GPS以上の位置情報の精度をもつ技術の開発に取り組んでいる。当局への書類によると同社はFacebook(フェイスブック)に買収された。

会社登記所の情報更新で、FacebookがScape Technologiesの過半数株(75%以上)を保有していることが明らかになったが、買収の条件などは不明だ。ただ、提出された他の書類を見ると、買収額は4000万ドル(約44億円)ほどのようだ。

また別の書類では、ベンチャーキャピタルの代表がScapeの役員を辞任し、代わりにFacebookから2人が役員会に加わったことが明らかになった。Scapeの投資家には、Entrepreneur First(EF)、 LocalGlobe、Mosaic Ventures、Fly Venturesが名を連ねていた。このように、Bloomsbury AIがソーシャルネットワーク巨大企業のFacebookに主に従業員獲得目的で買収されたときに、EFとFly Venturesは共同離脱していたというのは特筆すべきだろう。

2017年創業のScape Technologiesは、コンピュータービジョンに基づく「ビジュアル・ポジショニング・サービス」の開発を手がけていた。この技術では、デベロッパーがGPS単体以上の精度の位置情報を必要とするアプリを開発することができる。

当初は拡張現実のアプリをターゲットにしていたが、モビリティやロジスティック、ロボティクスのアプリケーションをパワーアップするのに使える可能性を秘めていた。さらに範囲を広げ、Scapeはカメラを搭載するあらゆるマシーンが周囲を認識できるようにしたいと考えていた。

ScapeのCEOで共同創業者のEdward Miller(エドワード・ミラー)氏は以前、同社の「Vision Engine」(ビジョンエンジン)を通常の画像やビデオから3Dマップを作る大規模なマッピングパイプラインと表現していた。カメラを通じて、同社のビジュアルポジショニングサービスのAPIを使ったVision Engineに、GPSが提供している以上の精度の位置情報を把握させることができる。同サービスはScapeのSDKを通じて一部のデベロッパーに提供されている。

買収がどのような形態であれ、VRやARを含む次世代プラットフォームへのFacebookの投資を考えたとき、今回の買収は同社にとってぴったりくるものだったようだ。しかし同時に、米国のテック企業が英国の機械学習やAIの人材を“刈り取ろうとしている「新たな憂慮すべき例」ともいえる。

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(翻訳:Mizoguchi

非営利組織の管理に役立つフランスのAssoConnect

フランスのスタートアップAssoConnectをご紹介しよう。同社は非営利組織(フランス語でassocoation)の管理のために必要なツールを提供するSaaS(ソフトウェアとしてのサービス)アプリケーションを開発している。

この度、同社はXAngeとISAIが主導するラウンドで700万ユーロ(約8億4000万円)の資金調達を行った。Nicolas Macquin、Rodolphe Carle、MichaëlBenabou、ThibaudElzièreそしてPhil Teslerといった、多彩なビジネスエンジェルたちも、今回の資金調達ラウンドに参加している。

多くの非営利組織たちは、自分たちのような組織向けにデザインされていないツールとサービスを使っている。メンバーをExcelのスプレッドシートで管理し、会計タスクに膨大な時間を費やしているために、寄付やメンバーシップの受け入れが困難になり、本来、集められるはずのお金を集め損なっているところもある。

AssoConnect は、Webインターフェース上に複数のサービスを組み合わせている。まずAssoConnectは、メンバーに関する情報を単一のデータベースに一元化できる。これは軽いCRMとして機能し、メンバーの組織内の役割に応じて、複数のグループを作成することができる。

次に、AssoConnectはメンバーシップと寄付を直接処理する。データベースと直接やり取りするフォームを作成して、新しいユーザーが組織に参加できるようにすることができる。納税申告用フォームを自動的に生成できる寄付モジュールを作成することもできる。また、商品を販売している場合には、オンラインストアも作成することができる。

Webサイトをまだ持っていない場合には、AssoConnectのテンプレートベースのウェブサイトビルダーを使用することができる。そしてAssoConnectでイベントを作成し、Mailgunを使用してメンバーにメールを送信することもできる。

さらにAssocConnectのサービスは寄付、会費、チケット販売などに基づいて正確な会計報告書を生成する支援をしてくれる。この点が、AssoConnectを使ってすべてを一元管理することが理にかなっている理由だ。

