子供の声が絵本になる読み聞かせアプリ「みいみ」をオトバンクと東京ガスが発表

オーディオブック配信サービス「audiobook.jp」などを展開するオトバンクは12月19日、東京ガスとの資本業務提携に基づき、音で遊べる絵本アプリの「みいみ」を共同開発し、提供開始したことを発表。みいみは、2017年7月にリリースのお風呂で楽しむ音声コンテンツ「Furomimi」に続き、両社が共同で提供するサービスの第2弾となった。

このアプリでは、声優やナレーターによる絵本や児童書の朗読を楽しめたり、登場人物のセリフの一部を子供が自身で吹き替えることで遊べる。そのため、今後は、録音データの容量を増やすことで「音のアルバム」としても機能するようになる予定だ。

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リリース時には、映画化もされた講談社の「絵本 はなちゃんのみそ汁」、イラストレーターのヨシタケシンスケ氏が挿絵を手がける「レッツとネコさん」、加えて名作童話や昔ばなしを多数、配信。講談社の絵本「おさるのまいにち」や「サラとピンキー パリへ行く」なども近日追加される予定だ。

オトバンクと東京ガスがみいみのリリースを通じて目指すのは「『音』と『絵本』を起点とし、親子のコミュニケーションをサポートし子育てを応援」すること。両社は子供の寝かし付け時や、家事育児の負担の軽減のために、みいみが利用されることを想定。そして、「子育て中のお客さまへの調査より、共働き世帯が増えている中、平日は時間に追われているが、子供と過ごす時間を増やしたい、子供と過ごす時間が増えたら一緒に遊ぶ、読み聞かせをしてあげたい、一緒にくつろぎたいというニーズがあることが分かった」と説明。

なぜ絵本なのか。両社は「有識者より、最近は子供の活字離れが顕著だが、子供の語彙の増加や共感力の育成、親子の愛着形成に本に親しむことは非常に効果的であると伺った。そして本好きな子供に育ってほしいという普遍的なニーズに応えることを目的に開発した」と綴った。

東京ガスの担当者によると、同社の狙いは「デジタル技術の効果的な活用および育児サポート領域での事業創出」。

「これまで取り組んできているエネルギー事業、住宅設備機器などに係る事業に加え、近年、お客さまのニーズを踏まえてIoT、サービス、コンテンツの検討にも取り組んできた。そのような中で、成長市場であるコンテンツ市場の中で『ながら視聴』のニーズの高まりとコンテンツ数の拡大により今後期待されている音声コンテンツに注目し、2018年にオトバンクと資本業務提携を締結した。本サービスを通じ、子育て中のお客さまの寝かし付け時などの負荷を軽減したり、親子で絵本を楽しむきっかけを提供することを想定している」(東京ガス担当者)

なお、絵本アプリのみいみは、東京ガスとのエネルギー契約の有無にかかわらず利用することが可能だ。iOSとAndroidのどちらにも対応しており、利用開始から1ヵ月はすべての機能、絵本が無料。2ヵ月以降は月額500円となっている。

Kyashがサインレス&タッチ決済対応の新カードを20年初頭に提供、限度額や利用場所をカスタマイズ可能に

「新しいKyash Cardはじまる」——。送金・決済アプリ「Kyash」を軸にVisa加盟店で使えるバーチャルカードやリアルカードを展開するKyashが、突如新たなカードの提供を予告したのは11月のこと。一部では新機能の予測なども飛び交っていたけれど、本日その概要が明らかになった。

Kyashは12月19日、次世代カード「Kyash Card」のデザインや仕様とともに、同カードを2020年初頭より提供することを発表した。

新カードではネイビー、シルバー、ピンクの3色を用意し、カード番号やカード名義などを裏面に配置したシンプルなデザインを採用。ICチップや非接触決済機能を搭載したVisaカードとして、表側にカード番号がないプリペイドカードは日本で初めてだという。

機能面の主な特徴は以下の通りだ。

  • サインレスでスムーズな支払い体験
  •  ICチップ搭載でVisaタッチ決済も可能
  • リアルタイムに利用履歴を反映
  • 利用限度額をユーザー自身が設定可能、利用場所も「オン/オフ設定」でカスタマイズ(海外利用可能)
  • スマホ上でカードロック可能
  • 割り勘・送金をスマホで完結

上述したようにKyash CardではICチップを搭載しているため、新たにサインレス決済やVisaタッチ決済にも対応。これまで以上にスムーズな決済体験を実現する。

大きな変更点として、ユーザーの本人確認が必要になる代わりに24時間あたりの決済上限額(5万円→30万円)と月あたりの決済上限額(12万円→100万円)が大幅に上がり、国内だけでなく海外でも利用できるようになった。利用限度額や利用場所はアプリ上でカスタマイズできるため、従来のリアルカードに比べてさらに自由度が高くなったと言えるだろう。

リアルタイムに利用履歴が反映されることで利用後の残高や明細をすぐにチェックできる点や、アプリ上で割り勘や送金がサクッと完結する点はリアルカードと同様だ。利便性だけでなく、カードロックなどのセキュリティ機能も備える。

なお現在のリアルカードは「Kyash Card Lite」として引き続き提供する計画。今後はバーチャルカードも含めて3種類のカードを展開していく形となる。

3種類のカードの仕様。「Kyash Card」と「Kyash Card Lite」に関してはそれぞれ発行手数料が必要になる

決済の未来を作るためのアップデート

Kyash代表取締役の鷹取真一氏は今回新たにKyash Cardをリリースすることについて「決済の未来を自分たちの手で作っていくこと」が大きなテーマになっているという。

「国内ではQRコード決済に対応するお店が少しずつ増え盛り上がりつつあるものの、その一方でグローバルの潮流を見るとVisaのお店で使えるタイプのサービスが圧倒的な指示を集めてきている。自分たちも(Visa加盟店で使えるというのを1つの特徴として)これまで本人確認なしでライトに使えるカードを展開してきたが、今後はKyash Cardに色々な機能を乗せて、よりスムーズで心地いい決済体験を提供していく」(鷹取氏)