このサービスは、メンバーが30人以下の組織に対しては無料プランを提供する。だが、それ以上のニーズがある場合には、毎月のサブスクリプション料金を支払う必要がある。一般的に、非営利組織 にはツールやサービスのための潤沢な資金がないことを考えると、AssocConnectのサービスは販売が難しいものだ。

とはいえ、同社はこれまでにフランス国内の1万もの組織を、AssoConnectに切り替えさせることに成功している。AssoConnectは次のステップとして、2020年に80人を雇用し、米国でサービスを開始したいと考えている。

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(翻訳:sako)

FacebookのTwitterアカウントが乗っ取られてハッカー集団が犯行声明

金曜日になって、書くべきものはすべて書いたという気分になれたら、レポーターという仕事も快適だ。月曜日のための準備を始めてもよいし、仕事のリストを整理するのもよい。やっとメールを読める時間があるかもしれない。

しかし、今日のような金曜日(米国時間2月7日)は人目を引くようなことが起きてしまい、コンテンツの神様が犠牲者を要求する。では、その犠牲者になってやろうじゃないか。

FacebookのTwitterやそのメッセンジャーは、ときどきOurMineと名乗るハッカー集団に攻撃される。この1月にスポーツ関連のTwitterアカウントを大量にハックした連中だから、おなじみと言えるかもしれない。

TechCrunchのバックナンバーを漁ってみると、OurMineという名前は意外に多い。たとえば2016年には、OurMineはNiantic(ナイアンティック)のCEOのTwitterアカウントをハックした。その年の終わりごろには、OurMindは複数のメディア関連のTwitterアカウントもハックしている。なんと、OurMineはTechCrunchをハックしたこともある。今、それを思い出した。

TechCrunchはFacebookに、同社Twitterへの侵害についてコメントを求めた。中身のあるコメントが得られるとは思わないが、何かあったらこの記事をアップデートしよう。Twitterは、このハックに関してごく一般的なコメントをくれた。この事変に気づいてから以降、「侵害されたアカウントをロックし、Facebookのパートナーと緊密に協力して復旧に努めている」そうだ。

では、何がポストされていたのか? TechCrunchのセキュリティの鉄人Zack Whittaker(ザック・ウィテカー)が、スクリーンショットを残していた。

上のスクリーンショットを見ると、ツイートはKhorosからポストされたようだ。Khorosは、企業がソーシャルメディアを使って顧客やユーザーと対話するためのソフトを販売している。だからおそらくKhorosも、このヒマ人たちにやられたのだ。投稿はすぐに削除された。Crunchbaseによると、Khorosはオースチンにあるが、資金調達の履歴は載ってない。

というわけで、すてきな金曜日でした。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixのいらだたしいプレビュー自動再生をオフにできる

人生いろいろなことがある。そんな中でもNetflix(ネットフリックス)の新設定による改善は、数少ない希望の1つとなってくれだろう。

トレーラーの自動再生がオプション設定となった。ニュースはそれだけだ。しかし、プレビューが自動再生されるいらだたしい時代は終わったのだ。

設定方法は以下のとおりだ。

  1. プロファイルをクリック
  2. 自分のプロファイルを選択
  3. 「すべてのデバイスで閲覧中にプレビューを自動再生する」をオフにする

設定はこれだけだ。それでは良い一日を!

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

資金調達が進まぬソフトバンクの第二ビジョンファンドの未来が見えない

複数のテクノロジー企業の複合体であるSoftBank(ソフトバンク)は、1000億ドル(約11兆円)のVision Fund(ビジョンファンド)でベンチャーキャピタル産業を変えた。しかしThe Wall Street Journalは、同社がそのパフォーマンスとテクノロジーに対する革命的な投資のアプローチを継続できないかもしれない、と危惧した記事を掲載している。

その記事によると、SoftBankは次のVision Fundで設定した目標である1080億ドル(約11兆8500億円)の半分しか調達できないのではないか、しかもその多くは日本企業それ自体から出るという。

大きな支援者であるサウジアラビアの政府系投資ファンドやアブダビのMubadala Investment Co.などは、Vision Fund IIを立ち上げようというソフトバンクの試みに尻込みしている。彼らは、それまでの投資から得られた利益を第2ファンドの原資とすべきだ、と主張している。なおサウジの政府系投資ファンドは、ジャーナリストを暗殺したとされる政権の財政安定を支えている。