Kyashではサービスに触れてもらうハードルをどこまで低くできるかを考え、これまではKYC(本人確認)にしても、カード取得の体験にしてもなるべく少ない情報で済むような設計にしてきた。ただ、ある程度の支持を集められたら本人確認を取り入れて機能を拡充させていくことは以前から想定していたそうだ。

7月の資金調達時にも少し言及があったが、Kyashは決済事業者という域を超えてバンキングサービスをモバイルアプリ上で展開する「チャレンジャーバンク」の構想を掲げている。本人確認の採用についても「本人確認が必要となる各種金融サービスや金融行為にアクセスしていくための土壌を作るという側面があるのは事実」(鷹取氏)とのことで、Kyash上に今後新たな金融サービスを乗せていくことも踏まえたアップデートだと言えるだろう。

また高額な利用や幅広い利用が制限されるといった、本人確認をしないことによる“制約”を取っ払う意図も大きい。鷹取氏の話ではクレジットカードと紐付けてKyashを使っているユーザーが多いため、Kyashの方が先に上限金額に達してしまいそれ以上使えなくなるという現象が起き始めていたそう。

Kyash Cardではそこを大幅に拡張することによって、スピーディーにお金を動かしたり、お金の動きを確認したりできるというKyashの特徴をさらに広い範囲へ届けていきたいという。

「既存のカードの仕組みでは『今、いくら使っているのかが本当にわからない』という点に対して、Kyashではお金の流れを見える化して利用状況をリアルタイムで把握できる仕組みを作ってきた。実際にそこが好評で利用に繋がっているケースが多い。キャッシュレスの時代において『お財布に近い体験』を実現するには、お金の状況を透明化していくことが重要。単なるデータ連携ではなく、直感的に把握できるような仕組みも今後取り入れながら、より心地いい体験を実現していきたい」(鷹取氏)

SBIが中国・平安グループと連携、地方銀行にAIやブロックチェーンの技術を注入

SBIホールディングスは12月19日、中国の民間金融機関である平安グループ(Ping An Insurance Group Company of China)との提携を発表した。平安グループの完全子会社であるAn Ke Technologyと子会社であるOneConnect Financial Technologyと共同で、SBI OneConnect Japanを設立する。出資比率は、SBIグループが60%、平安グループが40%。世界最大級の金融グループのテクノロジーがSBIグループの力を借りて日本進出を果たすことになる。

SBI OneConnect Japanでは、SBIグループが取り組んでいる地方創生、地方銀行の活性化事業に、OneConnectのフィンテックプラットフォームをカスタマイズして提供する。平安のOneConnectは、AIやブロックチェーンを活用して、銀行や保険、投資などのサービスやツールをモバイルやオンラインで提供している企業。リリースから3年程度で、銀行は618行、保険会社は84社、そのほかの金融機関を合計すると3700社を超える企業にソリューションを提供している、中国では国内の商業銀行をはじめとした銀行の99%、保険会社の46%をカバーする。

なお平安グループのOneConnectはソフトバンク・ビジョンファンドなどが株主となっており、12月4日は、ニューヨーク証券取引所に上場。ただし、IPO時に想定された株式公開価格は当初よりも大幅に下がっているなど、現在のところ、米国市場での評価はいまひとつだ。

関連記事:OneConnectのIPO評価額の急下落から見える急成長急燃焼企業の危うさ

詳細は追って記載する。

フリーランスが賃貸住宅を借りやすい世の中へ、賃貸向け与信サービスのリースがランサースと業務提携

賃貸向け与信サービス「smeta」、フリーランス特化型の賃貸仲介事業「smeta賃貸」や家賃債務保証事業の「smeta保証」を展開するリースは12月19日、フリーランスの総合支援プラットフォームを提供するランサーズとの業務提携を発表した。

この提携により、12月16日に東証マザーズ市場に上場したランサーズが提供するフリーランス向け福利厚生サービス「Freelance Basics」にリースのsmetaが追加され、ランサーズを利用するフリーランスは、賃貸住宅を借りる際に必要な与信や家賃保証サービスを受けられるようになった。

2018年9月設立のリースは、「個人の信用価値を最大化する」をミッションに掲げる、信用経済社会における与信プラットフォームを目指す、不動産×金融を切り口としたCredit Techのスタートアップだ。

同社はフリーランスや高齢者、訪日外国人などへ賃貸向け与信サービスを提供するが、現在のメインターゲットはフリーランス。リースによると、「賃貸借契約における入居者の審査を行う家賃債務保証会社は、勤務先、勤続年数、年収という終身雇用が前提の旧態依然とした審査基準を適用しており、これらの証明が難しいフリーランスを始めとする個人事業主やスタートアップ、ベンチャー企業に勤務する転居希望者は、信用面で適性に評価されておらず、“与信能力が低い”と判断され、賃貸住宅の入居に必要な信用評価を得られにくい状況にある」だからだ。

ランサーズもFreelance Basicsの提供により、フリーランスに様々な支援サービスを展開してきたが、賃貸住宅の借りにくさを解消するためのソリューションがなかったため、リースとの業務提携に至った。

Freelance Basicsの何が変わったのか。本日より、Freelance Basicsからsmetaを選択し必要な情報を入力すると、与信枠として借りられる家賃額の上限が提示される。リースいわく、「与信枠に収まる賃貸住宅を選べば入居審査を100%通過できる」。そしてリースは家賃債務保証事業のsmeta保証も展開していることから、Freelance Basicsを利用する転居希望者は、与信の取得から、不動産仲介、賃貸住宅への入居審査、保証契約までワンストップで受けられる。任意でランサーズIDと連携させることで、これまでの実績、評価、完了率などのデータが加味され、与信枠が増加するなどの再算定されるといった連携も検討されている。

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YouTube MusicがSpotifyに対抗して3つの新プレイリストを追加

YouTube Musicは、3種類のパーソナライズされたプレイリストを導入することで、Spotify、Apple Musicといったサービスの要素を取り込もうとしている。その3つのプレイリストとは、SpotifyのDiscover WeeklyをパクったようなDiscover Mixと、New Release Mix、そしてYour Mixだ。Discover Mixについては、以前のテスト中に出回ったことで、すでに発見されていた。現在では3つすべてのプレイリストが世界中のYouTube Musicユーザーに提供されている。