その利益は、およそ100億ドル(約1兆1000億円)と言われている。

Vision Fundは鳴り物入りで派手に立ち上がり、少なからぬ投資家たちからの羨望と批判のつぶやきも受けたが、アナリストやメディアは、ソフトバンクの創業者で謎の人物である孫正義氏が調達できた資本の大きさに驚いた。しかし、Vision Fundは創業時の華々しい盛り上がりにふさわしい成果を得られていない。

コワーキング企業WeWorkへの悲惨な投資も、問題の1つだ。ソフトバンクは同社への44億ドル(約4800億円)の投資のうちほぼ35億ドル(約3800億円)を償却した。

しかし、WeWorkの災難はソフトバンクにとって氷山の一角かもしれない。同社は他のポートフォリ企業に対しても、その資本コミットメントを大幅に削減している。それらの企業は最近スタッフを減らし、そのほかの支出も減らして、テクノロジー業界全体に業界の低迷を憂える不安が広がった。

スタッフの削減は、ビジョンファンドの運営母体にも及んでいる。今週初めに同社は、最高位の管理職の1人Michael Ronen(マイケル・ローネン)氏を失った。彼はそれまでGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)にいてParkJockey、Nuro、GM Cruiseなどの企業へのソフトバンクによる投資の中心人物だった。

いなくなった大物は、ローネン氏だけではない。過去5カ月内に、同社の人事のトップMichelle Horn(ミシェル・ホーン)氏と、同じくアメリカのマネージングディレクターだったDavid Thevenon(デビッド・セブノン)氏が、やはり同社を去った。

関連記事: As a top manager leaves amid fundraising woes, SoftBank’s vision looks dimmer — and schadenfreude abounds…人材が去り続けるソフトバンクのビジョンファンドの未来が暗雲で人の不幸は蜜の味が広がる(未訳)

画像クレジット: Tomohiro Ohsumi/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ソフトバンクの改革を求めてエリオット・マネジメントが同社株約2800億円取得

アクティビスト投資会社であるエリオット・マネジメントは着々とその株式を買い集め、取得金額は25億ドル(約2800億円)に達した。ニュースの見出しを踊らせてきた日本のテクノロジーコングロマリットであるソフトバンクは、一連の失策によって株価が低迷していた。

The Wall Street Journalの第一報によるとSlack(スラック)やUber(ウーバー)、また今や悪名高いコワーキングスペースのWeWork(ウィーワーク)に数十億ドル(数千億円)を賭けたことで名を馳せたソフトバンクは、エリオットの金融投資部門をひきつける目標を提示したという。

2019年11月、ソフトバンクグループは、かつて非公開市場で470億ドル(約5兆2000億円)と評価されたWeWorkの救済による影響もあり、65億ドル(約7100億円)の損失を計上した。

損失計上で株価は急落したが、数々のトラブルにもかかわらず、ソフトバンクは依然として非常に安定したポートフォリオを保有している。そのソフトバンクの資産には、エリオット・マネジメントの340億ドル(約3兆7300億円)もの運用資産の一部を切り出してソフトバンクに少数株主として投資するに値する魅力があると同社は考えた。

「エリオットによるソフトバンクグループへの多額の投資は、市場がソフトバンクの資産ポートフォリオを大幅に過小評価しているという我々の強い信念を反映している」とエリオットの広報担当者はメールで述べた。「エリオットはソフトバンクの幹部と直接対話しており、ソフトバンクの本質的価値に対するディスカウントを大幅かつ持続的に減らすべく建設的に取り組んでいる」

ソフトバンクは、1000億ドル(約11兆円)という巨額のビジョンファンドでテクノロジー投資の世界に波風を起こしてきた。このファンドは多額のキャッシュを必要とするテクノロジースタートアップに出資する目的で設立されたが、さまざまな業界を変革する可能性がある。

同社の大胆な投資戦略の資金は、Saudi Arabian Public Investment Fund(サウジアラビア・パブリック・インベストメント・ファンド、投資担当者はジャーナリストの暗殺を命じた上層部とつながりがある)のような政府系ファンドやApple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)などの企業と協力して調達された。

リミテッドパートナーと自身の現金により、ソフトバンクはさまざまな業界の企業の株式を大量に取得してきた。ただ、その規模を維持し、正当化するのが難しくなってきている。

2019年、ソフトバンクのポートフォリオ企業のいくつかがトラブルに直面した。エリオットがソフトバンクの上層部に変革をもたらすとしても、ポートフォリオのパフォーマンスに影響を与えるかどうかは何とも言えない。

実際、ソフトバンクの創業者である孫正義氏が22%の株式を保有していることを考えると、エリオットが開始または主張する活動には限界があるかもしれない。

ソフトバンクのポートフォリオには優れた企業があり、公開市場の投資家はエリオット・マネジメントによる投資の開示を受けてソフトバンクの株式を買いに走っている。

ただし、2018年にベンチャー市場に流入した資金の洪水は絶頂に達したようであり、ソフトバンクや同社の新規投資家はずぶぬれになってしまう可能性がある。

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(翻訳:Mizoguchi

MotorolaのRazrは10万回折りたためなかった

Galaxy Foldは、この芽生えたばかりの折りたたみ式という新しいカテゴリーの前兆のような存在だっや。その魅力的で前途有望な製品は、記者たちに渡したレビュー機の破損に悩まされ、Samsung(サムスン)は設計図を描き直して丈夫なモデルを作った。しかしそのバージョンにもやはり問題があり、初日からユーザーを悩ませた

言うまでもなく他社はこの機会をとらえて、自分たちのやり方を見直した。その一例としてHuawei(ファーウェイ)は、安全を期すだけのために約束していたMate Xのリリースを遅らせる、と公表した。注意と用心は山のようにあるが、やはり折りたたみ式は魅力的なフォームファクタなのだろう。しかし多くの人たちは、間違いなくRazrは違うだろうと期待した。

関連記事: A false start for foldables in 2019…2019年の折りたたみスマートフォンのスタートはフライングだった(未訳)

Galaxy Foldのストレステストのときと同じような折りたたみ端末であるRazrの登場に、CNETは待ってましたとばかり食らいついた。そのデバイスは10万回を超える折りたたみに耐えたというが、Motorola Razrは今週のテストで激しく失敗した。CNETが配信する動画の最初のタイトル「Motorola Razrはテストで10万回の折りたたみに達しなかった」は、そのデバイスの失敗を正しく伝えていない。現在のタイトルは「MotoのRazrは27000回の折りたたみで壊れた」だが、ヒンジ(蝶番)が27000回の折りたたみをやや超えたあたりで、ぐらぐらしてきている。それは、わずか4時間足らずのことだ。Galaxy Foldの14時間におよぶテストに比べると、あまりにも差は大きい。

しかし、たった1回のテストで評価を下すべきではないが、実際のところすでに発売された製品にも関わらずネットなどでのレビューが少なすぎる。それだけでも用心すべき理由にはなるが、なにしろ新しいフォームファクタの第一世代の製品ならそれも当然だ。この折りたたみ式を買った人がすでにTwitterに登場してヒンジの音が大きいと文句を言っている。たかが音だが、良い評価ではない。

これはRazrをたたむときのヒンジ(蝶番)の音だ。いい音ではない。1500ドル(約16万5000円)のスマートフォンにしてはちゃちくて安っぽいヒンジだ。店員の女の子は、すぐ壊れそうで使うのがこわいと言ってた。

Galazy Foldの場合と同じくMotorolaのRazrも、注意書きの多い取説が付属するだろう。Foldより安いとは言っても、1500ドル(約16万5000円)だ。子供用手袋をして持つべきものに支払うお金としては高額だ。今後数週間でさまざまな評価や反応が出てくると思うが、それは製品の最初の発表で盛り上がった期待を上回るような、Motorolaが喜ぶ報道にはならないだろう。

ところで、300ドル(約3万3000円)のMoto Gはいかがでしょうか?