これらの新しいミックスを導入する同社の計画は、この秋のTechCrunch Disrupt SF 2019で発表されていた。YouTubeの最高製品責任者、ニール・モハン(Neal Mohan)氏は、機械学習と人間のキュレーションを組み合わせることで、提供する音楽サービスを改善する計画について話していた。

Discover Mixは、SpotifyのDiscover Weeklyに非常によく似ている。ユーザーが、新しいアーティストや好きな音楽を見つけられるよう、手助けすることに焦点を当てたもの。ユーザーが、これまでに聴いたことのない曲や、好きなアーティストの曲ながら、あまり知られていないものを紹介してくれる。しかし、競合の音楽サービスと異なるのは、このプレイリストは、YouTube MusicとYouTube、両方の聴取データの履歴を活用して作成されること。

このミックスは、毎週水曜日に更新され、リスナーに毎週50曲を提供する。

New Release Mixは、名前から想像できるように、ユーザーのお気に入りのアーティストや、ユーザーが気に入りそうだとYouTubeが考える他のアーティストによる、すべての最新リリースを取り上げるもの。これは、ほとんどの新曲のリリースと同様、毎週金曜日に更新されるが、必要に応じてそれ以外の日に曲が追加されることもある。

最後のYour Mixは、ユーザーのお気に入りの音楽と、まだ聴いたことのない、好きそうな曲を組み合わせたプレイリスト。中身は、普段の聴き方の傾向によって選ばれる。このミックスは、定期的に更新され、常に最新の状態に保たれる。

もちろん、YouTube Musicを長い時間聴けば聴くほど、ミックスは良いものになる。しかしYouTubeによれば、ユーザーが設定で自分の好きなアーティストを選んだり、実際に数曲を聴くだけで、すぐにパーソナライズされたミックスの提供が可能になるという。

このようなプレイリストの登場は、現在Googleがストリーミング音楽サービスに熱心に投資するようになっていることと無関係ではない。この秋には、YouTube Musicは、Google Play Musicに代わって、新しいAndroidデバイスに付属するデフォルトの音楽アプリになった。そして最近の報告によれば、Spotifyの主要市場であるインドでは、遅れて参入したにもかかわらず、YouTube MusicはSpotifyやJioSaavnより優位に立っているという。

新しいプレイリストは、iOS、Android、およびウェブ版のYouTube Musicで、すでに利用可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

小型衛星群でブロードバンド接続を提供するKuiperプロジェクトにアマゾンが本腰

Amazonは、目下開発中の人工衛星星群による高速インターネットサービスであるKuiperのプロジェクトに、専用の本社オフィスとR&Dセンターを用意した。このプロジェクトでは小さな衛星の集団を低地球軌道に乗せてインターネットへの接続を提供し、世界中のどんな僻地でも良質な通信を可能にする。

ご存知の方も多いと思うが、このようなプロジェクトはほかにもいろいろある。例えばSpaceXは、そのStarlinkコンステレーションのための衛星の打ち上げをすでに始めている。そのサービスは最初は北米地区、そして最終的には地球全域で供用される。ソフトバンクなどがパートナーになっている。OneWebもやはり、衛星群を打ち上げて1月の供用開始を目指している。そしてGoogle、というか親会社のAlphabetは、上層大気気球のLoonによって、接続困難地域への接続を提供しようとしている。

Amazon Kuiperは、何千もの衛星を複数年にわたり何回にも分けて低地球軌道へ打ち上げる方式だ。複数の小さな衛星を使うやり方は、従来一般的だった1つまたは少数の静止衛星を打ち上げる方式に比べて、サービスの質がいい、リーチが広い、最終的にローコストであるなどの利点がある。

今度のオフィス施設や研究開発施設はシアトルのAmazon本社に近いワシントン州レドモンドに置かれ、まだ何もタイムラインが発表されていないKuiperプロジェクトに対してAmazonが本腰であることを示している。施設の総面積は約2万平米で、2つの建物にR&Dのラボとオフィス、そして衛星ハードウェアのプロトタイピングを行う製造施設まで置かれる。 Kuiperチームの引っ越しは来年のようだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが有人宇宙飛行再開に向け12月20日にテスト機を打ち上げへ

NASAとボーイング、ボーイングとロッキード・マーティンの合弁宇宙事業であるULAは12月20日に、米国の有人宇宙飛行再開に向けた重要な打ち上げを予定している。OFT(軌道飛行テスト、Orbital Flight Test)はボーイング製のCST-100 Starlinerと呼ばれる乗員カプセルをULAのAtlas Vロケットで打ち上げ、ISS(国際宇宙ステーション)にドッキングさせる。これは有人宇宙飛行に向けた最後のテストの1つだ。

今週のミッションの目的

気象条件その他が許せば、現地時間で12月20日にULAのAtlas VがボーイングのCST-100カプセルを打ち上げる。このテストは簡単にいえば、来るべき有人飛行テストCFT(Crew Flight Test)のためのドレスリハーサルだ。OFTはもちろん極めて重要な打ち上げだが、ボーイングのStarlinerカプセルが実際の有人飛行を行うにあたっては、パラシュートシステムの信頼性テストをクリアしなければならない。また今回の打ち上げで得られたデータがすべて予期どおりであることを確認する必要がある。

【略】

今回のミッションではStarlinerカプセルはAtlas Vロケットの先端に取り付けられて高度180kmまで上昇し、そこでロケットから切り離され、カプセル自身のエンジンでISSに向かう。ISSの宇宙飛行士がカプセルをモニターし、ロボットアームでドッキングの最後の段階を助ける。ミッションとしては二次的重要性だが、カプセルには270kgの補給物資、装置が搭載されている。ペイロードがISSに移された後、カプセルはドッキングを解かれ、地球に帰還する。