画像クレジット: Motorola

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AppleがiPhoneの性能を勝手に抑えたことにフランスが罰金を科す

フランスの競争・消費・詐欺防止総局であるDGCCRFは米国時間2月7日朝、iOSのアップデートに際して古い機種の性能を抑えたとして、Appleに対する2740万ドル(約30億円)の罰金を科すことを発表した。さらにAppleは、同社のWebサイトに声明を1カ月間掲載しなければならない。

2年前にAppleはiOSのアップデート(10.2.1と11.2)をリリースしたが、その際、古い機種に新しい機能を導入した。バッテリーが古くなるとピーク時の電力消費に対応できなくなることを恐れて、iOSはピーク時の性能を抑えたものだった。その結果、iPhoneがピーク時に突然シャットダウンすることもあった。

この機能は技術的には妥当だったが、Appleは一部のデバイスで性能を抑えることをユーザーに知らせなかった。その後、Appleは謝罪して「Battery Health」と呼ばれる新しいソフトウェア機能を導入した。それはユーザーが持つiPhoneのバッテリー最大容量を調べて、そのiPhoneがピーク時の性能を発揮できるかを教えてくれるものだ。

そして、古い機種の性能を抑える機能は問題になった。たとえば、ゲームをしているとiPhoneが遅くなることに気づいたユーザーがたくさん現れた。しかし彼らは、バッテリーを交換すればそれが直ることを知らなかったのだ。所有しているiPhoneが十分使えるのに、新しい機種を買ったユーザーもいた。

フランスのDGCCRFは、iPhoneのユーザーがiOSの前のバージョンにダウングレードできないことにも着目した。つまりユーザーは、その方法で性能抑止機能を逃れることができない。フランス当局は、「消費者に伝えなかったことは不作為によって誤解に導く事業慣行である」と記している。

Appleは罰金の支払いを受け入れ、Webサイト上の声明で自社の不正行為を認めた。

関連記事: Apple addresses why people are saying their iPhones with older batteries are running ‘slower’…Appleは古い電池のiPhoneが遅くなると人びとが言う理由を説明(未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Instagramは新「カテゴリ機能」でやりとりが少ないユーザーのフォロー解除を提案

Instagram(インスタグラム)にやりとりが少ない人が表示されるようになり、フォローを解除しやすくなった。自分のフィードに関心のある投稿だけを表示してすっきりさせておくために、Instagramはフォローのカテゴリ機能を米国時間2月6日にリリースした。カテゴリには「投稿の表示回数が多い」アカウントと「やりとりが少ない」アカウントがそれぞれ表示される。フィード上で不快感や退屈を強く感じた場合、あるいはコンテンツに興味が持てない場合に、この機能を利用してそのアカウントをすぐフォロー解除できる。礼儀正しさや申し訳なさは忘れてしまおう。

Instagramの広報担当者は筆者に対し「Instagramを使うと、気になる人々や物事に近づくことができる。しかし時間が経つにつれて、興味や人間関係は発展したり変化したりする。卒業や引っ越し、あるいは何か新しいことに夢中になってコミュニティを見つけたときに、Instagramでフォローしているアカウントをもっと簡単に整理して、現在のつながりや興味を適切に表示しようと考えた」と語っている。

この機能を利用するには、プロフィールの「フォロー中」を表示する。すると「カテゴリ」が表示される。カテゴリ以外に、フォローした日が新しい順または古い順に並べ替えて、昔フォローした人を解除したり、最近フォローした人だけを残したりすることもできる。

関心のないアカウントをフォロー解除して自分のフィードやストーリーに質の高い投稿が集まるようになれば、Instagramは広告表示を増やすことができるだろう。アプリを閉じたくなるようなつまらない投稿が少なくなれば、ユーザーは延々スクロールして見続けてくれるため、広告のインプレッションが上がる。Bloombergによれば、Instagramの2019年の売上は200億ドル(約2兆2000億円)に達したという。

筆者は2013年からTwitterにフォロー解除の提案機能を求めているが、Instagramが先んじた形だ。フィードにフィルタをかけたとしても、アルゴリズムが間違えることもあるし、興味がない人が多く表示されることもある。

フォローを返したり頼まれたからフォローしたりといったことは、現代社会の約束事になっている。そうしなければ失礼にあたったり、もめたりするかもしれないため、人々はフォローをただ増やしている。手動で並べ替えたり、その人が誰かを思い出そうとしたり、思い出せない人をしょっちゅう見かけていつも無視したりするのは、時間がかかるし気持ちが消耗する。Instagramはサービス開始から10年、Twitterは14年、Facebookは16年だ。私たちはずいぶん長いこと、ソーシャルグラフ(Web上における人間の相関関係やそのつながり、結びつき)を意図せず壊してきた。

どのアプリも特定の人の面目を公然とつぶすようなことはしたくないため、フォロー解除を提案するようになるには長い時間がかかったのだろう。しかし明確に定量化されたカテゴリを利用したInstagramのアプローチは漠然としており、おそらくユーザーはカテゴリのスクリーンショットを撮って「フォロー解除しろって言われた」と友人に見せるようなことはしないだろう。Instagramは慎重に配慮して、ユーザーエクスペリエンスを向上させると同時に収益向上にもつなげるというめったにない離れ業をやってのけた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

NASAがアルテミス計画に向けて月面探査車のコンセプトを募集中

NASAは、将来の月面探査車をどのようなものにするかについて業界からの意見を求めている。その対象は、必ずしもこれまで宇宙事業に参入している企業とは限らない。自動車メーカーやIT企業なども含まれる。これは再び人間を、それも史上初の女性、そして米国人の男性を月面に送り込もうというAltemis(アルテミス)計画の一環だ。

画像クレジット:NASA

この問いかけには、2つの正式なRFI(Requests for Information、情報提供要請)が含まれている。1つは自動探査用に設計されたロボローバー(惑星探査車)についてのアイデア。もう1つは人間が乗るのに適したLTV(月面用車両)の開発につながる可能性のあるコンセプトとアイデアだ。後者は、加圧防護スーツを着たままの宇宙飛行士が乗車して、月面を走り回ることを想定したもの。必然的に屋根のないオープンなデザインの車体が求められる。

こうした車両に対するNASAの目標は、宇宙飛行士が着陸地点の付近以外の場所も探検できるようにすること。ちなみに、今後は月の南極近辺に着陸することになる。そこから、アクセス可能な地域を拡大して、実験やデータ収集ができるようにするわけだ。ロボット型の車両の目的も同様のものだが、さらに人間では行くのが難しいような場所にも到達できるのが理想だ。

RFIの説明によれば、NASAは、あらゆるタイプの車両の生産に関連する業界のプレーヤーからの専門知識を求めているという。たとえば、全地形対応車、電動車、あるいはその他の地上の乗り物だ。そこには、自動運転車の会社、革新的なモビリティ技術を持つスタートアップなども含まれる。

NASAは、さらなる情報を求めている企業のために、仮想の産業フォーラムを開催して質問に答える予定を組んでいる。質問の締め切りは、LTVローバーのRFIについては2月26日、ロボローバーのRFIについては、もう少し猶予がある3月6日に設定されている。

NASAでは、2018年にも商用のロボット月着陸船について、同様のRFIを発行した。それは、2019年2月に月面への商用輸送サービスの契約プログラムを発表するのに先立つものだった。それを考えると、今回のRFIも、最終的に将来のNASAの月面探査ミッションで使われる探査車に関する、何らかの商用パートナープログラムにつながる可能性がある。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

DevOpsポリシーエンジンのDatreeがY Combinatorに入学

DevOpsのポリシーエンジンをGitHubで作っているアーリーステージのスタートアップであるDatreeは米国時間2月6日、シリーズAラウンドで800万ドル(約8億7864億円)を調達した。同社はまた、Y Combinatorの2020年冬季に参加したことも発表した。

BlumbergとTLV Partnersがラウンドをリードし、Y Combinatorが参加した。2018年に発表した300万ドル(約3億2949億円)のシードラウンドを合わせると、同社は今や1100万ドルを調達している。

共同創業者でCEOのShimon Tolts(シモン・トルツ)氏によると、コードを調べて問題を見つけることもDevOpsのチームにとって必要なことだが、彼らはルールの定義でヘルプを求めている。そこでDatreeは一連のルールパッケージを作ってコードをそれらと照合し、コードを動かして乖離や問題点を見つけられるようにした。

トルツ氏は「Datreeは開発のベストプラクティスとコーディングのスタンダードと、セキュリティおよびコンプライアンスのポリシーを提供する。今ではユーザーがDatreeに接続するとDatreeがソースコードを参照してコードベースの全体をスキャンし、ユーザーのテクノロジースタックに基づいて開発のベストプラクティスを推奨する」と説明する。