ローンチ・ウィンドウ

打ち上げは米国東部時間12月20日午前6時36分(日本時間12月20日午後8時36分)にケープカナベラル空軍基地のSLC-41から発射される。天気予報は「80%程度可能」ということだ。

ローンチ・ウィンドウと呼ばれる打ち上げ可能な時間は予定時刻のみに限られており、この時刻になんらかの支障が起きれば21日ないし23日の予備日に切り替えられる。予定どおりに打ち上げられた場合、カプセルは翌日朝にISSにドッキングする。切り離しは28日に予定されている。帰還も今回のミッションでは重要な部分だ。

近づく有人飛行再開

すべてが計画どおり順調に進めばStarliner CST-100カプセルは有人宇宙飛行に向けて大きく前進する。上で述べたようにパラシュート・システムは安全規定をクリアするためにさらにテストが必要だが、各種のシステムの安全性が確認されれば、最初の有人飛行であるCFTミッションは「2020年の早い時期」に行われる予定だ。

米国時間12月18日に、ULAは移動式発射台をロールアウトし、Atlas Vロケットを発射予定地点に運んだ。NASA、ボーイング、ULAのエンジニアは発射のための最終調整に入っている。発射準備は2週間前からスタートしており、実際の発射を除くすべての手順がリハーサルされた

TechCrunchでも発射のもようをライブで中継する予定だ。またその結果についても情報を得しだい記事を公開する。

【Japan編集部追記】CST-100カプセルの着陸はニューメキシコ州ホワイトサンズ空軍基地をはじめ、米国本土西部の5カ所が候補となっており、9月に着陸テストが実施されている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

がん患者と臨床試験をマッチングするTrialjectory

がん患者と臨床試験をマッチングするテクノロジーを開発しているTrialjectoryは、さらに成長を続けるべく270万ドル(約2億9600万円)を調達した。

ラウンドをリードしたのはContour Venture Partnersで、調達した資金はさまざまな種類のがんの臨床試験を追加し、介護士、医薬品会社、患者らとのつながりを拡大することでTrialjectoryの事業を加速するために使うと同社は表明している。

「がんは米国で2番目の死因であり、毎年数千例が診断される今、先進治療の利用は特権ではなく必然的な選択肢だ」とTrialjectroyの共同創業者でCEOのTzvia Bader(ツヴィア・バザー)氏は言う。「そして、がん専門医が現在直面する最大の障壁は、患者の臨床試験の機会が少ないことであり、これは利用できる治療の選択肢が広がっていることが理由だ。また、患者と治療を正しく適合させるプロセスは非常に複雑で、オーダーメイド医療の増加によってその傾向はいっそう高まっている」。

現在同社は、乳がん、結腸がん、膀胱がん、黒色腫、および骨髄異形成症候群の臨床試験を取り扱っている。

Trialjectoryのソフトウェアは、自由記述された治療記録から意味のあるデータを抽出するように訓練されている。その後集めた情報を分類し、臨床試験に役立つよう患者の特徴を捉えたデータベースを作成する。患者は質問票に書き込んだ後、臨床試験とマッチングされる。

「Trialjectroryのテクノロジーは、がん専門医とテクノロジーの専門家からなる高度な経験を持つ経営チームに支えられて、伝統的ながん治療に対するわれわれの考え方を一新した」とContour Venture PartnersのBob Greene(ボブ・グリーン)氏は語った。「さらに重要なのは、自分の治療に主体的に取り組む力を患者に与えたことだ。Trialjectoryのプラットフォームが早く広まることを機体している。この会社は世界の医療界にとって必須の資源となり、あらゆる場所の患者にテーラーメイド医療を実施するために役立つだろう」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Uberはセクシャルハラスメントと報復で有責となり被害者全員に最大4.3億円を払う

性差別と報復に関する2017年の合衆国雇用機会均等委員会からの告発に対しUberは、440万ドル(約4億円3800万円)の罰金を払うことに合意した。

調査により、Uberが「セクシャルハラスメントがある企業文化と、ハラスメントを訴えた個人に対する報復を許容していた」と信ずるに足る合理的な根拠が見つかったと委員会は米国時間12月18日のプレスリリースで表明している。同委員会は、同社のCEOがTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏だった時期に、Uberの職場環境に関する複数の報告に基づいて調査を開始した。

Uberの法務最高責任者であるTony West(トニー・ウェスト)氏は声明で「これまでの懸命の努力によって今ではUberの全社員が、公正と説明責任を重視することの人生における価値を明確に認識している。今後も雇用均等委と共に継続的にこの努力を強化していけることに、大きな喜びを感じている」も語る。

決着の一環としてUberは、最大で合計440万ドルを、2014年1月1日以降Uberでセクシャルハラスメントや報復を経験したと同委員会が認めた者に支払う。Uberはまた、ハラスメントの訴えを複数回行わねばならなかった者と、ハラスメントの懸念にきちんと対応しなかった管理職を見つけるシステムの確立に関しても同意した。

今後3年間Uberは、雇用均等委元委員のFred Alvarez「フレッド・アルヴァレズ)氏の監視下に置かれる。

委員のVictoria Lipnic(ヴィクトリア・リピニック)氏は声明で 「この合意はUberを有責とするものであり、今後はセクシャルハラスメントと報復に対する効果的な対策のモデルを形成することにより、同社が自己を刷新するとともに、テクノロジー業界に変化をもたらすことを、義務付けるものである」と述べている。

この裁定により、2014年1月1日から2019年6月30日までの間のいずれかの時点でUberで働いた女性社員全員にメモが送られる。そして、ハラスメントなどの被害者は、そのときの状況を申し立てることができる。それに対する罰金については、委員会が決定する。

画像クレジット:Anindito Mukherjee/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

食品を航空宇宙グレードのドローンで配達するMannaがシードラウンドで累計約5.7億円調達

先日ラジオを聴いていたら、インタビューを受けていた「未来派」の人が「いつかドローンが食品を配達するようになるが、そんなすぐには実現しない」と予測していた。予測とはそんなものだ。というのも、来年初めにアイルランドの家庭が利用できるようになるのは、まさしく食品配達のドローンだ。

B2Bドローン配達の「アズ・ア・サービス」企業であるMannaは12月18日、300万ドル(約3億3000万円)の追加投資ラウンドを発表した。本ラウンドはロジスティックにフォーカスしているファンドのDynamo VCがリードし、シードラウンドは累計520万ドル(約5億7000万円)となる。同社は自称「航空機グレード」のドローン配達企業で、自律飛行ドローン配達プラットフォームを2020年初めにまずは欧州で、それから米国で展開する計画だ。

Mannaのドローンは変わっている。通常目にするドローンよりもかなりモジュラー化されており、配達のようなロジスティック用途に適している。欧州と米国で製造されており、カスタムデザインで航空宇宙グレードのドローンを使用する。

このドローンは全天候対応のデザインで、高度500フィート(約152m)超は飛行しない。アイルランドでの最初の食品配達はまず地方で実施され、ゆくゆくは都市部の郊外でも展開される。最初のサービスは、食事オンライン注文プラットフォーム、レストランチェーン、3分での配達という信じられない約束をしている「ダークキッチン」(ゴーストレストラン、配達専門の飲食店)向けに提供される。このサービスは明らかに陸上配達よりもずっと安くて早く、田舎ではその強みをより発揮できる。

Mannaはまた、Flipdishとも提携する。Flipdishはアイルランドのレストランや持ち帰り店が使用しているオンライン配達プラットフォームを運営している。同社のドローンは、レストランやダークキッチンの現場から直接操作され、フードテックプロバイダーやオンラインフードプラットフォームはAPIを通じてアクセスできるようになるとのことだ。つまり、1台のドローンが需要に基づいてあらゆるプロバイダーに対応することを意味する。

創業者で起業家のBobby Healy(ボビー・ヒーリー)氏は以前、Eland Technologiesを創業し、2003年に同社をSITA.AEROへ売却した。直近では航空産業向けB2BモビリティマーケットプレイスのCarTrawlerを創業した。同社のプライベートエクイティLBO後もヒーリー氏は役員としてまだ残っている。

ヒーリー氏は「我々は第5次産業革命の先端にいる。この産業革命はドローンによるものであり、我々はMannaでドローン配達を流れる水のように広げたい。この産業革命は文字通り、世界中のマーケットプイスや経済、コミュニティを変える。単に二酸化炭素排出を抑制するだけでなく、命を救い、雇用を創出する」と話す。

Dynamo Venturesで投資を率いたJon Bradford(ジョン・ブラッドフォード)氏は次のように語っている。「難しいが巨大であるこの分野において、Mannaほど野心的で有能なドリームチームはない。ボビーと彼らの素晴らしいチームは全く先例のない振興マーケットで足がかりをとらえようとしている。2020年に米国で彼らのビジョンの推進をサポートすることを楽しみにしている」。

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(翻訳:Mizoguchi)

AI活用で録画データから面接官の“面接力”を可視化、クラウド型研修サービス「imトレーナー」公開

1100社が導入するSaaS型のウェブ面接ツール「インタビューメーカー」を通じて、面接のアップデートに取り組むスタジアム。その同社がテクノロジーを活用した“面接官の面接力アップ”を支援するサービスを新たに始める。

スタジアムが12月19日にリリースした「imトレーナー」はクラウド上で面接官のトレーニングが行える研修サービスだ。インタビューメーカーを活用して応募者役の学生と実際にウェブ面接を実施し、その様子を録画したデータを基に人とAIがそれぞれ面接力を評価する。

5月にも紹介した通りインタビューメーカーには面接の録画機能が備わっていて、従来は本人や社内の同僚が見返して面接の改善に繋げることはできた。今回のimトレーナーではそれを社外の第三者(スタジアムと応募者役の学生)に評価・フィードバックしてもらう形だ。

利用フローとしてはまず最初に企業側が面接を実施したい日時と応募者役の特徴を指定する。たとえば理工系の学生、グローバル志向の学生といった具合だ。そうするとスタジアム側がその特徴に該当する学生(就活を終えた4年生とのこと)を応募者役としてアサインし、希望日時にウェブ面接を実施。後日、学生の直感的なフィードバックや録画データを基に評価した内容がレポートとして提供される。

個人的に面白いと感じたのは「人による評価」だけでなく「テクノロジーによる評価」を導入していること。スタジアム執行役員の前澤隆一郎氏によると具体的には「音声解析」と「面接文字起こし」の部分にAIを活用しているそうで、たとえば音声解析の場合だと声の抑揚や周波数からその時の感情を分析し、どのくらいストレスがかかった状態なのかを見える化する。

またスタジアムでは面接に特化した文字起こしエンジンを独自で開発していて、誰がどの時間帯にどのくらいの割合で話しているかを効率的に測定できるとのこと(精度は今もブラッシュアップ中とのこと)。これまでは定性的な評価のみになりがちだった面接官の評価や振り返りに、定量的な指標やデータを組み合わせている部分がimトレーナーの特徴だ。

上述した通り、このテクノロジーを活用した評価に「応募者役の学生による定性的な評価」と「imトレーナーの運営による第三者的な評価」を加えたものを最終的なレポートとしてユーザーに提供する。

前澤氏の話では定量的なデータは現状を可視化する際にだけでなく、自身の面接力を向上させる際にも効いてくるとのこと。データに基づき「緊張状態が長く続いているので相手がうまく話せないのではないか」「タイムマネジメントがうまくいっていないから(自分が発言する時間が長いから)、相手の見極めに必要な情報が引き出せなかったのではないか」といったサジェストをしたりするそうだ。

これまで面接官以外の第三者が面接の様子を見ることがあまりなかったため、面接はブラックボックス化しがちな領域だった。特に規模が大きい会社では1回のシーズンに数百人の面接官を稼働させるところもあり、面接官によってスタイルやスキルも異なる。そもそも普段は別の業務を担っていて新卒採用シーズンだけ面接官を兼務するケースも多いので、慣れていない担当者もいるだろう。