これらのルールパッケージは同社自身の専門的能力をベースに作るほかに、コミュニティからの支援もあり、また外部エキスパートとのパートナーシップもある。同社のDockerセキュリティパッケージでは、Aqua Securityとチームを組んだ。

デベロッパーはGitHubで仕事をしているので、これらのルールはGitHubで適用される。彼らはコードをコミットする前に適切なルールパッケージをそれに対して動かし、ベストプラクティスに適合していることを確認する。

Datreeのルールパッケージ(スクリーンショット提供:Datree)

トルツ氏によると、シードラウンドの後でY Combinatorに着目したのは、ビジネスの構築にガイダンスが欲しかったからだ。彼は「Y CombinatorがDatreeの助けになることはわかっていた。DatreeのプロダクトはYC企業の95%にふさわしいからだ。もっと勉強すれば、より成熟したYC企業との6桁の契約も獲得できるようになるだろう」と語る。

DatreeはY CombinatorのCEOであるMichael Seibel(マイケル・ザイベル)氏直属で仕事をしており、2020年冬季の一員になったことによってマーケティングと営業力の強化が期待される。2017年から操業していて既存のプロダクトもあり、「社員が12名いる同社は典型的なYC企業とは言えないが、長期的には今回の参加が経営に大きく貢献する」とトルツ氏は感じている。

関連記事:Datree gets $3M seed round to build DevOps policy engine in GitHub(300万ドルのシード資金を得たDatreeがGitHubでDevOpsのポリシーエンジンをを作る、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SDGs達成を目指すスタートアップのコンテスト「XTC」初の日本予選が2月26日開催、出場10社が決定

2015年より開催され、例年、世界中から6000社以上がエントリーするスタートアップのコンテスト、Extreme Tech Challenge(XTC)。

XTCの目的は、国連サミットで採択された、17の持続可能な開発目標(SDGs)と連携し、地球と人類とが直面している最大の課題をテクノロジーで解決するスタートアップを発掘し、支援すること。 Lynq、Elevian、Doctor on Demand、Wanderu、Cresilon、Bloomlifeを含む過去の出場企業の累計調達額は440億円にもおよぶ。

XTCの7つの審査カテゴリは、SDGs17課題を集約した7カテゴリーだ。それらは、「AGTECH、FOOD & WATER」、「CLEANTECH & ENERGY」、「EDUCATION」、「ENABLING TECHNOLOGIES」、「FINTECH」、「HEALTHCARE」、そして「TRANSPORT & SMART CITIES」。

今年は、6月にパリで開催される決勝戦に向け、日本で予選、JAPAN COMPETITION 2020が開催される。2月26日にNagatacho GRiDで開催される日本予選では、書類審査を突破した10社のスタートアップが、日本代表として決勝に進むことのできる、2枠のシード権を巡って争う。シード権を獲得した2社は、パリで開催されるVivaTechnologyのメインステージでピッチを披露することになる。

本日、そんなXTCの日本予選に出場する10社のスタートアップが発表された。

コンテストの審査員を務めるのは、TomyK代表でACCESS共同創業者の鎌田富久氏、立命館大学の情報理工学部で教授を務める西尾信彦氏、IT-Farmのジェネラルパートナー白井健宏氏、Plug and Play Japanの小林俊平氏、そしてXTC Japanのメンバー1名。

当日は、「ソーシャルインパクト投資」、「日本のSDGsの現状」、「世界規模で事業を展開する企業の作り方」などをテーマとした、専門家による特別講演も行われる。XTC主催者、そしてTreasure Data創業者、芳川裕誠氏の登壇が決定している。

XTC JAPANが目指すのは、日本におけるインパクト投資の活性化、そしてグローバル課題の解決、ならびに海外進出を目指すスタートアップの支援。

XTC JAPANは、日本のソーシャルインパクト投資市場は微増に留まっているのが現状。一方、グローバルではソーシャルインパクト投資の投資残高は急速に増加しており、昨年4月での推定残高は5020億ドル(約55兆円)と、2018年から倍以上に増加したとも言われている、と説明。

そして、日本では数少ないユニコーン企業ですら、海外進出に苦戦している。また、日本はマーケットが小さいため、ある程度までしか成長しないという課題もある、と指摘している。