「研修自体は以前から存在していたが、集合型のタイプが多く、場所や時間の制約もあるので受けられない人も多い。その中で自分たちの持っているインタビューメーカーは、実は面接官の研修にも機能するということがわかってきた。1番は場所と時間に縛られず、好きな時に好きなところで受けられること。その上で録画データの解析を通じて、従来は気づけなかった改善点やフィードバックも得られる」(前澤氏)

音声解析や文字起こし解析なども含めた詳細のレポートを希望する場合は1回1人あたりだいたい7万円くらいの金額感になるとのこと。1人あたりの料金で換算すると集合型の研修の方が安くなる場合はあるが、座学中心のものなど内容もそれぞれ異なるので「トータルのコストパフォーマンスで見れば十分に価値を感じてもらえるのではないか」という。

11月からβ版のような形でテスト的に提供を始めていて、すでにファミリーマートなど複数社が導入。実際にニーズがあることも検証できたことから、今回の正式ローンチを機により多くの企業に展開していく計画だ。

小型衛星打ち上げのRocket Labが第3の発射台をニュージーランドに建設へ

小型衛星打ち上げのスタートアップであるRocket Lab(ロケット・ラボ)はつい最近2番目の発射施設を開設したことを正式発表したばかりだが、早くも第3の発射台の建設に着工した。新しい発射台はニュージーランドのマヒア半島にある同社初の発射施設LC-1内に、同社初の発射台に隣接して建てられる。同施設は世界で唯一の民間が所有、運用するロケット発射施設だ。

新しい発射台ができることによってRocket LabのLaunch Complex-1(LC-1、第1発射施設)はさらに高頻度での打ち上げが可能になる。同社はこのLC-1を大規模な商業打ち上げに迅速に対応するための拠点と考えており、一方、米国バージニア州ワロップス島の新しい施設は米国内の運営者による米国での打ち上げを必要とする顧客の利用を主に想定している。Rocket Labは本社を正式にロサンゼルスに移した。

Rockt Labは複数のミッションを短時間のうちに打ち上げる能力を高めるべくさまざまな取り組みを進めている。今年同社は、新しいカーボンコンポジット製の製造ロボットを導入し、これまで数週間かかっていたエレクトロンロケットの組み立てプロセスの一部をわずか数時間へと短縮した。さらに現在ではエレクトロンロケットの第一ステージブースターを回収する方法も開発中で、成功すればミッション間に新しいロケットを製造する時間と費用をさらに縮小できる。

最終的にRocket Labは、ミッション間の所要時間を数日まで圧縮したいと考えており、また同じ施設に2つの発射台を稼働させることで、条件が許せば顧客の急な変更や、新規顧客の追加を臨機応変にできるようにする。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

子供の足をスマホで計測できるマーケットプレイス運営のJenzy

フィラデルフィアで女性が設立するスタートアップの中でも、Jenzy(ジェンジー)ほど大きな期待を抱かせるものはないだろう。オンラインマーケットプレイスと子供の足のサイズを計るバーチャル計測サービスを提供する企業だ。

モルガン・スタンレーのMulticultural Innovation Lab(マルチカルチュアル・イノベーション・ラボ、多文化イノベーション研究所)から125万ドル(約1億3700万円)の投資を受けたこの企業は、絶望から生まれ、2つの大陸で育てられた。

Eve Ackerley(イブ・アケリー)氏とCarolyn Horner(キャロリン・ホーナー)氏の2人の共同創設者は5年前、中国の雲南省の別々の場所で英語教師をしていたときに出会った。物が買える店が少なかったため彼女たちはネット通販に頼っていたのだが、靴を探していたときネット通販の最大の欠点に気がついた。適切なサイズの靴を見つけられないことだ。

写真に向かって左から、Jenzyの共同創設者であるキャロリン・ホーナー氏とイブ・アケリー氏

米国に帰ってきても、その記憶は2人から離れなかった。そこで彼女らは、スマートフォンだけで足のサイズが測れるアプリケーションの開発に着手し、小売店と協力して、女性が自分の足のサイズを正しく知り、適正な靴が買える仕組みを作った。

このアイデアが発展し、初めて会社を設立したこの2人は、靴の購入が厄介なのは大人ばかりではないことに気がついた。正しいサイズを知ることと適切な靴が買えるマーケットプレイスは、子供にこそ必要だと。

「私たちの事業でもっとも独創的な部分は、プラットフォームで扱われるすべての靴を標準化したことです」とホーナー氏は言う。

Jenzyは、コンバース、サッカニー、ケッズといったブランドと共同で、足にぴったり合う子供靴を提供している。「子供は、片方の足のサイズが6で、もう片方が7ということもあります」とホーナー氏。Jenzyなら、それぞれの足にぴったりの靴が届く。「Jenzyで計測すれば、確実に正しいサイズの靴が届けられるよう、卸売業者と協力しています」。

小売店にすれば、大きな負担となっている部分を削減できる。この業界では返品率は30%にのぼるが、Jenzyなら15%まで減らせるとホーナー氏は言う。この節約幅は110億ドル(約1兆2000億円)産業にとって非常に大きいとホーナー氏は見積もっている。

Jenzyは、最初のバージョンのアプリを2017年7月に提供開始したが今年の初めにアップデート版をリリースした。ホーナー氏の概算では、5月から今日までに同社は2万5000の足を測定し、アプリのダウンロード数は1万5000に達するという。

「この計画は、中国から戻った後でも、まだ私たちの興味が続いているかを確かめるものでした」とホーナー氏は会社設立時を振り返って言った。

当初2人は、カリフォルニアにあるアケリー氏のパートナーの自宅で作業していたが、後に子供靴に方向転換すると、ベータテスターたち(子だくさんのホーナー氏の家族だ)と密接に仕事を進めようと、フィラデルフィアに移った。

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(翻訳:金井哲夫)

エラストマー素材で作られた自立動作する虫形ロボットはハエ叩きにも負けない

自然はロボティクスのインスピレーションの源となることが多い。しかし実際のプロダクトに結実する例は非常に稀だ。それでも我々は少しずつ自然に近づいている。ここで紹介する小さな虫形ロボットはソフト素材で作られており、1gくらいしかない。それでも素早く動くことができ、ある程度の知能を備えており、なんとハエ叩きで叩かれても生き延びる。

マイクロロボットは妥協の産物だ。素早く動けるが外部動力が必要、知能を備えているが遠隔操縦が必要、消費エネルギーが極小だが素早く動けず、知能も低いなどだ。

誘電エラストマー・アクチュエータ(Dielectric Elastomer Actuators)の頭文字をとってDEAnsectと呼ばれるこの虫形ロボットは運動能力、知能、省エネを同時に達成しようという野心的な試みだ。もちろんそれぞれの能力は極小サイズによって限定されている。

ロボットは小さな3本の脚を動かして運動する。脚に流れる電流がエラストマー素材を変形させることでロボットを前に引きずるかたちになる。1回の動きはごく小さいが毎秒何回も繰り返されるため、我々の目にはロボットはかなりのスピードで前進するように見える。速度は毎秒体長の30%ほどで、これはキッチンに出没するアブラムシやクモほどの素早さではないが、ほかのミニロボットに比べれば十分に速い。

しかし最も重要なのは誘電エラストマーの採用によりエネルギー効率と堅牢さが飛躍的に上昇した点だろう。DEAnsectは19mgの本体の5倍の重さになるバッテリーと電子回路を内蔵できる。電子回路はごく簡単なものだが、それでも初歩的な自立動作が可能だ。 例えば、極小の光学センサーからの情報で白地の上に引かれた黒い線をたどって移動するなどが可能だ。

堅牢さでいえば、トップのGIF画像でご覧のとおり家庭用のハエ叩きで叩かれても作動を続ける。もちろんぺちゃんこになった後はその場所から剥がさねばならないが、その後はまた問題なく作動を続ける。

極小のサイズと能力からして、このロボットが実行できる実用性あるタスクはいまのところ見つかっていない。しかしソフト素材によるロボティクスの分野に大きな可能性を感じさせる成果といっていいだろう。

DEAnsectはXiaobin Ji(シャオビン・ジ)氏とMatthias Imboden(マティアス・インボーデン)氏のチームがEPFL(スイス連邦工科大学)Soft Transducers Lab(ソフト・トランスデューサ・ラボ)で開発した。本日12月18日、詳細がScience Roboticsに発表された。

【Japan編集部追記】上記Scince Roboticsのリンク先にはビデオが3本公開されており、ロボットが8の字の線をたどる、誘電エラストマーの伸縮、ハエ叩きで叩かれた前後がそれぞれ撮影されている。ロボットはハエ叩きで叩かれると変形して動けなくなるが、その場から持ち上げられるとまた動き出している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

アマゾンのEcho Wall Clockにミッキーマウス版が登場

Amazon(アマゾン)のEcho Wall Clockは、ユーザーにおおむね良好だった。一部のユーザーはデバイスの接続に問題を経験したが目立った問題はなかった。これはEchoファミリーの中でも最もアクティブでないデバイスの1つで、ほとんど壁掛け時計として動作する。

しかし、Echo Wall Clockの最新モデルには、新たに大きな「ミッキーマウス」が追加された。製品の外観はほとんど変わらないが、ほほえむ大きなミッキーの腕が時間と分を示している。

文字盤には60個のLEDリング埋め込まれ、分針の移動と同時に点灯する。Echo Wall ClockはEchoデバイスと連携し、音声コマンドに応答し、夏時間などを自動的で調整する。その他の機能は以下のとおりだ。

  • 整理整頓と時間管理をサポート
  • 1日の時刻を表示する、特徴的なデザインの読みやすいアナログ時計

つまるところ時計だ。「Echo Wall Clock – Disney Mickey Mouse Edition」はディズニーファンにうってつけな製品で、すでに販売が開始されている。今注文すればクリスマス前に届くはずだ。価格は50ドル(約5500円)で、通常版より20ドル高い。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

すべてのチューリップはいずれ枯れる、2020年の差し迫る仮想通貨の価値半減のウワサ

最近、仮想通貨にとって不幸な日が続いている。夏の間に一部回復した後、ビットコインやその他の仮想通貨の価値は、ここ数週間で急落した。1カ月前を振り返ると、ビットコインの価値は1コインあたり約8500ドル(約93万円)だった。しかし現在の価値は2000ドル近くも下がっている。

イーサリアムの値は先日6%下がり、リップルはさらに悪く7%の下落だ。ビットコインキャッシュも同日に7%下がっている。大きな下げ幅だ。どれも、ビットコイン支持者を増やすような段階ではない。なお仮想通貨関連のフォーラムを見ると、ビットコインはわずかな間しか売られておらず、後に再び上昇するという。そうだといいのだが。たとえ、2020年の差し迫る価値半減のウワサが、強気の影響を持たないとしても。

しかし、2019年も終わりに近づいてきた今、ビットコインなどの仮想通貨にとって、事態ははそれほど素晴らしくはない。ここでは、英国のロックバンドであるAlan Parsons Projectの不朽の言葉を引用しておこう。

上がったものは下がる

立ち上がったものは朽ちる

そして、人生には

悪い兆しがある!

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

アマゾンやアップル、グーグル、Zigbeeがスマートホームのオープン標準化で協力

コネクテッドホーム分野の大手各社は、オープンソース標準の策定に取り組んでいる。Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Zigbee Allianceなどの有力企業がこの取り組みを主導する。

このほかにも、IKEA(イケア)やLegrand、NXP Semiconductors、Resideo、Samsung SmartThings(サムスン・スマートシングス)、Schneider Electric、Signify(元Philips Lighting)、Silicon Labs、Somfy、Wulianなど、多数の主要パートナーが参加している。

その目標は明確なようだ。Connected Home over IPのプロジェクトは、企業やデバイス間における互換性を向上させるために設計された、接続規格の策定を目指している。現状はかなり分離しており、各企業は独自規格をかなり深く掘り下げ、多くの小規模なサードパーティーのメーカーに対応を求めている。

それは今後もある程度続くだろうが、より多くのデバイスが互いに接続できるようになれば、消費者にとっては間違いなくプラスになるだろう。その狙いは、ハードウェアメーカーがAlexa、Google アシスタント、Siriなどと連携するデバイスを簡単に作れるようにすることだ。