IT-FarmのパートナーでXTC Japanの企画、後援を務めている春日伸弥氏は「『グローバル課題の解決』。それが全てだ。グローバルの課題を、テクノロジーを使って解決する。そのために、スタートアップを、資金やパートナーシップなどにより支援する」と話す。

春日氏いわく、今回の初の日本予選では「結果的に、日本国内でなく世界に目を向けているスタートアップからの応募が集まった」。同氏は2月26日のイベントが起点となり、前述のようなSDGs達成を目指すスタートアップが、例えば大企業と繋がることにより、エコシステムが活性化することを期待している。XTC Japanでは現在、一般参加者向けのチケットを販売中だ。

バイオメカニクスを生かしたスポーツ用ウェアラブルデバイス開発のNURVVが9.9億円調達

CES 2020でローンチしたバイオメカニクスのスタートアップであるNURVV(ナーブ)が、スポーツとeスポーツのベンチャーキャピタルファンドのHiro Capitalが主導し、Games Workshopの共同創設者であるIan Livingstone CBE(イアン・リビングストンCBE)氏とLoveCraftsの共同創設者であるCherry Freeman(チェリー・フリーマン)氏が参加したシリーズA投資で、900万ドル(約9億9000万円)を調達した。

同社は、スマートフォンを落としても壊れない方法がわかれば、バスケットボール選手がどれだけ高くジャンプできるかもわかるということを証明した。Jason Roberts(ジェイソン・ロバーツ)氏は、世界トップクラスのスマートフォンのケースのメーカーであるTech21の創業者だ。彼と、彼の共同創業者、そして彼の夫人Ulrica(ウルリカ)は、その知識を応用して、新しいウェアラブル製品を発売した。靴の中にこれを敷くと、足が着地したときの力や跳躍の測定が可能になるというものだ。

このウェアラブルは、32個のセンサーを埋め込んだ軽量な中敷きで、ひとつのセンサーごとに、1秒間に1000回、足裏のデータを取得する。

今回の投資金は、NURVVの最初の製品、NURVV Run(ナーブラン)を国際市場への投入と、さらなる研究開発に使われる。Wired、CNET、Gear Patrolで高い評価を受けたほか、英国立物理学研究所で3年にわたりテストされてきた。

測定できるのは、ケイデンス、歩幅、接地パターン、プロネーション、バランス。このデータをNURVV Runのコーチングアプリに送り、その人のランニング技術を図で示す。これを見ることで、自分の技術とペースが改善できる。

ランニングに関するデータを膨大に収集するのは今でも可能だが、そのデータが見られるのは、いつだって走った後だ。創設者でCEOのロバーツ氏は、NURVV Runはランナーのデータを「アクションがあった時点で足から直接取得し、簡単に理解できるシンプルな方法で走りの改善をリアルタイムでコーチングできます」と話している。

同氏はTechCrunchに対して、この中敷きに組み込まれたテクノロジーは「ステップ数やストライドや消費エネルギーを測定する腕時計よりも正確で、怪我も検知できる」と話していた。彼はこう問いかける。「走っている人のステップ数をリアルタイムで配信することも可能です。バスケットボールでそのデータが見られたら、どうですか?」。

共同創設者のウルリカ・ロバーツ氏はこう付け加えた。「私たちはいつも同じ疑問に立ち返ります。重要な情報は足で発生しているのに、どうしてランニングのデータを腕で計るのかって」。

【中略】

「私たちは専門家を探して、それを実現しました」。

Hiro Capitalの業務執行社員であるLuke Alvarez(ルーク・アルバレス)氏は声明で「Hiro Capitalは、4回目の契約で、初めてのスポーツテックへの投資としてNURVVを支援できたことをうれしく思っています。NURVVの成功は、彼らの事業のすべての点でアスリートの体を中心に据えたことに起因します。NURVVの基礎は、ディープなバイオメカニクスとデータサイエンスを結合させたセンサーの特許技術にあり、これはスポーツ、ゲーム、VRとAR、そして健康全般に革命を引き起こす潜在力があります。ジェイソンとウルリカは、類いまれな起業家であり、この2人とその仲間たちと共に、NURVVを次のレベルに引き上げる手伝いができることに、大変にエキサイトしています」。

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(翻訳:金井哲夫)