共同発表では、「このプロジェクトは、スマートホームデバイスは安全で信頼性が高く、シームレスに使用できなければならないという、共通の信念に基づいて構築されている」としている。「このプロジェクトは、インターネットプロトコル(IPアドレス)に基づいて、スマートホームデバイス、モバイルアプリ、クラウドサービス間の通信を可能にし、デバイス認証のためのIPベースのネットワークテクノロジーの特定の標準を定義することを目指している」。

セキュリティとプライバシーも、リストの上位にくるべきだ。これらのトピックは、私たちがより多くのデータをコネクテッドデバイスに明け渡す時に最も重要かつ増大する懸念だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Elroy Airの自律型ハイブリッド航空機が貨物コンテナのピックアップに成功

現時点では、自律飛行する航空機での輸送は確かな未来であるようだ。特に、人的な危害の可能性の懸念がそれほど大きくない、貨物に関しては。この目標を追求している企業の1つがElroy Airである。同社は300ポンド(約140kg)以上の貨物を300マイル(約480km)先まで運べる、ハイブリッド電動垂直離着陸機(VTOL)を開発した。これは、一部の中長距離向けの地上貨物輸送ルートを代替するのに適した距離である。

現在Elroy Airは、人間が作業をしなくてもコンテナを自分でピックアップする、新しいシステムをいくつか披露している。これは非常に興味深い機能であり、24時間体制での運用や少量かつ緊急での物資輸送など、貨物輸送の効率を大幅に向上させる可能性を秘めている。

Elroy Airは自動で貨物を積み込む機能や、大きな充電インフラを必要としない高効率なハイブリッド燃料システムなどのアプローチによって、他のシステムよりも先に商業化できると考えている。同社は商業用途、人命救助、軍事産業の幅広い顧客にサービスを提供することを目指しており、今年初めに最初のテスト飛行を実施した。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

企業のデータフローを可視化するSatori Cyber​​が約5.8億円を調達

企業が保存するデータの量と拠点が急速に拡大するのに伴い、アクセス権を持たない人がデータにアクセスしてしまうリスクも大きくなっている。多くのスタートアップがデータ保護の観点からクラウドとオンプレミスサーバー間のデータフローに注目していることは驚きではない。データの保護とガバナンスを担うSatori Cyber(サトリサイバー)​​は 12月17日、YL Venturesがリードするシードラウンドで525万ドル(約5億8000万円)を調達したことを発表した。

「当社は、ビジネスに革新と競争優位をもたらすデータの変革力を信じている。データを推進力とする組織は、チーム、パートナー、顧客など多様な利用者を想定してデータへのアクセスを最適化しようとする。クラウドデータテクノロジーを活用する企業は特にそうだ。その際に直面するセキュリティ、プライバシー、運用上の課題を当社は理解している」。

Satoriは12月17日にステルスモードを解除し、最初の製品であるSatori Cyber​​ Secure Data Access Cloudを発売した。これは企業向けのデータアクセス制御ツールで、利用する企業やそのセキュリティチームがクラウドとハイブリッド環境全体のデータフローを可視化できる点が特徴だ。同社によるとデータは「動く標的」だという。データがサービス間をどのように移動し、誰が実際にアクセスできるかを把握するのが難しいからだ。現在、ほとんどの企業は多数の拠点にデータを分割して保管しているため、この問題は時間とともに拡散し、可視性を保つのが難しくなる。

「これまで、企業のセキュリティチームは、データアクセスを高度に分離制限するとともに、各データストア内で一時的に使える特定の技術に依存したアクセス制御を行っていた。ただ、これは企業内のプロセスをスローダウンさせるだけだった」とSatori Cyber​​のCEO兼共同創業者であるEldad Chai(エルダッド・チャイ)氏は「Satori Cyber​​のプラットフォームはこのプロセスを合理化し、データアクセスを加速し、組織全体のデータフロー、データストア、アクセスに関する全体像を提供するだけでなく、きめ細いアクセス制御も可能にし、より制約の少ない環境で組織のデータ戦略を支援する」と述べた。

チャイ氏とCTOのYoav Cohen(ヨアブ・コーエン)氏の2人の共同創業者は以前、ImpervaとIncapsula(2014年にImpervaを買収した)で9年間セキュリティソリューションの開発に携わっていた。その経験から、簡単に導入できてわかりやすい操作が必要なことを理解していた。「SatoriのSecure Data Access Cloudはそれらの点を念頭に置いて開発し、企業への導入プロセスを迅速かつ簡単にできるよう設計した。Satoriの導入ではホスト名を簡単に変更できる。データへのアクセス方法や使用方法を変更する必要もない」と説明した。

画像クレジット:John M Lund Photography Inc / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

エアタクシーサービスを目指すLiliumが都市向け電動垂直離着陸機による試験飛行

近年では、誰もが独自の電動垂直離着陸機(eVTOL)を作ろうとしているようだ。都市を移動する交通手段の次なる大きな変化を予測するために、これらの乗り物の開発競争が行われているのは明らかだが、これまでに目にしたものは実現性に乏しかった。しかしミュンヘンに拠点を置くスタートアップのLilium(リリウム)は、独自の都市型飛行機を開発しており、本日12月19日に公開された動画は期待以上のものだ。

上の動画は、実際には10月初めに行われたテストのもの。Liliumによると、すでにテスト期間は完了しており、フェーズ2に移行している。動画では実際に飛行機が3分間飛行し、垂直離着陸のプロセスを経て、旋回しながら浮上した地点に戻っていく様子が映し出されている。

これは、Lilium Jetのユニークな推進方法による飛行能力と比べると、比較的低速のデモンストレーションである。同機は最高時速100kmで飛行でき、またジェットのフラップを完全に平らな角度にできれば、より速く水平方向に飛行できるだろう。最終的にLiliumは、自社の飛行機にて(少なくとも最初の数年間の有人飛行を実施した後に)市街地で人々を輸送するエアタクシーサービスを検討している

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(翻訳:塚本直樹 Twitter